JP2014209416A - 燃料電池システム、および燃料電池システムの制御方法 - Google Patents

燃料電池システム、および燃料電池システムの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】装置の大型化および高コスト化を招くことなく、適切にスタックへのガスの供給阻害の要因となる水を処理することができる燃料電池システムを提供する。【解決手段】燃料電池セルの電圧を検出する電圧検出器30と、燃料利用率および酸素利用率を設定する出力調整部70、燃料ガス供給器64および酸化剤ガス供給器66と、制御部34とを備え、制御部34は、定格運転時に検出された電圧が所定の電圧未満となる場合、燃料利用率および酸素利用率を下げた第1燃料利用率および第1酸素利用率へと設定変更するように制御し、所定の電圧以上となったとき、水によりガスの供給阻害が発生していると判定し、第1酸素利用率の利用率を上げて第2酸素利用率に設定変更するように制御し、電圧検出器30により検出された燃料電池セルの電圧が所定の電圧未満となるとき、酸素を供給する酸化剤ガス経路71内の水によって酸素の供給阻害が起こっていると判定する。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システム、および燃料電池システムの制御方法に関する。
近年、高効率でクリーンなエネルギー源の開発が求められており、このようなエネルギー源の候補として燃料電池が注目を浴びている。例えば、燃料電池の一つとして、固体高分子形燃料電池(PEFC)が知られている。固体高分子形燃料電池で使用される固体高分子電解質膜はその中に水分を含んでいないとイオン伝導体として十分に機能しない。このため、固体高分子形燃料電池では、供給される燃料および酸素含有ガスを予め加湿しておくことが必要となる。
しかしながら、例えば、以下の場合は、燃料電池スタックへの燃料および酸素含有ガスの供給が阻害される可能性がある。すなわち、燃料および酸素含有ガスの加湿量が多い場合、燃料電池スタック内部で生成される水分量が多い場合、あるいは燃料および酸素含有ガスを流通させる経路中での放熱量が多く、これらガス温度が低下し、経路内で水(凝縮水)が発生する場合である。
特に、燃料が流通する経路(アノード経路)内に発生した水(凝縮水)に起因して、燃料電池スタックへの燃料供給阻害が起こった場合、いわゆる転極と呼ばれる現象が発生する。転極が発生すると、アノード側の触媒金属の溶出またはアノード側の触媒担体の腐食が膜/電極接合体(MEA:Membrane Electrode-Assembly)に対して大きな劣化を引き起こす。
そこで、固体高分子電解質膜の加湿状態を最適なものとするためには、この固体高分子電解質膜の加湿状態の判断を行うことができる燃料電池システムが開発されている(例えば、特許文献1、2)。
具体的には、特許文献1に開示された燃料電池システムでは、固体高分子電解質膜が2つの電極で挟持された単電池単位で出力電圧を検出する電圧検出手段、この電圧検出手段の検出結果から出力電圧が正常範囲を下回る単電池を異常単電池として検出する異常単電池検出手段、ならびに異常単電池の燃料電池スタックにおける積層位置を判定し、この積層位置に基づいて燃料電池スタックの加湿の状態を判定する加湿状態判定手段を備える。
そして、特許文献1に開示された燃料電池システムは、電圧低下を起こした異常単電池の燃料電池スタックにおける積層位置を知ることで、燃料電池スタックの加湿の状態を判定することができる。
また、特許文献2には、反応後のオフガスが排出されるオフガス排出路に設けられ、結露した水分を排出する結露水排出手段と、酸化ガス供給経路およびオフガス排出路に設けられてガスの圧力を検出する圧力検出手段と、酸化ガス供給経路、オフガス排出路、および全熱交換型加湿器のいずれかに設けられ、温度を検出する温度検出手段と、制御手段とを備えた燃料電池ユニットが開示されている。
この燃料電池ユニットでは、圧力検出手段および温度検出手段からの検出信号に基づいて算出された換算圧力が所定圧力よりも高い場合に、燃料電池ユニット内に多量の結露水分が存在すると判定し、制御手段が、酸化ガスの供給量を所定範囲内で増加させて換算圧力を所定圧力にするように制御する。
特開2002−184438号公報 特開2010−129454号公報
しかしながら従来の燃料電池システムでは、装置の大型化および高コスト化を招くことなく、スタックへのガスの供給阻害の要因となる水の処理を適切に行うことができないという問題がある。より具体的には、特許文献1に開示された燃料電池システムでは、燃料電池セル(燃料電池単電池)の電圧低下の要因が、燃料が流通するアノードガス経路内の結露によるものなのか、酸素含有ガスが流通するカソードガス経路内の結露によるものなのか区別できない。このため、どちらの経路内の水を処理すべきか判別することができず、スタックへのガスの供給阻害の要因となる水を適切に処理できないという問題がある。
一方、特許文献2に開示された燃料電池システムでは、別途、圧力検出器を備える必要があるため、装置の大型化および高コスト化を招く問題がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の大型化および高コスト化を招くことなく、スタックへのガスの供給阻害の要因となる水を適切に処理することができる燃料電池システムを提供することにある。
本発明に係る燃料電池システムは、上記した課題を解決するために、供給された燃料と酸素との電気化学反応により発電する燃料電池セルを複数積層して形成されたスタックと、前記スタックを形成する複数の燃料電池セルのうち所定の燃料電池セルの電圧を検出する電圧検出器と、前記燃料電池セルにおける燃料利用率および酸素利用率を設定する利用率設定部と、制御部と、を備え、前記制御部は、当該燃料電池システムの定格運転時において前記電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧未満となる場合、前記燃料電池セルにおける燃料利用率および酸素利用率を、該定格運転時に設定されている利用率よりも下げた第1燃料利用率および第1酸素利用率へと設定変更するように前記利用率設定部を制御し、この第1酸素利用率への設定変更後に電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧以上となったとき、水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生していると判定し、水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生していると判定した場合、前記第1酸素利用率の利用率を上げて第2酸素利用率に設定変更するように前記利用率設定部をさらに制御し、この第2酸素利用率への設定変更後に、前記電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧未満となるとき、酸素を供給するカソード供給経路内の水によって該酸素の供給阻害が起こっていると判定する。
本発明に係る燃料電池システムの制御方法は、上記した課題を解決するために、供給された燃料と酸素との電気化学反応により発電する燃料電池セルを複数積層して形成されたスタックを有する燃料電池システムの制御方法であって、当該燃料電池システムの定格運転時において、前記スタックを形成する複数の燃料電池セルのうち所定の燃料電池セルの電圧を検出し、検出された該電圧が所定の電圧未満となる場合、該燃料電池セルにおける燃料利用率および酸素利用率を、該定格運転時に設定されている利用率よりも下げた第1燃料利用率および第1酸素利用率へと設定変更し、この第1酸素利用率への設定変更後に検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧以上となったとき、水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生していると判定し、水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生していると判定した場合、さらに前記第1酸素利用率の利用率を上げて第2酸素利用率に設定変更させ、この設定変更後に検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧未満となるとき、酸素を供給するカソード供給経路内の水によって該酸素の供給阻害が起こっていると判定する。
本発明に係る燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法は、以上に説明したように構成され、装置の大型化および高コスト化を招くことなく、スタックへのガスの供給阻害の要因となる水を適切に処理することができるという効果を奏する。
