JP2015014788A - 測距装置、撮像装置及び測距装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】撮影条件によって測距用画像信号が劣化し測距精度が低下することを防止する。
【解決手段】第一および第二の瞳領域を通過した光束を受光する複数の光電変換部を備えた測距画素と、前記測距画素中の複数の光電変換部によって共有される読出し部と、を備え、一方の光電変換部に蓄積された信号電荷を第一の信号として出力し、第一の信号に加えて他方の光電変換部に蓄積された信号電荷を上乗せした第二の信号を出力し、ノイズ低減処理後の第一および第二の信号の差分により他方の光電変換部に蓄積された信号電荷を取得する測距装置において、被写体からの光束が前記撮像光学系に入射してから前記光電変換部に達するまでの透過効率が高い方の光電変換部の信号電荷を先に読み出す。
【選択図】図4
Description
本発明は、被写体の距離を測定する測距装置に関し、特に撮像装置などに用いられる測距装置に関するものである。
デジタルスチルカメラやビデオカメラにおいて、撮像素子の一部あるいは全部の画素に測距機能を有する測距画素を配置し、位相差方式で距離を検出するようにした固体撮像素子が提案されている(特許文献1)。測距画素は、複数の光電変換部を有している。複数の光電変換部は、画素内のマイクロレンズを介してカメラレンズの射出瞳と光学的に略共役な位置に配置されている。これにより、カメラレンズの瞳上の異なる領域を通過した光束がそれぞれの光電変換部に導かれるように構成される。各測距画素に配置された複数の光電変換部で得た信号により、異なる瞳領域を通過した光束で生成される光像(以後、測距用画像と呼ぶ)を取得する。2つの測距用画像のズレ量を基に、三角測量の原理を用いてデフォーカス量を算出し、距離を測定することができる。また、ひとつの画素内の複数の光電変換部の出力を合算することにより、撮像信号を得ることができる。
さらに、信号取得を高速化するために、複数の光電変換部で読出し部を共有し、複数の光電変換部の出力を加算して読み出す方法が知られている。例えば、2つの光電変換部で読出し部を共有し、第一の光電変換部の出力を増幅素子に転送し読み出した後、第二の光電変換部の出力を増幅素子に転送し、両方の光電変換部の出力和を読み出す方法が知られている(特許文献2)。第二の光電変換部の出力は、両方の光電変換部の出力和から、第一の光電変換部の出力を減算することにより求める。これにより、各々の光電変換部の出力を別々に増幅素子に転送し読み出す方法に比べ、増幅素子のリセット動作の回数を減らせるため、高速に読出し動作が行える。
しかしながら、特許文献2の手法では、撮影条件によっては撮像素子面内で測距精度が
低下する領域があるという問題が有った。
低下する領域があるという問題が有った。
一般に、ズームやフォーカス状態により、カメラレンズの射出瞳位置は変化する。一方、画素内のマイクロレンズと光電変換部の位置関係は固定である。よって、撮影条件によっては、光電変換部と射出瞳は共役関係から外れる場合がある。共役関係から外れると、撮像素子内の各測距画素の位置に応じて、測距画素の各光電変換部で受光する光束が通過する瞳上の領域は異なる。各測距画素で受光する光束の瞳上での面積が小さくなると、検出される測距用画像の明るさが低下する。よって、撮像素子内の各測距画素の位置に応じて、測距画素内の各光電変換部で検出する画像の光量は異なる。
一方、単独で光電変換部出力を読み出す場合に比べ、減算により光電変換部出力を求める場合は、ランダムノイズの乗り方が異なるため、出力信号(測距用画像信号)のSN比が低い。
撮像素子内の測距画素の位置に応じて検出光量が異なるにも関わらず、従来は、常に測距画素内で同じ位置関係の光電変換部の出力信号を単独で読み出していた。このため、検出光量が小さい側の光電変換部と、読出し方法によりSN比が低くなる側の光電変換部(減算により出力を求める光電変換部)とが一致する場合が有り、この光電変換部の出力による測距用画像信号はSN比の低下幅が増大する。測距用画像信号のSN比が低下すると、像ずれ量の読取誤差が大きくなり、測距精度が低下する。検出光量は撮像素子内の各測距画素の位置によるため、撮像素子面内で測距精度が低い領域が存在する。
なお、光電変換部とカメラレンズの射出瞳の共役関係が保持されている場合においても、レンズ枠での光束けられ、いわゆる口径食が有る場合は、撮像素子内の測距画素の位置によって検出光量は異なる。カメラレンズの絞り径や上述の撮影条件によって、光量変化は増大し、さらに測距精度が低下する。
上記の課題を考慮して、本発明は、撮影条件によらず、撮像素子全域で高精度な測距が可能な測距装置を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様は、撮像光学系と、
前記撮像光学系の第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と、前記撮像光学系の第一の瞳領域とは異なる第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と、を備えた測距画素を含む撮像素子と、
前記測距画素中の複数の光電変換部によって共有される読出し部と、
を備えた測距装置であって、
前記複数の光電変換部のうち、第一の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記読出し部に転送し第一の光電変換部に蓄積された信号電荷に対応した第一の信号を出力し、
前記第一の信号に加え、第二の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記読出し部に転送し上乗せした第二の信号を出力し、
前記第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と前記第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部のうち、被写体からの光束が前記撮像光学系に入射してから前記光電変換部に達するまでの透過効率が高い側の光電変換部が前記第一の光電変換部であり、
前記第一の信号から生成した画像信号に対してノイズ低減処理をした第一の画像信号と、前記第二の信号から生成した画像信号に対してノイズ低減処理をした第二の画像信号を生成し、
前記第二の画像信号から前記第一の画像信号を減ずることにより、前記第二の光電変換部に蓄積された信号電荷に対応する第三の画像信号を生成し、前記第一の画像信号と前記第三の画像信号からそれぞれ生成した視差画像の像ずれ量から被写体の距離を測定する、
ことを特徴とする測距装置である。
