JP2014188744A - 化粧シート - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、耐傷性に優れ、且つグロスマット感を表現することにより意匠性にも優れた化粧シートを提供する。
【解決手段】基材シート上に、少なくとも絵柄印刷艶調整層及び表面保護層がこの順に積層された化粧シートであって、
(1)前記絵柄印刷艶調整層は微粒子を含有し、
(2)前記表面保護層は、厚みが10μm以上であり、
(3)前記絵柄印刷艶調整層の表面と、前記表面保護層の表面との距離が1〜6μmである、
ことを特徴とする化粧シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、化粧シートに関する。
従来、建築物の内外装、家具、建具、車両の内装、家電製品の表面化粧材等に、凹凸感と深みが表現された意匠性を付与するために、グロスマット調(艶のある部分を浮き出させ、艶のない部分を凹んで見えるようにする色調)の化粧シートが用いられている。
このようなグロスマット調の化粧シートとして、合成樹脂製透明基材層の一方の面にパターン状低艶印刷層を設けた後に、上記一方の面全面に表面保護層を設けた化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような化粧シートは部分的に低艶意匠、高艶意匠が発現されてグロスマット感を表現することができ、更に、パターン状低艶印刷層を被覆するように表面保護層が形成されているため、意匠性と表面物性に優れた化粧シートとなる。
このような化粧シートも優れており、家具やキャビネット等の建具の表面に用いる化粧シートとしては十分な性能を示すが、床用化粧シートとして用いる場合には更なる耐 傷性が要求される。耐傷性を向上させるために表面保護層の厚みを厚くする手法が考えられる。
しかしながら、表面保護層の厚みを厚くした場合、耐傷性は向上するものの、下層に積層されたパターン状低艶印刷層による艶消し効果が薄れ、視覚的な意匠性(グロスマット感)が損なわれるという問題がある。耐傷性と、グロスマット感を表現した意匠性とを兼ね備える化粧シートは未だ開発されていない。
従って、耐傷性及び意匠性(グロスマット感)に優れた化粧シートの開発が望まれている。
特開2007−196405号公報
本発明は、耐傷性に優れ、且つグロスマット感を表現することにより意匠性にも優れた化粧シートを提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、基材シート上に、少なくとも絵柄印刷艶調整層及び表面保護層がこの順に積層された化粧シートにおいて、特定の絵柄印刷艶調整層及び特定の表面保護層を備え、絵柄印刷艶調整層の表面と、表面保護層の表面との距離を特定の範囲内とすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シートに関する。
1.基材シート上に、少なくとも絵柄印刷艶調整層及び表面保護層がこの順に積層された化粧シートであって、
(1)前記絵柄印刷艶調整層は微粒子を含有し、
(2)前記表面保護層は、厚みが10μm以上であり、
(3)前記絵柄印刷艶調整層の表面と、前記表面保護層の表面との距離が1〜6μmである、
ことを特徴とする化粧シート。
2.前記微粒子の平均粒子径は、前記絵柄印刷艶調整層の厚み以上であり、前記表面保護層の厚み未満である、上記項1に記載の化粧シート。
3.前記微粒子がシリカ微粒子である、上記項1又は2に記載の化粧シート。
4.前記表面保護層は電離放射線硬化型樹脂層である、上記項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
5.前記絵柄印刷艶調整層の直下の層のおもて面側からエンボス加工されている、上記項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
6.前記表面保護層側からエンボス加工されている、上記項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
7.上記項1〜6のいずれかに記載の化粧シートを被着材に貼着してなる化粧板。
本発明の化粧シートは、基材シート上に、少なくとも絵柄印刷艶調整層及び表面保護層がこの順に積層され、(1)上記絵柄印刷艶調整層は微粒子を含有し、(2)上記表面保護層は、厚みが10μm以上であり、(3)上記絵柄印刷艶調整層の表面と、上記表面保護層の表面との距離が1〜6μmであることを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の化粧シートは、絵柄印刷艶調整層が微粒子を含有するので絵柄印刷艶調整層の表面が凹凸形状となり、当該凹凸形状が化粧シートのおもて面(表面保護層側の面)から見た際に表面保護層を介して視認され、絵柄印刷艶調整層が形成されている部分が低艶意匠を表現する。また、絵柄印刷艶調整層が形成されていない部分は凹凸感が少なく、高艶意匠を表現する。このため、化粧シートに低艶意匠の部分と高艶意匠の部分とが存在することとなり、グロスマット感を表現することができるので、意匠性に優れている。
