JP2003113497A - 多孔質構造体及びその製造方法 - Google Patents

多孔質構造体及びその製造方法

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JP2003113497A
JP2003113497A JP2001311136A JP2001311136A JP2003113497A JP 2003113497 A JP2003113497 A JP 2003113497A JP 2001311136 A JP2001311136 A JP 2001311136A JP 2001311136 A JP2001311136 A JP 2001311136A JP 2003113497 A JP2003113497 A JP 2003113497A
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porous
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forming
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Tatsuya Iwasaki
達哉 岩崎
Toru Den
透 田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板上に少なくとも2種類以上の異なる孔間
隔を有する多孔質体を具備したナノ構造体を提供する。 【解決手段】 基板上の2種類以上の部位に多孔質体を
具備するナノ構造体の製造方法において、該ナノ構造体
は、少なくとも第1の多孔質体と、該第1の多孔質体の
孔間隔より小さな孔間隔を有する第2の多孔質体を有
し、該製造方法は、少なくとも、(A1)基板上に第1
および第2のアルミニウムを主とする部位を形成する工
程と、(A2)該第1のアルミニウムを主とする部位を
陽極酸化して第1の多孔質体を形成する工程と、(A
3)該第2のアルミニウムを主とする部位を陽極酸化し
て第2の多孔質体を形成する工程を有するナノ構造体の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多孔質構造体及びそ
の製造方法に関し、特に本発明の孔を有する多孔質構造
体は、電子デバイスや光デバイス、マイクロデバイスな
どの機能材料や、構造材料などとして、広い範囲で利用
可能である。
【0002】
【従来の技術】金属及び半導体の薄膜、細線、ドットな
どでは、ある特徴的な長さより小さいサイズにおいて、
電子の動きが閉じ込められることにより、特異な電気
的、光学的、化学的性質を示すことがある。このような
観点から、機能性材料として、数100nmより微細な
構造を有する材料(ナノ構造体)への関心が高まってい
る。
【0003】こうしたナノ構造体の製造方法としては、
例えば、フォトリソグラフィーをはじめ、電子線露光、
X線露光などの微細パターン形成技術をはじめとする半
導体加工技術によって直接的にナノ構造体を製造する方
法が挙げられる。
【0004】また、このような製造方法のほかに、自然
に形成される規則的な構造、すなわち、自己規則的に形
成される構造をベースに、新規なナノ構造体を実現しよ
うとする試みがある。これらの手法は、ベースとして用
いる微細構造によっては、従来の方法を上まわる微細で
特殊な構造を製造できる可能性があるため、多くの研究
が行われ始めている。
【0005】このような自己規則的手法として、ナノサ
イズの孔を有するナノ構造体を容易に、制御よく製造す
ることができる陽極酸化が挙げられる。たとえば、アル
ミニウム及びその合金を酸性浴中で陽極酸化することで
製造する陽極酸化アルミナが知られている。
【0006】Al板を酸性電解質中で陽極酸化すると、
多孔質酸化皮膜(陽極酸化アルミナ)が形成される(た
とえばR.C.Furneaux,W.R.Rigby
&A.P.Davids“NATURE”Vol.33
7 P147(1989)等参照)。この多孔質酸化皮
膜の特徴は、直径が数nm〜数百nmの極めて微細な円
柱状孔(ナノホール)が、数nm〜数百nmの間隔(セ
ルサイズ)で平行に配列するという特異的な幾何学的構
造を有することにある。この円柱状の孔は、高いアスペ
クト比を有し、断面の径の一様性にも優れている。ま
た、この孔の径及び間隔は、陽極酸化の際の電流、電圧
を調整することにより、酸化皮膜の厚さ、孔の深さは陽
極酸化の時間を制御することで、ある程度の制御が可能
である。
【0007】また、陽極酸化アルミナの孔の垂直性、直
線性及び独立性を改善するために、2段階の陽極酸化を
行なう方法、すなわち、陽極酸化を行って形成した多孔
質酸化皮膜を一旦除去した後に再び陽極酸化を行なっ
て、より良い垂直性、直線性、独立性を示す孔を有する
陽極酸化アルミナ(規則化ナノホール)を製造する方法
が提案されている(“Jpn.Journal of
Applied Phisics”,Vol.35,P
art2,No.1B,pp.L126−L129,1
5 January 1996)。ここで、この方法は
最初の陽極酸化により形成した陽極酸化皮膜を除去する
ときにできるアルミニウム板の表面の窪みが、2度目の
陽極酸化の孔開始点となることを用いている。
【0008】他にも、プレスパターニングを用いて孔開
始点を形成する方法、すなわち、複数の突起を表面に備
えた基板をアルミニウム板の表面に押しつけてできる窪
みを孔開始点として形成した後に陽極酸化を行なって、
より良い形状、間隔及びパターンの制御性を示す孔を有
する多孔質酸化皮膜を製造する方法も提案されている
(特開平10−121292号公報)。
