JP2015025037A - プロピレン−エチレン系樹脂組成物及びその射出成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、以下のエチレン含量が異なる2種類のプロピレン−エチレン共重合体からなるプロピレン−エチレン系樹脂組成物及びその射出成形品に関する。
[1] エチレン含量が0.1〜3重量%、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレイト(以下、MFRと略称することがある。)が10〜300g/10minであるプロピレン−エチレン共重合体(A)とエチレン含量が5〜20重量%、MFRが1〜50g/10minであるプロピレン−エチレン共重合体(B)からなるプロピレン−エチレン系樹脂組成物であり、プロピレン−エチレン共重合体(A)とプロピレン−エチレン共重合体(B)の重量比が90:10〜60:40、かつ、プロピレン−エチレン系樹脂組成物のエチレン含量が2〜8重量%であるプロピレン−エチレン系樹脂組成物。
[2] プロピレン−エチレン共重合体(A)とプロピレン−エチレン共重合体(B)のMFR比(A/B)が1〜10、かつ、プロピレン−エチレン系樹脂組成物のMFRが20〜100g/10minである[1]に記載のプロピレン−エチレン系樹脂組成物。
[3] [1]又は[2]に記載のプロピレン−エチレン系樹脂組成物100重量部に対して、造核剤を0.01〜0.7重量部含有するプロピレン−エチレン系樹脂組成物。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載のプロピレン−エチレン系樹脂組成物を用いて得られる射出成形品。
本発明で使用するプロピレン−エチレン共重合体(A)は以下の特性を満足する。
特性1:MFR
本発明に用いるプロピレン−エチレン共重合体(A)のMFRは10〜300g/10minの範囲であることが必要であり、好ましくは30〜200g/10min、より好ましくは50〜150g/10minである。この範囲の下限値以上であると流動性の向上により成形加工性が良好となり、上限値以下のものは樹脂組成物の生産性が良好となり経済上好ましい。
MFR値の制御の方法は周知であり、重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する水素添加量の制御により、容易に調整を行なうことができる。
なお、本発明において、プロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210:1999「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定され、単位はg/10minである。
本発明に用いるプロピレン−エチレン共重合体(A)のエチレン含量は0.1〜3重量%の範囲であることが必要であり、好ましくは1.0〜2.8重量%、より好ましくは1.5〜2.6重量%である。この範囲の下限値以上であると成形品の透明性が良好となる。また上限値以下であると結晶化温度の上昇により成形時の固化が速くなり成形加工性が良好となる。
エチレン含量は、重合時におけるプロピレンとエチレンのモノマー組成の制御によって調整することができる。
本発明で使用するプロピレン−エチレン共重合体(B)は以下の特性を満足する。
特性1:MFR
本発明に用いるプロピレン−エチレン共重合体(B)のMFRは1〜50g/10minの範囲であることが必要であり、好ましくは5〜30g/10min、より好ましくは8〜15g/10minである。この範囲の下限値以上であるとプロピレン−エチレン共重合体(A)への分散性が向上し、成形品にフィッシュアイが発生することを抑制することが可能となる。また上限値以下であると低結晶成分が表面にブリードしにくくなることにより加熱後の透明性が良好となる。
本発明に用いるプロピレン−エチレン共重合体(B)のエチレン含量は5〜20重量%の範囲であることが必要であり、好ましくは7〜15重量%、より好ましくは8〜13重量%である。この範囲の下限値以上であると成形品の耐衝撃性が向上する。また上限値以下であるとプロピレン−エチレン共重合体(A)との相溶性が向上することにより成形品の透明性が良好となる。
本発明に用いるプロピレン−エチレン共重合体(A)とプロピレン−エチレン共重合体(B)の重量比は90:10〜60:40の範囲であることが必要であり、好ましくは87:13〜65:35、より好ましくは84:16〜70:30である。プロピレン−エチレン共重合体(A)の重量比の上限値90以下であると成形品の耐衝撃性が向上し、下限値60以上であると成形時の固化が速くなり成形加工性が向上する。
特性1:MFR
本発明のプロピレン−エチレン系樹脂組成物のMFRは20〜100g/10minの範囲であることが好ましく、より好ましくは25〜50g/10minである。
MFRが20g/10min以上であると流動性向上により成形加工性が良好となり、100g/10min以下であると耐衝撃性が良好となる。また、プロピレン−エチレン共重合体(A)とプロピレン−エチレン共重合体(B)のMFR比(A/B)は1〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜7である。この範囲の下限値以上であると耐衝撃性の向上、上限値以下であるとプロピレン−エチレン共重合体(A)に対するプロピレン−エチレン共重合体(B)の分散性が良好となり透明性が向上する。
本発明のプロピレン−エチレン系樹脂組成物のエチレン含量は2〜8重量%の範囲であることが必要であり、好ましくは3〜6重量%、より好ましくは3〜5重量%である。