また、絵柄印刷艶調整層の上に表面保護層が形成されており、表面保護層の厚みが10μm以上であるので、耐傷性にも優れている。
更に、絵柄印刷艶調整層の表面と、表面保護層の表面との距離が、1μm以上であるので微粒子の表面保護層からの露出又は突出が抑制されている。微粒子が露出又は突出していると、化粧シート表面が擦れた際に微粒子が削られて表面が平滑化し、艶が上がって傷が目立つ。本発明の化粧シートは上記距離が1μm以上であるので表面保護層からの微粒子の露出又は突出が抑制されており、擦られても傷が目立ち難く、耐傷性に優れる。また、上記距離が6μm以下であるので絵柄印刷艶調整層の表面の凹凸形状が化粧シート表面から十分に視認できる。
本発明の化粧シートは上述の構成であるので、優れた耐傷性と、グロスマット感を表現することによる優れた意匠性とを兼ね備えている。
以下、本発明の化粧シートについて詳細に説明する。なお、本発明の化粧シートは、表面保護層がいわゆる「おもて面」(施工後に視認される面)である。よって、本明細書では、基材シートに対して表面保護層が存在する方向を「おもて」又は「上」と称し、その反対側を「裏」又は「下」と称する。
図1は、本発明の化粧シートの一例を示す断面図である。図1に示す化粧シート1は、基材シート2上にプライマー層3を介して絵柄印刷艶調整層4及び表面保護層5が形成されている。また、絵柄印刷艶調整層4は、微粒子6を含有しており、絵柄印刷艶調整層4の表面に凹凸形状が形成されている。
なお、本発明における、絵柄印刷艶調整層の表面と表面保護層の表面との距離を図1を用いて説明すると、当該距離は、化粧シート1の断面において、絵柄印刷艶調整層4の表面4aのうち最も表面保護層5の表面5a側に突出した点41と、表面保護層の表面5aとの距離hで定義される。図1のように任意の断面において絵柄印刷艶調整層が複数存在する場合には、表面保護層の表面5aに最も近い(距離hが最も短い)点41を有する絵柄印刷艶調整層4を選択して、当該点41と表面保護層の表面5aとの距離hを、絵柄印刷艶調整層の表面と表面保護層の表面との距離とする。
また、図2のように、絵柄印刷艶調整層4に含有されている微粒子6が絵柄印刷艶調整層の表面4aに被覆されていない箇所が存在する場合には、上記距離は、微粒子6の表面のうち表面保護層5の表面5a側に最も突出した点61、及び、絵柄印刷艶調整層4の表面4aのうち最も表面保護層5の表面5a側に突出した点41の中で、最も表面保護層に近い点(図2では点61)と、表面保護層の表面5aとの距離hを、絵柄印刷艶調整層の表面と表面保護層の表面との距離とすればよい。
なお、上記距離hの測定は、化粧シートを表面と垂直方向に切断して得られた断面の任意の箇所をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製:VHX−100)を用いて観察し、上述の定義に従って決定した距離hを計測することにより行うことができる。
上記絵柄印刷艶調整層の表面と表面保護層の表面との距離は、1〜6μmである。上記距離が1μm以上であるので、化粧シートの表面が耐傷性に優れる。また、上記距離が6μm以下であるので、絵柄印刷艶調整層の表面の凹凸形状が化粧シート表面から視認されて、絵柄印刷艶調整層が設けられている箇所の意匠が低艶意匠となり、絵柄印刷艶調整層が設けられていない箇所の意匠が高艶意匠となることとあいまって、グロスマット感を表現することができるようになり、意匠性に優れた化粧シートとすることができる。上記距離は、1〜5μmが好ましく、1〜3μmがより好ましい。
なお、グロスマット感を確認するための化粧シートのサイズとしては、A4サイズ(210mm×297mm)程度で足り、測定方法に限定はないが、簡易的には目視で判断することができる。
上記化粧シートの総厚は、40〜500μmが好ましく、100〜180μmがより好ましい。
以下、本発明の化粧シートを構成する各層について具体的に説明する。
基材シート
基材シートは、その表面(おもて面)には絵柄印刷艶調整層等が順次積層される。基材シートとしては、例えば、熱可塑性樹脂により形成されたシート(フィルム)が好適である。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等が挙げられる。前記基材シートは、これら樹脂を単独で又は2種以上を組み合わせ用いることにより形成される。
基材シートは、着色されていてもよい。この場合は、上記のような熱可塑性樹脂に対して着色材(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色材としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すれば良い。
基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
