JP2015018621A - ナトリウム電池用正極活物質およびその製造方法 - Google Patents

ナトリウム電池用正極活物質およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、電解液の分解を抑制できるナトリウム電池用正極活物質等を提供することを主目的とする。等を提供することを主目的とする。【解決手段】下記一般式(1)で表わされるナトリウム電池用正極活物質であって、前記一般式(1)におけるMのリン化物を含むコート部を表面に有することを特徴とするナトリウム電池用正極活物質を提供する。一般式(1)NaxMy(AO4)z(P2O7)w(前記一般式(1)中、Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Aは、Al、Si、P、S、Ti、V及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、xは4≧x≧2を満たし、yは4≧y≧1を満たし、zは4≧z≧0を満たし、wは1≧w≧0を満たし、z及びwの少なくとも一方は1以上である。)【選択図】図1

Description

本発明は、電解液の分解を抑制することができるナトリウム電池用正極活物質に関する。
近年、パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界においても、電気自動車やハイブリッド自動車用の高出力且つ高容量の電池の開発が進められている。各種電池の中でも、エネルギー密度と出力が高いことから、リチウム電池が注目されている。
リチウム電池において、一般的には、正極活物質として、ニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等の層状構造を有するリチウム金属複合酸化物が用いられ、負極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵および放出が可能な炭素材料、リチウム金属、リチウム合金等が用いられている。また、正極と負極との間に介在する電解質には、リチウム塩を溶解させた電解液や、リチウムを含有する固体電解質等が用いられている。
リチウム電池は、上記したようにエネルギー密度や出力に優れる一方、リチウム電池の需要拡大に伴いリチウムの価格が上昇していることや、リチウムの埋蔵量が限られていること等が、量産や大型化のボトルネックとなっている。
そこで、資源埋蔵量が豊富で低コストであるナトリウムを、リチウムの代わりに用いたナトリウム電池の研究も進められている。
国際公開第2013/031331号パンプレット
今回の発明に先立って、本発明者は、NaNi(PO(P)で表わされる化合物、さらに下記一般式(1)で表わされる化合物を、ナトリウム電池における高電位域での作動が可能な正極活物質として見出している(特許文献1)。
一般式(1)
Na(AO(P
(上記一般式(1)中、Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Aは、Al、Si、P、S、Ti、V及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、xは4≧x≧2を満たし、yは4≧y≧1を満たし、zは4≧z≧0を満たし、wは1≧w≧0を満たし、z及びwの少なくとも一方は1以上である。)
しかしながら、上述の正極活物質は、電解液の分解に対する活性が高いという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電解液の分解を抑制できるナトリウム電池用正極活物質およびその製造方法を提供することを主目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を行った結果、上記一般式(1)におけるMのリン化物を含むコート部を正極活物質の表面に設けることで、電解液の分解を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、下記一般式(1)で表わされるナトリウム電池用正極活物質であって、上記一般式(1)におけるMのリン化物を含むコート部を表面に有することを特徴とするナトリウム電池用正極活物質を提供する。
一般式(1)
Na(AO(P
(上記一般式(1)中、Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Aは、Al、Si、P、S、Ti、V及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、xは4≧x≧2を満たし、yは4≧y≧1を満たし、zは4≧z≧0を満たし、wは1≧w≧0を満たし、z及びwの少なくとも一方は1以上である。)
本発明によれば、上記一般式(1)におけるMのリン化物を含むコート部を表面に有することにより、電解液の分解を抑制できるナトリウム電池用正極活物質とすることができる。
上記発明においては、上記一般式(1)中、上記Mは、Niであり、上記Mのリン化物がNiPであることが好ましい。
本発明は、上述のナトリウム電池用正極活物質を製造するナトリウム電池用正極活物質の製造方法であって、上記一般式(1)で表わされる前駆体物質を還元剤とともに焼成することにより上記Mのリン化物を含むコート部を形成する還元工程を有することを特徴とするナトリウム電池用正極活物質の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記還元工程を有することにより、上述のナトリウム電池用正極活物質を製造することができる。
本発明の正極活物質は、上記一般式(1)におけるMのリン化物を含むコート部を表面に有することにより、電解液の分解を抑制することができるといった作用効果を奏する。
本発明のナトリウム電池用正極活物質の例を示す概略断面図である。 空間群Pn2aの結晶構造を、a軸方向から見た図である。 空間群Pn2aの結晶構造を、b軸方向から見た図である。 空間群Pn2aの結晶構造を、c軸方向から見た図である。 ナトリウム電池の一例を示す概略断面図である。 ナトリウム電池用正極活物質の製造方法の一例を示す工程図である。 実施例および比較例の電極(正極)のXRDパターンである。 実施例および比較例の測定セルにおける1サイクル目の充放電曲線を示すグラフである。 実施例の測定セルにおける高電流密度(170mAhg−1、1Cレート)印加時の充放電曲線を示すグラフである。
