JP2014158998A - 微粒子製造装置及び微粒子の製造方法 - Google Patents

微粒子製造装置及び微粒子の製造方法 Download PDF

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Tsukuru Gunjishima
造 郡司島
Eiji Nakajima
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Abstract

【課題】粒径の揃ったナノメートルオーダーの微粒子を効率よく製造することができ、しかも、粒径の制御が容易な微粒子製造装置、及び、これを用いた微粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】微粒子製造装置は、溶媒に1種又は2種以上の微粒子成長用原料(A)、及び、必要に応じて補助原料(A)を溶解させた反応液を収容するための反応容器と、前記反応容器を加熱する加熱手段と、前記溶媒又は前記反応液の一部を循環させるための循環手段と、循環している前記溶媒又は前記反応液に1種又は2種以上の微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて補助原料(B)を追加する原料追加手段とを備えている。循環している溶媒又は反応液に所定量の微粒子成長用原料(B)を追加すると、反応液中において、新たな核生成を抑制しながら微粒子をさらに成長させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、微粒子製造装置及び微粒子の製造方法に関し、さらに詳しくは、粒径の揃ったナノメートルオーダーの微粒子を効率よく製造することができ、しかも、粒径の制御が容易な微粒子製造装置、及び、これを用いた微粒子の製造方法に関する。
ナノメートルオーダーの直径を有する微粒子は、通常のバルク体では考えられない性質を示すことから、種々の応用が期待されている。例えば、
(a)高比表面積に起因する高い触媒能は排ガス浄化触媒や有機合成触媒として、
(b)強磁性体微粒子における単磁区構造は高密度記録媒体として、
(c)量子サイズ効果による発色現象はディスプレイ用蛍光体として、また、
(d)可視光域に表面プラズモン共鳴吸収を有する微粒子の超格子構造は光デバイスとして、
の利用が考えられている。
また、最近では、これらの応用に加えて、優れた物性を有することで様々な分野での利用が期待されているカーボンナノチューブ(CNT)の直径を精密に制御するための成長用触媒としての利用も提案されている。
このような微粒子を合成する方法としては、液相法と気相法が知られている。一般に、液相法は、気相法に比べて、大量合成が可能、低コスト、粒子径の制御が容易、という利点がある。
これらのほぼすべての微粒子応用において、微粒子の粒子径を制御することは重要な課題である。なぜなら、微粒子に特徴的な諸性質は、その大きさに強く依存するからである。また、CNT成長用触媒への利用においては、粒子径制御によってCNT径を制御するからである。そのため、所望の粒径、許容できるサイズ分布の微粒子を再現性良く作製することは、重要な問題である。
液相法を用いた微粒子の製造において、微粒子の粒子径を制御する方法としては、
(a)溶質の組成比を変える方法(特許文献1)、
(b)溶質の種類を変える方法(特許文献2)、
(c)合成時の初期温度を変化させる方法(特許文献3、4)
(d)溶媒の量を調節する方法(特許文献5)、
(e)複数の有機溶媒を選択配合する方法(特許文献6)
などが知られている。
しかしながら、これらの方法では、基本的には溶媒中における核生成数を変化させることで粒子径を制御している。つまり、粒子径を小さくするためには、溶媒中の核発生数を多くして、微粒子の原料となる溶質を多くの微粒子の核に振り分ける。逆に、粒子径を大きくするためには、核発生数を少なくして、溶質を少ない微粒子の核に振り分けている。
よって、これらの手法では、原理的に大きな粒子を大量に合成するのが難しい。さらには、本発明者らの経験によれば、このような制御法の中では、溶質の組成比や種類などのパラメータを変化させることが粒子径に最も大きく影響するが、どのようにこれらのパラメータを変化させるかは、数多くの実験を必要とする。
これに対し、特許文献7には、粒子が生成した液に更に原料化合物を加えて、粒子径を制御する方法が開示されている。この場合、高温の反応液に原料化合物を追加添加すると、原料化合物近傍の溶媒は溶質濃度が極めて高くなるため、液中において局所的に過飽和度が高い部分が形成される。その結果、そこで新たな核が発生してしまい、粒子径が不均一となる。
一方、粒子が生成した液を一端冷却して、原料化合物を追加添加すると、局所的な過飽和度の上昇は起きず、新たな核が発生しにくいため、粒子径は均一になりやすい。しかしながら、冷却と再加熱工程が必要になり、効率的な粒子径の増大は期待できない。
特開2004−043287号公報 特開2005−336530号公報 特開2006−307341号公報 特開2007−069162号公報 特開2009−057609号公報 特開2009−233845号公報 特開2006−342399号公報
本発明が解決しようとする課題は、粒径の揃ったナノメートルオーダーの微粒子を効率よく製造することができ、しかも、粒径の制御が容易な微粒子製造装置、及び、これを用いた微粒子の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る微粒子製造装置は、