【0009】この陽極酸化アルミナの特異的な幾何学構
造に着目した、さまざまな応用が試みられている。益田
による解説が詳しいが、以下、応用例を列記する。たと
えば、陽極酸化膜の耐摩耗性、耐絶縁性を利用した皮膜
としての応用や、皮膜を剥離してフィルターへの応用が
ある。さらには、ナノホール内に金属や半導体等を充填
する技術や、ナノホールのレプリカ技術を用いることよ
り、着色、磁気記録媒体、EL発光素子、エレクトロク
ロミック素子、光学素子、太陽電池、ガスセンサ、をは
じめとするさまざまな応用が試みられている。さらに
は、量子細線、MIM素子などの量子効果デバイス、ナ
ノホールを化学反応場として用いる分子センサー、など
多方面への応用が期待されている。(益田“固体物理”
31,493(1996))
【0010】
【発明が解決しようとする課題】先に述べた半導体加工
技術による直接的なナノ構造体の製造は、歩留まりの悪
さや装置のコストが高いなどの問題があり、簡易な手法
で再現性よく製造できる手法が望まれている。
【0011】このような観点から自己規則的手法、特に
陽極酸化の手法は、ナノ構造体を容易に、制御よく製造
することができ、また、大面積のナノ構造体を製造する
ことが可能であることから望まれている。特に、孔開始
点を制御した手法により作成される陽極酸化アルミナの
孔が規則的に配列した構造は、孔の垂直性、直線性、配
列性に優れており好ましい。
【0012】従来、陽極酸化アルミナの孔間隔の制御
は、陽極酸化電圧により行われている。孔間隔を制御し
た例としては、陽極酸化の途中で電圧を変更すること
で、厚さ方向において孔間隔を変化させた例が知られ
る。しかし、同一基板上の異なる部位に孔間隔の異なる
多孔質体を配した例はなかった。このように孔間隔の異
なる多孔質体を同一基板上に作成することができれば、
さらに多くの応用展開が期待できる。
【0013】本発明の目的はこれらの課題を解決するこ
とにある。すなわち、本発明の目的は、多孔質構造体に
おいて、孔間隔を制御する技術を提供することであり、
基板上に、少なくとも2種類以上の異なる孔間隔を有す
る多孔質体を具備したナノ構造体を提供することにあ
る。
【0014】さらに、本発明は、このような多孔質構造
体の製造方法を提供することにある。さらにはこの技術
を適用して製造した孔を有する多孔質構造体をベースと
し、新規なナノ構造体、ナノ構造デバイスを開示し、ナ
ノホールを機能材料として多様な方向で使用を可能とす
る表示装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、本発明の
以下の構成および製法により解決できる。すなわち、本
発明は、基体と、前記基体上に位置する少なくとも2つ
の多孔質体とを備え、前記多孔質体内の隣接する複数の
孔の中心間距離の平均値が前記多孔質体毎に異なること
を特徴とする多孔質構造体である。
【0016】また、本発明は、基板上の2種類以上の部
位に、アルミニウムを主とする材料を陽極酸化すること
で作成される多孔質体を具備する多孔質構造体におい
て、少なくとも第1の孔間隔を有する第1の多孔質体を
配した部位と、第2の孔間隔を有する第2の多孔質体を
配した部位を有すること特徴とする多孔質構造体であ
る。
【0017】該第1の多孔質体の第1の孔間隔と、第2
の多孔質体の第2の孔間隔は間隔が異なることが好まし
い。該多孔質体は孔がほぼ同一の間隔で3角格子状に規
則的に配列した構造を有することが好ましい。
【0018】また、本発明は、アルミニウムを主とする
材料を陽極酸化することで作成される多孔質体を具備す
る表示装置において、少なくとも2種類以上の孔間隔の
異なる多孔質体を有し、該多孔質体の孔に発光材料を充
填したことを特徴とする表示装置である。
【0019】また、本発明は、アルミニウムを主とする
材料を陽極酸化することで作成される多孔質体を具備す
る磁性デバイスにおいて、少なくとも2種類以上の孔間
隔の異なる多孔質体を有し、該多孔質体の孔に磁性材料
を充填したことを特徴とする磁性デバイスである。
【0020】さらに、本発明は、基板上の2種類以上の
部位に多孔質体を具備する多孔質構造体の製造方法にお
いて、該多孔質構造体は、少なくとも第1の多孔質体
と、該第1の多孔質体の孔間隔より小さな孔間隔を有す
る第2の多孔質体を有し、該製造方法は、少なくとも、
(A1)基板上に第1および第2のアルミニウムを主と
する部位を形成する工程と、(A2)該第1のアルミニ
ウムを主とする部位を陽極酸化して第1の多孔質体を形
成する工程と、(A3)該第2のアルミニウムを主とす
る部位を陽極酸化して第2の多孔質体を形成する工程を
有することを特徴とする多孔質構造体の製造方法であ
る。
【0021】さらに、本発明は、基板上の2種類以上の
部位に多孔質体を具備する多孔質構造体の製造方法にお
いて、該多孔質構造体は、少なくとも第1の多孔質体
と、第1の多孔質体の孔間隔より小さな孔間隔を有する
第2の多孔質体を有し、該製造方法は少なくとも、(B
1)基板上に第1のアルミニウムを主とする部位を形成
する工程と、(B2)該第1のアルミニウムを主とする
部位を陽極酸化して第1の多孔質体を形成する工程と、
(B3)基板上に第2のアルミニウムを主とする部位を
形成する工程と、(B4)該第2のアルミニウムを主と
する部位を陽極酸化して第2の多孔質体を形成する工程
を有することを特徴とする多孔質構造体の製造方法であ
る。
【0022】さらに、本発明は、基板上の2種類以上の
部位に多孔質体を具備する多孔質構造体の製造方法にお
いて、該多孔質構造体は、少なくとも第1の多孔質体
と、第1の多孔質体の孔間隔より小さな孔間隔を有する
第2の多孔質体を有し、該製造方法は、少なくとも、
