JP2014504298A - 二価結合剤による翻訳後修飾されたポリペプチドの検出 - Google Patents

二価結合剤による翻訳後修飾されたポリペプチドの検出 Download PDF

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Abstract

本発明は、標的ポリペプチドのポリペプチドエピトープに結合する第1一価結合剤、その標的ポリペプチド上の翻訳後ポリペプチド修飾に結合する第2一価結合剤およびリンカーからなる二価結合剤に関する。さらに、そのような二価結合剤の助けによる翻訳後修飾された標的ポリペプチドの検出のための方法、そのような二価結合剤を作製する方法および組織染色手順におけるそのような二価薬剤の使用を開示する。
【選択図】図2

Description

本発明は、標的ポリペプチドのポリペプチドエピトープに結合する第1一価結合剤、その標的ポリペプチド上の翻訳後ポリペプチド修飾に結合する第2一価結合剤およびリンカーからなる二価結合剤に関する。さらに、そのような二価結合剤の助けによる翻訳後修飾された標的ポリペプチドの検出のための方法、そのような二価結合剤を作製する方法および組織染色手順におけるそのような二価薬剤の使用を開示する。
ポリペプチドの一次構造、すなわちその配列は、それをコードする核酸により決定される。しかし、ポリペプチドの一次構造を知ることは、その話の一部にすぎない。多くのポリペプチド−50から90%までに及ぶと推定される−は二次修飾を受ける。例えば二次修飾のタイプ、修飾されたポリペプチドの割合に、および/または例えば二次修飾の正確な位置/部位に依存して、同一の一次構造を有するポリペプチドが極めて異なる生物学的機能を有し得る。
二次タンパク質修飾は、それぞれのタンパク質の細胞機能を精密に調整する。翻訳後修飾および機能変化の間の関係を理解すること(“ポストトランスレートミクス(posttranslatomics)”)は世界中で続いている莫大な努力であり、それはヒトゲノム計画に似ていなくもない。プロテオミクスは、分離技術および質量分析と組み合わせて、翻訳後修飾の個々の部分を細かく調べて特性付けし、系統的分析を提供することを可能にする。
数十年前、タンパク質はアミノ酸の線状ポリマーであると考えられていたが、そのようなポリペプチド鎖が単純なアミノ酸修飾により装飾される可能性があることが初めて明らかになった。しかし、最近1つのタンパク質中の非常に複雑な修飾が多くのプロセスで発見された。様々な化学修飾が単一のタンパク質中で観察されており、これらの修飾は単独または様々な組み合わせで、時間およびシグナル依存性の様式で起こる。タンパク質の翻訳後修飾はそれらの三次および四次構造を決定し、それらの活性および機能を制御する。“ポストトランスレートミクス”における進歩は、例えば生化学的経路の制御に、およびこれらのタンパク質に関わる疾患状態に関する二次修飾および生物学的機能の相互影響への多くの草分け的洞察をもたらしてきた。
しかし、二次修飾されたポリペプチドの検出および定量化は極めて複雑な道具および技法を必要とする。
翻訳後修飾されたポリペプチドを同定するために、しばしば様々なタイプの分離および場合により断片化技法が質量分析と組み合わせられる。
翻訳後修飾されたポリペプチドの免疫学的検出はかなり難しいことが一貫して判明してきた。様々なタイプの問題に直面する可能性がある。必要とされる免疫原を十分な純度および量で得ることが難しい可能性がある。標準的な免疫処置およびスクリーニング法に従って得られた抗体は、必要とされる特異性および/または親和性を有しない可能性がある。特に、高度に再現性のある、一貫した質の抗体、例えばモノクローナル抗体に関する必要性が存在する場合、そのような抗体を得ることは非常に厳しいことが判明する可能性がある。そのような抗体は、二次修飾およびそれを有するポリペプチドの一部からなるエピトープに強く結合しなければならないであろう。しかし、型にはまった手順により生成される多くの結合剤は同じ種類の翻訳後修飾を有する他のポリペプチドに対する交差反応を示し、認識されるエピトープに対する必要とされる親和性を示さず、および/または未修飾のポリペプチドに対する交差反応性を示す。
より大きなポリペプチドの多くは、1つのタイプの翻訳後修飾が起こるためのいくつかの部位を含んでさえいる。例えば、統計学的な様式で糖鎖付加されるいくつかのスレオニン残基が存在する可能性がある。そのようなポリペプチドの糖鎖付加状態を評価することは、翻訳後修飾を有する可能性のある位置のそれぞれに関する特異性を有するいくつかの異なる抗体を必要とする可能性がある。
現状技術の手順および結合剤に関する様々な可能性のある問題の上記の完全に網羅しているわけではない論考から、翻訳後修飾されたポリペプチドに高い親和性で結合し、再現性よく、事実上無制限の量および妥協のない質で生産することができる結合剤を提供する差し迫った必要性が存在することが明らかになる。
驚くべきことに、翻訳後修飾された標的ポリペプチドはリンカーを介して互いに連結された2個の一価結合剤からなる二価結合剤により検出することができることが分かっており、ここでその第1一価結合剤は前記の標的ポリペプチドのポリペプチドエピトープに結合し、その第2一価結合剤は翻訳後ポリペプチド修飾に結合し、ここでそれぞれの一価結合剤は5×10−3/秒〜10−4/秒の範囲のKdissを有し、ここでその二価結合剤は3×10−5/秒以下のKdissを有する。
翻訳後ポリペプチド修飾は、ポリペプチドの特性および/または活性を調節および/または制御するために非常に重要である。標的ポリペプチド上の特定のタイプの二次修飾の検出における使用のための1つの好都合な方法は、特異的な結合剤によるものであろう。
本発明は、リンカーを介して互いに連結されている2個の一価結合剤からなる、翻訳後修飾された標的ポリペプチドに結合する二価結合剤に関し、ここでその第1一価結合剤は前記の標的ポリペプチドのポリペプチドエピトープに結合し、ここでその第2一価結合剤は翻訳後ポリペプチド修飾に結合し、ここでそれぞれの一価結合剤は5×10−3/秒〜10−4/秒の範囲のkdissを有し、ここでその二価結合剤は3×10−5/秒以下のkdissを有する。
翻訳後修飾された標的ポリペプチドに特異的に結合する二価結合剤を得るための方法も開示し、その方法は、前記の標的ポリペプチドの翻訳後修飾されていないエピトープに5×10−3/秒〜10−4/秒のkdissで結合する第1一価結合剤を選択し、翻訳後ポリペプチド修飾に5×10−3/秒〜10−4/秒のKdissで結合する結合する第2一価結合剤を選択し、両方の一価結合剤をリンカーにより連結し、そして3×10−5/秒以下のKdiss値を有する二価結合剤を選択する工程を含む。
新規の二価結合剤の、特に免疫組織化学的手順における使用も記述および特許請求する。
図1 抗pIGF1−R二重結合剤の組み立ての効率を評価する分析的ゲル濾過実験。線図a、bおよびcは、個々の二重結合剤構成要素(フルオレセイン−ssFab’ 1.4.168、Cy5−ssFab’ 8.1.2およびリンカーDNA(T=0);ssFab’は一本鎖オリゴヌクレオチドにコンジュゲートしたFab’断片を意味する)の溶離プロフィールを示す。線図dは、二価結合剤を形成するのに必要な3種類の構成要素を1:1:1のモル比で混合した後の溶離プロフィールを示す。より太い(一番下の)曲線は、ssFab’タンパク質またはリンカーDNAそれぞれの存在を示す280nmにおいて測定された吸光度を表す。b)およびd)におけるより細い一番上の曲線(495nmにおける吸光度)はフルオレセインの存在を示し、a)におけるより細い一番上の曲線およびd)における中央の曲線(635nmにおける吸光度)は、Cy5の存在を示す。単一の二重結合剤の構成要素の溶離体積(VEssFab’ 1.4.168 約15ml;VEssFab’ 8.1.2 約15ml;VEリンカー 約16ml)の反応混合物の溶離体積(VE混合物 約12ml)との比較は、二重結合剤組み立て反応が成功であったことを示す(収率:約90%)。溶離された二重結合剤に相当する主な280nmのピークは、495nmおよび635nmのチャンネルにおける主なピークとうまく重なっており、二価結合剤に相当するピーク中にssFab’ 8.1.2およびssFab’ 1.4.168の両方が存在することを証明している。 図2 図2:Biacore(商標)実験のスキーム。模式的および例示的に、溶液中の2種類の結合分子を示す:T0−T−Dig(リンカー16)、二価結合剤およびT40−T−Dig(リンカー15)、二価結合剤。これら両方の二価結合剤はそれらのリンカーの長さにおいてのみ異なる(2個のハイブリダイズする核酸配列の間に追加のTを有しない中心のジゴキシゲニン化された(digoxigenylated)T対40個の追加のT(中心のT−Digのそれぞれの側に20個)を有する中心のジゴキシゲニン化されたT)。さらに、ssFab’断片8.1.2および1.4.168を用いた。 図3 100nM二価結合剤(T40−T−Dig ssDNAリンカー、すなわちリンカー15上にハイブリダイズしたssFab’ 8.1.2およびssFab’ 1.4.168からなる)の固定されたペプチドpIGF−1Rとの相互作用を、100nM ssFab’ 1.4.168または100nM ssFab’ 8.1.2の同じペプチドに対する結合特性と比較して示す、3つの速度論を重ねてプロットしたBiacore(商標)センサーグラム(sensorgram)。最も高い結合性能は二重結合剤コンストラクトを用いて得られ、これはその二重結合剤の協同的結合作用が標的ペプチドpIGF−1Rに対する親和性を増大させることを明確に示している。 図4 T40−T−Dig ssDNAリンカー、すなわちリンカー15上にハイブリダイズしたssFab’ 8.1.2およびssFab’ 1.4.168からなる二価結合剤の固定されたペプチドpIGF−1R(リン酸化されたIGF−1R)、IGF−1RまたはpIR(リン酸化されたインスリン受容体)との相互作用を示す3つの速度論を重ねてプロットしたBiacore(商標)センサーグラム。最も高い結合性能はpIGF−1Rペプチドで得られ、これは二重結合剤の協同的結合作用が標的ペプチドpIGF−1Rに対する特異性を例えばリン酸化されたインスリン受容体ペプチド(pIR)と比較して増大させることを明確に示している。 図5 T40−T−Dig ssDNAリンカー、すなわちリンカー15上にハイブリダイズしたssFab’ 8.1.2およびssFab’ 1.4.168からなる100nM二価結合剤ならびにリンカーDNAを有しない100nM ssFab’ 8.1.2およびssFab’ 1.4.168の混合物の相互作用を示す2つの速度論を重ねてプロットしたBiaore(商標)センサーグラム。最高の結合性能は二価結合剤を用いてのみ得られ、一方でリンカーを有しないssFab’の混合物は、これらのssFab’の合計濃度が200nMであったという事実にも関わらず、観察可能な協同的結合作用を示さない。 図6 Biacore(商標)サンドイッチアッセイの概略図。このアッセイは、両方の抗体のリン酸化されたIGF−1Rペプチドへのエピトープ接近可能性を調べるために用いられた。<MIgGFcy>Rはマウス抗体M−1.4.168を捕捉するために用いられたウサギ抗マウス抗体を示す。次いでM−1.4.168を用いてpIGF−1Rペプチドを捕捉する。M−8.1.2が最終的にM−1.4.168、ペプチドおよびM−8.1.2からなるサンドイッチを形成する。 図7 二次抗体8.1.2のpIGF−1Rペプチドに対する、これがBiacore(商標)チップ上で抗体1.4.168により捕捉された後の結合シグナル(太線)を示すBiacore(商標)センサーグラム。その他のシグナル(細い線)は対照シグナルである:一番上から一番下に向かって、それぞれ500nMの8.1.2、500nMの1.4.168;500nMの標的と無関係の抗体<CKMM>M−33−IgG;および500nMの標的と無関係の対照抗体<TSH>M−1.20−IgGの線を示す。これらの対照にいずれにおいても結合事象を検出することはできなかった。 図8 センサー表面上のビオチン化二重結合剤を示す、Biacore(商標)アッセイの概略図。フローセル1(=FC1)(示していない)上で、アミノ−PEO−ビオチンを捕捉させた。FC2、FC3およびFC4上で、増大するリンカーの長さを有する二価結合剤を固定した(FC2上の二重結合剤(T0−bi=1個の中央のT−Biのみ)およびFC4上の二重結合剤(T40−bi=1個の中央のT−Biならびに上流および下流それぞれの20個のT)をそれぞれ示す)。分析物1:そのペプチドの右側の末端においてM−1.4.168 ssFab’エピトープを含有するIGF−1Rペプチド(一番上の線)−このペプチドはリン酸化されていないため、M−8.1.2 ssFab’ホスホ−エピトープは存在しない;分析物2:M−8.1.2 ssFab’ホスホ−エピトープ(P)およびM−1.4.168 ssFab’エピトープを含有するpIGF−1Rペプチド(2番目の線);分析物3:交差反応するM−8.1.2 ssFab’ホスホ−エピトープを含有するがM−1.4.168 ssFab’に関するエピトープは含有しない、pIRペプチド(3番目の線)。 図9 二重結合剤実験の速度論データ。ssFab’ 8.1.2およびssFab’ 1.4.168を有するT40−T−Biリンカー二重結合剤(=図中のT40)は、pIGF−1Rに対して、pIR(kd=3.70E−02/s)と比較した場合に1300倍低い解離速度(kd=2.79E−05/s)を示す。 図10 T40−T−Bi二重結合剤のpIGF−1Rペプチド(リン酸化されたIGF−1Rペプチド)に対する濃度依存的測定を示すBiacore(商標)センサーグラム。そのアッセイの構成は図8において示されている通りである。pIGF−1Rペプチドの濃度系列は、30nM、10nM、2×3.3nM、1.1nM、0.4nM、0nMで注入された。対応するデータが図9の表において示されている。 図11 T40−T−Bi二重結合剤のIGF−1Rペプチド(リン酸化されていないIGF−1Rペプチド)に対する濃度依存的測定を示すBiacore(商標)センサーグラム。そのアッセイの構成は図8において示されている通りである。IGF−1Rペプチドの濃度系列は、300nM、100nM、2×33nM、11nM、4nM、0nMで注入された。対応するデータが図9の表において示されている。 図12 T40−T−Bi二重結合剤のpIRペプチド(リン酸化されたインスリン受容体ペプチド)に対する濃度依存的測定を示すBiacore(商標)センサーグラム。そのアッセイの構成は図8において示されている通りである。pIRペプチドの濃度系列は、100nM、2×33nM、11nM、4nM、0nMで注入された。対応するデータが図9の表において示されている。 図13 (A)ホルマリン固定されパラフィン包埋された(FFPE)3T3細胞のペレットの生成のために用いられた3T3細胞の溶解物を用いたウェスタンブロッティング実験。それぞれの溶解物の5μgの総タンパク質に対してSDS−PAGEおよびウェスタンブロッティングを行った。検出は抗ホスホチロシン抗体(Millipore、クローン4G10)を用いて行われた。アスタリスク()またはアスタリスクの対(**)は、リン酸化されたIGF−1Rまたはリン酸化されたIRタンパク質に関するバンドの位置を示している。(B)FFPE 3T3細胞ペレットを用いたIHC実験の結果。8×C18リンカー分子(実施例2.4のリンカー14)およびssFab’ 1.4.168のみまたはssFab’ 30.4.33のみからなる検出分子は、試験したFFPE 3T3細胞ペレットのいずれに対する染色ももたらさなかった(横列1および2)。対照的に、完全な二重結合剤分子(両方のssFab’断片+8×C18リンカーからなる)を用いた検出は染色をもたらしたが、IGF−1により刺激されたIGF−1R過剰発現細胞においてのみであった(横列3)。IRを過剰発現する細胞に対する交差反応性は、IRのリン酸化が誘導された場合でさえも観察されなかった。(C)異なるリンカーの長さ(リンカーは2×C18、4×C18、6×C18または8×C18スペーサーを含有していた;実施例2.4を参照)を有する抗pIGF−1R二重結合剤の、IGF−1で刺激してIGF−1Rのリン酸化を誘導しておいたIGF−1Rを過剰発現するFFPE 3T3細胞に対する性能を比較するIHC実験。 図14 H322M異種移植片切片の免疫染色。ssFab’断片(ssFab’ 30.4.33または/およびssFab’ 1.4.168それぞれ)につき10μg/mlおよび等モル量の8×C18リンカー分子を検出のために用いた。リンカー分子内のビオチン標識は、ストレプトアビジンに基づくVentana iVIEW DAB検出キットのための検出タグの役目を果たした。 図15 センサー表面上のビオチン化された二重結合剤を示す、Biacoreアッセイの概略図。ビオチン化された8×C18リンカー分子を固定し、それをssFab’ 1.4.168および/またはssFab’ 30.4.33をそれぞれ捕捉するために用いた。分析物は、M−1.4.168 ssFabエピトープをペプチドの一方の末端に、M−30.4.33 ssFabホスホ−エピトープを他方の末端に含有するpIGF−1Rペプチドであった。 図16 二重結合剤実験の速度論データを要約した表。ssFab’ 30.4.33およびssFab’ 1.4.168の両方を含有する二重結合剤は、ssFab’ 1.4.168単独(kd=3.22E−03/s)よりも230倍低い解離速度(kd=1.39E−05/s)およびssFab’ 30.4.33単独(kd=1.57E−03/s)よりも110倍低い解離速度を示す。 図17 8×C18リンカー分子およびssFab’ 30.4.33からなる一価結合剤のリン酸化されたIGF−1Rペプチドに対する濃度依存的測定を示すBiacoreセンサーグラム。そのアッセイの構成は図15において示されている通りである。SEQ ID NO:11の合成によるリン酸化されたpIGF−1Rペプチドの濃度系列は、30nM、10nM、2×3.3nM、1.1nM、0.4nM、0nMで注入された。対応する速度論データが図16において示されている。 図18 8×C18リンカー分子およびssFab’ 1.4.168からなる一価結合剤のリン酸化されたIGF−1Rペプチドに対する濃度依存的測定を示すBiacoreセンサーグラム。そのアッセイの構成は図15において示されている通りである。pIGF−1Rペプチドの濃度系列は、30nM、10nM、2×3.3nM、1.1nM、0.4nM、0nMで注入された。対応する速度論データが図16において示されている。 図19 8×C18リンカー分子、ssFab’ 30.4.33およびssFab’ 1.4.168からなる二価結合剤のリン酸化されたIGF−1Rペプチドに対する濃度依存的測定を示すBiacoreセンサーグラム。そのアッセイの構成は図15において示されている通りである。pIGF−1Rペプチドの濃度系列は、30nM、10nM、2×3.3nM、1.1nM、0.4nM、0nMで注入された。対応する速度論データが図16において示されている。 図20 (A)ホルマリン固定されパラフィン包埋された(FFPE)293細胞のペレットの生成のために用いられたHek293細胞の溶解物を用いたウェスタンブロッティング実験。それぞれの溶解物の5μgの総タンパク質に対してSDS−PAGEおよびウェスタンブロッティングを行った。検出は抗ホスホチロシン抗体(Millipore、クローン4G10)を用いて行われた。(B)Hek293細胞ペレットを用いたIHC実験の結果。4×C18リンカー分子(実施例2.4のリンカー12)およびssFab’ 4.1.15のみまたはssFab’ 7.2.32のみからなる検出分子は、試験したFFPE Hek293細胞ペレットのいずれに対する染色ももたらさなかった(横列1および2)。対照的に、完全な二重結合剤分子(両方のssFab’断片+4×C18リンカーからなる)を用いた検出は染色をもたらしたが、NRG1−β1により刺激された野生型のHER3を過剰発現する細胞においてのみであった(横列3;縦列2)。未刺激の細胞(横列3;縦列1)およびNRG1−β1で刺激された野生型HER3の代わりに変異型HER3(Y>F)(Tyr1289リン酸化部位を欠いている)を過剰発現する細胞(横列3;縦列3)においてはそれぞれ染色は観察されなかった。
本発明は、翻訳後修飾された標的ポリペプチドに結合する二価結合剤に関し、その結合剤はリンカーを介して互いに連結されている2個の一価結合剤からなり、ここでa)その第1一価結合剤は前記の標的ポリペプチドのポリペプチドエピトープに結合し、b)その第2一価結合剤は翻訳後ポリペプチド修飾に結合し、c)それぞれの一価結合剤は5×10−3/秒〜10−4/秒の範囲のKdissを有し、そしてd)ここでその二価結合剤は3×10−5/秒以下のKdissを有する。
本発明に従う二価結合剤は、正確に2個の異なる特異性の一価結合剤を含む結合剤である。
1態様において、それぞれの一価結合剤の、および二価結合剤の動態学的速度特性は、実施例において詳細に記述されるようなBiacore(商標)SPR技術により特性付けられる。
当業者は理解するであろうように、本発明において記述される二価結合剤は、望まれるように単離および精製することができる。1態様において、本発明は本明細書において開示されるような単離された二価結合剤に関する。“単離された”二価結合剤は、同定され、例えばそのような二価結合剤の合成において用いられる試薬混合物から分離および/または回収された二価結合剤である。そのような反応混合物の望まれない構成要素は、例えば最終的にその望まれる二価結合剤にならなかった一価結合剤である。1態様において、その二価結合剤は80%より大きい純度まで精製される。一部の態様において、その二価結合剤はそれぞれ90重量%、95重量%、98重量%または99重量%より大きい純度まで精製される。両方の一価結合剤がポリペプチドである場合、純度は例えば還元または非還元条件下でのSDS−PAGEにより、タンパク質検出において例えばクーマシーブルーまたは銀染色を用いて容易に決定される。純度を核酸レベルで評価する場合、サイズ排除クロマトグラフィーを適用して二価結合剤を副産物から分離し、260nmにおけるDOを監視してその純度を評価する。
冠詞“a”および“an”は、本明細書において、その冠詞の文法上の目的語の1個を、または1個より多くを(すなわち少なくとも1個を)指して用いられる。例として、“抗体(an antibody)”は1個の抗体または1個より多くの抗体を意味する。
用語“オリゴヌクレオチド”または“核酸配列”は、本明細書で用いられる際、一般に短い、一般に一本鎖の、少なくとも8ヌクレオチドを、最大で約1000ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを指す。好ましい態様において、オリゴヌクレオチドは少なくとも9、10、11、12、15、18、21、24、27または30ヌクレオチドの長さを有するであろう。好ましい態様において、オリゴヌクレオチドは200、150、100、90、80、70、60、50、45、40、35または30ヌクレオチドより長くない長さを有するであろう。下記でポリヌクレオチドに関して示す記述は、オリゴヌクレオチドに等しく、かつ完全に適用可能である。
オリゴヌクレオチドという用語は広く理解されるべきであり、DNAおよびRNAならびにそれらの類似体および修飾を含む。
オリゴヌクレオチドは、例えば標準的な塩基であるデオキシアデノシン(dA)、デオキシグアノシン(dG)、デオキシシトシン(dC)、デオキシチミジン(dT)、デオキシウラシル(dU)において置換基を有する置換されたヌクレオチドを含有していてよい。そのような置換された核酸塩基の例は次のものである:5−置換ピリミジン類、例えば5メチルdC、アミノアリルdUまたはdC、5−(アミノエチル−3−アクリルイミド)−dU、5−プロピニル−dUまたはdC、5ハロゲン化−dUまたはdC;N置換ピリミジン類、例えばN4−エチル−dC;N置換プリン類、例えばN6−エチル−dA、N2−エチル−dG;8置換プリン類、例えば8−[6−アミノ)−ヘキサ−1−イル]−8−アミノ−dGまたはdA、8ハロゲン化dAまたはdG、8−アルキルdGまたはdA;および2置換dA、例えば2アミノdA。
