JP2015000777A - 糸巻取機 - Google Patents
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Abstract
【課題】糸貯留部の貯留量制御による巻取速度の変動を低減する。【解決手段】給糸部7は、糸20を供給する。糸貯留部18は、給糸部7から供給された糸20を貯留する。巻取部8は、糸貯留部18に貯留されている糸20を巻き取ってパッケージ30を形成する。上限センサ36は、糸貯留部18における糸20の貯留量が所定の上限以上か否かを検知する。ドラム駆動モータ19は、糸貯留部18から出る糸20の速度を調整する。制御部25は、ドラム駆動モータ19による糸20の速度の調整を、所定の調整幅の範囲内で行うことにより前記貯留量を制御する貯留量制御を行う。そして、制御部25は、上限センサ36で検知した情報に基づいて、前記調整幅を目標値となるまで狭める調整幅縮小制御を、貯留量制御と並行して行う。【選択図】図1
Description
本発明は、糸貯留部を備えた糸巻取機に関する。詳細には、糸貯留部の貯留量の制御に関する。
特許文献1は、給糸部と巻取部の間に糸貯留部(アキュムレータ)を配置した構成の糸巻取機を開示している。糸貯留部は、給糸部から供給された糸を巻き取って一時的に貯留するように構成されている。巻取部は、糸貯留部上に貯留された糸を引き出して巻き取り、パッケージを形成する。このように、給糸部と巻取部の間に糸貯留部を介在させることにより、糸の巻取時に、所望の解舒糸速度で糸を解舒し続けることができ、糸の巻取の生産性を高くすることができる(特許文献1の0012段落)。
また、特許文献1は、糸貯留部に貯留される糸の量(貯留量)を一定に保つ制御を開示している。即ち、特許文献1に記載の糸巻取機は、貯留量が規定上限量よりも多い場合は、巻取糸速度が解舒糸速度よりも速くなるような速度で巻取ドラムを回転させる(特許文献1のS205の処理)。これによれば、貯留量が徐々に減少していく。また、貯留量が規定上限量以下の場合は、巻取糸速度が解舒糸速度よりも遅くなるような速度で巻取ドラムを回転させる(特許文献1のS206の処理)。これにより、貯留量が徐々に増加していく。従って、以上の処理を繰り返すことにより、糸貯留部の糸の貯留量を、規定上限量の近傍で増減させながら維持することができる。
上記特許文献1の構成において、巻取ドラムとパッケージのあいだにはスリップが生じうる。しかも、パッケージに糸が巻き取られるに従って、当該パッケージの重量が増大して慣性が大きくなり、当該パッケージが回転しにくくなる。このため、特許文献1の構成において、巻取糸速度を正確に制御することは困難である。そこで、特許文献1のS205の処理において貯留量を確実に減量させるためには、巻取糸速度が解舒糸速度よりも確実に速くなるように、巻取ドラムの回転速度を余裕を持って速めに設定する必要がある。同様に、特許文献1のS206の処理において貯留量を確実に増量させるためには、巻取糸速度が解舒糸速度よりも確実に遅くなるように、巻取ドラムの回転速度を余裕を持って遅めに設定する必要がある。
以上のように、特許文献1の制御においては、巻取ドラムの回転速度を、余裕をもって大きく変動させる必要がある。このため、特許文献1の制御では、糸の巻取糸速度が大きく増減を繰り返すことになる。しかしながら、糸の巻き取りを安定させて高品質なパッケージを生成するという観点では、巻取糸速度の変化幅をなるべく小さくすることが好ましい。従って、特許文献1の構成は、糸の巻き取りの安定性を向上させるという観点で改善の余地がある。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、糸貯留部の貯留量制御による巻取速度の変動を低減することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、以下の構成の糸巻取機が提供される。即ち、この糸巻取機は、給糸部と、糸貯留部と、巻取部と、検知部と、入口速度調整装置と、出口速度調整装置と、制御部と、を備える。前記給糸部は、糸を供給する。前記糸貯留部は、前記給糸部から供給された糸を貯留する。前記巻取部は、前記糸貯留部に貯留されている糸を巻き取ってパッケージを形成する。前記検知部は、前記糸貯留部における前記糸の貯留量に関する情報を検知する。前記入口速度調整装置は、前記糸貯留部に入る糸の速度を調整する。前記出口速度調整装置は、前記糸貯留部から出る糸の速度を調整する。前記制御部は、前記入口速度調整装置及び/又は前記出口速度調整装置による前記糸の速度の調整を、所定の調整幅の範囲内で行うことにより前記貯留量を調整する貯留量制御を行う。そして、前記制御部は、前記検知部で検知した情報に基づいて、前記調整幅を目標値となるまで狭める調整幅縮小制御を、前記貯留量制御と並行して行う。
このように、検知部が検知した情報をフィードバックすることで、入口速度調整装置及び/又は出口速度調整装置による糸の速度の調整幅を狭めていくことが可能となる。これにより、糸の走行速度の変動が小さくなり、安定したパッケージ巻き取り及び糸貯留を実現できるので、パッケージ表層の糸層乱れを防止するとともに、糸の貯留量を一定に保つことができる。
上記の糸巻取機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記制御部は、前記出口速度調整装置による前記糸の速度の調整を、所定の調整幅の範囲内で行うことにより前記貯留量制御を実現する。そして、前記制御部は、前記調整幅の上限を小さくする、又は当該調整幅の下限を大きくすることにより、前記調整幅縮小制御を実現する。
これにより、出口速度調整装置による糸の速度の調整幅を狭めることができる。
上記の糸巻取機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記検知部は、前記貯留量が目的量以上か未満かを検知するように構成される。また、糸巻取機は、前記貯留量が前記目的量以上の期間である減量処理期間の長さと、前記貯留量が前記目的量未満の期間である増量処理期間の長さと、をそれぞれ測定するタイマを備える。前記制御部は、前記貯留量が前記目的量以上の場合は、前記出口速度調整装置を前記調整幅の上限で制御し、前記貯留量が前記目的量未満の場合は、前記出口速度調整装置を前記調整幅の下限で制御することにより、前記貯留量制御を実現する。そして、前記制御部は、前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ以上の場合には、前記調整幅の下限を大きくし、前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ未満の場合には、前記調整幅の上限を小さくすることにより、前記調整幅縮小制御を実現する。
これにより、減量処理期間と増量処理期間のバランスをとりつつ、調整幅を狭めていくことができる。
上記の糸巻取機において、前記出口速度調整装置の前記調整幅が前記目標値以下になった後、前記制御部は、前記調整幅縮小制御から以下の調整幅維持制御に移行することが好ましい。即ち、この調整幅維持制御において、制御部は、前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ以上の場合には、前記調整幅を保ったまま、当該調整幅の上限及び下限を大きくする。また、この調整幅維持制御において、制御部は、前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ未満の場合には、前記調整幅を保ったまま、当該調整幅の上限及び下限を小さくする。
これにより、調整幅を目標値に保ちつつ、減量処理期間と増量処理期間のバランスをとることができる。
上記の糸巻取機は、以下のように構成することもできる。即ち、前記制御部は、前記入口速度調整装置による前記糸の速度の調整を、所定の調整幅の範囲内で行うことにより前記貯留量制御を実現する。そして、前記制御部は、前記調整幅の上限を小さくする、又は当該調整幅の下限を大きくすることにより、前記調整幅縮小制御を実現する。
このように、入口速度調整装置を制御して貯留量制御を行うこともできる。