前記撮像光学系の第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と、前記撮像光学系の第一の瞳領域とは異なる第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と、を備えた測距画素を含む撮像素子と、
前記測距画素中の複数の光電変換部によって共有される読出し部と、
を備えた測距装置であって、
前記複数の光電変換部のうち、第一の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記読出し部に転送し第一の光電変換部に蓄積された信号電荷に対応した第一の信号を出力し、
前記第一の信号に加え、第二の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記読出し部に転送し上乗せした第二の信号を出力し、
前記第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と前記第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部のうち、被写体からの光束が前記撮像光学系に入射してから前記光電変換部に達するまでの透過効率が高い側の光電変換部が前記第一の光電変換部であり、
前記第一の信号から生成した画像信号に対してノイズ低減処理をした第一の画像信号と、前記第二の信号から生成した画像信号に対してノイズ低減処理をした第二の画像信号を生成し、
前記第二の画像信号から前記第一の画像信号を減ずることにより、前記第二の光電変換部に蓄積された信号電荷に対応する第三の画像信号を生成し、前記第一の画像信号と前記第三の画像信号からそれぞれ生成した視差画像の像ずれ量から被写体の距離を測定する、
ことを特徴とする測距装置である。
本発明の第二の態様は、
本発明の第二の態様は、上述の測距装置を備え、前記第二の信号をもとに被写体像を取得することを特徴とする撮像装置である。
本発明の第二の態様は、上述の測距装置を備え、前記第二の信号をもとに被写体像を取得することを特徴とする撮像装置である。
本発明の第三の態様は、
撮像光学系と、
前記撮像光学系の第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と、前記撮像光学系の第一の瞳領域とは異なる第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と、を備えた測距画素を含む撮像素子と、
前記測距画素中の複数の光電変換部によって共有される読出し部と、
を備える測距装置の制御方法であって、
前記第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と前記第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部のうち、被写体からの光束が前記撮像光学系に入射してから前記光電変換部に達するまでの透過効率が高い側の光電変換部を前記第一の光電変換部であると決定するステップと、
前記複数の光電変換部のうち、第一の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記読出し部に転送し第一の光電変換部に蓄積された信号電荷に対応した第一の信号を出力するステップと、
前記第一の信号に加え、第二の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記読出し部に転送し上乗せした第二の信号を出力するステップと、
前記第一の信号から生成した画像信号に対してノイズ低減処理を施して第一の画像信号を出力するステップと、
前記第二の信号から生成した画像信号に対してノイズ低減処理を施して第二の画像信号を出力するステップと、
前記第二の画像信号から前記第一の画像信号を減ずることにより、前記第二の光電変換部に蓄積された信号電荷に対応する第三の画像信号を生成するステップと、
前記第一の画像信号と前記第三の画像信号からそれぞれ生成した視差画像の像ずれ量から被写体の距離を測定するステップと、
を含むことを特徴とする測距装置の制御方法である。
撮像光学系と、
前記撮像光学系の第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と、前記撮像光学系の第一の瞳領域とは異なる第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と、を備えた測距画素を含む撮像素子と、
前記測距画素中の複数の光電変換部によって共有される読出し部と、
を備える測距装置の制御方法であって、
前記第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と前記第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部のうち、被写体からの光束が前記撮像光学系に入射してから前記光電変換部に達するまでの透過効率が高い側の光電変換部を前記第一の光電変換部であると決定するステップと、
前記複数の光電変換部のうち、第一の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記読出し部に転送し第一の光電変換部に蓄積された信号電荷に対応した第一の信号を出力するステップと、
前記第一の信号に加え、第二の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記読出し部に転送し上乗せした第二の信号を出力するステップと、
前記第一の信号から生成した画像信号に対してノイズ低減処理を施して第一の画像信号を出力するステップと、
前記第二の信号から生成した画像信号に対してノイズ低減処理を施して第二の画像信号を出力するステップと、
前記第二の画像信号から前記第一の画像信号を減ずることにより、前記第二の光電変換部に蓄積された信号電荷に対応する第三の画像信号を生成するステップと、
前記第一の画像信号と前記第三の画像信号からそれぞれ生成した視差画像の像ずれ量から被写体の距離を測定するステップと、
を含むことを特徴とする測距装置の制御方法である。
本発明によれば、撮影条件によらず、撮像素子全域で高精度な測距ができる。特に暗い被写体の距離を高精度に測定できる。
以下、図を用いて、本発明の実施形態における測距装置について説明する。その際、全ての図において同一の機能を有するものは同一の数字を付け、その繰り返しの説明は省略する。
(実施例1)
本実施例における測距装置を有するデジタルカメラ100(撮像装置)の構成例を図1に示す。図1(a)において、デジタルカメラ100は、撮影レンズ101、撮像素子103、制御部104から構成される。撮像素子103は撮影レンズ101の光軸102上に配置され、撮影レンズ101は撮像素子103上に被写体の像を結像する。105は、撮影レンズ101の射出瞳である。
