JP2014118719A - 床版用の鋼材、鋼床版、鋼床版の滑り止め施工方法 - Google Patents

床版用の鋼材、鋼床版、鋼床版の滑り止め施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】形鋼に対する摩擦付加材層(滑り止め層)の付着耐久性や形鋼の防食性を保ちながら、十分な滑り止め性能を発揮できる床版用の鋼材及びその鋼材を使用して構成した鋼床版を提供する。
【解決手段】橋梁などの鋼床版を構成する形鋼1の上面1aに、プライマー層8を介して、滑り防止のための骨材として、pH8〜13.5、水膨張率2.0%以下の粒状のスラグを用い、且つ、骨材を固着するための固着剤としてポリマーを用いた摩擦付加材層10を形成する。摩擦付加材10は、形鋼の上面にプライマー層を介して形成された下側摩擦付加材層11と、その上に積層された上側摩擦付加材層12とからなり、下側摩擦付加材層11として、ポリマーとスラグとの混合物を塗布した層が設けられ、上側摩擦付加材層12として、ポリマーの塗布層13を形成した上にスラグの散布層14を形成した2層構造の層を、単層または多層に形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、橋梁などの鋼床版を構成する床版用の鋼材、その床版用の鋼材を使用して構成した鋼床版、その鋼床版を作るための鋼床版の滑り止め施工方法に関する。
従来、アスファルト舗装やコンクリート舗装の上に、樹脂バインダを介して粒状物(スラグ粒など)を添着させた舗装面のすべり止め構造が知られている(例えば、特許文献1や特許文献2を参照)。
このようにアスファルト舗装やコンクリート舗装の上に樹脂バインダを介して粒状物を添着させる場合は、多数の凹凸を有する下地の舗装面に対して樹脂バインダが強固に接着するために、でき上がった滑り止め層(摩擦付加材層)が舗装面から剥がれにくいという良好な特性が得られる。
特開2006−9466号公報 特開2001−323403号公報
ところで、橋梁の鋼床版のように形鋼で床版を構成した場合に、上述した従来の滑り止め構造を適用しようとしても、形鋼の上面に凹凸がほとんどないために、期待する性能が得られないという課題があった。即ち、鋼床版のような鋼面上に滑り止め層を形成する場合は、一般的なアスファルト舗装やコンクリート舗装の上への滑り止め施工と異なり、付着耐久性の課題を解決する必要がある。加えて、鋼材自体が腐食に弱いため、防食性の課題も解決する必要がある。
本発明は、上記事情を考慮し、形鋼に対する摩擦付加材層(滑り止め層)の付着耐久性や形鋼の防食性を保ちながら、十分な滑り止め性能を発揮できる床版用の鋼材、その床版用の鋼材を使用して構成した鋼床版、その鋼床版を作るための鋼床版の滑り止め施工方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
即ち、請求項1の発明の床版用の鋼材は、橋梁などの床版として使用する形鋼の上面に、プライマー層を介して、滑り防止のための骨材として、pH8〜13.5、水膨張率2.0%以下の粒状のスラグを用い、且つ、前記骨材を固着するための固着剤としてポリマーを用いた摩擦付加材層を形成したことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の床版用の鋼材において、前記摩擦付加材層が、前記ポリマーの層を形成した上に該ポリマーが固化する前に前記スラグの散布層を形成した2層構造のものであり、この摩擦付加材層が、前記形鋼の上面に単層または多層に形成されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載の床版用の鋼材において、前記摩擦付加材層が、前記ポリマーと前記スラグとの混合物を塗布した層により構成されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1に記載の床版用の鋼材において、前記摩擦付加材層が、前記形鋼の上面にプライマー層を介して形成された下側摩擦付加材層と、その上に積層された上側摩擦付加材層とからなり、前記下側摩擦付加材層として、前記ポリマーと前記スラグとの混合物を塗布した層が設けられ、前記上側摩擦付加材層として、前記ポリマーの層を形成した上に該ポリマーが固化する前に前記スラグの散布層を形成した2層構造の層が設けられており、この上側摩擦付加材層が、単層または多層に形成されていることを特徴とする。
