JP2014153654A - 電子写真装置用クリーニングシート基材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、強度及び熱寸法安定性に優れ、毛羽立ちが少なく、オイルの保持性が良好な電子写真装置用クリーニングシート基材として使用可能な不織布を提供することである。
【解決手段】融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維、パルプ繊維、熱融着性繊維を含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通してなる電子写真装置用クリーニングシート基材。
【選択図】なし
【解決手段】融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維、パルプ繊維、熱融着性繊維を含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通してなる電子写真装置用クリーニングシート基材。
【選択図】なし
Description
本発明は、電子写真装置用クリーニングシート基材に関するものである。
電子写真方式の定着装置に用いる定着ロールに付着した紙粉やトナー粕などの汚染物を取り除く際、アルミシャフトに巻回された、オイルを含有する「電子写真装置用クリーニングシート基材」(以下、「クリーニングシート基材」と略す場合がある)を巻き出し、定着ロール表面をクリーニングすると同時にオイルを塗布し、巻き取る方法が広く用いられている。この方法に用いられるクリーニングシート基材は、拭き取り時に接触する定着ロールが200℃以上の高温となるため、高温条件でも破断やシワの発生、変形がないよう、高い熱寸法安定性が求められており、芳香族ポリアミド繊維を主体とする合成繊維不織布などが用いられている(特許文献1及び2参照)。しかしながら、これら合成繊維のみからなるクリーニングシート基材はオイルを保持する性能が不十分であることから、アルミシャフトに巻回して静置した際、巻芯部に向かってオイルが流動しやすく、経時によって外巻部のオイルの含有量が不足して拭き取り性能が低下する問題があった。
高い熱寸法安定性を有し、オイル保液性の向上を図るため、ガラス繊維などの無機繊維を含んだ不織布も提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、これら無機繊維を主体とする上記クリーニングシート基材は地合が悪いうえ、繊維が脱落しやすく、記録用紙に付着するおそれがあった。
また、毛羽立ちが少なく、良好な熱寸法安定性を有するクリーニングシート基材として、再生繊維または半芳香族ポリアミド繊維と、熱融着性繊維、熱水可溶性繊維を含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを、加熱したカレンダーロールに通してなるクリーニングシート基材が提案されている(特許文献4及び5参照)。しかしながら、これらクリーニングシート基材では、熱寸法安定性やオイル保持性が不十分となる場合があった。
本発明は、強度及び熱寸法安定性に優れ、毛羽立ちが少なく、オイルの保持性が良好な電子写真装置用クリーニングシート基材として使用可能な不織布を提供することを課題とする。
本発明者らは、この課題を解決するため鋭意研究を行った結果、以下の本発明を見出した。
(1)融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維、パルプ繊維、熱融着性繊維を含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通してなる電子写真装置用クリーニングシート基材、
(2)融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維と、パルプ繊維の総含有率が31〜45質量%であり、且つ、該耐熱性合成短繊維の含有率が1〜10質量%、パルプ繊維の含有率が21〜35質量%である上記(1)に記載の電子写真装置用クリーニングシート基材、
(3)融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維の平均繊維径が3〜15μmである上記(1)または(2)に記載の電子写真装置用クリーニングシート基材、
(4)融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維がパラ系全芳香族ポリアミド繊維である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子写真装置用クリーニングシート基材、
(5)熱水可溶性繊維を含む上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真装置用クリーニングシート基材、
(6)熱融着性繊維が融点235℃以上の未延伸ポリエステル繊維であり、該繊維の含有率が15〜50質量%である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真装置用クリーニングシート基材。
(2)融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維と、パルプ繊維の総含有率が31〜45質量%であり、且つ、該耐熱性合成短繊維の含有率が1〜10質量%、パルプ繊維の含有率が21〜35質量%である上記(1)に記載の電子写真装置用クリーニングシート基材、
(3)融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維の平均繊維径が3〜15μmである上記(1)または(2)に記載の電子写真装置用クリーニングシート基材、
