JP2014519298A - ピエゾアクチュエータの動作方法及び動作装置 - Google Patents

Abstract

本発明は、駆動制御信号によって操作されるピエゾアクチュエータ（１２）の動作方法に関する。前記ピエゾアクチュエータ（１２）の動作には、能動的なモードと受動的なモードとがある。前記ピエゾアクチュエータ（１２）は、受動的なモードにある場合には、機能的に操作が要求されていないが、操作される。

Description

本発明は概して、ピエゾアクチュエータの動作方法に関する。本発明はさらに、ピエゾアクチュエータの動作装置に関する。最後に本発明は、上記装置を備えた内燃機関に関する。

従来技術
ピエゾアクチュエータには多数の技術的用途があり、例えば、燃料噴射システム内の噴射弁のバルブニードルの位置を制御するピエゾアクチュエータとしての用途がある。公知のピエゾアクチュエータの基体は、ピエゾセラミックによって形成される。ピエゾセラミックは、圧電効果によって、電圧印加時乃至電荷供給時に伸張する。

ピエゾセラミック使用時の問題は、ピエゾセラミックがある程度、温度変動の影響を受けるということである。実際には、ピエゾアクチュエータでの度重なる温度変化によって、ピエゾアクチュエータの作用能力が影響を受け、アクチュエータストロークは、時間が経過するにつれて低減する。アクチュエータストロークの低減は、噴射弁内でピエゾアクチュエータを使用する場合には、バルブニードルの閉鎖時点及び開放時点のずれ、ひいては最終的に噴射量の誤りを引き起こしてしまう。

ドイツ公開特許出願ＤＥ１０２００４０１８２１１Ａ１号は、燃料噴射装置の弁部材を操作するピエゾアクチュエータを開示している。内燃機関の始動が望まれているか否かが検査され、検査結果が肯定的である場合に、ピエゾアクチュエータの分極が要求される。

本発明の開示
本発明の課題は、低い装置コストで実行可能な、ピエゾアクチュエータの頑強性を高め、寿命を長くする解決策を提供することができる、ピエゾアクチュエータの動作方法及び動作装置を提供することである。

上述の課題は、請求項１の特徴部分に記載された構成を有する方法によって、及び、請求項１０の特徴部分に記載された構成を有する装置によって解決される。

発明の利点
この方法は、駆動制御信号、特に駆動制御電圧によって操作されるピエゾアクチュエータの動作のために用いられる。この駆動制御信号は、電気的な駆動制御電流であっても、電気的な駆動制御電荷であってもよい。ピエゾアクチュエータの動作には、受動的なモードと、能動的なモードとがある。本願ではピエゾアクチュエータは、受動的なモードにある場合に操作される。換言すれば、ピエゾアクチュエータは、ピエゾアクチュエータの受動的なモードにおいて生じる、上述した不利な作用を阻止するためだけに操作される。本出願のテキストでは、用語「ピエゾアクチュエータの受動的なモード」とは、ピエゾアクチュエータが静止状態にある、即ち、機能的に操作が要求されてない（即ち、ピエゾアクチュエータに駆動制御信号は印加されていない、又は、ピエゾアクチュエータに一定の駆動制御信号が印加されている）、ピエゾアクチュエータのモードであると理解されたい。これに対応して、本出願のテキストでは、用語「ピエゾアクチュエータの能動的なモード」とは、ピエゾアクチュエータが機能に応じて操作される、ピエゾアクチュエータのモードであると理解されたい。

本発明の方法の一つの実施形態では、ピエゾアクチュエータが、所定の時間の間、受動的なモードにあると、ピエゾアクチュエータが操作される。これによって、受動的な動作フェーズの最大持続時間が制限され、上述した不利な作用が生じる時間ができるだけ短くされる。

