JP6733546B2 - ゴム組成物およびリグニン誘導体の製造方法 - Google Patents

ゴム組成物およびリグニン誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ゴム組成物およびリグニン誘導体の製造方法に関する。
近年、植物又は植物由来の加工品等のバイオマスを利用する技術や、バイオマスを、石油由来の化学品、樹脂製品等に転換する技術の開発が求められている。例えば、樹皮、間伐材、建築廃材等の木質系廃材などは、これまで、その多くが廃棄処分されている。しかしながら、地球環境保護が重要課題になりつつあり、その観点から、木質系廃材の再利用、リサイクルが検討され始めている。
一般的な木質の主要成分は、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンである。このうち、リグニンは、木質に約30%の割合で含まれており、芳香環を豊富に含む構造を有しているため、芳香族樹脂原料として利用が可能である。現在、種々の方法で木質等のバイオマスから比較的低分子量のリグニン(リグニン誘導体)を取り出し(抽出し)、樹脂原料として利用した樹脂組成物およびタイヤ等が検討されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
リグニン誘導体の抽出方法としては、以下のような方法が挙げられる。例えば、パルプ製造時、またはバイオマスからバイオ燃料やバイオマテリアルを取り出す際の脱リグニン処理、同様にバイオマスからバイオ燃料やバイオマテリアルを取り出す際の糖化処理後の残さ及びバガスなどからの溶媒抽出処理、機械的処理による脱リグニン処理、または、高温高圧水処理、水蒸気爆砕処理やオルガノソルブプロセスによるリグニン抽出処理等が挙げられる。
上記のようにして得られたリグニン誘導体は、フェノール性水酸基やアルコール性水酸基を豊富に含む極性の高い構造を有している。そのため、リグニン誘導体を粘着性付与剤および酸化防止剤として利用した組成物およびタイヤが検討されている。(例えば、特許文献1参照)
一方、リグニン誘導体は、ゴム補強材としての利用も期待されている。リグニン誘導体のゴム補強効果としては、ゴムの弾性率向上、ヒステリシスロスの低減、機械的強度の向上等が挙げられる。これらの特性はそれぞれゴム部品の剛性、低発熱性、機械的強度の向上につながる。
また、例えば、特許文献2では、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムとを含む黒液にリグニンを溶解させ、該リグニンが溶解した黒液から粒子状のリグニン誘導体を回収し、ゴム組成物に添加するための充填材として利用している。しかしながら、この場合、かかるリグニン誘導体は、充填材としての特性が十分でなく、ゴム組成物の剛性や機械的強度の低下を引き起こす。
他に、特許文献3では、フェノールと濃硫酸とを用いてバイオマスを処理することにより、リグニンにフェノールが付加されたリグノフェノールを生成し、ゴム補強樹脂として利用することが開示されている。しかしながら、種々のリグノフェノール誘導体を用いた系が示されているものの、石油由来成分であるフェノール類を多く含むうえに、剛性などのゴム補強効果も十分でない。
特表2012−229330号公報 特表2011−522085号公報 特開2008−285626号公報
本発明の目的は、所定の数平均分子量であり、極性有機溶媒に可溶な成分(可溶成分)を含むことにより、優れた低ヒステリシスロス性、弾性率または引張特性を付与することができるゴム補強用のリグニン誘導体を含むゴム組成物を提供することにある。特に、可溶成分として、熱溶融性(軟化点が80〜160℃)を有する成分を用いることにより、より優れた前記特性を付与することができるゴム補強用のリグニン誘導体を含むゴム組成物を提供することにある。また、所定の数平均分子量であり、極性有機溶媒に可溶な成分(可溶成分)を含むことにより、優れた低ヒステリシスロス性、弾性率または引張特性を付与することができるゴム補強用のリグニン誘導体を含むゴム組成物、および、かかるリグニン誘導体を製造する方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(10)の本発明により達成される。
(1) バイオマスより抽出され、ゴム補強用に用いられるリグニン誘導体と、
ゴム材料と、
を含み、
前記リグニン誘導体は、数平均分子量が300〜2000であり、極性有機溶媒に可溶な成分を80質量%以上の量で含んでいることを特徴とするゴム組成物。
(2) 前記極性有機溶媒は、アセトンである上記(1)に記載のゴム組成物
(3) 前記リグニン誘導体は、前記成分を95質量%以上の量で含んでいる上記(1)または(2)に記載のゴム組成物
(4) 前記成分の数平均分子量は、300〜750である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のゴム組成物
(5) 前記成分の軟化温度は、80〜160℃である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のゴム組成物
(6) 前記ゴム材料は、天然ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムのうちの少なくとも1種を含む上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のゴム組成物
(7) 架橋剤および充填剤の少なくとも一方をさらに含む上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のゴム組成物
(8) アルコール類、ケトン類およびエーテル類のうちの少なくとも1種を含む薬剤を用いたオルガノソルブプロセスによって、バイオマスを蒸解することにより、数平均分子量が300〜2000であり、極性有機溶媒に可溶な成分を80質量%以上の量で含むリグニン誘導体を抽出する工程を有することを特徴とするリグニン誘導体の製造方法。
(9) 前記アルコール類は、低級アルコールを含む上記(8)に記載のリグニン誘導体の製造方法。
(10) アセトンを含む他の有機溶媒を用いて前記リグニン誘導体を精製する工程を有する上記(9)に記載のリグニン誘導体の製造方法。
本発明によれば、所定の数平均分子量であり、極性有機溶媒に可溶な成分(可溶成分)を含むリグニン誘導体を含ませることにより、優れた低ヒステリシスロス性、弾性率または引張特性を有するリグニン樹脂組成物、ゴム組成物または成形材料を得ることができる。また、上記可溶成分として、熱溶融性を有する成分を用いることにより、より優れた前記特性を有するリグニン樹脂組成物、ゴム組成物または成形材料を得ることができる。特に、フェノール系樹脂を含むことにより、得られるリグニン樹脂組成物、ゴム組成物または成形材料は、優れた低ヒステリシスロス性を示し、かつ弾性率、成形性、引張特性のバランスに優れる。
以下、本発明のリグニン誘導体、リグニン誘導体の製造方法、リグニン樹脂組成物、ゴム組成物および成形材料について好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明のリグニン誘導体は、種々の方法で得られたリグニン誘導体成分の中でも、所定の数平均分子量であり、極性有機溶媒に可溶な成分(可溶成分)を含んでいる。かかるリグニン誘導体とゴム材料とを混合することにより、ゴム組成物を調製することができ、また、かかるリグニン誘導体と樹脂材料とを混合することにより、リグニン樹脂組成物または成形材料を調製することができる。
特に、本発明では、リグニン誘導体が、極性有機溶媒に可溶な成分を80質量%以上の量で含んでいることが重要である。
以下、ゴム補強用または成形材料用に用いられる本発明のリグニン誘導体について説明する。
<リグニン誘導体>
まず、リグニン誘導体について説明する。リグニンは、セルロースおよびヘミセルロースとともに、植物体の骨格を形成する主要成分であり、かつ、自然界に最も豊富に存在する物質の1つである。
リグニン誘導体は、フェノール誘導体を単位構造とする化合物である。この単位構造は、化学的および生物学的に安定な炭素−炭素結合や炭素−酸素−炭素結合を有するため、化学的な劣化や生物的分解を受け難い。このため、リグニン誘導体は、ゴム組成物や成形材料に添加するための樹脂原料として有用とされる。
なお、本明細書では、バイオマスに含まれる高分子量のリグニンのことを単に「リグニン」といい、このリグニンから誘導される相対的に低分子量のリグニンのことを「リグニン誘導体」という。また、本明細書におけるバイオマスとは、リグニンを含有する植物または植物の加工品であり、植物としては、例えば、ブナ、白樺、ナラのような広葉樹、杉、松、桧のような針葉樹、竹、稲わらのようなイネ科植物、椰子殻等が挙げられる。
リグニン誘導体の具体例としては、下記式(1)で表わされるグアイアシルプロパン構造、下記式(2)で表わされるシリンギルプロパン構造、下記式(3)で表わされる4−ヒドロキシフェニルプロパン構造等が挙げられる。なお、針葉樹類からは主にグアイアシルプロパン構造が、広葉樹類からは主にグアイアシルプロパン構造およびシリンギルプロパン構造が、草本類からは主にグアイアシルプロパン構造、シリンギルプロパン構造および4−ヒドロキシフェニルプロパン構造がそれぞれ抽出される。
Figure 0006733546
また、本発明に係るリグニン誘導体は、水酸基に対して芳香環のオルト位およびパラ位の少なくとも一方が無置換になっているのが好ましい。このようなリグニン誘導体は、芳香環への親電子置換反応により硬化剤が作用する反応サイトを多く含み、かつ、水酸基での反応において立体障害が低減するため、反応性に優れる。一方、水酸基に対して芳香環のオルト位およびパラ位が無置換である部分を多く持つフェノール系樹脂を含むリグニン樹脂組成物は、フェノール系樹脂の反応サイトがあるため十分な反応性を持つ。
なお、リグニン誘導体は、上記基本構造の他、上記基本構造に官能基を導入したリグニン二次誘導体であってもよい。
リグニン二次誘導体が有する官能基としては、特に限定されないが、例えば、同種の官能基と反応し得る官能基、または異なる官能基と反応し得る官能基が好適である。具体的には、エポキシ基、メチロール基の他、炭素−炭素不飽和結合を有するビニル基、エチニル基、マレイミド基、シアネート基、イソシアネート基等が挙げられる。このうち、リグニン誘導体にメチロール基を導入した(メチロール化した)リグニン二次誘導体が好ましく用いられる。このようなリグニン二次誘導体は、メチロール基同士の自己縮合反応により自己架橋が生じるとともに、下記架橋剤中のアルコキシメチル基や水酸基に対してより架橋する。その結果、特に均質で剛直な骨格を有し、耐溶剤性に優れた硬化物が得られる。
