JP2014082196A - アルカリ蓄電池及びアルカリ蓄電池用の正極材 - Google Patents

アルカリ蓄電池及びアルカリ蓄電池用の正極材 Download PDF

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Abstract

【構成】 アルカリ蓄電池用正極材は、水酸化ニッケルと、Caの化合物またはSrの化合物のいずれか一つ以上、とを含有する。水酸化ニッケルの結晶子中に、Al,Ga,Mn,およびMoから成る群の少なくとも一つの元素であるA元素が固溶している。A元素の含有量である[A]/([Ni]+[A])が、5%以上16%以下である。さらに、水酸化ニッケルが、α相の水酸化ニッケルとβ相の水酸化ニッケルとを含んでいる。ここで、[A]は、結晶子中のA元素のmol濃度を、[Ni]はNiのmol濃度を表す。
【効果】 反応電子数が大きく、かつ正極材の容積当たりの容量が大きい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アルカリ蓄電池、および、その正極材に関する。
ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池等のアルカリ蓄電池では、反応電子数および蓄電池の放電容量を増やすために、α−Ni(OH)を、正極活物質とすることが検討されている。
アルカリ性の媒体中で、α−Ni(OH)(α相の水酸化ニッケル)を安定化するために、α−Ni(OH)中に、Ni元素の5−20mol%相当のAlを固溶させることが提案されている(例えば、JP2010−111522を参照)。この場合、NiとAlとのモル比は、95:5〜80:20となる。
正極材中のNi(OH)の導電性が低いため、CoOOHの微粒子で、Ni(OH)粒子の表面を被覆することが行われている(WO2006/064979A1を参照)。
JP2007−335154は、CoOOH中に、Y,Ca,Sr,Sc等の元素を分散させることにより、高温でのNiの利用率(Ni原子当たりの放電反応の電子数)が向上することを開示している。また、この文献は、水酸化ニッケル中に、Zn,Ca等の元素を固溶させることを開示している。しかしながら、この文献には、ZnおよびCaの正極材中での作用は、記載されていない。なお、この文献には、Ni(OH)の相は記載されていない。さらに、Al等の固溶も記載されていない。このため、この文献の技術では、β−Ni(OH)を用いることが前提とされていると推定できる。
JP2010-111522 WO2006/064979A1 JP2007-335154
本発明の目的は、正極活物質の反応電子数を増加させること、及び、正極材の容積当たりの放電容量を大きくすることにある。
本発明のアルカリ蓄電池用正極材は、水酸化ニッケルと、Caの化合物またはSrの化合物のいずれか一つ以上、とを含んでおり、前記水酸化ニッケルの結晶子中に、Al,Ga,Mn,およびMoから成る群の少なくとも一つの元素であるA元素が固溶しており、A元素の含有量である[A]/([Ni]+[A])が、5%以上16%以下であり、かつ、水酸化ニッケルが、α相の水酸化ニッケルとβ相の水酸化ニッケルとを含んでいる。ここで[A]は、前記結晶子中の前記A元素のmol濃度を、[Ni]はNiのmol濃度を表す。
また本発明のアルカリ蓄電池は、本正極材および基材を含む正極と、負極と、アルカリ性の電解液、とを有する。なお、正極材に関するこの明細書の記載は、そのままアルカリ蓄電池にも当てはまる。以下の説明は、正極材とアルカリ蓄電池との双方に関する。