基材シートの厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には20〜300μmが好ましい。
基材シートは、必要に応じて、絵柄印刷艶調整層を形成するインキの密着性を高めるために表面(おもて面)にコロナ放電処理を施してもよい。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すれば良い。また、必要に応じて、基材シートの裏面にコロナ放電処理を施したり、後述する裏面プライマー層を形成したりしてもよい。
絵柄印刷艶調整層
絵柄印刷艶調整層は、化粧シートに所望の絵柄(意匠)を付与する層である。また、本発明の化粧シートにおいては、絵柄印刷艶調整層が微粒子を含有するので絵柄印刷艶調整層の表面が凹凸形状となっており、当該凹凸形状が化粧シートのおもて面(表面保護層側の面)から見た際に表面保護層を介して視認され、絵柄印刷艶調整層が形成されている部分が低艶意匠を表現する。
また、本発明の化粧シートにおいては、絵柄印刷艶調整層が形成されていない部分が高艶意匠を表現し、高艶意匠の部分と、絵柄印刷艶調整層による低艶意匠の部分とを設けることによりグロスマット感を表現する。このため、本発明の化粧シートにおいては、絵柄印刷艶調整層は、基材シート上に全面にわたって設けられておらず、基材シートの表面に部分的に設けられている。基材シート上における上記絵柄印刷艶調整層の占める面積の割合は、グロスマット感を表現できれば特に限定されないが、基材シート表面の全面の面積を100%として、50%未満が好ましく、30%以下がより好ましい。また、上記割合は、0.1%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。上記面積の割合をかかる範囲に設定することにより、グロスマット感を十分に表現することができ、意匠性に優れた化粧シートとすることができる。
微粒子は、絵柄印刷艶調整層の表面に凹凸形状を形成できれば特に限定されないが、例えば、シリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリコーン樹脂等の無機微粒子;架橋アルキル、架橋スチレン、インゾグアナミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ナイロン等の有機物微粒子等が挙げられる。中でも、シリカ微粒子が好ましい。
微粒子の平均粒子径は4〜20μmが好ましく、4〜15μmがより好ましい。平均粒子径をかかる範囲とすることにより、絵柄印刷艶調整層の凹凸形状が低艶意匠を表現し易くなる。また、微粒子の平均粒子径は、絵柄印刷艶調整層の厚み以上であり、表面保護層の厚み未満であることが好ましい。絵柄印刷艶調整層の厚みより小さいと、微粒子が絵柄印刷艶調整層の表面に突出し難くなって凹凸形状の形成が不十分となり、低艶意匠を表現し難いおそれがある。微粒子の平均粒子径が表面保護層の厚み以上であると、微粒子が化粧シート表面に露出又は突出して化粧シート表面が擦れた際に微粒子が削れるおそれがある。微粒子が削れると、平滑化してその部分の艶が上がり傷に見えるので、耐傷性に劣るおそれがある。
絵柄印刷艶調整層中の微粒子量は特に限定されないが、0.2g/m以上が好ましく、0.5g/m以上がより好ましい。微粒子量が少な過ぎると低艶意匠の表現が不十分となるおそれがある。また、上記微粒子量は特に限定されないが、2.0g/m以下が好ましい。微粒子量が多すぎると、絵柄が視認し難くなり、意匠性を損なうおそれがある。
また、絵柄印刷艶調整層中の微粒子の含有量は、絵柄印刷艶調整層を形成する樹脂の樹脂固形分100質量%に対して10〜90質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
絵柄印刷艶調整層の絵柄の種類等は特に限定されず、例えば、木目模様、レザー模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄印刷艶調整層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られ、微粒子を含有するインキを用いた印刷法により形成すればよい。インキとしては、化粧シートのVOCを低減する観点からは水性組成物を用いることもできる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤は、中和剤、界面活性剤等とともに用いてもよい。
結着材樹脂としては、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂等が変性したものないし前記天然ゴム等の混合物、その他の樹脂を使用することもできる。上記結着材樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
