JP2014501114A - 人工多能性幹細胞および分化した細胞を生成する方法 - Google Patents

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Abstract

非侵襲性方式で得られているドナー細胞を再プログラミングすることによって、iPSCおよび関心対象の分化した細胞を生成するための方法。特に、ドナー細胞は剥離した上皮尿細胞である。分化した細胞は、再プログラミングしたiPSCを分化させることによって、または尿細胞を直接再プログラミングすることによって、得られうる。

Description

本発明は、人工多能性幹細胞および分化した細胞、ならびにこれらを生成するための方法に関する。
胚性幹細胞(ESC)は、in vitro受精から得られる胚盤胞由来の細胞であり、自己再生し、そして哺乳動物、例えばヒトの体の成熟した細胞タイプいずれに分化する能力も有する(この特性は「多能性」として知られる)。特定の組織培養条件下で、ESCは多能性特性を失うことなく、長期間、未分化のまま維持可能である。これらの特性のため、ESCは、再生医学において多大な興味を喚起してきた。潜在的に、ESC由来の組織をヒトの臨床治療(急性状態または遺伝的および変性疾患のいずれか)に用いることも可能である。ESCはまた、例えば治療に対する組織特異的感受性を研究するため、そしてin vitroで遺伝子疾患をモデリングするため、薬剤スクリーニングに用いることも可能である。しかし、厳しい倫理的および実際的(免疫拒絶のリスク)限界が、クリニックにおいて、そして多くの国において、また研究においても、ESCの適用を深刻に阻止してきている。
外因性因子によって、体細胞をiPSCに変換可能であるという最近の発見(この方法はまた、「外因性因子による核再プログラミング」とも称されてきている(TakahashiおよびYamanaka, Cell 2006; 126:663−76))は、個別化医学の現在の認知を変化させる潜在能力を有し、そしてまた、ヒト疾患の価値あるin vitroモデルも提供しうる(YamanakaおよびBlau, 2010; Nature 465, 704−712; Lianら, 2010; Thromb Haemost 104, 39−44)。
著しいことに、iPSCは、ESCと類似であり、そして患者特異的治療において用いられ、したがって免疫拒絶のリスクを回避する潜在能力を有する。これらの特性のため、iPSCは世界中で多大な注目を浴びた。iPSCの生成には、ドナーから組織を収集し、in vitroでドナー細胞を増大させ、そして化学物質カクテルを伴いまたは伴わず、そして細胞培養条件の変動を伴い、精製されたタンパク質、タンパク質抽出物、RNA分子、非組込みプラスミド、ウイルス(例えばレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、センダイウイルス)として、細胞に提供される外因性因子のカクテルに、細胞を曝露することが必要である。
これらの因子の適用は、ESC様形態を持つコロニーが進行性に生じてくる効果を有する。これらのコロニーは、iPSCコロニーに相当し、これを摘み取り、そして続いて増大させ、そして性質決定して、これらの振る舞いがESCに類似であることを検証してもよい。
これまで、ヒトiPSCは、皮膚(線維芽細胞およびケラチノサイト)、羊液、胚外組織(胎盤および臍帯(Caiら, 2010; J Biol Chem 285, 11227−11234)、臍帯血、骨膜、歯科組織、脂肪組織、神経幹細胞、肝細胞、羊膜由来間葉系幹細胞および末梢血細胞(YeおよびCheng, 2010; Regen Med 5, 521−530; Caiら, 2010; J Biol Chem 285, 11227−11234))を用いて生成されてきている。これらの組織由来の細胞の再プログラミングは、多様な頻度で達成されてきており、起源の細胞(「ドナー細胞」)の問題であることが示される。現在、iPSC生成に用いられるドナー細胞が不均一であるため、iPSCおよびESCを用いた比較試験を行うための標準を設定し、そして試験結果から意味がある結論を導き出すことが困難である。
iPSCを生成するための理想的なドナー細胞タイプは、容易にアクセス可能であり、容易に再プログラミング可能であり、そして普遍的であるべきである(任意の年齢、性別、民族、および体の状態)。現在、皮膚線維芽細胞が再プログラミングに最も頻繁に用いられる細胞供給源の中にあるが、これらには、専門家によって無菌環境において行われる必要がある不快な生検だけでなく、使用前の長期の増大もまた、必要である。これらはまた、光および放射線への曝露のため、体細胞突然変異のリスクも有し、そして該処置は、重度の皮膚疾患または火傷においては禁忌を示す。近年、3つの研究グループが、CD34細胞可動化の必要を伴わない、末梢血細胞の再プログラミングを達成したと報告した(Lohら, 2010; Cell Stem Cell 7, 15−19; Sekiら, 2010; Cell Stem Cell 7, 11−14; Staerkら, 2010; Cell Stem Cell 7, 20−24)。Brownら, 2010, PloS ONE, 2010, 5, 6, 1−9は、末梢血からのTリンパ球由来iPSCの生成を記載する。これらの処置は最小限の侵襲性であり、少量の血液しか必要とせず、そして長期の細胞培養を必要としないため、効率が非常に低いという事実にもかかわらず、重要な進歩に相当する。しかし、これらの報告にしたがって用いられる主なドナー細胞は、特定のT細胞受容体再配置を所持する成熟T細胞であり、特定の潜在的な臨床適用には望ましくない。また、T細胞は、任意の細胞タイプに限定なしに分化するのに必要な、完全な遺伝情報を所持していない。
それに加えて、稀な場合には、血液を受け入れる/提供することは、倫理的な懸念から、例えば宗教的信念のために適用されず、そして感染性疾患、血液疾患、または免疫抑制を伴う患者においては実現可能ではない可能性もある。後者の背景においては、凝血(例えば血友病)、白血病および遺伝的または後天性(例えば癌およびAIDS)免疫抑制に影響を及ぼす状態を考慮すべきである。
新規組織の再プログラミングを追求する中で、iPSCはまた、マウス髄膜(Qinら, 2008; J Biol Chem; 283, 33730−33735)および乳腺上皮細胞(Liら, 2010; Cell Stem Cell 7, 51−63)、ならびにヒトにおいて、骨膜および脂肪幹細胞(Estebanら, 2010; Cell Stem Cell 6, 71−79)、臍帯マトリックスおよび胎盤(Caiら, 2010; J Biol Chem 285, 11227−11234)からも産生されてきている。
TakahashiおよびYamanaka, Cell 2006; 126:663−76 YamanakaおよびBlau, 2010; Nature 465, 704−712 Lianら, 2010; Thromb Haemost 104, 39−44 Caiら, 2010; J Biol Chem 285, 11227−11234 YeおよびCheng, 2010; Regen Med 5, 521−530 Lohら, 2010; Cell Stem Cell 7, 15−19 Sekiら, 2010; Cell Stem Cell 7, 11−14 Staerkら, 2010; Cell Stem Cell 7, 20−24 Brownら, 2010, PloS ONE, 2010, 5, 6, 1−9 Qinら, 2008; J Biol Chem; 283, 33730−33735 Liら, 2010; Cell Stem Cell 7, 51−63 Estebanら, 2010; Cell Stem Cell 6, 71−79
