JP2015021604A - クランク軸構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クランクピン部31と、クランクジャーナル部30と、クランク軸3方向でクランクピン部とクランクジャーナル部との間に配置されたカウンターウエイト部33とを備えたクランク軸構造において、クランクピン部とクランクジャーナル部とを結ぶクランク腕部32が、クランク軸方向視Aで、その両側縁32aをクランクピン部基部31aとクランクジャーナル部基部30aとを繋ぐ外接接線にほぼ沿うように形成され、クランク腕部の両側縁には、クランク軸交差方向視Bで、クランクピン部中心線Yとクランクジャーナル部中心線Xとに跨る長さの縁溝部8が設けられたもの。またさらに、縁溝部の溝底部80は、縁溝部の両側部をなし少なくともクランクピン部中心線側が解放された2条の補強リブ81J,81Pの間に形成されたもの。
【選択図】図3
Description
本明細書の説明における前後上下等の向きは、本実施形態に係るパワーユニット1を、図示しない車両、例えば不整地走行用車両に取り付けた図1に示す姿勢での車両(不整地走行用車両)の向きに従うものとし、図1において、図示上方が車両上方、図示左方が車両前方である。
以降、図中、矢印FRは車両の向きに従い前方を、UPは上方を、それぞれ示す。
そして、パワーユニット1は、内燃機関2のクランク軸3を車体前後方向に指向させた所謂縦置きの姿勢で、車両に搭載されている。
主変速機4は、内燃機関2のクランク軸3の右方に位置し(図1は断面展開図のため、下方に図示)、主変速機4の前方に略重なって副変速機5が突設されている。
前後方向に指向するクランク軸3の前端部には交流発電機27が設けられ、後端部にプライマリ駆動歯車28が嵌着されている。
なお、メイン軸41は図1においてクランク軸3の下方に示されるが、展開図示のためであって、本実施形態の場合、メイン軸41はクランク軸3の略右方(図示向こう側)に位置する。
駆動変速歯車41gと被動変速歯車42gとは、図示しない変速機構によって選択的に動力伝達されるギヤの噛み合いが切り換えられ、変速が行われるが、クラッチ装置7は、主変速機4のギヤ切換え中にはクランク軸3の回転動力を主変速機4に伝達せず、主変速機4のギヤ切換えが終了するとともにクランク軸3の回転動力を主変速機4に伝達するように構成されている。
変速駆動軸51に伝達された回転動力は、中間歯車軸52を介して副変速機5の出力軸53であり、かつパワーユニットPの出力軸53でもある変速従動軸53に伝達されるが、その間に変速と前進/後進切り替えが行われる。
図1においては、前方側のクランクピン部31が図示手前側に位置して示され、後方側のクランクピン部31が図示上方側に位置して示されるが、図2においては、図1の状態からクランク軸心X周りに90度回転した状態で、前方側のクランクピン部31が図示上方側に位置して示され、後方側のクランクピン部31は図示向こう側に位置して示されている。
さらに、第1クランク部C1においては、クランクピン部31を挟んで前後に図2に示される第1セクションS1と第2セクションS2が一体に成形されて構成されている。第2クランク部C2も同様である。
また、クランク軸3は、例えば鍛造成形(熱間鍛造成形)によって製造されている。
本実施形態では、2つのクランクピン部31が、3つのクランクジャーナル部30の間に配置されている。
なお、本実施形態のクランク軸3は、上述のように2気筒に対する第1クランク部C1と第2クランク部C2とが270度のクランクピン位相を有しているため、カウンターウエイト部33のみならず、図1中に図示されないバランサ機構がクランクケース20内に設けられ、クランク軸3に同期して回転駆動される。
図4は、図3中IV−IV矢視による第2セクションS2の正面図であり、図5は、図3中V矢視による第2セクションS2の斜視図であり、図6は、図3中VI−VI矢視による第2セクションS2の上面図であり、いずれも第2セクションS2のみ切り出したように図示されるが、第2セクションS2は上述のように一体に成形されたクランク軸3の一部である。
なお、第2セクションS2には、クランクピン部31とクランクジャーナル部30のクランク軸心X方向の半分が含まれる。
また、クランク軸心Xに対してクランク腕部32のクランクピン部31と反対方向にカウンターウエイト部33が延設され配置されている。
図3に示されるように、クランク腕部31の両側縁32aには、クランク軸心X交差方向視B(図4〜6中、矢印B:本発明における「クランク軸交差方向視」)で、クランクピン部中心線Yとクランクジャーナル部中心線、すなわちクランク軸心Xとに跨る長さの縁溝部8が設けられている。
また、クランク軸3は内燃機関2の運転中、クランクケース20内に画成されたクランク室21内で回転しており、潤滑オイル供給箇所から飛散し浮遊しているクランク室21内のオイルミストが、クランク軸3のクランク腕部32に捕捉されるが、縁溝部8によりクランクピン部中心Y側とクランクジャーナル部中心X側の間のオイルミストの移動がスムーズとなり、クランクピン部31とクランクジャーナル部30への潤滑オイル供給に貢献することとなる。
そのため、両補強リブ81J、81Pによりクランクピン部31の支持剛性が高まり、ひいては縁溝部8と相まって重量増加を抑えてクランク軸3の強度を向上させることができる。
特に、本実施形態のような270度のクランクピン位相を有する場合、クランク軸3にはカウンターウエイト部33が設けられるものの、それのみではバランスが得られず、クランクケース20中に図示しないバランサ機構が設けられる。そのために加わるクランク軸3への負荷に耐えられるようにクランク軸3には十分な強度及び剛性が求められ、軸重量増大の要素となるが、本実施形態の縁溝部8と補強リブ81J、81Pによる重量軽減と強度及び剛性の向上は、それに対する有効な対策となる。
