以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の第一実施形態の偽造防止媒体を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す偽造防止媒体のII−II線に沿った断面図である。
この偽造防止媒体10は、図2に示す基材21を含んでいる。基材21は、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなる二軸延伸フィルムである。
基材21上には、光反射層22が形成されている。典型的には、光反射層22は、鏡面反射体である。光反射層22は、例えば、アルミニウムを蒸着することにより形成することができる。
光反射層22の前面は、光吸収層23で部分的に被覆されている。光吸収層23は、例えば、光反射層22の前面の一部に黒色インキを塗布することにより形成することができる。この黒色インキとしては、例えば、カーボンブラックを樹脂中に分散させてなるものを使用することができる。
光吸収層23上には、円偏光反射層24が形成されている。円偏光反射層24は、円偏光の一部を選択的に反射する。円偏光反射層24は、例えば、コレステリック液晶からなる。コレステリック液晶については、後で詳述する。
光反射層22の前面上では、λ/4位相差層25が光吸収層23と隣接している。λ/4位相差層25は、例えば、ネマチック液晶からなる。λ/4位相差層25は、例えば、図1に矢印nA25で示す方向に沿った進相軸と、この進相軸に垂直な遅相軸nB25(図1では図示せず)とを有している。λ/4位相差層25は、波長がλであり且つ偏光面(電場ベクトルの振動面)が進相軸nA25に対して斜めの直線偏光を入射させると、偏光面が遅相軸nB25に平行な第1直線偏光と、偏光面が進相軸nA25に平行であり且つ第1直線偏光からλ/4だけ位相が進んだ第2直線偏光とを出射する。
波長λは、設計波長である。設計波長λは、典型的には、自然光のうち人間の視細胞の感度が高い緑色光の波長、例えば約550nmである。設計波長λにおけるλ/4位相差層25のリターデイションは、その厚さのばらつきなどに起因して、設計通りにならないことがある。このような場合であっても、このリターデイションの設計値からのずれが、設計値の約10%以下であれば、後述する検証に大きな影響を及ぼすことはない。
以下、この偽造防止媒体10のうち、円偏光反射層24に対応した部分を第1光反射領域11と呼び、λ/4位相差層25に対応した部分を第2光反射領域12と呼ぶ。なお、図2では、円偏光反射層24とλ/4位相差層25とを面一にしているが、それら表面の高さは等しくなくてもよい。
次に、コレステリック液晶について説明する。
コレステリック液晶は、複数の分子層からなる。コレステリック液晶の分子の配向方向は、各々の分子層においては一定であるが、隣り合う分子層間でわずかに異なっている。このようにして、コレステリック液晶において、液晶分子は、右まわりまたは左まわりのヘリカル構造を形成している。
コレステリック液晶は、そのヘリカルピッチと一致する波長の光のうち、そのヘリカル構造の捩じれ方向と同じ方向に回転する偏光面を有する円偏光を、偏光面の捩じれ方向を維持したまま反射し、偏光面の回転方向が逆向きの円偏光を透過させる。コレステリック液晶のこの性質は、選択反射と呼ばれている。
コレステリック液晶は、そのヘリカルピッチと一致する波長の右円偏光又は左円偏光に対して最大の反射率を示す。そして、この反射率は、円偏光の波長がヘリカルピッチからずれるのに応じて小さくなる。
ここでは、一例として、円偏光反射層24は、ヘリカルピッチが設計波長λと等しいコレステリック液晶からなるとする。なお、このヘリカルピッチの設計波長λからのずれが、設計波長λの約10%以下であれば、後述する検証に大きな影響を及ぼすことはない。
また、以下の説明では、一例として、円偏光反射層24は、右回りのヘリカル構造を有しているコレステリック液晶からなるとする。もちろん、円偏光反射層24において、コレステリック液晶のヘリカル構造は右回りでも左回りでも構わない。
