JP2014125642A - プレス成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧延と熱処理を組み合わせて製造する一般的な方法で従来と比較して間口が小さく深い絞り成形に優れ、かつ成形品の機械的強度も高いアルミニウム合金板を提供する。
【解決手段】Si:0.01〜0.50質量%、Mn:0.70〜1.50質量%を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなり、圧延方向に沿う断面の90%以上の面積率でアスペクト比5以上の繊維状組織を有しているとともに、圧延方向に対して45°方向の引張強さが150N/mm以上、0.2%耐力が130N/mm以上、伸びが15%以上であり、引張強さ及び0.2%耐力は、圧延方向の引張強さ及び0.2%耐力の90%以上である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プレス成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法に関する。
一般に、張出しや深絞り等のプレス成形を伴うアルミニウム合金板は、材料の伸びをできるだけ大きくすることを目的として、合金組成を最適化した軟質のO材処理板が使用される。
例えば、特許文献1では、Fe:1.0〜2.0質量%および、更にMg:0.05〜0.3質量%またはMn:0.05〜0.6質量%の何れか1種または2種、Ti:0.005〜0.10質量%もしくはTi:0.005〜0.10質量%およびB:0.0005〜0.002質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、該不純物中のSiを0.10質量%以下、Cuを0.03質量%以下に規制したアルミニウム合金鋳塊を450〜620℃で均熱処理し、通常の熱間圧延を施し、冷間圧延を施した後、300℃以上で中間焼鈍し、またはそのまま、冷間圧延を60%以上施した後、300℃以上の温度で最終焼鈍し、テンションレベラーで1〜5%の永久伸びを付与して耐力を向上させて3方向での引張試験で引張強さが100N/mm以上、耐力55N/mm以上で全伸び40%以上であり、かつ局部伸びが10%以上を有するものとしている。
また、特許文献2では、Si:2.8%〜4.0%、Mn:0.7%〜1.5%、Mg:0.2%〜1.0%、Bi:0.01%〜0.1%を含有し、(Si+Mg)量を3.2%以上、(Si+Mg+Mn)量を4.0%以上とし、不純物として、Feは0.7%以下、Cuは0.50%以下、Crは0.10%以下、Znは1.0%以下、Tiは0.20%以下の範囲で許容され、残部Al及び不可避的不純物からなるO調質されたアルミニウム合金板であって、平均結晶粒径が50μm以下であり、冷間圧延板を250〜450℃の温度で軟化処理することにより製造している。実施例として、引張強さが128〜143MPa、耐力が49〜62MPa、伸びが28〜33%のものが示されている。
特開2001−288523号公報 特開2003−89839号公報
しかし、より深い絞り成形を行う場合には成形中の胴や肩部の割れを回避する必要があり、材料強度と伸び、金属組織を組み合わせた好適な材料を選択する必要がある。さらに、成形後のプレス成形品を輸送機部材や電子機器材などに使用する場合は、装備される電子部品や電装品を外部衝撃から保護する目的でアルミニウム合金であってもできるだけ高い材料強度が求められる。
特許文献1は、全伸び40%以上、局部伸び10%以上と高い伸びを示すものの、板材の引張強さは最大で100N/mm、耐力は55N/mmであるので、プレス成形後に材料強度を必要とする輸送機部材や電機部品用途に用いる場合は十分な材料強度を有しているとは言えない。
また、特許文献2もO材調質の合金であるので耐力値が低く、また、構成元素としてSiを2.8〜4.0%の範囲で含有しているので、多くのSi粒子が分散し、高いL/D(絞り深さ/内径)比をもつ深絞り成形に対して胴切れを起こして成形できない場合がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、圧延と熱処理を組み合わせて製造する一般的な方法で従来と比較して間口が小さく深い絞り成形に優れ、かつ成形品の機械的強度も高いアルミニウム合金板を提供することを目的とする。