本発明の実施の形態に係る燃料電池システムの概略構成の一例を示す模式図である。 図1に示す燃料電池システムが備えるスタックの概略構成の一例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る燃料電池システムにおいて実施される「フラッディング判定処理」の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る燃料電池システムが実施する「フラッディング判定処理」のサブルーチンである「電圧降下要因確定処理」の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る燃料電池システムが実施する「フラッディング判定処理」のサブルーチンである「酸化剤ガス経路側のフラッディング判定処理」の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る燃料電池システムが実施する「フラッディング判定処理」のサブルーチンである「燃料ガス経路側のフラッディング判定処理」の一例を示すフローチャートである。
本発明の第1の態様に係る燃料電池システムは、供給された燃料と酸素との電気化学反応により発電する燃料電池セルを複数積層して形成されたスタックと、前記スタックを形成する複数の燃料電池セルのうち所定の燃料電池セルの電圧を検出する電圧検出器と、前記燃料電池セルにおける燃料利用率および酸素利用率を設定する利用率設定部と、制御部と、を備え、前記制御部は、当該燃料電池システムの定格運転時において前記電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧未満となる場合、前記燃料電池セルにおける燃料利用率および酸素利用率を、該定格運転時に設定されている利用率よりも下げた第1燃料利用率および第1酸素利用率へと設定変更するように前記利用率設定部を制御し、この第1酸素利用率への設定変更後に電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧以上となったとき、水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生していると判定し、水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生していると判定した場合、前記第1酸素利用率の利用率を上げて第2酸素利用率に設定変更するように前記利用率設定部をさらに制御し、この第2酸素利用率への設定変更後に、前記電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧未満となるとき、酸素を供給するカソード供給経路内の水によって該酸素の供給阻害が起こっていると判定する。
ここで所定の燃料電池セルとは、スタックにおいてフラッディングが発生する確率が高い、例えば、スタックの端部またはその近傍に配置された燃料電池セルなどが挙げられる。
また、所定の電圧とは、燃料電池セルにおいて異常が発生しているか否かの判定基準となる電圧である。この電圧は、例えば、予め、燃料電池セルに異常が発生したとき検出されうる電圧の範囲を調べ、それらの電圧の範囲の中で適切に設定することができる。
上記した構成によると電圧検出器を備えているため、スタックにおける所定の燃料電池セルの電圧を検出することができる。また、利用率設定部を備えるため燃料電池セルにおける燃料利用率および酸素利用率を所望の利用率に設定変更することができる。
ところで、燃料電池セルの電圧が所定の電圧未満となる場合とは、該燃料電池セルにおいて何らかの不具合が発生したために電圧降下した場合である。このような状態において、制御部が、第1燃料利用率および第1酸素利用率へと利用率を下げるように利用率設定部を制御することにより、所定の燃料電池セルが所定の電圧以上となったとき、水による供給阻害が発生していると判定する。
つまり、利用率を下げることで燃料および酸素の供給を過剰とすることができるため、これによりフラッディングが要因で燃料電池セルの電圧が低下した場合はその低下が解消される。つまり、過剰に燃料および酸素を供給することで、燃料電池セルへのガスの供給不足を補うことができ、電圧低下を解消することができる。しかしながら、フラッディング以外が要因で燃料電池セルの電圧が低下した場合は、利用率を下げてもその電圧の低下は解消されない。
したがって、制御部は、第1燃料利用率および第1酸素利用率へと利用率を下げるように利用率設定部を制御することができるため、水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生しているか否か判定することができる。
さらに、水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生していると判定した場合、制御部は第1酸素利用率から利用率を上げた第2酸素利用率に設定変更させるように利用率設定部を制御することができる。そして、このように制御した場合において、前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧未満となるとき、制御部はカソード供給経路内の水によって酸素の供給阻害が少なくとも起こっていることを判定することができる。
具体的には、酸素を供給するカソード供給経路内に水が溜まり、この水により燃料電池セルへの酸素の供給阻害が発生している場合、酸素利用率を高め、供給する酸素量を低減させることで、燃料電池セルへの酸素の供給不足が発生し電圧が下がることとなる。この現象を利用して、制御部はカソード供給経路内の水によって酸素の供給阻害が少なくとも起こっているか否か判定することができる。
このようにスタックへのガスの供給阻害の要因となる水がカソード供給経路内にあるか否か判定することができるため、例えば除去などの処理を行うべき水の所在を確定することができる。このため、本発明の第1の態様に係る燃料電池システムは、適切にこの水を処理することができる。また、本発明の第1の態様に係る燃料電池システムでは、特許文献2のように燃料電池システムにおいてさらに圧力検出器を備える必要がなく簡易な構成とすることができる。
したがって、本発明の第1の態様に係る燃料電池システムは、装置の大型化および高コスト化を招くことなく、スタックへのガスの供給阻害の要因となる水を適切に処理することができるという効果を奏する。
また、本発明の第2の態様に係る燃料電池システムは、上記した第1の態様において、前記電圧検出器により電圧が検出される前記所定の燃料電池セルは、前記スタックにおける端部に位置する燃料電池セルであってもよい。
また、本発明の第3の態様に係る燃料電池システムは、上記した第1の態様において、前記電圧検出器により電圧が検出される前記所定の燃料電池セルは、前記スタックを形成する複数の燃料電池セルを複数のブロックに分割し、該複数のブロックのうち、前記スタックにおける端部に位置する燃料電池セルを含むブロックの中に属するいずれか1つの燃料電池セルであってもよい。
また、本発明に係る燃料電池システムは、上記した第1の態様から第3の態様におけるいずれか1つの態様において、前記利用率設定部は、前記燃料電池セルにおける前記第1酸素利用率を前記第2酸素利用率に設定変更する場合、第1酸素利用率の値が第2酸素利用率の値となるまで段階的に高くなるように変更しており、前記制御部は、前記利用率設定部によって段階的に設定変更された酸素利用率それぞれで電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧の変化を示す傾きが所定値以上である場合、該電圧が所定の電圧未満であると判断して、前記カソード供給経路内の水によって酸素の供給阻害が起こっていると判定するように構成されていてもよい。
上記した構成によると、制御部は、燃料電池セルの電圧の変化を示す傾きが所定値以上であるか否かでカソード供給経路内の水によって酸素の供給阻害が起こっているか否か判定することができる。
このように傾きから判定する構成の方が、酸素利用率をいきなり所定の利用率に設定変更する構成よりも端セルの電圧変化をみながら利用率の設定変更ができるため、安全に燃料電池セルへのガスの供給阻害要因を判定することができる。
また、本発明の第5の態様に係る燃料電池システムは、上記した第1の態様から第4の態様のいずれか1つの態様において、前記制御部が、前記カソード供給経路内の水によって酸素の供給阻害が起こっていると判定した場合、該カソード供給経路内における該水の除去を行う第一水分除去部をさらに備えるように構成されていてもよい。
上記した構成によると、第一水分除去部を備えているため、酸素の供給阻害の要因となっている水をカソード供給経路内から除去することができる。