(C1)基板上に第1のアルミニウムを主とする部位を
形成する工程と、(C2)該第1のアルミニウムを主と
する部位を陽極酸化して第1の多孔質体を形成する工程
と、(C3)該第1の多孔質体の孔径を拡大する工程
と、(C4)基板上に第2のアルミニウムを主とする部
位を形成する工程と、(C5)該第2のアルミニウムを
主とする部位を陽極酸化して第2の多孔質体を形成する
工程と、(C6)該第1及び第2の多孔質体の孔径を拡
大する工程を有することを特徴とする多孔質構造体の製
造方法である。
【0023】さらに、本発明は、基板上の2種類以上の
部位に多孔質体を具備する多孔質構造体の製造方法にお
いて、該多孔質構造体は、少なくとも第1の多孔質体
と、第1の多孔質体の孔間隔と異なる孔間隔を有する第
2の多孔質体を有し、該製造方法は、少なくとも、(D
1)基板上に第1のアルミニウムを主とする部位を形成
する工程と(D2)基板上に第2のアルミニウムを主と
する部位を形成する工程と(D3)該第1及び第2のア
ルミニウムを主とする部位を同時に異なる電圧で陽極酸
化して第1及び第2の多孔質体を形成する工程を有する
ことを特徴とする多孔質構造体の製造方法である。
【0024】これらの中でも、基板上の、該アルミニウ
ムを主とする部位を陽極酸化して多孔質体を形成する工
程に先んじて、アルミニウムを主とする部位に孔開始点
を形成する工程を行うことを特徴とする多孔質構造体の
製造方法であり、該孔開始点を形成する工程は、該アル
ミニウムを主とする部位に集束イオンビームを照射する
工程であることを特徴とする多孔質構造体の製造方法で
ある。
【0025】さらには、上記製造方法により作成された
ことを特徴とする多孔質構造体である。
【0026】本発明は、規則的に配列した孔を有し、さ
らに孔間隔の異なる少なくとも2種類以上の多孔質体を
具備する多孔質構造体を提供することにある。本発明の
多孔質構造体は、たとえば、孔間隔の大きい多孔質体か
ら順番に製造することで実現できる。この手法により、
それぞれの多孔質体の孔径を独立に制御することができ
るという作用がある。本発明の多孔質構造体の多孔質体
に、金属、半導体等の機能材料を埋め込むことにより、
新たな電子デバイスや光デバイスへと応用できる可能性
がある。
【0027】本発明の陽極酸化アルミナを用いた多孔質
構造体は、量子細線、MIM素子、分子センサー、着
色、磁気記録媒体、EL発光素子、エレクトロクロミッ
ク素子、フォトニックバンドを利用した光学素子、電子
放出素子、太陽電池、ガスセンサ、耐摩耗性、耐絶縁性
皮膜、フィルターをはじめとするさまざまな形態で応用
することを可能とするものであり、その応用範囲を著し
く広げる作用を有する。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 <ナノ構造体の構成>本発明の多孔質構造体は、基体
と、前記基体上に位置する少なくとも2つの多孔質体と
を備え、前記多孔質体内の隣接する複数の孔の中心間距
離の平均値が前記多孔質体毎に異なることを特徴とす
る。
【0029】図1に本発明の一実施形態として、細孔を
有するナノ構造体の構成の一例を記す。本発明のナノ構
造体は、少なくとも2種類以上の細孔間隔の異なる細孔
体2を有することを特徴とする。図1においては、基板
1上に、3種類の細孔間隔(2R1、2R2、2R3)
の異なる3種類の細孔体(陽極酸化アルナ)2を配した
例を示す。
【0030】まず本発明の細孔体である陽極酸化アルミ
ナについて説明する。図8は陽極酸化アルミナの構造を
示す斜視図である。1はアルミニウム、3は細孔(ナノ
ホール)、7はバリア層である。陽極酸化アルミナの細
孔3は円柱状の形状を有し、それぞれの細孔3は互いに
ほぼ平行かつ等間隔に配置することができる。この場
合、隣接する複数の孔の中心間距離の平均値は、細孔間
隔2Rと等しくなる。細孔3の直径2rは数nm〜50
0nm、間隔(セルサイズ)2Rは数nm〜500nm
程度、深さは10nm〜100μmの範囲である。
【0031】陽極酸化アルミナの細孔間隔すなわち構造
周期2Rは、陽極酸化電圧とほぼ次式(1)の相関を有
するため、陽極酸化電圧の設定により、所望の細孔間隔
を有した陽極酸化アルミナを製造できる。
【0032】
【数1】
【0033】陽極酸化アルミナの細孔径の制御は、陽極
酸化後に酸溶液に浸すポアワイド処理の条件で行うこと
ができる。また細孔3の深さ(長さ)は、陽極酸化時
間、Alの厚さ等で制御することができ、たとえば10
nm〜100μmの間である。
【0034】また、陽極酸化の前工程として、アルミニ
ウムの表面に陽極酸化の細孔開始点を製造しておくこと
で、細孔配列を規則的なものとする事ができる。さら
に、陽極酸化アルミナの細孔内に、金属、半導体等の機
能材料を埋め込むことも可能である。
【0035】さて、規則的な細孔を配列した陽極酸化ア
ルミナは、その周期的構造を利用しフォトニック結晶と
しての利用が挙げられる。フォトニック結晶について
は、“O puls E”1999年12月号、特集:
「フォトニック結晶」に詳しい。フォトニック結晶と
は、2種類以上の屈折率(誘電率)異なる部位を周期的
に配列することで、その光学的性質を制御したものであ
る。たとえば2次元フォトニック結晶として図7に示す
ような、第1の誘電部位21の中に、柱状形状の第2の
誘電部位22が、2次元に配列した構造が挙げられる。
この様な媒質は、半導体のバンド形成理論において電子
波がブラッグ反射されてエネルギーEと波数kとの分散
関係がバンドを形成するのに類推されるように、光にお
いてもフォトニックバンドを生み出す。さらに、その周
期構造によっては、光が存在できない波長領域、すなわ
ちフォトニックバンドギャップが形成され、大きな光反
