JP2014125595A - 樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

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郁子 菊地
Naoyuki Koyama
直之 小山
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昭人 後藤
Mika Kofune
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Abstract

【課題】植物由来の木質系材料を利用した植物由来の樹脂組成物を提供することを目的とする。特に植物由来であるリグニンを主原料とし、カルダノールで可塑性を添加することによって、高植物度で作業性が良く、耐衝撃性を付与した樹脂組成物及び成形体を提供することにある。
【解決手段】リグニン、カルダノール、硬化剤及び硬化促進剤を含む樹脂組成物であって、有機溶媒可溶なリグニンを20〜90質量%、カルダノールを0.1〜50質量%含むことを特徴とする樹脂組成物及びこれを用いて形成される成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及びその成形体に関するものである。
従来、化学製品は石油などの化石資源を原料としていたが、近年、カーボンニュートラルの概念導入により、バイオマスブラスチックの需要が高まっている。そこで、包装資材、家電製品の部材、自動車用部材等、身の回りのプラスチック製品を、植物由来樹脂(バイオプラスチック)に置き換える動きが活発化している。
植物由来の耐熱性樹脂材料の原料として、リグニンが注目されている。リグニンは、ヒドロキシフェニルプロパン単位の基本骨格を持つ架橋構造の高分子である。樹木は親水性の線状高分子の多糖類(セルロースとヘミセルロース)と疎水性の架橋構造リグニンの相互侵入網目(IPN:Interpenetrating Polymer Network)構造を形成している。リグニンは樹木の約25質量%を占め、不規則かつ極めて複雑なポリフェノールの化学構造をしている。このようなリグニンは、ポリ乳酸に代表されるような他のバイオプラスチックに比べて、極めて優れた耐熱性を有するという特徴を有しており、自動車部品やOA関連用部品等、今まで耐熱性が足りないために応用できなかった用途への応用が期待される。
しかし一方で、リグニンは分子中に剛直なピラノース環、フラノース環及び芳香環を有するために、フェノール樹脂としてリグニン単独で硬化させようとした場合、非常に硬い組成物となる。そのため、混練時の作業性が悪くなる、また成形物が硬く脆くなり衝撃性が低下してしまう問題があった。
また、リグニンの融点は約140℃と高温であるため、リグニン単独で樹脂組成物を作製しようとする場合、混練装置を高温にする必要があり、樹脂組成物を作製することが困難である。
フェノール樹脂としてリグニンのみを用いた組成物の硬さ及び混練作業性を改善するために、柔軟骨格を持った石油由来フェノール樹脂を併用するといった手法もあるが(特許文献1)、石油由来フェノール単独で改善しようとすると添加量が多くなってしまい、植物由来度(植物度)が低下してしまうという問題があった。
特開2009−227890号公報
本発明は、環境負荷低減化の観点から、植物由来の木質系材料を利用した植物由来の樹脂組成物を提供することを目的とする。特に植物由来であるリグニンを主原料とし、カルダノールで可塑性を添加することによって、高植物度で作業性が良く、耐衝撃性を付与した樹脂組成物及び成形体を提供することにある。
本発明は以下の通りである。
(1) リグニン、カルダノール、硬化剤及び硬化促進剤を含む樹脂組成物であって、有機溶媒可溶なリグニンを20〜90質量%、カルダノールを0.1〜50質量%含むことを特徴とする樹脂組成物。
(2) リグニンの重量平均分子量が、100〜7,000である(1)に記載の樹脂組成物。
(3) リグニン中の硫黄原子の含有率が、2質量%以下である(2)に記載の樹脂組成物。
(4) リグニンが、植物原料に水蒸気を圧入し瞬時に圧力を開放することで植物原料を爆砕する水蒸気爆砕法により、セルロース成分及びヘミセルロース成分から分離し、有機溶媒に溶解させることにより得られたリグニンである(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5) 硬化剤が、アルデヒド又はホルムアルデヒドを生成する化合物である(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて形成される成形体。