A元素となりえる、Al,Ga,Mn,およびMoは、いずれも、水酸化ニッケルの結晶子中のニッケル原子の一部と置換されているか、もしくは水酸化ニッケルの結晶子中の層間に存在する。水酸化ニッケルの結晶子中へのA元素の固溶は、A元素がニッケル原子の一部と置換されていること、および、A元素が結晶子中の層間に位置すること、を含む。A元素が水酸化ニッケルの結晶子中に固溶されることによって、α−水酸化ニッケルが安定化される。通常、これらの元素が、Niに対して20mol%程度、固溶されることによって、α相が単相化されることが知られている。固溶量が20mol%未満であれば、α相とβ相との混相状態が生じる。ここで,本出願における混相状態とは、1つの1次粒子内にα相とβ相とが混在している状態を指す。また、β相では、通常、充放電過程において反応する電子数は、1である。これに対して、α相では、それ以上の反応電子数が得られることが報告されている。このような、Al等が固溶した水酸化ニッケルを含む、正極材に、カルシウム化合物、ストロンチウム化合物あるいはこれらの混合物を含有させると、酸素の発生電位が増加する。このため、充電時に、水酸化ニッケルを充分に酸化できる。その結果、Niの反応電子数が上昇する。したがって、大容量の正極材及び大容量のアルカリ蓄電池を得ることができる。
本正極材では、[A]/([Ni]+[A])は、5−16%である。ここで、[A]は、Al,Ga,Mn,およびMoから成る群の少なくとも一つの元素であるA元素のmol濃度を表す。また、[Ni]は、Niのmol濃度を表す。
水酸化ニッケルに、カルシウム化合物及び/またはストロンチウム化合物を含有させることの効果は、水酸化ニッケル中のA元素の固溶量と密接な関係がある。A元素を固溶していない水酸化ニッケルに、カルシウム化合物及び/またはストロンチウム化合物を含有させても、反応電子数はほとんど変化しない。これに対して、アルミニウム等のA元素の固溶量が5mol%である場合、カルシウム化合物及びストロンチウム化合物を含有させることは、反応電子数を著しく増加する。A元素の固溶量を10mol%,15mol%と増加させると、カルシウム化合物及びストロンチウム化合物による、反応電子数の増加は、やや小さくなる。A元素の固溶量が20mol%では、カルシウム化合物及び/またはストロンチウム化合物による、反応電子数の増加は、僅かになる。なお、この明細書では、Al,Ga,Mn,およびMoから成る群の少なくとも一つの元素であるA元素の含有量を[A]/([Ni]+[A])により、%単位で示す。[A]は、Al,Ga,Mn,およびMoから成る群の少なくとも一つの元素であるA元素のmol濃度を示す。[Ni]は、ニッケルのmol濃度を示す。
反応電子数の増加は、カルシウム化合物およびストロンチウム化合物で生じる。反応電子数の増加は、Mg化合物及びBa化合物では、実質的に生じない。従って、アルカリ土類金属全般ではなく、カルシウム化合物およびストロンチウム化合物が有効である。また、カルシウム化合物は、ストロンチウム化合物よりもやや大きい効果を奏する。そのため、カルシウム化合物が特に好ましい。なお、これらのことは、正極中に少量のMg化合物あるいはBa化合物を含有することを排除しない。
カルシウム化合物の含有量が0〜1mass%の範囲では、カルシウム化合物の含有量の増加につれて、反応電子数が急激に増加する。1〜5mass%の範囲では、カルシウム化合物の含有量を増すにつれて、反応電子数は緩やかに増加する。また、ストロンチウム化合物の含有量を増しても、反応電子数は、カルシウム化合物の場合と同様の傾向で変化する。これらの化合物の含有量を、この明細書では、酸化物に換算した値で示す。この明細書では、“カルシウム化合物とストロンチウム化合物との合計含有量”に、意味がある。Al,Ga,Mn,およびMoから成る群の少なくとも一つの元素であるA元素の固溶量が、5mol%以上16mol%以下では、カルシウム化合物とストロンチウム化合物との合計含有量が増すにつれて、反応電子数も増加する。特に1mass%までの含有量では、カルシウム化合物とストロンチウム化合物との合計含有量を増すと、反応電子数が、著しく増加する。このことから、カルシウム化合物とストロンチウム化合物との合計含有量は、0.2mass%以上であることが好ましく、0.3mass%以上であることがより好ましく、0.5mass%以上であることが特に好ましい。また、カルシウム化合物とストロンチウム化合物との合計含有量は、5mass%以下であることが好ましく、3mass%以下であることがより好ましく、1mass%以下であることが最も好ましい。
