JP2014528241A - 高濃度デンプン粒の液化及び糖化 - Google Patents

高濃度デンプン粒の液化及び糖化 Download PDF

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Abstract

本技術は、高濃度で乾燥固形分を含有するスラリーにおいてデンプン粒を加工する方法を提供する。スラリーは、はじめに糊化温度以下で酵素とインキュベートする。規定の量でプルラナーゼ及びグルコアミラーゼを使用することで、低エネルギーコストでグルコース収率を向上させることができる。【選択図】図1

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2011年9月29日に出願された米国仮出願特許第61/541,031号の利益を主張し、その全体を参照により本明細書に組み込む。
不溶性のデンプン粒のグルコース又はその他の溶解性デキストリンへの変換は、糖甘味料、特にシロップ、酵素、タンパク質、アルコール(例えば、エタノール、ブタノール)、有機酸(乳酸、コハク酸、クエン酸)、並びに特にバイオケミカル、例えばアミノ酸(リジン、グルタミン酸ナトリウム)、及び1〜3プロパンジオールなどの最終産物を得るための、並びにバイオ燃料産業のための大規模の工程に重要である。デンプン粒の一部結晶様の性質が、冷水に対する不溶性を付与する。デンプン粒を水に溶解させるには、結晶構造を破壊するための極めて多量の熱エネルギーが必要とされる。デンプン粒を溶解させるために使用される水が多量になる程、水を加熱するために必要とされるエネルギーも多量になる。同様に、これに続く糖化後に水を蒸発させるには更に多量のエネルギーが必要とされるようになる。
可溶化は、蒸気注入による直接加熱法などの、直接的又は間接的加熱系により実施することができる。(例えば、Starch Chemistry and Technology,eds R.L.Whistler et al.,2nd Ed.,1984 Academic Press Inc.,Orlando,FL and Starch Conversion Technology,Eds.G.M.A.Van Beynum et al.,Food Science and Technology Series,Marcel Dekker Inc.,NYを参照されたい)。典型的な従来のデンプン液化システムでは、高圧下で直接蒸気注入クッカーに水性のデンプンスラリーを送達して、スラリー温度を約35〜40℃から107〜110℃へと上昇させる。スラリーは、一般的に、熱安定性が高いαアミラーゼを含有しており、この場合、pHはαアミラーゼに望ましくなるよう調整される。湿式粉砕により生じるデンプン粒は、通常、40〜42%の乾燥固形分含量を有する。濃度は、液化温度以上に過熱する前に、概して乾燥固形分32%〜35%へと希釈される。希釈し、及び結果的に粘度を減少させずして、高温ジェットクッキングユニットのオペレーションシステムの供給ポンプによりスラリーを取り扱うことはできない。
これまでに報告されてきた上記の従来法の代替法では、液化温度以上にデンプン粒スラリーを加熱せずに、過剰な粘度にまつわる問題が回避されている(例えば、米国特許第7,618,795号及び同第20050136525号を参照されたい)。その代わりに、デンプン粒は、液化温度を下回る温度にて、酵素による加水分解により可溶化される。このような「低温」系では、従来の系と比較してより高濃度(例えば、最大45%)で乾燥固形分を加工可能であることがこれまでに報告されている。しかしながら、非加熱系は、可溶化を実質的に完了させるために、わずかに高い温度で約24時間以上という比較的長時間にわたりインキュベートする必要があるという不都合を有する。インキュベートが長くなるほど、その事自体がエネルギーコストの増加を伴う。
この方法によりデンプン粒を大規模で加工した場合、効率性における改良が非常に僅かなものである場合にも、多大な経済上の利点を有し得る。しかしながら、変換プロセスは既に大規模に解析されており、このような改良は特定されかつ実施されている(例えば、Martin & Brumm著、「Starch Hydrolysis Products:Worldwide Technology,production and applications」 New York,VCH Publishers,Inc.1992 のpp.45〜77 及び Luenser,Dev.in Ind.Microbiol.24.79〜96(1993)を参照されたい)。
本発明は、デンプン粒の加工法であって:(a)デンプン粒、水、及びα−アミラーゼ及び/又はグルコアミラーゼなどの1つ以上のデンプン粒加水分解酵素を接触させて、乾燥固形分濃度が38重量%超のスラリーを製造する工程、(b)少なくとも5分間、40℃超、かつデンプン粒の糊化温度以下の温度でスラリーをインキュベートして、上記1つ以上の酵素により、デンプン粒が少糖類及び/又は単糖類へと一部加水分解された組成物を製造する工程;並びに(c)上記一部加水分解された組成物の温度をデンプン粒の糊化温度超の温度に上昇させかつ維持し、液化組成物を製造する工程、を含む方法を提供する。
一部の方法は、(d)液化組成物をプルラナーゼ及びグルコアミラーゼと接触させ、かつインキュベートしてグルコースを製造する工程、を更に含む。一部の方法では、工程(b)におけるインキュベーションは、工程(b)の終了時の不溶性乾燥固形分濃度を38重量%以下にするのに十分な時間にわたるものである。一部の方法では、乾燥固形分のうち2〜30%が工程(b)の終了時に可溶性となる。一部の方法では、乾燥固形分の割合は、工程(a)〜(d)を通して少なくとも39%である。一部の方法では、乾燥固形分の濃度は、工程(a)〜(d)を通して39〜45重量%である。一部の方法では、乾燥固形分の割合は、工程(a)及び(d)間で同じであるか又は増加する。一部の方法では、工程(b)、(c)及び(d)を通して、スラリーには10重量%以下の水を添加する。一部の方法では、工程(b)、(c)及び(d)を通して、スラリーには追加の水を添加しない。一部の方法では、1つ以上の酵素にはαアミラーゼが含有される。一部の方法では、αアミラーゼはバチルス(Bacillus)αアミラーゼである。一部の方法では、αアミラーゼは、SPEZYME(登録商標)AA、SPEZYME(登録商標)XTRA(登録商標)、SPEZYME(登録商標)FRED、GYZME(登録商標)G997、TERMAMYL(登録商標)、120−L、LC、SC、SUPRA又はFuelzyme(登録商標)である。一部の方法では、1つ以上の酵素には、少なくとも2種類のαアミラーゼが含有される。一部の方法では、αアミラーゼは熱安定性であり、工程(c)において活性を維持する。
一部の方法では、工程(b)における温度は55〜67℃である。一部の方法では、工程(b)におけるインキュベートは5分間〜4時間にわたるものである。一部の方法では、工程(c)の温度は90〜110℃である。一部の方法では、組成物は90〜110℃にて5分間〜4時間にわたり維持される。一部の方法では、組成物は、100〜110℃にて5〜20分間、及び90〜100℃にて1〜2時間にわたり維持される。一部の方法では、工程(d)におけるプルラナーゼ対グルコアミラーゼ比は、ユニットにして少なくとも9:1である。一部の方法では、工程(d)は、40〜80℃の温度で実施される。一部の方法では、工程(d)は、20〜150時間にわたり実施される。一部の方法では、グルコースの収率は、デンプン粒の重量の少なくとも95%である。一部の方法では、グルコースの収率は、デンプン粒の重量の少なくとも95〜96%である。一部の方法では、1つ以上の酵素には、α−アミラーゼが含有され、かつ方法は、工程(c)後にαアミラーゼを不活性化させる工程を更に含む。
一部の方法では、αアミラーゼの不活性化は、熱又は酸処理によるものである。一部の方法では、工程(a)後に、pHを変更させるために酸又は塩基を添加することはない。一部の方法では、工程(b)、(c)及び(d)を通して、pHは4.9〜5.5である。一部の方法では、工程(d)中又は後にグルコースを濃縮するために1回を超えて蒸発工程を実施することはない。
一部の方法では、工程(d)におけるプルラナーゼはバチルス(Bacillus)由来のものであり、かつグルコアミラーゼはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)又はヒュミコラ・グリセア(Humicola grisea)由来のものである。一部の方法では、プルラナーゼ及びグルコアミラーゼは混合されて提供される。
一部の方法では、デンプン粒は湿潤粉砕により製造される。一部の方法では、デンプン粒は、小麦、大麦、トウモロコシ、ライ麦、米、サトウモロコシ、マメ科植物、キャッサバ、雑穀、ジャガイモ、サツマイモ、又はタピオカのデンプン粒である。
一部の方法では、1つ以上の酵素は1つ以上のαアミラーゼであり、方法は、液化組成物を冷却することにより、液化組成物中で、工程(a)の1つ以上のαアミラーゼ、又は1つ以上の新鮮なαアミラーゼにデンプンを少糖へと加水分解させて、マルトデキストリン組成物を製造する工程を更に含む。一部の方法では、液化組成物を冷却させる工程は、液化組成物を、気温を超える温度かつ工程(c)を下回る温度にてインキュベートする工程を含む。
一部の方法では、デンプン粒は、温度範囲にわたって糊化され、かつ工程(b)における温度は範囲の下端未満のものである。
本発明のデンプン液化プロセスを比較するフローチャートである。 60℃下での、追加のαアミラーゼは不含有のスラリーに対する乾燥材料の影響。 45%乾燥固体トウモロコシデンプン基質を使用し、デンプン粒を一部可溶化及び加水分解させた場合に、糊化温度下で最高粘度に対し生じる影響。
用語の定義
