JP2014167126A - 水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外線等の活性エネルギーによる硬化に用いることができ、光硬化性が効率的で、かつ液安定性に優れる水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物の製造方法の提供。
【解決手段】30℃、1atmで固体である光重合開始剤をエチレン性不飽和単量体に溶解させた後、熱重合開始剤を用いて重合した重合体に、1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する多官能化合物を混合することにより得られる水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物の製造方法。前記重合体が、カルボキシル基を含有エチレン性不飽和単量体に由来する部分構造を有し、前記カルボキシル基を塩基で中和して水素媒体に分散させる光硬化性樹脂組成物の製造方法。前記重合体にエチレン性不飽和基を有する化合物を付加反応させる光硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線などの活性エネルギーによる硬化性樹脂組成物に関し、特に硬度、密着性、耐薬品性に優れ、短時間で硬化する活性エネルギー線硬化性塗料、インキ、コーティング剤等への好適な水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物に関するものである。
紫外線などの光照射により硬化する塗料、コーティング、インキ等は従来のエポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用するシステムに比べて省エネルギー、省スペース、短時間硬化、さらには皮膜強度が優れており、特に保護コート剤として表面硬度、耐スクラッチ性、耐薬品性が要求される用途に広く適用できる。
従来の光硬化性樹脂は、光硬化性モノマー、または、オリゴマーと光重合開始剤、及び、粘度調節のための希釈モノマーを混合した無溶剤型及び溶剤により希釈する溶剤系が一般的である。しかし、昨今の環境問題において、溶剤を使用することは、適切ではない。
この問題の解決方法として、光硬化性ポリマーを水系化することが提案されている(特許文献1及び特許文献2)。光硬化性ポリマーは、使用時に光重合開始剤を後添加する必要があり、光重合開始剤の形態としては、液体と固体がある。形態が液体である光重合開始剤は、水系化した光硬化性ポリマーに後添加する場合、容易に混和することができる。しかし、形態が固体である光重合開始剤を水系化した光硬化性ポリマーに後添加する場合は、固体状態での混和は不可能である。そこで、通常、溶剤又は硬化性モノマーで光重合開始剤を溶解してから添加するが、その添加量は、光硬化性ポリマーに対し、5質量部程度であった(特許文献3)。その光重合開始剤量であると、例えば、光硬化性塗膜が厚膜になった場合、光重合開始剤が不足し、光硬化性ポリマーの光硬化性を十分に発揮する添加量ではない。また、光硬化性を向上させるため、添加量を多くすると、液がすぐにゲル化し、使用できないなどの問題点があった。
特開平10−195361号公報 特開平10−195371号公報 特表2009−510179号公報
本発明は、従来技術である水系媒体に分散した光硬化性樹脂への形態が固体である光重合開始剤添加方法及び光硬化性の上記問題点に鑑み、紫外線などの活性エネルギーによる硬化に用いることができ、光硬化性が効率的で、かつ液安定性に優れる水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、30℃、1atmで固体である光重合開始剤をエチレン性不飽和単量体に溶解させた後、熱重合開始剤を用いて該エチレン性不飽和単量体及び官能基を含有するエチレン性不飽和単量体を重合させ、得られた重合体の官能基にエチレン性不飽和基を有する化合物を付加反応させることで1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有させた、水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物に関する。
前記重合は、界面活性剤存在下における乳化重合であることが好ましい。
また、本発明は、30℃、1atmで固体である光重合開始剤をエチレン性不飽和単量体に溶解させた後、熱重合開始剤を用いて該エチレン性不飽和単量体を重合させた重合体に、1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する多官能化合物を混合させた、水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物に関する。
前記重合は、エチレン性不飽和単量体、及びカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体を重合させるものであり、得られた重合体のカルボキシル基を塩基で中和することで重合体及び多官能化合物を水系媒体に分散させたものであることが好ましい。
該重合体にエチレン性不飽和基を有する化合物を付加反応することにより得られるものであることが好ましい。
前記光重合開始剤は、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンであることが好ましい。
前記光重合開始剤は、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンであることが好ましい。
前記光重合開始剤は、前記光硬化性樹脂組成物の全固形分100質量部に対し、8〜35質量部であることが好ましい。
さらに、本発明は、30℃、1atmで固体である光重合開始剤をエチレン性不飽和単量体に溶解させた後、熱重合開始剤を用いて該エチレン性不飽和単量体を重合させて得られる、水系媒体に分散した光硬化用樹脂組成物に関する。
本発明の水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物は、紫外線などの活性エネルギーによる硬化反応に用いられ、光硬化性が非常に効率的であり、硬化反応時の臭気発生が極めて少なく、作業環境の悪化を抑制でき、優れた物性を持つ光硬化物が得られる。また、貯蔵安定性に優れ、作業性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で用いられる、形態が固体である光重合開始剤とは、活性エネルギー線によりラジカルを発生する光増感性官能基を有し、30℃、1atmで固体である化合物である。