(4)融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維がパラ系全芳香族ポリアミド繊維である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子写真装置用クリーニングシート基材、
(5)熱水可溶性繊維を含む上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真装置用クリーニングシート基材、
(6)熱融着性繊維が融点235℃以上の未延伸ポリエステル繊維であり、該繊維の含有率が15〜50質量%である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真装置用クリーニングシート基材。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材は、融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維、パルプ繊維、熱融着性繊維を含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通す加工を施すことで、強度及び熱寸法安定性に優れ、毛羽立ちが少なく、オイル保持性が良好な電子写真装置用クリーニングシート基材を得ることができる。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材において、耐熱性に優れた融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維と、熱溶融しないパルプ繊維の総含有率を31〜45質量%とすることによって、より熱寸法安定性と強度に優れたクリーニングシート基材を得ることができる。また、融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維の含有率を1〜10質量%とすることによって、熱寸法安定性と毛羽立ち性により優れたクリーニングシート基材を得ることができる。さらに、パルプ繊維の含有率を21〜35質量%とすることによって、熱寸法安定性とオイル保持性により優れたクリーニングシート基材を得ることができる。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材において、融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維の平均繊維径が3〜15μmであることによって、より熱寸法安定性に優れ、地合にも優れたクリーニングシート基材を得ることができる。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材において、融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維がパラ系全芳香族ポリアミド繊維であることによって、熱寸法安定性により優れたクリーニングシート基材を得ることができる。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材において、熱水可溶性繊維を含むことによって、毛羽立ちがより少ないクリーニングシート基材を得ることができる。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材において、熱融着性繊維が融点235℃以上の未延伸ポリエステル繊維であり、該熱融着性繊維の含有率が15〜50質量%であることによって、熱寸法安定性により優れたクリーニングシート基材を得ることができる。
以下、本発明のクリーニングシート基材を詳細に説明する。本発明のクリーニングシート基材は、シリコーンオイル等のオイルを含有し、複写機をはじめ、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の電子写真装置における定着ロールに付着する紙粉やトナー粕を拭き取る装置に使用するものである。
本発明のクリーニングシート基材は、融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維、パルプ繊維、熱融着性繊維を含む。高い融点または熱分解温度を有する耐熱性合成短繊維と、高温下でも軟化することのないパルプ繊維を、クリーニングシート基材の骨格を形成する主体繊維として含むことにより、熱寸法安定性に優れたクリーニングシート基材を得ることができる。また、微細な表面構造を有するパルプ繊維はオイルに対する親和性が高く、これを含有することによって優れたオイル保持性が得られ、巻回して経時した場合でも、巻芯部に向かってオイルが流動することを抑制し、外巻部のオイルの含有量が不足して拭き取り性能が低下することを防ぐことができる。さらに、これら耐熱性合成短繊維とパルプ繊維を熱融着性繊維で接着することにより高い強度を得ることができる。
本発明における、融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維としては、全芳香族ポリアミド、ポリアリレート、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール(PBZT)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上の組み合わせで使用しても良い。PBZTはトランス型、シス型のいずれでも良い。これら融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維の中でも、耐熱性に優れ、細繊維化しやすいことから全芳香族ポリアミド、特にパラ系全芳香族ポリアミドが好ましい。以下、特に断らない限り、本発明で言う「耐熱繊維」は、「融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維」を指すものとする。
