JP2014076583A - 偽造防止媒体、それを用いた偽造防止ステッカーおよび偽造防止物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第一位相差層102、第一反射層103、第二位相差層104、第二反射層105をこの順に積層してなる偽造防止媒体20において、第一位相差層102および第二位相差層104を面方向全面に設けた。この第一位相差層102および第二位相差層104はともに位相差値がλ/4であり、第一位相差層102と第二位相差層104との配向軸のなす角は45度である。
【選択図】図1
Description
また、最近では、各種商品やその包装材料に適用して、その商品が真正であることを保障するために利用されている。言うまでもなく、これら物品を検査して、適正な偽造防止手段が施されている場合には真正な物品と判定され、偽造防止手段が施されていない場合もしくは不適正なものであった場合は非真正な物品と判定される。
また、特許文献2のように、それ自身が偽造防止手段として効果のあるホログラムを用い、個別の画像を形成する手法も提案されている。この手法を用いれば、人の目によって容易に且つ偽造防止効果の高い個人認証を行うことができる。
本発明は、比較的安価で簡易な装置を用いて、潜像を個別に形成することが可能な偽造防止媒体、それを用いた偽造防止ステッカーおよび偽造防止物品を提供することを目的としている。
前記第一反射層(例えば、図17の第一回折反射層503)および前記第二反射層(例えば、図17の第二回折反射層505)はそれぞれ回折構造を有し、前記第一反射層と前記第二反射層とで各反射層の前記回折構造の位置が重なるように設けられていてよい。
本発明の他の態様は、上記態様のうちのいずれかに記載の偽造防止媒体を備えることを特徴とする偽造防止物品である。
(偽造防止媒体20の層構成)
図1は、本発明における偽造防止媒体の層構成の一例を示したものであって、最低必要な構成要素からなる最小構成を示したものである。
偽造防止媒体20は、第一位相差層102と、第一反射層103と、第二位相差層104と、第二反射層105と、がこの順に積層されてなる。偽造防止媒体20の、第一位相差層102側に、偽造防止媒体20の効果を確認するための検証フィルタとして偏光板10が配置されるようになっている。
第一位相差層102および第二位相差層104は位相差値がλ/4である一様な膜であり、λは可視光波長を設定して設計するのがよく、取り分け可視光波長の中央である555nm周辺の値を設定することが好ましい。第一位相差層102および第二位相差層104の各配向軸方向がなす角度は45度である。また第一位相差層102および第二位相差層104は、ともに偽造防止媒体20全体を覆うものである。
これら位相差フィルムや液晶膜は、第一位相差層102および第二位相差層104の両方に使用してもよいし、片方ずつ使用してもよい。
この潜像を出現させるのに必要なのが、第一反射層103および第二反射層105である。潜像が出現する詳細な仕組みは後述するが、第一反射層103で反射し、第一位相差層102のみを通過する光と、第二反射層105で反射し、第一位相差層102と第二位相差層104との両方を通過する光との性質の差を用いて潜像を形成する。
第一反射層103および第二反射層105を形成する方法としては、まず基材となるシートとして、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン等のフィルムを準備する。次にこのフィルムに剥離層として例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、線状の飽和ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のメタクリル樹脂の単独または共重合物、アクリル系、スチレン系、シリコン系、ポリイソブチル系等の樹脂単独または共重合物からなる水または有機溶剤に溶解する高分子材料を塗布し、乾燥させる。フィルムの厚みは3〜100μm程度でよいが、より好ましくは4.5〜25μm程度である。剥離層の乾燥後の厚みは、適正な転写適性を有するように、かつ所定の剥離強度や切れ性を出すように材料の特性に応じて調整するが、好ましくは0.5〜20μm程度である。
