JP2014099272A - エレクトロルミネセンス素子とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高電界を印加せずとも、発光輝度と発光効率を共に向上させることが可能なEL素子を提供する。
【解決手段】EL素子1は、第1の電極層10と発光体層30と第2の電極層40とを順次備える。EL素子1は、第1の電極層10と発光体層30との間に、被陽極酸化金属体の少なくとも一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体からなり、発光体層30の第1の電極層10側の面30Sに対して交差方向に延びた複数の針状導電体22と、複数の針状導電体22の間を絶縁する絶縁体21とを含む針状導電体層20を備える。EL素子1の製造においては、陽極酸化前の表面の算術平均粗さRaが200nm以下である被陽極酸化金属体を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、エレクトロルミネセンス素子とその製造方法に関するものである。
無機エレクトロルミネセンス(以降、「EL」と略記する場合がある。)素子は、大面積化が可能である、長寿命であるなどの特徴を持つ自発光素子である。
従来、無機EL素子として、薄膜型無機EL素子と分散型無機EL素子とが知られている。
薄膜型無機EL素子は、透光性を有する絶縁性基板上に、透光性を有する下部電極層、発光体層、及び上部電極層が順次積層された素子である(特許文献1の図4参照)。
下部電極層と発光体層との間、及び/又は、発光体層と上部電極層との間に、絶縁体層が設けられる場合がある。
薄膜型無機EL素子において、発光体層材料としては、母体化合物に少なくとも1種の発光中心元素が添加されたものが好ましく用いられる。
母体化合物としては、ZnS、SrS、及びCaS等のII−VI族二元化合物、並びにCaGa、SrGaS、及びBaAl等のII−III−VI族三元化合物等が知られている。また、発光中心元素としては、Mn、Cu、Au、及び希土類等の金属元素が挙げられる。
発光体層材料としては例えば、橙色の発光色を示すZnS:Mn、緑色の発光色を示すZnS:Tb、及び青色の発光色を示すBaAl:Eu等がある(特許文献1の段落0004参照)。
電界中で、発光体層内を流れる電子が発光中心元素に衝突すると、発光中心元素が励起されて発光を示す。電子の衝突エネルギーが高い程、発光中心元素の励起が起こりやすいため、高電界になることで高い発光輝度が得られる。例えば、ZnS:Mnでは1×10V/cm以上の電界で励起が起き、急激に発光輝度が上昇する。
一方、分散型無機EL素子は、フッ素系樹脂あるいはシアノ基含有樹脂等の高誘電性樹脂からなるバインダ中に蛍光体粒子を分散させた発光体層と、この発光体層を挟持する一対の電極板とを備える素子である(特許文献2の請求項7参照)。通常、分散型無機EL素子は、絶縁破壊を防ぐために高誘電性樹脂中にチタン酸バリウムのような誘電体物質を分散させた誘電体層をさらに備える。
特許文献2には、硫化亜鉛(ZnS)を母体化合物とし、Cu等の付活剤及びCl等の共付活剤が添加されたEL蛍光体粉末、及びこれを用いたEL素子が開示されている(請求項1)。
付活剤としてCuを用いる場合、ZnS結晶内に固溶されなかった余剰のCuが、積層欠陥の隙間に析出し、針状導電体を形成する。この針状導電体を含む蛍光体粒子に交流電圧が印加されると、針状導電体の先端部に電界が集中し、発光に寄与する電流が集中的に流れることにより、1×10V/cm程度の比較的低電界でもEL発光が得られる(非特許文献1参照)。針状導電体が電極面に対して垂直であるほど、電界が集中しやすいため、高発光輝度が得られやすい。針状導電体が析出する(111)結晶面を配向させることで、電極面に対して垂直配向した針状導電体が増加し、電界集中が起こりやすくなり、発光輝度が向上する(特許文献2の段落0005参照)。
特開2008−251336号公報(特許4928329号公報) 特開2004−131583号公報
J. Electrochem. Soc., Vol.110, No.7, 733-748 (1963)
特許文献1等に記載の従来の薄膜型無機EL素子においては、発光輝度及び発光効率等の発光特性の改良が試みられている。しかしながら、高発光輝度を得るためには高電界が必要であり、発光に寄与せず熱となる電力が多く、発光効率が低下する傾向がある。
一方、特許文献2等に記載の従来の分散型無機EL素子においては、Cu等の針状導電体の先端部付近で集中電界が発生することで、比較的低電界で高発光輝度が得られる。しかしながら、発光体層が蛍光体粒子とバインダとを含むため、発光体層に印加された電界は蛍光体粒子とバインダとの両方に分配される。その結果、バインダにより消費される電力が大きく、発光効率が低下する傾向がある。また、蛍光体粒子内のCu等の針状導電体は結晶面内で多方向(ランダム方向)に析出することから、電極面に対して垂直配向している針状導電体の割合が少なく、電界が集中しにくい。
以上の理由から、従来の薄膜型無機EL素子と分散型無機EL素子は共に、発光輝度及び発光効率を充分に向上することは困難である。