別途記載のない限り、使用したすべての技術的及び科学的用語は、関連する科学分野における通常の意味を有する。本発明に記載される多くの用語のもつ一般的な意味は、Singleton,et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,2d Ed.,John Wiley and Sons,New York(1994)、及びHale & Markham,Harper Collins Dictionary of Biology,Harper Perennial,NY(1991)に提供される。
「デンプン」は、(C10(式中、Xは任意の数値をとる)を有するアミロース及び/又はアミロペクチンを含む、植物の複合多糖類糖などの任意の物質を意味する。詳細には、この用語は、穀類、草類、塊茎類及び根類、より具体的には、小麦、大麦、トウモロコシ、ライ麦、米、サトウモロコシ、マメ科植物、キャッサバ、雑穀、ジャガイモ、サツマイモ、及びタピオカを含む植物系材料を指す。
「デンプン粒」は、糊化を起こしていない未調理(生)のデンプンを指す。
「デンプンの糊化」は、デンプン分子を可溶化させて粘性な懸濁液を形成することを意味する。
「糊化温度」は、デンプンを含有している基質が糊化を始める最低温度である。糊化の正確な温度は具体的なデンプンによって異なり、植物種並びに環境及び生育条件などの因子に応じて異なる場合もある。数多くのデンプン粒に関し、本明細書に記載のプロセスに従って使用することのできる、初期デンプン糊化温度範囲としては、大麦(52〜59℃)、小麦(58〜64℃)、ライ麦(57〜70℃)、トウモロコシ(62〜72℃)、アミロース高含有トウモロコシ(67〜80℃)、米(68〜77℃)、サトウモロコシ(68〜77℃)、ジャガイモ(58〜68℃)、タピオカ(59〜69℃)及びサツマイモ(58〜72℃)が挙げられる(Swinkels,pg.32〜38 in STARCH CONVERSION TECHNOLOGY,Eds Van Beynum et al.,(1985)Marcel Dekker Inc.New York、並びにThe Alcohol Textbook 3.sup.rd ED.A Reference for the Beverage,Fuel and Industrial Alcohol Industries,Eds Jacques et al.,(1999)Nottingham University Press,UK)。糊化には、結晶領域の溶融、分子の水和及びでんぷん類の不可逆的な膨潤が包含される。結晶質領域の大きさ、及び/又は分子秩序の度合い若しくは結晶の完全性が異なることから、糊化温度は、用いるデンプン粒によって異なる。STARCH HYDROLYSIS PRODUCTS Worldwide Technology,Production,and Applications (eds/Shenck and Hebeda,VCH Publishers,Inc,New York,1992)第26頁。
「DE」又は「デキストロース当量」は、還元糖の総濃度に関係する工業規格であり、乾燥重量基準に基づきD−グルコース(%)として表される。加水分解されていないデンプン粒のDEは本質的に0であり、D−グルコースのDEは100である。
「グルコースシロップ」は、グルコース固形分を含有する水性組成物を指す。グルコースシロップは20超のDEを有する。一部のグルコースシロップは21%以下の水と、デキストロースとして算出される25%以上の還元糖を含有する。一部のグルコースシロップは、少なくとも90%のD−グルコース又は少なくとも95%のD−グルコースを含有する。しばしば、用語グルコース及びグルコースシロップは互換的に使用される。
「デンプンの加水分解」は、水分子の付加によるグリコシド結合の開裂を意味する。
「スラリー」は、水中に不溶性デンプン粒を含有する水性混合物である。
用語「総糖含量」は、単糖類、少糖類及び多糖類を含有するデンプン組成物中に存在する総糖含量を指す。
用語「乾燥固形分(ds)」は、水に溶解した乾燥固形分、水に分散した乾燥固形分、又はこれらの両方の組み合わせを指す。したがって、乾燥固形分にはデンプン粒、並びにグルコースなどその加水分解産物が含有される。
「乾燥固体」含量は、溶解及び分散させた乾燥固形分の、乾燥固形分を分散及び/又は溶解させた水に対する割合(重量%)を指す。初期乾燥固体含量は、デンプン粒の重量と水の重量とに対する湿分含量により補正したデンプン粒の重量である。以降の乾燥固形分は、加えた又は失われた水分量について、並びに化学的な増分について初期含量を調整することにより求めることができる。以降の溶解した乾燥固体含量は、以降に記載の通りの屈折率をもとに測定することができる。
用語「高DS」は、水に加えて38重量%超の乾燥固体を含有する水性デンプンスラリーを指す。
「乾燥デンプン成分」は、デンプン粒の乾燥デンプン含量を指すものであり、デンプン粒の質量から水分量を差し引くことで求めることができる。例えば、デンプン粒の水分含量が20%である場合、100kgのデンプン粒は80kgの乾燥デンプン含量を有する。乾燥デンプン成分は、どの程度の量で酵素ユニットを使用すべきか決定する際に使用できる。
「乾燥成分屈折率」(RIDS)は、制御温度下でDE既知のデンプン溶液の屈折率を測定し、次に、トウモロコシ精製業協会(Corn Refiners Association)の重要データ表(the Critical Data Tables)などの適切な相関を利用して、RIを乾燥成分量へと変換したものである。
「重合度」(DP)とは、所定の糖中に含まれる無水グルコピラノース単位の数(n)を指す。DP1の例は、グルコ−ス及びフルクトースといった単糖類である。DP2の例は、マルトース及びスクロースといった二糖類である。DP4(>DP3)は、3超の重合度を有するポリマーを意味する。
「接触させること」は、酵素に基質を最終産物へと変換させるために、1つ以上の酵素及び/又は他の反応成分を、基質に近接させるのに十分な位置に配置することを指す。接触させることは、酵素溶液を各基質と組み合わせる又は混合することにより効果的なものとすることができる。
「酵素活性」は、基質に対する酵素の作用を指す。
「デンプンの加水分解」は、水分子の付加によるグリコシド結合の開裂を指す。
「α−アミラーゼ(E.C.分類3.2.1.1)」は、α−1,4−グルコシド結合の加水分解を触媒する酵素である。これらの酵素は、1,4−α−結合型D−グルコース単位を含有する多糖中の1,4−α−D−グリコシド結合のエキソ作用型又はエンド作用型加水分解に作用するものとしても報告されている。これらの酵素の表記には、別に、用語「グリコゲナーゼ」も使用される。酵素例としては、α−1,4−グルカン4−グルカノヒドラーゼグルカノヒドラーゼ(alpha-1, 4-glucan 4-glucanohydrase glucanohydrolase)が挙げられる。
「グルコアミラーゼ」は、アミログルコシダーゼ(EC.3.2.1.3、グルコアミラーゼ、α−1,4−D−グルカングルコヒドラーゼ)に分類される酵素を指し、この酵素は、デンプンの非還元末端から一連のグルコース単位を除去する。この酵素は、デンプン、アミロース及びアミロペクチンの直鎖及び分枝状グリコシド結合のいずれをも加水分解することができる。この酵素は、α−1,6及びα−1,3結合も加水分解するものの、α−1,4結合の場合と比較してその速度はかなり遅い。
「プルラナーゼ」は、脱分岐酵素(E.C.3.2.1.41、プルラン6−グルカノヒドロラーゼ)とも呼ばれ、アミロペクチン分子中のα 1〜6グルコシド結合を加水分解することができる。
「液化ユニット」(LU)は、特定の条件下で、実施例1のデンプン基質に、一定段階のデキストリン化を示すヨウ素溶液による色変化を生じさせるのに必要とされた、消化時間を測定した値である(例えば、米国特許第5,756,714号を参照されたい)。
「最終産物」は、酵素によりデンプン粒基質から変換され、分子生成物から誘導される、任意の炭素資源である。好ましくは、最終産物は、グルコース又はグルコースシロップである。グルコースは、他の望ましい最終産物のための前駆体として使用することができる。
「収率」は、所望の最終産物(単数/複数)(例えば、グルコース)の量を、初期デンプン粒の乾燥重量(%)として指す。
配列同一性は、Wisconsin Geneticsソフトウェア・パッケージ・リリース7.0(Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WI)に含まれるBESTFIT、FASTA、及びTFASTAなどのアルゴリズムを利用し、デフォルトのギャップパラメータを使用して配列を整列させることにより、あるいは観察し最良の(すなわち、比較ウィンドウ全体で配列類似性の割合が最も高くなるように)アラインメントを行うことにより求めることができる。配列同一性の割合は、より長さが短い(長さが均等でない場合)配列にわたって、最適に整列した2つの配列を比較して、両方の配列で同一の残基が見られる位置数を割り出し、一致する位置数を得て、この一致する位置数を、一致した及び不一致だった位置数(連続するギャップ数は計数しない)の総数により除し、得られた値に100を乗じ、配列同一性の割合を求めることにより算出される。
用語「含有する(comprising)」及びその関連語は、それらの包括な観点で使用され、すなわち用語「包含する(including)」及びその対応する同類語と等価である。
数値の範囲は、範囲を定義する数値を包含する。一部の好ましい下位範囲も掲載されるが、いずれの場合にも、範囲には、範囲内に含まれる整数により定義されるすべての下位範囲が包含される。
I.概論