次に、偽造防止媒体10に自然光を照射して、これを肉眼で観察した場合に見える画像について説明する。
第1光反射領域11の円偏光反射層24は、自然光のうち、波長が設計波長λとほぼ等しい右円偏光を選択反射し、それ以外の光成分を透過させる。円偏光反射層24を透過した光成分は、光吸収層23で吸収される。従って、第1光反射領域11は、円偏光反射層24が選択反射した右円偏光のみを放出する。
一方、第2光反射領域12では、光反射層22が入射光を鏡面反射する。従って、第2反射領域12は、入射光と強度がほぼ等しい光を放出する。
よって、偽造防止媒体10に自然光を照射して、これを観察した場合には、第1光反射領域11は、第2光反射領域12と比較してより暗く見える。
次に、この偽造防止媒体10を支持した物品が真正品であることを確認するためなどに用いる検証具について説明する。
図3は、検証具の一例を概略的に示す分解図である。図3に示す検証具50は、直線偏光フィルム51と、λ/4位相差層53及び54とを含んでいる。
直線偏光フィルム51は、例えば、吸収型の偏光フィルムである。この場合、直線偏光フィルム51は、その透過軸OPと平行な偏光面を持つ直線偏光は透過させ、透過軸OPと直交する偏光面を持つ直線偏光を吸収する。
λ/4位相差層53は、直線偏光フィルム51の一方の主面の一部と向き合っている。λ/4位相差層54は、直線偏光フィルム51の先の主面の他の一部と向き合っている。λ/4位相差層53及び54は、隣り合っており、典型的には1つの位相差層52を形成している。
λ/4位相差層53とλ/4位相差層54とは、進相軸の向きが異なっている。また、λ/4位相差層53及び54の進相軸は、直線偏光フィルム51の透過軸OPに対して斜めである。一例として、直線偏光フィルム51側から位相差層52を見た場合に、λ/4位相差層53の進相軸nA53の方向は透過軸OPに平行な方向から時計回りに45°回転させた方向であり、λ/4位相差層54の進相軸nA54の方向は透過軸OPに平行な方向から反時計回りに45°回転させた方向であるとする。この場合、この検証具50のうち、λ/4位相差層53に対応した部分は右円偏光子として機能し、λ/4位相差層54に対応した部分は左円偏光子として機能する。
設計波長λにおけるλ/4位相差層53および54の各々のリターデイションは、その厚さのばらつきなどに起因して、設計通りにならないことがある。このような場合であっても、このリターデイションの設計値からのずれが、設計値の約10%以下であれば、後述する検証に大きな影響を及ぼすことはない。
次に、この検証具50を用いて、偽造防止媒体10を支持した物品が真正品であることを検証する方法を説明する。
図4は、図1及び図2に示す偽造防止媒体と図3に示す検証具とを重ねた場合に観察可能な画像の一例を概略的に示す平面図である。図5は、図4に示す構造のV−V線に沿った断面図である。
図4及び図5では、偽像防止媒体10と検証具50とを、λ/4位相差層53及び54の各々が光反射領域11及び12の双方と向き合うように配置している。この場合、図4に示すように、第1光反射領域11のうち、λ/4位相差層54と向き合っている領域11bは暗部として見え、λ/4位相差層53と向き合っている領域11aは領域11bと比較してより明るく見える。一方、第2光反射領域12のうち、λ/4位相差層53と向き合っている領域12aは明部として見え、λ/4位相差層54と向き合っている領域12bは領域12aと同じ明るさに見える。
検証具50を重ねることで明部と暗部とが形成される理由を説明する。ここでは、簡略化のため、設計波長λと等しい波長を有する光についてのみ考える。
まず、第1光反射領域11で生じる明暗について説明する。
図5に示すように、偏光フィルム51に自然光80を照射すると、λ/4位相差層53は右円偏光82を放出し、λ/4位相差層54は左円偏光83を放出する。