iPSC技術の将来的な適用に向かう進歩を加速するには、普遍的な供給源に相当するドナー細胞由来のiPSC、ならびに該細胞に由来する任意の細胞タイプの分化した細胞、組織またはオルガノイド、ならびにこうしたドナー細胞に直接由来する分化した細胞を提供することが望ましい。さらに、先行技術の方法にしたがってiPSCを生成するためのドナー細胞の単離は、通常、関心対象のドナー組織を得るために侵襲性の工程を必要とするため、本発明者らは、非侵襲性細胞供給源に由来するiPSC、およびこうしたiPSCを産生するための方法を追求した。
WO2008/153685は、尿試料を提供し、そして次いで該試料から尿前駆細胞(urine progenitor cells)を単離することによって、尿前駆細胞(UPC)の培養物を産生するための方法を記載する。該前駆細胞は、他の細胞タイプにさらに分化する潜在能力を有する。
分化した細胞の培養物を得るため、WO2010/065239は、尿から幹細胞を単離し、そして次いで特定の細胞タイプに分化させる方法を示唆する。
これらの方法に共通するのは、得られた尿細胞の分化が、限定された数の細胞タイプに関してのみ可能であることである。
非侵襲性に得られる細胞供給源から、最終的に生成される細胞タイプに関して限定されない分化能を持つ多能性細胞を得るための方法を提供することが、本発明の目的であった。
本発明の根底にある問題を解決するため、本発明者らは、個体から単離し、そして次いでiPSC(いかなる特定の細胞タイプにも分化しうる)に再プログラミングするか、または特定の細胞タイプ、組織またはオルガノイドに直接分化させる(「分化転換させる(transdifferentiated)」、すなわちiPSC生成の中間工程を伴わずに直接分化させる)ための、理想的な細胞供給源によって満たされるべき基準を考慮した:細胞は、まったく関連リスクを伴わずまたは最小限の関連リスクのみで容易にアクセス可能であるべきであり、これらは十分な量で入手可能であり、男性および女性両方に普遍的に存在するべきであり(倫理的懸念、人種、年齢、あるいは健康または疾患状態に関する制限を伴わず)、そしてこれらは、優れた効率で再プログラミングに感受性であるべきである。本発明者らは、驚くべきことに、尿などの非侵襲性供給源由来の、体細胞、すなわち最終的に分化した細胞が、iPSCあるいは関心対象の特定の細胞または細胞系譜に効率的に再プログラミング可能であることを見出した。
2つの代表的なUiPSCクローンを用いて産生された三胚葉の複雑な派生物を含む奇形腫のヘマトキシリン/エオジン染色スライド。 A.代表的なUiPSCクローンから、報告するプロトコルにしたがって産生したニューロン様細胞の位相差および免疫蛍光写真。B.報告されるプロトコルを用いて、代表的なUiPSCクローンを心筋細胞様細胞に分化させた。位相差、PAS染色および免疫蛍光写真。C.報告されるプロトコルを用いて、代表的なUiPSCクローンを肝細胞様細胞に分化させた。位相差、PAS染色および免疫蛍光写真。D.代表的なUiPSCクローンに由来する心筋細胞において測定した活動電位。
本発明は、別の細胞タイプのドナー細胞から関心対象の分化した細胞を生成するための方法であって
i)非侵襲性方式でドナーから得られる細胞供給源由来の細胞を増大させ、ここで前記細胞供給源は、尿、糞便、唾液、毛髪、鼻分泌物、耳垢、涙液または膣管(vaginal tract)より選択され、そして
ii)前記の増大させた細胞から
a)前記細胞を再プログラミングして、iPSCにして、そして次いで、該iPSCを関心対象の細胞に分化させることによるか、または
b)前記細胞を直接再プログラミングして、関心対象の分化した細胞にすることによって
分化した細胞を生成する
工程を含む、前記方法に関する。
好ましい態様にしたがって、工程i)で得られる前記ドナー細胞は、尿中に存在する尿管から剥離した細胞(以下、これらの細胞を尿細胞(urine cell)と称する)である。
以下において、尿細胞に由来するiPSCは、「UiPSC」と称される(別に言及しない限り、例えばUiPSCの使用に関して、この用語はまた、他の非侵襲性に得られるドナー細胞から得られるiPSCも含む)。
細胞供給源が尿である態様において、工程i)は、当該技術分野に知られる方法にしたがって実行可能であり、通常、
a)ドナーから尿を収集し、
b)剥離した細胞を尿から単離し、そして
c)前記の剥離した細胞を増大させる
副工程を含む。
剥離した細胞ii)は、再プログラミングに受け入れられる、尿中に見られるいかなる細胞タイプであってもよい。
特定の態様にしたがって、剥離した細胞は、上皮細胞、例えばヒト剥離近位尿細管上皮細胞(HEPTEC)のような腎尿細管細胞である。
他の態様にしたがって、剥離した細胞は線維芽細胞様細胞である。さらなる態様にしたがって、剥離した細胞は、Zhangら, 2008; J Urol 180, 2226−2233に記載されるように、前駆体様細胞、内皮様細胞、平滑筋様細胞または間質様細胞である。
細胞ii)はまた、剥離した癌細胞、例えば腎癌または膀胱癌細胞であってもよい。
尿収集後、尿細胞を遠心分離し、そして関心対象の細胞タイプ、例えばHEPTECまたは線維芽細胞様細胞の増殖を支持し、それによって望ましくない細胞タイプの細胞の増殖を防止する培地中で細胞を増殖させることによって、関心対象の細胞タイプを濃縮する。
こうした培地は、文献から知られ、そして/または商業的に入手可能である。例えば、上皮細胞の必要性を特異的に満たす培地には、限定されるわけではないが、どちらもLonzaから入手可能な腎上皮基礎培地(REBM)およびSingleQuotキットCC−4127 REGM、Milliporeから入手可能なEpiGRO培地、腎上皮細胞基礎培地(ATCC)、気道または乳腺上皮細胞培地を含む他の上皮細胞培地、例えばLonza、ATCC、またはCellapplicationsなどから入手可能なものなど、あるいはその組み合わせが含まれる。同様に、Wieserら, 2008(Am J Physiol Renal Physiol 295, F1365−1375)に記載されるものに基づく単数または複数の培地も含まれる。
尿から線維芽細胞様細胞を濃縮するのに適した培地の例は、やはりLonzaより入手可能なFGM(登録商標)−2線維芽細胞増殖培地である。
本発明の方法で用いるのに好ましいドナー細胞である尿細胞に加えて、非侵襲性方式でドナー個体から得られている他の細胞を増大させ、そして再プログラミングしてiPSCにしてもよいし、または関心対象の細胞タイプに直接分化させてもよく、例えばこうした細胞は、糞便、唾液、毛髪、鼻分泌物、耳垢、涙液または膣管から得られる細胞である。こうした細胞を単離し、そして増大させるための方法が当該技術分野に知られ、例えば結腸から糞便中に剥離した細胞(Bandaletovaら, 2002. Apmis 110, 239−246)、または毛髪由来の皮膚乳頭(papilla)細胞(Warrenら, 1992; J Invest Dermatol 98, 693−699)からのものが知られる。