この場合、制御部は、前記貯留量が前記目的量以上の場合は、前記入口速度調整装置を前記調整幅の下限で制御し、前記貯留量が前記目的量未満の場合は、前記入口速度調整装置を前記調整幅の上限で制御することにより、前記貯留量制御を実現する。またこの場合、前記制御部は、前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ以上の場合には、前記調整幅の上限を小さくし、前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ未満の場合には、前記調整幅の下限を大きくすることにより、前記調整幅縮小制御を実現する。
このように、入口速度調整装置を制御して貯留量制御を行う場合であっても、減量処理期間と増量処理期間のバランスをとりつつ、調整幅を狭めていくことができる。
またこの場合、調整幅維持制御は以下のように行う。即ち、この調整幅維持制御において、前記制御部は、前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ以上の場合には、前記調整幅を保ったまま、当該調整幅の上限及び下限を小さくする。また、この調整幅維持制御において、前記制御部は、前記増量処理期間の長さが前記減量処理期間の長さ未満の場合には、前記調整幅を保ったまま、当該調整幅の上限及び下限を大きくする。
このように、入口速度調整装置を制御して貯留量制御を行う場合であっても、調整幅を目標値に保ちつつ、減量処理期間と増量処理期間のバランスをとることができる。
上記の糸巻取機において、前記検知部は、前記糸貯留部に貯留された糸の有無を検知する光学式のセンサ部材であることが好ましい。
光学式のセンサは、糸の有無を非接触で検知可能であるため、糸の巻き取りに影響を与えることなく正確な検知結果を得ることができる。また、非接触であるため、糸の品質に悪影響を及ぼすこともない。
上記の糸巻取機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この糸巻取機は、前記給糸部と前記糸貯留部の間の糸が分断状態になった場合に、分断された糸を繋ぐ糸継装置を備える。前記糸継装置による糸継動作の実行中において、前記制御部は、前記貯留量制御及び前記調整幅縮小制御を停止するとともに、前記巻取部による前記糸の巻き取りは継続する。
即ち、糸継動作の実行中は、給糸部からの糸の供給が中断されるので、貯留量制御及び前記調整幅縮小制御は停止しておく。しかしこの場合であっても、巻取部は、糸貯留部に貯留されている糸の巻き取りを継続することができる。これにより、パッケージの生産効率を高めることができる。また、巻取部におけるパッケージの回転を停止させることが少なくなるので、糸にタメージを与えることが抑制される。よって、糸品質を損ねることがない。
上記の巻取機において、前記給糸部は、紡績糸が巻かれた給糸ボビンを保持するとともに、当該給糸ボビンから解舒された前記紡績糸が供給される構成とすることができる。
このように、給糸ボビンからの糸を巻き取る自動ワインダに、本願発明の構成を適用することができる。この種の自動ワインダにおいて、給糸部において給糸ボビンの交換が行われる際には、糸の供給が中断されるが、この場合であっても、巻取部は、糸貯留部に貯留されている糸の巻き取りを継続することができる。これにより、パッケージの生産効率を高めることができる。また、巻取部におけるパッケージの回転を停止させることが少なくなるので、糸にタメージを与えることが抑制される。よって、糸品質を損ねることがない。
上記の糸巻取機は、以下の構成とすることもできる。即ち、前記給糸部は、繊維束をドラフトするドラフト装置と、前記ドラフト装置でドラフトされた前記繊維束を紡績する紡績装置と、を備える。そして、当該給糸部は、前記紡績装置から紡出された紡績糸を供給する。
このように、紡績装置によって紡出された紡績糸を巻き取る紡績機にも、本願発明の構成を適用することができる。紡績装置と巻取部の間に糸貯留部が配置されるので、当該糸貯留部において、巻取部の速度変動を吸収できる。これにより、当該速度変動が紡績速度に影響を与えることを防止し、安定した紡績速度で紡績糸を紡出することができる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る自動ワインダ(糸巻取機)が備えるワインダユニット2の概略的な側面図である。本実施形態の自動ワインダは、多数のワインダユニット2を並べて配置した構成となっている。また、この自動ワインダは、前記ワインダユニット2を集中的に管理するための図略の機台管理装置を備えている。
また、自動ワインダは、制御部25を備えている。この制御部25は、図略のCPU、ROM、RAM等のハードウェアと、前記RAMに記憶された制御プログラム等のソフトウェアと、から構成されている。そして、前記ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、ワインダユニット2の各構成を制御するように構成されている。なお、制御部25は、各ワインダユニット2に設けられていても良いし、複数のワインダユニットごとに設けられていても良い。
制御部25は、前記機台管理装置と通信可能に構成されている。これにより、自動ワインダが備える複数のワインダユニット2の動作を、機台管理装置において集中的に管理することが可能となっている。
図1に示すように、ワインダユニット2は、給糸部7と、巻取部8と、を主に備えている。このワインダユニット2は、給糸部7から供給される糸(紡績糸)20をパッケージ30に巻き取るように構成されている。なお、図1は、通常の巻き取り時におけるワインダユニット2の様子を示している。本明細書において、「通常の巻き取り時」とは、給糸ボビン21とパッケージ30との間で糸20が連続状態であり、かつ給糸ボビン21から糸20が解舒されてパッケージ30に糸20が巻き取られている状態をいう。
給糸部7は、給糸ボビン21を略直立状態で保持することが可能に構成されている。給糸ボビン21には、紡績機(図略)によって生成された糸(紡績糸)20が巻き取られている。給糸部7に保持された給糸ボビン21から糸20が解舒されて、下流側(巻取部8側)に供給される。なお、以下の説明において「上流側」「下流側」という時には、糸20の走行方向で見たときの上流側及び下流側をいうものとする。
巻取部8は、クレードル23と、巻取ドラム24と、ドラム駆動モータ(出口速度調整装置)19と、を備えている。
巻取ドラム24は、ドラム駆動モータ19によって回転駆動されるように構成されている。ドラム駆動モータ19の駆動速度は、前記制御部25によって制御される。クレードル23は、巻取ボビン22を回転可能に支持するように構成されている。また、クレードル23は、支持した巻取ボビン22を、巻取ドラム24の外周面に接触させることができるように構成されている。
巻取ドラム24に巻取ボビン22を接触させた状態で、当該巻取ドラム24を回転駆動することにより、巻取ボビン22を回転駆動させて、当該巻取ボビン22の周面に糸20を巻き取っていくことができる。なお、糸20が巻き取られた状態の巻取ボビン22をパッケージ30と呼ぶ。また、巻取ドラム24の外周面には図略の綾振溝が形成されており、この綾振溝によって糸20を所定の幅でトラバース(綾振り)することが可能になっている。以上の構成で、糸20をトラバースさせながらパッケージ30に巻き取っていくことができる。
またワインダユニット2は、給糸部7と巻取部8との間の糸走行経路中に、各種の装置を備えている。具体的に説明すると、前記糸走行経路には、給糸部7側から巻取部8側へ向かって順に、解舒補助装置10と、テンション付与装置12と、ヤーントラップ15と、カッタ16と、糸監視装置17と、糸貯留部18と、が配置されている。
解舒補助装置10は、給糸ボビン21から解舒される糸20が振り回されて給糸ボビン21上部に形成されるバルーンに対し、可動部材40を接触させ、当該バルーンの大きさを適切に制御することによって糸20の解舒を補助する。
