JP2014518883A - T細胞媒介疾病の病態を改善させるためのtl1a−dr3相互作用の遮断及びその抗体 - Google Patents
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Abstract
提供されるものは、DR3とTL1Aとの間の相互作用を遮断することを含んでなる、被験者の炎症性又は自己免疫性疾病を治療するための、方法及び組成物である。DR3とTL1Aとの間の相互作用は、TL1Aの発現を減少させることによって遮断することができる。DR3とTL1Aとの間の相互作用は、抗DR3抗体の投与によって遮断することができる。DR3とTL1Aとの間の相互作用は、抗TL1A抗体の投与によって遮断することができる。炎症性又は自己免疫性疾病を治療する方法において、炎症性又は自己免疫性疾病は、T細胞成分による自己免疫性疾病であることができる。炎症性又は自己免疫性疾病を治療する方法において、炎症性又は自己免疫性疾病は、喘息、多発性硬化症、リウマチ様関節炎、1型糖尿病、移植片対宿主病又は炎症性腸疾患(IBD)であることができる。
【選択図】 なし
【選択図】 なし
Description
優先権データ
[001]本出願は、その全ての開示が本明細書中に援用される、2011年5月20日に出願された米国特許仮出願61/488,671の利益を主張するものである。上記に言及した出願の審査中に起こり得るいずれもの放棄は、それによって明確に撤回され、そして全ての関連する技術の再考は、敬意を表して要求されるものである。
[001]本出願は、その全ての開示が本明細書中に援用される、2011年5月20日に出願された米国特許仮出願61/488,671の利益を主張するものである。上記に言及した出願の審査中に起こり得るいずれもの放棄は、それによって明確に撤回され、そして全ての関連する技術の再考は、敬意を表して要求されるものである。
配列表
[002]ここに添付され、2012年3月13日に作成され、そして “6137NIAMS2PCT_SEQ_20120313_ST25.txt”のファイル名でここに提出される、25キロバイトのサイズの配列表のテキストファイルは、その全てが本明細書中に援用される。
[002]ここに添付され、2012年3月13日に作成され、そして “6137NIAMS2PCT_SEQ_20120313_ST25.txt”のファイル名でここに提出される、25キロバイトのサイズの配列表のテキストファイルは、その全てが本明細書中に援用される。
政府の権利の記述
[003]米国政府は、本明細書中に開示され、そして特許請求される本発明(1または複数)を所有する。
[003]米国政府は、本明細書中に開示され、そして特許請求される本発明(1または複数)を所有する。
発明の分野
[004]本発明は、DR3とTL1Aとの間の相互作用を遮断することを含んでなる、被験者の疾病を治療するための方法及び組成物、並びに同一物を含んでなる組成物に関する。
[004]本発明は、DR3とTL1Aとの間の相互作用を遮断することを含んでなる、被験者の疾病を治療するための方法及び組成物、並びに同一物を含んでなる組成物に関する。
[005]DR3(TRAMP、LARD、WSL−1、TNFRSF25)は、T細胞上に特異的に発現する腫瘍壊死受容体ファミリーのメンバーであり、これは、TNFR1に最も類似している。DR3に対するリガンドは、内皮細胞によって発現されることが報告されているTNFファミリーメンバーのタンパク質であるTL1Aである。TL1Aは、in vitroでT細胞の活性化を同時刺激することができるが、しかしTL1Aの生理学的出所及びその末梢T細胞の生物学におけるin vivoの役割は、知られていない。
[006]多くのTNFファミリーのリガンドと受容体との間の相互作用は、T細胞反応の特異的特徴を形成することにおいて重要な役割を果たす。CD30、TNFR2、OX40、CD27、GITR、HVEM、及び4−1BBを含むTNF受容体のサブファミリーは、T細胞上に発現し、そして特異的T細胞サブセットにおける同時刺激の別々の側面を仲介する(Croft,2003)。例えば、OX40は、活性化されたCD4+ T細胞の活性化後の生存を増強し(Croft)、TNFR2は、CD8+ T細胞の活性化を同時刺激し、そしてGITRは、制御性T細胞において独特の役割を有する(Expand,refs)。DR3(TNFRSF25/TRAMP/LARD/WSL−1)は、デスドメインを含有するTNFファミリー受容体であり、これはその最も近い相同体TNFR1のように、TRADDをリクルートし、そしてNF−kB及びMAP−キナーゼを活性化する能力を有するか、又は別の方法で細胞状況においてカスパーゼ活性化及びプログラム細胞死を引き起こす。TNFR1と異なり、DR3は、リンパ球中で特異的に発現し、T細胞において最も高いレベルであるが、然しながら、T細胞の恒常性維持におけるこの受容体の機能は、特にこの受容体TL1Aに対する真正なリガンドが最近になって同定されたされたため、十分に理解されていない。初期の報告は、TL1Aが内皮細胞上に排他的に発現することを示唆し、そして内因性TL1Aの付加は、TCRを介して刺激されたヒトT細胞によるIL−2及びIFN−G産生を同時刺激することが報告されている(Papadakis et al.,2004;Papadakis et al.,2005)。更に最近になって、TL1Aは、炎症性腸疾患のような炎症の部位においても見いだされている(Bamias et al.,2003;Bamias et al.,2006)。
Croft,2003
Papadakis et al.,2004
Papadakis et al.,2005
Bamias et al.,2003
Bamias et al.,2006
[007]本発明の目的によれば、本明細書中に具体化され、そして広く記載されるように、本発明は、DR3とTL1Aとの間の相互作用を遮断することを含んでなる、被験者の炎症性又は自己免疫性疾病を治療するための組成物及び方法に関する。
[008]開示される方法及び組成物の更なる利益は、以下の記載中に一部説明されるものであり、そして一部は、当該記載から理解されるものであるか、又は開示される方法及び組成物の実践によって学習することができる。開示される方法及び組成物の利益は、付属する特許請求の範囲中で特別に指摘される要素及び組合せによって実現され、そして達成されるものである。前記の一般的説明及び以下の詳細な説明の両方は、例示及び説明のみであり、そして特許請求の範囲に記載された本発明を制限するものではないことは理解されることである。
[009]本明細書中に組込まれ、そしてその一部を構成する付属する図面は、開示される方法及び組成物の幾つかの態様を例示し、そして記載と一緒に、開示される方法及び組成物の原理を説明するために役立つ。
[010]図1は、TL1AのmRNA発現が、各種の自然刺激後、骨髄由来樹状細胞(DC)中で強く誘導され、そしてMyD88依存性であることを示す。図1Aは、骨髄由来DC又はD11c+DCを培養し、そして100ng/mlのLPS、SEA又はSTAgを伴って、又は伴わずに、示した時間刺激したことを示す。
図1Bは、各種のノックアウト(KO)マウスからの骨髄由来DC中の、100ng/mlのLPSの存在下又は非存在下で3時間のTL1AのmRNAの発現を示す。RNAをそれぞれの試料から調製し、そして定量的PCRにおいて使用した。結果は、それぞれの集団の休止細胞に対して計算されたTL1AのmRNAの量を示す。図1Cは、精製されたT細胞を培養し、そして5μg/mlの抗CD3/CD28で、示した時間刺激したことを示す。RNAを、それぞれの試料から調製し、そして定量的PCRで使用した。結果は、新しく精製されたT細胞に対して計算されたTL1AのmRNAの量を示す。
図1Dは、抗CD3/CD28によるT細胞活性化後の、ヒト末梢血単核球(PBMC)中のTL1AのmRNAの誘導を示す。
図1Eは、TL1A誘導の初期のピークが、非T非B細胞由来であることを示す。示した細胞型をPBMCから精製し、そして記載したように刺激した。
[011]図2は、DR3 KOマウスからの精製されたT細胞が、増殖、活性化マーカーの発現を減少させ、そしてDC−T同時培養におけるサイトカイン産生を変更することを示す。図2Aは、精製されたT細胞を、抗CD3又は抗CD3/CD28で、3日間、10ng/mlのrTL1Aの存在下又は非存在下で活性化したことを示す。3Hを培養物に加え、一晩インキュベートし、そしてチミジン取り込みについて分析した。
図2Bは、精製されたT細胞を、抗CD3又は抗CD3/CD28で、3日間、10ng/mlのrTL1A及び10μg/mlの3C7抗体の存在下又は非存在下で活性化したことを示す。3Hを培養物に加え、一晩インキュベートし、そしてチミジン取り込みについて分析した。図2Cは、CFSEで標識した精製されたT細胞を、抗CD3又は抗CD3/CD28で、10ng/mlのrTL1Aの存在下又は非存在下で活性化したことを示す。細胞を、フローサイトメトリーによって分析した。
図2Dは、抗CD3/CD28によって活性化されたT細胞からの上清を回収し、そして24時間後の、示されたサイトカインの産生について分析したことを示す。
[012]図3は、DR3 KO T細胞が、増殖、活性化マーカーの発現を減少させ、そしてDC−T同時培養におけるサイトカイン産生を変更することを示す。図3Aは、骨髄DCを、ナイーブなOTII又はDR3 KO−OTIIのT細胞と共に、示したOvaペプチド濃縮物の存在下で3日間培養したことを示す。3Hを培養物に加え、一晩インキュベートし、そしてチミジン取り込みについて分析した。
図3Bは、骨髄DCを、ナイーブなOTII又はDR3 KO−OTIIのT細胞と共に、示したOvaペプチド濃縮物の存在下で培養したことを示す。細胞を、24時間、48時間及び72時間後に回収し、これを図のために使用したと言われ、そして活性化マーカーに対して染色し、そしてフローサイトメトリーによって分析した。同時培養物からの上清を、24時間、48時間、及び72時間で回収し、そしてIL−2産生について試験した。
[013]図4は、TL1Aが、T細胞分化において役割を果たすことができることを示す。図4Aは、抗CD3/CD28で刺激された精製されたナイーブT細胞を、TH1(抗IL−4+IL−12)条件下、又はTH2(抗IFN−γ+IL−4)条件下で6日間培養したことを示す。次いで細胞を、抗CD3/CD28で5−6時間再刺激し、そして細胞内サイトカインに対して染色し、そしてフローサイトメトリーによって分析した。B.ソートされたCD11c+DCを、OTII又はDR3−OTIIのT細胞と共に、SEA、STAg、又はIL−12いずれかと共にOvaペプチドの存在下で、6日間培養した。次いで細胞をPMA/イオノマイシンで6時間再刺激し、そして細胞内サイトカインに対して染色し、そしてフローサイトメトリーによって分析した。
[013]図4は、TL1Aが、T細胞分化において役割を果たすことができることを示す。
[013]図4は、TL1Aが、T細胞分化において役割を果たすことができることを示す。
[013]図4は、TL1Aが、T細胞分化において役割を果たすことができることを示す。
[014]図5は、DR3 KOマウスが、Ova仲介喘息モデルにおける肺の病理組織の減少を有することを示す。マウスを、Alum+PBS(対照)又はAlum+Ovaで感作した。次いでマウスを、PBS(対照)又はOvaでチャレンジした。図5Aは、肺の組織診断をPAS染色で行ったことを示す。
図5Bは、肺の病理組織診断を採点したことを示す。図5Cは、RNAを肺から調製し、そして定量的PCRで使用したことを示す。結果は、PBSで治療された対照マウスの肺(右の図)に対して計算されたサイトカインのmRNAの量を示す。Ova仲介の喘息モデルのマウスの脾臓を回収し、そして脾細胞を、10μg/ml又は50μg/mlのいずれかのOvaタンパク質の非存在下又は存在下で3日間培養した。3Hを培養物に加え、一晩インキュベートし、そしてチミジン取り込みについて分析した。50μg/mlで培養された脾細胞の上清を、3日後に回収し、そしてサイトカインについて分析した(左の図)。図5Dは、Ova仲介の喘息モデルのマウスの血液を回収し、そして血清を、IgG1及びOva特異的IgG1レベルについてELISAによって試験したことを示す。
[015]図6は、DR3 KOマウスが、MOG−EAEモデルにおいてEAEの減少を有することを示す。図6Aは、臨床スコアを示す。図6Bは、脾臓、非流入及び流入領域リンパ節を培養し、そしてMOGで再刺激したことを示す。
3Hを培養物に加え、一晩インキュベートし、そしてチミジン取り込みについて分析するか、又は細胞を、PMA/イオノマイシンで6時間再刺激し、そしてIL−17及びIFNγに対して染色した(図6C)。
図6Sは、脊髄からの細胞を、PMA/イオノマイシンで6時間再刺激し、そしてIL−17及びIFNγに対して染色したことを示す。
[016]図7は、マウスTL1AがヒトCD2 T細胞特異的制御要素の制御下におかれた、CD2−TL1A遺伝子導入マウスにおける、増加したT細胞活性化及び自然発生炎症性腸疾患を示す。図7Aは、CD2−TL1A遺伝子導入マウスの三つの独立の樹立系統から単離されたT細胞における、増加したCD44発現を示す。図7Bは、CD2−TL1A遺伝子導入マウス及び同腹仔の対照(WT)からの回腸の代表的な全体(上)、低倍率H&E切片(中)、及び高倍率H&E切片(下)の画像を示す。腸壁の肥大、絨毛の破壊、及び炎症細胞の粘膜への浸潤を観察することができる。
[017]図8は、TL1Aが、DR3を介したCD4+ T細胞における増殖及びサイトカイン産生を同時刺激することを示す。図8Aは、C57BL/6又はDR3−/−マウスからの精製されたCD4+ T細胞を、抗CD3、又は抗CD3及び抗CD28で、3日間、10ng/mlのマウスrTL1Aの存在下又は非存在下で、活性化したことを示す。3H−チミジンを培養物に加え、一晩インキュベートし、そしてチミジン取り込みについて分析した。エラーバーは、三連の試料のs.e.mを表す。
図8Bは、C57BL/6からの精製されたT細胞を、上記のように、しかし更に10μg/mlの抗IL−2Rα抗体又はアイソタイプの対照の存在下で、3日間培養したことを示す(左の図)。IL−2−/−又はIL−2+/+からの精製されたT細胞を、上記のように、10U/mlのIL−2の非存在下又は存在下で3日間培養した(中及び右の図)。エラーバーは、三連の試料のs.e.mを表す。
図8Cは、図8Aのように活性化し、そして培養したCD4 +T細胞からの上清を、示した時点で回収し、そして示したサイトカインをサイトカインビーズアレイで測定したことを示す;n.d.=検出限界以下(4pg/ml)である。
[018]図9は、樹状細胞及びT細胞中のTL1A発現の特異誘導を示す。図9Aは、野生型C57BL/6マウスからの骨髄由来DC又はCD11c+DCを、100ng/mlのLPS、20μg/mlのSEA又は10μg/mlのSTAgを伴うか又は伴わずに、示した時間培養及び刺激したことを示す。RNAをそれぞれの試料から調製し、そして逆転写定量PCR(RT−qPCR)中で使用した。
図9Bは、野生型C57BL/6又は示したノックアウト(KO)マウスからの骨髄由来DCを、100ng/mlのLPSの存在下又は非存在下で、3時間培養及び刺激したことを示す。RNAをそれぞれの試料から調製し、そしてRT−qPCRで使用した。図9Cは、野生型C57BL/6からの骨髄由来DCを、示した時間、100ng/mlのLPS、又はIg架橋結合を伴い又は伴わずに培養及び刺激し、そしてRNAをそれぞれの試料から調製し、そしてRT−qPCRで使用したことを示す。
図9Dは、野生型C57BL/6又はDR3−/−マウスからの精製されたT細胞を、5μg/mlの抗CD3及び抗CD28で、示された時間培養及び刺激したことを示す。RNAをそれぞれの試料から調製し、そしてRT−qPCRで使用した。結果は、それぞれの集団の非処理細胞に対して(図9A−C)、又はそれぞれの遺伝子型の非刺激T細胞に対して(図9D)計算されたTL1AのmRNAの量を示す。T細胞中のTL1A基底mRNAレベルは、DCより概略50倍低かった。エラーバーは、三連の試料のs.e.m.を表す。
[019]図10は、DR3−/−T細胞が、樹状細胞の存在下で培養した場合、増殖が減少し、そしてサイトカイン産生が変わることを示す。図10Aは、骨髄DCを、ナイーブなOT−II又はDR3−/−OT−IIのCD4+ T細胞で、示した濃度のOvaペプチドの存在下で、そしてCTLA4Igの非存在下(左の図)又は存在下(右の図)で3日間培養したことを示す。3H−チミジンを培養物に加え、一晩インキュベートし、そしてチミジン取り込みについて分析した。
図10Bは、上記の培養物からの上清を、72時間後に回収し、そしてサイトカイン産生について試験したことを示す。n.d.=検出限界以下(4pg/ml)。
[020]図11は、DR3が、ナイーブT細胞のTh1、Th2又はTh17分化のために必要ないことを示す。図11Aは、T枯渇APCを、C57BL/6又はDR3−/−の精製されたナイーブなCD4+ T細胞で、可溶性抗CD3及び抗CD28の存在下で、Th0、Th1、Th2又はTh17分極化条件下で4日間培養したことを示す。次いで細胞を、PMA及びイオノマイシンで5−6時間再刺激し、そして細胞内サイトカインに対して染色し、そしてフローサイトメトリーで分析した。
図11Bは、ソートされたCD11c+DCを、OT−II又はDR3−/−OT−IIの精製されたナイーブなCD4+ T細胞で、Ovaペプチドの存在下で、Th0、Th1又はTh2分極化条件下で、又はSTAgの存在下で6日間培養したことを示す。次いで細胞を、抗CD3及び抗CD28で5−6時間再刺激し、そして細胞内サイトカインに対して染色し、そしてフローサイトメトリーで分析した。
[021]図12は、DR3が、Th2媒介の肺炎症のために必要であることを示す。マウスを、Alum+PBS(対照)又はAlum+Ovaで感作した。次いでマウスを、PBS(対照)又はOvaでチャレンジした。図12Aは、気道(aw)及び浸潤性細胞(矢頭)を示す、PAS染色組織診断の例を示すことを示す。
図12Bは、肺の病理組織診断を採点し(左の図)そしてBAL中の細胞を計数した(右の図)ことを示す。
図12Cは、細胞を肺から抽出し、そしてフローサイトメトリーで分析したこと(図12D)を示す。RNAを肺から調製し、そしてRT−qPCRで使用した。結果は、PBSで治療された対照マウスの肺に対して計算されたサイトカインのmRNAの量を示す。P値は、DR3−/−とOvaで誘導された対照マウスとの間の、示したサイトカインのmRNAレベルに対する独立t検定に対するものである。
図12Cは、細胞を肺から抽出し、そしてフローサイトメトリーで分析したこと(図12D)を示す。RNAを肺から調製し、そしてRT−qPCRで使用した。結果は、PBSで治療された対照マウスの肺に対して計算されたサイトカインのmRNAの量を示す。P値は、DR3−/−とOvaで誘導された対照マウスとの間の、示したサイトカインのmRNAレベルに対する独立t検定に対するものである。
図12Wは、脾細胞を50μg/mlのOvaタンパク質又は培地の対照の存在下で3日間培養したことを示す。上清を、サイトカイン産生について細胞数測定ビーズアレイによって分析した。図12Fは、血清を、Ova特異的IgE及びOva特異的IgG1レベルについてELISAによって試験したことを示す。群を独立両側T検定で比較することによって得られたP値を、有意である場合に示す;n.s.=有意ではない。
[022]図13は、DR3−/−マウスが、欠陥のある局所T細胞反応及びEAEにおける減少した疾病を有することを示す。図13Aは、DR3−/−マウス及びC57BL/6対照マウスを、材料及び方法中に記載したように、EAEのために誘導し、そして臨床スコアを毎日測定したことを示す。図13Bは、MOG注射の部位からの流入領域リンパ節を回収し、そして細胞を、示した量のMOGペプチドで再刺激したことを示す。T細胞の増殖を、3H−チミジン取り込みによって3日後に評価した。
図13Cは、脊髄から回収された細胞を、抗CD3及び抗CD28で4時間再刺激し、そしてT細胞表面マーカーについてフローサイトメトリーによって分析し、そしてゲートした(gated)CD45+CD4+細胞を、細胞内サイトカイン産生について分析したことを示す。
図13Dは、示したマウスの群からの脊髄及び脾臓からのmRNAを、RT−qPCRによってIL−17及びIFN−γのmRNAについて分析したことを示す。結果をβ2m又はCD3−δに対して正規化した。エラーバーは、三連の試料のs.e.m.を表す。
[023]図14は、T.gondiiに対する正常な全身性反応を示す。示したマウスを、平均20個の嚢胞/動物でi.p.で接種した。7週間後、脾臓細胞を回収し、抗CD3及び抗CD28と共に、又はSTAgと共に48時間培養し、そして上清を、示したサイトカインの産生について試験した。
[024]図15は、ヒト及びマウスにおけるT細胞特異的DR3発現を示す。SymAtlas(symatlas.gnf.org)(Su et al.,2004)からのDR3(TNFRSF25)に対するマイクロアレイ由来の遺伝子発現データを、マウス(図15A)及びヒト(図15B)組織からの各種の細胞型について示す。データは、gcRMAアルゴリズムによって正規化されている。
[024]図15は、ヒト及びマウスにおけるT細胞特異的DR3発現を示す。
[024]図15は、ヒト及びマウスにおけるT細胞特異的DR3発現を示す。SymAtlas(symatlas.gnf.org)(Su et al.,2004)からのDR3(TNFRSF25)に対するマイクロアレイ由来の遺伝子発現データを、マウス(図15A)及びヒト(図15B)組織からの各種の細胞型について示す。データは、gcRMAアルゴリズムによって正規化されている。
[024]図15は、ヒト及びマウスにおけるT細胞特異的DR3発現を示す。
[025]図16は、DR3−/−及びWTのT細胞の活性化後の、表面マーカー発現の動態を示す。C57BL/6又はDR3−/−マウスからの精製されたCD4+ T細胞を、1μg/mlの抗CD3で、10ng/mlのマウスrTL1Aの存在下又は非存在下で活性化した。細胞を、刺激の前に、並びに24、48及び72時間後に、示した活性化マーカーに対して染色し、そしてフローサイトメトリーによって測定した。
[026]図17は、ナイーブT細胞に対するTL1Aの影響を示す。図17Aは、C57BL/6又はDR3−/−マウスからの精製されたナイーブな(CD62LhiCD44lo)CD4+ T細胞を、抗CD3で、10ng/mlのマウスrTL1Aの存在下又は非存在下で3日間活性化したことを示す。3H−チミジンを培養物に加え、一晩インキュベートし、そしてチミジン取り込みについて分析した。図17Bは、上記のように培養したナイーブなCD4+ T細胞からの上清を、3日後に回収し、そしてサイトカイン産生について分析したことを示す。
図17Cは、C57BL/6又はDR3−/−マウスからの脾臓及びリンパ節を、CD4+ T細胞中のCD44発現を決定することによって記憶集団(memory population)について分析したことを示す。
[027]図18は、DR3−/−及びWTのOT−II T細胞の、ovaペプチドでパルス刺激されたDCによる活性化後の表面マーカーの発現を示す。骨髄由来DCを、ナイーブなOT−II又はDR3−/−OT−IIのCD4+ T細胞と共に、示した濃度のOvaペプチドの存在下で培養した。細胞を、CD4及び示した表面発現マーカーに対して、24時間及び48時間後に染色し、そしてフローサイトメトリーによって分析した。
[028]図19は、Ova誘発の肺炎症におけるT細胞及びマクロファージの変更された局在化を示す。実験方法中に記載したようなOvaで予備刺激及びチャレンジした、示した遺伝子型のマウスからの肺の組織学的切片を、抗CD3(T細胞)又は抗F4/80(マクロファージ)マーカー抗体及びHRP結合二次抗体で、免疫組織化学標識に供した。気道(aw)及び血管(bv)を示す。
[029]図20は、機能性抗TL1A遮断抗体の特徴付けを示す。図20A−Dは、マウスTL1A−GFP融合タンパク質で遺伝子導入された細胞のフローサイトメトリー的染色を示す。図20Aは、陰性対照のmAbである。図20B及び20Cは、二つの陽性抗TL1Aクローンである。図20Dは、GFP単独で遺伝子導入された細胞と反応した陽性クローンである。
図20Eは、RPMI8826細胞株におけるTL1A誘発アポトーシスの遮断を示す。100ng/mlのTL1A+シクロヘキシミド(CHX)を、RPMI−8826Bリンパ腫細胞に加え、そして細胞の生存率を24時間後MTTアッセイで測定した。生存率は、培地単独についての100%に対して正規化した。抗TL1A抗血清を、1:1000の希釈で使用した。
[030]図21は、TL1A遺伝子導入マウスにおける炎症性腸疾患を示す。図21Aは、野生型(WT)、TL1A−CD2株R6(R6)及びTL1A CD11c株I4(I4)遺伝子導入マウスからの回腸の切片の、全体(上)、低(中)及び高倍率の拡大を示す。図21B及び21Cは、CD2−TL1A及びCD11c−TL1A遺伝子導入マウスの、示した領域の病理組織学的IBDスコアの概要を示す。
図21B及び21Cは、CD2−TL1A及びCD11c−TL1A遺伝子導入マウスの、示した領域の病理組織学的IBDスコアの概要を示す。図21Dは、示したマウスの群の離乳後3週間の体重増加を示す。
図21Eは、定量的RT−PCRで測定され、そして野生型マウスにおける平均の1に対して正規化された、CD2−TL1A遺伝子導入マウスからの回腸における、示したサイトカインについてのRNAの相対レベルを示す。
[031]図22は、緑色蛍光タンパク質(GFP)と融合されたTL1Aで遺伝子導入された293T細胞を使用する抗TL1A抗体に対するスクリーニング戦略を示す。例を、マウスTL1A(mTL1A)に対する抗体のスクリーニングから示す。アルメニアハムスターを、マウス組換えTL1Aで免疫化した。ハイブリドーマを、マウスTL1Aで遺伝子導入した293T細胞によりフローサイトメトリーによってスクリーニングした。例を、Aにおける陽性クローンについて示す。Bにおいて、更なる分析のために選択された、示した量の二つのクローンによるmTL1Aの、例示的染色を示す。ヒトTL1Aを発現する293T細胞による同じ戦略を、ヒト組換えTL1Aで免疫化したマウスからのハイブリドーマをスクリーニングするために使用して、mIgG2aカッパアイソタイプ抗体である抗ヒトTL1Aクローン1A9及び1C6を選択した。
[031]図22は、緑色蛍光タンパク質(GFP)と融合されたTL1Aで遺伝子導入された293T細胞を使用する抗TL1A抗体に対するスクリーニング戦略を示す。
[031]図22は、緑色蛍光タンパク質(GFP)と融合されたTL1Aで遺伝子導入された293T細胞を使用する抗TL1A抗体に対するスクリーニング戦略を示す。
[032]図23は、野生型又はTL1A遺伝子導入マウスのT細胞を、抗CD3/抗CD28で24時間活性化し、次いで説明文に示すように、示した細胞型におけるこのmAbによる表面TL1Aの認識を証明するために、抗TL1A mAb 5G4.6で染色したことを示す。灰色の影付きプロットは、対照染色試薬としてハムスターIgを使用した蛍光のバックグラウンドレベルを表す。
[033]図24は、抗ヒトTL1A mAb 1A9を使用する体液及び培養上清中のヒトTL1Aの検出のためのビーズベースアッセイについての感受性曲線を示す。
[034]図25は、示したmAbの存在下のマウス(A)又はヒト(B)TL1A+シクロヘキシミド(CHX)で治療されたTF1赤白血病細胞を示す。細胞生存率を、Promega CellTiter−Glo(登録商標)ATP試薬によって測定した。発光の変化は、これらの細胞におけるTL1A+CHXに対する既知の反応である細胞死を示す。発光の変化の減少は、mAbによるTL1A作用の遮断を示す。これらのmAbが、ヒト及びマウスTL1Aとの間で交差反応しないことも示された。
[035]図26は、抗マウスTL1A mAbによるTNBS大腸炎の予防を示す。A)0日目におけるトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)の直腸内投与によりTNBS大腸炎を発症するように誘導されたマウスのコホートにおける体重減少。10mg/kgの抗TL1A mAb 5G4.6又は対照のハムスターIgGを、−1及び0日目にi.p.で注射した。それぞれの点は、コホートの平均体重を表す。実験の終了の前に死亡したマウスを、矢印で示す。データは、群当たり最低8匹のマウスによる二つの独立の実験の代表である。B)(A)のように対照又は抗TL1AのmAbで治療された、TNBS大腸炎を発症するように誘導されたマウスからの結腸の代表的H&E切片。矢印は、対照のAbで治療されたマウスの重度の炎症の区域を示す。左の図は、同じ切片の50×であり、そして右の図は200×拡大である。(A)のマウスの大腸炎の誘導後6日目の平均病態スコアを示す。
図27は、抗マウスTL1A mAb 5G4.6によるコラーゲン誘導関節炎(CIA)の予防を示す。A.CIAは、標準的な方法によってDBA/1マウスにおいて誘導した。20mg/kgの抗TL1A mAb 5G4.6(治療、n=5)又はハムスター免疫グロブリン(対照、n=7)のいずれかの毎週の腹腔内注射を、コラーゲンによる最初の免疫化後21日目に開始した。三つの独立の実験の代表的実験を示す。各日の臨床スコアを独立t検定を使用して比較し、そして有意性のためのp値をそれぞれの時点の上に示し、それぞれの日付の上の星印(*=p<0.05、**=p<0.005)によって表す。二元配置ANOVAを更に行って、二つのグラフの傾向を比較し、p値をそれぞれの実験の右に示す。B.各日の関節炎のないマウスのパーセントの生存率分析を、抗TL1A治療群と対照群との間で比較する。関節炎は、二つ又はそれより多い組合せた臨床スコアによって定義した。C.図AのようにCIAを発症するように誘導されたそれぞれの群からのマウスからの血清を、示した時点で収集し、そして抗ニワトリコラーゲンIgGレベルを、ELISAによって測定した。
[036]図28は、抗マウスTL1A mAb 5G4.6によるTL1Aの遮断が、CIAにおける関節スコアに関わらず、骨の浸食を減少させることを示す。A)方法中に記載されたようにCIAを発症するように誘導されたマウスからの後足を回収し、そして10%のホルムアルデヒド中で固定した。足をマイクロ−CTで走査し、そして画像を、方法に記載するように再構成した。例をそれぞれの治療群から示し、最大の臨床スコア及び浸食スコアを、治療群に対してブラインドの二人の別個の観察者によりその足に対して得た。B)臨床スコアに対してブラインドの二人の別個の観察者によって得られた浸食スコアを、それぞれの試料について平均した。ここに示されるものは、抗TL1A mAb 5G4.6で治療された群(n=18)及び対照の抗体で治療された群(n=20)からのスコアの複合であり、p値は、ウエルチの相関(Welch's correlation)を伴う独立t検定からのものである(*p=0.05)。個々の領域の分析は、足首/足根における0.078、中足指節(MTP)関節における0.042、及び爪先における0.015のp値をもたらした。C)二つの群からの足のCTスコアの比較は、最大臨床スコアに基づいた。抗TL1A mAb治療は、臨床スコアに関係なく浸食を有意に減少させた。二元配置ANOVAを使用してP<0.0001(***p<0.0001)。
[037]開示される方法及び組成物は、本明細書中に含まれる以下の特定の態様の詳細な説明及び実施例、並びに図面及びその先の及び以下の記載を参照することによって、更に容易に理解することができる。
[0038]開示されるものは、開示される方法及び組成物のために使用することができるか、それらに関連して使用することができるか、それらの調製において使用することができるか、又はそれらの産物である、材料、組成物及び成分である。これらの及び他の材料が本明細書中で開示され、そしてこれらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、群、等が開示された場合、これらの化合物のそれぞれの種々の個々の及び集合的組合せ並びに並べ替えの具体的な言及は明確に開示されないかもしれないが、それぞれは、具体的に意図され、そして本明細書中に記載されることは理解される。例えば、ペプチドが開示され、そして考察され、そして当該ペプチドを含む多くの分子に対して行うことができる多くの改変が考察される場合、ペプチドの全ての組合せ及び並べ替え並びに可能な改変は、その逆が具体的に示されない限り、具体的に意図されている。従って、一つのクラスの分子A、B、及びC、並びに一つクラスの分子D、E、及びFが開示され、そして組合せ分子の例A−Dが開示されている場合、それぞれが個々に列挙されていないとしても、それぞれは、個々に、そして集合的に意図されている。従って、この例において、A、B、及びC;D、E、及びF;並びに例の組合せA−Dの開示から、組合せA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、及びC−Fのそれぞれは具体的に意図され、そして開示されていると考えるべきである。同様に、これらのいずれものサブセット又は組合せも具体的に意図され、そして開示される。従って、例えば、A、B、及びC;D、E、及びF;並びに例の組合せA−Dの開示から、A−E、B−F、及びC−Eの下位群が具体的に意図され、そして開示されていると考えるべきである。この概念は、制約されるものではないが、開示される組成物の製造及び使用の方法における工程を含む本出願の全ての側面に適用される。従って、行うことができる各種の更なる工程がある場合、これらの更なる工程のそれぞれを、開示される方法のいずれもの具体的な態様又は態様の組合せで行うことができ、そしてそれぞれのこのような組合せが具体的に意図され、そして開示されていると考えるべきであることは理解されることである。
[039]使用される略語の意味は、次のとおりであり、“BSA”は、ウシ血清アルブミンを意味し、“ELISA”は、酵素結合免疫吸着アッセイを意味し、“CIH”は、コラーゲン誘導関節炎を意味し、“SF”は、滑液を意味し、“マイクロCT”は、マイクロ断層撮影法を意味し、“APC”は、抗原提示細胞を意味し、“WT”は、野生型を意味し、“KO”は、ノックアウトを意味し、“DC”は、樹状細胞を意味し、“RIA”は、放射免疫アッセイを意味し、“RIPA”は、放射免疫沈降アッセイを意味し、“FRET”は、蛍光共鳴エネルギー転移を意味し、“FRAP/FLAP”は、光退色後蛍光回復/局在化を意味し、“FACS”は、蛍光活性化セルソーティングを意味し、“RT−PCR”は、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を意味し、“LPS”は、リポポリサッカリドを意味し、“FADD”は、デスドメインを有するFas結合タンパク質(Fas-Associated protein with Death Domain)を意味し、“BALF”は、気管支肺胞洗浄液を意味する。
[040]当業者は、本明細書中に開示される方法及び組成物の具体的態様に対する多くの均等物を、日常的実験を使用するのみで認識するか、又は確認することが可能である。このような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図する。
[041]開示される方法及び組成物は変更することができることから、これらが記載される特定の方法論、プロトコル及び試薬に制約されないことは理解される。本明細書中で使用される用語が、特定の態様を記載する目的のためのみであり、そして付属する特許請求の範囲によってのみ制約されるものである本発明の範囲を制約することを意図するものではないことも理解される。
A.治療の方法
[042]提供されるものは、DR3とTL1Aとの間の相互作用を遮断することを含んでなる、被験者の炎症性又は自己免疫性疾病を治療する方法である。
[042]提供されるものは、DR3とTL1Aとの間の相互作用を遮断することを含んでなる、被験者の炎症性又は自己免疫性疾病を治療する方法である。
[043]DR3とTL1Aとの間の相互作用は、内因性DR3レベル、活性、又は利用可能性を減少させることによって遮断することができる。DR3とTL1Aとの間の相互作用は、内因性TL1Aレベル、活性、又は利用可能性を減少させることによって遮断することもできる。DR3とTL1Aとの間の相互作用は、二つの分子間の相互作用を直接妨害する薬剤を使用して遮断することができる。例えば、直接の妨害は、そのTL1Aに対する結合部位においてDR3に結合する薬剤、又はそのDR3に対する結合部位においてTL1Aに結合する薬物によって影響を受け得る。典型的には、この結合は、この部位において結合する他の分子の能力を競合的に妨害するものである。
[044]タンパク質レベル、活性、又は利用可能性は、例えば、ペプチドの転写、翻訳、トランスロケーション、ユビキチン化、リン酸化、グリコシル化、又はペプチド切断を調節することによって影響を受け得る。
i.機能性核酸
[045]例えば、TL1Aの内因性レベルは、アンチセンス、RNAi、siRNA、リボザイム、又はアプタマーのような機能性核酸を使用して減少させることができる。
[045]例えば、TL1Aの内因性レベルは、アンチセンス、RNAi、siRNA、リボザイム、又はアプタマーのような機能性核酸を使用して減少させることができる。
[046]機能性核酸は、標的分子を結合する、又は特異的反応を触媒するような特異的機能を有する核酸分子である。機能性核酸分子は、制約することを意味するものではないが、以下の分類に分けることができる。例えば、機能性核酸は、アンチセンス分子、アプタマー、リボザイム、三重鎖形成分子、RNAi、及び外部ガイド配列を含む。機能性核酸分子は、影響因子、阻害剤、調節因子、及び標的分子によって保有される特異的活性の刺激因子として作用することができるか、又は機能性核酸分子は、いずれもの他の分子に関わらない新規な活性を保有することができる。
[047]機能性核酸分子は、DNA、RNA、ポリペプチド、又は炭水化物鎖のようないずれもの巨大分子と相互作用することができる。従って、機能性核酸は、TL1AのmRNA又はTL1AのゲノムDNAと相互作用することができるか、或いはこれらは、ポリペプチドのTL1Aと相互作用することができる。或いは、機能性核酸は、DR3のmRNA又はTR3のゲノムDNAと相互作用することができるか、或いはこれらは、DR3ポリペプチドと相互作用することができる。しばしば、機能性核酸は、標的分子と機能性核酸分子との間の配列相同性に基づいて他の核酸と相互作用するように設計される。他の状況において、機能性核酸分子と標的分子との間の特異的認識は、機能性核酸分子と標的分子との間の配列相同性に基づかないが、しかしむしろ特異的認識が起こることを可能にする三次構造の形成に基づく。
[048]アンチセンス分子は、古典的又は非古典的塩基対合のいずれかにより標的核酸分子と相互作用するように設計される。アンチセンス分子と標的分子との相互作用は、例えば、RNアーゼH仲介RNA−DNAハイブリッド分解による標的分子の破壊を促進するように設計される。或いは、アンチセンス分子は、転写又は複製のような標的分子上で通常起こるものであるプロセシング機能を妨害するように設計される。アンチセンス分子は、標的分子の配列に基づいて設計することができる。標的分子の最も接近可能な領域を見出すことによるアンチセンス効率の最適化のための多くの方法が存在する。例示的な方法は、DMS及びDEPCを使用するin vitroの選択実験及びDNA修飾研究であるものである。アンチセンス分子は、10−6、10−8、10−10、又は10−12より小さいか、或いはそれに等しい解離定数(Kd)で標的分子に結合することが好ましい。アンチセンス分子の設計及び使用を補助する方法及び技術の代表的サンプルは、米国特許第5,135,917号、5,294,533号、5,627,158号、5,641,754号、5,691,317号、5,780,607号、5,786,138号、5,849,903号、5,856,103号、5,919,772号、5,955,590号、5,990,088号、5,994,320号、5,998,602号、6,005,095号、6,007,995号、6,013,522号、6,017,898号、6,018,042号、6,025,198号、6,033,910号、6,040,296号、6,046,004号、6,046,319号、及び6,057,437号中に見出すことができる。
[049]アプタマーは、好ましくは特異的方法で、標的分子と相互作用する分子である。典型的には、アプタマーは、ステムループ又はG四重鎖のような規定された二次及び三次構造に折畳まれた15−50個の塩基の長さの範囲の小さい核酸である。アプタマーは、ATP(米国特許第5,631,146号)及びテオフィリン(米国特許第5,580,737号)のような小さい分子、並びに逆転写酵素(米国特許第5,786,462号)及びトロンビン(米国特許第5,543,293号)のような大きい分子と結合することができる。アプタマーは、10−12Mより小さい標的分子からのKdで非常に堅固に結合することができる。アプタマーは、10−6、10−8、10−10、又は10−12より小さいKdで標的分子と結合することが好ましい。アプタマーは、非常に高い程度の特異性で標的分子を結合することができる。例えば、標的分子と当該分子上の一つの位置のみで異なるもう一つの分子との間の結合親和性において、10,000倍より大きい差を有するアプタマーが単離されている(米国特許第5,543,293号)。アプタマーが、バックグラウンド結合分子とのKdより、少なくとも10、100、1000、10,000、又は100,000倍低い標的分子とのKdを有することが好ましい。例えばポリペプチドについて比較する場合、バックグラウンド分子は、異なったポリペプチドであることが好ましい。各種の異なった標的分子を結合するためのアプタマーを、製造し、そして使用するための方法の代表的例は、米国特許第5,476,766号、5,503,978号、5,631,146号、5,731,424号、5,780,228号、5,792,613号、5,795,721号、5,846,713号、5,858,660号、5,861,254号、5,864,026号、5,869,641号、5,958,691号、6,001,988号、6,011,020号、6,013,443号、6,020,130号、6,028,186号、6,030,776号、及び6,051,698号中に見出すことができる。用語“合成アプタマー”は、天然に存在することがこれまで知られていない、そして生物学的認識部位又はアプタマー複合体として機能するアプタマー或いはアプタマー的配列を意味する。
[050]リボザイムは、分子内又は分子間のいずれかの化学反応を触媒することが可能な核酸分子である。従って、リボザイムは、触媒性核酸である。リボザイムが、分子間反応を触媒することが好ましい。ヌクレアーゼ型反応又は核酸ポリメラーゼ型反応を触媒する多くの異なった種類のリボザイムが存在し、これらは、ハンマーヘッド型リボザイム(米国特許第5,334,711号、5,436,330号、5,616,466号、5,633,133号、5,646,020号、5,652,094号、5,712,384号、5,770,715号、5,856,463号、5,861,288号、5,891,683号、5,891,684号、5,985,621号、5,989,908号、5,998,193号、5,998,203;Ludwig and Sproatによる国際特許出願WO9858058、Ludwig and SproatによるWO9858057、及びLudwig and SproatによるWO9718312)、ヘアピンリボザイム(例えば、米国特許第5,631,115号、5,646,031号、5,683,902号、5,712,384号、5,856,188号、5,866,701号、5,869,339号、及び6,022,962号)、及びテトラヒメナリボザイム(例えば、米国特許第5,595,873号、及び5,652,107号)のような天然の系中に見出されるリボザイムに基づく。天然の系中に見出されていない多くのリボザイムも存在するが、しかし、これらは、新規な特異的反応を触媒するように操作されている(例えば、米国特許第5,580,967号、5,688,670号、5,807,718号、及び5,910,408号)。好ましいリボザイムは、RNA又はDNA基質を切断し、そしてより好ましくはRNA基質を切断する。典型的には、リボザイムは、その後の切断を伴う標的基質の認識及び結合によって核酸基質を切断する。この認識は、しばしば殆ど古典的又は非古典的塩基対の相互作用に基づく。この特性は、標的基質の認識が、標的基質の配列に基づくために、リボザイムを、核酸の標的特異的切断のための特に良好な候補とする。各種の異なった反応を触媒するためのリボザイムを製造し、そして使用するための方法の代表的な例は、米国特許第5,646,042号、5,693,535号、5,731,295号、5,811,300号、5,837,855号、5,869,253号、5,877,021号、5,877,022号、5,972,699号、5,972,704号、5,989,906号、及び6,017,756号中に見出すことができる。
[051]三重鎖形成の機能性核酸分子は、二本鎖又は一本鎖核酸のいずれかと相互作用することができる分子である。三重鎖分子が標的領域と相互作用する場合、三重鎖と呼ばれる構造が形成され、そこにはワトソン−クリック及びフーグスティーン塩基対の両方に依存する複合体を形成するDNAの三本鎖が存在する。三重鎖分子が、これらが高い親和性及び特異性で標的領域を結合することができるために好ましい。三重鎖形成分子が、標的分子を10−6、10−8、10−10、又は10−12より小さいKdで結合することが好ましい。各種の異なった標的分子を結合するための三重鎖形成分子を製造し、そして使用するための方法の代表的な例は、米国特許第5,176,996号;5,645,985号 5,650,316号;5,683,874号;5,693,773号;5,834,185号;5,869,246号;5,874,566号及び5,962,426号中に見出すことができる。
[052]外部ガイド配列(EGS)は、複合体を形成する標的核酸分子を結合する分子であり、そしてこの複合体は、RNアーゼPによって認識され、これは標的分子を切断する。EGSは、選択されるRNA分子を特異的に標的とするように設計することができる。RNアーゼPは、細胞内の転移RNA(tRNA)のプロセシングを援助する。標的RNA:EGS複合体に天然のtRNA基質を模倣させEGSを使用することによって、細菌のRNアーゼPは、実質的にいずれものRNA配列を切断するためにリクルートされ得る。(YaleによるWO92/03566、及びForster and Altman,Science 238:407−409(1990))。
[053]同様に、真核生物のRNAのEGS/RNアーゼP特異的切断は、真核細胞内の所望の標的を切断するために使用することができる(Yuan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:8006−8010(1992);WO93/22434 by Yale;WO95/24489 by Yale;Yuan and Altman,EMBO J 14:159−168(1995),及びCarrara et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)92:2627−2631(1995))。各種の異なった標的分子の切断を容易にするためのEGS分子を製造し、そして使用するための方法の代表的な例は、米国特許第5,168,053号、5,624,824号、5,683,873号、5,728,521号、5,869,248号、及び5,877,162号中に見出される。
[054]遺伝子発現は、RNA干渉(RNAi)により高度に特異的な様式で効率的にサイレンシングすることもできる。このサイレンシングは、本来、二本鎖RNA(dsRNA)の添加に伴い観察された(Fire,A.,et al.(1998)Nature,391:806−11;Napoli,C.,et al.(1990)Plant Cell 2:279−89;Hannon,G.J.(2002)Nature,418:244−51)。dsRNAが細胞に入った後、これは、RNアーゼIII様酵素、ダイサーによって、3’末端に2個のヌクレオチドのオーバーハングを含有する21−23個のヌクレオチドの長さの二本鎖の小さい干渉RNA(siRNA)に切断される(Elbashir,S.M.,et al.(2001)Genes Dev.,15:188−200;Bernstein,E.,et al.(2001)Nature,409:363−6;Hammond,S.M.,et al.(2000)Nature,404:293−6)。ATP依存性工程において、siRNAは、RNAi誘導サイレンシング複合体(RISC)として一般的に知られている多重サブユニットタンパク質複合体に組込まれ、これは、siRNAを標的RNA配列に導く(Nykanen,A.,et al.(2001)Cell,107:309−21)。ある時点で、siRNA二重鎖は巻き戻され、そしてアンチセンス鎖は、RISCに結合したままで、エンド及びエキソヌクレアーゼの組合せによる相補的mRNA配列の分解を指示するようである(Martinez,J.,et al.(2002)Cell,110:563−74)。しかしながら、iRNA又はsiRNAの効果、或いはそれらの使用は、いかなるタイプのメカニズムにも限定されない。
[055]短い干渉RNA(siRNA)は、配列特異的転写後遺伝子サイレンシングを誘導することができる二本鎖RNAであり、これによって遺伝子発現を減少させるか、又は阻害さえする。一つの例において、siRNAは、siRNA及び標的RNAの両方の間の配列同一性の領域内で、mRNAのような相同性RNA分子の特異的分解を誘発する。例えば、WO02/44321は、3’のオーバーハング末端を伴う塩基対を形成する場合に標的mRNAの配列特異的分解を可能にするsiRNAを開示し、本明細書中に参考文献として、これらのsiRNAを製造する方法のために援用される。配列特異的遺伝子サイレンシングは、哺乳動物細胞において、酵素ダイサーによって産生されるsiRNAを模倣する、合成の短い二本鎖RNAを使用して達成することができる(Elbashir,S.M.,et al.(2001)Nature,411:494 498)(Ui−Tei,K.,et al.(2000)FEBS Lett 479:79−82)。siRNAは、化学的に、又はin vitroで合成することができるか、或いは細胞の内部でsiRNAにプロセシングされる短い二本鎖ヘアピン様RNA(shRNA)の結果であることができる。合成のsiRNAは、一般的にアルゴリズム及び慣用的なDNA/RNA合成機を使用して設計される。供給業者は、Ambion(Austin,Texas)、ChemGenes(Ashland,Massachusetts)、Dharmacon(Lafayette,Colorado)、Glen Research(Sterling,Virginia)、MWB Biotech Esbersberg,Germany)、Proligo(Boulder,Colorado)、及びQiagen(Vento,The Netherlands)を含む。siRNAは、Ambion’s SILENCER(登録商標)siRNA構築キットのようなキットを使用してin vitroで合成することもできる。ある例において、siRNAは、TL1A遺伝子又はDR3遺伝子のような特定の標的遺伝子に対して向けられる。
[056]ベクターからのsiRNAの産生は、短いヘアピンRNA(shRNA)の転写により、より一般的に行われる。例えば、Imgenex’s GENESUPPRESSORTM 構築キット及びInvitrogen’s BLOCK−ITTM 誘導性RNAiプラスミド及びレンチウイルスベクターのような、shRNAを含んでなるベクターの産生のためのキットは入手可能である。本明細書中に開示されるものは、本明細書中に開示される炎症メディエーターに対する配列に基づく、先に記載したように設計されたいずれものshRNAである。
[057]配列番号:1及び3に示した配列、又は配列番号:2及び4に記載したタンパク質をコードする配列の一つ又はそれより多くを認識するアンチセンス配列を含むプラスミド。例えば、ウイルス感染に関係する宿主タンパク質をコードするcDNA断片又は変異体は、PCR増幅される。ヌクレオチドは、PfuDNAポリメラーゼ(Stratagene)を使用して増幅され、そしてpcDNAベクター(InVitrogen,Carlsbad,CA)のようなベクター中のアンチセンス配向でクローン化される。挿入断片のヌクレオチド配列及び配向は、Sequenaseキット(Amersham Pharmacia Biotech)を使用する配列決定によって確認することができる。
ii.ドミナントネガティブペプチド
[058]DR3とTL1Aとの間の相互作用は、ドミナントネガティブ変異体の使用によって遮断することもできる。
[058]DR3とTL1Aとの間の相互作用は、ドミナントネガティブ変異体の使用によって遮断することもできる。
[0059]例えば、ドミナントネガティブ変異体は、FADDをリクルートする“デスドメイン”を欠く、切断されたDR3の細胞質ドメイン、又はFADD結合を抑制するこの領域の点変異からなることができる。このようなドミナントネガティブ構築物は、Fasのような関係する受容体によるシグナル伝達を好結果に遮断した。
[060]同様に、TL1Aのドミナントネガティブ変異体は、先に記載されているように、TL1Aトリマーの野生型サブユニットを結合するが、しかしリガンドを結合しないように操作することができる(Steed et al.,2003)。
[061]阻害を支配するためのもう一つの戦略は、その全てが参考文献として本明細書中に、PLADの教示のために援用される、米国特許第7,148,061号中のTNFR1及びFasのために記載されているような、プレリガンドアセンブリードメイン(PLAD)を使用することができる。
[062]DR3に対するPLADは、成熟したDR3受容体ポリペプチドのN−末端の38個のように少ないアミノ酸を含んでなることができる。成熟した受容体ポリペプチドは、シグナル配列を含まない。従って、配列R1−PLAD−R2を有するポリペプチドが提供される。DR3のPLADの例は、以下を含む:
[063]開示されるものは、R1−DR3 PLAD−R2を含んでなるポリペプチドであり、ここで、R1及びR2は任意であり、そして存在する場合、H、アシル、NH2、アミノ酸又はペプチドであることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸43−58を含んでなることができる。
