JP2014005177A - 気密部材とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁波を用いた局所加熱により一対のガラス基板間を気密封止する際に、両方のガラス基板に対する封着層の接着性やその信頼性を向上させた製造方法を提供する。
【解決手段】第1および第2のガラス基板1、2の封止領域に、それぞれ電磁波吸収能を有する封着用ガラス材料の焼成層からなる封着材料層5、6を形成する。第1の封着材料層5と第2の封着材料層6とを接触させつつ、第1のガラス基板1と第2のガラス基板2とを積層する。第1および第2の封着材料層5、6に電磁波を照射して局所的に加熱し、第1および第2の封着材料層5、6を溶融および固化することによって、第1のガラス基板1と第2のガラス基板2との間隙を気密に封止する封着層8を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、気密部材とその製造方法に関する。
有機ELディスプレイ(Organic Electro−Luminescence Display:OELD)、電界放出型ディスプレイ(Feild Emission Dysplay:FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)等の平板型ディスプレイ装置(FPD)では、表示素子を形成した素子用ガラス基板と封止用ガラス基板とを対向配置し、これら2枚のガラス基板間を封着した気密部材(ガラスパッケージ)で表示素子を封止した構造が適用されている(特許文献1参照)。色素増感型太陽電池のような太陽電池においても、2枚のガラス基板で太陽電池素子(光電変換素子)を封止した気密部材の適用が検討されている。
2枚のガラス基板間を封止する封着材料には、耐湿性等に優れる封着ガラスの適用が進められている。封着ガラスによる封着温度は400〜600℃程度であるため、加熱炉を用いて焼成した場合にはOEL素子や色素増感型太陽電池素子等の電子素子部の特性が劣化するおそれがある。そこで、2枚のガラス基板の周辺部に設けられた封止領域間に封着ガラスとレーザ吸収材とを含む封着材料層を配置し、これにレーザ光を照射して封着材料層を加熱、溶融させて封着層を形成することが試みられている(特許文献1参照)。
レーザ封着を適用するには、まず封着材料を含む封着材料ペーストを一方のガラス基板の封止領域に塗布した後、封着材料の焼成温度(封着ガラスの軟化温度以上の温度)まで昇温して封着材料層を形成する。次いで、封着材料層を有するガラス基板と他方のガラス基板とを封着材料層を介して積層した後、一方のガラス基板側からレーザ光を照射し、封着材料層を加熱、溶融させることによって、電子素子部等を気密封止する封着層を形成する。レーザ封着は電子素子部等への熱的影響を抑制できる反面、封着材料層を局所的に急熱・急冷するプロセスであるため、一方のガラス基板上に設けられた封着材料層の溶融・固化層(封着層)の他方のガラス基板に対する濡れ性を十分に高めることができない。これは封着層と他方のガラス基板との接着強度や接着信頼性を低下させる要因となる。
また、FPDや太陽電池を構成するガラスパッケージにおいて、表示素子や太陽電池素子の構造によっては2枚のガラス基板の間隔を、例えば50μm以上というように広くする場合がある。このような広い間隔を単独の封着層のみで封止することは困難である。このような点に対して、特許文献2には一方のガラス基板上にレーザ光透過率が異なる複数の封着材料層を形成することが記載されている。この場合、レーザ光透過率が高い封着材料層側からレーザ光を照射することで、封着材料層の溶融性が向上するものの、封着層の他方のガラス基板に対する濡れ性に関しては十分に高めることができない。
特許文献3には、封着材料層を形成するガラス基板と封着材料層との間、および封着材料層が接するガラス基板と封着材料層との間の少なくとも一方に、例えばガラス基板より軟化点が低く、かつ封着材料層中の封着ガラスより軟化点が高いガラスからなる台部を設けることが記載されている。少なくとも一方のガラス基板に台部を設けることで、封着材料層の厚さを薄くすることができるため、封着材料層の溶融性や形成性は向上する。しかしながら、封着層の他方のガラス基板や台部に対する濡れ性に関しては、一方のガラス基板上に直接設けた封着材料層にレーザ光を照射する場合と同様であり、封着層と他方のガラス基板や台部との濡れ角を十分に小さくすることはできない。
特表2006−524419号公報 特開2010−140848号公報 特開2011−029131号公報
本発明の目的は、レーザ光等の電磁波を用いた局所加熱により一対のガラス基板間を気密封止する際に、両方のガラス基板に対する封着層の接着性やその信頼性を向上させた気密部材とその製造方法を提供することにある。
本発明の態様に係る気密部材の製造方法は、第1の封止領域と、前記第1の封止領域に形成され、電磁波吸収能を有する封着用ガラス材料の焼成層からなる第1の封着材料層とを備える第1の表面を有する第1のガラス基板を用意する工程と、前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域と、前記第2の封止領域に形成され、電磁波吸収能を有する封着用ガラス材料の焼成層からなる第2の封着材料層とを備える第2の表面を有する第2のガラス基板を用意する工程と、前記第1の表面と前記第2の表面とを対向させ、かつ前記第1の封着材料層と前記第2の封着材料層とを接触させつつ、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを積層する工程と、前記第1のガラス基板または前記第2のガラス基板を通して前記第1および第2の封着材料層に電磁波を照射して局所的に加熱し、前記第1および第2の封着材料層を溶融および固化することによって、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間隙を気密に封止する封着層を形成する工程とを具備することを特徴としている。