本発明のアルミニウム合金板は、Si:0.01〜0.50質量%、Mn:0.70〜1.50質量%を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなり、圧延方向(0°方向)に沿う断面の90%以上の面積率で結晶粒がアスペクト比20以上の繊維状組織を有しているとともに、圧延方向に対して45°方向の引張強さが150N/mm以上、0.2%耐力が130N/mm以上、伸びが15%以上であり、前記引張強さ及び0.2%耐力は、圧延方向の引張強さとの割合(45°方向の引張強さ/圧延方向の引張強さ)及び0.2%耐力との割合(45°方向の0.2%耐力/圧延方向の0.2%耐力)がそれぞれ90%以上であることを特徴とする。
本発明のアルミニウム合金板は、繊維状組織により、高い材料強度を有し、かつ伸び易く、間口の内径D(mm)、絞り深さL(mm)で表す筒形状の成形品に対して、L/D=10の深絞り成形で割れを生じることがないプレス成形性に優れたアルミニウム合金板である。圧延方向に対して45°方向の引張強さ、0.2%耐力が大きく、圧延方向の材料強度の90%以上であることにより、材料強度と伸びが、圧延方向、45°方向ともに高い値で両立し、優れたプレス成形性を発現させることができる。圧延方向に対して45°方向の引張強さが150N/mm未満、0.2%耐力が130N/mm未満、あるいは伸びが15%未満のいずれであっても、その効果に乏しい。また、圧延方向の引張強さとの割合(45°方向の引張強さ/圧延方向の引張強さ)及び圧延方向の0.2%耐力との割合(45°方向の0.2%耐力/圧延方向の0.2%耐力)がそれぞれ90%未満では、圧延方向とその45°方向とで材料強度の差が大きくなり、局部的な強度不足により大きな変形時に割れが生じ易い。
なお、Siは強度を高める効果があるが、0.50質量%を超えるとSi粒子が晶出して高い深絞り成形に対して割れが生じ易い。一方、Si含有量を0.01質量%未満とするのはコスト増を招く。
Mnは強度を高めるとともに結晶粒を微細にする効果があり、0.70質量%未満では効果が得られないが、1.50質量%を超えると粗大なAl−Mn系晶出物が生成され、成形性を阻害するおそれがある。
本発明のアルミニウム合金板において、さらにCuが0.10〜0.50質量%、Mgが0.01〜0.30質量%含有してもよい。
Cu、Mgはアルミニウム合金中に固溶して引張強さ及び0.2%耐力を高める効果があり、それぞれ範囲の下限未満では効果に乏しく、上限を超えると材料強度が高くなり過ぎて圧延性を低下するとともに、伸びが著しく低下して深絞り性を阻害する。
本発明のアルミニウム合金板の製造方法は、Si:0.01〜0.50質量%、Mn:0.70〜1.50質量%を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金に対して、熱間圧延、冷間圧延、調質焼鈍をこの順序で実施するとともに、前記熱間圧延の最終パスを、パス前の材料温度が320℃以下、圧下率が65%以上、パス後の材料温度が230〜280℃となるように実施し、前記調質焼鈍を230〜280℃の温度で3〜6時間実施することを特徴とする。
熱間圧延では、上記の条件で最終パスの圧延を実施することにより、圧延板に強い繊維状組織を形成する。そして、冷間圧延でその繊維状組織を発達させ、冷間圧延後に230〜280℃の調質焼鈍を行うことにより、繊維状組織を残したまま歪みを回復し、成形性を向上させる。冷間圧延後に調質焼鈍するので、H2n調質板となる。調質焼鈍が温度280℃を超えると部分的に一次再結晶が生じて不均一な組織となり、延性が低下する。230℃未満では調質の効果が乏しい。
本発明のアルミニウム合金板の製造方法において、前記冷間圧延の途中で、230〜280℃で中間焼鈍するとよい。
中間焼鈍しておくことにより、調質焼鈍による軟化現象を緩和して、調質板の製造を容易にすることができる。
本発明によれば、間口が小さく深い絞り成形に優れ、かつ成形品の機械的強度も高いアルミニウム合金板を得ることができる。
本発明の実施形態により作製された成形品の例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明のアルミニウム合金板は、Si:0.01〜0.50質量%、Mn:0.70〜1.50質量%を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなる。