溶媒に1種又は2種以上の微粒子成長用原料(A)、及び、必要に応じて補助原料(A)を溶解させた反応液を収容するための反応容器と、
前記反応容器を加熱する加熱手段と、
前記溶媒又は前記反応液の一部を循環させるための循環手段と、
循環している前記溶媒又は前記反応液に1種又は2種以上の微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて補助原料(B)を追加する原料追加手段と
を備えていることを要旨とする。
また、本発明に係る微粒子の製造方法は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記微粒子の製造方法は、本発明に係る微粒子製造装置を用いて、
溶媒に1種又は2種以上の前記微粒子成長用原料(A)、及び、必要に応じて前記補助原料(A)を溶解させた反応液を作製する反応液作製工程と、
反応容器内において前記反応液を加熱し、微粒子の核生成及び1次成長を行わせる1次成長工程と、
前記反応液中において、新たな核生成を抑制しながら前記微粒子をさらに成長させる2次成長工程と
を備えている。
(2)前記2次成長工程は、
(i)前記溶媒又は前記反応液の一部を循環させながら、かつ、
(ii)前記反応容器内にある前記反応液中の前記微粒子成長用原料(A)及び前記微粒子成長用原料(B)の濃度nが次の(a)式を満たすように、循環している前記溶媒又は前記反応液に1種又は2種以上の前記微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて前記補助原料(B)を追加しながら
前記微粒子を成長させるものである。
1≦n≦n2 ・・・(a)
但し、
1は、前記微粒子の成長が進行する前記微粒子成長用原料(A)及び前記微粒子成長用原料(B)の最低濃度、
2は、前記微粒子の核が新たに発生する前記微粒子成長用原料(A)及び前記微粒子成長用原料(B)の最低濃度。
液相法を用いて微粒子を合成する場合において、溶媒又は反応液の一部を循環させ、かつ、循環している溶媒又は反応液に所定量の微粒子成長用原料を追加すると、新たな核を生成させることなく、一端生成した微粒子を均一に粒成長させることができる。また、反応容器内の溶媒量は基本的には常に一定に保たれ、反応液の冷却や再加熱も不要となる。その結果、粒径の揃ったナノメートルオーダーの微粒子を効率よく製造することができ、しかも、粒径の制御が容易化する。
本発明の第1の実施の形態に係る微粒子製造装置の概略構成図である。 本発明の第2の実施の形態に係る微粒子製造装置の概略構成図である。 微粒子製造用原料として有機錯体を用いた時の反応液中の溶質濃度の経時変化を示す図である。 還流を利用した溶媒への溶質添加処理前(左図)及び処理後(右図)の微粒子のTEM写真である。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 微粒子製造装置]
本発明に係る微粒子製造装置は、反応容器と、加熱手段と、循環手段と、原料追加手段と、粒径測定手段とを備えている。
[1.1. 反応容器]
反応容器は、反応液を収容するための容器である。
反応液は、溶媒に1種又は2種以上の微粒子成長用原料(A)、及び、必要に応じて補助原料(A)を溶解させた液である。反応液の詳細については、後述する。
反応容器の形状、大きさ、内部構造等は、特に限定されるものではなく、後述する加熱手段による反応液の加熱、循環手段による溶媒又は反応液の一部循環、及び、原料追加手段による微粒子成長用原料(A)の追加が可能なものであれば良い。
ある種の微粒子成長用原料(A)又はこれから得られる微粒子は、雰囲気中のガスによる変質(例えば、酸化)を起こす場合がある。そのため、反応容器は、その内部を適当なガス(例えば、不活性ガス)で置換するガス置換手段を備えているものが好ましい。
[1.2. 加熱手段]
加熱手段は、所定量の反応液を入れた反応容器を加熱するための手段である。加熱手段は、特に限定されるものではなく、反応容器内の反応液を所定の温度に加熱することが可能なものであれば良い。
[1.3. 循環手段]
循環手段は、反応容器と原料追加手段との間において、溶媒又は反応液の一部を循環させるための手段である。
循環手段は、具体的には、
(a)反応容器から溶媒又は反応液の一部を取り出す手段と、
(b)取り出された溶媒又は反応液を、後述する原料追加手段に供給する手段と、
(c)原料追加手段において所定量の微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて補助原料(B)を溶媒又は反応液に追加した後、この溶媒又は反応液を反応容器に戻す手段と、
を備えている。微粒子成長用原料(B)及び補助原料(B)については、後述する。
反応容器と原料追加手段との間において、溶媒又は反応液の一部を循環させるための具体的手段は、特に限定されるものではなく、種々の手段を用いることができる。
反応容器から溶媒の一部を取り出す手段としては、例えば、蒸留によって溶媒の一部を循環させる手段(蒸留手段)がある。反応容器内の反応液を加熱すると、溶媒が反応液から蒸発する。次いで、溶媒の蒸気が反応容器の内壁面で凝縮し、溶媒の液滴となる。この場合、反応容器の内壁面のいずれかの部位に受け皿を設けておくと、凝縮した溶媒の液滴の全部又は一部を受け皿で回収することができる。受け皿で回収された溶媒は、反応容器から原料追加手段に送られる。原料追加手段においては、蒸留した溶媒に、少なくとも微粒子成長用原料(B)が追加される。