請求項5の発明の橋梁等の鋼床版は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の床版用の鋼材によって構成されていることを特徴とする。
請求項6の発明の鋼床版の滑り止め施工方法は、滑り防止のための骨材として、pH8〜13.5、水膨張率2.0%以下の粒状のスラグを用意し、橋梁などの鋼床版を構成する形鋼の上面に、プライマー層を形成し、その上に、固着剤としてのポリマーの塗布層と前記粒状のスラグの散布層とを順に重ねて形成し、これらポリマーの塗布層とスラグの散布層よりなる2層構造の摩擦付加材層を単層または多層に形成した上で、最後に転圧することを特徴とする。
請求項7の発明の鋼床版の滑り止め施工方法は、滑り防止のための骨材として、pH8〜13.5、水膨張率2.0%以下の粒状のスラグを用意し、橋梁などの鋼床版を構成する形鋼の上面に、プライマー層を形成し、その上に、固着剤としてのポリマーと前記粒状のスラグとを混合した摩擦付加材の塗布層を形成し、その上を転圧することを特徴とする。
請求項8の発明の鋼床版の滑り止め施工方法は、滑り防止のための骨材として、pH8〜13.5、水膨張率2.0%以下の粒状のスラグを用意し、橋梁などの鋼床版の構成する形鋼の上面に、プライマー層を形成し、その上に、固着剤としてのポリマーと前記粒状のスラグとを混合した摩擦付加材の塗布層を形成し、その上に、前記ポリマーの塗布層と前記スラグの散布層とを順に重ねて形成し、これらポリマーの塗布層とスラグの散布層よりなる2層構造の摩擦付加材層を単層または多層に形成した上で、最後に転圧することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、滑り防止のための骨材としてアルカリ性の粒状のスラグを用いているので、鋼材面の防錆効果を発揮しながら十分な滑り止め性能を発揮することができる。また、プライマー層を介して摩擦付加材層を形成しているので、鋼材面に対する摩擦付加材層の接着性を向上させることができて、摩擦付加材層の剥がれを防止し、高い付着耐久性を発揮することができる。
請求項2の発明によれば、粒状のスラグがポリマー内部に層状に積層しているので、経年使用による摩擦係数の低下が抑えられる。
請求項3の発明によれば、粒状のスラグがポリマー内部に均等に分散しているので、経年使用による摩擦係数の低下が抑えられる。また、スラグとポリマーの混合物を形鋼の上面に塗布すればよいので、製作が簡単にできる。
請求項4の発明によれば、下側摩擦付加材層と上側摩擦付加材層の層構造を異ならせており、下側摩擦付加材層を、ポリマーとスラグの混合物を塗布した層で構成し、上側摩擦付加材層を、ポリマーの層の上にスラグを散布した層を形成した2層構造の層で構成しているので、容易な施工性と経年使用による摩擦係数の低下の抑制を図ることができる。
請求項5の発明によれば、請求項1〜請求項4のいずれかの床版用の鋼材で鋼床版を構成しているので、鋼材面の防錆と摩擦付加材層の耐久性を確保しながら高い滑り止め効果を発揮することができる。
請求項6の発明によれば、鋼床版を構成する形鋼の上面に、プライマー層を介して、ポリマーの塗布層とスラグの散布層を順番に積層し、最後に摩擦付加材層を転圧するので、粒状のスラグをポリマーの内部に食い込ませることができ、経年使用による耐摩耗性の低下を抑制することができる。