[0064]従って、DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−80、22−80、23−80、24−80、25−80、26−80、27−80、28−80、29−80、30−80、31−80、32−80、33−80、34−80、35−80、36−80、37−80、38−80、39−80、40−80、41−80、42−80、43−80からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−79、22−79、23−79、24−79、25−79、26−79、27−79、28−79、29−79、30−79、31−79、32−79、33−79、34−79、35−79、36−79、37−79、38−79、39−79、40−79、41−79、42−79、43−79からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−78、22−78、23−78、24−78、25−78、26−78、27−78、28−78、29−78、30−78、31−78、32−78、33−78、34−78、35−78、36−78、37−78、38−78、39−78、40−78、41−78、42−78、43−78からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−77、22−77、23−77、24−77、25−77、26−77、27−77、28−77、29−77、30−77、31−77、32−77、33−77、34−77、35−77、36−77、37−77、38−77、39−77、40−77、41−77、42−77、43−77からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−76、22−76、23−76、24−76、25−76、26−76、27−76、28−76、29−76、30−76、31−76、32−76、33−76、34−76、35−76、36−76、37−76、38−76、39−76、40−76、41−76、42−76、43−76からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−75、22−75、23−75、24−75、25−75、26−75、27−75、28−75、29−75、30−75、31−75、32−75、33−75、34−75、35−75、36−75、37−75、38−75、39−75、40−75、41−75、42−75、43−75からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−74、22−74、23−74、24−74、25−74、26−74、27−74、28−74、29−74、30−74、31−74、32−74、33−74、34−74、35−74、36−74、37−74、38−74、39−74、40−74、41−74、42−74、43−74からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−73、22−73、23−73、24−73、25−73、26−73、27−73、28−73、29−73、30−73、31−73、32−73、33−73、34−73、35−73、36−73、37−73、38−73、39−73、40−73、41−73、42−73、43−73からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−72、22−72、23−72、24−72、25−72、26−72、27−72、28−72、29−72、30−72、31−72、32−72、33−72、34−72、35−72、36−72、37−72、38−72、39−72、40−72、41−72、42−72、43−72からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−71、22−71、23−71、24−71、25−71、26−71、27−71、28−71、29−71、30−71、31−71、32−71、33−71、34−71、35−71、36−71、37−71、38−71、39−71、40−71、41−71、42−71、43−71からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−70、22−70、23−70、24−70、25−70、26−70、27−70、28−70、29−70、30−70、31−70、32−70、33−70、34−70、35−70、36−70、37−70、38−70、39−70、40−70、41−70、42−70、43−70からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−69、22−69、23−69、24−69、25−69、26−69、27−69、28−69、29−69、30−69、31−69、32−69、33−69、34−69、35−69、36−69、37−69、38−69、39−69、40−69、41−69、42−69、43−69からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−68、22−68、23−68、24−68、25−68、26−68、27−68、28−68、29−68、30−68、31−68、32−68、33−68、34−68、35−68、36−68、37−68、38−68、39−68、40−68、41−68、42−68、43−68からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−67、22−67、23−67、24−67、25−67、26−67、27−67、28−67、29−67、30−67、31−67、32−67、33−67、34−67、35−67、36−67、37−67、38−67、39−67、40−67、41−67、42−67、43−67からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−66、22−66、23−66、24−66、25−66、26−66、27−66、28−66、29−66、30−66、31−66、32−66、33−66、34−66、35−66、36−66、37−66、38−66、39−66、40−66、41−66、42−66、43−66からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−65、22−65、23−65、24−65、25−65、26−65、27−65、28−65、29−65、30−65、31−65、32−65、33−65、34−65、35−65、36−65、37−65、38−65、39−65、40−65、41−65、42−65、43−65からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−64、22−64、23−64、24−64、25−64、26−64、27−64、28−64、29−64、30−64、31−64、32−64、33−64、34−64、35−64、36−64、37−64、38−64、39−64、40−64、41−64、42−64、43−64からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−63、22−63、23−63、24−63、25−63、26−63、27−63、28−63、29−63、30−63、31−63、32−63、33−63、34−63、35−63、36−63、37−63、38−63、39−63、40−63、41−63、42−63、43−63からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−62、22−62、23−62、24−62、25−62、26−62、27−62、28−62、29−62、30−62、31−62、32−62、33−62、34−62、35−62、36−62、37−62、38−62、39−62、40−62、41−62、42−62、43−62からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−61、22−61、23−61、24−61、25−61、26−61、27−61、28−61、29−61、30−61、31−61、32−61、33−61、34−61、35−61、36−61、37−61、38−61、39−61、40−61、41−61、42−61、43−61からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−60、22−60、23−60、24−60、25−60、26−60、27−60、28−60、29−60、30−60、31−60、32−60、33−60、34−60、35−60、36−60、37−60、38−60、39−60、40−60、41−60、42−60、43−60からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−59、22−59、23−59、24−59、25−59、26−59、27−59、28−59、29−59、30−59、31−59、32−59、33−59、34−59、35−59、36−59、37−59、38−59、39−59、40−59、41−59、42−59、43−59からなることができる。DR3 PLADは、配列番号:2のアミノ酸21−58、22−58、23−58、24−58、25−58、26−58、27−58、28−58、29−58、30−58、31−58、32−58、33−58、34−58、35−58、36−58、37−58、38−58、39−58、40−58、41−58、42−58、43−58からなることができる。
[065]R1及び/又はR2がペプチドである場合、このペプチドは、長さを変更することができる。例えば、R1及び/又はR2は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25又はそれより多いアミノ酸の長さであることができる。
[066]ポリペプチドを含有するPLADは、35−125個のアミノ酸の長さであることができる。更なる側面において、単離されたTNF様PLADを含んでなる全体のポリペプチドは、125個より多くないアミノ酸残基であることができ、そして従って、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124又は125個のアミノ酸の長さであることができる。R1及びR2は、天然に存在するDR3受容体においてDR3 PLADに通常隣接しない配列であることができる。R1及びR2は、天然に存在するTNF受容体様受容体においてDR3 PLADに通常隣接するDR3受容体の配列であることもでき、ここで、TNF様受容体PLADを含んでなるポリペプチドは、TNF受容体様受容体の細胞外ドメインの全部ではない。
iii.DR3融合タンパク質
[067]DR3とTL1Aとの間の相互作用は、DR3 Fc融合タンパク質を使用して遮断することもできる。従って、提供されるものは、DR3 Fc融合タンパク質を含んでなる組成物である。
[067]DR3とTL1Aとの間の相互作用は、DR3 Fc融合タンパク質を使用して遮断することもできる。従って、提供されるものは、DR3 Fc融合タンパク質を含んでなる組成物である。
[068]ヒトIgG1の非Fc受容体結合変異体に融合したDR3の細胞外ドメイン(約140−150aa)を含んでなるか、又はそれからなる融合タンパク質(IgG Fc(DR3(ヒト)−huIg融合タンパク質)が提供される。融合タンパク質は、真核細胞中で発現させ、そしてin vitro及びin vivoで使用するためにタンパク質Aを使用して精製することができる。或いは、融合タンパク質をコードするcDNAは、マウスの尾の血管への水力学的注射により発現される。この技術は、自己免疫性疾病モデルの誘導中又はその後のDR3 Fcタンパク質の高いレベルの発現を産生することができる(Dagnaes−Hansen et al.,2002; Hodges and Scheule,2003;Lecocq et al.,2003)。
[069]DR3領域を含んでなる、又はそれからなるポリペプチドをコードする核酸は、イムノアドヘシンをコードするように他の核酸に機能的に結合させることもできる。本開示の目的のために、用語“イムノアドヘシン”は、核酸によってコードされるいずれものポリペプチドを含むと定義され、ここで、DR3細胞外ドメインのような非免疫グロブリン分子をコードする核酸の少なくとも一部は、免疫グロブリン重鎖ポリペプチド、例えばIgGをコードする核酸の少なくとも一部にカップリングされる。IgG2、IgG3、IgM、IgA、IgEのFc領域も、イムノアドヘシンを構築するために使用することができる。カップリングは、核酸セグメントの機能的転写及び翻訳、並びにそれから誘導されるメッセージを、それぞれ提供する様式で達成することができる。これらのIgGイムノアドヘシンは、各種の哺乳動物宿主細胞、並びにバキュロウイルス感染細胞中で一過性の又は安定した遺伝子導入によって発現させることができる。抗体と同様に、IgGイムノアドヘシンは、これらが分泌される培養培地から、一工程タンパク質A又はタンパク質Gアフィニティークロマトグラフィーによって精製することができる。
iv.抗体
[070]DR3とTL1Aとの間の相互作用は、抗DR3抗体の投与によって遮断することができる。相互作用を遮断するために、抗DR3抗体は、拮抗的でなければならない。更に、DR3 Fc融合タンパク質は、DR3とTL1Aとの間の相互作用を阻害することができる。
[070]DR3とTL1Aとの間の相互作用は、抗DR3抗体の投与によって遮断することができる。相互作用を遮断するために、抗DR3抗体は、拮抗的でなければならない。更に、DR3 Fc融合タンパク質は、DR3とTL1Aとの間の相互作用を阻害することができる。
[071] DR3とTL1Aとの間の相互作用は、抗TL1A抗体の投与によって遮断することができる。TL1A及びDR3に対する遮断抗体は、これらのタンパク質の完全にグリコシル化された哺乳動物細胞外ドメインでマウスを免疫化し、そしてTL1A−DR3結合及びシグナル伝達についてのバイオアッセイにおける遮断活性について特異的にスクリーニングすることによって産生される。従って、提供されるものは、表面TL1Aを特異的に結合し、そして指示細胞系のTL1A誘導細胞死に干渉する抗TL1A抗体である。例えば、図20は、機能性抗TL1A遮断抗体の特徴付けを示す。これらの抗体は、TL1A誘導アポトーシスを阻害した(図20E)。
v.疾病
[072]炎症性又は自己免疫性疾病を治療する開示される方法において、炎症性又は自己免疫性疾病は、T細胞成分による自己免疫性疾病であることができる。
[072]炎症性又は自己免疫性疾病を治療する開示される方法において、炎症性又は自己免疫性疾病は、T細胞成分による自己免疫性疾病であることができる。
[073]炎症性又は自己免疫性疾病を治療する開示される方法において、炎症性又は自己免疫性疾病は、喘息である。現在のデータは、DR3ノックアウトマウスが、喘息の動物モデルに対して耐性であることを示し、TL1A/DR3相互作用の遮断は、このモデル及びヒトの喘息において有効であることを示唆する。
[074]炎症性又は自己免疫性疾病を治療する開示される方法において、炎症性又は自己免疫性疾病は、多発性硬化症であることができる。MSにおける活性化されたT細胞の役割を支持する豊富な証拠:MS患者の脳、脊髄及びCSFへの、活性化されたT細胞の血管外遊走、MS及び実験的MS動物モデルの病変中のT細胞によるIL−17及びインターフェロンガンマのような炎症性サイトカインの産生、が存在する。DR3は、活性化されたT細胞上に発現し、そしてDR3の欠損は、本明細書中に示すように活性化されたT細胞による炎症性サイトカインの産生を障害する。従って、DR3−TL1Aの相互作用の遮断は、T細胞サイトカイン産生を障害し、そしてMSを回復することが期待される。
[075]炎症性又は自己免疫性疾病を治療する開示される方法において、炎症性又は自己免疫性疾病は、リウマチ様関節炎であることができる。活性化されたT細胞は、リウマチ様関節炎を持つ患者の滑膜において見出すことができ、そしてT細胞機能を遮断する薬剤、例えばCTLA4による同時刺激T細胞の遮断は、この疾病において効果的である。DR3は、活性化されたT細胞上に発現し、そしてDR3の欠損は、本明細書中に示すように、活性化されたT細胞による炎症性サイトカインの産生を障害する。従って、DR3−TL1Aの相互作用の遮断は、T細胞サイトカイン産生を障害し、そしてRAを回復することが期待される。
[076]炎症性又は自己免疫性疾病を治療する開示される方法において、炎症性又は自己免疫性疾病は、1型糖尿病であることができる。1型糖尿病は、膵臓に浸潤し、そしてランゲルハンス島を破壊する、活性化されたT細胞によって起こされる。DR3は、活性化されたT細胞上に発現し、そしてDR3の欠損は、活性化されたT細胞による炎症性サイトカインの産生を障害する。従って、DR3−TL1Aの相互作用の遮断は、T細胞サイトカイン産生を障害し、そしてI型糖尿病を回復することが期待される。
[077]炎症性又は自己免疫性疾病を治療する開示される方法において、炎症性又は自己免疫性疾病は、移植片対宿主病であることができる。DR3を発現するアロ特異的に活性化されたT細胞は、移植片対宿主病に重要なサイトカイン及びエフェクター分子を分泌する。三つのリガンド全てに結合する可溶性デコイ受容体DcR3/TR6の投与によるTNFファミリーメンバーのTL1A、Light及びFasLの遮断は、マウスモデルの移植片対宿主病を下方調節した(Zhang et al.,2001)。DR3の欠損は、活性化されたT細胞による炎症性サイトカインの産生を障害することから、先に開示した方法によるDR3/TL1A相互作用の遮断は、移植片対宿主病を治療又は予防することが期待される。
[078]炎症性又は自己免疫性疾病を治療する開示される方法の幾つかの側面において、炎症性又は自己免疫性疾病は、炎症性腸疾患(IBD)である。従って、幾つかの側面において、この方法の炎症性又は自己免疫性疾病は、クローン病である。
[079]TL1A及びDR3は、炎症性腸疾患を持つ患者及びIBDのマウスモデルからの組織試料中に発現することが見いだされている(Bamias et al.,2003;Bamias et al.,2006)。更に、T細胞又は樹状細胞中で恒常的にTL1Aを発現する遺伝子導入マウスの多数の系統は、絨毛の破壊、腸壁の肥厚化及び炎症細胞の浸潤によって組織学的に特徴づけられる十二指腸及び回腸を中心とする自然発生的炎症性腸疾患を発症する。従って、先に開示した方法によるDR3−TL1Aの相互作用の遮断は、IBDを治療又は予防することが期待される。
[080]他の側面において、この方法の炎症性又は自己免疫性疾病は、炎症性腸疾患(IBD)ではない。従って、幾つかの側面において、この方法の炎症性又は自己免疫性疾病は、クローン病ではない。
2.効力の検証
[081]更に提供されるものは、炎症性又は自己免疫性疾病を治療するための組成物及び方法の効力を検証するための方法である。動物を、炎症性腸疾患及び大腸炎の関連する特徴を示すように誘導することができる。大腸炎が生じる動物は、いずれもの哺乳動物であることができ、そして制約されるものではないが、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヤギ、サル、及びチンパンジーを含むことができる。大腸炎は、当技術分野において既知のいずれもの方法によって動物中に生じさせることができる。例えば、大腸炎は、有効な量のハプテン試薬を動物の結腸に導入することによって生じさせることができる。例として、ハプテン試薬は、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)又はオキサゾロン(4−エトキシメチレン−2−フェニル−2−オキサゾリン−5−オン)であることができる。
[081]更に提供されるものは、炎症性又は自己免疫性疾病を治療するための組成物及び方法の効力を検証するための方法である。動物を、炎症性腸疾患及び大腸炎の関連する特徴を示すように誘導することができる。大腸炎が生じる動物は、いずれもの哺乳動物であることができ、そして制約されるものではないが、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヤギ、サル、及びチンパンジーを含むことができる。大腸炎は、当技術分野において既知のいずれもの方法によって動物中に生じさせることができる。例えば、大腸炎は、有効な量のハプテン試薬を動物の結腸に導入することによって生じさせることができる。例として、ハプテン試薬は、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)又はオキサゾロン(4−エトキシメチレン−2−フェニル−2−オキサゾリン−5−オン)であることができる。
[082]Th1媒介大腸炎は、TNBSを使用してマウスに誘導することができる。急性TNBS大腸炎は、TNBSの一回投与を使用してSJL又はC57BL10マウスに誘導することができる。簡単には、50%のエタノール中の2.5mgのTNBS(pH1.5−2.0;Sigma Aldrich,St Louis,MO)を、軽く麻酔したマウスに150μlの全体積で直腸内に投与する。TNBS大腸炎の慢性モデルを確立するために、Balb/cに、直腸当たりのTNBSの毎週投与を、次の様式で投与する。マウスに、1.5mgのTNBS(50%のエタノールベヒクル中で、150μlの全体積で送達)を第1−2週に、2.0mgのTNBSを第3−4週に、そして2.5mgのTNBSを第5−6週に投与する。
[083]Th2媒介大腸炎は、オキサゾロンでマウスに誘導することができる。簡単には、マウスに、0.2mLの100%エタノール中の3%オキサゾロンを皮膚に塗ることによって予備感作し;予備感作後5日目に、イソフルラン(Baxter,Deerfield,IL)による全身麻酔下のマウスに、150μlの50%エタノール中の1%オキサゾロンで直腸内的にチャレンジする。
[084]これらのモデルは、抗DR3及び抗TL1A抗体並びに本明細書中に開示されるDR3−Fc融合タンパク質を試験するために使用することができる。
3.スクリーニングアッセイ
[085]更に本明細書中に提供されるものは、炎症性疾病を治療するために使用することができる薬剤を同定する方法である。この方法は、DR3とTL1Aとの結合を可能にする条件下で、結合するDR3及びTL1Aを含んでなる試料を用意し、試料を候補薬剤と接触させ、DR3/TL1A結合のレベルを検出し、結合レベルを対照と比較することを含んでなることができ、対照と比較したDR3/TL1A結合の減少は、炎症性疾患を治療するために使用することができる薬剤を同定する。
[085]更に本明細書中に提供されるものは、炎症性疾病を治療するために使用することができる薬剤を同定する方法である。この方法は、DR3とTL1Aとの結合を可能にする条件下で、結合するDR3及びTL1Aを含んでなる試料を用意し、試料を候補薬剤と接触させ、DR3/TL1A結合のレベルを検出し、結合レベルを対照と比較することを含んでなることができ、対照と比較したDR3/TL1A結合の減少は、炎症性疾患を治療するために使用することができる薬剤を同定する。
[086]DR3のTL1Aに対する結合は、タンパク質結合を妨害しない免疫検出法のような日常的方法を使用して検出することができる。この方法は、細胞ベース又は細胞を使用しないアッセイであることができる。各種の有用な免疫検出法の工程は、例えば、Maggio et al.,Enzyme−Immunoassay,(1987)and Nakamura,et al.,Enzyme Immunoassays:Heterogeneous and Homogeneous Systems,Handbook of Experimental Immunology,Vol.1:Immunochemistry,27.1−27.20(1986)のような科学的文献中に記載されており、これらのそれぞれは、本明細書中に参考文献としてその全てが、そして具体的には免疫検出法に関するその教示に対して援用される。免疫アッセイは、その最も簡単なそして直接的な意味において、抗体と抗原との間の結合を含む結合アッセイである。免疫アッセイの多くの種類及び形式は既知であり、そして全ては、開示されるバイオマーカーの検出のために適している。免疫アッセイの例は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、放射免疫沈降アッセイ(RIPA)、免疫ビーズ捕捉アッセイ、ウェスタンブロット、ドットブロット、ゲルシフトアッセイ、フローサイトメトリー、プロテインアレイ、マルチプレックスビーズアレイ、磁気捕捉、in vivo画像化、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、及び光退色後蛍光回復/局在化(FRAP/FLAP)である。
[087]DR3のTL1Aに対する結合は、蛍光活性化セルソーティング(FACS)を使用して検出することができる。例えば、開示されるものは、蛍光タンパク質に融合されたTL1A及びDR3で遺伝子導入された細胞系である。これらの細胞系は、その生理学的形態でTL1A及びDR3に結合する、生物学的に発現された小分子についての、高処理量の選別を容易にすることができる。
[088]一般的に、候補薬剤は、天然の産物又は合成(又は半合成)の抽出物の大きいライブラリー、或いは当技術分野において既知の方法による化学ライブラリーから同定することができる。薬物発見及び開発の当業者は、試験抽出物又は化合物の正確な供給源は、本発明のスクリーニング法(1または複数)に対して重要ではないことを理解するものである。従って、実質的に任意の数の化学抽出物又は化合物を、本明細書中に記載される例示的な方法を使用して選別することができる。このような抽出物又は化合物の例は、制約されるものではないが、植物−、真菌−、原核生物−又は動物−ベースの抽出物、発酵ブロス、及び合成化合物、並びに既存の化合物の修飾を含む。多くの方法が、制約されるものではないが、サッカリド−、脂質−、ペプチド−、ポリペプチド−、及び核酸−ベースの化合物を含む、任意の数の化学化合物のランダムな又は方向性を持った合成(例えば、半合成又は全合成)を産生するために、更に使用可能である。合成化合物のライブラリーは、例えば、Brandon Associates(Merrimack,NH)及びAldrich Chemical(Milwaukee,WI)から商業的に入手可能である。或いは、細菌、真菌、植物、及び動物抽出物の形態の天然の化合物のライブラリーは、Biotics(Sussex,UK)、Xenova(Slough,UK)、Harbor Branch Oceangraphics Institute(Ft.Pierce,Fla.)、及びPharmaMar,U.S.A.(Cambridge,Mass.)を含む多くの供給源から商業的に入手可能である。更に、天然及び合成的に作成されたライブラリーは、所望する場合、当技術分野において既知の方法に従って、例えば標準的な抽出及び分画法によって、作成される。更に、所望する場合、いずれものライブラリー又は化合物は、標準的な化学的、物理的、又は生化学的方法を使用して、容易に改変される。更に、薬物発見及び開発の当業者は、炎症を減少させる活性に対するこれらの効果に対して既に知られた、脱複製(dereplication)(例えば、分類学的脱複製、生物学的脱複製、及び化学的脱複製、又はいずれものこれらの組合せ)或いは複製物又は物質の繰返しの除去のための方法を、可能な限り使用するべきであること容易に理解する。
[089]粗製の抽出物が所望の活性を有することが見いだされた場合、陽性のリード抽出物の更なる分画が、観察された効果の原因である化学成分を単離するために必要である。従って、抽出、分画、及び精製過程の目標は、DR3及びTL1Aの結合を刺激又は阻害する活性を有する粗製の抽出物内の化学的実体の注意深い特徴付け及び同定である。化合物の混合物中の活性の検出のための本明細書中に記載される同じアッセイは、活性な化合物を精製し、そしてその誘導体を試験するために使用することができる。このような不均一な抽出物の分画及び精製の方法は、当技術分野において既知である。所望する場合、治療のために有用な薬剤であることが示された化合物は、当技術分野において既知の方法によって化学的に修飾される。治療価値があると確認された化合物を、その後、本明細書中に開示されるもののような疾病又は症状の動物モデルを使用して分析することができる。
[090]候補薬剤は、多くの化学薬品クラスを包含するが、しかし有機分子、例えば100より多く、そして約2,500ダルトンより少ない分子量を有する小さい有機化合物であることが最も多い。候補薬剤は、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合、のために必要な官能基を含んでなり、そして典型的には、少なくとも一つのアミン、カルボニル、ヒドロキシル又はカルボキシル基、例えば、少なくとも二つの官能性化学基を含む。候補薬剤は、しばしば一つ又はそれより多い上記の官能基で置換された、環状(cyclical)炭素又は複素環構造及び/又は芳香族もしくはポリ芳香族構造を含んでなる。候補薬剤は、ペプチド、サッカリド、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造的類似体又はこれらの組合せを含む生体分子中にも見出される。更なる態様において、候補薬剤はペプチドである。
[091]幾つかの態様において、候補薬剤はタンパク質である。幾つかの側面において、候補薬剤は、天然に存在するタンパク質又は天然に存在するタンパク質の断片である。従って、例えば、タンパク質を含有する細胞抽出物、或いはタンパク質性細胞抽出物のランダム又は方向性を持った消化物を使用することができる。この方法において、原核及び真核タンパク質のライブラリーを、本明細書中の方法を使用するスクリーニングのために作成することができる。ライブラリーは、細菌、真菌、ウイルス、及び脊椎動物タンパク質、並びにヒトタンパク質であることができる。
4.投与
[092]投与は、被験者に投与する方法を意味する。このような方法は、当業者にとって周知であり、そして制約されるものではないが:局所、非経口、経口、静脈内、筋肉内、皮下又はエアゾールによる投与を含む。投与は、連続して又は間欠的に行うことができる。
[092]投与は、被験者に投与する方法を意味する。このような方法は、当業者にとって周知であり、そして制約されるものではないが:局所、非経口、経口、静脈内、筋肉内、皮下又はエアゾールによる投与を含む。投与は、連続して又は間欠的に行うことができる。
[093]In vivoの投与のために、医薬組成物は、好ましくは非経口、即ち、静脈内、腹腔内、皮下、くも膜下腔内、脊髄への注射、筋肉内、動脈内、門脈注射、又は腫瘍内投与される。
[094]用語“非経口的”は、本明細書中で使用する場合、投与のモードを指し、これは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下及び動脈内注射及び注入を含む。非経口注射のための医薬組成物は、医薬的に受容可能な滅菌水性又は非水性溶液、分散物、懸濁液又は乳液、並びに使用直前に滅菌注射用溶液又は分散物への再構成のための滅菌粉末を含んでなる。適した水性及び非水性担体、希釈剤、溶媒又はベヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のような)、カルボキシメチルセルロース及び適したこれらの混合物、植物油(オリーブ油のような)、並びにオレイン酸エチルのような注射用有機エステルを含む。例えば、レシチンのような被覆物質の使用によって、分散物の場合には必要な粒子サイズの維持によって、そして界面活性剤の使用によって、適当な流動性を維持することができる。これらの組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散化剤を含有することもできる。微生物の作用の防止は、パラベン、クロロブタノール、フェノール ソルビン酸等のような各種の抗細菌剤及び抗真菌剤の包含によって確実にすることができる。糖、塩化ナトリウム等のような等張剤を含むことも、好ましいことであり得る。注射用医薬形態の延長された吸収は、吸収を遅延させるモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような薬剤の包含によってもたらすことができる。注射可能なデポーの形態は、薬物のポリラクチド−ポリグリコリド、ポリ(オルトエステル)及びポリ(酸無水物)のような生分解性ポリマー中の薬物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって製造される。ポリマーに対する薬物の比及び使用される特定のポリマーの特質によって、薬物放出の速度を制御することができる。デポーの注射可能な製剤も、薬物を、身体組織と適合性であるリポソーム又はマイクロ乳液中に捕捉することによって調製される。注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターによる濾過によって、或いは使用直前に滅菌水又は他の滅菌注射用媒体中に溶解若しくは分散することができる滅菌固体組成物の形態において滅菌剤を組込むことによって、滅菌することができる。
[095]他の方法において、医薬製剤は、製剤の組織への直接適用によって標的組織と接触させることができる。適用は、局所的に“開放”又は“閉鎖”法で行うことができる。“局所”によって、これは、皮膚、上咽頭、外部聴覚管、眼、肺への吸入、陰部粘膜等のような環境に暴露された組織への医薬製剤の直接適用を意味する。“開放”法は、患者の皮膚の切開及び医薬製剤が適用される、下にある組織の直接可視化を含む方法である。これは、一般的に肺に接近するための開胸、腹部内臓に接近するための開腹、又は標的組織に対する他の直接の外科的方法のような外科的方法によって達成される。“閉鎖”法は、内部標的組織は直接可視化されないが、皮膚の小さい傷を通して装置を挿入することにより接近する、侵襲的方法である。例えば、製剤は、針穿刺潅流によって腹腔に投与することができる。同様に、医薬製剤は、脊髄麻酔又は脊髄のメトリザミド(metrazamide)造影のために一般に実行されるような、腰椎穿刺中の注入とその後の患者の適当な位置決めによって、髄膜又は脊髄に投与することができる。或いは、製剤は、内視鏡を通して投与することができる。
[096]局所投与は、皮膚、粘膜及び肺の表面並びに眼への投与を含む。吸入のためのものを含む局所投与のための組成物は、加圧の又は非加圧であることができる乾燥粉末として調製することができる。非加圧粉末組成物において、微細に分割された形態の活性成分は、例えば、100マイクロメートルまでの直径のサイズを有する粒子を含んでなる大きいサイズの医薬的に受容可能な不活性の担体との混合物中で使用することができる。
[097]眼への局所投与のために、本発明の化合物は、化合物が、例えば、前房、後房、硝子体、房水、硝子体液、角膜、光彩/毛様体(cilary)、レンズ、脈絡膜/網膜及び強膜のような、角膜及び眼の内部領域に化合物が浸透することを可能にするために十分な時間、眼の表面との接触を維持するように、医薬的に受容可能な点眼用ベヒクル中で送達される。医薬的に受容可能な点眼用ベヒクルは、例えば、軟膏、植物油又はカプセル化物質であることができる。或いは、本発明の化合物は、硝子体(vitrious)及び房水に直接注射することができる。
[098]直腸及び膣投与のための組成物は、好ましくは座薬であり、これは、本発明の化合物を、室温では固体であるが、しかし体温では液体であり、そして従って直腸又は膣空隙で溶融し、そして活性化合物を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコール又は座薬用ワックスのような適した非刺激性の賦形剤又は担体と混合することによって調製することができる。
[099]徴候に対して効果を有するが、しかし不都合な副作用を回避するための投与量範囲;投与量は、年齢、性別、症状、疾病の程度と共に変化するものである。上記の又は他の治療に使用する場合、治療的に有効な量の本発明の化合物の一つを、純粋な形態で、又はそのような形態が存在する場合には医薬的に受容可能な塩の形態で、そして医薬的に受容可能な賦形剤を伴って、又は伴わずに使用することができる。いずれもの特定の患者のための具体的な治療的に有効な投与量レベルは、治療される疾患及び疾患の重篤度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、一般的健康状態、性別及び食事;投与の時間;投与の経路;使用される具体的な化合物の排出の速度;治療の期間;使用される具体的な化合物との組合せ又は同時使用される薬物及び医学技術分野において周知の同様な因子を含む、各種の因子に依存するものである。例えば、化合物の投与を所望の治療効果を達成するために必要なものより低いレベルで開始し、そして投与量を所望の効果を達成するまで徐々に増加させることは、十分当技術分野の技能の範囲内である。所望する場合、有効な日量は、投与の目的のために多数回の投与に分割することができる。従って、一回投与の組成物は、このような量又は日量を構成するその約数を含有することができる。
[0100]投与量は、いずれもの反対表示(counterindications)の場合、個々の医師によって調節することができる。投与量は変更することができ、そして1日又は数日間、毎日投与される一回又はそれより多い投与で投与することができる。指針は、与えられたクラスの医薬産物のための適当な投与量について、文献中に見出すことができる。例えば、抗体のための適当な投与量の選択における指針は、抗体の治療的使用に対する文献、例えば、Handbook of Monoclonal Antibodies,Ferrone et al.,eds.,Noges Publications,Park Ridge,N.J.,(1985)ch.22 and pp.303−357;Smith et al.,Antibodies in Human Diagnosis and Therapy,Haber et al.,eds.,Raven Press,New York(1977)pp.365−389中に見出すことができる。他のFc融合タンパク質及び他のTNFファミリーのメンバーに対する遮断抗体による実験に基づけば、使用されるFc融合タンパク質の典型的な日量は、上述の因子によるが、一日当たり、約0.5から約10mg/kg体重まで又はそれより多い範囲である。モノクローナル抗体は、皮下的に約1ないし約5mg/kg体重で、IV注入又は皮下のいずれかとして与えられる。
[0101]例えば、単独で使用される開示される化合物の典型的な日量は、上述の因子によるが、一日当たり約1μg/kgから100mg/kg体重まで又はそれより多い範囲であることができる。
[0102]免疫病理を治療、阻害、又は予防するための開示される組成物の投与後、治療剤の効力を、熟練した医師にとって周知の各種の方法で評価することができる。例えば、当業者は、本明細書中に開示される組成物が、免疫病理の更なる増加を減少させるか又は予防することを観察することによって、当該組成物が被験者の免疫病理の治療又は阻害において効果的であることを理解するものである。免疫病理は、当技術分野において既知の方法によって測定することができる。
[0103]本明細書中に開示されるDR3及びTL1Aの相互作用を阻害する組成物は、免疫病理について危険性があるか、又は免疫病理を持つと新たに診断された患者又は被験者に予防的に投与することができる。
[0104]開示される組成物及び方法は、更に例えば各種の免疫病理に関連する疾病のための新しい薬物候補を単離し、そして試験するための道具として使用することができる。
i.タンパク質の投与
[0105]タンパク質は、局所、経口、非経口、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下、眼内、経皮等の投与の目的のために処方することができる。このような治療的タンパク質薬剤の投与は、当業者にとって周知であり、そしてPHYSICIANS DESK REFERENCE,Medical Economics Data Publishers;REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,Mack Publishing Co.;GOODMAN & GILMAN,THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS,McGraw Hill Publ.,THE CHEMOTHERAPY SOURCE BOOK,Williams and Wilkens Publishersのような医薬大要(compedia)中に見出すことができ、そして或いは、例えば、以下の本節の末尾に記載されるような当業者にとって周知の標準的な技術を使用して日常的に決定することができる。
[0105]タンパク質は、局所、経口、非経口、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下、眼内、経皮等の投与の目的のために処方することができる。このような治療的タンパク質薬剤の投与は、当業者にとって周知であり、そしてPHYSICIANS DESK REFERENCE,Medical Economics Data Publishers;REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,Mack Publishing Co.;GOODMAN & GILMAN,THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS,McGraw Hill Publ.,THE CHEMOTHERAPY SOURCE BOOK,Williams and Wilkens Publishersのような医薬大要(compedia)中に見出すことができ、そして或いは、例えば、以下の本節の末尾に記載されるような当業者にとって周知の標準的な技術を使用して日常的に決定することができる。
ii.抗体の投与
[0106]抗体の投与は、本明細書中に開示されるように行うことができる。抗体の送達のための核酸アプローチも存在する。幅広く遮断する抗DR3又はTL1A抗体及び抗体の断片は、患者又は被験者の自身の細胞が核酸を取込み、そしてコードされた抗体又は抗体の断片を産生し、そして分泌するように、抗体又は抗体の断片をコードする核酸製剤(例えば、DNA又はRNA)として患者又は被験者に投与することもできる。
[0106]抗体の投与は、本明細書中に開示されるように行うことができる。抗体の送達のための核酸アプローチも存在する。幅広く遮断する抗DR3又はTL1A抗体及び抗体の断片は、患者又は被験者の自身の細胞が核酸を取込み、そしてコードされた抗体又は抗体の断片を産生し、そして分泌するように、抗体又は抗体の断片をコードする核酸製剤(例えば、DNA又はRNA)として患者又は被験者に投与することもできる。
[0107]本発明の抗体は、好ましくは、医薬的に受容可能な担体中で被験者に投与される。適した担体及びその処方は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(19th ed.)ed.A.R.Gennaro,Mack Publishing Company,Easton,PA 1995中に記載されている。典型的には、適当な量の医薬的に受容可能な塩が製剤を等張にするために製剤中に使用される。医薬的に受容可能な担体の例は、制約されるものではないが、生理食塩水、リンゲル溶液及びデキストロース溶液を含む。溶液のpHは、好ましくは約5から約8までであり、そしてより好ましくは約7から約7.5までである。更なる担体は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスのような徐放性製剤を含み、このマトリックスは、成形された物品、例えば、フィルム、リポソーム又はマイクロ粒子の形態である。ある種の担体が、例えば、投与の経路及び投与される抗体の濃度によって更に好ましいものであることができることは当業者にとって明白であるものである。
[0108]抗体は、注射(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内)によって、又は有効な形態での血流へのその送達を確実にする注入のような他の方法によって、被験者、患者、又は細胞に投与することができる。局所又は静脈注射が好ましい。
[0109]抗体を投与するための有効な投与量及び予定は、経験的に決定することができ、そしてこのような決定をすることは、当技術分野の技能の範囲内である。当業者は、投与されなければならない抗体の投与量が、例えば、抗体を受ける被験者、投与の経路、使用される抗体に特定の種類、及び投与される他の薬物によって変化することを理解するものである。抗体に対する適当な投与量の選択における指針は、抗体の治療的使用に対する文献、例えば、Handbook of Monoclonal Antibodies,Ferrone et al.,eds.,Noges Publications,Park Ridge,N.J.,(1985)ch.22 and pp.303−357;Smith et al.,Antibodies in Human Diagnosis and Therapy,Haber et al.,eds.,Raven Press,New York(1977)pp.365−389中に見出される。単独で使用される抗体の典型的な日量は、上述の因子によるが、一日当たり約1μg/kgから100mg/kg体重まで又はそれより多い範囲であることができる。
iii.核酸の投与
[0110]被験者の細胞中への外因性核酸の投与及び取込みを含む先に記載した方法において(即ち、遺伝子形質導入又は遺伝子導入)、開示される核酸は、裸のDNA又はRNAの形態であることができるか、又は核酸は、細胞に核酸を送達するためのベクターであることができ、これによって抗体をコードするDNA断片は、当業者によって十分に理解されるように、プロモーターの転写制御下にある。ベクターは、アデノウイルスベクター(Quantum Biotechnologies,Inc.(Laval, Quebec,Canada)のような商業的に入手可能な製剤であることができる。核酸又はベクターの細胞への送達は、各種の機構によることができる。一つの例として、送達は、LIPOFECTIN,LIPOFECTAMINE(GIBCO−BRL,Inc.,Gaithersburg,MD)、SUPERFECT(Qiagen,Inc.Hilden,Germany)及びTRANSFECTAM(Promega Biotec,Inc.,Madison,WI)のような商業的に入手可能なリポソーム製剤、並びに当技術分野における標準の方法に従って開発された他のリポソームを使用するリポソームによることができる。更に、開示される核酸又はベクターは、Genetronics,Inc.(San Diego,CA)から入手可能な技術である電気穿孔によって、並びにSONOPORATION machine(ImaRx Pharmaceutical Corp.,Tucson,AZ)の手段によって、in vivoに送達することができる。
[0110]被験者の細胞中への外因性核酸の投与及び取込みを含む先に記載した方法において(即ち、遺伝子形質導入又は遺伝子導入)、開示される核酸は、裸のDNA又はRNAの形態であることができるか、又は核酸は、細胞に核酸を送達するためのベクターであることができ、これによって抗体をコードするDNA断片は、当業者によって十分に理解されるように、プロモーターの転写制御下にある。ベクターは、アデノウイルスベクター(Quantum Biotechnologies,Inc.(Laval, Quebec,Canada)のような商業的に入手可能な製剤であることができる。核酸又はベクターの細胞への送達は、各種の機構によることができる。一つの例として、送達は、LIPOFECTIN,LIPOFECTAMINE(GIBCO−BRL,Inc.,Gaithersburg,MD)、SUPERFECT(Qiagen,Inc.Hilden,Germany)及びTRANSFECTAM(Promega Biotec,Inc.,Madison,WI)のような商業的に入手可能なリポソーム製剤、並びに当技術分野における標準の方法に従って開発された他のリポソームを使用するリポソームによることができる。更に、開示される核酸又はベクターは、Genetronics,Inc.(San Diego,CA)から入手可能な技術である電気穿孔によって、並びにSONOPORATION machine(ImaRx Pharmaceutical Corp.,Tucson,AZ)の手段によって、in vivoに送達することができる。
[0111]一つの例として、ベクターの送達は、組換えレトロウイルスゲノムをパッケージすることができるレトロウイルスベクター系のようなウイルス系によることができる(例えば、Pastan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:4486,1988;Miller et al.,Mol.Cell.Biol.6:2895,1986を参照されたい)。次いで組換えレトロウイルスを使用して、感染させ、そしてこれによって遮断抗体(又は活性なその断片)をコードする核酸を感染された細胞に送達することができる。変化された核酸を哺乳動物細胞に導入する正確な方法は、勿論レトロウイルスベクターの使用に限定されない。アデノウイルスベクター(Mitani et al.,Hum.Gene Ther.5:941−948,1994)、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(Goodman et al.,Blood 84:1492−1500,1994)、レンチウイルスベクター(Naidini et al.,Science 272:263−267,1996)、偽型レトロウイルスベクター(Agrawal et al.,Exper.Hematol.24:738−747,1996)の使用を含む他の技術が、この方法のために広く使用可能である。リポソーム送達及び受容体を介した機構及び他のエンドサイトーシス機構(例えば、Schwartzenberger et al.,Blood 87:472−478,1996を参照されたい)のような、物理的形質導入技術も使用することができる。この開示される組成物及び方法は、これらの又は他の普通に使用される遺伝子導入法のいずれかと組合せて使用することができる。
[0112]一つの例として、抗体をコードする核酸が、アデノウイルス中で被験者の細胞に送達される場合、アデノウイルスのヒトへの投与のための投与量は、注射当たり約107から109プラーク形成単位(pfu)までの範囲であることができるが、しかし注射当たり1012pfuのように高いことができる(Crystal,Hum.Gene Ther.8:985−1001,1997;Alvarez and Curiel,Hum.Gene Ther.8:597−613,1997)。被験者は、一回の注射を受けることができるか、又は、更なる注射が必要な場合、これらを、6ヶ月の間隔で(又は熟練した医師によって決定されるような他の適当な時間間隔で)、不確定な期間及び/又は治療の有効性が確立されるまで繰返すことができる。
B.組成物
1.抗体
[0113]提供されるものは、TL1A又はDR3ポリペプチドを結合し、そしてTL1AのDR3への結合を遮断する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4を含んでなるTL1Aポリペプチド、又はDR3を結合するその断片を結合する抗体の結合特性を有する抗体である。
1.抗体
[0113]提供されるものは、TL1A又はDR3ポリペプチドを結合し、そしてTL1AのDR3への結合を遮断する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4を含んでなるTL1Aポリペプチド、又はDR3を結合するその断片を結合する抗体の結合特性を有する抗体である。
[0114]更に提供されるものは、TL1Aポリペプチドの細胞外ドメインを結合する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4のアミノ酸76−252を含んでなるTL1Aポリペプチド、又はDR3を結合するその断片を結合する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4のアミノ酸76−252、77−252、78−252、76−252、79−252、80 252、81−252、82−252、83−252、84−252、85−252、86−252、87−252、88−252、89−252、90−252、91−252、92−252、93−252、94−252、95−252、96−252、97−252、98−252、99−252、又は100−252を含んでなるTL1Aポリペプチドを結合する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4のアミノ酸76−251、77−251、78−251、76−251、79−251、80−251、81−251、82−251、83−251、84−251、85−251、86−251、87−251、88−251、89−251、90−251、91−251、92−251、93−251、94−251、95−251、96−251、97−251、98−251、99−251、又は100−251を含んでなるTL1Aポリペプチドを結合する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4のアミノ酸76−250、77−250、78−250、76−250、79−250、80−250、81−250、82−250、83−250、84−250、85−250、86−250、87−250、88−250、89−250、90−250、91−250、92−250、93−250、94−250、95−250、96−250、97−250、98−250、99−250、又は100−250を含んでなるTL1Aポリペプチドを結合する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4のアミノ酸76−249、77−249、78−249、76−249、79−249、80−249、81−249、82−249、83−249、84−249、85−249、86−249、87−249、88−249、89−249、90−249、91−249、92−249、93−249、94−249、95−249、96−249、97−249、98−249、99−249、又は100−249を含んでなるTL1Aポリペプチドを結合する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4のアミノ酸76−248、77−248、78−248、76−248、79−248、80−248、81−248、82−248、83−248、84−248、85−248、86−248、87−248、88−248、89−248、90−248、91−248、92−248、93−248、94−248、95−248、96−248、97−248、98−248、99−248、又は100−248を含んでなるTL1Aポリペプチドを結合する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4のアミノ酸76−247、77−247、78−247、76−247、79−247、80−247、81−247、82−247、83−247、84−247、85−247、86−247、87−247、88−247、89−247、90−247、91−247、92−247、93−247、94−247、95−247、96−247、97−247、98−247、99−247、又は100−247を含んでなるTL1Aポリペプチドを結合する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4のアミノ酸76−246、77−246、78−246、76−246、79−246、80−246、81−246、82−246、83−246、84−246、85−246、86−246、87−246、88−246、89−246、90−246、91−246、92−246、93−246、94−246、95−246、96−246、97−246、98−246、99−246、又は100−246を含んでなるTL1Aポリペプチドを結合する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4のアミノ酸76−245、77−245、78−245、76−245、79−245、80−245、81−245、82−245、83−245、84−245、85−245、86−245、87−245、88−245、89−245、90−245、91−245、92−245、93−245、94−245、95−245、96−245、97−245、98−245、99−245、又は100−245を含んでなるTL1Aポリペプチドを結合する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4のアミノ酸76−240、77−240、78−240、76−240、79−240、80−240、81−240、82−240、83−240、84−240、85−240、86−240、87−240、88−240、89−240、90−240、91−240、92−240、93−240、94−240、95−240、96−240、97−240、98−240、99−240、又は100−240を含んでなるTL1Aポリペプチドを結合する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4のアミノ酸76−230、77−230、78−230、76−230、79−230、80−230、81−230、82−230、83−230、84−230、85−230、86−230、87−230、88−230、、89−230、90−230、91−230、92−230、93−230、94−230、95−230、96−230、97−230、98−230、99−230、又は100−230を含んでなるTL1Aポリペプチドを結合する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4のアミノ酸76−220、77−220、78−220、76−220、79−220、80−220、81−220、82−220、83−220、84−220、85−220、86−220、87−220、88−220、89−220、90−220、91−220、92−220、93−220、94−220、95−220、96−220、97−220、98−220、99−220、又は100−220を含んでなるTL1Aポリペプチドを結合する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4のアミノ酸76−210、77−210、78−210、76−210、79−210、80−210、81−210、82−210、83−210、84−210、85−210、86−210、87−210、88−210、89−210、90−210、91−210、92−210、93−210、94−210、95−210、96−210、97−210、98−210、99−210、又は100−210を含んでなるTL1Aポリペプチドを結合する抗体の結合特性を有する抗体である。従って、提供されるものは、配列番号:4のアミノ酸76−200、77−200、78−200、76−200、79−200、80−200、81−200、82−200、83−200、84−200、85−200、86−200、87−200、88−200、89−200、90−200、91−200、92−200、93−200、94−200、95−200、96−200、97−200、98−200、99−200、又は100−200を含んでなるTL1Aポリペプチドを結合する抗体の結合特性を有する抗体である。