このアルミニウム合金の機械的特性は、アスペクト比20以上の結晶粒が圧延方向に沿う断面の90%以上の面積率を有しているともに、圧延方向に対して45°方向の引張強さが150N/mm以上、0.2%耐力が130N/mm以上、伸びが15%以上であり、圧延方向の引張強さとの割合(45°方向の引張強さ/圧延方向の引張強さ)及び圧延方向の0.2%耐力との割合(45°方向の0.2%耐力/圧延方向の0.2%耐力)は、それぞれ90%以上である。
また、前述の基本組成に、材料強度をより高めるために、更にCuが0.10〜0.50質量%、Mgが0.01〜0.30質量%含有してもよい。
以下、詳述する。
(Si:0.01〜0.50質量%)
Siは不可避不純物として存在し、アルミニウム合金板の強度を若干高める効果があるが、多量に添加した場合は、Si粒子が単体で晶出するので、高いL/D比をもつ深絞り成形に対して胴切れを起こして成形できない場合が多く、割れ部を詳細に観察するとSi粒子を含む相が割れの進展に影響している場合が多かった。よって、Siは0.50%以下であることが好ましい。一方で、Si含有量を0.01質量%未満とするには、入手が困難な高純度地金を使用する必要があり、アルミニウム合金板がコスト高になる。このため、Siの含有量は0.01〜0.50質量%の範囲に規定する。
(Mn:0.70〜1.50質量%)
Mnの添加は、アルミニウム合金板の材料強度を高めるとともに、結晶粒を微細化し、アルミニウム合金板のプレス成形性を向上させる効果がある。Mn含有量が0.70質量%未満の場合には、これらの効果が不十分となる。一方、Mn含有量が1.50質量%を超えると、圧延用スラブ鋳造時に粗大なAl−Mn(−Fe)系晶出物が生成し易くなり、これらが鋳塊に混入することによって、アルミニウム合金板のプレス成形性が著しく低下する。このため、本発明では、Mn含有量を0.70〜1.50質量%に規定する。
(Cu、Mg)
Cu、Mgは、アルミニウム合金中に固溶して存在する元素であり、アルミニウム合金板の引張強さ、0.2%耐力を高める効果がある。一方で、範囲以上の添加量となると材料強度が高くなりすぎるので、圧延性の低下とともに、アルミニウム合金板の伸びが著しく低下するので、深絞り成形に適した板を作製することが困難となる。よって、Cu、Mgを含有させる場合は、Cuが0.10〜0.50質量%、Mgが0.01〜0.30質量%とした。
(組織及び機械的性質)
一般的なアルミニウム合金板では、圧延方向とその45°方向とでは材料強度に差があり、このため、間口に対して深さが大きい絞り成形においては、材料強度の低い45°方向の部分で割れが生じ易い。これに対して、本発明のアルミニウム合金板は、繊維状組織により、高い材料強度を有し、かつ伸び易くなっている。繊維状組織は圧延方向に長く延ばされた結晶粒組織であり、圧延方向に沿う長さと厚さ方向の長さとの比(アスペクト比)が(圧延方向長さ/厚さ方向長さ)で20以上の結晶粒の集合をいう。その繊維状の結晶が圧延方向に沿う断面の90%以上を占有していることにより、全体的に繊維状組織が発達し、高い材料強度と伸びを示し、図1に示すように間口の内径D(mm)、絞り深さL(mm)で表す筒形状の成形品に対して、L/D=10の深絞り成形で割れを生じることがないプレス成形性に優れたアルミニウム合金板である。
具体的には、45°方向の引張強さ150N/mm以上、0.2%耐力は130N/mm以上、伸びは15%以上とするのが良い。本発明では、熱間圧延で形成した組織とその後の工程を経て材料強度と伸びを両立させて高いプレス成形性を発現させることを目的としている。ここで、0°(圧延方向)、45°および90°(圧延方向に対して直角方向)各方向で伸びの値に大きな違いは無いものの、引張強さ、0.2%耐力については45°方向が他の方向と比較して低くなる傾向にある。プレス成形において材料強度が不足する場合における破断では、最も材料強度の低い箇所から破断が起こるので、45°方向の機械的性質が特に重要であり、引張強さ150N/mm以上、0.2%耐力は130N/mm以上、伸びは15%以上であり、その引張強さ及び0.2%耐力は、圧延方向の引張り強さとの割合(45°方向の引張強さ/圧延方向の引張強さ)及び圧延方向の0.2%耐力との割合(45°方向の0.2%耐力/圧延方向の0.2%耐力)が、それぞれ90%以上である。これら45°方向の引張強さ、0.2%耐力が、圧延方向の材料強度の90%以上であることにより、圧延方向及び45°方向ともに材料強度と伸びが高い値で両立し、優れたプレス成形性を発現させることができる。圧延方向に対して45°方向の引張強さが150N/mm未満、0.2%耐力が130N/mm未満、あるいは伸びが15%未満のいずれであっても、その効果に乏しい。また、その引張強度及び0.2%耐力が圧延方向の材料強度の90%未満では、圧延方向とその45°方向とで材料強度の差が大きくなり、局部的な強度不足により大きな変形時に割れが生じ易い。