本発明によれば、リグニン及びカルダノールを併用することで、高植物度で作業性が良く、耐衝撃性を付与した樹脂組成物及び成形体を提供できる。これにより、化石資源使用量の削減、及び二酸化炭素の排出量の低減効果が得られ、地球環境保護に適した樹脂材料及び成形体を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、リグニン、カルダノール、硬化剤及び硬化促進剤を含む樹脂組成物であって、有機溶媒可溶なリグニンを20〜90質量%、カルダノールを0.1〜50質量%含むことを特徴とする樹脂組成物である。
リグニンを、好ましくは30〜80質量%、また、さらに40〜70質量%含む樹脂組成物が好ましい。90質量%を超えると成形性が低下し易く、さらに成形体の強度が低下する恐れがある。また、10質量%より少ないと、化石資源使用量の削減効果や耐熱性が得られない。
リグニンの重量平均分子量は、ポリスチレン換算値において、100〜7,000が好ましく、さらに200〜5,000が好ましく、500〜4,000であることが特に好ましい。リグニンの重量平均分子量が7,000を超えると、カルダノールとの相溶性や有機溶媒への溶解性が低下する。分子量が低過ぎると(重量平均分子量が100未満)、リグニンの構造を活かした樹脂組成物を得ることができない。
本発明によれば、リグニンを主原料とし、リグニンが有する複雑な化学構造を活かすことができる。植物からリグニンを取り出す際に、低分子量としてしまうと(重量平均分子量が100未満)、複雑なポリフェノール構造を活かすことができず、高い耐熱性が得られない。また、本発明によれば、リグニンが有するフェノール性水酸基及びアルコール性水酸基を利用し、硬化剤を用いて3次元架橋構造を形成することができる。これにより、高いガラス転移温度を有する樹脂材料及び成形体を得ることが可能になる。
リグニンの原料に特に制限は無い。スギ、マツ、ヒノキ等の針葉樹、ブナ等の広葉樹、タケ、イネワラ、バガス等が使用される。樹木からリグニンを分離し取り出す方法としては、クラフト法、硫酸法、爆砕法などが挙げられる。現在多量に製造されているリグニンの多くは、紙やバイオエタノールの原料であるセルロース製造時に残渣として得られる。入手可能なリグニンとしては、主に硫酸法により副生するリグニンスルホン酸塩があげられる。他にもアルカリリグニン、オルガノソルブリグニン、ソルボリシスリグニン、糸状菌処理木材、ジオキサンリグニン及びミルドウッドリグニン、爆砕リグニンなどがある。本発明に用いるリグニンは、取り出す方法によらず、上記記載のリグニンを用いることができる。
取り出した際、セルロースやヘミセルロースのようなリグニン以外の成分が、多少含まれていてもよい。また、リグニン以外の成分としては、リグニンを、アセチル化、メチル化、ハロゲン化、ニトロ化、スルホン化又は硫化ナトリウムや硫化水素と反応させて作製されたリグニン誘導体も含む。
主原料とするリグニンを取得する方法として、水を用いる分離技術を用いる方法が好ましい。特に、水蒸気爆砕法が好ましい。水蒸気爆砕法は、高温高圧の水蒸気による加水分解と、圧力を瞬時に開放することによる物理的破砕効果により、植物を短時間に破砕するものである。この方法は、硫酸法、クラフト法など他の分離方法と比較し、硫酸、亜硫酸塩等を用いることなく、水のみを使用するので、クリーンな分離方法である。この方法では、リグニン中に硫黄原子を含まないリグニン、又は、硫黄原子の含有率が少ないリグニンが得られる。通常、リグニン中の硫黄原子の含有率は、2質量%以下が好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。硫黄原子の含有量を少なくすると、親水性のスルホン酸基の増加を抑制できるため、リグニンの有機溶剤への溶解性が良好である。また、硫黄原子の含有率が少ないリグニンは、水酸基がスルホン酸基に置換され難いため、硬化剤との反応性が高く剛直な骨格が得られ易い。本発明者らは、さらに、爆砕物から有機溶媒による抽出により、リグニンの分子量を制御し得ることを見出した。
本発明で用いるリグニンの抽出に用いる有機溶媒は、1種又は2種以上複数の混合のアルコール溶媒、アルコールと水を混合した含水アルコール溶媒、そのほかの有機溶媒または、水と混合した含水有機溶媒を使用することができる。水にはイオン交換水を使用することが好ましい。水との混合溶媒の含水率は、0〜70質量%が好ましい。リグニンは水への溶解度が低いため、水のみを溶媒とすると、リグニンを抽出することが困難である。また、用いる溶媒を選択することにより、得られるリグニンの重量平均分子量を制御することが可能である。
