JP2014515610A - タバコからグリセリンを生成するための方法 - Google Patents

タバコからグリセリンを生成するための方法 Download PDF

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Abstract

ニコチアナ属の1つ以上の植物からグリセリンを生成するための方法が提供される。グリセリンはとりわけ、ニコチアナ属種のバイオマスまたは種子に由来し得る。特定の実施形態において、グリセリンは、タバコバイオマスまたは種子に由来するアシルグリセロール含有出発物質の酸触媒加水分解または塩基触媒加水分解のいずれかにより生成される。本発明は、ニコチアナ属の1つ以上の植物から生成されたグリセリンを含む喫煙品および無煙タバコ組成物を含む物品および組成物もまた提供する。

Description

本国際特許出願は、パリ条約のもと、2011年4月18日に出願されて現在係属中の米国特許出願第13/088,924号の優先権および利益を主張する。
本発明は、タバコから作製されるまたはタバコに由来する製品に関し、または、より一般には、ニコチアナ属(genus Nicotiana)のうちの任意の1つ以上の属種に由来する任意のバイオマスから作製されるもしくはこれに由来する製品に関し、または、そうでない場合はタバコを組み込んでおり人間の消費を意図した製品に関する。特に興味深いのは、ニコチアナ属種(Nicotiana species)の植物または植物の一部から得られるまたはこれらに由来する成分または構成要素である。
シガレット等の大衆的な喫煙品は、実質的に円筒状のロッド形状の構造を有し、巻紙により囲まれてそれによりいわゆる「タバコロッド」を形成している、(例えば、カットフィラー形態の)刻みタバコ等の喫煙可能材料の装入物、ロールまたはカラムを含む。通常、シガレットは、タバコロッドと端部どうしが結び付いて一列になった、円筒状のフィルター要素を有する。典型的には、フィルター要素は、「巻取紙」として知られている紙材料により取り巻かれた可塑化酢酸セルローストウを備える。特定のシガレットは、複数の区画を有するフィルター要素を組み込んでおり、それらの区画の1つは、活性炭粒子を含み得る。
典型的には、フィルター要素は、「チップ紙」として知られている巻き合わせ用包装材を使用して、タバコロッドの一端に付着されている。吸い込まれた主流煙を周囲空気によって希釈をするために、チップ材料および巻取紙に開孔することもまた望ましくなった。シガレットは、喫煙者がその一端に点火してタバコロッドを燃やすことによって用いられる。喫煙者は次いで、シガレットの反対側端部(例えば、フィルター端部)を吸うことにより、彼/彼女の口の中に主流煙を受け入れる。
シガレット製造のために使用されるタバコは、典型的には、ブレンドされた形態において使用される。例えば、「アメリカンブレンド」と一般的に呼ばれている特定の大衆的なタバコブレンドは、黄色種タバコ、バーレー種タバコおよびオリエンタル種タバコの混合物を含み、多くの場合において、再構成タバコおよび加工タバコ葉柄等の特定の加工タバコも含む。特定のシガレット銘柄の製造のために使用されるタバコブレンド中の各種のタバコの正確な量は、銘柄によって変化する。しかしながら、多くのタバコブレンドに関して、黄色種タバコは、ブレンドのうちの比較的大きな比率を占め、一方で、オリエンタル種タバコは、ブレンドのうちの比較的小さな比率を占める。例えば、Tobacco Encyclopedia、Voges(編集者)p.44−45(1984)、Browne、The Design of Cigarettes、第3版、p.43(1990)およびTobacco Production,Chemistry and Technology、Davisら(編集者)p.346(1999)を参照されたい。
ここ数年にわたって、様々な処理方法および添加剤が、タバコ製品中に利用されたタバコ材料の全体的な特質または性質を改変するために提案されてきた。例えば、添加剤または処理プロセスは、タバコ材料の化学的特性もしくは感覚的特性を改変するために利用されてきており、または、喫煙可能タバコ材料の場合、タバコ材料を含む喫煙品により発生した主流煙の化学的特性もしくは感覚的特性を改変するために利用されてきた。シガレット煙の感覚的属性は、シガレットの様々な構成要素に着香材料を組み込むことにより増強することができる。例示的な着香添加剤は、メントールならびにピラジン、アミノ糖およびアマドリ化合物等のメイラード反応の生成物を含む。参照により本明細書に組み込むLeffingwellら、Tobacco Flavoring for Smoking Products、R.J.Reynolds Tobacco Company(1972)もまた参照されたい。いくつかの場合において、熱の使用を伴う処理プロセスは、加工タバコに、所望の色もしくは視覚的特質、所望の感覚的特性、または所望の物性もしくはテクスチャーを付与することができる。タバコ組成物中への使用のための風味豊かで香り高い組成物を調製するための様々なプロセスが、Rookerへの米国特許第3,424,171号、Luttichへの米国特許第3,476,118号、Osborne,Jr.らへの米国特許第4,150,677号、Robertsらへの米国特許第4,986,286号、Whiteらへの米国特許第5,074,319号、Whiteらへの米国特許第5,099,862号、Sensabaugh,Jr.への米国特許第5,235,992号、Raymondらへの米国特許第5,301,694号、Coleman,IIIらへの米国特許第6,298,858号、Coleman,IIIらへの米国特許第6,325,860号、Coleman,IIIらへの米国特許第6,428,624号、Dubeらへの米国特許第6,440,223号、Coleman,IIIへの米国特許第6,499,489号、およびWhiteらへの米国特許第6,591,841号、Coleman,IIIへの米国特許出願公開第2004/0173228号、および2008年8月14日に出願されたColeman,IIIらへの米国特許出願第12/191,751号に記載されており、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込む。さらに、タバコ製品中にいわゆる天然タール希釈剤として用いられ得る代表的な構成要素の例は、参照により本明細書に組み込むLipowiczへのPCT WO2007/012980にセットされている。
タバコは、いわゆる「無煙」形態において楽しむこともできる。特に大衆的な
無煙タバコ製品は、ある形態の加工タバコまたはタバコ含有配合物を使用者の口の中に挿入することにより用いられる。様々な種類の無煙タバコ製品が、Schwartzへの米国特許第1,376,586号、Leviへの米国特許第3,696,917号、Pittmanらへの米国特許第4,513,756号、Sensabaugh,Jr.らへの米国特許第4,528,993号、Storyらへの米国特許第4,624,269号、Townsendへの米国特許第4,987,907号、Sprinkle,IIIらへの米国特許第5,092,352号、およびWhiteらへの米国特許第5,387,416号、Stricklandらへの米国特許出願公開第2005/0244521号、Engstromらへの米国特許出願公開第2008/0196730号、およびKumarらへの米国特許出願公開第2009/0293889号、ArnarpらへのPCT WO04/095959号、AtchleyらへのPCT WO05/063060、BjorkholmへのPCT WO05/016036、およびQuinterらへのPCT WO05/041699に記載されており、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込む。例えば、Atchleyらへの米国特許第6,953,040号およびAtchleyらへの米国特許第7,032,601号に記載されている種類の無煙タバコ配合物、成分および加工方法を参照されたく、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込む。
無煙タバコ製品の一種は、「嗅ぎタバコ」と呼ばれている。「スヌース」と一般的に呼ばれている代表的な種類の湿性嗅ぎタバコ製品は、Swedish Match AB、Fiedler&Lundgren AB、Gustavus AB、Skandinavisk Tobakskompagni A/SおよびRocker Production AB等の会社によりまたはこれらを介して欧州において、特にスウェーデンにおいて製造されてきた。米国において入手可能なスヌース製品は、Camel Snus Frost、Camel Snus OriginalおよびCamel Snus Spiceの商品名のもとで、R.J.Reynolds Tobacco Companyにより販売されてきた。例えば、Bryzgalovら、1N1800 Life Cycle Assessment,Comparative Life Cycle Assessment of General Loose and Portion Snus(2005)もまた参照されたい。さらに、スヌース製造に関連した特定の品質基準は、いわゆるGothiaTek基準として組み上げられてきた。代表的な無煙タバコ製品は、Oliver Twistの商品名のもとでHouse of Oliver Twist A/Sによっても販売されてきており、Copenhagen、Skoal、SkoalDry、Rooster、Red Seal、HuskyおよびRevelの商品名のもとでU.S.Smokeless Tobaco Co.によっても販売されてきており、「taboka」の商品名のもとでPhilip Morris USAによっても販売されてきており、Levi Garrett、Peachy、Taylor’s Pride、Kodiak、Hawken Wintergreen、Grizzly、Dental、Kentucky KingおよびMammoth Caveの商品名のもとでConwood Company,LLCによっても販売されてきており、ならびにCamel Orbs、Camel SticksおよびCamel Stripsの商品名のもとでR.J.Reynolds Tobacco Companyによっても販売されてきた。