反応容器から反応液の一部を取り出す手段としては、例えば、反応容器の底部近傍に設けられた反応液循環用の配管がある。反応容器の底部近傍に反応液循環用の配管を接続し、この状態で、配管の入り口が反応液の液面より下に来るように、反応容器内に反応液を入れると、反応液の自重によって反応液の一部を配管内に押し出す(すなわち、反応液の一部を抽出する)ことができる。配管に押し出された反応液は、原料追加手段に送られる。
反応容器から反応液の一部を取り出すその他の手段としては、例えば、反応液の一部を吸い上げるためのポンプなどがある。
さらに、溶媒又は反応液を原料追加手段から反応容器に戻す手段としては、例えば、溶媒又は反応液を原料追加手段から反応容器に送るためのポンプなどがある。
[1.4. 原料追加手段]
原料追加手段は、循環している溶媒又は反応液に1種又は2種以上の微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて補助原料(B)を追加する手段である。すなわち、原料追加手段は、微粒子製造用原料(B)のみを追加するものでも良く、あるいは、微粒子成長用原料(B)に加えて補助原料(B)を追加するものでも良い。
原料追加手段は、循環している溶媒又は反応液に微粒子成長用原料(A)と同一種類又は同一組成の微粒子成長用原料(B)を追加する手段でも良い。この場合、内部及び表面の組成が同一である微粒子を製造することができる。
また、原料追加手段は、2種以上の微粒子成長用原料(B)の濃度比を変えながら、循環している溶媒又は反応液に微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて補助原料(B)を追加する手段でも良い。この場合、内部と表面の組成が異なる微粒子を製造することができる。
溶媒又は反応液に微粒子成長用原料(B)を追加するための手段は、特に限定されるものではなく、種々の手段を用いることができる。
例えば、溶媒を循環させる場合、原料追加手段は、
(a)微粒子成長用原料(B)をそのまま溶媒に追加する手段、あるいは、
(b)微粒子成長用原料(B)を溶媒で希釈し、希釈液を溶媒に追加する手段
の何れであっても良い。
一方、反応液を循環させる場合、高濃度の微粒子成長用原料(B)を反応液にそのまま追加すると、新たな核生成が起こる場合がある。このような場合、原料追加手段は、微粒子成長用原料(B)を溶媒で希釈し、適切な濃度の希釈液を反応液に追加する手段が好ましい。
循環している溶媒又は反応液に対する補助原料(B)の追加は、必ずしも必要ではなく、必要に応じて行うことができる。
[1.5. 粒径測定手段]
粒径測定手段は、微粒子の粒径をモニタリングする手段である。粒径測定手段は、必ずしも必要ではないが、粒径測定手段により粒径をモニタリングしながら微粒子成長用原料(B)を追加することによって、微粒子の粒径を高度に制御することができる。
反応容器内の反応液は、通常、加熱されており、この状態で反応液内の微粒子の粒径をモニタリングするのは難しい。そのため、粒径測定手段は、
(a)反応容器から反応液をサンプリングする手段と、
(b)サンプリングされた反応液を室温まで冷却した後、反応液に含まれる微粒子の粒径を測定手段と
を備えているものが好ましい。
反応液のサンプリングは、例えば、ポンプ等を用いて反応容器から反応液の一部を直接、採取することにより行うことができる。
あるいは、循環手段が反応液の一部を循環させるものである場合、反応液のサンプリングは、反応液の循環経路のいずれかの部位(例えば、反応液循環用の配管、原料追加手段内など)において行うことができる。
サンプリングされた反応液内の微粒子の粒径の測定は、例えば、レーザー回折散乱法を用いて行うことができる。
[2. 微粒子の製造方法]
本発明に係る微粒子の製造方法は、本発明に係る微粒子製造装置を用いた方法であって、反応液作製工程と、1次成長工程と、2次成長工程とを備えている。
[2.1. 反応液作製工程]
反応液作製工程は、溶媒に1種又は2種以上の前記微粒子成長用原料(A)、及び、必要に応じて前記補助原料(A)を溶解させた反応液を作製する工程である。
[2.1.1. 溶媒]
溶媒は、少なくとも微粒子成長用原料(A)及び補助原料(A)を溶解可能なものであれば良い。また、溶液は、後述するように所定の温度に加熱されるので、沸点が200℃以上である溶媒を用いるのが好ましい。溶媒としては、具体的には、オクチルエーテル、ジフェニルエーテルなどがある。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
[2.1.2. 微粒子成長用原料(A)]
「微粒子成長用原料(A)」とは、溶媒中において加熱することによって微粒子を生成させることが可能な原料であって、微粒子を構成する少なくとも1つの金属元素を含み、溶媒に可溶な化合物をいう。微粒子が2種以上の金属元素を含む場合、微粒子成長用原料(A)には、2種以上の化合物を用いても良い。
微粒子成長用原料(A)としては、具体的には、
(1) 金属元素(M)のイオン又はMOイオンに有機物が配位した有機錯体、
(2) 金属元素の有機酸塩、
(3) 金属元素の無機酸塩、
などがある。