30℃、1atmで形態が固体である光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどを挙げることができ、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンが光硬化性の観点から好ましい。
本発明の水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物中の形態が固体である光重合開始剤の量は、光硬化性の観点から水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物の全固形分100質量部に対し、8〜35質量部が望ましく、10〜30質量部がさらに望ましい。8質量部より少ないと光硬化性が十分でなく、35質量部より多いと水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物の重合途中にゲル化する傾向にある。
形態が固体である光重合開始剤を溶解させるのに用いられるエチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン、スチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等を使用することができる。これらエチレン性不飽和単量体は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。本発明の水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物のガラス転移温度は、特に制限されない。
本発明では、30℃、1atmで固体である光重合開始剤をエチレン性不飽和単量体に溶解させた後、熱重合開始剤を用いて該エチレン性不飽和単量体及び官能基を含有するエチレン性不飽和単量体を重合させることで得られる重合体の官能基に、エチレン性不飽和基を有する化合物を付加反応させることで1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有させた、水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物を得ることができる。なかでも、該重合を、界面活性剤存在下における乳化重合により行うことが、重合安定性、光硬化性の樹脂組成物の高不揮発分化、高分子量化、低粘度化の点で好ましい。
界面活性剤としては、一般に市販されているアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び共重合性乳化剤が使用できる。また、これらの界面活性剤は、単独であるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。本発明の水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物の界面活性剤量は、特に制限されない。
乳化重合においては、熱重合開始剤を使用するのが好ましく、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、アゾ系化合物等が使用される。また、これらと還元剤の併用によるレドックス系開始剤を使用することもできる。
乳化重合法としては、一括して仕込み重合する方法、各成分を連続供給しながら重合する方法などが適用できる。重合は通常30〜85℃の温度で攪拌下に行われる。
乳化重合で得られる重合体にエチレン性不飽和基を有する化合物を付加反応させる方法として、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体またはグリシジル基を含有するエチレン性不飽和単量体を前記エチレン性不飽和単量体と共重合させることで各反応性官能基を重合体に導入し、それぞれの反応性官能基に反応し得る官能基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物を付加反応させる方法を挙げることができる。
カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体と付加反応可能なエチレン性不飽和基を有する化合物として、グリシジル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。
カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、2−メチルマレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、それらの金属塩、アンモニウム塩或いはそれらの混合物を挙げられる。なかでも、光硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性、付加反応の反応性、重合安定性、光硬化性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。これらのカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
グリシジル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが挙げられる。なかでも、付加反応の反応性、光硬化性の点から、グリシジルメタクリレートが好ましい。これらのグリシジル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
グリシジル基を含有するエチレン性不飽和単量体と付加反応可能なエチレン性不飽和基を有する化合物としては、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。
グリシジル基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが挙げられる。なかでも、付加反応の反応性、重合安定性、光硬化性の点から、グリシジルメタクリレートが好ましい。これらのグリシジル基を含有するエチレン性不飽和単量体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、2−メチルマレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、それらの金属塩、アンモニウム塩或いはそれらの混合物を挙げられる。なかでも、付加反応の反応性、光硬化性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。これらのカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