無煙タバコの感覚的属性は、特定の着香材料の組み込みによっても増強することができる。Williamsへの米国特許出願公開第2002/0162562号、Williamsへの米国特許出願公開第2002/0162563号、Atchleyらへの米国特許出願公開第2003/0070687号、Williamsへの米国特許出願公開第2004/0020503号、Breslinらへの米国特許出願公開第2005/0178398号、Stricklandらへの米国特許出願公開第2006/0191548号、Holton,Jr.らへの米国特許出願公開第2007/0062549号、Holton,Jr.らへの米国特許出願公開第2007/0186941号、Stricklandらへの米国特許出願公開第2007/0186942号、Dubeらへの米国特許出願公開第2008/0029110号、Robinsonらへの米国特許出願公開第2008/0029116号、Muaらへの米国特許出願公開第2008/0029117号、Robinsonらへの米国特許出願公開第2008/0173317号、およびNeilsenらへの米国特許出願公開第2008/0209586号を参照されたく、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込む。
いくつかのタバコ製品配合物のいずれにも見出された成分が、グリセリン(CAS56−81−5)である。「Glycerin」は、「Glycerine」ともつづられ得る。グリセリンは、例えば、グリセロール、1,2,3−プロパントリオールまたはトリヒドロキシプロパンとしても知られている。グリセリンは、タバコ製品配合物におけるいくつかの機能のうちのいずれかを供し得るが、グリセリンは、湿潤剤またはエモリエントとして働くことが当分野において知られている。さらに、グリセリンは、溶媒、可塑剤またはフィルムコーティングの構成要素としても機能し得る。グリセリンは、抗菌性保存剤としてもまた働き得る。グリセリンは水と混和できるため、グリセリンは、特定の水溶液の粘度または張性を増大するのに用いられる。典型的な室温において液体であるグリセリンは、粘性で無色である。
グリセリン等の化合物は、幅広い種々のタバコ製品の構成要素として用いられてきた。グリセリンは、ケーシング配合物の構成要素として用いられてきた。例えば、Shelarらへの米国特許第4,819,668号を参照されたい。グリセリンは、特定の種類のシガレットのためのエアロゾル形成材料としてもまた提案されてきた。例えば、Nestorらへの米国特許出願公開第2005/0066986号およびCrooksらへの米国特許出願公開第2010/0186757号を参照されたい。さらに、グリセリンは、特定の無煙タバコ配合物のための成分として提案されてきた。例えば、Brinkleyらへの米国特許出願公開第2009/0025739号を参照されたい。
米国特許第3,424,171号明細書 米国特許第3,476,118号明細書 米国特許第4,150,677号明細書 米国特許第4,986,286号明細書 米国特許第5,074,319号明細書 米国特許第5,099,862号明細書 米国特許第5,235,992号明細書 米国特許第5,301,694号明細書 米国特許第6,298,858号明細書 米国特許第6,325,860号明細書 米国特許第6,428,624号明細書 米国特許第6,440,223号明細書 米国特許第6,499,489号明細書 米国特許第6,591,841号明細書 米国特許出願公開第2004/0173228号明細書 米国特許出願公開第2012/191,751号明細書 国際公開第2007/012980号 米国特許第1,376,586号明細書 米国特許第3,696,917号明細書 米国特許第4,513,756号明細書 米国特許第4,528,993号明細書 米国特許第4,624,269号明細書 米国特許第4,987,907号明細書 米国特許第5,092,352号明細書 米国特許第5,387,416号明細書 米国特許出願公開第2005/0244521号明細書 米国特許出願公開第2008/0196730号明細書 米国特許出願公開第2009/0293889号明細書 国際公開第2004/095959号 国際公開第2005/063060号 国際公開第2005/016036号 国際公開第2005/041699号 米国特許第6,953,040号明細書 米国特許第7,032,601号明細書 米国特許出願公開第2002/0162562号明細書 米国特許出願公開第2002/0162563号明細書 米国特許出願公開第2003/0070687号明細書 米国特許出願公開第2004/0020503号明細書 米国特許出願公開第2005/0178398号明細書 米国特許出願公開第2006/0191548号明細書 米国特許出願公開第2007/0062549号明細書 米国特許出願公開第2007/0186941号明細書 米国特許出願公開第2007/0186942号明細書 米国特許出願公開第2008/0029110号明細書 米国特許出願公開第2008/0029116号明細書 米国特許出願公開第2008/0029117号明細書 米国特許出願公開第2008/0173317号明細書 米国特許出願公開第2008/0209586号明細書 米国特許第4,819,668号明細書 米国特許出願公開第2005/0066986号明細書 米国特許出願公開第2010/0186757号明細書 米国特許出願公開第2009/0025739号明細書
Tobacco Encyclopedia、Voges(編集者)p.44−45(1984) Browne、The Design of Cigarettes、第3版、p.43(1990) Tobacco Production,Chemistry and Technology、Davisら(編集者)p.346(1999) Leffingwellら、Tobacco Flavoring for Smoking Products、R.J.Reynolds Tobacco Company(1972) Bryzgalovら、1N1800 Life Cycle Assessment,Comparative Life Cycle Assessment of General Loose and Portion Snus(2005)
グリセリンが様々なタバコ製品の配合物において有用なことは上記から明確なはずであるので、とりわけ種々のタバコ製品中に利用されるタバコ組成物中で使用するために、グリセリンをタバコ、すなわち特に、ニコチアナ属種から生成する方法を提供することが、したがって望ましいことも理解できる。
(発明の要旨)
本発明は、喫煙品および無煙タバコ製品等の種々のタバコ製品中に利用されるタバコ組成物への組み込みのために有用な、ニコチアナ属種の植物から単離された構成要素を含む、ニコチアナ属種(例えば、タバコ由来材料)による材料を提供する。本発明は、ニコチアナ属種(例えば、タバコ材料)から構成要素を単離するための方法、ならびに、それらの構成要素およびそれらの構成要素を組み込んだタバコ材料を加工するための方法もまた提供する。例えば、タバコ由来材料は、タバコ材料の所望の構成要素を単離するために複数の連続抽出ステップを典型的には含み得る分離プロセスをタバコ植物の少なくとも一部(例えば、葉、茎、根または葉柄)に施すことにより調製することができる。
本発明との関係で使用する場合、用語「アシルグリセロール」は、次のうちの任意の1つ以上を表す:モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、トリアシルグリセロール。
本発明との関係で使用する場合、用語「バイオマス」は、植物の1つ以上の部分を表し、特に、植物の地上部分の全体を実質的に表し、場合によって植物の地下部分の一部またはすべてを含む。したがって、用語「バイオマス」は、葉を指し得、もしくは種子を指し得、もしくは植物の任意のその他の地上部分を指し得、またはその任意の組合せを指し得、場合によって植物の地下部分の一部もしくはすべてを含む。