請求項7の発明によれば、鋼床版を構成する形鋼の上面に、プライマー層を介して、ポリマーとスラグの混合物の塗布層を形成し、最後に摩擦付加材層を転圧するので、スラグの混入した摩擦付加材層の表面を平滑化することができ、経年使用による耐摩耗性の低下を抑制することができる。また、スラグとポリマーの混合物を塗布すればよいので、容易な施工が可能である。
請求項8の発明によれば、下側摩擦付加材層と上側摩擦付加材層の作り方を異ならせ、下側摩擦付加材層を、ポリマーとスラグの混合物を塗布することで形成するので、施工の容易化を図ることができる。また、上側摩擦付加材層を、ポリマーの層の上にスラグを散布することで形成するので、経年使用による摩擦係数の低下の抑制を図ることができる。
本発明の実施形態の床版用の鋼材の構成図と床版用の鋼材の上面の摩擦付加材層の拡大断面図である。 実施形態の床版用の鋼材の滑り止め施工方法の工程説明図である。 移動体の速度と床版用の鋼材の動摩擦係数との関係を示す図である。 摩擦付加材の密着測定試験において、浸漬試験前と浸漬試験後の付着強度を表した図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は橋梁などの鋼床版を構成するための実施形態の床版用の鋼材の構成を示している。
この床版用の鋼材は、例えば、断面H型の形鋼(H形鋼)1の片方のフランジの上面1a(鋼床版を構成したときに床版面を構成する面)に、滑り止めとして摩擦付加材層(滑り止め層)10を形成したものである。この摩擦付加材層10は、鋼床版を作る前に単体の鋼材の段階で形成しておいてもよいし、鋼床版を作った後に床版面に対して形成してもよい。
この摩擦付加材層10は、形鋼1の上面1aにプライマー8(プライマー層ともいう)を塗布した後で、その上に形成してある。プライマー層8は、形鋼1に対する摩擦付加材層10の接着性の改善、摩擦付加材層10を形成する表面の安定化、形鋼1の表面の防食化、形鋼1と摩擦付加材層10との間の粘着性の付与、摩擦付加材層10に使用する固着剤の劣化防止などの機能を付与する目的で塗布した下塗り層である。
摩擦付加材層10の材料としては、滑り防止のための骨材として、pH8〜13.5、水膨張率2.0%以下の粒状(スラグを散布する方式の場合には、850μm以下の径のものが望ましく、また、スラグと樹脂とを事前に混合する場合には、細骨材(10mm網ふるいを全てとおり、5mm網ふるいを質量で85%以上通る骨材)を用いるのが望ましい。)のスラグ(高炉、製鋼、ゴミ溶融スラグ等のアルカリ性のスラグ)を用い、また、骨材であるスラグを固着するための固着剤として、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリルウレタン樹脂等のポリマーを用いている。ここでのポリマーの概念の中には、合成ゴム、天然ゴムも含まれている。
この実施形態の場合、摩擦付加材層10が、形鋼1の上面1aにプライマー層8を介して形成された下側摩擦付加材層11と、その上に積層された上側摩擦付加材層12とからなる。下側摩擦付加材層11は、前記スラグとポリマーを所定の割合(体積割合で、50:50〜60:40、好ましくは、55:45の割合)で混合したものを所定の厚みで塗布して形成した層である。
なお、ポリマーの塗布層13の上にスラグを散布した散布層14を形成した2層構造の層の場合、スラグとポリマーの割合は、体積割合で55:45〜75:25、好ましくは、65:35とする。
また、上側摩擦付加材層12は、ポリマーの塗布層13の上に、ポリマーが固化する前にスラグの散布層14を形成した2層構造の層であり、この上側摩擦付加材層12は、単層で設けられていてもよいが、実施形態では多層で設けられている。
形鋼1の上面1aに摩擦付加材層10形成する手順としては、図2(a)に示すように、まず、形鋼1の上面1aに、プライマーを塗布してプライマー層8を形成する。次に、固着剤としてのポリマーと粒状のスラグとを所定の割合で混合し、(b)に示すように、その混合物(摩擦付加材)を所定厚に塗布して、ポリマーとスラグの混合物による下側摩擦付加材層11を形成する。