有機錯体としては、Fe(III)アセチルアセトナート、Fe(II)アセチルアセトナート、Co(II)アセチルアセトナート、Co(III)アセチルアセトナート、Ni(II)アセチルアセトナート、VOアセチルアセトナート、TiOアセチルアセトナート、Zrトリフルオロアセチルアセトナート、Hfトリフルオロアセチルアセトナート、Tiジイソプロポオキサイドビステトラメチルヘプタンジオネート、Yアセチルアセトナート、Mgヘキサフルオロアセチルアセトナート、Baアセチルアセトナート、Ceアセチルアセトナート、Alアセチルアセトナート、Mnアセチルアセトナート、モリブデニルアセチルアセトナート、Ptアセチルアセトナート、Cuアセチルアセトナートなどがある。
有機酸塩としては、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、酢酸コバルト(II)、酢酸コバルト(III)、酢酸ニッケル(II)、シュウ酸チタン、酢酸ジルコニウムなどがある。
無機酸塩としては、硫酸チタン、酸化硫酸バナジウム、硫酸バナジウム、硫酸ハフニウムなどがある。
[2.1.3. 補助原料(A)]
「補助原料(A)」とは、微粒子成長用原料(A)から微粒子が生成するのを補助する機能を備えた原料をいう。補助原料(A)は、必ずしも必要ではないが、補助原料(A)共存下において微粒子の合成を行うと、微粒子の凝集防止や粒径制御が容易化する。
補助原料(A)としては、
(a)微粒子成長用原料を還元するための還元剤、
(b)生成した微粒子の表面に保護層を形成するための保護層形成剤、
などがある。
還元剤は、微粒子成長用原料(A)を還元し、溶媒中において金属イオン又はMOイオンを非イオンの状態にするためのものである。
還元剤としては、具体的には、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、1,2−テトラデカンジオールなどのアルコールがある。還元剤には、これらのいずれか1種類を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
保護層形成剤は、生成した微粒子の表面に配位することによって、微粒子の凝集を抑制し、粒子径を均一にする作用を有する層(保護層)を形成するためのものである。
保護層形成剤としては、具体的には、有機酸、有機アミン、チオールなどがある。保護層形成剤には、これらのいずれか1種の有機物を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
保護層形成剤の長さ(分子長)は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な長さを選択することができる。しかしながら、微粒子の凝集を抑制し、粒子径を均一にするためには、保護層形成剤は、相対的に長さ(分子長)の長いものが好ましい。
また、保護層形成剤は、1種類の有機物からなるものでも良く、あるいは、2種以上の有機物からなるものでも良い。特に、2種以上の有機物を保護層形成剤として用いると、微粒子の粒子径が安定化及び均一化するという利点がある。
有機酸としては、具体的には、RCOOH、RSOH、RPOHなどの脂肪酸(Rは、アルキル鎖(CH3(CH2)x−)を表す)がある。
有機アミンとしては、具体的には、RNH2、R2NH、R3Nなどの脂肪アミン(Rは、アルキル鎖(CH3(CH2)x−)を表す)などがある。
チオールとしては、具体的には、R−SH(Rは、アルキル鎖(CH3(CH2)x−)を表す)などがある。
合成時に使用する有機酸としては、特に、オレイン酸、カプロン酸、ラウリン酸、酪酸、リノール酸などが好適である。
また、合成時に使用する有機アミンとしては、特に、オレイルアミン、ヘキシルアミン、ラウリルアミンなどが好適である。
微粒子の粒子径を安定化させるためには、保護層形成剤には、オレイン酸とオレイルアミンを組み合わせて用いるのが好ましい。また、粒子によっては(金の場合)、チオールが使われる場合もある。
[2.1.4. 反応液の初期濃度]
反応液中における微粒子成長用原料(A)の初期濃度は、作製しようとする微粒子の直径、標準偏差等に応じて最適な濃度を選択する。一般に、希薄溶液を用いると、直径のそろった均一な微粒子が得られる。微粒子成長用原料(A)に加える溶媒の量は、微粒子成長用原料(A)の種類にもよるが、通常、微粒子成長用原料(A)1mmolに対して、10〜50mL程度である。
還元剤は、上述したように反応液中に含まれる金属イオン又はMOイオンに電子を与え、非イオンの状態にするためのものである。金属イオン又はMOイオンが還元されると、これらが互いに集まって微粒子を形成する。還元剤の添加量は、微粒子成長用原料(A)及びその他の原料の種類にもよるが、通常、反応液中に含まれる金属イオン又はMOイオンのモル数の1〜20倍程度である。
保護層形成剤は、反応液中において金属イオン又はMOイオンと結合すると考えられている。この反応液中にさらに還元剤が加えられると、金属イオン又はMOイオンが還元されて微粒子状に凝集すると同時に、微粒子の周囲が保護層で被覆された状態となる。保護層形成剤の添加量は、微粒子成長用原料(A)及びその他の原料の種類にもよるが、通常、反応液中に含まれる金属イオン又はMOイオンのモル数の1〜10倍程度である。
[2.2. 1次成長工程]
1次成長工程は、反応容器内において前記反応液を加熱し、微粒子の核生成及び1次成長を行わせる工程である。加熱により反応液中において、核生成及び1次成長が起こる。また、反応液中に保護層形成剤が添加されている場合には、保護層で被覆された微粒子が生成する。