また、本発明の第6の態様に係る燃料電池システムは、上記した第3の態様から第5の態様のいずれか1つの態様において、前記制御部は、前記カソード供給経路内の水によって酸素の供給阻害が起こっているか否かの判定をした後、前記第1燃料利用率の利用率を上げて第2燃料利用率に設定変更するようにさらに前記利用率設定部を制御し、このとき前記電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧未満となるとき、燃料を供給するアノード供給経路内の水によって該燃料の供給阻害が起こっていると判定するように構成されていてもよい。
上記した構成によると、制御部は第1燃料利用率から利用率を上げた第2燃料利用率に設定変更させるように利用率設定部を制御することができる。そして、燃料利用率を高めることで燃料を供給するアノード供給経路内の水によって該燃料の供給阻害が少なくとも起こっているか否かを判定することができる。
具体的には、もし、燃料を供給するアノード供給経路内に水が溜まり、この水により燃料電池セルへの燃料の供給阻害が発生している場合、燃料利用率を高め、供給する燃料を低減させることで、燃料電池セルへの燃料の供給不足が発生し電圧が下がることとなる。そこで、この現象を利用して、制御部はアノード供給経路内の水によって燃料の供給阻害が起こっているか否か判定することができる。
このようにスタックへのガスの供給阻害の要因となる水がアノード供給経路内にあるのか否か判定することができるため、例えば、除去などの処理を行うべき水の所在を確定することができる。このため、本発明の第6の態様に係る燃料電池システムは、適切にこの水を処理することができる。
また、本発明の第7の態様に係る燃料電池システムは、上記した第6の態様において、前記利用率設定部は、前記燃料電池セルにおける前記第1燃料利用率を前記第2燃料利用率に設定変更する場合、第1燃料利用率の値が第2燃料利用率の値となるまで段階的に高くなるように変更しており、前記制御部は、前記利用率設定部によって段階的に設定変更された燃料利用率それぞれで電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧の変化を示す傾きが所定値以上である場合、該電圧が所定の電圧未満であると判断して、前記アノード供給経路内の水によって燃料の供給阻害が起こっていると判定するように構成されていてもよい。
上記した構成によると、制御部は、燃料電池セルの電圧の変化を示す傾きが所定値以上であるか否かで、アノード供給経路内の水によって燃料の供給阻害が起こっているか否か判定することができる。
このように傾きから判定する構成の方が、燃料利用率をいきなり所定の利用率に設定変更する構成よりも端セルの電圧変化をみながら利用率の設定変更ができるため、安全に燃料電池セルへのガスの供給阻害要因を判定することができる。
また、本発明の第8の態様に係る燃料電池システムは、上記した第6または第7の態様において、前記制御部が、前記アノード供給経路内の水によって燃料の供給阻害が起こっていると判定した場合、該アノード供給経路内における該水の除去を行う第二水分除去部をさらに備えるように構成してもよい。
上記した構成によると、第二水分除去部を備えているため、燃料の供給阻害の要因となっている水をアノード供給経路内から除去することができる。
また、本発明の第9の態様に係る燃料電池システムの制御方法は、供給された燃料と酸素との電気化学反応により発電する燃料電池セルを複数積層して形成されたスタックを有する燃料電池システムの制御方法であって、当該燃料電池システムの定格運転時において、前記スタックを形成する複数の燃料電池セルのうち所定の燃料電池セルの電圧を検出し、検出された該電圧が所定の電圧未満となる場合、該燃料電池セルにおける燃料利用率および酸素利用率を、該定格運転時に設定されている利用率よりも下げた第1燃料利用率および第1酸素利用率へと設定変更し、この第1酸素利用率への設定変更後に検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧以上となったとき、水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生していると判定し、水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生していると判定した場合、さらに前記第1酸素利用率の利用率を上げて第2酸素利用率に設定変更させ、この設定変更後に検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧未満となるとき、酸素を供給するカソード供給経路内の水によって該酸素の供給阻害が起こっていると判定する。
上記した方法によると、第1燃料利用率および第1酸素利用率へと利用率を下げるように設定変更することができるため、水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生しているか否か判定することができる。
さらに、第1酸素利用率から利用率を上げた第2酸素利用率に設定変更させることで、酸素を供給するカソード供給経路内の水によって該酸素の供給阻害が起こっているか否かを判定することができる。
このようにスタックへのガスの供給阻害の要因となる水がカソード供給経路内にあるのか否か判定することができるため、例えば除去などの処理を行うべき水の所在を確定することができる。このため、本発明の第1の態様に係る燃料電池システムは、適切にこの水を処理することができる。
また、本発明の第9の態様に係る燃料電池システムの制御方法では、燃料電池システムは、経路中における燃料および酸素の圧力を測定する必要がないため、特許文献2の燃料電池システムのように圧力検出器を備える必要がなく簡易な構成とすることができる。
したがって、本発明の第9の態様に係る燃料電池システムの制御方法は、装置の大型化および高コスト化を招くことなく、スタックへのガスの供給阻害の要因となる水を適切に処理することができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、全ての図を通じて同一又は対応する構成部材には同一の参照符号を付して、その説明については省略する。
(燃料電池システムの構成)
まず、図1を参照して本発明の実施の形態に係る燃料電池システム100の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る燃料電池システム100の一例を示す模式図である。
図1に示すように燃料電池システム100は、スタック10、出力調整器70、電圧検出器30、燃料ガス供給器64、酸化剤ガス供給器66、加湿器68、水分除去部(第一水分除去部、第二水分除去部)36、および制御部34を備えてなる構成である。
そして、燃料電池システム100が備えるスタック10は、水素と酸素との電気化学反応によって発電する燃料電池単セル(燃料電池セル1)を、複数積層させたスタック構造を有している。各燃料電池セル1は、プロトン伝導性を有する高分子電解質膜(イオン交換樹脂膜)12の両面に、それぞれアノード電極層14およびカソード電極層16を接合した膜電極接合体8(MEA:Membrane-Electrode-Assembly)を、セパレータ52によって挟持した構成となっている。以下において、まずスタック10の構成について詳しく説明する。
(スタックの構成)
図2を参照して燃料電池システム100が備えるスタックについて説明する。図2は、図1に示す燃料電池システム100が備えるスタック10の概略構成の一例を示す断面図である。
図2に示すように、スタック10が備える燃料電池セル1は、MEA(膜電極接合体)18を含んでいる。そして、MEA18の両面には一対の板状の導電性のセパレータ52(アノード側セパレータ52a、カソード側セパレータ52b)が配置されている。MEA18は、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜12と、この高分子電解質膜12を挟みこむように配置された一対の電極層(アノード電極層14、カソード電極層16)とを備えてなる構成である。
高分子電解質膜12は、水素イオン伝導性を有する高分子膜であってもよい。高分子電解質膜12の形状は特に限定されないが、例えば、略矩形状とすることができる。高分子電解質膜12の材料は、水素イオンを選択的に移動させるものであってもよい。高分子電解質膜12としては、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸からなるフッ素系高分子電解質膜(例えば、米国DuPont社製のNafion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)など)や各種炭化水素系電解質膜を使用できる。
アノード電極層14およびカソード電極層16は、白金属触媒を坦持したカーボン粉末を主成分とする不図示の触媒層と、導電作用とガス透過性と撥水性とを併せ持つ不図示のガス拡散層(GDL)とを備えた構成であってもよい。このとき、触媒層は、水素または酸素の酸化還元反応に対する触媒を含む層であってもよい。触媒層は、導電性を有し、かつ水素および酸素の酸化還元反応に対する触媒能を有するものであれば特に限定されない。本実施形態では、この触媒層の形状を、例えば、略矩形状とすることができる。