気相堆積法を用いた場合には、材料としてアルミニウム、クロム、ニッケル、銀、金、銅、錫、マグネシウム、亜鉛、鉄、チタンなどの金属もしくは合金を例示することができる。反射光の波長依存性のある金や銅などよりも、波長依存性が少なく、反射率が高いアルミニウム、銀、クロム、ニッケルなどが特に好ましく、膜厚は400〜1200オングストローム程度でよい。必要に応じて気相にプラズマや磁界を導入するなどして剥離層と反射層の密着力を高めてもよい。
このようにして設けられた反射層の上に、接着層を形成することで反射転写箔を作成する。この接着層は、第一反射層103や第二反射層105を形成する被着体に密着する接着剤を用いて形成するが、加工適性の都合上、室温ではタックが無く、加熱によって融解し、接着するものが望ましい。
光散乱層は、酸化チタンなどの白色顔料や、シリカフィラー、各種ワックスなどがバインダー中に適度分散した白色インキを塗布することによって設けられてもよいし、練りこみマット、ケミカルマット、サンドブラスト方式などで製造されたマットPETフィルムなどのマット加工をされたプラスチックフィルムを貼り合わせるなどの方法によって設けられてもよい。
このようにして作成した偽造防止媒体20に偏光板10を重ねると、モノクロ画像の潜像が出現し、偏光板10を回転させると柄のネガポジが切り替わるという効果を確認できる。
図2に示す偽造防止媒体30は、図1に示す偽造防止媒体20に、さらに、コレステリック層及び黒色吸収層106を加え、カラーシフト機能を組み込んだものである。コレステリック層及び黒色吸収層106は原則として、偽造防止媒体30の観察面とは反対側に設けられるのがよい。つまり、図1の偽造防止媒体20の構成を基本構成としたとき、観察面である第一反射層103側と基本構成を挟んだ第二反射層105側に形成されることが好ましい。また、コレステリック層が基本構成と黒色吸収層とに挟まれるように形成されることが好ましい。
なお、配向したコレステリック液晶分子は、螺旋構造を有することから、その反射光は右旋円偏光または左旋円偏光となる。
このため、コレステリック液晶層の上に適切な円偏光フィルタを重ねることにより、その反射光を遮断することができる。
コレステリック層をなす、コレステリック液晶は、配向膜上に層形成することで配向させることができる。すなわち、基材上に配向膜を形成し、この配向膜上にコレステリック液晶層を形成することで配向させることが可能である。
この配向膜としてはポリビニルアルコールやポリイミドの塗布膜をラビング処理したものが使用できる。
また、前記液晶溶液を、直接、基材上に塗布してコレステリック液晶層を形成することもできるし、別の支持体上にコレステリック液晶層を形成した後、接着剤を使用して基材に接着したり、ラミネートなどの方法を用いて転写したりすることで、基材上にコレステリック液晶層を形成してもよい。
また、ラジカル系光重合性多官能オリゴマーとしては、例えば、ポリウレタンポリアクリレート、エポキシ樹脂系ポリアクリレート、アクリルポリオールポリアクリレート等を例示することができる。
例えば、アリルヨードニウム塩−α−ヒドロキシアセトフェノン系、トリアリルスルホニウム塩系、メタロセン化合物−パーオキサイド併用系、メタロセン化合物−チオキサントン併用系、メタロセン化合物−アントラセン併用系等を、カチオン系光重合開始剤として適用することができる。
このようにして形成されるコレステリック液晶が、黒色吸収層の上に直接配向させて形成可能で、且つ密着力を得られるものであれば、黒色吸収層の上に直接形成してもよいが、難しい場合は別の基材に形成した後、接着剤を挟んで黒色吸収層にラミネートした後、別基材を剥離することによって形成してもよい。
このようにして形成されたコレステリック層および黒色吸収層106により生じるコレステリックカラーを視認するには、第一反射層103も第二反射層105も形成されていない部分が必要であり、第一位相差層102および第二位相差層104を通過した光を視認する必要がある。この第一位相差層102および第二位相差層104を通過した光は直線偏光となり、偏光の向きは第一位相差層102の配向軸方向と一致しているか直交しているかのどちらかとなる。この偏光の向きはコレステリック層(106)が反射する円偏光の旋回方向に依存しており、コレステリック層(106)が右円偏光を反射するものを使用している時は第一位相差層102の配向軸方向と一致し、左円偏光を反射するものを使用している時は第一位相差層102の配向軸方向に直交する。