本発明の第1の態様に係る気密部材は、第1の封止領域を備える第1の表面を有する第1のガラス基板と、前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域を備える第2の表面を有し、前記第2の表面が前記第1の表面と対向するように、前記第1のガラス基板上に所定の間隙を持って配置された第2のガラス基板と、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間隙を気密封止するように、前記第1の封止領域と前記第2の封止領域との間に形成され、電磁波吸収能を有する封着用ガラス材料の溶融固着層からなる封着層とを具備し、前記封着層は前記第1および第2のガラス基板に対する濡れ角がそれぞれ45度以下であることを特徴としている。
本発明の第2の態様に係る気密部材は、第1の封止領域を備える第1の表面を有する第1のガラス基板と、前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域を備える第2の表面を有し、前記第2の表面が前記第1の表面と対向するように、前記第1のガラス基板上に所定の間隙を持って配置された第2のガラス基板と、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間の間隙を気密封止するように、前記第1の封止領域と前記第2の封止領域との間に形成され、電磁波吸収能を有する封着用ガラス材料の溶融固着層からなる封着層とを具備し、前記封着層は、低融点ガラスからなる封着ガラスと、電磁波吸収材および低膨張充填材から選ばれる少なくとも1種の無機充填材とを含有し、前記封着層は、前記第1のガラス基板に接着され、前記無機充填材を含む第1の層と、前記第2のガラス基板に接着され、前記無機充填材を含む第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間に形成され、前記無機充填材を含まないガラス単独層からなる中間層とを有することを特徴としている。
本発明の気密部材とその製造方法によれば、電磁波を用いた局所加熱を適用して一対のガラス基板間を気密封止する際に、両方のガラス基板に対する封着層の接着性やその信頼性を高めることができる。従って、気密封止性やその信頼性に優れる気密部材を再現性よく提供することが可能となる。
本発明の実施形態による気密部材の製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態による気密部材の製造方法で使用する第1のガラス基板の平面図である。 図2のA−A線に沿った断面図である。 本発明の実施形態による気密部材の製造方法で使用する第2のガラス性基板の平面図である。 図4のA−A線に沿った断面図である。 図3および図5に示す封着材料層を拡大して示す断面図である。 図1に示す気密部材の製造方法における第1のガラス基板と第2のガラス基板との積層工程の一部を拡大して示す断面図である。 本発明の実施形態による気密部材の封着層を拡大して示す断面図である。 封着層のガラス基板に対する濡れ角を説明するための図である。 実施例1による気密部材の封着層の濡れ角を示す電子顕微鏡像である。 実施例1による気密部材の封着層内の中間層を示す光学顕微鏡像である。 比較例1による気密部材の封着層の濡れ角を示す電子顕微鏡像である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1ないし図5は本発明の実施形態による気密部材の製造方法を示す図である。ここで、本発明の実施形態の製造方法を適用する気密部材としては、OELD、FED、PDP、LCD等のFPDにおける表示素子を気密封止するガラスパッケージ、OEL素子等の発光素子を気密封止する照明装置用のガラスパッケージ、色素増感型太陽電池、薄膜シリコン太陽電池、化合物半導体系太陽電池等の封止型太陽電池における太陽電池素子を気密封止するガラスパッケージ、反射鏡の気密パッケージ、複層ガラス等が挙げられる。
まず、気密部材の構成部材として、第1のガラス基板1と第2のガラス基板2とを用意する。第1および第2のガラス基板1、2には、各種公知の組成を有するソーダライムガラス、無アルカリガラス、ケイ酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス等を適用することができる。ソーダライムガラスは80〜90(×10-7/℃)程度の熱膨張係数(50〜250℃)を有し、無アルカリガラスは35〜40(×10-7/℃)程度の熱膨張係数(50〜250℃)を有している。第1および第2のガラス基板1、2の少なくとも一方は、化学強化ガラス基板等であってもよい。
なお、数値範囲を示す記号「〜」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。特段の定めがない限り、本明細書における記号「〜」は同様の意味をもって使用される。熱膨張係数は特段の定めがない限り、50〜250℃における平均線膨張係数を示し、単に「熱膨張係数(50〜250℃)」とも表記する。