本発明は、デンプン粒の加工法を提供する。本発明は、比較的低温下でデンプン粒を1つ以上のデンプン粒加水分解酵素により前処理すると、温度を糊化温度よりも大幅に上昇させ、デンプン粒を可溶化させて液化した際に、以降の粘度及びダイラタンシー(ずり増粘)が大幅に減少するという結果に一部基づくものである。酵素の添加後に、デンプン粒の温度を直ちに糊化温度超に上昇させる、一般的なプロセスによる場合と比較して、前処理によりデンプン粒は大幅に溶解しやすくなる。しかしながら、全体を低温で実施するプロセスとは異なり、前処理では多量のデンプン粒が不溶のまま残存する。驚くべきことに、粘度を大幅に低下させることができるのにもかかわらず、溶解される固形分の最終的な量は変わらない。少量の前処理でさえも、乾燥固形分38%超の初期濃度でデンプン粒を従来の工業装置により加工できるようになる。したがって、本発明では、湿式粉砕により、典型的には乾燥固形分濃度40〜42%で得られるデンプン粒を、最初に希釈せずに従来の装置で加工することができる。高濃度で加工することにより、所定量のデンプン粒を加工するのに必要とされる水分量、熱エネルギー量、並びに試薬量が減少する。デンプン粒の大規模加工に際し、このような節約は実務上非常に重要である。本方法により、加工可能なデンプン濃度を増大させることで、下流の糖化において、加工(例えば、蒸発工程)を短縮させた場合にも同様の又は良好な収率でグルコースを得ることができるという利点もある。プルラナーゼ及びグルコアミラーゼの適切なブレンドを使用することで、初期濃度38%超の乾燥固形分から収率95%以上でグルコースを得ることができる。
II.出発原料
プロセス用の出発原料はデンプン粒である。デンプン粒を含む植物材料は、小麦、トウモロコシ、ライ麦、サトウモロコシ(ミロ)、米、雑穀、大麦、ライ小麦、キャッサバ(タピオカ)、ジャガイモ、サツマイモ、甜菜、砂糖黍、並びにマメ科植物例えば大豆及びエンドウなどの資源から得ることができる。好ましい植物材料としては、トウモロコシ、大麦、小麦、米、ミロ及びこれらの組み合わせが挙げられる。植物材料には、交配種及び遺伝的に改質した変種植物(例えば、異種遺伝子を含む遺伝子導入トウモロコシ、大麦又は大豆)も包含する。植物材料として使用することのできる植物部位には、葉、茎、さや、殻、塊茎、穂軸、及び穀物などが含まれる。全粒も、デンプン粒として使用することができる。好ましい全粒としては、トウモロコシ、小麦、ライ麦、大麦、サトウモロコシ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは全粒は、製粉法(例えば、ハンマーミリング又はローラーミリング);乳化法;ロータリーパルス法;及び分留法などにより大きさを減少させる。
デンプン粒は、好ましくはトウモロコシの湿式粉砕により製造される。典型的な湿式粉砕プロセスは、検査し、穂軸、もみ殻、及び他の細片を除去し洗浄したトウモロコシの穀粒を乾燥させることにより開始される。次にこのトウモロコシを、少量の二酸化硫黄及び乳酸を入れた大型槽に浸しつける。これらの2種の化学物質は、24〜48時間の浸漬工程にわたり、温水中でトウモロコシの穀粒の軟化を助ける。この浸漬時にトウモロコシは膨潤し、軟化し、弱酸性条件によりグルテンの結合が失われ、デンプンが放出される。浸漬後、トウモロコシを粗挽きする。この粗挽きトウモロコシと、ある程度の浸漬水を、本質的に胚を認識する分離装置にかけ、又は軽量の含油画分を混合物から浮かび上がらせ除去する。繊維材料を選別し、大型遠心分離器を使用しデンプン粒及びタンパク質を密度により分離する。デンプン粒は、多くの場合、乾燥重量にして約40〜42重量%の濃度で得られる。濃度は、以降のプロセスの通りに使用することができ、あるいはろ液を希釈又は濃縮することにより、乾燥重量にして38重量%超の任意の所望の濃度に調整することができる。
デンプン粒には、全粉粒など乾式粉砕由来の粉粒、あるいは子嚢及び胚及びタンパク質などの比デンプン画分を除去して精製した各種画分も含まれる。
III.変換プロセス
スラリーは、デンプン粒、水及び1つ以上のデンプン粒加水分解酵素を接触させて形成する。スラリー成分は任意の順番で組み合わせることができる。好ましくは、水及びデンプン粒を最初に組み合わせた後に酵素を加える。水は典型的には一般的な水道水であるものの、任意の種類の水であってよい(例えば、天然の水源から直接採水した水、蒸発から凝縮させたものなどの再生水、又は蒸留水)。水は、目的とするインキュベート温度に又はその付近の温度、あるいは加熱によりスラリーの温度を目的とするインキュベート温度にする熱を供給することのできる任意の他の温度(例えば、大気温度)に加熱して供給することができる。少量の、例えば、水の重量の1:100未満の添加剤、例えば、酸、塩基、塩類、又は他の添加剤をスラリーに組み合わせてpHを調整したり、あるいは酵素活性を向上させることができる。このような成分は、水の成分として添加することができ、あるいは別の方法でスラリーと組み合わせることができる。pHは、好ましくは4〜6.5の範囲のものであり、より好ましくは4.9〜5.5の範囲のものである。
デンプン粒を最初にスラリーに組み合わせる際、乾燥固形分の重量:スラリー中の水+乾燥固形分の重量として測定されるデンプン粒濃度は38%超である。ここで、本開示の別の項で記載の通りに、スラリーに導入したデンプン粒の実際の重量は湿分含量(多くの場合約11%)により補正される。例えば、湿分含量を有する45gのデンプン粒を55gの水と組み合わせる場合、乾燥固形分の濃度は45×0.89/100=40.05%となる。デンプン粒の水以外の任意の非糖質成分については、乾燥固形分の割合を算出する際に補正を行わない。何らかのタンパク質及び脂質が存在したとしても、それらの重量は、糖質のものと比較して無視できる程度のものである。
所望により、乾燥固形分量(%)に基づき、デンプン粒の初期濃度は、少なくとも38.5、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50%であり、かつ所望により、65%、60%、55%、又は50%未満である(上限値及び下限値のすべての順列を含む)。例えば、初期濃度は、しばしば39〜50%、39〜45%、40〜50%、又は40〜45%、又は41〜50%、又は41〜45%、又は42〜50%、又は42〜45%である。好ましくは、初期濃度は38.5〜42、38.5〜43、39〜42、39〜43である。酵素又はスラリーの任意の他の微量成分は、通常、量がごく僅かであり、水の重量に基づきデンプン粒の割合を求める際に考慮する必要はない。最初は、デンプン粒は水にまったく溶解していない。デンプン粒プロセシング酵素がデンプン粒に作用するにつれ、デンプンは部分的に単糖及び少糖に加水分解されるようになる。単糖及び少糖は水溶性であり、溶解する。
酵素量は酵素の種類及び活性に応じ変化する。一般的に、原材料のメートルトン(MT)乾燥固形分に対し、約0.01〜5.0kg量の熱安定性αアミラーゼを添加し、好ましくは約0.5〜2.0kgの乾燥固形分又は約0.1〜1.0kgの乾燥固形分を添加する。グルコアミラーゼを使用する場合には、αアミラーゼについて記載した重量範囲と同様の範囲で供給することができる。例えば、一般的に、メートルトンのデンプン乾燥固形分には、約0.01〜1.0kg量のSPEZYME(登録商標)XTRA及びSPEZYME(登録商標)FRED(Danisco−Genencor)又はこれらの変異体が添加される。例えば、酵素は、デンプン乾燥固形分メートルトンあたり乾燥固形分約0.05〜1.0kg;乾燥固形分約0.1〜0.6kg;約0.2〜0.6kg及び約0.4〜0.6kgの量でSPEZYME(登録商標)XTRA及びSPEZYME(登録商標)FREDを添加することができる。
スラリーを撹拌して、水中でのデンプン粒の分散を増加させ、デンプン粒プロセシング酵素の作用を促進させることができる。
スラリーをインキュベートする温度は、デンプン粒プロセシング酵素がデンプン粒を部分的に加水分解する活性は促進されるものの、加水分解産物が溶解する以外にはデンプン粒の液化が実質的に生じることのないよう、選択される。このような選択は、室温超の温度、及び通常40℃超でありかつデンプン粒の液化温度を実質的に超えるものではない温度を利用してなすことができる。好ましくは、温度は40℃超であり、かつデンプン粒の糊化温度以下である。デンプン粒の糊化温度は、調製法及び資源により変化するものの、通常は52〜80℃の範囲内である。多くの所定の資源材料に関し、糊化温度は52〜80℃内の下位範囲として表すことができる(定義に提供した範囲例を参照されたい)。この場合、インキュベート温度は、好ましくは下位範囲の下限以下のものであり、あるいは下位範囲の中点以下のもの又は下位範囲の上限のものであってよい。好ましくは、インキュベート温度は所与のデンプン粒資源に糊化が生じる温度範囲の下限未満である。
デンプン粒加水分解活性を有する1つ以上の酵素としては、α−アミラーゼ及び/又はグルコアミラーゼが挙げられる。α−アミラーゼを含有させることが好ましい。マルトデキストリンを変換させることが所望される場合、好ましくはα−アミラーゼ以外の酵素は使用しない。α−アミラーゼは好ましくは熱安定性であり、スラリーの温度を糊化温度以上に上昇させた場合にも活性を保つ。1つ以上の酵素には、同種類の2種の酵素を含有させることができ(例えば、異なる供給元由来の2種のα−アミラーゼ)、この場合、酵素量はひとまとまり又はユニットとして酵素ブレンドに加える。デンプン粒プロセシング活性を有する1つ以上の酵素が存在する場合、酵素は混合されて又は別個に供給することができる。
スラリーをインキュベートする期間は、各種因子の中でもデンプン粒の濃度及び酵素の活性によって変化し得る。他の条件が同じなら、デンプン濃度が高濃度になるほど時間は長くなり、酵素の活性がより高くなるほど時間は短くなる。同様に、酵素の活性は、スラリーに組み合わせる酵素の量及び種類、並びにインキュベート温度に応じて変化する。実施困難になるほど粘度を上昇させずにスラリーを液化することができるよう、十分に部分加水分解し、デンプン粒を溶解させることがインキュベートの目的である。しかしながら、以降の工程で糊化温度まで温度を上昇させた際に更に加水分解及び可溶化が生じることから、この段階で過剰にインキュベート及び部分加水分解を行う必要はない。好ましくは、インキュベートは、インキュベート条件下で水中に残存し、水の重量に加え最初に供給したデンプン粒重量の割合として示される不溶性デンプン濃度を、38重量%以下とするよう選択される条件下で、十分な時間行われる。別の方法としては、インキュベートは、インキュベート条件下で、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、又は20%、かつ場合により最高で25%、30%、40%、又は50%のデンプン粒乾燥固形分を水に可溶性にするのに条件な時間にわたって行うことができる(すべての上限及び下限の順列が包含される)。好ましくは、インキュベートはインキュベート条件下でデンプン粒の2〜30又は5〜30%が可溶性となるよう行われる。