上記は特に無機EL素子における課題であるが、有機EL素子でも発光輝度及び発光効率を充分に向上できることが好ましい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高電界を印加せずとも、発光輝度と発光効率を共に向上させることが可能なEL素子とその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明のエレクトロルミネセンス(EL)素子の製造方法は、
第1の電極層と発光体層と透光性を有する第2の電極層とを順次備え、
さらに、
前記第1の電極層と前記発光体層との間に、
被陽極酸化金属体の少なくとも一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体からなり、前記発光体層側の面において開口し、当該発光体層側の面に対して交差方向に延びた複数の針状細孔を有する細孔構造体からなる絶縁体と、前記複数の針状細孔の内部に形成された複数の針状導電体とを含む針状導電体層を備えたエレクトロルミネセンス素子の製造方法であって、
陽極酸化前の表面の算術平均粗さRaが200nm以下である前記被陽極酸化金属体を用意する工程(A)と、
前記被陽極酸化金属体の少なくとも一部を陽極酸化して前記金属酸化物体を生成する工程(B)と、
前記金属酸化物体の前記複数の針状細孔の内部に前記複数の針状導電体を形成して、前記針状導電体層を得る工程(C)とを有するエレクトロルミネセンス素子の製造方法。
本発明のエレクトロルミネセンス(EL)素子は、
第1の電極層と発光体層と透光性を有する第2の電極層とを順次備えたエレクトロルミネセンス素子であって、
さらに、
前記第1の電極層と前記発光体層との間に、
被陽極酸化金属体の少なくとも一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体からなり、前記発光体層側の面において開口し、当該発光体層側の面に対して交差方向に延びた複数の針状細孔を有する細孔構造体からなる絶縁体と、前記複数の針状細孔の内部に形成された複数の針状導電体とを含む針状導電体層を備え、
陽極酸化前の表面の算術平均粗さRaが200nm以下である前記被陽極酸化金属体を用いて製造されたものである。
本明細書において、「針状」とは長さ/直径が2以上の形状を指す。
本明細書において、「表面の算術平均粗さRa」は、JIS B 0601(2001)に準拠の方法にて測定するものとする。
本発明によれば、高電界を印加せずとも、発光輝度と発光効率を共に向上させることが可能なEL素子とその製造方法を提供することができる。
本発明に係る一実施形態のEL素子の全体模式断面図である。 細孔構造体の製造工程を示す斜視図である。 細孔構造体の製造工程を示す斜視図である。 左図は、針状導電体層の表面研磨を実施しなかった場合のEL素子を示し、右図は、針状導電体層の表面研磨を実施した場合のEL素子の様子を示す模式断面図である。 図1のEL素子の設計変更例を示す図である。 図1のEL素子の設計変更例を示す図である。 市販のAl板の光学顕微鏡像の例である。 被陽極酸化金属体の縦方向のRaと横方向のRaの測定例を示すグラフである。 試験例1で得られたEL素子のSEM像である。 試験例2で得られたEL素子のSEM像である。
「EL素子」
図面を参照して、本発明に係る一実施形態のEL素子の構造とその製造方法について説明する。
図1は、本実施形態のEL素子の全体模式断面図である。
図2A〜図2Bは、細孔構造体の製造工程を示す模式斜視図である。
図3の左図は、針状導電体層の表面研磨を実施しなかった場合のEL素子を示し、図3の右図は、針状導電体層の表面研磨を実施した場合のEL素子(本実施形態のEL素子)の様子を示す模式断面図である。
図4及び図5は、設計変更例を示す図である。
図1、図4及び図5において、同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。
図1に示すように、本実施形態のEL素子1は、下部電極層(第1の電極層)10と発光体層30と透光性を有する上部電極層(第2の電極層)40とを順次備えている。
EL素子1は、さらに、下部電極層10と発光体層30との間に、発光体層30の下部電極層10側の面30Sに対して交差方向に延びた複数の針状導電体22と、複数の針状導電体22の間を絶縁する絶縁体とを含む針状導電体層20を備えている。
本実施形態において、針状導電体層20をなす絶縁体は、発光体層30側の面において開口し、発光体層30側の面に対して交差方向に延びた複数の針状細孔21Pを有する細孔構造体21である。そして、複数の針状細孔21Pの内部に複数の針状導電体22が形成されている。
本実施形態において、細孔構造体21は被陽極酸化金属体の一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体であり、下部電極層10は陽極酸化後に残る被陽極酸化金属体の残部である。
被陽極酸化金属体の主成分としては特に制限なく、Al、Ti、Ta、Hf、Zr、Si、In、及びZn等が挙げられる。被陽極酸化金属体はこれらを1種又は複数種含むことができる。
被陽極酸化金属体の主成分としては、Al等が特に好ましい。
本明細書において、「被陽極酸化金属体の主成分」は99質量%以上の成分と定義する。
図2A〜図2Bを参照して、細孔構造体21の製造方法と構造について説明する。
図2A及び図2Bは模式斜視図である。
はじめに図2Aに示すように、Al等の被陽極酸化金属を主成分とする被陽極酸化金属体Mを用意する。