通常、これらの付加反応は、一般に用いられる周知の触媒存在下に加熱することで容易に行うことができる。
カルボキシル基やグリシジル基を含有するエチレン性不飽和単量体のような、乳化重合により得られる重合体に反応性官能基を導入するために用いられる、官能基を含有するエチレン性不飽和単量体は、重合に用いられる全てのエチレン性不飽和単量体100質量部に対して、5〜50質量部使用することが好ましい。5質量部より少ないと付加反応させるエチレン性不飽和基を有する化合物が減少し、光硬化性が充分でなく、50質量部より多いと、乳化重合中にゲル化する傾向にある。
また、乳化重合により得られる重合体の反応性官能基に付加反応させるエチレン性不飽和基を有する化合物は、固形分で重合体100質量部に対して、5〜50質量部を使用することが好ましい。5質量部より少ないと、光硬化性が充分でなく、50質量部より多いと付加反応中にゲル化する傾向にある。
さらに、本発明では30℃、1atmで固体である光重合開始剤をエチレン性不飽和単量体に溶解させた後、熱重合開始剤を用いて該エチレン性不飽和単量体を重合させた重合体に、1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する多官能化合物を混合させた、水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物を得ることも可能である。重合体及び多官能化合物を水系媒体に分散させる方法としては、前記重合がエチレン性不飽和単量体及びカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体を重合させるものであり、得られた重合体のカルボキシル基を塩基で中和した後に水系媒体を加えて転相させる方法が、乳化剤を使用しないため、耐水性、耐温水性の点から、好ましい。
カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、2−メチルマレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、それらの金属塩、アンモニウム塩或いはそれらの混合物を挙げられる。なかでも、光硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性、付加反応の反応性、重合安定性、光硬化性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。これらのカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体は、光重合開始剤を溶解させたエチレン性不飽和単量体100質量部に対して5〜50質量部使用することが好ましい。5質量部より少ないと、転相することが不可能、もしくは、光硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下し、50質量部より多いと得られる水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物が高粘度となり、使用時に弊害となる傾向にある。
本発明における、転相させる重合体の重合に用いる熱重合開始剤としては、通常使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル等が挙げられる。
本発明における、転相させる重合体の重合の方法としては、一括して仕込み重合する方法、各成分を連続供給しながら重合する方法などが適用できる。重合は通常30〜150℃の温度で攪拌下に行われる。
上記の1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する多官能化合物は、エチレン性不飽和単量体及びエチレン性不飽和オリゴマーの双方を含むものである。1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する多官能化合物の例としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロへキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。オリゴマーとしては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート等が挙げられる。なかでも、活性エネルギーによる硬化性、耐擦傷性、耐汚染性、耐割れ性、低毒性の点から、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートが好ましい。これらの1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する多官能化合物の使用範囲としては、水系媒体に分散した光硬化樹脂組成物の固形分全量対して5〜90質量部が望ましい。5質量部未満であると、硬化性が充分でなく、90質量部より多いと、水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が悪くなる傾向にある。
転相させる重合体に1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する多官能化合物を混合させるだけでなく、さらにエチレン性不飽和基を有する化合物を付加反応させることが、光硬化性樹脂組成物を硬化させた膜が硬度にすぐれ、耐擦傷性、耐汚染性の点で好ましい。エチレン性不飽和基を有する化合物を付加反応させる方法として、(A)イソシアネート基を含有するエチレン性不飽和単量体、(B)ヒドロキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体、(C)カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体、(D)グリシジル基を含有するエチレン性不飽和単量体をエチレン性不飽和単量体と共重合させることで各反応性官能基を重合体に導入し、それぞれの反応性官能基に反応し得る官能基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物を付加反応させる方法を挙げることができる。