以下、本発明のナトリウム電池用正極活物質(以下、単に正極活物質と称して説明する場合がある。)およびその製造方法について説明する。
A.ナトリウム電池用正極活物質
本発明のナトリウム電池用正極活物質について図を用いて説明する。
図1(a)、(b)は、本発明のナトリウム電池用正極活物質の例を示す概略断面図である。本発明の正極活物質10は、上記一般式(1)で表わされ、上記一般式(1)におけるMのリン化物を含むコート部1を表面に有することを特徴とする。
図1(a)では、本発明の正極活物質10において、コート部1とコート部1より正極活物質10の中心側にあるコア部2とが界面を有さず、連続している例を示している。また、図1(b)では、本発明の正極活物質10において、コート部1とコア部2とが界面を有している例を示している。
本発明によれば、上記一般式(1)におけるMのリン化物を含むコート部を表面に有することにより、電解液の分解を抑制できるナトリウム電池用正極活物質とすることができる。
この理由については必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
コート部に含まれるMのリン化物は、電解液の分解に対して活性が低いことが考えられる。そのため、本発明の正極活物質は、上記一般式(1)におけるMのリン化物を含むコート部を表面に有することにより、電解液と正極活物質における上記活性の高い部分とが直接接触することを防止することができ、電解液とコート部とが接触することから、電解液の分解(電解液の劣化)を抑制できることが考えられる。
また、本発明によれば、本発明の正極活物質を用いたナトリウム電池の容量を増加させることができ、充放電効率、容量維持率、および高率充放電特性を良好にすることができる。
この理由については必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
上述したように、本発明の正極活物質は、Mのリン化物を含むコート部を表面に有することにより、電解液の分解に対する活性を抑制することができる。また、コート部に含まれるMのリン化物は、電子伝導性が良好な物質である。よって、本発明の正極活物質は上記コート部を表面に有することにより、電子伝導性を良好にすることができることが考えられる。
本発明の正極活物質は、上述した作用効果を奏することから、ナトリウム電池において充放電効率、容量維持率、高率充放電特性を良好にすることができることが考えられる。また、本発明の正極活物質は、コート部の存在により、電子伝導性が良好であると考えられることから、ナトリウム電池の高容量化を図ることができると考えられる。
従来の正極活物質の電解液の分解への活性を低下させる方法として、従来の正極活物質と電解液とを直接接触させないようにする場合、例えば、電子伝導性の高い炭素からなる炭素被膜を正極活物質の表面にコーティングすることも考えられる。しかし、本発明の正極活物質は、従来の正極活物質の表面上に炭素被膜をコーティングさせたものと比べても、電解液の分解に対する活性を低下させることができると考えられる。
後述する実施例の項目で詳述するように、本発明の正極活物質と炭素とを含む正極を用いた測定セル(ナトリウム二次電池)と、従来の正極活物質と炭素とを含み実施例におけるNiPの代わりに炭素の含有量を増やした正極を用いた測定セルとを比較した場合、実施例の測定セルにおける初回放電容量および初回充放電効率が飛躍的に向上し、また、サイクル特性および高率放電特性が向上した(後述する図8、図9、表1、および表2等)。これらの結果から、Mのリン化物は炭素と比較して電解液の分解への活性が低い可能性が示唆された。
以下、本発明の正極活物質の詳細について説明する。
1.コート部
本発明の正極活物質は、上記一般式(1)におけるMのリン化物を含むコート部を表面に有する。本発明におけるコート部は、正極活物質の表面に存在しているものであり、コート部とコート部より正極活物質の中心側にあるコア部とが界面を有しているものであってもよく、コート部とコア部とが界面を有さず、連続しているものであってもよい。また、コート部とコア部とが界面を有しているものである場合は、コート部およびコア部に含まれるそれぞれの成分が相互拡散しているものである場合が含まれる。
本発明においては、なかでも、コート部が、コート部とコア部とが界面を有さず、連続しているものであることが好ましい。
(1)コート部の成分
(a)Mのリン化物
本発明におけるコート部に含まれるMのリン化物は、正極活物質の組成に応じて適宜決定される。Mのリン化物としては、例えば、Tiのリン化物、Vのリン化物、Crのリン化物、Mnのリン化物、Feのリン化物、Coのリン化物、Niのリン化物、Cuのリン化物及びZnのリン化物等を挙げることができる。これらのMのリン化物は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。本発明においては、なかでもNiのリン化物であることが好ましい。Niのリン化物としては、例えば、NiP、NiP、NiP等を挙げることができ、特にNiPであることが好ましい。コート部がNiPを含む場合、後述する「B.リチウム二次電池用正極活物質の製造方法」の項で説明する製造方法により、良好に正極活物質の表面にコート部を形成することができるからである。
なお、上述した一般式(1)で表わされる正極活物質が、一般式(1)におけるMの単体を含むコート部を表面に有する場合も、本発明の正極活物質と同様の作用効果を奏すると考えられる。
コート部に含まれるMのリン化物の含有量としては、特に限定されないが、コート部におけるMのリン化物の割合が、60wt%以上、なかでも70wt%以上、特に80wt%以上であることが好ましい。
コート部に含まれるMのリン化物の含有量が少なすぎると、電解液の分解を十分に抑制することが困難となる可能性があるからである。
コート部に含まれるMのリン化物の含有量については、エネルギー分散型X線分析装置(TEM−EDX、またはSEM−EDX)を用いて測定することができる。
本発明においては、コート部に含まれるMのリン化物が粒子状であってもよい。
Mのリン化物の粒子の平均粒径としては、例えば、1nm〜1000nmの範囲内、なかでも1nm〜100nmの範囲内、特に1nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。