テンション付与装置12は、走行する糸20に所定のテンションを付与する。本実施形態のテンション付与装置12は、2つの櫛歯を有するゲート式に構成されている。2つの櫛歯を噛み合わせ状態とし、当該櫛歯同士の間に糸20を走行させることにより、走行する糸20に適度なテンションを付与することができる。なお、櫛歯の噛み合わせ状態は調整することが可能に構成されている。もっとも、テンション付与装置12の構成はこれに限らず、例えばディスク式のテンション付与装置でも良い。
ヤーントラップ15は、糸継装置14(後述)と糸貯留部18との間に配置されている。このヤーントラップ15の先端は筒状の部材として形成されており、糸20の走行経路に接近して設けられているとともに、図略の負圧源に接続されている。この構成で、ヤーントラップ15の先端に吸引空気流を発生させて、走行する糸20に付着している風綿などのゴミを吸引除去することができる。
糸監視装置(クリアラ)17は、糸20の糸太さを監視することにより、スラブ等の糸欠陥(糸欠点)を検出するように構成されている。糸監視装置17は、糸の欠陥を検出すると、当該糸欠陥の切断除去を指示する分断信号を制御部25等に送信する。糸監視装置17の近傍には、前記分断信号に応じて直ちに糸20を切断するためのカッタ16が配置されている。
糸貯留部18は、給糸ボビン21から解舒した糸20を一時的に貯留することが可能に構成されている。図1に示すように、糸貯留部18は、糸貯留ローラ32と、ローラ駆動モータ(入口速度調整装置)33と、を主に備えている。
糸貯留ローラ32は金属製の円筒部材として形成されており、その外周面に糸20を巻き付けることにより、所定量の糸20を貯留できるように構成されている。ローラ駆動モータ33は、糸貯留ローラ32を、その中心軸線を中心として回転駆動するように構成されている。なお、ローラ駆動モータ33の駆動速度は制御部25によって制御されている。
糸貯留ローラ32に糸20を巻き付けた状態でローラ駆動モータ33を駆動し、糸貯留ローラ32を回転させることにより、糸貯留部18よりも上流側(給糸部7側)の糸20を引っ張ることができる。これにより、給糸ボビン21から糸20を解舒して、当該糸20を糸貯留ローラ32の表面に巻き付けていくことができる。このように、ローラ駆動モータ33は、糸貯留ローラ32を回転駆動することにより、当該糸貯留ローラ32に入ってくる糸20を駆動する役割を有している。
給糸ボビン21から解舒されて糸貯留ローラ32に巻き取られる糸20の走行速度を、糸貯留部18に入っていく糸20の速度という意味で、「入口速度」と呼ぶ。ローラ駆動モータ33の駆動速度を制御することにより、入口速度を調整できる。この意味で、ローラ駆動モータ33は、「入口速度調整装置」と呼ぶことができる。なお、糸貯留ローラ32の外周面と糸20の間にスリップが発生していない場合、入口速度は、糸貯留ローラ32の周速に一致しているとみなすことができる。
なお、本実施形態のワインダユニット2では、通常の巻き取り時において、給糸ボビン21の糸20を解舒する速度が、当該解舒を正常に行える範囲で最大となるようにしている。このように、給糸ボビン21の糸20を常に最大の速度で解舒することにより、ワインダユニット2におけるパッケージ30の生産効率を最大化できる。そこで、本実施形態の制御部25は、通常の巻き取り時において、給糸ボビン21の糸20が解舒される速度を上記最大の速度で維持するように、ローラ駆動モータ33(入口速度調整装置)の駆動速度を一定で制御する。
一方、巻取部8においては、ドラム駆動モータ19を駆動してパッケージ30を回転させることにより、糸貯留ローラ32上の糸20を、下流側に向けて引っ張ることができる。これにより、当該糸貯留ローラ32上の糸20を、当該糸貯留ローラ32の下流側端部から解舒し、パッケージ30に巻き取っていくことができる。このように、ドラム駆動モータ19は、パッケージ30を回転駆動することにより、糸貯留ローラ32から出ていく糸20を駆動する役割を有している。
糸貯留ローラから解舒されてパッケージ30に巻き取られる糸20の走行速度を、糸貯留部18から出ていく糸20の走行速度という意味で、「出口速度」と呼ぶ。ドラム駆動モータ19の駆動速度を制御することにより、出口速度を調整できる。この意味で、ドラム駆動モータ19は、「出口速度調整装置」と呼ぶことができる。
なお、糸貯留ローラ32の下流側端部には、輪ゴム(Oリング)38が嵌められており、この輪ゴム38と糸貯留ローラ32の表面との間を通して、当該糸貯留ローラ32から糸20が引き出されるようになっている。以上の構成により、糸貯留ローラ32から解舒される糸20に対して、輪ゴム38の締め付けによる適度な張力を与えることができるので、当該糸20の解舒を安定させることができる。
続いて、糸監視装置17で糸欠点が検知され、カッタ16によって糸20が切断された場合の処理について説明する。
カッタ16によって糸20が切断されると、図2に示すように、糸貯留部18と給糸部7の間で糸20が分断状態となる。このように、糸貯留部18と給糸部7の間で糸20が分断状態となった場合、制御部25は、ローラ駆動モータ33の駆動を停止することにより、糸貯留ローラ32の回転を停止させる。
続いて、制御部25は、分断状態になった糸20を接続する糸継動作を行う。給糸部7と糸貯留部18の間(正確には、テンション付与装置12と糸監視装置17の間)には、給糸部7側の糸20と、糸貯留部18側の糸20と、を接続(糸継ぎ)するための糸継装置14が配置されている。
本実施形態の糸継装置14は、給糸部7側の糸端と、糸貯留部18側の糸端と、に旋回空気流を作用させることで、2つの糸端を寄り合わせて接続する空気式スプライサ装置として構成されている。ただし糸継装置14はこれに限らず、例えば機械式のノッタ装置であっても良い。
カッタ16によって糸20が切断されたとき、給糸部7側の糸(下糸20a)は、ヤーントラップ15に吸引捕捉され、糸継装置14に導入される(図2の状態)。
制御部25は、ローラ駆動モータ33を適宜制御することにより、糸貯留ローラ32を逆回転させる。これにより、糸貯留ローラ32の上流側端部から糸(上糸20b)が解舒される。更に、制御部25は、糸貯留ローラ32の上流側端部に近接して配置された上糸噴き飛ばし装置48を動作させる。上糸噴き飛ばし装置48は、圧縮空気を噴出することにより、糸貯留ローラ32から解舒された上糸20bを噴き飛ばすように構成されている(図3)。上糸噴き飛ばし装置48によって噴き飛ばされた上糸20bは、湾曲ガイド部材60によって上糸捕捉部13まで案内される。
上糸捕捉部13は、糸継装置14よりも上流側に配置されており、湾曲ガイド部材60によって案内されてきた上糸20bを吸引捕捉するように構成されている。上糸捕捉部13によって上糸20bが吸引捕捉されることにより、当該上糸20bが糸継装置14に導入される(図4の状態)。
以上のようにして、下糸20a及び上糸20bが糸継装置14に導入されると、制御部25は、糸継装置14を動作させる。これにより、下糸20a及び上糸20bが糸継ぎされる。
糸継装置14が糸継動作を行っている間は、給糸部7側の糸20を糸貯留ローラ32に巻き取ることができない。そこで制御部25は、糸継装置14による糸継動作の間、ローラ駆動モータ33の駆動を停止することにより、糸貯留ローラ32の回転を停止させておく。
しかしながら、糸貯留ローラ32上には所定量の糸20が貯留されているので、糸継動作の間であっても、巻取部8による糸20の巻き取りを継続することはできる。そこで制御部25は、糸継動作の間も、ドラム駆動モータ19の駆動を継続することにより、巻取部8による糸20の巻き取りは継続するように構成されている。
このように、本実施形態の自動ワインダは、糸継動作の間も巻取部8による巻き取りを継続することができる。これにより、巻取部8におけるパッケージ30の生産効率を向上させることができる。また、巻取部8におけるパッケージ30の回転を停止させることが少なくなるので、糸20にタメージを与えることが抑制される。よって、糸品質を損ねることがない。
そして、糸継装置14による糸継動作が完了すると、制御部25は、ローラ駆動モータ33の駆動を開始することにより、糸貯留ローラ32の回転を再開させる。これにより、給糸ボビン21の糸20の解舒を再開することができる。