別の有用な細胞供給源は、血液透析中、腹膜中の血管を通じて、血液と物質を交換するために、腹腔内に挿入され、腎臓におけるのと「同様の」方式で、血液がろ過されるのを可能にする液体である。この液体は収集可能であり、そして多くの細胞を含有することが知られている。
「再プログラミングする」[(工程ii)、態様a)]は、外因性因子によって、体細胞をiPSCに変換する分野で知られる用語である。
本発明の実験において、尿細胞のUiPSCへの再プログラミングは、元来、TakahashiおよびYamanaka, 2006; Cell 126:663−76に記載されるように、4つの再プログラミング因子、Sox2、Oct4、Klf4、およびc−Myc(「山中因子」または「山中カクテル」)を送達するレトロウイルスベクターを用いて行われた。
原理的には、ドナー細胞、特に尿細胞を、iPSC、特にUiPSCに変換することが可能な、任意の再プログラミング法が使用可能である。
再プログラミングは、Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子、およびSoxファミリー遺伝子より選択される1またはそれより多い因子によって達成可能である。さらに、因子の組み合わせは、サイトカインを伴い、Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子の1またはそれより多い遺伝子産物を含んでもよい。サイトカインは、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)および幹細胞因子(SCF)の少なくとも1つであってもよい。
好ましくは、これらの因子は、非ウイルス性発現ベクター中に挿入され、これが体細胞に導入される。
UiPSC、またはその分化した細胞が、療法適用を意図される場合、癌遺伝子を使用せず、そして/または再プログラミング因子をコードするDNAが個体ゲノムDNAに組み込まれることを伴わない方法が用いられる。
したがって、療法目的のため、UiPSCまたはその分化した細胞を生成するための、本発明の好ましい方法は、レンチウイルスまたはレトロウイルスを使用しないか、あるいは導入遺伝子のゲノム組込みリスク、およびこうした組込みに関連する望ましくない副作用が最小限になるかまたは完全に消滅するように修飾されたウイルスを用いる。また、導入遺伝子組込みが挿入突然変異誘発のリスクを所持し、これは治療される患者における腫瘍形成と関連しうることを考慮しなければならない。
療法適用のためにUiPSCを生成するのに好ましい方法は、再プログラミング遺伝子のゲノム組込みを回避し(Sunら, 2010; Cell Cycle 9:5, 880−885に概説される)、そして/またはKlf4またはc−Mycのような癌遺伝子を回避するものであり、例えば
・Creレコンビナーゼ切除可能レンチウイルスを用いる(Soldnerら, 2009; Cell 136:964−77);
・OCT4、SOX2、およびNANOGのみを用いて、c−MycおよびKlf4を省く(Liら, 2010; Cell Reprogram. Jun 12(3):237−47);
・再プログラミング因子Oct4、Sox2、Klf4、c−Myc、Nanog、Lin28およびSV40LTをコードする、oriP/EBNA1(エプスタイン−バー核抗原1)に基づくエピソームベクターを用いることによって、ウイルス不含および導入遺伝子不含ヒトiPS細胞誘導を達成する(Yuら, 2009; Science 324:797−801);
・山中因子の多シストロン導入遺伝子を所持するpiggyBacトランスポゾン発現ベクター(Woltjenら, 2009, Nature 458:766−70);非ウイルス性ミニ環状DNA(Jiaら, 2010; Nat Methods Mar 7(3):197−9)を用いるウイルス不含再プログラミング技術を用いる;
・組換えタンパク質に基づく方法、例えば細胞透過性ペプチド(cpp)にコンジュゲート化された組換えタンパク質の形の4つの山中因子で、細胞を処理する(Kimら, 2009; Cell Stem Cell 4:472−6);先行する化学物質処理を伴いまたは伴わず、精製タンパク質、タンパク質抽出物として細胞に提供される、外因性因子のカクテルに、細胞を曝露する(Choら, 2010; Blood 116, 386−395; Hanら, 2010; PLoS One. Aug 19; 5(8):e12297; SolankiおよびLee, 2010; Chembiochem 11, 755−757)。
・小分子、例えばバルプロ酸、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(Huangfuら, 2008; Nat Biotechnol 26:795−7; Huangfuら, 2008; Nat Biotechnol 26:1269−75);またはいくつかの他の小分子、例えばグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK−3)の阻害剤、MEK−ERK経路およびTGFβ経路阻害剤を添加して、再プログラミング因子の効率を増加させるか、または該因子のいくつかを置換する(Linら, 2009; Nat Methods 6:805−8; Liら, 2009; Cell Stem Cell 4:16−9; Shiら, 2008; Cell Stem Cell 2:525−8; Ichidaら, 2009; Cell Stem Cell 5:491−503);あるいはビタミンCを添加する(Estebanら, 2010; Cell Stem Cell 6, 71−79);
・低分子干渉RNA(siRNA)、例えばp53 siRNAを添加して、山中因子による再プログラミングの効率を改善する(Zhaoら, 2008;3: Cell Stem Cell 475−9);
・再プログラミングカクテルにマイクロRNA(miRNA)を添加する(例えば、Wilsonら, 2009; Stem Cells Dev 18:749−58; Judsonら, 2009; Nat Biotechnol. May; 27(5): 459−461)。
・再プログラミング因子をコードするmRNA、または修飾mRNAを送達し(Yakubovら, 2010; Biochem Biophys Res Commun 394, 189−193)、それによって修飾の場合、例えばKowalskaら, 2008, RNA. 2008 Jun;14(6):1119−31に記載されるように、翻訳および/または安定性を増加させるようにする。
再プログラミングの安全性および/または効率は、組織培地または環境を変化させる、例えば血清を含有する培地をノックアウト血清代替剤(KSR、Invitrogen)によって置換するか、または環境を変化させる(例えば酸素濃度が調節可能な特定のインキュベーターを用いて、低酸素付加する)ことによって、さらに最適化可能である。