コート部中のMのリン化物の粒子については、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)または、走査型電子顕微鏡(SEM)とそれに付属するエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて確認することができる。
また、上記平均粒径の測定方法としては、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、Mのリン化物の粒子(n≧100)の粒径を測定し、その平均を求めることで算出する方法を挙げることができる。また、SEM−EDXを用いた場合、M及びPからなる化合物でNaを含まない粒子(n≧100)の粒径を測定し、その平均を求めることで算出する方法を挙げることができる。
(b)その他の成分
本発明におけるコート部は、上述したMのリン化物のみで構成されていてもよく、上述したMのリン化物以外の成分を含んで構成されていてもよい。以下、このような成分について説明する。
(i)炭素成分
本発明におけるコート部は、上述したMのリン化物に加えて、炭素成分を含むことがより好ましい。本発明の正極活物質の電子伝導性をより良好にすることができるからである。
コート部が炭素成分を含む場合、本発明の正極活物質は、後述する「B.ナトリウム電池用正極活物質の製造方法」の項で説明する製造方法により、製造されることが好ましい。
コート部が炭素成分を含む場合、Mのリン化物に対する炭素成分の割合としては、特に限定されないが、Mのリン化物100重量部に対して、炭素成分が1重量部以上、なかでも10重量部〜1000重量部の範囲内、特に50重量部〜100重量部の範囲内であることが好ましい。
上記炭素成分の含有量が多すぎると、イオン伝導性が低下する可能性があるからである。
(ii)その他の成分
本発明におけるコート部は、上述したMのリン化物、炭素成分以外にも、例えば、上記Mの単体を含んでいてもよい。Mの単体も、高い電子伝導性を示すことから、良好な電子伝導性を示す正極活物質とすることができる。
(2)コート部
本発明におけるコート部の平均厚さとしては、特に限定されないが、0.5nm〜100nmの範囲内、なかでも1nm〜50nmの範囲内、特に1nm〜10nmの範囲内であることが好ましい。
コート部の平均厚さが厚すぎるとイオン伝導性が低下する可能性があるからであり、コート部の平均厚さが薄すぎると電解液の分解に対する触媒作用を十分に低下できない可能性があるからである。コート部の平均厚さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察(例えば、n≧100)等により測定することができる。
ここで、図1(a)に示すように、コート部1とコア部2とが界面を有さず、連続している場合、コート部の厚さとは、Mのリン化物の含有量が60wt%以上である部分を厚さをいう。
コート部の形態としては、正極活物質の表面に存在していればよく、特に限定されないが、正極活物質のコア部を被覆していることが好ましい。コート部の被覆率としては、例えば、10%以上、なかでも30%以上、特に50%以上であることが好ましい。
また、コート部はコア部を全て被覆するものであってもよい。コート部の被覆率は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線光電子分光法(XPS)等を用いて測定することができる。
また、本発明の正極活物質においてMのリン化物が存在することは、例えばX線回折装置(XRD(X-ray diffraction))で測定し、正極活物質のメインピークとMのリン化物のピークとのピーク強度比を求めることで確認することができる。
例えば、本発明の正極活物質がNaNi(POであり、コート部がNiPである場合、CuKα線を用いてXRDで測定する場合について説明する。
ここで、NaNi(POは2θ=34.5°のピークを有し、NiPは2θ=41.8°のピークを有することから、本発明の正極活物質は、上述した2θ付近の位置にピークを有するものである。
本発明の正極活物質が上述した構成を有する場合、NaNi(POのピークである2θ=34.5°±0.2°のピークの回折強度をIとし、NiPのピークである2θ=41.8°±0.2°のピークの回折強度をIとした場合、I/Iが0.001以上0.1以下であることが好ましく、0.001以上0.05以下であることがより好ましく、0.005以上0.04以下であることがさらに好ましい。
上記値が小さすぎる場合は、正極活物質が、コート部を表面に有する場合も、電解液の分解を抑制することが困難となる可能性があるからである。
2.正極活物質
本発明のナトリウム電池用正極活物質は、下記一般式(1)で表わされることを特徴とするものである。
一般式(1)
Na(AO(P
(上記一般式(1)中、Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Aは、Al、Si、P、S、Ti、V及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、xは4≧x≧2を満たし、yは4≧y≧1を満たし、zは4≧z≧0を満たし、wは1≧w≧0を満たし、z及びwの少なくとも一方は1以上である。)
特許文献1に示すように、今回の発明に先立って、本発明者は、NaNi(PO(P)で表わされる化合物が、ナトリウム電池の正極活物質として使用可能であり、さらに、4.6V〜4.9Vのような超高電位域で作動することを見出している。しかも、4.6V〜4.9Vという電位域は、正極活物質と組み合わせて用いる電解液の分解が抑制できる電位域であるため、本発明の正極活物質を用いることで、長期間にわたって安定した電池特性を発現するナトリウム電池を得ることができる。また、本発明者は、NaMn(PO(P)で表わされる化合物、NaCo(PO(P)で表わされる化合物、NaCo(3−a)Mn(PO(P)で表わされる化合物、NaCo(3−b−c)MnNi(PO(P)で表わされる化合物も、それぞれ、ナトリウム電池の正極活物質として使用可能であり、4Vを超える高電位域で作動することを見出している。
その上、上記化合物で構成される正極活物質は、25℃という比較的低温域においても、高電位作動性を発現することができる。
