JP2014221695A - 封着パッケージ - Google Patents

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Sohei Kawanami
壮平 川浪
洋平 長尾
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Abstract

【課題】1対のガラス基板が封着用ガラス材料で封止された封着パッケージにおいて、十分な気密性を有するとともに、曲げ強度に優れる封着パッケージを提供する。【解決手段】互いに対向する1対のガラス基板と、1対のガラス基板の間にその外周近傍を封着するように配設される主として直線部からなる額縁形状かつ厚さ10μm以下の封着層と、ガラス基板および封着層のそれぞれ内側の面で囲まれた封止領域と、を具備する封着パッケージであって、封着層は封着ガラスおよびレーザ吸収材を含む封着用ガラス材料とビヒクルからなる封着材料層を仮焼成して仮焼成層とした後、レーザ焼成して得られる層であり、直線部における封着層の線幅は150μm以上450μm未満、厚さ方向の断面積は800μm2以上2000μm2未満、仮焼成層の線幅に対する封着層の線幅の割合は100%以上150%未満である封着パッケージ。【選択図】図2

Description

本発明は封着パッケージに係り、特に1対のガラス基板が封着用ガラス材料で封止された封着パッケージに関する。
有機ELディスプレイ(Organic Electro−Luminescence Display:OELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の平板型ディスプレイ装置(FPD)は、1対のガラス基板が封着されたガラスパッケージにより発光素子が封止された構造を有する。また、液晶表示装置(LCD)についても、1対のガラス基板間に液晶が封止された構造を有する。さらに、有機薄膜太陽電池や色素増感型太陽電池等の太陽電池においても、1対のガラス基板間に太陽電池素子(光電変換素子)が封止された構造を有する。
封着には、封着ガラスが好適に用いられる。封着ガラスによる封着は、例えば、1対のガラス基板間に封着ガラスを含む封着材料層を額縁状に配置してガラス組立体とし、この封着材料層を400〜600℃に加熱して行われる。この際、焼成炉を用いてガラス組立体全体を加熱すると、加熱により発光素子等が損傷しやすい。このため、封着材料層を仮焼成して仮焼成層としたのち、レーザ光(封着用レーザ光)を用いて、仮焼成層のみを加熱するレーザ封着の適用が検討されている。
レーザ封着によれば、発光素子等の電子素子部への熱的影響を抑制できる反面、ガラス基板や封着層にクラックや割れ等が生じやすいという難点がある。さらに、FPDや太陽電池等を構成する封着ガラスパッケージは、薄型化に対応するために、ガラス基板の間隔(ギャップ)を例えば10μm以下というように狭くすることが求められているが、薄型化は、上記クラックや割れの発生を増長する傾向にある。
そこで、特許文献1には封着ガラスパッケージが薄型化した場合にも、ガラス基板や封着層のクラックや割れ等の不具合の発生を抑制できる封着材料層付きガラス部材、さらにそのような封着材料層付きガラス部材を用いることによって、気密性やその信頼性を高めた電子デバイスとその製造方法が記載されている。
国際公開第2011/001987号
しかしながら、特許文献1による電子デバイスにおいては、製造時にガラス基板や封着層のクラックや割れ等の不具合の発生を抑制できても、使用に際して曲げ強度が十分とは言い難かった。
本発明は、1対のガラス基板が封着用ガラス材料で封止された封着パッケージにおいて、十分な気密性を有するとともに、曲げ強度に優れる封着パッケージの提供を目的とする。
本発明は、以下の構成を有する封着パッケージを提供する。
互いに対向する1対のガラス基板と、
前記1対のガラス基板の間にその外周近傍を封着するように配設される、主として直線部からなる額縁形状、かつ厚さ10μm以下の封着層と、
前記ガラス基板および封着層のそれぞれ内側の面で囲まれた封止領域と、
を具備する封着パッケージであって、
前記封着層は封着ガラスおよびレーザ吸収材を含む封着用ガラス材料とビヒクルからなる封着材料層を仮焼成して仮焼成層とした後、レーザ焼成して得られる層であり、
前記直線部における前記封着層の線幅は150μm以上450μm未満、厚さ方向の断面積は800μm以上2000μm未満であり、前記仮焼成層の線幅に対する前記封着層の線幅の割合は100%以上150%未満である封着パッケージ。
本発明によれば、1対のガラス基板が封着用ガラス材料で封止された封着パッケージにおいて、十分な気密性を有するとともに、曲げ強度に優れる封着パッケージの提供できる。
本発明の実施形態による封着パッケージの正面図である。 図1に示す封着パッケージのA−A線に沿った断面図である。 図1に示す封着パッケージの製造過程における仮焼成層付き第2のガラス基板と第1のガラス基板の積層時の断面図である。 図1に示す封着パッケージの製造過程におけるレーザ照射時の断面図である。 実施例における4点曲げ強度の測定方法を示す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明の封着パッケージはこれに限定されるものではない。図1および図2は本発明の実施形態による封着パッケージの構成を示す図、図3A、図3Bは本発明の実施形態による封着パッケージの製造過程を示す図である。
図1および図2に示す封着パッケージ1は、OELD、PDP、LCD等のFPD、OEL素子等の発光素子を使用した照明装置(OEL照明等)、あるいは色素増感型太陽電池のような太陽電池等を構成するものである。封着パッケージ1は矩形状の同形、同寸の第1のガラス基板2と第2のガラス基板3、および、該第1、第2のガラス基板2、3の間にその外周近傍を封着するように配設された額縁形状の封着層6を具備する。
図1は封着パッケージ1を第2のガラス基板3側から見た正面図であり、図2は図1に示す封着パッケージのA−A線に沿った断面図である。図1に示すとおり封着層6は4辺が直線状に、および4隅が曲線状に形成された略矩形の額縁形状の層である。ここで、封着層6は、封着ガラスおよびレーザ吸収材を含む封着用ガラス材料とビヒクルからなる封着材料層を仮焼成して仮焼成層とした後、レーザ焼成して得られる層である。封着パッケージの製造方法の詳細は後述するが、レーザ焼成は、仮焼成層の形状に沿って走査しながらレーザ照射することで行われる。レーザ照射の走査線がスムーズに描けるように、通常、仮焼成層は直線部と曲線部から構成される。したがって、封着パッケージ1においては、封着層6は主たる部分が直線部6aからなり直線部6aの間を曲線部6bが繋ぐ構成を有する。なお、本発明の封着パッケージにおける封着層の形状は、直線部を主体とする額縁形状であれば、この実施形態の封着パッケージ1における封着層6の形状に限定されない。また、封着層が直線部を主体とするとは、直線部の合計長さが封着層の全周(外周)の50%以上であることをいう。