被陽極酸化金属体Mの形状は制限されず、板状等が挙げられる。また、支持体の上に被陽極酸化金属体Mが層状に成膜されたものなど、支持体付きの形態で用いることも差し支えない。
図2Bに示すように、被陽極酸化金属体Mの一部を陽極酸化すると、金属酸化物からなる細孔構造体21が生成される。例えば、被陽極酸化金属体MがAlを主成分とする場合、Alを主成分とする細孔構造体21が生成される。
通常、細孔構造体21は金属酸化物層であり、被陽極酸化金属体Mの残部に対して、生成される細孔構造体21は薄いが、図面では、視認しやすくするため、細孔構造体21を大きく図示してある。
陽極酸化は例えば、被陽極酸化金属体Mを陽極とし、カーボンあるいはアルミニウム等を陰極(対向電極)とし、これらを陽極酸化用電解液に浸漬させ、陽極と陰極との間に電圧を印加することで実施できる。
電解液としては制限されず、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、及びアミドスルホン酸等の酸を、1種又は2種以上含む酸性電解液が好ましく用いられる。
被陽極酸化金属体Mを陽極酸化すると、図2Bに示すように、表面(図示上面)からこの面に対して略垂直方向に酸化反応が進行し、金属酸化物体が生成される。
陽極酸化により生成される金属酸化物体は、略正六角柱状の複数の柱状体21Cが互いに隙間なく隣接して配列した構造を有するものとなる。各柱状体21Cの略中心部には、表面から深さ方向に延びた針状細孔21Pが開孔される。針状細孔21Pの底面と金属酸化物体の底面との間には、針状細孔21Pのないバリア層21Bが生成される。
図示するように、針状細孔21Pは被陽極酸化金属体Mの表面に対して概ね垂直方向に開孔されるが、多少斜め方向に開孔される場合もある。
本実施形態では、陽極酸化後に残る被陽極酸化金属体Mの残部が下部電極層10となる。
本実施形態においては、金属酸化物体からなる細孔構造体21に開孔された複数の針状細孔21Pの内部に、複数の針状導電体22が形成されている。
本実施形態のEL素子1の製造方法は、
陽極酸化前の表面の算術平均粗さRaが200nm以下である被陽極酸化金属体Mを用意する工程(A)と、
被陽極酸化金属体Mの少なくとも一部を陽極酸化して金属酸化物体を生成する工程(B)と、
金属酸化物体の複数の針状細孔21Pの内部に複数の針状導電体22を形成して、針状導電体層20を得る工程(C)とを有する。
蒸着法等により成膜される発光体層30は、熱処理により発光中心の活性化が行われるが、その温度が高い程、発光中心が活性化し、発光性能が向上する傾向がある。発光体層30の発光中心を活性化する際の熱処理時に、下部電極層10と針状導電体層20との間の熱膨張係数の差に起因して、これらの間に応力が発生する。
一般に、Al等の市販の被陽極酸化金属体Mは圧延体であり、圧延方向に延びた多数の筋(圧延筋)を有している(図6を参照)。被陽極酸化金属体Mでは圧延方向に対して交差方向に応力が集中しやすいため、針状導電体層20にクラックが発生する恐れがある。
本発明者は、陽極酸化前の表面の算術平均粗さRaが200nm以下である被陽極酸化金属体Mを用いることで、陽極酸化により得られる金属酸化物体において特定方向に応力がかかることが抑制され、クラックの発生を抑制できることを見出した。その結果、発光体層30の発光中心を活性化する際の熱処理時に、針状導電体層20に素子耐電圧を向上できることを見出した。
なお、被陽極酸化金属体Mが圧延体である場合、圧延方向に対して平行方向(縦方向)と、圧延方向に対して垂直方向(横方向)のいずれの方向のRaも200nm以下とする。
通常、横方向のRa>縦方向のRaであるので、横方向のRaを200nm以下にすればよい。
市販のAl等の被陽極酸化金属体Mでは、通常、圧延方向に対して平行方向(縦方向)と、圧延方向に対して垂直方向(横方向)のいずれの方向のRaも200nm超であるので、市販の被陽極酸化金属体Mの表面を研磨して、縦方向と横方向のいずれの方向のRaも200nm以下としてから、陽極酸化を実施することが好ましい。
表面研磨は、公知方法により実施できる。
例えば、Al等の被陽極酸化金属体Mをリン酸、硝酸あるいはこれらの組み合わせを含む酸性液に浸漬する化学研磨が好ましい。
市販のAl板の光学顕微鏡写真の例を図6に示す。この図には、多数の圧延筋と応力の方向が図示されている。
図6中の応力の方向は模式的なものであり、実際の応力の方向は圧延筋の方向に対して垂直方向等の交差方向である。
市販のAl板とその表面研磨物について、縦方向のRaと横方向のRaの測定例を図7に示す。
図中、Raの最も大きい右上のデータが表面研磨なしのデータであり、他の2点のデータが表面研磨ありのデータである。
本発明者は、陽極酸化前の表面の算術平均粗さRaが200nm以下である被陽極酸化金属体Mを用いることで、EL素子1の発光輝度が向上することも見出している。
これは、針状導電体層20の表面粗さの低減につながり、面内の電界刺激が一様になるためと考えられる。
本実施形態のEL素子1において、針状導電体層20に電圧が印加されると、針状導電体22が高誘電率であるため、針状導電体22の発光体層30側の先端部の電荷密度が高くなる。
以降、特に明記しない限り、針状導電体22の先端部は、「針状導電体22の発光体層30側の先端部」を意味するものとする。
電荷に近いほど電気力線は高密度になり、電気力線の密度は電界強度に比例するため、針状導電体22の先端部付近は高電界強度となる。つまり、針状導電体22の先端部付近で電界集中が起こる。