この期間は通常少なくとも5分間であり、典型的には5分間〜4時間となる。例えば、スラリーは少なくとも10、20、30、60、120、又は180分間、かつ4時間以下でインキュベートすることができる。スラリーは、しばしば10分間〜2時間、又は20分間〜1若しくは2時間、又は30分間〜1若しくは2時間インキュベートされる。インキュベートはより長時間行うこともでき、例えば最高で24時間又は最高で48時間行うこともできる。
デンプン粒を十分に部分加水分解し可溶化させた後、得られた部分加水分解された組成物の温度を上昇させ、デンプン粒の糊化温度超に維持する。糊化温度が範囲として表現される(上記を参照されたい)所与の資源については、温度は好ましくは範囲の上位点を超えて維持されるものの、範囲の中間点超で維持してもよい。温度は、例えば、組成物に加熱コイル中を通過させて直接的又は間接的に加熱することにより、あるいは蒸気を吹き込むことにより迅速に上昇させることができる。この工程で使用する温度には、何点かの検討を行い調整がはかられた温度が反映される。温度が高くなるほどデンプン粒の液化はより迅速になる。しかしながら、温度はデンプン粒加水分解活性を完全に不活性化させてしまうほど高くないことが好ましい。糊化温度超でのデンプンの加水分解は、しばしばデキストリン化と呼ばれる。
熱安定性α−アミラーゼには、適切な温度選択によりこの工程中も活性を維持させることができる。したがって、例えば、温度は、典型的には少なくとも80℃、及びより好ましくは少なくとも90℃、但し通常は120又は110℃未満の温度で、少なくとも5、10、30、又は60分間かつ通常3又は4時間以下維持される。例えば、温度は、90〜110℃の範囲内で5分間〜4時間、5〜120分間、5〜60分間、10〜180分間、10〜120分間、10〜60分間、20〜180分間、20〜120分間又は20〜60分間維持することができる。しばしば温度は100〜110℃にまで上昇させて5〜20分間維持され、次に90〜100℃に低下させて60〜120分間維持される。この工程では、酵素が活性を維持し続けると仮定すれば、デンプン粒は1つ以上の酵素による部分加水分解を受け続け、かつ水への溶解により直接的な液化もされる。事前加水分解を行わない直接液化では、組成物の粘度はある程度増加し得る。しかしながら、液化前に酵素と事前インキュベートした場合、粘度は操作が不能になるほどは増加しない。
インキュベートは、好ましくはデンプン粒が実質的に又は完全に液化する(例えば、少なくとも95、96、97、98.98.5又は好ましくは99%が液化)まで維持される。
以降の加工は所望される生成物によって異なる。マルトデキストリン組成物を製造する際には、液化組成物は冷却させ、所望により液化に使用される温度〜大気温度にて維持する。このような温度でのインキュベートにより、更にα−アミラーゼにより加水分解を介在させることができる。活性を維持している場合には、α−アミラーゼは最初に供給された酵素であってもよく、及び/又は新鮮に供給された酵素であってもよい。生成されたマルトデキストリンは、グルコース単位約3〜19かつDE値3〜20のモノマー成分を有する。マルトデキストリンは、蒸発により乾燥粉末として単離することができる。マルトデキストリンは、多くの加工食品において添加剤として使用されている。
あるいは、α−アミラーゼ活性により得られる少糖は、より長鎖のデンプン分子と比較して、グルコアミラーゼによる活性を受けにくいことから、グルコースの製造にあたり液化組成物中に残存しているα−アミラーゼを不活性化させることもできる。不活性化は、温度を110℃超に上昇させることにより、又はより低い温度での酸処理(例えば、pHを4.2に低下させ、95°で30分間)により実施することができる。
残存するα−アミラーゼ活性を不活性化させた又は不活性化させていない、得られた組成物を冷却させ、新鮮な酵素と組み合わせて、この時点で液化されているデンプンのグルコースへの加水分解を完了させる。所望により、pHはこれらの酵素に適切なものに調整してよい。一部の酵素についてはpH 5.5〜6が好ましい、組成物と組み合わせる酵素には、少なくともプルラナーゼ及びグルコアミラーゼが含まれる。2つの酵素は好ましくは、ユニットにして少なくとも9:1(プルラナーゼ対グルコアミラーゼ)で存在する。この比は、ユニットにして、例えば、1:9〜1:50(プルラナーゼ対グルコアミラーゼ)であってよく、すなわち例えば、1:9〜1:20又は1:9〜1:15であってよい。グルコアミラーゼは、好ましくは少なくとも0.08GAU/乾燥デンプン成分g(gdss)固形分で添加され、例えば、0.08〜0.14GAU/gdssの範囲内で添加される。プルラナーゼユニットは、GAUユニットに所望の比を反映する係数を乗じることにより算出され、例えば、1:9比である場合には係数は9となる。液化温度超から冷却させた後、酵素の活性に適切な温度にて、典型的には40〜80℃、50〜70℃、又は好ましくは55〜60℃の温度にて組成物をインキュベートする。このインキュベートは、初期デンプン粒の重量に基づく割合として、グルコースの収率が少なくとも90%、及び好ましくは少なくとも93%、又は少なくとも95%、又は95%超になるまで維持する。収率は好ましくは93〜96%(又はこれ以上)であり、しばしば95〜96%である。このような収率を達成するためのインキュベート時間は変更してよく、例えば、少なくとも5、20、又は20時間、及び最長100又は150時間に変更することができる。
満足のいくグルコース収率が得られた後、グルコースシロップの濃度は水分を蒸発させて上昇させることができる。最初に使用されるデンプン粒の濃度が高くなるほど、グルコースシロップの乾燥固形分濃度も、通常は従来の手法によるものと比較して高くなる。結果的に、蒸発工程を1回超実施せずとも適切な濃度のグルコースシロップを得ることができる。
グルコースを製造するための上記プロセスは、スラリーを形成する工程、比較的低温下で1つ以上の酵素を使用してスラリーのデンプン粒を部分的に加水分解する工程、デンプン粒が液化するよう温度を上昇させる工程、並びに次に、新鮮な酵素を供給し、デンプンからグルコースへの変換を完了させる工程、を含む4工程として概念化することができる。上記の通り、デンプン粒の初期濃度は乾燥重量にして38重量%超であってよい。その後、デンプン粒並びにその加水分解産物の少糖類及び単糖類(総じて乾燥固形分)の濃度は、操作不能なほどの粘度増加を生じずに、上記工程を通して38%超を維持させることができる。実際のところ、加水分解プロセスによりある程度の水が化学的に固形分に組み込まれることから(化学的増量として既知)、及び/又は蒸発による水分の損失に起因し、乾燥固形分の割合は増加し得る。一部の方法では、乾燥固形分の割合は上記工程を通して38、38.5、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50%超である。このような方法のうち一部のものでは、乾燥固形分の割合は上記工程を通して65、60、55、又は50%以下である。一部の方法では、乾燥固形分の割合は少なくとも38.5、39、40、41、42、43又は44であり、かつ45、50又は55%以下である(上限及び下限のすべての正数値を包含する)。好ましくは、乾燥固形分の割合は、上記工程を通して38.5〜45%、又は39〜45%である。pHの調整のために少量の酸又は塩基を添加する場合を除き、通常、上記工程を通して、大量の水(例えば、既に存在している水の10重量%超を増加させるほどのpH調製液など)を添加する必要はない。一部の方法では、スラリーの工程後に水を添加しない。
したがって、最終的な効率は従来の手法によるものを上回った。デンプン粒濃度が38重量%未満である場合、又はデンプン粒を糊化温度超に加熱しなかった場合には制御不能な粘度はいずれも回避され、この場合、デンプン粒プロセシング酵素と、より長時間かつ非効率的にインキュベートする必要があった。
図1は、本方法の実施例を、これまでに報告されている通りの、デンプン粒の非調理型加水分解法と比較する。各事例で、水中デンプン粒の初期スラリーを、液化温度未満の適度温度(すなわち、55〜65℃)にて、デンプン粒加水分解活性を有する酵素とともにインキュベートする。しかしながら、本発明に従うインキュベートは非常に短い(例えば、20〜120時間と比較して、5分間〜4時間)。本発明の方法では、5分間〜4時間のインキュベートにより、2〜30%のデンプン粒の液化が生じ得る。低温法ではインキュベートの長さに応じて2〜100%の液化が生じ、ほぼ100%の溶解性のためには約120時間が必要とされる。
未調理の方法では、残存する不溶性のデンプンは遠心分離及び濾過により除去する。不溶性のデンプン粒はプロセスを通して再利用することができる。液化デンプンは糖化を受けることになる。本方法では、適切な温度でのインキュベーション後に得られる組成物の温度は、次に液化温度超、すなわち最初に103〜110℃、そして次に95℃に上昇させる。加熱によりデンプン粒が液化される。熱安定性α−アミラーゼが存在する場合には、デンプン粒は加水分解され続ける。可溶化させたデンプン粒は、次に糖化を受けることになる。
IV.デンプン粒加水分解活性を有する酵素
デンプン粒加水分解活性を有する酵素(GSHE)は、デンプン粒を加水分解することができる。このような酵素は、真菌,バクテリア及び植物細胞、例えば、バチルス属(Bacillus sp.)、ペニシリウム属(Penicillium sp.)、ヒュミコラ属(Humicola sp.)、トリコデルマ属(Trichoderma sp.)、アスペルギルス属(Aspergillus sp.)、ムコール属(Mucor sp.)、及びリゾプス属(Rhizopus sp.)から得ることができる。これらの酵素としては、グルコアミラーゼ活性及び/又はα−アミラーゼ活性を有する酵素が挙げられる(Tosi et al,(1993)Can.J.Microbiol.39:846〜855を参照されたい)。
