JP2014129594A - 耐硫化物応力腐食割れ性に優れた油井用低合金高強度継目無鋼管およびその製造方法 - Google Patents

耐硫化物応力腐食割れ性に優れた油井用低合金高強度継目無鋼管およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】降伏強さ:110ksi級の高強度と、サワー環境下における耐硫化物応力腐食割れ性に優れた、低合金高強度油井用継目無鋼管の製造方法の提供。
【解決手段】質量%で、C:0.15〜0.50%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.3〜1.0%、P:0.015%以下、S:0.005%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.01%以下、Cr:0.8〜1.7%、Mo:0.2〜1.1%、V:0.01〜0.12%、Nb:0.01〜0.08%、B:0.0005〜0.0030%を含む組成を有する鋼素材を1200℃未満に加熱し、穿孔圧延とその後の延伸圧延とを、断面減縮率が1000℃以上の温度域で40〜60%、1000℃未満の温度域で10〜40%である圧延とし、300℃以下の温度まで冷却し、その後Ac3変態点〜1000℃の温度に再加熱し急冷する焼入れ処理とAc1変態点以下の温度に加熱し焼戻しする焼戻処理を施す。
【選択図】なし

Description

本発明は、油井用として好適な低合金高強度継目無鋼管に係り、とくに硫化水素を含むサワー環境下における耐硫化物応力腐食割れ性(耐SSC性)の改善に関する。なお、ここでいう「高強度」とは、110ksi級の強度、すなわち降伏強さが758MPa以上862MPa以下の強度を有する場合をいうものとする。
近年、原油価格の高騰や、近い将来に予想される石油資源の枯渇という観点から、従来、省みられなかったような深度が深い油田や、硫化水素等を含む、いわゆるサワー環境下にある厳しい腐食環境の油田やガス田等の開発が盛んになっている。このような環境下で使用される油井用鋼管には、高強度で、かつ優れた耐食性(耐サワー性)を兼ね備えた材質を有することが要求される。
このような要求に対して、例えば、特許文献1には、耐硫化物応力割れ性に優れた高強度継目無鋼管の製造方法が記載されている。特許文献1に記載された技術は、C:0.20%超〜0.50%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:0.1〜1.5%、Mo:0.1〜1.5%、Nb:0.005〜0.50%、Ti:0.005〜0.50%、B:0.0001〜0.01%、Al:0.005〜0.50%、V:0.5%以下、Zr:0.5%以下、Ca:0.01%以下を含有する組成のビレットを、熱間で穿孔し、ついで、断面圧縮率が40%以上で、仕上り温度:800〜1050℃の仕上圧延を施し、その後、850〜1100℃の温度域の温度T(℃)で時間t(h)の再加熱を行って、(T+273)(21+logt)が23500〜26000となるようにしてから直接焼入れを行い、Ac1変態点以下で焼戻する高強度継目無鋼管の製造方法である。特許文献1に記載された技術によれば、省プロセスでありながら、従来と同等以上の性能を確保できるとしている。特許文献1に記載された技術では、仕上げ圧延と直接焼入れ処理の間で再結晶処理としての再加熱処理を行うことにより、結晶粒の微細化が可能となり、高強度であっても、良好な靭性と耐硫化物応力割れ性が得られるとしている。
また、特許文献2には、耐硫化物割れ性に優れた高強度油井用鋼材の製造方法が記載されている。特許文献2に記載された技術は、C:0.10〜0.25%、Si:0.5%以下、Mn:0.5%以下、Mo:0.8〜2.5%、Al:0.005〜0.1%、Ti:0.005〜0.1%でNの3.4倍以上、Nb:0.01〜0.1%、N:0.01%以下、B:0.0005〜0.0050%を含有する鋼を素材とし、該素材を1150℃以上に加熱したのち、熱間加工を施し、Ar3点+50℃以上の温度で仕上加工を完了したのち、ただちにAr3点以上の温度から急冷する焼入れ処理を行って、660〜720℃の温度で焼戻する高強度油井用鋼材の製造方法である。これにより、降伏強度110ksi以上の高強度と優れた耐SSC性を両立させることができるとしている。
また、特許文献3には、耐硫化物応力腐食割れ性に優れた油井用鋼材の製造方法が記載されている。特許文献3に記載された技術は、C:0.15〜0.30%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.10〜1.0%、Cr:0.1〜1.5%、Mo:0.1〜1.0%、Al:0.003〜0.08%、N:0.008%以下、B:0.0005〜0.010%、Ca+O:0.008%以下を含み、さらにTi、Nb、Zr、Vのうちの1種または2種以上を含有する鋼材を用いて熱間加工により製管後、冷却することなくそのまま直接焼入れ、若しくはAc3変態点以上の温度に保持した後焼入れし、ついでAc1変態点以下で焼戻する耐硫化物応力腐食割れ性に優れた油井用鋼材の製造方法である。これにより、製造プロセスを簡略化し、安価に耐SSC性に優れた高強度の油井用鋼管を安定して製造できるとしている。
