JP2014209435A - 透明導電膜形成用コーティング剤組成物及び透明導電膜付き基材 - Google Patents

透明導電膜形成用コーティング剤組成物及び透明導電膜付き基材 Download PDF

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康晴 永井
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圭吾 大鷲
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Abstract

【課題】 高い透明性と電気的信頼性を兼ね備え、水系の溶媒に対する安定性も非常に高く、充分な強度を有する透明導電膜を作製することが可能な透明導電膜形成用コーティング剤組成物を提供することを目的とする。また、このような透明導電膜形成用コーティング剤組成物を用いて得られる透明導電膜付き基材を提供することを目的とする。【解決手段】 ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子、ファイバー状の導電性物質、及び、液状分散媒を含有することを特徴とする透明導電膜形成用コーティング剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、透明導電膜を形成するための透明導電膜形成用コーティング剤組成物、並びに、該コーティング剤組成物を用いて形成した透明導電膜付き基材に関するものである。
透明導電膜は、液晶ディスプレイやPDP、タッチパネル、有機ELや太陽電池などの分野で、透明電極として広く用いられている。そしてこのような透明で導電性を発現する透明導電膜を形成するにあたっては、例えば、錫や亜鉛をドープした酸化インジウム(ITO、IZO)、アルミニウムやガリウムをドープした酸化亜鉛(AZO、GZO)、フッ素やアンチモンをドープした酸化錫(FTO、ATO)等を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の気相成膜法を用いて基板等に成膜する方法が用いられてきた。
しかしながら、これらの成膜方法は真空環境を必要とするため装置が大掛りかつ複雑なものとなり、また成膜に大量のエネルギーを消費するため、製造コストや環境負荷を軽減できる技術の開発が求められていた。また、一方で、液晶ディスプレイやタッチディスプレイに代表されるように、デバイスの大面積化が指向されており、それに伴い、透明電極のさらなる導電性向上と軽量化や柔軟性に対する要請が高まっていた。
このような要請に対して、ファイバー状の導電性物質を適当な溶媒に分散し、バインダ成分を加えて、塗布を行う液相成膜法により透明電極を形成する方法が提案されている。例えば、特許文献1では、ファイバー状の導電性物質として金属ナノワイヤを用いて透明導電膜を形成することが提案されている。金属ナノワイヤの導電性はその金属に由来し、例えば銀の場合には10−7Ω・cmと非常に優れた導電性を有しているので、透明電極に適用することが可能である。また、このような透明導電膜は、金属ナノワイヤ同士の接触によって、導電性を付与することができるとしている。
しかしながら、金属ナノワイヤを用いた塗布型の透明導電層においては、一般に、金属ナノワイヤが水系で合成されるため、バインダ樹脂として水溶性の樹脂が用いられており、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系といった強度の高い熱硬化性の樹脂は水に不溶であることが多く、一般的には、強度の低い熱可塑性樹脂が用いられている。したがって、金属ナノワイヤを用いた、従来型の塗布型の透明導電層は強度が低いものとなっていた。
例えば、透明導電膜付基材を有機EL素子に用いる場合、有機EL素子の作製においては、透明導電膜により構成される透明電極の表面に有機層を塗布して積層させることが多い。しかしながら、有機層が水系の場合、透明導電膜の強度が弱いと、透明電極と有機層が交じり合ったり、透明電極の樹脂が傷ついたりする可能性があった。また、有機EL素子の作製には、透明導電膜の洗浄、透明電極のパターニング等、透明導電膜に負荷のかかる工程が多く、透明導電膜の強度が低いと不具合が生じていた。
一方で、透明導電膜の強度を高めるためにオーバーコートを設けることが考えられるが、一般的にオーバーコート層の導電率は低いため、オーバーコート層を設けた透明導電膜付基材の表面抵抗値が著しく低下してしまうという問題が生じる。特に、有機EL素子の場合においては、透明電極である透明導電膜の表面にオーバーコート層を設けると、オーバーコート層の導電率が低いことにより、有機層との電気的接続に障害が発生するおそれがある。
特表2009−505358号公報
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、高い透明性と電気的信頼性を兼ね備え、水系の溶媒に対する安定性も非常に高く、充分な強度を有する透明導電膜を作製することが可能な透明導電膜形成用コーティング剤組成物を提供することを目的とするものである。また、このような透明導電膜形成用コーティング剤組成物を用いて得られる透明導電膜付き基材を提供することを目的とするものである。
本発明は、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子、ファイバー状の導電性物質、及び、液状分散媒を含有する透明導電膜形成用コーティング剤組成物である。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、ファイバー状の導電性物質のバインダとして、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子を用いることによって、導電性物質の分散性を損なうことなく透明性の高い塗膜が作製でき、かつ、ファイバー状の導電性物質を強固に固定化することが出来ることを見出した。また、このようにして作製した透明導電膜は、水系の溶媒に対する安定性も非常に高く、充分な強度を維持できるとともに高い電気信頼性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の透明導電膜形成用コーティング剤組成物は、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子を含有する。上記ポリビニルアセタール系樹脂としては、ポリビニルブチラールが好ましい。
上記ポリビニルアセタール系樹脂微粒子を構成するポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度は、単独アルデヒド、混合アルデヒドのいずれのアセタール化を用いる場合でも、全アセタール化度で40〜85モル%の範囲が好ましい。全アセタール化度が40モル%未満では、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子によって形成された透明導電膜が、水系溶媒に対して溶解性もしくは高膨潤性となり、充分な強度を維持することができなくなる。また、全アセタール化度が85モル%を超えると、疎水性が強くなりすぎてしまい、ファイバー状の導電性物質と混合した際に凝集が発生し、均一分散した分散液を得ることが困難となる。このような場合、得られる透明導電膜の抵抗値が著しく大きくなったり、透明導電膜の透明性が低下したりする。上記ポリビニルアセタール系樹脂微粒子を構成するポリビニルアセタール系樹脂のより好ましい範囲は50〜80モル%である。
特に、上記ポリビニルアセタール系樹脂微粒子を構成するポリビニルアセタール系樹脂としては、重合度200〜5000、ケン化度が80モル%以上のポリビニルアルコールをアセタール化することで得られるものが好ましい。上記重合度およびケン化度のポリビニルアセタール系樹脂は、透明導電膜形成用コーティング剤の調製、塗工性、乾燥時の成膜性に優れ、該コーティング剤により形成された透明導電膜の強度や水系の溶媒に対する耐久性(以下、耐水系溶媒性ともいう)も優れたものとなる。
上記重合度が200未満であると、透明導電膜とした際に水系溶媒に対して溶解したり、膨潤したりして充分な強度を維持できなくなる場合がある。一方、重合度が5000を超えると、ファイバー状の導電性物質との密着力が弱くなり、透明導電膜の強度が低下する場合がある。上記ポリビニルアセタール系樹脂微粒子を構成するポリビニルアセタール系樹脂の重合度のより好ましい範囲は300〜4500である。
また、上記ケン化度が80モル%より小さいと、ポリビニルアセタール系樹脂が柔らかくなり、透明導電膜とした際に強度が低下する。上記ポリビニルアセタール系樹脂微粒子を構成するポリビニルアセタール系樹脂のケン化度は、85モル%以上とすることがより好ましい。
上記アセタール化の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、塩酸等の酸触媒の存在下でポリビニルアルコールの水溶液に各種アルデヒドを添加する方法等が挙げられる。
上記アセタール化に用いるアルデヒドとしては特に限定されず、例えばホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、アセトアルデヒド又はブチルアルデヒドが、生産性と特性バランス等の点で好適である。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記ポリビニルアセタール系樹脂はイオン性官能基を有することが好ましい。上記イオン性官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、及び、それらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の官能基が好ましい。なかでも、カルボキシル基、スルホン酸基、それらの塩がより好ましく、スルホン酸基、その塩であることが特に好ましい。ポリビニルアセタール系樹脂がイオン性官能基を有することにより、液状分散媒中においてポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の分散性が向上し、得られる透明導電膜の透明性及び電気特性を特に優れたものとすることができる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂中のイオン性官能基の含有量は0.01〜1mmol/gであることが好ましい。上記イオン性官能基の含有量が0.01mmol/g未満であると、微粒子の分散性が低下し、1mmol/gを超えると、透明導電膜とした際の機械的性質や水系溶剤に対する耐久性が低下する場合がある。上記ポリビニルアセタール系樹脂中のイオン性官能基の好ましい含有量は0.02〜0.5mmol/gである。