そして、下側摩擦付加材層11の樹脂の可使時間の範囲内で、(c)及び(d)に示すように、該下側摩擦付加材層11の上にポリマーを塗布してポリマーの塗布層13を形成し、その上にポリマーが固化する前に粒状のスラグを散布してスラグの散布層14を形成する。このポリマーの塗布層13とスラグの散布層14による2層構造の上側摩擦付加材層12を、(e)に示すように、必要な層数だけ積層する。そして、最後に(f)に示すように、転圧ローラ100で上から転圧し、次いでエポキシ樹脂等によって封孔処理を行なうことで、実施形態の摩擦付加材層10が出来上がる。
この実施形態においては、滑り防止のための骨材としてアルカリ性の粒状のスラグを用いているので、鋼材面の防錆効果を発揮しながら十分な滑り止め性能を発揮することができる。即ち、pH8未満の粒状物を骨材として用いると、鋼材の表面に腐食が生じやすくなるが、pH8以上(好ましくはpH10以上)のスラグを用いることで、鋼材の表面に不動態を形成することが可能となって、耐食性を増すことができる。従って、腐食による摩擦付加材層10の剥がれの問題に対処することができる。
また、水膨張率が2.0%以下のスラグを用いているので、例え、水気の多い箇所で使用したとしても十分な強度を有し、十分な耐久性が得られる。
なお、水膨張率が2.0%を超えるスラグの場合には、水気の多い箇所で使用した場合、スラグが水を含むことにより膨張し、所定の強度が得られなくなるおそれがでてくる。
また、プライマー層8を介して摩擦付加材層10を形成しているので、鋼材面に対する摩擦付加材層10の接着性を向上させることができて、摩擦付加材層10の剥がれを防止し、時間の経過による摩擦係数の低下を抑制することができて、高い付着耐久性を発揮することができる。
また、この実施形態では、下側摩擦付加材層11と上側摩擦付加材層12の層構造を異ならせており、下側摩擦付加材層11を、ポリマーとスラグの混合物を塗布した層で構成し、上側摩擦付加材層12を、ポリマーの塗布層13の上にスラグを散布した散布層14を形成した2層構造の層で構成しているので、容易な施工性と経年使用による摩擦係数の低下の抑制を図ることができる。
また、上記のように摩擦付加材層10を形成した床版用の鋼材で橋梁等の鋼床版を構成することによって、鋼材面の防錆と摩擦付加材層の耐久性を確保しながら高い滑り止め効果を発揮した床版を得ることができる。
なお、摩擦付加材層10を形成する形鋼1の上面1aを、予めブラスト等により素地調整することで、プライマー(プライマー層8)の接着性をより向上させることができる。
また、乾燥させたスラグ(例えば、絶乾状態のスラグ)を使用することで、ポリマーの発泡を抑制することができるので、摩擦付加材層10の品質を高めることができる。また、予め、樹脂やプライマーでコーティングしたスラグを用いることで、ポリマーとの付着性を良くすることができる。
また、鋼床版を構成した際に孔や開口がない場合は、形鋼1のフランジに排水孔3を付加することで、摩擦付加材層10の上面への水の滞留を防止することができるので、耐スリップ性を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上記実施形態では、摩擦付加材層10を、下側摩擦付加材層11と上側摩擦付加材層12の複合層として構成した場合を示したが、摩擦付加材層10を、下側摩擦付加材層11である「固着剤としてのポリマーと粒状のスラグとを混合した摩擦付加材を塗布した層」のみで構成してもよい。そうした場合は、摩擦付加材層10(下側摩擦付加材層11)に粒状のスラグがポリマー内部に均等に分散している状態になるので、経年使用による摩擦係数の低下が抑えられる。また、スラグとポリマーの混合物を形鋼の上面に塗布するだけでよいので、製作が簡単にできる。