図2に示される封着パッケージ1の断面図において、Tで示される封着層6の厚さは10μm以下であり、第1、第2のガラス基板2、3のそれぞれ内側の面、すなわち対向する表面2a、3aと封着層6の内壁面で囲まれる領域が、封止領域5である。本発明の封着パッケージにおける封着層の厚さは、封着パッケージの種類や用途により10μm以下に適宜設定される。封着層の厚さは、好ましくは8μm以下である。また、封着パッケージの構造にもよるが、封着層の厚さは実用的には2μm以上とすることが好ましい。
封止領域5には、封着パッケージ1に応じた電子素子部4が設けられている。電子素子部4は、例えばOELDやOEL照明であればOEL素子、PDPであればプラズマ発光素子、LCDであれば液晶表示素子、太陽電池であれば色素増感型太陽電池素子(色素増感型光電変換部素子)を備えている。OEL素子のような発光素子や色素増感型太陽電池素子等を備える電子素子部4は各種公知の構造を有している。この実施形態の封着パッケージ1は電子素子部4の素子構造に限定されるものではない。
図1に示す封着パッケージ1において、第1のガラス基板2は素子用ガラス基板を構成しており、その表面にOEL素子やPDP素子等の素子構造体が電子素子部4として形成されている。第2のガラス基板3は第1のガラス基板2の表面に形成された電子素子部4の封止用ガラス基板を構成するものである。ただし、封着パッケージ1の構成はこれに限られるものではない。例えば、電子素子部4が色素増感型太陽電池素子等の場合には、第1および第2のガラス基板2、3の各表面2a、3aに素子構造を形成する配線膜や電極膜等の素子膜が形成される。電子素子部4を構成する素子膜やそれらに基づく素子構造体は、第1および第2のガラス基板2、3の表面2a、3aの少なくとも一方に形成される。
電子素子部4としてOEL素子等を適用する場合、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間には一部空間が残存する。そのような空間はそのままの状態であってもよいし、また透明な樹脂等が充填されていてもよい。透明樹脂はガラス基板2、3に接着されていてもよいし、単にガラス基板2、3と接触しているだけであってもよい。また、電子素子部4として色素増感型太陽電池素子等を適用した場合には、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間の間隙全体に電子素子部4が配置される。
なお、本発明の封着パッケージがその内部に封止する対象は、電子素子部に限定されず、例えば、光電変換装置等であってもよい。あるいは、本発明の封着パッケージは、複層ガラスのような封止領域に電子素子部等を有しないガラス部材(建材等)であってもよい。
図1および図2に示す封着パッケージ1において、封着層6の直線部6aにおける線幅をWaで示す。本発明の封着パッケージにおける封着層の直線部における線幅は150μm以上450μm未満であり、よって封着パッケージ1における封着層6の線幅Waは全ての直線部6aにおいてその範囲内である。このように、本明細書において、封着層の直線部における線幅が150μm以上450μm未満であるとは、全ての直線部において封着層の線幅が150μm以上でありかつ450μm未満であることをいう。すなわち、本発明の封着パッケージにおいては、封着層の直線部の線幅が最も小さい部分で150μm以上であり、最も大きい部分で450μm未満である。
以下、封着層の直線部における厚さ方向の断面積の範囲および、仮焼成層の線幅に対する封着層の線幅の割合の範囲を規定する場合も同様に、封着層の全ての直線部においてその範囲が適用される。なお、仮焼成層および封着層のそれぞれ厚さ(膜厚)および線幅の計測方法については、封着パッケージに通常適用される計測方法が特に制限なく適用可能である。例えば、仮焼成層の膜厚は走査型電子顕微鏡、あるいは表面粗さ・輪郭形状測定器等により、仮焼成層の線幅は金属顕微鏡、レーザ顕微鏡、あるいは表面粗さ測定器・輪郭形状測定器等により計測可能である。また、封着層の膜厚は走査型電子顕微鏡等により、封着層の線幅は金属顕微鏡、レーザ顕微鏡等により計測可能である。
本明細書において、仮焼成層および封着層の厚さ(膜厚)および線幅は特に断りのない限り、仮焼成層の膜厚については表面粗さ・輪郭形状測定器により、仮焼成層の線幅については金属顕微鏡により、封着層の膜厚については走査型電子顕微鏡により、および封着層の線幅については金属顕微鏡によりそれぞれ計測された値をいう。
封着層の線幅が直線部のいずれかの部分で450μm以上であると、上記封着ガラスおよびレーザ吸収材を含む封着用ガラス材料とガラス基板の熱膨張差による応力が増大し、封着パッケージにおいて十分な曲げ強度が得られない。封着層の直線部における線幅は、いずれの部分においても400μm未満であることが好ましい。
封着層の直線部における線幅がいずれかの部分で150μm未満となると、封着層の強度が弱く、封着パッケージにおいて十分な曲げ強度が得られない。封着層の直線部における線幅は、いずれの部分においても200μm以上であることが好ましく、より好ましくは250μm以上である。
封着パッケージ1において、封着層6の直線部6aにおける厚さ方向の断面積を図2にSで示す。厚さ方向の断面積Sは、図2に示すとおり封着層6の厚さT×線幅Waで算出できる。本発明の封着パッケージにおける封着層の直線部における厚さ方向の断面積は、800μm以上2000μm未満である。したがって、封着パッケージ1における封着層6の厚さ方向の断面積Sは全ての直線部6aにおいてその範囲内である。なお、封着パッケージにおける封着層の厚さは、封着パッケージの種類や用途により10μm以下に適宜設定される。したがって、封着層の厚さ方向の断面積の調整は設定された厚さにおいて上記範囲となるように、線幅を上記範囲内で調整することで行われる。