絵柄印刷艶調整層は表面保護層を形成する硬化型樹脂組成物(硬化型樹脂の未硬化物)との相互作用を起こす性質を有するものであり、硬化型樹脂組成物(硬化型樹脂の未硬化物)との関連で適宜選定されるものである。具体的には、インキのビヒクルとしてはウレタン系樹脂、あるいは、ポリビニールアセタール系樹脂を50質量%以上含有しているものが好ましい。上記ウレタン系樹脂は、ポリオール成分として、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールとイソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネートとを反応させてなるウレタン樹脂(線状に架橋したもの、あるいは、網目状に架橋したもののいずれであってもよい)を挙げることができる。また、ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルアルコールとアルデヒド類との縮合(アセタール化)により得られる。ポリビニルアセタール系樹脂としては、ポリビニルホルマール(ホルマール樹脂)、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール(ブチラール樹脂)、ポリビニルヘキシラール等を挙げることができるが、溶剤に可溶でありインキ化し易く、視覚的凹凸感の発現(視覚的に凹部として認識されること)が良好であるなどの理由から、特にポリビニルブチラールが好ましい。
絵柄印刷艶調整層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1〜15μm程度、乾燥後の層厚は0.5〜5μm程度である。
本発明の化粧シートは、絵柄印刷艶調整層の直下の層のおもて面側(絵柄印刷艶調整層が形成される面側)からエンボス加工されていることが好ましい。かかる構成であることにより、直下の層のおもて面側の凹凸模様と、絵柄印刷艶調整層の低艶意匠による視覚的なグロスマット感とがあいまって、さらに意匠性に優れた化粧シートとすることができる。
エンボス加工方法は特に限定されず、例えば、絵柄印刷艶調整層の直下の層を加熱軟化させてエンボス版により加圧・賦形後、冷却する方法が好ましい方法として挙げられる。エンボス加工には、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機が用いられる。凹凸形状としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
表面保護層
本発明の化粧シートは、絵柄印刷艶調整層上に表面保護層が形成されている。上記表面保護層は限定的ではないが、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂を含有することが好ましい。実質的には、これらの樹脂から形成されているものが好ましい。電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂により表面保護層を形成する場合には、化粧シートの耐摩耗性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性、耐候性等を高め易い。
電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
具体的には、前記プレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの分子量としては、通常250〜100000程度が好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。また、チオールとしては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールが挙げられる。ポリエンとしては、例えば、ジオール及びジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したものが挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる電離放射線としては、電離放射線硬化型樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。なお、紫外線源及び電子線源の詳細については、後述する化粧シートの製造方法の項目で説明する。
2液硬化型ウレタン系樹脂としては特に限定されないが、中でも主剤としてOH基を有するポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)とを含むものが使用できる。
上記例示の樹脂については1種又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明の化粧シートの表面保護層の厚みは10μm以上である。表面保護層の厚みをかかる範囲に設定することにより、耐傷性に優れた化粧シートとすることができる。上記厚みは、13μm以上が好ましい。また、上記厚みは、50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