また、摩擦付加材層10を、上側摩擦付加材層12である「ポリマーの塗布層13とスラグの散布層14とを順に重ねて形成した2層構造の層を単層あるいは多層に形成したもの」のみで構成してもよい。そうした場合は、粒状のスラグがポリマー内部に層状に積層することになるので、経年使用による摩擦係数の低下が抑えられる。特に、最後に転圧ローラで転圧することにより、粒状のスラグをポリマーの内部に食い込ませることができるので、一層の耐摩耗性低下の抑制効果を発揮することができる。
本発明の効果を確認すべく行った確認実験の結果を示す。本実施形態で説明した図1に示す床版用の鋼材を用いて動摩擦係数を調べた。具体的には、形鋼1上に、プライマー8を介して、下側摩擦付加材層11上にポリマーの塗布層13及びスラグの散布層14を形成した摩擦付加材層10を用いた。摩擦付加材層10の厚さは3.2mmであった。
プライマー8としてはポリウレタン樹脂用のものを用いた。ポリマーの塗布層13及びスラグの散布層14のスラグとポリマーの割合は、体積割合で65:35とした。なお、この値は、スラグの実績率、つまり転圧後の割合を基に算出した。ポリマーはポリウレタン樹脂を用いた。スラグは、高炉水砕スラグであって、比重が2.6〜2.8、水膨張率が1.5%以下、塩基度(CaO/SiO)が1.94、粒径が850μm以下、pHが11.5(純水に浸漬して検査)のものを用いた。
そして、移動体の速度を変えながらそのときの床版用の鋼材の動摩擦係数を調べた。確認実験は2度行なった。動摩擦係数の測定は、動摩擦係数測定器(ASTM:E−19111−98 日邦産業株式会社)を用いた。
その結果を図3に示す。
この図からわかるように、本発明に係る床版用の鋼材では、1度及び2度の実験ともに、移動体の速度が70km/h以下であれば、0.4以上の動摩擦係数が得られることが確認された。
なお、比較のために、摩擦付加材層10を有さず形鋼の表面が露出したものについても同様な実験をおこなった。動摩擦係数は、0.05以下であった。
また、摩擦係数に関連する他の実験として、500mm×500mmの鋼板上に滑り止め処理を行い、この滑り止め処理を行なった部分に対して、ワイヤーブラシ(空転時の回転数170〜200回転/分)を取り付けたポリシャーによって研磨を行なった。研磨された部分に対し、BPN値(滑りにくさの目安を表すものであって、ASTM E303という試験方法で測定した値:すべり抵抗値ともいう)及び動摩擦係数を測定した。
本発明の滑り止め処理としては2通り行なった。そのうちの一つである本発明品1は、上記高炉水砕スラグとポリウレタン樹脂を事前に混合し、この混合物を上記鋼板上に塗布したものである。また、本発明品2は、鋼板にポリウレタン樹脂を塗布した後に、その上から上記高炉水砕スラグを散布したものである。
また、比較のため、従来用いられている摩擦付加材を用いて処理したものを4通り用意した。その一つである比較品1は、鋼板にモース硬度9以上の酸化アルミニウム結晶粒子を低弾性率のエポキシ樹脂および耐摩耗性のあるエポキシ樹脂を主体とした樹脂により接着したものである。また、比較品2は鋼板にステンレス金属を溶射したものである。比較品3は鋼板にエポキシ樹脂を塗布し、その上からけい砂を散布したものである。比較品4は鋼板上にアスファルト舗装を施したものである。
Figure 2014118719
表1(a)は、研磨前と、ポリシャーにより所定時間研磨を行なった後の、BPN値及び動摩擦係数の一般的に許容される値を示す。表1(a)から、ポリシャーにより15分間研磨を行なった後のBPN値は40以上が許容値であり、動摩擦係数は0.3以上が許容値であることがわかる。
この実験では、ポリシャーにより15分間研磨を行なった後のBPN値及び動摩擦係数を調べた。その値を表1(b)に示す。
表1(b)からわかるように、本発明品1ではBPN値が60であり、動摩擦係数が0.41であった。また、本発明品2ではBPN値が69であり、動摩擦係数が0.43であった。本発明品1,2の何れも、BPN値及び動摩擦係数の許容値を満足していることがわかった。