第1のガラス基板1の表面1aには、図2に示すように、外周領域に沿って第1の封止領域3が設けられている。第2のガラス基板2の表面2aには、図4に示すように、第1の封止領域3に対応する第2の封止領域4が設けられている。第1および第2の封止領域3、4は、それぞれガラス基板1、2の外周領域の全周に渡って形成されていることが好ましい。封止領域3、4は、封着材料層および封着層の形成領域である。第1のガラス基板1と第2のガラス基板2とは、第1の封止領域3を有する表面1aと第2の封止領域4を有する表面2aとが対向するように、所定の間隙を持って配置される。
この実施形態で製造する気密部材を電子デバイスのガラスパッケージ等として用いる場合には、第1のガラス基板1の表面1aと第2のガラス基板2の表面2aとの間に、電子デバイスに応じた電子素子部が設けられる。電子素子部は、例えばOELDやOEL照明であればOEL素子、FEDであれば電子放出素子、PDPであればプラズマ発光素子、LCDであれば液晶表示素子、太陽電池であれば太陽電池素子を備えるものである。電子素子部には各種公知の構造が適用され、その構成に限定されるものではない。また、気密部材を反射鏡の気密パッケージとして用いる場合には、第1のガラス基板1の表面1aおよび第2のガラス基板2の表面2aの少なくとも一方に反射膜が設けられる。
第1のガラス基板1の封止領域3および第2のガラス基板2の封止領域4には、枠状の封着材料層5、6がそれぞれ形成されている。すなわち、第1のガラス基板1の封止領域3には、図1(a)、図2および図3に示すように、第1の封着材料層5が形成されている。第2のガラス基板2の封止領域4には、図1(b)、図4および図5に示すように、第2の封着材料層6が形成されている。第1および第2の封着材料層5、6は、封着用ガラス材料を焼成した材料からなる層(封着用ガラス材料の焼成層)である。
封着用ガラス材料は、低融点ガラスからなる封着ガラスに、レーザ光や赤外線等の電磁波を吸収して発熱する電磁波吸収材や低膨張充填材のような無機充填材を添加したものである。封着ガラス自体が電磁波吸収能を有する場合には、電磁波吸収材の添加を省略することができる。封着用ガラス材料は、これら以外の添加材を必要に応じて含有していてもよい。封着用ガラス材料は、封着ガラスと、電磁波吸収材および低膨張充填材から選ばれる少なくとも1種の無機充填材とを含有することが好ましい。
封着ガラスとしては、例えば錫−リン酸系ガラス、ビスマス系ガラス、バナジウム系ガラス、鉛系ガラス、ホウ酸亜鉛アルカリガラス等の低融点ガラスが用いられる。これらのうち、第1および第2のガラス基板1、2に対する接着性やその信頼性(接着信頼性や気密封止性)、環境や人体に対する影響等を考慮して、錫−リン酸系ガラスやビスマス系ガラスからなる封着ガラスを使用することが好ましい。
錫−リン酸系ガラスは、下記酸化物換算のモル%表示で、55〜68モル%のSnO、0.5〜5モル%のSnO2、および20〜40モル%のP25(基本的には合計量を100モル%とする)の組成を有することが好ましい。SnOはガラスを低融点化させるための成分である。SnOの含有量が55モル%未満であるとガラスの粘性が高くなって封着温度が高くなりすぎ、68モル%を超えるとガラス化しなくなる。
SnO2はガラスを安定化するための成分である。SnO2の含有量が0.5モル%未満であると封着作業時に軟化溶融したガラス中にSnO2が分離、析出し、流動性が損なわれて封着作業性が低下する。SnO2の含有量が5モル%を超えると低融点ガラスの溶融中からSnO2が析出しやすくなる。P25はガラス骨格を形成するための成分である。P25の含有量が20モル%未満であるとガラス化せず、その含有量が40モル%を超えるとリン酸塩ガラス特有の欠点である耐候性の悪化を引き起こすおそれがある。
ここで、低融点ガラス中のSnOおよびSnO2の割合(モル%)は以下のようにして求めることができる。まず、低融点ガラス粉末を酸分解した後、ICP発光分光分析により低融点ガラス中に含有されているSn原子の総量を測定する。次に、Sn2+(SnO)は酸分解したものをヨウ素滴定法により求められるので、そこで求められたSn2+の量をSn原子の総量から減じてSn4+(SnO2)を求める。
上記した3成分で形成されるガラスはガラス転移点が低く、低温用の封着材料に適したものであるが、SiO2等のガラスの骨格を形成する成分やZnO、B23、Al23、WO3、MoO3、Nb25、TiO2、ZrO2、Li2O、Na2O、K2O、Cs2O、MgO、CaO、SrO、BaO等のガラスを安定化させる成分等を任意成分として含有していてもよい。ただし、任意成分の含有量が多すぎるとガラスが不安定となって失透が発生したり、またガラス転移点や軟化点が上昇するおそれがあるため、任意成分の合計含有量は30モル%以下とすることが好ましい。この場合のガラス組成は基本成分と任意成分との合計量が基本的には100モル%となるように調整される。
ビスマス系ガラスは、下記酸化物換算のモル%表示で、70〜90質量%のBi23、1〜20質量%のZnO、および2〜12質量%のB23(基本的には合計量を100質量%とする)の組成を有することが好ましい。Bi23はガラスの網目を形成する成分である。Bi23の含有量が70質量%未満であると低融点ガラスの軟化点が高くなり、低温での封着が困難になる。Bi23の含有量が90質量%を超えるとガラス化しにくくなると共に、熱膨張係数が高くなりすぎる傾向がある。
ZnOは熱膨張係数等を下げる成分である。ZnOの含有量が1質量%未満であるとガラス化が困難になる。ZnOの含有量が20質量%を超えると低融点ガラス成形時の安定性が低下し、失透が発生しやすくなる。B23はガラスの骨格を形成してガラス化が可能となる範囲を広げる成分である。B23の含有量が2質量%未満であるとガラス化が困難となり、12質量%を超えると軟化点が高くなりすぎて、封着時に荷重をかけたとしても低温で封着することが困難となる。