上限と下限とを含む範囲では、Al,Ga,MnおよびMoから成る群の少なくとも一つの元素であるA元素の固溶量が、5mol%以上16mol%以下であり、かつ、カルシウム化合物とストロンチウム化合物との合計含有量が、0.2mass%以上5mass%以下であることが好ましい。A元素の固溶量が5mol%以上16mol%以下では、カルシウム化合物とストロンチウム化合物との合計含有量は、0.3mass%以上3mass%以下であることがより好ましく、0.5mass%以上、2mass%以下であることが最も好ましい。A元素の固溶量が、7mol%以上、15mol%以下である場合も、8mol%以上12mol%以下である場合も、カルシウム化合物とストロンチウム化合物との合計含有量の好ましい範囲は、同じである。
CaOの有無に応じた、反応電子数の変化を示す特性図(グラフ)である。 アルミニウム固溶量と水酸化ニッケルのタップ密度との関係を示す特性図(グラフ)である。 アルカリ土類元素の種類に応じた、反応電子数の変化を示す特性図(グラフ)である。正極材へのAlの固溶量は、10mol%である。 アルカリ土類元素の種類に応じた、充電曲線の変化を示す特性図(グラフ)である。正極材へのAlの固溶量は、10mol%である。 CaO含有量の反応電子数への影響を示す特性図(グラフ)である。正極材へのAlの固溶量は、10mol%である。
以下に、本発明の実施例を示す。本発明の実施に際しては、当業者の常識及び先行技術の開示に従い、実施例を適宜に変更できる。
正極材の調製
NiSOの水和物とAl(SOの水和物とを含む、混合水溶液を、Ni2+イオン濃度とAl3+イオン濃度の和が1mol/Lとなるように、調製した。この混合水溶液を、激しく撹拌しながら、(NHSO水溶液に滴下した。この(NHSO水溶液の温度は45℃であり、pHは11であった(NaOH水溶液によりpHを11に調整した)。これにより、Ni(OH)およびAl(OH)を共沈させた。Al(OH)粒子は、Ni(OH)粒子の表面に実質的に析出しない。その代わりに、Al(OH)粒子のAl3+イオンは、Ni(OH)粒子中に取り込まれて、少なくとも一部がNi2+イオンと置換する。この明細書では、Alで3mol%固溶という表現は、水酸化ニッケルの粒子中における、AlとNiの合計濃度を100mol%として、アルミニウム濃度が3mol%であることを意味する。上記の共沈反応で、Ni及びAlのほぼ全量が、沈殿する。このため、NiSOとAl(SOとの仕込量の比により、水酸化ニッケルのアルミニウム濃度を制御できる。水酸化ニッケルに、さらにZnを固溶させる場合、例えばZnSOを、NiSOとAl(SOとの混合水溶液に加えることにより、Zn(OH)が、Ni(OH)およびAl(OH)と共沈する。
Ni(OH)およびAl(OH)を共沈させるだけであれば、pHは、それぞれが析出する範囲であれば良い。これに関し、正極材のタップ密度(タッピングを施した後の正極材の体積密度)を高くするため、pHは、10以上12以下であることが好ましく、10.5以上11.5以下であることが特に好ましい。NiSOの代わりに、任意の水溶性のNi塩を用いてもよい。Al(SOの代わりに、任意の水溶性のアルミニウム塩を用いてもよい。またNi(OH)およびAl(OH)を共沈させる前に、Ni2+イオンをNi2+イオンのアンミン錯体に変化させておいても良い。