上記一般式(1)Na(AO(Pで表わされる化合物は、上記NaNi(PO(P)等と同様、ナトリウム電池の正極活物質として、高電位域で作動することができる。その理由は次のように考えられる。
すなわち、一般式(1)において、Mは、電気化学的に活性な2価以上の遷移金属であり、Ni又はNiに近いイオン半径を有するものである。
また、一般式(1)において、Aは、P、又は、Pと同様、四面体構造をとりやすいものである。ここで四面体構造とは、4つの酸素原子を頂点とする四面体の空隙に、これら4つの酸素原子と共有結合した1つのAが入った構造である。
また、ポリアニオン部である(AO)及び(P)については、正極活物質における(AO)の組成比を表わすz及び(P)の組成比を表わすwの少なくとも一方が1以上であれば、(AO)及び(P)の少なくとも一方による、M−O結合に対するinductive効果により、得られる正極活物質は高電位域で作動すると考えられる。inductive効果とは、(AO)を構成するA−O結合及び(P)を構成するP−O結合の高い共有結合性により、M−O結合の電子がA−O結合及びP−O結合側に引っ張られ、M−O間の共有結合性が低下し、混性軌道のエネルギーギャップが小さくなる結果、Mの酸化還元準位が下がり、ナトリウムとのエネルギー差が大きくなって対ナトリウムの酸化還元電位が高くなる、というものである。
以下、本発明の正極活物質の構成について、詳しく説明する。
本発明の正極活物質において、上記Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属種であればよく、中でも、充電前の状態において、2価であることが好ましい。Mが、充電前の状態において2価である金属種の場合、充電時に3価以上の高酸化状態となることで、高電位で作動可能であるからである。
また、上記Mのうち、特に、Mn、Co、及びNiより成る群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。Mn、Co及びNiは、充電前の状態において2価であり、また、Mn及びCoは、Niと同様の結晶構造を形成しうるからである。尚、特許文献1においては、上記一般式(1)Na(AO(Pにおいて、上記Mが、Ni、Mn又はCoのいずれかであり、その他の構成(x、y、z、及びwの値、並びにA)が同じである場合、同じ結晶構造を有することが確認された。
尚、これらMn、Co、及びNiは、その一部が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnよりなる群から選ばれる、上記M(すなわち、Mn、Co、及びNiから選ばれる少なくとも1種)と異なる少なくとも1種で置換されていてもよい。
上記一般式(1)において上記MがNiである場合、高電子伝導性を有する正極活物質を得ることができる。これは、レドックス元素、すなわち、電子の授受を行う元素がNiである場合、充電時にNaイオンの脱離に伴い、一般的なオリビン型の結晶構造を有するNi複合酸化物では、Niイオンの価数が2価から3価に変化するのに対して、本発明の正極活物質では、Niイオンの価数が2価から3価より大きな価数(例えば、NaNi(PO(P)の場合、約3.3価)に変化し、より多くの電子が移動するためと考えられる。尚、Niは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。
また、上記一般式(1)において上記MがMnである場合、M=Niの場合と比較して、充放電時における結晶構造の可逆性と安定性が高く、また、作動電位が比較的低い正極活物質を得ることができる。作動電位が比較的低いことによって、電解液の分解劣化をより抑制することができる。このように、上記MがMnである場合、M=Niの場合と比較して、結晶構造の可逆性と安定性の向上及び電解液の劣化抑制により、高いサイクル特性を発現しうる。尚、Mnは、その一部が、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。
また、上記一般式(1)において上記MがCoである場合、M=Niの場合と比較して、充放電時における結晶構造の可逆性と安定性が高く、また、作動電位が比較的低い正極活物質を得ることができる。作動電位が比較的低いことによって、電解液の分解劣化をより抑制することができる。しかも、上記MがCoである場合、結晶構造の可逆性と安定性の向上及び電解液の劣化抑制の効果が加わり、正極活物質は大きな可逆容量を示しうる。このように、上記MがCoである場合、M=Niの場合と比較して、優れたサイクル特性及び容量特性を発現しうる。
尚、Coは、その一部が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu及びZnよりなる群から選ばれる、少なくとも1種で置換されていてもよい。
上記一般式(1)において上記MがCoである場合にCoの一部をMnで置換した場合、上記MがCoのみである場合と比較して、さらに優れた容量特性を発現しうる。これは、Co2+のサイトの一部をMn2+で置換することによって、置換されたMn2+がMn2+/3+だけでなく、Mn3+/4+まで電荷補償できるためと考えられる。尚、Co及びMnは、その一部が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnよりなる群から選ばれる、少なくとも1種で置換されていてもよい。
また、上記一般式(1)において上記MがCoである場合にCoの一部をMn及びNiで置換した場合、上記Mが、その一部がMnで置換されたCoである場合と比較して、さらに高い作動電位を示しうる。これは、置換されたMn2+がMn2+/3+だけでなく、Mn3+/4+まで電荷補償できると共に、Coと比較して高電位領域で電荷補償(Ni2+→Ni3+)が進行するNiでCoを置換するためと考えられる。尚、Co、Mn及びNiは、その一部が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnよりなる群から選ばれる、少なくとも1種で置換されていてもよい。
上記発明においては、上述したなかでも、特に、上記一般式(1)中、上記Mは、Niであることが好ましく、この場合、上述したコート部に含まれるMのリン化物がNiPであることが好ましい。