ここで、本発明に係るリグニン誘導体は、種々の方法で得られたリグニン誘導体成分の中でも、所定の数平均分子量であり、極性有機溶媒に可溶な成分を含むリグニン誘導体である。このようなリグニン誘導体は、ゴム材料と混合されることにより、ゴム組成物に対して優れた弾性率および引張特性を付与することができる。すなわち、ゴム製品を製造するのに用いられるゴム組成物は、ゴム材料(原料ゴム)の他に、様々な目的の添加剤を含んでいる。これらの添加剤の1つとして、補強材がある。補強材を添加することにより、ゴム組成物に硬さ、引張強さ、耐摩耗性等を付与することができる。したがって、本発明に係るリグニン誘導体をゴム組成物の補強材として用いることで、優れた弾性率および引張特性を有するゴム組成物を調製することができる。また本発明に係るリグニン誘導体およびゴム材料に、さらにフェノール樹脂を含むことで、低ヒステリシスロス性、ゴム弾性、引張特性のバランスに優れたゴム組成物を調整することができる。
また、成形品を製造するのに用いられる成形材料は、樹脂材料の他に、様々な目的の添加剤を含んでいる。この添加剤として本発明に係るリグニン誘導体を用いることにより、優れた弾性率および曲げ特性を有する成形材料を調製することができる。
このようなリグニン誘導体は、バイオマスを分解して得られるのが好ましい。バイオマスは光合成の過程で大気中の二酸化炭素を取り込み固定化した物質であることから、バイオマスは大気中の二酸化炭素の増加抑制に寄与している。そのため、バイオマスを工業的に利用することによって、地球温暖化の抑制に寄与することができる。バイオマスとしては、例えば、リグノセルロース系バイオマスが挙げられる。リグノセルロース系バイオマスとしては、リグニンを含有する植物の葉、樹皮、枝及び木材、並びにこれらの加工品等が挙げられる。リグニンを含有する植物としては、上述の広葉樹、針葉樹、及びイネ科植物等が挙げられる。分解方法(抽出方法)としては、薬品処理する方法(例えば、有機溶媒を含む薬剤を用いたオルガノソルブプロセスによる方法)、加水分解処理する方法、水蒸気爆砕法、超臨界水処理法、亜臨界水処理法、機械的に処理する方法、硫酸クレゾール法、パルプ製造法等が挙げられる。環境負荷の観点からは、水蒸気爆砕法、亜臨界水処理法、機械的に処理する方法が好ましい。コストの観点からは、パルプ製造法、バイオマス利用の副生成物を用いることが好ましい。リグニン誘導体は、例えば、バイオマスを、溶媒存在下で150〜400℃、1〜40MPa、8時間以下で分解処理することにより調製できる。また、リグニン誘導体は、特開2009−084320号公報及び特開2012−201828号公報等に開示された方法で調製することもできる。
また、リグニン誘導体は、天然物であるバイオマスから抽出されたものであるため、様々な化合物の複合物である。このため、それらの化合物の全ての化学構造を具体的に特定することはほぼ不可能である。しかしながら、本発明者らは、所定の特性を示すリグニン誘導体を用いることで、優れた低ヒステリシスロス性、弾性率または引張特性を有するリグニン樹脂組成物、ゴム組成物または成形材料を得ることができることを見出した。言い換えると、所定の特性を示すリグニン誘導体を用いることにより、上記効果を得られるのであって、リグニン誘導体を構成する化合物の全ての化学構造を特定することは、本発明者は意味がないと考える。かかる所定の特性を示すリグニン誘導体は、上述した種々の方法により得ることが可能であるが、その中でも、特に、オルガノソルブプロセスを用いることにより、比較的簡便に、かつ高い収率で得られる。
また、上述したように、本発明に係るリグニン誘導体は、極性有機溶媒に可溶な成分(以下、単に「可溶成分」という)を含んでいる。
本発明では、リグニン誘導体中の可溶成分の数平均分子量が、300〜2000である。なお、可溶成分の数平均分子量は、リグニン誘導体をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析により測定されたポリスチレン換算の数平均分子量である。このような数平均分子量の可溶成分は、樹脂材料との反応性に優れる。そのため、このようなリグニン誘導体と樹脂材料とを混合してリグニン樹脂組成物を調製したときには、混合する条件(温度、圧力、混合時間等)を調整することにより、リグニン樹脂組成物の使用目的に応じて、その分子量を所望の範囲に調整し易くなる。例えば、このようなリグニン樹脂組成物を含むゴム組成物は、そのゴム補強特性を向上させることができる。
また、可溶成分の数平均分子量は、300〜1000程度であるのが好ましく、300〜750程度であるのがより好ましい。可溶成分の数平均分子量が上記範囲内であれば、樹脂材料との反応性がより向上し、リグニン樹脂組成物の分子量をより容易に調整することができる。
なお、極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールのような低級アルコール類、フェノール、クレゾールのようなフェノール類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンのような環状エーテル類、アセトニトリルのようなニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドンのようなアミド類、塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化アルキル類、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。これらの極性有機溶媒の中でも、リグニン誘導体中の可溶成分は、メタノール、エタノール等の低級アルコール、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類に可溶であるのが好ましく、アセトンに可溶であるのがより好ましい。リグニン誘導体は、低級アルコールやケトン類等に溶解し難い。そのため、比較的高分子量のリグニン誘導体は、これらの極性有機溶媒に溶解するのが困難となる。したがって、これらの極性有機溶媒に溶解するリグニン誘導体の可溶成分は、十分に小さい分子量を有する。特に、アセトンに可溶するリグニン誘導体の可溶成分は、より確実に上述した所定の範囲内の分子量を有する。
ここで、上記ゲル浸透クロマトグラフィー分析によって上記可溶成分の数平均分子量を測定する手順の一例について説明する。
まず、リグニン誘導体を上記極性有機溶媒に溶解させ、不溶成分を除去した後、濃縮、乾燥させることにより、可溶成分を80質量%以上の量(好ましくは、95質量%以上の量)で含むリグニン誘導体を準備する。このリグニン誘導体をゲル浸透クロマトグラフィーの測定に用いられる溶媒に溶解させ、測定サンプルを調製する。このときに用いられる溶媒は、リグニン誘導体を溶解し得る溶媒であれば、特に限定されないが、例えば、上記の各種有機溶媒を用いることができる。なお、ゲル浸透クロマトグラフィーの測定精度の観点から、テトラヒドロフランが好ましい。
次に、GPCシステム「HLC−8320GPC(東ソー製)」に、スチレン系ポリマー充填剤を充填した有機系汎用カラムである「TSKgelGMHXL(東ソー製)」、および「G2000HXL(東ソー製)」を直列に接続する。
このGPCシステムに、前記の測定サンプルを200μL注入し、40℃において、溶離液のテトラヒドロフランを1.0mL/minで展開し、示差屈折率(RI)および紫外吸光度(UV)を利用して保持時間を測定する。一方、別に作製しておいた標準ポリスチレンの保持時間と分子量との関係を示した検量線から、前記のリグニン誘導体の数平均分子量を算出することができる。
検量線を作成するために使用する標準ポリスチレンとしては、特に限定されないが、例えば、数平均分子量が427,000、190,000、96,400、37,900、18,100、10,200、5,970、2,630、1,050および500の標準ポリスチレン(東ソー製)を用いることができる。
また、本発明に係るリグニン誘導体は、上記可溶成分を80質量%以上の量で含んでいる。このようなリグニン誘導体は、その分子量を十分に低くすることができる。そのため、リグニン誘導体とゴム材料とを混合してゴム組成物を調製する際、リグニン誘導体のゴム材料への分散性を高めることができる。このため、均質なゴム組成物を調製することができる。同様に、このようなリグニン誘導体は、樹脂材料と混合して成形材料を調製する際、リグニン誘導体の樹脂材料への分散性を高めることができる。このため、均質な成形材料を調製することができる。
また、リグニン誘導体は、可溶成分を90質量%以上の量で含んでいるのが好ましく、95質量%以上の量で含んでいるのがより好ましい。これにより、上述した効果がより顕著となる。
なお、リグニン誘導体中の可溶成分の量は、例えば、以下の方法を用いて計算することができる。まず、700gのリグニン誘導体に、質量比10倍量の極性有機溶媒を加えて撹拌し、12時間以上浸漬した後、固体残渣を除去(分離)して溶液を得る。この溶液を濃縮して、50℃、2時間以上減圧乾燥して、測定サンプルを得る。この測定サンプルの重量と極性有機溶媒に浸漬する前のリグニン誘導体の重量から、可溶成分の含有量を計算することができる。
なお、リグニン誘導体中に極性有機溶媒に不溶な成分(以下、単に「不溶成分」という)が含まれている場合、この不溶成分は、可溶成分に比べて分子量が大きい成分である。本発明のリグニン誘導体は、上述したような比較的低分子量の可溶成分を多く含むため、このような不溶成分を含んでいる場合でも、成形加工時に高い流動特性を有し、また、樹脂材料やゴム材料への高い分散性を有する。そのため、このようなリグニン樹脂組成物を含むゴム組成物は、そのゴム補強特性を向上させることができる。
また、不溶成分を含むリグニン誘導体を用いることにより、リグニン樹脂組成物、ゴム組成物または成形材料のヒステリシスロス性をより低減することができるとともに、その機械的強度をより向上させることができる。このような効果は、リグニン誘導体中に、上述した低分子量の可溶成分と、高分子量の不溶成分とを含むことにより顕著に発現する。
また、リグニン誘導体は、上記不溶成分を0.1〜10質量%程度含んでいるのが好ましく、1〜5質量%程度含んでいるのがより好ましい。リグニン誘導体中の不溶成分の含有量が上記範囲内であれば、リグニン誘導体の成形性を維持しつつ、リグニン樹脂組成物、ゴム組成物または成形材料により優れた低ヒステリシスロス性および機械的強度を付与することができる。
また、本発明に係るリグニン誘導体中の可溶成分の軟化点は、200℃以下であるのが好ましく、180℃以下であるのがより好ましく、80〜160℃であるのがさらに好ましい。軟化点が前記上限値を上回ると、リグニン誘導体と混合される樹脂材料またはゴム材料の組成によっては、リグニン誘導体の熱溶融性および流動性が低下し、樹脂材料またはゴム材料中への分散性が低下するおそれがある。一方、軟化点が前記下限値を下回ると、リグニン誘導体と混合される樹脂材料の組成によっては、リグニン誘導体の熱溶融性および流動性が高くなり過ぎて、ゴム組成物または成形材料の成形時にバリが発生するおそれがある。このため、成形材料を製造する際、リグニン誘導体のハンドリング性が低下し、製造時のロスが大きくなるおそれがある。また、リグニン誘導体の熱溶融性および流動性が高くなり過ぎて、室温でのブロッキングにより固まってしまい、保存性が低下するおそれがある。
なお、軟化点を測定する方法は、JIS K 2207に準じて、環球式軟化点試験機(メルテック(株)製ASP−MG2型)を用いることができる。