射能を有するようになる。このような特徴を制御するこ
とで、導波路、発光素子、レーザーをはじめとする光デ
バイスの特性向上が期待できる。
【0036】フォトニックバンドを利用するには、その
構造周期としてもちいる光の波長程度から光の波長の数
分の1のサイズを必要とする。陽極酸化アルミナは、第
1の誘電部位(アルミナ)21の中に、円柱状の第2の
誘電部位22が規則的な配列した構造を有し、フォトニ
ック結晶とみなすことができる。また、その周期サイズ
は製造条件により数10から500nmの範囲で制御で
きるため、紫外から赤外域においてフォトニック結晶と
して用いることができる。フォトニック結晶のフォトニ
ックバンドは、その構造、構成材料などでかわるが、そ
の構造(細孔)周期サイズと波長の間にはスケール則が
成り立つため、構造周期を制御することで所望の波長域
にフォトニックバンドギャップを設定することができ
る。
【0037】本発明の、規則的な細孔を配列した陽極酸
化アルミナの細孔間隔を、それぞれの細孔体において独
立に制御する技術により、フォトニック結晶の構造、フ
ォトニックバンド構造の制御が可能である。特に、本発
明の複数の細孔間隔の異なる細孔体を用意することは、
複数のフォトニック結晶、さらには異なる周波数にフォ
トニックバンドギャップを有したフォトニック結晶を同
一基板上に用意できることを意味する。このような特徴
を制御することで、導波路、発光素子、レーザーをはじ
めとする光デバイスの特性向上が期待できる。
【0038】他に、陽極酸化アルミナの細孔内に、磁性
材料を充填した場合には、磁性ナノ細線がえられる。細
孔間隔の異なる細孔を有する陽極酸化アルミナに磁性材
料を充填することで、基板上に磁性細線の間隔が異なる
磁気細線の集合体を作成できる。磁性細線の間隔は、磁
化反転の閾値や、細線中の磁区制御、磁気抵抗などに影
響を及ぼすため、これらの制御により、磁場センサ、磁
気抵抗素子、磁気記録媒体などの磁性デバイスとしての
応用が期待できる。
【0039】<ナノ構造体の製造方法>図2から図4
に、本発明のナノ構造体の製造工程を示す。図2から4
においては、2つの異なる細孔間隔の細孔体を製造する
工程として記しているが、これらは任意の複数種類の細
孔体に適用できる。
【0040】本発明のナノ構造体は、基板上に複数種類
の細孔間隔の異なる細孔体を有するが、その作成方法と
しては、図2(b)に示すように複数の細孔体を同時に
製造する手法と、図2(a)に示すように一種類づつ順
番に製造する手法が挙げられる。
【0041】前者の、複数種類の細孔体を同時に製造す
るには、基板上の複数のアルミニウムを主とする部位
を、同時に、異なる電圧で陽極酸化することがあげられ
る。この手法は、工程数が少ない点で好ましい。
【0042】後者の、図2(a)に示すように種類の異
なる細孔体を一種類づつ順番に製造するには、複数のア
ルミニウムを主とする部位を順番に異なる電圧で陽極酸
化することで製造できる。この際、大きな細孔間隔を有
した細孔体から先に製造することが、製造歩留まり向上
の点で好ましい。これは、小さな細孔間隔を有した陽極
酸化アルミナナノホールは、次の陽極酸化において酸の
溶液中に置かれることになるが、この際にエッチングさ
れてしまう危険があるからである。また、小さな細孔間
隔を有した細孔体(すなわち小さい電圧で陽極酸化した
部位)は、次に大きな細孔間隔の細孔体を製造する際
(すなわち大きい電圧を印加する際に)、損傷しやすい
という理由もたある。この一種類づつ順番に製造する手
法は、図2(a)に示すようにそれぞれの細孔体に独立
に細孔を大きくする処理(ポアワイド処理)を施すこと
ができるため、それぞれの細孔体の細孔径を独立に制御
できる点で、好ましい。
【0043】さらには、陽極酸化アルミナは、電解浴の
種類、組成によって陽極酸化可能な電圧範囲がことなる
こと、さらには細孔が自己組織的に配列するためには、
適当な陽極酸化電圧と電解液の組み合わせを選ぶことが
必要であることが知られており、このような観点からも
異なる細孔間隔の細孔体は、別の浴を用いて、別途製造
する図2(a)の手順が好ましい。
【0044】さらには、この一種類づつ順番に製造する
手法において、図3(b)のようにアルミニウムを主と
する複数の部位の形成後、順番に陽極酸化する方法や、
図3(a)に示すようにアルミニウムを主とする部位の
形成と陽極酸化を繰り返す方法がある。前者において
は、工程数が少ないという利点を有する。
【0045】しかし、図3(b)の手法においては、第
1の部位を陽極酸化する際、陽極酸化を行わない(後で
異なる電圧で陽極酸化を行う)第2の部位は、陽極酸化
が起こらないようにカソード電位もしくはそれよりも負
の電位に設定する必要がある。このような電位に設定し
た際には、アルミニウムを主とする部位の表面の平坦性
が悪くなる等の理由で、後に陽極酸化した際に細孔の配
列が乱れることがある。このような理由から、より好ま
しくは図3(a)に示すように、アルミニウムを主とす
る部位の形成と陽極酸化を繰り返す方法が望ましい。
【0046】また、陽極酸化の前工程として、アルミニ
ウムの表面に細孔開始点を製造しておくことで、細孔配
列を規則的なものとする事ができ、好ましい。この場合
にも、細孔開始点を形成後にアルミニウム表面に損傷を
与えないために、図4に示すように、アルミニウムを主
とする部位の形成、細孔開始点の形成、陽極酸化を繰り
返す方法が望ましい。
【0047】上述の複数の細孔体を形成する手順におい
て、それぞれの細孔体の製造は、a)アルミニウムを主
とする部位を用意する工程、b)細孔開始点の形成工
程、c)細孔形成工程(陽極酸化)、d)細孔拡大工程
から構成される。