[0115]従って、提供されるものは、ヒトTL1Aポリペプチドに結合する1A9及び1C6と命名されたハイブリドーマクローン、並びにマウスTL1Aポリペプチドに結合する12B12.6及び5G4.6と命名されたハイブリドーマクローンによって産生される抗体の結合特性を有する抗体である。
[0116]抗体の結合特性は、その結合特異性を含む。結合特異性は、抗原に対する特異性であることができるか、又はこれは、抗体によって認識されるエピトープに基づく特異性であることができる。前者及び後者の両方が抗体の固有の特徴であるために、本発明の抗体の開示は、エピトープ及び抗原特異性の両方の定義を提供する。寄託されたモノクローナル抗体の結合特異性に対する言及は、抗体が結合するDR3上の特異的エピトープに対する言及の均等物である。いずれもの個々のモノクローナル抗体の結合特異性は、開示された寄託された抗体によって定義される亜属のいずれもの他のモノクローナル抗体の固有の特性である。与えられた抗体の結合特異性を確認する方法は、当技術分野において周知である。抗体結合の結合活性及び他の特性を測定する更なる方法は、周知である。
i.抗体全般
[0117]用語“抗体”は、広い意味で本明細書中で使用され、そしてポリクローナル及びモノクローナル抗体の両方を含む。インタクトな免疫グロブリン分子に加えて、用語“抗体”に更に含まれるものは、DR3がTL1Aとの相互作用から阻害されるように、DR3又はTL1Aと相互作用するその能力についてそれらが選択される限り、これらの免疫グロブリン分子の断片又はポリマー、及び免疫グロブリン分子又はその断片のヒト又はヒト化バージョンである。DR3とTL1Aとの間の相互作用に関係する開示された領域に結合する抗体も開示される。抗体は、本明細書中に記載されるin vitroのアッセイを使用して、又は類似の方法によって、その所望の活性について試験することができ、その後それらのin vivoの治療及び/又は予防的活性を、既知の臨床試験法によって試験する。
[0117]用語“抗体”は、広い意味で本明細書中で使用され、そしてポリクローナル及びモノクローナル抗体の両方を含む。インタクトな免疫グロブリン分子に加えて、用語“抗体”に更に含まれるものは、DR3がTL1Aとの相互作用から阻害されるように、DR3又はTL1Aと相互作用するその能力についてそれらが選択される限り、これらの免疫グロブリン分子の断片又はポリマー、及び免疫グロブリン分子又はその断片のヒト又はヒト化バージョンである。DR3とTL1Aとの間の相互作用に関係する開示された領域に結合する抗体も開示される。抗体は、本明細書中に記載されるin vitroのアッセイを使用して、又は類似の方法によって、その所望の活性について試験することができ、その後それらのin vivoの治療及び/又は予防的活性を、既知の臨床試験法によって試験する。
[0118]用語“モノクローナル抗体”は、本明細書中で使用する場合、実質的に均一の抗体の集団から得られる抗体を指し、即ち、集団内の個々の抗体は、抗体分子の小さいサブセット中に存在することができる可能な天然に存在する変異体を除き、同一である。本明細書中のモノクローナルな抗体は、具体的には“キメラ”抗体を含み、ここで、重及び/又は軽鎖の一部は、特定の種に由来するか、又は特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属す抗体中の対応する配列と同一であるか、又はそれに相同であり、一方、鎖(1または複数)の残りは、別の種に由来するか、又は別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属す抗体中の対応する配列と同一であるか又はそれに相同である、並びにそれらが所望の拮抗活性を示す限り、そのような抗体の断片を含む(米国特許第4,816,567号及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984)を参照されたい)。
[0119]開示されるモノクローナル抗体は、モノクローナル抗体を産生するいずれもの方法を使用して製造することができる。例えば、開示されるモノクローナル抗体は、Kohler and Milstein,Nature,256:495(1975)によって記載されたもののようなハイブリドーマ法を使用して調製することができる。ハイブリドーマ法において、マウス又は他の適当な宿主動物は、典型的には、免疫化剤に特異的に結合する抗体を産生するか又は産生することが可能なリンパ球を誘発するために、免疫化剤で免疫化される。或いは、リンパ球をin vitroで免疫化することができる。
[0120]遮断抗体を産生する最良の機会を得るために、免疫化剤は、好ましくは真核細胞によって産生される完全にグリコシル化された天然のタンパク質からなる。DR3について、Fc融合タンパク質として発現し、そして特異的プロテアーゼによってFc部分から切断されるヒト及びマウス受容体の細胞外断片が、好ましくは使用される:
[0121]ヒト:寄託番号NP_683866.1(配列番号:5)における配列のアミノ酸1−141。
[0121]ヒト:寄託番号NP_683866.1(配列番号:5)における配列のアミノ酸1−141。
[0122]マウス:寄託番号NP_149031.2(配列番号:6)における配列のアミノ酸1−159。
[0123]TL1Aについて、エピトープ標識融合タンパク質として発現したヒト及びマウスTL1Aの細胞外断片が、好ましくは使用される:
[0124]マウス:寄託番号NP_005109.2(配列番号:7)。
[0124]マウス:寄託番号NP_005109.2(配列番号:7)。
[0125]ヒト:NP_796345(配列番号:8)における配列からのアミノ酸72−251。
[0126]これらの方法が遮断抗体を産生しない場合、これらのタンパク質の細胞表面局在化バージョンを発現する細胞を、マウス、ラット又は他の種を免疫化するために使用する。伝統的には、モノクローナル抗体の産生は、免疫原として使用するための精製されたタンパク質又はペプチドの入手可能性に依存する。更に最近になって、DNAベースの免疫化が、強力な免疫反応を誘発し、そしてモノクローナル抗体を産生するための方法としての有望さを示している。この方法において、DNAベースの免疫化を使用することができ、ここで、ヒトIgG1又はエピトープ標識を伴う融合タンパク質として発現されるDR3及びTL1Aの細胞外断片をコードするDNAが、当技術分野において既知の方法(例えば、Kilpatrick KE,et al.Gene gun delivered DNA−based immunizations mediate rapid production of murine monoclonal antibodies to the Flt−3 receptor.Hybridoma.1998 Dec;7(6):569−76;Kilpatrick KE et al.High−affinity monoclonal antibodies to PED/PEA−15 generated using 5 microg of DNA.Hybridoma.2000 Aug;19(4):297−302、これらは本明細書中に参考文献としてその全てが抗体産生の方法のために援用される)によって、そして実施例中に記載されるように、宿主動物に注射される。
[0127]精製されたタンパク質又はDNAのいずれかにより免疫化するための別の方法は、バキュロウイルス中に発現された抗原を使用することである。この系の利点は、産生の容易さ、高いレベルの発現、及び哺乳動物の系において見られるものと非常に類似した翻訳後修飾を含む。この系の使用は、シグナル配列断片との融合タンパク質としてのTL1A又はDR3の細胞外ドメインを発現することを含む。抗原は、遺伝子断片を、シグナル配列とTL1A又はDR3ヌクレオチド配列の成熟タンパク質ドメインとの間に、インフレームで挿入することによって産生される。これは、ビリオンの表面上の外来タンパク質の提示をもたらす。この方法は、標的抗原の精製の必要性を排除して、全ウイルスによる免疫化を可能にする。
[0128]一般的に、ヒト由来の細胞が所望される場合、いずれかの末梢血リンパ球(“PBL”)がモノクローナル抗体を産生する方法において使用されるか、或いは非ヒト哺乳動物源が所望される場合、脾細胞又はリンパ節細胞が使用される。次いでリンパ球は、ポリエチレングリコールのような適した融合剤を使用して不死化細胞系と融合されて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,“Monoclonal Antibodies:Principles and Practice”Academic Press,(1986)pp.59−103)。不死化細胞系は、通常、齧歯類、ウシ、ウマ、及びヒト由来の骨髄腫細胞を含む、形質転換哺乳動物細胞である。通常、ラット又はマウスの骨髄腫細胞系が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは非融合の不死化された細胞の増殖又は生存を阻害する一つ又はそれより多い物質を含有する適した培養培地中で培養することができる。例えば、親細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホシホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマのための培養培地は、典型的にはヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含み(“HAT培地”)、この物質は、HGPRT欠損細胞の増殖を防止する。好ましい不死化細胞系は、効率よく融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定した高レベルの発現を支持し、そしてHAT培地のような培地に対して感受性であるものである。より好ましい不死化細胞系は、マウス骨髄腫系であり、これは、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,Calif.及びthe American Type Culture Collection,Rockville,Md.から得ることができる。ヒト骨髄腫及びマウス−ヒトのヘテロな骨髄腫細胞系も、ヒトモノクローナル抗体の産生のために記載されている(Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur et al.,“Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications”Marcel Dekker,Inc.,New York,(1987)pp.51−63)。次いでハイブリドーマ細胞が培養される培養培地を、DR3及び/又はTL1Aに向けられたモノクローナル抗体の存在について分析することができる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降、或いは放射免疫アッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)のようなin vitroの結合アッセイによって決定される。このような技術及びアッセイは、当技術分野において既知であり、そして以下の実施例又はHarlow and Lane“Antibodies,A Laboratory Manual”Cold Spring Harbor Publications,New York,(1988)中に更に記載されている。
[0129]所望のハイブリドーマ細胞が確認された後、クローンを、限界希釈又はFACS選別法によってサブクローニングし、そして標準的な方法によって増殖させることができる。この目的のために適した培養培地は、例えば、ダルベッコ改良イーグル培地及びRPMI−1640培地を含む。或いは、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物中の腹水のようなin vivoで増殖させることができる。
[0130]サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、培養培地又は腹水液から、例えば、タンパク質A−セファロース、タンパク質G、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーのような慣用的な免疫グロブリン精製法によって単離又は精製することができる。
[0131]モノクローナル抗体は、米国特許第4,816,567号(Cabilly et al.)中に記載されるもののような組換えDNA法によって製造することもできる。開示されるモノクローナル抗体をコードするDNAは、容易に単離し、そして慣用的な方法を使用して(例えば、マウス抗体の重及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能であるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)配列決定することができる。抗体又は活性な抗体の断片のライブラリーを作成し、そして例えば、Burton et al.への米国特許第5,804,440号 及びBarbas et al.への米国特許第6,096,441号中に記載されるように、ファージディスプレイ技術を使用して、選別することもできる。
[0132]In vitroの方法も、一価抗体を調製するために適している。その断片、特にFab断片を産生するための抗体の消化は、当技術分野において既知の日常的技術を使用して達成することができる。例えば、消化は、パパインを使用して行うことができる。パパイン消化の例は、1994年12月22日に公開されたWO94/29348及び米国特許第4,342,566号中に記載されている。抗体のパパイン消化は、典型的には、それぞれが一つの抗原結合部位、及び残りのFc断片を伴うFab断片と呼ばれる、二つの同一の抗原結合性断片を産生する。ペプシン処理は、二つの抗原結合部位を有し、そして抗原を架橋することがなお可能である断片を得る。
[0133]他の配列に接続しているか否かに関わらず、断片は、抗体又は抗体断片の活性が、非修飾抗体又は抗体断片と比較して有意に変更又は障害されていないことを条件に、特定の領域又は特異的アミノ酸残基の挿入、欠失、置換、又は他の選択された修飾を含むこともできる。これらの修飾は、ジスルフィド結合が可能なアミノ酸を除去/付加すること、その生体寿命を増加させること、その分泌特性を変更すること等のような幾つかの更なる特性を提供することができる。いずれの場合も、抗体又は抗体の断片は、その同族抗原に対する特異的結合のような生理活性特性を保有しなければならない。抗体又は抗体断片の機能的又は活性な領域は、タンパク質の特異的領域の変異誘発、それに続く発現及び発現されたポリペプチドの試験によって確認することができる。このような方法は、当業者にとって容易に明白であり、そして抗体又は抗体の断片をコードする核酸の部位特異的変異誘発を含むことができる(Zoller,M.J.Curr.Opin.Biotechnol.3:348−354,1992)。
[0134]本明細書中で使用する場合、用語“抗体(antibody)”又は“抗体(複数)(antibodies)”は、ヒト抗体及び/又はヒト化抗体を指すこともできる。多くの非ヒト抗体(例えば、マウス、ラット、又はウサギ由来のもの)は、ヒトにおいて当然抗原性であり、そして従って、ヒトに投与された場合、好ましくない免疫反応を起こしうる。従って、この方法におけるヒト又はヒト化抗体の使用は、ヒトに投与された抗体が好ましくない免疫反応を誘起する機会を少なくするために役立つ。
ii.全免疫グロブリン
[0135]本明細書中で使用する場合、用語“抗体”は、制約されるものではないが、いずれものクラスの全免疫グロブリン(即ち、インタクトな抗体)を包含する。天然の抗体は、通常二つの同一の軽(L)鎖及び二つの同一の重(H)鎖から構成されるヘテロ四量体の糖タンパク質である。典型的には、それぞれの軽鎖は、一つの共有結合性ジスルフィド結合によって重鎖に結合され、一方、ジスルフィド結合の数は、異なった免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変化する。それぞれの重及び軽鎖は、規則正しい間隔の鎖内のジスルフィド架橋も有する。それぞれの重鎖は、一つの末端に多くの定常部ドメインが続く可変ドメイン(V(H))を有する。それぞれの軽鎖は、一つの末端に可変ドメイン(V(L))を、そしてその他の末端に定常部ドメインを有する;軽鎖の定常部ドメインは、重鎖の第1の定常部ドメインと整列し、そして軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列する。特定のアミノ酸残基が、軽及び重鎖の可変ドメイン間にインターフェースを形成すると信じられている。いずれもの脊椎動物種からの抗体の軽鎖は、その定常部ドメインのアミノ酸配列に基づいてカッパ(k)及びラムダ(l)と呼ばれる一つ又は二つの明確に別個の種類に割り当てることができる。その重鎖の定常部ドメインのアミノ酸配列によって、免疫グロブリンは、異なったクラスに割り当てることができる。ヒト免疫グロブリンの五つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、そしてこれらの幾つかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG−1、IgG−2、IgG−3、及びIgG−4;IgA−1及びIgA−2に更に分けることができる。当業者は、マウスの匹敵するクラスを認識するものである。免疫グロブリンの異なったクラスに対応する重鎖定常部ドメインは、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューと呼ばれる。
[0135]本明細書中で使用する場合、用語“抗体”は、制約されるものではないが、いずれものクラスの全免疫グロブリン(即ち、インタクトな抗体)を包含する。天然の抗体は、通常二つの同一の軽(L)鎖及び二つの同一の重(H)鎖から構成されるヘテロ四量体の糖タンパク質である。典型的には、それぞれの軽鎖は、一つの共有結合性ジスルフィド結合によって重鎖に結合され、一方、ジスルフィド結合の数は、異なった免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変化する。それぞれの重及び軽鎖は、規則正しい間隔の鎖内のジスルフィド架橋も有する。それぞれの重鎖は、一つの末端に多くの定常部ドメインが続く可変ドメイン(V(H))を有する。それぞれの軽鎖は、一つの末端に可変ドメイン(V(L))を、そしてその他の末端に定常部ドメインを有する;軽鎖の定常部ドメインは、重鎖の第1の定常部ドメインと整列し、そして軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列する。特定のアミノ酸残基が、軽及び重鎖の可変ドメイン間にインターフェースを形成すると信じられている。いずれもの脊椎動物種からの抗体の軽鎖は、その定常部ドメインのアミノ酸配列に基づいてカッパ(k)及びラムダ(l)と呼ばれる一つ又は二つの明確に別個の種類に割り当てることができる。その重鎖の定常部ドメインのアミノ酸配列によって、免疫グロブリンは、異なったクラスに割り当てることができる。ヒト免疫グロブリンの五つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、そしてこれらの幾つかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG−1、IgG−2、IgG−3、及びIgG−4;IgA−1及びIgA−2に更に分けることができる。当業者は、マウスの匹敵するクラスを認識するものである。免疫グロブリンの異なったクラスに対応する重鎖定常部ドメインは、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューと呼ばれる。
[0136]用語“可変”は、抗体間の配列で異なる可変ドメインのある部分を記載するために本明細書中で使用され、そしてその特定の抗原に対するそれぞれの特定の抗体の結合及び特異性において使用される。然しながら、可変性は、通常、抗体の可変ドメインを通して均等に分布されていない。典型的には、これは、軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方中の相補性決定領域(CDR)又は高頻度可変領域と呼ばれる三つのセグメントに集中する。可変ドメインの更に高度な保存部分は、それぞれフレームワーク(FW)と呼ばれる。天然の重及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、主としてb−シート配置をとり、三つのCDRによって結合され、これはループ接続を形成し、そしてある場合にはb−シート構造の部分を形成する四つのFR領域を含んでなる。それぞれの鎖のCDRは、FR領域によって密接した近位に一緒に保持され、そして他の鎖からのCDRと共に抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat E.A.et al.,“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987)を参照されたい)。定常部ドメインは、抗体を抗原に結合することに直接関係しないが、しかし抗体依存性細胞毒性における抗体の関与のような各種のエフェクター機能を示す。
iii.抗体断片
[0137]用語“抗体”は、本明細書中で使用する場合、インタクトな分子、並びに例えばエピトープ決定基を結合することが可能な、Fab及びF(ab’)2のようなその断片を含むことを意味する。
[0137]用語“抗体”は、本明細書中で使用する場合、インタクトな分子、並びに例えばエピトープ決定基を結合することが可能な、Fab及びF(ab’)2のようなその断片を含むことを意味する。
[0138]本明細書中で使用する場合、用語“抗体又はその断片”は、二重又は多重抗原或いはエピトープ特異性を有するキメラ抗体及びハイブリッド抗体、並びにハイブリッド断片を含むF(ab’)2、Fab’、Fab等のような断片を包含する。従って、その特異的抗原を結合する能力を保持する抗体の断片が提供される。例えば、DR3又はTL1A結合活性を維持する抗体の断片は、用語“抗体又はその断片”の意味に含まれる。このような抗体及び断片は、実施例中に記載される方法、並びに抗体を産生するための、及び特異性及び活性について抗体を選別するための一般的方法によって、当技術分野において既知の技術によって製造することができ、そして特異性及び活性について選別することができる(Harlow and Lane.Antibodies,A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Publications,New York,(1988)を参照されたい)。
[0139]更に“抗体又はその断片”の意味に含まれるものは、例えばその内容が本明細書中に参考文献として援用される米国特許第4,704,692号に記載されるように、抗体断片及び抗原結合性タンパク質(一本鎖抗体)の複合体である。
[0140]単離された免疫原的に特異なパラトープ又は抗体の断片も、更に提供される。抗体の特異的免疫原性エピトープは、分子の化学的又は機械的破壊によって全抗体から単離することができる。このようにして得られた精製された断片は、本明細書中で教示される方法によってその免疫原性及び特異性を決定するために試験される。抗体の免疫反応性パラトープは、所望により、直接合成される。免疫反応性断片は、抗体アミノ酸配列から誘導される少なくとも約2ないし5個の連続するアミノ酸のアミノ酸配列として定義される。
[0141]或いは、非保護ペプチドセグメントは、化学的に結合され、ここで、化学的連結の結果としてのペプチドセグメント間に形成される結合は、非天然の(非ペプチド)結合である(Schnolzer,M et al.Science,256:221(1992))。この技術は、タンパク質ドメインの類似体、並びに完全な生物学的活性を伴う大量の比較的純粋なタンパク質を合成するために使用された(deLisle Milton RC et al.,Techniques in Protein Chemistry IV.Academic Press,New York,pp.257−267(1992))。
[0142]更に開示されるものは、生理活性を有する抗体の断片である。ポリペプチド断片は、アデノウイルス又はバキュロウイルス発現系のようなそのポリペプチド断片を産生することが可能な発現系中の、ポリペプチドをコードする核酸をクローニングすることによって得られる組換えタンパク質であることができる。例えば、抗体のTL1A又はDR3との相互作用に伴う生物学的効果を起こすことができる特異的ハイブリドーマからの抗体の活性ドメインを決定することができる。例えば、抗体の活性或いは結合特異性又は親和性のいずれにも寄与しないことが見いだされているアミノ酸は、それぞれの活性の喪失を伴わず除去することができる。例えば、各種の態様において、アミノ又はカルボキシ末端のアミノ酸は、天然又は修飾された非免疫グロブリン分子又は免疫グロブリン分子のいずれかから連続して除去され、そしてそれぞれの活性は、利用可能なアッセイの一つで分析される。もう一つの例において、抗体の断片は、修飾された抗体を含んでなり、ここで少なくとも一つのアミノ酸が、特異的位置で、天然に存在するアミノ酸と置換され、そしてアミノ末端又はカルボキシ末端のアミノ酸のいずれかの部分は、又は抗体の内部領域でさえ、ポリペプチド断片又はビオチンのような他の部分で置換され、これは、修飾された抗体の精製を容易にする。例えば、修飾された抗体は、ペプチド化学、或いは二つのポリペプチド断片を、コード領域の発現がハイブリッドポリペプチドをもたらすように、発現ベクターにコードするそれぞれの核酸をクローニングすることのいずれかによって、マルトース結合タンパク質に融合することができる。ハイブリッドポリペプチドは、アミロースアフィニティーカラムを通過させることによって親和性精製することができ、そして次いで修飾された抗体受容体を、ハイブリッドポリペプチドを特異的プロテアーゼ因子Xaで切断することによって、マルトース結合領域から分離することができる(例えば、New England Biolabs Product Catalog,1996,pg.164を参照されたい)。類似の精製法は、同様に、真核細胞からハイブリッドタンパク質を単離するために利用可能である。
[0143]他の配列に接続しているか否かに関わらず、断片は、断片の活性が、非修飾抗体又は抗体断片と比較して有意に変更又は障害されていないことを条件に、特定の領域又は特異的アミノ酸残基の挿入、欠失、置換、又は他の選択された修飾を含む。これらの修飾は、ジスルフィド結合が可能なアミノ酸を除去又は付加すること、その生体寿命を増加させること、その分泌特性を変更すること等のような、幾つかの更なる特性を提供することができる。いずれの場合も、断片は、結合活性、結合ドメインにおける結合の制御、等のような生理活性特性を保有しなければならない。抗体の機能的又は活性な領域は、タンパク質の特異的領域の変異誘発、それに続く発現及び発現されたポリペプチドの試験によって同定することができる。このような方法は、当業者にとって容易に明白であり、そして抗原をコードする核酸の部位特異的変異誘発を含むことができる(Zoller MJ et al.Nucl.Acids Res.10:6487−500(1982)。
[0144]技術は、更に、本発明の開示の抗原性タンパク質に特異的な一本鎖抗体の産生に適合させることができる(例えば米国特許第4,946,778号を参照されたい)。更に、方法は、タンパク質又は誘導体、その断片、類似体又は相同体に対する所望の特異性を伴うモノクローナルなF(ab)断片の迅速な、そして有効な確認を可能にする、F(ab)発現ライブラリーの構築(例えばHuse,et al.,1989 Science 246:1275−1281を参照されたい)に適合させることができる。タンパク質抗原に対するイディオタイプを含有する抗体断片は、制約されるものではないが:(i)抗体分子のペプシン消化により産生されたF((ab’))(2)断片;(ii)F((ab’))(2)断片のジスルフィド架橋を還元することによって産生されるFab断片;(iii)パパイン及び還元剤による抗体分子の処理によって産生されるF(ab)断片並びに(iv)F(v)断片、を含む当技術分野において既知の技術によって産生することができる。
[0145]一本鎖抗体の産生のための方法は、当業者にとって公知である。当業者は、このような方法のために、米国特許第5,359,046号(本明細書中に参考文献として援用される)を参照されたい。一本鎖抗体は、短いペプチドリンカーを使用して、重及び軽鎖の可変ドメインを一緒に融合し、これによって単一分子上に抗原結合部位を再構築することによって作成される。一つの可変ドメインのC末端が、15ないし25個のアミノ酸ペプチド又はリンカーによって他の可変ドメインのN末端に繋留されている一本鎖抗体可変断片(scFvs)は、抗原結合又は結合の特異性を有意に破壊することなく開発されている(Bedzyk et al.,1990;Chaudhary et al.,1990)。リンカーは、重鎖及び軽鎖が、これらの適切な高次構造的配向で一緒に結合することを可能にするように選択される。例えば、本明細書中に参考文献として援用されるHuston,J.S.,et al.,Methods in Enzym.203:46−121(1991)を参照されたい。これらのFvsは、天然の重及び軽鎖中に存在する定常部領域(Fc)を欠く。
iv.一価抗体
[0146]In vitroの方法も、更に一価抗体を調製するために適している。抗体の、その断片、特にFab断片を産生するための消化は、当技術分野において既知の日常的技術を使用して達成することができる。例えば、消化は、パパインを使用して行うことができる。パパイン消化の例は、1994年12月22日に公開されたWO94/29348、米国特許第4,342,566号、及びHarlow and Lane,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Publications,New York,(1988)中に記載されている。抗体のパパイン消化は、典型的には、それぞれが単一の抗原結合部位、及び残りのFc断片を伴うFab断片と呼ばれる二つの同一の抗原結合性断片を産生する。ペプシン処理は、F(ab’)2断片と呼ばれる断片をもたらし、これは、二つの抗原結合部位を有し、そしてなお抗原を架橋することが可能である。
[0146]In vitroの方法も、更に一価抗体を調製するために適している。抗体の、その断片、特にFab断片を産生するための消化は、当技術分野において既知の日常的技術を使用して達成することができる。例えば、消化は、パパインを使用して行うことができる。パパイン消化の例は、1994年12月22日に公開されたWO94/29348、米国特許第4,342,566号、及びHarlow and Lane,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Publications,New York,(1988)中に記載されている。抗体のパパイン消化は、典型的には、それぞれが単一の抗原結合部位、及び残りのFc断片を伴うFab断片と呼ばれる二つの同一の抗原結合性断片を産生する。ペプシン処理は、F(ab’)2断片と呼ばれる断片をもたらし、これは、二つの抗原結合部位を有し、そしてなお抗原を架橋することが可能である。
[0147]抗体消化で産生されるFab断片は、更に軽鎖の定常部ドメイン及び重鎖の第1の定常部ドメインを含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの一つ又はそれより多いシステインを含む重鎖ドメインのカルボキシ末端における幾つかの残基の付加によって、Fab断片と異なる。F(ab’)2断片は、ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋によって結合される二つのFab’断片を含んでなる二価の断片である。Fab’SHは、定常部ドメインのシステイン残基(1または複数)が遊離のチオール基を保有するFab’に対する本明細書中の命名である。抗体断片は、本来その間にヒンジのシステインを有するFab’断片の対として産生される。抗体断片の他の化学的カップリングも、更に知られている。
v.キメラ/ハイブリッド
[0148]ハイブリッド抗体において、一つの重及び軽鎖対は、一つの抗原認識特徴、例えばエピトープ、に対して産生される抗体中に見出されるものと相同であり、一方、他の重及び軽鎖対は、別のエピトープに対して産生される抗体中に見出される対に相同である。これは、多機能性結合価、即ち、少なくとも二つの異なったエピトープに同時に結合する能力の特性をもたらす。本明細書中で使用する場合、用語“ハイブリッド抗体”は、それぞれの鎖が、哺乳動物の抗体の鎖に対して別個に相同であるが、しかし組合せが、二つの異なった抗原が抗体によって認識されるような新規の集合体を表す、抗体を指す。このようなハイブリッドは、それぞれの成分の抗体を産生するハイブリドーマの融合によって、又は組換え技術によって形成することができる。このようなハイブリッドは、勿論、更にキメラ鎖を使用して形成することもできる。
[0148]ハイブリッド抗体において、一つの重及び軽鎖対は、一つの抗原認識特徴、例えばエピトープ、に対して産生される抗体中に見出されるものと相同であり、一方、他の重及び軽鎖対は、別のエピトープに対して産生される抗体中に見出される対に相同である。これは、多機能性結合価、即ち、少なくとも二つの異なったエピトープに同時に結合する能力の特性をもたらす。本明細書中で使用する場合、用語“ハイブリッド抗体”は、それぞれの鎖が、哺乳動物の抗体の鎖に対して別個に相同であるが、しかし組合せが、二つの異なった抗原が抗体によって認識されるような新規の集合体を表す、抗体を指す。このようなハイブリッドは、それぞれの成分の抗体を産生するハイブリドーマの融合によって、又は組換え技術によって形成することができる。このようなハイブリッドは、勿論、更にキメラ鎖を使用して形成することもできる。
vi.抗イディオタイプ
[0149]コードされた抗体は、例えば、米国特許第4,699,880号中に記載されているような、抗イディオタイプ抗体(他の抗体に結合する抗体)であることができる。このような抗イディオタイプ抗体は、治療される個体において外因性又は外来性抗体を結合することができ、これによって、例えば、自己免疫疾病の文脈における免疫反応に伴う病理学的症状を回復又は予防する。
[0149]コードされた抗体は、例えば、米国特許第4,699,880号中に記載されているような、抗イディオタイプ抗体(他の抗体に結合する抗体)であることができる。このような抗イディオタイプ抗体は、治療される個体において外因性又は外来性抗体を結合することができ、これによって、例えば、自己免疫疾病の文脈における免疫反応に伴う病理学的症状を回復又は予防する。
vii.複合体又は抗体断片の融合
[0150]抗体の標的化機能は、抗体又はその断片を治療剤とカップリングすることによって治療的に使用することができる。このような抗体又は断片(例えば、少なくとも免疫グロブリン定常部領域(Fc)の一部)の治療剤とのカップリングは、抗体又は抗体断片及び治療剤を含んでなる免疫複合体を製造することによって、又は融合タンパク質を製造することによって達成することができる。例えば、提供されるものは、DR3 Fc融合タンパク質、例えば、マウスIgG Fcに融合したDR3細胞外ドメイン(150aa)(DR3(ヒト)−muIg融合タンパク質)である。
[0150]抗体の標的化機能は、抗体又はその断片を治療剤とカップリングすることによって治療的に使用することができる。このような抗体又は断片(例えば、少なくとも免疫グロブリン定常部領域(Fc)の一部)の治療剤とのカップリングは、抗体又は抗体断片及び治療剤を含んでなる免疫複合体を製造することによって、又は融合タンパク質を製造することによって達成することができる。例えば、提供されるものは、DR3 Fc融合タンパク質、例えば、マウスIgG Fcに融合したDR3細胞外ドメイン(150aa)(DR3(ヒト)−muIg融合タンパク質)である。
[0151]“抗体又はその断片”の意味に更に含まれるものは、例えば、その内容が本明細書中に参考文献として援用される米国特許第4,704,692号中に記載されるような抗体断片及び抗原結合性タンパク質(一本鎖抗体)の複合体である。
[0152]抗体(又はその断片)は、細胞毒、治療剤又は放射性金属イオンのような治療剤分子に結合することができる。細胞毒又は細胞毒性薬剤は、細胞に対して有害であるいずれもの薬剤を含む。例は、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシン(anthracin)ジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びピューロマイシン並びにこれらの類似体又は相同体を含む。治療剤は、制約されるものではないが、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシル ダカルバジン(decarbazine))、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパ(thioepa)、クロランブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、並びにcis−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)、及びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC))、及び有糸***阻害剤(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)を含む。
[0153]開示される複合体は、与えられた生物学的反応を改良するために使用することができる。薬物分子は、古典的化学治療剤に制約されると解釈されるべきではない。例えば、薬物分子は、所望の生物学的活性を保有するタンパク質又はポリペプチドであることができる。このようなタンパク質は、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、又はジフテリア毒素のような毒素;腫瘍壊死因子、[agr]−インターフェロン、[bgr]−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノーゲン活性化因子のようなタンパク質;又は例えばリンフォカイン、インターロイキン−1(“IL−1”)、インターロイキン−2(“IL−2”)、インターロイキン−6(“IL−6”)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(“GM−CSF”)、顆粒球コロニー刺激因子(“G−CSF”)、又は他の成長因子のような生物学的反応変更因子を含むことができる。
[0154]このような治療分子を抗体に結合させるための技術は公知であり、例えば、Arnon et al.,“Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”,in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Reisfeld et al.(eds.),pp.243−56(Alan R.Liss,Inc.1985);Hellstrom et al.,“Antibodies For Drug Delivery”,in Controlled Drug Delivery(2nd Ed.),Robinson et al.(eds.),pp.623−53(Marcel Dekker,Inc.1987);Thorpe,“Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review”,in Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications,Pinchera et al.(eds.),pp.475−506(1985);“Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy”,in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy,Baldwin et al.(eds.),pp.303−16(Academic Press 1985)、及びThorpe et al.,“The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates”,Immunol.Rev.,62:119−58(1982)を参照されたい。或いは、抗体は、第2の抗体に結合して、米国特許第4,676,980号中のSegalによって記載されるように抗体ヘテロ結合体を形成することができる。
viii.タンパク質化学を使用する抗体を製造する方法
[0155]抗体を含んでなるタンパク質を産生する一つの方法は、タンパク質化学技術によって二つ又はそれより多いペプチド又はポリペプチドを一緒に結合することである。例えば、ペプチド又はポリペプチドは、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)又はBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)化学のいずれかを使用して、現時点で利用可能な研究室機器を使用して、化学的に合成することができる。(Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA)。例えば抗体に対応するペプチド又はポリペプチドを、標準的な化学的反応によって合成することができることを当業者は容易に認識することができる。例えば、ペプチド又はポリペプチドを合成し、そしてその合成用樹脂から切断しないことができ、一方、抗体の他の断片を合成し、そしてその後樹脂から切断し、これによって、他の断片上の機能的に遮断された末端基を暴露することができる。ペプチド縮合反応によって、これらの二つの断片は、それぞれこれらのカルボキシル及びアミノ末端におけるペプチド結合により、抗体又は抗体の断片を形成するために、共有結合的に結合することができる(Grant GA(1992)Synthetic Peptides:A User Guide.W.H.Freeman and Co.,N.Y.(1992);Bodansky M and Trost B.,Ed.(1993)Principles of Peptide Synthesis.Springer−Verlag Inc.,NY。或いは、ペプチド又はポリペプチドは、先に記載したようにin vivoで独立に合成される。単離した後、これらの独立のペプチド又はポリペプチドは、結合されて、類似のペプチド縮合反応により抗体又はその断片を形成することができる。
[0155]抗体を含んでなるタンパク質を産生する一つの方法は、タンパク質化学技術によって二つ又はそれより多いペプチド又はポリペプチドを一緒に結合することである。例えば、ペプチド又はポリペプチドは、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)又はBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)化学のいずれかを使用して、現時点で利用可能な研究室機器を使用して、化学的に合成することができる。(Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA)。例えば抗体に対応するペプチド又はポリペプチドを、標準的な化学的反応によって合成することができることを当業者は容易に認識することができる。例えば、ペプチド又はポリペプチドを合成し、そしてその合成用樹脂から切断しないことができ、一方、抗体の他の断片を合成し、そしてその後樹脂から切断し、これによって、他の断片上の機能的に遮断された末端基を暴露することができる。ペプチド縮合反応によって、これらの二つの断片は、それぞれこれらのカルボキシル及びアミノ末端におけるペプチド結合により、抗体又は抗体の断片を形成するために、共有結合的に結合することができる(Grant GA(1992)Synthetic Peptides:A User Guide.W.H.Freeman and Co.,N.Y.(1992);Bodansky M and Trost B.,Ed.(1993)Principles of Peptide Synthesis.Springer−Verlag Inc.,NY。或いは、ペプチド又はポリペプチドは、先に記載したようにin vivoで独立に合成される。単離した後、これらの独立のペプチド又はポリペプチドは、結合されて、類似のペプチド縮合反応により抗体又はその断片を形成することができる。
[0156]例えば、クローンされた又は合成ペプチドセグメントの酵素的連結は、比較的短いペプチド断片が結合して、大きいペプチド断片、ポリペプチド又は全タンパク質ドメインを産生することを可能にする(Abrahmsen L et al.,Biochemistry,30:4151(1991))。或いは、合成ペプチドの天然の化学的連結は、短いペプチド断片から大きいペプチド又はポリペプチドを合成的に構築するために使用することができる。この方法は、二工程の化学反応からなる(Dawson et al.Synthesis of Proteins by Native Chemical Ligation.Science,266:776−779(1994))。第1の工程は、非保護合成ペプチド−アルファ−チオエーテルの、アミノ末端Cys残基を含有するもう一つの非保護ペプチドセグメントとの、最初の共有結合生成物としてのチオエーテル結合中間体を得る化学選択的反応である。反応条件の変化なしに、この中間体は、自然発生的急速分子内反応を受けて、連結部位に天然のペプチド結合を形成する。タンパク質分子の全合成に対するこの天然の化学的連結法の適用は、ヒトインターロイキン8(IL−8)の調製によって例示されている(Baggiolini M et al.(1992)FEBS Lett.307:97−101;Clark−Lewis I et al.,J.Biol.Chem.,269:16075(1994);Clark−Lewis I et al. Biochemistry,30:3128(1991);Rajarathnam K et al.,Biochemistry 33:6623−30(1994))。
ix.ヒト及びヒト化
[0157]免疫化により、内因性免疫グロブリン産生の非存在下で、ヒト抗体の全レパートリーを産生することが可能な遺伝子導入動物(例えば、マウス)を使用することができる。例えば、キメラ及び生殖細胞系列変異マウス中の抗体重鎖結合領域(J(H))遺伝子のホモ接合型欠失が、内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。このような生殖系列変異マウス中のヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入は、抗原誘発によるヒト抗体の産生をもたらす(例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551−255(1993);Jakobovits et al.,Nature,362:255−258(1993);Bruggemann et al.,Year in Immuno.,7:33(1993)を参照されたい)。ヒト抗体は、更にファージ提示ライブラリーで産生することができる(Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991))。Cote et al.及びBoerner et al.の技術も、ヒトモノクローナル抗体の調製に対して更に利用可能である(Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985);Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86−95(1991))。
[0157]免疫化により、内因性免疫グロブリン産生の非存在下で、ヒト抗体の全レパートリーを産生することが可能な遺伝子導入動物(例えば、マウス)を使用することができる。例えば、キメラ及び生殖細胞系列変異マウス中の抗体重鎖結合領域(J(H))遺伝子のホモ接合型欠失が、内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。このような生殖系列変異マウス中のヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入は、抗原誘発によるヒト抗体の産生をもたらす(例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551−255(1993);Jakobovits et al.,Nature,362:255−258(1993);Bruggemann et al.,Year in Immuno.,7:33(1993)を参照されたい)。ヒト抗体は、更にファージ提示ライブラリーで産生することができる(Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991))。Cote et al.及びBoerner et al.の技術も、ヒトモノクローナル抗体の調製に対して更に利用可能である(Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985);Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86−95(1991))。
[0158]所望により、抗体は、他の種中で産生し、そしてヒトにおける投与のために“ヒト化”される。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンから誘導された最小の配列を含有するキメラな免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、或いは抗体の他の抗原結合性配列のような)である。ヒト化抗体は、受容体抗体の相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット又はウサギのような非ヒト種(供与体抗体)のCDRからの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(受容体抗体)を含む。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。ヒト化抗体は、更に、受容体抗体又は移入CDR或いはフレームワーク配列のいずれにも見いだされない残基を含んでなることができる。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも一つ、そして典型的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含んでなり、ここで全ての又は実質的に全てのCDR領域が、非ヒト免疫グロブリンのそれに対応し、そして全ての又は実質的に全てのFR領域が、ヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のそれである。ヒト化抗体は、最適には、更に免疫グロブリンの定常部領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれの少なくとも一部を含んでなるものである(Jones et al.,Nature,321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323−327(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593−596(1992))。
[0159]非ヒト抗体のヒト化のための方法は、当技術分野において公知である。一般的に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からのそれに導入された一つ又はそれより多いアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、“移入”残基と呼ばれ、これは、典型的には“移入”可変ドメインから選択される。抗体のヒト化技術は、一般的に抗体分子の一つ又はそれより多いポリペプチド鎖をコードするDNA配列を操作する組換えDNA技術の使用を含む。ヒト化は、本質的に、Winter and co−workers(Jones et al.,Nature,321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323−327(1988);Verhoeyen et al.,Science,239:1534−1536(1988))の方法に従って、齧歯類CDR又はCDR配列を対応するヒト抗体の配列で置換することによって行うことができる。従って、非ヒト抗体(又はその断片)のヒト化形態は、キメラな抗体又は断片であり(米国特許第4,816,567号)、ここで、実質的にインタクトなヒト可変ドメインより少ない部分が、非ヒト種からの対応する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、幾つかのCDR残基及び恐らくは幾つかのFR残基が、齧歯類抗体中の類似する部位からの残基によって置換されているヒト抗体である。