反応液の加熱は、反応液中で生成した微粒子の酸化を防ぐために不活性雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下など)で行うのが好ましい。
加熱温度は、使用する原料の種類や目的とする直径に応じて、最適な温度を選択する。一般に、加熱温度が低すぎると、原料間の反応が不十分となる。原料間の反応を効率よく進行させるためには加熱温度は、180℃以上が好ましい。
一方、加熱温度が高すぎると、微粒子の凝集が進行し、粒子の直径が不均一になる。従って、加熱温度は、300℃以下が好ましい。
反応液作製工程及び1次成長工程の条件(例えば、合成温度、試薬混合比、合成時間など)を最適化すると、合成された微粒子の形状、平均直径及び標準偏差を制御することができる。
[2.3. 2次成長工程]
2次成長工程は、前記反応液中において、新たな核生成を抑制しながら前記微粒子をさらに成長させる工程である。2次成長は、具体的には、溶媒又は反応液の一部を循環させながら、循環している溶媒又は反応液に1種又は2種以上の微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて前記補助原料(B)を追加することにより行われる。
[2.3.1. 微粒子成長用原料(B)及び補助原料(B)]
微粒子成長用原料(B)は、最初の反応液に含まれる微粒子成長用原料(A)と同一種類又は同一組成の原料であっても良く、あるいは、異なる種類又は異なる組成の原料であっても良い。同様に、補助原料(B)は、最初の反応液に含まれる補助原料(A)と同一種類又は同一組成の原料であっても良く、あるいは、異なる種類又は異なる組成の原料であっても良い。
微粒子成長用原料(B)及び補助原料(B)のその他の点については、それぞれ、微粒子成長用原料(A)及び補助原料(A)と同様であるので、説明を省略する。
[2.3.2. 反応液中の濃度]
新たな核生成を抑制しながら微粒子をさらに成長させるためには、2次成長工程は、
(i)前記溶媒又は前記反応液の一部を循環させながら、かつ、
(ii)前記反応容器内にある前記反応液中の前記微粒子成長用原料(A)及び前記微粒子成長用原料(B)の濃度nが次の(a)式を満たすように、循環している前記溶媒又は前記反応液に1種又は2種以上の前記微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて前記補助原料(B)を追加しながら
前記微粒子を成長させるものである必要がある。
1≦n≦n2 ・・・(a)
但し、
1は、前記微粒子の成長が進行する前記微粒子成長用原料(A)及び前記微粒子成長用原料(B)の最低濃度、
2は、前記微粒子の核が新たに発生する前記微粒子成長用原料(A)及び前記微粒子成長用原料(B)の最低濃度。
一般に、微粒子の核が新たに発生する最低濃度は、微粒子の成長が進行する最低濃度より高い。そのため、(a)式を満たすように微粒子成長用原料(B)を追加すると、新たな核生成を抑制しながら、微粒子をさらに成長させることができる。
最初の反応液に補助原料(A)が含まれている場合、補助原料(B)の追加は、通常、不要である。しかしながら、微粒子の組成、反応条件等に応じて、補助原料(B)の追加を行っても良い。
補助原料(B)の追加を行う場合、補助原料(B)は、微粒子成長用原料(B)に対する比率が微粒子成長用原料(A)に対する補助原料(A)の比率と同程度になるように、また、追加のタイミングは、微粒子成長用原料(B)と同時となるように追加するのが好ましい。
[2.3.3. 微粒子成長用原料(B)の追加方法]
微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて添加される補助原料(B)の追加方法は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の方法を用いることができる。
例えば、2次成長工程は、前記溶媒を蒸留し、蒸留した前記溶媒に前記微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて前記補助原料(B)を追加するものでも良い。
あるいは、2次成長工程は、前記反応容器から前記反応液の一部を抽出し、抽出された前記反応液に前記微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて前記補助原料(B)を追加するものでも良い。
さらに、2次成長工程は、2種以上の前記微粒子成長用原料(B)の濃度比を変えながら、循環している前記溶媒又は前記反応液に前記微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて前記補助原料(B)を追加するものでも良い。
2種以上の微粒子成長用原料(B)の濃度比を変えながら、循環している溶媒又は反応液に微粒子成長用原料(B)を追加すると、中心部と外部の組成が異なる微粒子(例えば、コアシェル型粒子、傾斜組成を有する粒子など)を製造することができる。
[2.3.4. 2次成長条件]
2次成長工程における反応容器内の雰囲気、加熱温度、加熱時間等の条件(2次成長条件)は、目的とする粒径及び組成を有する微粒子が得られるように、最適な条件を選択する。2次成長条件は、1次成長工程における条件(1次成長条件)と同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
2次成長条件の詳細については、1次成長条件と同様であるので、説明を省略する。