なお、図2では、材料にコレステリック液晶を用いたコレステリック層を用いることでカラーシフトを行う場合を例示したが、多層フィルムや、パール顔料を含んだ印刷層など、円偏光反射の機能は持たないもののカラーシフト効果を持った材料は他にもあり、それらの材料からなる層をコレステリック層と置き換えてもよいし、カラーシフト効果の無い別の色彩印刷層などを設けてもよい。
次に、図1、図2に示す偽造防止媒体20および30において、潜像が出現する原理を説明する。
図3および図4は、偽造防止媒体20および30において、潜像が出現する原理を説明するために、図2の偽造防止媒体30を構成する各層を、層毎に分割した断面図と、色々な種類の光が各層を貫くとどのように変化していくかを示したものである。
まず、図3において、第一反射層103が存在するエリアに、自然光が入射した場合の各部での光の変化を説明する。
同様に、図3において、第一反射層103が存在せず、第二反射層105が存在するエリアに、自然光が入射した場合の各部での光の変化を説明する。
自然光110が偏光板(A)101に入射すると、上記と同様に、自然光110は偏光板(A)を通過することにより直線偏光(A)111となり、さらに第一位相差層102を通過することにより円偏光(A)112となり、続いて、第二位相差層104を通過し、直線偏光(Cγ)121となる。
図4において、200は、偽造防止媒体30および偏光板201を表したものであり、偏光板201は45度方向で偽造防止媒体30に重ねられた状態にあり、この状態にある偏光板201を偏光板(B)とする。また、図4中の207は、45度方向で偽造防止媒体30に重ねられた状態にある偏光板(B)の透過光軸方向である。
自然光110が45度方向で偽造防止媒体30に重ねられた状態にある偏光板(B)201を通過した直線偏光(G)211が、第一位相差層102を通過すると、直線偏光(G)が第一位相差層102を通過した直線偏光(H)212となる。この直線偏光(H)212が第一反射層103により反射されると、直線偏光(H)212が第一反射層103により反射された直線偏光(I)213となるが、この時の反射で生じる固定端反射では180度の位相反転が生じても直線偏光には影響が無いため、図示の通り直線偏光(I)213と直線偏光(G)212とで偏光方向に変わりは無い。
第一反射層103が存在せず、第二反射層105が存在するエリアにおいて、自然光110が偏光板(B)201に入射すると、上記と同様に、自然光110は偏光板(B)201を通過することにより直線偏光(G)211となり、さらに第一位相差層102を通過することにより直線偏光(H)212となる。続いて、直線偏光(H)212が、第二位相差層104を通過すると、直線偏光(H)212が第二位相差層104を通過した円偏光(Eα)216となる。円偏光(Eα)216が第二反射層105により反射されると、円偏光(Eα)216が第二反射層105により反射された円偏光(F)217となるが、この反射は固定端反射となるため位相が180度ずれることにより、円偏光(F)217は円偏光(Eα)216とは旋回方向が逆転する。この円偏光(F)217が第二位相差層104を通過すると、円偏光(F)217が第二位相差層104を通過した直線偏光(K)218となり、この直線偏光(K)218の偏光方向は直線偏光(H)212とは直交しており、第一位相差層102の配向軸方向とも直交している。この直線偏光(K)218が第一位相差層102を通過すると、直線偏光(K)218が第一位相差層102を通過した直線偏光(L)219となるが、直線偏光(L)219の偏光方向は図示の通り直線偏光(K)218と同じであるため偏光板(B)201の透過軸方向とも直交している。そのため、直線偏光(L)219が偏光板(B)201を通過した観察光(E)220は、暗く見える。
また、図3の観察光(A)115は暗いのに対し、図4の観察光(D)215は明るくなっており、偽造防止媒体30の同じ位置を観察しているにも関わらず観察光の明るさが逆転している。同様に、図3の観察光(B)120は明るいのに対し、図4の観察光(E)220は暗くなっており、偽造防止媒体30の同じ位置を観察しているにも関わらず観察光の明るさが逆転している。
図5は、観察光(A)〜(F)について、反射光の強さを個別に正規化したグラフであり、偏光板10をさらに回転させた時に各観察光の明るさがどのように変わっていくかを説明したものである。なお、観察光(F)は、図4においてコレステリック層(106)からの反射光を観察するエリアで観察される観察光を表す。