上記イオン性官能基の存在形態については、ポリビニルアセタール系樹脂構造中に直接存在していてもよく、グラフト鎖を含むポリビニルアセタール系樹脂(以下、単にグラフト共重合体ともいう)のグラフト鎖に存在していてもよい。なかでも、透明導電膜の強度や耐水系溶媒性を優れたものとすることができることから、ポリビニルアセタール系樹脂構造中に直接存在していることが好ましい。
上記イオン性官能基がポリビニルアセタール樹脂構造中に直接存在している場合の形態としては、例えば、イオン性官能基が直接又は連結基を介してポリマーの主鎖を構成する炭素に結合した鎖状分子構造であるか、アセタール結合を介してイオン性官能基が結合した分子構造であることが好ましく、これらのなかでは、イオン性官能基が連結基を介してポリマーの主鎖を構成する炭素と結合していることがより好ましい。
上記イオン性官能基が連結基を介してポリマー主鎖を構成する炭素に結合していることで、水を主成分とする液状分散媒中においてポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の分散性が向上し、得られる透明導電膜の透明性及び電気特性を特に優れたものとすることができるとともに、透明導電膜の強度や耐水系溶媒性も優れたものとすることができる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂構造中に、上記イオン性官能基を直接有するポリビニルアセタール系樹脂を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記イオン性官能基を直接有する変性ポリビニルアルコール原料にアルデヒドを反応させアセタール化する方法、ポリビニルアセタール系樹脂を作製した後、該ポリビニルアセタール系樹脂の官能基に対して反応性を有する別の官能基及びイオン性官能基を持った化合物と反応させる方法等が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂が、上記イオン性官能基が連結基を介してポリマーの主鎖を構成する炭素に結合した鎖状分子構造である場合、下記一般式(1)に示す構造単位を有することが好ましい。上記ポリビニルアセタール系樹脂が下記一般式(1)に示す構造単位を有することで、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の液状分散媒に対する分散性が向上し、得られる膜の透明性及び電気特性を特に優れたものとすることができる。
Figure 2014209435
式(1)中、Cはポリマー主鎖の炭素原子を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1以上のアルキレン基を表し、Rはイオン性官能基を表す。
上記イオン性官能基を有するポリビニルアセタール系樹脂が、上記一般式(1)に示す構造単位を有することで、得られるポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子は、水を含有する液状分散媒中において非常に優れた分散安定性を発揮することができるとともに、仮に沈殿が生じた場合でも、容易に再分散することが可能となる。
これは、上記ポリビニルアセタール系樹脂に含まれるイオン性官能基が、上記一般式(1)中のRを介してポリマー主鎖に結合しているために、該イオン性官能基の運動性が高まり、水を主成分とする液状分散媒に分散させた場合に、微粒子表面に存在するイオン性官能基が分散媒の方向に向くように再配置する。これにより、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子と液状分散媒との親和性が向上するためであると考えられる。
また、上記イオン性官能基を有するポリビニルアセタール系樹脂が、上記一般式(1)で表される構造単位を有することによって、液状分散媒を乾燥させた後の膜は、高い機械的強度、及び、耐水系溶媒性を有するものとなる。これは、液状分散媒が乾燥した後に、イオン性官能基が微粒子表面から微粒子内部へと移動することで、微粒子同士の接合が強固に行われるためであると考えられる。
上記Rとしては特に水素原子が好ましい。
上記Rとしては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基等が挙げられる。なかでも、上記Rはメチレン基であることが好ましい。
上記Rは、ヘテロ原子を有する置換基によって置換された構造であってもよい。上記置換基としては、エステル基、エーテル基、スルフィド基、アミド基、アミン基、スルホキシド基、ケトン基、水酸基等が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂構造中にイオン性官能基が直接存在するポリビニルアセタール系樹脂を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記イオン性官能基が直接存在する変性ポリビニルアルコール原料にアルデヒドを反応させアセタール化する方法、ポリビニルアセタール樹脂を作製した後、該ポリビニルアセタール樹脂の官能基に対して反応性を有する別の官能基及びイオン性官能基を持った化合物と反応させる方法等が挙げられる。
上記イオン性官能基を有する変性ポリビニルアルコールを作製する方法としては、例えば、酢酸ビニル等のビニルエステルモノマーと、下記一般式(2)に示す構造を有するモノマーとを共重合化させた後、得られた共重合樹脂のエステル部位をアルカリ又は酸によりケン化する方法が挙げられる。
Figure 2014209435
式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1以上のアルキレン基を表し、Rはイオン性官能基を表す。
上記一般式(2)に示す構造を有するモノマーとしては特に限定されず、例えば、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、9−デセン酸等のカルボキシル基と重合性官能基を有するもの、アリルスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホン酸等のスルホン酸基と重合性官能基を有するもの、N,N−ジエチルアリルアミン等のアミノ基と重合性官能基を有するもの、およびこれらの塩等が挙げられる。
なかでも、アリルスルホン酸及びその塩を用いた場合、水を主成分とした液状分散媒中における優れた分散安定性と、液状分散媒を乾燥させた後の高い透明性と、優れた電気特性、機械的強度、及び、耐水系溶媒性を有する透明導電膜とすることができるため好適である。特に、アリルスルホン酸ナトリウムを用いることが好ましい。
これらのモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記Rとしては特に水素原子が好ましい。
上記Rとしては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基等が挙げられる。なかでも、上記Rはメチレン基であることが好ましい。
上記Rは、ヘテロ原子を有する置換基によって置換された構造であってもよい。上記置換基としては、エステル基、エーテル基、スルフィド基、アミド基、アミン基、スルホキシド基、ケトン基、水酸基等が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂中の上記一般式(1)に示す構造単位の含有量は、上記ポリビニルアセタール系樹脂中のイオン性官能基の含有量が上記適性範囲となるように調整することが好ましい。
ポリビニルアセタール系樹脂中のイオン性官能基の含有量を上記範囲内とすることで、液状分散媒中においてポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の分散性が向上し、得られる透明導電膜の透明性及び電気特性を特に優れたものとすることができるとともに、透明導電膜の強度や耐水系溶媒性も優れたものとすることができる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂は、上記一般式(1)において、Rとして水素原子を有し、上記Rとしてメチレン基を有し、Rとしてスルホン酸基又はその塩を有していることが特に好ましい。上記ポリビニルアセタール系樹脂がこのような分子構造を有することで、得られる透明導電膜の透明性、電気特性、機械的強度、耐水系溶媒性を特に優れたものとすることができる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂が、アセタール結合を介してイオン性官能基を有している場合、アセタール結合とイオン性官能基が鎖状、環状のアルキル基や芳香族環により接続されていることが好ましく、なかでも、炭素数1以上のアルキレン基、炭素数5以上の環状アルキレン基、炭素数6以上のアリール基等により接続されていることが好ましく、特に、芳香族環により接続されていることが好ましい。
これにより、液状分散媒中においてポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の分散性が向上し、得られる透明導電膜の透明性及び電気特性を特に優れたものとすることができる。更に、透明導電膜の強度や耐水系溶媒性も優れたものとすることができる。
上記芳香族系置換基としては、ベンゼン環、ピリジン環等の芳香環や、ナフタレン環、アントラセン環等の縮合多環芳香族基等が挙げられる。
また、1つのアセタール結合を介して存在するイオン性官能基の数は2以上であることが好ましい。上記イオン性官能基を2以上有することで、水を主成分とする液状分散媒中において得られるポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子は優れた分散性を示すという利点がある。
上記ポリビニルアセタール系樹脂中のイオン性官能基を有するアセタール結合の含有量は、上記ポリビニルアセタール系樹脂中のイオン性官能基の含有量が上記適性範囲となるように調整することが好ましい。