[0160]ヒト化抗体を製造することにおいて使用される軽及び重の両方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を減少させるために非常に重要である。“最良適合”法によれば、齧歯類抗体の可変ドメインの配列は、既知のヒト可変ドメイン配列の全体のライブラリーに対してスクリーニングされる。齧歯類のそれに最も近いヒト配列は、次いでヒト化抗体のためのヒトフレームワーク(FR)として受容される(Sims et al.,J.Immunol.,151:2296(1993)及びChothia et al.,J.Mol.Biol.,196:901(1987))。もう一つの方法は、軽又は重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列から誘導された特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークを、幾つかの異なったヒト化抗体のために使用することができる(Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992);Presta et al.,J.Immunol.,151:2623(1993))。
[0161]抗体が、抗原に対する高い親和性及び他の好ましい生物学的特性の保持を伴ってヒト化されることが更に重要である。この目標を達成するために、好ましい方法によれば、ヒト化抗体は、親配列及び各種の概念的ヒト化産物の、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用する分析の方法によって調製される。三次元の免疫グロブリンモデルは、普通に入手可能であり、そして当業者によく知られている。選択された候補の免疫グロブリン配列のあり得る三次元立体構造を例示し、そして表示するコンピュータープログラムが利用可能である。これらの表示の点検は、候補の免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性のある役割の分析、即ち、その抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響する残基の分析を可能にする。この方法において、標的抗原(1または複数)に対する増加した親和性のような所望の抗体の特質が達成されるように、コンセンサス及び移入配列からFR残基を選択し、そして結合することができる。一般的に、CDR残基は、抗原結合に影響することに直接的及び最も実質的に関係する(1994年3月3日に公開されたWO94/04679を参照されたい)。
[0162]開示されるものは、TNFファミリーのサイトカインTL1Aに特異的に結合する抗原結合性ポリペプチド分子である。ポリペプチドは、ヒト化重鎖可変領域及びヒト化軽鎖可変領域を含む。例えば、ポリペプチドは、親モノクローナル抗体の抗原結合特異性を実質的に保持しながら、ヒト抗体の軽及び重鎖可変領域のフレームワーク(FR)領域を含むことができる。ヒト化重鎖可変領域及び/又はヒト化軽鎖可変領域は、相補性決定領域(CDR)を除き、少なくとも約87%ヒト化され、少なくとも約90%ヒト化され、少なくとも約95%ヒト化され、少なくとも約98%ヒト化されるか、又は少なくとも約100%ヒト化される。抗原結合性ポリペプチド分子は、モノクローナル抗体供与体(例えば、マウスモノクローナル抗体供与体;ヒトモノクローナル抗体供与体)由来であることができ、そしてモノクローナル抗体からのCDR(例えば、マウスモノクローナルCDR;ヒトモノクローナルCDR)を含むことができる。ポリペプチドは、サイトカイン、TL1Aに対してアンタゴニストとして機能することができる。
[0163]本明細書中で使用する場合、用語“エピトープ”は、開示される抗DR3又は抗TL1A抗体との特異的相互作用が可能ないずれもの決定因子を含むことが意味される。エピトープ決定因子は、通常、アミノ酸又は糖側鎖ような分子の化学的に活性な表面基からなり、そして通常、特異的三次元構造特質、並びに特異的電荷特質を有する。
[0164]“エピトープ標識”は、抗体又は分子の機能に無関係の短いペプチド配列を意味し、これは、抗エピトープ標識抗体又は他の試薬による分子の精製又は架橋のために使用することができる。
[0165]“特異的結合”によって、抗体が、その同族抗原(例えば、DR3受容体ポリペプチド又はTL1Aポリペプチド)を認識し、そして物理的に相互作用し、そして他の抗原を有意に認識及び相互作用しないことが意味される;このような抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であることができ、これらは、当技術分野において公知の技術によって産生される。
[0166]抗体は、基質に結合するか、又は検出可能な部分で標識するか、或いは結合及び標識の両方をすることができる。本発明の組成物について考慮される検出可能な部分は、蛍光、酵素及び放射性マーカーを含む。
2.核酸
i.配列
[0167]本明細書中に開示されるシグナル伝達経路に関係するタンパク質分子に関連する多くの配列、例えばその全てが核酸によってコードされるか、又は核酸である、DR3及びTL1Aが存在する。これらの遺伝子のヒト類似体、並びに他の類似体、及びこれらの遺伝子のアレル、及びスプライス変異体並びに他の種類の変異体に対する配列は、ジェンバンクを含む各種のタンパク質及び遺伝子データベースから入手可能である。本出願の出願の時点においてジェンバンクにおいて入手可能なこれらの配列は、本明細書中に、参考文献としてその全て、並びにそこに含有される個々のサブ配列が援用される。ジェンバンクは、www.ncbi.nih.gov/entrez/query.fcgiにおいてアクセスすることができる。
i.配列
[0167]本明細書中に開示されるシグナル伝達経路に関係するタンパク質分子に関連する多くの配列、例えばその全てが核酸によってコードされるか、又は核酸である、DR3及びTL1Aが存在する。これらの遺伝子のヒト類似体、並びに他の類似体、及びこれらの遺伝子のアレル、及びスプライス変異体並びに他の種類の変異体に対する配列は、ジェンバンクを含む各種のタンパク質及び遺伝子データベースから入手可能である。本出願の出願の時点においてジェンバンクにおいて入手可能なこれらの配列は、本明細書中に、参考文献としてその全て、並びにそこに含有される個々のサブ配列が援用される。ジェンバンクは、www.ncbi.nih.gov/entrez/query.fcgiにおいてアクセスすることができる。
[0168]当業者は、配列の不一致及び差異を解決し、そして特定の配列に関する組成及び方法を他の関連する配列に対して調節する方法を理解する。プライマー及び/又はプローブは、本明細書中に開示され、当技術分野において既知の情報を前提として、いずれもの与えられた配列に対して設計することができる。
[0169]DR3に対する核酸配列は、ジェンバンク寄託番号NM_001039664.1(ヒト)又は寄託番号Q93038(ヒト;配列番号:1)及びNM_033042.3(マウス)により入手することができる。TL1Aに対する核酸配列は、ジェンバンク寄託番号NM_177371(マウス)及び寄託番号NM_005118.2(ヒト)又は寄託番号Q8NFE9(配列番号:3)により入手することができる。ジェンバンク寄託番号NM_001039664.1(ヒト)及びNM_033042.3(マウス)の下でDR3について、又はジェンバンク寄託番号NM_177371(マウス)及びNM_005118.2(ヒト)の下でTL1Aについて提供されるいずれもの核酸及びアミノ酸配列を含む全ての情報は、本明細書中にその全てが参考文献として援用される。
ii.ヌクレオチド及び関連する分子
[0170]ヌクレオチドは、塩基部分、糖部分及びリン酸部分を含有する分子である。ヌクレオチドは、そのリン酸部分及び糖部分を介して、ヌクレオシド間結合を作り、一緒に結合することができる。ヌクレオチドの塩基部分は、アデニン−9−イル(A)、シトシン−1−イル(C)、グアニン−9−イル(G)、ウラシル−1−イル(U)、及びチミン−1−イル(T)であることができる。ヌクレオチドの糖部分は、リボース又はデオキシリボースである。ヌクレオチドのリン酸部分は、五価リン酸である。ヌクレオチドの非限定的な例は、3’−AMP(3’−アデノシン一リン酸)又は5’−GMP(5’−グアノシン一リン酸)である。当技術分野において利用可能な、そして本明細書中で利用可能な多くの各種のこれらのタイプの分子が存在する。用語“ヌクレオチド”は、ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体、好ましくはオリゴヌクレオチドを含んでなるヌクレオチドの群を含み、そしてN−グリコシル結合によってリン酸化された糖に結合した複素環化合物を含有するいずれもの化合物、又は相補的塩基対形成が可能ないずれものモノマー、或いはオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることが可能ないずれものポリマーを指す。
[0170]ヌクレオチドは、塩基部分、糖部分及びリン酸部分を含有する分子である。ヌクレオチドは、そのリン酸部分及び糖部分を介して、ヌクレオシド間結合を作り、一緒に結合することができる。ヌクレオチドの塩基部分は、アデニン−9−イル(A)、シトシン−1−イル(C)、グアニン−9−イル(G)、ウラシル−1−イル(U)、及びチミン−1−イル(T)であることができる。ヌクレオチドの糖部分は、リボース又はデオキシリボースである。ヌクレオチドのリン酸部分は、五価リン酸である。ヌクレオチドの非限定的な例は、3’−AMP(3’−アデノシン一リン酸)又は5’−GMP(5’−グアノシン一リン酸)である。当技術分野において利用可能な、そして本明細書中で利用可能な多くの各種のこれらのタイプの分子が存在する。用語“ヌクレオチド”は、ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体、好ましくはオリゴヌクレオチドを含んでなるヌクレオチドの群を含み、そしてN−グリコシル結合によってリン酸化された糖に結合した複素環化合物を含有するいずれもの化合物、又は相補的塩基対形成が可能ないずれものモノマー、或いはオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることが可能ないずれものポリマーを指す。
[0171]用語“ヌクレオチド類似体”は、核酸合成及び加工、好ましくは酵素的、並びに化学的合成及び加工において、天然に存在する塩基の代わりに使用することができる分子、特に塩基対形成が可能な修飾されたヌクレオチドを指す。ヌクレオチド類似体は、塩基、糖、又はリン酸部分の一つにある種の修飾を含有するヌクレオチドである。ヌクレオチドの修飾は、当技術分野において周知であり、そして例えば、5メチルシトシン(5meC)、5ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、及び2アミノアデニン、並びに糖又はリン酸部分における修飾を含むものである。
[0172]この用語は、制約されるものではないが、修飾されたプリン及びピリミジン、微量塩基、転換可能なヌクレオシド、プリン及びピリミジンの構造的類似体、標識され、誘導体化されそして修飾されたヌクレオシド及びヌクレオチド、結合されたヌクレオシド及びヌクレオチド、配列修飾因子、末端修飾因子、スペーサー修飾因子、並びに制約されるものではないが、リボース修飾ヌクレオチド、ホスホルアミデート、ホスホロチオエート、ホスホンアミダイト、メチルホスホネート、メチルホスホルアミダイト、メチルホスホンアミダイト、5’−β−シアノエチルホスホルアミダイト、メチレンホスホネート、ホスホロジチオエート、ペプチド核酸、アキラル及び天然のヌクレオチド間結合及びポリエチレングリコールのような非ヌクレオチド架橋、芳香族ポリアミド並びに脂質を含む骨格修飾を伴うヌクレオチドを含む。所望により、ヌクレオチド類似体は、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル又は微量塩基を含まない合成塩基である。これらの及び他のヌクレオチド並びにヌクレオシド誘導体、類似体及び骨格修飾は、当技術分野において既知である(例えば、Piccirilli J.A.et al.(1990)Nature 343:33−37;Sanghvi et al(1993)In:Nucleosides and Nucleotides as Antitumor and Antiviral Agents,(Eds.C.K.Chu and D.C.Baker) Plenum,New York,pp.311−323;Goodchild J.(1990)Bioconjugate Chemistry 1:165−187;Beaucage et al.(1993)Tetrahedron 49:1925−1963)。ヌクレオチド代替物は、ヌクレオチドに類似した機能的特性を有するが、しかしペプチド核酸(PNA)のようにリン酸部分を含有しない分子である。ヌクレオチド代替物は、ワトソン−クリック又はフーグスティーン様式で核酸を認識する分子であるが、しかしこれは、リン酸部分以外の部分により一緒に結合する。ヌクレオチド代替物は、適当な標的核酸と相互作用する場合、二重らせん型構造に適合することが可能である。当技術分野において利用可能であり、そして本明細書中で利用可能である多くの各種のこれらのタイプの分子が存在する。
[0173]他の種類の分子(複合体)を、ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体に結合させ、例えば、細胞取込みを向上させることも可能である。複合体は、ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体に化学的に結合することができる。このような複合体は、制約されるものではないが、コレステロール部分のような脂質部分を含む(Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86,6553-6556)。当技術分野において利用可能であり、そして本明細書中で利用可能である多くの各種のこれらのタイプの分子が存在する。
[0174]例えばTL1A及びDR3、並びに本明細書中に開示されるいずれもの他のタンパク質、並びに各種の機能性核酸をコードする核酸を例えば含む、核酸ベースの本明細書中に開示される各種の分子が存在する。開示される核酸は、例えば、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、又はヌクレオチド代替物から構成される。これらの及び他の分子の非限定的例が本明細書中で考察される。例えば、ベクターが細胞中で発現される場合、発現されるmRNAは、典型的にはA、C、G、及びUで構成されるものであることは理解される。同様に、例えば、アンチセンス分子が、例えば外因性送達により細胞又は細胞環境に導入される場合、アンチセンス分子が、細胞環境でアンチセンス分子の分解を減少させるヌクレオチド類似体から構成されることが有利であることは理解される。
[0175]“単離された核酸”又は“精製された核酸”によって、本発明のDNAが由来する生物体の天然に存在するゲノムにおいて当該遺伝子に隣接する遺伝子を含まないDNAが意味される。従って当該用語は、例えば、自己複製プラスミド又はウイルスのようなベクター中に組込まれた;又は原核生物又は真核生物のゲノムDNAに組込まれた(例えば遺伝子導入);又は別個の分子(例えば、cDNA、或いはPCR、制限エンドヌクレアーゼ消化、又は化学的若しくはin vitro合成によって産生されるゲノム又はcDNA断片)として存在する、組換えDNAを含む。これは、更なるポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAも含む。用語“単離された核酸”は、RNA、例えば単離されたDNA分子によってコードされた、又は化学的に合成された、或いは少なくとも幾つかの細胞成分、例えば、他の種類のRNA分子又はポリペプチド分子から分離されたか又はこれを実質的に含まない、mRNA分子も指す。
iii.ヌクレオチドの相互作用
[0176]ワトソン−クリック相互作用は、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、又はヌクレオチド代替物のワトソン−クリック面による少なくとも一つの相互作用である。ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、又はヌクレオチド代替物のワトソン−クリック面は、プリンベースヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、又はヌクレオチド代替物のC2、N1、及びC6位、並びにピリミジンベースヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、又はヌクレオチド代替物のC2、N3、C4位を含む。
[0176]ワトソン−クリック相互作用は、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、又はヌクレオチド代替物のワトソン−クリック面による少なくとも一つの相互作用である。ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、又はヌクレオチド代替物のワトソン−クリック面は、プリンベースヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、又はヌクレオチド代替物のC2、N1、及びC6位、並びにピリミジンベースヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、又はヌクレオチド代替物のC2、N3、C4位を含む。
[0177]フーグスティーン相互作用は、二本鎖DNAの主溝に暴露されている、ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体のフーグスティーン面において起こる相互作用である。フーグスティーン面は、プリンヌクレオチドのN7位及び、C6位における反応性基(NH2又はO)を含む。
iv.オリゴ及びポリヌクレオチド
[0178]用語“オリゴヌクレオチド”は、ヌクレオチドの天然に存在するか又は合成のポリマーを、そして好ましくは少なくとも三つのヌクレオチドを含んでなるポリマーを、そしてより好ましくは、ハイブリダイゼーションが可能なポリマーを意味する。オリゴヌクレオチドは、選択された核酸配列、ヘテロ二本鎖、キメラ及びハイブリダイズされたヌクレオチド並びに一つ又はそれより多い非オリゴヌクレオチド分子に結合したオリゴヌクレオチドを含む、一本鎖、二本鎖、部分的に一本鎖又は部分的に二本鎖のリボ核酸又はデオキシリボ核酸であることができる。
[0178]用語“オリゴヌクレオチド”は、ヌクレオチドの天然に存在するか又は合成のポリマーを、そして好ましくは少なくとも三つのヌクレオチドを含んでなるポリマーを、そしてより好ましくは、ハイブリダイゼーションが可能なポリマーを意味する。オリゴヌクレオチドは、選択された核酸配列、ヘテロ二本鎖、キメラ及びハイブリダイズされたヌクレオチド並びに一つ又はそれより多い非オリゴヌクレオチド分子に結合したオリゴヌクレオチドを含む、一本鎖、二本鎖、部分的に一本鎖又は部分的に二本鎖のリボ核酸又はデオキシリボ核酸であることができる。
[0179]用語“ポリヌクレオチド”は、ホスホジエステル結合によって一緒に結合された二つ又はそれより多いデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドの配列を意味するために本明細書中で幅広く使用される。このように、用語“ポリヌクレオチド”は、遺伝子又はその部分、cDNA、合成ポリデオキシリボ核酸配列、等であることができるRNA及びDNAを含み、そして一本鎖又は二本鎖、並びにDNA/RNAのハイブリッドであることができる。更に、用語“ポリヌクレオチド”は、本明細書中で使用される場合、細胞から単離することができる天然に存在する核酸分子、並びに例えば化学的合成によって、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるような酵素的方法によって調製することができる合成分子を含む。各種の態様において、本発明のポリヌクレオチドは、ヌクレオシド又はヌクレオチド類似体、又はホスホジエステル結合以外の骨格結合を含有することができる。一般的に、ポリヌクレオチドを含んでなるヌクレオチドは、2’−デオキシリボースに結合したアデニン、シトシン、グアニン又はチミンのような天然に存在するデオキシリボヌクレオチド、或いはリボースに結合したアデニン、シトシン、グアニン又はウラシルのようなリボヌクレオチドである。然しながら、ポリヌクレオチドは、天然に存在しない合成ヌクレオチド又は修飾された天然に存在するヌクレオチドを含む、ヌクレオチド類似体を含有することもできる。このようなヌクレオチド類似体は、このようなヌクレオチド類似体を含有するポリヌクレオチドがそうであるように、当技術分野において周知であり、そして商業的に入手可能である(Lin et al.,Nucl.Acids Res. 22:5220−5234(1994);Jellinek et al.,Biochemistry 34:11363−11372(1995);Pagratis et al.,Nature Biotechnol.15:68−73(1997)、これらのそれぞれは、本明細書中に参考文献として援用される)。
[0180]一般的に、ポリヌクレオチドのヌクレオチドを結合する共有結合は、ホスホジエステル結合である。然しながら、共有結合は、チオジエステル結合、ホスホロチオエート結合、ペプチド様結合又は合成ポリヌクレオチドを産生するためにヌクレオチドを結合させるために有用であるとして当業者に知られるいずれもの他の結合を含む、多くの他の結合のいずれかであることもできる(例えば、Tam et al.,Nucl.Acids Res.22:977−986(1994);Ecker and Crooke,BioTechnology 13:351360(1995)を参照されたい、これらのそれぞれは、参考文献として本明細書中に援用される)。天然に存在しないヌクレオチド類似体の組込み或いはヌクレオチド又は類似体を連結させる結合は、ポリヌクレオチドが、例えば組織培養培地を含む、核酸分解活性を含有することができる環境に暴露される場合、又は生きた被験者への投与の際に、修飾されたポリヌクレオチドが分解に対してより感受性でなくなることができるため、特に有用であることができる。
[0181]天然に存在するポリヌクレオチドの機能的類似体は、RNA又はDNAに結合することができ、そしてペプチド核酸(PNA)分子を含む。
[0182]参照核酸の断片は、参照核酸の連続した核酸のみを含有し、そして参照配列より短い、少なくとも一つのヌクレオチドである。
v.プライマー及びプローブ
[0183]開示されるものは、プライマー及びプローブを含む組成であり、これは、本明細書中に開示されるようにDR3又はTL1Aのような開示される核酸と相互作用することが可能である。ある態様において、プライマーは、DNA増幅反応を支持するために使用される。典型的には、プライマーは、配列特異的様式で伸長することが可能である。配列特異的様式のプライマーの伸長は、それにプライマーがハイブリダイズ又は別の方法で会合する核酸分子の配列及び/又は組成が、プライマーの伸長によって産生される生成物の組成又は配列を指示するか又はそれに影響する、いずれもの方法を含む。従って、配列特異的様式のプライマーの伸長は、制約されるものではないが、PCR、DNA配列決定、DNA伸長、DNA重合、RNA転写、又は逆転写を含む。配列特異的様式でプライマーを増幅する技術及び条件が好ましい。ある態様において、プライマーは、PCR又は直接配列決定のようなDNA増幅反応のために使用される。ある態様において、非酵素技術を使用してプライマーを伸長することもでき、ここで、例えば、プライマーを伸長するために使用されるヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドは、これらがプライマーを配列特異的様式で伸長するように化学的に反応するように修飾されることは理解される。典型的には、開示されるプライマーは、開示される核酸又は核酸の領域とハイブリダイズし、或いはこれらは、核酸の相補物又は核酸の領域の相補物とハイブリダイズする。
[0183]開示されるものは、プライマー及びプローブを含む組成であり、これは、本明細書中に開示されるようにDR3又はTL1Aのような開示される核酸と相互作用することが可能である。ある態様において、プライマーは、DNA増幅反応を支持するために使用される。典型的には、プライマーは、配列特異的様式で伸長することが可能である。配列特異的様式のプライマーの伸長は、それにプライマーがハイブリダイズ又は別の方法で会合する核酸分子の配列及び/又は組成が、プライマーの伸長によって産生される生成物の組成又は配列を指示するか又はそれに影響する、いずれもの方法を含む。従って、配列特異的様式のプライマーの伸長は、制約されるものではないが、PCR、DNA配列決定、DNA伸長、DNA重合、RNA転写、又は逆転写を含む。配列特異的様式でプライマーを増幅する技術及び条件が好ましい。ある態様において、プライマーは、PCR又は直接配列決定のようなDNA増幅反応のために使用される。ある態様において、非酵素技術を使用してプライマーを伸長することもでき、ここで、例えば、プライマーを伸長するために使用されるヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドは、これらがプライマーを配列特異的様式で伸長するように化学的に反応するように修飾されることは理解される。典型的には、開示されるプライマーは、開示される核酸又は核酸の領域とハイブリダイズし、或いはこれらは、核酸の相補物又は核酸の領域の相補物とハイブリダイズする。
[0184]ある態様における核酸との相互作用のためのプライマー又はプローブのサイズは、DNA増幅のような、プライマーの所望の酵素的操作、或いはプローブ又はプライマーの単純なハイブリダイゼーション、を支持するいずれものサイズであることができる。典型的なプライマー又はプローブは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3500、又は4000個のヌクレオチドの長さである。
[0185]他の態様において、プライマー又はプローブは、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3500、又は4000個のヌクレオチドの長さより小さいか又はそれに等しいことができる。
[0186]DR3又はTL1A遺伝子のためのプライマーは、典型的にはDR3又はTL1A遺伝子の領域或いは完全な遺伝子を含有する増幅されたDNA産物を産生するために使用されるものである。一般的に、典型的には産物のサイズは、サイズを3個、或いは2又は1個のヌクレオチドの範囲内で正確に決定することができるようなものである。
[0187]ある態様において、この産物は、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3500、又は4000個のヌクレオチドの長さである。
[0188]他の態様において、産物は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3500、又は4000個のヌクレオチドの長さより少ないか又はそれに等しい。
3.ペプチド
i.タンパク質変異体
[0189]本明細書中で考察したように、既知の、そして本明細書中で意図される、DR3タンパク質及びTL1Aタンパク質の多くの変異体が存在する。更に、既知の機能的系統の変異体に対して、開示される方法及び組成物中でも機能するDR3又はTL1Aタンパク質の誘導体が存在する。タンパク質変異体及び誘導体は、当業者にとって十分に理解され、そしてアミノ酸配列修飾を含むことができる。例えば、アミノ酸配列の修飾は、典型的には三つのクラス、置換、挿入又は欠失変異体、の一つ又はそれより多くに入る。挿入は、アミノ及び/又はカルボキシル末端の融合、並びに一つ又は多数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。挿入は、通常、アミノ又はカルボキシル末端の融合のものより小さい、例えば、概略1ないし4個の残基の挿入である。実施例中に記載されているもののような免疫原性融合タンパク質誘導体は、標的配列に免疫原性を与えるために十分に大きいポリペプチドを、in vitroの架橋によって融合することによって、又は融合物をコードするDNAにより形質転換された組換え細胞培養によって、製造される。欠失は、タンパク質配列からの一つ又はそれより多いアミノ酸残基の除去によって特徴づけられる。典型的には、約2から6個までより多くない残基が、タンパク質分子内の任意の一つの部位において除去される。これらの変異体は、通常、タンパク質をコードするDNA中のヌクレオチドの部位特異的変異誘発によって調製され、これによって変異体をコードするDNAを産生し、そしてその後、組換え細胞培養においてDNAを発現する。既知の配列を有するDNA中の所定の位置で置換変異を行うための技術、例えば、M13プライマー変異誘発及びPCR変異誘発は、周知である。アミノ酸置換は、典型的には一つの残基のものであるが、しかし一度に多くの異なった位置で起こりうる;挿入は、通常、概略1から10個までのアミノ酸残基である;そして欠失は、約1から30個までの残基の範囲である。欠失又は挿入は、好ましくは隣接する対において、即ち二つの残基の欠失又は二つの残基の挿入で、行われる。置換、欠失、挿入又はいずれものこれらの組合せは、最終構築物に達するために組み合わせることができる。変異は、配列を読み枠から外してはならず、そして好ましくは二次mRNA構造を産生することができる相補的領域を作り出さない。置換変異体は、少なくとも一つの残基が除去され、そして異なった残基がその場所に挿入されたものである。このような置換は、一般的に以下の表1及び2によって行われ、そして保存的置換と呼ばれる。
i.タンパク質変異体
[0189]本明細書中で考察したように、既知の、そして本明細書中で意図される、DR3タンパク質及びTL1Aタンパク質の多くの変異体が存在する。更に、既知の機能的系統の変異体に対して、開示される方法及び組成物中でも機能するDR3又はTL1Aタンパク質の誘導体が存在する。タンパク質変異体及び誘導体は、当業者にとって十分に理解され、そしてアミノ酸配列修飾を含むことができる。例えば、アミノ酸配列の修飾は、典型的には三つのクラス、置換、挿入又は欠失変異体、の一つ又はそれより多くに入る。挿入は、アミノ及び/又はカルボキシル末端の融合、並びに一つ又は多数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。挿入は、通常、アミノ又はカルボキシル末端の融合のものより小さい、例えば、概略1ないし4個の残基の挿入である。実施例中に記載されているもののような免疫原性融合タンパク質誘導体は、標的配列に免疫原性を与えるために十分に大きいポリペプチドを、in vitroの架橋によって融合することによって、又は融合物をコードするDNAにより形質転換された組換え細胞培養によって、製造される。欠失は、タンパク質配列からの一つ又はそれより多いアミノ酸残基の除去によって特徴づけられる。典型的には、約2から6個までより多くない残基が、タンパク質分子内の任意の一つの部位において除去される。これらの変異体は、通常、タンパク質をコードするDNA中のヌクレオチドの部位特異的変異誘発によって調製され、これによって変異体をコードするDNAを産生し、そしてその後、組換え細胞培養においてDNAを発現する。既知の配列を有するDNA中の所定の位置で置換変異を行うための技術、例えば、M13プライマー変異誘発及びPCR変異誘発は、周知である。アミノ酸置換は、典型的には一つの残基のものであるが、しかし一度に多くの異なった位置で起こりうる;挿入は、通常、概略1から10個までのアミノ酸残基である;そして欠失は、約1から30個までの残基の範囲である。欠失又は挿入は、好ましくは隣接する対において、即ち二つの残基の欠失又は二つの残基の挿入で、行われる。置換、欠失、挿入又はいずれものこれらの組合せは、最終構築物に達するために組み合わせることができる。変異は、配列を読み枠から外してはならず、そして好ましくは二次mRNA構造を産生することができる相補的領域を作り出さない。置換変異体は、少なくとも一つの残基が除去され、そして異なった残基がその場所に挿入されたものである。このような置換は、一般的に以下の表1及び2によって行われ、そして保存的置換と呼ばれる。
[0191]機能及び免疫学的同一性の実質的な変化は、表3中のものより保存的ではない置換を選択すること、即ち(a)置換の位置における、例えばシート又はらせん高次構造としてのポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位における分子の電荷又は疎水性或いは(c)側鎖の大部分、を維持するためのこれらの効果においてより有意に異なる残基を選択することによって行われる。一般的にタンパク質の特質に最大の変化を生み出すことが期待される置換は、(a)親水性残基、例えばセリル又はトレオニルが疎水性残基、例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル又はアラニルで(によって)置換される;(b)システイン又はプロリンは、いずれもの他の残基で(によって)置換される;(c)電気的に正の側鎖を有する残基、例えば、リシル、アルギニル、又はヒスチジルは、電気的に負の残基、例えば、グルタミル又はアスパルチルで(により)置換される;或いは(d)大きい側鎖を有する残基、例えばフェニルアラニンは、側鎖を持たないもの、例えば、この場合グリシンで(によって)置換される;(e)硫酸化及び/又はグリコシル化のための部位の数を増加させることによるものである。
[0192]例えば、一つのアミノ酸残基の生物学的に及び/又は化学的に類似なもう一つのものによる置換は、当業者にとって保存的置換として既知である。例えば、保存的置換は、一つの疎水性残基をもう一つのもので、又は極性残基をもう一つのもので置換するものである。置換は、例えば、Gly、Ala;Val、Ile、Leu;Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;及びPhe、Tyrのような組合せを含む。それぞれの明確に開示される配列のこのような保存的に置換された変種は、本明細書中に提供されるモザイクポリペプチドの範囲内に含まれる。
[0193]置換又は欠失変異誘発は、N−グリコシル化(Asn−X−Thr/Ser)又はO−グリコシル化(Ser又はThr)のための部位を挿入するために使用することができる。システイン又は他の不安定な残基の欠失も、更に好ましいことであり得る。潜在的なタンパク質分解部位、例えばArgの欠失又は置換は、例えば塩基性残基の一つを欠失するか、或いはそれをグルタミニル又はヒスチジル残基によって置換することによって達成することができる。
[0194]ある種の翻訳後誘導は、組換え宿主細胞の発現されたポリペプチドに対する作用の結果である。グルタミニル及びアスパラギニル残基は、しばしば翻訳後的に対応するグルタミル及びアスパリル残基に脱アミドされる。或いは、これらの残基は、穏和な酸性の条件下で脱アミドされる。他の翻訳後修飾は、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のo−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco pp 79−86[1983])、N末端アミンのアセチル化、及びある場合には、C末端カルボキシルのアミド化を含む。
[0195]本明細書中で開示されるタンパク質の変異体及び誘導体を定義するための一つの方法は、具体的な既知の配列に対する相同性/同一性の面から変異体及び誘導体を定義することによることは理解される。例えば、配列番号:2は、DR3の特定の配列を明記し、そして配列番号:4は、TL1Aタンパク質の特定の配列を明記する。具体的に開示されるものは、記述した配列に対して、少なくとも70%又は75%又は80%又は85%又は90%又は95%の相同性を有する本明細書中に開示されるこれらの及び他のタンパク質の変異体である。二つのタンパク質の相同性を決定する方法を、当業者は容易に理解する。例えば、相同性は、相同性がその最高のレベルであるように二つの配列を整列させた後、計算することができる。
[0196]相同性を計算するもう一つの方法は、公開されたアルゴリズムによって行うことができる。比較のための配列の最適な整列は、Smith and Waterman Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch,J.MoL Biol.48:443(1970)の相同性整列アルゴリズムによって、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444(1988)の類似法のための探求によって、これらのアルゴリズムのコンピューター化実行によって(GAP,BESTFIT,FASTA,and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WI)又は検査によって行うことができる。
[0197]同じ種類の相同性は、例えばZuker,M.Science 244:48−52,1989,Jaeger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7706−7710,1989,Jaeger et al.Methods Enzymol.183:281−306,1989中に記載されているアルゴリズムによって核酸に対して得ることができ、これらは、本明細書中に参考文献として、少なくとも核酸の整列に関する題材に対する言及のために援用される。
[0198]保存的変異及び相同性の記載を、変異体が保存的変異である特定の配列に対して少なくとも70%の相同性を有する態様のような、いずれもの組合せで一緒に組合せることができることは理解される。
[0199]本明細書が各種のタンパク質及びタンパク質配列を考察するため、これらのタンパク質配列をコードすることができる核酸も開示されることは理解される。これは、特異的タンパク質配列に関する全ての縮重配列、即ち、一つの特定のタンパク質配列をコードする配列を有する全ての核酸、並びに縮重核酸を含む、開示される変異体及びタンパク質配列の誘導体をコードする全ての核酸、を含むものである。従って、それぞれの特定の核酸配列を本明細書中に書き出すことはできないが、それぞれの、そしてことごとくの配列が、開示されるタンパク質配列によって、本明細書中に事実上開示され、そして記載されることは理解される。生命体内でそのタンパク質をどの特定のDNA配列がコードするかを、アミノ酸配列は示していないが、開示されるタンパク質の特定の変異体が本明細書中に開示されている場合、そのタンパク質をコードする既知のアミノ酸配列も既知であり、そして本明細書中に開示され、そして記載されることも理解される。
[0200]開示される組成物中に組込むことができる多くのアミノ酸及びペプチド類似体が存在することは理解される。例えば、多くのDアミノ酸又は表2及び表3に示したアミノ酸とは異なった機能性置換基を有するアミノ酸が存在する。天然に存在するペプチドの逆の立体異性体、並びにペプチド類似体の立体異性体が開示される。これらのアミノ酸は、部位特異的方法でペプチド鎖にアナログアミノ酸を挿入するために、選択されたアミノ酸をtRNA分子に装填し、そして例えばアンバーコドンを使用する遺伝子構築物を操作することによって、ペプチド鎖に容易に組込むことができる(これらの全てが本明細書中に参考文献として、少なくともアミノ酸類似体に関する題材のために援用される、Thorson et al.,Methods in Molec.Biol.77:43−73(1991),Zoller,Current Opinion in Biotechnology,3:348−354 1992);Ibba,Biotechnology & Genetic Enginerring Reviews 13:197−216(1995),Cahill et al.,TIBS,14(10):400−403(1989);Benner,TIB Tech,12:158−163 1994);Ibba and Hennecke,Bio/technology,12:678−682 (1994))。
[0201]ペプチドに類似の分子を産生することができるが、しかしこれは、天然のペプチド結合により接続されない。例えば、アミノ酸又はアミノ酸類似体に対する結合は、CH2NH−、−CH2S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(cis及びtrans)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−、及び−CHH2SO-を含むことができ、(これらの及び他のものは、Spatola,A.F.in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides,and Proteins,B.Weinstein,eds.,Marcel Dekker,New York,p.267(1983);Spatola,A.F.,Vega Data(March 1983),Vol.1,Issue 3,Peptide Backbone Modifications(general review);Morley,Trends Pharm Sci(1980)pp.463−468;Hudson,D.et al.,Int J Pept Prot Res 14:177−185(1979)(−CH2NH−,CH2CH2−);Spatola et al.Life Sci 38:243−1249(1986)(−CHH2−S);Hann J.Chem.Soc Perkin Trans.I 307−314(1982)(−CH−CH−,cis and trans);Almquist et al.J.Med.Chem.23:1392−1398(1980)(−COCH2−);Jennings−White et al.Tetrahedron Lett 23:2533(1982)(−COCH2−);Szelke et al.European Appln,EP 45665CA(1982):97:39405(1982)(−CH(OH)CH2−);Holladay et al.Tetrahedron.Lett 24:4401−4404(1983)(−C(OH)CH2−);及びHruby Life Sci 31:189−199(1982)(−CH2−S−)中に見出すことができる;これらのそれぞれは、本明細書中に参考文献として援用される。特に好ましい非ペプチド結合は、−CH2NH−である。ペプチド類似体が、b−アラニン、g−アミノ酪酸、等のように結合原子間に一つより多い原子を有することができることは理解される。
[0202]アミノ酸類似体及び類似体並びにペプチド類似体は、しばしば、更に経済的な産生、大きい化学的安定性、向上した薬理学的特性(半減期、吸収、効力、有効性、等)、変更された特異性(例えば、生物学的活性の広いスペクトル)、減少した抗原性、等のような向上された又は所望する特性を有する。
[0203]D−アミノ酸はペプチダーゼ等によって認識されないことから、D−アミノ酸をより安定なペプチドを産生するために使用することができる。同じ種類のD−アミノ酸を伴うコンセンサス配列の一つ又はそれより多いアミノ酸の系統的置換(例えば、L−リシンの代わりにD−リシン)は、より安定なペプチドを産生するために使用することができる。システイン残基は、二つ又はそれより多いペプチドを一緒に環化又は接続するために使用することができる。これは、ペプチドを特定の高次構造に束縛するために有益である。(Rizo and Gierasch Ann.Rev.Biochem.61:387(1992)、本明細書中に参考文献として援用される)。
4.配列の類似性
[0204]本明細書中で考察されるように、用語相同性及び同一性の使用は、類似性と同じことを意味することは理解される。従って、例えば、言語相同性の使用が二つの非天然の配列間で使用された場合、これが、必ずしもこれらの二つの配列間の進化的関係を示すものではなく、しかしこれらの核酸配列間の類似性又は関連性を考察していることは、理解される。二つの進化的に関連する分子間の相同性を決定するための多くの方法は、これらが進化的に関係するか否かに関わらず、配列の類似性を測定する目的のために、いずれもの二つ又はそれより多い核酸或いはタンパク質に日常的に適用される。
[0204]本明細書中で考察されるように、用語相同性及び同一性の使用は、類似性と同じことを意味することは理解される。従って、例えば、言語相同性の使用が二つの非天然の配列間で使用された場合、これが、必ずしもこれらの二つの配列間の進化的関係を示すものではなく、しかしこれらの核酸配列間の類似性又は関連性を考察していることは、理解される。二つの進化的に関連する分子間の相同性を決定するための多くの方法は、これらが進化的に関係するか否かに関わらず、配列の類似性を測定する目的のために、いずれもの二つ又はそれより多い核酸或いはタンパク質に日常的に適用される。
[0205]一般的に、本明細書中に開示される遺伝子及びタンパク質のいずれもの既知の変異体及び誘導体又は生じることができるものを定義するための一つの方法は、具体的な既知の配列との相同性の点から変異体及び誘導体を定義することによることは理解される。この本明細書中に開示される特定の配列の同一性は、更に、本明細書中の他に場所で考察される。一般的に、本明細書中に開示される遺伝子及びタンパク質の変異体は、典型的には、少なくとも、約70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99パーセントの、記述された配列又は天然の配列に対する相同性を有する。二つのタンパク質又は、遺伝子のような核酸の相同性を決定する方法を当業者は容易に理解する。例えば、相同性は、相同性がその最高のレベルであるように、二つの配列を整列させた後、計算することができる。
[0206]相同性を計算するもう一つの方法は、公開されたアルゴリズムによって行うことができる。比較のための配列の最適な整列は、Smith and Waterman Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch,J.MoL Biol.48:443(1970)の相同性整列アルゴリズムによって、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444(1988)の類似法のための探求によって、これらのアルゴリズムのコンピューター化実行によって(GAP,BESTFIT,FASTA,and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WI)又は検査によって行うことができる。
[0207]同じ種類の相同性は、例えばZuker,M.Science 244:48−52,1989,Jaeger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7706−7710,1989,Jaeger et al.Methods Enzymol.183:281−306,1989中に記載されているアルゴリズムによって核酸に対して得ることができ、これらは、本明細書中に参考文献として、少なくとも核酸の整列に関する題材に対する言及のために援用される。典型的にはいずれもの方法を使用することができ、そしてある場合には、これらの異なった方法の結果が異なることがあり得ることは理解されるが、しかし当業者は、同一性がこれらの方法の少なくとも一つにおいて見いだされた場合、この配列が記述した同一性を有すると言え、そして本明細書中に開示されるものであることを理解する。
[0208]例えば、本明細書中で使用する場合、もう一つの配列に対して特定のパーセントの相同性を有すると記載された配列は、先に記載した計算方法のいずれか一つ又はそれより多くによって計算されたような記載された相同性を有する配列を指す。例えば、第1の配列が、Zukerの計算法を使用して第2の配列に対する80パーセントの相同性を有すると計算された場合、第1の配列が、他の計算方法のいずれかによって第2の配列に対する80パーセントの相同性を持たないと計算されたとしても、第1の配列は、本明細書中で定義したような第2の配列に対する80%の相同性を有する。もう一つの例として、第1の配列が、Zukerの計算法及びPeasonの両方、並びにLipman計算法を使用して第2の配列に対して80パーセントの相同性を有すると計算された場合、第1の配列が、Smith及びWaterman計算法、Needleman及びWunsch計算法、Jaeger計算法、又は他の計算方法のいずれかによって第2の配列に対する80パーセントの相同性を持たないと計算されたとしても、第1の配列は、本明細書中で定義したような第2の配列に対する80%の相同性を有する。なおもう一つの例として、第1の配列が、それぞれの計算法を使用して第2の配列に対して80パーセントの相同性を有すると計算された場合、第1の配列は、本明細書中で定義したような第2の配列に対する80%の相同性を有する(実際には、異なった計算法は、しばしば異なった計算された相同性のパーセントをもたらすものであるが)。
5.ハイブリダイゼーション/選択的ハイブリダイゼーション
[0209]用語ハイブリダイゼーションは、典型的には、プライマー又はプローブ及び遺伝子のような、少なくとも二つの核酸分子間の配列駆動相互作用を意味する。配列駆動相互作用は、ヌクレオチド特異的様式で、二つのヌクレオチド又はヌクレオチド類似体或いはヌクレオチド誘導体間で起こる相互作用を意味する。例えば、Cと相互作用するG、又はTと相互作用するAは、配列駆動相互作用である。典型的な配列駆動相互作用は、ヌクレオチドのワトソン−クリック面又はフーグスティーン面で起こる。二つの核酸のハイブリダイゼーションは、当業者にとって既知の多くの条件及びパラメーターによって影響される。例えば、反応の塩濃度、pH、及び温度は、二つの核酸分子がハイブリダイズされるものであるか否かに、全て影響する。
[0209]用語ハイブリダイゼーションは、典型的には、プライマー又はプローブ及び遺伝子のような、少なくとも二つの核酸分子間の配列駆動相互作用を意味する。配列駆動相互作用は、ヌクレオチド特異的様式で、二つのヌクレオチド又はヌクレオチド類似体或いはヌクレオチド誘導体間で起こる相互作用を意味する。例えば、Cと相互作用するG、又はTと相互作用するAは、配列駆動相互作用である。典型的な配列駆動相互作用は、ヌクレオチドのワトソン−クリック面又はフーグスティーン面で起こる。二つの核酸のハイブリダイゼーションは、当業者にとって既知の多くの条件及びパラメーターによって影響される。例えば、反応の塩濃度、pH、及び温度は、二つの核酸分子がハイブリダイズされるものであるか否かに、全て影響する。
[0210]二つの核酸分子間の選択的ハイブリダイゼーションのためのパラメーターは、当業者にとって公知である。例えば、幾つかの態様において、選択的ハイブリダイゼーションの条件は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件として定義することができる。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション及び洗浄工程のいずれか又は両方の温度及び塩濃度の両方によって制御される。例えば、選択的ハイブリダイゼーションを達成するためのハイブリダイゼーションの条件は、Tm(分子の半分がそのハイブリダイゼーションの相手から解離する溶融温度)より約12−25℃低い温度における高いイオン強度の溶液(6XSSC又は6XSSPE)中のハイブリダイゼーション、それに続く洗浄温度がTmより約5℃ないし20℃低い洗浄温度であるように選択される温度及び塩濃度の組合せにおける洗浄を含むことができる。温度及び塩濃度は、フィルター上に固定化された参照DNAに試料を、標識された対象の核酸とハイブリダイズし、そして次いで異なったストリンジェンシーの条件下で洗浄する予備実験において経験的に容易に決定される。ハイブリダイゼーション温度は、典型的には、DNA−RNA及びRNA−RNAハイブリダイゼーションにおいて高い。ストリンジェンシーを達成するための先に記載したように使用することができる、又はそのような条件は、当技術分野において既知である。(これは本明細書中に参考文献として、少なくとも核酸のハイブリダイゼーションに関する題材のために援用されるSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York,1989;Kunkel et al.Methods Enzymol.1987:154:367,1987)。DNA:DNAハイブリダイゼーションのためのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6XSSC又は6XSSPE中の約68℃(水溶液中)、それに続く68℃における洗浄であることができる。所望する場合、ハイブリダイゼーション及び洗浄のストリンジェンシーは、所望の相補性の程度が減少されるのに従って、そして更に、変異性が探索されるいずれもの領域のG−C又はA−Tの豊富さによって、減少させることができる。同様に、所望する場合、ハイブリダイゼーション及び洗浄のストリンジェンシーは、所望の相同性が増加されるのに従って、そして更に、高い相同性が所望されるいずれもの領域のG−C又はA−Tの豊富さによって、全てが当技術分野において既知であるように、増加させることができる。
[0211]選択的ハイブリダイゼーションを定義するためのもう一つの方法は、他の核酸に結合する核酸の一つの量(パーセント)を考察することによる。例えば、幾つかの態様において、選択的ハイブリダイゼーション条件は、少なくとも約60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100パーセントの限定的核酸が、非限定的核酸に結合される場合である。典型的には、非限定的プライマーは、例えば、10又は100或いは1000倍過剰である。この種のアッセイは、限定的及び非限定的プライマーの両方が、例えばそのkdより10倍又は100倍又は1000倍低い、或いは一方の核酸分子のみが10倍又は100倍又は1000倍である、或いは一方又は両方の核酸分子がそのkdより上である、条件下で行うことができる。
[0212]選択的ハイブリダイゼーションを定義するためのもう一つの方法は、ハイブリダイゼーションが、所望の酵素的操作を促進するために必要である条件下で、酵素的に操作されるプライマーのパーセントを考察することによる。例えば、幾つかの態様において、選択的ハイブリダイゼーション条件は、少なくとも約60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100パーセントのプライマーが、酵素的操作を促進する条件下で酵素的に操作される場合であり、例えば酵素的操作がDNA伸長である場合、選択的ハイブリダイゼーション条件は、少なくとも約60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100パーセントのプライマー分子が、伸長される場合であるものである。好ましい条件は、更に製造業者によって示唆された又は操作を行う酵素のために適当であるとして当技術分野において示されたものを含む。
[0213]相同性と全く同じように、二つの核酸分子間のハイブリダイゼーションのレベルを決定するために本明細書中に開示される各種の方法が存在することは理解される。これらの方法及び条件は、二つの核酸分子間の異なったパーセントのハイブリダイゼーションを提供しうるが、しかし他に示さない限り、いずれかの方法のパラメーターに合致することで十分であることは理解される。例えば、80%のハイブリダイゼーションが必要である場合、そしてハイブリダイゼーションが、これらの方法のいずれか一つにおいて必要なパラメーターの範囲内で起こる限り、これは、本明細書中に開示されていると考えられる。