耐熱繊維の平均繊維径は、3〜15μmが好ましく、5〜12μmがより好ましい。平均繊維径が小さ過ぎると、十分な熱寸法安定性が得られないおそれがある。一方、平均繊維径が大き過ぎると、分散性が悪く、地合不良となるおそれや、繊維同士が絡みにくくなり、毛羽立ちとなるおそれがある。
本発明において、繊維の平均繊維径は以下の式で求められる。Nは、正の整数である。
平均繊維径=(繊維1の繊維径(μm)×繊維1の質量%+繊維2の繊維径(μm)×繊維2の質量%+繊維3の繊維径(μm)×繊維3の質量%+・・・+繊維Nの繊維径(μm)×繊維Nの質量%)/(繊維1の質量%+繊維2の質量%+繊維3の質量%+・・・+繊維Nの質量%)
耐熱繊維の繊維長は特に限定しないが、好ましくは1〜12mmであり、より好ましくは3〜10mmであり、さらに好ましくは4〜6mmである。繊維長が1mm未満の場合、抄紙工程にて繊維の三次元ネットワークが形成されにくく、抄紙ワイヤーからの剥離性が悪化するおそれがある。一方、繊維長が12mmを超える場合、繊維の分散性が低下し、地合不良となるおそれがある。
本発明におけるパルプ繊維は、植物繊維として、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプや藁パルプ、竹パルプ、リンターパルプ、ケナフパルプなどの木本類、草本類を含むものとする。さらに、古紙、損紙などから得られるパルプ繊維等を使用しても良い。これらパルプ繊維は高温化でも軟化、溶融することがないことから、熱寸法安定性に優れる。また、セルロース分子の集合体であるパルプ繊維は、表面が微細構造を有していることから、合成繊維に比べ、オイルとの親和性に優れ、高いオイル保持性を発現する。さらに、パルプ繊維同士は水素結合によって結合するため、耐熱繊維が毛羽立つことを抑制する効果が得られる。
本発明の性能を阻害しない範囲であれば、パルプ繊維は叩解されていても差し支えない。パルプ繊維の叩解度は特に限定しないが、300〜700mlCSFの範囲が好ましい。叩解度が300mlCSF未満であると、熱寸法安定性が低下する傾向になり、700mlCSFを超えると、毛羽立ち抑制効果が不十分となるおそれがある。
本発明において、耐熱繊維とパルプ繊維の総含有率は、クリーニングシート基材質量に対して31〜45質量%であることが好ましく、31〜40質量%がより好ましい。総含有率が31質量%未満では、熱寸法安定性が不十分となり、高温の定着ロールに接触した際に変形や破断が発生するおそれがある。一方、耐熱繊維とパルプ繊維は、熱融着性繊維との接着性に劣るため、総含有率が45質量%を超える場合、強度が不十分になるおそれがある。
耐熱繊維の含有率は、クリーニングシート基材質量に対して1〜10質量%であること好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。含有率が1質量%未満では、熱寸法安定性を不十分とおそれがある。一方、剛直で繊維同士が絡み難くい耐熱繊維を、10質量%を超えて含む場合、毛羽立ちとなるおそれがある。
パルプ繊維の含有率は、クリーニングシート基材質量に対して21〜35質量%が好ましく、21〜30質量%がより好ましい。含有率が21質量%未満の場合、オイル保持性が低下するおそれや、毛羽立ちを抑える効果が不十分になるおそれがある。一方、パルプ繊維は熱融着性繊維との接着性に劣るため、含有率が35質量%を超える場合、十分な強度が得られないおそれがある。
本発明における熱融着性繊維とは、不織布製造時の加熱処理(例えば、乾燥処理、熱カレンダー処理など)によって、溶融または軟化する性質を持つ繊維である。例えば、単繊維、芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割繊維などの複合繊維が挙げられる。複合繊維としては、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)と酢酸ビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせなどが挙げられる。
本発明においては、熱融着性繊維として、熱カレンダー処理後に良好な熱寸法安定性が得られる、未延伸ポリエステル繊維を用いることが好ましい。未延伸ポリエステル繊維は結晶化していないため、融点よりやや低い温度にて熱カレンダー等の装置で熱圧着加工させると、繊維の溶融によって繊維同士が接着して強度が発現するとともに、加工時の熱によって結晶化が進むことで、高い熱寸法安定性が得られる。また、未延伸ポリエステル繊維の融点は235℃以上が好ましい。融点が235℃を下回ると、熱寸法安定性が不十分となり、高温の定着ロールを拭き取る際に繊維が溶融し、クリーニングシート基材が伸びたり、破断したりするおそれがある。
熱融着性繊維の含有率は、クリーニングシート基材質量に対して15〜50質量%が好ましく、25〜40質量%がより好ましい。含有率が15質量%未満の場合、十分な強度が得られず、作動中にクリーニングシート基材が破断するおそれがある。また、毛羽立ちが発生するおそれがある。一方、50質量%を超える場合、熱寸法安定性が不十分となるおそれがある。
熱融着性繊維の平均繊維径は特に限定されないが、3〜20μmであることが好ましく、5〜15μmがより好ましい。平均繊維径が3μm未満では、十分な強度が得られないおそれがあり、20μmを超えると、地合不良となるおそれがある。また、熱融着性繊維の繊維長は1mm〜10mmが好ましく、3〜7mmがより好ましい。繊維長が1mm未満では、強度が不十分となるおそれがあり、繊維長が10mmを超えた場合では、地合不良となることがある。
本発明においては、ポリビニルアルコール系繊維などの熱水可溶性繊維を含むことが好ましい。熱水可溶性繊維は、常温の水では殆ど溶解せずにその形態を維持しているが、抄紙後のドライヤー面で加熱すると徐々に溶解し、タッチロール等の装置で加圧することで、その他の繊維にまたがって繊維状バインダーとなり、さらに乾燥・脱水工程を経ると、再凝固し、高い乾燥強度を発揮する。また、本発明において用いる熱融着性繊維の融点によっては、抄紙工程で熱融着性繊維が溶融せず、原布の強度低下や毛羽立ちが起こることがあるが、該熱水可溶性繊維を配合することで、抄紙段階において一定の強度を得ることができ、毛羽立ちを抑制することもできる。