【0048】以下に各工程について、詳しく説明する。
図5においては、簡単のために、一つの細孔体の製造工
程を図示した。
【0049】(a)基板上にアルミニウムを主とする部
位を形成する工程 基板上にAlを主成分とする膜をパターニング形成した
ものも挙げられる。異なる種類の細孔体となる部分は、
あらかじめパターニングにより、分離しておく。パター
ニングには、フォトリソグラフィーやマスキング、直描
などの手法が適用可能である。またAlを主成分をする
膜の成膜方法は、抵抗加熱蒸着、EB蒸着、スパッタ、
CVD、メッキをはじめとする任意の成膜方法が適用可
能である。基板としては、石英ガラスをはじめとする絶
縁体基板やシリコンやガリウム砒素をはじめとする半導
体基板などの基板や、これらの基板の上に1層以上の膜
を形成したものが挙げられるが、Alを主成分とする膜
の陽極酸化による細孔形成に不都合がなければ、基板の
材質、厚さ、機械的強度などは特に限定されるものでは
ない。また、アルミニウム膜の下地にTiやNbなどの
導電性膜を形成したものを用いれば、細孔の深さの均一
性を上げることも可能になり、細孔内に充填物を配した
際に充填物と下地の電気的接続が可能となる。
【0050】(b)細孔開始点の形成工程 この工程により、Alを主成分とする部位の表面に細孔
開始点を形成する。この工程の後に、陽極酸化すること
により細孔の位置が制御可能となり、ナノ構造体の細孔
の配列、間隔、位置、方向等の制御が可能であり、その
一例として、パターニングの全域にわたり直線性に優れ
た細孔が三角格子状に規則正しく配置された陽極酸化ア
ルミナを製造することが可能になる。
【0051】細孔開始点の配列は、三角格子、正方格子
などがあげられるが特にこだわらない。特に、陽極酸化
による細孔形成において、細孔のパターンが自己組織化
により三角格子状になる傾向があるので、あらかじめ細
孔開始点を三角格子状に配列して形成することが挙げら
れる。
【0052】細孔開始点の形成としては、集束イオンビ
ームを照射する手法、AFMを始めとするSPMを用い
て行う手法、特開平10−121292号公報で開示さ
れたプレスパターニングを用いて凹みを作成する手法、
レジストパターン作成後エッチングにより凹みを作る手
法などを用いることが挙げられる。これらの中でも、集
束イオンビーム照射を用いる手法は、レジスト塗布、電
子ビーム露光、レジスト除去といったような手間のかか
る工程は不必要であり、短時間で細孔開始点を形成する
ことが可能であることや、試料に圧力をかける必要がな
いので、機械的強度が強くない基板に対しても適用可能
であるなどの観点から特に好ましい。
【0053】以下に集束イオンビームを用いた細孔開始
点の形成についてさらに説明する。集束イオンビームの
イオン種としては、液体金属イオン源である、Ga、S
i、Ge、Cs、Nb、Cuなどや、電界電離ガスイオ
ン源であるO、N、H、He、Arなどが挙げられる。
集束イオンビームのビーム径は5〜1000nm程度の
範囲のものが挙げられる。具体的なイオンビームの照射
方法の例として、まず、図6(a)に示すように、ドッ
ト状に照射する方法が挙げられる。別の例として次に、
図6(b)に示すように、集束イオンビームを方向の異
なる平行なライン状に走査して照射する方法が挙げられ
る。この方法においては、ラインの交点がその周囲に比
べて集束イオンビームが多く照射されるので、細孔開始
点とすることができる。また、細孔開始点の形状や組成
は、イオン照射量、イオン照射エネルギー、ビーム径な
どを制御することで制御可能である。
【0054】(c)細孔形成工程 アルミニウムを主成分とする部位を陽極酸化することで
細孔体(陽極酸化アルミナ)に置換する。本工程に用い
る陽極酸化装置の概略を図9示す。
【0055】図9において、40は恒温槽、41は試
料、42はPt板のカソード、43は電解液、44は反
応容器、45は陽極酸化電圧を印加する電源、46は陽
極酸化電流を測定する電流計である。図では省略してあ
るが、このほか電圧、電流を自動制御、測定するコンピ
ュータ、などが組み込まれている。
【0056】試料41およびカソード42は、恒温水槽
により温度を一定に保たれた電解液中に配置され、電源
より試料、カソード間に電圧を印加することで陽極酸化
が行われる。
【0057】陽極酸化に用いる電解液は、たとえば、シ
ュウ酸、りん酸、硫酸、クロム酸溶液などが挙げられる
が、陽極酸化による細孔形成に不都合がなければ特に限
定されるものではない。また各電解液に応じた陽極酸化
電圧、温度などの諸条件は、製造するナノ構造体に応じ
て、適宜設定することができる。
【0058】陽極酸化アルミナの細孔間隔すなわち構造
周期は、陽極酸化電圧とほぼ次式(1)の相関を有する
ため、開始点配列(間隔)に対応して陽極酸化電圧を設
定する事が望ましい。たとえば100nm間隔の開始点
を形成した際には40Vで陽極酸化することになる。
【0059】
【数2】
【0060】陽極酸化アルミナの厚さは、アルミニウム
膜の膜厚や陽極酸化の時間によって制御する事ができ
る。たとえば全アルミニウム膜厚をすべて陽極酸化アル
ミナに置換する事や、所望のアルミニウム膜を残す事も
できる。
【0061】(d)細孔拡大処理(ポアワイド処理) さらに上記ナノ構造体を酸溶液( たとえばリン酸溶液)
中に浸すポアワイド処理により、適宜、細孔径を広げる
ことができる。酸濃度、処理時間、温度などにより所望
の径の細孔を有するナノ構造体とすることができる。
【0062】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明を説明する。
【0063】実施例1 本実施例は、図2(b)の手順を用い、同時に複数のア