また、特許文献4には、C:0.15〜0.35%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%、P:0.025%以下、S:0.004%以下、sol.Al:0.001〜0.1%、Ca:0.0005〜0.005%を含有し、Ca系非金属介在物の組成が、CaSとCaOとの合計が50質量%以上であり、CaとAlとの複合酸化物が50質量%未満であり、かつ鋼の硬さがHRCで21〜30の範囲内で、鋼の硬さおよびCaOとCaSの合計量X(質量%)が、特定の関係を満足する耐硫化物応力割れ性(耐SSC性)に優れた油井管用鋼が記載されている。特許文献4に記載された技術では、耐SSC性に害のあるCaとAlとの複合酸化物を低減して無害のCaSとCaOへの反応を促進することにより、耐SSC性が向上した油井用鋼となるとしている。
また、特許文献5には、C:0.15〜0.35%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、sol.Al:0.001〜0.1%以下、Cr:0.1〜1.5%、Mo:0〜1.0%、N:0.0070%以下、V:0〜0.15%、B:0〜0.0030%、Ti:0〜A%、ここでA=3.4×N(%)、さらにNb:0.005〜0.012%を含む組成のビレットに、熱間で穿孔、圧延を行い、最終圧延温度900〜1100℃の条件で製管して継目無鋼管とし、Ar3点以上の温度域に保持したまま焼入れし、焼戻しをする、強度バラツキが小さく、オーステナイト粒度がASTM規格No.6以上の微細組織を有する継目無鋼管の製造方法が記載されている。特許文献5に記載された技術では、鋼の組成および最終圧延温度を調整することにより、微細組織が得られ、強度ばらつきが小さくなるとしている。
特開平08−311551号公報 特開2000−313919号公報 特開2001−172739号公報 特開2002−60893号公報 特開2000−219914号公報
しかしながら、耐SSC性に及ぼす各種要因は極めて複雑であり、110ksi級の高強度鋼管において安定して、耐SSC性を確保するための条件は明確になっていないのが現状である。例えば、特許文献1、2に記載された技術では、優れた耐SSC性を安定して確保できていないという問題がある。また、特許文献1に記載された技術では、低温域での圧下量が多くなりすぎ、管表面に疵が発生しやすいという問題や、大きな加工量を確保することを必要とし、厚肉鋼管の製造が難しくなるという問題がある。また、特許文献2に記載された技術では、圧延後直接焼入れするため、造管時に生じる温度むらに起因した、鋼管の曲がりあるいは鋼管各部の特性ばらつきが大きくなるという問題がある。
また、特許文献3に記載された技術では、安定して降伏強さ110ksi以上の強度を安定して確保できないうえ、耐SSC性向上に有利な形状を有する介在物を形成するための具体的な条件が明確になっていないという問題があり、安定して優れた耐SSC性を確保できていないという問題もある。
また、特許文献4に記載された技術では、耐SSC性向上に有利な介在物を形成するための具体的な条件が明確になっておらず、また、特許文献5に記載された技術では、圧延後直接焼入れするため、造管時に生じる温度むらに起因した、鋼管の曲りあるいは鋼管各部の特性のばらつきが大きくなるという問題がある。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、油井用として好適な、降伏強さ:110ksi級の高強度を有し、さらにサワー環境下における耐硫化物応力腐食割れ性(耐SSC性)に優れた、低合金高強度継目無鋼管およびその製造方法を提供することを目的とする。なお、ここでいう「耐硫化物応力腐食割れ性に優れた」とは、NACE TM0177 Method Aの規定に準拠した、HSが飽和した0.5%酢酸+5.0%食塩水溶液(液温:24℃)中での定荷重試験を実施し、降伏強さの90%の負荷応力で負荷時間:720時間で、割れが生じない場合をいうものとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するため、低合金継目無鋼管の強度と耐硫化物応力腐食割れ性(耐SSC性)に及ぼす各種要因について鋭意研究した。