熱水可溶性繊維を含有させた場合、その含有率は、クリーニングシート基材質量に対して1〜5質量%が好ましく、2〜4質量%がより好ましい。含有率が1質量%未満の場合、熱水可溶性繊維を含有しない場合と比較して、毛羽立ちを抑制する効果が変わらない場合がある。5質量%を超える場合、湿式抄紙時の乾燥にシリンダードライヤー、ヤンキードライヤーなどの接触型ドライヤーを用いた際に、クリーニングシート基材の表面が平滑になり過ぎるため、オイルをクリーニングシート基材の内部に保持できず、結果的に定着ロールの拭き取り性が悪くなることがある。
熱水可溶性繊維の平均繊維径は特に限定されないが、1〜20μmであることが好ましく、3〜15μmがより好ましい。平均繊維径が小さ過ぎると、抄紙ワイヤーから抜け落ちるおそれがあり、大き過ぎると、地合を損なうおそれがある。また、繊維長に関しても特に限定されないが、1〜20mmであることが好ましく、2〜15mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。繊維長が小さ過ぎると、やはり抄紙ワイヤーから抜け落ちるおそれがあり、大き過ぎると、均一な地合が得られないことがある。
本発明においては、耐熱繊維、パルプ繊維、熱溶融性繊維、熱水可溶性繊維以外に、延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びこれらのコポリマー等のポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル、モダクリル等のアクリル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ウレタン繊維などの合成繊維を、本発明の特性を阻害しない限り用いることができる。これらの繊維を構成するポリマーは、ホモポリマー、変性ポリマー、ブレンド、共重合体などの形でも利用でき、また、複数の成分からなる複合繊維を用いても良い。
耐熱繊維、パルプ繊維、熱溶融性繊維、熱水可溶性繊維以外の繊維の平均繊維径は、特に限定されないが、1〜20μmであることが好ましく、3〜15μmがより好ましく、5〜10μmがさらに好ましい。平均繊維径が小さ過ぎると、抄紙ワイヤーから抜け落ちるおそれがあり、大き過ぎると、地合を損なうおそれがある。また、繊維長に関しても特に限定されないが、1〜20mmであることが好ましく、2〜15mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。繊維長が小さ過ぎると、やはり抄紙ワイヤーから抜け落ちるおそれがあり、大き過ぎると、均一な地合が得られないことがある。
本発明において、ウエブは、一般紙や湿式不織布を製造するための抄紙網(例えば、長網、円網、傾斜ワイヤーなど)が単独で設置されている抄紙機、またはこれらの抄紙網のうち同種または異種の2機以上がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機などにより製造される。抄紙機で製造された湿紙は、エアドライヤー、シリンダードライヤー、ヤンキードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤーなどで乾燥させる。抄造の際に配合する薬品として、湿紙状態での断紙対策として、湿潤強度剤やヤンキードライヤーからの剥離を安定させるため、内添サイズ剤を使用しても良い。
湿紙を乾燥させた後のウエブに、熱履歴を与えて熱寸法安定性を向上させるとともに、厚みを均一に調整できるよう、加熱したカレンダーロール間を通して熱カレンダー処理を行う。カレンダーロールの温度は特に限定されないが、160〜260℃が好ましく、180〜250℃がより好ましく、200〜240℃がさらに好ましい。160℃未満の場合、さらに高温である定着ロールに接した際に収縮やシワが起こることがある。また、260℃より高い場合、溶融した繊維がカレンダーロールによって均されるため、平滑な仕上がりとなり、オイルの吸収性や定着ロールの拭き取り性が悪くなることがある。
熱融着性繊維に未延伸ポリエステル繊維を用いる場合は、熱カレンダー処理を施すことで、繊維の結晶化を促し、熱寸法安定性を向上させるため、その融点より10〜50℃低い温度で処理することが好ましい。また、ニップ線圧は100〜2000N/cmの条件下で行うのが好ましく、300〜1800N/cmがより好ましく、500〜1500N/cmがさらに好ましい。ニップ線圧が100N/cm未満の場合、十分にウエブの厚みを潰すことができず、所定の長さでシャフトに巻こうとすると、径が大きくなり、装置に入らない場合がある。また、ニップ線圧が低いと、密度が低くなりやすく、この場合、クリーニングシート基材中の空隙が大きいため、繊維の自由度が大きくなり、熱寸法安定性が劣ることがある。一方、ニップ線圧が2000N/cmを超える場合、ウエブの厚みが大きく潰れ、クリーニングシート基材内にオイルを保持する空隙が減少するため、トナーを効率的に拭き取ることができない場合がある。なお、カレンダーロールの素材は、金属ロール同士の組み合わせ以外に、加熱した金属ロールと非加熱のコットンロール、加熱した金属ロールと非加熱の弾性ロールの組み合わせでも良い。
本発明のクリーニングシート基材の密度は、0.30〜0.90g/cm3であることが好ましく、0.40〜0.85g/cm3がより好ましく、0.50〜0.80g/cm3がさらに好ましい。密度が0.30g/cm3未満の場合、強度が弱くなることや毛羽立ちが発生することがある。また、クリーニングシート基材中の空隙が多いため、繊維の自由度が高く、熱寸法安定性が劣ることがある。一方、密度が0.90g/cm3を超えると、クリーニングシート基材内部の空隙が少なくなることから、オイルの含有量が低下し、トナーを効率的に拭き取れないことがある。