また、本実施形態で説明した図1に示す床版用の鋼材の、スラグとポリマーを予め混合した摩擦付加材層(下側摩擦付加材層11)について、スラグとポリマーの体積比を種々変えて、そのときの表面の性状を観察した。
プライマー8としてはポリウレタン樹脂用のものを用いた。また、ポリマーはポリウレタン樹脂を用いた。スラグは、高炉水砕スラグであって、比重が2.5〜2.6、水膨張率が1.0%以下、粒径が5mm以下、pHが11.5のものを用いた。
その結果を表2に示す。
Figure 2014118719
スラグとポリマーとの比が0:100〜40:60の範囲であると、摩擦付加材層の表面の性状は凹凸がなくフラットな状態であり、所望の動摩擦係数(0.4以上)が得難い。また、スラグとポリマーとの比が50:50〜60:40の範囲であると、摩擦付加材層の表面の性状はざらつきがありかつスラグとポリマーの密着性が高い。一方、スラグとポリマーとの比が70:30であると、摩擦付加材層の表面の性状はざらつきがあるもののスラグとポリマーの密着性が低く、耐摩耗性に乏しい。
これらの結果から、スラグとポリマーを混合させてなる摩擦付加材層は、スラグとポリマーとの比が50:50〜60:40の範囲であると好ましいことがわかった。
なお、事前にポリマーを塗布し、その上からスラグを散布する、いわゆる散布式の場合には、上述したようにスラグとポリマーの割合は、体積割合で55:45〜75:25の範囲とするのが好ましく、60:40〜70:30の範囲とするのがより好ましい。散布式の場合、事前にスラグをポリマーに混合する形式のものに比べ、スラグ混合量を多くすることができ、また、摩擦抵抗値を若干上げることも可能である。
また、上記発明品1,2と上記比較品1,2,3について、摩擦付加材の衝撃試験を行なった。試験方法は、JIS K5600−5−3:1999に基づき行なった。撃ち型の先端直径は3/16インチのものを用い、痕が鋼板に達したときの落下高さと錘の重さより衝撃力を算出した。
その結果を表3に示す。
Figure 2014118719
表3から、本発明品1,2の耐衝撃性は、従来品である比較品1,2,3と同程度であることがわかった。
次に、本発明品1,2と前記比較品1、3について摩擦付加材の基板(例えば鋼板)への密着測定試験を行なった。
その結果を表4に示す。
Figure 2014118719
表4において、摩擦付加材のpHとは、摩擦付加材を純水に1ヶ月浸漬させ、その溶液のpHを測定した値である。また、塗膜下鋼材面のpHとは、40℃の5%の塩水に3ヶ月浸漬させた後、鋼板の界面から摩擦付加材を剥がし、鋼板の表面のpHを測定した値である。また、ここでいう浸漬試験とは、40℃の5%の塩水に3ヶ月浸漬させる試験をいう。
表4から明らかなように、本発明品1,2のいずれも、浸漬前後において摩擦付加材の付着強度が2.6Mpaあるいは、2.7Mpaの値を示しており、一般的に必要とされる付着力の値である2.0Mpaより高い値であった。したがって、本発明品では、付着強度の面で何ら問題がないことがわかった。
なお、本発明品1,2において、密着測定試験での破断は、何れもポリウレタン樹脂層の内部で行なわれており、ポリウレタン樹脂の鋼板への付着強度が、ポリウレタン樹脂自体の強度より大であることがわかった。
図4は、摩擦付加材の密着測定試験において、浸漬試験前と浸漬試験後の付着強度を表したものである。
この図からわかるように、比較品1、3では、浸漬試験後の摩擦付加材の鋼板への付着力が、浸漬試験前の同付着力に対して大きく低下しているのに対し、本発明品1,2では、浸漬試験前と浸漬試験後で、摩擦付加材の鋼板への付着力がほぼ同じ値を示している。つまり、この結果から、アルカリによるスラグ付着力の低下が見られないことが確認できた。
また、上記発明品1、2と比較品1、3について腐食試験を行なった。試験方法は、40℃の5%の塩水に3ヶ月浸漬させた後、摩擦付加材の鋼板への付着部分の腐食状況を調べた。
その結果を表5に示す。
Figure 2014118719