封着層の厚さ方向の断面積が直線部のいずれかの部分で2000μm以上であると、上記封着ガラスおよびレーザ吸収材を含む封着用ガラス材料とガラス基板の熱膨張差による応力が増大し、封着パッケージにおいて十分な曲げ強度が得られない。封着層の直線部における厚さ方向の断面積は、いずれの部分においても1950μm以下であることが好ましく、より好ましくは1900μm以下である。
封着層の直線部における厚さ方向の断面積がいずれかの部分で800μm未満となると、封着層の強度が弱く、封着パッケージにおいて十分な曲げ強度が得られない。封着層の直線部における厚さ方向の断面積は、いずれの部分においても1000μm以上であることが好ましい。
さらに、本発明の封着パッケージにおける封着層の直線部における、仮焼成層の線幅に対する封着層の線幅の割合は100%以上150%未満である。
封着層は、封着ガラスおよびレーザ吸収材を含む封着用ガラス材料とビヒクルからなる封着材料層を仮焼成して仮焼成層とした後、レーザ焼成して得られる層である。図3Aに封着パッケージ1の製造過程における仮焼成層7付き第2のガラス基板3と電子素子部4が配設された第1のガラス基板2との積層時の断面図を示す。また、図3Bに上記図3Aのようにして積層して得られた積層体における仮焼成層7をレーザ照射によりレーザ焼成する際の断面図を示す。
図3Aに示すとおり、封着パッケージ1の作製には、例えば、第2のガラス基板3の表面3aに額縁形状に形成された封着材料層を仮焼成して得られる仮焼成層7付き第2のガラス基板3と、表面2aに電子素子部4が配設された第1のガラス基板2が用いられる。
このような第1のガラス基板2と第2のガラス基板3をその表面2a、3aが互いに対向するように積層した後、図3Bに示すとおり、第2のガラス基板3を介して仮焼成層7にレーザ光10を照射することで、仮焼成層7をレーザ光の熱で溶融固化し封着層6とする。仮焼成層7は溶融固化する際に第1のガラス基板2に固着し、第2のガラス基板3と第1のガラス基板2は封着層6を介して封着され、気密封止される。
図3Aおよび図3Bに示す断面図は、図1におけるA−A断面に相当する部分の断面図である。図3Aにおいて仮焼成層7の直線部における線幅をWbで示す。上記のとおり本発明の封着パッケージにおける封着層の直線部における、仮焼成層の線幅に対する封着層の線幅の割合は100%以上150%未満である。したがって、封着パッケージ1を製造する際の、仮焼成層7の線幅Wbに対する封着層6の線幅Waの割合は全ての直線部においてその範囲内である。以下、例えば、Wa/Wb×100で示される仮焼成層の線幅に対する封着層の線幅の割合(%)を必要に応じて封着層のシール割合という。
封着層のシール割合が直線部のいずれかの部分で100%未満であると、封着層とガラス基板の密着強度が不足し、封着パッケージを曲げたときに封着層とガラス基板の界面から剥離が生じる等、十分な曲げ強度が得られない。封着層の直線部におけるシール割合は、いずれの部分においても110%以上であることが好ましい。
封着層のシール割合が直線部のいずれかの部分で150%以上であると、レーザ焼成時に熱応力によって封着層周辺のガラス基板や封着層にクラックが発生しやすく、十分な気密性や曲げ強度が得られなくい。封着層の直線部におけるシール割合は、いずれの部分においても140%以下であることが好ましく、より好ましくは130%以下である。
本発明の封着パッケージにおいては、封着層の直線部における線幅、厚さ方向の断面積およびシール割合を上記範囲とすることにより、封着層とガラス基板の間の密着強度を十分に保持しながら、レーザ焼成時に発生する封着用ガラス材料とガラス基板の熱膨張差による熱応力を低減することで、封着パッケージの曲げ強度を十分なレベルに向上させることを可能にした。
なお、封着層の直線部が上記条件を満足する限り該直線部から連続的して形成される曲線部については、厚さは直線部と同じであるが線幅や断面積等は特に制限されない。ただし、封着層の直線部と曲線部は個々に形成されるのではなく連続的に形成されるため、線幅についても、直線部と曲線部で大きく異なることはない。好ましくは、曲線部についても直線部と同様の範囲の線幅、厚さ方向の断面積およびシール割合が適用される。
本発明の実施形態の封着パッケージにおける封止領域の大きさは、封止される電子素子等の部材の大きさに応じて適宜調整される。さらに、必要とされる封止領域の大きさに応じて封着パッケージの大きさが適宜調整される。本発明の封着パッケージにおいては、図1に示す封着パッケージ1と同様に、1対のガラス基板が矩形であり、その対角線の長さ(図1においてXで示す。)が4インチ以上である場合に、特に曲げ強度について顕著な効果が発揮される。また、封着パッケージの構造にもよるが、本発明を適用すれば、ガラス基板の対角線の長さが概ね最大55インチまでの封着パッケージに実用上十分な曲げ強度を付与することができる。さらに、封着パッケージの構造にもよるが、本発明を適用すれば、ガラス基板の対角線の長さが2インチ程度の小サイズの封着パッケージにも実用上十分な曲げ強度を付与することができる。
図1に示す封着パッケージ1において、第1および第2のガラス基板2、3は、例えば各種公知の組成を有する無アルカリガラスやソーダライムガラス等で構成される。なお、1つの封着パッケージ内においては、通常、第1のガラス基板と第2のガラス基板は同じ種類のガラスで構成される。無アルカリガラスは35〜40×10−7/℃(50〜250℃)程度の熱膨張係数を有している。ソーダライムガラスは80〜90×10−7/℃(50〜250℃)程度の熱膨張係数を有している。なお、熱膨張係数の後ろの括弧内に示す温度範囲は、該熱膨張係数が測定される際の温度範囲である。本明細書において、特に断りのない限り熱膨張係数は、50〜250℃の温度範囲における熱膨張係数を示す。
また、封着層6は、封着ガラスおよびレーザ吸収材を含む封着用ガラス材料とビヒクルからなる封着材料層を仮焼成して図3Aに示される仮焼成層7とした後、図3Bに示されるようにレーザ焼成して得られる層である。
封着用ガラス材料は主成分としての封着ガラスと、レーザ焼成を行うための必須成分であるレーザ吸収材を含有する。封着用ガラス材料は通常、熱膨張係数を調整するためにさらに低膨張充填材を含有する。レーザ吸収材と低膨張充填材はともに充填材として機能する。以下これらを合わせて充填材ということもある。また、封着用ガラス材料はこれら以外の添加材を必要に応じて含有していてもよい。
封着ガラスは通常ガラスフリットとして用いられる。封着ガラスとして用いられるガラスフリットの粒径は平均粒径(D50)として、概ね0.1〜2.0μmが好ましい。