本発明の正極活物質において、上記Aは、Al、Si、P、S、Ti、V及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種であればよいが、Si、P及びSより成る群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。Si、P及びSは、特に4面体構造を形成しやすく、Si及びSは、Pと同様の結晶構造を形成しうるからである。中でも、上記AはPであることが好ましい。尚、これらSi、P及びSは、その一部が、Al、Si、P、S、Ti、V及びWより成る群から選ばれる、上記A(すなわち、Si、P及びSから選ばれる少なくとも1種)と異なる少なくとも1種で置換されていてもよい。
一般式(1)において、xは4≧x≧2を満たし、yは4≧y≧1を満たし、zは4≧z≧0を満たし、wは1≧w≧0を満たし、z及びwの少なくとも一方は1以上であればよい。
z及びwが共に1以上の場合、ポリアニオン部が、AO四面体と、AO四面体と1つの酸素を共有したPと、を含むため、M−O結合に対するinductive効果が高くなり、その結果、より高電位な正極活物質が得られるため好ましい。
本発明において、特に好ましい正極活物質の具体的なものとしては、NaNi(PO(P)で表わされる化合物が挙げられる。NaNi(PO(P)は、レドックス元素としてNiを含み、また、ポリアニオン部として、(PO)及び(P)を有していることから、上記したような高い電子伝導性を有すると共に、高いinductive効果による高電位作動性を有している。
さらに、NaNi(PO(P)は、空間群Pn2aに帰属する結晶構造を有している。図2〜図4に空間群Pn2aに帰属する結晶構造(NaNi(PO(P))を、a軸方向から見た図(図2)、b軸方向から見た図(図3)、及びc軸方向から見た図(図4)を示す。尚、図2〜図4では、NaNi(PO(P)を例に、空間群Pn2aに帰属する結晶構造を示したが、図2〜図4において、Niを上記Mのその他の金属種(例えば、CoやMn)に置き換えることによって、空間群Pn2aに帰属する結晶構造を有するその他の正極活物質の結晶構造が示される。
図2〜図4からわかるように、空間群Pn2aに帰属する結晶構造において、結晶構造中の全てのNaイオンが、a軸、b軸及びc軸のいずれかの方向に配列しており、Naイオンの移動性が非常に高い。すなわち、空間群Pn2aに帰属する結晶構造は、Naイオンの伝導に非常に有利であり、Naイオンの挿入・脱離がスムーズに進行する。
以上のような理由から、本発明の正極活物質は、空間群Pn2aに帰属する結晶構造を有することが好ましい。
また、空間群Pna2に帰属する結晶構造についても、空間群Pn2aに帰属する結晶構造と同様のNaイオンの配列を有することから好ましい。
正極活物質が上述した空間群Pn2aまたは空間群Pna2に帰属する結晶構造を有する場合、上記結晶構造を有する部分は、正極活物質のコア部に存在することが好ましい。
本発明において、特に好ましい正極活物質の具体的なものとしては、さらに、一般式NaMn(PO(P)で表わされる化合物、一般式NaCo(PO(P)で表わされる化合物、一般式NaCo(3−a)Mn(PO(P)で表わされる化合物、及び一般式NaCo(3−b−c)MnNi(PO(P)で表わされる化合物が挙げられる。これら化合物は、いずれも、図2〜図4に示される空間群Pn2aに帰属する結晶構造を有している。
レドックス元素(上記M)としてMnを含むNaMn(PO(P)は、既述したように、結晶構造の可逆性と安定性の向上及び電解液の劣化抑制により、高いサイクル特性を発現しうる。
また、レドックス元素(上記M)としてCoを含む一般式NaCo(PO(P)は、既述したように、結晶構造の可逆性と安定性の向上、電解液の劣化抑制、及び可逆容量増大により、優れたサイクル特性及び容量特性を発現しうる。
また、レドックス元素(上記M)としてCoを含み、上記Coの一部がMnで置換されている、NaCo(3−a)Mn(PO(P)は、既述したように、Mnによる電荷補償によって、NaCo(PO(P)と比較して、さらに優れた容量特性を発現しうる。
一般式NaCo(3−a)Mn(PO(P)において、Mnの置換量を表わすaは、3未満の数であればよいが、0.01≦a≦0.8の範囲内であることが好ましく、特に0.3≦a≦0.8の範囲であることが好ましく、中でもa=0.6であることが好ましい。
また、レドックス元素(上記M)としてCoを含み、上記Coの一部がMn及びNiで置換されている、NaCo(3−b−c)MnNi(PO(P)は、既述したように、Mnによる電荷補償効果に加えて、Niによる高い電位領域での電荷補償効果によって、NaCo(3−a)Mn(PO(P)と比較して、高い作動電位を発現しうる。
一般式NaCo(3−b−c)MnNi(PO(P)において、Mnの置換量を表わすb及びNiの置換量を表わすcは、その和(b+c)が3未満の数であればよいが、0.01≦b≦1.0且つ0.01≦c≦1.0の範囲内であることが好ましく、特に0.3≦b≦1.0且つ0.3≦c≦1.0の範囲であることが好ましい。
本発明の正極活物質の形状としては、例えば粒子状であってもよく、層状であってもよい。正極活物質が粒子状である場合は、本発明の正極活物質の平均粒径としては、例えば、10nm〜5μmの範囲内、なかでも50nm〜3μmの範囲内、特に100nm〜2μmの範囲内であることが好ましい。
平均粒子径が大きすぎるとイオン伝導性が低下する可能性があり、平均粒子径が小さすぎると、比表面積が大きくなる電解液との反応性が向上するため、放電容量維持率が低下する可能性があるためである。
なお、上記平均粒径の測定方法としては、例えば、SEM(走査型電子顕微鏡)観察により、正極活物質(n≧100)の粒径を測定し、その平均を求めることで算出する方法や、粒度分布測定により、正極活物質の平均粒径(d50)を測定する方法を挙げることができる。
3.正極活物質の製造方法
本発明の正極活物質の製造方法としては、上述した正極活物質を製造することができれば特に限定されず、例えば、後述する「B.ナトリウム電池用正極活物質の製造方法」の項で説明する製造方法を好適に用いることができる。
また、他の製造方法としては、上記一般式(1)で表わされる正極活物質の前駆体物質を準備し、上記前駆体物質の表面上にスパッタ法等の蒸着法を用いてMのリン化物を含むコート部を形成する方法を挙げることができる。この方法により、図1(b)に示すような正極活物質10を製造することができる。正極活物質の前駆体物質については、後述する「B.ナトリウム電池用正極活物質の製造方法」の項で説明する。