本実施例における測距装置を有するデジタルカメラ100(撮像装置)の構成例を図1に示す。図1(a)において、デジタルカメラ100は、撮影レンズ101、撮像素子103、制御部104から構成される。撮像素子103は撮影レンズ101の光軸102上に配置され、撮影レンズ101は撮像素子103上に被写体の像を結像する。105は、撮影レンズ101の射出瞳である。
図2は撮像素子103に含まれる測距画素110の要部断面図である。図2(a)に示すように、測距画素110は、マイクロレンズ113、カラーフィルタ114、配線部115、シリコン基板116内に形成された光電変換部111および112から構成される。マイクロレンズ113から入射した光はカラーフィルタ114を通り、画素間に配置さ
れた配線部115の間を通り、光電変換部111および112に入射する。光電変換部111および112に入射した光は、光電変換され入射光強度に応じて信号電荷を発生させる。発生された信号電荷は、光電変換部111および112に蓄積される。
れた配線部115の間を通り、光電変換部111および112に入射する。光電変換部111および112に入射した光は、光電変換され入射光強度に応じて信号電荷を発生させる。発生された信号電荷は、光電変換部111および112に蓄積される。
図2(b)に示すように、光電変換部111に蓄積された信号電荷は、ゲート117を介して増幅読出し部119に転送し出力される。また、光電変換部112に蓄積された信号電荷は、ゲート118を介して増幅読出し部119に転送し出力される。増幅読出し部119は、光電変換部11および112のいずれの信号電荷も読み出せる。すなわち、1つの画素において、1つの増幅読出し部119が、2つの光電変換部111および112によって共有されている。
制御部104は、ASIC、マイクロプロセッサやメモリなどから構成され、例えばマイクロプロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することで、光電変換部からの信号電荷読出しを含む測距動作を制御する。以下、制御部104が行う信号読出し方法について、光電変換部111に蓄積された信号電荷に対応した信号を先に出力させる場合を例に信号読出し方法を説明する。制御部104は、読出し部119をリセット後、ゲート117をオープンにし、光電変換部111に蓄積された信号電荷を増幅読出し部119(読出し部)に転送する。転送完了後、光電変換部111に蓄積された信号電荷に対応する信号(第一の信号)を出力してメモリに記憶する。
次に、制御部104は、ゲート118をオープンにし、光電変換部112に蓄積された信号電荷を増幅読出し部119(読出し部)に転送する。転送完了後、第一の信号に加えて、光電変換部112から転送した信号電荷を上乗せした信号(第二の信号)を出力しメモリに記憶する。
なお、増幅読出し部のリセット時に発生するkTCノイズを除去するために、相関二重サンプリングなどの公知のノイズ除去動作を行っても良い。より詳細には、ゲート117をオープンする前に、増幅読出し部からリセットレベル信号を出力して記憶し、その後の動作で読み出した信号からリセットレベルを減じて、それぞれの信号としても良い。
次に、制御部104は、複数の測距画素110の第一の信号から画像信号を生成し、この画像信号にノイズ低減処理を施した画像信号(第一の画像信号)を生成する。また、制御部104は、複数の測距画素110の第二の信号から画像信号を生成するし、この画像信号にノイズ低減処理を施した画像信号(第二の画像信号)を生成する。さらに制御部104は、第二の画像信号から第一の画像信号を減じることで、複数の測距画素110の光電変換部112に蓄積された信号電荷に対応する画像信号(第三の画像信号)を生成する。
以下では、信号電荷を先に読み出す方の光電変換部(上記の例では光電変換部111)を第一の光電変換部と称する。また、信号電荷を後から読み出す方の光電変換部(上記の例では光電変換部112)を第二の光電変換部と称する。
撮像素子103に含まれる全ての測距画素110の光電変換部111および112は、各測距画素110のマイクロレンズ113によって、撮影レンズ101の射出瞳105と光学的に共役な関係になっている。この時、図3に示すように、光電変換部111と光電変換部112の各中心点を結ぶ線分の中点が、撮影レンズ101の射出瞳105の中心点と光学的に一致するようにしている。図3において、光軸120は、撮像素子103中の各測距画素110における光電変換部111と光電変換部112の各中心点を結ぶ線分の中点と、各測距画素110のマイクロレンズ113の中心点を通る線分である。各測距画素110の光軸120は、全て射出瞳105の中心点を通る。
以上の配置により、光電変換部111は、射出瞳105の中心点から片側に偏心した領域(第一の瞳領域)を通過した光束を受光する。また、光電変換部112は、射出瞳105の中心点から第一の瞳領域とは反対側に偏心した領域(第二の瞳領域)を通過した光束を受光する。制御部104は、撮像素子103内の複数の測距画素110の光電変換部111の出力信号(第一の信号)にノイズ低減処理を施して、第一の瞳領域を通過した光束による被写体像(第一の画像信号)を取得する。また、制御部104は、複数の測距画素110の光電変換部111および112の出力信号(第二の信号)にノイズ低減処理を施した第二の画像信号と第一の画像信号の差分により、第二の瞳領域を通過した光束による被写体像(第三の画像信号)を取得する。第一の瞳領域と第二の瞳領域は位置が異なるため、取得した2つの被写体像は視差を持つ。よって、2つの被写体像の位置ずれ量を求めることにより、三角測量の原理を用いて、被写体までの距離を求めることができる。
また、第二の信号は、光電変換部111および光電変換部112に蓄積された信号電荷の和である。制御部104は、第二の信号をもとに、第一の瞳領域と第二の瞳領域の和である瞳領域、つまり射出瞳105の全領域を通過した光束による被写体像(第二の画像信号)を取得する。
本実施例にかかるデジタルカメラ100では、撮像素子103の面内での測距画素110の位置に応じて、先に信号電荷を読出し部109に転送する光電変換部(第一の光電変換部)が異なるようにしている。図4は撮像素子103の要部上面図である。図に示すように、撮像素子103は複数の測距画素110が2次元的に配列されて構成される。測距画素110のそれぞれは光電変換部111および光電変換部112から構成される。光電変換部111および112は全ての測距画素110において同じ方向に並置される。光電変換部111は1つの測距画素110内でx軸負方向側に配置され、光電変換部112はx軸正方向側に配置される。なお、光電変換部111および112の中心点を結ぶ直線(x軸)は、光電変換部111が受光する光束が通過する瞳領域(第一の瞳領域)と光電変換部112が受光する光束が通過する瞳領域(第二の瞳領域)の重心点を結ぶ直線が延びる方向と平行となる。
