JP4164150B2 - 光機能性薄膜の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Siを主体とする絶縁体中に分散された蛍光体を有する光機能性薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光機能薄膜、特に発光機能を有する薄膜としてELやLED、レーザーなどが例として挙げられるが、特に無機材料を主体とした大面積の発光体としてはEL(エレクトロルミネセンス)が期待を集めている。この応用としては天井照明やコンピューターディスプレー、バックライトなどが考えられ、現在も活発に研究開発が進められている。ELには従来からの無機材料を用いた無機EL素子と、近年注目されている電流注入型の有機EL素子がよく知られている。前者の無機EL素子としては、AC、DC駆動−重絶縁層積層型EL、AC駆動二重絶縁層積層型EL、AC駆動分散型EL、DC駆動分散型ELなど多数検討されてきた。
【0003】
これらとは別に近年ポーラスSiの特性を利用したELが試作されている。以下、本発明に関わる分散型ELとポーラスSi型ELについて説明する。
【0004】
「AC駆動分散型EL」
AC駆動分散型ELの一般的な構成について図1を用いて説明する。
図1はAC駆動分散型EL素子の概略図である。図中11は基板、12は透明電極、13は発光層、14は誘電体層(絶縁層)、15は背面電極である。
【0005】
基板11は発光した光が透過するよう透明なガラスやプラスチックが用いられる。透明電極12には、In23 やSnO2 、ZnO、ITO等の材料が数100nmの厚みで付けられる。発光層13にはZnSなどII〜VI族化合物の蛍光体粉末をバインダーに分散させ、50〜100μmの厚さに塗布することによって作製される。ここで蛍光体の粒子径は5〜30μmであり、発光中心になる付活剤や共付活剤として、Cu、Cl、I、Mn等が添加される。発光層内のバインダーとしては誘電率が比較的大きいシアノ・エチル・セルローズ等の有機物や低融点ガラスなどの無機材料が用いられる。
【0006】
また、絶縁破壊防止などの為に発光層の上には誘電体層14が数100nm〜数10μmの厚みで設けられる。この誘電体層としてはA123 、SiO2 、Y23 、Ta25 、BaTiO3 などの酸化物やSi34 、AlN、BNなどの窒化物などが用いられる。背面電極としてはAlが一般的であるが、この他にもPt、Ag、Au−Pd−Ag,Ag−Pt−Pd等のペースト剤による成膜も可能である。
【0007】
この様にして得られたEL素子の透明電極と背面電極間に数100V、数100〜数KHzの交流電圧を印加することにより、発光層内の蛍光体が電極間に誘起される電流の電子により励起されて発光し、光は透明電極12を通して図1の下方に放出される。この際の発光強度は100cd/m2 、発光効率は数lm/W程度である。近年でも発光体層のバインダーや絶縁層の組成改良が試みられている。例えば特開平5−89963号公報では、ガラス相にSiO2 、ZrO2 、B23 、Li2 Oなどを含有させることにより、低周波、定電圧で輝度の高いEL素子を作製したと報告されている。
【0008】
「DC駆動分散型EL」
DC駆動分散型ELの一般的な構成について図2を用いて説明する。
図2はDC駆動分散型EL素子の概略図である。図中21は基板、22は透明電極、23は発光層、24は背面電極である。基板、透明電極、背面電極はAC駆動分散型ELで述べた材料や構成と同様な仕様である。但し、DC駆動型では直流電流が流れるので絶縁層は設けず、また発光層23も若干異なる。発光層23は若干のバインダーに電気伝導性がある蛍光粉末を分散させたものを、数10μmの厚みで作製する。電気伝導性蛍光体としては、粒径がサブμm〜数μmの細かい粉末を用い、蛍光体粒子の表面を溶液処理やアニール処理によって伝導性を付与したものを用いる。
【0009】
DC駆動分散型ELは最初低電圧で比較的大きな電流が流れるが、この場合には発光は見られない。透明電極を正に、背面電極を負にして長時間電圧印加しておくと、フォーミングと呼ばれる現象が起きて高抵抗化する。これは透明電極側での電気伝導性蛍光体同士の接合が切断された為と考えられている。そしてこの数μmの薄い切断部分に高電界が生ずることにより、発光が見られるようになる。一般的に駆動電圧が数10〜100V程度で数100cd/m2 の輝度が得られるが、効率は0.2〜0.31m/W程度である。
