JP5591575B2 - ワイヤグリッド偏光板の製造方法 - Google Patents
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本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法において、前記ポリマー溶液の硬化は、前記基板を熱したホットプレート上に置いて前記ポリマー溶液の溶媒を揮発させることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法において、エーテル結合を末端に持つシランを前記シリコンウエハの表面にカップリングし、他方の末端基をフッ素とした前記基板を用いることが好ましい。
基材は、特定方向に延在する格子状凹凸形状を有する基材であって、目的とする波長領域において実質的に透明であればよい。また、特定方向に延在するとは、格子状凹凸形状が実質的に延在していればよく、格子状凹凸形状が厳密に平行に延在している必要はない。
基材は、表面に格子状凹凸を有する基板を型としてスピンコート法を用いることにより形成することができる。基板としては、シリコンウエハ、ガラス、ニッケル電鋳板等を用いることができるが、基材の平坦性の面からシリコンウエハが好ましく、また、大面積のワイヤグリッド偏光板を得るにはガラスが好ましく用いられる。以下に、基板としてシリコンウエハを用いた場合の基材の作製方法について説明する。
シリコンウエハ上にレジストを形成した後、半導体素子製造装置の一つである縮小投影型露光装置(ステッパー)を用いて、レチクルの微細パタンを縮小投影レンズにより縮小し、レジストを塗布したシリコンウエハ上を移動しながら投影露光する。感光した部分のレジストを除去した後、レジストで被覆されていない部分をドライエッチング法で選択的にエッチングし、シリコンウエハに微細パタンを作製することができる。レチクルのパタンサイズや露光・エッチング条件を変更することにより、シリコンウエハに形成されるナノパタン形状サイズを制御することができる。例えば、シリコンウエハ表面に格子状凹凸形状を100nm〜140nmピッチで形成する。
基材は、表面に格子状凹凸形状を有するシリコンウエハ上にスピンコート法を用いて樹脂(ポリマー)溶液を塗布した後、ポリマー溶液を硬化させて樹脂フィルムとし、当該樹脂フィルムをシリコンウエハから剥離することにより樹脂から構成される基材を得ることができる。
前記のように基材の格子状凹凸形状の延在方向に対して垂直な面内における凹部断面形状は特に制限がなく、放物線のようになだらかに曲率が変わる曲線であってもよく、比較的に平らな凹部低部と小さな曲率の角部から構成される略矩形形状であってもよい。格子状凸部の凸部高さ/凸部半値幅の値は、1.0〜10程度であることが好ましく、得られる光学性能と、凸部形状の作りやすさ、転写のしやすさを考慮すると1.5〜5であることがより好ましい。また、格子状凸部の半値幅は、ピッチの0.1倍〜0.6倍であることが好ましく、0.15倍〜0.4倍であることがより好ましい。
基材を構成する材料と金属ワイヤとの密着性向上、ワイヤグリッド偏光板の強度向上ため、両者の間に両者と密着性が高い誘電体材料を好適に用いることができる。例えば、珪素(Si)の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体またはその複合物(誘電体単体に他の元素、単体または化合物が混じった誘電体)や、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、銅(Cu)などの金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体またはそれらの複合物を用いることができる。誘電体材料は、透過偏光性能を得ようとする波長領域において実質的に透明であればよい。
金属ワイヤの金属としてアルミニウムや銀の他、対象とする光の波長領域に応じて、銅、白金、金またはこれらの各金属を主成分とする合金を使用することもできる。
金属ワイヤは、格子状凹凸形状を有する基材の凸部の一方向側の側面に接し、上部が基材の凸部頂部より上方に伸びるよう設けられた構造を有している。金属ワイヤを、格子状凹凸形状を有する凸部頂部より上方に伸びるよう設けることで、偏光特性が向上し、光の損失を減らすことができる。中でも、基材の格子状凹凸形状の延在方向に対して垂直な面内における凹部底部から凸部頂部までの高さのうち、頂部から90%までの任意の高さにおいて、金属ワイヤの幅をa、格子状凸部の幅をbとしたときに、0.3≦a/bであることが光学対称性、偏光透過率などの光学性能、ワイヤグリッドの構造強度の観点から好ましく、さらに、0.4≦a/b≦3.0であることがより好ましい。ここで、金属ワイヤの幅a、格子状凸部の幅bの値は、平均的な数字であり、実際には基材の格子状凹凸形状の延在方向に対して垂直な面内で断面形状をSEMやTEMで観察し、任意の一断面のとなりあう3本の平均値から求める。基材の格子状凹凸形状の延在方向に対して、ある厚みの平均的な形状を観察できるTEMは観察方法として好ましい。
光学特性の観点から、必要に応じ凹凸格子の凹部底部に積層する金属を、エッチングにより除去する。エッチング方法は、基材や誘電体層に悪影響を及ぼさず、必要量の金属が除去できる方法であれば特に限定は無いが、生産性や装置コストの観点から酸やアルカリの水溶液に浸漬させる方法が好ましい。
特に用いる光学基材に制限はないが、ワイヤグリッド偏光板の平坦性を活かした用途として、LCDパネルに直接貼り付けることで、好適に用いられる。LCDパネルに直接貼り付けることで、LCDパネル偏光部の薄型化を達成できる。また、平坦性向上により、偏光特性を保持したハーフミラーや偏光ビームスプリッターとして好適に用いられる。
(Siウエハーの作製)
<格子状凹凸パタンを有するシリコンウエハの作製>
クロム薄膜層を有する合成石英ガラス上にフォトレジスト(感光性物質)を塗布し、プリベーク後、電子ビーム露光装置を用いて40mm×80mm領域でレジストに微細パタンを描画した。40mm×80mm領域内部の描画形状は、300μm×100μmを1つの素子とし、素子内部では特定方向に延在する格子状凹凸形状を有しており、隣り合う素子間の格子状凹凸の成す角が90°となるように配列させた。現像処理後、レジストのパタンから露出しているクロム層部分をエッチングし、レジストパタンをクロム層に転写した後、レジスト残渣を洗浄しレチクルを作製した。