また、表面保護層には、耐候性を向上させるために、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、トリアジン系などの紫外線吸収剤を添加するのが好ましい。紫外線を照射して樹脂層を硬化させる場合には、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン等、光重合促進剤(増感剤)としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を用いる。
また表面保護層には、抗菌性を付与する為に、抗菌剤を添加してもよい。抗菌剤としては、無機系抗菌剤、及び有機系抗菌剤がある。特に無機系抗菌剤は有機系抗菌剤に比べ一般に安全性が高く、耐久性、及び耐熱性にも優れているため望ましい。無機系抗菌剤とは、銀をはじめとする銅、亜鉛等の抗菌性金属を各種の無機物担体に担持したものである。抗菌剤の添加量は樹脂成分100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
また表面保護層には、必要に応じて、溶剤、染料、顔料等の着色剤、艶調整剤、増量剤等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の各種添加剤を加えることができる。
艶調整剤としては、本発明の化粧シートが表現するグロスマット感を損ねないものであれば特に限定されず、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、シリカ、シリコーン樹脂等の無機粒子;架橋アルキル、架橋スチレン、インゾグアナミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ナイロン等の有機物粒子等が挙げられる。
表面保護層は、例えば、透明性樹脂層上に電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂をグラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法により塗工後、樹脂を硬化させることにより形成できる。
(化粧シートの層構成)
本発明の化粧シートは、基材シート上に少なくとも絵柄印刷艶調整層及び表面保護層がこの順に積層されていれば、その具体的構成(層構成)については限定されない。例えば、基材シート上に、着色隠蔽層、絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層、プライマー層、絵柄印刷艶調整層及び表面保護層を順に積層してなる化粧シートが挙げられる。
以下、かかる層構成の化粧シートを代表例として、上記に説明した基材シート、絵柄印刷艶調整層及び表面保護層以外の層について具体的に説明する。
着色隠蔽層
本発明の化粧シートでは、基材シートと絵柄模様層との間に着色隠蔽層が形成されていてもよい。
着色隠蔽層は、化粧シートと被着体とを接合した際に被着体の地色を隠蔽できればよく、通常は基材シートを被覆するように形成すればよい。
着色隠蔽層の形成には、基材シート全体を被覆(全面ベタ状)するように形成できる方法が好ましい。例えば、前記したロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等が好ましいものとして挙げられる。
着色隠蔽層の塗布量は、2〜30g/mの範囲が望ましい。
着色隠蔽層の厚みは、通常0.1〜20μm程度、好ましくは1〜10μm程度である。
絵柄模様層
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄(意匠)を付与するものであり、絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、レザー模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた印刷法により、基材シート表面に形成すればよい。インキとしては、化粧シートのVOCを低減する観点からは水性組成物を用いることもできる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤は、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに用いてもよい。
結着材樹脂としては、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂等が変性したものないし前記天然ゴム等の混合物、その他の樹脂を使用することもできる。上記結着材樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1〜15μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜10μm程度である。
透明性接着剤層