カルダノールは、樹脂組成物中に0.1〜50質量%含まれる。0.5〜30質量%であることが好ましく、また、1〜20質量%含まれることがより好ましい。50質量%を超えると樹脂が軟化し過ぎて取り扱い性が悪くなる、また弾性率が低下し過ぎる恐れがある。0.1質量%より少ないと、可塑性を付与できない。
カルダノールは、カシューナッツの殻から抽出される油の主成分であり、柔軟な直鎖状の炭化水素と、水酸基がベンゼン環に結合した分子構造を持っている。非可食な植物由来資源であり、これを可塑剤として用いることによって、植物度を低下させることなく、作業性が良く、脆さを改善した樹脂組成物を作成することができる。
カシューナッツ殻液には、カルダノールの他、アナカルド酸、カルドール、2−メチルカルドール、その他の微量成分が含まれているが、これら成分を含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物は、リグニン、カルダノールと、少なくとも1種の硬化剤を含む。さらに所望の各種添加剤成分、硬化促進剤、粘度調整剤、離型剤、可塑剤(鉱油、シリコンオイル等)、滑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防黴剤、増量材等を、ポリマー成分の重合時やポリマー成形体の成形加工時に配合することもできる。
本発明で用いる硬化剤として、アルデヒド又はホルムアルデヒドを生成する化合物が挙げられる。アルデヒドとしては、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロラール、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。また、ホルムアルデヒドを生成する化合物としてはヘキサメチレンテトラミンが挙げられる。特にヘキサメチレンテトラミンが好ましい。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することもできる。また、硬化性、耐熱性の面からヘキサメチレンテトラミンが好ましい。
植物由来度を低下させないために、フェノール樹脂としては、リグニンのみを用いることが好ましいが、作業性や樹脂組成物の耐衝撃性を調整するために、他のフェノール樹脂を併用してもよい。フェノール樹脂としては、フェノール、クレゾール等のフェノール類、糖蜜、キシレン、ナフタレン、石油系芳香族炭化水素による変性フェノール類とホルマリン、パラホルムアルデヒド類とを適宜のモル比に配合し、触媒下で反応させたノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを組み合わせたもの等が挙げられる。他のフェノール樹脂を用いる場合も、植物由来のものを用いることが好ましい。これらは単独もしくは2種以上混合して使用することができる。
本発明の樹脂組成物は、天然充填剤や化学充填剤を含んでいてもよい。
天然充填材には、植物系、動物系、鉱物系充填材がある。植物系充填材には、綿、竹、苧麻(ラミー)、亜麻(リネン)、マニラ麻(アバカ)、サイザル麻、黄麻(ジュート)、ケナフ、バナナ、ココナッツ、わら、砂糖黍、スギ、ヒノキ、トウヒ、松、モミ、カラマツの繊維や粉砕粉が挙げられる。動物系充填材には、獣毛繊維、絹繊維がある。鉱物系充填材には石綿がある。また、紙粉、キチン粉末、キトサン粉末、タンパク質、澱粉等の粉末状を添加してもよい。
前記木質系フィラーとは、植物系充填材を指す。木質系フィラーは安価であり、加工性も良いため天然充填材の中でも特に好ましい。木質系フィラーは、繊維状に取り出したもの、または粉砕して粉状にしたものを使用する。
化学充填材には、無機充填材、合成充填材がある。無機充填材には、炭素繊維やカーボンブラック、活性炭、グラファイト等の炭素系充填材、鉄、銅、ニッケル、アルミニウムなどの金属系充填材、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライトなどの酸化物系充填材、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の水酸化物系充填材、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム等の炭酸塩系充填材、硫酸カルシウム等の硫酸塩系充填材、タルク、クレー、マイカ、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラス中空球、ガラス繊維等のケイ酸塩系充填材、その他チタン酸カルシウムやチタン酸ジルコン酸鉛、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、硫化カドミウム等が挙げられる。