以下では説明の便宜上、図4におけるx軸正方向を右方向、x軸負方向を左方向とも称する。したがって、光電変換部111は測距画素110内の左側に配置され、光電変換部112は測距画素内の右側に配置される、と表現できる。また、光電変換部111は、射出瞳105の中心点から右側に偏心した領域(第一の瞳領域)を通過した光束を受光し、光電変換部112は、射出瞳105の中心点から左側に偏心した領域(第二の瞳領域)を通過した光束を受光する、と表現できる。
図4において、網掛けを施した光電変換部は、信号が先に読み出される光電変換部(第一の光電変換部)である。光電変換部111および112のうちどちらの信号を先に読み出すかは、撮像素子領域1032(第一の撮像素子領域)と撮像素子領域1033(第二の撮像素子領域)とで異なる。
撮像素子領域1032と撮像素子領域1033は、線分1031を境界線として挟んで並置される。線分1031は、撮像素子103の中心を通り、1画素内の光電変換部111の中心点と光電変換部112の中心点を結ぶ方向に垂直な線分である。換言すると、線分1031は、第一の瞳領域の重心点と第二の瞳領域の重心点を通る直線が延びる方向を第一の方向として、前記撮像素子の中心を通り第一の方向に対応する該撮像素子上の方向に垂直な線分である。
撮像素子領域1032(第一の撮像素子領域)では、測距画素110において光電変換
部111の信号を先に読み出す。すなわち、線分1031の左側にある撮像素子領域1032では、右側に偏心した瞳領域(第一の瞳領域)を通過した光束を受光する光電変換部111が、第一の光電変換部である。そして、左側に偏心した瞳領域(第二の瞳領域)を通過した光束を受光する光電変換部112が、第二の光電変換部である。
部111の信号を先に読み出す。すなわち、線分1031の左側にある撮像素子領域1032では、右側に偏心した瞳領域(第一の瞳領域)を通過した光束を受光する光電変換部111が、第一の光電変換部である。そして、左側に偏心した瞳領域(第二の瞳領域)を通過した光束を受光する光電変換部112が、第二の光電変換部である。
一方、撮像素子領域1033(第二の撮像素子領域)では、測距画素110において光電変換部112の信号を先に読み出す。すなわち、線分1031の右側にある撮像素子領域1033では、左側に偏心した瞳領域(第二の瞳領域)を通過した光束を受光する光電変換部112が、第一の光電変換部である。そして、右側に偏心した瞳領域(第一の瞳領域)を通過した光束を受光する光電変換部111が第二の光電変換部である。
以上の構成により、高いSN比で測距用画像信号が得られる理由を図5を用いて説明する。図5(a)は、撮像素子103の中心付近に配置された測距画素110における光電変換部112に対応する射出瞳105上での瞳透過率分布を表わし、左偏心瞳領域(第二の瞳領域)に対応する。図において、黒いほど透過率が高く、白いほど透過率が低いことを表す。同様に図5(b)は撮像素子103の中心付近に配置された測距画素110における光電変換部111に対応する射出瞳105上での瞳透過率分布を表わし、右偏心瞳領域(第一の瞳領域)に対応する。図5(c)はx軸断面における透過率分布を表わしたもので、横軸がx軸座標、縦軸が透過率である。実線が光電変換部112に対応する透過率分布(左偏心瞳領域に対応)、点線が光電変換部111に対応する透過率分布(右偏心瞳領域に対応)である。瞳透過率分布は、光電変換部、マイクロレンズと射出瞳の位置関係およびマイクロレンズの収差、回折、撮像素子の入射面から光電変換部に至る光路中の光散乱、吸収などの光伝播状態により決まる。よって、被写体からの光束が撮像光学系に入射してから測距画素110における光電変換部111,112に達するまでの透過効率は、異なる。
被写体からの光束が撮像光学系に入射してから光電変換部に達するまでのそれぞれの瞳領域における透過効率は、図5(a)および(b)に示した射出瞳105内の透過率分布を積分した値である。撮像素子103の中心付近に配置された測距画素110においては、右偏心瞳領域の透過効率および左偏心瞳領域の透過効率は略同じである。よって、各瞳領域を通過した光束による被写体像信号の大きさは略同じである。このため、どちらの光電変換部の信号電荷を先に読出し部に転送しても良い。
図5(d)は撮像素子領域1032の測距画素110における光電変換部112に対応する射出瞳105上での瞳透過率分布を表わし、左偏心瞳領域(第二の瞳領域)に対応する。図5(e)は撮像素子領域1032の測距画素110における光電変換部111に対応する射出瞳105上での瞳透過率分布を表わし、右偏心瞳領域(第一の瞳領域)に対応する。図5(f)はx軸断面における透過率分布を表わしたものである。一般に、周辺像高では、撮像レンズの小型化の要請からレンズ枠で光束がけられるいわゆる口径食が発生し、絞り内を通過した光束が全て撮像素子に導かれることはない。瞳上で片側から口径食が発生するため、元の透過率分布の形状に応じて、透過効率の変化量が異なる。図5(d)に示すように、口径食が発生する領域105aが、元の透過率が高い領域と一致する場合は透過効率の低下量が大きい。一方、図5(e)に示すように、口径食が発生する領域105aが、元の透過率が低い領域と一致する場合は透過効率の低下量は小さい。よって、撮像素子領域1032の測距画素110においては、右偏心瞳領域の透過効率は左偏心瞳領域の透過効率より高い値になる。つまり、右偏心瞳領域を通過した光束による像信号は、左偏心瞳領域を通過した光束による像信号よりも大きくなる。
図5(g)は撮像素子領域1033の測距画素110における光電変換部112に対応する射出瞳105上での瞳透過率分布を表わし、左偏心瞳領域(第二の瞳領域)に対応す
る。図5(h)は撮像素子領域1033の測距画素110における光電変換部111に対応する射出瞳105上での瞳透過率分布を表わし、右偏心瞳領域(第一の瞳領域)に対応する。図5(i)はx軸断面における透過率分布を表わしたものである。同様に、撮像素子領域1033の測距画素110においては、左偏心瞳領域の透過効率は右偏心瞳領域の透過効率より高い値になる。よって、左偏心瞳領域を通過した光束による像信号は、右偏心瞳領域を通過した光束による像信号よりも大きくなる。