ポリビニルアセタール系樹脂中のイオン性官能基の含有量を上記範囲内とすることで、液状分散媒中においてポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の分散性が向上し、得られる透明導電膜の透明性及び電気特性を特に優れたものとすることができるとともに、透明導電膜の強度や耐水系溶媒性も優れたものとすることができる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂構造中にアセタール結合を介してイオン性官能基を有するポリビニルアセタール系樹脂を製造する方法としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール原料に上記イオン性官能基を有するアルデヒドをあらかじめ反応させた後にアセタール化する方法、ポリビニルアルコールをアセタール化する際に、アルデヒド原料に上記イオン性官能基を有するアルデヒドを混合してアセタール化する方法、ポリビニルアセタール樹脂を作成した後に上記イオン性官能基を有するアルデヒドを反応させる方法等が挙げられる。
上記イオン性官能基を有するアルデヒドとしては、例えば、4−ホルミルベンゼン−1,3−ジスルホン酸二ナトリウム、4−ホルミルベンゼンスルホン酸ナトリウム、2−ホルミルベンゼンスルホン酸ナトリウム、3−ピリジンカルバルデヒド塩酸塩、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド塩酸塩、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド塩酸塩、ベタインアルデヒドクロリド等が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂は、アセタール結合を介してイオン性官能基を有しており、イオン性官能基はスルホン酸基又はその塩であり、アセタール結合とイオン性官能基がベンゼン環によって接続されていることが特に好ましい。上記ポリビニルアセタール系樹脂がこのような分子構造を有することで、得られる透明導電膜の透明性、電気特性、機械的強度、耐水系溶媒性を特に優れたものとすることができる。
上記のイオン性官能基をグラフト鎖に持つポリビニルアセタール系樹脂を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記イオン性官能基を含む重合性単量体を、ポリビニルアセタール系樹脂が存在する環境下において水素引き抜き性重合開始剤の存在下にてラジカル重合させる方法等が挙げられる。
上記重合方法は特に限定されず、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の従来公知の重合方法が挙げられる。
上記溶液重合に用いる溶媒は特に限定されず、例えば、酢酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、これらの混合溶媒等が挙げられる。
なお、上記水素引き抜き性重合開始剤としては特に限定されないが、t−ブチルパーオキシ系の過酸化物が好ましく、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシ、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーヘキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシネオペンタノエート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボネート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート等を用いることができる。
上記グラフト共重合体のグラフト鎖は、(メタ)アクリル系モノマーの重合体からなることが好ましい。これにより、上記イオン性官能基を効率よくポリビニルアセタール系樹脂に導入することができる。そのため、本発明のポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子は、液状分散媒中でも高い分散安定性を発揮することができる。
具体的には、イオン性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いてグラフト鎖を形成することが好ましい。
上記イオン性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、フェニル(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホン酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、2−ソジウムスルホエチル(メタ)アクリレート、2−ポタシウムスルホエチル(メタ)アクリレート、3−ソジウムスルホプロピル(メタ)アクリレート、3−ポタシウムスルホプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記イオン性官能基を含む重合性単量体がグラフトしたポリビニルアセタール系樹脂中のグラフト率(グラフト体中のポリビニルアセタールからなるユニットに対するイオン性官能基を含む重合性単量体からなるユニットの比率)は、上記ポリビニルアセタール系樹脂中のイオン性官能基の含有量が上記適性範囲となれば特に限定されないが、0.001〜100重量%が好ましい。上記範囲内とすることで、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の液状分散媒に対する分散性が向上し、得られる膜の透明性及び電気特性を特に優れたものとすることができる。
なお、本発明において、「グラフト率」とは、グラフト体中のポリビニルアセタールからなるユニットに対するイオン性官能基を含む重合性単量体からなるユニットの比率を表し、例えば、以下の方法により評価することができる。得られた樹脂溶液を110℃で1時間乾燥させた後、メタノールに溶解させ、該メタノール溶液を水に滴下添加した後に、遠心分離操作によって不溶分と可溶分とに分離する。この際得られた不溶分をグラフト共重合体とする。得られたグラフト共重合体について、NMRによりポリビニルアセタールからなるユニットとイオン性官能基を含む重合性単量体からなるユニットの重量を換算し、下記式(1)を用いて算出することができる。
Figure 2014209435
また、上記のイオン性官能基をグラフト鎖に存在させるポリビニルアセタール系樹脂とする場合には、上記イオン性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーに加えて、他の(メタ)アクリル系モノマーを同時に用いてもよい。
上記他の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、単官能(メタ)アクリル酸アルキルエステル、単官能(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、単官能(メタ)アクリル酸アリールエステル等を用いることができる。
上記単官能(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソテトラデシル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記単官能(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記単官能(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸を総称するものであり、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称するものとする。
上記グラフト共重合体中の他の(メタ)アクリル系モノマーのグラフト率(グラフト共重合体中のポリビニルアセタールからなるユニットに対する他の(メタ)アクリル系ポリマーからなるユニットの比率)は、用途に応じて設計されるため、特に限定されないが、900重量%以下であることが好ましい。上記範囲内とすることで、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の液状分散媒に対する分散性が向上し、得られる膜の透明性及び電気特性を特に優れたものとすることができる。
なお、本発明において、「他の(メタ)アクリル系モノマーのグラフト率」とは、グラフト共重合体中のポリビニルアセタールからなるユニットに対する他の(メタ)アクリル系ポリマーからなるユニットの比率を表し、例えば、以下の方法により評価することができる。得られた樹脂溶液を110℃で1時間乾燥させた後、キシレンに溶解させ、不溶分と可溶分とに分離し、不溶分をグラフト共重合体とする。得られたグラフト共重合体について、NMRによりポリビニルアセタールからなるユニットと他の(メタ)アクリル系ポリマーからなるユニットの重量を換算し、下記式(2)を用いて算出することができる。
Figure 2014209435
上記イオン性官能基を含むポリビニルアセタール系樹脂の分子量としては特に制限は無いが、数平均分子量(Mn)が10,000〜400,000で、重量平均分子量(Mw)が20,000〜800,000で、これらの比(Mw/Mn)が2.0〜40であることが好ましい。Mn、Mw、Mw/Mnがこのような範囲であると、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の液状分散媒に対する分散性が向上し、得られる膜の透明性及び電気特性を特に優れたものとすることができる。また、形成した塗膜においては強固にファイバー状の導電性物質を固定化することができ、形成された透明導電膜の強度や耐水系溶媒性が優れたものとなる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の体積平均粒子径は10〜500nmであることが好ましい。体積平均粒子径が500nmを超えると分散媒中での微粒子の沈降速度が早くなり、安定な分散液を得ることができなくなったり、得られる塗膜においてファイバー状の導電性物質が均質に配置されずに電気特性や透明性が低いものとなったりする場合がある。一方で10nm未満であると、ファイバー状の導電性物質の接点に樹脂噛みが発生し、電気特性が悪化する場合がある。ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子のより好ましい体積平均粒子径は15〜300nmであり、さらに好ましい体積平均粒子径は15〜200nmである。
なお、上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置や透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡等を用いて測定することができる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の体積平均粒子径は、CV値の上限が40%であることが好ましい。CV値が40%を超えると、大きな粒子径を持った微粒子が存在することとなり、該大粒径粒子が沈降することによって安定な分散液を得ることができなくなる場合がある。