最適化は、例えば、所定の増大させた尿細胞集団に関して、連続実験を行うことによって達成可能である。例えば、より容易に再プログラミングされる細胞集団に関して選択するため、外因性因子を産生するレトロウイルスに感染させる前に、多くの個体由来の尿細胞を異なる培地(例えば上皮細胞または線維芽細胞培地)中で増殖させてもよい。感染後、血清を含有するかまたは血清を含まず、そして添加される化学物質(上記を参照されたい)を含むかまたは含まない、培地の異なるカクテルを使用し(異なる時点での変化を伴う)、最適な効率が達成可能である条件を探す。また、因子、例えばNanog(または他の因子、例えばマイクロRNA)を含むまたは含まない4つの山中因子の異なる組み合わせに細胞を感染させてもよい。何周期の感染(1、2または3周期)で、最適な結果が得られうるかを試験してもよい。細胞をフィーダー細胞上で分割する場合、異なるタイプのフィーダー層、例えばマウス線維芽細胞、ヒト線維芽細胞、羊膜細胞、羊膜等を用いてもよい。
まずiPSCを生成するのではなく、ドナー細胞を直接再プログラミングして、関心対象の分化した細胞にする[工程ii)、態様b)]こともまた、「分化転換」として知られ、これは、1つの分化した状態から別の状態に、細胞または組織を変化させることを意味する(VierbuchenおよびWernig, 2011, Nat Biotechnol. 2011;29(10):892−907)。
この態様において、iPS再プログラミングのための因子に関して、ウイルスベクター、プラスミドに基づくベクター等を用いて、細胞タイプ特異的転写因子を過剰発現する。
尿細胞(または他の非侵襲性に得られた細胞)をニューロンに直接分化転換するため、ヒト線維芽細胞をニューロンに変換するために記載されたように(Vierbuchenら, 2010; Nature 463, 1035−1041)、またはMarroら, 2011, Stem Cell. Oct 4; 9(4):374−82に記載されるように、肝細胞をニューロンに変換するために、3つの因子、Ascl1、Brn2、およびMyt1lを用いてもよい。
Efeら, 2011, Nat Cell Biol. 2011 Mar; 13(3):215−22は、マウス胚性線維芽細胞(MEF)を、分化した心筋細胞の自発的に収縮するパッチに直接再プログラミング可能である方法を記載する。
尿ドナー細胞を心筋細胞に変換するため、Gata4、Tbx5、およびBaf60cを用いて、中胚葉から心筋細胞を得るために成功裡に実行されている方法(Takeuchiら, 2009; Nature 459, 708−711)を用いてもよい。
Oct4過剰発現のみを用いることによって、造血細胞への分化転換を行うことも可能である(Szaboら, 2010; Nature 468, 521−526)。
尿細胞を、ニューロン、ケラチノサイト、線維芽細胞、心筋細胞、肝臓、腎臓、血液細胞などに分化転換させる因子に関するスクリーニングは、上記の分化転換プロトコルおよび最初の山中プロトコル(TakahashiおよびYamanaka, 2006)と同様に実行可能である。系譜特異的転写因子に関する豊富な知識に基づいて、関心対象の特定の細胞タイプを維持し、そして培養するために一般的に用いられる培養条件と組み合わせて、尿由来細胞を直接分化転換する潜在能力に関して、こうした因子を組み合わせて(上記論文におけるように)試験してもよい。分化転換効率を最適化するために、再プログラミング効率を最適化するための上記原理にしたがった連続実験もまた、実行してもよい。
本発明の方法は、好ましくは、ヒトドナー細胞からUiPSCまたは分化した細胞を産生するために用いられるが、これを他の哺乳動物(例えばサル、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ラット、およびマウス)由来の細胞にも適用してもよい。
剥離した尿細胞から、関心対象の分化した細胞を、直接または中間UiPSCを通じて産生できれば、高品質ESC様細胞を生成する、普遍的で容易な再生法が提供される。最小限の衛生手段が取られ、そして年齢、性別、または状態に関わらず、いかなるヒトからも採取されるならば、ドナー細胞の収集は、どこでもそして誰によっても実行可能であるという利点を有する。さらに、透析を必要とする腎不全患者、または膀胱手術後、尿を産生しない患者において、腎機能の欠損を置換するために腹膜内に灌流させる液体を、再プログラミングまたは分化転換のための細胞の供給源として用いてもよい。
本発明の方法は、世界中の再プログラミング法を比較し、そして安全なiPSCの臨床適用に向かって分野を進歩させるユニークな機会を提供する。
原理的に、UiPSC、または他の非侵襲性に得られるドナー細胞から本発明の方法によって得られるiPSCは、他の細胞タイプから生成される、当該技術分野に知られるiPSCと同じ目的に使用可能である。
UiPSCの好適な特徴のため、該細胞は、研究および商業的観点の両方から有用であり、後者は、例えば、健康な個体または疾患を有する患者由来のUiPSC、あるいは該細胞から得られる細胞、細胞系譜、オルガノイドまたは組織を、例えばスクリーニング目的のために提供することによる。
UiPSCを用いて、ES細胞の使用につきものの倫理的および免疫学的課題を回避しながら、組織修復または置換のための細胞を生成することも可能である。
本発明のUiPSC、該細胞に由来する組織またはオルガノイドは、それぞれ、重度の火傷を負った患者の治療に特に有用であり、患者は、尿細胞から直接またはUiPSCを通じてのいずれかで得られる分化した細胞から得られる人工皮膚を提供されるであろう。
血液疾患の治療のため、UiPSCまたは該細胞から得られる分化した細胞、あるいは尿細胞の直接分化転換によって得られる細胞を、例えば体細胞突然変異誘導性白血病を患う患者に注入することも可能である。
血友病の治療において、遺伝子修正されたUiPSCを自己移植に用いてもよく、そして例えばHIVにおけるように免疫細胞の量を減少させる疾患の場合、造血細胞に変換されたUiPSCを用いて、注入によって免疫細胞集団を補充してもよい。鎌状赤血球貧血症においては、遺伝子修正されたiPSもまた使用可能である(Hannaら, 2007; Science 318, 1920−1923)。
当該技術分野において知られるiPSC同様、UiPSC(または他の非侵襲性に得られたドナー細胞から得られたiPSC)を、特定の細胞タイプまたは組織が破壊されるかまたは機能不全になり、そして体がこれを補充不能である変性疾患の療法において、用いてもよい。変性状態、例えばパーキンソン病において、UiPSCでの治療は、罹患した部位に、次いで組織損傷を修復するために使用可能な未分化細胞を提供する。したがって、UiPSCでの療法は、同じ機能を実行する新規の健康な細胞または組織を再導入するであろう。UiPSCはまた、患者と適合するであろう完全新規臓器を発展させるために使用される潜在能力を有し、そして自己細胞、すなわち治療しようとする患者のドナー細胞由来の細胞であるため、移植拒絶の可能性が減少しており、例えば糖尿病の場合、iPSCからと同様に、インスリン分泌膵島様クラスターが生成可能である(Tateishiら, 2008; Am J Physiol Renal Physiol 295, F1365−1375)。