透明性樹脂層と絵柄模様層との密着性を高めるため、絵柄模様層上に透明性接着剤層を形成してもよい。透明性接着剤層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。 化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら接着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
透明性接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みが0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度である。
透明性樹脂層
透明性接着剤層の上には、透明性樹脂層が形成されていてもよい。上記絵柄模様層を設ける場合は、絵柄模様層よりも上層に透明性樹脂層を形成し、更に透明性樹脂層上に絵柄印刷艶調整層を形成することにより、絵柄模様層と絵柄印刷艶調整層との間にある程度の厚みがある透明性樹脂層が存在することとなる。このため、絵柄模様層と絵柄印刷艶調整層とが透明性樹脂層の厚み分の距離で離間して視認されることとなり、立体感のある意匠を表現することができる。また、後述するように、透明性樹脂層側又は表面保護層側からエンボス加工が施される場合には、上記立体感のある意匠と、透明性樹脂層又は表面保護層のおもて面側の凹凸模様とがあいまって、さらに意匠性に優れた化粧シートとすることができる。
透明性樹脂層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。前記透明性樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリメチルペンテン、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等を挙げることができる。これら樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
好ましくは、ポリプロピレン樹脂を代表とするポリオレフィン系樹脂を使用する。従って、透明性樹脂層としてポリオレフィン系樹脂を使用する場合は、基材シートを構成するものとして挙げた各種のポリオレフィン系樹脂を使用することができる。
なお、透明性樹脂層は、透明性を有する限り、着色されていても良いが、特に着色剤を配合しない方が望ましい。
透明性樹脂層の厚みは、通常は20〜200μm程度であるが、化粧シートの用途等に応じて上記範囲を超えても良い。
プライマー層
透明性樹脂層の上には、プライマー層を設けてもよい。プライマー層は、公知のプライマー剤を透明性樹脂層の表面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
プライマーの厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μm程度である。
裏面プライマー層
基材シートの裏面(絵柄印刷艶調整層が積層される面と反対側の面)には、必要に応じて、裏面プライマー層を設けてもよい。例えば、基材シートと被着材とを接着して化粧材を作製する際に効果的である。
裏面プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートの片面又は両面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
裏面プライマーの厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μm程度である。
本発明の化粧シートは、上記透明性樹脂層を形成した後、透明性樹脂層側からエンボス加工が施されていてもよい。また、透明性樹脂層の上に表面保護層が形成される場合は、上記透明性樹脂層の上に上記表面保護層を積層した後、表面保護層側からエンボス加工が施されていてもよい。かかる構成であることにより、透明性樹脂層又は表面保護層のおもて面側の凹凸模様と、絵柄印刷艶調整層の低艶意匠による視覚的なグロスマット感とがあいまって、さらに意匠性に優れた化粧シートとすることができる。
エンボス加工方法は特に限定されず、例えば、透明性樹脂層又は表面保護層のおもて面を加熱軟化させてエンボス版により加圧・賦形後、冷却する方法が好ましい方法として挙げられる。エンボス加工には、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機が用いられる。凹凸形状としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
化粧板