4.ナトリウム電池
本発明の正極活物質は、通常、ナトリウム電池の正極活物質に用いられる。
以下、本発明の正極活物質が用いられるナトリウム電池について図を用いて説明する。
図5はナトリウム電池の一例を示す概略断面図である。図5に示すように、ナトリウム電池20は、通常、負極21と正極22との間に電解質層23が介在するように配置された構造を有している。負極21は、負極活物質を含有する負極活物質層24と、負極活物質層24の集電を行う負極集電体25を有している。正極22は、正極活物質を含有する正極活物質層26と、正極活物質層26の集電を行う正極集電体27を有している。また、ナトリウム電池20は、通常、負極21、正極活物質層22、および電解質層23を収容する電池ケース28を有する。
以下、各構成について説明する。
負極は、ナトリウムイオンを放出および取り込み可能な負極活物質を含有する。負極は、通常、負極活物質を少なくとも含む負極活物質層を有し、必要に応じて、負極活物質層の集電を行う負極集電体をさらに備える。
負極活物質としては、例えば、ハードカーボン、ナトリウム金属、スズ等が挙げられる。
負極活物質層は、負極活物質のみを含有するものであってもよいが、負極活物質の他に結着剤、導電性材料、電解質等を含有するものであってもよい。例えば、負極活物質が板状、箔状等である場合は、負極活物質のみを含有する負極層とすることができる。一方、負極活物質が粉末状である場合は、負極活物質に加えて結着剤を含有する負極層とすることができる。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。導電性材料としては、例えば、カーボンブラック、活性炭、カーボン炭素繊維(例えばカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等)、グラファイト等の炭素材料等を挙げることができる。
正極は、ナトリウムイオンを放出および取り込み可能な正極活物質として本発明の正極活物質を含有する。正極は、通常、正極活物質を少なくとも含む正極活物質層を有し、必要に応じて、正極活物質層の集電を行う正極集電体をさらに備える。
負極活物質層と同様、正極活物質層は、正極活物質のみを含有するものであってもよいが、正極活物質の他に導電性材料や、結着剤、電解質、電極触媒等を含有するものであってもよい。正極活物質における導電性材料、結着剤については、負極活物質層と同様の材料を用いることができるため、ここでの説明は省略する。
負極活物質層及び正極活物質層は、例えば、各材料を含むスラリーを、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等の任意の塗布方法により塗布、乾燥し、必要に応じて、圧延することで電極活物質層を形成することができる。
正極集電体及び負極集電体としては、所望の電子伝導性を有し、且つ、電池内環境下においてナトリウムイオンと合金化反応を起こさない材料であれば、その材料、構造や形状に特に限定はない。
正極集電体の材料としては、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、銅等の金属材料、カーボンファイバー、カーボンペーパー等のカーボン材料、窒化チタン等の高電子伝導性セラミックス材料等が挙げられる。電池ケースが正極集電体としての機能を兼ね備えていてもよい。
負極集電体の材料としては、銅、ステンレス、ニッケル、アルミニウム等が挙げられる。電池ケースが負極集電体としての機能を有していてもよい。
正極集電体及び負極集電体の形状としては、例えば、板状、箔状、メッシュ状等が挙げられ、中でもメッシュ状が好ましい。
電解質層は、正極と負極との間のナトリウムイオンの伝導を可能とする電解質を少なくとも含有する。
電解質としては、ナトリウムイオン伝導性を有していればよく、例えば、電解液、電解液をポリマー等を用いてゲル化したゲル状電解質、固体電解質等が挙げられる。
ナトリウムイオン伝導性を有する電解液としては、例えば、ナトリウム塩を、水系溶媒又は非水溶媒に溶解した電解液が挙げられる。
非水溶媒としては、特に限定されず、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、及びフルオロエチレンカーボネート(FEC)等の環状カーボネート、γ−ブチロラクトン(GBL)等の環状エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、及びエチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネート等が挙げられる。これら非水溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、鎖状飽和炭化水素化合物の末端にCN基が結合したニトリル系化合物を、非水溶媒に混合して用いてもよい。ニトリル系化合物を非水溶媒系電解液に添加することで、本発明のナトリウム電池用正極活物質が作動するような高電位領域においても、分解しない安定な非水溶媒系電解液を得ることができる。
ナトリウム塩としては、特に限定されず、例えば、NaPF、NaBF、NaClO、NaCFSO、(CFSONNa、NaN(FSO)、NaC(CFSO等が挙げられる。これらナトリウム塩は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。高電位領域においても安定なNaPFが特に好ましい。
非水電解液において、ナトリウム塩の濃度は特に限定されない。
非水系電解液は、ポリマーを添加してゲル化して用いることもできる。非水電解液のゲル化の方法としては、例えば、非水系電解液に、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)またはポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリマーを添加する方法が挙げられる。
電解質として電解液を用いる場合、正極と負極との間に、絶縁性多孔質体であるセパレータを配置し、上記セパレータに電解液を含浸させることで、正極と負極との絶縁を確保することができる。セパレータとしては、例えばポリエチレン多孔膜、ポリプロピレン多孔膜等の多孔膜;および樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等を挙げることができる。