UiPSCはまた、疾患モデルとして有用な疾患特異的細胞株の生成のため、そして/またはin vitroでの薬剤候補のスクリーニングのため、そして/または遺伝子療法によって遺伝的欠陥を修正するためにも使用可能である(Lauら, 2009; F1000 Biol Rep. 1: 84によってiPSCに関して概説されるように)。UiPSCからの最終分化した細胞(例えば肝細胞または心筋細胞)の生成は、例えば、患者特異性(個別化医療のため)または化合物の一般的適用可能性を定義する目的で、それぞれの細胞系譜に対する化合物のスクリーニングおよびさらなるプロファイリングを可能にするであろう。例えば、Dimosら 2008(Science Aug 29; 321(5893):1218−2)によって記載される通りである。UiPSCを筋萎縮性側索硬化症の家族性型のモデルとして;あるいはパーキンソン病、1型糖尿病、デュシェンヌおよびベッカー型筋ジストロフィー、アデノシン脱アミノ酵素不全関連重度複合免疫不全、シュバックマン−ボディアン−ダイアモンド症候群、III型ゴーシェ病、ハンチントン病、ダウン症候群、およびレッシュ−ナイハン症候群のキャリアー状態を含む、10の異なる遺伝病の患者からiPS細胞を産生した、Parkら, 2008(Cell Sep 5;134(5):877−8)によって記載されるように、他の遺伝病のそれぞれ、モデルとして、または治療のため、用いてもよい。また、脊髄性筋萎縮症およびパーキンソン病のヒト細胞に基づくモデルを、Ebertら; 2009(Nature Jan 15; 457(7227):277−8)およびSoldnerら, 2009(Cell. Mar 6; 136(5):964−77)に記載されるのと同様に生成してもよいし、あるいは続いてヘモグロビンを産生する造血細胞に分化させる、皮膚線維芽細胞由来のiPSCに関して、Yeら, 2009(Proc Natl Acad Sci USA Jun 16;106 (24):9826−3)に記載されるのと同様に、ホモ接合体ベータ−サラセミア患者由来の細胞から得られたUiPSCを用いてもよい。こうしたUiPSCは、遺伝子操作に際して、正常に機能する自己造血細胞を生じることも可能である。UiPSCはまた、ファンコーニ貧血患者から採取された皮膚線維芽細胞からiPS細胞を得て、FANCAおよびFANCD2をコードするレンチウイルスベクターを用いて修正し、そして続いて表現型的に疾患でない体細胞を得た、Rayaら, 2009(Nature Jul 2; 460(7251):53)に記載されるように、ファンコーニ貧血患者の遺伝子欠陥を修正するのにも使用可能である。
UiPSCはまた、家族性自律神経障害(FD)患者からiPSCを生成し、iPS細胞に再分化させ、そして候補薬剤をスクリーニングするin vitroモデルを用いた、Leeら, 2009(Nature Sep 17; 461(7262):402)によって生成されるiPSのようにも使用可能である。
UiPSCが、疾患モデルとして潜在的に大きな価値を有する疾患に関する別の例は、プラダー・ウィリー症候群である(Yangら, 2010; J Biol Chem 285, 40303−40311)。UiPSCを用いた遺伝子療法が、大きな潜在能力を有する遺伝子疾患の他の例は、表皮水疱症である(例えば、Wallyら, 2010; Hum Mol Genet 19, 4715−4725; Wallyら, 2008; J Invest Dermatol 128, 568−574に記載されるように、K14 mRNA再プログラミングによる)。一般的に、遺伝子操作されたUiPSCに基づく遺伝子療法は、単一遺伝子障害によって引き起こされる疾患を治療するのに最大の潜在能力を有する;現在までに、およそ4000のこうした遺伝子疾患が記載されてきている。
最終分化した細胞を用いる上記疾患モデルにおいて、こうした細胞は、あるいは、UiPSCから得られてもよいし、ドナー細胞の直接再プログラミングによって得られてもよい。本発明の目的のため、「直接再プログラミング」は、本明細書に定義されるような「分化転換」と同義で用いられる。
ドナー細胞が癌細胞、例えば腎または膀胱癌細胞である、おそらく、癌の初期段階に相当する場合、UiPSCまたはその分化した細胞は、それぞれの癌のモデルとして有用である。
遺伝子療法は、疾患を引き起こす遺伝的影響を修正するための、個体の細胞内の1またはそれより多い遺伝子の挿入、改変、または切除を含む。これまでに、主に、単一遺伝子における突然変異によって引き起こされる一遺伝子性疾患が治療のために考慮されてきている。遺伝子療法の最も一般的な型は、突然変異遺伝子を置換するための、特定されないゲノム位置への機能遺伝子の挿入を伴う。突然変異はまた、直接修正されてもよい。
遺伝子療法適用のため、遺伝子修飾された細胞は、UiPSCまたは該細胞に由来する(またはドナー細胞の直接再プログラミングによって得られる)分化した細胞である;あるいは、好ましさは劣るが、増大されたドナー細胞を、再プログラミング前に遺伝子修飾してもよい。本発明の範囲において、遺伝子修飾された細胞は、体細胞遺伝子療法において、広く用いられうる。遺伝子欠陥の修正は、UiPSCまたは該細胞に由来する(またはドナー細胞の直接再プログラミングによって得られる)分化した細胞を再注入するかまたは移植する前に、in vitroで行われるため、生殖系列への遺伝子導入のリスクは最小限である。機能しない組織および臓器を補完するかまたは置換するため、UiPSCに由来する分化した細胞(または先にiPS再プログラミングを伴わずに直接分化転換した細胞)として、修正した細胞を注入するかまたは移植する。当該技術分野に知られる方法にしたがって、例えばレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルスを含むウイルスベクター(再活性化のリスクを最小限にするように修飾されているもの)によって、プラスミドに基づくベクターまたはさらに裸のDNAを用いることによって、修正遺伝子を細胞内に導入することも可能である。
遺伝子欠陥の修正は、多くの方式で、例えば正しく機能する遺伝子をコードするDNAを送達することによって、shRNAまたはmiRNAを送達することにより、突然変異遺伝子をノックダウンすることによって、ジンクフィンガータンパク質を用いて、ノックアウトまたは組換えを実行することによって、あるいはトランススプライシング事象を可能にするベクターを用いることによって、実行可能である。
非侵襲性の方式でドナー細胞を得るため、健康な個体が、あらかじめ、そして予防的に、自身の尿から得られるUiPSC、ならびに由来する細胞系譜、オルガノイドまたは人工皮膚のような組織を調製し、そして保存することに関する許容性が高い可能性があり、これによって、重度の疾患または火傷のような傷害が発生した場合に、より速やかに使用することが可能になるであろう。
UiPSCから生成される、例えば異なる皮膚タイプを持つ個体のドナー細胞に由来する、線維芽細胞、ケラチノサイトまたは人工皮膚(Bilousovaら, 2010; J Invest Dermatol. Dec 9)はまた、試験のため、美容産業において有用である可能性もある。
UiPSCはまた、動物、特に哺乳動物、例えば競走馬またはペットをクローニングするのにも有用でありうる。
材料および方法
免疫蛍光顕微鏡