本発明との関係で使用する場合、用語「ニコチアナ属の1つ以上の植物」は、ソラナセアエ科(family Solanaceae)のニコチアナ属のうちの任意の1つ以上の植物を表し、例えば、次のうちの任意の1つ以上を含む:N.アラータ(N.alata)、N.アレントシィ(N.arentsii)、N.エクセルシオール(N.excelsior)、N.フォルゲチアナ(N.forgetiana)、N.グラウカ(N.glauca)、N.グルチノサ(N.glutinosa)、N.ゴッセイ(N.gossei)、N.カワカミィ(N.kawakamii)、N.ナイチアナ(N.knightiana)、N.ラングスドルフィ(N.langsdorffi)、N.オトホラ(N.otophora)、N.セトチェリ(N.setchelli)、N.シルベストリス(N.sylvestris)、N.トメントーサ(N.tomentosa)、N.トメントシフォルミス(N.tomentosiformis)、N.ウンドゥラータ(N.undulata)およびN.サンデラエ(N.x sanderae)、N.アフリカーナ(N.africana)、N.アムプレキシカウリス(N.amplexicaulis)、N.ベナビデシィ(N.benavidesii)、N.ボナリエンシス(N.bonariensis)、N.デブネイ(N.debneyi)、N.ロンジフローラ(N.longiflora)、N.マリチナ(N.maritina)、N.メガロシホン(N.megalosiphon)、N.オシデンタリス(N.occidentalis)、N.パニクラタ(N.paniculata)、N.プルムバギニフォリア(N.plumbaginifolia)、N.ライモンジィ(N.raimondii)、N.ロスラタ(N.rosulata)、N.ルスチカ(N.rustica)、N.シムランス(N.simulans)、N.ストクトニィ(N.stocktonii)、N.スアベオレンス(N.suaveolens)、N.タバカム(N.tabacum)、N.ウンブラチカ(N.umbratica)、N.ベルチナ(N.velutina)、およびN.ウィガンジオイデス(N.wigandioides)、N.アカウリス(N.acaulis)、N.アクミナタ(N.acuminata)、N.アテヌアタ(N.attenuata)、N.ベンタミアナ(N.benthamiana)、N.カビコラ(N.cavicola)、N.クレベランジィ(N.clevelandii)、N.コルジフォリア(N.cordifolia)、N.コリンボサ(N.corymbosa)、N.フラグランス(N.fragrans)、N.グッドスピーディ(N.goodspeedii)、N.リネアリス(N.linearis)、N.ミエルシィ(N.miersii)、N.ヌジカウリス(N.nudicaulis)、N.オブツシフォリア(N.obtusifolia)、N.オシデンタリス亜種ヘルスペリス(N.occidentalis subsp.Hersperis)、N.パウシフローラ(N.pauciflora)、N.ペツニオイデス(N.petunioides)、N.クアドリバルビス(N.quadrivalvis)、N.レパンダ(N.repanda)、N.ロツンジフォリア(N.rotundifolia)、N.ソラニフォリア(N.Solanifolia)、N.スペガジニィ(N.spegazzinii)。
本発明との関係で使用する場合、「アルカリ金属水酸化物」は、式中MがLi、Na、K、Rb、CsまたはFrの式MOHを有する化合物のうちの任意の1つ以上を表す。
本発明との関係で使用する場合、「アルカリ土類酸化物または水酸化物」は、式中MがBe、Mg、Ca、Sr、BaまたはRaの式MOまたはM(OH)を有する化合物のうちの任意の1つ以上を表す。
本発明との関係で使用する場合、「鉱酸」は無機酸を表し、したがって、例えば、次のうちの任意の1つ以上を指し得る:硫酸、リン酸、硝酸、塩素酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、クロム酸、亜硫酸、亜リン酸、亜硝酸、式中Xがハロゲンのハロゲンスルホン酸HSOX、過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸、硫化水素、次亜リン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸。
本発明との関係で使用する場合、「エステラーゼ」は、エステル結合の加水分解を触媒する任意の1つ以上の酵素を表す。例えば、「エステラーゼ」は、EC3.1(エステル結合に対して作用する酵素)に属する任意の1つ以上の酵素を指し得、特に、EC3.1.1(カルボン酸エステルヒドロラーゼ)に属する任意の1つ以上の酵素を含む。「エステラーゼ」は、したがって、例えば、次のうちのいずれかに属する任意の1つ以上の酵素を指し得る:EC3.1.1.1(カルボキシルエステラーゼ)、EC3.1.1.3(トリアシルグリセロールリパーゼ)、EC3.1.1.6(アセチルエステラーゼ)、EC3.1.1.23(アシルグリセロールリパーゼ)。
本発明のニコチアナ由来(例えば、タバコ由来)材料の使用は、ニコチアナ材料に実質的に由来するまたは完全にさえ由来する喫煙品または無煙タバコ組成物のためのタバコ組成物の調製を可能にする。例えば、タバコ組成物は、このタバコ組成物の少なくとも約80重量パーセント、より典型的には少なくとも約90重量パーセント、またはさらには少なくとも約95重量パーセント(乾燥重量基準による。)がタバコ由来材料からなるように、ニコチアナ属種から単離された構成要素を含む、ある形態のタバコまたはタバコ由来材料を組み込むことができる。
タバコによる材料または物質、特に、ニコチアナ属種の植物もしくは植物の一部による材料または物質について、より十全な使用を実行する必要性があると認識されてきた。容易に入手可能でニコチアナ属種の植物もしくは植物の一部による出発物質または投入物、こうした出発物質または投入物は、それによりタバコによる材料または物質がより十全に利用され得るプロセスにおける出発物質または投入物として含めることに関して特に有用であり、とりわけ、タバコバイオマスおよびタバコ種子を含む。タバコバイオマスは、例えば、全部が収穫されたタバコ植物の物質の全体を含み得る。タバコバイオマスは、例えば、タバコ植物の地上部分の本質的にすべてを含み得、場合によって、タバコ植物の地下部分の一部またはすべてを含み得る。タバコバイオマスは、例えば、それからいわゆる「青汁」が例えばスクリュープレスの実行により排出された、全部が収穫されたタバコ植物の固体部分を含み得、またはタバコ植物の地上部分の本質的にすべてのうちの固体部分を含み得る。タバコバイオマスは、例えば、水の少なくとも一部が乾燥により除去されている、このような固体部分を含み得る。タバコ種子は、数分の一立方ミリメートル等、非常に小さな体積しか占有し得ない。この理由のため、タバコ種子を収穫すると選択されたときに複数のタバコ種子を収集することが、典型的には実用的である。
タバコによる材料または物質、特に、ニコチアナ属種の植物もしくは植物の一部による材料または物質について実行され得る、より十全な使用法の中でもとりわけなのが、ニコチアナ属種の植物または植物の一部が施され得る様々な化学転換である。このような化学転換は、1つ以上の所望の特性または好ましい特性を有する産物または生成物を生じさせ得る。このような産物または生成物はそれ自体、さらなる有用なプロセスのための出発物質または投入物として有用であり得る。ニコチアナ属種の植物または植物の一部に施し得る化学転換の中に、加水分解があり、例えば、酸触媒加水分解および塩基触媒加水分解を含む。エステルの酸触媒加水分解およびエステルの塩基触媒加水分解は、当分野において知られている。加水分解を受け得るエステルは、特に、例えばタバコバイオマスまたはタバコ種子を含むタバコ植物もしくはその任意の部分の中に存在するまたはこれらに由来するトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロールまたはモノアシルグリセロール等、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロールまたはモノアシルグリセロールのsn−1位、sn−2位もしくはsn−3位において見出されるエステルを含む。
エステルの酸触媒加水分解およびエステルの塩基触媒加水分解を含む、エステルの加水分解の様々な実施形態が、当分野において知られている。トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロールまたはモノアシルクリセロール中のエステル等、エステルの酸触媒加水分解に適した酸は、鉱酸であってよい。トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロールまたはモノアシルクリセロール中のエステル等、エステルの塩基触媒加水分解に適した塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等、1族アルカリ金属の一価のカチオンの水酸化物であってよい。
一態様において、本発明は、ニコチアナ属種のバイオマスまたは種子に由来するタバコ材料およびグリセリン含有構成要素を含む喫煙品または無煙タバコ組成物中での使用のためのタバコ組成物を提供し、ここで、グリセリン含有構成要素は、グリセリンを含む。
特定の実施形態において、本発明によるグリセリン含有構成要素は、高圧圧搾または冷間圧縮等、バイオマスまたは種子から脂質を搾り出すように適合された技法を使用して形成される。代替的には、本発明によるグリセリン含有構成要素は、適当な抽出技法および溶媒を使用して、バイオマスまたは種子から構成要素を抽出することにより形成される。例示的な溶媒は、ヘプタンおよびヘキサン等の炭化水素を含む。その他の分離プロセスが使用され得、クロマトグラフィー、蒸留、濾過、再結晶、溶媒−溶媒分配、およびそれらの組合せ等が使用され得る。抽出プロセスを使用して形成されたグリセリン含有構成要素は、溶媒抽出後に残留しているバイオマスまたは種子材料の溶媒可溶性部分または不溶性残渣のいずれかであってよい。圧縮プロセスを使用して形成されたグリセリン含有構成要素はとりわけ、圧縮されたバイオマスまたは種子材料から搾り出された、バイオマスまたは種子の脂質含有部分であってよい。
本発明によるグリセリン含有構成要素はグリセリンを含み、グリセリン含有構成要素が添加されているタバコ組成物の化学的特徴および/または物理的特徴を増強するために有用である。
本発明によるグリセリン含有構成要素は、そのままで使用することができ、または化学的に転換されたグリセリン含有構成要素の形態において使用することができる。例えば、グリセリン含有構成要素の化学転換は、水素化、酸/塩基反応、加水分解、熱処理、酵素処理およびこのようなステップの組合せを含み得る。化学的に転換されたグリセリン含有構成要素は、エステル化、トランスエステル化、異性体変換、アセタール形成、アセタール分解およびそれらの組合せからなる群より選択されるプロセスを施されたグリセリン含有構成要素であってよい。