ルミを主とする部位を異なる電圧で陽極酸化すること
で、2種類の異なる細孔間隔の細孔体を形成した例であ
る。
【0064】a)アルミニウムを主とする部位を形成 n型シリコン基板上に厚さ500nmのAl膜をスパッ
タ法にてパターン成膜したものを準備した。Al膜の下
地には厚さ100nmのNb膜を電子線蒸着により製膜
してある。Al膜のパターンは、50μm幅のライン状
とし、2本とした。
【0065】b)細孔開始点の形成工程 本実施例においては、細孔開始点は形成しなかった。
【0066】c)細孔の形成工程 図9の陽極酸化装置を用い陽極酸化処理を施し、細孔体
を形成した。酸電解液は0.3mol/lシュウ酸水溶
液を用い、恒温水槽により溶液を1℃に保持し、2本の
ライン状アルミパターンの第1の部位には陽極酸化電圧
はカソードに対して40V、第2の部位には60Vを印
加した。
【0067】陽極酸化電流をモニタし、陽極酸化電流の
減少により、アルミが全膜厚にわたりアルミナに置換さ
れたこと確認した後、電圧印加を終了した。d)次に、
ポアワイド処理として、5wt%リン酸溶液中に30m
in間浸すことにより、細孔の径を広げた。
【0068】評価(構造観察) FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて観察し
たところ、第1の部位は間隔は約100nmで、第2の
部位は約150nm間隔で、細孔がランダムに形成され
ており、第1、第2の部位の細孔径はそれぞれ、約60
nm、約70nmであった。断面を観察すると、すべて
のアルミニウム膜が陽極酸化アルミナに変換されてお
り、Nb膜上に細孔の深さ600nm程度の細孔の配列
したナノ構造体が形成されているのが確認された。これ
により、異なる細孔間隔を有した複数の細孔体を同一基
板上に作成できた。
【0069】実施例2 本実施例においては、図4の手順を用い、FIBの手法
を用いて細孔開始点を作成し、大きな細孔間隔の細孔体
から順に形成した例である。まず第1の細孔体を製造し
た。
【0070】a1)アルミニウムを主とする部位を形成 実施例1に準じて第1のアルミニウムを主とする部位を
形成した。ただしアルミニウムのラインは1本とした。
【0071】b1)細孔開始点の形成工程 集束イオンビーム加工装置を用い集束イオンビーム照射
を行ない細孔開始点を形成した。ここで集束イオンビー
ム加工装置のイオン種はGa,加速電圧は30kVであ
る。まず、集束イオンビーム加工装置付属の2次電子観
察機能を用いて、細孔開始点を形成する位置を定めた。
次にイオンビーム径100nm、イオン電流180pA
の集束イオンビームを用いて、図6(a)に示すように
間隔300nmでほぼ三角格子状のパターンの繰り返し
になるようにして集束イオンビームをドット状に照射す
ることにより細孔開始点の形成を行なった。このとき各
ドット位置での集束イオンビームの滞在時間は10ms
ecとした。
【0072】c1)細孔の形成工程 実施例1と同様に0.3mol/lりん酸浴中で、12
0Vで陽極酸化をおこなった。 d2)5wt%リン酸溶液中に90min間浸すことに
より、細孔の径を広げた。
【0073】次に第2の細孔体を製造した。 a2)アルミニウムを主とする部位を形成 さらに、別の場所に実施例1に準じて第2のアルミニウ
ムを主とする部位を形成した。
【0074】b2)細孔開始点の形成工程 先に、の工程b1)と同様にして細孔開始点を形成し
た。但し、イオンビーム径30nm、イオン電流5pA
の集束イオンビームを用いて、図6(a)に示すように
間隔100nmでほぼ三角格子状のパターンの繰り返し
になるようにして集束イオンビームをドット状に照射す
ることにより細孔開始点の形成を行なった。このとき各
ドット位置での集束イオンビームの滞在時間は100m
secとした。
【0075】c2)細孔の形成工程 実施例1と同様に0.3mol/lシュウ酸浴中で、4
0Vで陽極酸化をおこなった。 d2)5wt%リン酸溶液中に30min間浸すことに
より、細孔の径を広げた。この処理により第1、第2の
細孔体の両方の細孔径が広がった。
【0076】評価(構造観察) FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて観察し
たところ、細孔は細孔開始点を反映し、第1の細孔体は
間隔は300nmで、第2の細孔体は100nm間隔
で、三角格子状に規則的に配列して形成されており、第
1、第2の部位の細孔径はそれぞれ、220nm、60
nmであった。断面を観察すると、すべてのアルミニウ
ム膜が陽極酸化アルミナに変換されており、Nb膜上に
細孔の深さ600nm程度の細孔の規則的に配列したナ
ノ構造体が形成されているのが確認された。
【0077】これにより、異なる細孔間隔を有した複数
の細孔体を同一基板上に作成できた。また、細孔開始点
を形成することで、規則的な細孔配列を有した細孔体を
形成できた。また、本実施例の2回の細孔拡大処理の時
間を制御することで、それぞれの細孔体の細孔間隔を独
立に制御できた。
【0078】実施例3 本実施例は、細孔内に磁性体を充填してナノ構造体を製
造した例である。実施例2と同様にして、同一基板上に
細孔間隔の異なる2種類の細孔体を用意したのち、Ni
金属電着を行うことにより、細孔内に磁性体を充填し
た。
【0079】第1の細孔体は、細孔間隔100nm、細
孔径40nm、第2の細孔体は細孔間隔300nm、細
孔径100nmとした。Ni充填は、0.14mol/
lNiSO4、0.5mol/l H3BO3からなる電
解液中で、Niの対向電極と共に浸して電着することで
ナノホール内にNiを析出させた。
【0080】評価(構造観察) FE−SEMにて観察したところ、すべての細孔はNi