[3. 微粒子製造装置及び微粒子の製造方法の具体例]
[3.1. 具体例1]
[3.1.1. 微粒子製造装置(1)]
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る微粒子製造装置の概略構成図を示す。図1において、微粒子製造装置10aは、反応容器20と、加熱手段(図示せず)と、循環手段30と、原料追加手段50とを備えている。
反応容器20は、溶媒に1種又は2種以上の微粒子成長用原料(A)、及び、必要に応じて補助原料(A)を溶解させた反応液を収容するための容器である。反応容器20の下部には、図示しない加熱手段が設けられている。
反応容器20の上部には、反応容器20内に不活性ガスを導入するためのガス導入部22と、反応容器20内のガスを排出するためのガス排出部24が設けられている。
循環手段30は、受け皿32と、配管34と、流量調節計36と、溶液貯蔵容器38と、配管40と、流量調節計42と、滴下漏斗44とを備えている。
受け皿32は、反応容器20の内壁面で凝縮した溶媒を回収するためのものであり、反応容器20の底部近傍の内壁面に設けられている。配管34は、受け皿32で回収した溶媒を溶液貯蔵容器38に送るためのものであり、反応容器20の側壁であって、受け皿32内の溶媒を回収できる位置に設けられている。流量調節計36は、受け皿34から溶液貯蔵容器38に送られる溶媒の量を調節するためのものであり、配管34の途中に設けられている。
溶液貯蔵容器38は、受け皿32から配管34を通って排出された溶媒、及び、原料添加手段50により追加される微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて追加される補助原料(B)を一時的に貯蔵するためのものである。すなわち、溶液貯蔵容器38は、溶媒に所定量の微粒子成長用原料(B)が追加された低濃度の溶液を貯蔵するためのものである。配管34の先端にはノズル34aが設けられている。ノズル34aは、溶液貯蔵容器38の上方に設置されており、所定量の溶媒を溶液貯蔵容器38内に滴下できるようになっている。
配管40は、溶液貯蔵容器38内の低濃度の溶液を反応容器20に戻すためのものである。配管40の一端は溶液貯蔵容器38内に挿入され、他端は、滴下漏斗44の先端に挿入されている。滴下漏斗44の先端は、反応容器20内に挿入されている。
流量調節計42は、溶液貯蔵容器38から反応容器20に戻される溶媒(すなわち、低濃度の溶液)の量を調節するためのものであり、配管40の途中に設けられている。さらに、配管40には、溶液貯蔵容器38内の低濃度の溶液を反応容器20に送らるためのポンプ(図示せず)が設けられている。
原料追加手段50は、原料貯蔵容器52と、流量調節計54とを備えている。
原料貯蔵容器52は、微粒子成長用原料(B)を一時的に貯蔵するためのものであり、その先端には、ノズル52aが設けられている。ノズル52aは、溶液貯蔵容器38の上方に設置されており、所定量の微粒子成長用原料(B)を溶液貯蔵容器38内に滴下できるようになっている。流量調節計54は、原料貯蔵容器52から溶液貯蔵容器38内に追加される微粒子成長用原料(B)の量を調節するためのものである。
なお、2種以上の微粒子成長用原料(B)を追加する場合、1個の原料貯蔵容器52内に2種以上の微粒子成長用原料(B)の混合物を貯蔵しても良く、あるいは、複数個の原料追加手段50を設置し、2種以上の微粒子成長用原料(B)を個別に追加しても良い。
また、補助原料(B)を追加する場合、原料貯蔵容器52内に微粒子成長用原料(B)と補助原料(B)の混合物を貯蔵しても良く、あるいは、別の原料追加手段50を設置し、微粒子成長用原料(B)とは独立に補助原料(B)を追加しても良い。
さらに、図示はしないが、微粒子製造装置10は、微粒子の粒径をモニタリングする粒径測定手段をさらに備えていても良い。
[3.1.2. 微粒子製造装置(1)を用いた微粒子の製造方法]
まず、反応容器20内に、所定量の微粒子成長用原料(A)、及び、必要に応じて補助原料(A)を含む反応液を入れる。次いで、攪拌子を用いて反応液を攪拌子ながら、加熱手段を用いて反応液を所定の温度に加熱する。その結果、反応容器内で核生成及び1次成長が起こり、反応容器内には、所定の粒径を持つ微粒子が生成する。微粒子の生成に伴い、反応液中の微粒子成長用原料(A)の濃度が低下するため、微粒子の成長速度は次第に遅くなる。
また、反応液の加熱を続行すると、反応液から溶媒が蒸発する。溶媒の蒸気は、反応容器20の内壁面で凝縮し、溶媒の液滴となる。液滴は、反応容器20の内壁を伝って受け皿32に蒸留液として回収される。蒸留液は、さらに、配管34を介して溶液貯蔵容器38に滴下される。
これと同時に、微粒子成長用原料(B)が原料追加手段50から溶液貯蔵容器38に滴下され、攪拌子で攪拌される。その結果、溶液貯蔵容器38内には、所定量の微粒子成長用原料(B)を含む低濃度の溶液が一時的に貯蔵される。低濃度の溶液は、配管40を介して反応容器20に戻される。
この時、流量調節計36、54を用いて、それぞれ、蒸留液及び微粒子成長用原料(B)の流量を調節すると、溶液貯蔵容器38内の微粒子成長用原料(B)の濃度を制御することができる。また、流量調節計42を用いて、低濃度の溶液の流量を調節すると、反応液に含まれる微粒子成長用原料(A)及び微粒子成長用原料(B)の濃度を制御することができる。そのため、上述した(a)式が満たされるように、反応容器20内の反応液の濃度を制御すると、新たな核生成を生じさせることなく、微粒子を2次成長させることができる。