ピエゾ噴射弁の受動的な動作時に、ピエゾ噴射弁のストローク力をエージング及び動作時間に亘って保証するために、本発明に係る方法の一つの実施形態では、ピエゾアクチュエータの領域内の温度が特定され、特定されたこの温度の変化が特定される。ここでピエゾアクチュエータは、この温度変化が所定の値を上回ると、駆動制御信号によって操作される。

温度は、測定技術的に比較的容易かつ正確に検出可能なパラメータであるので、本発明に係る方法の一つの実施形態では、温度が測定される。

本発明に係る方法の他の実施形態では、温度はモデルに基づいて計算される。モデルベースのこの計算は、いずれにせよ車両内に既に設けられているセンサの測定値を使用することができるという利点を有している。

受動的なモード（受動的な動作とも称される）における温度変化ストレスこそが、ピエゾセラミックの特性に特に悪影響を及ぼすので、本発明に係る方法の一つの実施形態では、規則的に、ピエゾアクチュエータが受動的なモードにあるか否かが検査される。

本発明に係る方法の一つの実施形態では、所定の値は、温度差によって形成される。第１の時点での第１の温度値と、第２の時点での第２の温度値との間の温度差は、測定技術的に容易に特定される、ピエゾアクチュエータの熱的負荷に対する尺度である。

ピエゾアクチュエータの領域内の温度経過の変化時には、温度変化速度に比例する、ピエゾアクチュエータの熱的負荷が生じる。これによって、噴射弁内でピエゾアクチュエータが比較的長期に使用されているときには、上述したように、噴射量が容認できないほど不正確なものになってしまう。従って、この所定の値は、本発明に係る方法の一つの実施形態では、（例えば、温度の時間微分として規定される）温度変化速度によって形成される。

本発明に係る方法の一つの実施形態では、１回又は複数回の温度変化が検出されると、ピエゾアクチュエータが操作される。これによって、ピエゾアクチュエータの動作時間に亘ったストローク力の損失が阻止される、又は、少なくとも低減される。

本発明はさらに、駆動制御信号によって操作されるピエゾアクチュエータの動作装置に関する。この動作装置は、ピエゾアクチュエータが能動的なモードで動作されているか否か、又は、受動的なモードで動作されているか否かを検出する手段と、ピエゾアクチュエータが受動的な動作にあると、駆動制御信号によってピエゾアクチュエータ（１２）を操作するように構成されている制御装置（２４）とを有している。

この装置の利点に関しては、当該装置によって実行される、上述した本発明に係る方法を参照されたい。ここでは、上述した利点が得られる。本発明に係る方法の特徴、特性及び利点は、本発明に係る装置にも相応に該当する、乃至、適用可能であることを理解されたい。

本発明によって得られる主な利点は、本発明が、差し迫った、ピエゾアクチュエータの寿命低下を予防する効果的な措置を示す、ということである。

本発明に係る噴射弁のブロックダイヤグラム。 本発明に係る方法のフローチャート。

図１は、本発明に係る噴射弁１０の例示的な動作の仕方を具体的に表すブロックダイヤグラムを示している。ここでは、著しく概略化された図で、本発明の実施にとって重要な、噴射弁１０の部品が示されている。内燃機関内に配置されているピエゾアクチュエータ１２は、燃焼噴射システム内の噴射弁１０のバルブニードル１８の位置を制御するように構成されている。ピエゾアクチュエータ１２は、駆動制御された状態において、ピエゾアクチュエータ１２とノズル１４との間に配置されている弁部材１６を介して、間接的にバルブニードル１８に作用する。当然ながら、バルブニードル１８が直接的にピエゾアクチュエータ１２によって操作されてもよい。ピエゾアクチュエータ１２は、信号によって駆動制御される。この信号は電流信号又は電圧信号又は電荷信号であり得る。