好ましくは、本方法で使用されるGSHEには少なくとも1つのα−アミラーゼが含まれる。α−アミラーゼは、E.C.番号、E.C.3.2.1.1〜3をもつ、微生物の酵素であり、特にE.C.3.2.1.1である。好ましくは、α−アミラーゼは熱安定性のα−アミラーゼである。好適なα−アミラーゼは、天然型並びに組み換え型並びに変異型α−アミラーゼであってよい。所望により、α−アミラーゼはバチルス(Bacillus)種に由来するものである。好ましいバチルス(Bacillus)種としては、枯草菌(B. subtilis)、B.ステアロサーモフィルス(B. stearothermophilus)、B.レンタス(B. lentus)、B.リケニフォルミス(B. licheniformis)、B.コアギュランス(B. coagulans)及びB.アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)が挙げられる(米国特許第5,763,385号;同第5,824,532号;同第5,958,739号;同第6,008,026号及び同第6,361,809号)。特に好ましいα−アミラーゼは、バチルス(Bacillus)株B.ステアロサーモフィルス(B. stearothermophilus)、B.アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)及びB.リケニフォルミス(B. licheniformis)から由来するものである。一部の好ましい株としては、ATCC 39709;ATCC 11945;ATCC 6598;ATCC 6634;ATCC 8480;ATCC 9945A及びNCIB 8059を有するものが挙げられる。
α−アミラーゼ活性を有するGSHEの別の例としては、アワモリコウジカビ(A. awamori)、A.ニガー(A. niger)、A.オリゼ(A. oryzae)、又はA.カワチ(A. kawachi)株などのアスペルギルス(Aspergillus)が挙げられ、特にA.カワチ(A. kawachi)株が挙げられる。場合により、GSHE活性を有するA.カワチ(A. kawachi)酵素は国際公開第05/118800号及び同第05/003311号の配列番号3のアミノ酸配列に対し少なくとも85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%及び99%配列同一性を有する。
本方法に使用するのに好適な市販のα−アミラーゼとしては、SPEZYME(登録商標)AA、SPEZYME(登録商標)XTRA、SPEZYME(登録商標)FRED(バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来、酸安定性、低Ca、熱安定性)、GZYME(商標)G997(熱安定性、遺伝的に改変されていない)(Genencor A Danisco Division)、並びにTERMAMYL(商標)120−L、LC、SC、及びSUPRA(バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)熱安定性α−アミラーゼ(Novozymes)、並びにFUELZYME(登録商標)LF(熱安定性の)(Verenium)が挙げられる。
別の方法としては、又は更に、グルコアミラーゼ活性を有するGSHEを使用できる。このような酵素のあるものはヒュミコラ・グリセア(Humicola grisea)に由来し、特にヒュミコラ・グリセア変異種(Humicola grisea var.)サーモイデア(thermoidea)が挙げられる(米国特許第4,618,579号を参照されたい)。好ましくは、GSH活性を有するヒュミコラ(Humicola)酵素は、国際公開第05/052148号の配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%配列同一性を有する。グルコアミラーゼ活性を有するGSHEの別の例としては、アワモリコウジカビ(Aspergillus awamori)株、特にアワモリコウジカビ変異株(A. awamori var.)に由来するカワチ(kawachi)が挙げられる。場合により、GSH活性を有するアワモリコウジカビ変異株(A. awamori var.)カワチ(kawachi)酵素は、国際公開第05/052148号の配列番号6のアミノ酸配列に対し少なくとも85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%及び99%配列同一性を有する。グルコアミラーゼ活性を有するGSHEの別の例としては、クモノスカビ(Rhizopus)株由来のもの、例えば、R.ニベウス(R. niveus)又はR.オリゼ(R. oryzae)が挙げられる。麹株R.ニベウス(R. niveus)は、商品名「CU CONC」で市販されており、又は商品名GLUZYMEで市販のクモノスカビ(Rhizopus)の酵素である。グルコアミラーゼ活性を有する別の有用なGSHEとしてはSPIRIZYME(商標)Plus(Novozymes A/S)が挙げられる。
グルコアミラーゼ活性を有するリゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)GSHEは、Ashikari et al.,(1986)Agric.Biol.Chem.50:957〜964並びに米国特許第4,863,864号に記載されている。グルコアミラーゼを含有し、活性をもつ可能性のあるヒュミコラ・グリセア(Humicola grisea)GSHE混合物は、Allison et al.,(1992)Curr.Genet.21:225〜229;国際公開第05/052148号、及び欧州特許第171218号に記載されている。アワモリコウジカビ変異株(Aspergillus awamori var.)カワチ(kawachi)GSHEは、Hayashida et al.,(1989)Agric.Biol.Chem 53:923〜929に記載されている。アスペルギルス・シロウサミ(Aspergillus shirousami)グルコアミラーゼGSHEはShibuya et al.,(1990)Agric.Biol.Chem.54:1905〜1914に記載されている。
GSHE活性を有する酵素としてはハイブリッド酵素も挙げられ、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)α−アミラーゼ、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)α−アミラーゼ、又はアスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachi)α−アミラーゼの触媒ドメインなどのα−アミラーゼ触媒ドメインと、例えば、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachi)又はヒュミコラ・グリセア(Humicola grisea)デンプン結合ドメインなどの異なる真菌α−アミラーゼ又はグルコアミラーゼ由来のデンプン結合ドメインとを含有するものが挙げられる。あるいは、GSHE活性を有するハイブリッド型酵素は、例えば、アスペルギルス属(Aspergillus sp.)、タラロミセス属(Talaromyces sp.)、アルテア属(Althea sp.)、トリコデルマ属(Trichoderma sp.)又はリゾプス属(Rhizopus sp.)の触媒ドメインなどのグルコアミラーゼ触媒ドメインと、異なるグルコアミラーゼ又はα−アミラーゼのデンプン結合ドメインとを含有し得る。GSH活性を有する他のハイブリッド型酵素は、国際公開第05/003311号、同第05/045018号;Shibuya et al.,(1992)Biosci.Biotech.Biochem 56:1674〜1675並びにCornett et al.,(2003)Protein Engineering 16:521〜520に記載されている。
V.糖化酵素
A.グルコアミラーゼ
1つ以上のグルコアミラーゼ(E.C.3.2.1.3.)を糖化酵素として使用することができる(並びに液化酵素の代わりに使用することができる)。液化などの糖化の場合と同一の又は異なるグルコアミラーゼを使用することができる。液化の際には、グルコアミラーゼはデンプン粒に対し活性でなくてはならないのに対し、糖化の際には、グルコアミラーゼは溶解したデンプンに対し活性でなくてはならない。糖化に使用されるグルコアミラーゼは、デンプン粒に対し活性である必要はない。好適なグルコアミラーゼとしては、バクテリア、植物、及び/又は菌類により内因的に発現されるもの、加えて宿主細胞に対し異種のグルコアミラーゼを組み換えにより発現させたもの(例えば、バクテリア、植物及び/又は真菌)が挙げられる。組み換えにより発現させたグルコアミラーゼは、天然型配列、変異型配列又はハイブリッド型配列であってよい。数種類の糸状菌及び酵母株が好適なグルコアミラーゼを生産する。例えば、アスペルギルス(Aspergillus)及びトリコデルマ(Trichoderma)株により生産された市販のグルコアミラーゼを使用することができる。ハイブリッド型グルコアミラーゼは、例えば、生物由来のGA(例えば、タラロミセス(Talaromyces)GA)の触媒ドメインを有するグルコアミラーゼと、異なる生物(例えば;トリコデルマ(Trichoderma)GA)のデンプン結合ドメイン(SBD)とを含む。デンプン結合ドメイン(SBD)又は触媒ドメインとともにリンカーを含有させることもできる。