針状導電体22が電圧印加方向に対して長いほど、先端部の電荷密度が高くなり、先端部付近の電界強度が増大する傾向がある。また、針状導電体22の直径が小さいほど、先端部の電荷密度が高くなり、先端部付近の電界強度が増大する傾向がある。
「背景技術」の項に挙げた非特許文献1より、集中電界強度は以下の式で表されると考えられる。
(集中電界強度)=(係数)×(針状導電体の長さ/針状導電体の断面積)×(平均印加電界)
本実施形態において、針状細孔21P及び針状導電体22の断面積は、およそ細孔径の2乗に比例する。また、発光輝度は集中電界強度の2乗に比例するため、細孔長の4乗に比例し、細孔径の4乗に反比例する。すなわち、細孔長が長く、細孔径が小さいほど、集中電界強度が増加し、発光強度が増加する傾向がある。
なお、針状細孔21P及び針状導電体22の断面形状が真円からずれる場合、その直径は、同等の断面積を有する真円の直径により定義するものとする。
複数の針状細孔21Pの内部への複数の針状導電体22の形成方法は特に制限されず、例えば、下部電極層10を電極とした電解メッキ等の電解析出が好ましい。
針状導電体22の組成は特に制限されず、導電性が高い程、集中電界強度が高くなり、好ましい。
針状導電体22は、Ag、Au、Cd、Co、Cu、Fe、Ni、Sn、及びZnからなる群より選択された少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。
導電性及び封孔のしやすさを考慮すれば、針状導電体22はCu及び/又はNiを含むことが好ましい。
発光体層30への拡散抑止を考慮すれば、針状導電体22はAuを含むことが好ましい。
「課題を解決するための手段」の項で定義したように、本明細書において、「針状」とは長さ/直径が2以上の形状を指す。
従来の分散型無機EL素子で用いられる蛍光体粒子内の針状導電体の長さは、粒子径にもよるが通常1〜20μmの範囲内であり、針状導電体の直径は通常0.01〜0.5μmである。本実施形態における針状導電体22についても、同様の長さと直径が好ましい。
電界集中効果が高くなることから、針状導電体22の長さは1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることが特に好ましい。
電界集中効果が高くなることから、針状導電体22の直径は0.5μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることが特に好ましい。
形成容易性を考慮すれば、針状導電体22の直径は0.02μm以上であることが好ましい。
電界集中効果が高くなることから、針状導電体22の長さ/直径は100以上であることが好ましい。
本実施形態において、複数の針状導電体22は、複数の針状細孔21Pの内部に形成されている。
針状導電体22の好ましいサイズを考慮すれば、針状細孔21Pの長さは1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることが特に好ましい。
針状細孔21Pの直径は0.5μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることが特に好ましい。針状細孔21Pの直径は0.02μm以上であることが好ましい。
針状細孔21Pの長さ/直径は100以上であることが好ましい。
図面上はすべての針状細孔21Pの内部に、針状導電体22が完全に充填され、針状導電体22の先端部と発光体層30とは互いに密着している場合について図示してあるが、個々の針状細孔21Pの内部における針状導電体22の充填率は100%でなくてもよい。
つまり、針状導電体22の先端部と発光体層30とは互いに密着している必要は無い。ただし、集中電界強度が高くなることから、針状導電体22の先端部と発光体層30とは近いほど好ましい。この点を考慮すれば、個々の針状細孔21Pの内部における針状導電体22の充填率は高いほど好ましい。
本明細書において、個々の針状細孔21Pの内部における針状導電体22の充填率は、針状導電体22の長さ/針状細孔21Pの長さ×100(%)により定義するものとする
個々の針状細孔21Pの内部における針状導電体22の充填率は、70〜100%が好ましい。
個々の針状細孔21Pの内部における針状導電体22の充填率にばらつきがあってもよいが、この場合、針状細孔21Pと発光体層30との離間距離にばらつきが生じ、電界集中効果にばらつきが生じることになる。発光の面内均一性を考慮すれば、充填率のばらつきは小さい方が好ましい。
針状細孔21Pの長さは、好ましい針状導電体22の長さと、針状細孔21Pの内部における針状導電体22の充填率とを考慮して、決定される。
本実施形態のEL素子1の製造方法は、
針状導電体層20の表面を研磨して、表面の算術平均粗さRaを小さくする工程(D)を有することが好ましい。
工程(D)においては、針状導電体層20の表面の算術平均粗さRaを10nm以下とすることが好ましい。
針状導電体層20の発光体層30側の表面の算術平均粗さRaを小さく、好ましくは10nm以下とすることで、複数の針状細孔21Pの内部における複数の針状導電体22の充填率のばらつきを小さくすることができる。
また、針状導電体層20の表面研磨を実施しても、表面に研磨傷等があれば、表面粗さが大きくなり、面内の電界刺激が一様でなくなり、発光効率が低下する恐れがある。針状導電体層20の発光体層30側の表面の算術平均粗さRaを小さく、好ましくは10nm以下とすることで、面内の電界刺激を一様にすることができる。