上記と同様に、自然光110は偏光板(B)201を通過することにより直線偏光(G)211となり、さらに第一位相差層102を通過することにより直線偏光(H)212となり、続いて、直線偏光(H)212が、第二位相差層104を通過することにより、円偏光(Eβ)221となる。この円偏光(Eβ)221は、直線偏光(H)212が第二位相差層104を通過した円偏光(Eα)216と全く同じ光であるが、円偏光(Eβ)221がコレステリック層(106)に反射されず透過した分は、黒色吸収層(106)に吸収されることになる。コレステリック層(106)から反射された円偏光(F)222は、再度第二位相差層104を通過すると、円偏光(F)222が第二位相差層(104)を通過した直線偏光(M)223となる。この直線偏光(M)223の偏光方向は、図3の時と同様にコレステリック層(106)が右円偏光を反射する物であった場合は、第一位相差層102の配向軸方向と一致し、コレステリック層(106)が左円偏光を反射する物であった場合は、第一位相差層102の配向軸方向に直交する。したがって、図4では、コレステリック層(106)から右円偏光が反射された場合を示している。この直線偏光(M)223が第一位相差層102を通過すると、直線偏光(M)223が第一位相差層102を通過した直線偏光(N)224となるが、この直線偏光(N)224の偏光方向は、直線偏光(M)223の偏光方向に関わらず、直線偏光(M)223の偏光方向に一致し、且つ偏光板(B)201の透過軸方向とも一致する。
ここで、図5の破線で示す観察光(C)および観察光(F)について説明する。観察光(C)および観察光(F)が観察される光の経路においては、最終的に視認することになる光(つまり観察光)の特性は、固定されたコレステリック層(106)からの反射光に依るため、コレステリック層(106)が右円偏光を反射する場合は図3や図4に図示する通り偏光方向45度の直線偏光が固定で出てくる。このため図5の破線で示す通り、偏光板10の偽造防止媒体30に対する角度45度で最も明るく、135度で最も暗くなる。なお、コレステリック層(106)が左円偏光を反射する場合は、偏光方向45度の直線偏光が出てくることになるため、グラフは反転し135度が最も明るく、45度が最も暗くなるようになる。
図6から図9は、偽造防止媒体30に、実際に偏光板10を重ねた時にどのような効果を観察できるかを具体的に説明したものである。図6および図7はコレステリック付き構成の偽造防止媒体30の上面図であり、図2に示す第一反射層103および第二反射層105のパターンを説明したものである。図6は、「TP」の文字パターンを形成している。図7は、第二反射層105のパターンを黒で示しており、白く抜けた部分は、図6に示すように「TP」の文字パターンを形成している第一反射層103の「P」の半円の部分と一致しており、この抜けた部分からはコレステリック層及び黒色吸収層106のコレステリック層が見えることになる。つまり、第一反射層103は「T」および「P」の文字形状からなる層であり、第二反射層105は、偽造防止媒体30の全面に形成されかつ「P」の半円の部分のみが除去された形状からなる層となる。
図9は、図8において、偽造防止媒体30に重ねられている偏光板10の角度をさらに45度回転させたものである。図9に示すように、偏光板10が重ねられた部分にのみ潜像が出現し、第一反射層103が形成されている部分と第二反射層105が形成されている部分の潜像が図8と比べてネガポジ反転した画像となる。またコレステリック層及び黒色吸収層106はコレステリックカラーを視認でき、この際のコレステリックカラーは図8と明るさが異なる。
次に、両面から異なる潜像を観察することの可能な偽造防止媒体について説明する。
図10は、図1の偽造防止媒体20の基本構成において、さらに第三位相差層301を加えた両面潜像偽造防止媒体40の一例である。第三位相差層301は、偽造防止媒体20の第二反射層105側に設けられ、第一位相差層102側および第三位相差層301側の両方から、潜像を観察できるようになっている。すなわち、偽造防止媒体の両面で異なる画像を確認することができ、かつ円偏光が透過すると旋回方向が逆転する機能を組み込んだものである。
図11は、第一位相差層102を最表面とする面側から見たときの第一反射層103のパターンを黒で示しており「TP」の文字を表している。図12は、同じく第一位相差層102を最表面とする面側から見たときの、第二反射層105のパターンを示しており「AL」の文字を上下および左右反転した図形が抜けているパターンである。図12の白黒反転パターンは、図11のパターンよりも小さく、図12の黒色部に図11の黒色部を重ねると全て黒くなる。このため実際は両面どちらから見ても全面が銀色に見えることになる。