続いて、給糸ボビン21の交換動作について説明する。
給糸ボビン21から糸20が解舒されていくと、最後には当該給糸ボビン21の糸20が無くなる。給糸ボビン21の糸20が無くなると、制御部25は、ローラ駆動モータ33の駆動を停止して糸貯留ローラ32の回転を停止する。これと前後して、給糸部7は、空になった給糸ボビン21を排出する(図略)。
ワインダユニット2の正面側には、マガジン式のボビン供給装置26が配置されている。このボビン供給装置26は、回転式のマガジンカン27を備えている。このマガジンカン27は予備の給糸ボビン21を複数保持することが可能に構成されている。ボビン供給装置26は、マガジンカン27を間欠的に回転駆動することにより、給糸部7に対して新しい給糸ボビン21を供給する(図5)。給糸部7は、ボビン供給装置26から供給された新しい給糸ボビン21を受け取ると、当該給糸ボビン21を適切な位置にセットする。
続いて、制御部25は、給糸ボビン21の近傍に配置された下糸噴き上げ装置11を動作させる。下糸噴き上げ装置11は、圧縮空気を下流側に向けて噴出することにより、給糸ボビン21側の糸(下糸20a)を下流側に向けて噴き飛ばすように構成されている(図6)。下糸噴き上げ装置11によって下流側に噴き飛ばされた下糸20aは、ヤーントラップ15によって吸引捕捉され、糸継装置14に導入される。これにより、図2と同じ状態となるので、制御部25は、前述と同じ手順で糸継動作を行う。
以上で説明したボビン交換動作により、空になった給糸ボビン21を新しい給糸ボビン21に交換して、糸20の巻き取りを継続することができる。
以上のボビン交換動作においても、糸貯留ローラ32上には所定量の糸20が貯留されているので、巻取部8は、糸貯留部18に貯留されている糸20の巻き取りを継続することができる。そこで制御部25は、ボビン交換動作の間も、ドラム駆動モータ19の駆動を継続することにより、巻取部8による糸20の巻き取りは継続するように構成されている。
このように、本実施形態の自動ワインダは、ボビン交換動作中も巻取部8による巻き取りを継続することができる。これにより、巻取部8におけるパッケージ30の生産効率を向上させることができる。また、巻取部8におけるパッケージ30の回転を停止させることが少なくなるので、糸20にタメージを与えることが抑制される。よって、糸品質を損ねることがない。
以上のように、本実施形態の自動ワインダは、糸継動作時やボビン交換動作時など、給糸部7からの糸20の供給が途絶えた場合であっても、巻取部8による巻き取りを継続するように動作する。このような動作を可能とするためには、給糸部7からの糸20の供給が途絶えたときに備えて、十分な量の糸20が糸貯留部18に貯留された状態を常に維持しておく必要がある。
そこで、本実施形態の制御部25は、貯留量制御部41としての機能を有している。貯留量制御部41は、糸貯留部18上の糸20の貯留量を所定の上限量近傍に維持する貯留量制御を行う。
ワインダユニット2は、糸貯留ローラ32上の糸20の貯留量が所定の上限量以上になったことを検出する上限センサ(検知部)36を備えている。本実施形態の上限センサ36は、糸貯留ローラ32の近傍に配置された反射式の光センサとなっており、当該糸貯留ローラ32上の糸20を非接触で検知可能である。なお、本実施形態の上限センサ36は、貯留量が上限量以上になったときにはONとなり、貯留量が上限量未満の場合はOFFとなるように構成されている。上限センサ36の検出結果は、制御部25に出力される。貯留量制御部41は、上限センサ36の検出結果に基づいて、貯留量制御を行う。
貯留量制御部41は、出口速度及び/又は入口速度を調整することにより、貯留量制御を実現できる。即ち、図7からも明らかなように、出口速度を入口速度よりも速くすることで、糸貯留部18の糸20の貯留量を徐々に減少させることができる。また逆に、入口速度を出口速度よりも速くすることで、糸貯留部18の糸20の貯留量を徐々に増大させることができる。
ただし前述のように、本実施形態のワインダユニット2では、給糸ボビン21から糸を解舒する速度が常に最大となるように、ローラ駆動モータ33(入口速度調整装置)を一定速度で制御している。従って、本実施形態のワインダユニット2では、貯留量制御のために入口速度を調整することは適当ではない。そこで本実施形態の貯留量制御部41は、ドラム駆動モータ19(出口速度調整装置)を制御して、出口速度を調整することにより、貯留量制御を行う。
続いて、本実施形態の貯留量制御について詳しく説明する。
貯留量制御部41が行う貯留量制御を図8のフローチャートに示す。貯留量制御部41は、ステップS101で、上限センサ36がONかOFFかを判断する。なお、チャタリング防止のため、ステップS101では、上限センサ36の出力が所定時間(例えば2秒間)のあいだ変化しないことを確認した後で上記判断を行う。
ステップS101において、上限センサ36がONと判断された場合(貯留量が上限量以上の場合)、貯留量制御部41は、ドラム駆動モータ19の駆動速度を、所定の上限駆動速度になるように制御する(ステップS102)。一方、ステップS101において、上限センサ36がOFFと判断された場合(貯留量が上限量未満の場合)、貯留量制御部41は、ドラム駆動モータ19の駆動速度を、所定の下限駆動速度になるように制御する(ステップS103)。
制御部25は、上限駆動速度の設定値を記憶する上限駆動速度記憶部42と、下限駆動速度の設定値を記憶する下限駆動速度記憶部43を備えている。貯留量制御部41は、上限駆動速度記憶部42に記憶された上限駆動速度の設定値、及び下限駆動速度記憶部43に記憶された下限駆動速度の設定値に基づいて、上記の処理を行う。
上限駆動速度は、当該上限駆動速度でドラム駆動モータ19(出口速度調整装置)を駆動したときの出口速度が、入口速度よりも速くなるように設定されている。従って、貯留量制御部41がドラム駆動モータ19を上限駆動速度で制御した場合(ステップS102の処理)、糸貯留部18上の糸20の貯留量は徐々に減少する。この意味で、ステップS102の処理は減量処理であると言える。
また、下限駆動速度は、当該下限駆動速度でドラム駆動モータ19(出口速度調整装置)を駆動したときの出口速度が、入口速度よりも遅くなるように設定されている。従って、貯留量制御部41がドラム駆動モータ19を下限駆動速度で制御した場合(ステップS103の処理)、糸貯留部18上の糸20の貯留量は徐々に増大する。この意味で、ステップS103の処理は増量処理であると言える。
通常の巻き取り時において、貯留量制御部41は、ステップS101からステップS103の処理を繰り返し行うように構成されている。これにより、出口速度が、入口速度を挟んで増速及び減速を繰り返すことになるので、貯留量が上限量を挟んで増減を繰り返す。従って、上記の貯留量制御により、貯留量を、上限量の近傍で維持することができる。この様子を、図9に示す。
以上のように、貯留量制御部41は、上限センサ36のON/OFFに応じて、ドラム駆動モータ19の駆動速度を、上限駆動速度と下限駆動速度で切り換えるように調整する。ここで、上限駆動速度と下限駆動速度の差を、ドラム駆動モータ19の駆動速度の調整幅と呼ぶ。このように、本実施形態の貯留量制御部41は、ドラム駆動モータ19の駆動速度を、所定の調整幅の範囲内で制御することにより、出口速度を調整している。
なお、貯留量制御部41は、糸継動作時やボビン交換時のように、給糸部7からの糸20の供給が中断される場合(糸貯留ローラ32の回転を停止させているとき)には、上記貯留量制御を中断するように構成されている(ステップS104の判断)。なお、制御部25は、上記のように貯留量制御を中断させているあいだ、ドラム駆動モータ19を下限駆動速度よりも低速の低速駆動速度で駆動させる(ステップS106)ことにより、パッケージ30への糸20の巻き取りを継続する。そして、前記糸継動作又はボビン交換が終了して、給糸部7からの糸20の供給が再開されるときに(糸貯留ローラ32の回転を再開するとき)に、貯留量制御部41が上記貯留量制御を再開する。