オリゴヌクレオチドはヌクレオチドまたはヌクレオシド類似体を含有していてよい。すなわち、天然存在核酸塩基を以下のような核酸塩基類似体を用いることにより交換することができる:5−ニトロインドール d リボシド;3ニトロピロール d リボシド、デオキシイノシン(dI)、デオキシキサントシン(deoyxanthosine)(dX);7デアザ−dG、−dA、−dIまたは−dX;7−デアザ−8−アザ−dG、−dA、−dIまたは−dX;8−アザ−dA、−dG、−dIまたは−dX;dホルマイシン;プソイドdU;プソイドイソdC;4チオdT;6チオdG;2チオdT;イソdG;5−メチル−イソ−dC;N8−結合型8−アザ−7−デアザ−dA;5,6−ジヒドロ−5−アザ−dC;およびエテノ−dAまたはピロロ−dC(pyrollo−dC)。当業者には明らかであるように、相補鎖中の核酸塩基は二本鎖形成が特異的であるような様式で選択されなければならない。例えば、5−メチル−イソ−dCが一方の鎖(例えば(a))において用いられるならば、イソdGがその相補鎖(例えば(a’))中になければならない。
そのオリゴヌクレオチド主鎖は、置換された糖残基、糖類似体、ヌクレオシド間ホスフェート部分における改変を含有するように改変されてよく、および/またはPNAであってよい。
オリゴヌクレオチドは、例えば2’−メトキシ、2’−フルオロ、2’−メチルセレノ、2’−アリルオキシ、4’−メチルdN(ここでNは核酸塩基、例えばA、G、C、TまたはUである)のような置換されたデオキシリボースを有するヌクレオチドを含有していてよい。
糖類似体は、例えばキシロース;(2’−O,4’−Cメチレン)−(LNAとして知られるオリゴマー)または(2’−O,4’−Cエチレン)−(ENAとして知られるオリゴマー)のような2’,4’架橋リボース;L−リボース、L−d−リボース、ヘキシトール(HNAとして知られるオリゴマー);シクロヘキセニル(CeNAとして知られるオリゴマー);アルトリトール(ANAとして知られるオリゴマー);C3’およびC5’原子がエチレン架橋により連結されており、それが縮合してシクロプロパン環になっている三環式リボース類似体(トリシクロDNAとして知られるオリゴマー);グリセリン(GNAとして知られるオリゴマー);グルコピラノース(ホモDNA(Homo DNA)として知られるオリゴマー);カルバリボース(carbaribose)(テトラヒドロフラン小単位の代わりにシクロペンタンを有する);ヒドロキシメチル−モルホリン(モルホリノDNAとして知られるオリゴマー)である。
多数のヌクレオシド間ホスフェート部分の改変もハイブリダイゼーション特性に干渉しないことが分かっており、そのような主鎖の改変は置換されたヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体と組み合わせることもできる。例はホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミデートおよびメチルホスホネートオリゴヌクレオチドである。
PNA(ホスフェートおよびd−リボースなしの主鎖を有する)もDNA類似体として用いることができる。
上記で言及した修飾されたヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ならびにオリゴヌクレオチド主鎖の改変は、本発明の意味でのオリゴヌクレオチド中で望まれるように組み合わせることができる。
用語“ポリペプチド”および“タンパク質”は互換的に用いられる。本発明の意味でのポリペプチドは、アルファアミノペプチド結合により連結された少なくとも5個のアミノ酸からなる。
“標的ポリペプチド”は、それに関して決定または測定のための方法が求められている対象のポリペプチドである。本発明の標的ポリペプチドは、翻訳後ポリペプチド修飾を有することが既知である、または疑われるポリペプチドである。
本発明に従う“一価結合剤”は、標的ポリペプチドと単一の結合部位において5×10−3/秒〜10−4/秒のKdissで相互作用する分子である。動態学的結合速度特性の生物物理学的特性付け、それぞれラングミュアモデルに従う解離速度定数kd(1/s)の決定は、好ましくはバイオセンサーに基づく表面プラズモン共鳴分光法により分析される。好ましくは、実施例の節において詳細に記述されるようなBiacore(商標)技術が用いられる。
一価結合剤の例は、ペプチド、ペプチド模倣物、アプタマー、spiegelmer、darpin、レクチン、アンキリンリピートタンパク質、Kunitz型ドメイン、単一ドメイン抗体(Hey, T. et al., Trends Biotechnol 23 (2005) 514-522参照)および抗体の一価断片である。
特定の好ましい態様において、その一価結合剤は一価抗体断片、好ましくはモノクローナル抗体に由来する一価断片である。
一価抗体断片には下記で提供するようなFab、Fab’−SH(Fab’)、単一ドメイン抗体、Fv、およびscFv断片が含まれるが、それらに限定されない。
好ましい態様において、その一価結合剤のすくなくとも一方は、単一ドメイン抗体、モノクローナル抗体のFab断片またはFab’断片である。
本明細書で開示される二価結合剤においてその一価結合剤の両方がモノクローナル抗体に由来し、Fab断片である、またはFab’断片である、またはFab断片およびFab’断片であることも、好ましい態様である。
モノクローナル抗体の技法は、特異的なモノクローナル抗体またはその断片の形態の極めて特異的な結合剤の製造を可能にする。当技術で特に周知であるのは、マウス、ウサギ、ハムスター、またはあらゆる他の哺乳類を目的のポリペプチドで免疫することによりモノクローナル抗体またはその断片を作り出すための技法である。モノクローナル抗体またはその断片を作り出す別の方法は、sFv(単鎖可変領域)、特にヒトのsFvのファージライブラリーの使用である(例えば、Griffiths et al.,米国特許第5,885,793号;McCafferty et al.,国際公開第92/01047号;Liming et al.,国際公開第99/06587号を参照)。
抗体断片は伝統的な手段、例えば酵素消化により、または組み換え技法により生成されてよい。特定の抗体断片の総説に関して、Hudson, P.J. et al., Nat. Med. 9 (2003) 129-134を参照。
Fvは完全な抗原結合部位を含有する最小限の抗体断片であり、定常領域を欠いている。1態様において、2鎖Fv種は堅固に非共有結合的に会合した1個の重鎖可変ドメインおよび1個の軽鎖可変ドメインの二量体からなる。単鎖Fv(scFv)種の1態様において、1個の重鎖可変ドメインおよび1個の軽鎖可変ドメインが、その軽鎖および重鎖が2鎖Fv種における二量体構造に類似した二量体構造で会合することができるように、柔軟なペプチドリンカーにより共有結合的に連結されていることができる。scFvの総説に関して、例えばPlueckthun, In: The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, Vol. 113, Rosenburg and Moore (編者), Springer-Verlag, ニューヨーク(1994), pp. 269-315を参照;国際公開第93/16185号ならびに米国特許第5,571,894号および第5,587,458号も参照。一般に、6個の超可変領域(HVR)が抗体に抗原結合特異性を与える。しかし、単一の可変領域(または抗原に特異的な3個のHVRのみを含むFvの半分)でさえも抗原を認識して結合する能力を有する。
Fab断片は重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含有し、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1定常ドメイン(CH1)も含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1個以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端における少数の残基の追加によりFab断片と異なる。Fab’−SHは、その定常ドメインのシステイン残基(単数または複数)が遊離のチオール基を有するFab’に関する本明細書における名称である。
抗体断片の生成のために様々な技法が開発されてきた。伝統的に、抗体断片は完全な抗体のタンパク質分解による消化により得られた(例えばMorimoto, K. et al., Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24 (1992) 107-117;およびBrennan et al., Science 229 (1985) 81-83を参照)。例えば、抗体のパパイン消化は、“Fab”断片と呼ばれそれぞれが単一の抗原結合部位を有する2個の同一の抗原結合断片および残りの“Fc”断片を生成し、その名前は容易に結晶化するその能力を反映している。
抗体断片は組み換え宿主細胞により直接生成することもできる。Fab、FvおよびscFv抗体断片は全て大腸菌中で発現させてそれから分泌させることができ、従ってこれらの断片の容易な大量生産が可能である。抗体断片は、標準的な手順に従って抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab’−SH断片は大腸菌から直接回収することができる(Carter, P. et al., Bio/Technology 10 (1992) 163-167)。哺乳類細胞系も、抗体断片を発現させる、そして望まれるならば分泌させるために用いることができる。
特定の態様において、本発明の一価結合剤は単一ドメイン抗体である。単一ドメイン抗体は抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部または軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部を含む単一のポリペプチド鎖である。特定の態様において、単一ドメイン抗体はヒトの単一ドメイン抗体である(Domantis, Inc., Waltham, MA;例えば米国特許第6,248,516 B1号を参照)。1態様において、単一ドメイン抗体は抗体の重鎖可変ドメインの全部または一部からなる。
2個の一価結合剤の1つである第1一価結合剤は、その標的ポリペプチド上のポリペプチドエピトープに結合する。
本発明に従う“ポリペプチドエピトープ”−対応する一価結合剤により結合される標的ポリペプチド上の結合部位−は、アミノ酸からなる。この結合剤は線状エピトープ、すなわち一続きの5〜12個の連続したアミノ酸からなるエピトープに結合するか、またはその一価結合剤はその標的ポリペプチドのいくつかの短い一続きの空間的配置により形成される三次構造に結合するかのどちらかである。結合剤により、例えば抗体の抗原認識部位またはパラトープにより認識される三次エピトープは、抗原分子の三次元表面特徴であると考えることができ;これらの特徴はその結合剤の対応する結合部位(中)に正確に納まり、それにより結合剤および標的ポリペプチドの間の結合が促進される。
本明細書で開示されるような二価結合剤において、第1一価結合剤はポリペプチドエピトープに結合する一方で、第2一価結合剤は翻訳後ポリペプチド修飾に結合する。
“翻訳後ポリペプチド修飾”は、ポリペプチド(タンパク質)内の、またはその末端のアミノ酸の共有結合性修飾である。二次修飾および翻訳後修飾という用語は互換的である。
多くのタイプの共有結合性アミノ酸修飾が既知であり、科学的総説の対象となってきた。MannおよびJensenによる総説(2003)ならびにSeoおよびLeeによる総説(2004)において記述されている翻訳後修飾を本明細書に援用する(Mann, M. and Jensen, O.N., Nat. Biotechnol. 21 (2003) 255-261; Seo, J. and Lee, K.-J., Biochem. Mol. Biol. 37/1 (2004) 35-44)。
好ましい態様において、翻訳後修飾はアセチル化、リン酸化、アシル化、メチル化、糖鎖付加、ユビキチン化、SUMO化、硫酸化およびニトロ化からなる群から選択される。
アセチル化(+42Da)はかなり安定な二次修飾である。例は、多くのタンパク質のN末端上に見られるアセチル化またはリシンもしくはセリン残基上のアセチル化である。通常、リシン残基のアセチル化はポリペプチド鎖内の1個以上の正確に定められた位置(単数または複数)において見られ、一方で他のリシン残基はより低い頻度でアセチル化されるか、または全くアセチル化されない。
タンパク質のリン酸化および脱リン酸化(その正味の釣り合いはリン酸化状態と呼ばれ得る)はタンパク質の生物学的活性の制御における重要な要素の1つであることが知られている。低い割合のリン酸化されたアミノ酸残基は、既に特定の生物学的活性を誘発するのに十分である可能性がある。リン酸化は結果として80Daの質量の増大をもたらす。アミノ酸チロシン(Y)、セリン(S)、スレオニン(T)、ヒスチジン(H)、およびアスパラギン酸(D)がリン酸化され得る。ポリペプチドの生物学的機能がより複雑であるほど、対応するリン酸化の可能性のある部位のパターンもより複雑である。これは膜結合型受容体、特にいわゆる受容体型チロシンキナーゼ(RTK)に関して特に知られており、当てはまる。名称が既に示唆しているように、そのRTKの細胞内シグナル伝達の少なくとも一部はそのようなRTKの細胞内ドメインの特定のチロシンのリン酸化状態により媒介される。
ポリペプチドは、ファルネシル、ミリストイルまたはパルミトイル基によりアシル化され得る。アシル化は通常システイン残基の側鎖上で起こる。
二次修飾としてのメチル化はリシン残基の側鎖により起こる。核酸に結合することができる制御タンパク質の結合特性が例えばメチル化により調節され得ることが示されている。
糖鎖付加は非常に重要な二次修飾である。それはタンパク質間相互作用、タンパク質の可溶化、それらの安定性等に大きな影響を有する。2つの異なるタイプの糖鎖付加が既知である:(アミノ酸N(アスパラギン)を介した)N結合型側鎖および(セリン(S)またはスレオニン(T)を介した)O結合型側鎖。(線状の、または分枝した側鎖を有する)多くの異なる多糖類が同定されており、一部はO−Glc−NAcのような糖誘導体を含有する。
ユビキチン化およびSUMO化はそれぞれ循環中におけるタンパク質の半減期に影響を及ぼすことが知られている。ユビキチン化は破壊シグナルの役目を果たし、結果としてユビキチン化されたポリペプチドの切断および/または除去をもたらす。
チロシン残基(Y)を介した硫酸化は、タンパク質間(細胞間)相互作用ならびにタンパク質リガンド相互作用の調節において重要であるようである。
チロシン残基(Y)のニトロ化は、例えば炎症プロセスにおけるような酸化的損傷の顕著な特徴であるようである。
第2一価結合剤により結合される翻訳後修飾は、好ましくはリン酸化、糖鎖付加およびアセチル化からなる群から選択される。
上記で言及したように、リン酸化、脱リン酸化およびリン酸化状態は、細胞シグナル伝達およびタンパク質活性の制御に対する鍵である。これは膜結合型受容体、特にいわゆる受容体型チロシンキナーゼ(RTK)に関して特に知られており、当てはまる。名称が既に示唆しているように、そのRTKの細胞内シグナル伝達の少なくとも一部はそのようなRTKの細胞内ドメインの特定のチロシンのリン酸化状態により媒介される。従って、1つの好ましい態様において、本発明はリン酸化された標的タンパク質に結合する二価結合剤に関する。明らかに、そのような二価結合剤はリン酸化された標的ポリペプチドの検出において非常に有用である。
1つの好ましい態様において、本発明は本明細書において上記で開示したような二価結合剤に関し、ここでその標的ポリペプチドは、細胞内リン酸化部位を有する膜結合型受容体分子および細胞内細胞シグナル伝達分子からなる群から選択される。そのような二価結合剤において、標的タンパク質上のポリペプチドエピトープに結合する第1一価結合剤は前記の受容体分子または前記の細胞内細胞シグナル伝達分子に特異的に結合すると考えられるが、リン酸化を標的とする第2一価結合剤は前記の標的タンパク質上のリン酸化部位に特異的に結合する必要はない。例えば関連する受容体上のリン酸化部位との交差反応性は、著しい結合は第1一価結合剤の結合および第2一価結合剤の結合の両方を必要とするため、その標的ポリペプチドの特異的検出を損なわないであろう。
一部の態様において、そのRTKは以下のものからなる群から選択される:ALK、接着関連キナーゼ受容体(例えばAxl)、ERBB受容体(例えばEGFR、ERBB2、ERBB3、ERBB4)、エリスロポエチン産生肝細胞性(EPH)受容体(例えばEphA1;EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、EphB5、EphB6)、線維芽細胞成長因子(FGF)受容体(例えばFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGFR5)、Fgr、IGFIR、インスリンR、LTK、M−CSFR、MUSK、血小板由来成長因子(PDGF)受容体(例えばPDGFR−A、PDGFR−B)、RET、ROR1、ROR2、ROS、RYK、血管内皮成長因子(VEGF)受容体(例えばVEGFR1/FLT1、VEGFR2/FLK1、VEGF3)、免疫グロブリン様およびEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ(TIE)の受容体(例えばTIE−1、TIE−2/TEK)、Tec、TYRO10、インスリン様成長因子(IGF)受容体(例えばINS−R、IGF−IR、IR−R)、ジスコイジンドメイン(DD)受容体(例えばDDR1、DDR2)、c−Metに関する受容体(MET)、マクロファージ刺激1受容体(macrophage stimulating 1 receptor)としても知られているrecepteur d’origine nantais(RON)、Flt3 fins関連チロシンキナーゼ3(Flt3)、コロニー刺激因子1(CSF1)受容体、c−kitに関する受容体(KIT、SCFR)およびインスリン受容体関連(IRR)受容体。
一部の態様において、その細胞内細胞シグナル伝達分子は以下のものからなる群から選択される:AKT、abl、cbl、erbA、ERK、fes、fgr、fms、fos、jun、met、myb、myc、PI3K、raf、ret、ryk、およびsrc。1つの好ましい態様において、本発明は、リンカーを介して互いに連結されている2個の一価結合剤からなる、翻訳後修飾された標的ポリペプチドに結合する二価結合剤に関し、ここでa)その第1一価結合剤は前記の標的ポリペプチドのポリペプチドエピトープに結合し、b)その第2一価結合剤は翻訳後ポリペプチド修飾に結合し、c)それぞれの一価結合剤は5×10−3/秒〜10−4/秒の範囲のKdissを有し、d)ここでその二価結合剤は3×10−5/秒以下のkdissを有し、ここでその翻訳後修飾はリン酸化、ユビキチン化および糖鎖付加からなる群から選択される。
好ましい態様において、それぞれの一価結合剤の、および二価結合剤の動態学的速度特性は、実施例において詳細に記述されるようなBiacore SPR技術により特性付けられる。
1つの好ましい態様において、本発明に従う二価結合剤は翻訳後修飾を有する標的ポリペプチドに結合すると考えられ、ここでその翻訳後修飾はリン酸化である。
論じられたように、本明細書で開示されるような二価結合剤の構築における使用のための一価結合剤は、5×10−3/秒から10−4/秒までのKdissを有していなければならない。
好ましくは、その第1一価結合剤はポリペプチドエピトープに特異的に結合する。すなわち、この結合剤は二次修飾を受けにくいエピトープに結合するか、またはその代わりにそれはネイティブな(native)(二次修飾されていない)エピトープに特異的に結合するかのどちらかである。ポリペプチドエピトープへの特異的な結合は、前記の結合剤が翻訳後修飾されていないポリペプチドに関して翻訳後修飾を有する同じポリペプチドと比較して少なくとも20倍低いKdissを有する場合に認められる。その第1一価結合剤の未修飾のポリペプチドに対するKdissがその第1一価結合剤により結合されるポリペプチドエピトープ中に翻訳後修飾を有する同じポリペプチドと比較して少なくとも30、40、50、80、90、95または少なくとも100倍高いことも好ましい。
好ましくは、その第2一価結合剤は翻訳後ポリペプチド修飾に特異的に結合し、すなわち前記の結合剤はこの翻訳後修飾を有するポリペプチドに関して同じ翻訳後修飾されていないポリペプチドと比較して少なくとも20倍低いKdissを有する。第2一価結合剤の翻訳後修飾を有するポリペプチドに対するKdissが同じ未修飾のポリペプチドと比較して少なくとも30、40、50、80、90、95または少なくとも100倍低いことも好ましい。
上記で言及したように、本発明に従う二価結合剤は最大で3×10−5/秒の、またはより低い、すなわちより良いKdissを有するであろう。
この発明に従う二価結合剤における1態様において、それぞれの一価結合剤は2×10−3/秒から10−4/秒までのKdissを有する。
この発明に従う二価結合剤における1態様において、それぞれの一価結合剤は10−3/秒から10−4/秒までのKdissを有する。
Ventana Medical Systems Inc.(ツーソン)が流通させている自動免疫組織化学染色機械は、かなりストリンジェントな洗浄条件を用いる。BenchMark(登録商標)分析器シリーズにおいて用いられる抗体は、適当な染色強度を与えるために最大で5×10−5/秒のKdissを有するべきである。Kdissがより良いほど、染色強度もより良いであろう。本明細書で開示するような二価結合剤は、最大で3×10−5/秒のKdissを有する。さらなる態様において、本明細書で開示するような二価結合剤は2×10−5/秒以下のKdissを有し、または10−5/秒以下のKdissも好ましい。
1態様において、それぞれの一価結合剤の、およびその二価結合剤の動態学的速度特性は、実施例において詳細に記述されるようなBiacore(商標)SPR技術により特性付けられる。
本発明に従う二価結合剤はリンカーを含有する。そのリンカーがその2個の一価結合剤を共有結合的に連結することもでき、またはそのリンカーおよびその一価結合剤が2個の異なる特異的な結合対a:a’およびb:b’により結合していることもできる。
そのリンカーは、例えば一緒に、およびその2個の一価結合剤に共有結合により連結された適切な単量体で構成されていてよい。好ましくは、そのリンカーは糖部分、ヌクレオチド部分、ヌクレオシド部分および/またはアミノ酸を含有するであろう。特定の好ましい態様において、そのリンカーは本質的にヌクレオチド、ヌクレオチド類似体またはアミノ酸からなるであろう。
好ましくは、その2個の一価結合剤を結合対により共有結合的に連結している、または結合させているリンカーは、6〜100nmの長さを有する。そのリンカーが6〜50nmの、または6〜40nmの長さを有することも好ましい。やはり好ましい態様において、そのリンカーは10nm以上の、または15nm以上の長さを有するであろう。1態様において、本発明に従う二価結合剤中に含まれるリンカーは10nm〜50nmの長さを有する。
理論上の、および複合的な方法による、所与のリンカー(a−S−b)の非ヌクレオシド構成要素の長さは、その非ヌクレオシド構成要素に化学的に類似した化合物の既知の結合距離および結合角を用いることにより計算することができる。そのような結合距離は、標準的な教本:CRC Handbook of Chemistry and Physics, 第91版, 2010-2011, 第9節においていくつかの分子に関して要約されている。しかし、正確な結合距離はそれぞれの化合物に関して異なる。その結合角においても変動性が存在する。
従って、そのような計算において平均のパラメーター(分かりやすい近似値)を用いることがより実際的である。
スペーサーまたはリンカーの長さの計算において、以下の近似値が適用される:a)非ヌクレオシド構成要素の長さの計算に関して、連結された原子の性質とは無関係に、180°の結合角を伴う130pmの平均結合長が用いられ;b)一本鎖中の1個のヌクレオチドは500pmで計算され、そしてc)二本鎖中の1個のヌクレオチドは330pmで計算される。
130pmの値は、2個のC(sp3)の間の結合角が109°28’および距離が153pmであるC(sp3)−C(sp3)−C(sp3)鎖の2個の末端の炭素原子の距離がおおよそ250pmであり、それは180°の仮定された結合角および125pmの2個のC(Sp3)の間の結合距離に換算されるという計算に基づく。PおよびSのような複素原子ならびにsp2およびsp1のC原子もそのスペーサーの一部であり得ることを考慮して、130pmの値が採用される。スペーサーがシクロアルキルまたはアリールのような環構造を含む場合、その距離は類似の方法で、その距離を定めている原子鎖全体の一部である前記の環構造の結合の数を数えることにより計算される。