使用することのできるグルコアミラーゼの例としては、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)G1及びG2グルコアミラーゼ(例えば、Boel et al.,(1984)EMBO J.3:1097〜1102;国際公開第92/00381号、同第00/04136号、並びに米国特許第6,352,851号を参照されたい);アワモリコウジカビ(Aspergillus awamori)グルコアミラーゼ(例えば、国際公開第84/02921号を参照されたい);アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)グルコアミラーゼ(例えば、Hata et.al.,(1991)Agric.Biol.Chem.55:941〜949を参照されたい)並びにアスペルギルス・シロウサミ(Aspergillus shirousami)(例えば、Chen et.al.,(1996)Prot.Eng.9:499〜505;Chen et al.(1995)Prot.Eng.8:575〜582;及びChen et al.,(1994)Biochem J.302:275〜281を参照されたい)が挙げられる。[083]。使用することのできる他のグルコアミラーゼとしては、タラロミセス(Talaromyces)株由来のもの((例えば、T.エマーソニイ(T. emersonii)、T.レイセタナス(T. leycettanus)、T.デュポニ(T. duponti)及びT.サーモフィラス(T. thermophilus)グルコアミラーゼ(例えば、国際公開第99/28488号;米国再発行特許第32,153号;米国特許第4,587,215号)を参照されたい);トリコデルマ(Trichoderma)株(例えば、T.リーゼイ(T. reesei))、並びに国際公開第2006−0094080号に記載の配列番号4に対して少なくとも約80%、約85%、約90%、及び約95%配列同一性を有するグルコアミラーゼ;クモノスカビ(Rhizopus)株のもの(例えば、R.ニベウス(R. Niveus)及びR.オリゼ(R. oryzae));ムコール(Mucor)株及びヒュミコラ(Humicola)株のもの(例えば、H.グリセア(H. grisea)(例えば、Boel et al.,(1984)EMBO J.3:1097〜1102;国際公開第92/00381号;同第00/04136号;Chen et al.,(1996)Prot.Eng.9:499〜505;Taylor.et al.,(1978)Carbohydrate Res.61:301〜308;米国特許第4,514,496号;同第4,092,434号;同第4,618,579号;Jensen et al.,(1988)Can.J.Microbiol.34:218〜223並びに国際公開第2005/052148号の配列番号3を参照されたい))が挙げられる。場合により、グルコアミラーゼは、国際公開第05/052148号の配列番号3のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、約90%、約92%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%及び約99%配列同一性を有する。使用することのできる他のグルコアミラーゼとしては、アテリア・ロルフィシィ(Athelia rolfsii)及びそれらの変異株(例えば、国際公開第04/111218号を参照されたい)並びにペニシリウム属(Penicillium spp.)(例えば、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)を参照されたい)から得られるもの、並びにリゾプス属(Rhizopus sp.)により生産される3種の形態のグルコアミラーゼ、すなわち「Gluc1」(分子量74,000)、「Gluc2」(分子量58,600)及び「Gluc3」(分子量61,400)が挙げられる。本方法に有用な市販のグルコアミラーゼとしては、例えば、DISTILLASE(登録商標)L−400、OPTIDEX(登録商標)L−400及びG ZYME(登録商標)G990 4X、GC480、G−ZYME 480、(Danisco US、Inc、Genencor Division)CU.CONC(登録商標)(Shin Nihon Chemicals、Japan)、GLUCZYME(R.ニベウス(R. Niveus)の麹培養を行った小麦ブランから抽出)(天野エンザイム、日本(例えばTakahashi et al.,(1985)J.Biochem.98:663〜671を参照されたい)。
B.プルラナーゼ
これらの酵素は一般的にバチルス(Bacillus)種により分泌される。例えば、バチルス・デラミフィカンス(Bacillus deramificans)(米国特許第5,817,498号;1998年)、バチルス・アシドプルリティカス(Bacillus acidopullulyticus)(欧州特許第0 063 909号)及びバチルス・ナガノエンシス(Bacillus naganoensis)(米国特許第5,055,403号)。商業的に使用される、プルラナーゼ活性を有する酵素は、例えば、バチルス(Bacillus)種から製造される(商標名OPTIMAX(登録商標)のL−1000酸安定性プルラナーゼ(Danisco−Genencor)及びNovozymesの、バチルス・アシドプルリティカス(Bacillus acidopullulyticus)由来のPromozyme(商標)プルラナーゼ)。バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)アミラーゼ転移酵素(BMA):バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)アミラーゼは、分枝糖を、グルコアミラーゼにより容易に加水分解される形態へと変換する能力を有する(Hebeda et al.,Starch/Starke,40,33〜36(1988))。酵素は、pH 5.5かつ温度75℃にて最大活性を示す(David et al.,Starch/Starke,39 436〜440(1987))。酵素はクローン化され、遺伝子組み換えした枯草菌(Bacillus subtilis)で発現され、商業スケールで製造される(Brumm et al.,Starch/Starke,43 315〜329(1991))。酵素は商品名MEGADEX(商標)で市販されている。
C.グルコアミラーゼ−プルラナーゼブレンド
グルコアミラーゼ及びプルラナーゼは、別個に供給されている場合、あるいは混合されパッケージングされている場合がある。このようなブレンドは、OPTIMAX(登録商標)HDS又は4060 VHPとして市販されている。OPTIMAX(登録商標)HDSは20:80のGAU:ASPUであり、OPTIMAX 4060 VHPは40ユニットのGAUと60ユニットのASPUである。
方法:
1.高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による糖組成
HPLCカラム(Rezex RCM−Monosaccharide Ca+(8%))を取り付け、80℃に維持し、屈折率(RI)検出器(ERC−7515A,RI検出器(Anspec Company,Inc.))を装着し高速液体クロマトグラフィー(Beckman System Gold 32 Karat Fullerton(California,USA))により、反応産物の少糖の組成を分析した。移動相としては逆浸透(RO)水を流速0.6mL/分で使用した。4.0%溶液20μLをカラムに注入した。このカラムは分子量に基づき糖類を分離する。例えば、表記DP1はグルコースなどの単糖類であり、表記DP2は麦芽糖などの二糖類であり、表記DP3はマルトトリオースなどの三糖類であり、かつ表記「DP4」は、重合度(DP)4以上を有する少糖類である。
2.グルコアミラーゼ活性ユニット(GAU)
グルコアミラーゼ1ユニットは、60℃かつ20mM酢酸ナトリウムで緩衝化させたpH 4.3下にて、2.5%乾燥成分可溶性Lintnerデンプン基質から1時間につき1gの還元糖を遊離させる酵素量である。
3.プルラナーゼ活性ユニット(ASPU)
酸安定性のプルラナーゼ1ユニット(ASPU)は、pH 4.5及び60℃の温度にて、プルランから1分につき1当量の還元ポテンシャルでグルコースを遊離させる酵素量である。
4.α−アミラーゼ活性(AAU)
バクテリアα−アミラーゼ活性の1 AAUは、60℃かつ30mM酢酸ナトリウムで緩衝化させたpH 6.0下にて、31.2mMの塩化カルシウムを含有している5%乾燥成分可溶性Lintnerデンプン溶液から、1分につき10mgのデンプンを加水分解するのに必要とされる酵素量である。
5.粘度測定
デンプン粒の膨潤及び糊化によるデンプン粘度の増加、並びにα−アミラーゼの作用の結果としての粘度の減少についての測定は、Newport Instruments SUPER 4粘度計を使用して自動化し、規模を小型化した。この高度に自動化された装置により、デンプン、アミラーゼ、並びにデンプンの調理を制御する際に用いられる各種技術を評価及び特性評価する際の、昇温速度並びに生じる加水分解の正確な制御が可能になる。
(実施例1)
42% dsのデンプンスラリーを、その38% dsのデンプンスラリーと比較する粘度計試験
一連の試験はRVA Super 4(Newport Scientific/Perten Instruments,Huddinge Sweden)を使用して実施し、38% dsデンプンスラリーと42% dsデンプンスラリーの高温ビスコグラフを比較した。比較は、酵素を修正した42% dsデンプンスラリーに対しても行い、最高粘度を比較した。
本試験では、2種類のビスコグラフ試験特性を使用した。第1特性は、38%又は42% dsのデンプンスラリーに酵素を添加せずに、30分間のインキュベート時間の間、60℃にて160rpmの一定速度で混合し、インキュベートした場合の粘度変動を試験するものであった。RVAのプロジェクト設定には、次の工程を使用した:工程1)160rpmで混合しながら30℃で試験を開始した、工程2)温度を30℃で1分間維持した、工程3)スラリーを60℃で1分間加熱した、工程4)160rpmの一定速度で混合しながらスラリーを60℃で維持した、及び5)スラリーを30℃に冷却し、試験を終了した。