その結果、油井用の継目無鋼管として、低合金系で、所望の高強度と優れた耐硫化物応力腐食割れ性とを両立させるには、適正量のMo、Cr、V、Nb、Ti、Bを必須含有するとしたうえで、さらに、低温加熱して穿孔したのち、所定条件を満足する低温圧延を施し、組織を微細化し、さらに1回以上の再加熱焼入れ処理および焼戻処理を施すことにより、圧延時に疵や曲がりが発生せず、優れた耐硫化物応力腐食割れ性と所望の高強度とを兼備する継目無鋼管が得られることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)鋼素材を、加熱し、穿孔圧延を施して中空素材としたのち、該中空素材に延伸圧延を施して継目無鋼管とするにあたり、前記鋼素材を、質量%で、C:0.15〜0.50%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.3〜1.0%、P:0.015%以下、S:0.005%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.01%以下、Cr:0.8〜1.7%、Mo:0.2〜1.1%、V:0.01〜0.12%、Nb:0.01〜0.08%、Ti:0.005〜0.03%、B:0.0005〜0.0030%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材とし、
前記加熱を、加熱温度:1200℃未満とする加熱とし、前記穿孔圧延および前記延伸圧延を含め、次式
断面減縮率(%)=(圧延前の断面積−圧延後の断面積)/(圧延前の断面積)×100
で定義される断面減縮率が、1000℃以上の温度域で40〜60%、1000℃未満の温度域で10〜40%である圧延とし、前記延伸圧延終了後、300℃以下の温度まで冷却したのち、Ac3変態点〜1000℃の温度に再加熱し、急冷する焼入れ処理を施し、さらにAc1変態点以下の温度に加熱し焼戻しする焼戻処理を施すことを特徴とする耐硫化物応力腐食割れ性に優れた油井用低合金高強度継目無鋼管の製造方法。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする油井用低合金高強度継目無鋼管の製造方法。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、W:2.0%以下を含有することを特徴とする油井用低合金高強度継目無鋼管の製造方法。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.001〜0.005%を含有することを特徴とする油井用低合金高強度継目無鋼管の製造方法。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記焼入れ処理を、2回以上繰返すことを特徴とする油井用低合金高強度継目無鋼管の製造方法。
(6)質量%で、C:0.15〜0.50%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.3〜1.0%、P:0.015%以下、S:0.005%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.01%以下、Cr:0.8〜1.7%、Mo:0.2〜1.1%、V:0.01〜0.12%、Nb:0.01〜0.08%、Ti:0.005〜0.03%、B:0.0005〜0.0030%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、JIS G 0551の規定に準拠して測定した旧オーステナイト粒が粒度番号で10以上であり、かつ焼戻マルテンサイト相を主相とし、該主相と、体積率で5%未満(0%を含む)の第二相からなる組織を有し、前記焼戻マルテンサイト相の下部組織が、隣接する領域と5°以上の方位差を有する領域で、該領域の大きさが7μm以下である領域の割合が組織全量に対する面積率で50%以上を占める下部組織であり、降伏強さYSが758〜862MPaの高強度を有し、耐硫化物応力腐食割れ性に優れることを特徴とする油井用低合金高強度継目無鋼管。
(7)(6)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする油井用低合金高強度継目無鋼管。
(8)(6)または(7)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、W:2.0%以下を含有することを特徴とする油井用低合金高強度継目無鋼管。
(9)(6)ないし(8)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.001〜0.005%を含有することを特徴とする油井用低合金高強度継目無鋼管。
本発明によれば、降伏強さ:110ksi級の高強度と、さらに硫化水素を含む厳しい腐食環境下における優れた耐硫化物応力腐食割れ性とを兼備する高強度継目無鋼管を容易に製造でき、産業上格段の効果を奏する。
本発明では、鋼素材を、加熱し、穿孔圧延を施して中空素材としたのち、該中空素材に延伸圧延を施して継目無鋼管とする。
まず、使用する鋼素材の組成限定理由について、説明する。以下、とくに断わらないかぎり質量%は単に%で記す。
C:0.15〜0.50%
Cは、鋼の強度を増加させる作用を有し所望の高強度を確保するために重要な元素である。また、Cは、焼入れ性を向上させる元素であり、焼戻マルテンサイト相を主相とする組織の形成に寄与する。このような効果を得るためには、0.15%以上の含有を必要とする。一方、0.50%を超える含有は、焼戻時に、水素のトラップサイトとして作用する炭化物を多量に析出させ、鋼中への過剰な拡散性水素の侵入を阻止できなくなるとともに、焼入れ時の割れを抑制できなくなる。このため、Cは0.15〜0.50%に限定した。なお、好ましくは0.20〜0.30%である。