パッケージ30への糸20の巻き取りが終了した場合(パッケージ30が完成した場合)、貯留量制御部41は、上記貯留量制御を終了する(ステップS105の判断)。新しい巻取ボビン22(空の巻取ボビン22)への糸20の巻き取りを開始する際には、貯留量制御部41は、改めて上記貯留量制御を開始する。
ところで、既に従来技術で説明したように、巻取ドラム24とパッケージ30のあいだにはスリップが生じうる。また、パッケージ30に糸20が巻き取られるに従い、当該パッケージ30の重量が増大して回転しにくくなり、当該パッケージ30の回転速度が変化する。更に、コーン形状のパッケージ30の場合、パッケージ30と巻取ドラム24の接触点である駆動点の変動によってパッケージ30の回転速度が変動する。以上のように、パッケージ30の回転速度は、様々な要因により変動し得る。このため、制御部25がドラム駆動モータ19の駆動速度を調整したとしても、出口速度(パッケージ30に巻き取られる糸20の走行速度)を正確に制御することは困難である。
そこで、上記貯留量制御を確実に行うために、上限駆動速度記憶部42に記憶される上限駆動速度の初期設定値には、余裕を持って大きめ(速め)の値が設定されている。また、下限駆動速度記憶部43に記憶されている下限駆動速度の初期設定値には、余裕を持って小さめ(遅め)の値が設定されている。従って、初期設定値の状態では、ドラム駆動モータ19の駆動速度の調整幅(上限駆動速度と下限駆動速度の差)が広めになっている。なお、ここでいう「初期設定値」とは、新しい巻取ボビン22(空の巻取ボビン22)に対して糸20を巻き始めるときに設定される値をいう。
続いて、本実施形態の特徴的な構成について説明する。
上記のように、新しい巻取ボビン22(空の巻取ボビン22)に対して糸20を巻き始めるときには、ドラム駆動モータ19の駆動速度の調整幅が広めになっている。しかし、このように調整幅が大きいままで貯留量制御を続けると、ドラム駆動モータ19の駆動速度が大きく変動することになる。この結果、パッケージ30に巻き取られる糸20の走行速度(出口速度)が大きく変動し、パッケージ30の形成に悪影響(表面乱れなど)を及ぼすおそれがある。
そこで本実施形態の制御部25は、調整幅制御部45としての機能を有している。調整幅制御部45は、上記調整幅を徐々に狭くしていく調整幅縮小制御を、貯留量制御部41による上記貯留量制御と並行して行うように構成されている。調整幅を狭くすることにより、パッケージ30に巻き取られる糸20の走行速度(出口速度)の変動を抑え、パッケージ30の形成に悪影響が及ぶことを防止できる。
しかし、そもそも、調整幅が広めに設定されているのは、貯留量制御部41による上記貯留量制御を確実に行うためである。調整幅制御部45が調整幅を適当に狭くしてしまうと、貯留量制御部41による貯留量制御を適切に行うことができなくなる可能性がある。そこで、本実施形態の調整幅縮小制御において、調整幅制御部45は、上限センサ36の検出結果に基づいて、調整幅を徐々に狭めていくように構成されている。このように、貯留量に関する情報をフィードバックすることで、調整幅縮小制御を適切に行うことができる。
続いて、本実施形態の調整幅制御部45による調整幅縮小制御について、図10のフローチャートを参照して説明する。
図7に示したように、本実施形態の制御部25は、タイマ46を備えている。
タイマ46は、上限センサ36の出力がONになっている期間(貯留量が上限量以上になっている期間)の長さと、上限センサ36の出力がOFFになっている期間(貯留量が上限量未満になっている期間)の長さと、をそれぞれ測定するように構成されている。ここで、上限センサ36の出力がONになっている期間は、貯留量制御部41による減量処理(図8のステップS102)が行われる期間であるから、減量処理期間と呼ぶ。また、上限センサ36の出力がOFFになっている期間は、貯留量制御部41による増量処理(図8のステップS103)が行われる期間であるから、増量処理期間と呼ぶ。
調整幅制御部45は、上限センサ36がONになっている期間(減量処理期間)の長さが、OFFになっている期間(増量処理期間)の長さ以上か否かを判定する(ステップS201)。
例えば図11(a)のように、減量処理期間(上限センサ36がONになっている期間)の長さが増量処理期間(上限センサ36がOFFになっている期間)の長さよりも長い場合、貯留量制御部41が減量処理を行った時間が増量処理を行った時間より長かったということであり、貯留量制御のバランスがとれていないと言える。そこで、減量処理期間の長さが増量処理期間の長さ以上の場合、調整幅制御部45は、下限駆動速度記憶部43に記憶されている下限駆動速度の設定値を、大きく(速めに)する(ステップS202)。
このように、下限駆動速度の設定値を大きくすることで、ドラム駆動モータ19の駆動速度の調整幅(上限駆動速度と下限駆動速度の差)が狭くなる。従って、パッケージ30に巻き取られる糸20の走行速度(出口速度)の変動を小さくすることができる。
しかも、下限駆動速度の設定値を大きく(速めに)することにより、貯留量制御部41が行う増量処理(ステップS103)において、出口速度が速めになる。これにより、当該増量処理において入口速度と出口速度の差が小さくなり、貯留量が増えにくくなる。結果として、増量処理に時間がかかるようになる(増量処理時間が長くなる)ので、減量処理期間と増量処理期間のバランスが是正される(図11(b))。
ただし、下限駆動速度の設定値を大きく(速めに)し過ぎると、上記増量処理において出口速度が入口速度を上回ってしまう可能性がある。そこで本実施形態の調整幅制御部45は、ステップS202において、下限駆動速度の設定値を予め決められた所定量だけ大きく(速めに)するように構成されている。従って、ステップS202の処理では、図11(b)に示すように、ドラム駆動モータ19の駆動速度の調整幅(上限駆動速度と下限駆動速度の差)が、所定量だけ狭くなる。
また、例えば図12(a)のように、減量処理期間(上限センサ36がONになっている期間)の長さが増量処理期間(上限センサ36がOFFになっている期間)の長さよりも短い場合、貯留量制御部41が行った減量処理(ステップS102)の時間が増量処理(ステップS103)より短いということであり、貯留量制御のバランスがとれていないと言える。そこで、減量処理期間の長さが増量処理期間の長さ未満の場合、調整幅制御部45は、上限駆動速度記憶部42に記憶されている上限駆動速度の設定値を、小さく(遅めに)する(ステップS203)。
このように、上限駆動速度の設定値を小さくすることで、ドラム駆動モータ19の駆動速度の調整幅(上限駆動速度と下限駆動速度の差)が狭くなる。従って、パッケージ30に巻き取られる糸20の走行速度(出口速度)の変動を小さくすることができる。
しかも、上限駆動速度の設定値を小さく(遅めに)することにより、貯留量制御部41が行う減量処理(ステップS102)において出口速度が遅めになる。これにより、当該減量処理において入口速度と出口速度の差が小さくなり、貯留量が減りにくくなる。結果として、減量処理に時間がかかるようになる(減量処理期間が長くなる)ので、減量処理期間と増量処理期間のバランスが是正される(図12(b))。
ただし、上限駆動速度の設定値を小さく(遅めに)し過ぎると、上記減量処理において出口速度が入口速度を下回ってしまう可能性がある。そこで本実施形態の調整幅制御部45は、ステップS203において、上限駆動速度の設定値を、予め決められた所定量だけ小さく(遅めに)するように構成されている。従って、ステップS203の処理では、図12(b)に示すように、ドラム駆動モータ19の駆動速度の調整幅(上限駆動速度と下限駆動速度の差)が、所定量だけ狭くなる。
そして、調整幅制御部45は、通常の巻き取り時において、上記ステップS201からS203の処理を繰り返し行うように構成されている。この繰り返しの処理により、ドラム駆動モータ19の駆動速度の調整幅を、所定量ずつ徐々に狭くしていくことができる。調整幅が調整幅縮小制御によって徐々に狭くなっていく様子を、図13の下側のグラフに例示する。
図13の下側のグラフにおいて、下限駆動速度の設定値が階段状に変化している箇所は、上記ステップS202の処理が実行されたことを示している。また、図13の下側のグラフにおいて上限駆動速度の設定値が階段状に変化している箇所は、上記ステップS203の処理が実行されたことを示している。