この範囲の下限値以上であると成形品の透明性及び耐衝撃性が向上する。上限値以下であると低結晶性成分の減少により加熱後の透明性が向上する。
(i)使用する分析装置
(a)クロス分別装置 ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す)
(b)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃の温度に保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃の温度に保持する。
(c)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC) CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
(ii)CFCの測定条件
(a)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(b)サンプル濃度:4mg/ml
(c)注入量:0.4ml
(d)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(e)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は40℃、100℃、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(f)溶出時溶媒流速:1ml/分
(iii)FT−IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(a)検出器:MCT
(b)分解能:8cm−1
(c)測定間隔:0.2分(12秒)
(d)一測定当たりの積算回数:15回
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mlとなるようにODCB(0.5mg/mlのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4ml注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算は、森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には以下の数値を用いる。
(a)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
K=0.000138、α=0.70
(b)プロピレン系ブロック共重合体のサンプル測定時
K=0.000103、α=0.78
上記溶出分別された各溶出部分の分子量は、Mw(40)、Mw(100)、Mw(140)と定義される。全体の分子量分布は、3分別で得られたデータを合計し、計算で求めた。これより、後述の重量平均分子量が3,000以下の成分の含量(重量%)は、積算して求められる。
また、各溶出成分のエチレン含量分布(分子量軸に沿ったエチレン含量の分布)は、FT−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定等によりエチレン含量が既知となっているエチレン・プロピレン・ラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン含量(重量%)に換算して求める。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100・・・(I)
式(I)中、W40、W100は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100は、W40、W100に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含量(単位:重量%)であり、B40、B100は、各フラクションに含まれるEP1、EP2のエチレン含量(単位:重量%)である。A40、A100、B40、B100の求め方は後述する。
式(I)の意味は、以下の通りである。すなわち、式(I)右辺の第一項は、フラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるEP1の量を算出する項である。フラクション1がEP2のみを含み、EP1を含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のEP2含有量に寄与するが、フラクション1にはEP2由来の成分のほかに少量のEP1由来の成分(極端に分子量の低い成分)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこでW40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、EP2成分由来の量を算出する。例えば、フラクション1の平均エチレン含量(A40)が15重量%であり、フラクション1に含まれるEPのエチレン含量(B40)が20重量%である場合、フラクション1の15/20=3/4(即ち75重量%)はEP2由来、1/4はEP1由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の重量%(W40)からEP2の寄与を算出することを意味する。
(a)上述したように、CFC測定により得られるフラクション1〜2に対応する平均エチレン含量をそれぞれA40、A100とする(単位はいずれも重量%である)。平均エチレン含量の求め方は後述する。