Si:0.1〜1.0%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中に固溶して鋼の強度を増加させ、焼戻時の急激な軟化を抑制する作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.1%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を超える含有は、粗大な酸化物系介在物を形成し、強い水素トラップサイトとして作用するとともに、有効元素の固溶量低下を招く。このため、Siは0.1〜1.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.20〜0.30%である。
Mn:0.3〜1.0%
Mnは、焼入れ性の向上を介して、鋼の強度を増加させるとともに、Sと結合しMnSとしてSを固定して、Sによる粒界脆化を防止する作用を有する元素であり、本発明では0.3%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を超える含有は、粒界に析出するセメンタイトが粗大化し耐硫化物応力腐食割れ性を低下させる。このため、Mnは0.3〜1.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.4〜0.8%である。
P:0.015%以下
Pは、固溶状態では粒界等に偏析し、粒界脆化割れ等を引き起こす傾向を示し、本発明ではできるだけ低減することが望ましいが、0.015%までは許容できる。このようなことから、Pは0.015%以下に限定した。なお、好ましくは0.013%以下である。
S:0.005%以下
Sは、鋼中ではほとんどが硫化物系介在物として存在し、延性、靭性や、耐硫化物応力腐食割れ性等の耐食性を低下する。一部は固溶状態で存在する場合があるが、その場合には粒界等に偏析し、粒界脆化割れ等を引き起こす傾向を示す。このため、本発明ではできるだけ低減することが望ましいが、過剰な低減は精錬コストを高騰させる。このようなことから、本発明では、Sは、その悪影響が許容できる0.005%以下に限定した。
Al:0.01〜0.1%
Alは、脱酸剤として作用するとともに、Nと結合しAlNを形成してオーステナイト結晶粒の微細化に寄与する。このような効果を得るために、Alは0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.1%を超えて含有すると、酸化物系介在物が増加し靭性が低下する。このため、Alは0.01〜0.1%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.07%である。
N:0.01%以下
Nは、Ti、Nb、Al等の窒化物形成元素と結合しMN型の析出物を形成する。しかし、これらの析出物は粗大な析出物となり、耐SSC性を低下させる。このため、Nはできるだけ低減することが好ましく、Nは0.01%以下に限定した。なお、少量のMN型析出物は、鋼素材等の加熱時に、結晶粒の粗大化を抑制する効果を有するため、Nは0.003%程度以上含有することが好ましい。
Cr:0.8〜1.7%
Crは、焼入れ性の増加を介して、鋼の強度の増加に寄与するとともに、耐食性を向上させる元素である。また、Crは、焼戻時にCと結合し、MC系、MC系、M23C系等の炭化物を形成し、とくにMC系炭化物は焼戻軟化抵抗の傾きを緩やかにし、焼戻温度の変動による強度変化を少なくして、強度調整を容易にする。このような効果を得るためには、0.8%以上の含有を必要とする。一方、1.7%を超えて含有すると、多量のMC系炭化物、M23C系炭化物を形成し、水素のトラップサイトとして作用し耐硫化物応力腐食割れ性が低下する。このため、Crは0.8〜1.7%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.9〜1.5%である。
Mo:0.20〜1.1%
Moは、炭化物を形成し析出硬化により強度の増加に寄与するとともに、固溶して、旧オーステナイト粒界に偏析して更なる耐硫化物応力腐食割れ性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、0.20%以上の含有を必要とする。一方、1.1%を超える含有は、針状のMC型析出物を形成し耐硫化物応力腐食割れ性を低下させる。このため、Moは0.20〜1.1%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.6〜1.1%である。
V:0.01〜0.12%