前述のように、上記の調整幅縮小制御と並行して、貯留量制御部41による貯留量制御が行われるように構成されている。この貯留量制御による出口速度の変化を、図13の上側のグラフに例示している。調整幅縮小制御により、ドラム駆動モータ19の駆動速度の調整幅が徐々に狭くなっていくので、図13の上側のグラフに示すように、貯留量制御による出口速度の変動も徐々に小さくなっていく。
以上のように、本実施形態の自動ワインダは、上限センサ36の検出結果に基づいて、ドラム駆動モータ19の駆動速度の調整幅を狭くする調整幅縮小制御を行うことで、貯留量制御による出口速度(パッケージ30に巻き取られる糸20の走行速度)の変動を小さくしていくことができる。これにより、パッケージ30への糸の巻き取りが安定し、安定した品質のパッケージ30を形成できる。
なお、調整幅縮小制御によって調整幅が小さくなり過ぎると、上限駆動速度と下限駆動速度に殆ど差がないことになるので、貯留量制御を行っても貯留量が殆ど増減しなくなる。このため、上限センサが頻繁にON/OFFを繰り返し(チャタリング)、かえって貯留量制御が不安定になるという別の問題が生じうる。そこで、貯留量制御を安定させるという観点では、上限駆動速度と下限駆動速度に、ある程度の差があった方が好ましい。
そこで本実施形態の調整幅制御部45は、調整幅が、所定の目標値よりも狭くならないようにしている。具体的には、調整幅制御部45は、調整幅が所定の目標値以下まで狭まったときには(ステップS204の判断)、調整幅縮小制御を終了し、調整幅維持制御に移行するように構成されている。
続いて、本実施形態の調整幅制御部45が行う調整幅維持制御について、図14のフローチャートを参照して説明する。
この調整幅維持制御においても、調整幅制御部45は、上限センサ36がONになっている期間(減量処理期間)の長さが、OFFになっている期間(増量処理期間)の長さ以上か否かを判定するように構成されている(ステップS301)。
減量処理期間の長さが増量処理期間の長さ以上の場合、調整幅制御部45は、下限駆動速度記憶部43に記憶されている下限駆動速度の設定値を、所定量だけ大きくする(ステップS302)。そして、調整幅制御部45は、上限駆動速度記憶部42に記憶されている上限駆動速度の設定値を、ステップS302において下限駆動速度の設定値を大きくした分だけ大きくするように構成されている(ステップS304)。これにより、図15(b)に示すように、調整幅を保ったままで、上限駆動速度及び下限駆動速度を上にシフトさせることができる。
一方、増量処理期間の長さが減量処理期間の長さ以上の場合、調整幅制御部45は、上限駆動速度記憶部42に記憶されている上限駆動速度の設定値を、所定量だけ小さくするように構成されている(ステップS303)。そして、調整幅制御部45は、下限駆動速度記憶部43に記憶されている下限駆動速度の設定値を、ステップS303で上限駆動速度の設定値を小さくした分だけ小さくするように構成されている(ステップS305)。図示は省略するが、これにより、調整幅を保ったままで、上限駆動速度及び下限駆動速度を下にシフトさせることができる。
このように、調整幅維持制御において、調整幅制御部45は、上限駆動速度又は下限駆動速度の何れか一方の設定値を変更した場合には、他方の設定値も、同じ量だけ同じ方向に変更する。これによれば、調整幅(上限駆動速度と下限駆動速度の差)を保つことができ、当該調整幅が目的値よりも狭くならないので、貯留量制御を安定させることができる。これにより、出口速度が入口速度を挟んで増減する状態(例えば図15(b)の状態)で、貯留量制御を安定させることができる。
そして、調整幅制御部45は、上記ステップS301からS305の処理を、パッケージ30への糸20の巻き取りが終了するまで(パッケージ30が完成するまで)繰り返し行うように構成されている(ステップS306の判断)。
なお、上記の調整幅縮小制御及び調整幅維持制御は、貯留量制御と並行して行うものであるから、貯留量制御が停止または中断しているときには、調整幅縮小制御(又は調整幅維持制御)も停止ないし中断させる。例えば前述のように、貯留量制御部41は、糸継動作時及びボビン交換時には貯留量制御を中断する(図8のステップS104の判断)。従って、調整幅制御部45も、糸継動作時及びボビン交換時には調整幅縮小制御(又は調整幅維持制御)を中断させる。そして、貯留量制御部41が貯留量制御を再開させたときには、調整幅制御部45も調整幅縮小制御(又は調整幅維持制御)を再開させる。
パッケージ30への糸の巻き取りが終了した場合(パッケージ30が完成した場合)、調整幅制御部45は、調整幅縮小制御(又は調整幅維持制御)を終了させる。そして、調整幅制御部45は、上限駆動速度記憶部42に記憶されている上限駆動速度の設定値と、下限駆動速度記憶部43に記憶されている下限駆動速度の設定値を、それぞれ初期設定値にリセットする(ステップS307)ように構成されている。従って、新しくパッケージ30の巻き取りを開始する際には、上限駆動速度と下限駆動速度が初期設定値の状態(調整幅が広い状態)で、貯留量制御及び調整幅縮小制御を開始する。
以上で説明したように、本実施形態の自動ワインダは、給糸部7と、糸貯留部18と、巻取部8と、上限センサ36と、ローラ駆動モータ33と、ドラム駆動モータ19と、制御部25と、を備えている。給糸部7は、糸20を供給する。糸貯留部18は、給糸部7から供給された糸20を貯留する。巻取部8は、糸貯留部18に貯留されている糸20を巻き取ってパッケージ30を形成する。上限センサ36は、糸貯留部18における糸20の貯留量が所定の上限量以上か否かを検知する。ローラ駆動モータ33は、糸貯留部18に入る糸20の速度を調整する。ドラム駆動モータ19は、糸貯留部18から出る糸20の速度を調整する。制御部25は、ドラム駆動モータ19による糸20の速度の調整を、所定の調整幅の範囲内で行うことにより前記貯留量を調整する貯留量制御を行う。そして、制御部25は、上限センサ36で検知した情報に基づいて、前記調整幅を目標値となるまで狭める調整幅縮小制御を、貯留量制御と並行して行う。
このように、上限センサ36が検知した情報をフィードバックすることにより、ドラム駆動モータ19による糸20の速度の調整幅を狭めていくことが可能となる。これにより、糸20の走行速度の変動が小さくなり、安定したパッケージ巻き取り及び糸貯留を実現できるので、パッケージ表層の糸層乱れを防止するとともに、糸の貯留量を一定に保つことができる。
また上記のように、本実施形態の制御部25は、ドラム駆動モータ19による糸20の速度の調整を、所定の調整幅の範囲内で行うことにより前記貯留量制御を実現している。そして、制御部25は、前記調整幅の上限である上限駆動速度を小さくする、又は前記調整幅の下限である下限駆動速度を大きくすることにより、調整幅縮小制御を実現している。
これにより、ドラム駆動モータ19による糸20の速度の調整幅を狭めることができる。
また上記のように、本実施形態の上限センサ36は、貯留量が上限量以上か未満かを検知するように構成される。また、本実施形態の自動ワインダは、貯留量が上限量以上の期間である減量処理期間の長さと、貯留量が上限量未満の期間である増量処理期間の長さと、をそれぞれ測定するタイマ46を備える。制御部25は、貯留量が上限量以上の場合は、ドラム駆動モータ19を上限駆動速度で制御し、貯留量が上限量未満の場合は、ドラム駆動モータ19を下限駆動速度で制御することにより、貯留量制御を実現している。そして、制御部25は、減量処理期間の長さが増量処理期間の長さ以上の場合には、下限駆動速度を大きくし、減量処理期間の長さが増量処理期間の長さ未満の場合には、上限駆動速度を小さくすることにより、調整幅縮小制御を実現している。
これにより、減量処理期間と増量処理期間のバランスをとりつつ、調整幅を狭めていくことができる。