【0010】
「ポーラスSi型EL」
次に、ポーラスSi型ELについて説明する。
まずSiのポーラス膜について説明する。SiやSi化合物等を正極として酸性溶液中で電気化学的反応を起こさせると陽極酸化、もしくは陽極化成と呼ばれる反応を起こす。最も知られている方法としてはSiウェハーを正極としてフッ酸溶液中で微電流を流すと、陽極化成が進行してSiウェハー表面にポーラスSiが生成する。ポーラスSiとはSiの骨格を残した状態で微細な孔が多数開いた状態をいう。この孔の大きさや形状はSiウェハーのドーパントの種類や濃度、陽極化成する場合の溶液のフッ酸の濃度や電流値により数nm〜数μmまで変化する。これを通常3種類に分類して小さい順にミクロポーラスSi、メソポーラスSi、マクロポーラスSiと呼んでいる。一般に、ミクロサイズは2nm以下のポア径のボーラスSiを、メソサイズは2〜50nmのポア径を有するポーラスSiを、マクロサイズは50nm以上のポアサイズを有するボーラスSiを示す。より詳しくは“POROUS SILICON SCIENCE ANDTECHNOLOGY”:J.C.Vial、J.Derrien編集 SPRINGER出版などに記載されている。
【0011】
より具体的な作製方法を図4を用いて説明する。図中は陽極化成、陽極酸化、電着の反応装置の概略図である。図中41はSiウェハーの基板、42は対向電極、43は電解液でフッ酸と水とエタノールの混合溶液、44はテフロン容器等の反応容器、45は定電流源(電源)である。Siウェハーを陽極として数十mA/cm2 の電流を流すと、Siウェハーが高抵抗のpタイプの場合には上述のミクロポーラスSiが得られる。Siウェハーが低抵抗のpタイプの場合にはメソポーラスSiが得られる。nタイプSiウェハーの場合には光照射が必要になるが、pタイプよりはポア径が大きくなる傾向にあり、メソポーラスやマクロポーラスSiとなる。
【0012】
ポーラスSiを用いたEL素子は近年数多く研究されているが、上記分散型ELとは原理的に異なり、所謂LEDである。例えばKoshidaらは、“Appl.Phys.Lett.”Vol.60,347〜349(1992)にポーラスSiを用いたEL素子を報告している。この素子を図3を用いて説明する。
【0013】
図3はポーラスSiを用いたEL素子の概略図である。図中31はSi基板、32はポーラスSi層、33は表面電極、34は背面電極である。ここでSi基板31には、10〜20Ωの中抵抗p−typeのSiウェハーを用い、最初に背面電極34にはAlを蒸着して成膜しておき、オーミック接合を形成する。その後、HF(20%)とエタノールを混合した水溶液中で10mA/cm2 で5〜10分間の反応の条件で陽極化成させ、厚さ数μmのポーラスSi層32を作製する。その後ポーラス層の表面をKOHなどでエッチングし、乾燥、真空引きした後、AuもしくはITOなどの表面電極33を成膜する。この様にして得られた素子の背面電極を正に、表面電極を負にして10〜20V印加していくと数100mA/cm2 の電流が発生し、それに伴つて微弱ではあるがELが観測される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術において、分散型EL素子では輝度が低い、輝度の劣化が速い、高周波駆動しないと輝度が得られない、バインダーにガラスを用いる場合には素子製造工程において高温熱処理が必要なため蛍光体が劣化するなどの問題点があった。またポーラスSiを用いたEL素子の場合には輝度が非常に低い、効率が悪いなど実用上の問題点がある。
【0015】
すなわち本発明の目的は、光機能性を有する薄膜の容易な製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、Siからなる基板を蓚酸水溶液中で陽極酸化することで前記基上に一部もしくは全てがSiOであるポーラス層を形成する工程、形成されたポーラス層中に蛍光体微粒子を分散させる工程を有することを特徴とする光機能性薄膜の製造方法である。
【0021】