Vは、炭化物あるいは窒化物を形成し、鋼の強化に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.12%を超えて含有しても、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり経済的に不利となる。このため、Vは0.01〜0.12%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.08%である。
Nb:0.01〜0.08%
Nbは、オーステナイト(γ)温度域での再結晶を遅延させ、γ粒の微細化に寄与し、マルテンサイトの下部組織(例えばパケット、ブロック、ラス)の微細化に極めて有効に作用するとともに、炭化物を形成し鋼を強化する作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.08%を超える含有は、粗大な析出物(NbC、NbN)の析出を促進し、耐硫化物応力腐食割れ性の低下を招く。このため、Nbは0.01〜0.08%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.06%である。ここで、パケットとは、平行に並んだ同じ晶癖面を持つラスの集団から成る領域と定義され、ブロックは、平行でかつ同じ方位のラスの集団から成る。
Ti:0.005〜0.03%
Tiは、炭化物あるいは窒化物を形成し、鋼の強化に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.005%以上含有することを必要とする。一方、0.03%を超える含有は、鋳造時に粗大なTiNの形成が促進され、その後の加熱でも固溶しないため、靭性や耐硫化物応力腐食割れ性の低下を招く。このため、Tiは0.005〜0.03%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.01〜0.02%である。
B:0.0005〜0.003%
Bは、微量の含有で焼入れ性向上に寄与する元素であり、本発明では0.0005%以上の含有を必要とする。一方、0.003%を超えて多量に含有しても、効果が飽和するかあるいはFe−B硼化物の形成により、逆に所望の効果が期待できなくなり、経済的に不利となる。なお、0.003%を超えて含有すると、MoB、FeB等の粗大な硼化物の形成を促進し、熱延時に割れを発生しやすくする。このため、Bは0.0005〜0.003%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.001〜0.003%である。
以上の成分が基本であるが、基本の組成に加えてさらに、必要に応じて、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下のうちから選ばれた1種または2種、および/または、W:2.0%以下、および/または、Ca:0.001〜0.005%を選択して含有してもよい。
Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下のうちから選ばれた1種または2種
Cu、Niはいずれも、鋼の強度を増加させるとともに、靭性、耐食性を向上させる作用を有する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。
Cuは、鋼の強度を増加させるとともに、靭性、耐食性を向上させる作用を有する元素であり、必要に応じて含有できる。とくに、厳しい耐硫化物応力腐食割れ性が要求される場合には、極めて重要な元素となる。含有した場合、緻密な腐食生成物が形成され、さらに割れの起点となるピットの生成・成長が抑制されて、耐硫化物応力腐食割れ性が顕著に向上するため、本発明では0.03%以上含有することが望ましい。一方、1.0%を超えて含有しても効果が飽和するうえ、コストの高騰を招く。このため、含有する場合には、Cuは1.0%以下に限定することが好ましい。なお、さらに好ましくは、0.03〜0.10%である。
Niは、Cuと同様に、鋼の強度を増加させるとともに、靭性、耐食性を向上させる作用を有する元素であり、必要に応じて含有できる。このような効果を得るためには、0.03%以上含有することが望ましいが、1.0%を超えて含有しても効果が飽和するうえ、コストの高騰を招く。このため、含有する場合には、Niは1.0%以下に限定することが好ましい。なお、さらに好ましくは、0.03〜0.25%である。
W:2.0%以下
Wは、炭化物を形成し鋼の強化に寄与するとともに、固溶して、旧オーステナイト粒界に偏析して耐硫化物応力腐食割れ性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、0.03%以上含有することが望ましいが、2.0%を超える含有は、耐硫化物応力腐食割れ性を低下させる。このため、含有する場合には、Wは2.0%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.05〜0.50%である。
Ca:0.001〜0.005%