上記CV値の好ましい上限は35%、より好ましい上限は32%、更に好ましい上限は30%である。なお、CV値は、標準偏差を体積平均粒子径で割った値の百分率(%)で示される数値である。
上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアセタール系樹脂を作製する工程を行った後、上記ポリビニルアセタール系樹脂をテトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチルや、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のポリビニルアセタール系樹脂が溶解する有機溶剤に溶解させ、次いで、水等の貧溶媒を少量ずつ添加し、加熱及び/又は減圧して有機溶剤を除去することによりポリビニルアセタール系樹脂を析出させて微粒子を作製する方法、大量の水に上記ポリビニルアセタール系樹脂が溶解した溶液を添加した後に必要に応じて加熱及び/又は減圧して有機溶剤を除去し、ポリビニルアセタール系樹脂を析出させて微粒子を作製する方法、ポリビニルアセタール系樹脂を該ポリビニルアセタール系樹脂のガラス転移温度以上で加熱してニーダー等で混練しながら、加熱加圧下で水を少量ずつ添加して混練する方法等が挙げられる。
なかでも、得られるポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の体積平均粒子径が小さく、粒子径分布が狭い微粒子を得ることができるため、上記ポリビニルアセタール系樹脂を有機溶剤に溶解した後にポリビニルアセタール系樹脂を析出させて微粒子を作製する方法が好ましい。
本発明の透明導電膜形成用コーティング剤組成物は液状分散媒を含有する。コーティング剤組成物を100重量%とした場合、液状分散媒の下限は40重量%が好ましく、より好ましくは50重量%であり、更に好ましくは70重量%である。上限は99.9量%が好ましく、より好ましくは99.7重量%である。液状分散媒が40重量%未満である場合、コーティング剤組成物中でのポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子およびファイバー状の導電性物質の分散安定性が低下し、得られる透明導電膜の透明性、電気特性、機械的強度、耐水系溶媒性が低下する場合がある。上記液状分散媒としてはポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子、ファイバー状の導電性物質を分散できるものであれば特に限定されないが、水を含有することが好ましい。上記液状分散媒が水を50重量%以上程度含有することにより、上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子およびファイバー状の導電性物質の分散性を向上させることができる。
なお、上記液状分散媒における水以外の成分としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールなどのアルコール類が挙げられる。水とアルコールを混合して用いても良い。水とアルコールの比率は特に限定されないが、50:50〜99:1であるのが好ましい。
本発明の透明導電膜形成用コーティング剤組成物におけるポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の含有量は、コーティング剤組成物に対して0.05〜5重量%であることが好ましい。ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子が少なすぎる場合は、透明導電膜とした際にファイバー状の導電性物質を固定化する力が弱いために導電膜の強度および耐水系溶媒性が低下することがある。一方で多すぎる場合は、ファイバー状の導電性物質同士の接触が起こりにくくなるために電気特性が悪化する場合がある。ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子のより好ましい含有量は0.1〜3重量%である。
なお、本発明の透明導電膜形成用コーティング剤組成物は、充分な分散安定性を有しているが、得られる膜の機械的、光学的、電気的性質を劣化させない範囲で、分散剤を別途添加しても良い。
本発明の透明導電膜形成用コーティング剤組成物は、ファイバー状の導電性物質を含有する。このように導電性物質としてファイバー状のものを用いることによって、導電性物質同士の接触確率を高めて導電性物質による導電性を確保することができ、導電性物質の配合量を低減して、透明性の高い透明導電膜を形成することができる。
なお、上記ファイバー状とは、繊維状、線状、糸状、筋状等の細く延びた形状を包含する概念であり、直線状及び分岐を有する形状のものを含む。また、中実、中空を問うものではない。更に、上記ファイバー状の導電性物質は、長さや径が同等のもののみから構成されていても、長さや径が異なるものが混在していても差し支えない。具体的には、金属ナノワイヤ、導電性高分子及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。特に、金属ナノワイヤ及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記ファイバー状の導電性物質としては特に限定されないが、少ない配合量でも高い導電性を得ることができ、高い透明性と高い導電性を兼ね備えた透明導電膜を形成することができるために、導電率が1000S/cm以上であることが好ましい。
このようなファイバー状の導電性物質としては、例えば、銀、金、銅、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、またはこれらの任意の2種以上を組み合わせた混合物(合金)などの金属からなる導電性物質、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン又は酸化セリウムなどの無機酸化物からなる導電性物質、ポリチオフェン系、ポリアニリン系、ポリピロール系などの導電性高分子、カーボンナノチューブからなる導電性物質等が挙げられる。
上記ファイバー状の導電性物質の断面形状は特に限定されず、例えば、真円形、楕円形、正方形、長方形、三角形の他、5角形以上の多角形や、多円重なり状など任意の形状を取ることができる。また、ファイバー状導電性物質の太さは、電子顕微鏡で観察した画像において、長手方向に対して垂直な線で結ばれる端部から、もう一方の端部までの平均長さが500nm以下であることが好ましい。(本明細書中、上記電子顕微鏡で観察した画像において、長手方向に対して垂直な線で結ばれる端部から、もう一方の端部までの平均長さを平均断面直径ともいう)すなわち、上記ファイバー状の導電性物質を電子顕微鏡により観察し、観察画像からファイバー状の導電性物質をランダムに選択した後、選択したファイバー状の導電性物質に対して長手方向に対する垂直な線をランダムに一本引き、その長さを求める。これを、複数のファイバー状の導電性物質に対して行い、その値の平均を求めることによって上記平均長さを測定することができる。なお、上記長手方向に対して垂直な線で結ばれる端部から、もう一方の端部までの平均長さをより正確に求めるために、ファイバー状の導電性物質は100本以上測定することが好ましい。
また、この長手方向に対して垂直な線で結ばれる端部から、もう一方の端部までの平均長さのより好ましい範囲は200nm以下であり、さらに好ましい範囲は100nm以下である。また、長手方向に対して垂直な線で結ばれる端部から、もう一方の端部までの平均長さの下限は特に設定されないが、実用的には10nm程度が下限である。
上記ファイバー状の導電性物質の長手方向の長さは特に限定されないが、電子顕微鏡で観察した画像において、長手方向の平均長さが500nm以上であることが好ましい。上記長手方向の平均長さは、上記ファイバー状の導電性物質を電子顕微鏡により観察し、観察画像からファイバー状の導電性物質をランダムに選択した後、選択したファイバー状の導電性物質に対して長手方向の長さを求める。これを、複数のファイバー状の導電性物質に対して行い、その値の平均を求めることによって上記長手方向の平均長さを測定することができる。なお、上記長手方向の平均長さをより正確に求めるために、ファイバー状の導電性物質は100本以上測定することが好ましい。また、このファイバー状の導電性物質の長手方向の長さのより好ましい範囲は2μm以上であり、さらに好ましい範囲は10μm以上である。
上記ファイバー状の導電性物質の平均アスペクト比は、5以上であることが好ましい。また、上記平均アスペクト比は10以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。平均アスペクト比の上限は特に設定されないが、実用的には5000万程度が上限であり、通常は100万以下である。なお、上記平均アスペクト比は、上記長手方向の平均長さ/長手方向に対して垂直な線で結ばれる端部から、もう一方の端部までの平均長さから算出したアスペクト比の平均を意味する。
上記ファイバー状の導電性物質の含有量は、コーティング剤組成物に対して0.05〜5重量%であることが好ましい。上記ファイバー状の導電性物質の含有量が0.05重量%未満であると、ファイバー状の導電性物質同士が充分な接触を持たなくなり、透明導電膜とした際に電気特性が低下する場合がある。上記ファイバー状の導電性物質の含有量が5重量%を超えると、透明導電膜とした際の透明性が著しく低下したり、黄色味の着色が発生したりすることがある。ファイバー状の導電性物質のより好ましい含有量は0.1〜3重量%である。
なお、本発明の透明導電膜形成用コーティング剤組成物は、充分な分散安定性を有しているが、得られる膜の機械的、光学的、電気的性質を劣化させない範囲で、分散剤を別途添加しても良い。