負極、電解質層及び正極を収容する電池ケースとしては、例えば、コイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等の一般的な形状を有するものを用いることができる。
正極、電解質層、負極の順番で配置されている積層体を、繰り返し何層も重ねる構造を取る電池の場合には、安全性の観点から、正極および負極の間に、絶縁性材料からなるセパレータを備えることができる。このようなセパレータとしては、例えばポリエチレン多孔膜、ポリプロピレン多孔膜等の多孔膜;および樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等を挙げることができる。
また、各電極の集電体には、それぞれ、外部との接続部となる端子を設けることができる。
ナトリウム電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、二次電池であることが好ましい。
B.ナトリウム電池用正極活物質の製造方法
本発明のナトリウム電池用正極活物質の製造方法について図を用いて説明する。
図6は、本発明のナトリウム電池用正極活物質の製造方法の一例を示す工程図である。本発明のナトリウム電池用正極活物質の製造方法は、図6に示すように、上述の正極活物質10を製造する方法であって、上記一般式(1)で表わされる前駆体物質を還元剤とともに焼成することにより、Mのリン化物を含むコート部1を形成する還元工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、上記還元工程を有することにより、上述のナトリウム電池用正極活物質を製造することができる。
以下、本発明の正極活物質の製造方法について説明する。
1.還元工程
本発明における還元工程は、上記一般式(1)で表わされる前駆体物質を還元剤とともに焼成することによりコート部を形成する工程である。
本工程においては、前駆体物質を還元剤とともに焼成することにより、前駆体物質の表面に存在するMを還元してMのリン化物とすることができ、コート部を形成することができる。
(1)前駆体物質
本発明に用いられる前駆体物質は、上述した一般式(1)で表わされるものである。前駆体物質は、コート部を有さないこと以外は、上述した「A.ナトリウム電池用正極活物質」の項で説明した正極活物質と同様の構成を有するものである。また、このような前駆体物質は、特許文献1におけるナトリウム電池用正極活物質と同様である。
上記前駆体物質の形成方法としては、特に限定されず、例えば、少なくとも、Na含有化合物、上記Mを含むM含有化合物、上記Aを含むA含有化合物、及び、P含有化合物を含む原料混合物を、大気雰囲気下、150℃〜500℃の範囲内で焼成する仮焼成工程と、上記仮焼成後、得られた仮焼成物を、大気雰囲気下、500℃〜800℃の範囲内で焼成する本焼成工程と、を含む形成方法を好適に用いることができる。
上述した前駆体物質の形成方法の詳細については、特許文献1に記載されたナトリウム電池用正極活物質の製造方法の項目に記載された内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(2)還元剤
本発明に用いられる還元剤としては、上記前駆体物質の表面に存在するMを還元することができれば特に限定されず、有機物の還元剤であってもよく、無機物の還元剤であってもよいが、有機物の還元剤であることがより好ましい。前駆体物質とともに有機物の還元剤を焼成し、有機物を炭化させることにより炭素成分を含むコート部を形成することができるからである。
有機物の還元剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールや、あるいはアスコルビン酸、エチレングリコール、グルタチオン、有機酸類(クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等)、還元性糖類(グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラフィノース、スタキオース等)、および糖アルコール類(ソルビトール等)等を挙げることができる。
一方、無機物の還元剤としては、例えば、一酸化炭素、カーボン材料等を挙げることができる。
前駆体物質と還元剤との比率(mol比)としては、前駆体物質の表面に存在するMを還元してMのリン化物を生成させることができる程度であれば特に限定されない。
例えば、還元剤が有機物の還元剤である場合、前駆体物質と還元剤との比率(mol比)としては、Mが1molに対して、有機物の還元剤に含まれる炭素が10mmol〜50molの範囲内、なかでも100mmol〜50molの範囲内、特に300mmol〜20molの範囲内であることが好ましい。
また、例えば、有機物の還元剤がスクロース等の二糖類である場合、前駆体物質と還元剤との比率(重量比)としては、前駆体物質の重量1gに対して、還元剤が1mg〜1gの範囲内、なかでも10mg〜1gの範囲内、特に10mg〜0.5gの範囲内であることが好ましい。
前駆体物質に対する還元剤の比率が少ないと、コート部を形成することが困難となる可能性があるからであり、上記還元剤の比率が多いと、本発明の正極活物質の組成を制御することが困難となる可能性があるからである。
(3)還元工程
本工程において、上述した前駆体物質および還元剤を焼成する雰囲気としては、通常、不活性ガス雰囲気で行なわれる。
本工程における前駆体物質および還元剤の焼成温度としては、特に限定されないが、例えば、450℃〜800℃の範囲内、なかでも500℃〜750℃の範囲内、特に550℃〜700℃の範囲内であることが好ましい。上記焼成温度が低いと、還元反応が十分に進行しない可能性があるからである。また、上記焼成温度が高いと、得られる正極活物質が変質する可能性があるからである。
2.その他の工程
本発明の正極活物質の製造方法は、上述した還元工程以外にも必要な工程を適宜選択して追加することができる。例えば、上述した前駆体物質を形成する工程等を有することができる。
3.正極活物質
本発明の正極活物質の製造方法により製造される正極活物質については、上述した「A.ナトリウム電池用正極活物質」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例]