好ましい実施形態において、本発明によるグリセリン含有構成要素は、バイオマスまたは種子から搾り出された脂質に少なくとも一部が由来する。
特定の実施形態において、グリセリン含有構成要素は、酵素処理されたバイオマスまたは種子に由来し得る。特定の実施形態において、グリセリン含有構成要素は、極性溶媒、非極性有機溶媒または超臨界流体を使用したバイオマスまたは種子の溶媒抽出により形成される、バイオマスまたは種子抽出物に由来でき、このような抽出物はその後、酵素処理を施すことができる。
本発明は、本明細書において記述されているグリセリン含有構成要素を含む喫煙品および無煙タバコ組成物もまた提供する。例えば、タバコ組成物は、タバコ細片に適用されるまたは再構成タバコ材料の構成要素として適用される、ケーシング配合物またはトップドレッシング配合物中にグリセリン含有構成要素を組み込むことができる。
本発明は、一態様において、ニコチアナ属種のバイオマスまたは種子からグリセリン含有構成要素を調製するための方法に関する。特定の好ましい実施形態において、本発明によるグリセリン含有構成要素を調製するための方法は、(1)収穫されたバイオマスもしくは種子またはそれらの一部に冷間圧縮、溶媒抽出、クロマトグラフィー、蒸留、濾過、再結晶、溶媒−溶媒分配またはそれらの組合せを施して、単離されたアシルグリセロール含有画分を形成することにより、収穫されたニコチアナ属種のバイオマスまたは種子からアシルグリセロール含有画分を単離すること、および(2)アシルグリセロール含有画分に加水分解を施すことによりアシルグリセロール含有画分を化学的に転換し、それによりグリセリン含有構成要素を形成することを含む。本方法は、喫煙品または無煙タバコ組成物中での使用に適合されたタバコ組成物に、本発明によるグリセリン含有構成要素を加えるステップをさらに含み得る。
本発明との関連において、したがって、ニコチアナ属種の植物または植物の一部、例えばバイオマスまたは種子のエステル−加水分解処理を含む化学転換は、グリセリンを含んでおりそこからグリセリンが単離され得る組成物の形成をもたらすことが見出されている。
したがって、一態様において、本発明は、タバコからグリセリンを生成する方法を提供する。このようなグリセリンは、タバコ材料およびニコチアナ属種に由来する構成要素を含む喫煙品または無煙タバコ組成物の中、その上またはその周囲での使用に適しており、ここで、この構成要素は、ニコチアナ属種に由来する。
本発明は、ここで、以下においてより十全に記述される。本発明は、しかしながら、多くの相異なる形態において実施することができ、本明細書において記載された実施形態に限定されると解釈すべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が網羅的で完全なものとなり、本発明の範囲を当業者に十全に伝達するように提供される。本明細書および特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないと明確に示していない限り、複数の指示対象を含む。「乾燥重量パーセント」または「乾燥重量基準」への言及は、乾燥成分(すなわち、水を除いたすべての成分)に基づいた重量を指す。
ニコチアナ属種からの植物の選択は変化し得、特に、1つまたは複数のタバコの種類が変化し得る。用いられ得るタバコは、黄色種タバコまたはバージニア種タバコ(例えば、K326)、バーレー種タバコ、日干し乾燥タバコ(例えば、Kateriniタバコ、Prelipタバコ、Komotiniタバコ、XanthiタバコおよびYambolタバコを含む、インディアン Kurnool種タバコおよびオリエンタル種タバコ)、メリーランド種タバコ、暗色タバコ、暗色火干しタバコ、暗色空気乾燥タバコ(例えば、Passandaタバコ、Cubanoタバコ、JatinタバコおよびBezukiタバコ)、明色空気乾燥タバコ(例えば、North WisconsinタバコおよびGalpaoタバコ)、インディアン空気乾燥タバコ、Red RussianタバコおよびRusticaタバコ、ならびに様々なその他の希少なまたは特殊なタバコを含む。様々な種類のタバコ、生育の実践および収穫の実践についての記述は、参照により本明細書に組み込むTobacco Production,Chemistry and Technology、Davisら(編集者)(1999)において記載されている。ニコチアナ属種の植物の様々な代表的な種類は、Goodspeed、The Genus Nicotiana,(Chonica Botanica)(1954)、Sensabaugh,Jr.らへの米国特許第4,660,577号、Whiteらへの米国特許第5,387,416号およびLawsonらへの米国特許第7,025,066号、Lawrence,Jr.への米国特許出願公開第2006/0037623号およびMarshallらへの米国特許出願公開第2008/0245377号において記載されており、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込む。特に興味深いのは、N.アラータ、N.アレントシィ、N.エクセルシオール、N.フォルゲチアナ、N.グラウカ、N.グルチノサ、N.ゴッセイ、N.カワカミィ、N.ナイチアナ、N.ラングスドルフィ、N.オトホラ、N.セトチェリ、N.シルベストリス、N.トメントーサ、N.トメントシフォルミス、N.ウンドゥラータおよびN.サンデラエである。同様に興味深いのは、N.アフリカーナ、N.アムプレキシカウリス、N.ベナビデシィ、N.ボナリエンシス、N.デブネイ、N.ロンジフローラ、N.マリチナ、N.メガロシホン、N.オシデンタリス、N.パニクラタ、N.プルムバギニフォリア、N.ライモンジィ、N.ロスラタ、N.ルスチカ、N.シムランス、N.ストクトニィ、N.スアベオレンス、N.タバカム、N.ウンブラチカ、N.ベルチナおよびN.ウィガンジオイデスである。ニコチアナ属種のその他の植物は、N.アカウリス、N.アクミナタ、N.アテヌアタ、N.ベンタミアナ、N.カビコラ、N.クレベランジィ、N.コルジフォリア、N.コリンボサ、N.フラグランス、N.グッドスピーディ、N.リネアリス、N.ミエルシィ、N.ヌジカウリス、N.オブツシフォリア、N.オシデンタリス亜種ヘルスペリス、N.パウシフローラ、N.ペツニオイデス、N.クアドリバルビス、N.レパンダ、N.ロツンジフォリア、N.ソラニフォリアおよびN.スペガジニィを含む。
ニコチアナ属種は、遺伝的改質または交配技法を使用して派生させることができる(例えば、タバコ植物は、遺伝子操作または交配されて、特定の構成要素の生成を増大もしくは減少させることができ、または、そうでない場合は特定の特徴または属性を変化させることができる。)。例えば、Fitzmauriceらへの米国特許第5,539,093号、Wahabらへの米国特許第5,668,295号、Fitzmauriceらへの米国特許第5,705,624号、Weiglへの米国特許第5,844,119号、Dominguezらへの米国特許第6,730,832号、Liuらへの米国特許第7,173,170号、Colliverらへの米国特許第7,208,659号、およびBenningらへの米国特許第7,230,160号、Conklingらへの米国特許出願公開第2006/0236434号、およびNielsenらへのPCT WO2008/103935に記載されている、植物の遺伝的改質の種類を参照されたい。
無煙タバコ製品および喫煙可能タバコ製品の調製に関して、収穫されたニコチアナ属種の植物は、乾燥プロセスを施されるのが典型的である。様々な種類のタバコのための様々な種類の乾燥プロセスについての記述は、Tobacco Production,Chemistry and Technology、Davisら(編集者)(1999)に記載されている。黄色種タバコを乾燥させるための例示的な技法および条件は、参照により本明細書に組み込むNestorら、Beitrage Tabakforsch.Int.、20、467−475(2003)およびPeeleへの米国特許第6,895,974号に記載されている。例えば、参照により本明細書に組み込むGrovesらへの米国特許第7,650,892号もまた参照されたい。タバコを空気乾燥させるための代表的な技法および条件は、参照により本明細書に組み込むRotonら、Beitrage Tabakforsch.Int.、21、305−320(2005)およびStaafら、Beitrage Tabakforsch.Int.、21、321−330(2005)に記載されている。特定の種類のタバコは、火力乾燥または天日乾燥等、代替的な種類の乾燥プロセスを施すことができる。好ましくは、乾燥させた収穫済みタバコは、次いで熟成される。
ニコチアナ属種の植物の少なくとも一部(例えば、タバコ部分の少なくとも一部)は、未熟な形態において用いることができる。つまり、植物またはこの植物の少なくとも一部分は、円熟または成熟したと通常はみなされる段階に到達する前に収穫することができる。したがって、例えばタバコは、タバコ植物が出芽の時点にあるとき、葉形成を開始しているとき、種子形成を開始しているとき、開花を開始しているとき等に収穫することができる。
ニコチアナ属種の植物の少なくとも一部(例えば、タバコ部分の少なくとも一部)は、成熟した形態において用いることができる。つまり、植物またはこの植物の少なくとも一部分は、この植物(または植物部分)が円熟、爛熟または成熟したと慣習的にみなされる時点に到達したときに収穫することができる。したがって、例えば、農家により従来用いられているタバコ収穫技法の使用を介して、オリエンタル種タバコ植物が収穫され得、バーレー種タバコ植物が収穫され得、またはバージニア種タバコ葉が収穫され得もしくは茎の部位を摘み取られ得る。