上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の体積平均粒子径に対する上記ファイバー状の導電性物質の平均断面直径の好ましい比率は、0.02〜50倍の範囲である。上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の体積平均粒子径に対する上記ファイバー状の導電性物質の平均断面直径の比率が0.02倍未満であると、透明導電膜とした際にファイバー状の導電性物質同士が充分な接触を持たなくなり、透明導電膜とした際に電気特性が低下する場合がある。上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の体積平均粒子径に対する上記ファイバー状の導電性物質の平均断面直径の比率が50倍を超えると、透明導電膜とした際にファイバー状の導電性物質を固定化する力が弱くなるために導電膜の強度および耐水系溶媒性が低下することがある。上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の体積平均粒子径に対する上記ファイバー状の導電性物質の平均断面直径のより好ましい比率は0.05〜20倍の範囲、上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子の体積平均粒子径に対する上記ファイバー状の導電性物質の平均断面直径の更に好ましい比率は、0.1〜10倍の範囲である。
また、上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子に対する上記ファイバー状の導電性物質の好ましい配合比率は、重量比率で0.01〜100倍の範囲である。上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子に対する上記ファイバー状の導電性物質の配合比率が0.01倍未満であると、透明導電膜とした際にファイバー状の導電性物質同士が充分な接触を持たなくなり、透明導電膜とした際に電気特性が低下する場合がある。上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子に対する上記ファイバー状の導電性物質の配合比率が100倍を超えると、透明導電膜とした際にファイバー状の導電性物質を固定化する力が弱くなるために導電膜の強度および耐水系溶媒性が低下することがある。
上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子に対する上記ファイバー状の導電性物質のより好ましい配合比率は重量比率で0.04〜25倍の範囲、上記ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子に対する上記ファイバー状の導電性物質の更に好ましい配合比率は重量比率で0.1〜10倍の範囲である。
上記のようにポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子、ファイバー状の導電性物質、及び、液状分散媒を少なくとも含有する透明導電膜形成用コーティング剤組成物は、基材に塗布することによって透明導電膜付き基材を形成することができる。本発明の透明導電膜形成用コーティング剤組成物を用いて得られる透明導電膜付き基材もまた、本発明の1つである。
なお、上記透明導電膜の厚みは、その用途などに応じて異なるが、一般に0.01〜1μm程度が好ましい。
上記基材としては特に限定されるものではなく、ガラスやプラスチックなどからなる板状やフィルム状の基材などが挙げられる。特にフィルム状基材は透明であるものが好適に用いられ、例えば、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリビニル類、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ABS、ナイロン、ウレタン、ポリイミド、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルホン、もしくはポリエーテルケトン等の樹脂からなるフィルムが挙げられる。また、これらは単独で、または同種もしくは異種のものを積層して用いることができ、可視光に対して透明性を有し、種々の機能層として透明導電膜を積層することが可能であればよく、複屈折の小さいものであることがより好ましい。
上記基材の厚みは特に限定されないが、好ましい下限が2μm、好ましい上限が300μmである。上記基材の厚みが2μm未満であると、基材の強度が不足し、取り扱いが困難になるために、破れたり、得られる透明導電膜付き基材にシワが発生し電気特性が低下する場合がある。上記基材の厚みが300μmを超えると、基材の腰が強すぎて、得られるフィルムの巻き取りが困難になる上、加工性が低下することで目的の電気特性を得られない場合がある。上記基材の厚みのより好ましい下限は5μm、より好ましい上限は200μmである。
また、上記基材には、本発明の透明導電膜形成用コーティング剤組成物を塗装する面と反対側の面に予め、機能層が形成されていてもよく、この機能としては例えば、反射防止層、電磁波シールド層、近赤外カット層、色目調整層、ハードコート層、指紋付着防止層などが挙げられる。
上記基材の表面に本発明の透明導電膜形成用コーティング剤組成物を塗布する方法としては、特に限定されず例えば、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビードコーター法等の任意の方法を採用することができる。
本発明の透明導電膜付き基材に形成される透明導電膜は、表面抵抗率が10000Ω/□以下であり、かつ、全光線透過率が60%以上であることが望ましい。また、表面抵抗率が1000Ω/□以下であり、かつ、全光線透過率が70%以上であることがより望ましい。更に、表面抵抗率が300Ω/□以下であり、かつ、全光線透過率が86%以上であることがさらに望ましい。このように表面抵抗率が低く、かつ、全光線透過率が高いことによって、高い透明性と高い導電性を必要とされる用途に透明導電膜を用いることができるものである。
本発明の透明導電膜付き基材は、可視光領域において高い透明性を有すると共に、表面抵抗が小さく、導電性に優れているので、配線材料、電極材料、導電性フィルムなどに好適であり、例えば、有機EL素子、光学フィルタ、配線材料、電極材料、電磁波遮蔽膜、光センサ、記録材料、などに適用することができる。
本発明によれば、高い透明性と電気的信頼性を兼ね備え、水系の溶媒に対する安定性も非常に高く、充分な強度を有する透明導電膜を作製することが可能な透明導電膜形成用コーティング剤組成物を提供することができる。また、このような透明導電膜形成用コーティング剤組成物を用いて得られる透明導電膜付き基材を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(イオン性官能基をグラフト鎖に有するポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子1の準備)
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた反応容器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度800、ブチラール化度64.0モル%、水酸基量34.8モル%、アセチル基量1.2モル%)25重量部と、2−ソジウムスルホエチルメタクリレート0.5重量部と、ジメチルスルホキシド100重量部とを加え、撹拌しながらポリビニルブチラールおよび2−ソジウムスルホエチルメタクリレートを溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込んで反応容器内を窒素置換した後、反応容器内を撹拌しながら85℃に加熱した。30分間後、0.5重量部の重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを5重量部のジメチルスルホキシドで希釈し、得られた重合開始剤溶液を上記反応器内に3時間かけて滴下添加した。その後、さらに85℃にて3時間反応させた。反応液を冷却後、水への沈殿を3回行ってから充分乾燥し、2−ソジウムスルホエチルメタクリレートがグラフトしたポリビニルアセタール系樹脂を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂に含まれるイオン性官能基の量をNMRにより測定したところ、0.08mmol/gであった。
次いで、得られたポリビニルアセタール系樹脂3重量部をメタノール150重量部に溶解させ、溶解液を水300重量部に滴下添加した。次いで液温を30℃に保ち、減圧しながら撹拌を行うことでメタノールおよび水を揮発させた後、固形分が10重量%となるまで濃縮し、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子1が分散した分散液を作製した。なお、得られたポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子1の体積平均粒子径を透過型電子顕微鏡により測定したところ、60nmであった。
(透明導電膜形成用コーティング剤組成物1の調製)
次にこの溶液にファイバー状の導電性物質として銀ナノワイヤ(平均断面直径50nm、平均アスペクト比200)を配合した。銀ナノワイヤは水を分散媒として固形分0.5重量%で分散した分散液の状態で添加し、配合後の溶液全体に対する銀ナノワイヤの濃度が0.45重量%、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子1の濃度が0.45重量%となるよう水を希釈剤として配合した後、よく混合し、透明導電膜形成用コーティング剤組成物1を作製した。
(透明導電膜1の形成)
次に、この透明導電膜形成用コーティング剤組成物1をガラス基材の表面にスピンコーターにより塗工し、100℃で10分間乾燥させて、厚み0.3μmの透明導電膜1を形成した。
(実施例2)
(イオン性官能基が直接主鎖の炭素に結合するポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子2の作製)
重合度800、ケン化度99モル%であり、共重合体としてのアクリル酸を1モル%有するポリビニルアルコール100重量部を純水1000重量部に加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸80重量部を添加した後、液温を4℃に下げてn−ブチルアルデヒド70重量部を添加しこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を30℃、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール系樹脂の白色粉末を得た。得られたポリビニルアセタール系樹脂についてNMRを用いて測定を行ったところ、ブチラール化度は67モル%、水酸基量は32モル%、アセチル基量は1モル%、樹脂中に含まれるイオン性官能基の量は0.15mmol/gであった。