より具体的には、触媒層は、例えば、白金族金属触媒を担持したカーボン粉末とプロトン導電性を有する高分子材料とを主成分とした多孔質な部材から構成できる。触媒層に用いるプロトン導電性高分子材料は、高分子電解質膜12と同じ種類であっても、異なる種類であってもよい。なお、この触媒層は、高分子電解質膜12の主面に触媒層形成用インクを塗工又はスプレーするなどして形成できる。
一方、ガス拡散層は、導電性を有し、かつ反応ガスが拡散できるものであればよく、例えば、炭素繊維を基材として用いたタイプであってもよいし、カーボンの微粉末をバインダーとともに混練してシート化したタイプのものや、金属の微粉末を焼結したタイプのものであってもよい。
炭素繊維を基材として用いたタイプのものとしては、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンフェルト等が挙げられる。
炭素微粉末としては、グラファイト、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維粉末などが挙げられる。前記カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、バルカンなどが挙げられる。また、前記炭素繊維微粉末としては、気相成長法炭素繊維(VGCF)、ミルドファイバー、カットファイバー、チョップファイバーなどが挙げられる。これらのうち、いずれか一種類を用いても良いし、複数混合したものを用いても良い。カーボンブラックと炭素繊維を混合することが、コスト、電気伝導性、強度の観点から好ましい。さらに、カーボンブラックとしては、アセチレンブラックを用いることが、不純物含有量が少なく、電気伝導性が高いという観点から好ましい。
バインダーとしては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などが挙げられる。これらの中でもバインダーとしてPTFEが使用されることが、耐熱性、撥水性、耐薬品性の観点から好ましい。PTFEの原料形態としては、ディスパージョン、粉末状などがあげられる。それらの中でもPTFEの原料形態としてディスパージョンが採用されることが、作業性の観点から好ましい。
金属微粉末としては、遷移金属微粉末、および、遷移金属合金微粉末が挙げられる。中でも、電気伝導性および耐酸性を有し、比較的安価である、チタン、ニッケル、ステンレス等を用いることが好ましい。
セパレータ52(アノード側セパレータ52aおよびカソード側セパレータ52b)は、MEAを機械的に固定するとともに、隣接するMEA同士を互いに電気的に直列に接続するための部材である。セパレータ52は、導電性を有する多孔質のプレートであっても良い。セパレータ52は、例えば、カーボンを含む材質や金属を含む材質で構成される。
ここでセパレータ52がカーボンを含む材質で構成される場合、セパレータ52は、カーボン粉末と樹脂バインダーとを混合した原料粉を金型に供給し、金型に供給された原料粉に圧力と熱を加えることによって形成できる。
セパレータ52が金属を含む材質で構成される場合、セパレータ52は、金属プレートからなるものであってもよい。セパレータは、チタンやステンレス鋼製の板の表面に金メッキを施したものを使用することができる。
図2に示すように、アノード電極層14と当接するアノード側セパレータ52aの主面には、燃料ガスを流すための燃料ガス流路溝42が設けられている。また、カソード電極層16と当接するカソード側セパレータ52bの主面には、酸化剤ガス(酸素)を流すための酸化剤ガス流路溝44が設けられている。また、アノード側セパレータ52aおよびカソード側セパレータ52bそれぞれにおいて、燃料ガス流路溝42および酸化剤ガス流路溝44が設けられている主面とは反対側の面には、水や不凍液などの冷却流体が通る冷却水流路溝32が形成されている。
そして、上記した構成を有する燃料電池単セル1では、燃料ガス流路溝42を通じて燃料ガス(水素含有ガス)が、酸化剤ガス流路溝44を通じて酸化剤ガスがそれぞれ供給され、電気化学反応が起こり、電力と熱とを発生させる。
また燃料電池単セル1は、図2に示すように複数、電気的に直列に接続した積層体であるスタック10として使用されるのが一般的である。なお、このときスタック10は、燃料ガスおよび酸化剤ガスがリークしないように、且つ接触抵抗を減らすために、ボルトなどの不図示の締結部材により所定の締結圧にて加圧締結される。
(燃料ガス供給器および酸化剤ガス供給器の構成)
次に、再度、図1を参照して燃料ガス供給器64および酸化剤ガス供給器66の構成について説明する。
燃料供給器64は、燃料ガス経路(アノード供給経路)65を介して、燃料ガスをスタック10へと供給するものである。燃料供給器64は、具体的には例えば、天然ガス、灯油、およびガソリン等から改質反応により水素含有ガスを生成する水素生成装置等を用いることができる。
一方、酸化剤ガス供給器66は、酸化剤ガス経路(カソード供給経路)71を介して、スタック10へと酸化剤ガス(酸素)を供給する。酸化剤ガスとしては、例えば、空気を利用できる。酸化剤ガス供給器66は、例えば、ブロワおよびファン等により構成されうる。そして、酸化剤ガス供給器66によりスタック10に供給された酸化剤ガスは酸化剤オフガスとして酸化剤オフガス経路75を通じて外部に排出される。
また、酸化剤ガス経路71および酸化剤オフガス経路75の途中には加湿器68が備えられており、この加湿器68によってスタック10に供給される酸化剤ガスが加湿される。具体的には、加湿器68は、酸化剤ガス経路71を介して酸化剤ガス供給器66から供給される酸化剤ガスを、酸化剤オフガス経路75を介してスタック10から供給される酸化剤オフガスで加湿する。
酸化剤ガス供給器66から加湿器68に至る酸化剤ガス経路71には、第1加湿器バイパス経路72の一端が接続され、第1加湿器バイパス経路72の他端は加湿器68からスタック10に至る酸化剤ガス経路71に接続されている。第1加湿器バイパス経路72が酸化剤ガス供給器66から加湿器68に至る酸化剤ガス経路71から分岐する部位には、第1切替器74が設けられている。第1切替器74は、酸化剤ガス供給器66から供給される酸化剤ガスのうち、加湿器68を通ってスタック10に供給される割合と、第1加湿器バイパス経路72を通ってスタック10に供給される割合とを調整する。第1切替器74は、例えば三方弁で構成されうる。
スタック10から加湿器68に至る酸化剤オフガス経路75には、第2加湿器バイパス経路76の一端が接続され、第2加湿器バイパス経路76の他端は加湿器68よりも下流の酸化剤オフガス経路75に接続されている。第2加湿器バイパス経路76がスタック10から加湿器68に至る酸化剤オフガス経路75から分岐する部位には、第2切替器78が設けられている。第2切替器78は、スタック10から供給される酸化剤オフガスのうち、加湿器68を通って燃料電池システム100の系外へと排出される割合と、第2加湿器バイパス経路76を通って燃料電池システム100の系外へと排出される割合とを調整する。第2切替器78も第1切替器78と同様に、例えば三方弁で構成することができる。
(出力調整器、電圧検出器の構成)
次に、燃料電池システム100が備える出力調整器70および電圧検出器30について説明する。
出力調整器70は、スタック10から出力される電流値を変化させるものであり、具体的には例えば、電力調整器(power controller)で構成することができる。この出力調整器70によってスタック10から出力される電流値を変化させることによりスタック10で消費する燃料ガスおよび酸化剤ガスの量を変化させることができる。
電圧検出器30は、スタック10における所定の燃料電池セル1の電圧を検出するものであり、例えば、電圧計により構成することができる。本実施形態では、電圧検出器30はスタック10を構成する複数の燃料電池セル1のうち、一方の端部に配置された燃料電池セル1(端セル)の電圧と、スタック10の中央に配置された燃料電池セル1(中央セル)の電圧とを検出する。そして詳細は後述するが、この検出結果に基づき、制御部34が両者の差分を求める。
ここで、燃料電池セル1の端セルと中央セルとの差分を求める理由について説明する。上述したようにスタック10は発熱しており、スタック10における燃料電池セル1の積層位置によっては放熱の大きさが異なり、温度が低く水分の蒸発が少ない燃料電池セル1や、温度が高く水分の蒸発が多い燃料電池セル1が混在することとなる。
一般的には、スタック10の端部に位置する燃料電池セル1(端セル)の方が中央に位置する燃料電池セル1(中央セル)よりも温度が低く水分蒸発量が小さいことが知られている。このため、端セルの方が中央セルよりもフラッディングが発生する可能性が高く、このフラッディングによって電圧が小さくなる可能性が大きくなる。つまり、中央セルの方が端セルよりもフラッディングの影響が小さく、電圧の下がり方は端セルよりも小さくなる。