で充填されており、周期の異なるNiからなる磁性ナノ
細線の集合体が形成されていた。また、本実施例におい
ては、細孔体底部に電極(導電性膜)を有し、電極と充
填物が電気的に接続されている。
【0081】磁化率を測定したところ、磁化曲線は2段
に階段状に観測された。2種類の細線間隔の異なるナノ
磁性体の存在が、磁化曲線を階段状にさせたと考えるこ
とができる。このような異なる間隔で配した磁性ナノ細
線の集合体が、異なる磁化特性を示すことを利用して、
磁気センサーをはじめとする各種磁性デバイスへの応用
が期待できる。
【0082】実施例4 実施例2と同様にして、同一基板上に細孔間隔の異なる
2種類の細孔体を用意した。第1の細孔体は、細孔間隔
240nm、細孔径120nm、第2の細孔体は細孔間
隔280nm、細孔径150nmとした。次に、細孔内
にローダミンの色素を付与、充填した。発光スペクトル
を評価したところ、細孔間隔の違いによりスペクトルに
変化が見られ、肉眼でも色の違いが見て取れた。陽極酸
化アルミナの2次元周期構造がフォトニックバンドに寄
与し、発光スペクトルを変化させたと考えることができ
る。
【0083】このように、異なる細孔間隔の細孔体に発
光材料を充填することで、発色を制御でき、表示装置と
して応用できる。
【0084】実施例5 実施例2と同様にして、同一基板上に細孔間隔の異なる
3類の細孔体を用意した。3種類の細孔体は、表示した
い画像の3原色に対応してパターニング形成した。第1
の細孔体は、細孔間隔160nm、細孔径80nm、第
2の細孔体は細孔間隔200nm、細孔径120nm、
第3の細孔体は細孔間隔250nm、細孔径160nm
とした。
【0085】第1の細孔体の細孔内に青(クマリン)、
第2の細孔体の細孔内に緑(クマリン)、第3の細孔体
の細孔内に赤(ローダミン)の色素を付与した。色素そ
のものの発光スペクトルと比べて、細孔内における発光
スペクトルはそれぞれ先鋭になっていた。陽極酸化アル
ミナの2次元周期構造がフォトニックバンドに寄与し、
発光スペクトルを変化させたと考えることができる。
【0086】このように、異なる細孔間隔の細孔体に発
光材料を充填することで、発色を制御でき、特に色調に
優れた鮮明な多色表示装置としての応用が期待できる。
【0087】そして、本発明の製造方法によって、複数
の孔間隔を有する多孔質構造体を同一基板に並設するこ
とが可能となる。このため、本発明の多孔質構造体を、
表示装置、磁気測定装置の素子として使用した場合、個
々に孔間隔を制御したナノ構造体基板を並設して装置化
する方法に比べて、各素子に接続される配線の接続工程
を簡略化することができ、製造コストを下げることも可
能となる。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明には以下の
ような効果がある。 1)基板上に、孔間隔の異なる少なくとも2種類以上の
多孔質体(陽極酸化アルミナ)を具備する多孔質構造体
を提供することにある。本発明の多孔質構造体は、たと
えば、孔間隔の大きい多孔質体から順番に製造すること
が望ましく、この手法により、それぞれの多孔質体の孔
径を独立に制御することができるという効果がある。 2)本発明の多孔質構造体の陽極酸化アルミナはフォト
ニック結晶とみなすことができるため、異なるフォトニ
ックバンドを有したフォトニック結晶を同一基板上に形
成できる。 3)本発明の多孔質構造体の孔に発光材料を充填するこ
とで、表示装置へ応用できる。 4)本発明の多孔質構造体の孔に磁性材料を充填するこ
とで、磁場センサをはじめとする、磁気デバイス応用す
ることができる。
【0089】また本発明は、陽極酸化アルミナを有した
多孔質構造体は、さまざまな形態で応用することを可能
とするものであり、その応用範囲を著しく広げるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるナノ構造体の一例を
示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態であるナノ構造体の製造工
程を示す工程図である。
【図3】本発明の一実施形態であるナノ構造体の製造工
程を示す工程図である。
【図4】本発明の一実施形態であるナノ構造体の製造工
程を示す工程図である。
【図5】本発明の細孔体の製造方法の一例を示す工程図
である。
【図6】細孔開始点の形成パターンの例を示す平面図で
ある。
【図7】2次元フォトニック結晶を示す図である。
【図8】陽極酸化アルミナを示す概略図(斜視図)であ
る。
【図9】陽極酸化装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 基板 2 細孔体(陽極酸化アルミナ) 3 細孔 4 アルミニウム(膜) 5 細孔開始点 6 下地材料 7 バリア層 21 第1の誘電部位 22 第2の誘電部位 40 恒温槽 41 試料 42 カソード 43 電解液 44 反応容器 45 電源 46 電流計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 6/12 G02B 6/12 N Z

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体と、前記基体上に位置する少なくと
    も2つの多孔質体とを備え、前記多孔質体内の隣接する
    複数の孔の中心間距離の平均値が前記多孔質体毎に異な
    ることを特徴とする多孔質構造体。
  2. 【請求項2】 基板上の2種類以上の部位に、アルミニ
    ウムを主とする材料を陽極酸化することで作成される多