本発明のクリーニングシート基材の厚みは、15〜80μmが好ましく、20〜70μmがより好ましく、20〜60μmがさらに好ましい。厚みが15μm未満の場合、強度が弱くなることや、また、十分な量のオイルを含有できず、トナーの拭き取り性が悪くなることがある。一方、厚みが80μmを超えると、所定の長さでシャフトに巻こうとすると径が大きくなり、装置に入らない場合がある。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数や百分率は、特に断りのない限り質量基準である。
<耐熱繊維1>
平均繊維径2μm、繊維長3mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を耐熱繊維1とした。
平均繊維径2μm、繊維長3mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を耐熱繊維1とした。
<耐熱繊維2>
平均繊維径3μm、繊維長3mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を耐熱繊維2とした。
平均繊維径3μm、繊維長3mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を耐熱繊維2とした。
<耐熱繊維3>
平均繊維径8μm、繊維長3mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を耐熱繊維3とした。
平均繊維径8μm、繊維長3mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を耐熱繊維3とした。
<耐熱繊維4>
平均繊維径15μm、繊維長5mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を耐熱繊維4とした。
平均繊維径15μm、繊維長5mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を耐熱繊維4とした。
<耐熱繊維5>
平均繊維径20μm、繊維長5mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を耐熱繊維5とした。
平均繊維径20μm、繊維長5mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を耐熱繊維5とした。
<耐熱繊維6>
平均繊維径10μm、繊維長5mmのメタ系全芳香族ポリアミド繊維を耐熱繊維6とした。
平均繊維径10μm、繊維長5mmのメタ系全芳香族ポリアミド繊維を耐熱繊維6とした。
<パルプ繊維1>
叩解度300mlCFSの針葉樹パルプをパルプ繊維1とした。
叩解度300mlCFSの針葉樹パルプをパルプ繊維1とした。
<パルプ繊維2>
叩解度500mlCFSの針葉樹パルプをパルプ繊維2とした。
叩解度500mlCFSの針葉樹パルプをパルプ繊維2とした。
<パルプ繊維3>
叩解度700mlCFSの針葉樹パルプをパルプ繊維3とした。
叩解度700mlCFSの針葉樹パルプをパルプ繊維3とした。
<熱融着性繊維1>
平均繊維径10μm、繊維長5mm、融点260℃の未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を熱融着性繊維1とした。
平均繊維径10μm、繊維長5mm、融点260℃の未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を熱融着性繊維1とした。
<熱融着性繊維2>
平均繊維径10μm、繊維長5mm、融点230℃の未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を熱融着性繊維2とした。
平均繊維径10μm、繊維長5mm、融点230℃の未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を熱融着性繊維2とした。
表1に示した原料と配合率に従って、1%濃度の抄造用スラリーを調製した。ここで、表1中の「PVA繊維」は平均繊維径11μm、繊維長3mmのポリビニルアルコール繊維(熱水可溶性繊維)、「PET繊維」は平均繊維径7μm、繊維長3mmの延伸ポリエチレンテレフタレート繊維、「レーヨン繊維」は平均繊維径9μm、繊維長5mmのレーヨン繊維を意味する。
実施例1〜17
抄造用スラリー1〜17を円網抄紙機で抄紙後、130℃のシリンダードライヤーにて乾燥し、17g/m2のウエブを得た。このウエブを、上下ロールともに220℃に加熱した金属ロール(ニップ線圧:1000N/cm)に通して熱カレンダー処理を行い、実施例1〜17のクリーニングシート基材を得た。
抄造用スラリー1〜17を円網抄紙機で抄紙後、130℃のシリンダードライヤーにて乾燥し、17g/m2のウエブを得た。このウエブを、上下ロールともに220℃に加熱した金属ロール(ニップ線圧:1000N/cm)に通して熱カレンダー処理を行い、実施例1〜17のクリーニングシート基材を得た。
比較例1〜4
抄造用スラリー18〜21を用いた以外は、実施例1〜17と同様にして、比較例1〜4のクリーニングシート基材を得た。
抄造用スラリー18〜21を用いた以外は、実施例1〜17と同様にして、比較例1〜4のクリーニングシート基材を得た。
比較例5
抄造用スラリー22を円網抄紙機で抄紙後、130℃のシリンダードライヤーにて乾燥し、17g/m2のウエブを得た。このウエブを、熱カレンダー処理を行わず、比較例5のクリーニングシート基材とした。
抄造用スラリー22を円網抄紙機で抄紙後、130℃のシリンダードライヤーにて乾燥し、17g/m2のウエブを得た。このウエブを、熱カレンダー処理を行わず、比較例5のクリーニングシート基材とした。