[0214]組成物又は方法が、ハイブリダイゼーションを決定するためのこれらの基準のいずれか一つに、集合的に又は単一で合致する場合、これは、本明細書中に開示される組成物又は方法であることを、当業者が理解することは理解される。
6.細胞送達系
[0215]In vitro又はin vivoのいずれかで核酸を細胞に送達するために使用することができる多くの組成物及び方法が存在する。これらの方法及び組成物は、大きく二つのクラス:ウイルスベース送達系及び非ウイルスベース送達系に分類することができる。例えば、核酸は、電気穿孔、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、プラスミド、ウイルスベクター、ウイルス核酸、ファージ核酸、ファージ、コスミド、或いは細胞又はカチオン性リポソームのような担体中の遺伝子物質の移入のような多くの直接送達系により送達することができる。ウイルスベクター、化学的遺伝子移入体、又は電気穿孔のような物理機械的方法及びDNAの直接拡散を含む遺伝子導入のための適当な手段が、例えば、Wolff,J.A.,et al.,Science,247,1465−1468,(1990);及びWolff,J.A.Nature,352,815−818,(1991)中に記載されている このような方法は、当技術分野において公知であり、そして本明細書中に記載される組成物及び方法と共に使用するために容易に適合可能である。ある場合には、この方法は、大きいDNA分子について特異的に機能するように改変される。更に、これらの方法は、担体の標的化特質を使用することによって、ある種の疾病及び細胞集団を標的とするために使用することができる。
[0215]In vitro又はin vivoのいずれかで核酸を細胞に送達するために使用することができる多くの組成物及び方法が存在する。これらの方法及び組成物は、大きく二つのクラス:ウイルスベース送達系及び非ウイルスベース送達系に分類することができる。例えば、核酸は、電気穿孔、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、プラスミド、ウイルスベクター、ウイルス核酸、ファージ核酸、ファージ、コスミド、或いは細胞又はカチオン性リポソームのような担体中の遺伝子物質の移入のような多くの直接送達系により送達することができる。ウイルスベクター、化学的遺伝子移入体、又は電気穿孔のような物理機械的方法及びDNAの直接拡散を含む遺伝子導入のための適当な手段が、例えば、Wolff,J.A.,et al.,Science,247,1465−1468,(1990);及びWolff,J.A.Nature,352,815−818,(1991)中に記載されている このような方法は、当技術分野において公知であり、そして本明細書中に記載される組成物及び方法と共に使用するために容易に適合可能である。ある場合には、この方法は、大きいDNA分子について特異的に機能するように改変される。更に、これらの方法は、担体の標的化特質を使用することによって、ある種の疾病及び細胞集団を標的とするために使用することができる。
i.核酸ベース送達系
[0216]トランスファーベクターは、遺伝子を細胞に送達するために、又は遺伝子を送達するための一般的戦略の部分として、例えば、組換えレトロウイルス又はアデノウイルスの部分として使用される、いずれものヌクレオチド構築物(例えば、プラスミド)であることができる(Ram et al.Cancer Res.53:83−88,(1993))。
[0216]トランスファーベクターは、遺伝子を細胞に送達するために、又は遺伝子を送達するための一般的戦略の部分として、例えば、組換えレトロウイルス又はアデノウイルスの部分として使用される、いずれものヌクレオチド構築物(例えば、プラスミド)であることができる(Ram et al.Cancer Res.53:83−88,(1993))。
[0217]本明細書中で使用する場合、プラスミド又はウイルスベクターは、DR3又はTL1Aのような開示される核酸を、分解を伴わずに細胞に輸送する薬剤であり、そしてそれが送達された細胞中の遺伝子の発現を得るプロモーターを含む。幾つかの態様において、ベクターは、ウイルス又はレトロウイルスのいずれかから誘導される。ウイルスベクターは、例えばアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクチニアウイルス、ポリオウイルス、AIDSウイルス、神経細胞栄養性ウイルス、シンドビス及びHIV骨格を持つウイルスを含む他のRNAウイルスである。更に好ましいものは、これらをベクターとして使用するために適したものにするこれらのウイルスの特質を共有するいずれものウイルスのファミリーである。レトロウイルスは、マウスモロニー(maloney)白血病ウイルス、MMLV、及びベクターとしての所望のMMVLの特性を発現するレトロウイルスを含む。レトロウイルスベクターは、他のウイルスベクターより大きい遺伝子的負荷量、即ち、導入遺伝子又はマーカー遺伝子を保有することが可能であり、そしてこの理由のために、普通に使用されるベクターである。然しながら、これらは、非増殖性細胞中ではそれほど有用ではない。アデノウイルスベクターは、比較的安定であり、そして作業しやすく、高い力価を有し、そしてエアゾール製剤中で供給することができ、そして非***細胞を、遺伝子導入することができる。ポックスウイルスベクターは、大きく、そして遺伝子を挿入するための幾つかの部位を有する;これらは、熱安定性であり、そして室温で保存することができる。好ましい態様は、ウイルス抗原によって誘発された宿主生物体の免疫反応を抑制するために操作されるウイルスベクターである。この種類の好ましいベクターは、インターロイキン8又は10に対するコード領域を保有するものである。
[0218]ウイルスベクターは、遺伝子を細胞に導入するための化学的又は物理的方法より高い処理能力(遺伝子を導入する能力)を有することができる。典型的には、ウイルスベクターは、非構造的初期遺伝子、構造的後期遺伝子、RNAポリメラーゼIII転写物、複製及びキャプシド形成のために必要な逆方向反復配列、及びウイルスゲノムの転写及び複製を制御するためのプロモーターを含有する。ベクターとして操作された場合、ウイルスは、典型的には一つ又はそれより多い初期遺伝子が除去され、そして除去されたウイルスDNAの代わりに遺伝子又は遺伝子/プロモーターカセットがウイルスゲノムに挿入される。この種類の構築物は、約8kbまでの外部遺伝子物質を保有することができる。除去された初期遺伝子の必要な機能は、典型的には、初期遺伝子の遺伝子産物をtransに発現するように操作された細胞株によって供給される。
a.レトロウイルスベクター
[0219]レトロウイルスは、いずれもの種、亜群、属、又は向性を含む、Retroviridaeのウイルスファミリーに属する動物ウイルスである。レトロウイルスベクターは、一般的に、Verma,I.M.,Retroviral vectors for gene transfer.In Microbiology−1985,American Society for Microbiology,pp.229−232,Washington,(1985)によって記載され、これは、本明細書中に参考文献として援用される。遺伝子治療のためにレトロウイルスベクターを使用するための方法の例は、米国特許第4,868,116号及び4,980,286号;PCT出願WO90/02806及びWO89/07136;及びMulligan,(Science 260:926−932(1993))中に記載され;これらの教示は、本明細書中に参考文献として援用される。
[0219]レトロウイルスは、いずれもの種、亜群、属、又は向性を含む、Retroviridaeのウイルスファミリーに属する動物ウイルスである。レトロウイルスベクターは、一般的に、Verma,I.M.,Retroviral vectors for gene transfer.In Microbiology−1985,American Society for Microbiology,pp.229−232,Washington,(1985)によって記載され、これは、本明細書中に参考文献として援用される。遺伝子治療のためにレトロウイルスベクターを使用するための方法の例は、米国特許第4,868,116号及び4,980,286号;PCT出願WO90/02806及びWO89/07136;及びMulligan,(Science 260:926−932(1993))中に記載され;これらの教示は、本明細書中に参考文献として援用される。
[0220]レトロウイルスは、本質的に核酸の積み荷がその中に詰込まれたパッケージである。核酸の積み荷は、複製された娘分子が、パッケージ被覆内に効率よく詰込まれるものであることを確実にするためのパッケージ化シグナルをそれと共に保有する。パッケージシグナルに加えて、複製されたウイルスの複製及び詰込みのためにcisに必要な多くの分子が存在する。典型的には、レトロウイルスゲノムは、タンパク質被覆の製造において関係するgag、pol、及びenv遺伝子を含有する。これは、典型的にはそれが標的細胞に移入される外部DNAによって置換されるgag、pol、及びenv遺伝子である。レトロウイルスベクターは、典型的には、パッケージ被覆への組込みのためのパッケージ化シグナル、gag転写単位の開始のシグナルを送る配列、逆転写のtRNAプライマーを結合するためのプライマー結合部位を含む逆転写のために必要な要素、DNA合成中のRNAストランドの切替えを導く末端反復配列、DNA合成の第2のストランドの合成のためのプライミング部位として役立つ5’から3’LTRのプリンリッチ配列、及び宿主ゲノムに挿入するためのレトロウイルスのDNA状態の挿入を可能にするLTRの末端付近の特異的配列を含有する。gag、pol、及びenv遺伝子の除去は、約8kbの外部配列がウイルスゲノムに挿入され、逆転写され、そして複製により新しいレトロウイルス粒子に詰込まれることを可能にする。この核酸の量は、それぞれの転写物のサイズによるが一つないし多くの遺伝子の供給のために十分である。挿入断片中の他の遺伝子と共に正又は負の選択性マーカーのいずれかを含むことが好ましい。
[0221]殆どのレトロウイルスベクター中の複製機構及びパッケージ化タンパク質が除去されているため(gag、pol、及びenv)に、ベクターは、典型的にはこれらをパッケージ化細胞系に入れることによって産生される。パッケージ化細胞系は、複製及びパッケージ化機構を含有するが、しかしいずれものパッケージ化シグナルを欠くレトロウイルスで形質移入又は形質転換された細胞系である。選択されたDNAを保有するベクターがこれらの細胞系に形質移入された場合、対象の遺伝子を含有するベクターは、複製され、そして新しいレトロウイルス粒子中に、ヘルパー細胞によってcisに提供される機構によって詰込まれる。当該機構のためのゲノムは、これらが必要なシグナルを欠くため、詰込まれない。
b.アデノウイルスベクター
[0222]複製欠損アデノウイルスの構築は、記載されている(Berkner et al.,J.Virology 61:1213−1220(1987);Massie et al.,Mol.Cell.Biol.6:2872−2883(1986);Haj−Ahmad et al.,J.Virology 57:267−274(1986);Davidson et al.,J.Virology 61:1226−1239(1987);Zhang“Generation and identification of recombinant adenovirus by liposome−mediated transfection and PCR analysis”BioTechniques 15:868−872(1993))。これらのウイルスをベクターとして使用する利点は、これらが最初に感染された細胞内で複製することができるが、しかし新しい感染性ウイルス粒子を形成することが不可能なため、これらが他の細胞種に広がることができる範囲において制約されていることである。組換えアデノウイルスは、気道上皮、肝細胞、血管内皮、CNS実質及び多くの他の組織部位への直接のin vivoの送達後の高い効率の遺伝子移入を達成することを示している(Morsy,J.Clin.Invest.92:1580−1586(1993);Kirshenbaum,J.Clin.Invest.92:381−387(1993);Roessler,J.Clin.Invest.92:1085−1092(1993);Moullier,Nature Genetics 4:154−159(1993);La Salle,Science 259:988−990(1993);Gomez−Foix,J.Biol.Chem.267:25129−25134(1992);Rich,Human Gene Therapy 4:461−476(1993);Zabner,Nature Genetics 6:75−83(1994);Guzman,Circulation Research 73:1201−1207(1993);Bout, Human Gene Therapy 5:3−10(1994);Zabner,Cell 75:207−216(1993);Caillaud,Eur.J.Neuroscience 5:1287−1291(1993);及びRagot,J.Gen.Virology 74:501−507(1993))。組換えアデノウイルスは、特異的細胞表面受容体に結合することによって遺伝子の形質導入を達成し、その後、ウイルスは野生型又は複製欠損アデノウイルスと同じ様式で受容体仲介のエンドサイトーシスによって内部移行される(Chardonnet and Dales,Virology 40:462−477(1970);Brown and Burlingham,J.Virology 12:386−396(1973);Svensson and Persson,J.Virology 55:442−449(1985);Seth,et al.,J.Virol.51:650−655(1984);Seth,et al.,Mol.Cell.Biol.4:1528−1533(1984);Varga et al.,J.Virology 65:6061−6070(1991);Wickham et al.,Cell 73:309−319(1993))。
[0222]複製欠損アデノウイルスの構築は、記載されている(Berkner et al.,J.Virology 61:1213−1220(1987);Massie et al.,Mol.Cell.Biol.6:2872−2883(1986);Haj−Ahmad et al.,J.Virology 57:267−274(1986);Davidson et al.,J.Virology 61:1226−1239(1987);Zhang“Generation and identification of recombinant adenovirus by liposome−mediated transfection and PCR analysis”BioTechniques 15:868−872(1993))。これらのウイルスをベクターとして使用する利点は、これらが最初に感染された細胞内で複製することができるが、しかし新しい感染性ウイルス粒子を形成することが不可能なため、これらが他の細胞種に広がることができる範囲において制約されていることである。組換えアデノウイルスは、気道上皮、肝細胞、血管内皮、CNS実質及び多くの他の組織部位への直接のin vivoの送達後の高い効率の遺伝子移入を達成することを示している(Morsy,J.Clin.Invest.92:1580−1586(1993);Kirshenbaum,J.Clin.Invest.92:381−387(1993);Roessler,J.Clin.Invest.92:1085−1092(1993);Moullier,Nature Genetics 4:154−159(1993);La Salle,Science 259:988−990(1993);Gomez−Foix,J.Biol.Chem.267:25129−25134(1992);Rich,Human Gene Therapy 4:461−476(1993);Zabner,Nature Genetics 6:75−83(1994);Guzman,Circulation Research 73:1201−1207(1993);Bout, Human Gene Therapy 5:3−10(1994);Zabner,Cell 75:207−216(1993);Caillaud,Eur.J.Neuroscience 5:1287−1291(1993);及びRagot,J.Gen.Virology 74:501−507(1993))。組換えアデノウイルスは、特異的細胞表面受容体に結合することによって遺伝子の形質導入を達成し、その後、ウイルスは野生型又は複製欠損アデノウイルスと同じ様式で受容体仲介のエンドサイトーシスによって内部移行される(Chardonnet and Dales,Virology 40:462−477(1970);Brown and Burlingham,J.Virology 12:386−396(1973);Svensson and Persson,J.Virology 55:442−449(1985);Seth,et al.,J.Virol.51:650−655(1984);Seth,et al.,Mol.Cell.Biol.4:1528−1533(1984);Varga et al.,J.Virology 65:6061−6070(1991);Wickham et al.,Cell 73:309−319(1993))。
[0223]ウイルスベクターは、除去されたE1遺伝子を有するアデノウイルスに基づくものであることができ、そしてこれらのビリオン(viron)は、ヒト293細胞系のような細胞系で産生される。もう一つの好ましい態様において、E1及びE3遺伝子の両方がアデノウイルスゲノムから除去される。
c.アデノ随伴ウイルスベクター
[0224]ウイルスベクターのもう一つの種類は、アデノ随伴ウイルス(AAV)に基づく。この欠損パルボウイルスは、これが多くの細胞種を感染することができ、そしてヒトに対して非病原性であるために、好ましいベクターである。AAV型のベクターは、約4ないし5kbを輸送することができ、そして野生型AAVは、19番染色体に安定して挿入されることが知られている。この部位特異的組込み特性を含有するベクターが好ましい。この型のベクターの特に好ましい態様は、Avigen,San Francisco,CAによって製造されるP4.1Cベクターであり、これは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子、HSV−tk、及び/又は緑色蛍光タンパク質、GFPをコードする遺伝子のようなマーカー遺伝子を含有することができる。
[0224]ウイルスベクターのもう一つの種類は、アデノ随伴ウイルス(AAV)に基づく。この欠損パルボウイルスは、これが多くの細胞種を感染することができ、そしてヒトに対して非病原性であるために、好ましいベクターである。AAV型のベクターは、約4ないし5kbを輸送することができ、そして野生型AAVは、19番染色体に安定して挿入されることが知られている。この部位特異的組込み特性を含有するベクターが好ましい。この型のベクターの特に好ましい態様は、Avigen,San Francisco,CAによって製造されるP4.1Cベクターであり、これは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子、HSV−tk、及び/又は緑色蛍光タンパク質、GFPをコードする遺伝子のようなマーカー遺伝子を含有することができる。
[0225]AAVウイルスのもう一つの型において、AAVは、異種遺伝子に操作可能に結合された細胞特異的発現を指示するプロモーターを含有する少なくとも一つのカセットに隣接する逆位末端配列(ITR)の対を含有する。この文脈における異種は、AAV又はB19パルボウイルスに対して天然ではないいずれものヌクレオチド配列又は遺伝子を指す。
[0226]典型的には、AAV及びB19コード領域は、除去され、安全な非細胞毒性ベクターをもたらす。AAVのITR、又はその修飾は、感染力及び部位特異的組込みを与えるが、しかし細胞毒性を与えず、そしてプロモーターは、細胞特異的発現を指示する。米国特許第6,261,834号は、本明細書中に参考文献として、AAVベクターに関する題材のために援用される。
[0227]開示されるベクターは、このように実質的に毒性を伴わず哺乳動物の染色体に組込むことが可能なDNA分子を提供する。
[0228]ウイルス及びレトロウイルスに挿入される遺伝子は、通常、所望の遺伝子産物の発現を制御することを援助するプロモーター、及び/又はエンハンサーを含有する。プロモーターは、一般的に、転写開始部位に対して相対的に固定された位置にあるときに機能するDNAの配列又は複数の配列である。プロモーターは、RNAポリメラーゼ及び転写因子の基本的な相互作用のために必要な核心的要素を含有し、そして上流要素及び反応要素を含有することができる。
d.大負荷量ウイルスベクター
[0229]大きいヒトヘルペスウイルスによる分子遺伝子学的実験は、それによって大きい異種DNA断片を、クローン化し、増やし、そしてヘルペスウイルスによる感染に対して許容的な細胞中に確立することができる手段を提供する(Sun et al.,Nature genetics 8:33−41,1994;Cotter and Robertson,Curr Opin Mol Ther 5:633−644,1999)。これらの大きいDNAウイルス(単純ヘルペスウイルス(HSV)及びエプスタイン−バーウイルス(EBV)は、特異的細胞にヒト異種DNA>150kbの断片を供給する可能性を有する。EBV組換え体は、感染されたB細胞中のDNAの大きい断片をエピソームDNAとして維持することができる。330kbまでのヒトゲノム挿入断片を保有する個々のクローンは、遺伝子的に安定であるように見受けられる。これらのエピソームの維持は、EBVによる感染中恒常的に発現する特異的EBV核タンパク質、EBNA1を必要とする。更に、これらのベクターは、大量のタンパク質を、in vitroで一時的に産生することができる形質移入のために使用することができる。ヘルペスウイルスアンプリコン系は、更に、DNA>220kbの断片を積み込み、そしてDNAをエピトープとして安定に維持することができる細胞を感染するために使用される。
[0229]大きいヒトヘルペスウイルスによる分子遺伝子学的実験は、それによって大きい異種DNA断片を、クローン化し、増やし、そしてヘルペスウイルスによる感染に対して許容的な細胞中に確立することができる手段を提供する(Sun et al.,Nature genetics 8:33−41,1994;Cotter and Robertson,Curr Opin Mol Ther 5:633−644,1999)。これらの大きいDNAウイルス(単純ヘルペスウイルス(HSV)及びエプスタイン−バーウイルス(EBV)は、特異的細胞にヒト異種DNA>150kbの断片を供給する可能性を有する。EBV組換え体は、感染されたB細胞中のDNAの大きい断片をエピソームDNAとして維持することができる。330kbまでのヒトゲノム挿入断片を保有する個々のクローンは、遺伝子的に安定であるように見受けられる。これらのエピソームの維持は、EBVによる感染中恒常的に発現する特異的EBV核タンパク質、EBNA1を必要とする。更に、これらのベクターは、大量のタンパク質を、in vitroで一時的に産生することができる形質移入のために使用することができる。ヘルペスウイルスアンプリコン系は、更に、DNA>220kbの断片を積み込み、そしてDNAをエピトープとして安定に維持することができる細胞を感染するために使用される。
[0230]他の有用な系は、例えば、複製及び宿主限定非複製ワクチンウイルスベクターを含む。
[0231]宿主細胞のゲノムに組込まれる細胞に供給される核酸は、典型的には、組込み配列を含有する。これらの配列は、特にウイルスベースの系が使用される場合、しばしばウイルス関連配列である。これらのウイルス組込み系は、送達系に含有される核酸が宿主ゲノムに組込まれることができるように、リポソームのような非核酸ベースの送達系を使用して送達される核酸に組込むこともできる。
[0232]宿主ゲノムへの組込みのための他の一般的技術は、例えば、宿主ゲノムとの相同的組換えを促進するように設計された系を含む。これらの系は、典型的には、送達された核酸が、宿主のゲノムに組込まれることを起こし、ベクター核酸と標的核酸との間の組換えが起こる、宿主細胞のゲノム内の標的配列と十分な相同性を有する、発現される核酸に隣接する配列に依存する。相同な組換えを促進するために必要なこれらの系及び方法は、当業者にとって既知である。
ii.非核酸ベース系
[0233]開示される組成物は、各種の方法で標的細胞に送達することができる。例えば、組成物は、電気穿孔、又はリポフェクション、或いはリン酸カルシウム沈殿によって送達することができる。選択される送達機構は、一部、標的とされる細胞の種類に、そして送達が、例えばin vivo又はin vitroで起こるかに依存するものである。
[0233]開示される組成物は、各種の方法で標的細胞に送達することができる。例えば、組成物は、電気穿孔、又はリポフェクション、或いはリン酸カルシウム沈殿によって送達することができる。選択される送達機構は、一部、標的とされる細胞の種類に、そして送達が、例えばin vivo又はin vitroで起こるかに依存するものである。
[0234]従って、組成物は、開示される核酸に加えて、ペプチド、又は例えばベクター、カチオン性リポソーム(例えば、DOTMA、DOPE、DC−コレステロール)のような、又はアニオン性リポソームのような、リポソームのような脂質を含んでなることができる。リポソームは、更に、所望する場合、特定の細胞を標的化することを容易にするためのタンパク質を含んでなることができる。化合物及びカチオン性リポソームを含んでなる組成物の投与は、標的器官に対して求心性の血液に投与するか、又は気道の標的細胞に対して気道に吸入することができる。リポソームに関しては、例えば、Brigham et al.Am.J.Resp.Cell.Mol.Biol.1:95-100(1989);Felgner et al.Proc.Natl.Acad.Sci USA 84:7413-7417(1987);米国特許第4,897,355号を参照されたい。更に、化合物は、マクロファージのような特異的細胞種を標的とすることができるマイクロカプセルの成分として投与することができるか、又はマイクロカプセルからの化合物の拡散又は化合物の送達は、特異的速度又は投与量のために設計される。
[0235]被験者の細胞への外因性DNAの投与及び取込み(即ち、遺伝子伝達又は形質移入)を含む先に記載した方法において、細胞への組成物の送達は、各種の機構によることができる。一つの例として、送達は、LIPOFECTIN、LIPOFECTAMINE(GIBCO−BRL,Inc.,Gaithersburg,MD)、SUPERFECT(Qiagen,Inc.Hilden,Germany)及びTRANSFECTAM(Promega Biotec,Inc.,Madison,WI)のような商業的に入手可能なリポソーム製剤、並びに当技術分野において標準的な方法によって開発された他のリポソームを使用するリポソームによることができる。更に、開示される核酸又はベクターは、Genetronics,Inc.(San Diego,CA)から入手可能な技術の電気穿孔によって、並びにSONOPORATION機(ImaRx Pharmaceutical Corp.,Tucson,AZ)によってin vivoに送達することができる。
[0236]物質は、溶液又は懸濁液中(例えば、マイクロ粒子、リポソーム、又は細胞に組込まれる)であることができる。これらは、抗体、受容体、又は受容体リガンドによる特定の細胞種に対して標的化することができる。次の参考文献は、腫瘍組織に対する特異的タンパク質を標的とするこの技術の使用の例であり、その原理は、他の細胞の標的化に適用することができる(Senter,et al.,Bioconjugate Chem.,2:447-451,(1991);Bagshawe,K.D.,Br.J.Cancer,60:275-281,(1989);Bagshawe,et al.,Br.J.Cancer,58:700-703,(1988);Senter,et al.,Bioconjugate Chem.,4:3-9,(1993);Battelli,et al.,Cancer Immunol.Immunother.,35:421−425,(1992);Pietersz and McKenzie,Immunolog.Reviews,129:57-80,(1992);及びRoffler,et al.,Biochem.Pharmacol,42:2062-2065,(1991))。これらの技術は、各種の他の細胞種に対して使用することができる。“ステルス”及び他の抗体結合リポソーム(結腸癌を標的とする脂質仲介薬物を含む)のようなベヒクル、細胞特異的リガンドによるDNAの受容体仲介標的化、リンパ球指向腫瘍標的化、及びin vivoのマウス神経膠腫細胞の高度に特異的な治療レトロウイルス標的化。次の参考文献は、腫瘍細胞に対する標的特異的タンパク質に対するこの技術の使用の例である(Hughes et al.,Cancer Research,49:6214-6220,(1989);及びLitzinger and Huang,Biochimica et Biophysica Acta,1104:179-187,(1992))。一般的に、受容体は、恒常的又はリガンド誘導のいずれかのエンドサイトーシスの経路に関係する。クラスリン被覆ピット中のこれらの受容体のクラスターは、クラスリン被覆小胞により細胞に進入し、その中で受容体が選別される酸性化されたエンドソームを通って通過し、そして次いで細胞表面に再循環され、細胞内に保存されることになるか、又はリソソームに分解されるかのいずれかである。内部移行経路は、栄養分取込み、活性化タンパク質の除去、巨大分子のクリアランス、ウイルス及び毒素の日和見性進入、リガンドの解離及び分解、並びに受容体レベルの制御のような各種の機能に役立つ。多くの受容体は、細胞種、受容体濃度、リガンドの種類、リガンド結合価、及びリガンド濃度によって一つより多い細胞内経路に従う。受容体仲介エンドサイトーシスの分子及び細胞機構は、概説されている(Brown and Greene,DNA and Cell Biology 10:6,399−409(1991))。
[0237]宿主細胞のゲノムに組込まれる細胞に送達される核酸は、典型的には、組込み配列を含有する。これらの配列は、特にウイルスベース系が使用される場合、しばしばウイルス関連配列である。これらのウイルス組込み系は、更に核酸に組込むことができ、送達系に含有された核酸が、宿主ゲノムに組込まれことができるように、これは、リポソームのような非核酸ベースの送達系を使用して供給される。
[0238]宿主ゲノムへの組込みのための他の一般的技術は、例えば、宿主ゲノムとの相同的組換えを促進するために設計された系を含む。これらの系は、典型的には、送達される核酸が宿主ゲノムに組込まれることを起こす、ベクター核酸と標的核酸との間の組換えが起こる宿主細胞ゲノム内の標的配列と十分な相同性を有する、発現される核酸に隣接する配列に依存する。相同的組換えを促進するために必要なこれらの系及び方法は、当業者にとって既知である。
7.発現系
[0239]細胞に送達される核酸は、典型的には、発現制御系を含有する。例えば、ウイルス及びレトロウイルス系中の挿入された遺伝子は、通常、所望の遺伝子産物の発現を制御することを援助するプロモーター及び/又はエンハンサーを含有する。プロモーターは、一般的に、転写開始部位に対して相対的に固定した位置にある場合に機能するDNAの配列又は複数の配列である。プロモーターは、RNAポリメラーゼ及び転写因子の基本的な相互作用のために必要な核心的要素を含有し、そして上流要素及び反応要素を含有することができる。
[0239]細胞に送達される核酸は、典型的には、発現制御系を含有する。例えば、ウイルス及びレトロウイルス系中の挿入された遺伝子は、通常、所望の遺伝子産物の発現を制御することを援助するプロモーター及び/又はエンハンサーを含有する。プロモーターは、一般的に、転写開始部位に対して相対的に固定した位置にある場合に機能するDNAの配列又は複数の配列である。プロモーターは、RNAポリメラーゼ及び転写因子の基本的な相互作用のために必要な核心的要素を含有し、そして上流要素及び反応要素を含有することができる。
i.ウイルスプロモーター及びエンハンサー
[0240]哺乳動物宿主細胞中のベクターからの転写を制御する好ましいプロモーターは、各種の供給源、例えば:ポリオーマ、サルウイルス40(SV40)、アデノウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、そして最も好ましくはサイトメガロウイルスのようなウイルスのゲノムから、又は異種哺乳動物プロモーター、例えばベータアクチンプロモーターから得ることができる。SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点も含有するSV40制限断片として都合よく得られる(Fiers et al.,Nature,273:113(1978))。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは、HindIII E制限断片として都合よく得られる(Greenway,P.J.et al.,Gene 18:355-360(1982))。もちろん、宿主細胞又は関連する種からのプロモーターも、更に本明細書中で有用である。
[0240]哺乳動物宿主細胞中のベクターからの転写を制御する好ましいプロモーターは、各種の供給源、例えば:ポリオーマ、サルウイルス40(SV40)、アデノウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、そして最も好ましくはサイトメガロウイルスのようなウイルスのゲノムから、又は異種哺乳動物プロモーター、例えばベータアクチンプロモーターから得ることができる。SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点も含有するSV40制限断片として都合よく得られる(Fiers et al.,Nature,273:113(1978))。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは、HindIII E制限断片として都合よく得られる(Greenway,P.J.et al.,Gene 18:355-360(1982))。もちろん、宿主細胞又は関連する種からのプロモーターも、更に本明細書中で有用である。
[0241]エンハンサーは、一般的に、転写開始部位からの固定されていない距離で機能するDNAの配列を指し、そして転写単位に対して5’(Laimins,L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.78:993(1981))又は3’(Lusky,M.L.,et al.,Mol.Cell Bio.3:1108(1983))のいずれかであることができる。更に、エンハンサーは、イントロン内(Banerji,J.L.et al.,Cell 33:729(1983))、並びにコード配列それ自体(Osborne,T.F.,et al.,Mol.Cell Bio.4:1293(1984))内にあることができる。これらは、通常、10ないし300bp間の長さであり、そしてこれらは、cisで機能する。エンハンサーは、近くのプロモーターからの転写を増加させるために機能する。エンハンサーは、更に、しばしば転写の制御を仲介する応答要素を含有する。エンハンサーは、しばしば遺伝子の発現の制御を決定する。哺乳動物の遺伝子からの多くのエンハンサー配列(グロブリン、エラスターゼ、アルブミン、α−胎児タンパク質及びインスリン)が現在知られているが、典型的には、一般的発現のために、真核細胞ウイルスからのエンハンサーを使用するものである。好ましい例は、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(bp100−270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーである。
[0242]プロモーター及び/又はエンハンサーは、光又はこれらの機能を引き起こす特異的化学的現象のいずれかによって特異的に活性化することができる。系は、テトラサイクリン及びデキサメタゾンのような試薬によって制御することができる。ガンマ線照射のような照射に暴露すること、又はアルキル化化学療法薬物によるウイルスベクター遺伝子発現を向上させる方法が存在する。
[0243]ある態様において、プロモーター及び/又はエンハンサー領域は、転写される転写単位の領域の発現を最大にするための恒常的プロモーター及び/又はエンハンサーとして作用することができる。ある構築物において、プロモーター及び/又はエンハンサー領域は、これが特定の時間に特定の種類の細胞中でのみ発現するとしても、全ての真核細胞種中で活性である。この種類の好ましいプロモーターは、CMVプロモーター(650塩基)である。他の好ましいプロモーターは、SV40プロモーター、サイトメガロウイルス(全長のプロモーター)、及びレトロウイルスベクターLTRである。
[0244]全ての特異的制御要素を、クローン化し、そしてメラノーマ細胞のような特異的細胞種中に選択的に発現される発現ベクターを構築するために使用することができることが示されている。グリア線維酸性タンパク質(GFAP)プロモーターは、グリア起源の細胞中で遺伝子を選択的に発現するために使用されている。
[0245]真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト又は有核細胞)中で使用される発現ベクターは、更に、mRNA発現に影響することができる転写の終結のために必要な配列を含有することもできる。これらの領域は、組織因子タンパク質をコードするmRNAの非翻訳部分中のポリアデニル化断片として転写される。3’非翻訳領域も、更に転写終結部位を含む。転写単位が、更にポリアデニル化領域を含有することが好ましい。この領域の一つの利点は、これが、転写単位がプロセシングされ、そしてmRNAのように輸送されるものである可能性を増加させることである。発現構築物中のポリアデニル化シグナルの確認及び使用は、十分に確立されている。相同なポリアデニル化シグナルが導入遺伝子構築物中で使用されることが好ましい。ある転写単位において、ポリアデニル化領域は、SV40初期ポリアデニル化シグナルから誘導され、そして約400塩基からなる。転写された単位が、他の標準的配列を、単独で、又は上記の配列との組合せで含有し、構築物からの発現又はその安定性を改良することも更に好ましい。
ii.マーカー
[0246]ウイルスベクターは、マーカー産物をコードする核酸配列を含むことができる。このマーカー産物は、遺伝子が細胞に供給され、そして供給された後、発現したか否かを決定するために使用される。好ましいマーカー遺伝子は、β−ガラクトシダーゼをコードするE.coliのlacZ遺伝子及び緑色蛍光タンパク質である。
[0246]ウイルスベクターは、マーカー産物をコードする核酸配列を含むことができる。このマーカー産物は、遺伝子が細胞に供給され、そして供給された後、発現したか否かを決定するために使用される。好ましいマーカー遺伝子は、β−ガラクトシダーゼをコードするE.coliのlacZ遺伝子及び緑色蛍光タンパク質である。
[0247]幾つかの態様において、マーカーは、選択可能なマーカーであることができる。哺乳動物細胞に対する適した選択可能なマーカーの例は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、チミジンキナーゼ、ネオマイシン、ネオマイシン類似体G418、ハイグロマイシン(hydromycin)及びピューロマイシンである。このような選択可能なマーカーが、哺乳動物宿主細胞に好結果で移入された場合、形質転換された哺乳動物宿主細胞は、選択的圧力下に置かれた場合、生存することが可能である。選択的管理の二つの広く使用される別々の分類がある。第1の分類は、細胞の代謝及び補充された培地に関係なく増殖する能力に欠ける変異細胞系の使用に基づく。二つの例は:CHO DHFR細胞及びマウスLKT細胞である。これらの細胞は、チミジン又はヒポキサンチンのような栄養分の付加を伴わずに増殖する能力を欠く。これらの細胞が完全なヌクレオチド合成経路のために必要なある種の遺伝子を欠くため、これらは、欠損したヌクレオチドが補充された培地中で提供されない限り、生存することができない。培地を補充することに対する別の方法は、インタクトなDHFR又はTK遺伝子をそれぞれの遺伝子を欠く細胞に導入し、このようにしてこれらの増殖の必要性を変更することである。DHFR又はTK遺伝子で形質転換されない個々の細胞は、非補充培地中の生存が可能ではない。
[0248]第2の分類は、優性選択であり、これは、いずれもの細胞種において使用され、そして変異細胞系の使用を必要としない選択計画を指す。これらの計画は、典型的には、宿主細胞の増殖を停止させるための薬物を使用する。新規な遺伝子を有するこれらの細胞は、薬物耐性を伝達するタンパク質を発現し、そして選択を生き残る。このような優性選択の例は、薬物ネオマイシン(Southern P.and Berg,P.,J.Molec.Appl.Genet.1:327(1982))、ミコフェノール酸、(Mulligan,R.C.and Berg,P.Science 209:1422(1980))又はハイグロマイシン、(Sugden,B.et al.,Mol.Cell.Biol.5:410-413(1985))を使用する。三つの例は、適当な薬物G418又はネオマイシン(ジェネテシン)、xgpt(ミコフェノール酸)、又はハイグロマイシンのそれぞれに対する耐性を伝達するために、真核生物的制御下で細菌遺伝子を使用する。他は、ネオマイシン類似体G418及びピューロマイシンを含む。
8.内部移行配列
[0249]提供されるポリペプチドは、更に融合タンパク質を構成するか、或いは他の方法として、更なるN末端、C末端、又は中間体アミノ酸配列、例えば、リンカー又は標識を有することができる。“リンカー”は、本明細書中で使用する場合、アミノ酸配列又は挿入であり、これは、二つの別々のポリペプチド又はポリペプチド断片を接続又は分離するために使用することができ、ここで、リンカーは、組成物の本質的な機能に他の方法では寄与しない。本明細書中で提供されるポリペプチドは、例えば、アミノ酸GLS、ALS、又はLLA含んでなるアミノ酸リンカーを有することができる。“標識”は、本明細書中で使用する場合、提供されるポリペプチドを検出又は精製するために使用することができる別々のアミノ酸配列を指し、ここで、標識は、組成物の本質的機能に他の方法では寄与しない。提供されるポリペプチドは、更にポリペプチドの本質的活性に寄与しない欠失したN末端、C末端、又は中間体アミノ酸を有する。
[0249]提供されるポリペプチドは、更に融合タンパク質を構成するか、或いは他の方法として、更なるN末端、C末端、又は中間体アミノ酸配列、例えば、リンカー又は標識を有することができる。“リンカー”は、本明細書中で使用する場合、アミノ酸配列又は挿入であり、これは、二つの別々のポリペプチド又はポリペプチド断片を接続又は分離するために使用することができ、ここで、リンカーは、組成物の本質的な機能に他の方法では寄与しない。本明細書中で提供されるポリペプチドは、例えば、アミノ酸GLS、ALS、又はLLA含んでなるアミノ酸リンカーを有することができる。“標識”は、本明細書中で使用する場合、提供されるポリペプチドを検出又は精製するために使用することができる別々のアミノ酸配列を指し、ここで、標識は、組成物の本質的機能に他の方法では寄与しない。提供されるポリペプチドは、更にポリペプチドの本質的活性に寄与しない欠失したN末端、C末端、又は中間体アミノ酸を有する。
[0250]開示される組成物は、有効に細胞に進入するために、内部移行配列又はタンパク質形質導入ドメインに結合することができる。最近の研究は、HIVウイルスのTATトランス活性化ドメイン、アンテナペディア、及び細胞膜を通る分子及び小さいペプチドを容易に輸送することができるトランスポーチン(transportan)を含む幾つかの細胞透過性ペプチドを確認している(Schwarze et al.,1999;Derossi et al.,1996;Yuan et al.,2002)。更に最近、ポリアルギニンが、細胞膜を通るペプチド及びタンパク質を輸送することに、なお大きい効率を示し、これをペプチド仲介輸送のための魅力ある道具にしている(Fuchs and Raines,2004)。ノナアルギニン(R9配列番号:18)は、TAT又はアンテナペディアより有意に大きい最大取込みを伴う最も効率の良いポリアルギニンベースタンパク質形質導入ドメインの一つとして記載されている。ペプチド仲介細胞毒性も、ポリアルギニンベース内部移行配列で、より少ないことを更に示している。R9仲介の膜輸送は、ヘパラン硫酸プロテオグリカン結合及びエンドサイトーシスのパッケージ化によって容易にされる。内部移行された後、ヘパランはヘパラナーゼによって分解され、R9を放出し、これは細胞質に漏洩する(Deshayes et al.,2005)。最近の研究は、ポリアルギニンの誘導体が、全長のp53タンパク質を口腔癌細胞に供給し、その増殖及び転移を抑制し、強力な細胞透過性ペプチドとしてのポリアルギニンを定義することができることを示している(Takenobu et al.,2002)。
[0251]従って、提供されるポリペプチドは、細胞内部移行輸送体又は配列を含んでなることができる。細胞内部移行配列は、既知の、又は当技術分野において新しく発見されたいずれもの内部移行配列、或いはその保存的変異体であることができる。細胞内部移行輸送体及び配列の非限定的例は、ポリアルギニン(例えば、R9)、アンテナペディア配列、TAT、HIV−Tat、ペネトラチン、Antp−3A(Antp変異体)、ブホリンII、トタンスポータン、MAP(モデル両親媒性ペプチド)、K−FGF、Ku70、プリオン、pVEC、Pep−1、SynB1、Pep−7、HN−1、BGSC(ビス−グアニジニウム−スペルミジン−コレステロール、及びBGTC(ビス−グアニジニウム−Tren−コレステロール)を含む(表4を参照されたい)。
[0252]
[0253]現在既知の又はこれ以後確認されるいずれもの他の内部移行配列は、本発明のペプチドと組合せることができる。
9.エフェクター
[0254]本明細書中に提供される組成物は、更にエフェクター分子を含んでなることができる。“エフェクター分子”によって、標的細胞(1または複数)又は組織に作用する物質が、所望の効果をもたらすことが意味される。効果は、例えば、標的細胞(1または複数)又は組織の標識化、活性化、抑圧、又は殺戮であることができる。従って、エフェクター分子は、例えば、小分子、医薬物、毒素、脂肪酸、検出可能なマーカー、結合性標識、ナノ粒子、又は酵素であることができる。
[0254]本明細書中に提供される組成物は、更にエフェクター分子を含んでなることができる。“エフェクター分子”によって、標的細胞(1または複数)又は組織に作用する物質が、所望の効果をもたらすことが意味される。効果は、例えば、標的細胞(1または複数)又は組織の標識化、活性化、抑圧、又は殺戮であることができる。従って、エフェクター分子は、例えば、小分子、医薬物、毒素、脂肪酸、検出可能なマーカー、結合性標識、ナノ粒子、又は酵素であることができる。
[0255]標的化ペプチドに結合することができる小分子及び医薬物の例は、当技術分野において既知である。エフェクターは、標的細胞を殺戮する細胞毒性小分子又は薬物であることができる。小分子又は薬物は、いずれもの重大な細胞機能又は経路に対して作用するように設計することができる。例えば、小分子又は薬物は、細胞サイクルを阻害し、タンパク質分解を活性化し、アポトーシスを誘導し、キナーゼ活性を調節し、又は細胞骨格タンパク質を修飾することができる。いずれもの既知の又は新しく発見された細胞毒性小分子又は薬物は、標的化ペプチドと共に使用するために意図されている。
[0256]エフェクターは、標的とされる細胞を殺戮する毒素であることができる。毒素の非限定的例は、アブリン、モデシン、リシン及びジフテリア毒素を含む。他の既知の又は新しく発見される毒素は、提供される組成物と共に使用するために意図されている。
[0257]提供される組成物に結合することができる脂肪酸(即ち脂質)は、ペプチドのリポソームへの効率の良い組込みを可能にするものを含む。一般的に、脂肪酸は、極性の脂質である。従って、脂肪酸は、リン脂質であることができる。提供される組成物は、天然の又は合成のいずれかのリン脂質を含んでなることができる。リン脂質は、飽和又は不飽和のモノ又はジ置換脂肪酸及びこれらの組合せを含有するリン脂質から選択することができる。これらのリン脂質は、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルセリン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、パルミトイルオレオイルホスファチジルセリン、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジン酸、パルミテライドイル(palmitelaidoyl)オレオイルホスファチジルコリン、パルミテライドイルオレオイルホスファチジルセリン、パルミテライドイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン、パルミテライドイルオレオイルホスファチジルグリセロール、パルミテライドイルオレオイルホスファチジン酸、ミリストレオイル、オレオイルホスファチジルコリン、ミリストレオイルオレオイルホスファチジルセリン、ミリストレオイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ミリストレオイルオレオイルホスファチジルグリセロール、ミリストレオイルオレオイルホスファチジン酸、ジリノレオイルホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルセリン、ジリノレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジリノレオイルホスファチジルグリセロール、ジリノレオイルホスファチジン酸、パルミチックリノレオイルホスファチジルコリン、パルミチックリノレオイルホスファチジルセリン、パルミチックリノレオイルホスファチジルエタノールアミン、パルミチックリノレオイルホスファチジルグリセロール、パルミチックリノレオイルホスファチジン酸であることができる。これらのリン脂質は、更に、ホスファチジルコリン(リゾホスファチジリジルコリン)、ホスファチジルセリン(リゾホスファチジルセリン)、ホスファチジルエタノールアミン(リゾホスファチジルエタノールアミン)、ホスファチジルグリセロール(リゾホスファチジルグリセロール)及びホスファチジン酸(リゾホスファチジン酸)のモノアシル化誘導体であることができる。これらのリゾホスファチジル誘導体中のモノアシル鎖は、パルミトイル、オレオイル、パルミトレオイル、リノレオイル、ミリストイル又はミリストレオイル、であることができる。リン脂質は、更に、合成であることもできる。合成のリン脂質は、AVANTI Polar Lipids(Albaster,Ala.);Sigma Chemical Company(St.Louis,Mo.)のような各種の供給源から商業的に容易に入手可能である。これらの合成化合物は、変化することができ、そしてその脂肪酸側鎖に、天然に存在するリン脂質中に見いだされない多様性を有することができる。脂肪酸は、PS又はPCのいずれか或いは両方にC14、C16、C18又はC20の鎖長を持つ不飽和脂肪酸側鎖を有することができる。合成リン脂質は、成分としてジオレオイル(18:1)−PS;パルミトイル(16:0)−オレオイル(18:1)−PS、ジミリストイル(14:0)−PS;ジパルミトレオイル(16:1)−PC、ジパルミトイル(16:0)−PC、ジオレオイル(18:1)−PC、パルミトイル(16:0)−オレオイル(18:1)−PC、及びミリストイル(14:0)−オレオイル(18:1)−PCを有することができる。
[0258]検出可能なマーカーは、標的組織又は細胞(1または複数)を標識或いは染色するために使用することができるいずれもの物質を含む。検出可能なマーカーの非限定的例は、放射性同位体、酵素、蛍光色素、及び量子ドット(Qdot(登録商標))を含む。他の既知の又は新しく発見された検出可能なマーカーは、提供される組成物と共に使用するために意図されている。
[0259]エフェクター分子は、発熱ナノシェルのようなナノ粒子であることができる。本明細書中で使用する場合、“ナノシェル”は、一つ又はそれより多い伝導性シェル層によって包囲された別々の誘電性又は半導体コア部分を有するナノ粒子である。米国特許第6,530,944号は、本明細書中に参考文献としてその全てが、金属ナノシェルの製造及び使用のその教示において援用される。ナノシェルは、近赤外線(概略800ないし1300nm)のような照射を使用して励起することができる、高い伝導性の金属のような物質で被覆された、ケイ素のような誘電性又は不活性な物質のコアで形成することができる。励起後、ナノシェルは熱を放射する。得られた高熱は、周囲の細胞(1または複数)又は組織を殺戮することができる。ナノシェルのシェル及びコアの組合せた直径は、10ないし100ナノメートルの範囲である。その組織に透過する能力のために、近赤外線が好都合である。ナノ粒子の被覆及び標的とされる細胞の選択にもよるが、他の種類の照射も更に使用することができる。例は、X線、磁場、電場、及び超音波を含む。本明細書中に記載されるように使用される放射のレベルは、エネルギーが誘電体の金属表面によって更に有効に濃縮されるナノ粒子の表面を除き、体温上昇を誘発するために不十分であることから、特に加熱プローブ、マイクロ波、超音波、レーザー、潅流、高周波エネルギー、及び放射加熱の使用のような癌の治療において使用するための高熱療法のための既存の方法に伴う問題は、回避される。粒子は、更に、特に赤外拡散光子画像化法を使用する画像を向上させるために使用することができる。標的化分子は、抗体又はその断片、特異的受容体に対するリガンド、又は標的とされる細胞の表面に特異的に結合する他のタンパク質であることができる。
[0260]エフェクター分子は、開示されるペプチドに共有的に結合することができる。エフェクター分子は、開示されるペプチドのアミノ末端終端に結合することができる。エフェクター分子は、開示されるペプチドのカルボキシル末端終端に結合することができる。エフェクター分子は、開示されるペプチド内のアミノ酸に結合することができる。本明細書中に提供される組成物は、更に、エフェクター分子及び開示されるペプチドを接続するリンカーを含んでなることができる。開示されるペプチドは、更に、ナノシェルをペプチドで被覆するために使用することができるウシ血清アルブミン(BSA)のような被覆分子(Tkachenko et al.,(2003)J Am Chem Soc,125,4700−4701を参照されたい)に結合することができる。