そこで、本実施の形態に係る燃料電池セル100の電圧検出器30は、端セルの電圧と中央セルの電圧とを検出する。そして制御部34が、この検出結果に基づき、その差分から端セル側でフラッティングが生じているか否か判定する。
なお、電圧検出器30の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、電圧検出器30が端セルの電圧を検出し、制御部34が、この検出された電圧が所定の閾値より大きいか否か判定する構成であってもよい。このように構成される場合、所定の閾値を、スタック10においてフラッディングが発生せず正常に燃料電池セル1が稼動するときの電圧範囲に含まれる任意の値とすることができる。
(水分除去部の構成)
次に、燃料電池システム100が備える水分除去部36について説明する。本実施形態では、例えば、燃料ガス経路65または酸化剤ガス経路71に凝縮した水が溜まることによって、燃料ガスまたは酸化剤ガスの供給が阻害され、アノード電極層14またはカソード電極層16へのガス供給不足により、電池特性が低下するフラッディングが発生した場合、この溜まった水を水分除去部36によって除去できるように構成されている。
水分除去部36は、燃料ガス経路65およびは酸化剤ガス経路71を加熱するヒータによって構成できる。なお、水除去部36はこのようなヒータに限定されるものではない。
例えば、燃料ガス供給器64から燃料ガスを、あるいは酸化剤ガス供給器66から酸化剤ガスを一定時間、大流量で流すように制御部34が制御するとともに、スタック10から出力される電流に対する負荷を停止させる、もしくは電流を低出力となるように出力調整器70を制御する構成であってもよい。このように構成される場合は、水分除去部36は、制御部34、燃料ガス供給器64、酸化剤ガス供給器66、および出力調整器70によって構成されることとなる。
あるいは、水分除去部36は、燃料ガス供給器64からスタック10に供給させる燃料ガスの相対湿度または酸化剤ガス供給器66からスタック10に供給させる酸化剤ガスの相対湿度を低下させるように構成することでも実現できる。より具体的には、燃料ガスの相対湿度を低下させるときは、燃料ガス供給器64が、燃料ガスのS/C(スチームカーボン比)を小さくなるようにする。一方、酸化剤ガスの相対湿度を低下させるときは、制御部34が第1切替器74を制御して加湿器68を流通する酸化剤ガスの流量を小さくしたり、第2切替器78を制御して改質器68を流通する酸化剤オフガスの流量を小さくしたりする。すなわち、このように構成される場合、水分除去部36は、制御部34、第1切替器74、および第2切替器78によって構成できる。
制御部34は、燃料電池システム100が備える上述した各部の各種制御を行うものであり、演算処理部と、この演算処理部が読み出して実行する制御プログラムを格納する記憶部とを備える。演算処理部としては、MPU(Micro-Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)が例示される。記憶部としては、メインメモリ、あるいはハードディスクなどの外部記憶装置などが例示される。制御部34は、単独で中制御を行う構成であってもよく、複数の制御部34が互いに協働して分散制御を行う構成であってもよい。
ところで、上記した構成を有する燃料電池システム100では、スタック10は、内部の湿潤状態によって、性能が大きく左右される。すなわち、スタック10内部が乾燥状態になりすぎると、高分子電解質膜のイオン伝導性が著しく低下し、内部抵抗が増大するため、スタック10の性能が低下する。
一方、スタック10内部の水分が過剰になりすぎると、水分が凝縮して多量の水が生成され、燃料電池の反応に必要な燃料ガスあるいは酸化剤ガスの流れを妨げるため、スタック10の性能が低下する。燃料電池システム100を安定的に動作させるためには、スタック10内部の湿潤状態を適切に制御することが必要となる。
特に、燃料ガスが流通する経路(燃料ガス経路65)内に発生した水(凝縮水)に起因して、スタック10への燃料ガス供給阻害が起こった場合、いわゆる転極と呼ばれる現象が発生する。転極が発生すると、アノード側の触媒金属の溶出またはアノード側の触媒担体の腐食が膜/電極接合体(MEA:Membrane Electrode-Assembly)に対して大きな劣化を引き起こす。
そこで、本実施の形態に係る燃料電池システム100では、特に、スタック10においてアノード電極層14側またはカソード電極層16側のいずれでフラッディングが発生しているのか判定し、フラッディングが発生している電極層側と連通する経路に対して水分除去部36により水分除去を行うことができるように構成されている。より具体的には、燃料電池システム100は、フラッディング判定処理として、以下のようにフラッディングが発生しているか否か判定し、フラッティングが発生していると判定した場合、水分除去部36により水分除去処理を実施する。
(フラッディング判定処理)
図3を参照して、燃料電池システム100における「フラッディング判定処理」について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る燃料電池システム100において実施される「フラッディング判定処理」の一例を示すフローチャートである。
本実施の形態に係る燃料電池システム100は、スタック10を形成する複数の燃料電池セル1のうち、端部に位置する燃料電池セル1(端セル)の電圧を少なくとも検出しており、この電圧が降下した場合に、その降下した要因を確定する処理を実施する(ステップS1)。
そして、ステップS1においスタック10における端セルの電圧降下要因がフラッディングであると確定した場合、燃料電池システム100では、フラッディングの要因が酸化剤ガス経路75側にあるのか否か判定処理を行う(ステップS2)。次いで、燃料電池システム100では、フラッディングの要因が燃料ガス経路65側にあるのか否か判定処理を行う(ステップS3)。
なお、上述したように、燃料電池システム100では、フラッディングの要因が酸化剤ガス経路75側にあるのか否か判定する処理を、フラッディングの要因が燃料ガス経路65側にあるのか否か判定する処理よりも先に行うように構成されている。これは判定処理中における転極発生の確率を低減させるためである。
具体的には、燃料電池システム100では、詳細は後述するがフラッディングの要因が酸化剤ガス経路75側にあるか否か判定する場合、燃料電池セル1における酸素利用率(Uo)を、現時点での酸素利用率(Uo)よりも高めるように変更して判定する。また、フラッディングの要因が燃料ガス経路65側にあるか否か判定する場合、燃料電池セル1における燃料利用率(Uf)を、現時点での燃料利用率(Uf)よりも高めるように変更して判定する。また、このような利用率の変更は、一旦、酸素利用率(Uo)および燃料利用率(Uf)を低く抑えた状況を基点にして行われる。
また、燃料電池システム100では酸素利用率(Uo)および燃料利用率(Uf)を低く抑える場合、スタック10からの出力(電流値)を低下させることで実現している。このように低出力状態のスタック10において、フラッディングの要因が燃料ガス経路65側にあるのか否か判定するため燃料ガス利用率(Uf)を高める場合、スタック10に供給する燃料ガス流量をきわめて小さくなるように設定する必要がある。このため、スタック10における燃料ガスの分配性が極めて悪くなる。
したがって、このような低出力状態のスタック10において燃料ガス利用率(Uf)を高めようとすると、ガスの流れが悪い燃料電池セル1で燃料不足に起因して転極するリスクが増大する。転極は、一度、発生してしまうと、MEAに対して極めて大きな劣化を引き起こす要因となる。
一方、フラッディングの要因が酸化剤ガス経路75側にあるか否か判定するために酸化剤ガスの利用率を高めた場合は、燃料電池セル1において酸素不足になったとしても転極を引き起こすことがない。このため、転極の発生リスクを低減させるために、先にフラッディングの要因が酸化剤ガス経路75側にあるか否か判定するように構成されている。
(電圧降下要因確定処理)
まず、ステップS1に示す「電圧降下要因確定処理」の詳細について図4を参照して説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る燃料電池システムが実施する「フラッディング判定処理」のサブルーチンである「電圧降下要因確定処理」の一例を示すフローチャートである。
燃料電池システム100は、通常運転に設定して稼動しているものとする(ステップS10)。この通常運転では、燃料電池セル1における燃料利用率(Uf)は、例えば80%、酸素利用率(Uo)は、例えば50%となるように設定されている。