また上記のように、ドラム駆動モータ19の調整幅が目標値以下になった後、制御部25は、調整幅縮小制御から調整幅維持制御へ移行している。この調整幅維持制御において、制御部25は、減量処理期間の長さが増量処理期間の長さ以上の場合には、調整幅を保ったまま、下限駆動速度及び上限駆動速度を大きくする。また、この調整幅維持制御において、制御部25は、減量処理期間の長さが増量処理期間の長さ未満の場合には、調整幅を保ったまま、下限駆動速度及び上限駆動速度を小さくする。
これにより、調整幅を目標値に保ちつつ、減量処理期間と増量処理期間のバランスをとることができる。
また上記のように、本実施形態の上限センサ36は、糸貯留部18に貯留された糸20の有無を検知する光学式のセンサ部材である。
光学式のセンサは、糸20の有無を非接触で検知可能であるため、糸20の巻き取りに影響を与えることなく正確な検知結果を得ることができる。また、非接触であるため、糸20の品質に悪影響を及ぼすこともない。
また上記のように、本実施形態の自動ワインダは、給糸部7と糸貯留部18の間の糸20が分断状態になった場合に、分断された糸20を繋ぐ糸継装置14を備えている。糸継装置14による糸継動作の実行中において、制御部25は、貯留量制御及び調整幅縮制御を停止するとともに、巻取部8による糸20の巻き取りは継続する。
即ち、糸継動作の実行中は、給糸部7からの糸20の供給が中断されるので、貯留量制御等は停止しておく。しかしこの場合であっても、巻取部8は、糸貯留部18に貯留されている糸20の巻き取りを継続することができる。また、巻取部8におけるパッケージ30の回転を停止させることが少なくなるので、糸にタメージを与えることが抑制される。よって、糸品質を損ねることがない。
また上記のように、本実施形態の給糸部7は、紡績糸が巻かれた給糸ボビン21を保持するとともに、当該給糸ボビン21から解舒された紡績糸を供給する構成である。
給糸部7において給糸ボビン21の交換が行われる際には、糸20の供給が中断されるが、この場合であっても、巻取部8は、糸貯留部18に貯留されている糸20の巻き取りを継続することができる。また、巻取部8におけるパッケージ30の回転を停止させることが少なくなるので、糸にタメージを与えることが抑制される。よって、糸品質を損ねることがない。
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
上記実施形態において、貯留量制御部41は、出口速度調整装置(ドラム駆動モータ19)を制御して出口速度を調整することにより、貯留量制御、調整幅縮小制御、及び調整幅維持制御を行う構成としている。しかしこれに限らず、貯留量制御部41は、入口速度調整装置(ローラ駆動モータ33)を制御して入口速度を調整することにより、貯留量制御、調整幅縮小処理、及び調整幅維持制御を行っても良い。
このように、入口速度調整装置(ローラ駆動モータ33)を制御する場合であっても、上記実施形態と同じ考え方で制御を行うことができる。
ただし、出口速度を調整するか、入口速度を調整するか、という違いがあるため、上記実施形態の制御から細部を変更する必要が生じる。そこで以下では、ローラ駆動モータ33を制御して入口速度を調整することにより、貯留量制御、調整幅縮小処理、及び調整幅維持制御を実現する場合について簡単に説明する。
即ちこの変形例において、上限駆動速度記憶部42には、ローラ駆動モータ33の駆動速度の調整幅の上限(上限駆動速度)を、下限駆動速度記憶部43には、ローラ駆動モータ33の駆動速度の調整幅の下限(下限駆動速度)を、それぞれ設定しておく。本変形例の貯留量制御部41は、ローラ駆動モータ33の駆動速度を、上限駆動速度と下限駆動速度で切り換えることにより、貯留量制御を実現できる。そして、制御部25は、ローラ駆動モータ33の上限駆動速度を小さくする、又は下限駆動速度を大きくすることにより、前記調整幅縮小制御を実現する。
このように、ローラ駆動モータ33の駆動速度を調整して貯留量制御を行う場合であっても、上記実施形態と同様に、調整幅縮小制御を行うことができる。
この変形例の貯留量制御部41は、貯留量が上限量以上の場合、ローラ駆動モータ33の駆動速度を下限駆動速度に調整する。これにより、入口速度が出口速度よりも遅くなり、貯留量が徐々に減量する(減量処理)。また、この変形例の貯留量制御部41は、貯留量が上限量未満の場合、ローラ駆動モータ33の駆動速度を上限駆動速度に調整する。これにより、入口速度が出口速度よりも速くなり、貯留量が徐々に増量する(増量処理)。
この変形例の調整幅制御部45は、減量処理期間の長さが増量処理期間の長さ以上の場合には、ローラ駆動モータ33の駆動速度の上限駆動速度を小さく(遅めに)する。このように、上限駆動速度を小さくすることで、ローラ駆動モータ33の駆動速度の調整幅(上限駆動速度と下限駆動速度の差)が狭くなる。従って、糸貯留ローラ32に巻き取られる糸20の走行速度(出口速度)の変動を小さくすることができる。
しかも、ローラ駆動モータ33の上限駆動速度を小さくすることにより、上記増量処理において入口速度が遅めになるので、当該増量処理において入口速度と出口速度の差が小さくなり、貯留量が増えにくくなる。結果として、増量処理に時間がかかるようになる(増量処理時間が長くなる)ので、減量処理期間と増量処理期間のバランスを是正できる。
またこの変形例の調整幅制御部45は、減量処理期間の長さが増量処理期間の長さ未満の場合には、ローラ駆動モータ33の駆動速度の下限駆動速度を大きく(速めに)する。このように、下限駆動速度を大きくすることで、ローラ駆動モータ33の駆動速度の調整幅(上限駆動速度と下限駆動速度の差)が狭くなる。従って、糸貯留ローラ32に巻き取られる糸20の走行速度(出口速度)の変動を小さくすることができる。
しかも、ローラ駆動モータ33の下限駆動速度を大きくすることにより、上記減量処理において入口速度が速めになるので、当該減量処理において入口速度と出口速度の差が小さくなり、貯留量が減りにくくなる。結果として、減量処理に時間がかかるようになる(減量処理時間が長くなる)ので、減量処理期間と増量処理期間のバランスを是正できる。
このように、ローラ駆動モータ33の駆動速度を調整して制御する場合であっても、減量処理期間と増量処理期間のバランスをとりつつ、調整幅縮小制御を実現することができる。
またこの変形例において、調整幅が目標値になった後、調整幅制御部45は、上記調整幅縮小制御から、以下の調整幅維持制御へと移行する。即ち、この変形例の調整幅維持制御において、調整幅制御部45は、減量処理期間の長さが増量処理期間の長さ以上の場合には、調整幅を保ったまま、ローラ駆動モータ33の駆動速度の下限駆動速度及び上限駆動速度を小さく(遅めに)する。また、この変形例の調整幅維持制御において、調整幅制御部45は、増量処理期間の長さが前記減量処理期間の長さ未満の場合には、調整幅を保ったまま、ローラ駆動モータ33の駆動速度の下限駆動速度及び前記上限駆動速度を大きく(速めに)する。
このように、ローラ駆動モータ33の駆動速度を調整する場合であっても、調整幅を目標値に保ちつつ、減量処理期間と増量処理期間のバランスをとることができる。
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記実施形態において、検知部は、光反射式の上限センサであるとしたが、これに限定されない。検知部は、何らかの方法により貯留量に関する情報を取得できるものであれば良い。取得された貯留量に関する情報を制御部25フィードバックすることにより、当該制御部25において貯留量制御、調整幅縮小制御、及び調整幅維持制御を実現することができる。
ドラム駆動モータ19(出口速度調整装置)の駆動速度、及びローラ駆動モータ33(入口速度調整装置)の駆動速度は、必ずしも何れか一方を一定に保つ必要はなく、両方を同時に調整することにより貯留量制御を実現してもしても良い。
糸貯留部は、上記実施形態のように糸貯留ローラ32の外周に糸を巻き付けて貯留する構成に限らない。糸を貯留する装置としては、スラックチューブ、コンペンセータなど、糸貯留ローラ32以外の構成も公知である。本願発明の糸貯留部としては、これら公知の構成を採用することもできる。ただし、本実施形態のように糸貯留ローラ32の周囲に糸20を巻き付ける構成であれば、大量の糸の貯留をコンパクトな構成で実現でき、しかも糸がらみが少ない点で有利である。