次に、偽造防止媒体の反射層が回折構造を有する場合について説明する。
図17は、図1に示す偽造防止媒体20の第一反射層103および第二反射層105が回折構造を有する、回折構造付き偽造防止媒体50の一例を示す断面図である。
ここで、これまで説明した、偽造防止媒体20、30、および40は、その第一反射層103および第二反射層105が、原則的に模様などを持たない一様で平坦なものである。この図17に示す回折構造付き偽造防止媒体50は、意図的に回折構造を形成し、その上に蒸着などの手段を用いて反射層を形成することにより作成した回折反射層を、第一反射層103および第二反射層105として用いることにより、ホログラムの効果も兼ね備えた偽造防止媒体を実現するようにしたものである。
図17において、503は第一回折反射層、505は第二回折反射層である。これに第一位相差層102、第二位相差層104を加え、第一位相差層102、第一回折反射層503、第二位相差層104および第二回折反射層505をこの順に積層したものが、回折構造付き偽造防止媒体50である。
具体的には次のような工程で作ることができる。
まず、表面に微細な凹凸パターンを有する母型を準備する。微細な凹凸パターンは、例えば、光回折機能を有する回折格子やホログラムを構成する凹凸パターンであり、凸部の高さまたは凹部の深さ、そのピッチは、共に、0.1〜10μm程度であることが望ましい。この凹凸パターンの回折によって形成される画像は、例えば文字や図などでよく、ロゴマークや、バーコードなどの機械読取コードなどを入れてもよい。
また基材に剥離層を設けるが、剥離層の形成方法についても、第一反射層103や第二反射層105を形成する際に用いた剥離層と同じでよい。
熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系/スチレン系共重合樹脂等が使用できる。尚、熱可塑性樹脂の代わりに、珪酸塩を成分に含む無機系材料などを使用することもできる。
なお、押圧に際して、母型を巻きつけたロールの温度及び圧力は、エンボス形状を再現する観点からは比較的高温で、比較的高い圧力でエンボスする方がよく、エンボス版への付着を防止するためには全く逆の関係となる。このため、温度50〜150℃、圧力10〜50kg/cm2の条件で押圧することが望ましい。
この光反射層の上に第一反射層103や第二反射層105を形成する反射転写箔の作成方法を説明した時と同じ接着剤を設置することで、第一回折反射層503および第二回折反射層505を形成するための回折反射転写箔ができあがる。
図18は第二回折反射層505であり、ここでは回折像の画像として「Security」という文字パターンが視認できる回折パターン506が全面に設けられているものを例示している。この上に第二位相差層104を形成した後、図19に示すような第一回折反射層503を形成する。この第一回折反射層503は「TP」という文字パターンのみであり、507は除去部である。
このようにして第一回折反射層503は回折パターン506が第二回折反射層505の回折パターン507と一致するように位置合わせして形成されることで、一見すると図18のように見える。さらにこの上に第一位相差層102を重ねることで、回折構造付き偽造防止媒体50ができる。外観は図18のようであり「Security」という文字パターンが回折光として視認でき、偏光板10を重ねることで図19に示すように、「TP」の文字パターン潜像を確認することができる。
透明基材601の片面に円偏光反射体602が設けられ、反対面に両面潜像偽造防止媒体40が設けられており、両面潜像偽造防止媒体40と円偏光反射体602とが重なるように透明基材601が曲げられている様子を示している。図では省略しているが、両面潜像偽造防止媒体40や円偏光反射体602と透明基材601の間には接着剤が設けられている。
円偏光反射体602は、延伸ポリエチレンテレフタレートや、延伸ポリエチレンナフタレートなどの適当なシート上にコレステリック液晶を配向・架橋させたものを形成し、その上に吸収層を形成したものを転写するなどして設けられてもよいし、円偏光を反射する顔料が分散したインキを用い印刷法で設けられてもよいし、λ/4位相差フィルムの片面に反射層を形成したものを、反射層が透明基材601に接するように貼付することによって設けられてもよい。