封着ガラスには、例えば錫−リン酸系ガラス、ビスマス系ガラス、バナジウム系ガラス、鉛系ガラス等の低融点ガラスが用いられる。これらのうち、ガラス基板2、3に対する封着性(接着性)やその信頼性(接着信頼性や密閉性)、さらには環境や人体に対する影響性等を考慮して、錫−リン酸系ガラスやビスマス系ガラスからなる封着ガラスを使用することが好ましく、ビスマス系ガラスが特に好ましい。
封着ガラスとして用いられる錫−リン酸系ガラスは、20〜68質量%のSnO、0.5〜5質量%のSnO、および20〜40質量%のP(基本的には合計量を100質量%とする)の組成を有することが好ましい。SnOはガラスを低融点化させるための成分である。SnOの含有量が20質量%未満であるとガラスの粘性が高くなって封着温度が高くなりすぎ、68質量%を超えるとガラス化しなくなる。
上記した3成分で形成される錫−リン酸系ガラスは、ガラス転移点が低く、低温用の封着材料に適したものであるが、SiO等のガラスの骨格を形成する成分やZnO、B、Al、WO、MoO、Nb、TiO、ZrO、LiO、NaO、KO、CsO、MgO、CaO、SrO、BaO等のガラスを安定化させる成分等を任意成分として含有していてもよい。ただし、任意成分の含有量が多すぎると、ガラスが不安定となって失透が発生し、またガラス転移点や軟化点が上昇するおそれがあるため、任意成分の合計含有量は30質量%以下が好ましい。この場合のガラス組成は、基本成分と任意成分との合計量が基本的には100質量%となるように調整される。
なお、上記組成の錫−リン酸系ガラスの熱膨張係数は概ね110〜160×10−7/℃程度である。
封着ガラスとして用いられるビスマス系ガラスは、70〜90質量%のBi、1〜20質量%のZnO、および2〜12質量%のB(基本的には合計量を100質量%とする)の組成を有することが好ましい。Biはガラスの網目を形成する成分である。Biの含有量が70質量%未満であると低融点ガラスの軟化点が高くなり、低温での封着が困難になる。Biの含有量が90質量%を超えるとガラス化しにくくなると共に、熱膨張係数が高くなりすぎる傾向がある。
ZnOは熱膨張係数等を下げる成分である。ZnOの含有量が1質量%未満であるとガラス化が困難になる。ZnOの含有量が20質量%を超えると低融点ガラス成形時の安定性が低下し、失透が発生しやすくなる。Bはガラスの骨格を形成してガラス化が可能となる範囲を広げる成分である。Bの含有量が2質量%未満であるとガラス化が困難となり、12質量%を超えると軟化点が高くなりすぎて、封着時に荷重をかけたとしても低温で封着することが困難となる。
上記した3成分で形成されるビスマス系ガラスはガラス転移点が低く、低温用の封着材料に適したものであるが、Al、CeO、SiO、AgO、MoO、Nb、Ta、Ga、Sb、LiO、NaO、KO、CsO、CaO、SrO、BaO、WO、P、SnO(xは1または2である)等の任意成分を含有していてもよい。ただし、任意成分の含有量が多すぎるとガラスが不安定となって失透が発生したり、またガラス転移点や軟化点が上昇するおそれがあるため、任意成分の合計含有量は30質量%以下とすることが好ましい。この場合のガラス組成は基本成分と任意成分との合計量が基本的には100質量%となるように調整される。
なお、上記組成のビスマス系ガラスの熱膨張係数は概ね85〜115×10−7/℃程度である。
封着用ガラス材料が必須成分として含有するレーザ吸収材としては、Fe、Cr、Mn、Co、NiおよびCuから選ばれる少なくとも1種の金属または該金属を含む酸化物等の化合物が用いられる。また、レーザ吸収材はこれら以外の顔料であってもよい。
なお、レーザ吸収材の粒径については、最大粒径が少なくとも仮焼成層の厚さ未満であることが求められる。レーザ焼成により膜厚は減少するもののその減少率は小さいことから、仮焼成層の厚さは、得ようとする封着層の厚さの100〜120%程度であればよい。したがって、仮焼成層の厚さは概ね12μm以下に形成されることになる。このような厚さの仮焼成層を作製するためには、レーザ吸収材の粒径はDmaxとして概ね1〜10μmが好ましい。なお、レーザ吸収材の平均粒径(D50)としては、概ね0.1〜2.0μmが好ましい。
レーザ吸収材の含有量は封着用ガラス材料の全量に対して2〜10体積%の範囲とすることが好ましい。レーザ吸収材の含有量が2体積%未満であると、レーザ照射時に仮焼成層を十分に溶融させることができないおそれがある。これは接着不良の原因となる。一方、レーザ吸収材の含有量が10体積%を超えると、レーザ照射時に照射側のガラス基板、図3Bにおいては第2のガラス基板3と、仮焼成層との界面近傍で局所的に発熱して照射側のガラス基板(第2のガラス基板3)に割れが生じたりするおそれがある。また封着用ガラス材料の溶融時の流動性が劣化して、レーザ照射側と反対側のガラス基板、図3Bにおいては第1のガラス基板2と封着層との接着性が低下するおそれがある。
封着用ガラス材料が任意に含有する低膨張充填材としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、コージェライト、リン酸ジルコニウム系化合物、ソーダライムガラス、および硼珪酸ガラスから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。リン酸ジルコニウム系化合物としては、(ZrO)、NaZr(PO、KZr(PO、Ca0.5Zr(PO、NbZr(PO、Zr(WO)(PO、これらの複合化合物が挙げられる。
低膨張充填材の粒径については、上に記載したレーザ吸収材の粒径と同様とすることができる。
低膨張充填材とは封着ガラスより低い熱膨張係数を有するものであり、熱膨張係数は概ね−15〜45×10−7/℃程度である。封着用ガラス材料において低膨張充填材は、封着用ガラス材料全体の熱膨張係数を低下させる目的で含有される。なお、上記必須成分であるレーザ吸収材は、その種類によってさまざまな熱膨張係数を有する。そこで、封着用ガラス材料における低膨張充填材の含有量は、求められる封着用ガラス材料の熱膨張係数において、使用するレーザ吸収材の種類と配合も考慮して調整される。
本発明の封着パッケージにおいて、封着層の形成に用いる封着用ガラス材料の熱膨張係数をαとしガラス基板の熱膨張係数をαとした場合に、α−αで示される封着用ガラス材料とガラス基板との熱膨張係数の差は、15〜65×10−7/℃であることが好ましい。以下、該熱膨張係数の差を、必要に応じて熱膨張差(α−α)と示す。