合成充填材には、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、ウレタン系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、アセテート系、アラミド系、ナイロン系、ビニロン系充填材等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(水蒸気爆砕リグニンの抽出法)
水蒸気爆砕リグニンとして竹を抽出原料とした。適当な大きさにカットした竹材を水蒸気爆砕装置の5Lの耐圧容器に入れ、3.5MPaの水蒸気を圧入し、5分間放置した。その後、容器を開放し、開放時に爆砕されて生じる爆砕処理物を得た。得られた爆砕処理物を水により洗浄し、水溶性成分を除去後、真空乾燥機で残存水分を除去した。得られた乾燥体100gに抽出溶媒としてアセトン1,000mLを加え、3時間攪拌した後、ろ過により繊維物質を取り除いた。得られたろ液より抽出溶媒を除去し、水蒸気爆砕リグニンを得た。得られた水蒸気爆砕リグニンは常温(25℃)で粉末であり、有機溶媒に可溶であった。水蒸気爆砕リグニン中の硫黄原子の含有率は0.5質量%以下であった。
水蒸気爆砕リグニンの重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンを用いた検量線から換算した。検量線は、標準ポリスチレンのサンプルセット(TSK standard POLYSTYRENE[東ソー株式会社製、商品名])を用いて3次式で近似した。GPCの条件は、以下のとおりである。
(1)装置:(ポンプ:DP−8020型[東ソー株式会社製、商品名])、
(検出器:RI−8020型RI[東ソー株式会社製、商品名])、
(脱気装置:SD−8022[東ソー株式会社製、商品名])
(2)カラム:Gelpack GL−A120−S + Gelpack GL−A140−S(計2本)[株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名、「Gelpack」は登録商標。]
(3)カラムサイズ:7.8mmI.D×300mm
(4)溶離液:テトラヒドロフラン
(5)試料濃度:10mg/2mL
(6)注入量:100μL
(7)流量:1mL/分
(8)測定温度:25℃
上記条件で重量平均分子量を測定したところ、水蒸気爆砕リグニンの重量平均分子量は、2,400であった。
(リグニンの溶媒溶解性)
溶媒溶解性としては、前記リグニン1gを、アセトン10mLに加えて評価した。常温(25℃)で容易に溶解した場合は○、50〜70℃で溶解した場合は△、加熱しても溶解しなかった場合を×として、評価した。溶媒群1としてアセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、溶媒群2としてメタノール、エタノール、メチルエチルケトンとして溶解性を評価した結果、溶媒群1では○、溶媒群2では△の判定であった。
(樹脂組成物の作製)
表1に樹脂組成物の組成を示す。前記リグニン54g、カルダノール10g(Sayta Cashew Chemicals.Ltd製)、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン11g(Shandong Runyin Biochemical Co.,Ltd製)、助硬化剤として水酸化カルシウム3g(和光純薬工業株式会社製)、離型剤としてステアリン酸亜鉛2g、充填材として木粉20g(有限会社国見興産製、商品名「セルロシン100M」(粒径150μm))を添加し、混練ロール装置で均一になるまで混練した。得られた半硬化物を、格子の目開きが3mmのスクリーンを設置した粉砕機により粉砕した。粉砕物を180℃、2分間圧縮成形し、硬化物を得た。
(作業性評価)
混練ロール作業をした際の作業性を以下の基準で評価した。評価結果を表2に示す。実施例1の樹脂組成物の作業性は○の判定であり、作業性は良好であった。
○:混練物に適度な粘度があり、ロールへの巻きつきが良好。
×:混練物が硬過ぎてロールへの巻きつきが悪い、または柔らか過ぎてまとまり難い。
(物性評価)