細胞を4%パラホルムアルデヒド中で一晩固定し、洗浄し、ブロッキングし、そしてブロッキング溶液(3%正常ヤギ血清および0.2%Triton X−100を含有するPBS)中で30分間透過処理した。次いで、これらをブロッキング溶液中の一次抗体と4℃で一晩インキュベーションし、2回洗浄し、そして対応する二次抗体と室温で1時間インキュベーションした。細胞を2回洗浄し、そしてDAPI(Sigma)で5分間染色し、そして次いで、観察し、そしてLeica TCS SP2スペクトル共焦点顕微鏡(Leica Microsystems GmbH、ドイツ・ウェツラー)を用いて写真撮影した。免疫蛍光前に、拍動領域を鋏で切り離し、低カルシウムPBSを含む1.5mL試験管内に収集し、そして室温で30分間放置した。これらの細胞塊を、0.5〜1mg/mLコラゲナーゼ2を含有する酵素緩衝液内に移し、そして37℃で30〜40分間インキュベーションした。DMEM/Ham F12 1:1(Hyclone)、10%ウシ胎児血清(FBS;PAA)、SingleQuotキットCC−4127 REGM(Lonza)で消化を終結させた。次いで、試料を遠心分離し、そしてペレットをDMEM/Ham F12 1:1(Hyclone)、10%ウシ胎児血清(FBS;PAA)、SingleQuotキットCC−4127 REGM(Lonza)中に再懸濁した。細胞懸濁物をゼラチンコーティングカバーガラス上にプレーティングし、そして固定および免疫蛍光前に、少なくとも2日間、37℃で培養した。
組織特異的分化および電気生理学的測定
ニューロン、肝細胞および心筋細胞分化を、記載されるように行った(Pankratzら, 2007, Stem Cells 25, 1511−1520; Songら, 2009, Cell Res 19, 1233−1242; Zwiら, 2009, Circulation 120, 1513−1523)。N2およびB27をInvitrogenから購入し、ヘパリンをSigmaから購入し、EGFをR&D Systemsから購入した。アクチビンAおよびオンコスタチンMをR&D System(米国ミネソタ州ミネアポリス)から購入し、BMP2、FGF4、HGFおよびKGFをPepro Tech(米国ロッキーヒル)から購入し、そしてデキサメタゾンをEnzo Life Sciences(米国ファーミングデール)より購入した。Polysciences(米国ウォリントン)から購入したキットを用いて、RPMI 1640、ヘパトZYME−SPF、過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色を行った。標準的ホールセルパッチクランプを用い、活動電位表現型を記録して(HEKA Instruments Inc.,マサチューセッツ州サウスボロー)(Chanら, 2009 J Cardiovasc Electrophysiol 20, 1048−1054)、iPSC由来心筋細胞(第23日)の電気生理学的性質決定を行った。Sutterマイクロピペット吸引装置P−97を用いて、1.5mm薄壁ホウケイ酸ガラス管からパッチピペットを調製し、そして該ピペットは(mM):110 Kアスパラギン酸、20 KCl、1 MgCl、0.1 Na−GTP、5 Mg−ATP、5 Na−ホスホクレアチン、5 EGTA、10 HEPESを含有し、そしてKOHでpHを7.3に調整した内部溶液で満たした際、3〜5MΩの典型的な耐性を有した。外部タイロードの浴溶液は(mM): 140 NaCl、5 KCl、1 MgCl、0.4 KHPO、1.8 CaCl、10グルコース、5 HEPESからなり、そしてNaOHでpHを7.4に調整された。自発的電気活性を測定し、一方、iPSC由来心筋細胞は、電流インプットがないと不活性のままであった。自発的に興奮するiPSC由来の心筋細胞から20の連続活動電位を記録して、分析のための安定な波形を確実にした。+15.9mVの液間電位のためにデータを修正した。先に記載されるプロトコル(Ngら, 2010; J Mol Cell Cardiol 48, 1129−1137)を用い、共焦点カルシウム画像化で、カルシウム過渡応答を検出した。簡潔には、単離したiPSC由来心筋細胞に(mM): 140 NaCl、5 KCl、1 MgCl、0.4 KHPO、1.8 CaCl、10グルコース、5 HEPESを含有し、pH 7.4であるタイロード溶液中、5μM Fluo−3 AM(Invitrogen)を37℃で25分間装填した。Olympus正立顕微鏡(IX71)上に搭載された共焦点画像化系(Olympus Fluoview Systemバージョン4.2 FV300 TIEMPO)で、カルシウム過渡応答を記録し、そして次いで、バックグラウンドを差し引いたベースライン蛍光に対して規準化したバックグラウンド減算蛍光強度変化として定量化した。分析のため、データをFelix32(Photon Technology International)ソフトウェアに入力した。
i)尿収集および細胞増大
尿収集の前に、適切な容器(500mlまで)を滅菌した。尿の中間流のみを無菌容器内に収集した。標本の一般的な体積は150〜200mLであった。次いで、尿試料を組織培養フード内で、50mL試験管に移し、そしてこれらの試験管を室温で400g、10分間、遠心分離した。組織培養フード内で、上清を注意深く廃棄し、試験管中におよそ1mLまたはそれ未満の尿を残した。ペレットを個々に再懸濁し、そして1つの試料収集から得た50mL試験管すべてを、単一の50mL試験管内にプールした。アンホテリシンBおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含有する、ほぼ10mLのPBSを添加した。試料を400gで10分間遠心分離した。上清を廃棄し、ほぼ0.2mLの試料のみを残した。ほぼ1mLの一次培地を添加して、細胞ペレットを再懸濁した。一次培地のレシピは、DMEM/Ham F12 1:1(Hyclone)、10%ウシ胎児血清(FBS;PAA)、SingleQuotキットCC−4127 REGM(Lonza)、アンホテリシンB、およびペニシリン/ストレプトマイシンを含有した。1mLの一次培地中のL−ゼラチンでコーティングした12ウェルプレート上に、該細胞を移した。最初の2日間は、数100mLの一次培地を添加して、抗生物質濃度を保持し、そして栄養レベルを維持した。翌日、培地を、Single QuotキットCC−4127 REGM(Lonza)を含有するREBM(腎上皮基礎培地、Lonza)培地(2つの組み合わせを尿細胞培地と称する)に、注意深く交換し、尿細胞によって分泌される因子が存在することを可能にし、そして不要なストレスを回避するため、処置を完全には実行しなかった。3〜6日後、可視の細胞/コロニーがルーチンに現れた。最初の完全培地交換は、最初の細胞/コロニーが見られた後に行った。培養が集密(confluent)まで成長したら、1mM EDTAを含有する0.25%トリプシンの補助で、細胞をより大きな表面上にスプリットした。この処置および他の処置は、広州生物医薬健康研究院(Guangzhou Institutes of Biomedicine and Health)の倫理委員会の承認を得た。RPTECをWieserら, 2008, Am J Physiol Renal Physiol 295, F1365−1375によって記載されるように生成し、そして尿細胞培地中に維持した。Coriell細胞リポジトリーより皮膚線維芽細胞を得て、そしてDMEM(Invitrogen)+10%(体積/体積)ウシ胎児血清(FBS;Hyclone)中で維持した。