    孔質体を具備する多孔質構造体であって、少なくとも第
    1の孔間隔を有する第1の多孔質体を配した部位と、第
    2の孔間隔を有する第2の多孔質体を配した部位を有す
    ることを特徴とする多孔質構造体。
  3. 【請求項3】 前記第1の多孔質体の第1の孔間隔と、
    第2の多孔質体の第2の孔間隔は間隔が異なることを特
    徴とする請求項2記載の多孔質構造体。
  4. 【請求項4】 前記多孔質体は孔がほぼ同一の間隔で3
    角格子状に規則的に配列した構造を有することを特徴と
    する請求項2または3記載の多孔質構造体。
  5. 【請求項5】 前記多孔質体の孔に機能性材料を有する
    請求項2または3に記載の多孔質構造体。
  6. 【請求項6】 前記多孔質体は、導電性を有する膜上に
    形成され、前記機能性材料は、前記導電性膜により互い
    に電気的に接続されている請求項5に記載の多孔質構造
    体。
  7. 【請求項7】 アルミニウムを主とする材料を陽極酸化
    することで作成される多孔質体を具備する表示装置にお
    いて、少なくとも2種類以上の孔間隔の異なる多孔質体
    を有し、該多孔質体の孔に発光材料を有することを特徴
    とする表示装置。
  8. 【請求項8】 アルミニウムを主とする材料を陽極酸化
    することで作成される多孔質体を具備する磁性デバイス
    において、少なくとも2種類以上の孔間隔の異なる多孔
    質体を有し、該多孔質体の孔に磁性材料を有することを
    特徴とする磁性デバイス。
  9. 【請求項9】 基板上の2種類以上の部位に多孔質体を
    具備する多孔質構造体の製造方法において、前記多孔質
    構造体は、少なくとも第1の多孔質体と、前記第1の多
    孔質体の孔間隔より小さな孔間隔を有する第2の多孔質
    体を有し、該製造方法は、少なくとも、(A1)基板上
    に第1および第2のアルミニウムを主とする部位を形成
    する工程と、(A2)該第1のアルミニウムを主とする
    部位を陽極酸化して第1の多孔質体を形成する工程と、
    (A3)該第2のアルミニウムを主とする部位を陽極酸
    化して第2の多孔質体を形成する工程を有することを特
    徴とする多孔質構造体の製造方法。
  10. 【請求項10】 基板上の2種類以上の部位に多孔質体
    を具備する多孔質構造体の製造方法において、該多孔質
    構造体は、少なくとも第1の多孔質体と、第1の多孔質
    体の孔間隔より小さな孔間隔を有する第2の多孔質体を
    有し、該製造方法は少なくとも、(B1)基板上に第1
    のアルミニウムを主とする部位を形成する工程と、(B
    2)該第1のアルミニウムを主とする部位を陽極酸化し
    て第1の多孔質体を形成する工程と、(B3)基板上に
    第2のアルミニウムを主とする部位を形成する工程と、
    (B4)該第2のアルミニウムを主とする部位を陽極酸
    化して第2の多孔質体を形成する工程を有することを特
    徴とする多孔質構造体の製造方法。
  11. 【請求項11】 基板上の2種類以上の部位に多孔質体
    を具備する多孔質構造体の製造方法において、該多孔質
    構造体は、少なくとも第1の多孔質体と、第1の多孔質
    体の孔間隔より小さな孔間隔を有する第2の多孔質体を
    有し、該製造方法は、少なくとも、(C1)基板上に第
    1のアルミニウムを主とする部位を形成する工程と、
    (C2)該第1のアルミニウムを主とする部位を陽極酸
    化して第1の多孔質体を形成する工程と、(C3)該第
    1の多孔質体の孔径を拡大する工程と、(C4)基板上
    に第2のアルミニウムを主とする部位を形成する工程
    と、(C5)該第2のアルミニウムを主とする部位を陽
    極酸化して第2の多孔質体を形成する工程と、(C6)
    該第1及び第2の多孔質体の孔径を拡大する工程を有す
    ることを特徴とする多孔質構造体の製造方法。
  12. 【請求項12】 基板上の2種類以上の部位に多孔質体
    を具備する多孔質構造体の製造方法において、該多孔質
    構造体は、少なくとも第1の多孔質体と、第1の多孔質
    体の孔間隔と異なる孔間隔を有する第2の多孔質体を有
    し、該製造方法は、少なくとも、(D1)基板上に第1
    のアルミニウムを主とする部位を形成する工程と(D
    2)基板上に第2のアルミニウムを主とする部位を形成
    する工程と(D3)該第1及び第2のアルミニウムを主
    とする部位を同時に異なる電圧で陽極酸化して第1及び
    第2の多孔質体を形成する工程を有することを特徴とす
    る多孔質構造体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記基板上のアルミニウムを主とする
    部位を陽極酸化して多孔質体を形成する工程に先んじ
    て、アルミニウムを主とする部位に孔開始点を形成する
    工程を行うことを特徴とする請求項9乃至12のいずれ
    かの項に記載の多孔質構造体の製造方法。
  14. 【請求項14】 該孔開始点を形成する工程は、該アル
    ミニウムを主とする部位に集束イオンビームを照射する
    工程であることを特徴とする請求項13記載の多孔質構
    造体の製造方法
  15. 【請求項15】 請求項9乃至14のいずれかに記載の
    製造方法により作成されたことを特徴とする多孔質構造
    体。
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