このように、各偽造防止媒体は、大規模な設備を必要とすることなく容易に実現することができる。また、第一反射層103および第二反射層105により潜像となるパターンを形成しているため、潜像の柄を容易にかつ個別に形成することができる。
また、上記偽造防止媒体30では、コレステリック層と黒色吸収層とをともに備えた場合について説明したが、必ずしも黒色吸収層を設ける必要はなく、得られる反射光の色数は少なくなるが、黒色ではない色吸収層としたり、コレステリック層のみを設けたりしてもよい。
上記偽造防止媒体20、30、40、50は、例えばIDカードなど個人を認証するものに活用する用途が考えられる。個人の顔や名前などの情報を潜像とすることにより、悪意ある者によるIDカードの盗難に遭っても偏光板を用いない限り個人情報を認識することができないため、個人情報の流出を防げるだけでなく、個人情報など記録されていない通常のIDカードだと思い込んで不正利用しようとしたところを摘発するなどの利用が考えられる。
このとき、偽造防止媒体の観察面とは逆側の面に接着層を設ける場合は、様々な物品に貼付することが可能である。
まず、厚さ16μmの延伸ポリエチレンナフタレートフィルムに、下記の組成からなるコレステリックインキについて、乾燥硬化後の膜厚が3μmになるよう調整したものを、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、高圧水銀灯にて500mJの照射を行い硬化させることで、コレステリック層を得た。
ネマチック液晶(パリオカラーLC242)(登録商標)[BASF社製]30重量部
カイラル剤(パリオカラーLC756)(登録商標)[BASF社製]1.5重量部
重合開始剤(イルガキュア184)[BASF社製]1.5重量部
溶剤(メチルエチルケトン)67重量部
続いてコレステリック層に、下記の組成からなるスミインキについて、乾燥硬化後の膜厚が3μmになるよう調整したものを、ワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で3分間乾燥させ、黒色吸収層を得た。
NEWLPスーパーR92墨[東洋インキ製造社製]90重量部
NEWLPスーパー硬化剤[東洋インキ製造社製]10重量部
続いて黒色吸収層に、下記に示す接着剤について、乾燥後の膜厚が5μmになるよう調整したものを、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で2分間乾燥して接着層を得た。
ポリオレフィン樹脂(アウローレン100)(登録商標)[日本製紙ケミカル社製]20重量部
シリカ粒子(サイロホービック505)[富士シリシア社製]1重量部
溶剤(トルエン)79重量部
この接着層を平米辺りの重さ100グラムの厚紙に接するようにして重ね、温度150℃のシリコンゴムロールを適度な圧力をかけてラミネートし、前記ポリエチレンナフタレートフィルムを剥離することによって色彩変化台紙を得た。
この色彩変化台紙のコレステリック層の面に、下記に示すアンカーインキについて、乾燥後の膜厚が3μmになるよう調整したものを、ワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で2分乾燥してアンカー層を得た。
塩化ビニル・酢酸ビニル系変性樹脂(ソルバインA)(登録商標)[日信化学工業社製]30重量部
シリカ粒子(サイロホービック505)[富士シリシア社製]1重量部
溶剤(トルエン)34.5重量部
溶剤(MEK)34.5重量部
続いて色彩変化台紙の中央に、ティッピングリボン(トッパン・フォームズ社製)を用いてサーマルヘッド付きプリンタで正方形の印字を行い、第二反射層を得た。
色彩変化台紙の第二反射層が形成された面と、λ/4位相差フィルムの接着剤が形成された面とが接するように重ね、温度150℃のシリコンゴムロールを適度な圧力をかけてラミネートすることで第二位相差層を得た。
また、前記λ/4位相差フィルムの片面に先の接着剤を同様の条件で塗工乾燥させ、逆面に下記に記載の光散乱インキを、乾燥させた後の膜厚が3μmになるよう塗工し、100℃で2分間乾燥させて得た第一位相差フィルムを用意した。
ポリエステル樹脂(バイロン200)[東洋紡績社製]30重量部
シリカ粒子(サイロホービック100)[富士シリシア社製]6重量部
溶剤(MEK)64重量部