このように通常の運転状態で燃料電池システム100が稼動しているとき、電圧検出器30がスタック10における所定の燃料電池セル1の電圧(V1、V2)を検出する(ステップS11)。
具体的には、電圧検出器30は、スタック10における端部に位置する燃料電池セル1(端セル)の電圧(V1)を検出する。しかしながら、電圧検出対象となる燃料電池セル1はこの端セルに限定されるものではなくこの端セルと隣接する他の燃料電池セル1であってもよい。あるいは、スタック10を形成する複数の燃料電池セル1を複数のブロックに分割し、端セルを含むブロックにおける、いずれか1つの燃料電池セル1を電圧検出対象としてもよい。
また、電圧検出器30は、この電圧検出対象の電圧と比較する電圧値として、スタック10における中央部に位置する燃料電池セル1(中央セル)の電圧(V2)も検出している。つまり、スタック10における端部の燃料電池セル1の温度は中央部に位置する燃料電池セル1の温度よりも低くなり、フラッディングが発生する可能性が高い。これに対して、中央部に位置する燃料電池セル1は、高温のためフラディングが発生する可能性が低く、電圧値の降下が生じにくい。
このため、電圧検出器30は、端セルの電圧(V1)の電圧降下の有無を判定するために比較対象として利用する電圧値として、中央セルの電圧(V2)も検出している。なお、この比較対象となる電圧値として利用する電圧は、この中央セルの電圧(V2)に限定されるものではない。例えば、この中央セルと隣接する他の燃料電池セル1から検出される電圧を利用してもよい。あるいは、スタック10を形成する複数の燃料電池セル1を複数のブロックに分割し、中央セルを含むブロックにおける、いずれか1つの燃料電池セル1から検出された電圧を利用してもよい。
もしくは、この比較対象となる電圧値は、予め設定されている値であってもよい。比較対象となる電圧値を予め設定された値とする場合、この電圧値は、例えば、通常運転時における、スタック10を形成する複数の燃料電池セル1の平均電圧を予め求めて得た値としてもよい。
このように電圧検出器30が端セルの電圧(V1)および中央セルの電圧(V2)を検出すると、この検出結果に基づき、制御部34が端セルの電圧(V1)が所定の電圧未満となっているか否か判定する。具体的には、制御部34は、検出された端セルの電圧(V1)と中央セルの電圧(V2)との差分(V2−V1)が所定値Vaより大きいか否か判定する(ステップS12)。なお、所定値Vaは、端セルと中央セルとの電圧差において、端セルにおいて電圧降下が発生していると認められる範囲で設定することができる値である。
ステップS12において制御部34が端セルの電圧(V1)と中央セルの電圧(V2)との差分(V2−V1)が所定値Vaより大きいと判定した場合(ステップS12において「YES」)、端セルの電圧(V1)が所定の電圧未満となっていると判定する。そして、制御部34は、スタック10における端セルに異常が発生していると判定する(ステップS13)。
また、制御部34は、ステップS13で異常が発生していると判定すると、異常の要因が経路中に溜まった水によりガスの供給阻害が生じたものであるのか特定するために、燃料電池システム100における運転条件の設定を変更させる。具体的には、制御部34は、通常の運転時に設定されている燃料利用率(Uf)と酸素利用率(Uo)とが低くなるように設定を変更させる(低Uf/低Uo運転)(ステップS14)。例えば、燃料利用率(Uf)を80%から40%まで、酸素利用率(Uo)を50%から25%まで低下させるように設定を変更する。制御部34は、燃料利用率(Uf)と酸素利用率(Uo)とを低下させるために、出力調整部70に対して、スタック10からの出力を下げるように指示する。この指示に応じて、出力調整部70がスタック10からの電流値を半分下げる。これにより、燃料利用率(Uf)および酸素利用率(Uo)を小さくすることができる。なお、このステップ14では出力調整部70が本発明の利用率設定部を構成する。
上述したように、燃料電池システム100では、スタック10からの出力を下げることで、上述した低Uf/低Uo運転となるように制御しているが、スタック10に供給する燃料ガスおよび酸化剤ガスの流量をそれぞれ大きくすることで、上述した低Uf/低Uo運転となるように制御してもよい。このように制御する場合、制御部34は、燃料ガス供給器64に対して、供給する燃料ガス流量を増大させるように指示するとともに、酸化剤ガス供給器66に対して、供給する酸化剤ガス流量を増大させるように指示する。この構成の場合、このステップ14における利用率設定部は、燃料ガス供給器64および酸化剤ガス供給器66により構成することができる。
このように低Uf/低Uo運転に設定を変更することで、スタック10内における水素および酸素の濃度を高く維持することができる。このため、スタック10内の一部分で水によるガス(燃料ガスまたは酸化剤ガス)の供給阻害、すなわちフラッディングが起こった場合であっても発電を継続することができる。つまり、フラッディングによりスタック10の端部の燃料電池セル1の電圧が低下している場合は、上述した低Uf/低Uo運転に設定を変更することで燃料電池セル1に燃料ガスおよび酸化剤ガスを過剰に供給することができる。これにより、燃料電池セル1へのガスの供給不足を補うことができ、電圧低下は解消されることとなる。
そこで、低Uf/低Uo運転設定時の燃料電池システム100において、電圧検出器30が、再度、端セルの電圧(V3)および中央セルの電圧(V4)を検出する(ステップS15)。そして、制御部34が、この検出結果に基づき、端セルの電圧(V3)が所定の電圧未満となっているか否か判定する。具体的には、制御部34は、検出された端セルの電圧(V3)と中央セルの電圧(V4)との差分(V4−V3)が所定値Vbより大きいか否か判定する(ステップS16)。なお、端セルと中央セルとの電圧差において、端セルにおいて電圧降下が発生していると認められる範囲で任意に設定することができる。
ステップS16において端セルの電圧(V3)と中央セルの電圧(V4)との差分(V4−V3)が所定値Vbより大きい場合(ステップS14において「YES」)、制御部34が端セルの電圧(V3)が所定の電圧未満となっていると判定する。そして、制御部34は、低Uf/低Uo運転に設定を変更した後でも端セルの電圧(V3)が所定の電圧未満となっているため、フラッディング以外の要因で端セルの電圧が低下していると判定する(ステップS17)。
一方、ステップS16において、制御部34が端セルの電圧(V3)と中央セルの電圧(V4)との差分(V4−V3)が所定値Vb以下であると判定した場合(ステップS16において「NO」)、経路中に発生した水によるガス(燃料ガスまたは酸化剤ガス)供給の供給阻害であると確定する(ステップS18)。
つまり、ステップS16において「NO」の場合とは、端セルの電圧(V3)と中央セルの電圧(V4)との間に大きな差が見られない場合である。すなわち、低Uf/低Uo運転に設定することで、端セルの電圧低下が解消された場合である。
このように、本実施の形態に係る燃料電池システム100では、確度よく、スタック10の端部の燃料電池セル1の電圧が低下している要因が経路中に溜まった水(凝縮水)であるか否か判定することができる。
しかしながら、この段階では、水(凝縮水)が溜まっている位置が、燃料ガス経路65であるのかそれとも酸化剤ガス経路71であるのか区別することができない。そこで、これらを判定するために燃料電池システム100では、まず、酸化剤ガス経路71側の水によってフラッディングが生じているのか否か判定する処理である、「酸化剤ガス経路側のフラッディング判定処理」を実施する。
(酸化剤ガス経路側のフラッディング判定処理)
次に、酸化剤ガス経路側のフラッディング判定処理について図5を参照して説明する。図5は、本発明の実施の形態に係る燃料電池システムが実施する「フラッディング判定処理」のサブルーチンである「酸化剤ガス経路側のフラッディング判定処理」の一例を示すフローチャートである。
制御部34は、まず、燃料電池システム100の運転の設定を上述した低Uf/低U0運転から低Uf/高Uo運転へと設定を変更させる(ステップS20)。すなわち、経路中に発生した水によるガス(燃料ガスまたは酸化剤ガス)供給の阻害が発生していると確定すると、制御部34は現時点で設定されている酸素利用率(Uo)が大きくなるように設定を変更させる(低Uf/高Uo運転)。
例えば、制御部34は、「電圧降下要因確定処理」によって低Uf/低Uo運転に設定されている状態、すなわち、燃料利用率(Uf)40%、酸素利用率(Uo)25%となっている状態で、酸素利用率(Uo)のみ50%以上に上げる。これにより、燃料電池セル1のカソード電極層16のみ水(凝縮水)に対する耐性を低下させることができる。つまり、水(凝縮水)が経路中に発生している場合、カソード電極層16のみこの影響を受けやすくなるようにすることができる。