上記で言及したように、そのリンカーがその2個の一価結合剤を共有結合的に連結することもでき、またはそのリンカーおよびその一価結合剤が2個の異なる特異的な結合対a:a’およびb:b’により結合していることもできる。従って、翻訳後修飾された標的ポリペプチドに結合する本発明に従う二価結合剤は、下記の式Iにより表すこともでき:
A−a’:a−S−b:b’−B、
ここでAは前記の標的ポリペプチドのポリペプチドエピトープに結合する第1一価結合剤であり、ここでBは翻訳後ポリペプチド修飾に結合する第2一価結合剤であり、ここでそれぞれの一価結合剤AおよびBは5×10−3/秒〜10−4/秒の範囲のKdissを有し、ここでa’:aならびにb:b’は独立して結合対であり、またはa’:aおよび/またはb:b’は共有結合しており、ここでa’:aおよびb:b’は異なり、ここでSはスペーサーであり、ここで−は共有結合を表し、ここでそのリンカーa−S−bは6〜100nmの長さを有し、ここでその二価結合剤は3×10−5/秒以下のKdissを有する。
a−S−bからなるリンカーLは、6〜100nmの長さを有する。好ましくは、a−S−bからなるリンカーLは6〜80nmの長さを有する。そのリンカーが6〜50nmの、または6〜40nmの長さを有することも好ましい。やはり好ましい態様において、そのリンカーは10nm以上の長さを、または15nm以上の長さを有するであろう。1態様において、そのリンカーは10nm〜50nmの長さを有する。1態様において、aおよびbはそれぞれ結合対のメンバーであり、それぞれ少なくとも2.5nmの長さを有する。
スペーサーSは、例えば望まれる長さを、ならびに他の望まれる特性を提供するために必要であると解釈することができる。そのスペーサーは、例えば完全または部分的に天然存在または非天然存在アミノ酸で、ホスフェート−糖単位、例えば核酸塩基なしのDNA様主鎖で、グリコペプチド性(glyco−peptidic)構造で、または少なくとも部分的に糖単位で、または少なくとも部分的にグリコール類もしくはアクリルアミドのような重合可能な小単位で構成されていることができる。
本発明に従う化合物中のスペーサーSの長さは、望まれるように異なっていてよい。多様な長さの利用可能なスペーサー(ライブラリー)を容易に作製するために、そのようなライブラリーのスペーサーへの簡単な合成経路(access)を有することが好ましい。スペーサーの組み合わせ固相合成が好ましい。スペーサーは約100nmの長さまで合成されなければならないため、その合成戦略は、その単量体合成構築ブロックが固相合成の間に高い効率で組み立てられるような方法で選択される。単量体構築ブロックとしてのホスホラミダイトの組み立てに基づくデオキシオリゴヌクレオチドの合成は、完全にこの要求を満たす。そのようなスペーサー中で、スペーサー内の単量体単位は、それぞれの場合においてホスフェートまたはホスフェート類似体部分により連結されている。
そのスペーサーSは、多官能性アミノカルボン酸の遊離の正または/および負に荷電した基、例えばアミノ、カルボキシレートまたはホスフェートを含有することができる。例えば、その電荷担体は、a)1個のアミノ基および2個のカルボキシレート基またはb)2個のアミノ基および1個のカルボキシレート基を含有する三官能性アミノカルボン酸に由来することができる。そのような三官能性アミノカルボン酸の例は、リシン、オルニチン、ヒドロキシリシン、α,β−ジアミノプロピオン酸、アルギニン、アスパラギン酸およびグルタミン酸、カルボキシグルタミン酸ならびにEP-A-0 618 192またはUS-A-5,519,142において記述されている合成三官能性カルボン酸のような合成三官能性カルボン酸である。あるいは、その三官能性アミノカルボン酸a)中のカルボキシレート基の1つをホスフェート、スルホネートまたはサルフェート基により置き換えることができる。そのような三官能性アミノ酸の例はホスホセリンである。
そのスペーサーSは、無電荷の親水基も含有することができる。無電荷の親水基の好ましい例は、エチレンオキシドまたは好ましくは少なくとも3個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレンオキシド基、スルホキシド、スルホン、カルボン酸アミド、カルボン酸エステル、ホスホン酸アミド、ホスホン酸エステル、リン酸アミド、リン酸エステル、スルホン酸アミド、スルホン酸エステル、硫酸アミドおよび硫酸エステル基である。そのアミド基は、好ましくは第1級アミド基、特に好ましくはアミノ酸(例えばアミノ酸アスパラギンおよびグルタミン)側鎖基中のカルボン酸アミド残基である。そのエステルは好ましくは親水性アルコール類、特にC1〜C3アルコール類またはジオール類またはトリオール類に由来する。
1態様において、そのスペーサーSは1タイプの単量体からなる。例えば、そのスペーサーは排他的にアミノ酸、糖残基、ジオール類、リン糖酸(phospho−sugar)単位からなり、またはそれはそれぞれ核酸であることができる。
1態様において、そのスペーサーはDNAである。1つの好ましい態様において、そのスペーサーは、ベータ−L−DNA、L−DNAまたは鏡像DNAとしても知られているDNAのL−立体異性体である。L−DNAは、2本のL−DNAの相補的な一本鎖の間でのみ二本鎖が形成され、L−DNAの一本鎖および相補的なDNA鎖の間では二本鎖が形成されないことを意味する直交(orthogonal)ハイブリダイゼーション挙動、ヌクレアーゼ耐性、ならびに長いスペーサーでさえも合成が容易であることのような利点を特徴とする。指摘したように、合成の容易さおよびスペーサーの長さにおける変動可能性は、スペーサーライブラリーに関して重要である。変動可能な長さのスペーサーは、最適な長さのスペーサーを有する本発明に従う二価二重結合剤の同定、従って2個の一価結合剤の間の最適な距離の提供において極めて有用である。
スペーサー構築ブロックは、その名の通り、間隔を空ける部分をスペーサーSの中に導入するために、またはリンカーa−S−bのスペーサーSを構築するために用いることができる。
異なる数および種類の非ヌクレオチド性ならびにヌクレオチド性スペーサー構築ブロックが、間隔を空ける部分を導入するためにすぐに利用できる。
多くの異なる非ヌクレオチド性二官能性スペーサー構築ブロックが文献において既知であり、多種多様なものが商業的に入手可能である。非ヌクレオチド性二官能性スペーサー構築の選択は、そのスペーサー分子の電荷および柔軟性に影響を及ぼす。
二官能性スペーサー構築ブロックにおいて、酸不安定性保護基で保護されたヒドロキシル基がホスホラミダイト基に連結されている。
1態様における二官能性スペーサー構築ブロックは、非ヌクレオシド性化合物である。例えば、そのようなスペーサーはC2〜C18アルキル、アルケニル、アルキニル(alkinyl)炭素鎖であるが、前記のアルキル、アルケニル、アルキニル(alkinyl)鎖はそのリンカーの親水性を増大させるために追加のエチレンオキシおよび/またはアミド部分または四級化された(quarternized)陽イオン性アミン部分により遮られていてよい。場合により1または2個のC1〜C6アルキル基で置換されているC5〜C6−シクロアルキル、C4N、C5N、C4O、C5O−ヘテロシクロアルキル、フェニルのような環状部分も、非ヌクレオシド性二官能性スペーサー部分として用いることができる。好ましい二官能性構築ブロックは、C3〜C6アルキル部分およびトリ−〜ヘキサ−エチレングリコール鎖を含む。表Iは、異なる親水性、異なる剛性および異なる電荷を有するヌクレオチド性二官能性スペーサー構築ブロックのいくつかの例を示す。一方の酸素原子は酸不安定性保護基、好ましくはジメトキシトリチルに連結されており、他方はホスホラミダイトの一部である。
スペーサーSを構築する、またはスペーサーS中に間隔を空ける部分を導入するための簡単な方法は、標準的なDまたはLヌクレオシドホスホラミダイト構築ブロックを用いることである。1態様において、一本鎖の一続きのdTが用いられる。dTは塩基保護基を有しないため、これは好都合である。
二本鎖の長さは一本鎖と比較して低減し、二本鎖は一本鎖よりも堅いため、スペーサーの長さ(結合対のメンバーaおよびbの間の距離)およびスペーサーの柔軟性を変化させるためにハイブリダイゼーションを用いることができる。
ハイブリダイゼーションに関して、1態様において、官能性部分Xで修飾されたオリゴヌクレオチドが用いられる。ハイブリダイゼーションのために用いられるオリゴヌクレオチドは、そのスペーサーとハイブリダイズしない1または2個の末端の延長部分を有することができ、および/またはそれは内部で分枝している。そのようなスペーサーとハイブリダイズしない(かつ結合対a:a’およびb:b’に干渉しない)末端の延長部分は、さらなるハイブリダイゼーション事象のために用いることができる。1態様において、末端の延長部分とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは標識されたオリゴヌクレオチドである。この標識されたオリゴヌクレオチドも、さらなるハイブリダイゼーションを可能にするための末端の延長部分を含んでいてよく、または分枝していてよく、それによりポリヌクレオチドの凝集体またはデンドリマーを得ることができる。多数の標識(polylabel)をもたらすために、またはXの高い局所的濃度を得るために、好ましくはポリオリゴ核酸デンドリマーが用いられる。
1態様において、スペーサーSは1〜100nmの主鎖の長さを有する。言い換えると、ここで式Iの基aおよびbは1〜100nm離れている。1態様において、aおよびbはそれぞれ結合対のメンバーであり、そのスペーサーSは1〜95nmの主鎖の長さを有する。
“a’:a”ならびに“b:b’”はそれぞれ独立して結合対を表し、またはそれぞれ共有結合したa’:aおよび/またはb:b’を表す。
“a’:a”ならびに“b:b’”は異なる。異なるという用語は、a対a’の結合(結合対内結合または共有結合性カップリング)が他方の対b対b’の結合対内結合または共有結合性カップリングに干渉せず、逆もまた同じであることを示す。
1態様において、a’:aまたはb:b’のどちらかは共有結合しており、他方、すなわちそれぞれb:b’またはa’:aは結合対を表す。
1態様において、a’:aおよびb:b’の両方が共有結合している。
a’:aおよびb:b’の間のカップリング化学は互いに異なっており、標準的なプロトコルから選択される。結合パートナーの、およびスペーサーの性質に応じて、適切なコンジュゲーション化学が選択される。
(a’)の(a)へのカップリングにおいて、すなわちA−(a’)の(a)を含むリンカーへのカップリングにおいて用いられる化学は、(b)の(b’)へのカップリングにおいて、すなわち(b’)−Bの(b)を含むリンカーへのカップリングにおいて用いられる化学に干渉しない。当業者は理解しているであろうように、それぞれ共有結合a’:aならびにb:b’をもたらす反応部位(a)、(a’)、(b)および(b’)は、それぞれ好ましくは一価結合剤(式IのAおよび/またはB)上に存在する可能性のあるあらゆる官能基にも干渉しない。
その一価結合剤の少なくとも一方がタンパク質、ペプチドまたはペプチド模倣物である場合、それはおそらく1個以上のOH、COOH、NH2および/またはSH基を有し、それは潜在的に特定のカップリング試薬と反応する可能性がある。そのような(副)反応は、例えば表IIにおいて示したカップリング化学の1つを選択することにより回避することができる。
表IIは、A−(a’)および(b’)−Bそれぞれを両方ともリンカーに共有結合している(a−S−b)(a)および(b)それぞれに結合させるためのルーチン的に用いられる反応基に関する概要を提供する。
上記の双直交(bi−orthogonal)カップリング化学は、例えばその一価結合剤の少なくとも一方がポリペプチドである場合に適切である。その2個の結合パートナーが一価結合剤AおよびBとしてそれぞれ特定の反応性官能基を有していない場合、例えば2種類のアプタマーの組み合わせの場合、その反応部位(a’)、(a)、(b)および(b’)それぞれの選択にはより大きな自由度が存在する。従って、上記の表において示した対応する反応部位の対に加えて、またはそれとの組み合わせで、アミノ/活性エステル(例えばNHSエステル)、およびSH/SHまたはSH/マレインイミドを直交カップリングのために用いることができる。
上記の例から明らかであるように、a’:a間およびb:b’間それぞれの共有結合の少なくとも一方はアルファアミノペプチド結合ではない。両方の共有結合がアルファアミノペプチド結合ではないことも好ましい。
1態様において、a’:aおよびb:b’の両方が結合対である。結果的に、1態様において、本発明は式I:A−a’:a−S−b:b’−Bの少なくとも二重特異性の結合剤に関し;ここでAは標的ポリペプチドのポリペプチドエピトープに結合する第1一価結合剤であり、ここでBは標的ポリペプチド上の翻訳後ポリペプチド修飾に結合する第2一価結合剤であり、ここでそれぞれの一価結合剤AおよびBは5×10−3/秒〜10−4/秒の範囲のKdissを有し、ここでa’:aならびにb:b’は独立して結合対であり、かつ異なっており、ここでSはスペーサーであり、ここで−は共有結合を表し、ここでそのリンカーa−S−bは6〜100nmの長さを有し、ここでその二価結合剤は3×10−5/秒以下のKdissを有する。
この態様において、それぞれaおよびa’は結合対a’:aのメンバーであり、bおよびb’は結合対b:b’のメンバーである。好ましくは、結合対のそれぞれのメンバーは10kD以下の分子量である。さらなるやはり好ましい態様において、そのような結合対のそれぞれの結合剤の分子量は8、7、6、5または4kD以下である。
1態様において、a’:aおよびb:b’は結合対であり、結合対a’:aおよびb:b’のメンバーはロイシンジッパードメイン二量体およびハイブリダイズする核酸配列からなる群から選択される。1態様において、両方の結合対はロイシンジッパードメイン二量体を表す。1態様において、両方の結合対はハイブリダイズする核酸配列である。
a:a’またはb’:bが結合対を表す場合、そのような結合対に関する(そのような結合対内の)結合親和性は少なくとも10l/molである。両方の結合対は異なる。ある結合対に関して、違いは例えば相互結合(reciprocal binding)、例えばaならびにa’のbまたはb’に対する結合に関する親和性が対a:a’内の親和性の10%以下である場合に認められる。その相互結合、すなわちaならびにa’のbまたはb’それぞれに対する結合が対a:a’内の親和性の5%以下である、またはそれが対a:a’内の親和性の2%以下である場合も好ましい。1態様において、その違いは、その相互(交差反応性)結合が結合対内の特異的結合親和性と比較して1%以下であるほど顕著である。
用語“ロイシンジッパードメイン”は、一続きのおおよそ35残基中に7残基ごとにロイシン残基が存在することを特徴とする一般的に認識されている二量体化ドメインを示すために用いられている。ロイシンジッパードメインは、それらがあるタンパク質のオリゴマー化を促進するペプチドである。ロイシンジッパーはいくつかのDNA結合タンパク質中で最初に同定され(Landschulz, W.H. et al., Science 240 (1988) 1759-1764)、それ以来様々な異なるタンパク質中で見付かってきた。既知のロイシンジッパーの中には、二量体化または3量体化する天然存在ペプチドおよびその誘導体がある。可溶性多量体タンパク質を生成するのに適したロイシンジッパードメインの例がPCT出願国際公開第94/10308号において記述されており、そのロイシンジッパーはHoppe, H.J. et al., FEBS Lett. 344 (1994) 191-195において記述されている肺サーファクタントタンパク質D(SPD)に由来する。
ロイシンジッパードメインは、アルファらせんのコイルドコイルにより一緒の状態を保たれた二量体(結合対)を形成する。コイルドコイルは一周につき3.5残基を有し、それは7残基ごとにそのらせんの軸に関して同等の位置を占めることを意味する。そのコイルドコイルの内側のロイシンの規則的な配列は、疎水性およびファンデルワールス相互作用によりその構造を安定化する。
ロイシンジッパードメインが第1結合対(a’:a)および第2結合対(b:b’)を形成する場合、両方のロイシンジッパー配列は異なり、すなわち、配列aおよびa’はbおよびb’に結合しない。ロイシンジッパードメインは、そのようなドメインを含有することが既知である天然タンパク質、例えば転写因子から単離することができる。1つのロイシンジッパードメインが例えば転写因子fosに由来し、第2のロイシンジッパードメインが転写因子junに由来することができる。ロイシンジッパードメインは合成および設計のための当技術で既知の標準的な技法を用いて人工的に設計および合成することもできる。
1つの好ましい態様において、結合対a’:aおよびb:b’の両方のメンバー、すなわちa、a’、bおよびb’はロイシンジッパードメインを表し、スペーサーSはアミノ酸からなる。この態様において、コンストラクトa−S−bの生成は容易に可能である。そのようなスペーサーSの長さを望まれるように変えることは、当業者にとって簡単である。そのようなポリペプチドは合成することができ、または組み換えにより生成することができる。
例えば、N末端においてロイシンジッパーペプチドに、そしてC末端においてロイシンジッパーペプチドに融合したスペーサーポリペプチドを含む組み換え融合タンパク質を、標準的な技法に従って適切な宿主細胞中で発現させることができる。望まれるペプチドスペーサーをコードするDNA配列を、第1ロイシンジッパードメインaのメンバーをコードする配列および同じ読み枠中で第2ロイシンジッパードメインbのメンバーをコードするDNA配列の間に挿入することができる。
そのスペーサーSは、そのリンカーa−S−bがポリペプチドである場合、1態様において、GGGGS(SEQ ID NO:13)アミノ酸配列モチーフを1回または数回含む。そのスペーサーSはタグ配列も含んでいてよい。そのタグ配列は、一般的に用いられるタンパク質認識タグ、例えばYPYDVPDYA(HA-タグ)(SEQ ID NO:14)またはGLNDIFEAQKIEWHE(Avi-タグ)(SEQ ID NO:15)から選択されてよい。
1つの好ましい態様において、結合対(a’:a)および(b:b’)の両方がハイブリダイズする核酸配列である。
名称により既に示されているように、aおよびa’ならびにbおよびb’はそれぞれ互いにハイブリダイズする。一方でaおよびa’中に含まれる核酸配列と他方でbおよびb’中に含まれる核酸配列は異なる。言い換えると、結合対a’:a中の配列はそれぞれ結合対b:b’の配列に結合せず、逆もまた同じである。1態様において、本発明は式Iの少なくとも二重の結合剤に関し、ここでその結合対a:a’およびb:b’それぞれは両方ともハイブリダイズする核酸配列であり、ここでその異なる結合対a’:aおよびb:b’のハイブリダイズする核酸配列は互いとハイブリダイズしない。言い換えると、aおよびa’は互いにハイブリダイズするが、bまたはb’のいずれにも結合せず、それらのハイブリダイゼーションにも干渉せず、逆もまた同じである。ハイブリダイゼーションの速度論およびハイブリダイゼーションの特異性は、融点分析により容易に監視することができる。結合対(例えばa:a’)の特異的なハイブリダイゼーションおよび(例えばbまたはb’への)不干渉は、対a:a’に関する融解温度がbまたはb’とのあらゆる可能性のある組み合わせそれぞれ(すなわちa:b;a:b’;a’:bおよびa’:b’)と比較して少なくとも20℃高い場合に認められる。
結合対、例えば(a:a’)またはあらゆる他の核酸配列に基づく結合対を形成する核酸配列は、あらゆる天然存在核酸塩基またはそれらに対する類似体を弱めて(compromise)よく、上記で記述したような改変された、もしくは改変されていない主鎖を、それが多数の塩基対合により安定な二本鎖を形成することができる限り、有していてよい。安定は、その二本鎖の融解温度が37℃より高いことを意味する。好ましくは、その二本鎖は2本の完全に相補的な一本鎖からなる。しかし、37℃における安定性が与えられる限り、ミスマッチまたは挿入が可能である。
当業者は理解しているであろうように、核酸二本鎖は鎖間架橋によりさらに安定化され得る。いくつかの適切な架橋法、例えばソラレンを用いる、またはチオヌクレオシドに基づく方法が当業者に既知である。
結合対のメンバーである核酸配列は、好ましくは12〜50ヌクレオチドからなる。そのような核酸配列が15〜35ヌクレオチドからなるであろうことも好ましい。
RNアーゼは至る所にあり、RNAに基づく結合対および/またはスペーサー配列の望まれない消化を避けるために特別な注意を払わなければならない。例えばRNAに基づく結合対および/またはスペーサーを用いることは確かに可能であるが、DNAに基づく結合対および/またはスペーサーが好ましい態様である。
直交相補性オリゴヌクレオチドの2つより多くの対を提供するために、適切なハイブリダイズする核酸配列を容易に設計することができ、2つより多くの結合対の容易な生成および使用が可能になる。本発明の二重結合剤においてハイブリダイズする核酸配列を用いることの別の利点は、核酸配列中に容易に修飾を導入することができることである。修飾された構築ブロックは商業的に入手可能であり、それは例えば官能性部分を含むリンカーの容易な合成を可能にする。そのような官能性部分は、あらゆる望まれる位置において、構造aおよびa’ならびにbおよびb’および/またはSのいずれの中にも、それらがオリゴヌクレオチドを表す限り、容易に導入することができる。
1つの好ましい態様において、式Iに従う結合剤中に含まれるスペーサーSは核酸である。1つの好ましい態様において、両方の結合対がハイブリダイズする核酸配列であり、スペーサーSも核酸である。この態様において、a−S−bからなるリンカーLはオリゴヌクレオチドである。
そのスペーサーSならびに配列a、a’、bおよびb’が全てオリゴヌクレオチド配列である場合、Sならびに結合対a’:aおよびb:b’それぞれのメンバーaおよびbを含むリンカーLに相当する単一のオリゴヌクレオチドを提供および合成することは、容易に可能である。その一価結合剤AおよびBがそれぞれポリペプチドである場合、それらはそれぞれそのハイブリダイズする核酸配列a’およびb’それぞれに容易に連結することができる。そのようなコンストラクト中に含まれるスペーサーSの長さは、あらゆる望まれる方法で容易に変えることができる。3つのコンストラクトa−S−b、A−a’およびb’−Bを元にして、式Iの結合剤を、標準的な手順に従って、a’:aおよびb:b’それぞれの間のハイブリダイゼーションにより最も用意に得ることができる。異なる長さのスペーサーが用いられる場合、結果として得られるコンストラクトは他の点では同一の二重結合剤を提供するが、一価結合剤AおよびBの間において異なる距離を有する。これは最適な距離および/または柔軟性を可能にする。
1つの好ましい態様において、そのスペーサSならびに配列a、a’、bおよびb’はDNAである。
鏡像異性のL−DNAは、その直交ハイブリダイゼーション挙動、そのヌクレアーゼ耐性に関して、および変動可能な長さのオリゴヌクレオチドの合成の容易さに関して知られている。この適切なスペーサーを設計することによるリンカーの長さの変動の容易さは、本明細書で開示されるような結合剤のその抗原(単数または複数)への結合を最適化するために重要である。
1つの好ましい態様において、そのリンカーL(=a−S−b)は鏡像異性のL−DNAまたはL−RNAである。1つの好ましい態様において、リンカーa−S−bは鏡像異性のL−DNAである。1つの好ましい態様において、a、a’、bおよびb’ならびにそのスペーサーSは鏡像異性のL−DNAまたはL−RNAである。1つの好ましい態様において、a、a’、bおよびb’ならびにそのスペーサーSは鏡像異性のL−DNAである。
1態様において、そのスペーサーSはオリゴヌクレオチドであり、互いにハイブリダイズすることができる末端を含む2つの部分で合成される。この場合、そのスペーサーSはこれらのハイブリダイズすることができる末端の互いとのハイブリダイゼーションにより簡単に構築することができる。結果として得られたスペーサーコンストラクトは、オリゴヌクレオチド二本鎖部分を含む。明らかであるように、そのスペーサーをその方法で解釈した(construed)場合、前記の二本鎖を形成するそのハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチド構成要素の配列は、結合対a:a’およびb:b’とのハイブリダイゼーションまたはそれらへの干渉が起こり得ないような様式で選択される。