色彩変化台紙の第一反射層の面と、第一位相差フィルムの接着剤が接し、且つ第一位相差フィルムの配向軸方向と第二位相差層の配向軸方向が45度の角度になるような向きで重ね、温度150℃のシリコンゴムロールを適度な圧力をかけてラミネートすることで得られたコレステリック付き構成の偽造防止媒体は、一見すると四角い銀色エリアと、その周囲に色彩変化エリアが見えるだけの台紙であるが、偏光板を重ねると、OK文字パターンの潜像が確認でき、偏光板の回転によって潜像のネガポジ反転と、色彩変化エリアの明暗が切り替わっていった。
色彩変化台紙、ティッピングリボン、第一位相差フィルム、第二位相差フィルムを予め用意しておけば、サーマルヘッド付きプリンタとラミネータだけで好きな形の反射エリア形状、好きな柄の潜像を形成することができる。
20・・・偽造防止媒体(基本構成)
30・・・コレステリック付き偽造防止媒体
40・・・両面潜像偽造防止媒体
50・・・回折構造付き偽造防止媒体
100・・・偽造防止媒体および0度方向で重ねられた状態にある偏光板(A)
101・・・0度方向で偽造防止媒体に重ねられた状態にある偏光板(A)
102・・・第一位相差層
103・・・第一反射層
104・・・第二位相差層
105・・・第二反射層
106・・・コレステリック層及び黒色吸収層
107・・・0度方向で偽造防止媒体に重ねられた状態にある偏光板(A)の透過光軸方向
108・・・第一位相差層の配向軸方向
109・・・第二位相差層の配向軸方向
110・・・自然光
111・・・自然光が0度方向で偽造防止媒体に重ねられた状態にある偏光板(A)を通過した直線偏光(A)
112・・・直線偏光(A)が第一位相差層を通過した円偏光(A)
113・・・円偏光(A)が第一反射層に反射した円偏光(B)
114・・・円偏光(B)が第一位相差層を通過した直線偏光(B)
115・・・直線偏光(B)が偏光板(A)を通過した観察光(A)
116・・・円偏光(A)が第二位相差層を通過した直線偏光(Cα)
117・・・直線偏光(C1)が第二反射層に反射した直線偏光(Cβ)
118・・・直線偏光(C2)が第二位相差層を通過した円偏光(C)
119・・・円偏光(C)が第一位相差層を通過した直線偏光(D)
120・・・直線偏光(D)が偏光板(A)を通過した観察光(B)
121・・・直線偏光(C1)が第二反射層に反射した直線偏光(Cγ)
122・・・コレステリック層から反射された円偏光(D)
123・・・円偏光(D)が第二位相差層を通過した直線偏光(E)
124・・・直線偏光(E)が第一位相差層を通過した直線偏光(F)
125・・・直線偏光(F)が偏光板(A)を通過した観察光(C)
200・・・偽造防止媒体と、45度方向で重ねられた状態にある偏光板(B)
201・・・45度方向で偽造防止媒体に重ねられた状態にある偏光板(B)
207・・・45度方向で偽造防止媒体に重ねられた状態にある偏光板(B)の透過光軸方向
211・・・自然光が45度方向で偽造防止媒体に重ねられた状態にある偏光板(B)を通過した直線偏光(G)
212・・・直線偏光(G)が第一位相差層を通過した直線偏光(H)
213・・・直線偏光(H)が第一反射層に反射した直線偏光(I)
214・・・直線偏光(I)が第一位相差層を通過した直線偏光(J)
215・・・直線偏光(J)が偏光板(B)を通過した観察光(D)
216・・・直線偏光(H)が第二位相差層を通過した円偏光(Eα)
217・・・円偏光(E)が第二反射層に反射した円偏光(F)
218・・・円偏光(F)が第二位相差層を通過した直線偏光(K)
219・・・直線偏光(K)が第一位相差層を通過した直線偏光(L)
220・・・直線偏光(L)が偏光板(B)を通過した観察光(E)
221・・・直線偏光(H)が第二位相差層を通過した円偏光(Eβ)
222・・・コレステリック層から反射された円偏光(F)
223・・・円偏光(F)が第二位相差層を通過した直線偏光(M)
224・・・直線偏光(M)が第一位相差層を通過した直線偏光(N)
225・・・直線偏光(N)が偏光板(B)を通過した観察光(F)
301・・・第三位相差層
302・・・A面1層位相差エリア
303・・・A面2層位相差エリア
304・・・B面1層位相差エリア
305・・・B面2層位相差エリア
306・・・3層位相差エリア
307・・・第一位相差層の配向軸方向とのなす角が0度となっている第三位相差層(α)
308・・・第一位相差層の配向軸方向とのなす角が90度となっている第三位相差層(β)
309・・・第三位相差層(α)の配向軸方向
310・・・第三位相差層(β)の配向軸方向