上記した3成分で形成されるガラスはガラス転移点が低く、低温用の封着材料に適したものであるが、Al23、CeO2、SiO2、Ag2O、MoO3、Nb23、Ta25、Ga23、Sb23、Li2O、Na2O、K2O、Cs2O、CaO、SrO、BaO、WO3、P25、SnOx(xは1または2である)等の任意成分を含有していてもよい。ただし、任意成分の含有量が多すぎるとガラスが不安定となって失透が発生したり、またガラス転移点や軟化点が上昇するおそれがあるため、任意成分の合計含有量は30質量%以下とすることが好ましい。この場合のガラス組成は基本成分と任意成分との合計量が基本的には100質量%となるように調整される。
低膨張充填材としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、チタン酸アルミニウム、ムライト、コージェライト、ユークリプタイト、スポジュメン、リン酸ジルコニウム系化合物、石英固溶体、ソーダライムガラスおよび硼珪酸ガラスからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。リン酸ジルコニウム系化合物としては、(ZrO)227、NaZr2(PO43、KZr2(PO43、Ca0.5Zr2(PO43、NbZr(PO43、Zr2(WO3)(PO42、これらの複合化合物が挙げられる。低膨張充填材とは、封着ガラスより低い熱膨張係数を有するものである。低膨張充填材の含有量は、封着用ガラス材料の熱膨張係数がガラス基板1、2のそれに近づくように適宜に設定される。低膨張充填材は封着ガラスやガラス基板1、2の熱膨張係数にもよるが、封着用ガラス材料に対して0.1〜50体積%の範囲で含有させることが好ましい。
電磁波吸収材としては、Fe、Cr、Mn、Co、NiおよびCuからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属(合金を含む)、または前記金属を含む酸化物、例えばFeO、Fe23、CoO、Co23、Mn23、MnO、CuO等の化合物から選ばれる少なくとも1種が用いられる。これら以外の材料であってもよい。電磁波吸収材の含有量は、封着用ガラス材料に対して0.1〜40体積%の範囲とすることが好ましい。さらに、低膨張充填材と電磁波吸収材の合計含有量は、封着用ガラス材料に対して50体積%以下の範囲とすることが好ましい。電磁波吸収材の含有量が0.1体積%未満であると封着材料層5、6を十分に溶融させることができないおそれがある。低膨張充填材と電磁波吸収材の合計含有量が50体積%を超えると、封着用ガラス材料の溶融時の流動性が劣化し、第1および第2の封着材料層5、6間の接着性が低下するおそれがある。
第1および第2の封着材料層5、6は、例えば以下のようにして形成される。封着ガラスに電磁波吸収材や低膨張充填材等の無機充填材を配合して封着用ガラス材料を作製し、これをビヒクルと混合して封着材料ペーストを調製する。ビヒクルはバインダ成分である樹脂を溶剤に溶解したものである。ビヒクル用の樹脂としては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリル系モノマーの1種以上を重合して得られるアクリル系樹脂等の有機樹脂が用いられる。ビヒクル用の溶剤としては、セルロース系樹脂の場合はターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等が用いられ、アクリル系樹脂の場合はメチルエチルケトン、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等が用いられる。
ビヒクル中の樹脂成分は、封着用ガラス材料のバインダとして機能するものであり、封着用ガラス材料を焼成する以前に除去することが好ましい。封着材料ペーストの粘度は、ガラス基板1、2に塗布する装置に対応した粘度に合わせればよく、樹脂成分(有機バインダ)と溶剤(有機溶剤等)との割合や封着用ガラス材料とビヒクルとの割合により調整することができる。封着材料ペーストには、消泡剤や分散剤のようにガラスペーストで公知の添加物を加えてもよい。封着材料ペーストの調製には、攪拌翼を備えた回転式の混合機やロールミル、ボールミル等を用いた公知の方法を適用することができる。
上述した封着材料ペーストをガラス基板1、2の封止領域3、4に塗布し、これらを乾燥させて封着材料ペーストの塗布層を形成する。封着材料ペーストは、例えばスクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法を適用して封止領域3、4上に塗布したり、あるいはディスペンサ等を用いて封止領域3、4に沿って塗布する。封着材料ペーストの塗布層は、例えば120℃以上の温度で10分以上乾燥させることが好ましい。乾燥工程は塗布層内の溶剤を除去するために実施するものである。塗布層内に溶剤が残留していると、その後の焼成工程でバインダ成分を十分に除去できないおそれがある。次いで、封着材料ペーストの塗布層を焼成することによって、図1(a)および図1(b)に示すように、第1および第2のガラス基板1、2の封着領域3、4にそれぞれ封着材料層5、6を形成する。