[0261]エフェクター分子を、開示されるペプチドに架橋するために使用することができるタンパク質架橋剤は、当技術分野において既知であり、そして有用性及び構造に基づき定義され、そしてDSS(ジスクシンイミジルスベレート)、DSP(ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート))、DTSSP(3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート))、スルホBSOCOES(ビス[2−(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン)、BSOCOED(ビス[2−(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン)、スルホDST(ジスルホスクシンイミジルタルタレート)、DST(ジスクシンイミジルタルタレート)、スルホEGS(エチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート))、EGS(エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルスクシネート))、DPDPB(1,2−ジ[3’−(2’−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン)、BSSS(ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート)、SMBP(スクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート)、スルホSMBP(スルホスクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート)、MBS(3−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、スルホMBS(3−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル)、SIAB(N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート)、スルホSIAB(N−スルホスクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート)、SMCC(スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート)、スルホSMCC(スルホスクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート)、NHSLCSPDP(スクシンイミジル−6−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ヘキサノエート)、スルホNHSLCSPDP(スルホスクシンイミジル−6−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ヘキサノエート)、SPDP(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)、NHSブロモアセテート(N−ヒドロキシスクシンイミジルブロモアセテート)、NHSヨードアセテート(N−ヒドロキシスクシンイミジルヨードアセテート)、MPBH(4−(N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド塩酸塩)、MCCH(4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸ヒドラジド塩酸塩)、MBH(m−マレイミド安息香酸ヒドラジド塩酸塩)、スルホEMCS(N−(イプシロン−マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミド)、EMCS(N−(イプシロン−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド)、PMPI(N−(p−マレイミドフェニル)イソシアネート)、KMUH(N−(カッパ−マレイミドウンデカン酸)ヒドラジド)、LCSMCC(スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ(6−アミドカプロエート))、スルホGMBS(N−(ガンマ−マレイミドブチリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル)、SMPH(スクシンイミジル−6−(ベータ−マレイミドプロピオンアミドヘキサノエート))、スルホKMUS(N−(カッパ−マレイミドウンデカノイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル)、GMBS(N−(ガンマ−マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド)、DMP(ジメチルピメルイミデート塩酸塩)、DMS(ジメチルスベルイミデート塩酸塩)、MHBH(Wood’s試薬)(メチル−p−ヒドロキシベンズイミデート塩酸塩、98%)、DMA(ジメチルアジピイミデート塩酸塩)を含む。
10.コンピューター読取り可能媒体
[0262]開示される核酸及びタンパク質が、ヌクレオチド又はアミノ酸からなる配列として表されることは理解される。これらの配列を提示する各種の方法が存在し、例えば、ヌクレオチドのグアノシンは、G又はgによって表される。同様に、アミノ酸のバリンは、Val又はVによって表すことができる。同業者は、そのそれぞれが本明細書中に開示されると考えられる、存在する各種の方法のいずれか中のいずれもの核酸又はタンパク質配列を提示又は表示する方法を理解する。本明細書中で具体的に意図するものは、商業的に入手可能なフロッピー(登録商標)ディスク、テープ、チップ、ハードドライブ、コンパクトディスク、及びビデオディスクのようなコンピューターで読取り可能な媒体、又は他のコンピューターで読取り可能な媒体上のこれらの配列の提示である。更に開示されるものは、開示される配列の二進法コードの表示である。当業者は、何がコンピューターで読取り可能な媒体であるかを理解する。従って、核酸又はタンパク質配列がその上に記録され、保管され、又は保存されるコンピューターで読取り可能な媒体。
[0262]開示される核酸及びタンパク質が、ヌクレオチド又はアミノ酸からなる配列として表されることは理解される。これらの配列を提示する各種の方法が存在し、例えば、ヌクレオチドのグアノシンは、G又はgによって表される。同様に、アミノ酸のバリンは、Val又はVによって表すことができる。同業者は、そのそれぞれが本明細書中に開示されると考えられる、存在する各種の方法のいずれか中のいずれもの核酸又はタンパク質配列を提示又は表示する方法を理解する。本明細書中で具体的に意図するものは、商業的に入手可能なフロッピー(登録商標)ディスク、テープ、チップ、ハードドライブ、コンパクトディスク、及びビデオディスクのようなコンピューターで読取り可能な媒体、又は他のコンピューターで読取り可能な媒体上のこれらの配列の提示である。更に開示されるものは、開示される配列の二進法コードの表示である。当業者は、何がコンピューターで読取り可能な媒体であるかを理解する。従って、核酸又はタンパク質配列がその上に記録され、保管され、又は保存されるコンピューターで読取り可能な媒体。
[0263]開示されるものは、配列及び本明細書中に明記される配列に関する配列及び情報を含んでなるコンピューター読取り可能媒体である。
11.開示される組成物/コンビナトリアルケミストリーによるスクリーニングによって同定される組成物
[0264]開示される組成物は、所望する方法で開示される組成物と相互作用する分子又は巨大分子の分子を確認するためのいずれものコンビナトリアル技術のための標的として使用することができる。本明細書中に開示されるDR3及び/又はTL1A核酸、ペプチド、及び関連する分子は、コンビナトリアルな方法のための標的として使用することができる。更に開示されるものは、配列番号:1、2、3又は4或いはその部分中で開示される組成物が、コンビナトリアル又はスクリーニングのプロトコル中で標的として使用される、コンビナトリアル技術又はスクリーニング技術によって確認される組成物である。
[0264]開示される組成物は、所望する方法で開示される組成物と相互作用する分子又は巨大分子の分子を確認するためのいずれものコンビナトリアル技術のための標的として使用することができる。本明細書中に開示されるDR3及び/又はTL1A核酸、ペプチド、及び関連する分子は、コンビナトリアルな方法のための標的として使用することができる。更に開示されるものは、配列番号:1、2、3又は4或いはその部分中で開示される組成物が、コンビナトリアル又はスクリーニングのプロトコル中で標的として使用される、コンビナトリアル技術又はスクリーニング技術によって確認される組成物である。
[0265]コンビナトリアル技術又はスクリーニング法において開示される組成物が使用される場合、巨大分子の分子のような分子は、標的分子の機能の阻害又は刺激のような、特に好ましい特性を有することが確認されることは理解される。配列番号:1、2,3又は4或いはその部分のような開示される組成物を使用する場合に確認され、そして単離される分子が、更に開示される。従って、配列番号:1、2、3又は4或いはその部分中のような開示される組成物を含むコンビナトリアル又はスクリーニング法を使用して産生された産物も、更に本明細書中で開示されたと考えられる。
[0266]例えばDR3とTL1Aとの間の相互作用を阻害する分子を確認するために開示される方法は、高処理量の手段を使用して行うことができることは理解される。例えば、推定上の阻害剤は、迅速に相互作用を確認するために、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を使用して確認することができる。技術の根底にある理論は、二つの分子が空間で接近している、即ち、バックグラウンドを超えたレベルで相互作用する場合、シグナルが産生されるか、又はシグナルはクエンチされることができることである。次いで、例えば、推定上の阻害剤を加えることを含む各種の実験を行うことができる。阻害剤が、二つのシグナル伝達分子間の相互作用と競合する場合、シグナルは間隙を介して互いから離れ、そしてこれは、使用されるシグナルの種類によるが、シグナルの減少又は増加を起こすものである。このシグナルの減少又は増加は、推定上の阻害剤の存在又は非存在と相関させることができる。いずれものシグナル伝達手段を使用することができる。例えば、開示されるものは、第1の分子及び第2の分子を、推定上の阻害剤の存在下で一緒に接触させることを含んでなる開示される分子のいずれか二つ間の相互作用の阻害剤を確認する方法であり、ここで、第1の分子又は第2の分子は蛍光供与体を含んでなり、ここで、典型的には提供体を含まない分子である第1又は第2の分子は、蛍光受容体を含んでなり;そして推定上の阻害剤の存在下及び推定上の阻害剤の非存在下で蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を測定し、ここで、その非存在下におけるFRET測定値と比較した場合の推定上の阻害剤の存在下のFRETの減少は、推定上の阻害剤が、二つの分子間の結合を阻害したことを示す。この種の方法は、細胞系でも同様に行うことができる。
[0267]コンビナトリアルケミストリーは、制約されるものではないが、小分子又はもう一つの巨大分子のいずれかを、典型的には反復性の方法で結合することが可能な小分子又は巨大分子を単離するための全ての方法を含む。タンパク質、オリゴヌクレオチド、及び糖は、巨大分子の例である。例えば、与えられた機能、触媒性又はリガンド結合性を持つオリゴヌクレオチド分子は、“in vitroの遺伝学”と呼ばれる無作為なオリゴヌクレオチドの複合混合物から単離することができる(Szostak,TIBS 19:89,1992)。無作為の及び定義された配列を保有する分子の大きいプールを合成し、そして例えば、100個のヌクレオチドRNA中の100μg中の概略1015個の個々の配列の複合体の混合物を、幾つかの選択及び濃縮の過程にかける。カラム上のリガンドに結合する分子のアフィニティークロマトグラフィー及びPCR増幅の繰返しサイクルにより、Ellington and Szostak(1990)は、1010個のRNA分子中の1個が、小分子色素を結合するように折畳まれていると推定した。このようなリガンド結合行動を伴うDNA分子は、同様に単離される(Ellington and Szostak,1992;Bock et al,1992)。類似の目標を目指す技術は、小さい有機分子、タンパク質、抗体及び当業者にとって既知の他の巨大分子について存在する。小さい有機物のライブラリー、オリゴヌクレオチド、又は抗体に基づくかに関わらず、所望の活性のための分子の組合せをスクリーニングすることは、広くコンビナトリアルケミストリーと呼ばれる。コンビナトリアル技術は、分子間の結合相互作用を定義し、そして巨大分子が核酸である場合、しばしばアプタマーと呼ばれる特異的結合活性を有する分子を単離するために特に適している。
12.担体
[0268]開示される組成物は、阻害剤の投与、供給又は阻害剤及びその使用の他の側面を援助するために、担体及び他の組成物と共に又はそれと組合せて、結合又はカップリングすることができる。便宜上、このような組成物は、本明細書中で、担体と呼ばれるものである。担体は、例えば、小分子、医薬物、脂肪酸、検出可能なマーカー、結合標識、ナノ粒子、又は酵素であることができる。
[0268]開示される組成物は、阻害剤の投与、供給又は阻害剤及びその使用の他の側面を援助するために、担体及び他の組成物と共に又はそれと組合せて、結合又はカップリングすることができる。便宜上、このような組成物は、本明細書中で、担体と呼ばれるものである。担体は、例えば、小分子、医薬物、脂肪酸、検出可能なマーカー、結合標識、ナノ粒子、又は酵素であることができる。
[0269]開示される組成物は、医薬的に受容可能な担体との組合せで治療的に使用することができる。“医薬的に受容可能”によって、生物学的に又は他の方法で、好ましい物質が意味され、即ち、物質は、いずれもの好ましくない生物学的効果を、又はこれが含有される医薬組成物の他の成分のいずれかと、有害な様式で相互作用することを伴わずに組成物と共に被験者に投与することができる。担体は、当業者にとって公知のものであるように、当然、活性成分のいずれもの分解を最小にするように、そして被験者のいずれもの不都合な副作用を最小にするように選択されるものである。
[0270]適した担体及びその処方は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(19th ed.)ed.A.R.Gennaro,Mack Publishing Company,Easton,PA 1995中に記載されている。典型的には、適当な量の医薬的に受容可能な塩が、製剤を等張にするために製剤中に使用される。医薬的に受容可能な担体の例は、制約されるものではないが、生理食塩水、リンゲル溶液及びデキストロース溶液を含む。溶液のpHは、好ましくは約5から約8まで、そして更に好ましくは約7から約7.5までである。更なる担体は、抗体を含有する固体の疎水性ポリマーの半透過性基質のような徐放性製剤を含み、この基質は成形物品の形態、例えば、フィルム、リポソーム又はマイクロ粒子である。例えば、投与の経路及び投与される組成物の濃度によって、ある種の担体が、更に好ましいことができることは、当業者にとって明白となるものである。
[0271]医薬的担体は、当業者にとって既知である。これらは、最も典型的には、滅菌水、生理食塩水、及び生理学的pHの緩衝溶液のような溶液を含むヒトへの薬物の投与のための標準的な担体であるものである。組成物は、筋肉内又は皮下に投与することができる。他の化合物は、当業者によって使用される標準的な方法によって投与することができる。
[0272]医薬組成物は、選択された分子に加えて、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝剤、保存剤、表面活性剤等を含むことができる。医薬組成物は、更に、抗細菌剤、抗炎症剤、麻酔剤等のような一つ又はそれより多い活性成分を含むことができる。
[0273]非経口投与のための製剤は、滅菌水性又は非水性溶液、懸濁液、及び乳液を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、及びオレイン酸エチルのような注射用有機エステルである。水性担体は、生理食塩水及び緩衝媒体を含む水、アルコール/水溶液、乳液又は懸濁液を含む。非経口ベヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、又は固定油を含む。静脈用ベヒクルは、流体及び栄養分補充剤、電解質補充剤(リンゲルデキストロースに基づくもののような)、等を含む。例えば、抗細菌剤、抗酸化剤、キレート化剤、及び不活性ガス等のような保存剤及び他の添加剤も、更に存在することができる。
[0274]局所投与のための製剤は、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴剤、座薬、噴霧剤、液体及び粉末を含むことができる。慣用的な医薬的担体、水性、粉末又は油性基剤、増粘剤等は、必要であるか又は好ましいものであることができる。
[0275]経口投与のための組成物は、粉末又は顆粒、水又は非水性媒体中の懸濁液又は溶液、カプセル、サッシェ、或いは錠剤を含む。増粘剤、芳香剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤又は結合剤は、好ましいものであることができる。
[0276]組成の幾つかは、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、及びリン酸のような無機酸、並びにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、及びフマル酸のような有機酸との反応によって、或いは水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムのような無機塩基、及びモノ、ジ、トリアルキル及びアリールアミン並びに置換されたエタノールアミンのような有機塩基との反応によって形成される、医薬的に受容可能な酸又は塩基付加塩として潜在的に投与することができる。
[0277]物質は、溶液、懸濁液中にあることができる(例えば、マイクロ粒子、リポソーム、又は細胞に組込まれて)。これらは、抗体、受容体、又は受容体リガンドによって特定の細胞種を標的とすることができる。次の参考文献は、腫瘍組織に対する特異的タンパク質を標的とするこの技術の使用の例である(Senter,et al.,Bioconjugate Chem.,2:447−451,(1991);Bagshawe,K.D.,Br.J.Cancer,60:275−281,(1989);Bagshawe,et al.,Br.J.Cancer,58:700−703,(1988);Senter,et al.,Bioconjugate Chem.,4:3−9,(1993);Battelli,et al.,Cancer Immunol.Immunother.,35:421−425,(1992);Pietersz and McKenzie,Immunolog.Reviews,129:57−80,(1992);及びRoffler,et al.,Biochem.Pharmacol,42:2062−2065,(1991))。“ステルス”及び他の抗体結合リポソーム(結腸癌を標的とする脂質仲介薬物を含む)のようなベヒクル、細胞特異的リガンドによるDNAの受容体仲介標的化、リンパ球指向腫瘍標的化、及びin vivoのマウス神経膠腫細胞の高度に特異的な治療レトロウイルス標的化。次の参考文献は、腫瘍細胞に対する標的特異的タンパク質に対するこの技術の使用の例である(Hughes et al.,Cancer Research,49:6214-6220,(1989);及びLitzinger and Huang,Biochimica et Biophysica Acta,1104:179-187,(1992))。一般的に、受容体は、恒常的又はリガンド誘導のいずれかのエンドサイトーシスの経路に関係する。クラスリン被覆ピット中のこれらの受容体のクラスターは、クラスリン被覆ベシクルにより細胞に進入し、その中で受容体が選別される酸性化されたエンドソームを通って通過し、そして次いで細胞表面に再循環され、細胞内に保存されることになるか、又はリソソームに分解されるかのいずれかである。内部移行経路は、栄養分取込み、活性化されたタンパク質の除去、巨大分子のクリアランス、ウイルス及び毒素の日和見性進入、リガンドの解離及び分解、並びに受容体レベルの制御のような、各種の機能に役立つ。多くの受容体は、細胞種、受容体濃度、リガンドの種類、リガンド結合価、及びリガンド濃度によって、一つより多い細胞内経路に従う。受容体仲介エンドサイトーシスの分子及び細胞の機構は、概説されている(Brown and Greene,DNA and Cell Biology 10:6,399−409(1991))。
[0278]担体分子は、開示される阻害剤に共有的に結合することができる。担体分子は、開示されるペプチドのアミノ末端終端に結合することができる。担体分子は、開示されるペプチドのカルボキシル末端終端に結合することができる。担体分子は、開示されるペプチド内のアミノ酸に結合することができる。本明細書中で提供される組成物は、更に、担体分子及び開示される阻害剤を接続するリンカーを含んでなることができる。開示される阻害剤は、更に、阻害剤を伴うマイクロ粒子、ナノシェルのナノ粒子を被覆するために使用することができるウシ血清アルブミン(BSA)のような被覆分子(Tkachenko et al.,(2003)J Am Chem Soc,125,4700−4701を参照されたい)に結合することができる。
[0279]開示されるペプチドのような阻害剤に担体分子を架橋するために使用することができるタンパク質架橋剤は、当技術分野において既知であり、そして有用性及び構造に基づき定義され、そしてDSS(ジスクシンイミジルスベレート)、DSP(ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート))、DTSSP(3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート))、スルホBSOCOES(ビス[2−(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン)、BSOCOED(ビス[2−(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン)、スルホDST(ジスルホスクシンイミジルタルタレート)、DST(ジスクシンイミジルタルタレート)、スルホEGS(エチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート))、EGS(エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルスクシネート))、DPDPB(1,2−ジ[3’−(2’−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン)、BSSS(ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート)、SMBP(スクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート)、スルホSMBP(スルホスクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート)、MBS(3−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、スルホMBS(3−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル)、SIAB(N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート)、スルホSIAB(N−スルホスクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート)、SMCC(スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート)、スルホSMCC(スルホスクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート)、NHSLCSPDP(スクシンイミジル−6−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ヘキサノエート)、スルホNHSLCSPDP(スルホスクシンイミジル−6−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ヘキサノエート)、SPDP(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)、NHSブロモアセテート(N−ヒドロキシスクシンイミジルブロモアセテート)、NHSヨードアセテート(N−ヒドロキシスクシンイミジルヨードアセテート)、MPBH(4−(N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド塩酸塩)、MCCH(4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸ヒドラジド塩酸塩)、MBH(m−マレイミド安息香酸ヒドラジド塩酸塩)、スルホEMCS(N−(イプシロン−マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミド)、EMCS(N−(イプシロン−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド)、PMPI(N−(p−マレイミドフェニル)イソシアネート)、KMUH(N−(カッパ−マレイミドウンデカン酸)ヒドラジド)、LCSMCC(スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ(6−アミドカプロエート))、スルホGMBS(N−(ガンマ−マレイミドブチリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル)、SMPH(スクシンイミジル−6−(ベータ−マレイミドプロピオンアミドヘキサノエート))、スルホKMUS(N−(カッパ−マレイミドウンデカノイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル)、GMBS(N−(ガンマ−マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド)、DMP(ジメチルピメルイミデート塩酸塩)、DMS(ジメチルスベルイミデート塩酸塩)、MHBH(Wood’s試薬)(メチル−p−ヒドロキシベンズイミデート塩酸塩、98%)、DMA(ジメチルアジピイミデート塩酸塩)を含む。
i.ナノ粒子、マイクロ粒子、及びマイクロバブル
[0280]用語“ナノ粒子”は、ナノメートルで測定されるサイズを持つナノスケールの粒子、例えば、約100nmより小さい少なくとも一つの寸法を有するナノスケールの粒子を指す。ナノ粒子の例は、常磁性ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、フラーレン様物質、無機ナノチューブ、デンドリマー(共有的に接続した金属キレートを伴うような)、ナノファイバー、ナノホーン(nanohoms)、ナノ−オニオン、ナノロッド、ナノロープ及び量子ドットを含む。ナノ粒子は、例えば、光子(高周波及び可視光子を含む)の吸収及び/又は放出、並びにプラスモン共鳴によって、検出可能なシグナルを産生することができる。
[0280]用語“ナノ粒子”は、ナノメートルで測定されるサイズを持つナノスケールの粒子、例えば、約100nmより小さい少なくとも一つの寸法を有するナノスケールの粒子を指す。ナノ粒子の例は、常磁性ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、フラーレン様物質、無機ナノチューブ、デンドリマー(共有的に接続した金属キレートを伴うような)、ナノファイバー、ナノホーン(nanohoms)、ナノ−オニオン、ナノロッド、ナノロープ及び量子ドットを含む。ナノ粒子は、例えば、光子(高周波及び可視光子を含む)の吸収及び/又は放出、並びにプラスモン共鳴によって、検出可能なシグナルを産生することができる。
[0281]マイクロスフェア(又はマイクロバブル)を本明細書中に開示される方法と共に使用することもできる。発色団を含有するマイクロスフェアは、光子クリスタル、生物学的標識、及びマイクロ流動チャンネルにおける流れの可視化を含む広範な各種の適用において使用されている。例えば、Y.Lin,et al.,Appl.Phys Lett.2002,81,3134;D.Wang,et al.,Chem.Mater.2003,15,2724;X.Gao,et al.,J.Biomed.Opt.2002,7,532;M.Han,et al.,Nature Biotechnology.2001,19,631;V.M.Pai,et al.,Mag.& Magnetic Mater.1999,194,262を参照されたく、これらのそれぞれは、参考文献としてその全てが援用される。発色団の光安定性及びマイクロスフェアの単分散度の両方が、重要であり得る。
[0282]例えば、シリカナノ粒子、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、又は半導体ナノ結晶のようなナノ粒子は、マイクロスフェア中に組込むことができる。ナノ粒子の光学、磁気、及び電子的特性は、マイクロスフェアと結合している間にこれらを観察することを可能にすることができ、そしてマイクロスフェアを確認し、そして空間的にモニターすることを可能にすることができる。例えば、コロイド状に合成された半導体のナノ結晶の高い光安定性、良好な蛍光効率及び広い放射同調性は、これらを発色団の優れた選択とする。有機染料とは異なり、異なった色(即ち、異なった波長)を放射するナノ結晶は、単一の光源で同時に励起することができる。コロイド状に合成された半導体ナノ結晶(例えば、CdSe/ZnS及びCdS/ZnSコア−シェルのナノ結晶のような)は、マイクロスフェアに組込むことができる。マイクロスフェアは、単分散シリカマイクロスフェアであることができる。
[0283]ナノ粒子は、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、又は半導体ナノ結晶であることができる。金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子の金属は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ランタニド系列又はアクチニド系列元素(例えば、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメシウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、トリウム、プロトアクチニウム、及びウラニウム)、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、ポロニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムを含むことができる。ある態様において、金属は、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銀、金、セリウム又はサマリウムであることができる。金属酸化物は、これらの金属のいずれか又は金属の組合せの酸化物であることができる。例えば、金属は金であることができ、或いは金属酸化物は、酸化鉄、酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化セリウム、又は酸化チタンであることができる。金属及び金属酸化物ナノ粒子の調製は、例えば、米国特許第5,897,945号及び6,759,199号中に記載され、これらのそれぞれは、参考文献としてその全てが援用される。
[0284]例えば、開示される(siclosed)組成物は、シリカナノ粒子(SNP)上に固定化することができる。SNPは、その好ましい表面積と体積比、簡単な製造及び蛍光標識、磁性ナノ粒子(Yang,H.H.et al.2005)及び半導体ナノ結晶(Lin,Y.W.,et al.2006)を接続する可能性のために、バイオセンシング及び触媒的適用に広く使用されている。
[0285]ナノ粒子は、更に、例えば、発熱ナノシェルであることもできる。本明細書中で使用する場合、“ナノシェル”は、一つ又はそれより多い伝導性シェル層によって包囲された別々の誘電性又は半導体コア部分を有するナノ粒子である。米国特許第6,530,944号は、本明細書中に参考文献としてその全てが、金属ナノシェルの製造及び使用のその教示において援用される。
[0286]標的化分子は、開示される組成物及び/又は担体に接続することができる。例えば、標的化分子は、抗体又はその断片、特異的受容体のためのリガンド、又は標的とされる細胞の表面に特異的に結合する他のタンパク質であることができる。
ii.リポソーム
[0287]用語が本明細書中で使用される場合、“リポソーム”は、内部の水性空間を包囲する外部の脂質の二重又は多重層の膜を含んでなる構造を指す。リポソームは、細胞への送達のためのいずれもの生物学的に活性な薬剤を詰込むために使用することができる。
[0287]用語が本明細書中で使用される場合、“リポソーム”は、内部の水性空間を包囲する外部の脂質の二重又は多重層の膜を含んでなる構造を指す。リポソームは、細胞への送達のためのいずれもの生物学的に活性な薬剤を詰込むために使用することができる。
[0288]リポソームを形成するための物質及び方法は、当業者にとって公知である。適当な培地中の分散後、幅広い種類のリン脂質は膨潤し、水和し、そして脂質の二重層を分離する水性媒体の層と共に多重膜の同心円状の二重層ベシクルを形成する。これらの系は、多重膜リポソーム又は多重膜脂質ベシクル(“MLV”)と呼ばれ、そして10nmないし100μmの範囲の直径を有する。これらのMLVは、最初Bangham,et al.,J Mol.Biol.13:238−252(1965)によって記載された。一般的に、脂質又は親油性物質は、有機溶媒中に溶解される。真空下又は回転蒸発によるように、溶媒が除去された場合、脂質残留物は容器の壁にフィルムを形成する。次いで、典型的には、電解質又は親水性の生物学的に活性な物質を含有する水溶液を、フィルムに加える。撹拌により、大きいMLVが産生される。小さいMLVが所望される場合、大きいベシクルを、超音波処理、減少させた細孔サイズを持つフィルターを通す連続濾過にかけるか、又は他の形態の機械的剪断によって縮少する。更に、MLVをサイズ及び層の数の両方で縮小することができる、例えば、加圧押出し(Barenholz,et al.,FEBS Lett.99:210−214(1979))による技術が存在する。
[0289]リポソームは、更に単層のベシクルの形態をとることもでき、これは、MLVの更に徹底した超音波処理によって調製され、そして水溶液を包囲する単一の脂質二重層からなる。単層ベシクル(“ULV”)は、小さく、20ないし200nmの範囲の直径を有することができ、一方、大きいULVは、200nmないし2μmの範囲の直径を有することができる。単層ベシクルを製造するための幾つかの公知の技術が存在する。Papahadjopoulos,et al.,Biochim et Biophys Acta 135:624−238(1968)において、リン脂質の水性分散物の超音波処理は、水溶液を包囲する脂質二重層を有する小さいULVを産生する。Schneiderの米国特許第4,089,801号は、超音波処理によるリポソーム前駆体の形成、それに続いて両親媒性化合物を含有する水性媒体を添加し、そして遠心して、生体分子の脂質層の系を形成することを記載している。
[0290]小さいULVは、更に、Batzri,et al.,Biochim et Biophys Acta 298:1015−1019 1973)によって記載されたエタノール注射技術及びDeamer,et al.,Biochim et Biophys Acta 443:629−634 1976)のエーテル注射技術によって調製することもできる。これらの方法は、緩衝溶液への脂質の有機溶液の急速な注射を含み、これは、単層リポソームの急速な形成をもたらす。ULVを製造するためのもう一つの技術は、Weder,et al.in“Liposome Technology”,ed.G.Gregoriadis,CRC Press Inc.,Boca Raton,Fla.,Vol.I,Chapter 7,pg.79−107(1984)によって教示されている。この界面活性剤除去法は、界面活性剤と共に脂質及び添加剤を撹拌又は超音波処理によって可溶化して、所望のベシクルを産生することを含む。
[0291]Papahadjopoulos,et al.の米国特許第4,235,871号は、逆相蒸発技術による大きいULVの調製を記載し、これは、有機溶媒中の脂質及び水性緩衝溶液中でカプセル化される薬物の油中水乳液の形成を含む。混合物を得るために、有機溶媒を加圧下で除去し、これは、水性媒体中の撹拌又は分散によって、大きいULVに転換される。Suzuki et al.の米国特許第4,016,100号は、単層ベシクル中に薬剤を、薬剤及び脂質の水性リン脂質分散物を凍結/解凍することによってカプセル化するもう一つの方法を記載している。
[0292]MLV及びULVに加えて、リポソームは多胞体であることもできる。Kim,et al.,Biochim et Biophys Acta 728:339−348(1983)中に記載されているこれらの多胞体リポソームは、球形であり、そして内部の顆粒状構造を有する。外部の膜は、脂質二重層であり、そして内部領域は、二重層の中隔によって分離される小さい区画を含有する。なお更にもう一つのリポソームの種類は、オリゴ層状ベシクル(“OLV”)であり、これは、幾つかの周辺脂質層によって包囲された大きい中央部区画を有する。2−15μmの直径を有するこれらのベシクルは、Callo,et al.,Cryobiology 22(3):251−267(1985)中に記載されている。
[0293]Mezei,et al.の米国特許第4,485,054号及び4,761,288号は、更に、脂質ベシクルを調製する方法を記載している。更に最近になって、Hsuの米国特許第5,653,996号は、エアゾール化を使用するリポソームを調製する方法を記載し、そしてYiournas,et al.の米国特許第5,013,497号は、高速剪断混合チャンバーを使用するリポソームを調製するための方法を記載している。ULV(Wallach,et al.,米国特許第4,853,228号)又はOLV(Wallach,の米国特許第5,474,848号及び5,628,936号)を産生するために特異的出発物質を使用する方法も、更に記載されている。
[0294]全ての前述の脂質ベシクル及びその調製のための方法の総括的概説は、“Liposome Technology”,ed.G.Gregoriadis,CRC Press Inc.,Boca Raton,Fla.,Vol.I,II & III(1984)中に記載されている。これ及び本発明における使用のために適した各種の脂質ベシクルを記載した前述の参考文献は、本明細書中に参考文献として援用される。
[0295]提供される組成物に結合することができる脂肪酸(即ち脂質)は、プロタンパク質転換酵素阻害剤のリポソームへの効率の良い組込みを可能にするものを含む。一般的に、脂肪酸は、極性の脂質である。従って、脂肪酸は、リン脂質であることができる。提供される組成物は、天然の又は合成のいずれかのリン脂質を含んでなることができる。リン脂質は、飽和又は不飽和のモノ又はジ置換脂肪酸及びこれらの組合せを含有するリン脂質から選択することができる。これらのリン脂質は、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルセリン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、パルミトイルオレオイルホスファチジルセリン、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジン酸、パルミテライドイル(palmitelaidoyl)オレオイルホスファチジルコリン、パルミテライドイルオレオイルホスファチジルセリン、パルミテライドイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン、パルミテライドイルオレオイルホスファチジルグリセロール、パルミテライドイルオレオイルホスファチジン酸、ミリストレオイル、オレオイルホスファチジルコリン、ミリストレオイルオレオイルホスファチジルセリン、ミリストレオイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ミリストレオイルオレオイルホスファチジルグリセロール、ミリストレオイルオレオイルホスファチジン酸、ジリノレオイルホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルセリン、ジリノレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジリノレオイルホスファチジルグリセロール、ジリノレオイルホスファチジン酸、パルミチックリノレオイルホスファチジルコリン、パルミチックリノレオイルホスファチジルセリン、パルミチックリノレオイルホスファチジルエタノールアミン、パルミチックリノレオイルホスファチジルグリセロール、パルミチックリノレオイルホスファチジン酸であることができる。これらのリン脂質は、更に、ホスファチジルコリン(リゾホスファチジリジルコリン)、ホスファチジルセリン(リゾホスファチジルセリン)、ホスファチジルエタノールアミン(リゾホスファチジルエタノールアミン)、ホスファチジルグリセロール(リゾホスファチジルグリセロール)及びホスファチジン酸(リゾホスファチジン酸)のモノアシル化誘導体であることができる。これらのリゾホスファチジル誘導体中のモノアシル鎖は、パルミトイル、オレオイル、パルミトレオイル、リノレオイル、ミリストイル又はミリストレオイルであることができる。リン脂質は、更に、合成であることもできる。合成のリン脂質は、AVANTI Polar Lipids(Albaster,Ala.);Sigma Chemical Company(St.Louis,Mo.)のような各種の供給源から商業的に容易に入手可能である。これらの合成化合物は、変化することができ、そしてその脂肪酸側鎖に、天然に存在するリン脂質中に見いだされない多様性を有することができる。脂肪酸は、PS又はPCのいずれか或いは両方にC14、C16、C18又はC20の鎖長を持つ不飽和脂肪酸側鎖を有することができる。合成リン脂質は、成分としてジオレオイル(18:1)−PS;パルミトイル(16:0)−オレオイル(18:1)−PS、ジミリストイル(14:0)−PS;ジパルミトレオイル(16:1)−PC、ジパルミトイル(16:0)−PC、ジオレオイル(18:1)−PC、パルミトイル(16:0)−オレオイル(18:1)−PC、及びミリストイル(14:0)−オレオイル(18:1)−PCを有することができる。
iii.In vivo/Ex vivo
[0296]先に記載したように、組成物は、医薬的に受容可能な担体中で投与することができ、そして当技術分野において公知の各種の機構によってin vivo及び/又はex vivoで被験者の細胞に送達することができる(例えば、裸のDNAの取込み、リポソーム融合、遺伝子銃によるDNAの筋肉内注射、エンドサイトーシス等)。
[0296]先に記載したように、組成物は、医薬的に受容可能な担体中で投与することができ、そして当技術分野において公知の各種の機構によってin vivo及び/又はex vivoで被験者の細胞に送達することができる(例えば、裸のDNAの取込み、リポソーム融合、遺伝子銃によるDNAの筋肉内注射、エンドサイトーシス等)。
[0297]Ex vivoの方法が使用される場合、細胞又は組織を取出し、そして当技術分野において公知の標準的なプロトコルによって身体外で維持することができる。組成物は、例えば、リン酸カルシウム仲介遺伝子供給、電気穿孔、マイクロ注射又はプロテオリポソームのようないずれもの遺伝子移入機構によって細胞に導入することができる。次いで形質導入された細胞は、注入されるか(例えば、医薬的に受容可能な担体中で)或いは細胞又は組織の種類に対する標準的な方法によって、同位置的に被験者に移植して戻される。被験者への各種の細胞の移植又は注入のための標準的方法は、既知である。
C.組成物を製造するための方法
[0298]本明細書中に開示される組成物及び開示される方法を行うために必要な組成物は、他に具体的に記述しない限り、その特定の試薬又は化合物に対する当業者にとって既知の、いずれもの方法を使用して製造することができる。
[0298]本明細書中に開示される組成物及び開示される方法を行うために必要な組成物は、他に具体的に記述しない限り、その特定の試薬又は化合物に対する当業者にとって既知の、いずれもの方法を使用して製造することができる。
1.核酸の合成
[0299]天然に存在するヌクレオチド及びホスホジエステル結合を含んでなるポリヌクレオチドを、化学的に合成することができるか、又は適当なポリヌクレオチドをテンプレートとして使用する組換えDNA法を使用して産生することができる。比較として、ヌクレオチド類似体又はホスホジエステル結合以外の共有結合を含んでなるポリヌクレオチドは、一般的に、化学的に合成されるが、T7ポリメラーゼのような酵素は、ある種のヌクレオチド類似体をポリヌクレオチドに組込むことができ、そして従って、適当なテンプレートからこのようなポリヌクレオチドを組換え的に産生するために使用することができる(Jellinek et al.,Biochemistry 34:11363−11372(1995))。
[0299]天然に存在するヌクレオチド及びホスホジエステル結合を含んでなるポリヌクレオチドを、化学的に合成することができるか、又は適当なポリヌクレオチドをテンプレートとして使用する組換えDNA法を使用して産生することができる。比較として、ヌクレオチド類似体又はホスホジエステル結合以外の共有結合を含んでなるポリヌクレオチドは、一般的に、化学的に合成されるが、T7ポリメラーゼのような酵素は、ある種のヌクレオチド類似体をポリヌクレオチドに組込むことができ、そして従って、適当なテンプレートからこのようなポリヌクレオチドを組換え的に産生するために使用することができる(Jellinek et al.,Biochemistry 34:11363−11372(1995))。
[0300]例えば、プライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドのような核酸は、標準的な化学的合成法を使用して製造することができるか、又は酵素的方法又はいずれもの他の既知の方法を使用して産生することができる。このような方法は、標準的な酵素的消化と、それに続くヌクレオチド断片の単離(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)Chapters 5,6を参照されたい)から、例えば、Milligen又はBeckman System 1PlusのDNA合成機を使用するシアノエチルホスホルアミダイト法による純粋な合成法(例えば、Milligen−Biosearch,Burlington,MAのモデル8700自動化合成機又はABIモデル380B)までの範囲であることができる。オリゴヌクレオチドを製造するために有用な合成方法は、更に、Ikuta et al.,Ann.Rev.Biochem.53:323−356(1984),(ホスホトリエステル及びホスファイト−トリエステル法)及びNarang et al.,Methods Enzymol.,65:610−620(1980)、(ホスホトリエステル法)によって記載されている。タンパク質核酸分子は、Nielsen et al.,Bioconjug.Chem.5:3−7(1994)によって記載されているもののような既知の方法を使用して製造することができる。
2.ペプチドの合成
[0301]配列番号:23のような開示されるタンパク質を産生する一つの方法は、二つ又はそれより多いペプチド又はポリペプチドを、タンパク質化学技術によって一緒に結合することである。例えば、ペプチド又はポリペプチドは、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)又はBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)化学のいずれかを使用する、現時点で使用可能な研究室の機器を使用して化学的に合成することができる。(Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA)。開示されるタンパク質に対応するペプチド又はポリペプチドを、例えば標準的な化学反応によって合成することができることを当業者は容易に認識することができる。例えば、ペプチド又はポリペプチドを、合成し、そしてその合成樹脂から切断しないことができ、一方、ペプチド及びタンパク質の他の断片を、合成し、そしてその後樹脂から切断し、これによって他の断片上の機能的に遮断された末端基を暴露することができる。ペプチド縮合反応によって、これらの二つの断片を、それぞれそのカルボキシル及びアミノ末端におけるペプチド結合によって共有的に接続して、抗体、又はその断片を形成する(Grant GA(1992)Synthetic Peptides:A User Guide.W.H.Freeman and Co.,N.Y.(1992);Bodansky M and Trost B.,Ed.(1993)Principles of Peptide Synthesis.Springer-Verlag Inc.,NY(これは、本明細書中に参考文献として、少なくともペプチド合成に関する題材のために援用される)。或いは、ペプチド又はポリペプチドは、本明細書中に記載されるようにin vivoで独立に合成される。単離後、これらの独立のペプチド又はポリペプチドは、類似のペプチド縮合反応によってペプチド又はその断片を形成するために、結合することができる。
[0301]配列番号:23のような開示されるタンパク質を産生する一つの方法は、二つ又はそれより多いペプチド又はポリペプチドを、タンパク質化学技術によって一緒に結合することである。例えば、ペプチド又はポリペプチドは、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)又はBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)化学のいずれかを使用する、現時点で使用可能な研究室の機器を使用して化学的に合成することができる。(Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA)。開示されるタンパク質に対応するペプチド又はポリペプチドを、例えば標準的な化学反応によって合成することができることを当業者は容易に認識することができる。例えば、ペプチド又はポリペプチドを、合成し、そしてその合成樹脂から切断しないことができ、一方、ペプチド及びタンパク質の他の断片を、合成し、そしてその後樹脂から切断し、これによって他の断片上の機能的に遮断された末端基を暴露することができる。ペプチド縮合反応によって、これらの二つの断片を、それぞれそのカルボキシル及びアミノ末端におけるペプチド結合によって共有的に接続して、抗体、又はその断片を形成する(Grant GA(1992)Synthetic Peptides:A User Guide.W.H.Freeman and Co.,N.Y.(1992);Bodansky M and Trost B.,Ed.(1993)Principles of Peptide Synthesis.Springer-Verlag Inc.,NY(これは、本明細書中に参考文献として、少なくともペプチド合成に関する題材のために援用される)。或いは、ペプチド又はポリペプチドは、本明細書中に記載されるようにin vivoで独立に合成される。単離後、これらの独立のペプチド又はポリペプチドは、類似のペプチド縮合反応によってペプチド又はその断片を形成するために、結合することができる。
[0302]例えば、クローン化された又は合成ペプチドセグメントの酵素的連結は、比較的短いペプチド断片が接続して、大きいペプチド断片、ポリペプチド又は全てのタンパク質ドメインを産生することを可能にする(Abrahmsen L et al.,Biochemistry,30:4151(1991))。或いは、合成ペプチドの天然の化学的連結は、短いペプチド断片から大きいペプチド又はポリペプチドを、合成的に構築するために使用することができる。この方法は、二工程の化学反応からなる(Dawson et al.Synthesis of Proteins by Native Chemical Ligation.Science,266:776-779(1994))。第1の工程は、非保護の合成ペプチド−チオエステルの、アミノ末端のCys残基を含有するもう一つの非保護のペプチドセグメントとの化学選択的反応であって、最初の共有結合産物としてのチオエステル結合の中間体を得る。反応条件を変化せずに、この中間体は、自然発生的な急速な分子内反応を受けて、連結部位に天然のペプチド結合を形成する(Baggiolini M et al.(1992)FEBS Lett.307:97−101;Clark-Lewis I et al.,J.Biol.Chem.,269:16075(1994);Clark-Lewis I et al.,Biochemistry,30:3128(1991);Rajarathnam K et al.,Biochemistry 33:6623−30(1994))。
[0303]或いは、非保護のペプチドセグメントは化学的に結合し、ここで、化学的連結の結果としてのペプチドセグメント間に形成される結合は、非天然の(非ペプチド)結合である(Schnolzer,M et al.Science,256:221(1992))。この技術は、タンパク質ドメインの類似体、並びに完全な生物学的活性を伴う大量の比較的純粋なタンパク質を合成するために使用されている(deLisle Milton RC et al.,Techniques in Protein Chemistry IV.Academic Press,New York,pp.257-267(1992))。
D.キット
[0304]先に記載された物質、並びに他の物質は、開示される方法の実行を行う、又は援助するために有用なキットとしていずれもの適した組合せで一緒に詰込むことができる。与えられたキット中のキットの構成要素が、開示される方法において一緒に使用するために設計され、そして適合される場合に有用である。例えば、開示されるものは、DR3又はTL1Aを結合するペプチド或いは抗体を含んでなるキットである。
[0304]先に記載された物質、並びに他の物質は、開示される方法の実行を行う、又は援助するために有用なキットとしていずれもの適した組合せで一緒に詰込むことができる。与えられたキット中のキットの構成要素が、開示される方法において一緒に使用するために設計され、そして適合される場合に有用である。例えば、開示されるものは、DR3又はTL1Aを結合するペプチド或いは抗体を含んでなるキットである。
E.使用
[0305]開示される組成物は、研究の道具として各種の方法で使用することができる。例えば、配列番号:2又は4を含んでなる単離されたポリペプチドのような開示される組成物は、例えば、結合の阻害剤として作用することによってDR3又はTL1A間の相互作用を研究するために使用することができる。開示から明白である及び/又は当業者によって理解されるものである他の使用が開示される。開示から明らかであり及び/又は当業者によって理解されるものである他の使用が開示される。