表5から明らかなように、比較品1、3では、上記した状況下で、摩擦付加材の鋼板への付着界面で腐食された箇所が見られたのに対し、本発明品1、2では、いずれも腐食が見られず、耐腐食性に優れていることがわかった。
1 形鋼
1a 上面
10 摩擦付加材層
11 下側摩擦付加材層
12 上側摩擦付加材層
13 ポリマーの塗布層
14 スラグの散布層

Claims (8)

  1. 橋梁などの床版として使用する形鋼の上面に、プライマー層を介して、滑り防止のための骨材として、pH8〜13.5、水膨張率2.0%以下の粒状のスラグを用い、且つ、前記骨材を固着するための固着剤としてポリマーを用いた摩擦付加材層を形成したことを特徴とする床版用の鋼材。
  2. 前記摩擦付加材層が、前記ポリマーの層を形成した上に該ポリマーが固化する前に前記スラグの散布層を形成した2層構造のものであり、この摩擦付加材層が、前記形鋼の上面に単層または多層に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の床版用の鋼材。
  3. 前記摩擦付加材層が、前記ポリマーと前記スラグとの混合物を塗布した層により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の床版用の鋼材。
  4. 前記摩擦付加材層が、前記形鋼の上面にプライマー層を介して形成された下側摩擦付加材層と、その上に積層された上側摩擦付加材層とからなり、
    前記下側摩擦付加材層として、前記ポリマーと前記スラグとの混合物を塗布した層が設けられ、
    前記上側摩擦付加材層として、前記ポリマーの層を形成した上に該ポリマーが固化する前に前記スラグの散布層を形成した2層構造の層が設けられており、この上側摩擦付加材層が、単層または多層に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の床版用の鋼材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の床版用の鋼材によって構成されていることを特徴とする橋梁等の鋼床版。
  6. 滑り防止のための骨材として、pH8〜13.5、水膨張率2.0%以下の粒状のスラグを用意し、橋梁などの鋼床版を構成する形鋼の上面に、プライマー層を形成し、その上に、固着剤としてのポリマーの塗布層と前記粒状のスラグの散布層とを順に重ねて形成し、これらポリマーの塗布層とスラグの散布層よりなる2層構造の摩擦付加材層を単層または多層に形成した上で、最後に転圧することを特徴とする鋼床版の滑り止め施工方法。
  7. 滑り防止のための骨材として、pH8〜13.5、水膨張率2.0%以下の粒状のスラグを用意し、橋梁などの鋼床版を構成する形鋼の上面に、プライマー層を形成し、その上に、固着剤としてのポリマーと前記粒状のスラグとを混合した摩擦付加材の塗布層を形成し、その上を転圧することを特徴とする鋼床版の滑り止め施工方法。
  8. 滑り防止のための骨材として、pH8〜13.5、水膨張率2.0%以下の粒状のスラグを用意し、橋梁などの鋼床版の構成する形鋼の上面に、プライマー層を形成し、その上に、固着剤としてのポリマーと前記粒状のスラグとを混合した摩擦付加材の塗布層を形成し、その上に、前記ポリマーの塗布層と前記スラグの散布層とを順に重ねて形成し、これらポリマーの塗布層とスラグの散布層よりなる2層構造の摩擦付加材層を単層または多層に形成した上で、最後に転圧することを特徴とする鋼床版の滑り止め施工方法。
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WO2020258631A1 (zh) * 2019-06-25 2020-12-30 山东省路桥集团有限公司 水泥混凝土桥面双层ac沥青混合料铺装结构及铺装方法

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