上記で既に記述したように、式Iの一価特異的結合剤AおよびBは核酸であってよい。本発明の1態様において、a’、a、b、b’、A、BおよびSは全てオリゴヌクレオチド配列である。この態様において、式IのサブユニットA−a’、a−S−bおよびb’−Bは標準的な手順に従って容易に、かつ独立して合成することができ、一般に用いられる標準的な手順に従ってハイブリダイゼーションにより組み合わせることができる。
上記で詳細に論じたように、そのカップリングは共有結合性であることもでき、またはそれは特異的な結合対によることもできる。
当業者は容易に理解するであろうように、本発明に従う二価結合剤は1個以上の官能性部分を有するようにさらに修飾されてよい。そのような官能性部分Xは、好ましくは結合基、標識基、エフェクター基および反応基からなる群から選択される。
1個より多くの官能性部分Xが存在する場合、それぞれのそのような官能性部分はそれぞれの場合において独立して結合基、標識基、エフェクター基または反応基であることができる。
1態様において、その官能性部分Xは好ましくは結合基、標識基およびエフェクター基からなる群から選択される。
1態様において、その基Xは結合基である。当業者には明らかであるように、その結合基Xは対a’:aおよびb:b’に干渉しないように選択されるであろう。
結合基の例はバイオアフィン(bioaffine)結合対のパートナーであり、それはそのバイオアフィン結合対の他方のパートナーと特異的に相互作用することができる。適切なバイオアフィン結合対は、ハプテンまたは抗原および抗体;ビオチンまたはビオチン類似体、例えばアミノビオチン、イミノビオチンまたはデスチオビオチンおよびアビジンまたはストレプトアビジン;糖およびレクチン、オリゴヌクレオチドおよび相補性オリゴヌクレオチド、受容体およびリガンド、例えばステロイドホルモン受容体およびステロイドホルモンである。1態様において、Xは結合基であり、式Iの化合物のa’、a、b、b’またはSの少なくとも1つに共有結合している。好ましくは、バイオアフィン結合対のより小さいパートナー、例えばビオチンもしくはそれに対する類似体、受容体リガンド、ハプテンまたはオリゴヌクレオチドは、上記で定義されたようなa’、a、L、bまたはb’の少なくとも(at lest)1個に共有結合している。
1態様において、官能性部分Xは、ハプテン;ビオチンまたはビオチン類似体、例えばアミノビオチン、イミノビオチンまたはデスチオビオチン;オリゴヌクレオチドおよびステロイドホルモンから選択される結合基である。
1態様において、その官能性部分Xは反応基である。その反応基は、アミノ、スルフヒドリル、カルボキシレート、ヒドロキシル、アジド、アルキニル(Alkinyl)またはアルケニルのようなあらゆる既知の反応基から選択することができる。1態様において、その反応基はマレインイミド、スクシンイミジル、ジチオピリジル、ニトロフェニルエステル、ヘキサフルオロフェニルエステルから選択される。
1態様において、その官能性部分Xは標識基である。その標識基はあらゆる既知の検出可能な基から選択することができる。当業者は、最少の消光での最高の感度のために適切であるように標識の数を選択するであろう。
その標識基はあらゆる既知の検出可能な基から選択することができる。1態様において、その標識基は、色素、例えば発光標識基、例えば化学発光基、例えばアクリジニウムエステル類もしくはジオキセタン類、または蛍光色素、例えばフルオレセイン、クマリン、ローダミン、オキサジン、レゾルフィン、シアニンおよびそれらの誘導体、発光性金属錯体、例えばルテニウムもしくはユーロピウム錯体、CEDIA(クローン化酵素供与体免疫アッセイ(Cloned Enzyme Donor Immunoassay)、例えば欧州特許第0 061 888号)に関して用いられるような酵素、微粒子もしくはナノ粒子、例えばラテックス粒子または金属ゾル、ならびに放射性同位体から選択される。
1態様において、その標識基は発光性金属錯体であり、その化合物は一般式(II)の構造を有し:
[M(L)] − Y − XA (II)
式中、Mは希土類または遷移金属イオンから選択される二価または三価金属陽イオンであり、L、LおよびLは同じまたは異なっており、少なくとも2個の窒素含有複素環を有するリガンドを示し、ここでL、LおよびLはその金属陽イオンに窒素原子を介して結合しており、XはリンカーYを介してそのリガンドL、LおよびLの少なくとも1個に共有結合している反応性官能基であり、nは1から10まで、好ましくは1から4までの整数であり、mは1または2、好ましくは1であり、Aは電荷を等しくするために必要である可能性のある対イオンを示す。
その金属錯体は好ましくは発光性金属錯体、すなわち適切な励起後に検出可能な発光反応を経る金属錯体である。その発光反応は、例えば蛍光または電気化学発光測定により検出することができる。この錯体中の金属陽イオンは、例えば遷移金属または希土類金属である。その金属は好ましくはルテニウム、オスミウム、レニウム、イリジウム、ロジウム、白金、インジウム、パラジウム、モリブデン、テクネチウム、銅、クロムまたはタングステンである。ルテニウム、イリジウム、レニウム、クロムおよびオスミウムが特に好ましい。ルテニウムが最も好ましい。
リガンドL、LおよびLは、少なくとも2個の窒素含有複素環を有するリガンドである。芳香族複素環、例えばビピリジル、ビピラジル、ターピリジルおよびフェナントロリルが好ましい。そのリガンドL、LおよびLは、特に好ましくはビピリジンおよびフェナントロリン環系から選択される。
その錯体はさらに電荷を等しくするための1個または数個の対イオンAを含有することができる。適切な負に荷電した対イオンの例は、ハロゲン化物、OH、カーボネート、アルキルカルボキシレート、例えばトリフルオロアセテート、サルフェート、ヘキサフルオロホスフェートおよびテトラフルオロボレート基である。ヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロアセテートおよびテトラフルオロボレート基が特に好ましい。適切な正に荷電した対イオンの例は、一価陽イオン、例えばアルカリ金属およびアンモニウムイオンである。
さらに好ましい態様において、その官能性部分Xはエフェクター基である。好ましいエフェクター基は療法上有効物質である。
療法上有効物質は、例えば癌の抑制においてそれらが有効である方式が異なる。それらはアルキル化により、架橋により、またはDNAの二本鎖の切断によりDNA鋳型を損傷することができる。他の療法上有効物質はインターカレーションによりRNA合成を遮断することができる。一部の薬剤は紡錘体毒、例えばビンカアルカロイド類、または酵素活性を阻害する抗代謝剤、またはホルモン性薬剤および抗ホルモン性薬剤である。エフェクター基Xは、アルキル化剤、抗代謝剤、抗腫瘍性抗生物質、ビンカアルカロイド類、エピポドフィロトキシン類、ニトロソ尿素類、ホルモン性薬剤および抗ホルモン性薬剤、ならびに毒素から選択されてよい。
現在より好ましいアルキル化剤は、シクロホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、メルファラン、チオテパ、イホスファミド、ナイトロジェンマスタードにより例示することができる。
現在より好ましい抗代謝剤は、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、6−チオグアニン、6−メルカプトプリンにより例示することができる。
現在より好ましい抗腫瘍性抗生物質は、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イドルビシン(idorubicin)、ニミトキサントロン(nimitoxantron)、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、およびプリカマイシンにより例示することができる。
現在より好ましい紡錘体毒はメイタンシンおよびメイタンシノイド類により例示することができ、ビンカアルカロイド類およびエピポドフィロトキシン類はビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデスチン(vindestin)、エトポシド、テニポシドにより例示することができる。
現在より好ましいニトロソ尿素類は、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシンにより例示することができる。
現在より好ましいホルモン性薬剤および抗ホルモン性薬剤は、アドレノコルチコルチコイド類(adrenocorticorticoids)、エストロゲン類、抗エストロゲン剤、プロゲスチン類、アロマターゼ阻害剤、アンドロゲン類、抗アンドロゲン剤により例示することができる。
追加の好ましい無作為な合成薬剤は、ダカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、プロカルバジド(procarbazide)、シスプラチン、カルボプラチンにより例示することができる。
官能性部分Xは、共有結合的に、または追加の結合対を介してのどちらかで、例えば(a’)、(a)、(b)、(b’)またはSの少なくとも1つに結合している。その官能性部分Xは1回または数(n)回存在することができる。(n)は整数であり、1または1より大きい。好ましくは、(n)は1〜100である。(n)が1〜50であることも好ましい。特定の態様において、nは1〜10、または1〜5である。さらなる態様において、nは1または2である。
官能性部分Xのa’、a、b、b’またはSの少なくとも1つへの共有結合に関して、あらゆる適切なカップリング化学を用いることができる。当業者はそのようなカップリング化学を標準的なプロトコルから容易に選択することができる。a’、a、b、b’またはSを合成する際に適切な構築ブロックの使用により官能性部分を組み込むことも可能である。
1つの好ましい態様において、官能性部分Xは式Iにより定義されるような結合剤のa、b、またはSに結合している。
1つの好ましい態様において、官能性部分Xは式Iにより定義されるような結合剤のスペーサーSに結合している。
1つの好ましい態様において、官能性部分Xは式Iにより定義されるような結合剤のa、b、またはSに共有結合している。
官能性部分Xがa、a’、bまたはb’それぞれに相当するハイブリダイズするオリゴヌクレオチド内に位置する場合、好ましくはそのような官能性部分は修飾されたヌクレオチドに結合しており、またはヌクレオシド間のP原子に結合している(国際公開第2007/059816号)。オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションに干渉しない修飾されたヌクレオチドがそれらのオリゴヌクレオチド中に組み込まれる。そのような修飾されたヌクレオチドは、好ましくはC5置換ピリミジン類またはC7置換7デアザプリン類である。
オリゴヌクレオチドは、内部で、または5’もしくは3’末端において、官能性部分の導入のために用いられる非ヌクレオチド性構成要素で修飾することができる。好ましくは、そのような非ヌクレオチド性構成要素はスペーサーSの内部、すなわち2個の結合対メンバーaおよびbの間に位置している。
スペーサーの構築のための多くの異なる非ヌクレオチド性修飾剤(modifier)構築ブロックが文献において既知であり、多種多様なものが商業的に入手可能である。官能性部分の導入に関して、非ヌクレオシド性二官能性修飾剤構築ブロックまたは非ヌクレオシド性の三官能性修飾された構築ブロックのどちらも、末端標識のためのCPGとして、または内部標識のためのホスホラミダイトとしてのどちらでも用いられる(Wojczewski, C. et al., Synlett 10 (1999) 1667-1678参照)。
二官能性修飾剤構築ブロック
二官能性修飾剤構築ブロックは、官能性部分または(必要であれば)保護された官能性部分をホスホラミダイト基に、その構築ブロックを成長しているオリゴヌクレオチド鎖の末端のヒドロキシル基に5’末端において(通常の合成)または3’末端において(逆向きの合成)取り付けるために連結する。
二官能性修飾剤構築ブロックは、好ましくは非ヌクレオシド性化合物である。例えば、そのような修飾された構築ブロックはC2〜C18アルキル、アルケニル、アルキニル炭素鎖であるが、前記のアルキル、アルケニル、アルキニル鎖はそのスペーサーの、それによりリンカー構造全体の親水性を増大させるために追加のエチレンオキシおよび/またはアミド部分により遮られていてよい。場合により1または2個のC1〜C6アルキル基で置換されているC5〜C6−シクロアルキル、C4N、C5N、C4O、C5O−ヘテロシクロアルキル、フェニルのような環状部分も、非ヌクレオシド性の二官能性修飾された構築ブロックとして用いることができる。好ましい修飾された二官能性構築ブロックは、C3〜C6アルキル部分およびトリ−〜ヘキサ−エチレングリコール鎖を含む。二官能性修飾剤構築ブロックの限定的でないが好ましい例を、下記の表IIIにおいて示す。
三官能性修飾剤構築ブロック
三官能性構築ブロックは、(i)官能性部分または(必要であれば)保護された官能性部分、(ii)レポーターまたは官能性部分または(必要であれば)保護された官能性部分をオリゴヌクレオチド合成の間に成長しているオリゴヌクレオチド鎖のヒドロキシル基に連結するためのホスホラミダイト基、および(iii)酸不安定性保護基で、好ましくはジメトキシトリチル保護基で保護されているヒドロキシル基を連結する。この酸不安定性保護基を除去した後、ヒドロキシル基が解放され、それはさらなるホスホラミダイトと反応することができる。従って、三官能性構築ブロックは官能性部分をオリゴヌクレオチド内のあらゆる位置に配置することを可能にする。三官能性構築ブロックは、固体支持体、例えば制御細孔ガラス(controlled pore glass)(CPG)を用いる合成にも必須であり、それはオリゴヌクレオチドの3’末端標識のために用いられる。この場合、その三官能性構築ブロックは官能性部分または(必要であれば)保護された官能性部分にC2〜C18アルキル、アルケニル、アルキニル(alkinyl)炭素鎖を介して連結されるが、前記のアルキル、アルケニル、アルキニル(alkyinyl)鎖はそのスペーサーの、それによりリンカー構造全体の親水性を増大させるために追加のエチレンオキシおよび/またはアミド部分により遮られていてよく、切断可能なスペーサーを介して固体支持体に結合したヒドロキシル基および酸不安定性保護基で保護されたヒドロキシル基を含む。この保護基の除去の後、ヒドロキシル基が解放され、次いでそれはホスホラミダイトと反応することができるであろう。
三官能性構築ブロックは非ヌクレオシド性またはヌクレオシド性であってよい。
非ヌクレオシド性三官能性構築ブロックはC2〜C18アルキル、アルケニル、アルキニル炭素鎖であるが、前記のアルキル、アルケニル、アルキニルはそのスペーサーの、それによりリンカー構造全体の親水性を増大させるために追加のエチレンオキシおよび/またはアミド部分により遮られている。他の三官能性構築ブロックは、場合により1または2個のC1〜C6アルキル基で置換されているC5〜C6−シクロアルキル、C4N、C5N、C4O、C5Oヘテロシクロアルキル、フェニルのような環式基である。環式および非環式基は1個の−(C1〜C18)アルキル−O−PG基により置換されていてよいが、前記のC1〜C18アルキルは(エチレンオキシ)n、(アミド)m部分を含み、nおよびmは互いに独立して0〜6であり、PGは酸不安定性保護基である。好ましい三官能性構築ブロックは、場合により1個のアミド結合を含みC1〜C6アルキルO−PG基で置換されたC3〜C6アルキル、シクロアルキル、C5Oヘテロシクロアルキル部分であり、ここでPGは酸不安定性保護基、好ましくはモノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、ピキシル、キサンチル、最も好ましくはジメトキシトリチルである。
非ヌクレオシド性三官能性構築ブロックに関する限定的でないが好ましい例が、例えば表IVにおいて要約されている。
ヌクレオシド性修飾剤構築ブロック:
ヌクレオシド性修飾剤構築ブロックは、未修飾のオリゴヌクレオチドと比較してそのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション特性に影響を及ぼさない必要がある場合に内部標識のために用いられる。従って、ヌクレオシド性構築ブロックは、なお相補的塩基とハイブリダイズすることができる塩基または塩基類似体を含む。本発明の式Iに従う結合剤中に含まれるa、a’、b、b’またはSの1個以上の核酸配列を標識するための標識化合物の一般式は、式IIにおいて与えられる。
式中、PGは酸不安定性保護基、好ましくはモノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、ピキシル、キサンチル、最も好ましくはジメトキシトリチルであり、ここでYはC2〜C18アルキル、アルケニル、アルキニル(alkinyl)であり、ここで前記のアルキル、アルケニル、アルキニル(alkinyl)はエチレンオキシおよび/またはアミド部分を含んでいてよく、ここでYは好ましくはC4〜C18アルキル、アルケニルまたはアルキニル(alkinyl)であり、1個のアミド部分を含有し、ここでXは官能性部分であり、それに標識を結合させることができる。
その塩基の具体的な位置は、そのような置換に関してハイブリダイゼーション特性への影響が最小限になるように選択されてよい。従って、以下の位置が置換に関して好ましい:a)天然塩基に関して:C5で置換されたウラシル;C5で、またはN4で置換されたシトシン;C8で、またはN6で置換されたアデニン、およびC8で、またはN2で置換されたグアニン、ならびにb)塩基類似体に関して:C7で置換された7デアザAおよび7デアザG;C7で置換された7デアザ8アザAおよび7デアザ8アザG;C7で置換された7デアザアザ2アミノA;N1で置換されたプソイドウリジンおよびN2で置換されたホルマイシン。
ヌクレオシド性三官能性構築ブロックに関する限定的でないが好ましい例を表Vにおいて示す。
表III、IVおよびVにおいて、二官能性部分の末端の酸素原子の1個または三官能性部分の末端の酸素原子の1個はホスホラミダイトの一部であり、それは完全に詳細には示されていないが当業者には明らかである。三官能性構築ブロックの第2の末端の酸素原子は、上記で式IIに関して定義されたように、酸不安定性保護基PGで保護されている。
合成後修飾は、共有結合した官能性部分をリンカーまたはスペーサー分子中に導入するための別の戦略である。このアプローチにおいて、固相合成の間に二官能性または三官能性構築ブロックを用いることによりアミノ基が導入される。そのアミノ修飾されたオリゴヌクレオチドの支持体からの切断および精製の後、官能性部分の活性化されたエステルと、またはその中の1個の官能基が活性エステルである二官能性試薬と反応させる。好ましい活性エステルはNHSエステルまたはペンタフルオロ(pentafluor)フェニルエステル類である。
合成後修飾は、固相合成および脱保護の間に安定でない官能性部分を導入するために特に有用である。例は、シュタウディンガーライゲーションのためのトリフェニルホスフィンカルボキシメチルエステルによる修飾(Wang, C.C. et al., Bioconjugate Chemistry 14 (2003) 697-701)、ジゴキシゲニンによる、または商業的に入手できるスルホSMCCを用いてマレインイミド基を導入するための修飾である。
官能性部分Xは、1態様において、a’、a、b、b’またはSの少なくとも1個に追加の結合対を介して結合している。
官能性部分Xを結合させることができる追加の結合対は、好ましくはロイシンジッパードメインまたはハイブリダイズする核酸である。その官能性部分Xがa’、a、b、b’またはSの少なくとも1個に追加の結合対のメンバーを介して結合している場合、Xが結合している結合対のメンバーならびに結合対a’:aおよびb:b’それぞれは全て異なる特異性を有するように選択される。その結合対a:a’、b:b’およびXが結合している結合対はそれぞれ、その他の結合対のいずれの結合にも干渉せずに、それらのそれぞれのパートナーに結合する(例えばハイブリダイズする)。
結合対のメンバーの一価結合剤への共有結合性カップリング
その結合剤の生化学的性質に応じて、異なるコンジュゲーション戦略がすぐに利用できる。
その結合剤が50〜500アミノ酸の天然存在タンパク質または組み換えポリペプチドである場合、タンパク質コンジュゲートの合成に関する化学を記述する教本中に標準的な手順があり、当業者は容易にそれに従うことができる(Hackenberger, C.P. and Schwarzer, D., Angew. Chem., Int. Ed., 47 (2008) 10030-10074)。
1態様において、マレインイミド部分のそのタンパク質内のシステイン残基との反応が用いられる。これは、例えば抗体のFabまたはFab’断片が一価結合剤として用いられる場合に好ましいカップリング化学である。あるいは、1態様において、結合対のメンバー(式Iのa’またはb’それぞれ)のその結合剤ポリペプチドのC末端へのカップリングが実施される。タンパク質の、例えばFab断片のC末端修飾は、例えばSunbul, M. et al., Organic & Biomolecular Chemistry 7 (2009) 3361-3371により記述されたように実施することができる。
一般に、結合対のメンバーの一価ポリペプチド性結合剤への部位特異的反応および共有結合性カップリングは、天然アミノ酸をタンパク質中に存在する他の官能基の反応性に対して直交性である反応性を有するアミノ酸に変換することに基づく。例えば、稀な配列前後関係(sequence context)内の特定のシステインをアルデヒド中で酵素的に変換することができる(ホルミルグリシンアルデヒドタグ−新規の翻訳後修飾によるタンパク質工学(Frese, M.-A. et al., ChemBioChem 10 (2009) 425-427)を参照)。特定の酵素の所与の配列前後関係中の天然アミノ酸との特異的な酵素反応性を利用することにより望まれるアミノ酸修飾を得ることも可能である(例えば以下の参考文献を参照:Taki, M. et al., Protein Engineering, Design & Selection 17 (2004) 119-126; Gautier, A. et al., Chemistry & Biology 15 (2008) 128-136;プロテアーゼに触媒されるC−N結合の形成がBordusa, F., HighlightsによりBioorganic Chemistry (2004) 389-403において用いられており、ソルターゼ(Sortase)に媒介されるタンパク質ライゲーションがMao, H.らによりJ. Am Chem Soc. 126 (2004) 2670-2671において用いられており、Proft, T.によりBiotechnol. Lett 32 (2010) 1-10において総説されている)。
結合対のメンバーの一価ポリペプチド性結合剤への部位特異的反応および共有結合性カップリングは、末端のアミノ酸の適切な修飾試薬との選択的反応によっても達成することができる。
N末端システインのベンゾニトリル類との反応性(Ren, Hongjun Xiao et al., Angewandte Chemie, International Edition 48 (2009) 9658-9662)を、部位特異的共有結合性カップリングを達成するために用いることができる。
天然型(Native)化学的ライゲーションはC末端システイン残基に頼ることもできる(Taylor, E. et al., Nucleic Acids and Molecular Biology 22 (2009) 65-96)。
欧州特許第1 074 563号は、一続きの負に荷電したアミノ酸内のシステインの一続きの正に荷電したアミノ酸中に位置するシステインとのより速い反応に基づくコンジュゲーション法を記述している。
その一価結合剤は、合成ペプチドまたはペプチド模倣物であってもよい。ポリペプチドが化学的に合成される場合、直交性化学反応性を有するアミノ酸をそのような合成の間に組み込むことができる(de Graaf, A.J. et al., Bioconjugate Chemistry 20 (2009) 1281-1295)。多種多様な直交性官能基が賭かっており(at stake)、合成ペプチド中に導入することができるため、そのようなペプチドのリンカー中へのコンジュゲーションは標準的な化学である。