収穫後、ニコチアナ属種の植物またはその部分は、未加工形態において使用することができる(例えば、タバコは、全く乾燥プロセスを施すことなく使用することができる。)。例えば、未加工形態のタバコは、冷凍、冷凍乾燥、放射線照射の施用、黄色化、乾燥、調理(例えば、ロースト、フライまたはボイルされる。)され得、または、そうでない場合は後の使用のために保管もしくは処理しておくことができる。このようなタバコは、熟成条件にさらすこともまたできる。
本発明によれば、タバコ製品は、少なくとも1つのニコチアナ属種の植物から得られるもしくはこれらに由来する、ある形態のバイオマスまたは種子と組み合わさったタバコを組み込んでいる。つまり、本発明によるタバコ製品の一部は、バイオマスもしくは種子の部分もしくは小片等、ある形態のニコチアナ属種のバイオマスまたは種子からなり得、または、加工済みバイオマスもしくは種子またはそれらの構成要素を組み込んでいる加工済み材料からなり得る。タバコ製品の少なくとも一部は、バイオマスまたは種子から(例えば、抽出、蒸留またはその他の種類の加工技法により)除去された成分等、バイオマスまたは種子の構成要素からなり得る。タバコ製品の少なくとも一部は、バイオマスもしくは種子が化学反応を受けた後に収集された構成要素、またはバイオマスもしくは種子から収集された構成要素が化学反応(例えば、酸/塩基反応条件または酵素処理)を受けた後に収集された構成要素等、バイオマスまたは種子に由来する構成要素からなり得る。
ニコチアナ属種は、それが生成するバイオマスまたは種子の種類に関して選択することができる。例えば、植物は、比較的豊富なバイオマスまたは種子を生成する、比較的高レベルの特定の所望の構成要素を取り込んでいるバイオマスまたは種子を生成する等を基準にして選択することができる。
ニコチアナ属種の植物は、バイオマスまたは種子発育を促進するような農学的条件下で生育することができる。タバコ植物は、温室内で生育でき、生育箱内で生育でき、もしくは圃場内の屋外において生育でき、または水耕法によりに生育できる。
本発明によれば、バイオマスまたは種子は、ニコチアナ属種の植物から収穫される。バイオマスまたは種子を収穫する方法は変化し得る。典型的には、本質的にすべてのバイオマスまたは種子が収穫されて、そのままで用いられ得る。
植物のライフサイクル中の収穫の時期は変化し得る。例えば、バイオマスまたは種子は、未熟なときに収穫することができる。代替的には、バイオマスまたは種子は、植物が成熟に到達した時点の後に収穫することができる。
バイオマスまたは種子の収穫後の加工は変化し得る。収穫後、バイオマスもしくは種子またはそれらの部分は、収穫された形態において使用することができる(例えば、バイオマスは、いかなる乾燥および/または熟成プロセスステップを施すこともなく使用できる。)。例えば、バイオマスまたは種子は、有意な保管条件、取り扱い条件または加工条件にさらすことなく使用できる。特定の状況において、新鮮なバイオマスまたは種子は、事実上、収穫の直後に使用するのが好ましい。代替的には、例えば、バイオマスまたは種子は、後の使用のために冷蔵または凍結され得、凍結乾燥、放射線照射の施用、黄色化、除湿、(例えば、空気乾燥技法または熱の適用を用いる技法を使用して)乾燥、加熱もしくは調理(例えば、ロースト、フライまたはボイルされる。)され得、または、そうでない場合は後の使用のために保管または処理しておくことができる。
収穫されたバイオマスまたは種子は、物理的に加工することができる。バイオマスもしくは種子、またはそれらの1つ以上の部分は、部分または小片にさらに細分することができる(例えば、バイオマスまたは種子は、顆粒、粒子または微粉末と特徴付け得る小片または部分にまで粉体化、破砕、摩砕または粉砕することができる。)。バイオマスもしくは種子、またはそれらの1つ以上の部分は、(例えば、圧縮されることまたはロール処理を受けることにより)外力または圧力を受けることができる。このような加工条件を実施するとき、バイオマスまたは種子は、その天然の水分含量(例えば、収穫直後でのその水分含量)に近似する水分含量を有し得、バイオマスに水分を添加することにより達成される水分含量を有し得、またはバイオマスの乾燥に起因する水分含量を有し得る。例えば、バイオマスまたは種子の粉末化、破砕、粉砕または摩砕された小片は、約25重量パーセント未満の水分含量を有し得、しばしば約20重量パーセント未満の水分含量を有し得、頻繁には約15重量パーセント未満の水分含量を有し得る。バイオマスまたは種子の部分または小片は、さらなる加工なしでタバコ製品の構成要素として使用でき、または、代替的には粒子状バイオマスまたは種子材料は、タバコ製品への組み込み前にさらに加工できる。
収穫されたバイオマスもしくは種子、またはそれらの構成要素は、その他の種類の加工条件にさらされ得る。例えば、バイオマスまたは種子の構成要素は、互いを分離することができ、または、そうでない場合は化学的クラスまたは個々の化合物の混合物に分級することができる。本明細書において使用されるとき、「単離されたバイオマスまたは種子構成要素」または「バイオマスまたは種子単離物」は、ニコチアナ属種の植物のバイオマスまたは種子から分離された化合物または化合物の複合混合物である。単離されたバイオマスまたは種子構成要素は、単一の化合物であり得、類似した化合物(例えば、風味豊かなまたは香り高い化合物の異性体)の相同な混合物であり得、または異質な化合物の非相同な混合物(例えば、相異なる種類の様々な化合物の複合混合物、好ましくは望ましい感覚的属性を有する。)であり得る。
バイオマスまたは種子単離物中に存在し得る構成要素の種類の例は、様々な脂肪酸および様々なトリグリセリドを含む。例示的な脂肪酸は、パリミチン酸、リノール酸、オレイン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミトレイン酸、ヘプタデカン酸、ヘプタデセン酸、エライジン酸、ガンマ−レノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、11−エイコセン酸、8,11,14−エイコサトリエオン酸、11,14,17−エイコサトリエノン酸、5,8,11,14,17−エイコソペンタン酸、ヘニエコセノン酸、リグノセリン酸、4,7,10,15,19−デコサヘキサン酸およびステアリン酸を含む。例示的なトリグリセリドは、トリリノレイン、パルミト−ジ−リノレイン、ジ−パルミト−リノレイン、トリパルミチン、トリステアリンおよびトリオレインを含む。バイオマスまたは種子単離物の例示的な構成要素は、アミノ酸および様々なポリフェノール等、風味特徴および香り特徴を有する種々のその他の化合物もまた含む。
典型的な分離プロセスは、(例えば、極性溶媒、非極性有機溶媒または超臨界流体を使用した)溶媒抽出、クロマトグラフィー、蒸留、濾過、冷間圧縮またはその他の圧力ベース式技法、再結晶および/または溶媒−溶媒分配等、1つ以上のプロセスステップを含み得る。例示的な抽出および分離用の溶媒または担体は、水、アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)、炭化水素(例えば、ヘプタンおよびヘキサン)、ジエチルエーテルメチレンクロリドおよび超臨界二酸化炭素を含む。ニコチアナ属種から構成要素を抽出するために有用な例示的な技法は、Fioreへの米国特許第4,144,895号、Osborne,Jr.らへの米国特許第4,150,677号、Reidへの米国特許第4,267,847号、Wildmanらへの米国特許第4,289,147号、Brummerらへの米国特許第4,351,346号、Brummerらへの米国特許第4,359,059号、Mullerへの米国特許第4,506,682号、Keritsisへの米国特許第4,589,428号、Sogaらへの米国特許第4,605,016号、Pouloseらへの米国特許第4,716,911号、Niven,Jr.らへの米国特許第4,727,889、Bernasekらへの米国特許第4,887,618号、Clappらへの米国特許第4,941,484号、Faggらへの米国特許第4,967,771号、Robertsらへの米国特許第4,986,286号、Faggらへの米国特許第5,005,593号、Grubbsらへの米国特許第5,018,540号、Whiteらへの米国特許第5,060,669号、Faggへの米国特許第5,065,775号、Whiteらへの米国特許第5,074,319号、Whiteらへの米国特許第5,099,862号、Whiteらへの米国特許第5,121,757号、Faggへの米国特許第5,131,414号、Munozらへの米国特許第5,131,415号、Faggへの米国特許第5,148,819号、Kramerへの米国特許第5,197,494号、Smithらへの米国特許第5,230,354号、Faggへの米国特許第5,234,008号、Smithへの米国特許第5,243,999号、Raymondらへの米国特許第5,301,694号、Gonzalez−Parraらへの米国特許第5,318,050号、Teagueへの米国特許第5,343,879号、Newtonへの米国特許第5,360,022号、Clappらへの米国特許第5,435,325号、Brinkleyらへの米国特許第5,445,169号、Lauterbachへの米国特許第6,131,584号、Kierulffらへの米国特許第6,298,859号、Muaらへの米国特許第6,772,767号、およびThompsonへの米国特許第7,337,782号において記述されており、これらのすべては、参照により本明細書に組み込む。参照により本明細書に組み込むBrandtら、LC−GC Europe、p.2−5(2002年3月)およびWellings、A Practical Handbook of Preparative HPLC(2006年)に記載されている分離技法の種類もまた参照されたい。