ここで、レーザ焼成時におけるガラス基板や封着層のクラックや割れは、仮焼成層の溶融固化に伴ってガラス基板に生じる残留応力σ(下記式(1)により求められる)に起因する。
σ=α・ΔT・E/(1−ν) …(1)
ただし、式(1)において、αは封着用ガラス材料とガラス基板の熱膨張差(α−α)、ΔTはレーザ焼成時の温度差(仮焼成層の溶融温度(焼成温度)から常温付近に冷却されるまでの温度差)を冷却時間で割った値、Eは封着用ガラス材料やガラス基板のヤング率、νはポアソン比である。レーザ焼成の場合、レーザ光の走査速度やスポット径が一定であれば冷却時間はほとんど一定となるため、ΔTは実質的にはレーザ焼成時の温度差となる。
本発明の封着パッケージにおいては、仮焼成層の厚さが薄いために、式(1)の残留応力σを小さくするための要素であるαとΔTが競合する関係にある。すなわち、αを小さくするために封着用ガラス材料の充填材の含有量を増やすと、封着用ガラス材料の流動性が低下する。したがって、封着用ガラス材料の流動性を高めるためにレーザ焼成の温度(加熱温度)を高くせざるをえず、それに伴いΔTの値が増大し、残留応力σを引き上げる結果となる。そこで、本発明においては、αとΔTのバランスをとることで残留応力σの値を小さく抑えるように、α(封着用ガラス材料とガラス基板の熱膨張差(α−α))として上記範囲を選択している。
封着用ガラス材料とガラス基板の熱膨張差(α−α)が上記範囲内であれば、封着用ガラス材料における低膨張充填材の含有量を低減して封着用ガラス材料の流動性を維持し、それに基づいてレーザ焼成温度(加熱温度)を低下させることによって、レーザ焼成時の残留応力が低減されるためガラス基板や封着層のクラックや割れ等を抑制することが可能となる。
すなわち、封着用ガラス材料とガラス基板との熱膨張差(α−α)が15×10−7/℃未満の場合、封着用ガラス材料が比較的多量の充填材を含有し、さらに充填材の粒径が仮焼成層の厚さに適用可能な微小粒径であることで、その流動性が低下するため、レーザ焼成温度の上昇が避けられない。
なお、封着用ガラス材料とガラス基板との熱膨張差(α−α)を15×10−7/℃とする場合の、封着用ガラス材料における低膨張充填材とレーザ吸収材との合計含有量としては、44体積%程度が挙げられる。すなわち、低膨張充填材とレーザ吸収材との合計含有量が44体積%以下であれば、レーザ焼成温度(加熱温度)の低下効果を十分に得ることができる。ここで、上記のとおりレーザ吸収材の含有量は2〜10体積%が好ましいことから、低膨張充填材の含有量は封着用ガラス材料に対して42体積%以下とすることが好ましい。
また、封着用ガラス材料とガラス基板との熱膨張差(α−α)が65×10−7/℃を超えると、レーザ焼成温度の影響よりガラス基板と仮焼成層との収縮量の差の影響が大きくなるため、レーザ焼成温度を低下させてもガラス基板や封着層のクラックや割れ等が生じやすくなる。
このように、封着用ガラス材料とガラス基板との熱膨張差(α−α)が65×10−7/℃以下の範囲であれば、封着用ガラス材料中の低膨張充填材の含有量を減らすことができる。さらに、封着用ガラス材料が低膨張充填材を含有しない場合であっても、封着用ガラス材料とガラス基板との熱膨張差(α−α)が65×10−7/℃以下であればガラス基板や封着層のクラックや割れ等を抑制することが可能となる。封着用ガラス材料は少なくとも充填材としてレーザ吸収材を含有していればよく、低膨張充填材の含有量はゼロであってもよい。このため、低膨張充填材とレーザ吸収材との合計含有量はレーザ吸収材の含有量の下限値である2体積%以上であればよい。
ただし、レーザ焼成時におけるガラス基板と仮焼成層との収縮量の差を低減する上で、封着用ガラス材料とガラス基板との熱膨張差(α−α)は50×10−7/℃以下とすることが好ましく、さらには35×10−7/℃以下とすることがより好ましい。このような点から、封着用ガラス材料は低膨張充填材を10体積%以上の範囲で含有することが好ましい。レーザ吸収材を2〜10体積%、低膨張充填材を10〜42体積%、かつ両者の合計量として2〜44体積%の範囲で、これらの充填材を含有する封着用ガラス材料によれば、レーザ焼成時におけるガラス基板と仮焼成層との収縮量の差を低減しつつ、レーザ焼成温度を低下させることができることから、封着性のその信頼性の向上に寄与するものである。
ここで、仮焼成層における封着用ガラス材料の流動性、およびそれに基づくレーザ焼成温度は、封着用ガラス材料中の充填材(レーザ吸収材や低膨張充填材)の含有量のみならず、充填材の粒子形状にも影響される。上述したように、充填材粒子は少なくとも最大粒径を仮焼成層の厚さ未満とする必要がある。その上で、充填材粒子の比表面積を減少させることが好ましい。具体的には、充填材は封着ガラスの単位体積当たりの表面積が0.5〜6m/cmの範囲であることが好ましい。
封着用ガラス材料内の充填材の表面積とは、[(充填材の比表面積)×(充填材の比重)×(充填材の含有量(体積%)]で表される値である。なお、充填材がレーザ吸収材と低膨張充填材からなる場合、レーザ吸収材と低膨張充填材のそれぞれについて求められる表面積を合計することで充填材の表面積とすることができる。
封着ガラスの単位体積に対する充填材の表面積を0.5〜6m/cmの範囲とすることで、封着用ガラス材料の流動性がより向上し、レーザ焼成温度をさらに低下させることができる。上記した充填材粒子の表面積は、低膨張充填材やレーザ吸収材の粒度分布を制御することにより満足させることができる。具体的には、低膨張充填材やレーザ吸収材を調製する際に、各粉末を篩や風力分離等により分級することにより得ることができる。
以上、本発明の封着パッケージについて説明した。以下に、本発明の封着パッケージの製造方法について、上述した封着パッケージ1を例に説明する。
まず、図3Aに示すような、第2のガラス基板3の表面3aに額縁形状に形成された封着材料層を仮焼成して得られる仮焼成層7付き第2のガラス基板3と、表面2aに電子素子部4が配設された第1のガラス基板2を準備する。
仮焼成層7付き第2のガラス基板3の準備にあたっては、まず、上に説明した封着ガラスおよびレーザ吸収材を含む封着用ガラス材料とビヒクルからなる封着材料を用意する。
封着用ガラス材料は、上記のとおり、封着ガラスおよびレーザ吸収材の他に低膨張充填材を含有してもよく、封着用ガラス材料全量に対する低膨張充填材とレーザ吸収材との合計含有量は2〜44体積%の範囲が好ましい。また、それに基づいてガラス基板2、3との熱膨張差(α−α)が好ましくは15〜65×10−7/℃の範囲となる封着用ガラス材料を準備する。