焼成工程は、封着材料ペーストの塗布層を形成したガラス基板1、2を焼成炉内に配置し、封着ガラスのガラス転移点以下の温度に加熱して、塗布層内のバインダ成分等を除去した後、封着ガラスの軟化点以上の温度に加熱し、封着ガラスを溶融してガラス基板1、2に焼き付ける。このようにして、ガラス基板1、2の封止領域3、4にそれぞれ封着用ガラス材料の焼成層からなる封着材料層5、6を形成する。次いで、図1(c)に示すように、第1のガラス基板1の表面1aと第2のガラス基板2の表面2aとを対向させ、かつ第1の封着材料層5と第2の封着材料層6とを接触させつつ、第1のガラス基板1と第2のガラス基板2とを積層する。
次に、図1(d)に示すように、ガラス基板1の上方からガラス基板1を通して第1および第2の封着材料層5、6にレーザ光や赤外線等の電磁波7を照射する。電磁波7はガラス基板2を通して照射してもよい。電磁波7としてレーザ光を使用する場合、レーザ光は枠状の封着材料層5、6に沿って走査しながら照射される。レーザ光は特に限定されるものではなく、半導体レーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザ、HeNeレーザ等からのレーザ光が使用される。電磁波7として赤外線を使用する場合、例えば封着材料層5、6の形成部位以外を赤外線反射膜等でマスキングすることによって、封着材料層5、6に赤外線を選択的に照射することが好ましい。
電磁波7としてレーザ光を使用した場合、封着材料層5、6はそれに沿って走査されるレーザ光が照射された部分から順に溶融し、レーザ光の照射終了と同時に急冷固化されて封着層8が形成される。電磁波7として赤外線を使用した場合、封着材料層5、6は赤外線の照射に基づいて局所的に加熱されて溶融し、赤外線の照射終了と同時に急冷固化されて封着層8が形成される。封着層8は封着材料層5、6の溶融固着層からなり、第1のガラス基板1と第2のガラス基板2との間隙を気密封止するように、封止領域3、4の全周に渡って形成される。このようにして、図1(e)に示すように第1および第2のガラス基板1、2と封着層8とで気密封止された空間9を有する気密部材10が作製される。
封着層8の形成工程について詳述する。封着材料層5、6は、封着材料ペーストの塗布層を形成したガラス基板1、2を焼成炉内で加熱処理することにより形成されるため、図6に示すように両端がガラス基板1、2に対して濡れ広がった形状、具体的には台形状の断面形状を有している。すなわち、封着材料層5、6はガラス基板1、2に対する濡れ角が鋭角な形状を有している。図7に示すように、断面が台形状の第1の封着材料層5と第2の封着材料層6とを対向させ、第1の封着材料層5と第2の封着材料層6の上面(台形の上辺を含む面)同士を接触させる。この状態で封着材料層5、6に電磁波7を照射すると、封着材料層5、6内の封着ガラスがそれぞれ溶融して流動することによって、第1および第2の封着材料層5、6の接触界面が一体化される。
この際、第1の封着材料層5と第2の封着材料層6の線幅の差が大きいと、封着ガラスを溶融させて流動させても、第1の封着材料層5の上面と第2の封着材料層6の上面とを一体化できないおそれがある。すなわち、線幅が狭い封着材料層の上面が、線幅が広い封着材料層の上面の一部のみと一体化された形状となるおそれがある。このような場合、線幅が狭い封着材料層の側面と線幅が広い封着材料層の上面との接触角が鋭角となり、この部分から破壊等が生じやすくなる。このため、第1の封着材料層5の平均線幅をW1、第2の封着材料層6の平均線幅をW2、W1≧W2としたとき、下記の式(1)で表される第1および第2の封着材料層5、6の平均線幅の差が80%以下であることが好ましい。
式1:(W1−W2)/W1×100(%)
平均線幅の差が80%以下であれば、封着ガラスが溶融して流動することで、第1の封着材料層5の上面と第2の封着材料層6の上面との接触界面が全体的に一体化される。
封着層8は第1および第2の封着材料層5、6の接触界面が一体化された状態から急冷固化されて形成されるため、封着層8の第1および第2のガラス基板1、2との界面形状は、それぞれ封着材料層5、6のガラス基板1、2に対して濡れ広がった形状が維持される。従って、図8に示すように、第1および第2のガラス基板1、2に対する濡れ角がそれぞれ鋭角な断面形状を有する封着層8が得られる。第1および第2のガラス基板1、2に対する濡れ角がそれぞれ小さい封着層8によれば、封着層8と第1および第2のガラス基板1、2との接着強度がそれぞれ向上し、さらに接着信頼性を高めることができる。
封着層8の第1および第2のガラス基板1、2に対する濡れ角は、それぞれ45度以下とすることが好ましい。これによって、封着層8とガラス基板1、2との接着強度がより一層向上し、さらに外部から加わる曲げ応力や熱応力等に対する接着信頼性をより効果的に高めることができる。ここで、封着層8のガラス基板1、2に対する濡れ角は、図9に示すように封着層8の断面において、封着層8の先端と封着層8の高さの1/10となる点とを結ぶ線とガラス基板1、2の表面との角度αで定義するものとする。
ここで、第1の封着材料層5と第2の封着材料層6の厚さの差が大きすぎると、どちらか一方の封着材料層に応力が集中して封着層が破壊するおそれがある。このため、第1の封着材料層5の平均厚さをH1、第2の封着材料層6の平均厚さをH2、H1≧H2としたとき、下記の式(2)で表される第1および第2の封着材料層5、6の平均厚さの差が80%以下であることが好ましい。
式2:(H1−H2)/H1×100(%)
さらに、第1および第2の封着材料層5、6の平均厚さの差は50%以下であることがより好ましい。これによって、第1および第2のガラス基板1、2に生じる歪み量の差を小さくすることができ、接着信頼性を高めることができる。