(b)フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含量をB40とする(単位は重量%である)。フラクション2については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本明では実質的にB100=100と定義する。B40、B100は、各フラクションに含まれるプロピレン−エチレンランダム共重合体のエチレン含量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由は、フラクションに混在するEP1とEP2を完全に分離・分取する手段がないからである。種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができる。すなわち、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含量である。また、B100はエチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、及び、これらのフラクションに含まれるEP1の量がフラクション1に含まれるEP1の量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこでB100=100として解析を行う。
(c)上記の理由から下記式(II)に従い、上記比率(Wc)を求める。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100・・・(II)
つまり、式(II)右辺の第一項であるW40×A40/B40は、結晶性を持たないEP2含有量(重量%)を示し、第二項であるW100×A100/100は、結晶性を持つEP1含有量(重量%)を示す。
ここで、B40及びCFC測定により得られる各フラクション1及び2の平均エチレン含量A40、A100は、次のようにして求める。
微分分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含量をB40とする。また、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含量の積の総和をフラクション1の平均エチレン含量A40とする。フラクション2の平均エチレン含量A100も同様に求める。
本発明におけるプロピレン−エチレン系樹脂組成物中のプロピレン−エチレン共重合体(A)部(EP1)とプロピレン−エチレン共重合体(B)部(EP2)のエチレン含量は、上記の方法で測定した結果を用い、下記式(III)で求められる。
EPのエチレン含量(重量%)=(W40×A40+W100×A100)/Wc・・・(III)
プロピレン−エチレン共重合体(A)、及びプロピレン−エチレン共重合体(B)の混合についても、前述の諸特性を満足すればいかなる方法で製造してもよいが、2段連続重合法を採用することによりプロピレン−エチレン共重合体(A)に対するプロピレン−エチレン共重合体(B)の分散が良好となりより透明性が向上する。
本発明のプロピレン−エチレン系樹脂組成物に造核剤を含有することでより透明性が良好な成形品を得ることができる。造核剤としては、有機燐酸エステル金属塩、有機モノカルボン酸金属塩、有機ジカルボン酸金属塩、ポリマー核剤、ジベンジリデンソルビトールもしくはその誘導体、ジテルペン酸類の金属塩等が使用される。
上記有機燐酸エステル金属塩としては、例えば、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[(2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)フォスフェート、カリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フオスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムヒドロオキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムジヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等が例示される。
本発明の樹脂組成物には性能を損なわない範疇でまた、各種添加剤、例えば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤、帯電防止剤、難燃剤、親水化剤、スリップ剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、着色剤、充填剤、ポリエチレン、エラストマー、石油樹脂、抗菌剤などを含有することができる。また、MFR調整が必要な場合は有機過酸化物を配合することもできる。
本発明のプロピレン−エチレン系樹脂組成物は、前述のプロピレン−エチレン共重合体(A)、プロピレン−エチレン共重合体(B)、造核剤及びその他添加剤等の各種配合成分の所定量を、例えばヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー、タンブラーミキサー、バンバリーミキサー、等の通常の混合装置を用いて混合することによって得ることができる。得られた混合物を、単軸もしくは2軸の押出機、又はロールなどを用いて、溶融混練温度150〜300℃、好ましくは180〜250℃でペレタイズすることによって、ペレット状の組成物とすることもできる。
本発明の射出成形品は、上記のプロピレン−エチレン系樹脂組成物を通常の射出成形法、射出圧縮成形法、射出発泡成形法等に付すことにより得られる。