上記作用効果によって、発光の面内均一性を高めることができ、発光効率を高めることができる。
図3の左図は、針状導電体層20の表面研磨を実施しなかった場合のEL素子を示し、図3の右図は、針状導電体層20の表面研磨を実施した場合のEL素子(本実施形態のEL素子1)の様子を示す模式断面図である。
針状導電体22の数密度は高いほど集中電界による発光部分が増加するため、高い発光輝度が得られるし、発光輝度の面内均一性も高くなり、好ましい。しかしながら、互いに隣接する針状導電体22間の距離が近くなりすぎると、それぞれの針状導電体22に集中する電気力線が低密度になり、電界強度が低下する恐れがある。このような電界強度の低下を抑制するには、互いに隣接する針状導電体22の離間距離を0.02μm以上とすることが好ましい。
本実施形態において、針状導電体22の数密度は針状細孔21Pの数密度に相当する。
針状細孔21P及び針状導電体22の数密度は、1個/μm以上であることが好ましい。
針状細孔21P及び針状導電体22の数密度は、400個/μm以下であることが好ましい。
針状細孔21P及び針状導電体22の数密度は、10〜300個/μmであることがより好ましい。
電界集中は、針状導電体22の延びる方向が電圧印加方向に近い程、効果的に発現する。陽極酸化法によれば、電圧印加方向に対して平行又はそれに近い方向に延びる複数の針状細孔21Pが規則正しくアレイ配列した細孔構造体21を、簡易なプロセスで形成できる。陽極酸化法によれば、針状細孔21Pのサイズ(長さと直径)及び数密度の制御がしやすく、大面積化も容易である。陽極酸化法は、低コストな方法である。
陽極酸化法によれば、陽極酸化後に残る被陽極酸化金属体Mの残部を下部電極層10とすることができる。
したがって、下部電極層10と針状導電体層20とを同一プロセスで一体形成することができる。この方法では、下部電極層10と針状導電体層20とを1つの被陽極酸化金属体Mから生成するので、これらの密着性が高く、好ましい。
なお、下部電極層10の組成は、用いた被陽極酸化金属体Mと同一である。
プロセスが簡易になることから、陽極酸化後に残る被陽極酸化金属体Mの残部を導電体10とすることが好ましいが、被陽極酸化金属体Mのすべてを陽極酸化してもよい。
また、図5のEL素子3に示すように、被陽極酸化金属体Mの少なくとも一部を陽極酸化し、あれば被陽極酸化金属体Mの残部と金属酸化物体のバリア層21Bを除去し、複数の針状細孔21Pを貫通孔としてもよい。この場合、バリア層21Bが除去されるので、より高い電界集中効果が得られ、好ましい。
例えば、被陽極酸化金属体Mの残部及びバリア層21Bは、切削等により物理的に除去することができる。
また、被陽極酸化金属体Mの残部及びバリア層21Bは、リン酸等の酸性液に浸漬することでも除去できる。
被陽極酸化金属体Mの残部を残さない場合、別途導電体10を設ける必要がある。
導電体10は、導電性基材でもよいし、導電体膜でもよい。
例えば、バリア層を除去した細孔構造体にAu膜等の導電体膜を形成することができる。この場合、必要に応じて、アルミナ基材等の絶縁性基材と導電体膜付き細孔構造体とを銀ペースト等の接着成分を介して貼り合わせ、熱処理することで、これらを接着することができる。
この後、本実施形態と同様に、好ましくは導電体10を電極とした電解メッキ等の電解析出により、複数の針状細孔21Pの内部に複数の針状導電体22を形成して、針状導電体層20を製造することができる。
発光体層30は電界中で励起されて発光する層である。発光体層30の厚さは、針状導電体22の先端部付近に電界を集中させる点から薄い方が好ましく、具体的には0.05〜2μmの範囲が好ましい。
発光体層30の材料としては特に制限されず、EL素子用の公知の発光体材料を用いることができる。
EL素子1は、平面視にて、異なる波長の光を発光する複数種の発光体層30がアレイ配列されたものであってもよい。
発光体層30の材料としては、ZnS:Mn、ZnS:Tb,F、ZnS:Pr,F、ZnS:Ag,Cl、ZnS:Cu,Cl、Y:Eu、ZnSiO:Eu、SrS:Ce、BaAl:Eu、BaMgAl1017:Eu、MgWO、CaWO、RbVO、及びCsVOなどの無機化合物、あるいはAlq3などの有機化合物が挙げられる。これらは、1種又は複数種を用いることができる。
図4及び図5に示す設計変更例のEL素子2、3に示すように、針状導電体層20と発光体層30との間に、絶縁体層(下部絶縁体層)50を設けてもよい。絶縁体層50は、単層構造でも積層構造でもよい。
絶縁体層50はバリア層として機能し、針状細孔21Pの内部に形成された針状導電体22の成分が発光体層30に拡散し、発光を不活性にすることを抑止できる。
絶縁体層50の材料としては、SiO、Ta、TiO、BaTiO、Alなどの酸化物、Si、AlN、TiNなどの窒化物、SiON、AlONなどの酸窒化物、及びこれらの組合わせ等が挙げられる。
電界集中効果が高くなることから、針状導電体22の先端部と発光体層30とは近いほど好ましいことを述べた。
絶縁体層50の有無に拘わらず、針状導電体22と発光体層30との離間距離は1μm以下であることが好ましい。
絶縁体層50の厚さは、針状導電体22に電界を集中させる点から薄い方が好ましく、具体的には0.2μm以下であることが好ましい。