具体的には制御部34は、酸化剤ガス供給器66に対して、供給する酸化剤ガスの流量を小さくするように指示する。これによって、燃料電池システム100は低Uf/高Uo運転へと設定変更される。なお、このステップS20では、酸化剤ガス供給器66により本発明の利用率設定部を構成することができる。
低Uf/高Uo運転設定時の燃料電池システム100において、電圧検出器30が、再度、端セルの電圧(V5)および中央セルの電圧(V6)を検出する(ステップS21)。そして、制御部34が、この検出結果に基づき、端セルの電圧(V5)が所定の電圧未満となっているか否か判定する。具体的には、制御部34は、検出された端セルの電圧(V5)と中央セルの電圧(V6)との差分(V6−V5)が所定値Vcより大きいか否か判定する(ステップS22)。なお、所定値Vcは、端セルと中央セルとの電圧差において、端セルにおいて電圧降下が発生していると認められる範囲で任意に設定することができる。
ここで制御部34が、差分(V6−V5)が所定値Vcより大きいと判定した場合(ステップS22において「YES」)、端セルの電圧(V5)が所定の電圧未満となっていると判定する。そして、制御部34は、低Uf/高Uo運転から酸素利用率(Uo)を上げることで、端セルの電圧(V5)が所定の電圧未満となったため、少なくとも酸化剤ガス経路71内の水により酸化剤ガスの供給が阻害されていると判定する(ステップS23)。
そして、制御部34は、水分除去部36に対して酸化剤ガス経路71内の水分除去を指示する。この制御部34からの指示に応じて、水分除去部36は、酸化剤ガス経路71内の水分を除去する(ステップS24)。水分除去部36による水分除去処理については、上述したためここでは説明は省略する。
水分除去部36により水分除去処理が実施されると、再度、ステップS21に戻る。すなわち、電圧検出器30が低Uf/高Uo運転での端セルの電圧(V5)と中央セルの電圧(V6)を再度、検出する(ステップS21)。そして、制御部34が中央セルの電圧と端セルの電圧との差分(V6−V5)が所定値Vcよりも大きいか否か判定する(ステップS22)。そして、電圧との差分(V6−V5)が所定値Vcよりも大きい場合(ステップS22において「Yes」)は、制御部34は、依然として酸化剤ガス経路71内の水により酸化剤ガスの供給が阻害されていると判定し(ステップS23)、水分除去部36に対して酸化剤ガス経路71内の水分除去を指示する。この制御部34からの指示に応じて、水分除去部36は、酸化剤ガス経路71内の水分を除去する(ステップS24)。
このように、本実施の形態に係る燃料電池システムでは、酸化剤ガス経路71内の水により酸化剤ガスの供給が阻害されていると判定した場合、中央セルの電圧と端セルの電圧との差分(V6−V5)が所定値Vc以下となるまで、水分除去部36による水分除去処理を繰り返すことができる。
一方、ステップS22において「NO」の場合は、低Uf/高Uo運転に設定を変更しても端セルの電圧低下が小さいことを示している。このため、酸化剤ガス経路71内には酸化剤ガスの供給を阻害するような水が溜まっていないことが分かる。したがって、ステップS22において「NO」の場合、制御部34は、端セルの電圧低下の要因が酸化剤ガス供給経路71内に溜まった水分ではないと判定する(S25)。
上述したように「酸化剤ガス経路側のフラッディング判定処理」を実施すると、燃料電池システム100では、次に、「燃料ガス経路側のフラッディング判定処理」が実施される。以下において「燃料ガス経路側のフラッディング判定処理」について説明する。
(燃料ガス経路側のフラッディング判定処理)
図6を参照して、本実施の形態に係る燃料電池システム100で実施される、「燃料ガス経路側のフラッディング判定処理」について具体的に説明する。図6は、本発明の実施の形態に係る燃料電池システムが実施する「フラッディング判定処理」のサブルーチンである「燃料ガス経路側のフラッディング判定処理」の一例を示すフローチャートである。
「燃料ガス経路側のフラッディング判定処理」では、「酸化剤ガス経路側のフラッディング判定処理」で設定されている低Uf/高Uo運転(燃料利用率(Uf)40%、酸素利用率(Uo)50%)を、通常運転(燃料利用率(Uf)80%、酸素利用率(Uo)50%)へと変更させる(ステップS30)。
すなわち、「酸化剤ガス経路側のフラッディング判定処理」で設定した運転状態において燃料利用率(Uf)を40%から80%に上げる。このようにステップS30では、通常運転時の燃料利用率(Uf)および酸素利用率(Uо)へと設定変更することで燃料利用率(Uf)を上げる構成である。このため、制御部34は、燃料ガス供給器64から供給される燃料の供給量と酸化剤ガス供給器66から供給される酸化剤ガスの供給量とを通常運転時の設定に戻すように制御する。さらに出力調整器70に指示してスタック10の出力を通常運転時に設定されている値に戻すように制御する。すなわち、このステップS30では、燃料ガス供給器64、酸化剤ガス供給器66、および出力調整器79によって本発明の利用率設定部を構成することができる。
このように通常運転に設定した燃料電池システム100において、電圧検出器30が、端セルの電圧(V1)および中央セルの電圧(V2)を検出する(ステップS31)。そして、制御部34が、この検出結果に基づき、端セルの電圧(V1)が所定の電圧未満となっているか否か判定する。具体的には、制御部34は、検出された端セルの電圧(V1)と中央セルの電圧(V2)との差分(V2−V1)が所定値Vaより大きいか否か判定する(ステップS32)。
ここで、ステップS32において「YES」の場合、制御部34は端セルの電圧(V1)が所定の電圧未満となっていると判定する。そして、制御部34は、燃料電池システム100における経路中に生じた水が原因で端セルへのガス供給阻害が発生していると判定する。つまり、このステップS32では、すでに、「酸化剤ガス経路側のフラッディング判定処理」でガスの供給阻害の原因は酸化剤ガス経路内の水ではないと判定しているか、もしくは酸化剤ガス経路内の水を除去している。したがって、ステップS32において「YES」の場合、制御部34は、燃料ガス経路内の水による供給阻害と判定する(ステップS33)。
そして、制御部34は、水分除去部36に対して燃料ガス経路65内の水分除去を指示する。この制御部34からの指示に応じて、水分除去部36は、燃料ガス経路65内の水分を除去する(ステップS34)。水分除去部36による水分除去処理については、上述したためここでは説明は省略する。
水分除去部36により水分除去処理が実施されると、再度、ステップS31に戻る。すなわち、電圧検出器30が通常運転での端セルの電圧(V1)と中央セルの電圧(V2)を再度検出する(ステップS31)。そして、制御部34が中央セルの電圧と端セルの電圧との差分(V2−V1)が所定値Vaよりも大きいか否か判定する(ステップS32)。そして、電圧との差分(V2−V1)が所定値Vaよりも大きい場合(ステップS32において「Yes」)は、制御部34は、依然として燃料ガス経路65内の水により燃料ガスの供給が阻害されていると判定し(ステップS33)、水分除去部36に対して燃料ガス経路71内の水分除去を指示する。この制御部34からの指示に応じて、水分除去部36は、燃料ガス経路71内の水分を除去する(ステップS34)。
このように、本実施の形態に係る燃料電池システムでは、燃料ガス経路65内の水により燃料ガスの供給が阻害されていると判定した場合、中央セルの電圧と端セルの電圧との差分(V2−V1)が所定値Va以下となるまで、水分除去部36による水分除去処理を繰り返すことができる。
一方、ステップS32において「NO」の場合は、通常運転において端セルの電圧低下が小さいことを示している。つまり、制御部34は経路内の水によるガス(燃料ガス、酸化剤ガス)の供給阻害が解消されたと判定して、処理を終了する。
なお、上述した「酸化剤ガス経路側のフラッディング判定処理」において、ステップS20の低Uf/高Uo運転への設定に際しては、酸素利用率(Uo)を所定の利用率(例えば、Uo=50%)まで一気に変化させる構成であってもよい。あるいは、酸素利用率(Uo)を段階的に所定の利用率(例えば、Uo=50%)になるまで変化させる構成であってもよい。
酸素利用率(Uo)を段階的に変化させる構成の場合、ステップS21では、酸素利用率が変化するごとに電圧検出器30が端セルの電圧(V5)と中央セルの電圧(V6)とを検出する。そして、ステップS22では、制御部34が、端セルの電圧(V5)と中央セルの電圧(V6)とを電圧検出器30が検出するたびにそれらの差分(V6−V5)を求め、この求めた値の変化を示す傾きから酸化剤ガス経路71に溜まった水により酸化剤ガスの供給阻害が起こっているか否か判定する。制御部34は、この傾きが所定の値よりも大きい場合、すなわち端セルの電圧変化が大きい場合、少なくとも酸化剤ガス経路71に溜まった水が原因で酸化剤ガスの供給阻害が起こっていると判定する。