また、本発明に係るリグニン誘導体は、カルボキシル基を有しても良い。前記カルボキシル基を有する場合は、後述する架橋剤と架橋させることができる。すなわち、リグニン誘導体中に架橋点が増加することにより架橋密度を向上させることができるため、耐溶剤性に優れる。また、架橋剤の触媒として作用することもあり、リグニン誘導体に対する架橋剤の架橋反応を促進させることができ、耐溶剤性や硬化速度を向上させることができる。
なお、上述したリグニン誘導体中がカルボキシル基を有する場合は、そのカルボキシル基は、13C−NMR分析に供されたとき、172〜174ppmのピークの吸収の有無によって確認することができる。
<リグニン誘導体の製造方法>
次に、前述したリグニン誘導体の製造方法について説明する。
リグニン誘導体は、その製造方法は特に限定されないが、いくつかの例について以下に説明する。
まず、バイオマスの高温高圧処理によるリグニン誘導体の製造方法について述べる。
<リグニン誘導体製造法1 高温高圧処理法>
本発明の樹脂組成物を製造する方法は、[1]バイオマスを溶媒存在下におき、これらを高温高圧下で分解処理する工程と、[2−a]処理物中の固形成分にリグニン誘導体が含まれる場合、固形成分を極性溶媒で処理し、極性溶媒に対する不溶分と溶解液とを分離する工程及び/または[2−b]処理物中の液体成分にリグニン誘導体が含まれる場合、リグニン誘導体を含む液体成分(溶解液)を固形成分から分離する工程と、[3][2−a]及び/または[2−b]の溶解液を乾燥させ、溶質(リグニン誘導体)を回収する工程と、必要に応じて[4]回収した溶質とその他の樹脂成分(樹脂材料)とを混合し、リグニン樹脂組成物を得る工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
[1]
まず、バイオマスを溶媒存在下におき、高温高圧下で分解処理する。バイオマスとは、前述したように植物または植物の加工品であるが、この植物としては、例えば、ブナ、白樺、ナラのような広葉樹、スギ、マツ、ヒノキのような針葉樹、竹、稲わらのようなイネ科植物、椰子殻等が挙げられる。
そして、分解処理にあたり、バイオマスをブロック状、チップ状、粉末状等に粉砕しておくことが好ましい。その場合、粉砕後の大きさが100μm〜1cm程度であるのが好ましく、200〜1000μm程度であるのがより好ましい。このような大きさのバイオマスを用いることにより、液中でのバイオマスの分散性を高めるとともに、バイオマスの分解処理を効率よく行うことができる。
本工程において用いる溶媒としては、例えば、水の他、メタノール、エタノールのようなアルコール類、フェノール、クレゾールのようなフェノール類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類、アセトニトリルのようなニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミドのようなアミド類等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合溶媒が用いられる。
また、溶媒としては特に水が好ましく用いられる。水としては、例えば、超純水、純水、蒸留水、イオン交換水等が用いられる。水を用いることにより、リグニン誘導体の意図しない変性が抑制されるとともに、分解処理に伴って発生する廃液が水性であることから、環境負荷を最小限に抑えることができる。溶媒の使用量としては、バイオマスに対して多いほどよいが、好ましくはバイオマスに対して1〜20質量倍程度であるのが好ましく、2〜10質量倍程度であるのがより好ましい。
次に、溶媒存在下においたバイオマスを高温高圧下で分解処理する。これにより、バイオマスは、リグニン、セルロース、ヘミセルロース、およびその他のそれらの分解物や反応物等に分解される。
高温高圧環境の生成においては、高温高圧に耐えうる容器であれば特に制限はないが、オートクレーブのような耐圧容器を用いることができる。また、この耐圧容器としては、加熱手段や撹拌手段を備えているものが好ましく、高温高圧下でバイオマスを撹拌する等の機械的エネルギーを加えられることが好ましい。また、必要に応じて容器内の温度など圧力に影響を与える要因とは独立に加圧する手段を備えていてもよい。かかる手段としては、例えば、容器内に窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを導入する手段等が挙げられる。
分解処理における条件は、処理温度が150〜400℃であるのが好ましく、180〜350℃であるのがより好ましく、220〜320℃であるのがさらに好ましい。処理温度が前記範囲内にあれば、分解後に得られるリグニン誘導体の分子量を最適化することができる。これにより、リグニン樹脂組成物、ゴム組成物または成形材料の成形性と硬化後の耐溶剤性とをより高度に両立させることができる。
また、分解処理における処理時間は、処理に用いる装置により、適切な処理時間を用いてもよい。例えば用いる装置がオートクレー部であるならば、480分以下であるのが好ましく、15〜360分であるのがより好ましい。処理時間が480分以上の場合には、熱エネルギーコストがかかってしまうため、生産コストが上がってしまう。処理時間が15分より短くても問題はないが、装置によっては伝熱が不十分でバイオマスの分解が不十分なときがある。
さらに、分解処理における圧力は、1〜40MPaであるのが好ましく、1.5〜25MPaであるのがより好ましく、3〜20MPaであるのがさらに好ましい。圧力が前記範囲内であれば、バイオマスの分解効率を画段差部に高めることができ、その結果、処理時間の短縮化を図ることができる。
なお、分解工程の前処理として、バイオマスと前記溶媒とを十分に撹拌し、両者をなじませる工程を行うのが好ましい。これにより、バイオマスの分解を特に最適化することができる。撹拌温度は、0〜150℃程度であるのが好ましく、10〜130℃程度であるのがより好ましい。また、撹拌時間は、1〜120分程度であるのが好ましく、5〜60分程度であるのがより好ましい。さらに、撹拌方法としては、ボールミル、ビーズミル等の各種ミル、撹拌翼を備えた撹拌機等を用いた方法、ホモジナイザー、ジェットポンプなどによる水流撹拌を用いた方法等が挙げられる。
また、溶媒中には、必要に応じて、分解処理を促進する触媒、酸化剤を添加するようにしてもよい。この触媒としては、例えば、炭酸ナトリウムのような無機塩基類、酢酸、ギ酸のような無機酸類等が挙げられ、酸化剤としては、過酸化水素等が挙げられる。これらの触媒および酸化剤の添加量は、水溶液中の濃度で0.1〜10質量%程度であるのが好ましく、0.5〜5質量%程度であるのがより好ましい。
また、分解処理において用いる溶媒は、亜臨界または超臨界の状態(条件)で用いられるのが好ましい。亜臨界または超臨界の状態にある溶媒は、触媒等の特別な添加成分なしにバイオマスの分解処理を促進することができる。このため、煩雑な分離プロセスを用いずに、バイオマスを短時間で分解処理することが可能となり、リグニン誘導体の製造コストの低減および製造工程の簡略化を図ることができる。
一例として、水の臨界温度は約374℃、臨界圧力は、約22.1MPaである。
[2−a]
耐圧容器内の処理物を濾過する。そして濾液を除去し、濾別した固形成分を回収する。そして、回収した固形成分を、リグニン誘導体が可溶な溶媒に浸漬する。この溶媒に浸漬した固形成分をさらに濾過することにより、溶媒に溶解する成分(可溶分)と溶媒に不溶な成分(不溶分)とに分離する。
リグニンが可溶な溶媒としては、各種極性有機溶媒が用いられ、特に、メタノール、エタノール等の低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類を含むものが好ましく用いられる。これらの極性有機溶媒を用いることにより、回収した固形成分から、極性有機溶媒に溶解するリグニン誘導体とこの極性有機溶媒に不溶なリグニン誘導体とを分離して抽出することができる。
浸漬時間は、特に限定されないが、1〜48時間程度であるのが好ましく、2〜30時間程度であるのがより好ましい。また、浸漬時に溶媒の沸点以下で加温することも可能である。
[2−b]
耐圧容器内の処理物を濾過する。そして固形成分を除去し、濾別した濾液を回収する。
[3]
次に、分離工程により得られた濾液(溶解液)からリグニン誘導体が可溶な溶媒を留去し、乾燥させた溶質(リグニン誘導体)を回収する。
分解処理に2種類以上の溶媒を用いた場合、濾液(溶解液)には2種類以上の溶媒が含まれている。
リグニン誘導体が2種類以上の溶媒に対して均一に分散している場合は、まとめて溶媒を留去することが好ましい。
濾液(溶解液)が、リグニン誘導体を含む層と、リグニン誘導体を含まない層とに相分離している場合は、まず、前記リグニン誘導体を含まない層を分離することにより、リグニン誘導体を含む溶液のみを回収する。次に、回収した溶液から、溶媒を留去するのが好ましい。
溶媒を留去する方法として、例えば減圧して乾燥する(減圧乾燥)方法が挙げられるが、これに限定されない。減圧乾燥温度は留去する溶媒に合わせた温度にすることが好ましい。分離処理に用いる溶媒は、高沸点のもので210℃以下である。したがって、減圧乾燥温度は40〜250℃が好ましく、50〜230℃がより好ましい。
減圧乾燥における時間は、特に限定されないが、0.5〜48時間程度であるのが好ましく、1〜24時間程度であるのがより好ましい。
揮発成分量を制御することに有効な減圧乾燥の温度と時間は、乾燥するスケールによって異なる。用いる減圧乾燥機によって最適な温度と時間を選択すればよい。
減圧乾燥における圧力は、0.1〜60kPaが好ましく、0.5〜50kPaがより好ましい。
また、本発明のリグニン誘導体を製造する別な方法としては、前記のパルプ製造等に用いられるバイオマス蒸解プロセスが挙げられる。
<リグニン誘導体製造法2 蒸解プロセス>
蒸解プロセスとしては、いくつかの種類が知られており、例えば、クラフト蒸解プロセス、アルカリ蒸解プロセス、サルファイト蒸解プロセス、オルガノソルブプロセス等が挙げられ、各種蒸解プロセスを用いることができる。これらの蒸解プロセスの中でも、有機溶媒を含む薬剤を用いるオルガノソルブプロセスを用いるのが好ましい。
その理由として、近年のオルガノソルブプロセスを木質に含まれる主要三成分を化学品として利用する動きがある。三成分のトータル利用ができれば、リグニン誘導体の製造コストの低コスト化、安定的な入手が可能になる。また、リグニンをより付加価値の高いゴム補強用または成形材料用の用途に利用することはバイオマスの高付加価値化という観点からも意義が深い。
また、オルガノソルブプロセスによれば、有機溶媒に含まれる化合物由来の構造で修飾されたリグニン誘導体を得ることもできる。このようなリグニン誘導体は、樹脂材料やゴム材料との相溶性に優れる。したがって、オルガノソルブプロセスにより得られたリグニン誘導体は、樹脂材料やゴム材料に均一に混合することができる。このため、優れた弾性率および引張特性を有するゴム組成物、あるいは、優れた弾性率および機械的強度を有する成形材料が得られる。
また、このようなリグニン誘導体は、硫黄分がほとんど含まれない。このため、成形材料に用いる場合に、硫黄による成形品の長期信頼性の悪化等の不具合が起きない。また、ゴム組成物に用いる場合に、加硫反応を生じるおそれが少なくなる。これにより、別途行う加硫剤の添加において加硫反応を開始させることができることとなり、加硫剤の添加量に応じて加硫反応の進行度合いを厳密に制御することができる。その結果、ゴム組成物において混練時のゴム粘度の上昇、また、オーバーキュア(過加硫)やアンダーキュア(未加硫)を制御することができ、ゴム特性に優れたゴム組成物を調製することができる。