[3.2. 具体例2]
[3.2.1. 微粒子製造装置(2)]
図2に、本発明の第2の実施の形態に係る微粒子製造装置の概略構成図を示す。図2において、微粒子製造装置10bは、反応容器20と、加熱手段(図示せず)と、循環手段30と、原料追加手段50とを備えている。なお、図2中、図1に対応する部分には、図1と同一の符号を付した。
図2に示す微粒子製造装置10bは、反応容器20内に受け皿がなく、配管34のみが反応容器20の側壁に設けられている。この点が、第1の実施の形態とは異なる。
配管34は、反応容器20内の反応液(抽出液)の一部を溶液貯蔵容器38に抽出するためのものであり、反応容器20の底部近傍の側壁に設けられている。反応液は、液面が配管34の上に来るように、反応容器20内に充填される。
溶液貯蔵容器38は、反応容器20から抽出される反応液、及び、原料添加手段50により追加される微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて追加される補助原料(B)を一時的に貯蔵するためのものである。すなわち、溶液貯蔵容器38は、反応液に所定量の微粒子成長用原料(B)が追加された低濃度の溶液を貯蔵するためのものである。
微粒子製造装置10bのその他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
[3.2.2. 微粒子製造装置(2)を用いた微粒子の製造方法]
まず、反応容器20内に、所定量の微粒子成長用原料(A)、及び、必要に応じて補助原料(A)を含む反応液を入れる。次いで、攪拌子を用いて反応液を攪拌子ながら、加熱手段を用いて反応液を所定の温度に加熱する。その結果、反応容器内で核生成及び1次成長が起こり、反応容器内には、所定の粒径を持つ微粒子が生成する。微粒子の生成に伴い、反応液中の微粒子成長用原料(A)の濃度が低下するため、微粒子の成長速度は次第に遅くなる。
また、反応容器20内の反応液の量を最適化すると、反応液(抽出液)の一部が配管34を介して溶液貯蔵容器38に抽出される。
これと同時に、微粒子成長用原料(B)が原料追加手段50から溶液貯蔵容器38に滴下され、攪拌子で攪拌される。その結果、溶液貯蔵容器38内には、所定量の微粒子成長用原料(B)を含む低濃度の溶液が一時的に貯蔵される。低濃度の溶液は、配管40を介して反応容器20に戻される。
この時、流量調節計36、54を用いて、それぞれ、反応液及び微粒子成長用原料(B)の流量を調節すると、溶液貯蔵容器38内の微粒子成長用原料(B)の濃度を制御することができる。また、流量調節計42を用いて、低濃度の溶液の流量を調節すると、反応液に含まれる微粒子成長用原料(A)及び微粒子成長用原料(B)の濃度を制御することができる。そのため、上述した(a)式が満たされるように、反応容器20内の反応液の濃度を制御すると、新たな核生成を生じさせることなく、微粒子を2次成長させることができる。
[4. 作用]
図3に、微粒子製造用原料として有機錯体を用いたときの反応液中の溶質濃度の経時変化を示す。金属元素Mを含む有機錯体は、通常、常温では錯体のままであり、微粒子を生成させるための溶質とはならない。一方、有機錯体を所定の温度に加熱すると、有機錯体が分解して金属イオン又はMOイオンとなる。金属イオン又はMOイオンは、微粒子を生成させるための溶質となる。
有機錯体を含む反応液を単に加熱すると、図3(a)に示すように、溶質濃度が時間の経過(すなわち、温度の上昇)と共に徐々に増加する。溶質濃度が核生成領域に達っすると、微粒子の核発生及び1次成長が進行する。しかしながら、微粒子の成長に伴い、反応液中の溶質濃度が微粒子の成長を継続するのに必要な濃度を下回る。その結果、成長が停止し、粒子直径は増大しない。
一方、微粒子の成長速度が低下したところで、反応液に有機錯体を追加すると、反応液中の溶質濃度は上昇に転じる。しかしながら、反応液に有機錯体をそのまま追加すると、図3(b)に示すように、一時的又は局所的に反応液の溶質濃度が核生成領域に達することがある。その結果、新たな核生成が起き、それらの成長に原料が費やされるため、初期に生成した粒子の直径が増大化しにくい。有機錯体の追加を複数回行う場合も同様であり、有機錯体を追加する毎に、一時的又は局所的な溶質濃度の急激な増大が起こる。
これに対し、反応容器から溶媒又は反応液の一部を抽出し、これに所定量の有機錯体を追加して低濃度の溶液とし、低濃度の溶液を反応液に戻すと、図3(c)に示すように、反応液中の溶質濃度を核生成領域に到達させることなく、相対的に高濃度に維持することができる。その結果、新たな核を生成させることなく、初期に生成した粒子の直径を増大化させることができる。
また、反応容器内の溶媒量は基本的には常に一定に保たれ、反応液の冷却や再加熱も不要となる。その結果、粒径の揃ったナノメートルオーダーの微粒子を効率よく製造することができ、しかも、粒径の制御が容易化する。
(実施例1)
[1. 粒子の合成]
(1)Feアセチルアセトナート(微粒子成長用原料)、(2)1,2−ヘキサデカンジオール(還元剤)、(3)オレイン酸及び(4)オレイルアミン(保護層形成剤)、並びに、(5)ジフェニルエーテル(溶媒)を下記の比率で混合した。
(5):20mL
(1):(2):(3):(4)=1.0mmol:7mmol:3mmol:3mmol