そのため、クランク軸3の回転に伴い上述のようにクランク腕部32に捕集されて縁溝部8の溝底部80に導かれたオイルミストの流れを、クランクピン部中心線Y側が解放された溝底部80からクランクピン部31に向けて容易に流すことができ、コンロッド26ひいてはピストン25の潤滑性を高めることができる。
なお、溝底部30は平面状に鍛造時に形成されるので、加工基準面として使用可能であり、従来の加工基準面を減ずることも可能である。
そのことにより、縁溝部8中のオイルミストの流れをより効果的にクランクピン部31に近づくようにしている。
また、図4に示されるように、クランク腕部32のクランクジャーナル部30側とカウンターウエイト部33とを繋ぐ連結部34は、クランク軸心X方向視Aで、クランク腕部32の両側縁32aの溝底部80の延長線Eの間隔よりも幅が小さく形成されている。
そのため、凸状リブ35によって、溝底部80中の上記オイルミストの流れを阻害することなく、軽量化と剛性のバランスが最適化されており、さらに、凸状リブ35を設けたことによりクランクピン部31の潤滑性が高められている。
クランク軸3がクランクケース20のクランク室21内で回転すると(図1参照)、図4中矢印Rで示すようにクランク腕部32とカウンターウエイト部33と連結部34がクランク軸心X周りに回転し、クランク室21内に飛散、浮遊しているオイルミストをかき分けるように進むことになる。
そこで本実施形態の場合、連結部34の回転方向Rの前後に水掻き状の凸状リブ35が形成されているので、凸状リブ35を設けたことによって、オイルミストは連結部34の周りを図7中実線矢印のように滑らかな相対的な流れとなって通過し、連結部34の通過後のオイルミストの乱れを少なくすることができる。
しかし、凸状リブ35を備えた本実施形態の場合は、連結部34が通過した位置のオイルミストは上述のように乱れが少なく略その位置に留まるので、そこを通過しようとするクランクピン部31は十分なオイルミストを捕集でき、潤滑性が向上するのである。
すなわち、クランクピン部31と、クランクジャーナル部30と、クランク軸心X方向でクランクピン部31とクランクジャーナル部30との間に配置されたカウンターウエイト部33とを備えたクランク軸構造において、クランクピン部31とクランクジャーナル部30とを結ぶクランク腕部32が、クランク軸心X方向視Aで、その両側縁32aをクランクピン部基部31aとクランクジャーナル部基部30aとを繋ぐ外接接線にほぼ沿うように形成され、クランク腕部32の両側縁32aには、クランク軸心X交差方向視Bで、クランクピン部中心線Yとクランクジャーナル部中心線Xとに跨る長さの縁溝部8が設けられている。
ず、本発明の要旨の範囲で、多様な態様で実施されるものを含むことは勿論である。
例えば、本発明に係る内燃機関は、実施形態の、主変速機と副変速機を備え、車両、例えば不整地走行用車両に取り付けられたパワーユニットにおけるものに限定されず、定置型内燃機関を含め多様な内燃機関あってよく、クランク軸が請求項1に合致するクランク軸であればよい。
また、クランク軸の前後の構成は、説明の便宜上、図示のものに特定して記載したが、上記実施形態に示すものと前後逆となる構成のものも本発明に含まれ、クランク軸自体の配向は搭載される車両との関係で限定されるものではない。
Claims (6)
- クランクピン部(31)と、クランクジャーナル部(30)と、クランク軸(3)方向で前記クランクピン部(31)とクランクジャーナル部(30)との間に配置されたカウンターウエイト部(33)とを備えたクランク軸構造において、
前記クランクピン部(31)とクランクジャーナル部(30)とを結ぶクランク腕部(32)が、クランク軸方向視(A)で、その両側縁(32a)をクランクピン部基部(31a)とクランクジャーナル部基部(30a)とを繋ぐ外接接線にほぼ沿うように形成され、前記クランク腕部(32)の両側縁(32a)には、クランク軸交差方向視(B)で、クランクピン部中心線(Y)とクランクジャーナル部中心線(X)とに跨る長さの縁溝部(8)が設けられたことを特徴とするクランク軸構造。 - 前記縁溝部(8)はその溝底部(80)が、同縁溝部(8)の両側部をなし少なくともクランクピン部中心線側が解放された2条の補強リブの間に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のクランク軸構造。
- 前記縁溝部(8)は、クランク軸交差方向視(B)で、クランクジャーナル部中心線(X)側に対してクランクピン部中心線(Y)側がクランクピン部(31)に近づくように傾斜して形成されたことを特徴とする請求項2に記載のクランク軸構造。
- 前記クランク腕部(32)のクランクジャーナル部(30)側とカウンターウエイト部(33)とを繋ぐ連結部(34)は、クランク軸方向視(A)で、前記クランク腕部(32)の両側縁(32a)の前記溝底部(80)の延長線(E)の間隔よりも幅が小さく形成され、
前記縁溝部(8)の両側部をなす両補強リブ(81J,81P)は、カウンターウエイト部(33)側が解放された形状であることを特徴とする請求項3に記載のクランク軸構造。 - 前記縁溝部(8)を形成する両側部の前記2条の補強リブ(81J,81P)のリブ高さは、クランクジャーナル部(30)側(81J)に対して、クランクピン部(31)側(81P)が低く形成されたことを特徴とする請求項4に記載のクランク軸構造。
- 前記連結部(34)には、クランク軸方向視(A)で両側方に向けて凸状リブ(35)が形成され、前記凸状リブ(35)の両先端(35a)の間隔は、前記クランク腕部(32)の両側縁(32a)の前記溝底部(80)の延長線(E)の間隔よりも幅が小さく形成されたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のクランク軸構造。
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