本発明に係るリグニン誘導体の硫黄含有率は、0.05質量%未満であるのが好ましく、0.03質量%以下であるのがより好ましい。このようなリグニン誘導体は、前述したように、ゴムと混合された場合でも、加硫反応がほとんど生じないので、加硫剤の添加によって加硫反応をより厳密に制御することができる。
かかる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールのような低級アルコール類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンのような環状エーテル類、フェノール、クレゾールのようなフェノール類、酢酸のようなカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、特に低級アルコール類を含む溶液が好ましく用いられ、低級アルコール水溶液がより好ましく用いられる。このような溶液を用いることにより、リグニン誘導体に溶媒が導入されることにより、溶融性や樹脂材料との相溶性が向上する。また、必要以上に低分子量化していないリグニン誘導体を得ることが出来る。そのため、優れた弾性率および引張特性を有するリグニン樹脂組成物、ゴム組成物または成形材料を調製可能なリグニン誘導体が得られる。
このような薬剤中の有機溶媒の含有量は、特に限定されないものの、10〜90質量%程度であるのが好ましく、30〜70質量%程度であるのがより好ましい。
また、この薬剤には、必要に応じて、各種の添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウムなどのアルカリ成分、硫酸、塩酸、塩化アルミニウム、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
また、オルガノソルブプロセスにおける処理温度は60〜230℃であり、処理時間10〜360分間であるのが好ましい。
蒸解処理後に得られた黒液等からは、一般のオルガノソルブプロセス同様に、沈殿、液体−固体分離および乾燥により、リグニン誘導体を回収することができる。
なお、オルガノソルブプロセスの中でも、低級アルコール水溶液を用いるアルセル(Alcell(登録商標))方法が好ましく用いられる。
また、上述したようなオルガノソルブプロセスにより製造されたリグニン誘導体に対し、必要に応じて改質処理、溶媒抽出処理等の各種追加処理を施すようにしてもよい。
改質処理としては、例えば、バイオマス蒸解プロセスにより製造されたリグニン誘導体に対して官能基を導入する処理が挙げられる。例えば、導入する官能基を含む化合物をリグニン誘導体に接触させる処理等が挙げられる。
また、溶媒抽出は、前記工程により製造されたリグニン誘導体を、リグニン誘導体を溶解可能な溶媒に対して溶解させ、その後主に溶媒可溶分を取り出す処理(リグニン誘導体を精製する処理)である。
溶媒可溶分を取り出す処理としては、例えば溶媒溶解後の固体残渣を濾過して可溶分を濃縮、乾燥すること等が挙げられる。このような溶媒抽出処理を経たリグニン誘導体は、低分子量で熱溶融性に優れるためフェノール系樹脂やゴムに混ざり易く、ゴム補強特性を向上させることができる。また、分子量や物性が均一であるため、均質なゴム組成物や成形材料を調製可能であるという点で有用である。
なお、低級アルコールを含む薬剤を用いて、バイオマスからオルガノソルブプロセスによりリグニン誘導体を抽出した場合には、アセトンを用いて溶媒抽出処理を行うのがより好ましい。具体的な理由は不明であるが、リグニン誘導体と各溶媒(低級アルコール、アセトン)との分子間相互作用の違いにより、オルガノソルブプロセスにより抽出された段階のリグニン誘導体よりも、より低分子量であり、その分子量および物性が均一なリグニン誘導体を精製することができる。
<リグニン樹脂組成物>
次に、本発明のリグニン樹脂組成物について説明する。
本発明のリグニン樹脂組成物は、リグニン誘導体と、樹脂材料と、を含む。このようなリグニン樹脂組成物とゴム材料とを混合することにより、ゴム弾性率と引張特性に優れたゴム組成物を調製することができる。特にフェノール系樹脂と混合することで、低ヒステリシスロス性、ゴム弾性、引張特性のバランスに優れたゴム組成物を調製することができる。
(樹脂材料)
リグニン誘導体と混合される樹脂材料は、特に限定されないが、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、フラン系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂等が挙げられる。このうち、フェノール系樹脂が好ましく用いられる。
リグニン樹脂組成物における樹脂材料の添加量は、リグニン誘導体100質量部に対し、樹脂材料が10〜1000質量部程度であるのが好ましく、20〜500質量部程度であるのがより好ましい。このような割合で樹脂材料を添加することにより、フェノール系樹脂とリグニン誘導体とをより過不足なく架橋させることができる。
また、フェノール系樹脂としては、例えば、フェノール類、もしくは、フェノール類と変性化合物とを、アルデヒド類とともに反応させたもの、が挙げられる。このうち、フェノール類としては、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール類、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等の長鎖アルキルフェノール類等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
一方、変性化合物としては、例えば、2つ以上の水酸基を分子内に有するカテコール、ピロガロール、ビスフェノールF、ビスフェノールAのような芳香族構造を有する化合物、水酸基を有するナフトールのような多環芳香族構造を有する化合物、メラミン、テルペン類、フルフラールのようなフラン樹脂、桐油、亜麻仁油、カシューオイル、トール油のような植物由来成分等が挙げられる。なお、カシューオイル等はフェノール構造を有するために、フェノール系樹脂としてカシュー樹脂も含まれる。
このうち、フェノール系樹脂は、カシュー変性フェノール樹脂、トール変性フェノール樹脂、アルキル変性フェノール樹脂およびカシュー樹脂のうちの少なくとも1種を含むのが好ましい。このようなフェノール系樹脂は、ゴム材料との相溶性に優れていることから、ゴム材料と混合したとき均一に分散し、均質なゴム組成物を調製することができると考えられる。すなわち、均質でかつゴム弾性率が大きいゴム組成物を得ることができる。
なお、カシュー変性フェノール樹脂としては、例えば、側鎖に不飽和二重結合を有するカルダノールやカルドールを含む天然物であるカシューオイルを用い、これをフェノール類およびアルデヒド類とともに縮合または付加反応させて得られる。また、カシュー変性フェノール樹脂には、ノボラック型とレゾール型があり、いずれも用いられるが、コスト面等を考慮するとノボラック型が好ましく用いられる。
また、トール変性フェノール樹脂は、トール油により変性したフェノール樹脂である。トール油が有する不飽和脂肪酸の二重結合がフェノール樹脂のフェノール環等と結合した形態や、フェノール樹脂中にトール油が分散混合した形態、あるいは、これらが混合した形態になっていると考えられる。
また、アルキル変性フェノール樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、または、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ドデシルフェノールのようなアルキル基を有するフェノール類と、アルデヒド類とを反応させて得られる化合物が挙げられる。
また、カシュー樹脂としては、例えば、側鎖に不飽和二重結合を有するカルダノールやカルドールを含む天然物であるカシューオイルもしくはその重合物、または、アルデヒド類や糖類で反応させた重合物等が挙げられる。
なお、フェノール類と変性化合物とを反応させる際には、触媒として、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸のような無機酸類、蓚酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸、有機ホスホン酸のような有機酸類、酢酸亜鉛のような金属塩類等を、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
このようなフェノール系樹脂の分子量は、特に限定されないが、その数平均分子量が400〜5000程度であるのが好ましく、500〜3000程度であるのがより好ましい。フェノール系樹脂の数平均分子量を前記範囲内に設定することで、フェノール系樹脂の取り扱い性が良好になる。なお、フェノール系樹脂の数平均分子量が前記下限値を下回ると、フェノール系樹脂の組成によっては、フェノール系樹脂が高粘度な粘凋の物質になったり、固体化しても環境によって固結し易くなるおそれがある。一方、フェノール系樹脂の平均分子量が前記上限値を上回ると、フェノール系樹脂の組成によっては、フェノール系樹脂が溶媒に溶解し難くなったり、配合物との相溶性が低下するおそれがある。
なお、フェノール系樹脂の数平均分子量は、前述したリグニン誘導体と同様の方法を用いて測定することができる。
このような樹脂材料とリグニン誘導体とを用いて得られるリグニン樹脂組成物の形態は、特に限定されないが、例えば、粉末状、粒状、ペレット状、ワニス状等が挙げられる。なお、ゴム材料と混合する際の取り扱い性の観点から、リグニン樹脂組成物の形態は、粒状またはペレット状であるのが好ましい。
また、本発明のゴム組成物は、この他に、後述するような充填剤や架橋剤、その他の成分を含んでいてもよい。
また、リグニン樹脂組成物中の固形分濃度は、特に制限されないが、一例として、60〜98質量%程度とされ、70〜95質量%程度が好ましい。
<リグニン樹脂組成物の製造方法>
次に、前述したリグニン樹脂組成物の製造方法について説明する。
リグニン樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、混練機に上述した原料を投入し、混練する方法が挙げられる。なお、必要に応じて、任意の原料を予備混合した後、混練するようにしてもよい。また、上述した原料を混練する順序は、特に限定されず、全ての原料を同時に混練してもよく、任意の順序で順次混練するようにしてもよい。
混練機としては、例えば、ミキサー、ニーダー、ロール等が挙げられる。
また、混練するときには、必要に応じて、加熱してもよいし、有機溶媒を用いるようにしてもよい。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、キノリン、シクロペンタノン、m−クレゾール、クロロホルム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