本発明の化粧シートを被着材上に積層することにより、化粧板とすることができる。被着材は、限定的でなく、公知の化粧板に用いられる被着材と同様のものを用いることができる。例えば、木質材、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラス等が挙げられる。特に、本発明の化粧シートは、木質材に好適に使用することができる。木質材としては、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パティクルボード、中密度繊維板(MDF)等が挙げられる。
積層方法は限定的でなく、例えば接着剤により化粧シートを被着材に貼着する方法等を採用することができる。接着剤は、被着材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すればよい。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
このようにして製造された化粧板は、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装材;バルコニー、ベランダ等の外装材;窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧板や家具;又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板等に用いることができる。特に、上記化粧板は床用化粧材として好適に用いることができる。
本発明の化粧シートは、絵柄印刷艶調整層が微粒子を含有するので低艶意匠を表現し、絵柄印刷艶調整層が形成されていない部分が高艶意匠を表現するのでグロスマット感を表現することができ、意匠性に優れている。
また、絵柄印刷艶調整層の上に表面保護層が形成されており、表面保護層の厚みが10μm以上であるので耐傷性にも優れている。
更に、絵柄印刷艶調整層の表面と、表面保護層の表面との距離が1〜6μmであるので、絵柄印刷艶調整層の表面の凹凸形状が化粧シート表面から十分に視認でき、耐傷性にも優れている。
本発明の化粧シートは上述の構成であるので、優れた耐傷性と、グロスマット感を表現することによる優れた意匠性とを兼ね備えている。
本発明の化粧シートの一例を示す断面図である。 本発明の化粧シートの一例を示す断面図である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
60μm厚のポリプロピレンシート(基材シート)のおもて面及び裏面にコロナ放電処理を施した後、基材シートの裏面にグラビア印刷法でプライマー層(裏面プライマー層)を形成した。
次いで、基材シートのおもて面に木目模様柄の絵柄模様層をグラビア印刷により形成した。絵柄模様層上に2液硬化型ウレタン系樹脂からなる2μm厚さの接着剤層を形成し、該接着剤層面にポリプロピレン樹脂を押し出しラミネート塗工することによって、透明性樹脂層(厚さ80μm)を形成した。
次いで、その表面にコロナ放電処理を施した後、2液硬化型ウレタン樹脂を塗工することによりプライマー層を形成した。
プライマー層上に、平均粒子径が4μmのシリカを含む印刷インキを用いてグラビア印刷を行い、木目模様の絵柄印刷艶調整層を設けた。絵柄印刷艶調整層中のシリカの含有量は、絵柄印刷艶調整層を形成する樹脂の樹脂固形分100質量%に対して50質量%であり、絵柄印刷艶調整層中の微粒子量は0.36g/mであった。
次いで、グラビアコート方式により電離放射線硬化型樹脂(EB硬化型樹脂)を10μmの厚みで塗工し、酸素濃度200ppm以下の環境下において電子線照射装置を用いて、加速電圧175keV、5Mradの条件で電子線を照射して、表面保護層を形成した。絵柄印刷艶調整層の表面と、表面保護層の表面との距離hは6μmであった。
最後に、表面保護層側を赤外線非接触方式のヒーターで加熱し、基材シート及び透明性樹脂層を柔らかくした後、直ちに熱圧によるエンボス加工を行い、木目模様の凹凸模様を賦形して化粧シートを作製した。
実施例2〜12、比較例1〜28
表面保護層の厚み、絵柄印刷艶調整層が含有する微粒子の量、微粒子の平均粒子径、及び、絵柄印刷艶調整層の表面と表面保護層の表面との距離を表1のように変えた以外は実施例1と同様にして、実施例2〜12及び比較例1〜28の化粧シートを作製した。
なお、各化粧シートにおいて、絵柄印刷艶調整層の表面と表面保護層の表面との距離hは、各化粧シートを表面と垂直方向に切断し、得られた断面の任意の箇所をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製:VHX−100)を用いて観察することにより測定した。
(評価方法)
≪グロスマット感視認性≫
各化粧シート(いずれもA4サイズ)のグロスマット感(艶のある部分を浮き出させ、艶のない部分を引っ込んで(凹んで)見えるようにする色感)を、目視により以下の評価基準に従って評価した。なお、下記評価基準において、○以上の評価であれば実際の使用状況において問題なくグロスマット感を表現できる程度の意匠性を備えている。
◎:絵柄印刷艶調整層部分が凹部であると明らかに認識できる
○:絵柄印刷艶調整層部分が凹部であると認識できる
△:絵柄印刷艶調整層部分が凹部であると認識できるが明確でない