(A)イソシアネート基を含有するエチレン性不飽和単量体と付加反応可能なエチレン性不飽和基を有する化合物として、ヒドロキシル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、3−イソシアナートプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。なかでも、付加反応の反応性、光硬化性の点から、2−イソシアナートエチルアクリレート、2−イソシアナートエチルメタクリレートが好ましい。これらのイソシアネート基を含有するエチレン性不飽和単量体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
ヒドロキシル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。なかでも、付加反応の反応性、重合安定性、光硬化性の点から、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。これらのヒドロキシル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
(B)ヒドロキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体と付加反応可能なエチレン性不飽和基を有する化合物として、イソシアネート基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物を挙げられる。
ヒドロキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。なかでも、付加反応の反応性、重合安定性、光硬化性の点から、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。これらのヒドロキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
イソシアネート基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物としては、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、3−イソシアナートプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。なかでも、付加反応の反応性、光硬化性の点から、2−イソシアナートエチルアクリレート、2−イソシアナートエチルメタクリレートが好ましい。これらのイソシアネート基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
(C)カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体と付加反応可能なエチレン性不飽和基を有する化合物として、グリシジル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。
カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、すでに述べたとおり、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、2−メチルマレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、それらの金属塩、アンモニウム塩或いはそれらの混合物を挙げられる。
グリシジル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが挙げられる。なかでも、付加反応の反応性、重合安定性、光硬化性の点から、グリシジルメタクリレートが好ましい。これらのグリシジル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
(D)グリシジル基を含有するエチレン性不飽和単量体と付加反応可能なエチレン性不飽和基を有する化合物としては、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。
グリシジル基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが挙げられる。なかでも、付加反応の反応性、重合安定性、光硬化性の点から、グリシジルメタクリレートが好ましい。これらのグリシジル基を含有するエチレン性不飽和単量体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、2−メチルマレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、それらの金属塩、アンモニウム塩或いはそれらの混合物を挙げられる。なかでも、光硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性、付加反応の反応性、重合安定性、光硬化性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。これらのカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和基を有する化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
通常、これらの付加反応は、一般に用いられる周知の触媒存在下に加熱することで容易に行うことができる。
転相により水系媒体に分散させる重合体に反応性官能基を導入するために用いられる、官能基を含有するエチレン性不飽和単量体は、重合に用いられる全てのエチレン性不飽和単量体100質量部に対して、5〜50質量部使用することが好ましい。5質量部より少ないと、付加反応させるエチレン性不飽和基を有する化合物が減少し、光硬化性が充分でなくなり、50質量部より多いと重合中にゲル化する傾向にある。
転相により水系媒体に分散させる重合体の反応性官能基に付加反応させるエチレン性不飽和基を有する化合物は、固形分で重合体100質量部に対して、5〜50質量部を使用することが好ましい。5質量部より少ないと、光硬化性が充分でなく、50質量部より多いと付加反応中にゲル化する傾向にある。
本発明において、カルボキシル基の中和に用いられる塩基としては、特に代表的なもののみを例示するに止めれば、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、トリアリルアミン等が挙げられる。塩基の使用範囲としては、カルボキシル基に対して、0.5〜1.5当量が望ましい。0.5当量より少ないと水への分散安定性が低下し、1.5当量より多いと硬化後の皮膜としての耐水性が低下する。