物性評価の結果を表2に示す。作製した硬化物の曲げ強度及び曲げ弾性率は、オートグラフAG−50kNXPlus(株式会社島津製作所製、商品名、「オートグラフ」は登録商標。)を用い、3点曲げ試験により評価した。130mm×13mm×3mmの試験片を用い、支点間距離48mm、試験速度1mm/分で測定した。その結果、実施例1の曲げ強度は109MPaであり、実用上問題なかった。また、曲げ弾性率は5.1GPaであり、比較例1と比較して強度を維持したまま低弾性化ができていた。
また、シャルピー衝撃試験はIMPACT TESTER(株式会社上島製作所製)を用いて評価した。10mm×80mm×4mm、ノッチありの試験片を用い、支点間距離62mmで測定した。その結果、シャルピー衝撃強さは4.8kJ/mであり、比較例1と比較して脆さが改善されていた。
[実施例2]
(樹脂組成物の作製)
実施例1と同様にリグニンを得た。表1に樹脂組成物の組成を示す。フェノールノボラック樹脂13g(HP−850N、日立化成工業株式会社製)、リグニン45g、カルダノール6g、ヘキサメチレンテトラミン12g、水酸化カルシウム3g、ステアリン酸亜鉛2g、木粉19gを添加し、混練ロール装置で均一になるまで混練した。得られた半硬化物を、格子の目開きが3mmのスクリーンを設置した粉砕機により粉砕した。粉砕物を180℃、2分間圧縮成形し、硬化物を得た。
(作業性評価)
実施例1と同様に作業性を評価した。実施例2の樹脂組成物の作業性は○の判定であり、作業性は良好であった。
(物性評価)
実施例1と同様に物性を評価した。結果を表2に示す。実施例2の曲げ強度は127MPaであり、実用上問題なかった。また、曲げ弾性率は4.2MPaであり、比較例1と比較して強度を維持したまま低弾性化ができていた。
シャルピー衝撃強さは5.6kJ/mであり、比較例1と比較して脆さが改善されていた。
[比較例1]
(樹脂組成物の作製)
実施例1と同様にリグニンを得た。表1に樹脂組成物の組成を示す。リグニン63g、カルダノール0g、ヘキサメチレンテトラミン13g、水酸化カルシウム3g、ステアリン酸亜鉛2g、木粉19gを添加し、混練ロール装置で均一になるまで混練した。得られた半硬化物を、格子の目開きが3mmのスクリーンを設置した粉砕機により粉砕した。粉砕物を180℃、2分間圧縮成形し、硬化物を得た。
(作業性評価)
実施例1と同様に作業性を評価した。比較例1の樹脂組成物は非常に硬く、混練作業がし難いため×の判定であった。
(物性評価)
実施例1と同様に物性を評価した。結果を表2に示す。比較例1の曲げ強度は、混練作業が非常にし難く均一に混練できていなかったため、45MPaと低かった。
シャルピー衝撃強さは2.1kJ/mであり、実施例1と比較して脆かった。
[比較例2]
(樹脂組成物の作製)
実施例1と同様にリグニンを得た。表1に樹脂組成物の組成を示す。リグニン21g、カルダノール52g、ヘキサメチレンテトラミン4g、水酸化カルシウム1g、ステアリン酸亜鉛2g、木粉20gを添加し、混練ロール装置で均一になるまで混練した。得られた半硬化物を、格子の目開きが3mmのスクリーンを設置した粉砕機により粉砕した。粉砕物を180℃、2分間圧縮成形し、硬化物を得た。
(作業性評価)
実施例1と同様に作業性を評価した。比較例2の樹脂組成物は軟化し過ぎてまとまり難く、作業性は×であった。
(物性評価)
比較例2の樹脂組成物は硬化し難く成形物が作製できなかった。
Figure 2014125595
Figure 2014125595

Claims (6)

  1. リグニン、カルダノール、硬化剤及び硬化促進剤を含む樹脂組成物であって、有機溶媒可溶なリグニンを20〜90質量%、カルダノールを0.1〜50質量%含むことを特徴とする樹脂組成物。
  2. リグニンの重量平均分子量が、100〜7,000である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. リグニン中の硫黄原子の含有率が、2質量%以下である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. リグニンが、植物原料に水蒸気を圧入し瞬時に圧力を開放することで植物原料を爆砕する水蒸気爆砕法により、セルロース成分及びヘミセルロース成分から分離し、有機溶媒に溶解させることにより得られたリグニンである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 硬化剤が、アルデヒド又はホルムアルデヒドを生成する化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて形成される成形体。
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