単一標識された(mono−labeled)タンパク質を得るため、1:1の化学量論を有するコンジュゲートをクロマトグラフィーにより他のコンジュゲーション産物から分離することができる。この手順は色素標識された結合対のメンバーおよび荷電したスペーサーを用いることにより促進される。この種類の標識された、および高度に負に荷電した結合対のメンバーを用いることにより、電荷および分子量の違いを分離のために用いることができるため、1コンジュゲート化タンパク質が未標識のタンパク質および1個より多くのリンカーを有するタンパク質から容易に分離される。その蛍光色素は、二価結合剤(bindig agent)を標識された一価結合剤のような未結合の構成要素から精製するために役立つ。
従って、1態様において、本発明の二価結合剤を形成するために、(例えば合成の間に二官能性または三官能性修飾剤構築ブロックを二官能性スペーサー構築ブロックとの組み合わせで用いて合成された)蛍光色素で標識されている結合対のメンバー(式Iのa’および/またはb’それぞれ)を用いることが好ましい。1つの好ましい態様において、そのスペーサーSならびにその配列a、a’、bおよびb’はDNAであり、a’またはb’それぞれの少なくとも一方は蛍光色素で標識されている。1つの好ましい態様において、そのスペーサーSならびにその配列a、a’、bおよびb’はDNAであり、a’およびb’それぞれは両方ともそれぞれ異なる蛍光色素で標識されている。
1態様において、翻訳後修飾された標的ポリペプチドに特異的に結合する二価結合剤を製造するための方法を開示する。その方法は、以下の工程を含む:(a)前記の標的ポリペプチドのポリペプチドエピトープに5×10−3/秒〜10−4/秒のKdissで結合する第1一価結合剤を選択し、(b)翻訳後ポリペプチド修飾に5×10−3/秒〜10−4/秒のKdissで結合する第2一価結合剤を選択し、c)両方の一価結合剤をリンカーにより連結し、そしてd)3×10−5/秒以下のKdiss値を有する二価結合剤を選択する。
当業者は理解しているであろうように、そのKdissは温度依存性の値である。理論上、両方の一価結合剤の、ならびに本発明に従う二価結合剤のKdiss値は同じ温度で決定される。理解されるであろうように、好ましくはKdiss値はその二価結合剤が用いられることになる、例えばアッセイが実施されることになる温度と同じ温度で決定される。1態様において、そのKdiss値は室温で、すなわち20℃、21℃、22℃、23℃、24℃または25℃それぞれで確立される。1態様において、そのKdiss値は4または8℃それぞれで確立される。1態様において、そのKdiss値は25℃で確立される。1態様において、そのKdiss値は37℃で確立される。1態様において、そのKdiss値は40℃で確立される。1つの好ましい態様において、Kdissの決定、すなわちそれぞれの一価結合剤に関するKdissの決定および二重結合剤に関するKdissの決定は37℃においてなされる。
本発明において開示されるような方法を用いて、それぞれが異なる長さのリンカーを含む様々な二価結合剤を製造すること、および望まれる結合特性、すなわち3×10−5/秒以下のKdiss値を有するそれらの二価結合剤を選択することは、今ではかなり容易である。望まれるKdissを有する二価結合剤の選択は、実施例2.8において開示されるようなBiacore(商標)分析により実施される。
1態様において、本発明は本発明に従う二価結合剤を形成する方法に関し、ここで、標的ポリペプチドのポリペプチドエピトープに10−3/秒〜10−4/秒のKdissで結合し、第1結合対のメンバーに連結された第1一価結合剤、翻訳後ポリペプチド修飾に10−3/秒〜10−4/秒のKdissで結合し、第2結合対のメンバーに連結された第2一価結合剤、ならびにスペーサーならびにその第1および第2結合対のメンバーに対する相補的な結合対のメンバーを含むリンカーを一緒に保温し、それにより10−5/秒以下のKdiss値を有する二価結合剤が形成され、ここでその第1および第2結合対は互いに干渉しない。
1態様において、上記の方法はさらにその二価結合剤を単離する工程を含む。
本発明に従う二価結合剤の組み立てに関する好ましい化学量論比は1:1:1である。
1つの好ましい態様において、本発明に従う二価結合試薬を製造する方法はL−DNAリンカーを利用する。1つの好ましい態様において、本発明に従う二価結合試薬を製造する方法はDNA、好ましくはL−DNAからなる2個の特異的な結合対およびL−DNAリンカーを利用する。
二価結合剤の形成および形成された二価結合剤の化学量論は、現状技術の手順に従うサイズ排除クロマトグラフィーにより分析することができる。望まれるならば、その形成された複合体をSDS−PAGEにより分析することもできる。
免疫組織化学染色手順において用いられる場合、この発明で開示される二価結合剤のみが著しく結合し、それが3×10−5/秒またはより優れたKdissを有する場合、そのような手順の様々な保温工程の間に洗い落とされない。このKdissは、両方の一価結合剤がそれらの対応する結合部位に結合する場合にのみ達成され得る。ポリペプチドエピトープのみまたは翻訳後修飾のみが試料中の分子上に存在する場合、著しい染色は見られないであろう。従って、そしてこれは非常に好都合なことだが、免疫組織化学染色は(関係する修飾を有する)翻訳後修飾された標的ポリペプチドがその試料中に存在する場合にのみ観察されるであろう。
従って、好ましい態様において、本発明は組織染色法に関し、その方法は以下の工程を含む:(a)細胞または組織試料を提供し、(b)前記の試料をリンカーを介して互いに連結された2個の一価結合剤からなる二価結合剤と共に保温し、ここでその2個の一価結合剤の一方は前記の標的ポリペプチドのポリペプチドエピトープに結合し、その2個の一価結合剤の一方は翻訳後ポリペプチド修飾に結合し、それぞれの一価結合剤は5×10−3/秒〜10−4/秒の範囲のKdissを有し、ここでその二価結合剤は3×10−5/秒以下のKdissを有し、そして(c)その二価結合剤を検出し、それにより前記の試料を翻訳後修飾された標的ポリペプチドに関して染色する。
本発明に従う二価結合剤の免疫組織化学的方法による細胞または組織試料の染色における使用は、さらなる好ましい態様である。
より一般的に言うと、本発明はリンカーを介して互いに連結された2個の一価結合剤からなる二価結合剤に関し、その結合剤は翻訳後修飾された標的ポリペプチドに(自動化された)アッセイ系の要求を満たすKdissまたはよりよいKdissで結合し、ここで(a)第1一価結合剤は前記の標的ポリペプチドのポリペプチドエピトープにその(自動化された)アッセイ系の要求より少なくとも10倍上のKdissで結合し、(b)第2一価結合剤は翻訳後ポリペプチド修飾にその(自動化された)アッセイ系の要求より少なくとも10倍上のKdissで結合し、そして(c)ここでその2種類の一価結合剤(a)および(b)のKdiss値の積は少なくともその(自動化された)系により要求されるKdiss以下である。
一般的に言うと、翻訳後修飾された標的ポリペプチドに少なくとも(自動化された)アッセイ系の最小限のアッセイ要求を満たすKdissまたはよりよいKdissで特異的に結合する二価結合剤を得るための方法が記述され、その方法は以下の工程を含む:(a)前記の標的ポリペプチドの翻訳後修飾されていないエピトープにその(自動化された)アッセイ系の最小限のアッセイ要求より少なくとも10倍上のKdissで結合する第1一価結合剤を選択し、(b)翻訳後ポリペプチド修飾にその(自動化された)アッセイ系の最小限のアッセイ要求より少なくとも10倍上のKdissで結合する第2一価結合剤を選択し、ここで工程(a)および(b)におけるその2種類の一価結合剤のKdiss値の積は少なくともその(自動化された)系により要求されるKdiss以下であり、そして(c)両方の一価結合剤をリンカーにより連結する。
1態様において、その自動化された系はVentana Medical Systems Inc.(ツーソン)が流通させているようなBenchmark(登録商標)分析器である。
以下の実施例、配列リストおよび図は本発明の理解を助けるために提供されており、その正確な範囲は添付された特許請求の範囲において述べられている。述べられた手順において本発明の精神から逸脱することなく修正を行うことができることは理解されている。
配列リストの記述
1.抗体断片
2.ssDNAの配列
a) 19塩基長ssDNA(3’末端により抗トロポニンT MAB bのFab’またはリン酸化されたIGF−1Rに対するFab’ 8.1.2それぞれに共有結合している)
5’-A GTC TAT TAA TGC TTC TGC-3’(SEQ ID NO:5)
b)17塩基長ssDNA(5’末端により抗トロポニンT MAB aのFab’またはIGF−1Rに対するFab’ 1.4.168それぞれに共有結合している)
5’-AGT TCT ATC GTC GTC CA-3’(SEQ ID NO:6)
c)相補性19塩基長ssDNA(リンカーの一部として用いられる)
5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-3’(SEQ ID NO:7)
d)相補性17塩基長ssDNA(リンカーの一部として用いられる)
5’-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’(SEQ ID NO:8)
3.トロポニンTエピトープの配列
SEQ ID NO:9 = ERAEQQRIRAEREKEUUSLKDRIEKRRRAERAEアミド、ここでUはβアラニンを表す。(抗トロポニン抗体aに関するエピトープ“A”)
SEQ ID NO:10 = SLKDRIERRRAERAEOOERAEQQRIRAEREKEアミド、ここでOはアミノ−トリオキサ−オクタン酸を表す。(抗トロポニン抗体bに関するエピトープ“B”)
4.IGF−1R/IRエピトープの配列:
SEQ ID NO:11 = FDERQPYAHMNGGRKNERALPLPQSST; IGF-1R (1340〜1366)
SEQ ID NO:12 = YEEHIPYTHMNGGKKNGRILTLPRSNPS; hIR(1355〜1382)
5.タンパク質リンカーおよびタグ配列:
SEQ ID NO:13 = GGGGS (=G4S)モチーフ(例えばポリペプチドリンカーの一部として)
SEQ ID NO:14 = YPYDVPDYA (HA−タグ)
SEQ ID NO:15 = GLNDIFEAQKIEWHE (Avi−タグ)
SEQ ID NO:16 = LPETGGGSGS (ソルターゼ切断タグ)
6.HER3エピトープの配列:
SEQ ID NO:17 = PLHPVPIMPTAGTTPDEDYEYMNRQR; hHER3 (1242〜1267)
SEQ ID NO:18 =PASEQGYEEMRAF; hHER3 (1283〜1295)
7.ソルターゼに媒介されるFab標識のためのssDNAの配列
SEQ ID NO:25 = 5’-(Gly)2-アミノリンカー-(スペーサーC3)3-AGT TCT ATC GTC GTC CA-フルオレセイン-3’(17塩基長−オリゴ)
SEQ ID NO:26 = 5’-フルオレセイン-AGT CTA TTA ATG CTT CTG C-(スペーサーC3)3-アミノリンカー-’-(Gly)2-3’(19塩基長−オリゴ)
図の説明
図1 抗pIGF1−R二重結合剤の組み立ての効率を評価する分析的ゲル濾過実験。線図a、bおよびcは、個々の二重結合剤構成要素(フルオレセイン−ssFab’ 1.4.168、Cy5−ssFab’ 8.1.2およびリンカーDNA(T=0);ssFab’は一本鎖オリゴヌクレオチドにコンジュゲートしたFab’断片を意味する)の溶離プロフィールを示す。線図dは、二価結合剤を形成するのに必要な3種類の構成要素を1:1:1のモル比で混合した後の溶離プロフィールを示す。より太い(一番下の)曲線は、ssFab’タンパク質またはリンカーDNAそれぞれの存在を示す280nmにおいて測定された吸光度を表す。b)およびd)におけるより細い一番上の曲線(495nmにおける吸光度)はフルオレセインの存在を示し、a)におけるより細い一番上の曲線およびd)における中央の曲線(635nmにおける吸光度)は、Cy5の存在を示す。単一の二重結合剤の構成要素の溶離体積(VEssFab’ 1.4.168 約15ml;VEssFab’ 8.1.2 約15ml;VEリンカー 約16ml)の反応混合物の溶離体積(VE混合物 約12ml)との比較は、二重結合剤組み立て反応が成功であったことを示す(収率:約90%)。溶離された二重結合剤に相当する主な280nmのピークは、495nmおよび635nmのチャンネルにおける主なピークとうまく重なっており、二価結合剤に相当するピーク中にssFab’ 8.1.2およびssFab’ 1.4.168の両方が存在することを証明している。
図2 図2:Biacore(商標)実験のスキーム。模式的および例示的に、溶液中の2種類の結合分子を示す:T0−T−Dig(リンカー16)、二価結合剤およびT40−T−Dig(リンカー15)、二価結合剤。これら両方の二価結合剤はそれらのリンカーの長さにおいてのみ異なる(2個のハイブリダイズする核酸配列の間に追加のTを有しない中心のジゴキシゲニン化された(digoxigenylated)T対40個の追加のT(中心のT−Digのそれぞれの側に20個)を有する中心のジゴキシゲニン化されたT)。さらに、ssFab’断片8.1.2および1.4.168を用いた。
図3 100nM二価結合剤(T40−T−Dig ssDNAリンカー、すなわちリンカー15上にハイブリダイズしたssFab’ 8.1.2およびssFab’ 1.4.168からなる)の固定されたペプチドpIGF−1Rとの相互作用を、100nM ssFab’ 1.4.168または100nM ssFab’ 8.1.2の同じペプチドに対する結合特性と比較して示す、3つの速度論を重ねてプロットしたBiacore(商標)センサーグラム(sensorgram)。最も高い結合性能は二重結合剤コンストラクトを用いて得られ、これはその二重結合剤の協同的結合作用が標的ペプチドpIGF−1Rに対する親和性を増大させることを明確に示している。
図4 T40−T−Dig ssDNAリンカー、すなわちリンカー15上にハイブリダイズしたssFab’ 8.1.2およびssFab’ 1.4.168からなる二価結合剤の固定されたペプチドpIGF−1R(リン酸化されたIGF−1R)、IGF−1RまたはpIR(リン酸化されたインスリン受容体)との相互作用を示す3つの速度論を重ねてプロットしたBiacore(商標)センサーグラム。最も高い結合性能はpIGF−1Rペプチドで得られ、これは二重結合剤の協同的結合作用が標的ペプチドpIGF−1Rに対する特異性を例えばリン酸化されたインスリン受容体ペプチド(pIR)と比較して増大させることを明確に示している。
図5 T40−T−Dig ssDNAリンカー、すなわちリンカー15上にハイブリダイズしたssFab’ 8.1.2およびssFab’ 1.4.168からなる100nM二価結合剤ならびにリンカーDNAを有しない100nM ssFab’ 8.1.2およびssFab’ 1.4.168の混合物の相互作用を示す2つの速度論を重ねてプロットしたBiaore(商標)センサーグラム。最高の結合性能は二価結合剤を用いてのみ得られ、一方でリンカーを有しないssFab’の混合物は、これらのssFab’の合計濃度が200nMであったという事実にも関わらず、観察可能な協同的結合作用を示さない。
図6 Biacore(商標)サンドイッチアッセイの概略図。このアッセイは、両方の抗体のリン酸化されたIGF−1Rペプチドへのエピトープ接近可能性を調べるために用いられた。<MIgGFcy>Rはマウス抗体M−1.4.168を捕捉するために用いられたウサギ抗マウス抗体を示す。次いでM−1.4.168を用いてpIGF−1Rペプチドを捕捉する。M−8.1.2が最終的にM−1.4.168、ペプチドおよびM−8.1.2からなるサンドイッチを形成する。
図7 二次抗体8.1.2のpIGF−1Rペプチドに対する、これがBiacore(商標)チップ上で抗体1.4.168により捕捉された後の結合シグナル(太線)を示すBiacore(商標)センサーグラム。その他のシグナル(細い線)は対照シグナルである:一番上から一番下に向かって、それぞれ500nMの8.1.2、500nMの1.4.168;500nMの標的と無関係の抗体<CKMM>M−33−IgG;および500nMの標的と無関係の対照抗体<TSH>M−1.20−IgGの線を示す。これらの対照にいずれにおいても結合事象を検出することはできなかった。
図8 センサー表面上のビオチン化二重結合剤を示す、Biacore(商標)アッセイの概略図。フローセル1(=FC1)(示していない)上で、アミノ−PEO−ビオチンを捕捉させた。FC2、FC3およびFC4上で、増大するリンカーの長さを有する二価結合剤を固定した(FC2上の二重結合剤(T0−bi=1個の中央のT−Biのみ)およびFC4上の二重結合剤(T40−bi=1個の中央のT−Biならびに上流および下流それぞれの20個のT)をそれぞれ示す)。分析物1:そのペプチドの右側の末端においてM−1.4.168 ssFab’エピトープを含有するIGF−1Rペプチド(一番上の線)−このペプチドはリン酸化されていないため、M−8.1.2 ssFab’ホスホ−エピトープは存在しない;分析物2:M−8.1.2 ssFab’ホスホ−エピトープ(P)およびM−1.4.168 ssFab’エピトープを含有するpIGF−1Rペプチド(2番目の線);分析物3:交差反応するM−8.1.2 ssFab’ホスホ−エピトープを含有するがM−1.4.168 ssFab’に関するエピトープは含有しない、pIRペプチド(3番目の線)。
図9 二重結合剤実験の速度論データ。ssFab’ 8.1.2およびssFab’ 1.4.168を有するT40−T−Biリンカー二重結合剤(=図中のT40)は、pIGF−1Rに対して、pIR(kd=3.70E−02/s)と比較した場合に1300倍低い解離速度(kd=2.79E−05/s)を示す。
図10 T40−T−Bi二重結合剤のpIGF−1Rペプチド(リン酸化されたIGF−1Rペプチド)に対する濃度依存的測定を示すBiacore(商標)センサーグラム。そのアッセイの構成は図8において示されている通りである。pIGF−1Rペプチドの濃度系列は、30nM、10nM、2×3.3nM、1.1nM、0.4nM、0nMで注入された。対応するデータが図9の表において示されている。
図11 T40−T−Bi二重結合剤のIGF−1Rペプチド(リン酸化されていないIGF−1Rペプチド)に対する濃度依存的測定を示すBiacore(商標)センサーグラム。そのアッセイの構成は図8において示されている通りである。IGF−1Rペプチドの濃度系列は、300nM、100nM、2×33nM、11nM、4nM、0nMで注入された。対応するデータが図9の表において示されている。
図12 T40−T−Bi二重結合剤のpIRペプチド(リン酸化されたインスリン受容体ペプチド)に対する濃度依存的測定を示すBiacore(商標)センサーグラム。そのアッセイの構成は図8において示されている通りである。pIRペプチドの濃度系列は、100nM、2×33nM、11nM、4nM、0nMで注入された。対応するデータが図9の表において示されている。
図13 (A)ホルマリン固定されパラフィン包埋された(FFPE)3T3細胞のペレットの生成のために用いられた3T3細胞の溶解物を用いたウェスタンブロッティング実験。それぞれの溶解物の5μgの総タンパク質に対してSDS−PAGEおよびウェスタンブロッティングを行った。検出は抗ホスホチロシン抗体(Millipore、クローン4G10)を用いて行われた。アスタリスク()またはアスタリスクの対(**)は、リン酸化されたIGF−1Rまたはリン酸化されたIRタンパク質に関するバンドの位置を示している。(B)FFPE 3T3細胞ペレットを用いたIHC実験の結果。8×C18リンカー分子(実施例2.4のリンカー14)およびssFab’ 1.4.168のみまたはssFab’ 30.4.33のみからなる検出分子は、試験したFFPE 3T3細胞ペレットのいずれに対する染色ももたらさなかった(横列1および2)。対照的に、完全な二重結合剤分子(両方のssFab’断片+8×C18リンカーからなる)を用いた検出は染色をもたらしたが、IGF−1により刺激されたIGF−1R過剰発現細胞においてのみであった(横列3)。IRを過剰発現する細胞に対する交差反応性は、IRのリン酸化が誘導された場合でさえも観察されなかった。(C)異なるリンカーの長さ(リンカーは2×C18、4×C18、6×C18または8×C18スペーサーを含有していた;実施例2.4を参照)を有する抗pIGF−1R二重結合剤の、IGF−1で刺激してIGF−1Rのリン酸化を誘導しておいたIGF−1Rを過剰発現するFFPE 3T3細胞に対する性能を比較するIHC実験。
図14 H322M異種移植片切片の免疫染色。ssFab’断片(ssFab’ 30.4.33または/およびssFab’ 1.4.168それぞれ)につき10μg/mlおよび等モル量の8×C18リンカー分子を検出のために用いた。リンカー分子内のビオチン標識は、ストレプトアビジンに基づくVentana iVIEW DAB検出キットのための検出タグの役目を果たした。
図15 センサー表面上のビオチン化された二重結合剤を示す、Biacoreアッセイの概略図。ビオチン化された8×C18リンカー分子を固定し、それをssFab’ 1.4.168および/またはssFab’ 30.4.33をそれぞれ捕捉するために用いた。分析物は、M−1.4.168 ssFabエピトープをペプチドの一方の末端に、M−30.4.33 ssFabホスホ−エピトープを他方の末端に含有するpIGF−1Rペプチドであった。
図16 二重結合剤実験の速度論データを要約した表。ssFab’ 30.4.33およびssFab’ 1.4.168の両方を含有する二重結合剤は、ssFab’ 1.4.168単独(kd=3.22E−03/s)よりも230倍低い解離速度(kd=1.39E−05/s)およびssFab’ 30.4.33単独(kd=1.57E−03/s)よりも110倍低い解離速度を示す。
図17 8×C18リンカー分子およびssFab’ 30.4.33からなる一価結合剤のリン酸化されたIGF−1Rペプチドに対する濃度依存的測定を示すBiacoreセンサーグラム。そのアッセイの構成は図15において示されている通りである。SEQ ID NO:11の合成によるリン酸化されたpIGF−1Rペプチドの濃度系列は、30nM、10nM、2×3.3nM、1.1nM、0.4nM、0nMで注入された。対応する速度論データが図16において示されている。
図18 8×C18リンカー分子およびssFab’ 1.4.168からなる一価結合剤のリン酸化されたIGF−1Rペプチドに対する濃度依存的測定を示すBiacoreセンサーグラム。そのアッセイの構成は図15において示されている通りである。pIGF−1Rペプチドの濃度系列は、30nM、10nM、2×3.3nM、1.1nM、0.4nM、0nMで注入された。対応する速度論データが図16において示されている。
図19 8×C18リンカー分子、ssFab’ 30.4.33およびssFab’ 1.4.168からなる二価結合剤のリン酸化されたIGF−1Rペプチドに対する濃度依存的測定を示すBiacoreセンサーグラム。そのアッセイの構成は図15において示されている通りである。pIGF−1Rペプチドの濃度系列は、30nM、10nM、2×3.3nM、1.1nM、0.4nM、0nMで注入された。対応する速度論データが図16において示されている。
図20 (A)ホルマリン固定されパラフィン包埋された(FFPE)293細胞のペレットの生成のために用いられたHek293細胞の溶解物を用いたウェスタンブロッティング実験。それぞれの溶解物の5μgの総タンパク質に対してSDS−PAGEおよびウェスタンブロッティングを行った。検出は抗ホスホチロシン抗体(Millipore、クローン4G10)を用いて行われた。(B)Hek293細胞ペレットを用いたIHC実験の結果。4×C18リンカー分子(実施例2.4のリンカー12)およびssFab’ 4.1.15のみまたはssFab’ 7.2.32のみからなる検出分子は、試験したFFPE Hek293細胞ペレットのいずれに対する染色ももたらさなかった(横列1および2)。対照的に、完全な二重結合剤分子(両方のssFab’断片+4×C18リンカーからなる)を用いた検出は染色をもたらしたが、NRG1−β1により刺激された野生型のHER3を過剰発現する細胞においてのみであった(横列3;縦列2)。未刺激の細胞(横列3;縦列1)およびNRG1−β1で刺激された野生型HER3の代わりに変異型HER3(Y>F)(Tyr1289リン酸化部位を欠いている)を過剰発現する細胞(横列3;縦列3)においてはそれぞれ染色は観察されなかった。
実施例1
トロポニンTに対する二価結合剤
1.1 モノクローナル抗体およびFab’断片