この射出成形品としては、具体的には、食品容器(プリン容器、ゼリー容器、ヨーグルト容器、その他のデザート容器、惣菜容器、茶碗蒸し容器、インスタントラーメン等のインスタント麺類に代表されるインスタント食品用の容器、米飯容器、レトルト容器、弁当容器等)、飲料容器(飲料ボトル、チルドコーヒー容器、ワンハンドカップ容器、その他の飲料容器等)、キャップ(ペットボトルキャップ、1ピースキャップ、2ピースキャップ、インスタントコーヒーのキャップ、調味料キャップ、化粧品容器キャップ等)、その他各種容器(インク容器、化粧品容器、シャンプー容器、洗剤容器等)、日用品(衣装ケース、バケツ、洗面器、筆記用具、コンテナ、玩具、調理器具、その他各種ケース等)などが挙げられる。
1.物性、評価方法
(1)MFR 本発明のプロピレン−エチレン系樹脂組成物のメルトフローレートMFRは、JIS K−7210−1999(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定される。
(2)曲げ弾性率 射出成形法により試験片を成形し、成形後に室温23℃、相対湿度50%に調節された恒温室に24時間放置した後、JIS K−7171(ISO178)に準拠して求めた。
(3)シャルピー衝撃強度 射出成形法により試験片を成形し、成形後に室温23℃、相対湿度50%に調節された恒温室に24時間放置した後、JIS K−7111に準拠して求めた。
(4)透明性(ヘイズ) 射出成形法により厚さ2mmの平板を成形し、成形後に室温23℃、相対湿度50%に調節された恒温室に24時間放置した後、JIS K−7136(ISO14782)JIS K−7361−1に準拠して求めた。これを加熱前Hazeとした。
また、加熱後Hazeは、試験片を100℃のオーブンに5時間放置した後、測定して求めた。
2.使用材料
(1)プロピレン−エチレン系樹脂組成物
下記の製造例1〜5で得られた各プロピレン−エチレン系樹脂組成物、すなわちプロピレン系重合体(それぞれ、PP−1〜PP−5と称す)を用いた。
(i)固体触媒成分(A)の製造
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。ここに、室温で、Mg(OEt)2を200g、TiCl4を1L添加した。温度を90℃に上げて、フタル酸ジ−n−ブチルを50ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiCl4を1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiCl4を1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体成分のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングし分析したところ、固体成分のTi含量は2.7重量%であった。
次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分のスラリーを固体成分として100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が25g/Lとなる様に調整した。SiCl4を50ml加え、90℃で1hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
その後、精製したn−ヘプタンを導入して液レベルを4Lに調整した。ここに、ジメチルジビニルシランを30ml、(i−Pr)2Si(OMe)2を30ml、Et3Alのn−ヘプタン希釈液をEt3Alとして80g添加し、40℃で2hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥、分析したところ、固体成分にはTiが1.2重量%、(i−Pr)2Si(OMe)2が8.8重量%含まれていた。
更に、上記で得られた固体成分を用いて、以下の手順により予備重合を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が20g/Lとなる様に調整した。次にスラリーを10℃に冷却した後、Et3Alのn−ヘプタン希釈液をEt3Alとして10g添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って固体触媒成分(A)を得た。この固体触媒成分は、固体成分1gあたり2.5gのポリプロピレンを含んでいた。また、この固体触媒成分(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.0重量%、(i−Pr)2Si(OMe)2が8.2重量%含まれていた。
2つの気相流動床よりなる重合反応器を用い2段重合によりプロピレン系重合体を製造した。第1反応器(内容積2.19m3)に上記予備活性化処理した固体触媒成分(A)を0.26g/hr、有機アルミニウム化合物としてEt3Alを5.2g/hrで連続的に供給した。反応温度75℃、反応圧力3.0MPa、空塔速度0.35m/s、ベッド重量40kgの条件を維持しながら、重合器内に水素及びエチレンをそれぞれ水素/プロピレン=0.057モル比、エチレン/プロピレン=0.013モル比で連続供給しPP成分(A)を得た。
PP成分(A)のMFRは88.0g/10分、エチレン含量は2.2重量%であった。
次いで、得られた重合体は第2反応器(内容積2.19m3)に移送され、反応温度80℃、反応圧力2.5MPa、空塔速度0.50m/s、ベッド重量60kgの条件を維持しながら、重合器内に水素及びエチレンをそれぞれ水素/プロピレン=0.021モル比、エチレン/プロピレン=0.051モル比で連続供給しプロピレン系重合体1を得た。尚、プロピレン−エチレン共重合体の反応量を調節するため重合活性抑制剤としてエタノールをエタノール/Al=0.62モル比供給した。