×:絵柄印刷艶調整層部分が凹部であると認識できない
≪コインスクラッチ試験≫
2.5mmの中密度木質繊維板(MDF)上に水性エマルジョン接着剤(中央理化工業(株)製リカボンドBA−10L (主剤):BA−11B (硬化剤)=100:2.5(質量比))を80g/mで均一に塗工し、各化粧シートを貼り合わせて、室温で3日間養生することにより化粧板を作製した。コイン(10円玉)が45°の角度で化粧板表面に接するようにして、化粧板表面を強く1回擦り、表面状態を目視で確認した。以下の評価基準に従って評価した。
○:擦った部分の艶上がりが明らかでない
×:擦った部分の艶上がりが明らか
≪ホフマンスクラッチ試験≫
米国BYK−GARDNER社製のホフマンスクラッチ試験機を用いて試験を行った。具体的には、まず、2.5mmの中密度木質繊維板(MDF)上に水性エマルジョン接着剤(中央理化工業(株)製リカボンドBA−10L (主剤):BA−11B (硬化剤)=100:2.5(質量比))を80g/mで均一に塗工し、各化粧シートを貼り合わせて、室温で3日間養生することにより化粧板を作製した。化粧板表面に対して45°の角度で接するようにスクラッチ刃(φ7の円柱形の刃)をセットし、試験機を化粧板上で移動させた。徐々に荷重(錘)を高めていき、化粧板上の化粧シート表面に擦り傷圧痕等が生じるまで試験を繰り返し行った。以下の評価基準に従って評価した。
○:300g荷重において傷が発生しなかった
×:300g荷重において傷が発生した
結果を以下の表1及び2に示す。
Figure 2014188744
Figure 2014188744
表1及び2の結果から明らかなように、絵柄印刷艶調整層が微粒子を含有し、表面保護層の厚みが10μm以上であり、絵柄印刷艶調整層の表面と、表面保護層の表面との距離が1〜6μmである実施例1〜12は、コインスクラッチ試験及びホフマンスクラッチ試験で良好な結果が得られており、耐傷性に優れていた。また、グロスマット感視認性試験でも良好な結果が得られており、意匠性にも優れていた。即ち、実施例1〜12の化粧シートは、上述の構成を備えているので、耐傷性及び意匠性(グロスマット感)を兼ね備えていることが分かった。
一方、表面保護層の厚みが10μm未満である比較例1〜4及び15〜18は、表面保護層の厚みが薄いため耐傷性(ホフマンスクラッチ試験)に劣っていた。また、絵柄印刷艶調整層の表面と表面保護層の表面との距離hが1μm未満である比較例3、4、5、8、16〜20、22及び25は、シリカ微粒子が表面保護層表面に露出しており、化粧シートの表面を擦るとシリカ微粒子が削れたことにより擦られた部分が平滑化して艶が上がってしまい、傷が目立ったため耐傷性(コインスクラッチ試験)に劣っていた。更に、上記距離hが6μmを超える比較例6、7、9〜14、21、23、24及び26〜28は、上記距離hが大き過ぎるため化粧シート表面から見た際に絵柄印刷艶調整層表面の凹凸形状が視認され難く、グロスマット感を十分に表現できないので意匠性に劣っていた。
1.化粧シート
2.基材シート
3.プライマー層
4.絵柄印刷艶調整層
41.絵柄印刷艶調整層の表面のうち最も表面保護層の表面側に突出した点
4a.絵柄印刷艶調整層の表面
5.表面保護層
5a.表面保護層の表面
6.微粒子
61.微粒子の表面のうち表面保護層の表面側に最も突出した点
h.絵柄印刷艶調整層の表面と表面保護層の表面との距離

Claims (7)

  1. 基材シート上に、少なくとも絵柄印刷艶調整層及び表面保護層がこの順に積層された化粧シートであって、
    (1)前記絵柄印刷艶調整層は微粒子を含有し、
    (2)前記表面保護層は、厚みが10μm以上であり、
    (3)前記絵柄印刷艶調整層の表面と、前記表面保護層の表面との距離が1〜6μmである、
    ことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記微粒子の平均粒子径は、前記絵柄印刷艶調整層の厚み以上であり、前記表面保護層の厚み未満である、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記微粒子がシリカ微粒子である、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記表面保護層は電離放射線硬化型樹脂層である、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 前記絵柄印刷艶調整層の直下の層のおもて面側からエンボス加工されている、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 前記表面保護層側からエンボス加工されている、請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シートを被着材に貼着してなる化粧板。
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