<ゴム組成物>
次に、本発明のゴム組成物について説明する。
本発明のゴム組成物は、少なくともゴム材料(原料ゴム)と、前述したリグニン誘導体と、を含む。あるいは、本発明のゴム組成物は、少なくともゴム材料と、前述したリグニン樹脂組成物と、を含む。このようなゴム組成物は、ゴム弾性率と低ヒステリシスロス性とのバランスが良好なものとなる。このようなゴム組成物は、例えば良好な操縦安定性と転がり抵抗の低減とを両立し得るタイヤ用ゴム組成物として有用なものとなる。
(ゴム材料)
ゴム材料としては、例えば、各種天然ゴム、各種合成ゴム等が挙げられる。具体的には、天然ゴム(NR)、改質天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。特に、耐外傷性、耐摩耗性、耐疲労特性および耐屈曲亀裂成長性等の特性に優れることから、天然ゴム(NR)、改質天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびブタジエンゴム(BR)のうちから選択される1種以上のゴムが好ましく用いられ、さらに、入手のし易さの点で、天然ゴムおよびブタジエンゴム(BR)のうちの少なくとも1種がより好ましく用いられる。
スチレンブタジエンゴム(SBR)およびブタジエンゴム(BR)を配合する場合、SBRおよびBRの含有率は、ゴム組成物中でそれぞれ50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。SBRおよびBRの含有率が前記上限値以下である場合、ゴム組成物中の石油資源比率を低く抑え、環境への負荷をより小さくすることができる。
また、本発明のゴム組成物は、アルコキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、グリシジル基、カルボニル基、エステル基、ヒドロキシ基、アミノ基、およびシラノール基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を含む官能基含有天然ゴム(改質天然ゴム)、ならびに、官能基含有ジエン系ゴムのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。天然ゴムおよびジエン系ゴムがこれらの官能基を含む場合、これらのゴム材料が充填剤の表面と反応または相互作用することにより、ゴム組成物中の充填剤の分散性が良好になる。
なお、上述した官能基は、ゴム材料の0.001〜80モル%程度の割合で含まれているのが好ましく、0.01〜50モル%程度の割合で含まれているのがより好ましく、0.02〜25モル%程度の割合で含まれているのがさらに好ましい。官能基の含有量が前記範囲内であれば、充填剤の表面と反応または相互作用する効果がより良好に得られるとともに、未加硫ゴム(加硫剤を含まないゴム組成物)の製造時の粘度上昇が抑えられ、加工性が良好となる。
ゴム材料に上述した官能基を含ませる方法としては、例えば、炭化水素溶媒中で有機リチウム開始剤を用いて重合されたスチレン−ブタジエン共重合体の重合末端に官能基を導入する方法や、天然ゴムあるいはジエン系ゴムをクロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法等の方法によりエポキシ化する方法等が挙げられる。
本発明のゴム組成物では、天然ゴム、改質天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびブタジエンゴム(BR)のうちの少なくとも1種がゴム材料の50〜100質量%を占めるように、ゴム成分の配合が設定されているのが好ましい。ゴム成分の配合が前記範囲内に設定されると、ゴム弾性率(貯蔵弾性率E’)を高めることができ、かつ、ヒステリシスロス性(60℃付近の損失正接tanδ)を低減させることができる。これにより、例えば良好な操縦安定性と転がり抵抗の低減とを両立し得るタイヤ用のゴム組成物を得ることができる。
なお、環境負荷を低減させるという観点からは、天然ゴムや改質天然ゴムの割合を高めることが望ましいが、これらにスチレンブタジエンゴム(SBR)やブタジエンゴム(BR)等の他のゴム成分を添加することにより、ゴム組成物の耐摩耗性や耐屈曲亀裂成長性をより高めることができるので、このような観点に基づいてゴム成分を選択すればよい。
ゴム材料の添加量は、特に限定されないが、リグニン誘導体と樹脂の合計100質量部に対して、100〜10000質量部程度であるのが好ましく、200〜5000質量部程度であるのがより好ましく、300〜2000質量部程度であるのがさらに好ましい。ゴム材料の添加量を前記範囲内に設定することで、ゴム組成物の補強効果を十分に確保しつつ、ゴム組成物の硬度が高くなり過ぎて伸びが小さくなるのを抑制することができる。
(充填剤)
また、本発明のゴム組成物は、上述した成分の他に、充填剤を含んでいてもよい。
充填剤としては、樹脂組成物やゴム組成物において通常用いられるものを採用できる。具体的には、カーボンブラック、シリカ、アルミナおよびセルロースファイバーよりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられ、特にシリカおよびカーボンブラックから選択される少なくとも1種が好ましく用いられる。これらの充填剤を用いることにより、ゴム弾性率(貯蔵弾性率E’)を高めるとともに、ヒステリシスロス性(60℃付近の損失正接tanδ)を低減させることができる。
充填剤の含有量は、ゴム材料100質量部に対して、10〜150質量部程度であるのが好ましい。充填剤の含有量を前記下限値以上に設定することで、ゴム組成物のゴム弾性率を高めることができる。一方、充填剤の含有量を前記上限値以下に設定することで、ゴム弾性率が過度に上昇するのを抑制し、ゴム組成物の調製時の加工性を高めるとともに、ゴム組成物中の充填剤の分散性が悪化することによる耐摩耗性や破断伸び等の低下を抑制することができる。また、ゴム組成物のヒステリシスロス性の増大を抑制することができる。
特に充填剤としてシリカが配合される場合、ゴム材料100質量部に対して、シリカを3〜150質量部程度の割合で配合するとともに、シランカップリング剤を、シリカの含有量の1〜20質量%程度の割合で配合するのが好ましい。シリカの含有量を前記下限値以上に設定することで、ゴム組成物のゴム弾性率を高めることができる。一方、シリカの含有量を前記上限値以下に設定することで、ゴム弾性率が過度に上昇するのを抑制しつつ、ゴム組成物の調製時の加工性を高めることができる。また、ゴム組成物中の充填剤の分散性が悪化することによる耐摩耗性や破断伸び等の低下を抑制することができる。また、ゴム組成物のヒステリシスロス性の増大を抑制することができる。
なお、シリカの含有量は、ゴム材料100質量部に対して5〜100質量部程度の割合であるのがより好ましく、10〜80質量部程度の割合であるのがさらに好ましい。
シリカとしては、従来ゴム補強用として慣用されているシリカが使用可能であり、例えば、乾式法シリカ、湿式法シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。特に、シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)が20〜600m/gであるものが好ましく、40〜500m/gであるものがより好ましく、50〜450m/gであるものがさらに好ましい。シリカのN2SAが前記下限値以上である場合、ゴム組成物に対する補強効果が大きくなる。一方、シリカのN2SAが前記上限値以下である場合、ゴム組成物中でのシリカの分散性が良好になり、例えば低ヒステリシスロス性に優れたゴム組成物を得ることができる。
また、充填剤は、上述した構成材料に限定されない。充填剤の構成材料としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスのようなケイ酸塩、酸化チタン、アルミナのような酸化物、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトのような炭酸塩、酸化亜鉛、酸化マグネシウムのような酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのような水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムのような硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムのようなホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素のような窒化物等が挙げられる。そして、充填剤には、これらの材料で構成された粉末や粒子、繊維片等が用いられる。
この他、炭素繊維のような無機充填剤、木粉、パルプ粉砕粉、布粉砕粉、熱硬化性樹脂硬化物粉、アラミド繊維、タルクのような有機充填剤等も、リグニン樹脂組成物に含まれる充填剤として利用可能である。
(架橋剤)
また、本発明のゴム組成物は、上述した成分の他に、架橋剤を含んでいてもよい。
架橋剤としては、ゴム材料およびリグニン誘導体のいずれか一方または双方と架橋し得るものであれば、特に限定されないが、下記式(4)で表される化合物を含むものが好ましく用いられる。
Figure 0006733546
[式(4)中のZは、メラミン残基、尿素残基、グリコリル残基、イミダゾリジノン残基および芳香環残基のうちのいずれか1種である。また、mは2〜14の整数を表す。また、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。ただし、−CHORは、メラミン残基の窒素原子、尿素残基の1級アミノ基の窒素原子、グリコリル残基の2級アミノ基の窒素原子、イミダゾリジノン残基の2級アミノ基の窒素原子および芳香環残基の芳香環の炭素原子のいずれかに直接結合している。]
このような化合物を含むゴム組成物は、硬化後の機械的特性に優れるとともに、硬化物の耐久性および外観の向上に寄与する。これは、架橋剤中に含まれる上記式(4)で表される化合物が、多官能性の架橋点を形成し得るため、リグニン誘導体を高密度かつ均一に架橋し、均質で剛直な骨格を形成するからである。剛直な骨格によって硬化物の機械的特性および耐久性(耐煮沸性等)が向上するとともに、膨れや亀裂等の発生が抑制されるため硬化物の外観も向上する。
また、−CHORは、前述したようにメラミン残基の窒素原子、尿素残基の1級アミノ基の窒素原子、グリコリル残基の2級アミノ基の窒素原子、イミダゾリジノン残基の2級アミノ基の窒素原子および芳香環残基の芳香環の炭素原子のうちのいずれかに直接結合しているが、同一の窒素原子または炭素原子に2つ以上の「−CHOR」が結合している場合、そのうちの少なくとも1つの「−CHOR」が含む「R」はアルキル基であるのが好ましい。これにより、リグニン誘導体(A)を確実に架橋させることができる。
なお、本明細書においてメラミン残基とは、下記式(A)で表されるメラミン骨格を有する基のことをいう。
Figure 0006733546
また、本明細書において尿素残基とは、下記式(B)で表される尿素骨格を有する基のことをいう。
Figure 0006733546