る。図5(h)は撮像素子領域1033の測距画素110における光電変換部111に対応する射出瞳105上での瞳透過率分布を表わし、右偏心瞳領域(第一の瞳領域)に対応する。図5(i)はx軸断面における透過率分布を表わしたものである。同様に、撮像素子領域1033の測距画素110においては、左偏心瞳領域の透過効率は右偏心瞳領域の透過効率より高い値になる。よって、左偏心瞳領域を通過した光束による像信号は、右偏心瞳領域を通過した光束による像信号よりも大きくなる。
ここで、撮像素子の像信号に載るノイズ、特にランダムノイズについて説明する。支配的なランダムノイズは光ショットノイズNsと読出し回路ノイズNrである。光ショットノイズは光電変換時に発生し、その大きさは、信号の大きさに依存し、信号量の平方根である(Ns=S1/2)。一方、読出し回路ノイズは、読出し部から出力する際に発生し、信号の大きさに依存せず、撮像素子の作製状態により決まり、一定の値を取る(Nr=const)。光ショットノイズと読出し回路ノイズは独立事象であるため、ノイズの合算値は二乗和の平方根となる。像信号中の信号成分をS、読出し回路ノイズ成分をNrとすると、第一の信号のSN比は式1で表わされる。
同様に、第二の信号のSN比は式2で表わされる。
同様に、第二の信号のSN比は式2で表わされる。
第二の光電変換部に蓄積された信号電荷に対応する信号を第三の信号とする。第三の信号は、第二の信号から第一の信号を減ずることにより求められる。第三の信号中の信号成分は、第二の信号中の信号成分と第一の信号中の信号成分の差分になる。読出し回路ノイズは、第一の信号を出力する時と第二の信号を出力する時に、それぞれ独立して発生するため、二乗和の平方根となる。一方、第二の信号中の光ショットノイズ成分は、第一の信号中の光ショットノイズ成分に、後から読出し部に転送した信号電荷の光ショットノイズ成分が付加されたものである。よって、第三の信号中の光ショットノイズ成分は、第二の信号中の信号成分と第一の信号中の信号成分の差分の平方根となる。以上から、第三の信号のSN比は式3で表わされる。
式1と式3を比較すると、先に信号電荷を読出し部に転送した光電変換部の方が、後から転送した光電変換部より、SN比良く信号出力が可能なことがわかる。信号成分の大きさが大きい場合は、読出し回路ノイズに対して、光ショットノイズの方が支配的である(S≫Nr2)ため、第一の信号と第三の信号のSN比の差は小さい。しかし、被写体が暗く、信号成分の大きさが小さい場合は、読出し回路ノイズの影響が相対的に大きくなり(S〜Nr2)、信号品質の劣化が激しい。測距用画像信号のSN比が低下すると、像ずれ量の読取誤差が大きくなり、測距精度が低下する。
式1と式3を比較すると、先に信号電荷を読出し部に転送した光電変換部の方が、後から転送した光電変換部より、SN比良く信号出力が可能なことがわかる。信号成分の大きさが大きい場合は、読出し回路ノイズに対して、光ショットノイズの方が支配的である(S≫Nr2)ため、第一の信号と第三の信号のSN比の差は小さい。しかし、被写体が暗く、信号成分の大きさが小さい場合は、読出し回路ノイズの影響が相対的に大きくなり(S〜Nr2)、信号品質の劣化が激しい。測距用画像信号のSN比が低下すると、像ずれ量の読取誤差が大きくなり、測距精度が低下する。
本実施例では、出力信号に対し行うノイズ低減処理の効果が大きくなるように,常に像信号の信号成分が大きい方の光電変換部の信号電荷を先に読出し部に転送している。つま
り、右偏心瞳領域(第一の瞳領域)の透過効率が低い撮像素子領域1032では、右偏心瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部111の信号電荷を、読出し部119に先に転送し出力する。一方、左偏心瞳領域瞳領域(第二の瞳領域)の透過効率が低い撮像素子領域1033では、左偏心瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部112の信号電荷を、読出し部119に先に転送し出力する。
り、右偏心瞳領域(第一の瞳領域)の透過効率が低い撮像素子領域1032では、右偏心瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部111の信号電荷を、読出し部119に先に転送し出力する。一方、左偏心瞳領域瞳領域(第二の瞳領域)の透過効率が低い撮像素子領域1033では、左偏心瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部112の信号電荷を、読出し部119に先に転送し出力する。
ランダムノイズを低減する処理として、複数回撮影して取得した複数枚の画像信号を用い平均化や中央値抽出する方法や周波数フィルタを用いる方法などがある。さらに、画像信号は、一般的な信号と比較して空間方向の相関が非常に高いため、隣接画素の画像信号を用い輝度や色相の連続性を考慮した処理により、ノイズ低減ができる。この時、隣接画素の画素信号の信頼性が高いほど、ノイズ低減の効果は高い。よって、もとの画像信号のSN比が高いほどノイズ低減効果が高い。光量が多く信号電荷が多い光電変換部の出力を、先に読み出すにより、高いSN比の画像信号を取得でき、ノイズ低減処理の効果を高くできる。
以上の構成により、常に像信号の信号成分が大きい方の光電変換部を先に読出し部に転送することでノイズ低減処理の効果を大きくでき、SN比の高い像信号が取得可能になり、高精度に距離を測定できる。特に暗い被写体の距離を高精度に測定できる。
第二の信号は、2つの光電変換部111、112に蓄積された信号電荷の和に対応するため、撮影レンズ101の射出瞳105の全領域を通過した光束による像信号になる。よって、第二の信号をもとに被写体像(第二の画像信号)を取得できる。2つの光電変換部111、112に蓄積された信号電荷を個別に読出し部に転送し出力してから2つの信号を加算して像信号を生成する場合に比べ、第二の信号を用いた方が、読出し回路ノイズの量が減るため高画質な被写体像を取得できる。
撮像素子103中の第一の撮像素子領域1032、第二の撮像素子領域1033の位置は、測距画素110内の光電変換部111、112に対応する透過効率の大きさをもとに決定する。すなわち、測距画素110内の光電変換部111,112のうちどちらを先に読み出すかは、各光電変換部111,112に対応する透過効率の大きさを元に決定する。各光電変換部の透過効率は、撮影レンズの射出瞳と測距画素のマイクロレンズと光電変換部の配置、マイクロレンズの焦点距離、結像性能で決まる元の透過率分布と、撮影レンズの絞り径(瞳径)、口径食に応じて決まる。撮像素子103中のいずれの領域において光電変換部111を先に読み出すかは、撮影レンズおよび撮像素子に関する上記設計値を基に決定する。