また、本発明のアルミニウム合金板は、例えば図1に示すような成形品に成形され、大きな深絞り成形が可能であるとともに、深絞り成形品においても、高い材料強度を有しており、輸送機部材や電機部品等の用途に用いる場合でも、これらに一般に用いられる軟鋼の成形品と同等の機械的性質を有している。しかも、アルミニウム合金であり、軟鋼に比べて軽いので、部品の軽量化を促進することができる。例えば、成形したあらゆる面の引張強さが180N/mm以上有することができる。
以上のように構成されるアルミニウム合金板の製造方法について説明する。
本発明のアルミニウム合金板は、鋳造後、熱間圧延、冷間圧延、調質焼鈍をこの順序で実施することにより製造される。冷間圧延の途中に中間焼鈍を付加してもよい。
(熱間圧延)
熱間圧延に先立って、鋳造時の合金成分を均一に分散させることを目的として、450℃〜600℃で、1〜12時間の均質化処理を行うのが望ましい。
この熱間圧延は、熱間粗圧延、仕上げ圧延兼用、あるいは熱間粗圧延、仕上げ圧延専用の装置何れを用いても良く、所定の温度で開始され、所定の圧下率で複数パス繰り返し圧下されるが、目的とする最終板厚に対して最終パスを65%以上の圧下率、最終パス前の材料温度を320℃以下で実施し、最終パス後の材料温度が230〜280℃の範囲となるように巻き取る。その結果、圧延板に強い繊維状組織が発達する。最終パス後の材料温度が280℃を超える場合は、熱間圧延で十分な繊維状組織が発達しない。一方、230℃未満で仕上げるためには、熱間圧延途中で鋳塊を冷却させるための保持時間が必要となるので生産性が低下する。本発明においては、熱間圧延によって発達させた繊維状組織をその後の工程においても維持、発達させることで従来と比較して高い深絞り成形を可能としているので、熱間圧延工程の最適化は重要である。
(冷間圧延)
冷間圧延は通常の圧下率で1パス又は複数パス行えばよく、熱間圧延で形成した繊維状組織を発達させる。
(中間焼鈍)
中間焼鈍は0回もしくは1回まで導入することができる。中間焼鈍は工程上省略できることが好ましいが、0回とした場合、調質焼鈍に伴う軟化現象が鋭敏となり、深絞り成形に適した合金板を作製するために最適な温度範囲が狭くなる傾向にあるので、1回までの中間焼鈍を冷間圧延途中に導入しても良い。その結果、調質焼鈍に伴う軟化現象が緩和されて、所望する温度範囲が広くなりH2n調質板の製造が容易となる。中間焼鈍を行う場合は、温度は230〜280℃で3〜6時間程度、もしくは同じ温度範囲で連続焼鈍炉(CAL)を使用しても良い。この温度範囲の熱処理であれば、熱間圧延で発達した強い繊維状組織を維持することができるので最終調質材の優れた深絞り成形が可能となる。
(調質焼鈍)
冷間圧延後に230〜280℃で3〜6時間程度の調質焼鈍を実施する。この工程によって、熱間圧延で形成し、冷間圧延で発達させた強い繊維状組織を残したまま、導入されたひずみの回復が進む。その際、280℃以上の温度で調質焼鈍を行うと、部分的に1次再結晶を生じるため、繊維状組織と等軸晶組織が混在した不均一な組織となり、総合的な延性が低下するのでプレス成形性も低下することとなる。よって、調質焼鈍は230〜280℃の範囲で行うのが良い。その他の条件は特に規定しないが、プレス成形性を向上させるためにはバッチ焼鈍が好ましく、生産性を考慮して3〜6時間とするのが良い。
表1に示すように成分を調整した溶湯からアルミニウム合金鋳塊を鋳造した。このアルミニウム合金鋳塊に580℃で6時間保持する均質化処理を行い、その後の熱間圧延における最終パスの前板厚を5〜15mm、最終パスによって3mmの板を作製した。この時、最終前パスと最終パスのコイル板温度を測定した。
その後、室温まで冷却後、冷間圧延を開始し、途中任意の板厚に仕上げて指定温度で各5時間の中間焼鈍(バッチ焼鈍)もしくは、連続焼鈍(CAL焼鈍)何れかを0回もしくは1回まで導入し、その後の冷間圧延を行い1mmの圧延板を作製した。
続いて、この圧延板に指定温度で3〜6時間の熱処理(調質焼鈍)を行い、H2n調質に相当するアルミニウム合金圧延板を得た。
Figure 2014125642
得られたアルミニウム合金板を圧延方向に沿って切断し、その長手方向と直交する断面(L−S.T.断面)を顕微鏡観察して、結晶粒のアスペクト比を測定し、アスペクト比が20以上である繊維状結晶の全体に対する面積率を求めた。