円偏光反射層24は、λ/4位相差層53が放出した右円偏光を選択反射する。選択反射された右円偏光82は、λ/4位相差層54に入射する。λ/4位相差層54は、右円偏光82を直線偏光82’へと変換する。直線偏光82’は、偏光面が偏光フィルム51の透過軸OPに対して平行であるので、偏光フィルム51を透過する。一方、λ/4位相差層54が放出した左円偏光83は、円偏光反射層24を透過し、光吸収層23によって吸収される。
以上の理由から、図4に示す第1光反射領域11のうち、λ/4位相差層54と向き合っている領域11bは暗部として見え、λ/4位相差層53と向き合っている領域11aは領域11bと比較してより明るく見える。
次に、第2光反射領域12で生じる明暗について説明する。
図5を参照しながら説明した通り、偏光フィルム51に自然光を照射すると、λ/4位相差層53は右円偏光を放出し、λ/4位相差層54は左円偏光を放出する。
λ/4位相差層53が放出した右円偏光は、図2に示すλ/4位相差層25に入射する。λ/4位相差層25は、右円偏光を第1直線偏光へと変換する。第1直線偏光は、光反射層22によって鏡面反射され、λ/4位相差層25に再び入射する。λ/4位相差層25は、第1直線偏光を右円偏光へと変換する。λ/4位相差層25が放出した右円偏光は、図3に示すλ/4位相差層53に入射する。λ/4位相差層53は、右円偏光を直線偏光へと変換する。この直線偏光は、偏光面が偏光フィルム51の透過軸OPに平行であるので、偏光フィルム51を透過する。
図5に示すλ/4位相差層54が放出した左円偏光は、図2に示すλ/4位相差層25に入射する。λ/4位相差層25は、左円偏光を、第1直線偏光の偏光面に対して垂直な偏光面を有する第2直線偏光へと変換する。第2直線偏光は、光反射層22によって鏡面反射され、λ/4位相差層25に再び入射する。λ/4位相差層25は、第2直線偏光を左円偏光へと変換する。λ/4位相差層25が放出した左円偏光は、図3に示すλ/4位相差層54に入射する。λ/4位相差層54は、左円偏光を直線偏光へと変換する。この直線偏光は、偏光面が偏光フィルム51の透過軸OPに平行であるので、偏光フィルム51を透過する。
以上の理由から、図4に示す第2光反射領域12のうち、λ/4位相差層53と向き合っている領域12aは明部として見え、λ/4位相差層54と向き合っている領域12bは領域12aと同じ明るさに見える。
なお、領域11a及び11b並びに領域12a及び12bについて上述した明るさの関係は、検証具50を法線の周りで回転させたとしても変化しない。これは、λ/4位相差層53及び54が偽造防止媒体10に向けて放出する光は円偏光であり、領域11bは検証具50に向けて光を放出せず、領域11a、12a及び12bが検証具50に向けて放出する光も円偏光であるためである。
次に、検証具50を裏返しにして偽造防止媒体10に重ねた場合に見える画像について説明する。
図6は、図1及び図2に示す偽造防止媒体と図3に示す検証具とを重ねた場合に観察可能な画像の他の例を概略的に示す平面図である。図7は、図6に示す構造のVII−VII線に沿った断面図である。図6及び図7では、検証具50を裏返しにすると共に、偏光フィルタ51の透過軸OPとλ/4位相差層25の進相軸nA25とを直交させている。
検証具50を裏返しにした場合、検証具50は、透過軸OPを有する直線偏光子として機能する。すなわち、図7に示すように、λ/4位相差層52側から検証具50に自然光Li−nを照射すると、検証具50は、偽造防止媒体10に向けて、偏光フィルム51の透過軸OPに平行な偏光面を有する直線偏光Lp−p1を放出する。