また、両光電変換部の透過効率の差が所定の閾値以下の撮像素子領域においては、像信号品質の差が小さいため、信号電荷を読出し部に先に転送する光電変換部を、撮像素子内の回路形成や制御信号生成の容易性など、透過効率とは別の要因で決定しても良い。特に透過効率の差が大きい撮像素子周辺部のみ、どちらの光電変換部を先に読み出すかを決定するようにしてもよい。
なお、本実施例においては、測距画素としてx方向に光電変換部を並置した構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。y方向に光電変換部を並置し、y方向の視差画像を取得するように構成した場合においても、各光電変換部に対応する透過効率が高い方の光電変換部の信号電荷を読出し部に先に転送する構成にすれば良い。また、xy方向に光電変換部を配置し、xy方向の視差画像を取得するように構成した場合においても、各光電変換部に対応する透過効率が高い光電変換部の信号電荷を読出し部に先に転送する構成にすれば良い。
また、撮影レンズの射出瞳上の一部領域を通過した光束を光電変換部に導く導光手段として、マイクロレンズを用いたが、これに限定されるものではない。導波路やプリズムなど、光の伝播を制御できるものであれば良い。特に導波路を用いると、撮像素子の画素サイズが小さい場合にも、効率良く導光することができる。
(実施例2)
本実施例におけるデジタルカメラ100では、先に読出し部に信号電荷を転送する光電変換部を、撮影条件によって変える。本実施例にかかるデジタルカメラ100の構成は実施例1と同様であるので説明を省略する。以下では、主に信号読み出し制御について詳細に説明する。
本実施例におけるデジタルカメラ100では、先に読出し部に信号電荷を転送する光電変換部を、撮影条件によって変える。本実施例にかかるデジタルカメラ100の構成は実施例1と同様であるので説明を省略する。以下では、主に信号読み出し制御について詳細に説明する。
撮影レンズの口径食が無い場合でも、撮影レンズがズームレンズの場合は、射出瞳の光軸方向の位置が変わるため、透過効率は変化する。初期条件においては、図3に示すように、撮像素子103中の各測距画素110の光軸120は、全て射出瞳105の中心点を通る。しかし、ズーム位置が変わると射出瞳の光軸方向の位置が変わる。射出瞳105’の位置が初期条件の射出瞳105と異なる場合は、図6に示すように、撮像素子103の周辺に配置された測距画素110の光軸120は、射出瞳105’の中心点を通らない。よって、測距画素110中の光電変換部111、112に対応する瞳領域は、射出瞳105’の中心点に対して偏心し、透過効率が変わる。
射出瞳105’の位置が初期条件の射出瞳105と異なり、撮像素子103から遠く被写体に近い側にある場合について、図7、図8を用いて詳細に説明する。図7は撮像素子103の要部上面図であり、網掛けを施した光電変換部が上記条件において信号が先に読み出される光電変換部(第一の光電変換部)である。図8(a)は、撮像素子103の中心付近に配置された測距画素110における光電変換部112に対応する射出瞳105’上での瞳透過率分布を表わし、左偏心瞳領域(第二の瞳領域)に対応する。黒いほど透過率が高く、白いほど透過率が低い。同様に図8(b)は撮像素子103の中心付近に配置された測距画素110における光電変換部111に対応する射出瞳105’上での瞳透過率分布を表わし、右偏心瞳領域(第一の瞳領域)に対応する。図8(c)はx軸断面における透過率分布を表わしたもので、横軸がx軸座標、縦軸が透過率である。実線が光電変換部112に対応する透過率分布(右偏心瞳領域に対応)、点線が光電変換部111に対応する透過率分布(左偏心瞳領域に対応)である。
被写体からの光束が前記撮像光学系に入射してから前記光電変換部に達するまでのそれぞれの瞳領域における透過効率は、図8(a)および(b)に示した射出瞳105’内の透過率分布を積分した値である。撮像素子103の中心付近に配置された測距画素110においては、右偏心瞳領域の透過効率および左偏心瞳領域の透過効率は略同じである。よって、各瞳領域を通過した光束による被写体像信号の大きさは略同じである。このため、どちらの光電変換部の信号電荷を先に読出し部に転送しても良い。
図8(d)は図7に示す撮像素子領域1032の測距画素110における光電変換部112に対応する射出瞳105’上での瞳透過率分布を表わし、左偏心瞳領域(第二の瞳領域)に対応する。図8(e)は図7に示す撮像素子領域1032の測距画素110における光電変換部111に対応する射出瞳105’上での瞳透過率分布を表わし、右偏心瞳領域(第一の瞳領域)に対応する。図8(f)はx軸断面における透過率分布を表わしたものである。元の透過率分布が射出瞳に対して偏心しているため、透過効率が異なる。図8(d)に示すように、瞳の中心点に対する透過率が高い領域の偏心量が小さい場合は透過効率の低下量が小さい。一方、図8(e)に示すように、瞳の中心点に対する透過率が高い領域の偏心量が大きい場合は透過効率の低下量が大きい。よって、撮像素子領域1032の測距画素110においては、左偏心瞳領域の透過効率は右偏心瞳領域の透過効率より
高い値になる。つまり、左偏心瞳領域を通過した光束による像信号は、右偏心瞳領域を通過した光束による像信号よりも大きくなる。このため、撮像素子領域1032では、光電変換部112の信号電荷を光電変換部111のそれよりも先に読出し部に転送する。
高い値になる。つまり、左偏心瞳領域を通過した光束による像信号は、右偏心瞳領域を通過した光束による像信号よりも大きくなる。このため、撮像素子領域1032では、光電変換部112の信号電荷を光電変換部111のそれよりも先に読出し部に転送する。
図8(g)は図7に示す撮像素子領域1033の測距画素110における光電変換部112に対応する射出瞳105’上での瞳透過率分布を表わし、左偏心瞳領域(第二の瞳領域)に対応する。図8(h)は撮像素子領域1033の測距画素110における光電変換部111に対応する射出瞳105’上での瞳透過率分布を表わし、右偏心瞳領域(第一の瞳領域)に対応する。図8(i)はx軸断面における透過率分布を表わしたものである。同様に、撮像素子領域1033の測距画素110においては、右偏心瞳領域の透過効率は左偏心瞳領域の透過効率より高い値になる。よって、右偏心瞳領域を通過した光束による像信号は、左偏心瞳領域を通過した光束による像信号よりも大きくなる。このため、撮像素子領域1033では、光電変換部111の信号電荷を光電変換部112のそれよりも先に読出し部に転送する。