装置１０にはさらに、温度検出装置２２が示されている。この温度検出装置によって、ピエゾアクチュエータ１２の温度がモデルを介して特定される。

評価／制御装置２４は、温度検出装置２２によって特定された、ピエゾアクチュエータ１２の温度が目標値範囲内にあるか否か、乃至、所定の目標値を上回っているか否かを検査する。さらに、評価／制御装置２４は、ピエゾアクチュエータ１２の異なるモードを識別することができる。このために、ピエゾアクチュエータ１２の現在の動作状態に関するデータが、データ線路２６を介して評価／制御装置２４に伝送され、この評価／制御装置によって、現在のモードを特定するために評価される。評価／制御装置２４は、特に、このデータを評価することによって、ピエゾアクチュエータ１２の受動的な動作を識別することができる。

ピエゾアクチュエータ１２の動作には、能動的なモードと受動的なモードがある。能動的なモードとは、本願では、ピエゾアクチュエータが規則的又は継続的に機能に応じて操作されるモードである。受動的なモードとは、本願では、ピエゾアクチュエータが、機能的な操作が要求されない静止状態にあるモードである。従って、この状態では、ピエゾアクチュエータは操作されずかつ動かされない。生じ得る多くの温度影響によって、特に、ピエゾアクチュエータが受動的なモードで動作されている場合には、ストローク力の損失が生じる虞がある。このような温度影響は、以下のものであり得る。即ち、臨界的な温度値を超えている過度に高い温度値、温度変化、一回の温度変化、又は、ある数の温度周期乃至温度変化である。

燃焼室内への直接噴射が比較的高い圧力で第１の噴射弁によって行われ、吸気路内での吸気管噴射が比較的低い圧力で第２の噴射弁によって行われる、二重燃料噴射装置を有する内燃機械では、二つの噴射様式の利点を、相応するモード切り替えによって利用することができる。

ピエゾアクチュエータ１２は一般的に、受動的な温度変化ストレス時に、ストローク力が失われるという、機械的な特性を示す。液体燃料及びガス、特に液化ガス又は天然ガスによる選択的な動作を有する内燃機関では、上述した問題が、内燃機関の純粋なガス動作時乃至吸気管噴射を介した動作時に生じ得る。従って、ピエゾアクチュエータ１２を、このような受動的な動作において、例えば規則的に又は所定の条件下で操作する。この操作は、機能的に操作が要求されていないが、単に、上述した欠点を阻止するために行われる。所定の条件は、例えば、特定数の温度周期乃至温度変化である。ピエゾアクチュエータ１２が、所定の時間後に、温度を考慮せずに操作されてもよい。

このために、評価／制御装置２４は、ピエゾアクチュエータ１２の受動的な動作が識別され、これと同時に温度変化が目標値範囲から偏差している若しくは所定の目標値を超えている、又は、所定の時間が経過していると、ピエゾアクチュエータ１２を駆動制御し、操作するように構成されている。ピエゾアクチュエータ１２を駆動制御するために、その時間的な経過が所定のプロファイルを有している電流２０がピエゾアクチュエータ１２内を流れる。この通電によってピエゾアクチュエータ１２の伸張が変化し、弁部材１６、ひいては最終的にバルブニードル１８も操作される。

バルブニードル１８を操作することによって、バルブニードル１８の弁座とバルブニードル１８の上方部分との間に圧力差が生じ、この結果、バルブニードル１８が開き、これによって、受動的な動作時のストローク力の変化が阻止される。

図２は、本発明に係る、ピエゾアクチュエータ１２の動作方法のフローチャートを示している。本発明に係るこの方法は、開始ステップ２８で始まる。開始後に、先ずは、モード検査ステップ３０において、ピエゾアクチュエータ１２が受動的な動作にあるか否かが検査される。モード検査ステップ３０にける検査結果が否定的な場合（即ち、ピエゾアクチュエータ１２が受動的な動作にない場合）には、この方法は、終了ステップ３２において終了する。

モード検査ステップ３０の検査結果が肯定的な場合、即ち、ピエゾアクチュエータ１２が受動的な動作にある場合に、この方法は、温度変化検査ステップ３４へと移行する。温度変化検査ステップ３４では、ピエゾアクチュエータ１２での温度変化が、所定の目標範囲内にあるか否か、乃至、この温度変化が所定の目標値を超えているか否かが検査される。