なお、本発明で用いられた水系媒体とは、水が70質量%以上のものを意味し、30質量%未満であれば、水溶性の有機溶媒を含んでいてもよい。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、メチルエチルケトン等を挙げることができ、これらは単独であるいは二つ以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の水系媒体に分散した光硬化組成物には、上記で説明した成分の他、必要に応じて他の樹脂、光重合促進剤、重合禁止剤、成膜助剤、可塑剤、防腐剤、消泡剤、界面活性剤等の公知慣用の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で便宜選択して添加することも可能である。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、以下において、部は質量部を意味する。
(試験片の作製)
ポリMMA板に膜厚が5μmもしくは50μmとなるよう、アプリケーターで塗布し、60℃、10分で乾燥させた。UV照射器(ウシオ電機株式会社製 超高圧水銀ランプUSH−250SC)にて、積算照度500mJ/cmになるよう紫外線照射して硬化させ、以下の試験にて評価を行った。
(鉛筆硬度)
ポリMMA板に塗装した硬化塗膜にて、JIS−K−5400に基づいて測定した。
(密着性)
ポリMMA板に塗装した硬化塗膜にクロスカットを入れ、カットした塗膜上にセロテープ(登録商標)を貼った。1時間放置後、このセロテープ(登録商標)を剥離して密着性を評価した。評価基準は以下のように行った。
○:全く剥離無し △:一部分が剥離する ×:全面剥離する
(耐温水性)
ポリMMA板に塗装した硬化塗膜を60℃の温水に1週間浸漬した。評価基準は以下のように行った。
○:変化無し △:一部白化 ×:全面白化
(液安定性)
水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物を40℃下に1週間放置した後、液の状態を確認した。また、後添加したものは、光重合開始剤直後の混和状態を確認した。評価基準は以下のように行った。
○:変化無し ×:ゲル化
(実施例1)
温度計、撹拌棒、還流冷却器、及び、滴下漏斗を備えた遮光性反応容器に、イオン交換水を120部仕込み80℃まで昇温した。一方、イオン交換水291部およびアニオン性界面活性剤ニューレックスR(日本油脂株式会社製 ノルマルドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)48部、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン45部を溶解したスチレン198部、2−エチルヘキシルアクリレート97部、メタクリル酸65部をホモミキサーで乳化し、混合乳化液をつくった。上記の容器中に、過硫酸カリウム0.5部、無水重亜硫酸ソーダ0.4部を仕込み、乳化重合を開始した。重合は混合乳化液と過硫酸カリウム0.5部をイオン交換水30部で溶解した過硫酸カリウム水溶液及び無水重亜硫酸ソーダ0.4部をイオン交換水30部で溶解した無水重亜硫酸ソーダ水溶液をそれぞれ3時間かけて滴下して行った。この間、容器内は80℃に保った。滴下終了後、5時間、80℃に保ち、熟成を行った。メトキノン0.5部を添加し、グリシジルメタクリレート90部を添加し、80℃、3時間保持し、重合体にエチレン性不飽和基を付加した。得られた水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物は、不揮発分45%であり、テストを行い、表1の結果を得た。
(実施例2)
実施例2として、実施例1における2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンを1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンに変更した以外はすべて実施例1と同様の操作を行い、水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物を得た。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例3として、温度計、撹拌棒、還流冷却器、及び、滴下漏斗を備えた遮光性反応容器に、イオン交換水を120部仕込み80℃まで昇温した。一方、イオン交換水291部およびアニオン性界面活性剤ニューレックスR(日本油脂株式会社製 ノルマルドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)48部、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン45部を溶解したスチレン198部、2−エチルヘキシルアクリレート97部、グリシジルメタクリレート65部をホモミキサーで乳化し、混合乳化液を作製した。上記の容器中に、過硫酸カリウム0.5部、無水重亜硫酸ソーダ0.4部を仕込み、乳化重合を開始した。重合は混合乳化液と過硫酸カリウム0.5部をイオン交換水30部で溶解した過硫酸カリウム水溶液及び無水重亜硫酸ソーダ0.4部をイオン交換水30部で溶解した無水重亜硫酸ソーダ水溶液をそれぞれ3時間かけて滴下して行った。この間容器内は80℃に保った。滴下終了後、5時間、80℃に保ち、熟成を行った。メトキノン0.5部を添加し、アクリル酸90部を添加し、80℃、3時間保持し、重合体にエチレン性不飽和基を付加した。得られた水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物は、不揮発分45%であり、テストを行い、表1の結果を得た。
(実施例4)