絶縁体層50の厚みが過小では、バリア層として機能が効果的に得られない。
絶縁体層50の膜厚は、0.05μm以上であることが好ましい。
上記のように、針状導電体層20と発光体層30との間に絶縁体層50を設けてもよいが、針状導電体層20と発光体層30との間に導電体層は設けない。針状導電体層20と発光体層30との間に導電体層は設けると、導電体層が実質的に下部電極層として機能し、複数の針状導電体22による電界集中効果が得られなくなる。
図4及び図5に示す設計変更例のEL素子2、3に示すように、発光体層30と上部電極層40との間に、絶縁体層(上部絶縁体層)60を設けてもよい。絶縁体層60は、単層構造でも積層構造でもよい。
絶縁体層60はキャップ層として機能し、発光体層30の表面における材料の脱着を抑止し、発光体層30の組成を均一にすることができ、発光特性を向上できる。
絶縁体層60の材料としては、SiO、Ta、TiO、BaTiO、及びAlなどの酸化物、Si、AlN、及びTiNなどの窒化物、SiON、及びAlONなどの酸窒化物、及びこれらの組合わせ等が挙げられる。
絶縁体層60の厚さは、針状導電体22に電界を集中させる点から薄い方が好ましく、具体的には0.2μm以下であることが好ましい。
絶縁体層60の厚みが過小では、キャップ層として機能が効果的に得られない。
絶縁体層60の膜厚は、0.05μm以上であることが好ましい。
図4及び図5に示す設計変更例のEL素子2、3では、バリア層として機能する絶縁体層50とキャップ層として機能する絶縁体層60の双方を設ける態様を示してあるが、これら絶縁体層のうち一方のみを設ける構成としてもよい。
上部電極層40の材料は、透光性を有する導電材料であればよく、ITO(インジウム錫酸化物)、FTO(フッ素添加酸化スズ)、SnO、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)、及びCNT(カーボンナノチューブ)等が好ましく用いられる。
発光体層30、上部電極層40、及び絶縁体層50、60の成膜方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
成膜法としては、スパッタリング法、あるいは電子線蒸着法等の真空下での物理的蒸着法、並びに、成膜しようとする層の成分又は前駆体を含む溶液又は分散液を、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、又はスプレー塗工法等により塗布する塗布法等の液相法等が挙げられる。
発光体層30と絶縁体層50、60は、バインダとして非導電性ポリマーを含むものであってもよい。
本実施形態のEL素子1は、下部電極層10と発光体層30との間に、発光体層30の下部電極層10側の面30Sに対して交差方向に延びた複数の針状導電体22と、複数の針状導電体22の間を絶縁する絶縁体(本実施形態では細孔構造体21)とを含む針状導電体層20を備えている。
「発明が解決しようとする課題」の項で述べたように、特許文献1等に記載の従来の薄膜型無機EL素子では、発光輝度及び発光効率等の発光特性改良が試みられている。しかしながら、充分な発光輝度を得るためには高電界が必要であり、発光効率が低下する傾向がある。
本実施形態の構成では、針状導電体22の先端部付近で集中電界が発生することで、比較的低電界でも高い発光輝度が得られる。
「発明が解決しようとする課題」の項で述べたように、特許文献2等に記載の従来の分散型無機EL素子は、針状導電体の先端部付近で高電界が発生することで、比較的低電界で高発光輝度が得られる。しかしながら、発光体層に含まれるバインダにより消費される電力が大きく、発光効率が低下する傾向がある。また、蛍光体粒子内の針状導電体は結晶面内で多方向(ランダム方向)に析出することから、電極面に対して垂直配向している針状導電体の割合が少なく、電界が集中しにくい。
本実施形態では、針状導電体層20にバインダが不要であるため、バインダにより消費される電力による発光効率の低下が生じない。本実施形態ではまた、針状導電体22を電圧印加方向又はそれに近い方向に容易に配向させることができ、電界集中を効果的に起こすことができる。
本実施形態のEL素子1は、陽極酸化前の表面の算術平均粗さRaが200nm以下である被陽極酸化金属体Mを用いて製造されたものである。そのため、陽極酸化により得られる金属酸化物体である細孔構造体21において、特定方向に応力がかかることが抑制され、素子耐電圧が向上されたものとなる。また、針状導電体層20の表面粗さの低減につながり、発光輝度の向上効果も得られる。
本実施形態では、針状導電体層20の発光体層30側の表面の算術平均粗さRaを小さく、好ましくは10nm以下としているので、複数の針状細孔21Pの内部における複数の針状導電体22の充填率のばらつきを小さくすることができ、発光の面内均一性を高め、発光効率を高めることができる。
本実施形態によれば、上記の作用効果が相俟って、高電界を印加せずとも、発光輝度と発光効率を共に向上させることが可能であり、素子耐電圧の高いEL素子1を提供することができる。
本発明は、無機EL素子及び有機EL素子のいずれにも適用可能であり、無機EL素子に好ましく適用できる。
以下に試験例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<試験例1、2>