上記反応液を図1に示す微粒子製造装置10aの反応容器20内に入れ、不活性ガスのもと、攪拌しながら250℃で30分間反応させた。この時点(核発生直後)での粒子径を調べるため、反応液の一部をサンプリングした。
次に、溶媒の蒸発を促進させるため、260℃まで昇温した。蒸発した溶媒は、反応容器20の内壁を伝って受け皿32に入り、その一部を溶液貯蔵容器38に滴下させた。
原料貯蔵容器52に、予め用意した微粒子成長用原料を高濃度に含んだジフェニルエーテルを入れておき、その一部を同様に溶液貯蔵容器38に滴下した。溶液貯蔵容器38内の微粒子成長用原料の濃度を、反応容器20内の反応液の濃度の5分の1以下になるよう調節した。
得られた低濃度の溶液を再び流量を調節しながら、反応容器20内に滴下して反応を継続させた。一連の原料追加での微粒子成長用原料の追加量は4mmolとした。
なお、濃度調整がスムーズに行われ、かつ反応容器20内の溶媒量が枯渇しないように、抽出した溶媒を溶液貯蔵容器38内に滴下する前に、溶液貯蔵容器38に予め十分な量の溶媒を入れた。また、溶媒循環の際に、反応容器20内の反応液中の保護層形成剤の濃度が低下するのを防ぐために、溶液貯蔵容器38内の溶液中の保護層形成剤の濃度は、反応液中の濃度と同じになるように調整した。溶媒循環による原料追加反応後、反応液の一部をサンプリングした。
[2. 試験方法及び結果]
核発生直後及び原料追加後の反応液に含まれる粒子のTEM観察を行った。図4に、還流を利用した溶媒への溶質添加処理前(左図)及び処理後(右図)の微粒子のTEM写真を示す。図4に示すように、溶媒を循環させながら原料を追加することによって、粒子径が増大していることを確認した。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る微粒子製造装置及び微粒子の製造方法は、CNT成長用触媒、有機合成触媒、高密度記録媒体、ディスプレイ用蛍光体などに用いられる微粒子の製造に用いることができる。

Claims (7)

  1. 溶媒に1種又は2種以上の微粒子成長用原料(A)、及び、必要に応じて補助原料(A)を溶解させた反応液を収容するための反応容器と、
    前記反応容器を加熱する加熱手段と、
    前記溶媒又は前記反応液の一部を循環させるための循環手段と、
    循環している前記溶媒又は前記反応液に、1種又は2種以上の微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて補助原料(B)を追加する原料追加手段と
    を備えた微粒子製造装置。
  2. 前記循環手段は、蒸留によって前記溶媒の一部を循環させるものであり、
    前記原料追加手段は、蒸留した前記溶媒に前記微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて前記補助原料(B)を追加するものである
    請求項1に記載の微粒子製造装置。
  3. 前記微粒子の粒径をモニタリングする粒径測定手段をさらに備えた請求項1又は2に記載の微粒子製造装置。
  4. 以下の構成を備えた微粒子の製造方法。
    (1)前記微粒子の製造方法は、請求項1から3までのいずれか1項に記載の微粒子製造装置を用いて、
    溶媒に1種又は2種以上の前記微粒子成長用原料(A)、及び、必要に応じて前記補助原料(A)を溶解させた反応液を作製する反応液作製工程と、
    反応容器内において前記反応液を加熱し、微粒子の核生成及び1次成長を行わせる1次成長工程と、
    前記反応液中において、新たな核生成を抑制しながら前記微粒子をさらに成長させる2次成長工程と
    を備えている。
    (2)前記2次成長工程は、
    (i)前記溶媒又は前記反応液の一部を循環させながら、かつ、
    (ii)前記反応容器内にある前記反応液中の前記微粒子成長用原料(A)及び前記微粒子成長用原料(B)の濃度nが次の(a)式を満たすように、循環している前記溶媒又は前記反応液に1種又は2種以上の前記微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて前記補助原料(B)を追加しながら
    前記微粒子を成長させるものである。
    1≦n≦n2 ・・・(a)
    但し、
    1は、前記微粒子の成長が進行する前記微粒子成長用原料(A)及び前記微粒子成長用原料(B)の最低濃度、
    2は、前記微粒子の核が新たに発生する前記微粒子成長用原料(A)及び前記微粒子成長用原料(B)の最低濃度。
  5. 前記2次成長工程は、前記溶媒を蒸留し、蒸留した前記溶媒に前記微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて前記補助原料(B)を追加するものである請求項4に記載の微粒子の製造方法。
  6. 前記2次成長工程は、前記反応容器から前記反応液の一部を抽出し、抽出された前記反応液に前記微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて前記補助原料(B)を追加するものである請求項4に記載の微粒子の製造方法。
  7. 前記2次成長工程は、2種以上の前記微粒子成長用原料(B)の濃度比を変えながら、循環している前記溶媒又は前記反応液に前記微粒子成長用原料(B)、及び、必要に応じて前記補助原料(B)を追加するものである請求項4から6までのいずれか1項に記載の微粒子の製造方法。
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