また、上記実施形態の巻取部8は、巻取ドラム24の外周に形成された綾振溝によって綾振りを行うように構成されているが、例えばアーム式の綾振装置によって綾振りを行う構成であっても良い。
本願発明は、自動ワインダに限らず、糸貯留部を備えた他の構成の糸巻取機にも適用することができる。例えば、特開2004−277949号には、給糸部と巻取部の間に糸貯留部(糸弛み取り装置)を備えた精紡機が開示されている。このような精紡機が備える糸貯留部の貯留量制御に、本願発明の構成を適用できる。なお、この特開2004−277949号の精紡機は、繊維束をドラフトするドラフト装置と、前記ドラフト装置でドラフトされた前記繊維束を紡績する紡績装置と、を備える。そして、当該紡績装置から紡出された紡績糸が、下流側に供給される。従って、この種の精紡機においては、ドラフト装置及び紡績装置を「給糸部」と考えることができる。
このように、紡績装置によって紡出された紡績糸を巻き取る紡績機にも、本願発明の構成を適用することができる。紡績装置と巻取部の間に糸貯留部が配置されるので、当該糸貯留部において、巻取部の速度変動を吸収できる。これにより、当該速度変動が紡績速度に影響を与えることを防止し、安定した紡績速度で紡績糸を紡出することができる。
2 ワインダユニット
7 給糸部
8 巻取部
18 糸貯留部
19 ドラム駆動モータ(出口速度調整装置)
20 糸
30 パッケージ
33 ローラ駆動モータ(入口速度調整装置)
7 給糸部
8 巻取部
18 糸貯留部
19 ドラム駆動モータ(出口速度調整装置)
20 糸
30 パッケージ
33 ローラ駆動モータ(入口速度調整装置)
Claims (11)
- 糸を供給する給糸部と、
前記給糸部から供給された糸を貯留する糸貯留部と、
前記糸貯留部に貯留されている糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取部と、
前記糸貯留部における前記糸の貯留量に関する情報を検知する検知部と、
前記糸貯留部に入る糸の速度を調整する入口速度調整装置と、
前記糸貯留部から出る糸の速度を調整する出口速度調整装置と、
前記入口速度調整装置及び/又は前記出口速度調整装置による前記糸の速度の調整を、所定の調整幅の範囲内で行うことにより前記貯留量を調整する貯留量制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記検知部で検知した情報に基づいて、前記調整幅を目標値となるまで狭める調整幅縮小制御を、前記貯留量制御と並行して行うことを特徴とする糸巻取機。 - 請求項1に記載の糸巻取機であって、
前記制御部は、
前記出口速度調整装置による前記糸の速度の調整を、所定の調整幅の範囲内で行うことにより前記貯留量制御を実現するとともに、
前記調整幅の上限を小さくする、又は当該調整幅の下限を大きくすることにより、前記調整幅縮小制御を実現することを特徴とする糸巻取機。 - 請求項2に記載の糸巻取機であって、
前記検知部は、前記貯留量が目的量以上か未満かを検知するように構成され、
前記貯留量が前記目的量以上の期間である減量処理期間の長さと、前記貯留量が前記目的量未満の期間である増量処理期間の長さと、をそれぞれ測定するタイマを備え、
前記制御部は、
前記貯留量が前記目的量以上の場合は、前記出口速度調整装置を前記調整幅の上限で制御し、前記貯留量が前記目的量未満の場合は、前記出口速度調整装置を前記調整幅の下限で制御することにより、前記貯留量制御を実現するとともに、
前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ以上の場合には、前記調整幅の下限を大きくし、前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ未満の場合には、前記調整幅の上限を小さくすることにより、前記調整幅縮小制御を実現することを特徴とする糸巻取機。 - 請求項3に記載の糸巻取機であって、
前記制御部は、前記出口速度調整装置の前記調整幅が前記目標値になった後は、前記調整幅縮小制御から調整幅維持制御へと移行するように構成され、
当該調整幅維持制御において、前記制御部は、
前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ以上の場合には、前記調整幅を保ったまま、当該調整幅の上限及び下限を大きくするとともに、
前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ未満の場合には、前記調整幅を保ったまま、当該調整幅の上限及び下限を小さくすることを特徴とする糸巻取機。 - 請求項1に記載の糸巻取機であって、
前記入口速度調整装置による前記糸の速度の調整を、所定の調整幅の範囲内で行うことにより前記貯留量制御を実現するとともに、
前記制御部は、前記調整幅の上限を小さくする、又は当該調整幅の下限を大きくすることにより、前記調整幅縮小制御を実現することを特徴とする糸巻取機。 - 請求項5に記載の糸巻取機であって、
前記検知部は、前記貯留量が目的量以上か未満かを検知するように構成され、
前記貯留量が前記目的量以上の期間である減量処理期間の長さと、前記貯留量が前記目的量未満の期間である増量処理期間の長さと、をそれぞれ測定するタイマを備え、
前記制御部は、
前記貯留量が前記目的量以上の場合は、前記入口速度調整装置を前記調整幅の下限で制御し、前記貯留量が前記目的量未満の場合は、前記入口速度調整装置を前記調整幅の上限で制御することにより、前記貯留量制御を実現するとともに、
前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ以上の場合には、前記調整幅の上限を小さくし、前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ未満の場合には、前記調整幅の下限を大きくすることにより、前記調整幅縮小制御を実現することを特徴とする糸巻取機。 - 請求項6に記載の糸巻取機であって、
前記制御部は、前記入口速度調整装置の前記調整幅が前記目標値になった後は、前記調整幅縮小制御から調整幅維持制御へと移行するように構成され、
当該調整幅維持制御において、前記制御部は、
前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ以上の場合には、前記調整幅を保ったまま、当該調整幅の上限及び下限を小さくするとともに、
前記減量処理期間の長さが前記増量処理期間の長さ未満の場合には、前記調整幅を保ったまま、当該調整幅の上限及び下限を大きくすることを特徴とする糸巻取機。 - 請求項1から7までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
前記検知部は、前記糸貯留部に貯留された糸の有無を検知する光学式のセンサ部材であることを特徴とする糸巻取機。 - 請求項1から8までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
前記給糸部と前記糸貯留部の間の糸が分断状態になった場合に、分断された糸を繋ぐ糸継装置を備え、
前記糸継装置による糸継動作の実行中において、前記制御部は、前記貯留量制御及び前記調整幅縮小制御を停止するとともに、前記巻取部による前記糸の巻き取りは継続することを特徴とする糸巻取機。 - 請求項1から9までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
前記給糸部は、紡績糸が巻かれた給糸ボビンを保持するとともに、当該給糸ボビンから解舒された前記紡績糸が供給されることを特徴とする糸巻取機。 - 請求項1から9までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
前記給糸部は、
繊維束をドラフトするドラフト装置と、
前記ドラフト装置でドラフトされた前記繊維束を紡績する紡績装置と、
を備え、
前記紡績装置から紡出された紡績糸が供給されることを特徴とする糸巻取機。
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