目標値とは、温度差ΔＴ＝Ｔ１−Ｔ２のことであり得る。ここでＴ１とＴ２とは、異なる時点で特定された二つの温度値である。二つの測定の間の合理的な時間間隔は、付帯状況、例えば絶対温度又は温度の時間的な経過のプロファイルに依存し、有意義な結果が得られるように当業者によって選択される。

目標値が、温度変化速度（ｄＴ／ｄｔ＝温度の時間微分）であってもよい。温度変化検査ステップ３４でさらに、一回の温度変化又は所定数の温度変化が検出されたか否かが検査されてもよい。

温度変化検査ステップ３４における検査結果が否定的な場合には、温度変化が目標値範囲から偏差するまで若しくは目標値を超えるまで、又は、１回の温度変化若しくは所定数の温度変化が存在するまで温度変化検査は周期的に繰り返される。温度変化検査ステップ３４における検査結果が肯定的な場合には、この方法は、駆動制御ステップ３６に続く。駆動制御ステップ３６では、ピエゾアクチュエータ１２の駆動制御が行われる。ピエゾアクチュエータ１２の駆動制御を、メイン燃料噴射（シリンダーの燃料分配）に対して付加的に、又は、メイン燃料噴射の代わりに行うことができる。

本発明を、噴射弁内のピエゾアクチュエータの例に沿って説明してきたが、本発明は、この用途に限定されるものではない。むしろ、本発明は、基本的に、カムシャフトストローク調節のためのピエゾアクチュエータ等の、総てのピエゾアクチュエータ駆動式コントロール素子に使用可能である。

Claims (11)

1. 駆動制御信号によって操作されるピエゾアクチュエータ（１２）の動作方法であって、
   前記ピエゾアクチュエータ（１２）の動作には、能動的なモードと受動的なモードとがあり、前記ピエゾアクチュエータは、前記能動的なモードでは機能に応じて操作され、前記受動的なモードでは静止状態にある、方法において、
   前記受動的なモードにおいて前記ピエゾアクチュエータ（１２）を、機能的に操作が要求されていないが、操作する、
   ことを特徴とする、ピエゾアクチュエータ（１２）の動作方法。
2. 前記ピエゾアクチュエータ（１２）が所定の時間の間、前記受動的なモードにあると、前記ピエゾアクチュエータ（１２）を操作する、請求項１記載の方法。
3. 前記ピエゾアクチュエータ（１２）の領域内の温度を特定し、当該特定された温度の変化を特定し、
   前記温度変化が所定の値を上回ると、前記ピエゾアクチュエータ（１２）を前記駆動制御信号によって操作する、請求項１又は２記載の方法。
4. 前記温度を温度検出手段によって検出する、請求項３記載の方法。
5. 前記温度をモデルに基づいて計算する、請求項３記載の方法。
6. 前記ピエゾアクチュエータ（１２）が前記受動的なモードにあるか否かを規則的に検査する、請求項１から５までのいずれか一項記載の方法。
7. 前記所定の値を温度差によって形成する、請求項１から６までのいずれか一項記載の方法。
8. 前記所定の値を温度変化速度によって形成する、請求項１から７までのいずれか一項記載の方法。
9. １回又は複数回の温度変化が検出されると、前記ピエゾアクチュエータ（１２）を操作する、請求項１から８までのいずれか一項記載の方法。
10. 駆動制御信号によって操作されるピエゾアクチュエータ（１２）の動作装置であって、
    前記ピエゾアクチュエータ（１２）が能動的なモードにあるのか又は受動的なモードにあるのかを検出する手段と、
    請求項１から９までのいずれか一項記載の方法を実施する制御装置（２４）と、
    を備えていることを特徴とする、ピエゾアクチュエータ（１２）の動作装置。
11. 噴射弁と、ピエゾアクチュエータ（１２）と、請求項１０記載の装置とを備えている内燃機関。

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