さらに、第1および第2の封着材料層5、6の接触界面を一体化する際に、封着材料層5、6内の溶融した封着ガラスのみを流動させて一体化することで、封着材料層5、6の接触界面に無機充填材を含まないガラス単独層からなる中間層が形成される。すなわち、図8に示すように、第1のガラス基板1に接着され、無機充填材を含む第1の層81と、第2のガラス基板2に接着され、無機充填材を含む第2の層82と、第1の層81と第2の層82との間に形成され、無機充填材を含まないガラス単独層からなる中間層83とを有する封着層8が得られる。ガラス単独層からなる中間層83は、封着材料層5、6の接触界面を溶融させて一体化することにより初めて形成されるものである。
このようなガラス単独層からなる中間層83を有する封着層8は、封着ガラスのみが流動するような比較的低い加熱温度を適用することで形成されるため、封着層8とガラス基板1、2との接触界面に生じる応力を低減することができる。言い換えると、ガラス単独層からなる中間層83を有する封着層8によれば、封着層8とガラス基板1、2との接触界面に生じる応力が低減されるため、封着層8と第1および第2のガラス基板1、2との接着強度や接着信頼性をより一層高めることができる。
ガラス単独層からなる中間層83を有する封着層8を形成するにあたって、電磁波7を封着材料層5、6に照射した際の加熱温度は、封着ガラスの軟化温度T(℃)に対して、(T+50℃)以上で(T+400℃)以下の範囲とすることが好ましい。封着材料層5、6の温度が(T+50℃)に達しないような電磁波7の照射条件下では、封着材料層5、6間の接着性が低下するおそれがある。一方、封着材料層5、6の温度が(T+400℃)を超えるような電磁波7の照射条件下では、溶融した封着ガラスに加えて無機充填材も流動し、ガラス単独層からなる中間層83を明確に形成することができない。
ガラス単独層からなる中間層83の厚さは50〜5000nmの範囲であることが好ましい。中間層83の厚さが50nm未満であると、中間層83の付近に急峻な温度分布ができ、封着信頼性を低下させるおそれがある。一方、中間層83の厚さが5000nmを超えると、無機充填材を含む封着用ガラス材料と封着ガラスとの熱膨張係数差による応力により封着状態が破壊するおそれがある。中間層83の厚さは1000nm以下であることがより好ましい。中間層83の厚さは、封着材料層5、6の接着領域について測定し、その際の最小値および最大値が上記した範囲内であればよいものとする。
上述したように、第1および第2の封着材料層5、6を用いて形成した封着層8によれば、第1および第2のガラス基板1、2に対する接着強度や接着信頼性の向上に加えて、第1のガラス基板1と第2のガラス基板2との間隙が広い場合であっても良好に気密封止することができる。このため、封着層8は第1のガラス基板1と第2のガラス基板2との間隙が50μm以上である場合により効果的である。ただし、ガラス基板1、2の間隙が狭い場合においても、封着層8のガラス基板1、2に対する接着強度や接着信頼性の向上効果を得ることができる。従って、封着層8の厚さは5μm以上200μmの範囲であることが好ましい。ガラス基板1、2の間隙が200μmを超えると、第1および第2の封着材料層5、6を用いても健全な封着層8を形成できないおそれがある。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。なお、以下の説明は本発明を限定するものではく、本発明の趣旨に沿った形での改変が可能である。
(実施例1)
まず、酸化物換算表示で、Bi2383質量%、B235質量%、ZnO11質量%、Al231質量%の組成を有するビスマス系ガラス(軟化点:410℃)と、低膨張充填材として平均粒径(D50)が4.3μm、比表面積が1.6m2/gのコージェライト粉末と、Fe23−MnO−CuO−Al23組成を有し、平均粒径(D50)が1.2μm、比表面積が6.1m2/gのレーザ吸収材とを用意した。平均粒径はレーザ回折・散乱式粒子径測定装置(日機装社製、マイクロトラックHRA)を用いて測定した。比表面積はBET比表面積測定装置(マウンテック社製、Macsorb HM model−1201)を用いて測定した。
上述したビスマス系ガラス66.8体積%とコージェライト粉末32.2体積%とレーザ吸収材1.0体積%とを混合することによって、封着用ガラス材料(熱膨張係数(50〜250℃):66×10-7/℃)を作製した。次いで、この封着用ガラス材料83質量%をビヒクル17質量%と混合して封着材料ペーストを調製した。ビヒクルはバインダ成分としてのエチルセルロース(5質量%)をジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルからなる溶剤(95質量%)に溶解したものである。
次に、ソーダライムガラス(熱膨張係数(50〜250℃):85×10-7/℃)からなる第1および第2のガラス基板(寸法:外形100×100mm、厚さ1.8mm)を用意し、これらガラス基板の封止領域に封着材料ペーストをそれぞれスクリーン印刷法で塗布した。スクリーン印刷は、メッシュサイズが325、乳剤厚が20μmのスクリーン版を用いて実施した。スクリーン版のパターンは、線幅が0.5mmの70mm×70mmの額縁状パターンとし、コーナー部の曲率半径は2mmとした。次いで、第1および第2のガラス基板を焼成炉に入れ、120℃×10分の条件で乾燥させた。この後、封着材料ペーストの塗布層を480℃×10分の条件で焼成した。このようにして、第1および第2のガラス基板の封止領域に、それぞれ平均線幅が0.55mm、平均膜厚が15μmの封着材料層(第1および第2の封着材料層)を形成した。