図2は、160rpmで混合し、何ら酵素は添加せずにスラリーを60℃で30分間インキュベートした場合に、粘度が一貫して−ほぼ指数関数的に増加し続けたことを示す。図3は、α−アミラーゼの濃度を増加させてデンプンと接触させた場合に、30分間のインキュベート中にスラリーが200cP未満に還元されたことを示す。
(実施例2)
高濃度DSの実験室規模での液化
2Lのステンレス製ビーカーに636gの水を入れ、これに693gのデンプン粒(88.15% ds)を加えて、46.4% dsのデンプンスラリーを1329g調製した。pHは炭酸ナトリウムにより5.7に調整した。60℃の水浴中で、一定速度で撹拌しながら2LのSSビーカーを60℃に加熱し、懸濁した。このビーカーに0.2GAU/gdss(0.3093g)及び4AAU/gdss(0.1758g)を加えた。処理の20分後にデンプンスラリーのサンプルを回収したところ、L.C.により、16%が可溶性であり、可溶性画分はDP1を43%、DP2を18%、DP3を8%及び多糖類を31%含有していることが判明した。
60℃で30分間維持した後、油浴により制御された温度下で懸濁した2つの時差コイルから構成された実験室スケールの調理器にデンプンスラリー送り込んだ。最初のコイルは滞留時間約105秒間の予熱コイルであり、第2のコイルが滞留時間7〜8分間のメイン調理コイルである。調理コイルの入り口及び出口で温度を測定し、制御する。この試験の際、温度は108.6℃に設定した。100℃超での調理を可能にするため、バネ式安全弁を使用し、背圧103kPa(15psi)下で系の温度を維持した。調理したデンプンの250mLのアリコートを95℃で維持し、商業用液化系においてデキストリン化工程を促進した。DEは30、60、90及び120分の時点で測定した。DE進行速度が1分あたり0.075 DEである場合、120分でのDEは21.4になる。
120分の試料には、20:80 GA:ASPU比のOPTIMAX(登録商標)HDS糖化酵素(Genencor A Danisco Companyから利用可能)を0.11GAU/gdssを添加した。各時点で試料を採取し、糖分布についてLCにより試験した。これを表1に示す。
糖化用の液化デンプンが調製された時点でのRIによるDSは、48%であるものと測定された。糖化の終了時のRIでは、加水分解による化学的増量に起因し、最終的な乾燥成分は52.1%であった。
Figure 2014528241
(実施例3)
パイロットプラントによる高濃度DSの液化
25.46kgのR.O.水、22.68kgのCargill Gel 3420汎用乾燥コーンスターチを含有しているスラリーを製造し、42%乾燥デンプン成分スラリーの液化を実施した。この23.65°Baume(補正済)スラリーに、62gの6.5%亜硫酸及び6.5gの塩化カルシウム二水和物(100ppm SOと10ppmカルシウムとを提供する)を加え調整した。次に20%の炭酸ナトリウム溶液を使用し、スラリーのpHを5.8に調整した。
次にスラリーを60℃に加熱し、SPEZYME(登録商標)FREDの10LU/gdssデンプンと、4 AAのSPEZYME(登録商標)XTRAとを加え、温度を60℃で10分間維持し、粘度の減少を生じさせ、42% dsのスラリーを液化に送り込んだ。このスラリーを、次にHydroThermal(Waukesha,WI)M−101型スチームジェットクッカー中で、110kPa(16psi)の背圧で、106〜108℃にて8分間液化させた。更にデキストリン化するため、次にこの材料を95℃で1時間維持した。最終的な液化産物は16.6のDEを有し、乾燥成分は41.2%であった。
6NのHCLによりこの材料のpHを4.0に調整し、95℃で20分間維持して、残存しているα−アミラーゼ活性を失活させた。次にこの材料を60℃に冷却し、pHを4.5に調整した。次に、0.14GAU/gdssでOPTIMAX(登録商標)4060 VHPを加え、0.11GAU/gdssでOPTIMAX(登録商標)HDSを加え、2つのアリコートを糖化させた。
表2は、糖化結果を示す。42%乾燥成分を液化した後、20:80 GAU:ASPU比でOPTIMAX HDSを使用した場合、95%をわずかに超えるDP1シロップが得られるのに対し、低固形分で高濃度グルコースを産生する際に典型的に使用される40:60比で使用した場合には、対照の>95%が得られなかったことが確認される。この工程中の水蒸気凝縮に起因し、液化後のdsは41%であった。糖化後の最終的な乾燥成分は、化学的増量に起因し、45.5%であった。
Figure 2014528241
(実施例4)
100% B.ステアロサーモフィルス(B. stearothermophilus)α−アミラーゼを使用した、パイロットプラントでの高濃度DSの液化
加水分解に8 AAUのSPEZYME(登録商標)XTRAを使用したことを除き、実施例3に記載の通りに液化スラリーを調製した。液化スラリーを95℃で30分間維持した。最終的な液化産物は16.2のDEを有し、乾燥成分は41.0%であった。
6NのHCLによりこの材料のpHを4.0に調整し、95℃で20分間維持して、残存しているα−アミラーゼ活性を失活させた。次にこの材料を60℃に冷却し、pHを4.5に調整した。次に、それぞれ0.1GAU/gdss、0.12GAU/gdss及び0.14GAU/gdssを2.5:97.5、5:95及び10:90で添加したグルコアミラーゼ−プルラナーゼブレンドにより3つのアリコートを糖化した。実施例5に示す高い割合を用いることが好ましく(95重量%超のDP1)、実施例2で示した通りの40:60比及び20:80比では収率は低かった。
表3は、糖化の結果を示し、試験したすべての投与について、DP1ピークが達成された70時間後でさえも、42%乾燥成分で液化させた場合に95%超DP1のシロップを製造することができることが確認された。この工程中の水蒸気凝縮に起因し、液化後のdsは41%であった。糖化後の最終的な乾燥成分は、化学的増量に起因し、45.5%であった。
Figure 2014528241
(実施例5)
本実施例は、高濃度乾燥固形分の液化デンプンを95.5%超の高密度デキストロース製造用の基質とし、GAブレンドを含有している高濃度プルラナーゼを使用する糖化を示す。
95℃の水浴でインキュベートし、32% DS CLEARFLOW(登録商標)AA液化デンプンを蒸発させ、固形分を増加させて38〜42% DSにし、次にNaOHによりpHを4.3に調整した。糖化のため、0.12GAU/gdssのOPTIDEX(登録商標)L−400及び4.68ASPU/gdssのOPTIMAX(登録商標)L−1000を2.5:97.5比で添加し、40及び42%dsを有する各50gの液化産物を60℃にてインキュベートした。反応は最高で65.5時間実施し、沸騰させて酵素を不活性化させて定期的にサンプリングを行う際に停止させた。沸騰処理したサンプル0.5mLに4.5mLのRO水を加え、サンプルを希釈した。次にこの希釈サンプルを0.2μm Whatmanフィルタにより濾過し、HPLC解析用のバイアルに入れた。Rezex RCM−単糖類用カラムを使用して、HPLC解析を実施した。
Figure 2014528241
(実施例6)
100% SPEZYME(登録商標)XTRAを使用した、パイロットプラントでの高濃度DSの液化
液化スラリーは、実施例3に記載の通りに調製し、10LU/gdssのSPEZYME(登録商標)FRED+4AAU/gdssの代わりに8AAU/gdss SPEZYME(登録商標)XTRAを使用した。液化スラリーを95℃で30分間維持した。最終的な液化産物は15.8のDEを有し、乾燥成分は41.2%であった。
同一のSPEZYME(登録商標)XTRAを添加し、但し60℃での処理を行わなかった対照では、蒸気とデンプンスラリーとが不安定に組み合わせられるようになる高粘度に起因し、スチームジェットクッカーは非常に不安定であった。調理温度を90〜120℃で変化させることにより、クッカーの入り口に詰まりが生じた。
6NのHCLによりこの材料のpHを4.0に調整し、95℃で20分間維持して、残存しているα−アミラーゼ活性を失活させた。次にこの材料を60℃に冷却し、pHを4.5に調整した。次に、それぞれ0.1GAU/gdss、0.12GAU/gdss 0.14、0.15及び0.16GAU/gdssを2.5:97.5、5:95及び10:90、20:80及び40:60で添加したA.ニガー(A. niger)グルコアミラーゼ/プルラナーゼブレンドにより5つのアリコートを糖化した。実施例5に示した通りの高い割合を用いた所、このような割合が好ましく(95重量%超のDP1)、実施例2で示した通りの40:60比及び20:80比では収率は低いことが判明した。
表5は糖化結果を示す。最少逆転率により42%乾燥成分を液化した後、95%超のDP1が得られ、2.5:97.5、5:95及び10:90比の場合には、最大DP1ピークが得られた後でさえも一定のままとどまる、95%超のDP1シロップを製造できることが確認される。この工程中の水蒸気凝縮に起因し、液化後のdsは41%であった。糖化後の最終的な乾燥成分は、化学的増量に起因し、45.5%であった。
Figure 2014528241
(実施例7)
100% SPEZYME(登録商標)XTRAを使用した、パイロットプラントでの高濃度DSの液化後の、ヒュミコラ(Humicola)グルコアミラーゼ(HGA)による糖化
加水分解には8 AAUのSPEZYME(登録商標)XTRAを使用し、実施例3に記載の通りに液化スラリーを調製した。液化スラリーを95℃で30分間維持した。最終的な液化産物は13.4のDEを有し、乾燥成分は41.2%であった。
この材料の3つのアリコートを保持した。1つのアリコートでは、6NのHClによりpHを4.0に調整し、95℃で20分間維持して、残存しているα−アミラーゼ活性を失活させた。2つ目のアリコートでは、130℃で7分間加熱して残存するα−アミラーゼ活性を失活させ、3つ目のアリコートはα−アミラーゼ活性を残存させたままで使用した。次にこの材料を60℃に冷却し、pHを5.5に調整した。次に、5:95のH.グリセア(H. grisea)グルコアミラーゼ/プルラナーゼブレンドを0.12GAU/gdssで添加して糖化した。実施例5に示す高い比率を使用したところ、表5に示す通り95%超のDP1が見出された。