ヒト心臓トロポニンTに異なる重複しないエピトープ(それぞれエピトープA’およびエピトープB’)で結合する2種類のモノクローナル抗体を用いた。これらの抗体は両方とも最新のRoche Elecsys(商標)トロポニンTアッセイにおいて用いられ、ここでトロポニンTはサンドイッチ免疫アッセイの形式で検出される。
モノクローナル抗体の培養上清からの精製は、タンパク質化学の現状技術の方法を用いて実施された。
その精製されたモノクローナル抗体を、予め活性化した(pre−activated)パパイン(抗エピトープA’ MAb)またはペプシン(抗エピトープB’ MAb)のどちらかを用いてプロテアーゼ消化するとF(ab’)2断片が得られ、続いてそれを低濃度のシステアミンを用いて37℃で還元すると、Fab’断片、すなわち式I(A−a’:a−S−b:b’−B)におけるAおよびBそれぞれになる。その反応を、Sephadex G−25カラム(GE Healthcare)上でシステアミンをその試料のポリペプチド含有部分から分離することにより停止する。
1.2 Fab’断片のssDNA−オリゴヌクレオチドへのコンジュゲーション
そのFab’断片を、下記で記述する活性化されたssDNAaおよびssDNAbオリゴヌクレオチドとそれぞれコンジュゲートさせる。
Fab−断片−ssDNAコンジュゲートA”およびB”それぞれの調製:
a)Fab’−抗トロポニンT<エピトープA’>−ssDNA−コンジュゲート(=A”)
Fab’−抗トロポニンT<エピトープA’>−ssDNA−コンジュゲートA”の調製のために、SED ID NO:5の誘導体、すなわち5’-AGT CTA TTA ATG CTT CTG C(=SEQ ID NO:5)-XXX-Y-Z-3’が用いられ、ここでX=ホスホラミダイトC3 (3-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)プロピル-1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Glen Research)により導入されたプロピレン−ホスフェートであり、ここでY=3’-アミノ修飾剤TFAアミノC-6 lcaa CPG (ChemGenes)により導入された3’-アミノ-修飾剤C6であり、ここでZ=スルホスクシンイミジル 4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレート(ThermoFischer)により導入された4[N-マレインイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシである。
b)Fab’−抗トロポニンT<エピトープB’>−ssDNA−コンジュゲート(=B”)
Fab−抗トロポニンT<エピトープB’>−ssDNAb−コンジュゲート(B”)の調製のために、SED ID NO:6の誘導体、すなわち5’-Y-Z-XXX-AGT TCT ATC GTC GTC CA-3’が用いられ、ここでX=ホスホラミダイトC3 (3-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)プロピル-1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Glen Research)により導入されたプロピレン−ホスフェートであり、ここでY=(6-(4-モノメトキシトリチルアミノ)ヘキシル-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホラミダイト(Glen Research)により導入された5'-アミノ-修飾剤C6であり、Z=スルホスクシンイミジル 4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレート(ThermoFischer)により導入された4[N-マレインイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシである。
SEQ ID NO:5または6のオリゴヌクレオチドはそれぞれ現状技術のオリゴヌクレオチド合成法により合成された。そのマレインイミド基の導入は、Yのアミノ基のZのスクシンイミジル基との反応により行われ、それは固相オリゴヌクレオチド合成プロセスの間に組み込まれた。
上記で示した一本鎖DNAコンストラクトはチオール反応性マレイミド基を有し、それはシステアミン処理により生成されたFab’のヒンジ領域のシステインと反応する。高い百分率の単一標識されたFab’断片を得るため、ssDNAのFab’断片に対する相対的なモル比は低く保たれる。単一標識されたFab’断片(ssDNA:Fab’=1:1)の精製は、陰イオン交換クロマトグラフィー(カラム:MonoQ,GE Healthcare)により行われる。効率的な標識および精製の検証は、分析的ゲル濾過クロマトグラフィーおよびSDS−PAGEにより達成される。
1.3 ビオチン化されたリンカー分子
ssDNAリンカーL1、L2およびL3それぞれにおいて用いられるオリゴヌクレオチドは、現状技術のオリゴヌクレオチド合成法により、ビオチン化に関してビオチン化ホスホラミダイト試薬を用いて合成された。
リンカー1(=L1)(スペーサーを有しないビオチン化ssDNAリンカー1)は、以下の組成を有する:
5’-GCA GAA GCA TTA ATA GAC T (ビオチン-dT)-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’。それはそれぞれSEQ ID NO:7および8のssDNAオリゴヌクレオチドを含み、ビオチン-dT (5’-ジメトキシトリチルオキシ-5-[N-((4-t-ブチルベンゾイル)-ビオチニル)-アミノヘキシル)-3-アクリルイミド]-2'-デオキシウリジン-3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Glen Research)の使用によりビオチン化された。
リンカー2(=L2)(11塩基長のスペーサーを有するビオチン化ssDNAリンカー2)は、以下の組成を有する:
5’-GCA GAA GCA TTA ATA GAC T T5-(ビオチン-dT)-T5 TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’。それはそれぞれSEQ ID NO:7および8のssDNAオリゴヌクレオチド、それぞれ5個のチミジンからなる2回のオリゴヌクレオチドの一続きを含み、そのスペーサーの中央においてビオチン-dT (=T-Bi) (5’-ジメトキシトリチルオキシ-5-[N-((4-t-ブチルベンゾイル)-ビオチニル)-アミノヘキシル)-3-アクリルイミド]-2'-デオキシウリジン-3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Glen Research)の使用によりビオチン化された。
リンカー3(=L3)(31塩基長のスペーサーを有するビオチン化ssDNAリンカー3)は、以下の組成を有する:
5’-GCA GAA GCA TTA ATA GAC T T15-(ビオチン-dT)-T15 TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’。それはそれぞれSEQ ID NO:7および8のssDNAオリゴヌクレオチド、それぞれ15個のチミジンからなる2回のオリゴヌクレオチドの一続きを含み、そのスペーサーの中央においてビオチン-dT (5’-ジメトキシトリチルオキシ-5-[N-((4-t-ブチルベンゾイル)-ビオチニル)-アミノヘキシル)-3-アクリルイミド]-2'-デオキシウリジン-3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Glen Research)の使用によりビオチン化された。
1.4 一価トロポニンT結合剤AおよびBそれぞれに関するエピトープ
抗トロポニンT抗体aおよびbそれぞれに由来する対応するFab’断片に対してそれぞれ中程度の親和性しか有しない合成ペプチドが考えられた(construed)。
a)抗体aに関するエピトープA’は次の配列中に含まれ:
SEQ ID NO:9 = ERAEQQRIRAEREKEUUSLKDRIEKRRRAERAEアミド
ここでUはβアラニンを表す。
b)抗体bに関するエピトープB’は次の配列中に含まれ:
SEQ ID NO:10 = SLKDRIERRRAERAEOOERAEQQRIRAEREKEアミド
ここでOはアミノ-トリオキサ-オクタン酸を表す。
当業者は理解するであろうように、これら2種類のエピトープを含有するペプチドを2通りで組み合わせることが可能であり、両方の変種はエピトープA’およびB’を線状に組み合わせることにより設計および調製された。両方の変種の配列:エピトープの線状配列A’−B’(=TnT−1)およびB’−A’(=TnT−2)はそれぞれ現状技術のペプチド合成法により調製された。
エピトープA’およびB’に関する配列はそれぞれ、ヒトの心臓トロポニンTの配列(P45379/UniProtKB)上の本来のエピトープと比較してそれらに対するFabのそれぞれに関する結合親和性を低減するために修正されていた。これらの状況下で、例えばBiacore(商標)技術により結合親和性を分析することにより、ヘテロ二価結合の作用の動態をよりよく観察することができる。
1.5 生体分子相互作用分析
この実験に関して、Biacore(商標)3000機器(GE Healthcare)を、系の中に取り付けられたBiacore(商標)SAセンサーと共にT=25℃で用いた。前条件付け(Preconditioning)は100μl/分で50mM NaOH中の1M NaClの3×1分間の注入および1分間の10mM HClの注入で行われた。
HBS−ET(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM EDTA、0.05% Tween(登録商標)20)をシステム緩衝液として用いた。試料緩衝液はシステム緩衝液と同一であった。
Biacore(商標)3000システムは制御ソフトウェアV1.1.1の下で運転された。フローセル1を7RUのD−ビオチンで飽和させた。フローセル2上に1063RUのビオチン化ssDNAリンカーL1を固定した。フローセル3上に879RUのビオチン化ssDNAリンカーL2を固定した。フローセル4上に674RUのビオチン化ssDNAリンカーL3を捕捉させた。
その後、Fab’断片DNAコンジュゲートA”を600nMで注入した。Fab’断片DNAコンジュゲートB”をシステム中に900nMで注入した。そのコンジュゲートを2μl/分の流速で3分間注入した。そのコンジュゲートを連続的に注入してそれぞれのFab’断片DNAコンジュゲートのそのそれぞれのリンカー上でのそれぞれの飽和シグナルを監視した。Fab’の組み合わせは、それぞれのリンカー上に存在する単一のFab’断片DNAコンジュゲートA”、単一のFab’断片DNAコンジュゲートB”ならびに両方のFab’断片DNAコンジュゲートA”およびB”を用いて駆動された(driven)。安定なベースラインはそのリンカーがFab’断片DNAコンジュゲートにより飽和された後に生成され、それはさらなる速度論的測定のための必要条件であった。
人工のペプチド分析物TnT−1およびTnT−2を、溶液中の分析物として、表面に提示されたFab’断片と相互作用させるためにそのシステム中に注入した。
TnT−1を500nMの分析物濃度で注入し、TnT−2を900nMの分析物濃度で注入した。両方のペプチドを50μl/分で4分間の会合時間で注入した。解離を5分間監視した。全てのフローセルに関して、50mM NaOHの50μl/分での1分間の注入により再生を行った。
速度論データをBiaevaluationソフトウェア(V.4.1)を用いて決定した。TnT−1およびTnT−2ペプチドのそれぞれの表面に提示されたFab’断片の組み合わせからの解離速度kd(1/s)を、線形ラングミュア1:1当てはめ(fitting)モデルに従って決定した。その複合体の分での半減時間を一次速度方程式:ln(2)/(60kd)の解法に従って計算した。
結果:
表1および2それぞれにおいて示した実験データは、分析物(TnT−1またはTnT−2)それぞれおよび様々なヘテロ二価Fab’−Fab’二量体A”−B”の間の複合体の安定性における一価dsDNA Fab’A”またはB”コンジュゲートそれぞれと比較した場合の増大を実証している。この作用はそれぞれの表において2および3行目(line)と比較した1行目において見られる。
その結合活性作用はさらにそのリンカーの長さに依存している。表1の下に示した副表(sub−tables)において、すなわち人工分析物TnT−1に関して、チミジンに基づく31塩基長のスペーサーを含むリンカーL3は最低の解離速度または最高の複合体安定性を示す。
表2の下に示した副表において、チミジンに基づく11塩基長のスペーサーを含むリンカーL2は人工分析物TnT−2に関して最低の解離速度または最高の複合体安定性を示す。
これらのデータをまとめると、本発明において与えられるアプローチに本来備わっているようなリンカーの長さにおける柔軟性は非常に有用かつ好都合であることを実証している。
実施例2
リン酸化されたIGF−1Rに対する二価結合剤
2.1 モノクローナル抗体の開発(mAb 8.1.2、mAb 1.4.168およびmAB 30.4.33)
a)マウスの免疫処置
BALB/Cマウスを0、3、6および9週目においてそれぞれ免疫する。免疫処置あたり100μgのリン酸化されたペプチドpIGF−1R(1340〜1366)(SEQ ID NO:11)を含むコンジュゲートを用いる。このペプチドは、チロシン1346においてリン酸化され(=1346−pTyr)、C末端のシステインを介してKLHに連結されて(=Aoc−Cys−MP−KLH−1340)、免疫処置のために用いられるコンジュゲートがもたらされた。0および6週目それぞれにおいて腹腔内に、3および9週目それぞれにおいてマウスの体の様々な部分において皮下に(subcutanuosly)免疫処置を実施する。
b)融合およびクローニング
免疫したマウスの脾臓細胞を、Galfre G., and Milstein C., Methods in Enzymology 73 (1981) 3-46に従って骨髄腫細胞と融合させる。このプロセスにおいて、免疫したマウスの約1×10個の脾臓細胞を2×10個の骨髄腫細胞a(P3X63−Ag8653、ATCC CRL1580)と混合し、遠心分離する(250gおよび37℃において10分間)。次いでその細胞をウシ胎児血清(FCS)を含まないRPMI 1640培地で1回洗浄し、50mlコニカルチューブ中で250gで再度遠心分離する。上清を廃棄し、細胞沈降物をタッピングにより穏やかにほぐし、1mlのPEG(分子量4000、Merck、ダルムシュタット)を添加し、ピペット操作により混合する。37℃の水浴中で1分間保温した後、5mlのFCSを含まないRPMI 1640を室温で4〜5分の期間内に滴加する。この工程をさらに10mlのFCSを含まないRPMI 1640を用いて繰り返す。その後、25mlの10% FCSを含有するRPMI 1640を添加し、続いて37℃、5%COにおいて30分間の保温工程を行う。250gおよび4℃において10分間の遠心分離の後、その沈降した細胞を10% FCSを含有するRPMI 1640中に回収し、ヒポキサンチン−アザセリン選択培地(RPMI 1640+10% FCS中100mmol/lヒポキサンチン、1μg/mlアザセリン)中で蒔く。100U/mlのインターロイキン6をその培地に増殖因子として添加する。7日後、その培地を新しい培地と交換する。10日目に、その初代培養物を特異的な抗体に関して試験する。陽性の初代培養物を、蛍光活性化セルソーターにより、96ウェル細胞培養プレートにおいてクローニングする。
c)細胞培養上清からの免疫グロブリンの単離
得られたハイブリドーマ細胞をCELLine 1000 CLフラスコ(Integra)中で1×10細胞の密度で蒔く。IgGを含有するハイブリドーマ細胞上清を週2回収集する。収量は典型的には1mlの上清あたり400μg〜2000μgのモノクローナル抗体の範囲である。抗体の培養上清からの精製は、タンパク質化学の一般的に用いられる方法を用いて(例えばBruck, C., Methods in Enzymology 121 (1986) 587-596に従って)実施した。
2.2 ハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドの合成
それぞれSEQ ID NO: 5および6において示した配列を含む、以下のアミノ修飾された前駆体を、標準的な方法に従って合成した。下記で示したオリゴヌクレオチドは、いわゆるアミノリンカーだけでなく蛍光色素も含む。当業者はすぐに理解するであろうように、この蛍光色素はオリゴヌクレオチド自体の、ならびにそれらを含む構成要素の精製を促進するために非常に好都合である。
a) 5’-フルオレセイン-AGT CTA TTA ATG CTT CTG C-(スペーサーC3)3-C7アミノリンカー-;
b) 5’-Cy5 AGT CTA TTA ATG CTT CTG C-(スペーサーC3)3-C7アミノリンカー-;
c) 5’-アミノリンカー-(スペーサーC3)3-AGT TCT ATC GTC GTC CA-フルオレセイン-3’;
d) 5’-フルオレセイン-(ベータL AGT CTA TTA ATG CTT CTG C)-(スペーサーC3)3-C7アミノリンカー-;(ベータLはこれがL−DNAオリゴヌクレオチドであることを示す)および
e) 5’-アミノリンカー-(スペーサーC3)3-(ベータL-AGT TCT ATC GTC GTC CA)-フルオレセイン-3’(ベータLはこれがL−DNAオリゴヌクレオチドであることを示す)。
合成はABI 394合成装置上で10μmolスケールで、(5’アミノ修飾に関して)トリチルオンまたは(3’アミノ修飾に関して)トリチルオフモードで、固体支持体として商業的に入手可能なCPGを、ならびに標準的なdA(bz)、dT、dG(iBu)およびdC(Bz)ホスホラミダイト(Sigma Aldrich)を用いて実施された。
オリゴヌクレオチド合成の間に以下のアミダイト類、アミノ修飾剤およびCPG支持体を用いてC3スペーサー、色素およびアミノ部分をそれぞれ導入した:
スペーサーホスホラミダイトC3(3-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)プロピル-1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Glen Research);
5’アミノ修飾剤は、5’-アミノ-修飾剤C6(6-(4-モノメトキシトリチルアミノ)ヘキシル-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホラミダイト(Glen Research)を用いることにより導入した;
5’-フルオレセインホスホラミダイト 6-(3',6'-ジピバロイルフルオレセイニル-6-カルボキサミド)-ヘキシル-1-O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホラミダイト(Glen Research);
Cy5(商標)ホスホラミダイト 1-[3-(4-モノメトキシトリチルオキシ)プロピル]-1'-[3-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピルホスホラミジチル]プロピル]-3,3,3',3'-テトラメチルインドジカルボシアニンクロリド(1-[3-(4-monomethoxytrityloxy)propyl]-1'-[3-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl phosphoramidityl]propyl]-3,3,3',3'-tetramethylindodicarbocyanine chloride)(Glen Research);
LightCyclerフルオレセインCPG 500 A (Roche Applied Science);および
3’-アミノ修飾剤TFAアミノC-6 lcaa CPG 500 A (Chemgenes)。
Cy5標識されたオリゴヌクレオチドに関して、dA(tac)、dT、dG(tac)、dC(tac)ホスホラミダイト(Sigma Aldrich)を用いて、33%アンモニアによる脱保護を室温で2時間実施した。
L−DNAオリゴヌクレオチドは、ベータ-L-dA(bz)、dT、dG(iBu)およびdC(Bz)ホスホラミダイト(Chemgenes)を用いることにより合成された。
フルオレセイン修飾されたハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドの精製は、2工程の手順により実施された:まず、そのオリゴヌクレオチドを逆相HPLC(Merck-Hitachi-HPLC; RP-18カラム;勾配系[A: 0.1 M (Et3NH)OAc (pH 7.0)/MeCN 95:5; B: MeCN]: 3分間のA中20% B、12分間のA中20〜50% Bおよび25分間のA中20% B、1.0 ml/分の流速、260 nmにおいて検出)上で精製した。望まれる生成物を含有する画分(分析的RP HPLCにより監視した)を合わせ、蒸発させて乾燥させた(5’末端においてモノメトキシトリチル保護されたアルキルアミノ基で修飾されたオリゴヌクレオチドは、20%酢酸と共に20分間保温することにより脱トリチル化する)。フルオレセインを標識として含有するオリゴマーは、HPLC上でのIEXクロマトグラフィー[Mono Qカラム:緩衝液A:水酸化ナトリウム(10 mM/l; pH約12);緩衝液B:水酸化ナトリウム(10 mM/l; pH約12)中で溶解させた1M塩化ナトリウム;勾配:30分間で100%緩衝液Aから100%緩衝液Bまで、流速1 ml/分、260 nmにおいて検出]により再度精製した。その生成物を透析により脱塩した。
Cy5標識されたオリゴマーは、逆相HPLC上での最初の精製(Merck-Hitachi-HPLC; RP-18カラム;勾配系[A: 0.1 M (Et3NH)OAc (pH 7.0)/MeCN 95:5; B: MeCN]:3分間のA中20% B、12分間のA中20〜50% Bおよび25分間のA中20% B、1.0 ml/分の流速、260 nmにおいて検出)の後に用いられた。そのオリゴマーを透析により脱塩し、Speed-Vacエバポレーター上で凍結乾燥させると固体が得られ、それを-24℃で凍結させた。
2.3 ハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドの活性化
実施例2からのアミノ修飾されたオリゴヌクレオチドを0.1 Mホウ酸ナトリウム緩衝液(pH 8.5)中で溶解させ(c= 600 μmol)、DMF中で溶解させた18倍モル過剰量のThermo ScientificからのスルホSMCC (スルホスクシンイミジル 4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレート) (c= 3mg/100μl)と反応させた。その反応生成物を、スルホSMCCの加水分解分解産物である4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレートを除去するために、水に対して完全に透析した。
その透析物を蒸発により濃縮し、チオール基を含む一価結合剤とのコンジュゲーションのために直接用いた。
2.4 両端においてハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドを含むリンカーオリゴヌクレオチドの合成
オリゴヌクレオチドは、標準的な方法により、ABI 394合成装置上で10μmolスケールで、トリチルオンモードで、固体支持体として商業的に入手可能なdT−CPGを用いて、標準的なdA(bz)、dT、dG(iBu)およびdC(Bz)ホスホラミダイト(Sigma Aldrich)を用いて合成された。
L−DNAオリゴヌクレオチドは、固体支持体として商業的に入手可能なベータL−dT−CPGを、ならびにベータ−L−dA(bz)、dT、dG(iBu)およびdC(Bz)ホスホラミダイト(Chemgenes)を用いることにより合成された。
オリゴヌクレオチドの精製を、実施例2.3の下で記述したように逆相HPLC上で実施した。望まれる生成物を含有する画分(分析的RP HPLCにより分析/監視した)を合わせ、蒸発させて乾燥させた。脱トリチル化を、80%酢酸と共に15分間保温することにより実施した。酢酸を蒸発により除去した。残留物(reminder)を水中で溶解させ、凍結乾燥した。