実施例4として、実施例3における2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンを1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンに変更した以外はすべて実施例3と同様の操作を行い、水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物を得た。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例5として、実施例1における2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンを135部に変更した以外はすべて実施例1と同様の操作を行い、水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物を得た。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例6として、実施例1における2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンを180部に変更した以外はすべて実施例1と同様の操作を行い、水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物を得た。結果を表1に示す。
Figure 2014167126
(比較例1)
比較例1として、実施例1における2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンをエチレン性不飽和単量体に溶解せずに、乳化重合を行い、樹脂組成物を得、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンをメチルエチルケトンに溶解し、後添加する以外は、同様の操作を行ったが、液が後添加直後にゲル化し、テストを中止した。結果を表2に示す。
(比較例2)
比較例2として、実施例2における1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンをエチレン性不飽和単量体に溶解せずに、乳化重合を行い、樹脂組成物を得、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンをメチルエチルケトンに溶解し、後添加する以外は、同様の操作を行ったが、液が後添加直後にゲル化し、テストを中止した。結果を表2に示す。
(比較例3)
比較例3として、実施例3における2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンをエチレン性不飽和単量体に溶解せずに、乳化重合を行い、樹脂組成物を得、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンをメチルエチルケトンに溶解し、後添加する以外は、同様の操作を行ったが、液が後添加直後にゲル化し、テストを中止した。結果を表2に示す。
(比較例4)
比較例4として、実施例4における1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンをエチレン性不飽和単量体に溶解せずに、乳化重合を行い、樹脂組成物を得、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンをメチルエチルケトンに溶解し、後添加する以外は、同様の操作を行ったが、液が後添加直後にゲル化し、テストを中止した。結果を表2に示す。
(比較例5)
比較例5として、実施例1における2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンをエチレン性不飽和単量体に溶解せずに、乳化重合を行い、樹脂組成物を得、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン22.5部をメチルエチルケトンに溶解し、後添加し、樹脂組成物を得た。結果を表2に示す。
Figure 2014167126
表1及び2の結果から、光重合開始剤を乳化重合の際にあらかじめ添加することにより、光重合開始剤を乳化重合した後に添加する場合に比べ、光重合開始剤を多量に添加することが可能となり、その結果、膜厚5μm、50μmのいずれにおいても、塗装後に光硬化させたときの硬度、密着性及び耐温水性のすべてに優れた樹脂組成物が得られることがわかる。
(実施例7)
温度計、撹拌棒、還流冷却器、及び、滴下漏斗を備えた遮光性反応容器に、メチルエチルケトン30部を入れて攪拌、80℃に加熱し、メチルメタクリレート114部、2−エチルヘキシルアクリレート21部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部、アクリル酸11部、アゾビスイソブチロニトリル5部、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン30部を2時間にわたって滴下した。滴下終了後さらに80℃で5時間攪拌した。その後、メトキノン0.5部、及び、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート150部を添加し、15分撹拌し、均一化させた。その後、アンモニア水7部添加し、中和させ、イオン交換水700部を30分間にわたって滴下した。得られた水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物は、不揮発分30%であり、テストを行い、表3の結果を得た。
(実施例8)
実施例8として、実施例7における2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンを1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンに変更した以外はすべて実施例7と同様の操作を行い、水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物を得た。結果を表3に示す。
(実施例9)
温度計、撹拌棒、還流冷却器、及び、滴下漏斗を備えた遮光性反応容器に、メチルエチルケトン30部を入れて攪拌、80℃に加熱し、メチルメタクリレート114部、2−エチルヘキシルアクリレート21部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部、アクリル酸11部、アゾビスイソブチロニトリル5部、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン30部を2時間にわたって滴下した。滴下終了後さらに80℃で5時間攪拌した。その後、メトキノン0.5部、を及び、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート150部を添加し、15分撹拌し、均一化させた。その後、アンモニア水7部添加し、中和させ、イオン交換水700部を30分間にわたって滴下した。更に、グリシジルメタクリレート10部を30分間にわたって滴下し、重合体にエチレン性不飽和基を付加反応した。得られた水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物は、不揮発分30%であり、テストを行い、表3の結果を得た。