各例においては、算術平均粗さRaが異なり、その他の条件は同一のアルミニウム板を用意した。いずれの例においても、アルミニウム板は、厚み3mm、サイズ100×100mmとした。
試験例1では、市販のアルミニウム板を40質量%リン酸及び10質量%硝酸を混合した酸性水溶液に60分浸漬する化学研磨により、アルミニウム板の圧延筋を除去した。次に、表面の酸化膜を除去するため、バフ研磨装置(マルトー社製 ダイヤラップ、ML−150P)を用いて機械研磨を実施した。粒度が小さい研磨布(マルトー社製、硬質ポリシングクロスMM414)と液体研磨剤(フジミ社製、コロイダルシリカ、平均粒径70nm)を用いて、表面研磨を10分間実施した。表面研磨後、表面に残留した砥粒を水洗で除去した。
試験例2では、市販のアルミニウム板をそのまま用いた。
アルミニウム板の算術平均粗さRaは接触式段差計(Veeco社製、DEKTAK150)にて測定した。
アルミニウム板の算術平均粗さRaを表1に示す。
用いたアルミニウム板は圧延体であり、圧延方向に対して垂直方向(横方向)のRa>圧延方向に対して平行方向(縦方向)のRaである。
表1のRaは横方向のデータである。
上記アルミニウム板に対して、以下の条件で陽極酸化処理を行い、複数の針状細孔を有するアルミナ層を形成した。
・対向電極(陰極):アルミニウム
・電解液:0.3M硫酸
・浴温:15〜19℃
・電圧:直流40V
・時間:100分
得られたアルミナ層について、走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所社製、S−4800)を用いて表面及び断面を観察した。表面SEM像(80,000倍)において、細孔100個の細孔面積から平均細孔径を求めた。また、同表面SEM像中の細孔個数から細孔密度を求めた。断面SEM像 (10,000倍)において、細孔100個の細孔長から平均細孔長を求めた。
得られたアルミナ層は、複数の針状細孔がほぼ規則正しく開孔しており、平均細孔径0.02μm、平均細孔長8μm、平均細孔密度300個/μmであった。
次に、上記アルミナ層の複数の針状細孔の内部に、次の条件下でNiを電解メッキ析出させて、複数の針状導電体を形成した。
・電解浴:0.3M硫酸ニッケル・6水和物、0.1M硫酸アンモニウム、及び0.5M硼酸の混合液
・浴温:22〜25℃
・pH:4.0〜4.5
・電圧:交流10V(50Hz)
・処理時間:30分
得られた針状導電体層のSEM断面観察を実施したところ、針状細孔の内部における針状導電体の充填率は70〜100%であった。
針状導電体層の形成後に、バフ研磨装置(マルトー社製、ダイヤラップ、ML−150P)にて表面研磨を行い、Niの電解析出時に針状細孔の上部に残った非封孔部分を除去した。
表面研磨は、2回に分けて実施した。粒度が大きい耐水研磨紙(三共理化学社製、平均粒径7.9μm、2000番)と液体研磨剤(マルトー社製、ダイヤモンドスラリー、平均粒径0.5μm)を用いて、1回目の研磨を30分間実施した。その後、粒度が小さい研磨布(マルトー社製、硬質ポリシングクロスMM414)と液体研磨剤(フジミ社製、コロイダルシリカ、平均粒径70nm)を用いて、2回目の研磨を30分間実施した。これら2回の表面研磨後、表面に残留した砥粒を除去するため、0.6質量%リン酸と0.18質量%クロム酸の混酸で洗浄した。
この例では、すべての針状細孔の内部における針状導電体の充填率を100%とした。
表面研磨後の平均細孔長は8μmであった。
次に、窒化ケイ素Siのペレットをターゲットとして、酸素添加スパッタリングにより酸窒化ケイ素SiONを成膜した。蒸着時の真空度は5×10−4Pa以下、基板温度200℃、蒸着速度2nm/minに設定し、膜厚100nmのSiONバリア層を得た。
次に、0.5質量%のMnを添加したZnS粉末を焼結したペレットをターゲットとして、スパッタリングにより発光体層を成膜した。蒸着時の真空度は5×10−4Pa以下、基板温度200℃、蒸着速度20nm/minに設定し、膜厚800nmのZnS:Mn発光体層を得た。
次に、SiONバリア層と同条件で、スパッタリングにより酸窒化ケイ素SiONを成膜し、膜厚100nmのSiONキャップ層を得た。
次に、窒素雰囲気下500℃で1時間の熱処理を行い、発光中心のMnを活性化した。
次に、上記発光体層上にITOをスパッタリング法により100nm厚で成膜し、上部電極層を形成した。
以上のようにして、無機EL素子を得た。
<評価1>
各例において得られたEL素子について、交流電源により周波数1kHzの交流電圧を印加し、電圧200Vにおける発光輝度を評価した。発光輝度は、色彩輝度計(トプコン社製 BM7)にて測定した。なお、試験例2においては160V印加で絶縁破壊により発光が得られなくなったため、電圧160Vにおける発光輝度を評価した。
また、印加電圧を上昇させ、絶縁破壊により発光が得られなくなった電圧を、素子耐電圧として求めた。
評価結果を表1に示す。
表1に示すように、表面の算術平均粗さRaが200nm以下であるアルミニウム板を用いた試験例1では、表面の算術平均粗さRaが200nm超のアルミニウム板を用いた試験例2よりも高輝度で素子耐電圧の高いEL素子が得られた。
<評価2>
各例において得られたEL素子について、上記評価後に、走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社KEYENCE社製、VE−9800)による表面観察を実施した。表面SEM像を図8、図9に示す。