プロピレン系重合体のMFRは44.0g/10分、エチレン含量は4.0重量%であった。ここで、2段目で製造したPP成分(B)についてのインデックスを計算したところ、生産量は全体の重量に対し33%であり、MFRは10.7g/10分、エチレン含量は7.5重量%であった。
(i)プロピレン系重合体の製造
第1反応器の水素及びエチレンがそれぞれ水素/プロピレン=0.056モル比、エチレン/プロピレン=0.013モル比、第2反応器の水素及びエチレンがそれぞれ水素/プロピレン=0.032モル比、エチレン/プロピレン=0.071モル比、また2段目のプロピレン−エチレン共重合体の反応量を調節するため重合活性抑制剤としてエタノールをエタノール/Al=0.72モル比供給で製造した以外は、製造例1と同条件で行った。
PP成分(A)のMFRは79.0g/10分、エチレン含量は2.2重量%であった。プロピレン系重合体のMFRは46.0g/10分、エチレン含量は4.6重量%であった。ここで、2段目で製造したPP成分(B)についてのインデックスを計算したところ、生産量は全体の重量に対し30%であり、MFRは13.0g/10分、エチレン含量は10.0重量%であった。
(i)プロピレン系重合体の製造
第1反応器の水素及びエチレンがそれぞれ水素/プロピレン=0.039モル比、エチレン/プロピレン=0.013モル比、第2反応器の水素及びエチレンがそれぞれ水素/プロピレン=0.056モル比、エチレン/プロピレン=0.052モル比、また2段目のプロピレン−エチレン共重合体の反応量を調節するため重合活性抑制剤としてエタノールをエタノール/Al=0.74モル比供給で製造した以外は、製造例1と同条件で行った。
PP成分(A)のMFRは45.0g/10分、エチレン含量は2.2重量%であった。プロピレン系重合体のMFRは46.0g/10分、エチレン含量は3.8重量%であった。ここで、2段目で製造したPP成分(B)についてのインデックスを計算したところ、生産量は全体の重量に対し32%であり、MFRは49.0g/10分、エチレン含量は7.5重量%であった。
(i)プロピレン系重合体の製造
第1反応器の水素及びエチレンがそれぞれ水素/プロピレン=0.030モル比、エチレン/プロピレン=0.013モル比、第2反応器の水素及びエチレンがそれぞれ水素/プロピレン=0.030モル比、エチレン/プロピレン=0.013モル比で、また2段目のプロピレン−エチレン共重合体の反応量を調節するため重合活性抑制剤としてエタノールをエタノール/Al=0.40モル比供給で製造した以外は、実施例1と同条件で行った。
PP成分(A)のMFRは30.0g/10分、エチレン含量は2.2重量%であった。プロピレン系重合体のMFRは30.0g/10分、エチレン含量は2.2重量%であった。ここで、2段目で製造したPP成分(B)についてのインデックスを計算したところ、生産量は全体の重量に対し30%であり、MFRは30.0g/10分、エチレン含量は2.2重量%であった。
(i)プロピレン系重合体の製造
第1反応器の水素及びエチレンがそれぞれ水素/プロピレン=0.036モル比、エチレン/プロピレン=0.012モル比、第2反応器の水素及びエチレンがそれぞれ水素/プロピレン=0.010モル比、エチレン/プロピレン=0.210モル比で、また2段目のプロピレン−エチレン共重合体の反応量を調節するため重合活性抑制剤としてエタノールをエタノール/Al=1.30モル比供給で製造した以外は、実施例1と同条件で行った。
PP成分(A)のMFRは40.0g/10分、エチレン含量は2.1重量%であった。プロピレン系重合体のMFRは13.0g/10分、エチレン含量は9.1重量%であった。ここで、2段目で製造したPP成分(B)についてのインデックスを計算したところ、生産量は全体の重量に対し31%であり、MFRは1.0g/10分、エチレン含量は25.0重量%であった。
(i)造核剤(B−1):ADEKA社製、NA21、有機燐酸エステル金属塩系核剤
(ii)造核剤(B−2):ミリケン社製、NX8000J
(1)樹脂組成物の製造
プロピレン−エチレン系樹脂組成物として、製造例1で得られた(PP−1)パウダー100重量部に対して、中和剤のステアリン酸カルシウム0.05重量部、フェノール系酸化防止剤のペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製;以下RA1010と略す。)0.05重量部、リン系酸化防止剤のトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファィト(BASF社製;以下RA168と略す。)0.05重量部、スリップ剤としてオレイン酸アミド0.05重量部を添加し、スーパーミキサーで窒素シール後、3分間混合した。その後、パウダーは東芝機械社製2軸押出機TEM35を用いホッパーを窒素シールしながらシリンダー温度200℃、スクリュー回転数150rpm、押出量15kg/hで造粒し、プロピレン−エチレン系樹脂組成物のペレットを得た。
上記製造例1で得られたプロピレン系重合体(PP−1)パウダーであるプロピレン−エチレン系樹脂組成物、並びに樹脂組成物中のプロピレン−エチレン共重合体(A)及びプロピレン−エチレン共重合体(B)の各組成、物性等を表1に示す。
(2)射出成形品の製造
上記で得られた樹脂組成物ペレット試料を東芝射出成形機EC100に供給し、射出1次圧力50Mpa、成形温度200℃、金型冷却水温度40℃、成形サイクル15秒で試験片、試験用平板を成形した。