さらに、バイオマスまたはその構成要素は、参照により本明細書に組み込むIshikawaら、Chem.Pharm.Bull.、50、501−507(2002)、Tienpontら、Anal.Bioanal.Chem.、373、46−55(2002)、Ochiai、Gerstel Solutions Worldwide、6、17−19(2006)、Coleman,IIIら、J.Sci.Food and Agric、84、1223−1228(2004)、Coleman,IIIら、J.Sci.Food and Agric、85、2645−2654(2005)、Pawliszyn編集、Applications of Solid Phase Microextraction,RSC Chromatography Monographs、(Royal Society of Chemistry、UK)(1999)、Sahraouiら、J.Chrom.、1210、229−233(2008)、およびRaymondらへの第5,301,694号に記載されている種類の処理を施すことができる。例えば、参照により本明細書に組み込むFregaら、JAOCS、68、29−33(1991)、Patelら、Tob.Res.、24、44−49(1998)、Giannelosら、Ind.Crops Prod.、16、1−9(2002)、Mukhtarら、Chinese J.Chem.、25、705−708(2007)、Stanisavljevicら、Eur.J.Lipid Sci.Technol.、111、513−518(2009)に記載されている加工技法の種類もまた参照されたい。
タバコバイオマスまたは種子から、バイオマスまたは種子単離物を形成するその他の方法が用いられ得る。例えば、このような方法は、タバコバイオマスまたは種子源から脂質含有バイオマスまたは種子単離物(すなわち、タバコバイオマス由来油構成要素またはタバコ種子由来油構成要素)を生成することができる。植物バイオマスまたは種子から油構成要素を抽出する方法は、例えば、Steeleらへの米国特許第4,008,210号、Okumoriらへの米国特許第4,009,290号、Witteへの米国特許第4,045,879号、Witteへの米国特許第4,122,104号、Younらへの米国特許第4,298,540号、Karnofskyらへの米国特許第4,359,417号、Grimsbyへの米国特許第4,456,556号、Grimsbyへの米国特許第4,456,557号、Friedrichへの米国特許第4,466,923号、Sullivanへの米国特許第4,515,726号、Pikeらへの米国特許第4,847,106号、Stropへの米国特許第5,077,071号、Roosらへの米国特許第5,296,621号、Rolandらへの米国特許第5,397,571号、Waltersらへの米国特許第5,932,095号、Martinらへの米国特許第6,083,729号、Frankeへの米国特許第6,225,483号、Websterらへの米国特許第6,403,126号、Garcesらへの米国特許第6,414,172号、Wadsworthらへの米国特許第6,417,157号、Raoらへの米国特許第6,495,175号、Howardへの米国特許第6,504,085号、Wildeへの米国特許第6,860,998号、Holleyらへの米国特許第7,074,449号、およびWildeらへの米国特許第7,156,981号、ならびにKapilaらへの米国特許出願公開第2002/0121628号、Krasutskyらへの米国特許出願公開第2004/0009242号、Bathurstらへの米国特許出願公開第2005/0042347号、Fanらへの米国特許出願公開第2005/0147722号、およびArhancetらへの米国特許出願公開第2006/0111578号において記述されており、これらのすべては、参照により本明細書に組み込む。
バイオマスまたは種子の構成要素は、(バイオマスもしくは種子の一部として、または単離された構成要素の形態でのいずれにせよ)それらの構成要素が化学転換を受けるようにする条件にさらされ得る。例えば、バイオマスまたは種子から分離されたバイオマスまたは種子単離物は、化学転換を引き起こすように処理でき、またはその他の成分と混合できる。バイオマスまたは種子単離物の化学転換または改質は、それらのバイオマスまたは種子単離物の特定の化学的特性および物理的特性(例えば、それらの単離物の感覚的属性)の変化をもたらし得る。例示的な化学的改質プロセスは、酸/塩基反応、加水分解、加熱(例えば、少なくとも約50℃または少なくとも約75℃または少なくとも約90℃の温度等の高温にバイオマスまたは種子単離物がさらされる熱処理)および(例えば、ヒドロリアーゼ、グリコシダーゼまたはグルコシダーゼを使用した)酵素処理により実施することができ、したがって、バイオマスまたは種子単離物の構成要素は、エステル化、トランスエステル化、異性体変換、アセタール形成、アセタール分解等を受け得る。さらに、バイオマスまたは種子の様々な単離された脂質構成要素は、それらの構成要素の飽和度を改変し、したがって、それらの構成要素の物理的形態または挙動を改変するために水素化を施され得る。
一態様において、バイオマスまたは種子は、バイオマスから脂質を搾り取るために冷間圧縮することができ、それらの脂質構成要素は収集されて単離され、または代替的には、バイオマスまたは種子は、溶媒(例えば、極性溶媒または非極性有機溶媒)を使用した溶媒抽出を施すことができ、得られた抽出物が収集され、抽出された構成要素が単離される。次いで、様々なバイオマスまたは種子構成要素は、酵素処理されたバイオマスまたは種子材料を形成するために酵素処理を施される。酵素処理された材料は次いで、バイオマスまたは種子単離物を形成するために溶媒抽出を施される。
一実施形態において、分離プロセスまたは単離プロセスは、収穫されたバイオマスもしくは種子またはそれらの一部を冷凍して、冷凍されたバイオマスまたは種子材料を形成すること、冷凍されたバイオマスまたは種子材料を粒子形態に加工すること、粒子状バイオマスまたは種子材料に酵素処理を施して、粒子状バイオマスまたは種子材料を化学的に改変すること、および溶媒を用いて粒子状バイオマスまたは種子材料を抽出して、バイオマスまたは種子単離物を生成することを含む。例示的な酵素処理は、グリコシダーゼまたはグルコシダーゼによる処理を含む。
バイオマスまたは種子およびバイオマスまたは種子単離物の構成要素は、タバコ組成物、特に喫煙品または無煙タバコ製品に組み込まれたタバコ組成物のための構成要素として有用である。タバコ組成物への本発明によるバイオマスまたは種子構成要素の添加は、バイオマスまたは種子単離物の性質およびタバコ組成物の種類に応じて、種々の点においてタバコ組成物を増強し得る。例示的なバイオマスまたは種子構成要素は、タバコ製品(例えば、タバコ組成物またはそれに由来する煙の感覚的特徴を改変する組成物)に風味および/または香りを付与するように働き得る。
バイオマスまたは種子単離物の形態は変化し得る。典型的には、バイオマスまたは種子単離物は、固体、液体、または半固体もしくはゲル形態になっている。バイオマスまたは種子単離物は、凝固形態、無水形態または無希釈形態において使用することができる。バイオマスまたは種子単離物は、乾燥粒子形態、蝋状形態または濃厚ペースト形態を有し得る。バイオマスまたは種子単離物の液体形態は、水性溶媒担体または有機溶媒担体の中に含有されている単離物を含む。
バイオマスまたは種子、加工済みバイオマスまたは種子、およびバイオマスまたは種子単離物は、種々の形態において用いることができる。収穫されたバイオマスまたは種子またはバイオマスもしくは種子単離物は、加工タバコの構成要素として用いることができる。一観点において、バイオマスもしくは種子、またはそれらの構成要素は、(例えば、参照により本明細書に組み込むShelarへの米国特許第4,819,668号に記載されている種類の様式および方法を使用して)タバコ細片への適用のためのトップドレッシング配合物中に用いることができ、またはケーシング配合物中に用いることができる。代替的には、バイオマスもしくは種子、またはそれらの構成要素は、(例えば、参照により本明細書に組み込むSohnへの米国特許第5,143,097号、Brinkleyらへの米国特許第5,159,942号、Jakobへの米国特許第5,598,868号、Youngへの米国特許第5,715,844号、Gellatlyへの米国特許第5,724,998号、およびKumarへの米国特許第6,216,706号に概して記載されている種類のタバコ再構成プロセスを使用して)再構成タバコ材料の成分として用いることができる。バイオマスもしくは種子、またはそれらの構成要素は、シガレット製造プロセス中、シガレットフィルター内に(例えば、フィルタープラグ、巻取紙またはチップ紙内に)組み込むこともでき、または、シガレット包装紙内に、好ましくはその内面に対して組み込むこともできる。蝋状または滑らかなテクスチャーを有するバイオマスまたは種子単離物は、形成された無煙タバコ製品の表面用のコーティングとして使用することができる。粘着特性を有するバイオマスまたは種子単離物は、タバコ製品中の接着剤(または接着剤の構成要素)または結合剤として使用することができる。油様特質または液体様特質を有するバイオマスまたは種子単離物は、(例えば、トリグリセリド系溶媒の代わりに使用する、もしくはトリグリセリド系溶媒と同等に作用するように使用するための、または、湿潤剤としてのグリコール系溶媒もしくは構成要素をケーシングするための担体としてのグリコール系溶媒の代わりに)溶媒として使用することができる。