上述した第1の封着材料層を有する第1のガラス基板と第2の封着材料層を有する第2のガラス基板とを、第1の封着材料層と第2の封着材料層ガラス層とを略一致させ、それらの表面が接するように積層した。次いで、第1のガラス基板上から0.25MPaの圧力を加えた状態で、第1のガラス基板の上方から第1のガラス基板を通して第1および第2の封着材料層に、波長808nm、スポット径1.85mm、出力密度3.79W/mm2のレーザ光(半導体レーザ)を4mm/秒の走査速度で照射し、第1および第2の封着材料を溶融並びに急冷固化することによって、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間隙を封止する封着層を形成した。レーザ光の強度分布は一定に整形せず、突形状の強度分布を有するレーザ光を使用した。レーザ光の照射時における第1および第2の封着材料層の加熱温度(放射温度計で測定)は530℃であった。
レーザ封着後にガラス基板や封着層の外観を観察したところ、クラックや割れ等の発生は認められず、また封着層の第1および第2のガラス基板に対する接着性はいずれも良好な状態であることが確認された。第1および第2のガラス基板間の間隙を封着層で封止した気密部材の気密性をヘリウムリークテストで評価したところ、良好な気密性が得られていることが確認された。さらに、光歪み量測定計(CRi社製、Abrio−Micro)を用いて封着層が形成された部分の歪み量を測定し、歪み量とガラス基板の厚さから残留応力値を求めた。残留応力値については後述する。
また、実施例1で作製した気密部材を割断し、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間隙にエポキシ樹脂(ビューラー社製、商品名:エポキュアー)を包埋処理した上で、その両面を研磨機(ビューラー社製)で研磨した。研磨の仕上げは、粒径0.05μmのアルミナ(ビューラー社製、商品名:マスタープレップ)を用いて行った。次に、電界放出型走査電子顕微鏡(日立社製、S4300)を用いて、研磨した試料の断面を観察した。図10に電子顕微鏡像を示す。封着層の第1および第2のガラス基板に対する両端の濡れ角(合計4箇所)を測定したところ、最大値が24度であり、曲げ等に対して応力集中が起きにくい構造を有していることが確認された。封着層のガラス基板に対する濡れ角は、前述したように封着層の先端と封着層の高さの1/10となる点とを結ぶ線とガラス基板の表面との角度で定義した。
次に、実施例1と同一条件で封着した試料の封着層を、光学顕微鏡(オリンパス社製、BX51)を用いて、対物レンズ20倍、接眼レンズ10倍の条件で観察した。観察結果(光学顕微鏡像)を図11に示す。図11に示すように、封着層の中央部に無機充填材が存在しないガラス単独層(図11の封着層中央部の黒い線状の部分)が中間層として形成されていることが確認された。さらに、電子顕微鏡を用いて試料中央部のガラス単独層(中間層)の厚さを300μmに渡って測定したところ、最小値が300nmで最大値が500nmの幅を有していることが確認された。
(実施例2)
平均膜厚が30μmの第1および第2の封着材料層を使用すると共に、レーザ光の照射条件を表1に示す条件に変更する以外は、実施例1と同様にして第1のガラス基板と第2のガラス基板との間隙を封止する封着層を形成した。レーザ封着後にガラス基板や封着層の外観を観察したところ、クラックや割れ等の発生は認められず、また封着層の第1および第2のガラス基板に対する接着性はいずれも良好な状態であることが確認された。さらに、実施例1と同様にしてヘリウムリークテスト、残留応力値の測定、封着層の第1および第2のガラス基板に対する濡れ角の測定、封着層の観察および封着層内のガラス単独層(中間層)の厚さ測定を実施した。それらの結果を表1に示す。
(比較例1)
平均膜厚が30μmの封着材料層を第1のガラス基板のみに形成するとともに、レーザ光の照射条件を表1に示す条件に変更する以外は、実施例1と同様にして第1のガラス基板と第2のガラス基板との間隙を封止する封着層を形成した。実施例1と同様にしてヘリウムリークテスト、残留応力値の測定、封着層の第1および第2のガラス基板に対する濡れ角の測定、封着層の観察および封着層内のガラス単独層(中間層)の厚さ測定を実施した。それらの結果を表1に示す。残留応力値は実施例1の値を1とした相対値で示す。また、図12に比較例1の濡れ角を測定した際の電子顕微鏡像を示す。
Figure 2014005177
表1に示すように、実施例1、2による気密部材は、封着層のガラス基板に対する濡れ角が小さいと共に、残留応力値が低減されているため、封着層の接着信頼性に優れる構造を有していることが確認された。さらに、封着層は中間層としてガラス単独層を有していることが確認された。封着材料層を一方のガラス基板のみに形成した比較例1では、ガラス単独層からなる中間層の存在は確認されなかった。
1…第1のガラス基板、1a…第1の表面、2…第2のガラス基板、2a…第2の表面、3…第1の封止領域、4…第2の封止領域、5…第1の封着材料層、6…第2の封着材料層、7…電磁波、8…封着層、81…第1の層、82…第2の層、83…ガラス単独層からなる中間層、9…気密空間、10…気密部材。

Claims (13)

  1. 第1の封止領域と、前記第1の封止領域に形成され、電磁波吸収能を有する封着用ガラス材料の焼成層からなる第1の封着材料層とを備える第1の表面を有する第1のガラス基板を用意する工程と、
    前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域と、前記第2の封止領域に形成され、電磁波吸収能を有する封着用ガラス材料の焼成層からなる第2の封着材料層とを備える第2の表面を有する第2のガラス基板を用意する工程と、