一見して、尿細胞培養物は、主に、扁平細胞(尿道由来のものと同様)およびわずかな血液細胞(大部分、赤血球)からなるが、2〜3日後、これらの細胞は消滅し、そして迅速に成長する小さいコロニー(平均、試料あたり3つ)によって置き換えられた。これらのコロニーは、尿細胞単離に関する先の報告(Dorrenhausら, Arch Toxicol 2000; 74, 618−626)と一致して、2つの主な形態:1型または2型に対応した。1型細胞は、より丸い傾向があり、そして隣の細胞とごく近接して成長し、上皮表現型を連想させた。2型細胞は、穏やかにより伸長しており、そしてわずかにより分散して増殖する傾向があった。いくつかの試料収集において、すべてのコロニーは2つのタイプの1つに対応したが、他のものでは混合されていた。これらの細胞培養物が高密度に到達した際にプールし、そしてさらなる性質決定のため、または平行した再プログラミングのため、スプリットした。1型細胞が豊富なものは、免疫蛍光顕微鏡によって評価されるように、E−カドヘリンおよびベータカテニン(接着結合マーカー)、ならびにZO−1(閉鎖体タンパク質1;密着結合マーカー)が陽性である、よく形成された細胞間結合を示した。これらはまた、上皮マーカーである中間径フィラメントケラチン7、および腎近位尿細管マーカーCD13に関して陽性であった。さらに、アクチンの分布は、ストレスファイバー中というよりも皮質性であった。定量的リアルタイムPCR(qPCR)もまた、E−カドヘリン、オクルディンおよびクローディン1(密着結合タンパク質)、ならびに腎近位尿細管溶質キャリアーファミリー2輸送体SLC2A1の分析によって立証されるように、主に上皮起源であることを支持した。腎近位上皮細胞(RPTEC; Wieserら, 2008; Am J Physiol Renal Physiol 295, F1365−1375)および皮膚線維芽細胞を、免疫蛍光およびqPCRの、それぞれ、陽性および陰性対照として用いた。2型細胞が豊富な培養は、かなり類似の免疫蛍光パターンを示したが、強度はより穏やかで、そして分布はより斑状であった;qPCRの結果は同様に匹敵した。どちらの場合も、線維芽細胞様マーカー、フィブロネクチンおよびビメンチンに関して、染色はほとんど観察されなかった。
ii)UiPSC生成および増大
中国人またはコーカソイドのいずれか起源の12人の若い成人由来の試料を再プログラミングし、7人は男性に、そして5人は女性に相当した。第2〜3継代の尿細胞を、Sox2、Klf4、Oct4およびc−Mycを生じるレトロウイルスで形質導入した(Caiら, 2010; J Biol Chem 285, 11227−11234; Estebanら, 2010; Cell Stem Cell 6, 71−79):ヒトOct4、Sox2、Klf4およびc−Myc転写因子を産生するレトロウイルスプラスミドをAddgene(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)より購入した。ウイルス上清をトランスフェクション48時間後から開始して2日連続で採取した。第2〜4継代の尿細胞をトリプシン処理し、そして6ウェルプレート上に植え付けた。ウェルあたり60,000細胞を添加した。ヒトOct4、Sox2、Klf4およびc−MycのcDNAを含有するレトロウイルスpMXベクター(Addgene)で293T細胞をトランスフェクションする(Lipofectamine3000、Invitrogenを用いる)ことによって生成したウイルス上清に、細胞を感染させた。2周期の感染を成功裡に行った(各12時間)。ポリブレン(Sigma)を添加して感染効率を増加させた。感染第2周期後(GFP発現ベクターでの対照形質導入によって立証されるように、感染効率は100%近かった)、形質導入細胞の組織培地を尿細胞培地に交換し、そして毎日取り替えた。第3日または第4日、細胞をトリプシン処理し、そしてその数を数えた。ルーチンに、50,000細胞を10cm培養プレート中、そしてヒトESC培地(F12[Invitrogen]+20%KSR[ノックアウト血清代替剤、Invitrogen]+10ng/mL塩基性線維芽細胞増殖因子+非必須アミノ酸[Invitrogen]、L−グルタミン、およびベータ・メルカプトエタノール)を用いて、フィーダー層上に植え付け、培地を毎日取り替えた。第5日、培地をヒトESC培地+1mMバルプロ酸(VPA;Sigma)または半ESC培地+半dFBS培地(DMEM高グルコース[Invitrogen]+20%ヒト限定ウシ胎児血清[FBS、Hyclone]+VPAからなる)に交換した。VPAは、第5日〜第12日までのみ維持した。培地をmTesR1培地(Stemcell)に交換し、そして実験最終日まで毎日取り替えた。第16日から、十分に大きく、そしてヒトESC様と同定可能である(はっきりした境界線があり、そして顕著な仁を含有する大きな核を持つ、平らな形態である)これらのコロニーを、機械的に摘み取り、そしてフィーダー上でヒトESC培地中、またはMatrigel上のmTesR1培地上で増大させることも可能である。
iii)UiPSC性質決定
Caiら, 2010; J Biol Chem 285, 11227−11234; Estebanら, 2010; Cell Stem Cell 6, 71−79に記載されるように、AP染色、導入遺伝子組込み、核型決定、および重硫酸配列決定を行った。
Applied Biosystems遺伝子分析装置(ABI3031、ABI)を用いて、STR分析を行った。DNeasy組織キット(Qiagen、ドイツ・ヒルデン)を用いてゲノムDNAを抽出し、そしてTrizol(Invitrogen、米国ペーズリー)を用いて総RNAを抽出した。サーマルサイクラーDice TMリアルタイム系(ABI7300、ABI、米国カリフォルニア州フォスター)およびSYBRグリーンプレミックスEX TaqTM(タカラ、日本・滋賀)を用いて、qPCRを行った;規準化にベータアクチンを用い、そしてすべての項目を3つ組で測定した。IlluminaのヒトHT−12 V4.0発現Beadchipを、製造者の使用説明書にしたがって用いて、DNAマイクロアレイを行った。Illumina BeadChip読み取り装置を用いて、チップをスキャンし、そしてIllumina BeadStudioアプリケーションを用いて、データを分析した。奇形腫に関しては、免疫低下NOD−SCIDマウスの右後肢に、2x10 UiPSCを皮下または筋内注射した。8〜10週後、腫瘍を切除し、固定し、そしてパラフィン中に包埋し、切片作製し、そしてヘマトキシリン/エオジンで染色した。EB分化に関しては、フィーダー上のiPSCをディスパーゼ(Invitrogen)で処理し、そして掻き取ることによって収集した。遠心分離後、細胞ペレットを、bFGFを含まないヒトESC培地中に再懸濁し、そして非接着性プレート中で8日間増殖させた。次いで、EBをゼラチン・コーティング・プレートに移し、免疫蛍光分析のためにプロセシングする前に、さらに8時間分化させた。
初代培養および生じたUiPSCの性質決定によって、小さいコロニーが第9日〜第16日にルーチンに出現し、これは、認識可能なパターンを伴わずに、ドナー間で多様であることが示された。これらのコロニーの多くは、進行性に、ヒトESC様形態を採用し、そしてこれらを第16日〜第25日の間に摘み取った。再プログラミング効率もまた、ドナー間で多様であったが、一般的に、かなり高く、0.1%〜4%の間で振動した。UiPSCはまた、65歳の男性個体からも産生され、再プログラミング効率はより低かった(0.01%)が、なお、末梢血細胞に関して報告されるものよりも有意に高かった。さらに、形質導入前に、何人かのドナー由来の尿細胞を凍結および融解することが可能であり、そしてこれは再プログラミング効率を損なわなかった。尿細胞はまた、効率の重大でない低下はあったものの、より後の継代でも感染可能であった。