濾過によって得られた沈殿物に、水洗と乾燥とを施した。これにより、水酸化ニッケルを得た。この水酸化ニッケルの結晶子中には、Alが固溶されている。次いで、水酸化ニッケルに、Ca化合物またはSr化合物の微粉末と、α−Co(OH)等のCo化合物の微粉末とを混合した。本実施例では、Ca化合物またはSr化合物として、CaOあるいはSrOを用いた。Ca化合物またはSr化合物としては、他にもCa(OH),およびSr(OH)等を用いてもよい。さらに、水酸化ニッケルを含む混合物に、1mass%濃度のカルボキシルメチルセルロース(CMC)水溶液と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを混合することによって、正極ペーストを得た。カルシウム化合物およびストロンチウム化合物の含有量は、酸化物に換算することにより、示される。実験では、カルシウム化合物およびストロンチウム化合物の含有量を、正極材の全体を100mass%として、0.3mass%以上5mass%以下の範囲で、変更した。正極ペーストの組成は、例えば水酸化ニッケルとα−Co(OH)との質量比が、水酸化ニッケル:α−Co(OH)=90:10である。これらにカルシウム化合物及びストロンチウム化合物を加えたものを100mass%とすると、PTFE+CMC(固形分)は、合計で例えば0.5mass%である。なお、カルシウム化合物及びストロンチウム化合物の添加時の形態は、任意である。
厚さが1.4mm、面積当たりの密度が320g/mの発泡ニッケル基材に、蓄電池の電極容量が250mAhとなるように、正極ペーストを充填した。正極ペーストを乾燥した後、基材にロール加工を施した。これにより、厚さが0.4mmのニッケル電極のシートとした。このシートを40mm×60mmに裁断することによって、アルカリ蓄電池のニッケル極(正極)を得た。
Mm1.0Ni4.0Co0.7Al0.3Mn0.3(Mmはミッシュメタル)の組成の合金を得るために、原料を混合し、不活性雰囲気中で高周波誘導加熱処理を実施した。これにより合金インゴットを作製した。合金インゴットを、1000℃で熱処理した後、平均粒径が50μmとなるように粉砕した。これにより、水素吸蔵合金粉末を得た。この粉末を、SBR(スチレンブタジエンラバー)の分散液及びメチルセルロース(MC)水溶液と混合した。これにより、水素吸蔵合金ペーストを得た。厚さ45μmのFe基材に、1μm厚のNiメッキを施した基材に、このペーストを塗布した。ペーストを乾燥した後、電極シートを得た。この電極シートを、45mm×65mmのサイズに裁断した。これにより、水素吸蔵合金電極(負極)を得た。この電極は、500mAh以上の電極容量を有する。
ニッケル電極の両側に、合成樹脂製のセパレータを配置した。このニッケル電極を、さらに、2枚の水素吸蔵合金電極で挟み、容器内にセットした。また、参照電極としてHg/HgO電極を設けた。6.8mol/LのKOHを含む、アルカリ電解液を、電極が充分浸される程度に、容器内に注いだ。これにより、開放型のセルを得た。ニッケル極中のα−Co(OH)粒子は、電解液中で溶解された後、水酸化ニッケル表面に再析出していると推定される。セルを25mA(0.1ItA)の電流で、15時間、初期充電した。初期充電中に、α−Co(OH)は、Coのオキシ水酸化物に酸化されたと推定される。
初期充電後、アルカリ蓄電池を1時間放置した。その後、0.2ItA(50mA)で、正極電位が参照極の電位と等しくなるまで、アルカリ蓄電池からの放電を実施した。次いで、0.1ItAの電流で、15時間、アルカリ蓄電池を充電した。この放電、放置および充電のサイクルを、気温が20℃の環境下で、各電池に対し5回繰り返した。5サイクル目の放電電気量から、ニッケル原子当たりの反応電子数を測定した。5サイクル目の充電曲線から、酸素の発生電位を測定した。
実施例のように、Coの水酸化物を、粉体混合法で正極材に含有させる方法は、電解液への溶解と再析出とにより、Niの水酸化物粒子の表面をCoの水酸化物によりコートする工程と、Coの水酸化物を、Coのオキシ水酸化物等へ酸化する工程とを含んでいることが好ましい。なお、実用的には、WO/2006/064979に記載のように、この方法は、水酸化ニッケル粒子の表面を、水酸化コバルトにより予めコートし、水酸化コバルトを酸化してオキシ水酸化コバルトとすることを含んでいることが好ましい。