一方、射出瞳105”の位置が初期条件の射出瞳105と異なり撮像素子103に近い側にある場合は、測距画素110中の光電変換部111、112に対応する瞳領域は、射出瞳105”の中心点に対して、反対側に偏心する(図6)。この場合は、逆に撮像素子領域1032の測距画素110においては、右偏心瞳領域の透過効率は左偏心瞳領域の透過効率より高い値になる。つまり、右偏心瞳領域を通過した光束による像信号は、左偏心瞳領域を通過した光束による像信号よりも大きくなる。また、撮像素子領域1033の測距画素110においては、左偏心瞳領域の透過効率は右偏心瞳領域の透過効率より高い値になる。よって、左偏心瞳領域を通過した光束による像信号は、右偏心瞳領域を通過した光束による像信号よりも大きくなる。
このように、ズーム位置に応じて撮影レンズの射出瞳の位置が変化した場合、その位置関係に応じて、透過効率が高い方の光電変換部に蓄積された信号電荷を読出し部に先に転送するようにする。射出瞳位置が初期条件より撮像素子側に有る場合(図6の105”)は、撮像素子領域1032中の測距画素110では光電変換部111の信号電荷を先に読出し部に転送する。また、撮像素子領域1033中の測距画素110では光電変換部112の信号電荷を先に読出し部に転送する。一方、射出瞳位置が初期条件より被写体側に有る場合(図6の105’)は、撮像素子領域1032中の測距画素110では光電変換部112の信号電荷を先に読出し部に転送する。また、撮像素子領域1033中の測距画素110では光電変換部111の信号電荷を先に読出し部に転送する。
上述したように透過効率は、測距画素の導光手段の導光性能と撮像光学系の瞳位置、瞳径、口径食により決まる。測距画素の導光手段は固定であるため、撮像光学系の瞳位置、瞳径、口径食の情報の少なくともいずれかをもとに、透過効率の大小関係を求め、信号電荷を読出し部に先に転送する光電変換部を決定する。先に読出し部に信号電荷を転送する光電変換部は、設計値を基に決めても良いし、装置作製段階で測定し、決めても良い。また、本測距前に、暫定的に光電変換部111および112の信号電荷を取得し、これらの信号強度を比較して、信号強度が弱い方の光電変換部から先に信号電荷を読み出すようにしてもよい。このようにすると製造バラつき、経時変化、温度等の環境変化による透過効率変化があった場合でも、高精度に測距ができる。なお、暫定読み出しの際にはノイズ低減処理は行っても行わなくてもよい。すなわち、光電変換部111および112の信号電荷は、ノイズ低減処理前の信号(第一および第二の信号)に基づいて取得してもよいし、ノイズ低減処理後の信号(第一および第二の画像信号)に基づいて取得してもよい。また、暫定読み出しの際には、後から読み出す光電変換部の信号電荷に滞欧する信号を差分により求めずに、それぞれの光電変換部から個別に信号電荷に対応する信号を読み出してもよい。
全ての測距画素において、信号電荷を読出し部に先に転送する光電変換部を選択可能な素子構成にしておき、上述した決定方法に基づき光電変換部を選択し、信号電荷の転送制御を行うことも好ましい。信号電荷の転送順序の制御は、図示しない制御手段により、各測距画素中の光電変換部のゲート電極に接続した信号線に、転送トリガー信号を送ることにより行う。
以上示したように、撮影条件に応じて透過効率が高い光電変換部を選択し、信号電荷を先に読出し部に転送している。よって、常に像信号の信号成分が大きい方の光電変換部を先に読出し部に転送することでノイズ低減処理の効果を大きくでき、SN比の高い像信号が取得可能になり、高精度に距離を測定できる。特に暗い被写体の距離を高精度に測定できる。
また、図9に示すように、第一の撮像素子領域1034と第二の撮像素子領域1035を行毎に隣接して交互に配置しても良い。第一の撮像素子領域1034の測距画素では、第一の転送トリガー信号を伝送する信号線を、右偏心瞳領域(第一の瞳領域)を通過した光束を受光する光電変換部111のゲート電極に接続している。また第二の転送トリガー信号を伝送する信号線を、左偏心瞳領域(第二の瞳領域)を通過した光束を受光する光電変換部112のゲート電極に接続している。一方、第二の撮像素子領域1035の測距画素では、第一の転送トリガー信号を伝送する信号線を、左偏心瞳領域(第二の瞳領域)を通過した光束を受光する光電変換部112のゲート電極に接続している。また第二の転送トリガー信号を伝送する信号線を、右偏心瞳領域(第一の瞳領域)を通過した光束を受光する光電変換部112のゲート電極に接続している。
制御部104は、第一の転送トリガー信号を信号線に入力し、読出し部119から第一の信号を取得した後、第二の転送トリガー信号を信号線に入力し、第二の信号をする。制御部104は、第一および第二の信号にそれぞれノイズ低減処理を施して第一および第二の画像信号を取得し、第一および第二の画像信号の信号差分により第三の信号を得る。次に、出力画像信号から、選択した光電変換部の信号電荷を先に読出し部に転送した行の信号を抽出し、画像信号を再構成し、距離を測定する。これにより、複雑なトリガー信号を生成する必要が無いため、撮影開始までのタイムラグを短縮でき、高速に撮影が可能となる。なお、第一の撮像素子領域1034と第二の撮像素子領域1035は、一行毎に配置する必要は無く、近接して配置していれば良い。カラーフィルタの配置や間引き出力時の行間隔を考慮して複数行毎でも良いし、列方向や斜め方向に配置しても良い。
なお、測距画素は撮像素子全面に配置しても良いし、一部の領域に配置しても良い。また、本発明による測距装置により取得した距離情報をもとに、フォーカス用レンズの位置を制御しオートフォーカス動作を行っても良いし、ピント面からの距離に応じてボケを付加するなど画像の加工を行っても良い。
101 撮影レンズ
103 撮像素子
110 測距画素
111 光電変換部
112 光電変換部
119 増幅読出し部
103 撮像素子
110 測距画素
111 光電変換部
112 光電変換部
119 増幅読出し部
Claims (11)
- 撮像光学系と、
前記撮像光学系の第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と、前記撮像光学系の第一の瞳領域とは異なる第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と、を備えた測距画素を含む撮像素子と、
前記測距画素中の複数の光電変換部によって共有される読出し部と、
を備えた測距装置であって、
前記複数の光電変換部のうち、第一の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記読出し部に転送し第一の光電変換部に蓄積された信号電荷に対応した第一の信号を出力し、
前記第一の信号に加え、第二の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記読出し部に転送し上乗せした第二の信号を出力し、