また、本明細書においてグリコリル残基とは、下記式(C)で表されるグリコリル骨格を有する基のことをいう。
Figure 0006733546
また、本明細書においてイミダゾリジノン残基とは、下記式(D)で表されるイミダゾリジノン骨格を有する基のことをいう。
Figure 0006733546
また、本明細書において芳香環残基とは、芳香環(ベンゼン環)を有する基のことをいう。
また、上記式(4)で表される化合物としては、特に、下記式(5)〜(8)のうちのいずれかで表される化合物が好ましく用いられる。これらは、リグニン誘導体中のフェノール骨格に含まれる芳香環上の架橋反応点に対して反応し、リグニン誘導体を確実に架橋するとともに、官能基同士の自己縮合反応により自己架橋を生じる。その結果、特に均質で剛直な骨格を有し、機械的特性、耐久性および外観に優れた硬化物が得られる。
Figure 0006733546
[式(5)中、XはCHORまたは水素原子であり、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。また、nは1〜3の整数を表す。]
Figure 0006733546
[式(6)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
Figure 0006733546
[式(7)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
Figure 0006733546

[式(8)中、Rは独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。]
また、上記式(5)で表される化合物としては、特に、下記式(9)または下記式(10)で表される化合物が好ましく用いられる。これらは、リグニン誘導体中のフェノール骨格に含まれる芳香環上の架橋反応点に対して反応しリグニン誘導体を特に確実に架橋するとともに、官能基同士の自己縮合反応により自己架橋を生じる。その結果、とりわけ均質で剛直な骨格を有し、機械的特性、耐久性および外観に優れた硬化物が得られる。
Figure 0006733546
[式(9)中、nは1〜3の整数を表す。]
Figure 0006733546
[式(10)中、nは1〜3の整数を表す。]
また、上記架橋剤は、上記式(4)で表される化合物に代えて、またはこの化合物とともに、ヘミサメチレンテトラミン、キヌクリジンおよびピジンのうちの少なくとも1種の化合物を含んでいてもよい。このような架橋剤を含む硬化物は、優れた機械的強度(耐久性等)を有するとともに、優れた外観を有する。これは、ヘキサメチレンテトラミン、キヌクリジンおよびピジンがリグニン誘導体を高密度かつ均一に架橋し、均質で剛直な骨格を形成するからである。
また、架橋剤には、上記化合物以外の架橋剤成分が含まれていてもよい。上記化合物以外の架橋剤成分としては、例えば、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ化グリセリン、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油のようなエポキシ樹脂、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートのようなイソシアネート化合物、リグニン誘導体の芳香環に対し親電子置換反応して架橋し得る化合物として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラールのようなアルデヒド類、ポリオキシメチレンのようなアルデヒド源、レゾール型フェノール樹脂等の通常のフェノール樹脂で公知の架橋剤、リグニン誘導体の芳香環に対し親電子置換反応して架橋し得る化合物等を挙げることができる。そして、架橋剤中におけるこれらの架橋剤成分の含有率は、架橋反応前において80質量%以上であるのが好ましい。
なお、架橋剤の添加量は、特に限定されないが、リグニン誘導体100質量部に対して、5〜120質量部程度であるのが好ましく、10〜100質量部程度であるのがより好ましい。
(その他の成分)
また、本発明のゴム組成物は、上述した成分の他に、その他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、軟化剤、粘着付与剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、老化防止剤、硫黄その他の加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、過酸化物、酸化亜鉛、ステアリン酸等が挙げられる。
加硫剤としては、例えば、有機過酸化物または硫黄系加硫剤を使用できる。
このうち、有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン等が挙げられる。
一方、硫黄系加硫剤としては、例えば、硫黄、モルホリンジスルフィド等が挙げられる。これらの中では特に硫黄が好ましく用いられる。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系の各種加硫促進剤等が挙げられ、これらのうち少なくとも1種を含むものが用いられる。
老化防止剤としては、例えば、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩、ワックス等が適宜選択されて用いられる。
本発明のゴム組成物は、さらに、ステアリン酸、酸化亜鉛といったような、通常ゴム工業にて使用される配合剤を適宜配合することができる。
また、ゴム組成物中の固形分濃度は、特に制限されないが、一例として、60〜98質量%程度であり、70〜95質量%程度が好ましい。
このようなゴム組成物は、従来のゴム組成物のあらゆる用途に適用可能であり、具体的には、タイヤ、ベルト、ゴムクローラー、防振ゴム、靴等の用途に適用可能である。
<ゴム組成物の製造方法>
次に、前述したゴム組成物の製造方法について説明する。
ゴム組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、ゴム材料と、リグニン誘導体と、その他の原料と、を混練する工程を含む。なお、必要に応じて、任意の原料を予備混合した後、混練するようにしてもよい。また、上述した原料を混練する順序は、特に限定されず、全ての原料を同時に混練してもよく、任意の順序で順次混練するようにしてもよい。
混練機としては、例えば、ミキサー、ニーダー、ロール等が挙げられる。
また、混練するときには、必要に応じて、有機溶媒を用いるようにしてもよい。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、キノリン、シクロペンタノン、m−クレゾール、クロロホルム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
ここで、ゴム組成物の製造方法の一例を工程ごとに説明する。
まず、(1)リグニン誘導体と樹脂とを混合し、混合樹脂を得る。
次に、(2)ゴム材料と、混合樹脂と、任意成分(加硫剤および加硫促進剤を除く。)とを、密閉式混練機により混練して、加硫系を含有していないゴム組成物(未加硫のゴム組成物)を得る。このとき、混練条件(混練温度、混練時間等)は混練機に応じて適宜設定される。
次に、(3)上記(2)により得られたゴム組成物に対し、オープンロール等のロール類を含む前記混練機を用いて加硫剤および加硫促進剤を添加し、再度混練して、加硫系を含有するゴム組成物を得る。
<ゴム組成物の硬化方法>
次に、ゴム組成物の硬化物を得る工程について説明する。
ゴム組成物の硬化物は、ゴム組成物を成形し、硬化させることによって得ることができる。成形方法は、用途によって異なるため、特に限定されるものではないが、金型を用いて成形する場合は、作製したゴム組成物を、油圧プレスを備えた金型を用いて成形する方法である。これにより、目的の形状に成形されたゴム組成物の硬化物を得る。
また、本発明のゴム組成物は、一例としてタイヤ用のゴム組成物として使用することが可能である。例えば、本発明のゴム組成物をタイヤのキャップトレッド用ゴム組成物として用いる場合は、通常の方法により製造される。すなわち、未加硫のゴム組成物をタイヤのトレッド部の形状に押出加工した後、押出加工されたゴム組成物をタイヤ成形機により通常の方法で貼り合わせて未加硫タイヤを成形する。次いで、未加硫タイヤを加硫機中で加熱・加圧してタイヤを得ることができる。
成形温度は、100〜280℃程度であるのが好ましく、120〜250℃程度であるのがより好ましく、130〜230℃程度であるのがさらに好ましい。なお、成形温度が前記上限値を上回ると、ゴムが劣化するおそれがあり、一方、成形温度が前記下限値を下回ると、十分な成形ができないおそれがある。
<成形材料>
次に、本発明の成形材料について説明する。
本発明の成形材料は、前述したリグニン誘導体を含む。あるいは、本発明の成形材料は、前述したリグニン樹脂組成物(主に、リグニン誘導体および樹脂材料)を含む。このような成形材料は、優れた弾性率と機械的強度とを有する。
また、本発明の成形材料は、植物由来の物質(リグニン誘導体)を含むので、例えば焼却廃棄された場合でも、かかる物質を含まない場合に比べて、大気中の二酸化炭素の増加量を抑えることができる。このため、本発明の成形材料は、環境負荷の低減を図ることができる。
なお、本発明の成形材料は、前述したゴム組成物の製造方法と同様の方法で製造することができ、また、前述したゴム組成物の効果方法と同様の方法で硬化させることができる。
以上、本発明のリグニン誘導体、リグニン誘導体の製造方法、リグニン樹脂組成物、ゴム組成物および成形材料について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、リグニン樹脂組成物、ゴム組成物および成形材料には、それぞれ任意の成分が添加されていてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれに限定されない。
1.ゴム組成物の製造
以下、実施例1A〜10Aおよび比較例1A〜9Aにおいて用いた各種原料について列挙する。
天然ゴム :東知製RSS3
硬化剤 :ヘキサメチレンテトラミン
カーボンブラック :三菱化学社製、HAF
シリカ :エボニック社製、Ultrasil VN3(BET比表面積:175m/g)
シランカップリング剤 :エボニック社製、Si−69
酸化亜鉛 :堺化学工業社製
ステアリン酸 :日油社製ビーズステアリン酸YR
硫黄 :細井化学工業社製、微粉硫黄
加硫促進剤 :大内新興化学工業社製、MSA−G
フェノール樹脂 :住友ベークライト社製、PR−50731
カシュー変性ノボラック型フェノール樹脂 :住友ベークライト社製、PR−12686
トール変性ノボラック型フェノール樹脂 :住友ベークライト社製、PR−13349
(実施例1A)
(1)リグニン誘導体
スギのチップ300g(絶乾量)と純水1600gとを、容量2.4Lの回転型オートクレーブに導入した。そして、内容物を回転数300rpmで撹拌しながら、処理温度300℃、処理圧力9MPaで60分間処理してスギのチップを分解した。