定義と測定法
この明細書における“正極材の組成”は、ニッケル極(正極)から取り出され、水洗と乾燥とを施された後の基材を除く固形分の組成を意味する。Niは、放電状態で水酸化物であり、充電状態ではオキシ水酸化物である。両者の質量比は、91.7:92.7であり、ほぼ1:1である。
正極材の組成は、例えばICP分析により得られる。Al,Ga,Mn,およびMoは、水酸化ニッケル粒子中に存在して、ニッケル原子と置換されているか、もしくは、水酸化ニッケルの層間に固溶している。また、Al,Ga,Mn,およびMoの一部が、遊離の水酸化アルミニウム等として析出している可能性もある。水酸化ニッケルに対するX線回折を実施した。その結果、10〜12°付近に、α相の(003)のピークと、18〜20°付近に、β相の(001)のピークとが検出された。また、水酸化ニッケルに対するTEM(透過電子顕微鏡)による制限視野電子回折を実施した。後焦点面に現れる逆格子点に相当する回折スポット像から、面間隔、面方位等の結晶パラメータを算出することにより、一つの一次粒子内に存在する結晶相の同定をおこない、α相とβ相とが存在することを確認した。すなわち、水酸化ニッケルには、一つの一次粒子内にα相とβ相とが混在していることを確認した。またα相の水酸化ニッケルは、充電により酸化されて、γ相のオキシ水酸化ニッケルとなる。β相の水酸化ニッケルは、充電により酸化されて、β相のオキシ水酸化ニッケルとなる。
結果
図1〜図5に結果を示し、表1〜表5に結果を再掲する。図1、表1および表2は、1mass%のCaOを含有している水酸化ニッケルと、CaOを含有していない水酸化ニッケルに対して、アルミニウム固溶量を変化させた際の反応電子数および真密度換算した反応電子数を示す。真密度換算した反応電子数は、反応電子数に各試料の真密度を乗じたものである。ここで、本出願における各試料の真密度とは、α相とβ相との存在比を基に計算された理論値である。すなわち、水酸化ニッケルにA元素が固溶していない場合は、水酸化ニッケルにα相は含まれておらず、水酸化ニッケルに固溶したA元素の固溶量が20mol%である場合は、水酸化ニッケルはすべてα相となっていると仮定し、A元素の固溶量から、水酸化ニッケルのα相の存在比を計算する。この上で、既知のα相とβ相との真密度の理論値をもちいて,各試料の真密度を理論的に計算したものである。アルミニウム固溶量が0である場合、CaO化合物には、反応電子数を増加させる効果は、実質的になかった。アルミニウム固溶量が5mol%である場合、CaOにより、反応電子数は大きく増加した。その後、アルミニウム固溶量が増すにつれて、CaOによる反応電子数の増加は小さくなった。アルミニウム固溶量が20mol%である場合、反応電子数の増加は僅かになった。また、アルミニウム固溶量が5−15mol%の範囲においては、真密度換算した反応電子数は、4.10を超えた。すなわち、アルミニウム固溶量が5−15mol%である場合に、正極活物質の反応電子数を増加させること、及び、正極材の容積当たりの放電容量を大きくする効果を奏した。また、図1からアルミニウム固溶量が16mol%までは本発明の効果を奏すると推定される。なお、CaOの代わりにSrOを用いても、CaOの場合と同様の反応電子数のアルミニウム含有量依存性が得られた。
Figure 2014082196
Figure 2014082196
図2および表3は、アルミニウム固溶量とタップ密度との関係を示す。図2および表3に関する正極材(水酸化ニッケル)には、Zn元素は固溶していない。タップ密度の測定には、小西製作所製のタップ密度測定器(RHK型)を用いた。試料の入った10mlの容量のメスシリンダーを、5cmの高さから、200回、落下させた。その後に、試料のタップ密度(タッピング後の体積密度)を測定した。アルミニウム固溶量が増加するにつれて、水酸化ニッケルのタップ密度が減少する。タップ密度の減少は、正極材の容積当たりの放電容量が低下することを意味する。図1および図2を総合すると、アルミニウム固溶量は、5mol%以上であることが好ましく、7mol%以上であることがより好ましく、8mol%以上であることが特に好ましいことが分かる。またアルミニウム固溶量は、16mol%以下であることが好ましく、15mol%以下であることがより好ましく、12mol%以下であることが特に好ましいことが分かる。