コロニー増大後、アルカリホスファターゼ染色(AP)を含む標準法によって、UiPSCを性質決定し、そしてこれは全コロニーの暗い染色によって視覚化される、強いAP染色を伴う明らかに陽性の細胞コロニーを示した。これらのコロニーはさらに、ESマーカー、TRA−1−60、TRA−1−81、Nanog、SSEA−3およびSSEA−4に関する間接的免疫蛍光染色において陽性に染色された。さらに、内因性ESC遺伝子に関するqPCRに加えて、これらの導入遺伝子のサイレンシングを観察した。DNAマイクロアレイによって、包括的な遺伝子発現がH9 ESCに近いことが示され、これはUiPSCのものに対してプロットされたES細胞のマイクロアレイの恣意的な蛍光単位が、45°の角度の直線傾斜を示すためである。ドナー尿細胞およびUiPSCの単一タンデムリピート分析(STR)によって、すべての場合で起源がマッチしていることが示された。状況がこうしたものであれば、後者は、可能性が低い混入および性的パートナー由来の細胞の再プログラミングを排除する。
コロニー増大後、UiPSCは、アルカリホスファターゼ染色を含む標準的な方法によって性質決定され、そして全コロニーの暗い染色によって視覚化される強いAP染色を伴う明らかに陽性の細胞コロニーを示す一方、非トランスフェクション細胞は、アルカリホスファターゼに関するいかなる染色も示さなかった。これらは、ゲノムDNA内への導入遺伝子組込み後、正常核型を示し、そしてさらに、ESマーカー、TRA−1−60、TRA−1−81、Nanog、SSEA−3およびSSEA−4に関する間接的免疫蛍光染色において陽性に染色された。さらに、内因性ESC遺伝子に関するqPCRに加えて、これらの導入遺伝子のサイレンシングを観察した(以下の表に示す;hTERTは、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素を示す)。値はドナー尿細胞を指す;H9 ESCを対照として用いた。DNAマイクロアレイによって、包括的な遺伝子発現がH9 ESCに近いことが示され、これはUiPSCのものに対してプロットされたES細胞のマイクロアレイの恣意的な蛍光単位が、45°の角度の直線傾斜を示すためである。重硫酸配列決定によって、同じドナーの2つの代表的なUiPSCクローンにおいて、Oct4およびNanog近位プロモーターにおける大規模な脱メチル化が示された。ドナー尿細胞およびUiPSCの単一タンデムリピート分析(STR)によって、起源がマッチしていることが示され、そしてDNAマイクロアレイによって、包括的な遺伝子発現プロファイルがH9 ESCに近いことが示された。
iv)UiPSCの多分化潜在能力を提供する
UiPSCが多能性であることを立証するため、奇形腫(図1)を通じた非特異的分化および胚様体(EB)形成を行った。どちらの場合でも、三胚葉からの派生物の出現が観察され、そして奇形腫は、壊死または腫瘍被膜浸潤の明らかな徴候を伴わず、かなり複雑な構造を含有した(図1)。次いで、神経系譜(神経幹細胞、ニューロンおよび星状細胞)(図2A)、心筋細胞(図2B)および肝細胞(図2B)への方向性UiPSC分化;過ヨウ素酸シッフ染色を用いたグリコーゲン集積の検出を行い、これを適切なマーカーに関する免疫蛍光顕微鏡、およびまたqPCR(肝細胞および心筋細胞のみ)によって検証した。注目すべきことに、11人のドナーに対応する12のUiPSCで神経分化が生じ、3人のドナーの4クローンで肝細胞が生じ、そして11人のドナーの14クローンで心筋細胞が生じた。ビデオは、高い比率の自発的拍動EB(30〜75%)を示した。同様に、活動電位の電気生理学的測定(図2D)およびカルシウム過渡応答が見られた(2つのクローンの心筋細胞の電気生理学的特性は、ヒトESCまたは線維芽細胞由来iPSCから生じる心筋細胞と類似の振る舞いを示した)。

Claims (15)

  1. 別の細胞タイプのドナー細胞から関心対象の分化した細胞を生成するための方法であって
    i)非侵襲性方式でドナーから得られる細胞供給源から細胞を増大させ、ここで前記細胞供給源は、尿、糞便、唾液、毛髪、鼻分泌物、耳垢、涙液または膣管(vaginal tract)より選択され、そして
    ii)前記の増大させた細胞から
    a)前記細胞を再プログラミングして、人工多能性幹細胞(iPSC)にして、そして前記iPSCを関心対象の前記細胞に分化させることによるか、または
    b)前記細胞を直接再プログラミングして、関心対象の分化した細胞にすることによって
    分化した細胞を生成する
    工程を含む、前記方法。
  2. 工程i)の前記ドナー細胞が、剥離した尿細胞(urine cell)である、請求項1の方法。
  3. 前記細胞が、疾患個体からまたは健康な個体から得られており、そして上皮細胞、線維芽細胞様細胞または癌細胞から選択される、請求項2の方法。
  4. 前記再プログラミングが、Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子、およびSoxファミリー遺伝子より選択される因子を含む、外因性再プログラミング因子の混合物によって達成される、請求項1の方法。
  5. 前記再プログラミングが、Sox2、Oct4、Klf4、c−MycおよびNanogより選択される因子を含む、外因性再プログラミング因子の混合物によって達成される、請求項1の方法。
  6. 前記再プログラミングが、ゲノム組込みを伴わず、そして/または癌遺伝子の発現を伴わずに、細胞による再プログラミング因子の発現を伴う、請求項4または5の方法。
  7. 前記再プログラミングが、1またはそれより多い前記再プログラミング因子の効率を増加させるかまたは該因子を置換する、小分子、低分子干渉RNAまたはマイクロRNAを適用する工程をさらに含む、請求項4〜6のいずれか一項の方法。
  8. 前記細胞がヒト細胞である、請求項1の方法。
  9. 人工多能性幹細胞(iPSC)を生成するための方法であって
    i.ドナーから非侵襲性方式で得られる細胞供給源から細胞を増大させ、ここで前記供給源は、尿、糞便、唾液、毛髪、鼻分泌物、耳垢、涙液または膣管より選択され、そして
    ii.前記の増大させた細胞を再プログラミングしてiPSCにする
    工程を含む、前記方法。
  10. 前記細胞が尿細胞である、請求項9の方法。
  11. 請求項1の方法によって得られる分化した細胞、該細胞に由来するオルガノイドまたは組織であって、遺伝疾患の原因に関与する欠陥を修正する核酸分子を所持するように遺伝子修飾されている、前記細胞、オルガノイドまたは組織。
  12. 前記疾患のためのモデルとしての、またはその治療のために化合物をスクリーニングするための、請求項11の分化した細胞の使用。
  13. 人工多能性幹細胞の生成のための尿細胞の使用。
  14. 関心対象の分化した細胞を生成するための尿細胞の使用。
  15. a)尿細胞を再プログラミングして、人工多能性幹細胞iPSCにして、そして次いで、前記iPSCを関心対象の細胞に分化させることによるか、または
    b)人工多能性幹細胞を生成する中間工程を伴わずに、尿細胞を直接再プログラミングして、関心対象の分化した細胞にすることによって
    前記の分化した細胞を得る、請求項14の使用。
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