もしくは基板上にSiを主体とするポーラス層があり、該ポーラス層中に蛍光体微粒子が分散された構造を有する光機能性薄膜を作製する際に、▲1▼該ポーラス層をフッ素を含有しない水溶液中で陽極酸化して作製する方法、▲2▼該ポーラス層をフッ素を含有する水溶液中で陽極化成して作製する方法、もしくは▲3▼該ポーラス層をフッ素を含有する水溶液中で陽極化成したのち、フッ素を含有しない水溶液中で陽極酸化することにより作製することが有効である。以上の製法において、蛍光体を電着法により作製することや、陽極酸化もしくは陽極化成後、もしくは蛍光体の電着後にアニール処理する工程を有することが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明について詳しく説明する。
まず、本発明で使用するSi及びSi化合物のボーラス膜について説明する。
【0023】
SiやSi化合物等を正極として酸性溶液中で電気化学的反応を起こさせると陽極酸化、もしくは陽極化成と呼ばれる反応を起こす。最も知られている方法としては前述した様にSiウェハーを正極としてフッ酸溶液中で微電流を流すと陽極化成が進行してSiウェハー表面にポーラスSiが生成する現象である。作製直後のポーラス層はそのほとんどがSi骨格を残しており、本発明のデバイスには抵抗が低い為都合が悪い。そこでSi骨格の表面部分を適度に酸化させる必要がある。酸化の方法は、得られた素子をそのまま放置しても徐々に酸化していくが、フッ酸以外の酸で再度陽極酸化したり、酸化作用のある雰囲気の中でアニールする方法がある。また、この様なポーラスSiはSiの単結晶基板ではなくても、Siの薄膜やSiC等の他の組成の基板でも作製可能である。
【0024】
フッ素を含まない酸性水溶液中ではSiウェハーを陽極酸化してもSiウェハー表面に薄い酸化膜が出来る場合が多いが、V.Lahmannらが“Jounal of Electrochemical Society”Vol.143(1996)pl313〜1318で報告している様に、電圧を高くしていくと表面に微細な凹凸ができ、密度の低い酸化シリコン層が形成されることが知られている。この密度の低い酸化シリコン層については殆ど調べられていないが、本発明者らは微細孔がスポンジ状に開いたポーラス状であることを確認した。この孔は上記フッ酸中の陽極化成とは異なり、ドーパントの種類や濃度、陽極酸化する場合の溶液の濃度や電流値にほとんど依存せず数nm〜数十nmの範囲に入る構造を有する。この様なポーラスSiO2 を形成する酸としては蓚酸、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸などがあげられる。
【0025】
以上のようにして得られたポーラス膜のポア内に蛍光体を埋め込むには電着が好ましい。電着法ならば各種の方法が利用可能であるが、交流電着法がポーラス膜表面に余分な微粒子や膜の付着を防止するのに都合が良い。電着方法は陽極化成や陽極酸化と同様の図4の装置により可能である。この場合溶液は電析させる蛍光体に合わせて調合する。また電源も交流パルス印加が可能な電源を使用する。印加する電圧はポーラス膜の性質に依存するが、絶縁性が高いほど印加電圧も高くすると良い。
【0026】
また埋め込む蛍光体としては電子線励起が可能な材料が必要であるが、その蛍光体が紫外線を放出させる場合には紫外線励起の蛍光体も同時に用いることが出来る。この場合には紫外線励起の蛍光体は電着で作製する必要はなく、塗布によって紫外線が届く範囲内に成膜してもかまわない。交流電着法によっても表面に余分な粒子や膜が付着する場合があるが、これはデバイス特性に悪影響を及ぼす可能性があるので除去することが好ましい。除去の方法としては逆スパッタ法や溶液による化学的除去が有効である。
【0027】
蛍光体としては電着できる材料が好ましいが、それにはZnO:Znが有効である。ZnO:Zn蛍光体の電着の報告はいくつかあるが、例えばIzakiらは、“J.Elecyrochem.Soc.”Vol.143,L53(1996)で以下のように報告している。Znの硝酸水溶液を0.01〜0.5mol/Lの濃度で用意し、カソードに基板を、アノードにZnを用いてAg/AgCl基準電極に対しカソードを−lV程度にする。そうするとZnO膜が0.0lμm/min程度の速度で成膜される。
【0028】
上記の方法によりポーラス膜中に蛍光体を埋め込めるが、ポーラス層がフッ素を含まない水溶液中の陽極酸化で作製された場合にも同様に適用できる。但し電着の条件が高電圧側にシフトする。
【0029】