Caは、展伸した硫化物系介在物を粒状の介在物とする、いわゆる介在物の形態を制御する作用を有し、この介在物の形態制御を介して、延性、靭性や耐硫化物応力腐食割れ性を向上させる効果を有する元素であり、必要に応じて含有できる。このような効果は、0.001%以上の含有で顕著となるが、0.005%を超える含有は、非金属介在物が増加し、かえって延性、靭性や耐硫化物応力腐食割れ性が低下する。このため、含有する場合には、Caは0.001〜0.005%の範囲に限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
上記した組成を有する鋼素材を出発素材とする。
出発素材である鋼素材の製造方法は、常用の方法がいずれも適用でき、とくに限定する必要はない。上記した組成を有する溶鋼を、転炉、電気炉、真空溶解炉等の通常公知の溶製方法で溶製し、通常公知の連続鋳造法でビレット等の鋳片とする。なお、鋳片をさら加熱し、該鋳片に圧延等の熱間加工を施し、鋼片としてもよい。なお、連続鋳造法に代えて、造塊−分塊法で鋼素材としてもなんら問題はない。
得られた鋳片(鋼素材)を、加熱温度:1200℃未満、好ましくは1100℃以上に加熱して、穿孔圧延を施し、中空素材とする。加熱温度が1200℃以上と高温になると、その後の圧延、熱処理によっても微細な組織を得ることができず、所望の特性を確保することができなくなる。このため、本発明では、鋼素材の加熱温度は1200℃未満、好ましくは1100℃以上に限定した。なお、穿孔圧延方法は、とくに限定する必要はなく、通常公知のマンネスマン−ピアサ方式の穿孔方法が適用できる。
得られた中空素材は、追加の加熱を行うことなくそのまま、延伸圧延を施されて、所定寸法の継目無鋼管となる。なお、延伸圧延は、通常公知の方法がいずれも適用できる。
本発明では、穿孔圧延、延伸圧延を含め、次式
断面減縮率(%)=(圧延前の断面積−圧延後の断面積)/(圧延前の断面積)×100
で定義される断面減縮率が、1000℃以上の温度域で40〜60%、かつ1000℃未満の温度域で10〜40%となる圧延とする。
1000℃以上の温度域での断面減縮率が、40%未満では、微細な組織を得ることができない。一方、1000℃以上の温度域での断面減縮率を60%を超えて大きくしても、効果が飽和する。また、1000℃未満の温度域での断面減縮率が、10%未満では、微細な組織を得ることができない。一方、1000℃未満の温度域での断面減縮率が、40%を超えると、鋼管に疵や曲がりが生ずる。このため、穿孔圧延、延伸圧延を含めた断面減縮率を、1000℃以上の温度域で40〜60%、1000℃未満の温度域で10〜40%に限定した。延伸圧延終了後は、300℃以下の温度まで冷却する。冷却停止温度が、300℃を上回ると、圧延後の組織をマルテンサイトとすることができなくなり、再加熱し焼入する時にオーステナイトの核生成サイトが減少し、微細な組織を確保できなくなる。このため、冷却停止温度は300℃以下に限定した。なお、圧延後の冷却方法はとくに限定する必要はないが、空冷とすることが好ましい。
本発明では、300℃以下に冷却された後、再加熱し焼入れする焼入れ処理を施す。
焼入れ処理は、Ac3変態点〜1000℃の温度に再加熱し、急冷する処理とする。これにより、微細なγ相から変態した微細な下部組織を有するマルテンサイト相を主相とする組織とすることができる。焼入れ加熱温度が、Ac3変態点未満では、オーステナイト単相域に加熱することができず、その後の冷却で十分なマルテンサイト組織とすることができないため、所望の高強度を確保できなくなる。焼入れ温度を1000℃を超えて高温とすると、組織の粗大化を招き、靭性および耐硫化物応力腐食割れ性が低下する。このため、焼入れ処理の加熱温度はAc3変態点以上1000℃以下に限定する。なお、加熱温度は好ましくは840〜1000℃である。
なお、焼入れ処理における加熱温度での保持時間は、5min以上であれば十分であり、60minを超えて長時間となると、生産性が低下する。このため、保持時間は5〜60minとすることが好ましい。また、加熱後の冷却(急冷)は、水冷とすることが所望のマルテンサイト組織を得るという観点から好ましい。
なお、焼入れ処理は1回以上繰返すことが好ましい。焼入れ処理を繰返し施すことにより、組織が微細化し、所望の高強度、高靭性、さらには優れた耐硫化物応力腐食割れ性を兼備させることができる。また、焼入れ処理は連続して繰返しても、あるいは焼入れ処理Qと焼戻処理Tを繰返して行うQTQT処理としてもよい。
焼入れ処理後、さらに焼戻処理を施す。焼戻処理は、Ac1変態点以下の温度に加熱し、冷却(好ましくは空冷以上の冷却速度で冷却)する処理とする。本発明では焼戻処理は、過剰な転位を減少させ組織の安定化を図り、所望の高強度と、更なる優れた耐硫化物応力腐食割れ性とを兼備させるために行う。焼戻処理の加熱温度がAc1変態点を超えると、オーステナイトが生成し、冷却時にマルテンサイト、ベイナイトに変態し、焼入れままのマルテンサイト、ベイナイトとなるため、強度が低下する。このようなことから、焼戻処理の加熱温度は、Ac1変態点以下の温度とする。なお、好ましくは600〜720℃である。また、焼戻処理は、上記した温度範囲内で10min以上保持したのち、好ましくは空冷以上の冷却速度で、好ましくは室温まで冷却する処理とすることが好ましい。なお、焼戻温度での保持時間が、10min未満では、所望の組織の均一化が達成できない。なお、好ましくは、30min以上である。焼戻保持時間が長すぎると、強度が低下するうえ、生産性が低下する。