得られたポリビニルアセタール系樹脂を用いて、実施例1と同様の操作によりポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子2が分散した分散液を作製した。なお、得られたポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子2の体積平均粒子径を透過型電子顕微鏡により測定したところ、60nmであった。
(透明導電膜形成用コーティング剤組成物2の調製)
ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子2が分散した分散液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、透明導電膜形成用コーティング剤組成物2を作製した。
(透明導電膜2の形成)
透明導電膜形成用コーティング剤組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜2を形成した。
(実施例3)
(イオン性官能基をグラフト鎖に有するポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子3の作製、微粒子3を用いた透明導電膜形成用コーティング剤組成物3の調製および透明導電膜3の形成)
ポリビニルアセタール樹脂を重合度1700、ブチラール化度47.0モル%、アセトアセタール化度24モル%、水酸基量28.0モル%、アセチル基量1.0モル%のポリビニルアセタール樹脂に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、2−ソジウムスルホエチルメタクリレートがグラフトしたポリビニルアセタール樹脂からなるポリビニルアセタール樹脂を得た。得られた樹脂中に含まれるイオン性官能基の量をNMRにより測定したところ、0.08mmol/gであった。
得られたポリビニルアセタール系樹脂を用いて、実施例1と同様の操作によりポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子3が分散した分散液を作製した。なお、得られたポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子3の体積平均粒子径を透過型電子顕微鏡により測定したところ、60nmであった。
次いで、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子3が分散した分散液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行うことで透明導電膜形成用コーティング剤組成物3を作製し、さらに、透明導電膜形成用コーティング剤組成物3を用いて実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜3を形成した。
(実施例4)
(イオン性官能基をグラフト鎖に有するポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子4の作製、微粒子4を用いた透明導電膜形成用コーティング剤組成物4の調製および透明導電膜4の形成)
2−ソジウムスルホエチルメタクリレートの添加量を5重量部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、2−ソジウムスルホエチルメタクリレートがグラフトしたポリビニルアセタール系樹脂を得た。得られた樹脂中に含まれるイオン性官能基の量をNMRにより測定したところ、0.6mmol/gであった。
得られたポリビニルアセタール系樹脂を用いて、実施例1と同様の操作によりポリビニルアセタール微粒子4が分散した分散液を作製した。なお、得られたポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子4の体積平均粒子径を透過型電子顕微鏡により測定したところ、40nmであった。
次いで、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子4が分散した分散液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行うことで透明導電膜形成用コーティング剤組成物4を作製し、さらに、透明導電膜形成用コーティング剤組成物4を用いて実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜4を形成した。
(実施例5)
(イオン性官能基が連結基を介して主鎖炭素に結合するポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子5の作製)
重合度3000、ケン化度99モル%であり、共重合体としてのアリルスルホン酸ナトリウムを1モル%有するポリビニルアルコール100重量部を純水1000重量部に加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸80重量部を添加した後、液温を4℃に下げてn−ブチルアルデヒド70重量部を添加しこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を30℃、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール系樹脂の白色粉末を得た。得られたポリビニルアセタール系樹脂についてNMRを用いて測定を行ったところ、ブチラール化度は67モル%、水酸基量は32モル%、アセチル基量は1モル%、樹脂中に含まれるイオン性官能基の量は0.05mmol/gであった。
得られたポリビニルアセタール系樹脂を用いて、実施例1と同様の操作によりポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子5が分散した分散液を作製した。なお、得られたポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子5の体積平均粒子径を透過型電子顕微鏡により測定したところ、30nmであった。
(透明導電膜形成用コーティング剤組成物5の調製)
ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子5が分散した分散液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、透明導電膜形成用コーティング剤組成物5を作製した。
(透明導電膜5の形成)
透明導電膜形成用コーティング剤組成物5を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜5を形成した。
(実施例6)
ファイバー状の導電性物質として銀ナノワイヤ(平均断面直径40nm、平均アスペクト比500)を用い、配合後の溶液全体に対する銀ナノワイヤの濃度が0.4重量%、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子1の濃度が1.2重量%となるよう透明導電膜形成用コーティング剤組成物6を作成したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜6を形成した。
(実施例7)
ファイバー状の導電性物質として銀ナノワイヤ(平均断面直径100nm、平均アスペクト比100)を用い、配合後の溶液全体に対する銀ナノワイヤの濃度が0.45重量%、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子1の濃度が0.2重量%となるよう透明導電膜形成用コーティング剤組成物7を作成したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜7を形成した。
(実施例8)
(イオン性官能基が連結基を介して主鎖炭素に結合するポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子6の作製)
重合度800、ケン化度99モル%であり、共重合体としてのアリルスルホン酸ナトリウムを1モル%有するポリビニルアルコール100重量部を純水1000重量部に加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸80重量部を添加した後、液温を4℃に下げてn−ブチルアルデヒド70重量部を添加しこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を30℃、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール系樹脂の白色粉末を得た。得られたポリビニルアセタール系樹脂についてNMRを用いて測定を行ったところ、ブチラール化度は68モル%、水酸基量は31モル%、アセチル基量は1モル%、樹脂中に含まれるイオン性官能基の量は0.05mmol/gであった。
次いで、得られたポリビニルアセタール系樹脂6重量部をメタノール100重量部に溶解させた後に水20重量部を加えた。次いで液温を30℃に保ち、減圧しながら撹拌を行うことでメタノールおよび水を揮発させ、固形分が25重量%であるポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子6が分散した分散液を作製した。なお、得られたポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子6の体積平均粒子径を透過型電子顕微鏡により測定したところ、25nmであった。
(透明導電膜形成用コーティング剤組成物8の調製)
次にこの溶液にファイバー状の導電性物質として銀ナノワイヤ(平均断面直径50nm、平均アスペクト比200)を配合した。銀ナノワイヤは水を分散媒として固形分0.5重量%で分散した分散液の状態で添加し、配合後の溶液全体に対する銀ナノワイヤの濃度が0.4重量%、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子6の濃度が0.4重量%となるようメタノールを希釈材として配合した後、よく混合し、透明導電膜形成用コーティング剤組成物8を作製した。なお、この透明導電膜形成用コーティング剤組成物8の分散媒の組成をNMRにより測定したところ、水の含有率は80重量%であった。
(透明導電膜8の形成)
次に、この透明導電膜形成用コーティング剤組成物8をガラス基材の表面にスピンコーターにより塗工し、100℃で10分間乾燥させて、厚み0.3μmの透明導電膜8を形成した。
(実施例9)
(イオン性官能基をグラフト鎖に有するポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子7の準備)