(実施例10)
実施例10として、実施例9における2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部を15部にし、グリシジルメタクリレートを2−イソシアナートエチルアクリレートに変更した以外はすべて実施例9と同様の操作を行い、水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物を得た。結果を表3に示す。
(実施例11)
実施例11として、実施例7における2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンを90部に変更した以外はすべて実施例7と同様の操作を行い、水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物を得た。結果を表3に示す。
(実施例12)
実施例12として、実施例7における2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンを120部に変更した以外はすべて実施例7と同様の操作を行い、樹脂組成物を得た。結果を表3に示す。
Figure 2014167126
(比較例6)
比較例6として、実施例7における2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンをエチレン性不飽和単量体に溶解せずに、樹脂組成物を得、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンをメチルエチルケトンに溶解し、後添加する以外は、同様の操作を行ったが、液が後添加直後にゲル化し、テストを中止した。結果を表4に示す。
(比較例7)
比較例7として、実施例8における1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンをエチレン性不飽和単量体に溶解せずに、樹脂組成物を得、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンをメチルエチルケトンに溶解し、後添加する以外は、同様の操作を行ったが、液が後添加直後にゲル化し、テストを中止した。結果を表4に示す。
(比較例8)
比較例8として、実施例9における2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンをエチレン性不飽和単量体に溶解せずに、樹脂組成物を得、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンをメチルエチルケトンに溶解し、後添加する以外は、同様の操作を行ったが、液が後添加直後にゲル化し、テストを中止した。結果を表4に示す。
(比較例9)
比較例9として、実施例10における2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンをエチレン性不飽和単量体に溶解せずに、樹脂組成物を得、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンをメチルエチルケトンに溶解し、後添加する以外は、同様の操作を行ったが、液が後添加直後にゲル化し、テストを中止した。結果を表4に示す。
(比較例10)
比較例10として、実施例7における2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンをエチレン性不飽和単量体に溶解せずに、乳化重合を行い、樹脂組成物を得、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン15部をメチルエチルケトンに溶解し、後添加し、樹脂組成物を得た。結果を表4に示す。
Figure 2014167126
表3及び4の結果から、光重合開始剤を重合の際にあらかじめ添加することにより、光重合開始剤を重合後に添加する場合に比べ、光重合開始剤を多量に添加することが可能となり、その結果、膜厚5μm、50μmのいずれにおいても、塗装後に光硬化させたときの硬度、密着性及び耐温水性のすべてに優れた樹脂組成物が得られることがわかる。

Claims (6)

  1. 30℃、1atmで固体である光重合開始剤をエチレン性不飽和単量体に溶解させる工程と、熱重合開始剤を用いて該エチレン性不飽和単量体を重合させる工程と、前記重合させる工程で得られた重合体に、1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する多官能化合物を混合させる工程とを有する、水系媒体に分散した光硬化性樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記重合させる工程が、前記エチレン性不飽和単量体、及びカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体を重合させる工程であり、該重合させる工程で得られた重合体のカルボキシル基を塩基で中和し、前記重合体及び多官能化合物を水系媒体に分散させる工程をさらに有する、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記重合体にエチレン性不飽和基を有する化合物を付加反応させる工程をさらに有する、請求項2に記載の光硬化性樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記光重合開始剤が1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンである、請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記光重合開始剤が2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンである、請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記光重合開始剤を、前記光硬化性樹脂組成物の全固形分100質量部に対し、8〜35質量部含有させる、請求項1〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物の製造方法。
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