バイオマスまたは種子、加工済みバイオマスまたは種子、およびバイオマスまたは種子単離物は、喫煙品に組み込むことができる。バイオマスまたは種子、加工済みバイオマスまたは種子、およびバイオマスまたは種子単離物は、タバコ製品の製造において用いられるその他の構成要素と混合することができる。バイオマスまたは種子材料と混合できるさらなる成分の例示的な種類は、着香料、充填剤、結合剤、pH調整剤、緩衝剤、着色料、崩壊助剤、抗酸化剤、湿潤剤および保存剤を含む。代表的なタバコブレンド、非タバコ構成要素、およびそれらから製造された代表的なシガレットは、Lawsonらへの米国特許第4,836,224号、Perfettiらへの米国特許第4,924,888号、Brownらへの米国特許第5,056,537号、Gentryへの米国特許第5,220,930号、およびBlakleyらへの米国特許第5,360,023号、Shaferらへの米国特許出願公開第2002/0000235号およびPCT WO02/37990に記載されている。それらのタバコ材料は、Sensabaughへの米国特許第4,793,365号、Clearmanらへの米国特許第4,917,128号、Brooksらへの米国特許第4,947,974号、Korteへの米国特許第4,961,438号、Lawrenceらへの米国特許第4,920,990号、Clearmanらへの米国特許第5,033,483号、Gentryらへの米国特許第5,074,321号、Drewettらへの米国特許第5,105,835号、Riggsらへの5,178,167号、Clearmanらへの米国特許第5,183,062号、Shannonらへの米国特許第5,211,684号、Deeviらへの米国特許第5,247,949号、Riggsらへの米国特許第5,551,451号、Banerjeeらへの米国特許第5,285,798号、Farrierらへの米国特許第5,593,792号、Bensalemらへの米国特許第5,595,577号、Countsらへの米国特許第5,816,263号、Barnesらへの米国特許第5,819,751号、Bevenらへの米国特許第6,095,153号、Nicholsらへの米国特許第6,311,694号、およびNicholsらへの米国特許第6,367,481号、Robinsonらへの米国特許出願公開第2008/0092912号、ならびにPCT WO97/48294およびPCT WO98/16125において記述されている種類のシガレットの製造のために用いることもまたできる。Chemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco、R.J.Reynolds Tobacco Company Monograph(1988)およびInhalation Toxicology、12:5、p.1−58(2000)において記述されている種類の市販のシガレットもまた参照されたい。
ニコチアナ系のバイオマスまたは種子、加工済みバイオマスまたは種子、およびバイオマスまたは種子単離物は、ルース型湿性嗅ぎタバコ、ルース型乾燥嗅ぎタバコ、噛みタバコ、(例えば、丸薬、錠剤、球体、コイン、ビーズ、扁球または豆の形状を有する。)ペレット化されたタバコ小片、押出または成形されたタバコ細片、小片、ロッド、円筒またはスティック、微細に分割されて粉砕された粉末、粉末化された小片および構成要素の微細に分割または摩砕された凝集体、薄片状小片、成型された加工タバコ小片、タバコ含有ゴムの小片、テープ状フィルムのロール、容易に水に溶解可能なもしくは水に分散可能なフィルムもしくは細片(例えば、Chanらへの米国特許出願公開第2006/0198873号)、または、外殻(例えば、本質的に透明であり得、無色であり得、半透明であり得、または非常に着色されていてもよい、柔軟または硬い外殻)およびタバコもしくはタバコ風味(例えば、ある形態のタバコを組み込んでいるニュートン流体またはチクソトロピー流体)を保有する内側領域を保有するカプセル状材料等、無煙タバコ製品に組み込むことができる。様々な種類の無煙タバコ製品が、Schwartzへの米国特許第1,376,586号、Leviへの米国特許第3,696,917号、Pittmanらへの米国特許第4,513,756号、Sensabaugh,Jr.らへの米国特許第4,528,993号、Storyらへの米国特許第4,624,269号、Townsendへの米国特許第4,987,907号、Sprinkle,IIIらへの米国特許第5,092,352号、およびWhiteらへの米国特許第5,387,416号、Stricklandらへの米国特許出願公開第2005/0244521号、およびEngstromらへの米国特許出願公開第2008/0196730号、ArnarpらへのPCT WO04/095959、AtchleyらへのPCT WO05/063060、BjorkholmへのPCT WO05/016036、およびQuinterらへのPCT WO05/041699に記載されており、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込む。Atchleyらへの米国特許第6,953,040号およびAtchleyらへの米国特許第7,032,601号、Williamsへの米国特許出願公開第2002/0162562号、Williamsへの米国特許出願公開第2002/0162563号、Atchleyらへの米国特許出願公開第2003/0070687号、Williamsへの米国特許出願公開第2004/0020503号、Breslinらへの米国特許出願公開第2005/0178398号、Stricklandらへの米国特許出願公開第2006/0191548号、Holton,Jr.らへの米国特許出願公開第2007/0062549号、Holton,Jr.らへの米国特許出願公開第2007/0186941号、Stricklandらへの米国特許出願公開第2007/0186942号、Dubeらへの米国特許出願公開第2008/0029110号、Robinsonらへの米国特許出願公開第2008/0029116号、Muaらへの米国特許出願公開第2008/0029117号、Robinsonらへの米国特許出願公開第2008/0173317号、およびNeilsenらへの米国特許出願公開第2008/0209586号に記載されている種類の無煙タバコ配合物、成分および加工方法もまた参照されたく、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込む。
バイオマスまたは種子材料に分離プロセス(例えば、冷間圧縮または溶媒抽出)を施し、バイオマスまたは種子のある程度の部分を除去した後に残留しているバイオマスまたは種子材料の残渣は、バイオマスもしくは種子、またはバイオマスもしくは種子単離物に関して本明細書において言及されたタバコ製品のいずれかを含むタバコ製品に組み込むこともまたできる。例えば、バイオマスまたは種子を冷間圧縮し、脂質構成要素を除去した後に残留しているバイオマスまたは種子残渣は、タバコ組成物構成要素として(例えば、再構成タバコ材料の部分として)使用でき、喫煙品または無煙タバコ組成物に組み込むことができる。バイオマスまたは種子材料の溶媒可溶性部分の溶媒抽出後に残留している不溶性パルプ残渣は、タバコ組成物の構成要素として同様に使用することができる。
バイオマスまたは種子のトリグリセリド含有単離物等、特定のバイオマスまたは種子単離物は、喫煙品または無煙タバコ組成物中に使用されるカプセルの構成要素として使用することができる。特に、バイオマスまたは種子のトリグリセリド含有単離物は、着香料と組み合わせて、特定の破壊性カプセルの内部ペイロード内で希釈剤または担体として使用できる。典型的には、本発明によるこのようなカプセルは、外壁および内部の液体状、固体状またはゲル状ペイロードを有する。ペイロードは、カプセル壁の破断の際に放出される。このようなバイオマスまたは種子単離物を組み込み得る例示的なカプセル含有タバコ製品は、Dubeらへの米国特許出願公開第2004/0261807号、Clarkらへの米国特許出願公開第2005/0066982号、Holtonらへの米国特許出願公開第2007/0186941号、Stokesらへの米国特許出願公開第2008/0302373号、およびHartmannらへの米国特許出願公開第2009/0050163号に記載されており、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込む。
本発明の態様は、本発明の特定の態様を例示するために示された下記の例によってより十全に例示され、その限定として解釈すべきではない。
本発明との関連において、グリセリンは、化学的または物理的に未転換のまたは転換済みの、ニコチアナ属種によるバイオマスまたは種子の加水分解処理により、容易に派生することが見出されている。酸触媒加水分解または塩基触媒加水分解(「けん化」)は、グリセリンのこのような生成に適している。さらに、リパーゼまたはその他の適切な酵素による酵素処理は、このような生成のために有用である。
一実施形態において、種子は、成熟したニコチアナ植物から収集される。種子は粉末に粉砕され、粉末はヘキサンによって抽出される。溶媒は次いで、熱を用いる、または周囲温度で、または共沸混合物の使用により、いずれにせよヘキサン画分から蒸発されて、油性塊が残る。油性塊は、適切な両親媒性溶媒中に溶解されて、中間混合物を形成する。ある体積のアルカリ金属水酸化物または鉱酸のいずれかが次いで中間混合物に添加され、反応は進行するままに置かれ、ここで、グリセロールおよび脂肪酸が形成される。過剰な溶媒は次いで蒸発され、生成物混合物が残る。生成物混合物は、非極性溶媒によって抽出され、この場合、グリセロール生成物のバルクが残渣中に残留し、極性溶媒によって抽出される場合は、グリセロール生成物のバルクが抽出される。