比較例6
平均繊維径12μm、繊維長38mmのメタ型芳香族ポリアミド繊維25質量%と、平均繊維径20μm、繊維長38mmの未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維40質量%と、平均繊維径12μm、繊維長38mmの延伸ポリエチレンテレフタレート繊維35質量%とをガーネット機で混綿し、繊維が一方向に配列するようにカード機で開繊し、17g/m2の繊維ウエブを形成した。これを、表面温度220℃の加熱ロールとシリコンゴムロールの対ロールで1000N/cmの線圧力にて熱圧着し、クリーニングシート基材を得た。
平均繊維径12μm、繊維長38mmのメタ型芳香族ポリアミド繊維25質量%と、平均繊維径20μm、繊維長38mmの未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維40質量%と、平均繊維径12μm、繊維長38mmの延伸ポリエチレンテレフタレート繊維35質量%とをガーネット機で混綿し、繊維が一方向に配列するようにカード機で開繊し、17g/m2の繊維ウエブを形成した。これを、表面温度220℃の加熱ロールとシリコンゴムロールの対ロールで1000N/cmの線圧力にて熱圧着し、クリーニングシート基材を得た。
比較例7
平均繊維径0.8μmのガラス短繊維25質量%と、平均繊維径4μmのシリカ−アルミナ系セラミック繊維65質量%と、平均繊維径6.0μm、繊維長13mmのガラスチョップド繊維5質量%と、ミクロフィブリル化セルロース5質量%とをパルパーで分散し、円網抄紙機で抄紙し、17g/m2のクリーニングシート基材を得た。
平均繊維径0.8μmのガラス短繊維25質量%と、平均繊維径4μmのシリカ−アルミナ系セラミック繊維65質量%と、平均繊維径6.0μm、繊維長13mmのガラスチョップド繊維5質量%と、ミクロフィブリル化セルロース5質量%とをパルパーで分散し、円網抄紙機で抄紙し、17g/m2のクリーニングシート基材を得た。
上記の実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、下記の評価方法により評価し、その結果を表2に示した。
(1)密度(単位:g/cm3)
JIS P8118に準じて測定を行った。
JIS P8118に準じて測定を行った。
(2)引張強度(単位:N/50mm)
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ幅方向:50mm×流れ方向:200mmに断裁し、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で10g/m2を含浸させ、試験片を作製した。JIS L1906に準じて、テンシロン機を用いてチャック間距離10cm、ヘッドスピード20cm/minで流れ方向での引張強度を測定した。流れ方向の引張強度は、30N/50mm以上が好ましく、より好ましくは40N/50mm以上である。30N/50mmよりも小さいと、作動時に破断することがあるため、実用上問題がある。
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ幅方向:50mm×流れ方向:200mmに断裁し、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で10g/m2を含浸させ、試験片を作製した。JIS L1906に準じて、テンシロン機を用いてチャック間距離10cm、ヘッドスピード20cm/minで流れ方向での引張強度を測定した。流れ方向の引張強度は、30N/50mm以上が好ましく、より好ましくは40N/50mm以上である。30N/50mmよりも小さいと、作動時に破断することがあるため、実用上問題がある。
(3)オイル保持性評価(単位:g/m2)
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で10g/m2を含浸させ、10mm径×310mm長の円筒体よりなる芯金の外周面に、300mm幅で全体の径が20mm径(芯金10mm+クリーニングシート基材5mm×2)になるまで巻回してクリーニングロールを作製した。次に、23℃、相対湿度65%の環境下にあるコピー機にセットして2ヶ月静置した後、クリーニングロールに巻回したクリーニングシート基材の最外部から50mm×50mmの試料を採取し、オイルの含有量を測定した。なお、オイルの含有量は5g/m2以上が好ましく、7g/m2以上がより好ましい。オイルの含有量が5g/m2未満であると、トナーの拭き取り性が悪化すため、実用上問題がある。
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で10g/m2を含浸させ、10mm径×310mm長の円筒体よりなる芯金の外周面に、300mm幅で全体の径が20mm径(芯金10mm+クリーニングシート基材5mm×2)になるまで巻回してクリーニングロールを作製した。次に、23℃、相対湿度65%の環境下にあるコピー機にセットして2ヶ月静置した後、クリーニングロールに巻回したクリーニングシート基材の最外部から50mm×50mmの試料を採取し、オイルの含有量を測定した。なお、オイルの含有量は5g/m2以上が好ましく、7g/m2以上がより好ましい。オイルの含有量が5g/m2未満であると、トナーの拭き取り性が悪化すため、実用上問題がある。
(4)拭き取り性評価
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、オイル保持性評価にてオイル含有量を測定した試料を用い、拭き取り性評価を行った。ガラス板状に滴下した10mgのJIS8種粉体を3回拭き取った後に、ガラス板上の粉体の残存程度を目視観察にて評価した。拭き取り性の評価基準としては、以下の通りである。