Figure 2014082196
図3および表4は、アルカリ土類元素の種類に応じた、反応電子数を示す。図3および表4に関する正極材(水酸化ニッケル)のアルミニウム固溶量は10mol%であり、アルカリ土類化合物の含有量は1mass%である。CaOおよびSrOは、反応電子数を増加させる効果を奏する。MgOおよびBaOは、実質的な効果を奏しなかった。
Figure 2014082196
図4は、10mol%のAlを含有している水酸化ニッケルに、1mass%のCaO,SrOあるいはMgOを含有させた際の充電曲線(5サイクル目)を示す。充電電気量が300mAh以上であり、充電電圧がフラットになる領域では、充電時に、酸素が発生する。この領域では、CaOおよびSrOは、酸素発生電位を高めて、水酸化ニッケルの酸化を容易にする。MgOには、このような効果が、実質的に無いことが分かる。
図5および表5は、アルミニウム固溶量が10mol%の水酸化ニッケルに対する、CaO含有量の効果を示す。アルミニウム固溶量を5mol%に変えても、ほぼ同じ傾向が得られた。CaOをSrOに変えても、ほぼ同じ傾向が得られた。反応電子数は、CaO濃度の増加につれて増す。CaO濃度が1mass%までは、CaO濃度の増加につれて反応電子数が急激に増す。CaO濃度が1mass%を越えると、CaO濃度の増加に対する、反応電子数の増加率が小さくなる。このことは、CaO含有量が1mass%付近で、反応電子数の増加率が最適になることを意味する。CaOの代わりにSrOを用いた場合にも、CaOの場合と同様の濃度依存性が得られた。このことから、SrOの含有量の最適値は、1mass%付近にあることがわかった。そして、CaO及びSrOの合計含有量が0.3mass%〜5mass%の範囲で、反応電子数の増加が確認できた。このことから、CaO及びSrOの合計含有量は、0.2mass%以上であることが好ましく、0.3mass%以上であることがより好ましく、0.5mass%以上であることが特に好ましい。またCaO及びSrOの合計含有量は、5mass%以下であることが好ましく、3mass%以下であることがより好ましく、2mass%以下であることが特に好ましい。上限と下限とを含む範囲では、CaO及びSrOの合計含有量は、0.2mass%以上で5mass%以下であることが好ましく、0.3mass%以上で3mass%以下であることがより好ましく、0.5mass%以上で2mass%以下であることが最も好ましい。
Figure 2014082196
実施例では、アルミニウム原子を水酸化ニッケルに固溶させている。これにより、α−Ni(OH)を安定化させること、および、α−Ni(OH)とβ−Ni(OH)とを混在させることが可能である。しかし、マンガン固溶の水酸化ニッケル、ガリウム固溶の水酸化ニッケル、モリブデン固溶の水酸化ニッケルでも、α−Ni(OH)が安定化することが知られている。従って、アルミニウム原子が固溶した水酸化ニッケルに代えて、マンガン原子が固溶している水酸化ニッケル、ガリウム原子が固溶している水酸化ニッケル、あるいはモリブデン原子が固溶している水酸化ニッケルを用いても良い。Al,Mn,Ga,およびMo元素の合計濃度は、Ni元素とこれらの元素の合計量に対し、5−16mol%であることが好ましい。
電解液を、KOH水溶液ではなく、NaOH水溶液、NaOHとKOHの混合物の水溶液、LiOHとKOHの混合物の水溶液等とすると、正極での酸素発生電位が増加する。最も好ましい電解液は、NaOH水溶液、及びLiOHとKOHの混合物の水溶液である。