表面に格子状凹凸形状を有するシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いてポリマー溶液を塗布した後、ポリマー溶液を硬化させて樹脂フィルムとし、当該樹脂フィルムをシリコンウエハから剥離した。
ポリマー溶液の温度:24℃
シリコンウエハの温度:24℃
雰囲気温度:24℃
スピンコートの回転数:300rpm
ポリマー溶液の硬化温度:180℃
次に転写フィルム(剥離した樹脂フィルム)の格子状凹凸形状転写表面に、スパッタリング法により誘電体層として二酸化珪素を成膜した。スパッタリング装置条件は、Arガス圧力0.2Pa、スパッタリングパワー770W/cm2、被覆速度0.1nm/sとし、転写フィルム上の誘電体平均厚みが3nmとなるように成膜した。ここでは、誘電体の厚みを測定するため表面が平滑なガラス基板を転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板上の誘電体厚みを誘電体平均厚みとした。
次に誘電体層を成膜した転写フィルムの格子状凹凸形状転写表面に、真空蒸着によりアルミニウム(Al)を成膜した。Alの蒸着条件は、常温下、真空度2.0×10−3Pa、蒸着速度40nm/sとした。Alの厚みを測定するため表面が平滑なガラス基板を転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板上のAl厚みをAl平均厚みとし、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源のなす角度を蒸着角θとした。転写フィルムAは蒸着角θを20°、Al平均厚みを100nmとし、転写フィルムBは蒸着角θを15°、Al平均厚みを100nm、転写フィルムCは蒸着角θを25°、Al平均厚みを120nmとした。
次にAlを蒸着した転写フィルムをアルカリ水溶液に浸漬し不要なAlを除去した。不要Alの除去としては、Al蒸着した転写フィルムを室温下で、0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液に所定時間浸漬することで行った。
(格子状凹凸形状を有する樹脂基材の作製)
・紫外線硬化樹脂を用いた格子状凹凸形状転写フィルムの作製
格子状凹凸形状転写フィルムの作製には、Ni製金型を用いた。Ni製金型は格子状凹凸形状のピッチが130nmで、特定方向(格子の延在する方向)に垂直な断面における凹部形状が略矩形である。厚み80μmのトリアセチルセルロース樹脂(以下、TACと略す)フィルムに特開2009−19174の実施例2に示す光硬化性樹脂を約3μm塗布し、塗布面を下にし、金型とTACフィルム間に空気が入らないように乗せた。TACフィルム側から中心波長365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cm2照射し、金型について格子状凹凸形状を転写した。TACフィルムを金型から剥離し、縦300mm、横200mmの格子状凹凸形状を転写したフィルムを作製した(以下、転写したフィルムという)。
・スパッタリング法を用いた誘電体層の形成
次に転写フィルムの格子状凹凸形状転写表面に、スパッタリング法により誘電体層として二酸化珪素を成膜した。スパッタリング装置条件は、Arガス圧力0.2Pa、スパッタリングパワー770W/cm2、被覆速度0.1nm/sとし、転写フィルム上の誘電体平均厚みが3nmとなるように成膜した。ここでは、誘電体の厚みを測定するため表面が平滑なガラス基板を転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板上の誘電体厚みを誘電体平均厚みとした。
次に誘電体層を成膜した転写フィルム格子状凹凸形状転写表面に、真空蒸着によりアルミニウム(Al)を成膜した。Alの蒸着条件は、常温下、真空度2.0×10−3Pa、蒸着速度40nm/sとした。Alの厚みを測定するため表面が平滑なガラス基板を転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板上のAl厚みをAl平均厚みとし、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源のなす角度を蒸着角θとした。転写フィルムAは蒸着角θを20°、Al平均厚みを100nmとした。
次にAlを蒸着した転写フィルムをアルカリ水溶液に浸漬し不要なAlを除去した。不要Alの除去としては、Al蒸着した転写フィルムを室温下で、0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液に所定時間浸漬することで行った。
上記実施例、比較例で作製した基材(転写フィルム)の平坦性について評価を行った。
単層膜の透過率Tは膜厚をd、入射角をθ、屈折率をnとすると、下記式のようになる。
Claims (5)
- 表面に凹凸構造を有する基板上に、スピンコート法を用いてポリマー溶液を塗布する工程と、
前記基板表面に形成された前記ポリマー溶液を硬化させて樹脂フィルムとする工程と、
前記樹脂フィルムを前記基板から剥離する工程と、を有し、
前記基板として、シリコンウエハを用い、
前記ポリマー溶液の硬化は、前記基板を加熱して前記ポリマー溶液の溶媒を揮発させることを特徴とするワイヤグリッド偏光板の製造方法。 - 前記ポリマー溶液の硬化は、前記基板を熱したホットプレート上に置いて前記ポリマー溶液の溶媒を揮発させることを特徴とする請求項1に記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
- エーテル結合を末端に持つシランを前記シリコンウエハの表面にカップリングし、他方の末端基をフッ素とした前記基板を用いる請求項1又は請求項2に記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
- 前記基板から剥離した樹脂フィルム上に金属膜を蒸着する工程をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
- 前記基板上に前記ポリマー溶液を塗布する前に、前記基板の表面に離型剤を形成する工程を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板の製造方法。
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