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、オイル保持性評価にてオイル含有量を測定した試料を用い、拭き取り性評価を行った。ガラス板状に滴下した10mgのJIS8種粉体を3回拭き取った後に、ガラス板上の粉体の残存程度を目視観察にて評価した。拭き取り性の評価基準としては、以下の通りである。
○:粉体が殆ど残らず良好。
△:粉体が僅かに残るものの、効果は認められる。
×:粉体が殆ど残り、実用上問題がある。
△:粉体が僅かに残るものの、効果は認められる。
×:粉体が殆ど残り、実用上問題がある。
(5)熱寸法安定性評価
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ100mm×100mmに断裁し、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で10g/m2を含浸させ、試験片を作製した。この試験片を220℃の熱風乾燥機中で1時間保持し、熱処理後各辺の熱収縮率(単位:%)を下記式で求め、クリーニングシート基材の流れ方向、幅方向それぞれ2辺を平均して熱収縮率を算出し、熱寸法安定性を評価した。なお、熱収縮率は、定着ロール拭き取り時の破断や収縮を回避するため、2.0%未満が好ましく、より好ましくは1.5%未満である。熱収縮率が2.0%以上であると、実用上問題がある。
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ100mm×100mmに断裁し、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で10g/m2を含浸させ、試験片を作製した。この試験片を220℃の熱風乾燥機中で1時間保持し、熱処理後各辺の熱収縮率(単位:%)を下記式で求め、クリーニングシート基材の流れ方向、幅方向それぞれ2辺を平均して熱収縮率を算出し、熱寸法安定性を評価した。なお、熱収縮率は、定着ロール拭き取り時の破断や収縮を回避するため、2.0%未満が好ましく、より好ましくは1.5%未満である。熱収縮率が2.0%以上であると、実用上問題がある。
熱収縮率=[(熱処理前の試験片長さ−熱処理後の試験片長さ)/(熱処理前の試験片長さ)]×100
(6)毛羽立ち評価
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材を、20mm幅、50mm長に切り揃えた。試験片を学振型摩擦堅牢度試験機(商品名:AB−301、テスター産業(株)製)にセットし、摩擦子に綿100%の黒布(ビリケンモス)を用い、荷重2N、毎分30往復の速度で10秒間、試験片の表面を摩擦した後、黒布に付着した繊維を目視判定し毛羽立ちを評価した。毛羽立ち評価基準としては、以下の通りである。
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材を、20mm幅、50mm長に切り揃えた。試験片を学振型摩擦堅牢度試験機(商品名:AB−301、テスター産業(株)製)にセットし、摩擦子に綿100%の黒布(ビリケンモス)を用い、荷重2N、毎分30往復の速度で10秒間、試験片の表面を摩擦した後、黒布に付着した繊維を目視判定し毛羽立ちを評価した。毛羽立ち評価基準としては、以下の通りである。
○:目視確認される繊維が3本以下。毛羽立ちによる繊維脱落が少なく良好。
△:目視確認される繊維が4〜10本。毛羽立ちによる繊維脱落があるが、効果は認められる。
×:目視確認される繊維が11本以上。毛羽立ちによる繊維脱落が多く、実用上問題がある。
△:目視確認される繊維が4〜10本。毛羽立ちによる繊維脱落があるが、効果は認められる。
×:目視確認される繊維が11本以上。毛羽立ちによる繊維脱落が多く、実用上問題がある。
(7)地合評価
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ300mm×300mmに断裁し、繊維ダマ、ヨレの状態を目視観察し、地合評価とした。評価はモニター6名によって行われ、各人がそれぞれ評価した等級の最多数をその等級とした。
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ300mm×300mmに断裁し、繊維ダマ、ヨレの状態を目視観察し、地合評価とした。評価はモニター6名によって行われ、各人がそれぞれ評価した等級の最多数をその等級とした。
○:直径5mm以下の小さなダマやヨレが3箇所以下。地合が良好。
△:直径5mm以下の小さなダマやヨレが4〜10箇所。効果は認められる。
×:直径5mm以下の小さなダマやヨレが11箇所以上、または直径が5mmより大きいダマが見られ、地合不良。実用上問題がある。
△:直径5mm以下の小さなダマやヨレが4〜10箇所。効果は認められる。
×:直径5mm以下の小さなダマやヨレが11箇所以上、または直径が5mmより大きいダマが見られ、地合不良。実用上問題がある。
表2から明らかなように、耐熱繊維、パルプ繊維、熱融着性繊維を含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通してなる実施例1〜17のクリーニングシート基材は、引張強度、オイル保持性、拭き取り性、熱寸法安定性に優れ、毛羽立ち評価及び地合評価においても良好な結果を示した。
耐熱繊維とパルプ繊維の総含有率が45質量%を超える実施例3のクリーニングシート基材は熱融着性繊維の接着性をやや損なうため、引張強度がやや低くなった。一方、耐熱繊維とパルプ繊維の総含有率が31質量%未満の実施例4のクリーニングシート基材は熱寸法安定性がやや低下するため、熱収縮率がやや大きくなった。