[0305]開示される組成物は、研究の道具として各種の方法で使用することができる。例えば、配列番号:2又は4を含んでなる単離されたポリペプチドのような開示される組成物は、例えば、結合の阻害剤として作用することによってDR3又はTL1A間の相互作用を研究するために使用することができる。開示から明白である及び/又は当業者によって理解されるものである他の使用が開示される。開示から明らかであり及び/又は当業者によって理解されるものである他の使用が開示される。
F.定義
[0306]他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語は、開示される方法及び組成物が属する当業者によって普通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中に記載されるものと類似又は均等ないずれもの方法及び材料を、本発明の方法及び組成物の実施又は試験において使用することができるが、特に有用な方法、デバイス、及び材料は、記載されるとおりである。本明細書中に引用される刊行物及びそのためにこれらが引用される材料は、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。本明細書中の記載は、従来の発明の効力によるような開示に先行する権利が本発明に与えられないことを認めるものとして解釈されるものではない。いずれの参考文献が従来技術を構成することも承認しない。参考文献の考察は、その著者が主張するものを記述し、そして本出願人等は、引用される文書の正確さ及び適切性に異議を申し立てる権利を留保する。
[0306]他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語は、開示される方法及び組成物が属する当業者によって普通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中に記載されるものと類似又は均等ないずれもの方法及び材料を、本発明の方法及び組成物の実施又は試験において使用することができるが、特に有用な方法、デバイス、及び材料は、記載されるとおりである。本明細書中に引用される刊行物及びそのためにこれらが引用される材料は、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。本明細書中の記載は、従来の発明の効力によるような開示に先行する権利が本発明に与えられないことを認めるものとして解釈されるものではない。いずれの参考文献が従来技術を構成することも承認しない。参考文献の考察は、その著者が主張するものを記述し、そして本出願人等は、引用される文書の正確さ及び適切性に異議を申し立てる権利を留保する。
[0307]本明細書及び付属する特許請求の範囲中で使用される場合、単数の形態の“一つ(a)”、“一つ(an)”及び“その(the)”は、文脈が明確に他を示さない限り、複数の言及を含むことは留意されなければならない。従って、例えば“一つの医薬的担体”に対する言及は、複数のこのような医薬的担体を含み、“その医薬的担体”に対する言及は、一つ又はそれより多い医薬的担体及び当業者にとって既知のその均等物に対する言及である、等である。
[0308]“所望による”又は“所望により”は、その後に記載される現象、状況、又は材料が、起こるか、又は存在することができるか、或いはできないことを意味し、そしてこの記載は、現象、状況、又は材料が起こるか又は存在する事例、及びこれが起こらないか又は存在しない事例を含む。
[0309]範囲は、本明細書中、“約”一つの特定の数値から、及び/又は“約”もう一つの特定の数値までとして表示することができる。このような範囲が表示された場合、もう一つの態様は、一つの特定の数値から及び/又は他の特定の数値までを含む。同様に、先行する“約”の使用によって数値が近似として表示された場合、特定の数値がもう一つの態様を形成することは理解されるものである。範囲のそれぞれの終点が、他の終点に関連して、及び他の終点に関係なく、の両方で、意味があることも更に理解されるものである。本明細書中に開示される多くの数値が存在し、そしてそれぞれの数値も“約”その特定の数値として、数値それ自体に加えて本明細書中に開示されることも更に理解される。例えば、数値“10”が開示された場合、“約10”も更に開示される。数値が、その数値“より小さいか又はそれに等しい”と開示された場合、“その数値より大きいか又はそれと等しい”及び数値間の可能な範囲も、当業者によって適宜に理解されるように開示されることも理解される。例えば、数値“10”が開示された場合、“10より小さいか又はそれに等しい”、並びに“10より大きいか又はそれと等しい”ことも開示される。本出願を通して、データは、多くの異なった書式で提供され、そしてこのデータは、終点及び始点、並びにデータ点のいずれもの組合せのための範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータ点“10”及び特定のデータ点15が開示された場合、10及び15より大きい、それらより大きい又はそれらに等しい、それらより小さい、それらより小さい又はそれらに等しい、及びそれらに等しいことが、10と15との間と同様に開示されたと考えられることは理解される。二つの特定の単位間のそれぞれの単位も開示されることも理解される。例えば、10及び15が開示された場合、11、12、13、及び14も開示される。
[0310]本明細書の記載及び特許請求の範囲を通して、言語“含んでなる(comprise)”、並びに“含んでなること(comprising)”及び“含んでなり(comprises)”のような当該言語の変化は、“含むが、しかしそれに制約されない”を意味し、そして例えば、他の添加剤、成分、整数又は工程を排除することは意図していない。
[0311]“プローブ”は、標的核酸と、典型的には配列特異的様式で、例えばハイブリダイゼーションによって、相互作用することが可能な分子である。核酸のハイブリダイゼーションは、当技術分野において十分に理解され、そして本明細書中で考察される。典型的には、プローブは、当技術分野において入手可能なヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体もしくは類似体のいずれもの組合せから製造することができる。
[0312]“プライマー”は、幾つかの種類の酵素操作を支持することが可能なプローブのサブセットであり、そしてこれは、酵素操作が起こることができるように、標的核酸とハイブリダイズすることができる。プライマーは、酵素操作を干渉しない当技術分野において入手可能なヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体もしくは類似体のいずれもの組合せから製造することができる。典型的には、プライマーは、ポリヌクレオチド配列の伸長を支持する。
[0313]“被験者”は、制約されるものではないが、動物、植物、細菌、ウイルス、寄生虫及びいずれもの他の生物体又は核酸を有する実体を含む。被験者は、脊椎動物、より具体的には哺乳動物(例えば、ヒト、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、非ヒト霊長類、ウシ、ネコ、モルモット又は齧歯類)、魚、鳥、又は爬虫類或いは両生類であることができる。被験者は、無脊椎動物、より具体的には節足動物(例えば、昆虫及び甲殻類)であること(to)ができる。この用語は、特定の年齢及び性別を意味しない。従って、成体及び新生仔被験者、並びに胎仔は、オス又はメスを問わず包含されることを意図する。患者は、疾病又は疾患に罹った被験者を指す。用語“患者”は、ヒト及び獣医学の被験者を含む。
[0314]本明細書中で定義されるように、“試料”は、生物体から得られるいずれもの試料を指す。生物学的試料の例は、体液及び組織検体を含む。試料の供給源は、血液、血清、血漿、母乳、膿汁、組織擦過物、洗液、尿、糞便、涙、リンパ液、胆汁、脳脊髄液、間質液、眼房水又は硝子体液、初乳、痰、羊水、唾液、肛門及び膣分泌物、発汗、***、漏出液、滲出物、及び滑液、並びにリンパ節、脾臓等のような組織、のような生理学的媒体であることができる。
[0315]本明細書中で使用する場合、“遮断された”は、相互作用、例えばリガンドとその受容体との間の相互作用(例えば、結合)の完全な又は部分的阻害を意味することができる。阻害された結合は、正常な結合の正常な下流への影響の測定によって検出することができる。
[0316]本明細書中で使用する場合、“治療”又は“治療すること”は、症状を持つ被験者に組成物を投与することを意味し、ここで、症状は、いずれもの病理的疾病、癌、又は炎症性症状であることができる。被験者への投与の影響は、症状の徴候を軽減すること、症状の重篤度の減少、又は症状の完全な休止であることができるが、これに制約されるものではない。
[0317]“予防する”によって、TL1AのDR3との相互作用に関連する疾病又は症状(例えば、T細胞成分による自己免疫性疾病)を発症するための素因を有する被験者が、疾病又は症状を発症する機会を最小にすることが意味される。
[0318]本出願を通して、各種の刊行物が参照される。これらの刊行物のその全体の開示は、これが属する技術の状態をより完全に記載するために、本明細書中に本出願への参考文献として援用される。開示される参考文献は、個々にそして具体的に参考文献として本明細書中に、参考文献が依拠される文章中で考察される、それらに含有されている題材のために援用される。
G.実施例
[0319]以下の実施例は、本明細書中で特許請求される化合物、組成物、物品、デバイス及び/又は方法を製造し、そして評価する方法の完全な開示及び記載を当業者に提供するために出され、そして純粋に例示であることを意図し、そして開示を制約することを意図していない。数値(例えば、量、温度、等)に関する正確さを確実にするための努力を払ったが、然しある程度の誤差及び偏差は考慮されるべきである。他に示さない限り、部は、重量部であり、温度は℃であるか又は周囲温度であり、そして圧力は大気圧か又はほぼ大気圧である。
[0319]以下の実施例は、本明細書中で特許請求される化合物、組成物、物品、デバイス及び/又は方法を製造し、そして評価する方法の完全な開示及び記載を当業者に提供するために出され、そして純粋に例示であることを意図し、そして開示を制約することを意図していない。数値(例えば、量、温度、等)に関する正確さを確実にするための努力を払ったが、然しある程度の誤差及び偏差は考慮されるべきである。他に示さない限り、部は、重量部であり、温度は℃であるか又は周囲温度であり、そして圧力は大気圧か又はほぼ大気圧である。
実施例1:
[0320]内皮細胞に加えて、TL1Aは、myd88依存的様式で、TLR4又はTRL11による刺激後、急速に上方制御され、そして樹状細胞から分泌され、そして、部分的にCD40L−CD40相互作用を介して活性化されたT細胞によって誘導可能でもある。T細胞自体は、活性化後、遅延性動態で、TL1Aを上方制御する。外因性及び内因性TL1Aは、DR3を介してナイーブT細胞増殖及びサイトカイン産生を同時刺激することができる。分化したエフェクター細胞によるサイトカイン産生は、DR3欠損T細胞において不十分であるが、しかし強い刺激又は樹状細胞の存在によって大幅に克服することができる。In vivoで、DR3欠損マウスは、EAE及び喘息のモデルにおけるT細胞依存性免疫病理において異常を示すが、しかし全身的T細胞分極及びエフェクター機能は保存される。従ってDR3は、サイトカイン産生及び炎症性組織の免疫病理の特異的増強物質として機能し、そしてこのように、T細胞媒介の自己免疫性疾病の治療のための標的を提示する。
[0320]内皮細胞に加えて、TL1Aは、myd88依存的様式で、TLR4又はTRL11による刺激後、急速に上方制御され、そして樹状細胞から分泌され、そして、部分的にCD40L−CD40相互作用を介して活性化されたT細胞によって誘導可能でもある。T細胞自体は、活性化後、遅延性動態で、TL1Aを上方制御する。外因性及び内因性TL1Aは、DR3を介してナイーブT細胞増殖及びサイトカイン産生を同時刺激することができる。分化したエフェクター細胞によるサイトカイン産生は、DR3欠損T細胞において不十分であるが、しかし強い刺激又は樹状細胞の存在によって大幅に克服することができる。In vivoで、DR3欠損マウスは、EAE及び喘息のモデルにおけるT細胞依存性免疫病理において異常を示すが、しかし全身的T細胞分極及びエフェクター機能は保存される。従ってDR3は、サイトカイン産生及び炎症性組織の免疫病理の特異的増強物質として機能し、そしてこのように、T細胞媒介の自己免疫性疾病の治療のための標的を提示する。
[0321]骨髄DCは、TLR及びMyd88依存性様式での両方の自然免疫刺激後、可溶性TL1Aを急速に産生し、一方、T細胞は、より低い量のTL1Aをよりゆっくりと産生し、そしてT細胞由来のTL1Aは、上清中に流れない。外因的に加えられたか、又はT細胞単独ではなくDCによって産生された、TL1Aが、ナイーブT細胞増殖及びサイトカイン産生を同時刺激することができることが決定された。Th1及びTh2エフェクター細胞への分化はDR3に依存しないが、最適以下の条件下のサイトカイン産生の効率は影響される。In vivoで、DR3欠損T細胞は、エフェクター細胞に分化し、これは、脾臓及びリンパ節でサイトカインを産生することができる。然しながら、DR3欠損マウスは、T細胞依存性自己免疫の二つの別々のモデルに対して耐性であり、炎症の部位におけるエフェクターサイトカインの減少した産生を伴う。従って、TL1A−DR3の相互作用は、標的組織におけるエフェクターT細胞の機能を増強し、T細胞媒介の免疫病理に寄与する。
a.T細胞及び樹状細胞におけるTL1Aの特異誘導
[0322]ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、T細胞受容体に対する抗体で活性化した場合、TL1AのmRNAの急速な、そして劇的な上方制御が起こり、6時間で約1000倍の誘導を伴うピークとなった(図1D)。然しながら、T及びB細胞が末梢血から精製され、そして孤立して活性化された場合、TL1Aの上方制御はずっと遅く、48時間で100倍より少ない誘導を伴うピークとなった。これは、非リンパ球性抗原提示細胞が、最初の活性化中、T細胞のためのTL1Aの主要な供給源でありうることを示す。精製されたマウス脾臓及び骨髄由来のCD11c+DCにおいて、TL1AのmRNAは、LPSによって急速に上方制御され、3時間でピークとなり、そして12時間で基線に戻った(図1A)。TL1Aを誘導する刺激を更に詳細に探求するために、トキシプラズマ原虫からのタキゾイト抗体(STAg)及びマンソン住血吸虫からの住血吸虫卵抗原(SEA)の寄生虫(parisite)由来免疫賦活性分子を使用し、これは、それぞれTh1及びTh2反応のためにT細胞を予備刺激する、示差的DC活性化プログラムにつながった。STAgで刺激したが、しかしSEAでは刺激していない樹状細胞は、LPSと類似の動態でTL1AのmRNAを強力に上方制御した(図1Aの中央の図)。24時間後まででさえ、SEAはTL1Aを誘導しなかった(右の図)。各種のノックアウトマウスからのDCによる実験は、TL1Aの誘導が、Myd88及びTIRAPに依存し、そしてTL1AのLPS誘導は、TLR4依存性であることを示した(図1B)。高度に精製されたマウスT細胞がTCRを介して活性化された場合、類似のTL1A上方制御が、ヒトT細胞において見られる遅延性動態を伴って観察された(図1C)。これらのデータは、他のTNFファミリーのメンバーと同様に、TLR及びMyd88/TIRAP依存性シグナル経路により、DC中でTL1Aが急性的に上方制御されることができることを示す。DC由来TL1Aは、T細胞活性化の最初の時期を調節するために使用可能であるものであり、一方、T細胞は、TL1Aを更にゆっくり上方制御し、ここで、これはT細胞の増殖及び分化における後の段階に影響することができる。
[0322]ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、T細胞受容体に対する抗体で活性化した場合、TL1AのmRNAの急速な、そして劇的な上方制御が起こり、6時間で約1000倍の誘導を伴うピークとなった(図1D)。然しながら、T及びB細胞が末梢血から精製され、そして孤立して活性化された場合、TL1Aの上方制御はずっと遅く、48時間で100倍より少ない誘導を伴うピークとなった。これは、非リンパ球性抗原提示細胞が、最初の活性化中、T細胞のためのTL1Aの主要な供給源でありうることを示す。精製されたマウス脾臓及び骨髄由来のCD11c+DCにおいて、TL1AのmRNAは、LPSによって急速に上方制御され、3時間でピークとなり、そして12時間で基線に戻った(図1A)。TL1Aを誘導する刺激を更に詳細に探求するために、トキシプラズマ原虫からのタキゾイト抗体(STAg)及びマンソン住血吸虫からの住血吸虫卵抗原(SEA)の寄生虫(parisite)由来免疫賦活性分子を使用し、これは、それぞれTh1及びTh2反応のためにT細胞を予備刺激する、示差的DC活性化プログラムにつながった。STAgで刺激したが、しかしSEAでは刺激していない樹状細胞は、LPSと類似の動態でTL1AのmRNAを強力に上方制御した(図1Aの中央の図)。24時間後まででさえ、SEAはTL1Aを誘導しなかった(右の図)。各種のノックアウトマウスからのDCによる実験は、TL1Aの誘導が、Myd88及びTIRAPに依存し、そしてTL1AのLPS誘導は、TLR4依存性であることを示した(図1B)。高度に精製されたマウスT細胞がTCRを介して活性化された場合、類似のTL1A上方制御が、ヒトT細胞において見られる遅延性動態を伴って観察された(図1C)。これらのデータは、他のTNFファミリーのメンバーと同様に、TLR及びMyd88/TIRAP依存性シグナル経路により、DC中でTL1Aが急性的に上方制御されることができることを示す。DC由来TL1Aは、T細胞活性化の最初の時期を調節するために使用可能であるものであり、一方、T細胞は、TL1Aを更にゆっくり上方制御し、ここで、これはT細胞の増殖及び分化における後の段階に影響することができる。
b.TL1Aは、DR3を介したCD4+ T細胞における増殖及びサイトカイン産生を同時刺激する。
[0323]外因性TL1AがT細胞を同時刺激することは従来示されているが、しかしこれがDR3に依存するか、そして成熟したT細胞の活性化について内在的に産生されたTL1Aがどのような役割を果たすかは、調査されていない。これを調査するために、CD4+ T細胞を野生型(WT)C567B1/6又は同質遺伝子的なDR3ノックアウト(KO)マウスの脾臓及びリンパ節から精製し、そして組換えマウスTL1Aの存在下又は非存在下で活性化した。他のTNFファミリーのメンバーによる同時刺激は、CD28仲介の同時刺激が遮断された場合に最大であることが示されている(Croft,2003)。外因的に加えられたTL1Aは、T細胞増殖を一貫して増加させ、そしてこの効果は、CD28仲介の同時刺激の非存在下において更に明白であった(図1A)。二重のCD3/CD28の架橋において、TL1Aのみが抗CD3の低い投与量で増殖を同時刺激した。重要なことは、DR3 KO細胞が、TL1Aに対して完全に無反応性であり、DR3が、TL1Aによる同時刺激を仲介する主要な受容体であることを示す。更に、その先に報告されたConAに反応する正常な増殖(Wang et al.,2001)と同様に、WT及びDR3 KOマウスから精製されたT細胞は、同時刺激を伴うか又は伴わない抗CD3に反応して同様に増殖した。(図2A)。TL1Aによって誘発される増加したチミジン取り込みが、細胞の生存への効果に対比して増加した細胞周期に起因したか否かを決定するために、CFSE希釈実験を、類似の条件下で行った。チミジン取り込みデータに一致して、外因性TL1Aは、CFSE希釈を有意に増加させ、これは、特にCD28シグナル伝達の非存在下における増加した細胞周期を反映した(図2B)。これらの実験において、TL1Aに反応する細胞の生存率の変化は、検出されなかった。
[0324]TL1Aによって同時刺激されることができるサイトカインのスペクトル、及びDR3に対するサイトカイン産生の依存性を調査するために、IL−2、インターフェロン−γ及びIL−4の産生を、組換えTL1Aの存在下又は非存在下で活性化されたWT又はDR3 KOのT細胞において測定した。TL1Aは、CD28を伴い又は伴わないで活性化されたWTによるIL−2産生、インターフェロン−γ産生及びIL−4産生を増加させたが、しかしDR3 KO細胞では増加させなかった。IL−4は、TL1Aによって最も顕著に誘導されたサイトカインであり、概略10倍増加し、一方、IL2及びインターフェロン−γは、2倍より少なく増加した(図2D)。DR3欠損T細胞は、TL1Aに対して無反応性であったが、しかしサイトカイン産生の欠損はなかった。従って、増殖の反応と同様に、DR3は、TL1Aシグナル伝達の主要なメディエーターであり、そして内因的に産生されたT細胞由来のTL1Aは、これらの条件下で活性化されたT細胞によるサイトカイン産生のために必要ではない。TL1A駆動の増殖が増加したIL−2産生に起因するか否かを決定するために、抗CD25遮断抗体を、T細胞活性化中にTL1Aの存在下又は非存在下で加えた。CD25遮断は、TL1Aによって誘導される増加した増殖の殆どを遮断したが、しかしある程度のIL−2非依存性増殖は、なお観察することができ、このことはTL1A駆動同時刺激が、IL−2の増加した産生に少なくとも部分的に依存することを示した(図2B)。
[0325]精製されたDR3欠損T細胞が、増殖反応又はサイトカイン産生に主要な異常を持たなかったため、T細胞によって産生されたTL1Aは、これらの機能に対して必須ではないように見受けられた。従って、同族のDC−T細胞の相互作用中に樹状細胞によって産生されるTL1Aは、T細胞同時刺激のためのTL1Aのより関連する出所でありうる。これを試験するために、卵白アルブミン(Ova)特異的TCR遺伝子導入系OT−IIと交配したDR3のWT又はKOマウスによる実験を行った。精製したDR3欠損細胞を、C57B1/6骨髄由来DC及び同族のOvaペプチドと共に同時培養した。これらの条件下で、DR3 KO細胞の増殖は、特にCTLA4−Ig遮断を伴う又は伴わない低い濃度のOvaペプチドの存在下で減少した(図3A)。OT−II T細胞によるサイトカイン産生は、抗原の投与量に特徴的に依存し、高い投与量はIFN−γ産生に好ましく、そして低い投与量はIL−4産生に好ましい。DR3 KO OT−II細胞は、Ovaの低い投与量で概略50%低いIL−2を、そして試験されたOvaの全ての投与量においてより低い量のIL−4を産生した。従って樹状細胞によって産生された内因性TL1Aは、この同時刺激性TNFファミリーメンバーの生理学的に重要な出所である可能性がある。
c.DR3 KO T細胞は、in vitroで極性化された場合、減少されたTH2分化を有する。
[0326]T細胞分化における後の段階に対するTL1A−DR3相互作用の結果を調査するために、DR3欠損T細胞を二つの種類のT細胞極性化アッセイにおけるエフェクターサイトカイン産生について試験した。WT又はDR3 KOマウスから精製したT細胞を、TH2極性化のためのIL−4及び抗IFNγ又はTH1極性化のためのIL−12及び抗IL−4のいずれかで活性化した。精製したT細胞を、活性化及び極性化の5−6日後に再刺激した場合、IFNγ及びIL−4を産生する細胞のパーセントの有意な異常が、T細胞をTCRによって再刺激した場合に存在した。然しながら、PMA/イオノマイシンの組合せは、これらのサイトカインの正常な産生を可能にした(図4A)。興味あることには、TGFベータ、IL−1、IL−6、TNF並びにIL−4及びIL−2の遮断の組合せによってこのエフェクター型に極性化された、極性化T細胞によるIL−17の産生は、一次活性化後72時間目、及びCD3/28による再刺激後に、上清中で不完全であった。PMA/イオノマイシン刺激は、サイトカイン分泌の欠損をバイパスするように見受けられたことから、DR3 KO細胞中の欠損は、T細胞の分化自体よりむしろTCR誘導サイトカイン分泌において多いかもしれない。T細胞分化が、DR3の非存在下でインタクトであったか否かを決定するために、それぞれTh1及びTh2のT細胞の分化をプログラムする、古典的転写因子のT−bet及びGATA−3のレベルを測定した。図4Bに示すように、Th1細胞に分化するために極性化されるDR3 KO T細胞中のT−betの誘導は正常であり、そしてTh2条件下のGATA−3誘導は、僅かにのみ損なわれていた。従って、DR3が特定のT細胞のサブセットへの分化のためにT細胞をプログラムすることにおいてよりも、サイトカイン産生において、より重要であるように見受けられた。TL1Aが樹状細胞によって提供される場合にもこれが正しいか否かを決定するために、DR3 KO×OTIIマウス又はOTII対照からのT細胞を、抗原及びDCと共に、極性化が、外因性サイトカイン、又は寄生虫由来抗原のSEA又はSTagの影響下で産生される内因性因子によって駆動される条件下で培養した。DR3 KO T細胞が、Stag又は外因性IL−12及び抗IL4によって極性化された場合、IFN−γの異常は、見いだされなかった(図4D)。然しながら、IL−4産生における有意な欠損が、SEAの存在下で活性化されたT細胞において観察された。これは、外因性IL−4の添加によって克服された。T細胞由来IFN−γを必要としないSTAg誘導Th1極性化とは異なり、SEAによるTh2極性化は、T細胞由来IL−4に依存することが知られている。従って、観察されたDR3 KO T細胞によるIL−4産生の欠損(図3B)は、外因性IL−4の非存在下におけるTh2極性化欠損を説明することができる。
d.DR3 KOマウスは、Ova誘導喘息モデルにおける軽減された肺炎症を有する
[0327]In vitroのTh2極性化欠損がTh2媒介疾病の動物モデルにおいて有意であるか否かを決定するために、DR3 KOマウスがOva依存性喘息モデルにおいて如何に反応するかを調査した。マウスを、Alum及びOvaタンパク質で、又は対照としてAlum及びPBSで感作し、そして次いでOvaタンパク質又はPBSのいずれかでくも膜下腔内及び鼻腔内でチャレンジした。マウスを最後のチャレンジの二日後に犠牲にした。組織診断は、DR3 KOマウスの肺が、WTマウスより少ないムチン産生を有し、そして気管支周囲肥厚像(peribroncheal cuffing)もより少ないことを示した(図5A)。DR3 KOの肺に対する組織病理学的スコアもWTの肺と比較して減少した(図5B)。更に、DR3 KO肺における炎症は、WTの肺における典型的な好酸球浸潤に対して、DR3 KOにおいては主にリンパ球性であった。次に、肺中の様々なサイトカインのmRNAレベルを決定した。DR3 KOの肺は、WTの肺と比較して、肺中に、粘液産生を反映する減少したIL−13、及びIL−15を有する(図5C)。更に、脾臓のOva特異的再刺激が影響されたか否かを決定した。興味有ることに、肺で観察されたサイトカインのmRNAのレベルと対照的に、サイトカイン産生に差はなく、より局所的な影響を示唆した。更に、WT及びDR3 KOマウスのT細胞増殖の間に差はなかった。血清中に存在するIgG1のレベルも決定した。WT及びDR3 KOマウスの間のIgG1、IgG2血清レベルにおいて、特にOva特異的IgG1(図5D)レベルにおいて、差はなく、病態の差のより局所的な影響を示唆した。IgG1産生が、PBS処置マウスと比較して、DR3 KOマウスにおいてOvaチャレンジ後に上昇した事実は、T細胞が、より小さい程度であるとしても、反応し、そして分化することができたことを示す(in vitroの極性化からのデータ)。従って、局所的炎症の減少は、免疫反応の後期における欠損に起因しうる。
[0327]In vitroのTh2極性化欠損がTh2媒介疾病の動物モデルにおいて有意であるか否かを決定するために、DR3 KOマウスがOva依存性喘息モデルにおいて如何に反応するかを調査した。マウスを、Alum及びOvaタンパク質で、又は対照としてAlum及びPBSで感作し、そして次いでOvaタンパク質又はPBSのいずれかでくも膜下腔内及び鼻腔内でチャレンジした。マウスを最後のチャレンジの二日後に犠牲にした。組織診断は、DR3 KOマウスの肺が、WTマウスより少ないムチン産生を有し、そして気管支周囲肥厚像(peribroncheal cuffing)もより少ないことを示した(図5A)。DR3 KOの肺に対する組織病理学的スコアもWTの肺と比較して減少した(図5B)。更に、DR3 KO肺における炎症は、WTの肺における典型的な好酸球浸潤に対して、DR3 KOにおいては主にリンパ球性であった。次に、肺中の様々なサイトカインのmRNAレベルを決定した。DR3 KOの肺は、WTの肺と比較して、肺中に、粘液産生を反映する減少したIL−13、及びIL−15を有する(図5C)。更に、脾臓のOva特異的再刺激が影響されたか否かを決定した。興味有ることに、肺で観察されたサイトカインのmRNAのレベルと対照的に、サイトカイン産生に差はなく、より局所的な影響を示唆した。更に、WT及びDR3 KOマウスのT細胞増殖の間に差はなかった。血清中に存在するIgG1のレベルも決定した。WT及びDR3 KOマウスの間のIgG1、IgG2血清レベルにおいて、特にOva特異的IgG1(図5D)レベルにおいて、差はなく、病態の差のより局所的な影響を示唆した。IgG1産生が、PBS処置マウスと比較して、DR3 KOマウスにおいてOvaチャレンジ後に上昇した事実は、T細胞が、より小さい程度であるとしても、反応し、そして分化することができたことを示す(in vitroの極性化からのデータ)。従って、局所的炎症の減少は、免疫反応の後期における欠損に起因しうる。
e.DR3 KOマウスは、EAEに対して感受性が少ない。
[0328]DR3 KOマウスが、in vitroのTH2分化の減少に相関する、喘息モデルにおけるTH2−T細胞媒介病態の減少を有することから、DR3 KOマウスが、TH1/TH17仲介疾病に対して如何に反応するかを調査した。この目的に対して、MOG(ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質)誘導EAEマウスモデルを使用した。DR3 KOマウスは、MOG注射後約1週間で、臨床的病態を発症したWTマウスと比較して、遅延し、そして減少したEAE病態を有する(図6A)。これは、DR3 KOマウスが、完全に異なったサイトカインに依存する疾病モデルにおいて減少した病態を有することを示す。更に、Ova−喘息モデルと同様に、脾臓及びリンパ節からのT細胞のMOG再刺激は、損なわれていない(図6B)。これは、さらに、DR3/TL1A異常の全体的効果が、全身的よりも局所的であるように見受けられたことを示す。幾つかの最近の報告は、IL−17を産生する細胞のようなエフェクターT細胞の更なるサブセットが、免疫反応中に産生されることを示す。このIL−17産生細胞の集団は、TH1サイトカインを産生するエフェクター細胞よりむしろTH1媒介疾病の病原性に責任があると考えられた。従って、どの程度のIL−17産生細胞が脳、脾臓及びリンパ節に存在するかを決定するために、造血細胞を脊髄から採取し、そして6時間、PMA/イオノマイシンで刺激してから、IL−17及びIFN−γに対して細胞内染色した。WTマウスと比較して、減少したIL−17産生細胞が、DR3 KOマウスからのCNS中に存在した。更に、DR3 KOマウスは、WTマウスより2倍ほど多いT細胞をCNS中に有する。然しながら、脾臓及びリンパ節において差はなかった。
2.実施例2:
i.結果
a.TL1Aは、DR3を介してCD4+ T細胞における増殖及びサイトカイン産生を同時刺激する。
i.結果
a.TL1Aは、DR3を介してCD4+ T細胞における増殖及びサイトカイン産生を同時刺激する。
[0329]外因性TL1Aは、ヒト及びマウスのT細胞を同時刺激することができるが、しかしDR3がTL1Aに対する唯一の同時刺激性受容体であるか否か、そして内因的に産生されたTL1Aが成熟T細胞の活性化においてどのような役割を果たすかは、知られていない。これを調査するために、CD4+ T細胞を、C57BL/6バックグラウンドの野生型(WT)、又は年齢及び性別を合わせたDR3ノックアウト(DR3−/−)マウス(Wang et al.,2001)の脾臓及びリンパ節から精製し、そして組換えマウスTL1Aの存在下又は非存在下で、TCRを介してこれらを活性化した。他のTNFファミリーのメンバーによる同時刺激は、CD28仲介同時刺激が遮断された場合に最大であることが示されている(Croft,2003)。TL1Aも、CD28仲介同時刺激の非存在下においてT細胞増殖を最も劇的に増加させた(図8A)。CD28仲介同時刺激が存在した場合、TL1Aは、より低い投与量の抗CD3における増殖のみを同時刺激した(図8A)。TL1Aによって誘導される増加したCFSE希釈が観察され、細胞生存率の有意な変化が観察されないことから、増加したチミジン取り込みは、向上した生存ではなく、増加した細胞***に起因した。重要なことに、DR3−/−細胞は、TL1Aに対して無反応であり、DR3がTL1Aによる同時刺激を仲介する主要な受容体であることを示す(図8A)。然しながら、内因性T細胞由来TL1Aを介したDR3の刺激は、精製されたDR3−/−T細胞の培養中の増殖において欠損がなかったことから、T細胞増殖のために明らかに不要である(図8A)。TL1A同時刺激は、TL1A誘導増殖が、IL−2欠損T細胞において、又は拮抗性抗IL−2Rα抗体の添加後、大幅に減少したことから、増加したIL−2産生に大きく依存した(図8B)。
[0330]TL1Aによって同時刺激されることができるサイトカインのスペクトル及びDR3に対するサイトカインの産生の依存性を調査するために、IL−2、IFN−γ及びIL−4産生を、組換えTL1Aの存在下又は非存在下で活性化されたWT或いはDR3−/−T細胞において測定した。TL1Aは、WTによるIL−2、IFN−γ及びIL−4産生を増加させたが、DR3−/−T細胞によるIL−2、IFN−γ及びIL−4産生は増加させず、IL−4が、CD28同時刺激の存在下でTL1Aによって最も顕著に誘導された(図8C)。DR3欠損T細胞は、TL1Aに対して無反応であったが、しかし野生型T細胞と比較してサイトカイン産生において異常はなかった。従って、増殖反応と同様に、DR3は、TL1A誘導同時刺激に必要であるが、しかし内因的に産生されたT細胞由来TL1Aは、これらの条件下で活性化されたT細胞によるサイトカイン産生に必要ではない。活性化マーカーCD25(IL−2Rα)及びCD69の上方制御は、特に活性化後24時間において、TL1Aによって向上するが、活性化マーカー発現における異常は、野生型の対照と比較してDR3欠損T細胞において観察されなかった(図16)。TL1Aは、記憶T細胞を同時刺激するが、ナイーブT細胞を同時刺激しないことが報告されている(Bamias et al.,2006)。この問題に対処するために、CD62Lhi/CD44loナイーブCD4+ T細胞を、WT及びDR3欠損マウスから精製し、そして外因性TL1Aを伴い又は伴わずにこれらを活性化した。TL1Aは、CD28同時刺激を伴い又は伴わずに増殖を穏やかに向上させ、そして更にDR3依存性様式でIL−2及びIFN−γ産生を強力に増加させ(図17A、17B)、DR3がナイーブT細胞中で機能することができることを示した。記憶表現型CD44hiCD4+ T細胞のパーセントも、年齢を合わせたDR3−/−及び対照マウスにおいて同一であり(図17C)、非分離T細胞のTL1A同時刺激が、記憶及びナイーブ細胞のパーセントの差による可能性が低いことを示した。
b.樹状細胞は、TLR及びFcγR刺激に反応してTL1Aを産生し、そしてDR3を介してT細胞を同時刺激することができる。
[0331]精製されたDR3欠損T細胞における増殖又はサイトカイン産生の異常の欠如は、他の細胞種がTL1Aの生理学的出所でありうることを示唆した。TL1Aは、各種の刺激後ヒトDC及び単球によって産生され、そしてDCが、T細胞の同時刺激に対して適当な時期及び場所で産生されるTL1Aの出所であることが報告されている。これを試験するために、TL1A遺伝子発現の上方制御を、各種の薬剤で刺激した精製脾臓CD11c+樹状細胞及び骨髄由来DCにおいて、逆転写定量PCR(RT−qPCR)によって測定した。Toll様受容体(TLR)を介して作用し、そして他のTNFファミリーのメンバーの発現を誘導することができる刺激である、LPS及びToxoplasma gondiiからの可溶性タキゾイト抗原(STAg)は、TL1Aの急速な上方制御を誘導し、発現は3時間で基線上100倍まででピークに達し、その後急速に低下した(図9A)。興味あることに、DCの別の活性化を誘発し、Th2分化のためにT細胞をプログラムする、Schistosoma mansoniからの住血吸虫卵抗体(SEA)は、TL1AのmRNAをはっきりとは誘導しなかった(図9A、左の図)。TLRシグナル伝達コンポーネントを欠損する樹状細胞の刺激は、TL1AのLPS誘導が、MyD88及びTIRAPに依存する様式でTLR4によって仲介されることを示した(図9B)。低親和性Fc受容体を介して作用する免疫複合体は、TL1A産生に対する強力な刺激であることが最近になって示された(Cassatella et al.,2007;Prehn et al.,2007)。プレート結合架橋マウスIg(IC)によるマウスDCの刺激も、LPSに匹敵するほどTL1A遺伝子発現を刺激した(図9C)。従って、他のTNFファミリーのメンバーのように、TL1Aは、DC中で、TLR及び免疫複合体を介して急速に誘導されることができる。T細胞が、TL1Aの自己分泌の出所として役立つことができるか否かを試験するために、精製したT細胞を、TCRを介して刺激し、そしてTL1AのmRNAレベルをRT−qPCRによって測定した。TL1AのmRNAは、TCR刺激後に上方制御されたが、しかしDCと比較して遅延した動態を伴った。興味あることに、DR3欠損T細胞が、劇的に減少したTL1A誘導を示したが、しかし活性化後にIL−2のmRNAの正常な上方制御を示したことから、TL1Aの上方制御は、DR3発現に特異的に依存した(図9D)。まとめれば、これらのデータは、T細胞が、その発現を継続するために自己分泌様式で作用するTL1Aを産生することが出来るが、しかしT細胞由来のTL1Aは、増殖又は単離されたT細胞によるサイトカインの産生に必要ではないことを示す。
[0332]T細胞活性化のより生理学的なモデルにおいてTL1A−DR3相互作用の役割を研究するために、DR3欠損マウスを、卵白アルブミン(Ova)特異的TCR遺伝子導入系OT−IIに戻し交配し、DR3−/−OT−II及びOT−II対照マウスからのナイーブT細胞を、Ovaペプチド及び野生型骨髄由来DCと共に培養した。これらの条件下で、DR3−/−OT−II細胞の増殖は、特に低濃度のOvaにおいて減少した(図10A)。Ovaペプチド及びDCで刺激されたT細胞のサイトカインプロファイルは、抗原の投与量に特徴的に依存し、高投与量はIFN−γ産生に好ましく、そして低投与量はIL−4産生に好ましい(Tao et al.,1997)。DR3−/−OT−II細胞は、Ovaの低投与量で少ないIL−2を、そして試験されたOvaの全ての投与量で少ない量のIL−4を産生した。対照的に、IFN−γの産生は、試験された全ての投与量において対照より高かった(図10B)。T細胞活性化マーカー発現の分析は、CD25及びCD71の最適な上方制御も、低投与量のOvaペプチドにおいてDR3に依存することを明らかにした(図18)。これらのデータは、T細胞と、同族の抗原を提示する樹状細胞との間の相互作用中に、TL1A−DR3相互作用は、T細胞増殖、及びIL−2、IL−4の、しかしIFN−γではない産生を同時刺激するために機能することを示す。DR3の非存在下におけるサイトカイン産生及び増殖におけるこれらの変更は、T細胞の極性化に影響しうる。これを試験するために、DR3−/−又は対照マウスからのナイーブCD4+ T細胞を、Th1、Th2又はTh17エフェクターT細胞の分化のために最適化された条件下で、又は中立の条件下で、樹状細胞の存在下で活性化し、そして再刺激後のサイトカイン産生を測定した(図11)。外因性極性化刺激の非存在下において、DR3−/−T細胞は、C57BL/6バックグラウンドに対して予測されるTh1−IFN−γ分泌プロファイルに向かって穏やかなスキューイングを示した。更に、適当なサイトカインは、DR3−/−細胞を、IL−4、IFN−γ又はIL−17産生細胞に向かって正常に極性化した。次いでDC及びOvaで刺激されたDR3−/−OT−II及び対照OT−II T細胞の培養物を用意し、サイトカイン又は可溶性タキゾイト抗原(STAg)(これは、IL−12に加えて、TL1A産生を誘導する)で極性化した。これらの条件も、抗原特異的DR3−/−T細胞による正常なTh1スキューイングをもたらす(図11B)。適当な分化刺激による転写因子T−bet、GATA−3、又はRORγの誘導も、DR3−/−精製T細胞に影響しなかった。従って、DR3は、ナイーブT細胞のTh1、Th2又はTh17エフェクター細胞サブタイプへの分化に不必要であるように見受けられる。
c.DR3は、一次全身性T細胞反応のために不必要であるが、しかしT細胞媒介の疾病の動物モデルにおける免疫病理に必須である。
[0333]インタクトな免疫系におけるT細胞分化及びエフェクター機能におけるDR3の役割を決定するために、別々のT細胞サブセットに依存する疾病モデルを、DR3−/−マウスにおいて研究した。マウスがOva及びAlumで全身的に予備刺激された肺炎症のTh2依存性モデルを、先ず調査し、そして次いで局所的にOvaでチャレンジした(Gavett et al.,1994)。三つの独立した実験において、組織学的分析は、DR3−/−マウスの肺の気道が、ムチン産生及び気管支周囲の炎症を含む、より少ない炎症を有することを示した(図12A)。BALにおける標準化された組織病理学的スコア及び細胞数は、OVA感作及びチャレンジされたDR3−/−マウスにおいて、OVAで並行して感作及びチャレンジされたDR3 WTマウスと比較して減少した(図12B)。CD3+及びCD4+ T細胞、スフィンゴ糖脂質/CD1dテトラマーを認識する不変のVα14陽性T細胞、及び好酸球のパーセントは、Ova感作及びチャレンジされたDR3−/−マウスからの肺細胞標本において、対照と比較して全て有意に減少した(図12C)。免疫組織化学によるOva感作DR3欠損マウスからの肺組織中のCD3+細胞の局在化は、対照と比較してより少ない間質及び気管支周囲のT細胞、及び増加した血管周囲の局在化を明らかにし、肺におけるT細胞の浸潤又は生存異常を示唆した。血管周囲の浸潤における類似の増加は、マクロファージについて観察された(図19)。Th2媒介の肺の病理に重要なIL−5及びIL−13に対するmRNAのレベルは、DR3−/−のOva感作肺において顕著に減少し、一方、IL−10及びIFN−γは等しく産生された(図12D)。対照的に、これらのマウスからのDR3−/−脾臓細胞を、Ovaで再刺激した場合、IL−5及びIL−13の正常な産性があり、Ova特異的Th2 T細胞の全身的予備刺激が、DR3に非依存的であることを示した(図12E)。更に、DR3−/−脾細胞は、Ovaに反応して正常に増殖した。Ova予備刺激後のOva特異的IgG1及びOva特異的IgEの産生によって評価されるような全身性Th2機能も、DR3−/−マウスにおいて正常であった(図12F)。従って、このTh2媒介の肺炎症のモデルにおいて、DR3は、Th2エフェクター細胞が炎症の部位に蓄積するために必要であるが、しかしTh2 T細胞の全身性分化のためには必要ではない。肺における減少したT細胞は、DR3−/−の肺において観察されたように、炎症の部位への好酸球及びiNKT細胞の不完全な動員をもたらしうる。
[0334]DR3が、他のT細胞サブセットによって仲介される疾病のために必要か否かを決定するために、Th17及びTh1依存性自己免疫疾病の実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を、DR3−/−マウスで研究した。四つの別個の実験において、DR3−/−マウスは、臨床スコアによって測定されるように、遅延し、そして劇的に減少した麻痺を示した(図13A)。EAEに対する耐性にも関わらず、MOG予備刺激DR3−/−マウスの流入領域リンパ節からのT細胞は、MOGに反応して正常に増殖した(図13B)。脊髄ホモジネート中のCD4+ T細胞のパーセントは、DR3−/−マウスにおいて顕著に減少した(図13C)。T細胞ゲート内で、IFN−γ産生細胞のパーセントも、DR3−/−マウスの脊髄からのT細胞において2倍減少した(図13C)。IL−17産生細胞のパーセントは、このゲート内でDR3−/−マウスにおいて正常であったが、しかし脊髄中のCD4+ T細胞の減少したパーセントに起因して、全体ではなお減少した。炎症を起こした脊髄中のこれらのサイトカインの絶対的レベルを試験するために、脊髄ホモジネート中のIL−17及びIFN−γに対するmRNAを、RT−qPCRによって測定した。両方のサイトカインは、ハウスキーピング遺伝子β2−マイクログロブリンに対して正規化した場合、MOG予備刺激DR3−/−マウスからの脊髄標本中で減少し、IFN−γが最も影響された。然しながら、T細胞特異的遺伝子CD3−δの発現に対して正規化した場合、IL−17及びIFN−γのmRNA発現は、DR3−/−の脊髄において減少しなかった(図13D)。従って、DR3は、Ova誘導肺炎症モデルと異なったサイトカインの組合せと関連する自己免疫性脱髄性疾患のこのモデルにおいても重要であり、そしてDR3−/−マウスにおける疾病に対する耐性は、標的器官中のエフェクターT細胞の減少した数と相関した。
[0335]自己免疫性疾病におけるその役割に加えて、エフェクターT細胞は、感染を制御することにおいて重要である。マウスが急性感染から生存するためにIFN−γ分泌性Th1細胞を必要とする感染であるトキソプラズマ症におけるDR3シグナル伝達の役割を更に調査することを決定した。T.gondiiによる感染後、DR3−/−、並びに対照マウスは、7週間100%の生存率を有した。感染後7週間でDR3−/−感染マウスから単離し、STAgで刺激した脾臓細胞は、対照と比較して、匹敵する量のTNFα、IFN−γ及びIL−10を産生した(図14)。これらのデータは、T.gondiiに反応するエフェクターTh1細胞の予備刺激及び維持が、DR3に依存しないことを示す。
ii.実験方法
a.試薬及びマウス
[0336]E.coliからのLPSをSigmaから得た。可溶性タキゾイトAg(STAg)を超音波処理されたトキソプラズマ原虫タキゾイトから調製し、そしてSEAをマンソン住血吸虫卵から先に記載されたように調製した(Grunvald et al.,1996)。C57BL/6マウスをJackson Laboratoriesから得た。先に記載されたように(Wang et al.,2001)産生したDR3−/−マウスを、C57BL/6バックグラウンドと少なくとも8世代戻し交配した。DR3−/−OT−IIマウスを、DR3−/−マウスを、OT−II TCR遺伝子導入マウス(Taconic farms)と交配することによって産生した。IL−2−/−マウスは、NIAIDのPushpa Pandiyanからの寛大な贈り物であった。全ての抗体は、他に示さない限り、BD pharmingenから購入した。Vα14 iNKT T細胞を認識するCD1d/PBS57テトラマーを、NIHテトラマーコア施設によって調製した。
a.試薬及びマウス
[0336]E.coliからのLPSをSigmaから得た。可溶性タキゾイトAg(STAg)を超音波処理されたトキソプラズマ原虫タキゾイトから調製し、そしてSEAをマンソン住血吸虫卵から先に記載されたように調製した(Grunvald et al.,1996)。C57BL/6マウスをJackson Laboratoriesから得た。先に記載されたように(Wang et al.,2001)産生したDR3−/−マウスを、C57BL/6バックグラウンドと少なくとも8世代戻し交配した。DR3−/−OT−IIマウスを、DR3−/−マウスを、OT−II TCR遺伝子導入マウス(Taconic farms)と交配することによって産生した。IL−2−/−マウスは、NIAIDのPushpa Pandiyanからの寛大な贈り物であった。全ての抗体は、他に示さない限り、BD pharmingenから購入した。Vα14 iNKT T細胞を認識するCD1d/PBS57テトラマーを、NIHテトラマーコア施設によって調製した。
b.細胞標本及び精製
[0337]脾臓の樹状細胞を、CD11c+の高い発現についてMoFlo FACSソーター(Dako Carpenteria,CA)で、リベラーゼ消化された脾臓から選別した。CD11c+DC細胞の純度は、少なくとも97%であった。T細胞を、脾臓及びリンパ節細胞懸濁物から、CD11b、PanNK、B220、NK1.1、CD24、CD16/32、GR−1、I−Abに対するFITC結合mAb(BD pharmingen)、及び抗FITCマイクロビーズ(Miltenyi)を使用する、これらの抗原の磁気枯渇(depletion)によって、精製した。CD4+ T細胞を精製するために、抗CD8−FITCを上記の抗体に加えた。ナイーブT細胞について、CD4+精製細胞のCD62L−CD44−集団を、PE−Cy5抗CD44及びPE抗CD62Lによる染色後、選別した。骨髄樹状細胞を、10ng/mlのマウスGM−CSF(PeproTech,Rocky Hill,NJ)で補充されたRPMI/10%FCSで培養することによって産生した。T枯渇APCを、脾臓細胞懸濁物を抗Thy1.1と共に10分間氷上でインキュベートし、続いてlow−tox−Mウサギ補体(Cedarlane laboratories)と共に30分間37℃でインキュベートすることによって得た。細胞を洗浄し、そして25μg/mlのマイクロマイシンC(Sigma)と共に30分間37℃でインキュベートした。
[0337]脾臓の樹状細胞を、CD11c+の高い発現についてMoFlo FACSソーター(Dako Carpenteria,CA)で、リベラーゼ消化された脾臓から選別した。CD11c+DC細胞の純度は、少なくとも97%であった。T細胞を、脾臓及びリンパ節細胞懸濁物から、CD11b、PanNK、B220、NK1.1、CD24、CD16/32、GR−1、I−Abに対するFITC結合mAb(BD pharmingen)、及び抗FITCマイクロビーズ(Miltenyi)を使用する、これらの抗原の磁気枯渇(depletion)によって、精製した。CD4+ T細胞を精製するために、抗CD8−FITCを上記の抗体に加えた。ナイーブT細胞について、CD4+精製細胞のCD62L−CD44−集団を、PE−Cy5抗CD44及びPE抗CD62Lによる染色後、選別した。骨髄樹状細胞を、10ng/mlのマウスGM−CSF(PeproTech,Rocky Hill,NJ)で補充されたRPMI/10%FCSで培養することによって産生した。T枯渇APCを、脾臓細胞懸濁物を抗Thy1.1と共に10分間氷上でインキュベートし、続いてlow−tox−Mウサギ補体(Cedarlane laboratories)と共に30分間37℃でインキュベートすることによって得た。細胞を洗浄し、そして25μg/mlのマイクロマイシンC(Sigma)と共に30分間37℃でインキュベートした。
c.T細胞の活性化及び極性化
[0338]同時刺激研究のために、CD4+又はナイーブCD4+細胞を、プレート結合抗CD3 mAb(5μg/ml又は示された濃度、145−2C11;BD Pharmingen)で、プレート結合抗CD28 mAb(5μg/ml)(37.51;BD Pharmingen)の存在下又は非存在下で刺激した。組換えマウスTL1A(R&D system)を、10ng/mlで加えた。IL2−/−マウスによる研究のために、精製したT細胞を、上記のように、しかし10U/mlのIL−2の非存在下又は存在下で培養した。DC−T細胞の同時培養研究のために、104個の骨髄由来DCを、ウェル当たり105個のOT−II又はDR3−/−OT−IIナイーブCD4+ T細胞及び示された濃度のOVA323−339ペプチドと共に、10μg/mlのマウスCTLA4/Fc(Chimerigen)を伴って又は伴わずに培養した。3日目に、培養物の上清を、サイトカイン測定のために収集し、そして細胞を1μCiの3H−チミジンでパルス標識した。更に16−20時間後、3H−チミジン取り込みを、シンチレーションカウンターで測定した。極性化研究のために、8×105個のT枯渇APCを、C57BL/6又はDR3−/−マウスからの2×105個のナイーブCD4+ T細胞と共に培養した。Th1極性化を、rIL−12(20ng/ml)(PeproTech,Rocky Hill,NJ)及び抗IL−4(10μg/ml)で、Th2極性化をrIL−4(20ng/ml)(PeproTech,Rocky Hill,NJ)、抗IL−12(10μg/ml)及び抗IFN−γ(10μg/ml)で、Th17極性化をrhTGFα(5ng/ml)(eBioscience)、IL−6(20ng/ml)(eBioscience)、抗IL−12(10μg/ml)、抗IFN−γ(10μg/ml)及び抗IL−4(10μg/ml)で、Th0極性化を抗IL−12(10μg/ml)、抗IFN−γ(10μg/ml)及び抗IL−4(10μg/ml)で駆動した。培養の4日後、細胞内サイトカイン染色を、以下に記載するように行った。STAgによる極性化研究のために、5×104個の脾臓DCを、ウェル当たり105個のOT−II又はDR3−/−OT−IIナイーブCD4+ T細胞と共に、1μMのOVA323−339ペプチドを伴って培養した。Th1極性化をrIL−12(10ng/ml)で、Th2極性化をrIL−4(10ng/ml)で、そしてSTAg極性化を5μg/mlのSTAgで駆動した。72時間の培養後、上清を、10U/mlのrIL−2を含有する新鮮な培地で置換し、そして更に2−3日後、細胞内サイトカイン染色を以下に記載するように行った。
[0338]同時刺激研究のために、CD4+又はナイーブCD4+細胞を、プレート結合抗CD3 mAb(5μg/ml又は示された濃度、145−2C11;BD Pharmingen)で、プレート結合抗CD28 mAb(5μg/ml)(37.51;BD Pharmingen)の存在下又は非存在下で刺激した。組換えマウスTL1A(R&D system)を、10ng/mlで加えた。IL2−/−マウスによる研究のために、精製したT細胞を、上記のように、しかし10U/mlのIL−2の非存在下又は存在下で培養した。DC−T細胞の同時培養研究のために、104個の骨髄由来DCを、ウェル当たり105個のOT−II又はDR3−/−OT−IIナイーブCD4+ T細胞及び示された濃度のOVA323−339ペプチドと共に、10μg/mlのマウスCTLA4/Fc(Chimerigen)を伴って又は伴わずに培養した。3日目に、培養物の上清を、サイトカイン測定のために収集し、そして細胞を1μCiの3H−チミジンでパルス標識した。更に16−20時間後、3H−チミジン取り込みを、シンチレーションカウンターで測定した。極性化研究のために、8×105個のT枯渇APCを、C57BL/6又はDR3−/−マウスからの2×105個のナイーブCD4+ T細胞と共に培養した。Th1極性化を、rIL−12(20ng/ml)(PeproTech,Rocky Hill,NJ)及び抗IL−4(10μg/ml)で、Th2極性化をrIL−4(20ng/ml)(PeproTech,Rocky Hill,NJ)、抗IL−12(10μg/ml)及び抗IFN−γ(10μg/ml)で、Th17極性化をrhTGFα(5ng/ml)(eBioscience)、IL−6(20ng/ml)(eBioscience)、抗IL−12(10μg/ml)、抗IFN−γ(10μg/ml)及び抗IL−4(10μg/ml)で、Th0極性化を抗IL−12(10μg/ml)、抗IFN−γ(10μg/ml)及び抗IL−4(10μg/ml)で駆動した。培養の4日後、細胞内サイトカイン染色を、以下に記載するように行った。STAgによる極性化研究のために、5×104個の脾臓DCを、ウェル当たり105個のOT−II又はDR3−/−OT−IIナイーブCD4+ T細胞と共に、1μMのOVA323−339ペプチドを伴って培養した。Th1極性化をrIL−12(10ng/ml)で、Th2極性化をrIL−4(10ng/ml)で、そしてSTAg極性化を5μg/mlのSTAgで駆動した。72時間の培養後、上清を、10U/mlのrIL−2を含有する新鮮な培地で置換し、そして更に2−3日後、細胞内サイトカイン染色を以下に記載するように行った。