図8に示すように、表面の算術平均粗さRaが200nm以下であるアルミニウム板を用いた試験例1では、素子のクラックは見られなかった。
図9に示すように、表面の算術平均粗さRaが200nm超のアルミニウム板を用いた試験例2では、素子のクラックが見られた。
1〜3 EL素子
10 下部電極層(第1の電極層)
20 針状導電体層
21 細孔構造体
21B バリア層
21C 柱状体
21P 針状細孔
22 針状導電体
30 発光体層
30S 発光体層の下部電極層側の面
40 上部電極層(第2の電極層)
50、60 絶縁体層
M 被陽極酸化金属体

Claims (14)

  1. 第1の電極層と発光体層と透光性を有する第2の電極層とを順次備え、
    さらに、
    前記第1の電極層と前記発光体層との間に、
    被陽極酸化金属体の少なくとも一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体からなり、前記発光体層側の面において開口し、当該発光体層側の面に対して交差方向に延びた複数の針状細孔を有する細孔構造体からなる絶縁体と、前記複数の針状細孔の内部に形成された複数の針状導電体とを含む針状導電体層を備えたエレクトロルミネセンス素子の製造方法であって、
    陽極酸化前の表面の算術平均粗さRaが200nm以下である前記被陽極酸化金属体を用意する工程(A)と、
    前記被陽極酸化金属体の少なくとも一部を陽極酸化して前記金属酸化物体を生成する工程(B)と、
    前記金属酸化物体の前記複数の針状細孔の内部に前記複数の針状導電体を形成して、前記針状導電体層を得る工程(C)とを有するエレクトロルミネセンス素子の製造方法。
  2. さらに、
    前記針状導電体層の表面を研磨して、当該表面の算術平均粗さRaを小さくする工程(D)を有する請求項1に記載のエレクトロルミネセンス素子の製造方法。
  3. 第1の電極層と発光体層と透光性を有する第2の電極層とを順次備えたエレクトロルミネセンス素子であって、
    さらに、
    前記第1の電極層と前記発光体層との間に、
    被陽極酸化金属体の少なくとも一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体からなり、前記発光体層側の面において開口し、当該発光体層側の面に対して交差方向に延びた複数の針状細孔を有する細孔構造体からなる絶縁体と、前記複数の針状細孔の内部に形成された複数の針状導電体とを含む針状導電体層を備え、
    陽極酸化前の表面の算術平均粗さRaが200nm以下である前記被陽極酸化金属体を用いて製造されたエレクトロルミネセンス素子。
  4. 前記針状導電体層と前記発光体層との間に導電体層を備えていない請求項3に記載のエレクトロルミネセンス素子。
  5. 前記細孔構造体は、前記被陽極酸化金属体の一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体であり、
    前記第1の電極層は、陽極酸化後に残る前記被陽極酸化金属体の残部である請求項3又は4に記載のエレクトロルミネセンス素子。
  6. 前記細孔構造体は、前記被陽極酸化金属体の少なくとも一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体のバリア層を除去し、前記複数の針状細孔を貫通孔としたものである請求項3又は4に記載のエレクトロルミネセンス素子。
  7. 前記針状導電体は、Ag、Au、Cd、Co、Cu、Fe、Ni、Sn、及びZnからなる群より選択された少なくとも1種の金属を含む請求項3〜6のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス素子。
  8. 前記針状導電体層における前記針状導電体の数密度が1個/μm以上である請求項3〜7のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス素子。
  9. 前記針状導電体の長さが1μm以上である請求項3〜8のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス素子。
  10. 前記針状導電体の直径が0.5μm以下である請求項3〜9のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス素子。
  11. 前記針状導電体の長さ/直径が100以上である請求項3〜10のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス素子。
  12. 前記針状導電体層と前記発光体層との間に絶縁体層をさらに備えた請求項3〜11のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス素子。
  13. 前記針状導電体と前記発光体層との離間距離が1μm以下である請求項3〜12のいずれかに記載のエレクトロルミネセンス素子。
  14. 前記発光体層と前記第2の電極層との間に絶縁体層をさらに備えた請求項3〜13のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス素子。
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