オリゴヌクレオチド合成の間に以下のアミダイト類およびCPG支持体を用いてC18スペーサー、ジゴキシゲニンおよびビオチン基を導入した:
スペーサーホスホラミダイト18 (18-O-ジメトキシトリチルヘキサエチレングリコール,1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Glen Research);
ビオチン-dT (5'-ジメトキシトリチルオキシ-5-[N-((4-t-ブチルベンゾイル)-ビオチニル)-アミノヘキシル)-3-アクリルイミド]-2'-デオキシウリジン-3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Glen Research);
ビオチンホスホラミダイト 1-ジメトキシトリチルオキシ-2-(N-ビオチニル-4-アミノブチル)-プロピル-3-O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホラミダイトならびに
ジゴキシゲニン-N-ヒドロキシル-スクシンイミジルエステルによるアミノ修飾および後標識に関して、5'-ジメトキシトリチル-5-[N-(トリフルオロアセチルアミノヘキシル)-3-アクリルイミド]-2'-デオキシウリジン、3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト。
以下の架橋コンストラクトまたはリンカーを合成した:
リンカー1: 5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー2: 5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-(T40)-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー3: 5’-[B-L]G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-(ビオチン-dT)-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー4: 5’-[B-L]G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-T5-(ビオチン-dT)-T5-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー5: 5’-[B-L]G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-T20-(ビオチン-dT)-T20-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー6: 5’-[B-L] G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-T30-(ビオチン-dT)-T30-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー7: 5’-GCA GAA GCA TTA ATA GAC T T5-(ビオチン-dT)-T5 TG GAC GAC GAT AGA ACT-3’
リンカー8: 5’-GCA GAA GCA TTA ATA GAC T T10-(ビオチン-dT)-T10 TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー9: 5’-GCA GAA GCA TTA ATA GAC T T15-(ビオチン-dT)-T15 TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー10: 5’-GCA GAA GCA TTA ATA GAC T T20-(ビオチン-dT)-T20 TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー11: 5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-スペーサーC18-(ビオチン-dT)-スペーサーC18-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー12: 5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-(スペーサーC18)2-(ビオチン-dT)-(スペーサーC18)2-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー13: 5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-(スペーサーC18)3-(ビオチン-dT)-(スペーサーC18)3-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー14: 5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-(スペーサーC18)4-(ビオチン-dT)-(スペーサーC18)4-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー15: 5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-T20-(Dig-dT)-T20-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー16: 5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-(Dig-dT)-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’
リンカー17: 5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-(ビオチン-dT)-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’。
上記の架橋コンストラクトの実施例は、少なくとも第1のハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドおよび第2のハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドを含む。リンカー3〜17は、そのハイブリダイズ可能な核酸の一続きに加えて、中央のそれぞれビオチン化もしくはジゴキシゲニン化されたチミジンまたは上記で示した長さのチミジン単位からなるスペーサーを含む。
その5’ハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドはSEQ ID NO:7に、その3’ハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドはSEQ ID NO:8にそれぞれ対応する。SEQ ID NO:7のオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:5のオリゴヌクレオチドに容易にハイブリダイズするであろう。SEQ ID NO:8のオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:6のオリゴヌクレオチドに容易にハイブリダイズするであろう。
上記の架橋コンストラクトの実施例において、[B-L]はL−DNAオリゴヌクレオチド配列が示されていることを示し;スペーサーC18、ビオチンおよびビオチンdTはそれぞれ上記で示した構築ブロックに由来するようなC18スペーサー、ビオチンおよびビオチン−dTを指し;そして数を伴うTは示した位置においてそのリンカー中に組み込まれたチミジン残基の数を示す。
2.5 二重結合剤コンストラクトの組み立て
A)IgGの切断およびFab’断片のssDNAによる標識
精製したモノクローナル抗体をペプシンプロテアーゼの助けにより切断するとF(ab’)2断片が得られ、続いてそれを37℃での低濃度のシステアミンでの処理により還元するとFab’断片になる。その反応を、PD 10カラム上でのシステアミンの分離により停止する。そのFab’断片を、実施例3に従って生成されるような活性化されたオリゴヌクレオチドにより標識する。この一本鎖DNA(=ssDNA)はチオール反応性マレイミド基を有し、それはFab’のヒンジ領域のシステインと反応する。高い百分率の単一標識されたFab’断片を得るため、ssDNAのFab’断片に対する相対的なモル比は低く保たれる。単一標識されたFab’断片(ssDNA:Fab’=1:1)の精製は、イオン交換クロマトグラフィー(カラム:Source 15 Q PE 4.6/100、Pharmacia/GE)により行われる。効率的な精製の検証は、分析的ゲル濾過およびSDS−PAGEにより達成される。
B)抗pIGF−1R二重結合剤の組み立て
抗pIGF−1R二重結合剤は、IGF−1Rの細胞内ドメインの異なるエピトープを標的とする2種類のFab’断片に基づいている:Fab’ 8.1.2は前記の標的タンパク質のリン酸化部位(pTyr 1346)を検出し、Fab’ 1.4.168は前記の標的タンパク質の非ホスホ部位を検出する。そのFab’断片は一本鎖DNA(ssDNA)に共有結合的に連結されている:Fab’ 1.4.168はSEQ ID NO:6を含みフルオレセインを蛍光マーカーとして含有する17塩基長のssDNAに、そしてFab’ 8.1.2はSEQ ID NO:5を含みCy5を蛍光マーカーとして含有する19塩基長のssDNAに共有結合的に連結されている。以下、共有結合した17塩基長または19塩基長のssDNAを有するこれらのFab’をそれぞれssFab’ 1.4.168およびssFab’ 8.1.2と呼ぶ。二重結合剤の組み立ては、そのssFab’断片の対応するssDNAにハイブリダイズする2種類の相補性ssDNAオリゴヌクレオチド(それぞれSEQ ID NO:7および8)を含むリンカー(すなわち架橋コンストラクト)により媒介される。その二重結合剤の2個のssFab’断片の間の距離は、スペーサー、例えばC18スペーサーまたは異なる長さのDNAをそれぞれ用いることにより修正することができる。
組み立て評価のために、その二重結合剤構成要素ssFab’ 8.1.2、ssFab’ 1.4.168ならびにリンカーコンストラクト(I)(=実施例2.4のリンカー17)5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT T(-Bi)-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’および(II)(=実施例2.4のリンカー10)5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-(T20)-T(-Bi)-(T20)-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’を室温で等モル量で混合した。1分間の保温工程の後、その反応混合物を分析的ゲル濾過カラム(Superdex(商標)200、10/300 GL、GE Healthcare)上で分析した。単一の二重結合剤構成要素の溶離体積(V)のその反応混合物のVとの比較は、その二重結合剤がうまく形成されたことを実証している(図1)。(そのリンカーの両方の中央にあるビオチン化チミジン(T-(Bi))は、これらの実験において機能を有しない。)
2.6 抗pIGF−1R二重結合剤の固定されたIGF−1RおよびIRペプチドへの結合を評価するBiacore(商標)実験
この実験に関して、Biacore(商標)2000機器(GE Healthcare)を、系の中に取り付けられたBiacore(商標)SAセンサーと共にT=25℃で用いた。前条件付けは100μl/分で50mM NaOH中の1M NaClの3×1分間の注入および1分間の10mM HClの注入で行われた。
HBS−ET(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM EDTA、0.05% Tween(登録商標)20)をシステム緩衝液として用いた。試料緩衝液はシステム緩衝液と同一であった。Biacore(商標)2000システムは制御ソフトウェアV1.1.1の下で運転された。
続いてビオチン化されたペプチドをそれぞれのフローセル中のSA表面上に捕捉させた。16RUのIGF−1R(1340〜1366)[1346−pTyr;Glu(Bi−PEG−1340]アミド(すなわち、1346位のチロシンがリン酸化されており、位置1340に対応するグルタミン酸を介して結合したPEGリンカーを含み、そのリンカーの他方の末端においてビオチン化されている、SEQ ID NO:11のペプチド)をフローセル2上に捕捉させた。18RUのIGF−1R(1340〜1366);Glu(Bi−PEG−1340]アミド(すなわち、1346位のチロシンがリン酸化されておらず、位置1340に対応するグルタミン酸を介して結合したPEGリンカーを含み、そのリンカーの他方の末端においてビオチン化されている、SEQ ID NO:11のペプチド)をフローセル3上に捕捉させた。20RUのhIR(1355〜1382)[1361−pTyr;Glu(Bi−PEG−1355]アミド(すなわち、1361位のチロシンがリン酸化されており、ヒトインスリン受容体の位置1355に対応するグルタミン酸を介して結合したPEGリンカーを含み、そのリンカーの他方の末端においてビオチン化されている、SEQ ID NO:12のペプチド)をフローセル4上に捕捉させた。最後に、全てのフローセルをd−ビオチンで飽和させた。
二重結合剤の形成に関して、実施例2.5において記述したような組み立てプロトコルを用いた。2種類のssFab’の一方のみを用いて個々の運転を実施した際、リンカーDNAの非存在または存在は会合または解離曲線に影響を及ぼさなかった(データは示していない)。
100nMの溶液中の分析物(これらの実験では二価二重結合剤)を50μl/分で240秒の会合時間の間に注入し、解離を500秒間監視した。80mM NaOHを用いた50μl/分での1分間の注入工程を用いることにより、効率的な再生が達成された。フローセル1は基準の役目を果たした。抗原の注入の代わりにブランク緩衝液の注入を用いて、緩衝液のシグナルを引くことによりそのデータを二重に参照した。
それぞれの測定サイクルにおいて、溶液中の以下の分析物の1つを4つのフローセル全てにわたってそれぞれ注入した:100nMのssFab’ 8.1.2、100nMのssFab’ 1.4.168、100nMのssFab’ 8.1.2および100nMのssFab’の混合物、リンカー(III)(5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-T(20)-T(-Dig)-(T20)-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’(=実施例2.4のリンカー15))上にハイブリダイズしたssFab’ 8.1.2およびssFab’ 1.4.168からなる100nMの二価結合剤、ならびにリンカー(IV)(5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-T(-Dig)-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’(=実施例2.4のリンカー16))上にハイブリダイズしたssFab’ 8.1.2およびssFab’ 1.4.168からなる100nMの二価結合剤。(上記のリンカー中の中央のチミジンのジゴキシゲニン化(T(-Dig))は、これらの実験に関連しない。)
そのシグナルは、時間依存性Biacore(商標)センサーグラムとして監視された。
報告の時点は、それぞれの相互作用の応答単位シグナルの高さを監視するため、分析物の会合段階の終了時(結合末期(Binding Late)、BL)に、および分析物の解離段階の終了時(安定性末期(Stability Late)、SL)に設定された。解離速度kd(1/s)をBiacore(商標)評価ソフトウェア4.1を用いて線形1:1ラングミュア当てはめに従って計算した。その複合体の分での半減時間を式ln(2)/(60kd)に基づいて計算した。
そのセンサーグラム(図2−5)は、ssFab’ 1.4.168およびssFab’ 1.4.168が二重結合剤(=二価結合剤)の形態で用いられた際の、おそらく基礎になっている協同的結合作用による、pIGF−1R結合における特異性および複合体の安定性の両方における増大を示している。Fab’ 1.4.168単独ではpIRペプチドに関する交差反応性を示さないが、IGF−1Rのリン酸化型および非リン酸化型を識別しない(両方の場合においてT1/2 dis=3分)。しかし、Fab’ 8.1.2はIGF1−Rペプチドのリン酸化版にのみ結合するが、リン酸化されたインスリン受容体とのいくらかの望まれない交差反応性を示す。その二重結合剤はpIGF−1Rペプチドおよび両方の他のペプチドを十分に識別し(図4参照)、従って非特異的結合の問題の克服を助ける。その特異性における増大は、両方のFab’がリンカーDNAなしで適用された場合には失われることを特筆する(図5)。その二重結合剤のpIGF−1Rペプチドに対する親和性における増大は、個々のFab’およびそのリンカーDNAを抜かしたFab’混合物と比較して増大した解離半減時間において示される(図3および図5)。試験した2種類の異なるDNAリンカーの長さを有する二重結合剤は標的結合特異性および親和性への全体的なプラスの作用を共有しているが、より長いリンカー(T40−T−Digをスペーサーとして有する(III))(すなわち実施例2.4のリンカー15)が両方の基準に関して好都合であるように思われる。
2.7 M−1.4.168−IgGおよびM−8.1.2−IgGのBiacore(商標)アッセイサンドイッチ
Biacore(商標)T100機器(GE Healthcare)をシステム中に取り付けられたBiacore(商標)CM5センサーと共に用いた。そのセンサーは、0.1% SDS、50mM NaOH、10mM HClおよび100mM H3PO4の100μl/分での1分間の注入により前条件付けされた。
システム緩衝液はHBS−ET(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM EDTA、0.05% Tween(登録商標)20)であった。試料緩衝液はシステム緩衝液であった。
Biacore(商標)T100システムは制御ソフトウェアV1.1.1の下で運転された。10mM酢酸Na(pH4.5)中で30μg/mlのポリクローナルウサギIgG抗体<IgGFCγM>R(Jackson ImmunoResearch Laboratories Inc.)を、10000RUでフローセル1、2、3、および4それぞれの上に、EDC/NHS化学により、製造業者の説明書に従って固定した。最後に、そのセンサー表面を1Mエタノールアミンでブロッキングした。全部の実験を13℃で運転した。
500nMの一次mAb M−1.004.168−IgGを<IgGFCγM>R表面上に10μl/分で1分間捕捉させた。ブロッキング溶液を含有する3μMの(IgGクラスIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3の)IgG断片混合物を30μl/分で5分間注入した。ペプチドIGF−1R(1340〜1366)[1346−pTyr;Glu(Bi−PEG−1340]アミドを300nMで30μl/分において3分間注入した。300nMの二次抗体M−8.1.2−IgGを30μl/分で注入した。10mMグリシン−HCl(pH1.7)を50μl/分で3分間用いてセンサーを再生させた。
図6はそのアッセイの構成を説明している。図7において、その測定の結果を示す。その測定は、両方のモノクローナル抗体がそれらのそれぞれの標的ペプチド上の2つの別個の無関係なエピトープに同時に結合することができることを明確に示している。これは、協同的結合事象を生じさせる目的を有するあらゆる後の実験のための必要条件である。
2.8 センサー表面上の二重結合剤のBiacore(商標)アッセイ
Biacore(商標)3000機器(GE Healthcare)をシステム中に取り付けられたBiacore(商標)SAセンサーと共にT=25℃で用いた。そのシステムは、100μl/分での50mM NaOH中1M NaClの3×1分間の注入および1分間の10mM HClの注入により前条件付けされた。
システム緩衝液はHBS−ET(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM EDTA、0.05% Tween(登録商標)20)であった。試料緩衝液はシステム緩衝液であった。
Biacore(商標)3000システムは制御ソフトウェアV4.1の下で運転された。
124RUのアミノ−PEO−ビオチンを基準フローセル1上に捕捉させた。1595RUのビオチン化された14.6kDaのT0−Bi 37塩基長ssDNA−リンカー(I)(5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-T(-Bi)-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’)(=実施例2.4のリンカー17)および1042RUのビオチン化された23.7kDaのT40−Bi 77塩基長ssDNA−リンカー(II)(5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-T(20)-(ビオチン-dT)-(T20)-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’=実施例2.4のリンカー10)を、異なるフローセル上に捕捉させた。
300nMのssFab’ 8.1.2および300nMのssFab’ 1.004.168をそのシステムの中に50μl/分で3分間注入した。それぞれのssFabの速度論的寄与を試験するため、対照として300nMのssFab’ 8.1.2または300nMのssFab’ 1.004.168のみを注入した。対照として、緩衝液をssFabの代わりに注入した。ペプチドpIR(1355〜1382)[1361−pTyr]アミドおよびIGF−1R(1340〜1366)アミドそれぞれ(溶液中で遊離している(free in solution))をシステム中に0nM、4nM、11nM、33nM(2回)、100nMおよび300nMの濃度段階で50μl/分で4分間注入した。ペプチドpIGF−1R(1340〜1366)[1346−pTyr]アミドに対する親和性を測定するための実験の別のセットにおいて、0nM、0.4nM、1.1nM、3.3nM(2回)、10nMおよび30nMの濃度段階を用いた。
解離を50μl/分で5.3分間監視した。それぞれの濃度工程の後、250mMのNaOHの12秒間のパルスによりシステムを再生し、ssFab’リガンドを再装填した(reloaded)。
図8はBiacore(商標)機器上のアッセイ構成を模式的に説明している。図9で示した表は、このアプローチからの定量の結果を示す。図10、11および12はT40二重結合剤を用いたこのアッセイ構成からの典型的なBiacore(商標)の結果を示す。
図9における表は、二重結合剤の概念の利益を実証している。T40二重結合剤(実施例2.4のリンカー10、すなわちT20−ビオチン−dT−T20のスペーサーを有するリンカーを有する二重結合剤)は結果として、それぞれ192分および30pMであるT0二重結合剤(すなわち実施例2.4のリンカー16を有する二重結合剤)と比較した場合に、2倍向上した抗原複合体の半減時間(414分)および3倍向上した親和性(10pM)をもたらす。これは最適な協同的結合作用をもたらすためにリンカーの長さを最適化する必要性を強調する。
T40二重結合剤(すなわちT40−Biリンカー(実施例2.4のリンカー10)を含む二重結合剤)は、リン酸化されたIGF−1Rペプチドに対する10pMの親和性を示す(図9、図10における表)。これはリン酸化されたインスリン受容体ペプチド(24nM)に対する2400倍の親和性の向上であり、リン酸化されていないIGF−1Rペプチドに対する100倍の向上である。
従って、2種類の別個の分離された結合事象の組み合わせにより特異性および親和性を増大させる目的は達成されている。
協同的結合作用は特にリン酸化されたIGF−1Rペプチドに対する解離速度から明らかになり、ここで二重結合剤は、一価結合剤8.1.2単独による0.5分および一価結合剤1.4.168単独による3分それぞれに対して414分の抗原複合体半減時間を示す。