d.実験的アレルギー性脳脊髄炎の誘導
[0339]マウスを、CFA中のミエリンオリゴデンドロサイト糖脂質(MOG)35−55ペプチドで皮下的に免疫化し、百日咳毒素を0及び2日目にIP投与し、EAEを誘導した。群当たり5ないし8匹のマウスを含め、そして採点した。EAEの臨床的評価を、次の基準:(0)、疾病無し;(1)、尾の麻痺;(2)、後下肢の脱力;(3)、両後下肢の麻痺;(4)、完全な両後足の麻痺及び前肢の不全対麻痺;(5)、死亡;により毎日行った。CNSからの細胞を、Miltenyi Biotecからの神経組織解離キットを使用して、製造業者の推奨するプロトコルによって単離した。MOG感作動物からの脾臓細胞をCD4ビーズを使用して単離した。細胞をAPCとしての放射線照射されたT枯渇脾細胞及び示された濃度のMOGペプチドの存在下で、96ウェルプレート中で再刺激した。3日目に、細胞を、3H−チミジンで6時間パルス標識し、そして次いで回収し、そしてシンチレーションカウンターで数えた。
[0339]マウスを、CFA中のミエリンオリゴデンドロサイト糖脂質(MOG)35−55ペプチドで皮下的に免疫化し、百日咳毒素を0及び2日目にIP投与し、EAEを誘導した。群当たり5ないし8匹のマウスを含め、そして採点した。EAEの臨床的評価を、次の基準:(0)、疾病無し;(1)、尾の麻痺;(2)、後下肢の脱力;(3)、両後下肢の麻痺;(4)、完全な両後足の麻痺及び前肢の不全対麻痺;(5)、死亡;により毎日行った。CNSからの細胞を、Miltenyi Biotecからの神経組織解離キットを使用して、製造業者の推奨するプロトコルによって単離した。MOG感作動物からの脾臓細胞をCD4ビーズを使用して単離した。細胞をAPCとしての放射線照射されたT枯渇脾細胞及び示された濃度のMOGペプチドの存在下で、96ウェルプレート中で再刺激した。3日目に、細胞を、3H−チミジンで6時間パルス標識し、そして次いで回収し、そしてシンチレーションカウンターで数えた。
e.Ova誘導の肺炎症
[0340]0及び7日目に、マウスを、alum(Pierce Laboratories,Rockford,IL)との等体積の混合物中で乳化した、100μgのニワトリOva(Sigma)又はPBSのいずれかを含有する、200μlの腹腔内(i.p.)注射液によって全身的に感作した。肺炎症の評価のために、マウスを、100μgのOva又はPBS/30μl接種物で気管内(i.t.)に14日目に、そして鼻腔内(i.n.)的に15日目にチャレンジした。マウスを、最後のチャレンジ後48−72時間で安楽死させ、細胞浸潤、肺における細胞炎症、並びに血清及び気管支肺胞洗浄液(BALF)中のサイトカインレベルを評価した。BAL液を、20番ゲージの静脈内カテーテル、並びに500μlのPBS中の1%胎児ウシ血清(FBS)(サイトカイン分析のため)及び750μlのPBS中の1%FBS(細胞浸潤の分析のため)による洗浄による、肺の直接カニューレ処置によって得た。サイトカイン分析のための試料は、−80℃で保存した。細胞分析のための試料は、Kwik−diff(Thermo−Shandon)による染色後、差次細胞分析のためにサイトスピン(Thermo−Shandon,Pittsburgh,PA)として調製し、そして一部は、全細胞数を決定するために使用した。肺の組織診断は、先に記載されているように(McConchie et al.,2006)、マスクされた実験条件でリーダー(reader)によって採点された。
[0340]0及び7日目に、マウスを、alum(Pierce Laboratories,Rockford,IL)との等体積の混合物中で乳化した、100μgのニワトリOva(Sigma)又はPBSのいずれかを含有する、200μlの腹腔内(i.p.)注射液によって全身的に感作した。肺炎症の評価のために、マウスを、100μgのOva又はPBS/30μl接種物で気管内(i.t.)に14日目に、そして鼻腔内(i.n.)的に15日目にチャレンジした。マウスを、最後のチャレンジ後48−72時間で安楽死させ、細胞浸潤、肺における細胞炎症、並びに血清及び気管支肺胞洗浄液(BALF)中のサイトカインレベルを評価した。BAL液を、20番ゲージの静脈内カテーテル、並びに500μlのPBS中の1%胎児ウシ血清(FBS)(サイトカイン分析のため)及び750μlのPBS中の1%FBS(細胞浸潤の分析のため)による洗浄による、肺の直接カニューレ処置によって得た。サイトカイン分析のための試料は、−80℃で保存した。細胞分析のための試料は、Kwik−diff(Thermo−Shandon)による染色後、差次細胞分析のためにサイトスピン(Thermo−Shandon,Pittsburgh,PA)として調製し、そして一部は、全細胞数を決定するために使用した。肺の組織診断は、先に記載されているように(McConchie et al.,2006)、マスクされた実験条件でリーダー(reader)によって採点された。
f.トキソプラズマ感染
[0341]ME−49株からのT.gondiiシストを、感染したC57BL/6マウスの脳から調製した。実験的感染のために、マウスを、平均20個のシスト/動物でi.p.で接種した。感染後7週間目に、個々の感染した動物の脳中のシストの数を決定した。脾臓細胞を回収し、培養し、そして抗CD3及び抗CD28又は5μg/mlのSTAgのいずれかで刺激した。上清を72時間後に回収し、そしてサイトカイン産生について分析した。
[0341]ME−49株からのT.gondiiシストを、感染したC57BL/6マウスの脳から調製した。実験的感染のために、マウスを、平均20個のシスト/動物でi.p.で接種した。感染後7週間目に、個々の感染した動物の脳中のシストの数を決定した。脾臓細胞を回収し、培養し、そして抗CD3及び抗CD28又は5μg/mlのSTAgのいずれかで刺激した。上清を72時間後に回収し、そしてサイトカイン産生について分析した。
g.サイトカイン及び免疫グロブリン測定
[0342]IFN−γ、IL−4、及びIL−17を産生する細胞の検出を、抗IFN−γ−APC、抗IL−4−PE、抗IL−17−PE(BD Biosciences)を使用する細胞内サイトカイン染色によって決定した。簡単には、細胞を、5時間、抗CD3及び抗CD28又はホルボールミリステートアセテート及びイオノマイシンで刺激し、2時間後にモネンシンを添加した。細胞を、3%のパラホルムアルデヒド中で固定し、0.1%のサポニン中で透過処理し、そしてFACS Caliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)で分析した。細胞培養上清中のサイトカイン産生を、Cytometric Bead Array(BD biosciences)によって分析した。血清免疫グロブリンを、ELISAによって製造業者(Bethyl Labs)の説明書に従って測定し、そしてOVA特異的IgG1及びIgEを、50μlのOVA(100μg/ml)で被覆されたプレートを使用するIgG1又はIgE特異的ELISAによって測定した。
[0342]IFN−γ、IL−4、及びIL−17を産生する細胞の検出を、抗IFN−γ−APC、抗IL−4−PE、抗IL−17−PE(BD Biosciences)を使用する細胞内サイトカイン染色によって決定した。簡単には、細胞を、5時間、抗CD3及び抗CD28又はホルボールミリステートアセテート及びイオノマイシンで刺激し、2時間後にモネンシンを添加した。細胞を、3%のパラホルムアルデヒド中で固定し、0.1%のサポニン中で透過処理し、そしてFACS Caliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)で分析した。細胞培養上清中のサイトカイン産生を、Cytometric Bead Array(BD biosciences)によって分析した。血清免疫グロブリンを、ELISAによって製造業者(Bethyl Labs)の説明書に従って測定し、そしてOVA特異的IgG1及びIgEを、50μlのOVA(100μg/ml)で被覆されたプレートを使用するIgG1又はIgE特異的ELISAによって測定した。
h.樹状細胞及びT細胞におけるTL1A誘導
[0343]C57BL/6マウス及び示されたノックアウトマウスからの骨髄由来DC、又は脾臓CD11c+DCを培養し、そして100ng/mlのLPS、20μg/mlのSEA又は10μg/mlのSTAgを伴って又は伴わずに示された時間刺激した。Ig架橋による刺激を、0.5mg/mlのマウスIgG(Jackson Immunoresearch)で37℃で1時間、続いて50μg/mlのヒツジ抗マウスIgG(Jackson Immunoresearch)で37℃で1時間、プレートを被覆することによって行った。精製したT細胞を、5μg/mlの抗CD3及び抗CD28で示された時間刺激した。
[0343]C57BL/6マウス及び示されたノックアウトマウスからの骨髄由来DC、又は脾臓CD11c+DCを培養し、そして100ng/mlのLPS、20μg/mlのSEA又は10μg/mlのSTAgを伴って又は伴わずに示された時間刺激した。Ig架橋による刺激を、0.5mg/mlのマウスIgG(Jackson Immunoresearch)で37℃で1時間、続いて50μg/mlのヒツジ抗マウスIgG(Jackson Immunoresearch)で37℃で1時間、プレートを被覆することによって行った。精製したT細胞を、5μg/mlの抗CD3及び抗CD28で示された時間刺激した。
i.定量的RT−PCRによるRNAの測定
[0344]全RNAを、細胞からTriZOL及びpure linkTM Micro−to midiキット(Invitrogen)を使用して単離した。定量的RT−PCRを、SuperScript One−Step RT−PCR System(Invitrogen)を使用するABI PRISM 7700配列検出システムを使用して行った。事前設計されたプライマー/プローブのセットは、TL1Aを除きApplied Biosystemsから入手し、TL1Aは、全長のTL1Aを認識するように設計したプライマーで検出した(順方向:CCCCGGAAAAGACTGTATGC;逆方向:GGTGAGTAAACTTGCTGTGGTGAA;プローブ:TCGGGCCATAACAGAAGAGAGATCTGAGC)。β2−マイクログロブリン又はCD3−δに対して特異的なプローブを、内部対照として使用した。
[0344]全RNAを、細胞からTriZOL及びpure linkTM Micro−to midiキット(Invitrogen)を使用して単離した。定量的RT−PCRを、SuperScript One−Step RT−PCR System(Invitrogen)を使用するABI PRISM 7700配列検出システムを使用して行った。事前設計されたプライマー/プローブのセットは、TL1Aを除きApplied Biosystemsから入手し、TL1Aは、全長のTL1Aを認識するように設計したプライマーで検出した(順方向:CCCCGGAAAAGACTGTATGC;逆方向:GGTGAGTAAACTTGCTGTGGTGAA;プローブ:TCGGGCCATAACAGAAGAGAGATCTGAGC)。β2−マイクログロブリン又はCD3−δに対して特異的なプローブを、内部対照として使用した。
3.実施例3:TL1A誘導炎症性腸疾患
[0345]TL1Aの機能を評価するために、TL1Aが、樹状細胞及びT細胞上に恒常的に発現する遺伝子導入マウスを産生した。T細胞のために、ヒトCD2エンハンサー構築物(Zhumabekov T,et al.1995)の改良バージョンを使用し、そして樹状細胞特異的発現のために、CD11cプロモーター構築物を使用した(Brocker T,et al.1997)。インフルエンザヘマグルチニン(HA)エピトープ標識を、導入遺伝子由来TL1AのmRNA及びタンパク質の確認のために、TL1AのcDNAのN末端に付加した。導入遺伝子発現を、遺伝子導入マウスのそれぞれの樹立系統中で評価した。CD2−TL1A構築物について、四つの系統(R1、R6、U8及びZ9)は、CD3についてゲートしたT細胞中のHA標識に対する細胞内フローサイトメトリーによって分析した脾臓及びリンパ節T細胞において、類似の検出可能なレベルのTL1A発現を有し、他の免疫細胞サブセットにおいてはHA染色は検出されず、そしてその後の分析に使用した。CD11c−TL1A遺伝子導入マウスについて、幅広い範囲の発現があった。内因性TL1Aに対する導入遺伝子の発現は、2から500倍を超えるまでの範囲であり、そして樹立系統(founder)を、8倍の過剰発現のカットオフに基づき、高及び低発現体(expressers)に分けた。増加した数のCD69+T細胞が、CD2及びCD11c TL1A遺伝子導入系統の両方からの脾臓及びリンパ節中に存在した。自然発生的T細胞活性化は、CD8 T細胞サブセットよりCD4においてより顕著であった。これらの結果は、T細胞又はDCのいずれかにおけるTL1Aの調節解除が、自然発生的T細胞活性化及びT細胞恒常性の破壊をもたらすことを示す。
[0345]TL1Aの機能を評価するために、TL1Aが、樹状細胞及びT細胞上に恒常的に発現する遺伝子導入マウスを産生した。T細胞のために、ヒトCD2エンハンサー構築物(Zhumabekov T,et al.1995)の改良バージョンを使用し、そして樹状細胞特異的発現のために、CD11cプロモーター構築物を使用した(Brocker T,et al.1997)。インフルエンザヘマグルチニン(HA)エピトープ標識を、導入遺伝子由来TL1AのmRNA及びタンパク質の確認のために、TL1AのcDNAのN末端に付加した。導入遺伝子発現を、遺伝子導入マウスのそれぞれの樹立系統中で評価した。CD2−TL1A構築物について、四つの系統(R1、R6、U8及びZ9)は、CD3についてゲートしたT細胞中のHA標識に対する細胞内フローサイトメトリーによって分析した脾臓及びリンパ節T細胞において、類似の検出可能なレベルのTL1A発現を有し、他の免疫細胞サブセットにおいてはHA染色は検出されず、そしてその後の分析に使用した。CD11c−TL1A遺伝子導入マウスについて、幅広い範囲の発現があった。内因性TL1Aに対する導入遺伝子の発現は、2から500倍を超えるまでの範囲であり、そして樹立系統(founder)を、8倍の過剰発現のカットオフに基づき、高及び低発現体(expressers)に分けた。増加した数のCD69+T細胞が、CD2及びCD11c TL1A遺伝子導入系統の両方からの脾臓及びリンパ節中に存在した。自然発生的T細胞活性化は、CD8 T細胞サブセットよりCD4においてより顕著であった。これらの結果は、T細胞又はDCのいずれかにおけるTL1Aの調節解除が、自然発生的T細胞活性化及びT細胞恒常性の破壊をもたらすことを示す。
[0346]CD11c−TL1A及びCD2−TL1A系統の両方からの遺伝子導入マウスの更なる検査において、頻繁な腸浮腫及び小腸の至る所の腸壁の肥厚化の証拠が観察された。これらの特徴の発生率は、研究下のCD2−TL1A遺伝子導入マウスの四つの系統中で実質的に100%であり、そしてCD11c−TL1A系統中の導入遺伝子発現のレベルと相関した。腸壁肥厚化、炎症性浸潤、杯状細胞過形成、絨毛の拡大及び正常な構造の歪を観察することができる(図21)。これらの変化は、炎症性細胞浸潤、絨毛の伸長及び破壊、陰窩膿瘍及び筋層の肥厚化を包含するTNBS大腸炎に対して開発された採点計画に従って、マウスの状態に対してブラインドの、経験のある観察者によって定量化された(Neurath M,et al.2000)(図21)。回腸末端は、CD11c及びCD2−TL1A遺伝子導入マウスの両方において全体的検査及び組織病理の両方に最も顕著に関係し、結腸は比較的免れた(図21B、C)。腸の炎症は、これらのマウスの体重減を伴い、これもまた、導入遺伝子の発現のレベルに依存した(図21C)。
[0347]これらの観察は、TL1A遺伝子導入マウスを、経壁性炎症及び回腸末端に対する偏向を含み、ヒトのクローン病と著しく類似した幾つかの特徴を伴う、炎症性腸疾患の新しい動物モデルとして確立する。興味あることに、多くの最近の報告は、潰瘍性大腸炎又はクローン病を持つ患者の生検標本の粘膜固有層中のTL1A及びDR3の増加した発現を記載している。増加したTL1A及びDR3発現は、SAMP1/YitFc及びTNFΔARE系統のIBDの二つの他の動物モデルにおいても記述されている(Bamias G,et al.2003;Bamias G,et al.2006)。調節解除されたTL1A発現が、遺伝子導入マウスにおける自然発生的IBDを誘発することの発見と合わせれば、TL1A−DR3相互作用は、IBDの病変形成において重要でありえ、そしてIBD及び、リウマチ様関節炎を含むT細胞成分を伴う関連する炎症性疾病における、有望な治療標的を構成することができる。
i.病原性細胞種の特徴づけ及びTL1A駆動IBDにおける腸管内菌叢の役割。
[0348]免疫組織化学及び免疫蛍光法による研究を、選択したCD2−TL1A及びCD11c−TL1A遺伝子導入マウスからの組織切片について行った。最初の研究は、TL1A遺伝子導入マウスからの腸の冷凍切片を免疫染色することにより、抗CD3を用いてT細胞を、そしてF4−80を用いてマクロファージを、局在化する。FACS分析を、TL1A遺伝子導入マウスからの腸の関連する領域からの上皮内及び粘膜固有層のリンパ球標本について行う。αβ、γδ、及びNKT細胞を、NK細胞及びB細胞と共に数え上げ、そして活性化状態を、CD25、CD69及びCD71表面マーカーで試験する。FoxP3+CD25+Tregsも、これらの試料において数え上げ、T細胞駆動免疫病理の他のモデルにおいて観察されているようなTregによる免疫逆制御における試みがあるか否かを決定する(Tang Q,et al.2006)。T細胞は、TL1A受容体DR3を発現する主要な細胞種であるが、TL1A発現は、NKT細胞、NK細胞及びB細胞中で見いだされている。従って、強制されたTL1Aは、これらのマウスにおいてIBDを仲介することができる他の免疫細胞サブセットを拡大することができる。どのリンパ球サブセットがTL1A駆動大腸炎のために必要であるかを決定するために、TL1A遺伝子導入マウスを、異なったリンパ球の亜集団を欠くノックアウトマウスの各種の系統と交配させる。TL1A遺伝子導入マウスを、先ずRAG欠損マウスと交配して、T、B及びNKT細胞に対する依存性を決定する。これらのマウスが炎症性腸疾患を欠く場合、TL1A駆動IBDの依存性は、適応免疫系にあることを示している。次いで他の交配を行って、αβ T細胞(TCRアルファノックアウト)、NKT細胞(CD1dノックアウト)、NK細胞(IL15ノックアウト)及びB細胞(IgHノックアウト)マウスに対する要求性を決定する。αβ T細胞がTL1A遺伝子導入マウスにおけるIBDに必要であることが見いだされた場合、異なったT細胞サブセットの寄与は、CD2−TL1A遺伝子導入マウスを、それぞれCD8及びCD4T細胞を欠くクラスI又はクラスIIのMHC欠損マウスと交配することによって試験することができる。T細胞が関係する場合、IBDは、TL1Aによる非抗原特異的同時刺激の結果でありえ、又はさもなくば、特異的T細胞再刺激物質(reactivates)(即ち、腸由来抗原に対する)が、疾病の誘導のために必要でありうる。これを試験するために、TL1Aマウスを、OT−II卵白アルブミン特異的TCR遺伝子導入マウスのような関連性のない特異性を保有するTCR遺伝子導入マウスと交配する。自己反応性又は腸内菌叢反応性T細胞がTL1A駆動IBDのために必要な場合、これらのTCR導入遺伝子は、疾病を回復させることができる。
ii.TL1A駆動IBDにおける病原性サイトカインの特徴付け。
[0349]炎症性腸疾患モデルが、幅広い範囲の異なったサイトカインに依存することが見いだされている(Strober W,et al.2007)。最初、興味は、インターフェロンγ及びIL−12に集中し、そして事実、IL−12のp40サブユニットに対する抗体が、ヒト炎症性腸疾患及びマウスIBDモデルにおいて有効である。更に最近、p40が、炎症性腸疾患において重要であることが示されているIL−12ファミリーのサイトカインであるIL−23の構成成分であることが発見されている。IL−23は、好中球及び単球を強力に誘引し、そして活性化するサイトカインであるIL−17を産生するT細胞の分化及び/又は生存を向上させることによって少なくとも部分的に作用する(Fuss IJ,et al.2006; Hue S,et al.2006;McKenzie BS,et al.2006)。実験は、TL1A誘導IBDにおいて発現する主なサイトカインを決定して、どのエフェクター細胞の集団がこの疾病において重要であるかを決定し、そして慢性のTL1A刺激の効果をよりよく理解するために行った。TL1A遺伝子導入マウスの回腸及び腸の他の領域から抽出したRNAからのサイトカインの定量は、IL−17及びIL−13の一致した上昇を明らかにした(図21E)。興味あることに、T細胞のTh17サブセットによって産生されるもう一つのサイトカインであるIL−22は、検出可能ではなく、そしてTh1細胞の特徴的産物であるIFN−γも、対照を超えて上昇しなかった。腸間膜のリンパ節中のT細胞の試験は、IL−17を産生するT細胞が、IFN−γ及びIL−4と比較して、対照を超えて最も上昇したことを明らかにした。次いで、抗サイトカイン抗体を遮断すること又は特定のT細胞サブセットの発生のために重要であることが知られた遺伝子(例えば、IL−17、STAT4、STAT6、ROR−γ)のノックアウトマウスを、サイトカイン及びTh細胞のサブセットのどれが、TL1A駆動IBDの発生のために必要であるかを決定するために使用することができる。
iii.TL1Aが制御性T細胞機能を遮断するか、又はT細胞をTregに対して耐性を与えるかの決定。
[0350]TL1Aが、天然のTregの産生又は機能に影響するか否かは知られていない。リウマチ様関節炎において、関連するサイトカインTNFは、FOXP3+制御性T細胞の機能をその数によらず障害することが示された(Nadkarni S,et al.2007;Valencia X,et al.2006)。Foxp−3陽性Tregは、DR3ノックアウトマウス中に正常な数で存在し、そして興味あることに、TL1A遺伝子導入マウスの腸間膜リンパ節中に増加した数で存在する。増加した数の活性化されたCD25+T細胞を有するTL1A遺伝子導入マウスからのTregの単離を援助するために、TL1A遺伝子導入マウスの選択された系統を、FOXP3−GFPレポーターマウスと交配して、FOXP3陽性Tregのみがこれらの実験で研究されることを確実にする。TL1A遺伝子導入マウスから単離されたTregを、その機能について分析し、そしてTL1Aが、正常なTregの抑制機能を遮断することができるか否かも、CD2−TL1A遺伝子導入レスポンダー細胞(Tresp)の使用、及びTreg/Tresp培養物へのTL1Aの添加によって試験する。Treg機能のin vivoのアッセイも行い、ここで、Tregは、ナイーブCD45RBhi細胞と共に免疫不全宿主に移植される(Powrie F,et al.1993)。双方向実験を、CD2−TL1A遺伝子導入マウス由来のTreg又はナイーブT細胞のいずれかを用いて行い、IBDを起こすTreg機能又はナイーブT細胞の能力が、TL1Aによって影響されるか否かを決定する。
iv.IBDの発症におけるTL1A−DR3相互作用の必要性。
[0351]DR3が、導入遺伝子由来TL1Aの非存在下における大腸炎の発症のために必要であるか否かも決定する。ハプテンTNBSの直腸内投与によって誘導された大腸炎は、徹底的に特徴づけされている。大腸炎がT細胞を必要とし、そしてTNF及びIL−12p40にも依存することが知られている(Neurath M,et al.2000;Neurath MF,et al.1997)。最近の証拠は、更に、IL−23標的サイトカインIL−17を、この実験的疾病の病理に関係づけている(Zhang Z,et al.2006)。EAE及びOva誘導喘息に対する耐性は、DR3欠損マウスが、同腹仔の対照と比較して、TNBS大腸炎に耐性でありうることを示す。これらの実験を行うために、DR3 KOマウスを、感受性のC57Bl/10系統に戻し交配する。或いは、戻し交配が進行している間に、感受性マウスを、TNBS大腸炎の誘導の前又は後にTL1A遮断抗体で処理する。DR3欠損T細胞を、大腸炎の移植モデルにおいて免疫不全宿主に更に移植し、T細胞上のDR3がこの大腸炎のモデルに必要であるか否かを決定する。
実施例3
[0352]TL1Aは、リウマチ滑膜中で検出されている。本発明者等は、ヒトTL1Aに対する新規なモノクローナル抗体を使用し、他のリウマチ性疾病に対してRAについて、TL1Aを誘導する因子、及び滑液(SF)又は血液中の上昇したTL1Aレベルの特異性を決定した。マウスのコラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルにおいて、本発明者等は、TL1Aに対する中和抗体でTL1A−DR3相互作用を遮断し、そして抗コラーゲン抗体、臨床的関節炎症、及び浸食に対するTL1A遮断の効果をマイクロCTによって測定した。TL1Aは、Fc受容体架橋によって、そしてより少ない程度で、ヒト単球中の細胞膜TLRによって誘導された。他のリウマチ性疾病と比較して、TL1Aの有意に高い血液及びSFレベルが、RAを持つ患者において観察された。血漿TL1Aは、SFのTL1Aレベルの予測的なものであった。然しながら、SFのTL1Aは、RA患者のTNF及び疾病の活動性とは独立に上昇した。TL1Aの遮断は、CIAにおける臨床的関節スコアの減少において有効であり、そして足の膨潤に対する効果とは独立に骨の浸食を劇的に減少させた。TL1Aは、ヒト及びマウスの自己免疫性関節炎の両方において、特に浸食の病変形成において重要である。本発明者等は、TL1A遮断を、TNFとは独立に作用する、RAのための強力な疾患修飾治療として開示する。
[0352]TL1Aは、リウマチ滑膜中で検出されている。本発明者等は、ヒトTL1Aに対する新規なモノクローナル抗体を使用し、他のリウマチ性疾病に対してRAについて、TL1Aを誘導する因子、及び滑液(SF)又は血液中の上昇したTL1Aレベルの特異性を決定した。マウスのコラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルにおいて、本発明者等は、TL1Aに対する中和抗体でTL1A−DR3相互作用を遮断し、そして抗コラーゲン抗体、臨床的関節炎症、及び浸食に対するTL1A遮断の効果をマイクロCTによって測定した。TL1Aは、Fc受容体架橋によって、そしてより少ない程度で、ヒト単球中の細胞膜TLRによって誘導された。他のリウマチ性疾病と比較して、TL1Aの有意に高い血液及びSFレベルが、RAを持つ患者において観察された。血漿TL1Aは、SFのTL1Aレベルの予測的なものであった。然しながら、SFのTL1Aは、RA患者のTNF及び疾病の活動性とは独立に上昇した。TL1Aの遮断は、CIAにおける臨床的関節スコアの減少において有効であり、そして足の膨潤に対する効果とは独立に骨の浸食を劇的に減少させた。TL1Aは、ヒト及びマウスの自己免疫性関節炎の両方において、特に浸食の病変形成において重要である。本発明者等は、TL1A遮断を、TNFとは独立に作用する、RAのための強力な疾患修飾治療として開示する。
[0353]単球細胞培養及び刺激 正常なドナーからの水簸された単球を、NIH輸血治療部門からNIHのIRB認可臨床プロトコル下で得た。単球を、10%FCSを伴うRPMI培地中の1×106細胞/mlで、37℃、5%CO2のインキュベーター中で培養した。規定された時点で、培養上清をTL1Aの測定のために収集し、そして細胞をTL1AのmRNAの測定のためのqRT−PCRのために回収した。LPS(Ultrapure Salmonella Minnesota R595,List Biological Laboratories inc.,Campbell,CA)を、示された濃度で加えた。免疫複合体による刺激を、先に記載したように行った。定量的RT−PCRを、qScript One−Step qRT−PCR Kit,Low ROX(Quanta BioSciences,Inc.)を用い、ABI PRISM 7700配列検出システムを使用して行った。事前設計されたプライマー/プローブのセットは、Applied Biosystemsから入手し、そして全長のTL1Aを検出するために設計された配列は、順方向:5’−CCCCGGAAAAGACTGTATGC−3’;逆方向:5’GGTGAGTAAACTTGCTGTGGTGAA3’;プローブ:5’−TCGGGCCATAACAGAAGAGAGATCTGAGC−3’)である。それぞれの測定値を、β2−マイクログロブリンの発現に対して正規化した(デルタCt)。次いで、2^デルタCtを、遺伝子発現のレベルとして使用した。遺伝子発現レベルは、非刺激細胞中に存在するレベルに対して正規化した。
[0354]ヒトの試料 同時の滑液及び血漿試料を、Los Angeles County + University of Southern California Medical Center(IRB protocol HS−05−00270)で得た。関節浸出の根底にある原因を、病歴、身体検査、及び滑液の分析によって決定した。治療データは、入手不可能であった。骨関節炎、リウマチ様関節炎(RA)、乾癬性関節炎、痛風及び偽性痛風を持つ患者からの滑液を、Brigham and Women’s Hospital Rheumatologyクリニックで得た、廃棄された確認不能(de−identified)の匿名の臨床試料から得た。治療データは入手不可能であった。HSSにおける全身性紅斑性狼瘡(SLE)患者からの血清は、他の研究から先に収集していた。人口統計データ及びSLE疾患活動性データ(SELENA−SLEDAI)は、その臨床訪問時に記録した。全てのデータは、確認不能にし、そして全ての患者は、採血の前に、IRB認可のインフォームドコンセントに署名した。シェーグレン病の患者の血清試料を、National Institute of Health (NIH)のDr.Gabor Illeiから、IRB認可プロトコル番号99−D−0070及び84−D−0056下で得た。RA患者からの血清試料は、NIHのDr.Raphaela Goldbach−Manskyによって、IRB認可プロトコル番号00−AR−0222下で提供された。強直性脊椎炎(AS)患者の血清試料は、NIHのDr.Michael Wardによって、IRB認可プロトコル番号03−AR−0131下で提供された。
[0355]ELISAによるTL1Aの測定 商業的に入社可能なヒトTL1AのELISAキット(PeproTech,cat no.900−K290)を、細胞培養上清中のTL1Aを測定するために使用した。適合血漿及び滑液試料中のヒトTL1Aを測定するために、次のようにELISAを行った:96ウェル平底プレートを、PBS中の1ug/mLのマウス抗ヒトTL1A(クローン1A9)で、一晩4℃で被覆した。プレートを、ブロッキング緩衝液(PBS中の5%BSA、0.1%Tween20)で、1時間ブロッキングした。225uLの試料希釈液(PBS中の1%BSA、0.1%Tween20)で10倍に希釈された25uLの試料を、それぞれのウェルに入れ、そしてプレートを、2時間37℃でインキュベートした。TL1Aを、ポリクローナルなビオチン化ウサギ抗ヒトTL1A Abで、続いて0.5ug/mLのストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(SA−HRP)によって、1時間37℃で検出した。TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)を基質として使用した。反応を、100uLの1Nの硫酸で停止させ、そしてOD450nmを測定した。標準曲線を、標準希釈液(加えられた10%のプールされた正常なヒト血清を伴う試料希釈液)中で希釈された組換えヒトTL1A(Pepro Tech)を使用して作成した。独立のビーズベースアッセイ系を、Bio−Plex COOHビーズ(Bio−Rad)に結合した抗ヒトTL1A抗体(クローン1A9)を使用して開発した。3000個の抗TL1A結合ビーズを、続いて50uLの血清又は滑液を、96ウェルのフィルタープレート(MultiScreen HTSTM by Millipore,Cat No.MSBVN1250)のそれぞれのウェルに加えた。滑液を、Bio−Plex Human Serum Diluent(Bio−Rad,Cat no.171−305000)を使用して2倍に希釈した。試料及び標準を、30分間インキュベートし、続いて25uLの1ug/mLのビオチン化ポリクローナル抗ヒトTL1A(PeproTech,Cat no.500−P240Bt)、及び50uLの1:100に希釈されたSA−PG(Bio−Plex Cytokine Reagent Kit,Bio−Rad,171−304001)と共に30分間インキュベートした。それぞれのウェルを125uLのアッセイ緩衝液で再懸濁し、そしてサイトカインレベルを、Bio−Plex 200 System(Bio−Rad)で測定した。データを、Prism(GraphPad Software,Inc.)ソフトウェアを使用して解析した。TNFアッセイのために、Bio−Plex Pro Human Cytokine TNF−αセットを、製造業者(Bio−Rad,Cat no.171−B5026M)の説明書に従って使用した。
[0356]コラーゲン誘導関節炎(CIA)の誘導及び遮断試薬の投与 Jackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から得たオスのDBA/1Jマウス(生後8−10週)に、完全フロイントアジュバント中の100μgのニワトリコラーゲンII型(CII)(1:1、容量/重量)を、尾の付け根に0日目に皮内注射し、そして21日目に不完全フロイントアジュバント中の100μgのCII(1:1、容量/重量)の皮内注射でブーストした。次いでマウスを、対照又は治療のいずれかを受けるために21日目に無作為化した。治療群のマウスには、21日目に開始される7日毎の20mg/kgのハムスター抗マウスTL1A抗体(クローン5G4.6)をi.p.注射した。対照群のマウスは、20mg/kgのハムスター免疫グロブリンを受けた。マウスを49日目に安楽死させた。後足を膝の上で切断し、そして10%ホルムアルデヒドで固定した。動物は、NIAMSのACUCによって認可されたプロトコル下で使用した。
[0357]CIA中の関節炎の臨床重篤度の評価 関節炎の発症を、先に記載した0−4の尺度で、それぞれの足の肉眼的採点によって評価した。採点は無作為化に対してブラインドの二人の別個の研究者によって行われ、そしてそれぞれのマウスの平均スコアを使用した。
[0358]抗ニワトリコラーゲンIgGを測定するためのELISA 96ウェルの平底プレートを、100uLの0.05M TRIS−0.2M NaCl中に溶解させた50ug/mLのニワトリコラーゲンで、一晩4℃で被覆した。プレートを、200uLのブロッキング緩衝液(PBS中の1%BSA)で、30分間室温でブロッキングした。試料希釈液(PBS中の1%BSA、0.05%Tween20)により1:100から1:12500までの5倍連続希釈された血清の50uLの試料を、二連でウェルに入れ、そしてプレートを2時間室温でインキュベートした。抗体を、5ng/mLのヤギ抗マウスHRP(Pierce,cat.no.1858413)で、1時間室温で検出し、そして基質検出キット(R&D cat.no.DY999)で検出し、50uLの2M H2SO4によって停止させ、OD450を測定した。
[0359]マイクロコンピュータ断層撮影(マイクロ−CT)及び浸食の評価 CIA実験からの足を、これらが走査されるまで10%ホルムアルデヒド中で保存した。マウスの解剖のマイクロ−CTを、44kV/22マイクロアンペアにバイアスされたX線源(焦点サイズ4マイクロメートル、エネルギー範囲20−100kV)を伴い、そしてビーム硬化を減少させるために0.5mmのアルミニウムフィルターを伴う、SkyScan 1172 Micro Xray CTスキャナー(MicroPhotonics,Inc.Allentown PA,USA,SkyScan,Kontich,Belgium)で行った。画像は、カメラと線源の距離220mm及び対象物と線源の距離116mmで、12.17マイクロメートルのボクセルサイズで取得した。450の投射を、180度の回転により、0.4度の角分解能で取得した。フレーム当たり295msの暴露時間でそれぞれの投射X線画像について、平均8フレームを平均した。走査期間は概略40分であった。断層画像を、フェルトカムプコーンビームアルゴリズムに基づく業者供給のソフトウェアを使用して再構築した。次いで再構築した画像を、CTAn(v.1.10)を使用して三次元画像に作成し、次いでCTVol(v.2.1)(SkyScan)を使用して可視化した。三次元画像を、記載した採点系に基づいて二人の別個の研究者によって、確認不能な3−D再構築物で採点した。
[0360]Fc受容体(FcR)架橋及びTLRリガンドは、ヒト単球中のTL1A発現を誘導する。RAにおいて、免疫複合体によるFcR架橋及び内因性リガンドによるTLRの刺激は、関節中の単球及び他の自然免疫細胞を刺激することによって炎症を持続しうる。従って、本発明者等は、ヒト単球によるTL1Aの発現を誘導するための免疫複合体及びTLRリガンドの能力を試験した。FcR架橋及びLPSの両方は、18時間でピークとなり、そして次いで急速に減退するレベルを伴って、mRNAレベルでTL1Aを誘導し、これはTL1AのmRNAの3’非翻訳領域中に存在するAUリッチ領域によって支配されるTL1AのRNAの分解と一致した。TL1A誘導のピークは、LPSの最適濃度後より、FcR架橋後が約6倍高かった。タンパク質レベルで、FcR架橋は、18時間で検出可能となる高いレベルのTL1Aを誘導し、一方、LPS誘導TL1Aは、48時間で検出可能であるのみであり、TL1A産生は、FcR架橋によるより、LPSの最適投与量による方が概略10倍低い。TLRは、これらがアダプタータンパク質MyD88、TRIF、又は両方に接続するシグナル伝達経路を活性化するか否かによってサブクラスに分けることができる。これらのシグナル伝達経路のどれがTL1A発現の誘導において重要であるかを決定するために、本発明者等は、ヒト単球を、それぞれの受容体に対して特異的なTLRリガンドの一団で刺激した。TLR1、2、4、及び6による刺激は、TL1Aを誘導することにおいて最も効率的であり;TLR5及び9は中間であり;そしてTLR3、7、及び8による刺激は、TL1A産生に対して効果がなかった。これらの結果は、TLR3、7及び8がMyD88を十分に活性化しないことから、MyD88依存性の急速なNF−kB上方制御がTL1A誘導において重要であることと一致する。これらの結果は、LPSに反応するTL1A産生が主としてMyD88に依存するマウスDCで得られたものとも一致する。
[0361]TL1Aは、滑液又は血液中のリウマチ様関節炎に対するバイオマーカーである In vivoのTL1A産生を促進する免疫複合体の強力な能力を仮定して、本発明者等は、このサイトカインが、RA中で優先的に上昇することができ、ここで、リウマトイド因子(RF)及び他の免疫複合体が、自然免疫細胞を刺激すると推論した。この目標のために、本発明者等は、RA(31人の患者からの39個の試料)又は乾癬性関節炎、結晶性関節炎、反応性関節炎、骨関節炎、非特異的炎症性関節炎、若年性炎症性関節炎、又は感染性関節炎を含む他の種類の関節炎(31人の患者から37個の試料)を持つ患者のコホートからの血漿及びSFの適合試料中のTL1Aレベルを測定した。RA患者からのSF試料の大部分(39個中の27個)は、0.1ng/mLより上のTL1Aレベルを有しており、平均0.59ng/mL、そして3.25ng/mLまでが検出された。対照的に、37個の非RA試料のうち2個(反応性関節炎を持つ患者及び乾癬性関節炎を持つ患者から一人ずつ)のみが、0.1ng/mLより多いTL1Aを含有していた。血漿中では、より少ないが、しかしなお有意なパーセントのRA患者が、上昇したTL1Aレベルを有し、一方、他の関節炎を持つ患者からの試料は、検出可能なTL1Aレベルを有していなかった。5人のRA及び5人の非RA患者は、このコホートに対して一つより多い試料を寄与した。SF中では、TL1Aレベルは、SF収集の日によって変動した。然しながら、血漿中では、患者のTL1Aレベルは、繰返し測定でかなり一定のままであり、高く上昇する(>2ng/mL)か、又は0.1ng/mLより低いかの何れかであった。これは、繰返し滑液吸引にかけられる患者の中の関係する関節の間での、炎症の可変性を反映している可能性がある。上昇したTL1Aは、試料収集の時点における疾病活動性より、より重度の疾病及び浸食を予測する抗CCPのようなマーカーとより良く相関した。抗CCP抗体について試験したRA患者中で、陽性の抗CCPを持つもの(n=15)は、SF中の有意に高いレベルのTL1Aを有し(p=0.039)、そして持たないもの(n=4)よりも高い血漿中のTL1Aに向かう傾向を有していた(p=0.129)。RFを持つ又は持たないRA患者間のSF及び血漿中のTL1Aレベルを比較することは、このコホートの患者の殆どが、血清陽性であったことから、実行可能ではなかった。更に、血清陰性の患者(n=2)は、SF及び血漿中の両方に殆ど検出不可能なTL1Aを有し、TL1Aが、RFを持つ患者において優先的に上昇しうることを示唆した。然しながら、RF又は抗CCPの定量的レベルは、血漿又はSF中のTL1Aレベルと相関しなかった。更に、SF又は血漿中のTL1Aレベルは、DAS−28スコア、ESR、CRP、又は圧痛/膨張関節の数を含む臨床的重篤度の測定値と相関せず、SFのTL1Aレベルも、SFのWBC数と相関しなかった。SF(びらん性で平均0.68ng/mLに対して非びらん性で0.55ng/mL)及び血漿(びらん性で平均1.09ng/mLに対して非びらん性で0.25ng/mL)の両方においてより高いTL1A(n=9)に向かう傾向があった。注目すべきことに、39個の適合RA血漿及びSF試料中の血漿及びSFのTL1Aレベル間に直線的相関が存在し(R2=0.52、p<0.0001)、血清TL1Aが、関節中のTL1Aに対する代替でありうることが示された。これらの発見の一般化の可能性を決定するために、本発明者等は、RA又は他の関節炎疹を持つ患者の独立のコホートからのSF試料において、ビーズベース蛍光TL1Aアッセイにより、TL1Aを測定した。このアッセイ及び使用されたものの間のアッセイ間の変動性は、100pg/mlより上の値を持つ試料について10%より小さく、そしてこのビーズベースアッセイは、10pg/mlのように低いTL1Aレベルを検出する更なる性能を有していた。この二番目のコホートにおいて、SFのTL1Aレベルは、骨関節炎(OA)、痛風又は偽性痛風、或いは乾癬性関節炎(PsA)を持つ患者よりRAにおいて有意に高かったが、他の炎症性関節炎疹におけるSFのTL1Aのレベルも、OAより有意に高かった。RAにおける重要な病原性サイトカインであるTNFは、内皮細胞、軟骨細胞、および滑膜繊維芽細胞中のTL1A発現を誘導することができるが、TNF及びTL1AのSFレベルは、17個の試験されたRA試料中で相関しなかった。従って、SF中のTL1A発現に対する、TNFに無関係な成分があるように見受けられる。RAは、循環している免疫複合体に関連する唯一のリウマチ性疾患ではない。クロマチンの成分と複合した抗核抗体(ANA)は、SLE及びシェーグレン症候群に関連する。血清TL1Aレベルがこれらの疾患においても上昇しているか否かを決定するために、本発明者等は、シェーグレン症候群及びSLEを持つ患者からの血清を、幅広い範囲の疾患活動性に対して試験し、そして健康な志願者からの血清に対するRA患者の独立のコホートからの血清のものと比較した。血清TL1Aレベルは、正常な対照と比較して、RAを持つ患者において有意に上昇し、彼らの誰も検出可能な血清TL1Aを有していなかった。このRA患者のコホートにおいて、抗TNF治療状態は、TL1A値と相関しなかった。血清TL1Aレベルは、シェーグレン症候群において上昇したが、しかしRAにおいて観察される程度ではなかった(RA対シェーグレン、p=0.0006)。更に、TL1Aは、3人のSLE患者を除く全ての血清中で検出不可能であった。それぞれのこれらの3人のSLE患者は、高いSLEDAIレベル(8−12)を有し、そしてこれらのうち二人は、試料収集の時点で関節炎性紅斑を有していた。更なる対照として、本発明者等は、循環免疫複合体と関連しない、強直性脊椎炎(AS)を持つ患者の血清中のTL1Aのレベルを測定した。AS血清の少数部分のみが、100pg/mlより高いレベルでTL1Aを含有していた。TL1Aは、RAより有意に少なく上昇していた(RA対ASのt検定、p=0.0003)。然しながら、シェーグレン症候群のように、TL1Aは、健康な対照と比較して、AS患者の血清中でなお有意に上昇していた。TL1Aレベルと、ASにおける影響された末梢関節の数、脊椎強直症の程度、抗TNF治療又は全体的疾患活動性との相関はなかった。まとめれば、これらの結果は、RAが、他のリウマチ性疾病がそうであるより、増加したTL1Aレベルとより強力に関連し、そして上昇した血清TL1Aは、炎症性関節炎の状況における血清陽性RAに対するバイオマーカーと考えることができることを示す。
[0362]TL1A−DR3相互作用を遮断することは、CIAにおける臨床的結果及び骨の浸食を改善する。従来の研究は、マウスCIAにおけるTL1Aの有益な効果を見出しているが、しかしTL1A遮断の骨の浸食に対する影響は、定量化されていない。これらの目標のために、本発明者等は、拮抗性抗TL1Aモノクローナル抗体を、DBA/1マウスに、CIAにおいて抗原でブーストする時点で投与した。全関節スコアの有意な減少が、続く28日間に、特に初期の時点で観察された。関節炎の測定可能な臨床徴候の開始は、抗TL1A mAbによって有意に遅延された。興味あることに、抗TL1Aで治療されたマウスの臨床重篤度の減少は、抗コラーゲン抗体の力価の減少と関連しなかった。まとめれば、これらのデータは、TL1A−DR3相互作用を遮断することは、コラーゲン免疫原に対する全身性免疫反応に影響せずに、CIAの臨床的炎症性の徴候を強力に減少させることを示す。TL1A−DR3相互作用を遮断することは、CIAの臨床重篤度を明白に改善することから、本発明者等は、これらの治療が、骨浸食も防止するか否かを評価した。本発明者等は、浸食の定量的及び包括的評価を得るために、マイクロコンピュータ断層撮影(マイクロ−CT)を使用した。抗TL1A治療は、CIAを発症するように誘導されたマウスの後足における浸食を劇的に減少させた。後足のそれぞれの関節における関節周囲の浸食及び変形を考慮した採点法による後足の浸食の定量化は、TL1A治療マウスにおける平均及び最大浸食スコアの有意な減少を示した。減少は、MTP関節(*p=0.042)及び爪先(*p=0.015)において特に顕著であった。更に、全身性の変形は、対照群においてのみ起こった(治療群における0%に対して20%)。印象的なことに、抗TL1Aで治療されたマウスにおける浸食は、同様な最大臨床スコアを伴って、足で有意に減少した(最大臨床スコアに関係ない治療効果に対する二元配置ANOVAのp<0.0001、治療に対してp<0.0001、そして最大臨床スコアに対してp<0.0001)。これは、抗TL1A抗体治療は、臨床的な関節炎の阻害によって浸食を減少させるだけでなく、臨床的関節スコアによって測定されるように炎症に無関係な浸食に対する保護も提供することを示す。
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I.配列
1.配列番号:1(ヒトDR3核酸配列)
2.配列番号:2(ヒトDR3アミノ酸配列)
3.配列番号:3(ヒトTL1A核酸配列)
4.配列番号:4(ヒトTL1Aアミノ酸配列)
5.配列番号:5(NP_683866.1)
6.配列番号:6(NP_149031.2の1−159)
7.配列番号:7(NP_005109.2)
8.配列番号:8(NP_796345からの72−251)
9.配列番号:9
GARAQGGTRSPRCDCAGDFHKKIGLFCCRGCPAGHYLKAPCTEPCGNSTCLVCPQDTFLA
10.配列番号:10
GARAQGGTRSPRCDCAGDFHKKIGLFCCRGCPAGHYLKAPCTEPCGNSTC
11.配列番号:11
GARAQGGTRSPRCDCAGDFHKKIGLFCCRGCPAGHYLKAP
12.配列番号:12
GARAQGGTRSPRCDCAGDFHKKIGLFCCRGCPAGHYLK
13.配列番号:13
PRCDCAGDFHKKIGLFCCRGCPAGHYLKAPCTEPCGNSTCLVCPQDTFLA
14.配列番号:14
KKIGLFCCRGCPAGHYLKAPCTEPCGNSTCLVCPQDTFLA
15.配列番号:15
IGLFCCRGCPAGHYLKAPCTEPCGNSTCLVCPQDTFLA
16.配列番号:16
RRRRRRRRR
17.配列番号:17
RQPKIWFPNRRKPWKK
18.配列番号:18
GRKKRRQRPPQ
19.配列番号:19
RQIKIWFQNRRMKWKK
20.配列番号:20
RQIAIWFQNRRMKWAA
21.配列番号:21
RKKRRQRRR
22.配列番号:22
TRSSRAGLQFPVGRVHRLLRK
23.配列番号:23
GWTLNSAGYLLGKINKALAALAKKIL
24.配列番号:24
KLALKLALKALKAALKLA
25.配列番号:25
AAVALLPAVLLALLAP
26.配列番号:26
VPMLK−PMLKE
27.配列番号:27
MANLGYWLLALFVTMWTDVGLCKKRPKP
28.配列番号:28
LLIILRRRIRKQAHAHSK
29.配列番号:29
KETWWETWWTEWSQPKKKRKV
30.配列番号:30
RGGRLSYSRRRFSTSTGR
31.配列番号:31
SDLWEMMMVSLACQY
32.配列番号:32
TSPLNIHNGQKL
GARAQGGTRSPRCDCAGDFHKKIGLFCCRGCPAGHYLKAPCTEPCGNSTCLVCPQDTFLA
10.配列番号:10
GARAQGGTRSPRCDCAGDFHKKIGLFCCRGCPAGHYLKAPCTEPCGNSTC
11.配列番号:11
GARAQGGTRSPRCDCAGDFHKKIGLFCCRGCPAGHYLKAP
12.配列番号:12
GARAQGGTRSPRCDCAGDFHKKIGLFCCRGCPAGHYLK
13.配列番号:13
PRCDCAGDFHKKIGLFCCRGCPAGHYLKAPCTEPCGNSTCLVCPQDTFLA
14.配列番号:14
KKIGLFCCRGCPAGHYLKAPCTEPCGNSTCLVCPQDTFLA
15.配列番号:15
IGLFCCRGCPAGHYLKAPCTEPCGNSTCLVCPQDTFLA
16.配列番号:16
RRRRRRRRR
17.配列番号:17
RQPKIWFPNRRKPWKK
18.配列番号:18
GRKKRRQRPPQ
19.配列番号:19
RQIKIWFQNRRMKWKK
20.配列番号:20
RQIAIWFQNRRMKWAA
21.配列番号:21
RKKRRQRRR
22.配列番号:22
TRSSRAGLQFPVGRVHRLLRK
23.配列番号:23
GWTLNSAGYLLGKINKALAALAKKIL
24.配列番号:24
KLALKLALKALKAALKLA
25.配列番号:25
AAVALLPAVLLALLAP
26.配列番号:26
VPMLK−PMLKE
27.配列番号:27
MANLGYWLLALFVTMWTDVGLCKKRPKP
28.配列番号:28
LLIILRRRIRKQAHAHSK
29.配列番号:29
KETWWETWWTEWSQPKKKRKV
30.配列番号:30
RGGRLSYSRRRFSTSTGR
31.配列番号:31
SDLWEMMMVSLACQY
32.配列番号:32
TSPLNIHNGQKL
Claims (25)
- DR3とTL1Aとの間の相互作用を遮断することを含んでなる、被験者の炎症性又は自己免疫性疾病を治療する方法。
- 前記DR3とTL1Aとの間の相互作用が、DR3の内因性レベルを減少させることによって遮断される、請求項1に記載の方法。
- 前記DR3とTL1Aとの間の相互作用が、TL1Aの内因性レベルを減少させることによって遮断される、請求項1に記載の方法。
- 前記DR3とTL1Aとの間の相互作用が、DR3 Fc融合タンパク質の投与によって遮断される、請求項1に記載の方法。
- 前記DR3とTL1Aとの間の相互作用が、抗DR3抗体の投与によって遮断される、請求項1に記載の方法。
- 前記DR3とTL1Aとの間の相互作用が、抗TL1A抗体の投与によって遮断される、請求項1に記載の方法。
- 前記DR3とTL1Aとの間の相互作用が、DR3プレリガンドアセンブリードメイン(PLAD)を含んでなるペプチドの投与によって遮断される、請求項1に記載の方法。
- 前記ペプチドが、配列R1−DR3 PLAD−R2有し、ここで、DR3のPLADは、配列番号:2のアミノ酸43−58を含んでなり、そしてここで、R1及びR2が、所望によりH、アシル、NH2、アミノ酸又はペプチドである、請求項7に記載の方法。
- 前記炎症性又は自己免疫性疾病が、喘息である、請求項1に記載の方法。
- 前記炎症性又は自己免疫性疾病が、多発性硬化症である、請求項1に記載の方法。
- 前記炎症性又は自己免疫性疾病が、リウマチ様関節炎である、請求項1に記載の方法。
- 前記炎症性又は自己免疫性疾病が、炎症性腸疾患である、請求項1に記載の方法。
- 前記炎症性又は自己免疫性疾病が、1型糖尿病である、請求項1に記載の方法。
- 前記炎症性又は自己免疫性疾病が、移植片対宿主病である、請求項1に記載の方法。
- 前記炎症性又は自己免疫性疾病が、T細胞の成分による自己免疫性疾病である、請求項1に記載の方法。
- 抗炎症剤を同定するための方法であって、前記方法の工程が、
(a)DR3及びTL1Aを含んでなる試料を用意し、
(b)試料を、候補薬剤と接触させ、
(c)DR3/TL1A結合のレベルを検出し、
(d)結合レベルを対照と比較すること
を含んでなり、対照と比較したDR3/TL1A結合における減少が抗炎症剤を同定する、前記方法。 - TL1Aに特異的に結合するモノクローナル抗体。
- ヒトTL1A及びマウスTL1Aからなる群に特異的に結合する、請求項17に記載のモノクローナル抗体。
- 前記モノクローナル抗体がヒト化されている、請求項17又は18に記載のモノクローナル抗体。
- 前記モノクローナル抗体がヒト化されており、ここで、前記抗体が、一つのアミノ酸配列を含んでなるヒト化重鎖可変領域、及び一つのアミノ酸配列を含んでなるヒト化軽鎖可変領域を含んでなる、請求項18又は19に記載のモノクローナル抗体。
- 前記抗体が、抗ヒトTL1Aクローン1A9である、請求項17に記載のモノクローナル抗体。
- 前記抗体が、抗ヒトTL1Aクローン1C6である、請求項17に記載のモノクローナル抗体。
- 前記抗体が、抗マウスTL1Aクローン12B12.6である、請求項17に記載のモノクローナル抗体。
- 前記抗体が、抗マウスTL1Aクローン5G4.6である、請求項17に記載のモノクローナル抗体。
- 前記抗TL1A抗体が、クローン1A9及びクローン1C6からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
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