表6に示す結果では、プルラナーゼを加えたHGAでは、α−アミラーゼ活性を酸の添加により失活させた場合に95%超のDP1が製造されることが示される。熱不活化処理を行った基質では、対照と比較してDP1が0.1%低かった。液化α−アミラーゼ活性を糖化時に残存させた場合、糖化は、DP 1にして約0.6% DP 1ほど低下した。この違いはDP 3領域において見いだされる。
Figure 2014528241
本明細書で参照される特許及び刊行物内に開示されているすべての配列を含むすべての特許及び刊行物は、すべての目的に際しその全体が参照により明示的に組み込まれるものとする。時の経過とともに商標名が変化する商品について言及した場合には、本明細書の有効な出願日時点での、製造元の、ウェブサイトを含む関連する商品パンフレットに記載の特性を有する製品を意図する。このような商品パンフレットも、すべての目的に際しその全体が参照により組み込まれる。本明細書に提供されている見出しは、全体的な仕様の参照によって可、能になるような、本発明の実施形態のさまざまな側面を制限するものではない。好ましい手法及び材料を記載したが、本明細書に記載のものと同様の、又は本明細書に記載のものに相当する任意の方法及び材料を、本開示を実施又は試験するために使用できる。文脈により明白なものである限りは、任意の実施形態、態様、工程、特徴、要素又は制限を任意に互いに組み合わせて使用することができる。

Claims (36)

  1. デンプン粒の加工方法であって、
    (a)デンプン粒、水、並びにα−アミラーゼ及び/又はグルコアミラーゼを含む1つ以上のデンプン粒加水分解酵素、を接触させて、乾燥固形分濃度が38重量%超のスラリーを製造する工程、
    (b)前記スラリーを、40℃超かつ前記デンプン粒の糊化温度未満の温度にて、少なくとも5分間インキュベートして、前記デンプン粒が、1つ以上の酵素により部分的に少糖類及び/又は単糖類へと加水分解されている組成物を製造する工程;並びに
    (c)前記部分的に加水分解された組成物の温度を、前記デンプン粒の糊化温度超に上昇させかつ維持して、液化組成物を製造する工程、を含む、方法。
  2. (d)前記液化組成物をプルラナーゼ及びグルコアミラーゼと接触させ、かつインキュベートしてグルコースを製造する工程、を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(b)における前記インキュベーションが、工程(b)の終了時の不溶性乾燥固形分濃度を38重量%以下にするのに十分な時間にわたるものである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記乾燥固形分のうち2〜30%が、工程(b)の終了時に可溶性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記乾燥固形分の割合が、工程(a)〜(d)を通して少なくとも39%である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記乾燥固形分の濃度が、工程(a)〜(d)を通して39〜45重量%である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記乾燥固形分の割合が、工程(a)及び(d)間で同じであるか又は増加する、請求項2〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 工程(b)、(c)及び(d)を通して、前記スラリーには10重量%以下の水を添加する、請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 工程(b)、(c)及び(d)を通して、前記スラリーには追加の水を添加しない、請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記1つ以上の酵素にはαアミラーゼが含まれる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記αアミラーゼが、バチルス(Bacillus)αアミラーゼである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記αアミラーゼが、SPEZYME(登録商標)AA、SPEZYME(登録商標)XTRA(登録商標)、SPEZYME(登録商標)FRED、GYZME(登録商標)G997、TERMAMYL(登録商標)、120−L、LC、SC、SUPRA又はFuelzyme(登録商標)である、請求項10に記載の方法。
  13. 前記1つ以上の酵素が、少なくとも2種類のαアミラーゼを含む、請求項10に記載の方法。
  14. 前記αアミラーゼが、熱安定性であり、工程(c)において活性を維持する、請求項10に記載の方法。
  15. 前記工程(b)の温度が、55〜67℃である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記工程(b)のインキュベートが5分間〜4時間にわたるものである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記工程(c)の温度が90〜110℃である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記組成物を90〜110℃にて5分間〜4時間維持する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記組成物を、100〜110℃で5〜20分間及び90〜100℃で1〜2時間維持する、請求項17に記載の方法。
  20. 工程(d)における前記プルラナーゼ対グルコアミラーゼ比が、ユニットにして少なくとも9:1である、請求項2〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 工程(d)を40〜80℃の温度にて実施する、請求項2〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 工程(d)を20〜150時間にわたって実施する、請求項21に記載の方法。
  23. 前記グルコースの収率が、デンプン粒の重量に基づき少なくとも95重量%である、請求項2〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記グルコースの収率が、デンプン粒の重量に基づき95〜96重量%である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記1つ以上の酵素が、α−アミラーゼを含み、かつ前記方法が更に、工程(c)後に前記αアミラーゼを不活性化させる工程を含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記αアミラーゼの不活性化が、熱又は酸処理によるものである、請求項25に記載の方法。
  27. 工程(a)後に、pHを変更させるために酸又は塩基を添加しない、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記pHが工程(b)、(c)、及び(d)を通して4.9と5.5の間である、請求項2〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 工程(d)中又は後に前記グルコースを濃縮するために1回を超えて蒸発工程を実施することはない、請求項2〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 工程(d)における前記プルラナーゼが、バチルス(Bacillus)由来のものであり、かつ前記グルコアミラーゼが、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)又はヒュミコラ・グリセア(Humicola grisea)由来のものである、請求項2〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記プルラナーゼ及び前記グルコアミラーゼが、混合されて供給される、請求項2〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記デンプン粒が、湿式粉砕により製造される、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記1つ以上の酵素が、1つ以上のαアミラーゼであり、前記方法は、前記液化組成物を冷却することにより、前記液化組成物中で、工程(a)の前記1つ以上のαアミラーゼ、又は1つ以上の新鮮なαアミラーゼにデンプンを少糖へと加水分解させて、マルトデキストリン組成物を製造する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  34. 前記液化組成物を冷却させる工程が、前記液化組成物を、気温を超える温度かつ工程(c)の前記温度未満にてインキュベートする工程を含む、請求項33に記載の方法。
  35. 前記デンプン粒が、温度範囲にわたって糊化され、かつ工程(b)における前記温度が前記温度範囲の下端未満のものである、請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記デンプン粒が、小麦、大麦、トウモロコシ、ライ麦、米、サトウモロコシ、マメ科植物、キャッサバ、雑穀、ジャガイモ、サツマイモ、又はタピオカのデンプン粒である、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
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