一実施形態において、本発明は、タバコからグリセリンを生成するための方法であって、タバコ植物に由来するアシルグリセロール含有出発物質を、前記出発物質中に含有するアシルグリセロールの少なくとも一部が加水分解するのに十分な時間の間、アルカリ金属水酸化物または鉱酸を含む組成物と接触させ、それにより脂肪酸およびグリセリンを生成することを含む方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、ニコチアナ属種の植物または植物の一部に由来するグリセリンを含む、植物または植物の一部の加水分解処理による製造品を提供する。
本発明によれば、ニコチアナ属種の植物または植物の一部の加水分解処理における使用のための鉱酸は、工業的に許容される鉱酸を含み得、特に、硫酸および塩酸から選択される鉱酸を含み得る。
本発明によれば、ニコチアナ属種の植物または植物の一部の加水分解処理における使用のためのアルカリ金属水酸化物は、工業的に許容されるアルカリ金属水酸化物を含み得、特に、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを含み得る。
本発明によれば、ニコチアナ属種の1つ以上の植物の少なくとも一部を鉱酸またはアルカリ金属水酸化物と接触させるための条件は、当業者の裁量に従って選択することができ、このようないわゆる反応条件は、反応の時間、温度、圧力、pH、イオン強度、混合の速度、撹拌、スパージング、曝気等のような変数を含む。
本発明によれば、本発明による組成物の作製、本発明による方法、または本発明による製造品の作製における、ニコチアナ属種の1つ以上の植物の少なくとも一部の使用のために、ニコチアナ属種の1つ以上の植物の少なくとも一部に、工業的に許容される任意の処理をしても、または処理をしなくても適合し得る。
本発明は、下記の態様のうちの任意の1つ以上を参照することでさらに理解することができる。
態様1.ニコチアナ属の1つ以上の植物からグリセリンを生成するための方法であって、ニコチアナ属の1つ以上の植物に由来するアシルグリセロール含有出発物質を、前記出発物質中に含有するアシルグリセロールの少なくとも一部が加水分解するのに十分な時間の間、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類酸化物もしくは水酸化物、鉱酸、またはエステラーゼを含む組成物と接触させ、それにより脂肪酸およびグリセリンを生成することを含む、方法。
態様2.アシルグリセロール含有出発物質がタバコに由来する、態様1の方法。
態様3.アシルグリセロール含有出発物質がタバコバイオマスに由来する、態様2の方法。
態様4.アシルグリセロール含有出発物質がタバコ種子に由来する、態様2の方法。
態様5.アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群の少なくとも1つの構成員を含む、態様1の方法。
態様6.アルカリ土類酸化物または水酸化物が、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムからなる群の少なくとも1つの構成員を含む、態様1の方法。
態様7.鉱酸が、硫酸、リン酸、硝酸、塩素酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、クロム酸、亜硫酸、亜リン酸、亜硝酸、式中Xがハロゲンのハロゲンスルホン酸HSO3X、過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸、硫化水素、次亜リン酸、テトラフルオロホウ酸およびヘキサフルオロリン酸からなる群の少なくとも1つの構成員を含む、態様1の方法。
態様8.鉱酸が、硫酸および塩酸からなる群の少なくとも1つの構成員を含む、態様7の方法。
態様9.エステラーゼが、EC3.1.1.1(カルボキシルエステラーゼ)、EC3.1.1.3(トリアシルグリセロールリパーゼ)、EC3.1.1.6(アセチルエステラーゼ)、EC3.1.1.23(アシルグリセロールリパーゼ)からなる群の少なくとも1つの構成員を含む、態様1の方法。
態様10.エステラーゼがトリアシルグリセロールリパーゼを含む、態様9の方法。
態様11.エステラーゼがアシルグリセロールリパーゼを含む、態様9の方法。
態様12.アシルグリセロール含有出発物質がトリアシルグリセロールを含む、態様1の方法。
態様13.アシルクリセロール含有出発物質がジアシルグリセロールを含む、態様1の方法。
態様14.アシルグリセロール含有出発物質がモナシルグリセロールを含む、態様1の方法。
態様15.態様1による方法により生成されたグリセリンおよびニコチアナ属の1つ以上の植物からのバイオマスまたは再構成タバコを含む、製造品。
態様16.ニコチアナ属の1つ以上の植物からのバイオマスがタバコバイオマスを含む、態様15の製造品。
態様17.ニコチアナ属の1つ以上の植物からのバイオマスがタバコ葉を含む、態様15の製造品。
態様18.態様1による方法により生成されたグリセリン、着香料およびニコチアナ属の1つ以上の植物からのバイオマスまたは再構成タバコを含む、無煙タバコ組成物。
態様19.ニコチアナ属の1つ以上の植物からのバイオマスがタバコバイオマスを含む、態様17の無煙タバコ組成物。
態様20.ニコチアナ属の1つ以上の植物からのバイオマスがタバコ葉を含む、態様17の無煙タバコ組成物。
本発明の多くの修正形態およびその他の実施形態が、上記の記述において提示された教示の利益を有する、本発明が属する分野の業者には思い浮かぶ。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されないこと、また修正形態およびその他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理解すべきである。特定の用語が本明細書において用いられているが、それらは、一般的で記述用の意味においてのみ使用されており、限定のためには使用されていない。

Claims (20)

  1. ニコチアナ属の1つ以上の植物からグリセリンを生成するための方法であって、ニコチアナ属の1つ以上の植物に由来するアシルグリセロール含有出発物質を、前記出発物質中に含有するアシルグリセロールの少なくとも一部が加水分解するのに十分な時間の間、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類酸化物もしくは水酸化物、鉱酸、またはエステラーゼを含む組成物と接触させ、それにより脂肪酸およびグリセリンを生成することを含む、方法。
  2. アシルグリセロール含有出発物質がタバコに由来する、請求項1に記載の方法。
  3. アシルグリセロール含有出発物質がタバコバイオマスに由来する、請求項2に記載の方法。
  4. アシルグリセロール含有出発物質がタバコ種子に由来する、請求項2に記載の方法。
  5. アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群の少なくとも1つの構成員を含む、請求項1に記載の方法。
  6. アルカリ土類酸化物または水酸化物が、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムからなる群の少なくとも1つの構成員を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 鉱酸が、硫酸、リン酸、硝酸、塩素酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、クロム酸、亜硫酸、亜リン酸、亜硝酸、式中Xがハロゲンのハロゲンスルホン酸HSOX、過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸、硫化水素、次亜リン酸、テトラフルオロホウ酸およびヘキサフルオロリン酸からなる群の少なくとも1つの構成員を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 鉱酸が、硫酸および塩酸からなる群の少なくとも1つの構成員を含む、請求項7に記載の方法。
  9. エステラーゼが、EC3.1.1.1(カルボキシルエステラーゼ)、EC3.1.1.3(トリアシルグリセロールリパーゼ)、EC3.1.1.6(アセチルエステラーゼ)、EC3.1.1.23(アシルグリセロールリパーゼ)からなる群の少なくとも1つの構成員を含む、請求項1に記載の方法。
  10. エステラーゼがトリアシルグリセロールリパーゼを含む、請求項9に記載の方法。
  11. エステラーゼがアシルグリセロールリパーゼを含む、請求項9に記載の方法。
  12. アシルグリセロール含有出発物質がトリアシルグリセロールを含む、請求項1に記載の方法。
  13. アシルクリセロール含有出発物質がジアシルグリセロールを含む、請求項1に記載の方法。
  14. アシルグリセロール含有出発物質がモナシルグリセロールを含む、請求項1に記載の方法。
  15. 請求項1に記載の方法により生成されたグリセリンおよびニコチアナ属の1つ以上の植物からのバイオマスまたは再構成タバコを含む、製造品。
  16. ニコチアナ属の1つ以上の植物からのバイオマスがタバコバイオマスを含む、請求項15に記載の製造品。
  17. ニコチアナ属の1つ以上の植物からのバイオマスがタバコ葉を含む、請求項15に記載の製造品。
  18. 請求項1に記載の方法により生成されたグリセリン、着香料、およびニコチアナ属の1つ以上の植物からのバイオマスまたは再構成タバコを含む、無煙タバコ組成物。
  19. ニコチアナ属の1つ以上の植物からのバイオマスがタバコバイオマスを含む、請求項17に記載の無煙タバコ組成物。
  20. ニコチアナ属の1つ以上の植物からのバイオマスがタバコ葉を含む、請求項17に記載の無煙タバコ組成物。
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