また、圧延方向、及び圧延方向と45°となる方向からJIS−Z2241の5号試験片(標点間距離:50mm)を作製して引張試験を行い、引張強さ、0.2%耐力および伸びを測定し、引張強さ(45°方向の引張強さ/圧延方向)及び0.2%耐力(45°方向の0.2%耐力/圧延方向の0.2%耐力)の割合を求めた。
上記工法で得られたアルミニウム合金板に対して、板厚t(mm)=0.8mm、間口の内径D(mm)=15mm、絞り深さL(mm)=160、L/D=10.7に相当する金型数8段のトランスファープレスを用いて筒状の深絞り成形品を作製し、プレス成形性を評価した。このときの金型を金型Aとする。トランスファープレスは加圧能力:6,000kN、ストローク長さ:250mmのものを使用した。
また、同じアルミニウム合金板に対して、金型数6段で板厚t(mm)=0.8mm、間口の内径D(mm)=30mm、絞り深さL(mm)=160、L/D=5.3に相当する成形品も作製しプレス成形性を評価した。このときの金型を金型Bとする。
2種類の金型(金型A、B)に対する深絞り成形の際、多段絞り‐しごき加工で問題無く成形できたものを○、成形可能で使用上は問題ないものの表面に微小な割れを生じていたものは△、多段絞りの工程で割れが発生して成形できなかった場合を×として評価した。
続いて、深絞り成形した金型Aの成形品から圧延方向と平行の0°、45°および90°の3方向で成形品の絞り深さ方向と平行となるように引張試験と断面組織観察用のサンプルを切出し、各方向の試験片について引張強さをそれぞれ測定した。引張試験は円弧形状のJIS−Z2241の12B号比例試験片(標点間距離12.5mm)を機械加工で作製して用いた。
また、光学顕微鏡を使用して板厚0.8mm、幅10mmの全視野に渡って結晶粒組織の観察を行い、アスペクト比20以上の結晶粒からなる繊維状組織が圧延方向に沿う断面に占める面積率を測定した。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2014125642
表2から明らかなように、実施例のアルミニウム合金は、圧延方向に沿う繊維状組織により、圧延方向に対して45°方向の材料強度が高く、伸びも大きく、圧延方向の材料強度との差が小さく、材料強度と伸びが高い値で両立している。このため、プレス成形性に優れ、L/Dが大きい場合でも良好に成形することができる。しかも、成形品の強度も大きく、結晶粒組織が微細であることが理由で、製品外観にオレンジピールなどの肌荒れの無い成形品を得ることができるので、各種強度部材用途への適用が期待できる。

Claims (6)

  1. Si:0.01〜0.50質量%、Mn:0.70〜1.50質量%を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなり、圧延方向に沿う断面の90%以上の面積率でアスペクト比20以上の繊維状組織を有しているとともに、圧延方向に対して45°方向の引張強さが150N/mm以上、0.2%耐力が130N/mm以上、伸びが15%以上であり、前記引張強さ及び0.2%耐力は、圧延方向の引張強さ及び0.2%耐力の90%以上であることを特徴とするアルミニウム合金板。
  2. さらにCuが0.10〜0.50質量%、Mgが0.01〜0.30質量%含有することを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金板。
  3. Si:0.01〜0.50質量%、Mn:0.70〜1.50質量%を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金に対して、熱間圧延、冷間圧延、調質焼鈍をこの順序で実施するとともに、前記熱間圧延の最終パスを、開始温度が320℃以下、圧下率が65%以上、終了温度が230〜280℃となるように実施し、前記調質焼鈍を230〜280℃の温度で3〜6時間実施することを特徴とするアルミニウム合金板の製造方法。
  4. 前記冷間圧延の途中で、230〜280℃で中間焼鈍することを特徴とする請求項3記載のアルミニウム合金板の製造方法。
  5. 前記アルミニウム合金は、さらにCuが0.10〜0.50質量%、Mgが0.01〜0.30質量%含有することを特徴とする請求項3又は4記載のアルミニウム合金板の製造方法。
  6. 請求項1又は2記載のアルミニウム合金板によりプレス成形された成形品。

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