次いで、分解物を濾過し、純水で洗浄することにより、水不溶部を分離した。この水不溶部をアセトンに浸漬し、その後、濾過し、アセトン可溶部を回収した。
次いで、アセトン可溶部からアセトンを留去し、リグニン誘導体を得た。
(2)ゴム組成物の作製
次に、リグニン誘導体50質量部と、カシュー変性フェノール樹脂50質量部とを、あらかじめ130℃の熱板において溶融混合し、粉砕して混合樹脂を得た。
次いで、得られた混合樹脂100質量部と、天然ゴム化合物500質量部と、カーボンブラック350質量部と、樹脂架橋剤としてヘキサメチレンテトラミン10質量部と、加硫剤として硫黄15質量部と、加硫促進剤としてMSA−G7.5質量部と、加硫促進助剤として酸化亜鉛25質量部と、離型剤としてステアリン酸10質量部とを、バンバリーミキサーにおいて100℃で混練し、ゴム組成物を得た。
(実施例2A)
リグニン誘導体を100質量部とし、フェノール樹脂系物質を添加しない以外は、実施例1Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例3A)
カシュー変性フェノールに換えてトール変性フェノール樹脂を50質量部添加するようにした以外は、実施例1Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例4A)
カシュー変性フェノールに換えてノボラック型変性フェノール樹脂を50質量部添加するようにした以外は、実施例1Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例5A)
リグニン誘導体を75質量部と、カシュー変性フェノール樹脂を25質量部変更した以外は、実施例1Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例6A)
リグニン誘導体を25質量部と、カシュー変性フェノール樹脂を75質量部変更した以外は、実施例1Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例7A)
バイオマスがユーカリ由来である以外は、実施例1Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例8A)
バイオマスがユーカリ由来である以外は、実施例2Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例9A)
実施例1Aにおいて、処理圧力3MPaで180分間処理してスギのチップを分解した以外は実施例1Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例10A)
オルガノソルブプロセスの一つであるアルセル(Alcell(登録商標))法により得られたリグニン誘導体(Lignol Lignin(Powder):Lignol社製)を150℃で乾燥して粉砕したのちに、10倍量のアセトンに溶解し、ろ過して固体残さを除去して上澄み液を得た。その後、上澄み液を濃縮、乾燥してリグニン誘導体を得た以外は、実施例1Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(比較例1A)
(1)バイオマス分解プロセス
スギのチップ300g(絶乾量)と純水1600gとを、容量2.4Lの回転型オートクレーブに導入した。そして、内容物を回転数300rpmで撹拌しながら、処理温度300℃、処理圧力9MPaで60分間処理してスギのチップを分解した。
次いで、分解物を濾過し、純水で洗浄することにより、水不溶部を分離した。この水不溶部をリグニン誘導体として用いた。
(2)ゴム組成物の作製
次に、実施例1Aと同様にして、ゴム組成物を得た。
(比較例2A)
リグニン誘導体を100質量部とし、フェノール樹脂系物質を添加しない以外は、比較例1Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(比較例3A)
バイオマスがユーカリ由来である以外は、比較例1Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(比較例4A)
バイオマスがユーカリ由来である以外は、比較例2Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(比較例5A)
比較例1Aにおいて、処理圧力3MPaで180分間処理してスギのチップを分解した以外は比較例1Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(比較例6A)
アルセル(Alcell(登録商標))法により得られたリグニン誘導体(Lignol Lignin(Powder):Lignol社製)を150℃で乾燥して粉砕して使用した以外は、比較例1Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(比較例7A)
リグニン誘導体、フェノール樹脂を用いず、実施例1記載のゴム、充填剤、樹脂架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、および離型剤を用いてゴム組成物を合成した以外は実施例1Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(比較例8A)
比較例7Aにノボラック型フェノールを100質量部加えた以外は比較例7Aと同様にしてゴム組成物を得た。
(比較例9A)
比較例7Aにカシュー変性フェノールを100質量部加えた以外は比較例7Aと同様にしてゴム組成物を得た。
上記のようにして得られた各実施例および各比較例のリグニン誘導体およびゴム組成物の組成を表1、2に示す。
2.ゴム組成物の評価
まず、実施例1A〜10Aおよび比較例1A〜9Aで得られたゴム組成物を、それぞれ、油圧プレスにより160℃で20分間加硫して、厚さ2mmの加硫ゴムシートを作製した。
2.1 切断時引張応力および切断時引張伸びの測定
次に、ゴムシートについて、JIS K 6251に規定の方法に準拠して、東洋精機社製ストログラフを用いて切断時引張応力および切断時引張伸びを測定した。なお、測定時の引張速度は50mm/分とした。また、試験片はダンベル型、つかみ具間距離は60mm、幅は5mm、測定温度は25℃であった。
次いで、比較例7Aで得られたゴムシートについての測定結果を100としたときの各実施例および各比較例で得られたゴムシートについての測定結果の相対値を求めた。算出結果を表1、2に示す。
2.2 貯蔵弾性率E’および損失正接tanδの測定
次に、ゴムシートについて、TAインスツルメント社製動的粘弾性測定装置を用い、動的歪2%の条件下で、30℃における貯蔵弾性率E’および60℃における損失正接tanδの逆数を測定した。
なお、試験片の長さを22mm、幅を10mm、昇温速度を5℃/分、歪みを2%、測定周波数を1Hzとした。
次いで、比較例7Aで得られたゴムシートについての測定結果を100としたときの各実施例および各比較例で得られたゴムシートについての測定結果の相対値を求めた。算出結果を表1、2に示す。
なお、損失正接tanδの逆数の値が大きいということは、粘弾性特性の損失正接tanδが小さいこと、すなわちヒステリシスロス性が小さいことを意味し、ひいては繰り返し変形で発生する熱エネルギーを抑えられることを意味するので、例えば各実施例および各比較例で得られたゴム組成物をタイヤ用ゴム組成物に適用した場合、転がり抵抗の小さいタイヤを得ることができる。
Figure 0006733546
Figure 0006733546
表1、2から明らかなように、実施例1A〜10Aで得られたゴム組成物の硬化物は、リグニン誘導体が添加されることによって、ゴム組成物の硬化物の貯蔵弾性率E’と切断時引張応力の双方を高め得ることが認められた。
また、リグニン誘導体とともに樹脂を添加することによって、樹脂を添加しない場合に比べて、60℃における損失正接tanδの逆数を大きくすることができ、ゴム組成物の硬化物のヒステリシスロス性を小さくし得ることが認められた。
したがって、リグニン誘導体と樹脂とを添加することによって(リグニン樹脂組成物を添加することによって)、ゴム弾性率とヒステリシスロス性のバランスが良好になることが認められた。
なお、実施例1A〜10Aで用いたリグニン誘導体中の可溶成分の数平均分子量は、300〜2000の範囲内であった。また、実施例1A〜10Aで用いたリグニン誘導体中の可溶成分の軟化点は、100〜180℃であった。また、実施例1A〜10Aで用いたリグニン誘導体中におけるアセトンに可溶な成分の含有率(アセトン溶解率)は、いずれも80質量%以上であった。
3.ゴム組成物の製造
以下、実施例1B〜12Bおよび比較例1B〜3Bにおいて用いた各種原料について列挙する。
天然ゴム :東知製RSS3
硬化剤 :ヘキサメチレンテトラミン
カーボンブラック :三菱化学社製、HAF
シリカ :エボニック社製、Ultrasil VN3(BET比表面積:175m/g)
シランカップリング剤 :エボニック社製、Si−69
酸化亜鉛 :堺化学工業社製
ステアリン酸 :日油社製ビーズステアリン酸YR
硫黄 :細井化学工業社製、微粉硫黄
加硫促進剤 :大内新興化学工業社製、MSA−G
フェノール樹脂 :住友ベークライト社製、PR−50731
カシュー変性ノボラック型フェノール樹脂 :住友ベークライト社製、PR−12686
トール変性ノボラック型フェノール樹脂 :住友ベークライト社製、PR−13349
(実施例1B)
(1)リグニン誘導体
アルセル(Alcell(登録商標))法により得られたリグニン誘導体(Lignol Lignin(Powder):Lignol社製)を10質量倍のアセトンに溶解し、濾過して固体残渣を除去して上澄み液を得た。その後、上澄み液を濃縮、乾燥してリグニン誘導体を得た。
(2)ゴム組成物の作製
次に、リグニン誘導体50質量部と、トール変性フェノール樹脂50質量部とを、あらかじめ130℃の熱板において溶融混合し、粉砕して混合樹脂を得た。
次いで、得られた混合樹脂100質量部と、天然ゴム化合物500質量部と、カーボンブラック350質量部と、樹脂架橋剤としてヘキサメチレンテトラミン10質量部と、加硫剤として硫黄15質量部と、加硫促進剤としてMSA−G7.5質量部と、加硫促進助剤として酸化亜鉛25質量部と、離型剤としてステアリン酸10質量部とを、バンバリーミキサーにおいて100℃で混練し、ゴム組成物を得た。
(実施例2B)
トール変性フェノール樹脂に代えて、ノボラック型フェノール樹脂を添加するようにした以外は、実施例1Bと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例3B)
トール変性フェノール樹脂に代えて、カシュー変性フェノール樹脂を添加するようにした以外は、実施例1Bと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例4B)
リグニン誘導体の添加量とカシュー変性フェノール樹脂の添加量をそれぞれ表3に示すように変更した以外は、実施例3Bと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例5B)