得られた試験片、試験用平板の評価結果を表1に示した。
プロピレン−エチレン系樹脂組成物として製造例2(PP−2)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表1に示す。
(実施例3)
プロピレン−エチレン系樹脂組成物として製造例3(PP−3)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表1に示す。
(比較例1)
プロピレン−エチレン系樹脂組成物として製造例4(PP−4)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表1に示す。
(比較例2)
プロピレン−エチレン系樹脂組成物として製造例5(PP−5)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表1に示す。
(1)樹脂組成物の製造
プロピレン−エチレン系樹脂組成物として、製造例1で得られた(PP−1)パウダー100重量部に対して、造核剤(B−1)0.2重量部、中和剤のステアリン酸カルシウム0.05重量部、フェノール系酸化防止剤のペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製;以下RA1010と略す。)0.05重量部、リン系酸化防止剤のトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファィト(BASF社製;以下RA168と略す。)0.05重量部、スリップ剤としてオレイン酸アミド0.05重量部を添加し、スーパーミキサーで窒素シール後、3分間混合した。その後、パウダーは東芝機械社製2軸押出機TEM35を用いホッパーを窒素シールしながらシリンダー温度200℃、スクリュー回転数150rpm、押出量15kg/hで造粒し、プロピレン−エチレン系樹脂組成物のペレットを得た。
上記製造例1で得られたプロピレン系重合体(PP−1)パウダーであるプロピレン−エチレン系樹脂組成物、並びに樹脂組成物中のプロピレン−エチレン共重合体(A)及びプロピレン−エチレン共重合体(B)の各組成、物性等を表2に示す。
(2)射出成形品の製造
上記で得られた樹脂組成物ペレット試料を東芝射出成形機EC100に供給し、射出1次圧力50Mpa、成形温度200℃、金型冷却水温度40℃、成形サイクル15秒で試験片、試験用平板を成形した。
得られた試験片、試験用平板の評価結果を表2に示した。
造核剤としてB−2を用いた以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表2に示す。
(実施例6)
プロピレン−エチレン系樹脂組成物として製造例2(PP−2)を用いた以外は実施例4と同様にして樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表2に示す。
(実施例7)
プロピレン−エチレン系樹脂組成物として製造例3(PP−3)を用いた以外は実施例4と同様にして樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表2に示す。
(比較例3)
プロピレン−エチレン系樹脂組成物として製造例4(PP−4)を用いた以外は実施例4と同様にして樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表2に示す。
(比較例4)
プロピレン−エチレン系樹脂組成物として製造例5(PP−5)を用いた以外は実施例4と同様にして樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表2に示す。
これに対して、比較例1及び3ではプロピレン−エチレン共重合体(B)相当品のエチレン含量が低い為、シャルピー衝撃値が悪化していることが分かる。比較例2及び4では、プロピレン−エチレン共重合体(B)相当品のエチレン含量が高い為、透明性が悪化していることが分かる。
Claims (4)
- エチレン含量が0.1〜3重量%、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレイト(以下、MFRと略称することがある。)が10〜300g/10minであるプロピレン−エチレン共重合体(A)とエチレン含量が5〜20重量%、MFRが1〜50g/10minであるプロピレン−エチレン共重合体(B)からなるプロピレン−エチレン系樹脂組成物であり、プロピレン−エチレン共重合体(A)とプロピレン−エチレン共重合体(B)の重量比が90:10〜60:40、かつ、プロピレン−エチレン系樹脂組成物のエチレン含量が2〜8重量%であるプロピレン−エチレン系樹脂組成物。
- プロピレン−エチレン共重合体(A)とプロピレン−エチレン共重合体(B)のMFR比(A/B)が1〜10、かつ、プロピレン−エチレン系樹脂組成物のMFRが20〜100g/10minである請求項1に記載のプロピレン−エチレン系樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載のプロピレン−エチレン系樹脂組成物100重量部に対して、造核剤を0.01〜0.7重量部含有するプロピレン−エチレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のプロピレン−エチレン系樹脂組成物を用いて得られる射出成形品。
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