次にこのような封着用ガラス材料をビヒクルと混合して封着材料を調製する。封着材料は通常ペースト状であり、以下、封着材料ペーストともいう。
ビヒクルとしては、例えば、溶剤にバインダ成分である樹脂を溶解したものが用いられる。具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース等を、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤に溶解したもの、あるいはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロオキシエチル(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂を、メチルエチルケトン、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤に溶解したものが挙げられる。
封着材料ペーストの粘度は、ガラス基板3に塗布する装置に対応した粘度に合わせればよく、ビヒクルにおける樹脂(バインダ成分)と溶剤の割合や、封着用ガラス材料とビヒクルの割合により調整することができる。封着材料ペーストには、消泡剤や分散剤のようにガラスペーストで公知の添加物を加えてもよい。封着材料ペーストの調製には、撹拌翼を備えた回転式の混合機やロールミル、ボールミル等を用いた公知の方法を適用することができる。
上述した封着材料ペーストを第2のガラス基板3に額縁形状に塗布し封着材料層を形成する。封着材料ペーストはレーザ焼成後に得られる封着層の膜厚、直線部の線幅、厚さ方向の断面積が上記本発明の範囲となるように塗布する。封着材料ペーストの塗布には、例えばスクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法やあるいはディスペンサ等による塗布法が適用できる。封着材料ペーストを塗布して得られる封着材料層は、通常、例えば120℃以上の温度で10分以上の乾燥工程を経た後に、次の仮焼成工程に供される。乾燥工程は封着材料層から溶剤を除去するために実施するものである。乾燥して得られる封着材料の乾燥層に溶剤が残留しているとその後の仮焼成工程でバインダ成分を十分に除去できないおそれがある。
上記した封着材料ペーストの封着材料層は、通常上記のような乾燥工程を経て、仮焼成されて仮焼成層7とされる。仮焼成工程は、封着材料の乾燥層を封着用ガラス材料の主成分である封着ガラスのガラス転移点以下の温度に加熱し、乾燥層内のバインダ成分を除去した後、封着ガラスの軟化点以上の温度に加熱し、封着用ガラス材料を溶融してガラス基板3に焼き付ける。このようにして、第2のガラス基板3上に、所定の額縁形状に封着用ガラス材料が焼き付けられた仮焼成層7を形成する。
一方、表面2aに電子素子部4が配設された第1のガラス基板2は、作製する封着パッケージ1、例えば、OELD、PDP、LCD等のFPD、OEL素子を用いた照明装置、色素増感型太陽電池のような太陽電池等の仕様に合わせて、従来公知の方法で準備される。
次いで、上記で作製した仮焼成層7付き第2のガラス基板3と、それとは別に作製した電子素子部4付き第1のガラス基板2を用いて封着パッケージ1を作製する。すなわち、図3Aに示すように、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3とを、それらの表面2a、3a同士が対向するように仮焼成層7を介して積層する。第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間には、仮焼成層7の厚さに基づいて間隙が形成される。
また、図3Bに上記図3Aのようにして積層して得られた積層体における仮焼成層7をレーザ照射によりレーザ焼成する際の断面図を示す。
次に、図3Bに示すように、第2のガラス基板3を通して仮焼成層7にレーザ光10を照射してレーザ焼成工程を実行する。なお、レーザ光10は第1のガラス基板2を通して仮焼成層7に照射してもよい。レーザ光10は額縁形状の仮焼成層7に沿って走査しながら照射される。そして、仮焼成層7の全周にわたってレーザ光10を照射することによって、図1および図2に示すように第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間に、得られる封着層6で封止された領域を有するように、厚さ、直線部の線幅、厚さ方向の断面積、およびシール割合が本発明の範囲内となる封着層6を形成する。
レーザ光10の種類は特に限定されるものではなく、半導体レーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザ、HeNeレーザ等からのレーザ光が使用される。レーザ光10を照射する条件は、得られる封着層6の厚さ、直線部の線幅、厚さ方向の断面積、およびシール割合が本発明の範囲内となるように選択される。レーザ光10の出力は、例えば2〜150Wの範囲とすることが好ましい。レーザ出力が2W未満であると仮焼成層7を溶融できないおそれがあり、また150Wを超えるとガラス基板2、3にクラックや割れ等が生じやすくなる。レーザ光10の出力は5〜100Wの範囲であることがより好ましい。
このようにして、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3の表面2a、3aと封着層6の内壁面で囲まれた封止領域5内に電子素子部4を気密封止した封着パッケージ1を作製する。このような実施形態の封着パッケージ1によれば、十分な気密性を有するとともに、曲げ強度に優れる封着パッケージが提供できる。
以上、本発明の封着パッケージの実施形態を、図1および図2に示される一例を挙げて説明したが、本発明の封着パッケージはこれらに限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じて、その構成を適宜変更できる。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。なお、以下の説明は本発明を限定するものではく、本発明の趣旨に沿った形での改変が可能である。以下の実施例において、図1および図2に示されるのと構成が同様の封着パッケージ1を作製した。例1〜7が実施例であり、例8〜11が比較例である。
(例1)