上記した製造方法で得られる本発明継目無鋼管は、焼戻マルテンサイト相を主相とし、主相と、体積率で5%未満(0%を含む)の第二相からなる組織を有する。
本発明では、多量の合金元素を含有することなく、比較的低い合金元素含有量で、110ksi級の高強度を確保するために、鋼管組織を、マルテンサイト相組織とするが、所望の靭性、延性さらには耐硫化物応力腐食割れ性の確保の観点から、これらマルテンサイト相を焼戻した焼戻マルテンサイト相を主相とする組織とする。ここでいう「主相」とは、焼戻マルテンサイト相単相、あるいは、焼戻マルテンサイト相に加えて、特性に影響しない範囲である、体積%で5%未満の第二相を含む組織とする。第二相が、5%以上となると、強度、さらには靭性、延性等の特性が低下する。なお、第二相としては、ベイナイト、パーライト、フェライトあるいはそれらの混合相等が例示できる。したがって、「焼戻マルテンサイト相を主相とする組織」とは、体積%で95%以上の焼戻マルテンサイト相を含む組織を意味する。
なお、上記した製造方法で得られる本発明継目無鋼管では、旧オーステナイト(γ)粒が粒度番号で10以上で、かつ焼戻マルテンサイト相の下部組織が微細な細粒組織を有する。なお、旧γ粒の粒度番号は、JIS G 0551の規定に準拠して測定した値を用いるものとする。また、焼戻マルテンサイト相の下部組織については、電子後方散乱回折法(Electron Back Scatter Diffraction EBSD)により、測定した結晶方位分布を用いて、隣接する領域との方位差が5°以上である領域のそれぞれの大きさを求める。大きさは面積が同一となる円の直径(円相当径)で評価し、円相当径が7μm以下である領域の組織全量に対する面積率を算出する。そして、この領域の面積率が50%未満では、γ相から変態で生成するマルテンサイト相の下部組織が粗大化し、所望の耐硫化物応力腐食割れ性を確保できなくなる。このようなことから、本発明継面無鋼管では、焼戻マルテンサイト相を、その下部組織が、大きさ:7μm以下の、隣接する領域との方位差が5°以上である領域を面積率で50%以上有する組織とする。なお、好ましくは、面積率で60%以上である。
以下、実施例に基づいてさらに本発明について説明する。
表1に示す組成の溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法で鋳片(ビレット)とした。これら鋳片を鋼素材として、マンネスマン方式の穿孔圧延機を用いて穿孔圧延して中空素材とし、引き続き、プラグミル方式の製造工程を用いて延伸圧延を施して、表2に示す寸法の継目無鋼管としたのち、室温まで空冷した。ついで、造管まま継目無鋼管に、表2に示す焼入れ加熱温度まで再加熱し水冷する焼入れ処理Qと、引続き、表2に示す条件の焼戻処理Tを施した。
得られた鋼管から、試験片を採取し、組織観察試験、引張試験、腐食試験を実施した。試験方法は次のとおりとした。
(1)組織観察試験
得られた鋼管から、組織観察用試験片を採取し、管長手方向に直交する断面(C断面)を研磨、腐食(腐食液:ナイタール液)して、光学顕微鏡(倍率:1000倍)および走査型電子顕微鏡(倍率:2000倍)で組織を観察し、撮像して、画像解析装置を用い、組織の種類およびその分率を測定した。
なお、旧γ粒界の現出は、ピクラール腐食液を用いて腐食し、得られた組織を光学顕微鏡(倍率:400倍)で各3視野観察し、JIS G 0551の規定に準拠して、切断法を用いて旧γ粒の粒度番号を求めた。採取した組織観察用試験片について、電界放射型電子銃を装備した超型電子顕微鏡SEMに放置されたEBSD装置を用いて、下部組織の結晶方位を測定し、隣接する領域との方位差が5°以上である領域を区画し、その面積を算出し、面積が等しくなる円相当直径を求めた。そして、隣接する領域との方位差が5°以上である領域の大きさ(円相当径)が7μm以下である領域の組織全量に対する面積率を算出した。
(2)引張試験
得られた鋼管から、管軸方向が引張方向となるように丸棒引張試験片(平行部6mmφ×G.L.20mm)を採取し、引張試験を実施し、降伏強さYS、引張強さTSを求めた。なお、降伏強さは0.7%伸びでの強度とした。
(3)腐食試験
得られた鋼管から、腐食試験片を10本採取し、NACE TM0177 Method Aの規定に準拠した、HSが飽和した0.5%酢酸+5.0%食塩水溶液(液温:24℃)中での定荷重試験を実施し、降伏強さの90%の負荷応力で、720時間、負荷したのち、試験片の割れの有無を観察し、耐硫化物応力腐食割れ性を評価した。なお、割れ観察は、倍率:10倍の投影機を使用した。耐硫化物応力腐食割れ性の評価は、割れ発生率(=(割れが発生した試験片本数)/(全試験片数)×100(%))で行った。