このように、傾きから判定する構成の方が、酸素利用率をいきなり所定の利用率に設定変更する構成よりも端セルの電圧変化をみながら利用率の設定変更ができるため、安全に燃料電池セル1へのガスの供給阻害要因を判定することができる。
また、上述した「燃料ガス経路側のフラッディング判定処理」において、ステップS30の通常運転への設定に際しては燃料利用率(Uf)を通常運転時の利用率(例えば、Uf=80%)まで一気に変化させる構成であってもよい。あるいは。燃料利用率(Uf)を段階的に所定の利用率(例えば、Uf=80%)になるまで変化させてもよい。
燃料利用率(Uf)を段階的に変化させる構成の場合、ステップS30では、制御部34からの指示に応じて出力調整器70がスタック1の出力を段階的に通常運転時の出力まで上げるように調整する。
また、ステップS31では、燃料利用率(Uf)が変化するごとに電圧検出器30が端セルの電圧(V1)と中央セルの電圧(V2)とを検出する。そして、ステップS32では、制御部34が、端セルの電圧(V1)と中央セルの電圧(V2)とを電圧検出器30が検出するたびにそれらの差分(V2−V1)を求め、この求めた値の変化を示す傾きから燃料ガス経路65に溜まった水により燃料ガスの供給阻害が起こっているか否か判定する。制御部34は、この傾きが所定の値よりも大きい場合、すなわち端セルの電圧変化が大きい場合、燃料ガス経路65に溜まった水が原因で燃料ガスの供給阻害が起こっていると判定する。
このように、傾きから判定する構成の方が、燃料利用率をいきなり所定の利用率に設定変更する構成よりも端セルの電圧変化をみながら利用率の設定変更ができるため、安全に燃料電池セル1へのガスの供給阻害要因を判定することができる。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明の一態様は、従来よりも簡潔な構成でスタックの湿潤状態を判定することができる燃料電池システムおよびその運転方法として有用である。
1 燃料電池セル
10 スタック
12 高分子電解質膜
14 アノード電極層
16 カソード電極層
18 MEA(膜電極接合体)
30 電圧検出器
34 制御部
36 水分除去部(第一水分除去部、第二水分除去部)
64 燃料ガス供給器
65 燃料ガス経路(アノード供給経路)
66 酸化剤ガス供給器
68 加湿器
70 出力調整器
71 酸化剤ガス経路(カソード供給経路)
72 第1加湿器バイパス経路
74 第1切替器
75 酸化剤オフガス経路
76 第2加湿器バイパス経路
78 第2切替器
100 燃料電池システム

Claims (9)

  1. 供給された燃料と酸素との電気化学反応により発電する燃料電池セルを複数積層して形成されたスタックと、
    前記スタックを形成する複数の燃料電池セルのうち所定の燃料電池セルの電圧を検出する電圧検出器と、
    前記燃料電池セルにおける燃料利用率および酸素利用率を設定する利用率設定部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    当該燃料電池システムの定格運転時において前記電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧未満となる場合、前記燃料電池セルにおける燃料利用率および酸素利用率を、該定格運転時に設定されている利用率よりも下げた第1燃料利用率および第1酸素利用率へと設定変更するように前記利用率設定部を制御し、この第1酸素利用率への設定変更後に電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧以上となったとき、水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生していると判定し、
    水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生していると判定した場合、前記第1酸素利用率の利用率を上げて第2酸素利用率に設定変更するように前記利用率設定部をさらに制御し、この第2酸素利用率への設定変更後に、前記電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧未満となるとき、酸素を供給するカソード供給経路内の水によって該酸素の供給阻害が起こっていると判定する燃料電池システム。
  2. 前記電圧検出器により電圧が検出される前記所定の燃料電池セルは、前記スタックにおける端部に位置する燃料電池セルである請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記電圧検出器により電圧が検出される前記所定の燃料電池セルは、前記スタックを形成する複数の燃料電池セルを複数のブロックに分割し、該複数のブロックのうち、前記スタックにおける端部に位置する燃料電池セルを含むブロックの中に属するいずれか1つの燃料電池セルである請求項1に記載の燃料電池システム。
  4. 前記利用率設定部は、前記燃料電池セルにおける前記第1酸素利用率を前記第2酸素利用率に設定変更する場合、第1酸素利用率の値が第2酸素利用率の値となるまで段階的に高くなるように変更しており、
    前記制御部は、前記利用率設定部によって段階的に設定変更された酸素利用率それぞれで電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧の変化を示す傾きが所定値以上である場合、該電圧が所定の電圧未満であると判断して、前記カソード供給経路内の水によって酸素の供給阻害が起こっていると判定する請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記制御部が、前記カソード供給経路内の水によって酸素の供給阻害が起こっていると判定した場合、該カソード供給経路内における該水の除去を行う第一水分除去部をさらに備える請求項1から4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 前記制御部は、前記カソード供給経路内の水によって酸素の供給阻害が起こっているか否かの判定をした後、前記第1燃料利用率の利用率を上げて第2燃料利用率に設定変更するようにさらに前記利用率設定部を制御し、このとき前記電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧未満となるとき、燃料を供給するアノード供給経路内の水によって該燃料の供給阻害が起こっていると判定する請求項3から5のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  7. 前記利用率設定部は、前記燃料電池セルにおける前記第1燃料利用率を前記第2燃料利用率に設定変更する場合、第1燃料利用率の値が第2燃料利用率の値となるまで段階的に高くなるように変更しており、
    前記制御部は、前記利用率設定部によって段階的に設定変更された燃料利用率それぞれで電圧検出器により検出された前記燃料電池セルの電圧の変化を示す傾きが所定値以上である場合、該電圧が所定の電圧未満であると判断して、前記アノード供給経路内の水によって燃料の供給阻害が起こっていると判定する請求項6に記載の燃料電池システム。
  8. 前記制御部が、前記アノード供給経路内の水によって燃料の供給阻害が起こっていると判定した場合、該アノード供給経路内における該水の除去を行う第二水分除去部をさらに備える請求項6または7に記載の燃料電池システム。
  9. 供給された燃料と酸素との電気化学反応により発電する燃料電池セルを複数積層して形成されたスタックを有する燃料電池システムの制御方法であって、
    当該燃料電池システムの定格運転時において、前記スタックを形成する複数の燃料電池セルのうち所定の燃料電池セルの電圧を検出し、
    検出された該電圧が所定の電圧未満となる場合、該燃料電池セルにおける燃料利用率および酸素利用率を、該定格運転時に設定されている利用率よりも下げた第1燃料利用率および第1酸素利用率へと設定変更し、
    この第1酸素利用率への設定変更後に検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧以上となったとき、水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生していると判定し、
    水により燃料電池セルへのガスの供給阻害が発生していると判定した場合、さらに前記第1酸素利用率の利用率を上げて第2酸素利用率に設定変更させ、この設定変更後に検出された前記燃料電池セルの電圧が所定の電圧未満となるとき、酸素を供給するカソード供給経路内の水によって該酸素の供給阻害が起こっていると判定する燃料電池システムの制御方法。
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