前記第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と前記第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部のうち、被写体からの光束が前記撮像光学系に入射してから前記光電変換部に達するまでの透過効率が高い側の光電変換部が前記第一の光電変換部であり、
前記第一の信号から生成した画像信号に対してノイズ低減処理をした第一の画像信号と、前記第二の信号から生成した画像信号に対してノイズ低減処理をした第二の画像信号を生成し、
前記第二の画像信号から前記第一の画像信号を減ずることにより、前記第二の光電変換部に蓄積された信号電荷に対応する第三の画像信号を生成し、前記第一の画像信号と前記第三の画像信号からそれぞれ生成した視差画像の像ずれ量から被写体の距離を測定する、
ことを特徴とする測距装置。 - 距離を測定する際の前記撮像光学系の瞳位置、瞳径、口径食の情報の少なくともいずれかを用い、前記透過効率が高い側の光電変換部を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の測距装置。 - 暫定的に前記測距画素のそれぞれの光電変換部に蓄積された信号電荷に対応する信号を取得し、取得した信号の信号強度を比較し、前記透過効率が高い側の光電変換部を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の測距装置。 - 前記読出し部は、前記複数の光電変換部の読出し順序を選択可能であり、前記第一の光電変換部であると決定された光電変換部の信号電荷を先に読出す、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の測距装置。 - 前記撮像素子は、
前記測距画素が2次元に配置されて構成されており、
前記第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部の信号電荷を先に読出す測距画素とする第一の撮像素子領域と、前記第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部の信号電荷を先に読出す測距画素とする第二の撮像素子領域と、を備え、
前記第一の瞳領域の重心点と前記第二の瞳領域の重心点を通る直線が延びる方向を第一の方向としたとき、前記撮像素子の中心を通り第一の方向に対応する該撮像素子上の方向に垂直な線分を境界線とし、該境界線を挟んで前記第一の撮像素子領域と前記第二の撮像素子領域が配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の測距装置。 - 前記撮像素子は、前記第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部の信号電荷を先に読出す測距画素と、前記第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部の信号電
荷を先に読出す測距画素と、を備えており、
前記透過効率が高い側の光電変換部の信号電荷を先に読出す測距画素からの出力を用いて被写体の距離を測定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の測距装置。 - 前記撮像素子は、
前記測距画素が2次元に配置されて構成されており、
前記第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部の信号電荷を先に読出す測距画素を配列した第一の撮像素子領域と、前記第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部の信号電荷を先に読出す測距画素を配列した第二の撮像素子領域が近接して配置されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の測距装置。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の測距装置を備え、前記第二の信号をもとに被写体像を取得することを特徴とする撮像装置。
- 撮像光学系と、
前記撮像光学系の第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と、前記撮像光学系の第一の瞳領域とは異なる第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と、を備えた測距画素を含む撮像素子と、
前記測距画素中の複数の光電変換部によって共有される読出し部と、
を備える測距装置の制御方法であって、
前記第一の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部と前記第二の瞳領域を通過した光束を受光する光電変換部のうち、被写体からの光束が前記撮像光学系に入射してから前記光電変換部に達するまでの透過効率が高い側の光電変換部を前記第一の光電変換部であると決定するステップと、
前記複数の光電変換部のうち、第一の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記読出し部に転送し第一の光電変換部に蓄積された信号電荷に対応した第一の信号を出力するステップと、
前記第一の信号に加え、第二の光電変換部に蓄積された信号電荷を前記読出し部に転送し上乗せした第二の信号を出力するステップと、
前記第一の信号から生成した画像信号に対してノイズ低減処理を施して第一の画像信号を出力するステップと、
前記第二の信号から生成した画像信号に対してノイズ低減処理を施して第二の画像信号を出力するステップと、
前記第二の画像信号から前記第一の画像信号を減ずることにより、前記第二の光電変換部に蓄積された信号電荷に対応する第三の画像信号を生成するステップと、
前記第一の画像信号と前記第三の画像信号からそれぞれ生成した視差画像の像ずれ量から被写体の距離を測定するステップと、
を含むことを特徴とする測距装置の制御方法。 - 前記決定するステップでは、距離を測定する際の前記撮像光学系の瞳位置、瞳径、口径食の情報の少なくともいずれかを用いて、前記透過効率が低い側の光電変換部を決定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の測距装置の制御方法。 - 前記決定するステップでは、暫定的に前記測距画素のそれぞれの光電変換部に蓄積された信号電荷に対応する信号を取得し、取得した信号の信号強度を比較し、前記透過効率が高い側の光電変換部を決定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の測距装置の制御方法。
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