Bi81.8質量%、B6.0質量%、ZnO10.6質量%、Al0.9質量%、SiO0.7質量%の組成を有し、平均粒径(D50)が0.5μmのビスマス系ガラスフリット(軟化点:410℃)と、低膨張充填材としてコージェライト粉末と、Fe−CuO−MnO組成を有するレーザ吸収材とを用意した。低膨張充填材としてのコージェライト粉末は、D10が0.5μm、D50が0.9μm、D90が1.3μm、Dmaxが1.9μmの粒度分布を有し、かつ比表面積は13.2m/gである。また、レーザ吸収材は、D10が0.4μm、D50が0.8μm、D90が1.2μm、Dmaxが2.8μmの粒度分布を有し、かつ比表面積は9.2m/gである。
上述したビスマス系ガラスフリット69.5体積%とコージェライト粉末19.9体積%とレーザ吸収材10.6体積%とを混合して封着用ガラス材料(熱膨張係数α(50〜250℃):80×10−7/℃)を作製した。上記した封着用ガラス材料80質量%をビヒクル20質量%と混合して封着材料ペーストを調製した。ビヒクルはバインダ成分としてのエチルセルロース(2.5質量%)をターピネオールからなる溶剤(97.5質量%)に溶解したものである。
次に、無アルカリガラス(熱膨張係数α(50〜250℃):38×10−7/℃)からなる第2のガラス基板3(寸法:57.61×81.34×0.5mmt)を用意し、このガラス基板3の線中心79.29×56.06mm、コーナーのRが1mmの額縁形状の封着層形成領域に封着材料ペーストを線幅250μmパターンを有するスクリーンマスクを用いて、スクリーン印刷法で塗布して封着材料層を形成した。この封着材料層付き第2のガラス基板3を120℃×10分の条件に放置し封着材料層を乾燥した。
第2のガラス基板3上の封着材料層を上記条件で乾燥させた後、500℃×10分の条件で仮焼成することによって、膜厚が4.0μm、線幅が280μmの仮焼成層7を形成した。仮焼成層7の形成に使用した封着用ガラス材料の熱膨張係数α(80×10−7/℃)とガラス基板の熱膨張係数α(38×10−7/℃)との差(α−α)は42×10−7/℃である。
上述した仮焼成層7を有する第2のガラス基板3と素子領域(OEL素子4を形成した領域)を有する第1のガラス基板2(第2のガラス基板3と同組成、同形状の無アルカリガラスからなる基板)とを積層した。次いで、第2のガラス基板3を通して仮焼成層7に対して、波長940nm、出力40W、スポット径1.6mmのレーザ光(半導体レーザ)を10mm/sの走査速度で照射し、仮焼成層7を溶融並びに急冷固化することによって封着層6として、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3とを封着した。レーザ照射時の加工(焼成)温度(放射温度計で測定)は785℃であった。仮焼成層7をレーザ焼成して得られた層、すなわち封着層6において、膜厚は3.3μm、直線部の線幅は342μm、直線部における厚さ方向の断面積は1129μm、直線部のシール割合は122%であった。このようにして、素子領域を1対のガラス基板と封着層で封止した電子デバイスとしての封着パッケージAを作製した。
なお、封着層6の膜厚、直線部の線幅は、図1に示すように直線部6aで構成される4辺の各中央部において測定した数値の平均値とした。仮焼成層7の膜厚、直線部の線幅についても、図1に示す封着層6の直線部6aに相当する直線部で同様に測定、算出した値である。ここで、仮焼成層7の膜厚は、表面粗さ・輪郭形状測定器(東京精密 サーフコム 1400D)により、仮焼成層7の直線部の線幅は金属顕微鏡(OLYMPUS BX51)によりそれぞれ測定した。また、封着層6の膜厚は、走査型電子顕微鏡(JEOL JSM−646OLA)により、封着層6の直線部の線幅は金属顕微鏡(OLYMPUS BX51)によりそれぞれ測定した。封着層6の直線部のシール割合は、上記で測定、算出された封着層6の線幅/仮焼成層7の線幅×100として算出した。
封着層6の直線部における厚さ方向の断面積は、シール割合が100%以上の場合は、上記で得られた封着層6の膜厚の平均値に封着層6の線幅の平均値を乗じて算出した値である。また、シール割合が100%未満の場合については、封着層6の直線部における厚さ方向の断面積は、仮焼成層7の膜厚の平均値に仮焼成層7の線幅の平均値を乗じて算出した値とした。
表1に、用いた封着用ガラス材料およびガラス基板の熱膨張係数α、α、および製造条件、仮焼成層、封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を示す。
(例2)
レーザの出力を38Wとした以外は例1と同様にして、封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を変えた封着パッケージBを作製した。表1に用いた封着用ガラス材料およびガラス基板の熱膨張係数α、α、および製造条件、仮焼成層、封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を示す。
(例3)
スクリーン印刷条件を調整して表1に示すように仮焼成層の膜厚を調整し、さらにレーザの出力を調整して封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を変えた以外は例1と同様にして封着パッケージCを作製した。表1に用いた封着用ガラス材料およびガラス基板の熱膨張係数α、α、および製造条件、仮焼成層、封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を示す。
(例4)
スクリーンマスクのパターン線幅を300μmとし、スクリーン印刷条件を調整して表1に示すように仮焼成層の膜厚と線幅を調整し、さらにレーザの出力を調整して封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を変えた以外は例1と同様にして封着パッケージDを作製した。表1に用いた封着用ガラス材料およびガラス基板の熱膨張係数α、α、および製造条件、仮焼成層、封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を示す。
(例5)
スクリーンマスクのパターン線幅を350μmとし、スクリーン印刷条件を調整して表1に示すように仮焼成層の膜厚と線幅を調整し、さらにレーザの出力を調整して封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を変えた以外は例1と同様にして封着パッケージEを作製した。表1に用いた封着用ガラス材料およびガラス基板の熱膨張係数α、α、および製造条件、仮焼成層、封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を示す。