また発光層を厚く作製する為にフッ酸溶液中でマクロポーラスSi層を作製後にフッ酸以外の溶液で陽極酸化させることによりポーラスSi/SiO2 複合構造を作製できる。
【0030】
また蛍光体の電着後にアニールを施すことにより発光特性が改善される場合がある。これは蛍光体微粒子の結晶性や組成比の改善や形状変化、およびポーラス部分との界面の改善が原因と考えられる。
【0031】
このようにして得られた蛍光体を埋め込んだ光機能性薄膜のデバイス特性を評価するには、透明電極と背面電極でその薄膜を挟んで電界を印加すればよい。ここで特にAC駆動の場合には誘電体層を積極的にポーラス層に隣接して成膜しても良いが、ポーラスSiO2 層自身に絶縁層の役割を担わせてもよい。
【0032】
この様にして得られた薄膜は光機能性を有し、特に発光デバイスとして従来型のELと比ベて輝度や発光効率、寿命などの特性が改善され、またその製法も簡易である。
以上の説明はSiウェハーに限定して記述されているが、ポリシリコンやアモルファスシリコンのような薄膜でも同様に作製可能である。
【0033】
【実施例】
以下に実施例をあげて、本発明をさらに詳しく記述する。
なお、以下の実施例1〜3において、実施例2は本発明の実施例を示し、実施例1および実施例3は参考例を示す。
【0034】
実施例1
本発明に関わる光機能性薄膜および発光デバイスについて、図4と図5を用いて説明する。
図5は陽極化成ポーラスSi膜を用いたAC駆動分散型EL素子の概略図である。
【0035】
図4において、41はSiウェハー、42は対向電極、43はフッ酸と水とエタノールの混合溶液、44はテフロン容器、45は定電流源である。まずフッ酸とエタノールと水を1:1:3に混合した溶液を用意し、その溶液中で室温にてpタイプの中抵抗基板を陽極とし、白金を陰極として数10mA/cm2 の電流を流してポーラスSiを作製する。ここでSi基板52の背面には、背面電極51としてAl電極を蒸着してオーミック接合を作製しておいた。また図示してはいないが、陽極化成中にAlが溶液に触れないよう背面部分はシールドされている。ポーラス層53の厚みが数μmになったら陽極化成を終了して蒸留水で洗浄し、イソプロピルアルコールに浸して洗浄した後乾燥させて、FE−SEM(Field Emission−Scanning Electron Microscope:電界放出走査型電子顕微鏡)により観察したところ、図5(a)に示すポーラス層53を得た。
【0036】
次に、ポーラス層53の部分を若干酸化させる為に0.3Mの硫酸水溶液中で図4と同様な装置により陽極酸化を30Vで数秒間施した。その後蒸留水洗浄し、イソプロピルアルコールに浸して後乾燥させた。
【0037】
このようにしで得られたポーラス層53のポア内に蛍光体を埋め込む為に電着を施した。電着にはやはり図4と同様の装置が使用可能である。この場合溶液は硝酸亜鉛を溶かした水溶液にして、電源も交流パルス印加が可能な電源を使用する。溶液は硝酸亜鉛0.1mol/Lの水溶液であり、溶液温度を50℃に保持しながら、15Vの交流(50Hz)電圧を数十秒印加することにより図5(b)の様なポーラス層内にポア径に依存して粒径数10nm〜数100nmのZnO超微粒子54が電着した構造が得られた。この際表面にもZnOが付着する場合があるので、りん酸などにより表面を短時間洗浄して除去した後、還元雰囲気で短時間アニール処理を施した。
【0038】
次に、得られた蛍光体を埋め込んだポーラス膜の特性を評価する為にまず絶縁層55を作製した。絶縁層はSiO2 薄膜であり、スパッタリング法により数100nmの厚さに成膜した。ここで絶縁層は絶縁性で誘電体ならばSiO2 でなくても構わない。そしてポーラス層上および絶縁層55上に透明電極56をITO成膜により作製した。
【0039】
この素子と比較するために同じ基板にZnO蛍光体を低融点ガラスで埋め込み発光層を形成し、その上にSiO2 絶縁層を成膜して表面にITO透明電極を着けEL素子を作製した。室温にて300V、200Hzの電界を印加して発光特性を比較、評価したところ、どちらの素子も同程度の発光を示した。しかし100v、100Hzの電界印加の場合には本発明の素子の方が50%以上発光強度が高かつた。即ち低電場、低周波での特性が優れていることがわかる。
【0040】
実施例2
つぎに本発明の別の形態の実施例について図4と図6を用いて説明する。