(4)疵の検査
得られた鋼管について、API 5CTの規定に準拠して、非破壊検査を実施し、疵(キズ)の有無を確認した。
得られた結果を表3に示す。
本発明例はいずれも、所望の高強度(降伏強さ:758MPa以上)を有するとともに、割れ発生率が0%であり、所望の高強度と優れた耐硫化物応力腐食割れ性とを兼備する継目無鋼管となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、所望の組織を確保できず、所望の高強度、所望の優れた耐硫化物応力腐食割れ性を兼備することができていない。

Claims (9)

  1. 鋼素材を、加熱し、穿孔圧延を施して中空素材としたのち、該中空素材に延伸圧延を施して、継目無鋼管とするにあたり、前記鋼素材を、質量%で、
    C :0.15〜0.50%、 Si:0.1〜1.0%、
    Mn:0.3〜1.0%、 P :0.015%以下、
    S :0.005%以下、 Al:0.01〜0.10%、
    N :0.01%以下、 Cr:0.8〜1.7%、
    Mo:0.2〜1.1%、 V :0.01〜0.12%、
    Nb:0.01〜0.08%、 Ti:0.005〜0.03%、
    B :0.0005〜0.0030%
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材とし、
    前記加熱を、加熱温度:1200℃未満とする加熱とし、
    前記穿孔圧延および前記延伸圧延を、下記式で定義される断面減縮率が、1000℃以上の温度域で40〜60%、1000℃未満の温度域で10〜40%である圧延とし、
    前記延伸圧延終了後、300℃以下の温度まで冷却したのち、Ac3変態点〜1000℃の温度に再加熱し、急冷する焼入れ処理を施し、さらにAc1変態点以下の温度に加熱し焼戻しする焼戻処理を施すことを特徴とする耐硫化物応力腐食割れ性に優れた油井用低合金高強度継目無鋼管の製造方法。

    断面減縮率(%)=(圧延前の断面積−圧延後の断面積)/(圧延前の断面積)×100
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の油井用低合金高強度継目無鋼管の製造方法。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、W:2.0%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の油井用低合金高強度継目無鋼管の製造方法。
  4. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.001〜0.005%を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の油井用低合金高強度継目無鋼管の製造方法。
  5. 前記焼入れ処理を、2回以上繰返すことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の油井用低合金高強度継目無鋼管の製造方法。
  6. 質量%で、
    C :0.15〜0.50%、 Si:0.1〜1.0%、
    Mn:0.3〜1.0%、 P :0.015%以下、
    S :0.005%以下、 Al:0.01〜0.10%、
    N :0.01%以下、 Cr:0.8〜1.7%、
    Mo:0.2〜1.1%、 V :0.01〜0.12%、
    Nb:0.01〜0.08%、 Ti:0.005〜0.03%、
    B :0.0005〜0.0030%
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、
    焼戻マルテンサイト相を主相とし、主相と、体積率で5%未満(0%を含む)の第二相からなる組織を有し、前記焼戻マルテンサイト相の下部組織が、隣接する領域と5°以上の方位差を有する領域で、該領域の大きさが7μm以下である領域の割合が組織全量に対する面積率で50%以上を占める下部組織であり、降伏強さYSが758〜862MPaの高強度を有し、耐硫化物応力腐食割れ性に優れることを特徴とする油井用低合金高強度継目無鋼管。
  7. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項6に記載の油井用低合金高強度継目無鋼管。
  8. 前記組成に加えてさらに、質量%で、W:2.0%以下を含有することを特徴とする請求項6または7に記載の油井用低合金高強度継目無鋼管。
  9. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.001〜0.005%を含有することを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の油井用低合金高強度継目無鋼管。
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