(例6)
例1と同様のビスマス系ガラスフリット、低膨張充填剤、レーザ吸収材を用い、その比をビスマス系ガラスフリット63.7体積%とコージェライト粉末25.3体積%とレーザ吸収材11.0体積%として、封着用ガラス材料の熱膨張係数αを74×10−7/℃とした。さらに、表1に示すようにレーザの出力を調整し、封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を変えた以外は例1と同様にして封着パッケージFをそれぞれ作製した。表1に用いた封着用ガラス材料およびガラス基板の熱膨張係数α、α、および製造条件、仮焼成層、封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を示す。
(例7)
例1と同様のビスマス系ガラスフリット、低膨張充填剤、レーザ吸収材を用い、その比をビスマス系ガラスフリット74.4体積%とコージェライト粉末14.9体積%とレーザ吸収材10.7体積%として、封着用ガラス材料の熱膨張係数αを85×10−7/℃とした。さらに、表1に示すようにレーザの出力を調整し、封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を変えた以外は例1と同様にして封着パッケージGを作製した。表1に用いた封着用ガラス材料およびガラス基板の熱膨張係数α、α、および製造条件、仮焼成層、封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を示す。
なお、例1〜7の封着パッケージA〜Gにおいて、直線部のいずれの箇所においても封着層の線幅は150μm以上450μm未満であり、厚さ方向の断面積は、800μm以上2000μm未満であり、シール割合は100%以上150%未満であった。
(例8〜10)
例8、9においてはスクリーンマスクのパターン線幅を500μmとし、例10においてはスクリーンマスクのパターン線幅を600μmとし、スクリーン印刷条件を調整して表2に示すように仮焼成層の膜厚と線幅を調整し、さらにレーザの出力を調整して封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を変えた以外は例1と同様にして例8として封着パッケージHを、例9として封着パッケージIを、例10として封着パッケージJをそれぞれ作製した。表2に用いた封着用ガラス材料およびガラス基板の熱膨張係数α、α、および製造条件、仮焼成層、封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を示す。
(例11)
レーザの出力を低出力側に調整した以外は例1と同様にして、封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合を変えた封着パッケージKを作製した。表2に用いた封着用ガラス材料およびガラス基板の熱膨張係数α、α、および製造条件、仮焼成層、封着層の膜厚、直線部の線幅、直線部における厚さ方向の断面積、直線部のシール割合合を示す。
[評価]
上記例1〜11で得られた封着パッケージA〜Kについて、以下の方法で曲げ強度試験を行い、曲げ強度を評価した。
(曲げ強度試験)
図4に概略断面図を示すとおり、4点曲げ試験ジグを用意し、上記で得られた封着パッケージを中央に設置して、下側支点間距離70mm、上側支点間距離35mmでミネベア社製、型番:TCM1000CRを用いて破壊時の荷重を測定した。これらの値から、4点曲げ強さσb4(MPa)を下記の式(2)を用いて算出した。
Figure 2014221695
上記式(2)において、Pは、破壊時の荷重[N]、L(ラージエル)は、下側支点間の距離[mm]、l(スモールエル)は、上側支点間の距離[mm]、wは試料の幅[mm]、tは試料の厚み[mm]である。
結果を、例1〜7については表1に、例8〜11については表2に示す。なお、破壊した封着パッケージの割れの起点を光学顕微鏡で解析したところ、例1〜10は封着層近傍の第2のガラス基板から破壊されていた。このような破壊の状態を表1、表2の破壊モード欄に「応力」と示す。一方で、例11は封着層と第1のガラス基板との界面から破壊されていた。このような破壊の状態を表1、表2の破壊モード欄に「封着層」と示す。
Figure 2014221695
Figure 2014221695
表1、表2から明らかなように、例1〜例7の封着パッケージは、封着層の直線部における線幅、厚さ方向の断面積、およびシール割合がいずれも本発明の範囲内であることから、4点曲げ強度に優れている。一方、例8〜例11の封着パッケージは、封着層の直線部における線幅、厚さ方向の断面積、およびシール割合の少なくとも1つが本発明の範囲外であることから、十分な4点曲げ強度を有しない。
1…封着パッケージ、2…第1のガラス基板、2a…表面、3…第2のガラス基板、3a…表面、4…電子素子部、5…封止領域、6…封着層、7…仮焼成層、10…レーザ光。

Claims (5)

  1. 互いに対向する1対のガラス基板と、
    前記1対のガラス基板の間にその外周近傍を封着するように配設される、主として直線部からなる額縁形状、かつ厚さ10μm以下の封着層と、
    前記ガラス基板および封着層のそれぞれ内側の面で囲まれた封止領域と、
    を具備する封着パッケージであって、
    前記封着層は封着ガラスおよびレーザ吸収材を含む封着用ガラス材料とビヒクルからなる封着材料層を仮焼成して仮焼成層とした後、レーザ焼成して得られる層であり、
    前記直線部における前記封着層の線幅は150μm以上450μm未満、厚さ方向の断面積は800μm以上2000μm未満であり、前記仮焼成層の線幅に対する前記封着層の線幅の割合は100%以上150%未満である封着パッケージ。
  2. 前記封着用ガラス材料の熱膨張係数αと前記ガラス基板の熱膨張係数αとの差(α−α)は15〜65×10−7/℃の範囲である請求項1記載の封着パッケージ。
  3. 前記封着ガラスはビスマス系ガラスである請求項1または2記載の封着パッケージ。
  4. 前記封止領域に配設される電子素子部を有する請求項1〜3のいずれか1項記載の封着パッケージ。
  5. 前記ガラス基板は矩形であり、対角線の長さは4インチ以上である請求項1〜4のいずれか1項記載の封着パッケージ。
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