図6は陽極酸化ポーラスSiO2 膜を用いたAC駆動分散型EL素子の概略図である。
【0041】
まず、図4に示した装置によリポーラスSiO2 を作製する。この場合水溶液は0.3Mの蓚酸水溶液であり、Siウェハーを陽極にして酸化する。Siの電極は背面に背面電極64のAl電極をオーミック接合させて作製した。この場合電圧を約40Vに定電圧設定し、数mA/cm2 の電流値で数時間処理した。電流値は最初急速に減少した後、数mA/cm2 の付近で揺らいだ。こうして得られたポーラス層62の断面をFE−SEM観察したところ、図6(a)に示す様に、基板61上のSiO2 マトリックス内にポア63が分散された構造、即ちポア径が数nm〜数十nmで微細孔がスポンジ状に開いたポーラス膜が形成されていた。この孔は基板表面から離れると均―ではなく、部分的に高密度に開いていた。
【0042】
以上のようにして得られたポーラス膜のポア内に蛍光体を埋め込む為に実施例1と同様に電着を施した。但しポーラス層の絶縁性が大きいので印加電圧は若干高めに設定した。電着を数分間施した後に蒸留水、イソプロピルアルコールの順で洗浄し、得られたポーラス層の断面をFE−SEM観察した結果、図6(b)に示す様に、ポア内に蛍光体微粒子65のZnO微粒子が埋め込まれたナノ構造体が得られた。この蛍光体微粒子65の粒径はポアの粒径を反映して数nm〜数十nmの大きさであった。
【0043】
こうして得られた膜を還元雰囲気でアニールした後、この蛍光層の上部に更に紫外線励起が可能な蛍光体層66を、蛍光体に低融点ガラスを混合して塗布焼成をすることにより作製した。ここで紫外線励起可能な蛍光体として、YVO4 :Eu3+、Y23 :Eu3+、YBO3 :Eu3+などを用いた。
【0044】
次に、得られた光機能性薄膜の特性を評価する為に不要な部分に成膜されないようマスクを施して透明電極67をITO成膜により作製した。この素子の特性を評価するために実施例1と同様な従来型EL素子と比較した。室温にて400V、400Hzの電界を印加して発光を評価したところ、本発明の素子の方が20%以上発光強度が高かった。また100V、l00Hzの電界印加の場合には本発明の素子の方が60%以上発光強度が高かった。即ち低電場、低周波での特性が優れていることがわかる。
【0045】
実施例3
つぎに本発明の別の形態を有する実施例について図4と図7を用いて説明する。
図7は、ポーラスSi/SiO2 膜を用いたAC、DC駆動分散型EL素子の概略図である。
【0046】
図4において、41はSiウェハー、42は対向電極、43はフッ酸と水とエタノールの混合溶液、44はテフロン容器、45は電流源である。まずフッ酸とエタノールと水を1:1:10に混合した溶液を用意し、その溶液中で室温にてnタイプの中抵抗基板を陽極とし、白金を陰極として光照射させながら10〜20mA/cm2 の電流を流してポーラスSiを作製する。ここでSi基板71の背面には背面電極72のAl電極を蒸着してオーミック接合を作製しておいた。また図示してはいないが、陽極化成中にAlが溶液に触れないよう背面部分はシールドされている。ポーラス層の厚みが数μmになったら陽極化成を終了して蒸留水洗浄し、イソプロピルアルコールに浸して洗浄した後、乾燥させてFE−SEMにより観察したところ、図7(a)に示すマクロポーラス層73を得た。このマクロポーラスのポア径は数μmであった。
【0047】
次に同じ装置によりポーラスSiO2 を作製する。この場合水溶液は0.3Mの蓚酸水溶液であり、Siウェハーを陽極にして酸化する。この場合電圧を約40Vに設定し、数mA/cm2 の電流値で数時間処理した。電流値は最初急速に減少した後、数mA/cm2 の付近で揺らいだ。
【0048】
こうして得られたポーラス層の断面をFE−SEM観察したところ、図7(b)に示す様に、マクロポーラスSi層内のポア78から基板内側に向かってSiO2 ポーラス層74が形成された。このポーラス層74はポア径が数nm〜数十nmで微細孔がスポンジ状に開いたポーラス膜であつた。
【0049】
以上のようにして得られたポーラス膜のポア内に蛍光体を埋め込む為に実施例1と同様に電着を施した。但し印加電圧は絶縁性が高い若干高めに設定した。交流電着を数分施した後に蒸留水、イソプロピルアルコールの順で洗浄し、得られたポーラス層の断面をFE−SEM観察した結果、図7(c)に示す様にポーラスSiO2 のポア内とマクロポーラスのポア内の一部にZnOが埋め込まれたナノ構造体が得られた。こうして得られた膜を還元雰囲気でアニールした。この蛍光体微粒子の大きさはポアの粒径を反映して数十nm〜数μmであつた。