リグニン誘導体の添加量とカシュー変性フェノール樹脂の添加量をそれぞれ表3に示すように変更した以外は、実施例3Bと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例6B)
トール変性フェノール樹脂の添加を省略するとともに、リグニン誘導体を100質量部にした以外は、実施例1Bと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例7B)
充填剤として、さらにシリカを添加するとともに、カーボンブラックの添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例3Bと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例8B)
リグニン誘導体(Lignol Lignin(Powder):Lignol社製)をそのまま使用した以外は、実施例6Bと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例9B)
リグニン誘導体(Lignol Lignin(Powder):Lignol社製)をそのまま使用した以外は、実施例3Bと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例10B)
ヘキサメチレンテトラミンを使用しなかった以外は、実施例6Bと同様にしてゴム組成物を得た。
(実施例11B)
(1)バイオマス分解プロセス
スギのチップ300g(絶乾量)と純水1600gとを、容量2.4Lの回転型オートクレーブに導入した。そして、内容物を回転数300rpmで撹拌しながら、処理温度300℃、処理圧力9MPaで180分間処理してスギのチップを分解した。
次いで、分解物を濾過し、純水で洗浄することにより、水不溶部を分離した。この水不溶部をアセトンに浸漬し、その後、濾過し、アセトン可溶部を回収した。
次いで、アセトン可溶部からアセトンを留去し、リグニン誘導体を得た。
(2)ゴム組成物の作製
次に、実施例3Bと同様にして、ゴム組成物を得た。
(実施例12B)
カシュー変性フェノール樹脂の添加を省略するとともに、リグニン誘導体を100質量部にした以外は、実施例11Bと同様にしてゴム組成物を得た。
(比較例1B)
リグニン誘導体の添加、カシュー変性フェノール樹脂の添加および樹脂架橋剤の添加をそれぞれ省略した以外は、実施例11Bと同様にしてゴム組成物を得た。
(比較例2B)
リグニン誘導体の添加およびカシュー変性フェノール樹脂の添加をそれぞれ省略するとともに、ノボラック型フェノール樹脂を100質量部添加した以外は、実施例11Bと同様にしてゴム組成物を得た。
(比較例3B)
リグニン誘導体の添加を省略するとともに、カシュー変性フェノール樹脂を100質量部添加した以外は、実施例11Bと同様にしてゴム組成物を得た。
4.ゴム組成物の評価
まず、実施例1B〜12Bおよび比較例1B〜3Bで得られたゴム組成物を、それぞれ、油圧プレスにより160℃で20分間加硫して、厚さ2mmの加硫ゴムシートを作製した。
4.1 切断時引張応力および切断時引張伸びの測定
次に、ゴムシートについて、JIS K 6251に規定の方法に準拠して、東洋精機社製ストログラフを用いて切断時引張応力および切断時引張伸びを測定した。なお、測定時の引張速度は50mm/分とした。また、試験片の形状はダンベル型、つかみ具間距離は60mm、幅は5mm、測定温度は25℃であった。
次いで、比較例1Bで得られたゴムシートについての測定結果を100としたときの各実施例および各比較例で得られたゴムシートについての測定結果の相対値を求めた。算出結果を表3に示す。
4.2 貯蔵弾性率E’および損失正接tanδの測定
次に、ゴムシートについて、TAインスツルメント社製動的粘弾性測定装置を用い、動的の条件下で、30℃における貯蔵弾性率E’および60℃における損失正接tanδの逆数を測定した。
なお、試験片の長さを22mm、幅を10mm、昇温速度を5℃/分、歪みを2%、測定周波数を1Hzとした。
次いで、比較例1Bで得られたゴムシートについての測定結果を100としたときの各実施例および各比較例で得られたゴムシートについての測定結果の相対値を求めた。算出結果を表3に示す。
Figure 0006733546
表3から明らかなように、実施例1B〜12Bで得られたゴム組成物の硬化物は、リグニン誘導体が添加されることによって、ゴム組成物の硬化物の貯蔵弾性率E’と切断時引張応力の双方を高め得ることが認められた。
また、リグニン誘導体とともに樹脂を添加することによって、樹脂を添加しない場合に比べて、60℃における損失正接tanδの逆数を大きくすることができ、ゴム組成物の硬化物のヒステリシスロス性を小さくし得ることが認められた。
したがって、リグニン誘導体と樹脂材料とを添加することによって(リグニン樹脂組成物を添加することによって)、ゴム弾性率とヒステリシスロス性のバランスが良好になることが認められた。
なお、実施例1B〜12Bで用いたリグニン誘導体中の可溶成分の数平均分子量は、300〜2000の範囲内であった。また、実施例1B〜12Bで用いたリグニン誘導体中の可溶成分の軟化点は、100〜200℃であった。また、実施例1B〜12Bで用いたリグニン誘導体中におけるアセトンに可溶な成分の含有率(アセトン溶解率)は、いずれも80質量%以上であった。
5.成形材料の製造および評価
次に、リグニン誘導体、および、フェノール樹脂(PR−53194、住友ベークライト(株))を用いて樹脂成形体を調製した。そして、以下の方法により外観および曲げ強度の評価を行った。評価結果を表4に示す。
(実施例13B〜18Bおよび比較例4B、5B)
5.1 リグニン樹脂組成物の調製
リグニン誘導体、フェノール樹脂(PR−53194、住友ベークライト(株)製)、およびヘキサメチレンテトラミンを、表4に示す割合で常温にて添加し、粉砕混合してリグニン樹脂組成物を調製した。
なお、実施例13B〜16Bでは、実施例1Bと同じリグニン誘導体を用いた。また、実施例17Bでは実施例8Bと同じリグニン誘導体を用いた。また、実施例18Bでは、実施例11Bと同じリグニン誘導体を用いた。
また、比較例5Bでは、以下の方法を用いて得られたリグニン誘導体を用いた。
スギのチップ300g(絶乾量)と純水1600gとを、容量2.4Lの回転型オートクレーブに導入した。そして、内容物を回転数300rpmで撹拌しながら、処理温度300℃、処理圧力9MPaで60分間処理してスギのチップを分解した。次いで、分解物を濾過し、純水で洗浄することにより、水不溶部を分離した。この水不溶部をリグニン誘導体として用いた。
そして、表4に示す配合になるように、各成分の添加量を設定し、実施例13B〜18Bおよび比較例4B、5Bの各リグニン樹脂組成物を調製した。
5.2 樹脂成形体の調製
実施例13B〜18Bおよび比較例4Bのリグニン樹脂組成物に対し、ガラス繊維(ガラスミルドファイバー、日東紡績(株)製、基準繊維径10±1.5μm、平均繊維長90μm)を、リグニン樹脂組成物との混合比率で50.5重量%となるように添加した。ラボプラストミルにて90℃、50rpmにて混練し、得られた混練物を175℃、3minの条件にて圧縮成形を行い、その後硬化させた。これにより、幅10mm、長さ100mm、高さ4mmの樹脂成形体を得た。一方、上記と同様の方法を用いて、比較例5Bのリグニン樹脂組成物とガラス繊維とを混練したが、リグニン樹脂組成物とガラス繊維とを均一に混合することができなかった。そのため、圧縮成形により所定の寸法の樹脂成形体を得ることができなかった。
5.3 常温曲げ強度の測定
得られた各樹脂成形体を用い、JIS K 6911に準拠して、25℃下での曲げ強度を求めた。具体的には、精密万能試験機(島津製作所社製 オートグラフAG−Xplus)を用い、2mm/minの速度で荷重をかけて三点曲げ試験を行った。
Figure 0006733546
表4から明らかなように、実施例13B〜18Bの成形材料の硬化物は、比較例4Bの成形材料の硬化物よりも室温における曲げ応力が大きく、かつ、弾性率も大きいことが認められた。
したがって、実施例13B〜18Bの成形材料の硬化物は、リグニン誘導体が添加されることによって、弾性率と機械的強度の双方を高め得ることが認められた。また、耐熱環境下での機械的強度を高め得ることも認められた。
本発明によれば、所定の数平均分子量であり、極性有機溶媒に可溶な成分(可溶成分)を含むリグニン誘導体を含ませることにより、優れた低ヒステリシスロス性、弾性率または引張特性を有するリグニン樹脂組成物、ゴム組成物または成形材料を得ることができる。また、上記可溶成分として、熱溶融性を有する成分を用いることにより、より優れた前記特性を有するリグニン樹脂組成物、ゴム組成物または成形材料を得ることができる。特に、フェノール系樹脂を含むことにより、得られるリグニン樹脂組成物、ゴム組成物または成形材料は、優れた低ヒステリシスロス性を示し、かつ弾性率、成形性、引張特性のバランスに優れる。したがって、本発明は、産業上の利用可能性を有する。

Claims (10)

  1. バイオマスより抽出され、ゴム補強用に用いられるリグニン誘導体と、
    ゴム材料と、
    を含み、
    前記リグニン誘導体は、数平均分子量が300〜2000であり、極性有機溶媒に可溶な成分を80質量%以上の量で含んでいることを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記極性有機溶媒は、アセトンである請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記リグニン誘導体は、前記成分を95質量%以上の量で含んでいる請求項1または2に記載のゴム組成物。
  4. 前記成分の数平均分子量は、300〜750である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. 前記成分の軟化温度は、80〜160℃である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  6. 前記ゴム材料は、天然ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムのうちの少なくとも1種を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  7. 架橋剤および充填剤の少なくとも一方をさらに含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  8. アルコール類、ケトン類およびエーテル類のうちの少なくとも1種を含む薬剤を用いたオルガノソルブプロセスによって、バイオマスを蒸解することにより、数平均分子量が300〜2000であり、極性有機溶媒に可溶な成分を80質量%以上の量で含むリグニン誘導体を抽出する工程を有することを特徴とするリグニン誘導体の製造方法。
  9. 前記アルコール類は、低級アルコールを含む請求項に記載のリグニン誘導体の製造方法。
  10. アセトンを含む他の有機溶媒を用いて前記リグニン誘導体を精製する工程を有する請求項に記載のリグニン誘導体の製造方法。
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