(前駆体物質の合成)
出発原料として、Na(Na含有化合物かつP含有化合物)、(CHCOO)Ni(Ni含有化合物)、およびNHPO(P含有化合物)を用いた。これらの出発原料をNa:Ni:P=4:3:4(mol比)となるように秤量し、グリコール酸(ゲル化剤)とともに、硝酸水溶液(酸性溶液)中に溶解し、80℃で攪拌した。
得られたゲルを回収し、大気雰囲気下700℃で50時間焼成することにより、前駆体物質の粉末を得た。
(正極活物質の合成)
得られた粉末1.19gとスクロース0.166gとを秤量して混合した。得られた混合物を、Ar雰囲気下で700℃で5時間焼成することにより、正極活物質を得た。
(正極の作製)
正極材料として、上述の正極活物質、炭素(導電助剤)、およびPVdF(結着材)を用いた。これらの正極材料を、上記正極活物質:炭素(導電助剤):PVdF(結着材)=87:8:5(重量比)となるように秤量し、N−メチル−2−ピロドリン(NMP)(分散剤)と混合してスラリーを形成した。上記スラリーをアルミニウム箔(集電体)上に塗布して乾燥、圧延することにより正極を得た。
[比較例]
(正極活物質NaNi(POの合成)
出発原料として、Na(Na含有化合物かつP含有化合物)、(CHCOO)Ni(Ni含有化合物)、およびNHPO(P含有化合物)を用いた。これらの出発原料をNa:Ni:P=4:3:4(mol比)となるように秤量し、グリコール酸(ゲル化剤)とともに、硝酸水溶液(酸性溶液)中に溶解し、80℃で攪拌した。
得られたゲルを回収し、大気雰囲気下700℃で50時間焼成することにより、正極活物質を得た。
(正極の作製)
正極材料として、上述の正極活物質、炭素(導電助剤)、およびPVdF(結着材)を用いた。上記正極材料を、上記正極活物質:炭素(導電助剤):PVdF(結着材)=75:20:5(重量比)となるように秤量し、N−メチル−2−ピロドリン(NMP)(分散剤)と混合してスラリーを形成した。得られたスラリーをアルミニウム箔(集電体)上に塗布して乾燥、圧延することにより正極を得た。
[評価]
(結晶構造解析)
実施例および比較例の正極をX線解析装置(XRD)で分析した。結果を図7に示す。図7(a)は正極(電極)における5°〜95°の範囲内のXRDパターンであり、図7(b)は図7(a)における41.6°〜41.9°の範囲内の拡大図である。
Al箔に帰属されるピークが65.1°および78.3°付近に認められる。測定上ピーク位置がずれる場合は、比較例を実施例におけるそれらのピーク位置に合うように補正した上で実施例と比較した。
図7(b)に示すように、実施例ではスクロースとの反応生成物NiPの(231)面に帰属されるピークが認められた。
(充放電特性の測定)
<測定セルの作製>
上述した正極と、Na金属(負極)と、非水溶媒系電解液と、セパレータを用いてコイン型の測定セルを作製した。
非水溶媒系電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを1:1(体積比)で混合した混合溶媒に、ナトリウム塩(NaPF)を添加して、ナトリウム塩濃度が1.0重量部dm−3となるように調製したものを用いた。
セパレータには、ポリプロピレン(PP)製多孔質膜、ポリエチレン(PE)製多孔質膜、およびポリプロピレン(PP)製多孔質膜がこの順で積層した微多孔質膜を用いた。
<充放電特性の測定>
充放電試験は、上限5.1V、下限3.0Vとし電流密度34mAg−1(0.2C)、25℃で50サイクルとした。
また、1Cを理論容量170mAhg−1を1時間で充放電できる電流密度と定義した。
また、実施例の測定セルに高電流密度(170mAhg−1、1Cレート)印加時の高率放電特性を測定した。
図8は、実施例および比較例の測定セルの1サイクル目の充放電曲線を示すグラフである。図8に示すように、スクロースによる還元作用で生成したNiPの効果により、初回放電容量(1サイクル目の放電容量)および初回充放電効率(1サイクル目の充放電効率)が飛躍的に改善した。
また、サイクル特性(50サイクル後の放電容量維持率)についても比較例に比べて実施例の測定セルでは改善することができた。
図9は、実施例の測定セルに高電流密度(170mAhg−1、1Cレート)印加したときの充放電曲線を示すグラフである。
車載用電源として適用するためには、厳しい出入力の要求に応えるため、高率放電特性も必要である。実施例では、1Cレートで評価時も高電圧を維持しており、低レート(0.2C)で充放電時と比較しても90%程度の容量が得られた。以上の結果を表1および表2に示す。
表2中の高率放電特性は、高率放電特性(%)=(1Cでの放電容量)/(0.2Cでの放電容量)×100として求めた値である。
1 … コート部
10 … ナトリウム電池用正極活物質

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表わされるナトリウム電池用正極活物質であって、
    前記一般式(1)におけるMのリン化物を含むコート部を表面に有することを特徴とするナトリウム電池用正極活物質。
    一般式(1)
    Na(AO(P
    (前記一般式(1)中、Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Aは、Al、Si、P、S、Ti、V及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、xは4≧x≧2を満たし、yは4≧y≧1を満たし、zは4≧z≧0を満たし、wは1≧w≧0を満たし、z及びwの少なくとも一方は1以上である。)
  2. 前記一般式(1)中、前記Mは、Niであり、前記Mのリン化物がNiPであることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム電池用正極活物質。
  3. 請求項1または請求項2に記載のナトリウム電池用正極活物質を製造するナトリウム電池用正極活物質の製造方法であって、
    前記一般式(1)で表わされる前駆体物質を還元剤とともに焼成することにより前記Mのリン化物を含むコート部を形成する還元工程
    を有することを特徴とするナトリウム電池用正極活物質の製造方法。
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