    前記第1の表面と前記第2の表面とを対向させ、かつ前記第1の封着材料層と前記第2の封着材料層とを接触させつつ、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを積層する工程と、
    前記第1のガラス基板または前記第2のガラス基板を通して前記第1および第2の封着材料層に電磁波を照射して局所的に加熱し、前記第1および第2の封着材料層を溶融および固化することによって、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間隙を気密に封止する封着層を形成する工程と
    を具備することを特徴とする気密部材の製造方法。
  2. 前記封着層は、前記第1および第2のガラス基板に対する濡れ角がそれぞれ45度以下である、請求項1に記載の気密部材の製造方法。
  3. 前記封着用ガラス材料は、低融点ガラスからなる封着ガラスと、電磁波吸収材および低膨張充填材から選ばれる少なくとも1種の無機充填材とを含有する、請求項1または2に記載の気密部材の製造方法。
  4. 前記第1の封着材料層と前記第2の封着材料層との接触界面に前記無機充填材を含まないガラス単独層が形成されるように、前記第1および第2の封着材料層を加熱する、請求項3に記載の気密部材の製造方法。
  5. 前記第1の封着材料層の平均線幅をW1、前記第2の封着材料層の平均線幅をW2、W1≧W2としたとき、
    式1:(W1−W2)/W1×100(%)
    で表される前記第1の封着材料層と前記第2の封着材料層との平均線幅の差が80%以下である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の気密部材の製造方法。
  6. 前記第1の封着材料層の平均厚さをH1、前記第2の封着材料層の平均厚さをH2、H1≧H2としたとき、
    式2:(H1−H2)/H1×100(%)
    で表される前記第1の封着材料層と前記第2の封着材料層との平均厚さの差が80%以下である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の気密部材の製造方法。
  7. 前記電磁波としてレーザ光を、前記第1および第2の封着材料層に沿って走査しながら照射する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の気密部材の製造方法。
  8. 第1の封止領域を備える第1の表面を有する第1のガラス基板と、
    前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域を備える第2の表面を有し、前記第2の表面が前記第1の表面と対向するように、前記第1のガラス基板上に所定の間隙を持って配置された第2のガラス基板と、
    前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間隙を気密封止するように、前記第1の封止領域と前記第2の封止領域との間に形成され、電磁波吸収能を有する封着用ガラス材料の溶融固着層からなる封着層とを具備し、
    前記封着層は、前記第1および第2のガラス基板に対する濡れ角がそれぞれ45度以下であることを特徴とする気密部材。
  9. 前記封着層は、低融点ガラスからなる封着ガラスと、電磁波吸収材および低膨張充填材から選ばれる少なくとも1種の無機充填材とを含有する、請求項8に記載の気密部材。
  10. 前記封着層は、前記第1のガラス基板に接着され、前記無機充填材を含む第1の層と、前記第2のガラス基板に接着され、前記無機充填材を含む第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間に形成され、前記無機充填材を含まないガラス単独層からなる中間層とを有する、請求項9に記載の気密部材。
  11. 第1の封止領域を備える第1の表面を有する第1のガラス基板と、
    前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域を備える第2の表面を有し、前記第2の表面が前記第1の表面と対向するように、前記第1のガラス基板上に所定の間隙を持って配置された第2のガラス基板と、
    前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間の間隙を気密封止するように、前記第1の封止領域と前記第2の封止領域との間に形成され、電磁波吸収能を有する封着用ガラス材料の溶融固着層からなる封着層とを具備し、
    前記封着層は、低融点ガラスからなる封着ガラスと、電磁波吸収材および低膨張充填材から選ばれる少なくとも1種の無機充填材とを含有し、
    前記封着層は、前記第1のガラス基板に接着され、前記無機充填材を含む第1の層と、前記第2のガラス基板に接着され、前記無機充填材を含む第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間に形成され、前記無機充填材を含まないガラス単独層からなる中間層とを有することを特徴とする気密部材。
  12. 前記中間層の厚さが50nm以上5000nm以下の範囲である、請求項11に記載の気密部材。
  13. 前記封着層の厚さが5μm以上200μm以下の範囲である、請求項8ないし12のいずれか1項に記載の気密部材。
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