水酸化ニッケルに対しZnをさらに固溶させると、反応電子数がさらに増加する。亜鉛固溶量は10mol%以下が好ましく、特に7mol%以下が好ましい。また水酸化ニッケルの沈殿時にCoの水酸化物を同時に析出させて、水酸化ニッケルにCoを固溶すると、Niの平均酸化電位が低下するため、反応電子数が増加する。水酸化ニッケル粒子内のCo固溶量、即ち水酸化ニッケル表面に付着しているCo化合物を含まないCo固溶量は6mol%以下が好ましい。また水酸化ニッケルにさらにランタニドの化合物を含有させると、酸素の発生電位が増加するため、反応電子数が増加する。ランタニドはYまたは原子番号が62(Sm)-71(Lu)のランタニドが好ましく、含有量は例えば6mass%以下が好ましい。
実施例から以下のことが判明した。
1) Alを固溶し、α相とβ相とを含む水酸化ニッケルに、CaまたはSrの化合物を含有させることにより、反応電子数が増す。
2) Alを固溶しない水酸化ニッケルにCaまたはSrの化合物を含有させても、反応電子数は僅かしか増加しない。
3) Alを5mol%以上15mol%以下固溶する水酸化ニッケルに、CaまたはSrの化合物を含有させると、反応電子数は大きく増加する。
4) アルミニウム固溶量と共に水酸化ニッケルのタップ密度が低下することと、反応電子数とを併せて考えると、アルミニウム固溶量の最適値は10mol%付近にある。
5) CaO及びSrOの合計含有量は1mass%付近が最適で、含有量は0.2mass%以上で5mass%以下が好ましく、0.3mass%以上で3mass%以下がより好ましく、0.5mass%以上で2mass%以下が最も好ましい。
6) CaOの代わりにMgOあるいはBaOを含有させても、反応電子数は増加しない。
また、本発明の実施形態は、以下の第1〜第3のアルカリ蓄電池用の正極材、および、第1のアルカリ蓄電池であってもよい。
第1のアルカリ蓄電池用の正極材は、Al,Ga,Mn,Moから成る群の少なくとも一つの元素であるA元素が結晶子中に固溶し、A元素の含有量である[A]/([Ni]+[A])が5%以上16%以下で、かつα相とβ相とが混在している水酸化ニッケルと、Caの化合物、またはSrの化合物のいずれか一つ以上、とを含んでいる。(ここで[A]は前記結晶子中の前記A元素のmol濃度を、[Ni]はNiのmol濃度を表す。)
第2のアルカリ蓄電池用の正極材は、第1または第2のアルカリ蓄電池用の正極材において、CaまたはSrの化合物を、前記水酸化ニッケルに対して0.2mass%以上5mass%以下含有する。
第3のアルカリ蓄電池用の正極材は、第2のアルカリ蓄電池用の正極材において、水酸化ニッケルの結晶子中にさらにCoが固溶している。
第1のアルカリ蓄電池は、第1〜第3のアルカリ蓄電池用の正極材を含有する正極と、負極と、アルカリ性の電解液、とを有する。

Claims (3)

  1. 水酸化ニッケルと、Caの化合物またはSrの化合物のいずれか一つ以上、とを含んでおり、
    前記水酸化ニッケルの結晶子中に、Al,Ga,Mn,およびMoから成る群の少なくとも一つの元素であるA元素が固溶しており、A元素の含有量である[A]/([Ni]+[A])が、5%以上16%以下であり、かつ、水酸化ニッケルが、α相の水酸化ニッケルとβ相の水酸化ニッケルとを含んでいる、アルカリ蓄電池用の正極材(ここで、[A]は前記結晶子中の前記A元素のmol濃度を、[Ni]はNiのmol濃度を表す)。
  2. CaまたはSrの少なくともいずれかの化合物を、前記水酸化ニッケルに対して0.2mass%以上5mass%以下含有している、請求項1のアルカリ蓄電池用の正極材。
  3. 請求項1または2に記載のアルカリ蓄電池用の正極材を含有する正極と、負極と、アルカリ性の電解液、とを有する、アルカリ蓄電池。
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