311・・・右円偏光を反射するコレステリック層及び黒色吸収層
312・・・コレステリック層表面で反射した右円偏光
313・・・右円偏光が第一位相差層を通過した直線偏光(O)
314・・・直線偏光(O)が第二位相差層を通過した直線偏光(P)
315・・・直線偏光(P)が第三位相差層(α)を通過した円偏光(G)
316・・・直線偏光(P)が第三位相差層(β)を通過した円偏光(H)
317・・・左円偏光を反射するコレステリック層及び黒色吸収層
318・・・コレステリック層表面で反射した左円偏光
319・・・左円偏光が第一位相差層を通過した直線偏光(Q)
320・・・直線偏光(Q)が第二位相差層を通過した直線偏光(R)
321・・・直線偏光(R)が第三位相差層(α)を通過した円偏光(I)
322・・・直線偏光(R)が第三位相差層(β)を通過した円偏光(J)
503・・・第一回折反射層
505・・・第二回折反射層
506・・・回折パターン
507・・・除去部
601・・・透明基材
602・・・円偏光反射体
603・・・円偏光フィルタ
604・・・反転反射光
605・・・円偏光反射光
Claims (8)
- 第一位相差層と、第一反射層と、第二位相差層と、第二反射層と、がこの順に積層されてなる偽造防止媒体であって、
前記第一位相差層および前記第二位相差層は面方向全面に設けられ、かつ前記第一位相差層および前記第二位相差層の位相差値は共にλ/4であり、さらに前記第一位相差層および前記第二位相差層の互いの配向軸のなす角は45度であることを特徴とする偽造防止媒体。 - 第一位相差層と、第一反射層と、第二位相差層と、第二反射層と、色変化層とがこの順に積層されてなる偽造防止媒体であって、
前記第一位相差層および前記第二位相差層は面方向全面に設けられ、かつ前記第一位相差層および前記第二位相差層の位相差値は共にλ/4であり、さらに前記第一位相差層および前記第二位相差層の互いの配向軸のなす角は45度であることを特徴とする偽造防止媒体。 - 第一位相差層と、第一反射層と、第二位相差層と、第二反射層と、第三位相差層とがこの順に積層されてなる偽造防止媒体であって、
前記第一位相差層、前記第二位相差層および前記第三位相差層はそれぞれ面方向全面に設けられ、かつ前記第一位相差層、前記第二位相差層および前記第三位相差層の位相差値はそれぞれλ/4であり、
さらに前記第一位相差層および前記第二位相差層の互いの配向軸のなす角と前記第二位相差層および前記第三位相差層の互いの配向軸のなす角はそれぞれ45度であり、前記第一位相差層および前記第三位相差層の互いの配向軸のなす角は0度であることを特徴とする偽造防止媒体。 - 第一位相差層と、第一反射層と、第二位相差層と、第二反射層と、第三位相差層とがこの順に積層されてなる偽造防止媒体であって、
前記第一位相差層、前記第二位相差層および前記第三位相差層はそれぞれ面方向全面に設けられ、かつ前記第一位相差層、前記第二位相差層および前記第三位相差層の位相差値はそれぞれλ/4であり、
さらに前記第一位相差層および前記第二位相差層の互いの配向軸のなす角と前記第二位相差層および前記第三位相差層の互いの配向軸のなす角はそれぞれ45度であり、前記第一位相差層および前記第三位相差層の互いの配向軸のなす角は90度であることを特徴とする偽造防止媒体。 - 前記色変化層は、コレステリック液晶を含んで構成されることを特徴とする請求項2記載の偽造防止媒体。
- 前記第一反射層および前記第二反射層はそれぞれ回折構造を有し、前記第一反射層と前記第二反射層とで各反射層の前記回折構造の位置が重なるように設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の偽造防止媒体。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の偽造防止媒体の観察面とは反対側の面に接着層が設けられてなることを特徴とする偽造防止ステッカー。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の偽造防止媒体を備えることを特徴とする偽造防止物品。
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- 2012-10-10 JP JP2012225395A patent/JP6179086B2/ja active Active
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