実施例2で作成したポリビニルアセタール系樹脂1重量部をメタノール100重量部に溶解させた後に水10重量部を加えた。次いで液温を30℃に保ち、減圧しながら撹拌を行うことでメタノールおよび水を揮発させ、固形分が10重量%であるポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子7が分散した分散液を作製した。なお、得られたポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子7の体積平均粒子径を透過型電子顕微鏡により測定したところ、200nmであった。
(透明導電膜形成用コーティング剤組成物9の調製)
ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子7が分散した分散液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、透明導電膜形成用コーティング剤組成物9を作製した。
(透明導電膜9の形成)
透明導電膜形成用コーティング剤組成物9を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜9を形成した。
(実施例10)
(イオン性官能基をアセタール結合を介して有するポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子8の準備)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応容器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度800、ブチラール化度65.0モル%、水酸基量33.8モル%、アセチル基量1.2モル%)20重量部をメタノール80重量部に溶解させ、溶解液に4−ホルミルベンゼン−1,3−ジスルホン酸二ナトリウムを1重量部、12Mの濃塩酸を0.05重量部加え、60℃にて4時間反応させた。反応液を冷却し、水200重量部を滴下添加した。次いで液温を30℃に保ち、減圧しながら撹拌を行うことでメタノールおよび水を揮発させた後、固形分が20重量%となるまで濃縮し、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子8が分散した分散液を作製した。なお、得られたポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子8の体積平均粒子径を透過型電子顕微鏡により測定したところ、80nmであった。
(透明導電膜形成用コーティング剤組成物10の調製)
ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子8が分散した分散液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、透明導電膜形成用コーティング剤組成物10を作製した。
(透明導電膜10の形成)
透明導電膜形成用コーティング剤組成物10を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜10を形成した。
(実施例11)
(イオン性官能基をアセタール結合を介して有するポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子9の準備)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応容器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1000、ブチラール化度63.0モル%、水酸基量36.0モル%、アセチル基量1.0モル%)20重量部をイソプロパノール80重量部に溶解させ、溶解液に2−スルホベンズアルデヒドナトリウムを1重量部、12Mの濃塩酸を0.05重量部加え、70℃にて4時間反応させた。反応液を冷却し、水200重量部を滴下添加した。次いで液温を30℃に保ち、減圧しながら撹拌を行うことでイソプロパノールおよび水を揮発させた後、固形分が20重量%となるまで濃縮し、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子9が分散した分散液を作製した。なお、得られたポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子9の体積平均粒子径を透過型電子顕微鏡により測定したところ、100nmであった。
(透明導電膜形成用コーティング剤組成物11の調製)
ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子9が分散した分散液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、透明導電膜形成用コーティング剤組成物11を作製した。
(透明導電膜11の形成)
透明導電膜形成用コーティング剤組成物11を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜11を形成した。
(実施例12)
(イオン性官能基が主鎖炭素に直接結合するポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子10の準備)
重合度800、ケン化度99.3モル%であり、共重合体としてのビニルスルホン酸を0.6モル%有するポリビニルアルコール100重量部を純水1000重量部に加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。
この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸80重量部を添加した後、液温を4℃に下げてn−ブチルアルデヒド70重量部を添加しこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を30℃、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール系樹脂の白色粉末を得た。得られたポリビニルアセタール系樹脂についてNMRを用いて測定を行ったところ、ブチラール化度は68モル%、水酸基量は31モル%、アセチル基量は1モル%、樹脂中に含まれるイオン性官能基の量は0.1mmol/gであった。
得られたポリビニルアセタール系樹脂を用いて、実施例1と同様の操作によりポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子10が分散した分散液を作製した。なお、得られたポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子10の体積平均粒子径を透過型電子顕微鏡により測定したところ、140nmであった。
(透明導電膜形成用コーティング剤組成物12の調製)
ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子10が分散した分散液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、透明導電膜形成用コーティング剤組成物12を作製した。
(透明導電膜12の形成)
透明導電膜形成用コーティング剤組成物12を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜12を形成した。
(実施例13)
ファイバー状の導電性物質としてカーボンナノチューブ(平均断面直径10nm、平均アスペクト比1000)を用い、配合後の溶液全体に対するカーボンナノチューブの濃度が0.45重量%、ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子8の濃度が0.45重量%となるよう透明導電膜形成用コーティング剤組成物13を作成したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜13を形成した。
(実施例14)
(イオン性官能基をグラフト鎖に有するポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子11の準備)
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた反応容器内に、ポリビニルアセタール樹脂(重合度1700、ブチラール化度65.0モル%、水酸基量34.0モル%、アセチル基量1.0モル%)25重量部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート1重量部と、ジメチルスルホキシド100重量部とを加え、撹拌しながらポリビニルブチラールを溶解させた。次に、窒素ガスを30分間吹き込んで反応容器内を窒素置換した後、反応容器内を撹拌しながら85℃に加熱した。30分間後、0.5重量部の重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを5重量部のジメチルスルホキシドで希釈し、得られた重合開始剤溶液を上記反応器内に3時間かけて滴下添加した。その後、さらに85℃にて3時間反応させた。反応液を冷却後、水への沈殿を3回行ってから充分乾燥し、ジメチルアミノエチルアクリレートがグラフトしたポリビニルアセタール樹脂からなるポリビニルアセタール樹脂を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂に含まれるイオン性官能基の量をNMRにより測定したところ、0.2mmol/gであった。得られたポリビニルアセタール系樹脂を用いて、実施例1と同様の操作によりポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子11が分散した分散液を作製した。なお、得られたポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子11の体積平均粒子径を透過型電子顕微鏡により測定したところ、250nmであった。
(透明導電膜形成用コーティング剤組成物14の調製)
ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子11が分散した分散液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、透明導電膜形成用コーティング剤組成物14を作製した。
(透明導電膜14の形成)
透明導電膜形成用コーティング剤組成物14を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜14を形成した。