耐熱繊維の含有率が10質量%を超える実施例3及び5のクリーニングシート基材は、毛羽立ち評価でやや劣った。一方、耐熱繊維の含有率が1質量%未満の実施例6のクリーニングシート基材は、熱収縮率がやや大きくなった。また、パルプ繊維の含有率が35質量%を超える実施例7のクリーニングシート基材は、引張強度がやや低かった。一方、パルプ繊維の含有率が21質量%未満の実施例8のクリーニングシート基材は、オイル保持性がやや劣り、拭き取り性評価でやや劣る結果となった。また、毛羽立ちの評価でもやや劣る結果となった。
耐熱繊維の平均繊維径が15μmを超える実施例11のクリーニングシート基材は、地合評価でやや劣った。一方、耐熱繊維の平均繊維径が3μm未満の実施例12のクリーニングシート基材は、熱収縮率がやや大きくなった。
耐熱繊維としてメタ系アラミド繊維を用いた実施例13のクリーニングシート基材は、実施例2のクリーニングシート基材と比較して、熱収縮率がやや大きくなった。また、熱水可溶性繊維を用いなかった実施例14のクリーニングシート基材は、毛羽立ち評価でやや劣る結果となった。
熱融着性繊維として融点230℃の未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を用いた実施例15のクリーニングシート基材は、融点260℃の未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を用いた実施例2と比較して、熱収縮率がやや大きくなった。また、熱融着性繊維の含有率が50質量%を超える実施例16のクリーニングシート基材は熱収縮率がやや大きくなった。一方、熱融着性繊維の含有率が15質量%未満の実施例17のクリーニングシート基材は、引張強度がやや低く、毛羽立ち評価でやや劣る結果となった。
これに対して、耐熱繊維を用いなかった比較例1のクリーニングシート基材、パルプ繊維を用いなかった比較例2クリーニングシート基材は、熱寸法安定が著しく劣り、熱収縮率が非常に大きい値を示した。さらに、パルプ繊維を用いなかった比較例2、4、6のクリーニングシート基材は、オイル保持性が低く、拭き取り性を著しく損なう結果となり、毛羽立ち評価も悪い結果を示した。また、熱融着性繊維を用いなかった比較例3のクリーニングシート基材、熱カレンダー処理を施さなかった比較例5のクリーニングシート基材、無機繊維を主体とする比較例7のクリーニングシート基材は、引張強度が著しく低く、毛羽立ち評価も悪い結果を示した。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材は、シリコーンオイルなどのオイルを付与して、複写機をはじめ、レーザービームプリンター、ファクシミリなどの電子写真装置における定着ロールに付着する紙粉やトナー粕を拭き取る装置に用いることができる。
Claims (6)
- 融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維、パルプ繊維、熱融着性繊維を含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通してなる電子写真装置用クリーニングシート基材。
- 融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維と、パルプ繊維の総含有率が31〜45質量%であり、且つ、耐熱性合成短繊維の含有率が1〜10質量%、パルプ繊維の含有率が21〜35質量%である請求項1に記載の電子写真装置用クリーニングシート基材。
- 融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維の平均繊維径が3〜15μmである請求項1または2に記載の電子写真装置用クリーニングシート基材。
- 融点または熱分解温度が300℃以上の耐熱性合成短繊維がパラ系全芳香族ポリアミド繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真装置用クリーニングシート基材。
- 熱水可溶性繊維を含む請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真装置用クリーニングシート基材。
- 熱融着性繊維が融点235℃以上の未延伸ポリエステル繊維であり、該繊維の含有率が15〜50質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真装置用クリーニングシート基材。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2013025452A JP2014153654A (ja) | 2013-02-13 | 2013-02-13 | 電子写真装置用クリーニングシート基材 |
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WO2015098902A1 (ja) * | 2013-12-27 | 2015-07-02 | 東レ株式会社 | トナークリーニング用シートおよびその製造方法 |
-
2013
- 2013-02-13 JP JP2013025452A patent/JP2014153654A/ja active Pending
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WO2015098902A1 (ja) * | 2013-12-27 | 2015-07-02 | 東レ株式会社 | トナークリーニング用シートおよびその製造方法 |
JPWO2015098902A1 (ja) * | 2013-12-27 | 2017-03-23 | 東レ株式会社 | トナークリーニング用シートおよびその製造方法 |
US9834889B2 (en) | 2013-12-27 | 2017-12-05 | Toray Industries, Inc. | Toner cleaning sheet and method of manufacturing same |
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