さらに、完全に組み立てられたコンストラクトは、単独でFab’がハイブリダイズしたコンストラクトと比較した場合に、その解離速度kd(1/s)をおおよそ掛け合わせる(図10、11、12および図9中の表)。興味深いことに、会合速度ka(1/Ms)も単独のFab’の相互作用事象と比較した場合にわずかに増大し、これはそのコンストラクトの分子の柔軟性の増大によるものである可能性がある。
強い洗浄手順を用いる診断系は、個々の(一価の)Fab’分子とは対照的に、そのT40二重結合剤の高い性能を確実に促進するはずである。そのハイブリダイズしたコンストラクト、すなわち本発明に従う二価結合剤は特異的かつ極めて安定な結合事象をもたらすが、一価結合剤はより急速に解離し、例えばそれらはより急速に洗い流される。
2.9 免疫組織化学(IHC)実験における抗pIGF−1R二重結合剤分子の評価
ここで記述するIHC実験は、VentanaからのBenchMark XTプラットフォーム上で実施された。そのアッセイに関して、ssFab’ 1.4.168(IGF−1Rの細胞内ドメインの非ホスホエピトープに結合する)、ssFab’ 30.4.33(IGF−1Rの細胞内ドメインのpTyr1346ホスホエピトープに結合する)および柔軟なリンカーからなる抗pIGF−1R二重結合剤を用いた。抗体1.4.168の生成は実施例2.1において記述されており、抗体30.4.33(それぞれSEQ ID NO:19で示した可変領域重鎖およびSEQ ID NO:20で示した可変領域軽鎖)はそこで記述したものと同じ手順を用いて生成された。30.4.33のFab’断片は、pTyr 1346 IGF−1Rリン酸化部位に対して以前に用いられた抗体8.1.2のFab’断片よりも高い親和性を有する(ssFab’ 8.1.2のT1/2 dissは約0.5分、ssFab’ 30.4.33のT1/2 dissは約7分)。
異なる長さのスペーサーを有する柔軟なリンカー(=実施例2.4のリンカー11、12、13、14)をこのアッセイにおいて用いた。そのリンカー分子内のビオチン標識は、ストレプトアビジンに基づくVentana iVIEW DAB検出キットのための検出タグの役目を果たした。
抗pIGF−1R二重結合剤分子の特異性を試験するため、ホルマリン固定されパラフィン包埋された(FFPE)3T3細胞に基づく精巧な試験系を用いた。3T3細胞にIGF−1RまたはIR発現ベクターのどちらかを安定導入しておいた。細胞を標準的なプロトコルに従ってホルマリンで固定し、パラフィン中に包理した。固定の前に細胞を100ng/mlのIGF−1もしくはインスリンのどちらかで刺激してIGF1−RもしくはIRのリン酸化を誘導し、または未処理のままにした。ウェスタンブロッティング実験(図13A)は、受容体リン酸化の刺激の成功を証明した。
ssFab’断片あたり0.5μg/mlのssFab’ 1.4.168のみまたはssFab’ 30.4.33のみそれぞれ、および等モル量の8×C18リンカー、ならびにssFab’ 1.4.168およびssFab’ 30.4.33の両方のssFab’断片(両方0.5μg/mlで)ならびに等モル量の8×C18リンカーの混合物それぞれを検出のために用いた。そのリンカー分子内のビオチン標識は、ストレプトアビジンに基づくVentana iVIEW DAB検出キットのための検出タグの役目を果たした。ベンチマークプロトコルの詳細:細胞条件付け緩衝液1(CC1)を用いて前処理を行い、その結合分子の保温時間は32分であり、保温温度は37℃であった。
8×C18リンカー分子(実施例2.4のリンカー14)およびssFab’ 1.4.168のみまたはssFab’ 30.4.33のみからなる検出分子は試験したFFPE 3T3細胞のペレットのいずれにおいても染色をもたらさなかった(図13B、横列1および2)。対照的に、(両方のssFab’断片+8×C18リンカーからなる)完全な二重結合剤分子を用いた検出は染色をもたらした−しかし、IGF−1で刺激したIGF−1R過剰発現細胞においてのみであった(図13B、横列3)。IRを過剰発現する細胞に対する交差反応性は、IRのリン酸化が誘導されていた場合でさえも観察されなかった。その実験は、リン酸化されたIGF−1Rに関する二重結合剤の高い特異性を証明している。
リンカーの長さの染色性能への影響を評価するため、2×C18、4×C18、6×C18および8×C18リンカー分子(実施例2.4のリンカー11、12、13、14)を同じIHC構成において用いた。試験した二重結合剤の内で、最も長いリンカー(8×C18)を有する二重結合剤が優秀な染色結果を示している(図13C)。これは、少なくともこの場合においては長い柔軟なリンカーが両方の二重結合剤の腕のpIGF−1R上の2つの異なるエピトープへの同時結合を促進することを示している。
ssFab’ 1.4.168、ssFab’ 30.4.33および8×C18リンカー分子(実施例2.4のリンカー14)からなる二重結合剤を、FFPE H322M異種移植片組織に対してさらに試験した。ベンチマークプロトコルの詳細:細胞条件付け緩衝液1(CC1)を用いて前処理を行い、その結合分子の保温時間は32分であり、保温温度は25℃であった。やはり8×C18リンカーおよびssFab’ 1.4.168またはssFab’ 30.4.33のどちらか一方のみからなる検出分子ではpIGF−1Rの染色は観察されなかった。しかし、(両方のssFab’断片+8×C18リンカーからなる)完全な二重結合剤分子を用いた検出は、特徴的なpIGF−1R膜染色をもたらした(図14)。
2.10 センサー表面上の二重結合剤のBiacoreアッセイ
実施例2.9の抗pIGF−1R二重結合剤の最適化版に関しても速度論データを得るため、追加のBiacore実験を実施した。
Biacore 3000機器(GE Healthcare)をシステム中に取り付けられたBiacore SAセンサーと共にT=25℃で用いた。そのシステムは、100μl/分での50mM NaOH中1M NaClの3×1分間の注入および1分間の10mM HClの注入により前条件付けされた。
システム緩衝液はHBS−ET(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM EDTA、0.05% Tween(登録商標)20)であった。試料緩衝液はシステム緩衝液であった。
Biacore(商標)3000システムは制御ソフトウェアV4.1の下で運転された。
89RUのアミノ−PEO−ビオチンを基準フローセル1上に捕捉させた。595RUのビオチン化された8×C18リンカー(I)(5’-G CAG AAG CAT TAA TAG ACT-(スペーサーC18)4-(ビオチン-dT)-(スペーサーC18)4-TGG ACG ACG ATA GAA CT-3’)(=実施例2.4のリンカー14)を、第2フローセル上に捕捉させた。
300nMのssFab’ 30.4.33および300nMのssFab’ 1.004.168をそのシステムの中に50μl/分で3分間注入した。それぞれのssFabの速度論的寄与を試験するため、対照として300nMのssFab’ 30.4.33または300nMのssFab’ 1.004.168それぞれのみを注入した。ペプチドIGF−1R(1340〜1366)[1346−pTyr]アミド(1346位のチロシンがリン酸化されているSEQ ID NO:11のペプチド=合成分析物)(溶液中で遊離している)をシステム中に0nM、0.4nM、1.1nM、3.3nM(2回)、10nMおよび30nMの濃度段階で50μl/分で4分間注入した。解離を50μl/分で5.3分間監視した。それぞれの濃度段階の後、250mMのNaOHの12秒間のパルスによりシステムを再生し、ssFab’リガンドを再装填した。
さらなる対照として、a)緩衝液をssFab’の代わりに注入し、b)その上にアミノ−PEO−ビオチンを固定したフローセルを用いた(データは示していない)。これらの実験において、“分析物”の非特異的結合は観察されなかった。
図15はBiacore機器のアッセイ構成を模式的に説明している。図16で示した表は、このアプローチからの定量の結果を示す。図17、18および19はこのアッセイ構成からのBiacoreの結果を示す。
図16において示したように、その二重結合剤分子はリン酸化された合成IGF−1R分析物に対して約10pMの親和性を示す。これはssFab’ 30.4.33またはssFab’ 1.4.168単独からなる結合分子と比較して200倍または300倍の親和性の向上である。決定された解離速度は、その二重結合剤に関して830分、一価結合剤ssFab’ 30.4.33に関して7.3分および一価結合剤ssFab’ 1.4.168に関して3.5分である。これらのデータは用いた二重結合剤分子の協同的結合作用を明確に実証している。
実施例3
リン酸化されたHER3に対する二価結合剤
HERタンパク質の受容体型チロシンキナーゼファミリーは4つのメンバー:HER1、HER2、HER3およびHER4からなる。リガンド結合の際、その受容体は様々な方法でホモまたはヘテロ二量体として二量体化し、そのリガンドおよびその4つのファミリーのメンバーのそれぞれの発現レベルに依存して異なるシグナル伝達経路の引き金を引く。例えば、HER3はそれがそのリガンドであるニューレグリン1(NRG1)またはニューレグリン2(NRG2)に結合した際に立体構造変化を経てHER3二量体化ドメインが露出し、それは他のHER受容体と相互作用することができる。二量体化の際、HER3はリン酸化される。この実施例において、我々はHER3のリン酸化型を検出するための二重結合剤を開発した。
3.1 モノクローナル抗体の開発(mAb 7.2.32およびmAb 4.1.15)
a)マウスの免疫
Balb/cおよびNMRIマウスをHER3(1243〜1267)[KLH−MP−Cys−UZU−1243]アミドまたはpHER3(1283〜1295)[pTyr1289;KLH−MP−Cys−UZU−1283]アミドで免疫する。最初の免疫用量は100μgである。そのマウスを6および10週間後に100μgのその免疫原でさらに免疫する。
b)融合およびクローニング
融合およびクローニングの工程は2.1b)で記述したように実施された。
c)細胞培養上清からの免疫グロブリンの単離
免疫グロブリンの単離は2.1c)で記述したように実施された。
d)モノクローナル抗体の生物物理学的特性付け
モノクローナル抗体およびHER3またはリン酸化型であるpHER3の間の相互作用の速度論的特性を、Biacore(商標)技術を用いた表面プラズモン共鳴での速度論的スクリーニングにより調べた。
ソフトウェアバージョンV1.1の制御下にあるBiacore(商標)A100機器を用いる。Biacore(商標)CM5チップがその機器の中に取り付けられており、それは製造業者の説明書に従って水力学的に処理され(addressed)、条件付けされる。運転緩衝液として、HBS−EP緩衝液を用いる(10mM HEPES(pH 7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.05%(w/v)P20)。ポリクローナルウサギ抗マウスIgG Fc捕捉抗体を、10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)中30μg/mlでフローセル1、2、3および4中のスポット1、2、4および5に10,000RUで固定する。その抗体はNHS/EDC化学により共有結合的に固定される。その後、そのセンサーを1Mエタノールアミン溶液で不活性化する。スポット1および5は決定のために用いられ、スポット2および4は基準として用いられる。センサーチップへの適用の前に、mAbを含有するハイブリドーマ上清をHBS−EP緩衝液中で1:2希釈する。その希釈された溶液を30μl/分の流速で1分間適用する。その後すぐに分析物である個々にストレプトアビジン上に移植された(grafted)ヒト_HER3(1242〜1267)−Bi−PEG−アミド(SEQ ID NO:17)、ヒトpHER3(1283〜1295[pTyr1289])−PEG2−EDA−Btn(SEQ ID NO:18)またはヒト_HER3(1283〜1295)−PEG2−EDA−Btn(SEQ ID NO:18)を30μl/分の流速で2分間注入する。その後、シグナルを5分間の解離時間の間記録する。そのセンサーを、10mMグリシン−HCl溶液(pH1.7)を30μl/分の流速で2分間注入することにより再生させる。解離速度定数kd(1/s)を、ラングミュアモデルに従って、評価ソフトウェアを用いて製造業者の説明書に従って計算する。選択されたモノクローナル抗体は、アミノ酸1242〜1267を含むHER3エピトープと、またはアミノ酸1283〜1295を含むリン酸化された(pTyr1289)HER3エピトープと、特許請求の境界内にある解離速度定数で相互作用する。エピトープHER3(1283〜1295)の非リン酸化型に結合した抗体は、さらなる研究から除外された。
選択されたHER3(1242〜1267)に対して向けられた抗体を7.2.32と名付け(それぞれSEQ ID NO:21において示されている可変領域重鎖およびSEQ ID NO:22において示されている可変領域軽鎖)、その解離速度定数は2.3×10−31/sであると決定され、結果的に二重結合剤アプローチに関して要求される必要な範囲内であった。選択されたpHER3(1283〜1295[pTyr1289])に対して向けられた抗体を4.1.15と名付け(それぞれSEQ ID NO:23において示されている可変領域重鎖およびSEQ ID NO:24において示されている可変領域軽鎖)、その解離速度定数は2.5×10−31/sであり、従ってそれも二重結合剤アプローチに関して要求される定められた範囲内であった。
e)選択された抗体の可変領域の配列決定
選択された抗体の可変領域を、標準的な分子生物学の方法を用いて配列決定した。配列をSEQ ID NO:21〜24において示す。
3.2 リン酸化されたHER3(pTyr1289)を認識する二重結合剤の開発
a)Fab融合タンパク質の組み換え発現
Fab断片7.2.32および4.1.15を、Hek293F細胞中で8×HIS−タグおよびソルターゼ切断認識配列(SEQ ID NO:16)を有する融合タンパク質として発現させた。90%より大きい生存度を有する1Lの1×10HEK293細胞/mlを、1:1の比率で7.2.32または4.1.15の重鎖および軽鎖をコードするプラスミドを用いて、293fectin(商標)形質移入試薬(Invitrogen)を製造業者の説明書に従って用いて形質移入した。形質移入後、そのHEK293F細胞を130rpm、37℃および8%COにおいて7日間培養した。次いで細胞を4℃、8000rpmで20分間遠心分離した。組み換えタンパク質を含有する上清をさらに0.22μm steriflip(Millipore)真空濾過システムを用いて濾過した。Fab断片を、AKTAエクスプローラーFPLCシステムを用いるニッケル親和性カラムクロマトグラフィーおよび分取ゲル濾過により、標準的な精製法を用いて精製した。純度をSDS−PAGEおよび分析的ゲル濾過により評価した。
b)酵素ソルターゼをトランスペプチダーゼ反応において用いるDNA−オリゴコンジュゲーション
酵素ソルターゼはトランスペプチダーゼ活性も有する原核生物のタンパク質分解酵素である(Ton-That et al, PNAS 1999)。ここで、その酵素はLPXTG(ソルターゼ切断モチーフ)およびDNA−オリゴに結合したグリシン残基の間のトランスペプチダーゼ反応を触媒する。17塩基長のオリゴ(SEQ ID NO:25で示した4.1.15標識のためのオリゴ)および19塩基長のオリゴ(SEQ ID NO:26で示した7.2.32標識のためのオリゴ)を標識反応のために用いた。その標識は、20mMトリス(pH 8)、200mM NaCl、5mM CaClの緩衝液中で、20μM組み換えソルターゼ、50μM Fab断片および200μMオリゴを用いて37℃で一夜実施された。次に、その標識反応物を20mMトリス(pH 8.0)中で10倍希釈し、20mMトリス(pH 8.0)中で平衡化したResource Qイオン交換カラム(GE Healthcare)に適用する。その強く負に荷電したオリゴおよびオリゴ−Fab断片を20mMトリス(pH 8.0)および1M NaClの高い塩勾配で溶離し、そうして低い塩濃度で溶離するソルターゼおよび未標識のFab断片から分離する。溶離を495nmにおける吸光度を追跡して監視し、オリゴの蛍光標識を検出する。オリゴおよびFab−オリゴを含有する溶離された画分をプールし、20mMトリス(8.0)、200mM NaClを平衡化および運転緩衝液として用いるHiLoad 16/60カラムSuperdex 200カラム(GE Healthcare)上での分取ゲル濾過により、Fab−オリゴをコンジュゲートしていないオリゴから分離する。最終生成物の純度を分析的ゲル濾過およびSDS−PAGEを用いて評価し、純度が90%より大きい最終生成物のみが二重結合剤の組み立てにおいて用いられるであろう。以下において、Fab−オリゴを“ssFab”と呼ぶ。
c)抗pHER3二重結合剤の組み立て
抗pHER3二重結合剤はssDNAリンカー分子およびHER3の細胞内ドメインの異なるエピトープを標的とする2種類のssFab断片に基づく:ssFab 4.1.15はリン酸化部位(pTyr1289)を検出し、ssFab 7.2.32は前記の標的タンパク質の非ホスホ部位を検出する。組み立ての評価を2.5.Bにおいて記述したように実施した。実験はその二重結合剤分子の効率的な組み立てを示した。
3.3 免疫組織化学(IHC)実験における抗pHER3二重結合剤分子の評価
そのIHC実験は、VentanaからのBenchMark XTプラットフォーム上で実施された。そのアッセイに関して、ssFab 7.2.32(HER3の細胞内ドメインの非ホスホエピトープに結合する)、ssFab 4.1.15(HER3の細胞内ドメインのpTyr1289ホスホエピトープに結合する)および柔軟なリンカーからなる抗pHER3二重結合剤を用いた。4×C18スペーサーを有する柔軟なリンカー(=実施例2.4のリンカー12)をこのアッセイにおいて用いた。そのリンカー分子内のビオチン標識は、ストレプトアビジンに基づくVentana iVIEW DAB検出キットのための検出タグの役目を果たした。
抗pHER3二重結合剤分子の特異性を試験するため、ホルマリン固定されパラフィン包埋された(FFPE)Hek293細胞に基づく精巧な試験系を用いた。Hek293細胞にHER2およびHER3発現ベクターの両方を一過性導入しておいた。1つの場合において、リン酸化部位の役目を果たす細胞内ドメインの14個のチロシンがフェニルアラニンで置き換えられている(Y975F、Y1054F、Y1132F、Y1159F、Y1197F、Y1199F、Y1222F、Y1224F、Y1260F、Y1262F、Y1276F、Y1289F、Y1307F、Y1328F)HER3の変異版をコードするHER3発現ベクターが用いられた。細胞を標準的なプロトコルに従ってホルマリンで固定し、パラフィン中に包理した。固定の前に細胞を20nMのNRG1−β1(Peprotech)で37℃で15分間刺激してHER3のリン酸化を誘導し、または未処理のままにした。ウェスタンブロッティング実験(図20A)は、受容体リン酸化の刺激の成功を証明した。
ssFab断片あたり1μg/mlのssFab 7.2.32のみまたはssFab 4.1.15のみそれぞれ、および等モル量の4×C18リンカー、ならびにssFab 7.2.32およびssFab 4.1.15の両方のssFab’断片(両方1μg/mlで)ならびに等モル量の4×C18リンカーの混合物それぞれを検出のために用いた。そのリンカー分子内のビオチン標識は、ストレプトアビジンに基づくVentana iVIEW DAB検出キットのための検出タグの役目を果たした。ベンチマークプロトコルの詳細:細胞条件付け緩衝液1(CC1)を用いて前処理を行い、その結合分子の保温時間は32分であり、保温温度は37℃であった。
4×C18リンカー分子(実施例2.4のリンカー12)およびssFab 7.2.32のみまたはssFab 4.1.15のみからなる検出分子は試験したFFPE細胞ペレットのいずれにおいても染色をもたらさなかった(図20B、横列1および2)。対照的に、(両方のssFab断片+4×C18リンカーからなる)完全な二重結合剤分子を用いた検出は染色をもたらした−しかし、NRG1−β1で刺激された野生型HER3を発現する細胞においてのみであった(図20B、横列3)。NRG1−β1で刺激されたTyr1289リン酸化部位を欠くHER3の変異版を過剰発現する細胞においては染色は観察されなかった。その実験は、リン酸化されたHER3に関する二重結合剤の高い特異性を証明している。

Claims (12)

  1. リンカーを介して互いに連結されている2個の一価結合剤からなる、翻訳後修飾された標的ポリペプチドに結合する二価結合剤であって、ここで
    a)該第1一価結合剤は前記の標的ポリペプチドのポリペプチドエピトープに結合し、
    b)該第2一価結合剤は翻訳後ポリペプチド修飾に結合し、
    c)それぞれの一価結合剤は5×10−3/秒〜10−4/秒の範囲のKdissを有し、そして
    d)該二価結合剤は3×10−5/秒以下のKdissを有する;
    前記二価結合剤。
  2. 一価結合剤の少なくとも一方が単鎖抗体、またはモノクローナル抗体のFab断片もしくはFab’断片である、請求項1に記載の二価結合剤。
  3. 一価結合剤がモノクローナル抗体に由来し、Fab断片、またはFab’断片、またはFab断片およびFab’断片である、請求項1に記載の二価結合剤。
  4. 前記の二価結合剤が10−5/秒以下のKdissを有する、請求項1〜3のいずれかに記載の二価結合剤。
  5. リンカーが6〜100nmの長さを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の二価結合剤。
  6. 翻訳後修飾された標的ポリペプチドに特異的に結合する二価結合剤を得るための方法であって、以下の工程:
    a)前記の標的ポリペプチドの翻訳後修飾されていないエピトープに5×10−3/秒〜10−4/秒のKdissで結合する第1一価結合剤を選択し、
    b)翻訳後ポリペプチド修飾に5×10−3/秒〜10−4/秒のKdissで結合する第2一価結合剤を選択し、
    c)両方の一価結合剤をリンカーにより連結し、そして
    d)3×10−5/秒以下のKdiss値を有する二価結合剤を選択する;
    を含む、前記方法。
  7. さらに二価結合剤を単離する工程e)を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 翻訳後修飾がアセチル化、リン酸化、アシル化、メチル化、糖鎖付加、ユビキチン化、SUMO化、硫酸化およびニトロ化からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の二価結合剤または請求項6もしくは7に記載の方法。
  9. 翻訳後修飾がリン酸化、糖鎖付加およびアセチル化からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の二価結合剤または請求項6もしくは7に記載の方法。
  10. 標的ポリペプチドが細胞内リン酸化部位を有する膜結合型受容体分子および細胞内細胞シグナル伝達分子からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の二価結合剤または請求項6もしくは7に記載の方法。
  11. 組織染色法であって、以下の工程:
    a)細胞または組織試料を提供し、
    b)前記の試料を、リンカーを介して互いに連結されている2個の一価結合剤からなる、翻訳後修飾された標的ポリペプチドに結合する二価結合剤と共に保温し、ここで該2個の一価結合剤の一方は前記の標的ポリペプチドのポリペプチドエピトープに結合し、該2個の一価結合剤の一方は翻訳後ポリペプチド修飾に結合し、それぞれの一価結合剤は5×10−3/秒〜10−4/秒の範囲のKdissを有し、ここで該二価結合剤は3×10−5/秒以下のKdissを有し、そして
    c)該二価結合剤を検出し、それにより前記の試料を翻訳後修飾された標的ポリペプチドに関して染色する;
    を含む、前記方法。
  12. 細胞または組織試料の染色における、請求項1〜5のいずれかに記載の二価結合剤の使用。
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