(実施例15)
(イオン性官能基が連結基を介して主鎖炭素に結合するポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子12の作製)
重合度1700、ケン化度99モル%であり、共重合体としてのアリルスルホン酸ナトリウムを0.2モル%有するポリビニルアルコール100重量部を純水1000重量部に加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸80重量部を添加した後、液温を4℃に下げてn−ブチルアルデヒド66重量部を添加しこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を30℃、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール系樹脂の白色粉末を得た。得られたポリビニルアセタール系樹脂についてNMRを用いて測定を行ったところ、ブチラール化度は63モル%、水酸基量は36モル%、アセチル基量は1モル%、樹脂中に含まれるイオン性官能基の量は0.008mmol/gであった。
得られたポリビニルアセタール系樹脂を用いて、実施例1と同様の操作によりポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子12が分散した分散液を作製した。なお、得られたポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子12の体積平均粒子径を透過型電子顕微鏡により測定したところ、220nmであった。
(透明導電膜形成用コーティング剤組成物15の調製)
ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子12が分散した分散液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、透明導電膜形成用コーティング剤組成物15を作製した。
(透明導電膜15の形成)
透明導電膜形成用コーティング剤組成物15を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜15を形成した。
(実施例16)
(イオン性官能基が直接主鎖の炭素に結合するポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子13の作製)
重合度1700、ケン化度99モル%であり、共重合体としてのアクリル酸を7モル%有するポリビニルアルコール100重量部を純水1000重量部に加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸80重量部を添加した後、液温を4℃に下げてn−ブチルアルデヒド70重量部を添加しこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を30℃、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール系樹脂の白色粉末を得た。得られたポリビニルアセタール系樹脂についてNMRを用いて測定を行ったところ、ブチラール化度は69モル%、水酸基量は30モル%、アセチル基量は1モル%、樹脂中に含まれるイオン性官能基の量は1.1mmol/gであった。
得られたポリビニルアセタール系樹脂を用いて、実施例1と同様の操作によりポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子13が分散した分散液を作製した。なお、得られたポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子13の体積平均粒子径を透過型電子顕微鏡により測定したところ、30nmであった。
(透明導電膜形成用コーティング剤組成物16の調製)
ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子13が分散した分散液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、透明導電膜形成用コーティング剤組成物16を作製した。
(透明導電膜16の形成)
透明導電膜形成用コーティング剤組成物16を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜16を形成した。
(比較例1)
ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子1が分散した分散液の代わりに、ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度98モル%)が溶解した水溶液を用いて透明導電膜形成用コーティング剤組成を作製したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜17を形成した。
(比較例2)
ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子1が分散した分散液の代わりに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が溶解した水溶液を用いて透明導電膜形成用コーティング剤組成を作製したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜18を形成した。
(比較例3)
ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子1が分散した分散液の代わりに、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる微粒子(体積平均粒子径100nm)が分散した分散液を用いて透明導電膜形成用コーティング剤組成を作製したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜19を形成した。
(比較例4)
ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子1が分散した分散液の代わりに、ポリビニルアセタール樹脂(重合度300、ブチラール化度15.0モル%、水酸基量84モル%、アセチル基量1モル%)が溶解した水溶液を用いて透明導電膜形成用コーティング剤組成を作製したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み0.3μmの透明導電膜20を形成した。
(評価)
得られた透明導電膜の性能を以下の方法で評価した。結果を表1に示した。
(1)全光線透過率及びヘーズの測定
得られた透明導電膜について、全光線透過率及びヘーズを測定した。全光線透過率及びヘーズの測定は、ヘーズメーター(全自動ヘーズメーター「TC−HIIIDPK」、東京電色社製)を使用して行った。
(2)表面抵抗値の測定
得られた透明導電膜について、表面抵抗値を測定した。表面抵抗値の測定は、表面抵抗値計(抵抗率計「ロレスタIP(MCP−T250)」、三菱化学社製)を使用して行った。
(3)耐久性の評価
得られた透明導電膜について、耐久性評価を行った。膜の耐久性は、流水洗浄試験(流水速度1L/分、15分間)及び超音波洗浄試験(周波数40kHz、出力120W、15分間)を行い、各試験後の表面抵抗値の上昇率及び被膜剥離の有無を確認した。また、結果について以下の基準で評価した。
◎:目視で被膜の剥離が見られず、表面抵抗値の上昇も20%未満であった。
○:目視で被膜の剥離が見られなかったが、表面抵抗値が20%以上、30%未満上昇した。
△:目視で被膜の剥離がごく一部見られるか、もしくは表面抵抗値が30%以上上昇した。
×:被膜の剥離が全体的に見られた。
Figure 2014209435
本発明によれば、高い透明性と電気的信頼性を兼ね備え、水系の溶媒に対する安定性も非常に高く、充分な強度を有する透明導電膜を作製することが可能な透明導電膜形成用コーティング剤組成物を提供することができる。また、このような透明導電膜形成用コーティング剤組成物を用いて得られる透明導電膜付き基材を提供することができる。

Claims (9)

  1. ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子、ファイバー状の導電性物質、及び、液状分散媒を含有することを特徴とする透明導電膜形成用コーティング剤組成物。
  2. ポリビニルアセタール系樹脂からなる微粒子は、体積平均粒子径が10〜500nmであることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜形成用コーティング剤組成物。
  3. 液状分散媒は、水を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電膜形成用コーティング剤組成物。
  4. 液状分散媒中における水の含有率が50重量%以上であることを特徴とする請求項3に記載の透明導電膜形成用コーティング剤組成物。
  5. ファイバー状の導電性物質が、金属ナノワイヤ及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明導電膜形成用コーティング剤組成物。
  6. ポリビニルアセタール系樹脂は、イオン性官能基を0.01〜1mmol/g有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明導電膜形成用コーティング剤組成物。
  7. イオン性官能基は、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、及び、それらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の官能基であることを特徴とする請求項6に記載の透明導電膜形成用コーティング剤組成物。
  8. ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルブチラールであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の透明導電膜形成用コーティング剤組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の透明導電膜形成用コーティング剤組成物を基材に塗布することによって形成されてなることを特徴とする透明導電膜付き基材。
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