【0050】
次に得られた光機能性薄膜の特性を評価する為に表面電極を成膜するが、本実施例ではマクロポーラスSiを用いているので、まずマクロポーラス中のポア内部に電極を作製するために、Snの電着を施し内部電極76を形成した。その後不要な部分に成膜されないようマスクを施して表面透明電極77をITO成膜により作製した。
【0051】
この素子の特性を評価するために実施例1と同様な従来型EL素子と比較した。室温にて200V、200Hzの電界を印加して発光を評価したところ、本発明の素子の発光強度の方が60%程度大きかった。またl0時間駆動した後の発光強度の減衰率は本発明の素子の方が40%程度小さかった。このことから本発明のデバイスの方が輝度、寿命とも改善されていることがわかる。
【0052】
また背面電極72にマイナス、表面電極77にプラスの直流電界を印加しても発光が観測された。即ち本素子はDC駆動ELとしても応用可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明の光機能性薄膜、発光デバイス、およびその製造方法を用いることにより以下の効果が得られる。
1)簡易な方法により発光機能を有する光機能性薄膜が得られる。
2)定電圧、低周波で効率の良い発光デバイスが得られる。
3)Siと組み合わせ容易な発光デバイスが得られる。
4)光機能性薄膜や発光デバイスの簡易な製法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】AC駆動分散型EL素子の概略図である。
【図2】DC駆動分散型EL素子の概略図である。
【図3】ポーラスSiを用いたEL素子の概略図である。
【図4】陽極化成、陽極酸化、電着の反応装置の概略図である。
【図5】陽極化成ポーラスSi膜を用いたAC駆動分散型EL素子の概略図である。
【図6】陽極酸化ポーラスSiO2 膜を用いたAC駆動分散型EL素子の概略図である。
【図7】ポーラスSi/SiO2 膜を用いたAC、DC駆動分散型EL素子の概略図である。
【符号の説明】
11、21、41 基板
21、22、56、67、77 透明電極
13、23 発光層
14 誘電体層(絶縁層)
15、24、34、51、64、72 背面電極
31、52、61、71 Si基板
32 ポーラスSi層
33 表面電極
42 対向電極
43 電解質
44 反応容器
45 電源
53 ポーラス層
54 蛍光体
55 絶縁層
62 ポーラスSiO2
63、78 ポア
65 蛍光体微粒子
66 蛍光体層
73 マクロポーラス層
74 SiO2 ポーラス層
75 蛍光体分散層
76 内部電極

Claims (7)

  1. Siからなる基板を蓚酸水溶液中で陽極酸化することで前記基上に一部もしくは全てがSiOであるポーラス層を形成する工程、形成されたポーラス層中に蛍光体微粒子を分散させる工程を有することを特徴とする光機能性薄膜の製造方法。
  2. 前記ポーラス層中に蛍光体を電着させて蛍光体微粒子を分散させる請求項1記載の光機能性薄膜の製造方法。
  3. 前記陽極酸化後、もしくは蛍光体の電着後にアニール処理する工程を有する請求項2記載の光機能性薄膜の製造方法。
  4. 前記陽極酸化において、前記Siからなる基板の背面にはAl電極が前記Siからなる基板に対してオーミック接合されており、前記Siからなる基板は陽極であることを特徴とする請求項1に記載の光機能性薄膜の製造方法。
  5. 前記蛍光体微粒子はZnO微粒子であることを特徴とする請求項4に記載の光機能性薄膜の製造方法。
  6. 前記蛍光体微粒子を分散させる工程の後、還元雰囲気でアニールする工程と、蛍光体層を更に設ける工程を有することを特徴とする請求項5に記載の光機能性薄膜の製造方法。
  7. 前記蛍光体層を更に設ける工程とは、前記蛍光体層をYVO :Eu 3+ 、Y :Eu 3+ 、YBO :Eu 3+ のいずれかと低融点ガラスとを混合して塗布焼成することにより作成する工程であることを特徴とする請求項6に記載の光機能性薄膜の製造方法。
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