第1光反射領域11に入射した直線偏光Lp−p1のうち、右円偏光Lr−rは円偏光反射層24によって選択反射され、他の左円偏光Lr−lは円偏光反射層24を透過して光吸収層23に吸収される。選択反射された右円偏光Lr−rは、偏光フィルム51に入射する。偏光フィルム51は、この右円偏光Lr−rのうち、偏光面が透過軸OPに平行な直線偏光を透過させ、偏光面が透過軸OPに垂直な直線偏光を吸収する。偏光フィルム51を透過した直線偏光は、λ/4位相差層52に入射する。λ/4位相差層52のλ/4位相差層53及び54は、それぞれ、先の直線偏光を右円偏光及び左円偏光へと変換する。これら右円偏光と左円偏光とに強度の違いはない。したがって、第1光反射領域11のうち、λ/4位相差層53を介して見える部分と、λ/4位相差層54を介して見える部分との間に明るさの違いはない。
第2光反射領域12に入射した直線偏光Lp−p1は、λ/4位相差層25を透過する。直線偏光Lp−p1の偏光面とλ/4位相差層25の進相軸nA25とが直交しているので、入射した直線偏光Lp−p1は直線偏光Lp−p1として透過し、光反射層22によって反射される。反射光としての直線偏光Lr−p1は、λ/4位相差層25を透過し、さらに偏光フィルム51を透過する。偏光フィルム51が出射した直線偏光Lr−p1は、λ/4位相差層52に入射する。λ/4位相差層52のλ/4位相差層53及び54は、それぞれ、先の直線偏光を右円偏光及び左円偏光へと変換する。これら右円偏光と左円偏光とに強度の違いはない。したがって、第2光反射領域12のうち、λ/4位相差層53を介して見える部分と、λ/4位相差層54を介して見える部分との間に明るさの違いはない。
図8は、図1及び図2に示す偽造防止媒体と図3に示す検証具とを重ねた場合に観察可能な画像のさらに他の例を概略的に示す平面図である。図9は、図8に示す構造のIX−IX線に沿った断面図である。図8及び図9には、図6及び図7に示す状態から、検証具50のみを観察者側から見て時計回りに45°回転させた状態を描いている。
図8及び図9に示すように偽造防止媒体10と検証具50とを配置した場合、第1光反射領域11は、図6及び図7を参照しながら説明したのと同じ明るさに見える。これは、第1光反射領域11が表示に利用する光は、円偏光反射層24が選択反射する光のみであるためである。
これに対し、第2光反射領域12は、図6及び図7を参照しながら説明した配置を採用した場合と比較してより暗く見える。これについて、以下に説明する。
図8及び図9に示す配置では、光学軸OPと進相軸nA25とは45°の角度をなしている。したがって、偏光フィルム51が出射した直線偏光Lp−p1は、λ/4位相差層25によって右円偏光へと変換される。この右円偏光は、光反射層22によって反射されることにより左円偏光となり、λ/4位相差層25を透過することによって直線偏光Lr−p2へと変換される。直線偏光Lr−p2の偏光面は偏光フィルム51の透過軸OPに対して垂直である。したがって、偏光フィルム51に入射した直線偏光Lr−p2は、偏光フィルム51によって吸収される。その結果、図8及び図9に示す配置では、第2光反射領域12は、暗部として見える。
この偽造防止媒体10は、真正であることが確認されるべき物品に支持させる。このような偽造防止対策を施した物品と偽造品などの非真正品とを肉眼で判別できない場合であっても、例えば、検証具50を使用することによりそれらを判別することができる。例えば、図4乃至図9を参照しながら説明した方法で真正であるか否かが未知の物品を観察したときに、上述した画像が表示されない場合、その物品は非真正品であると判断することができる。偽造防止媒体10と検証具50との配置に応じた表示画像の変化は、偽造防止媒体10の複写物で再現することはできない。また、偽造防止媒体10の複製は、困難である。したがって、偽造防止媒体10を使用すると、より高い偽造防止効果を達成することが可能となる。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。
図10は、本発明の第二実施形態の偽造防止媒体を概略的に示す平面図である。図11は、図10に示す偽造防止媒体のXI−XI線に沿った断面図である。
この偽造防止媒体10は、以下の構成を採用したこと以外は、図1及び図2を参照しながら説明した偽造防止媒体10と同様である。すなわち、図10及び図11に示す偽造防止媒体10では、λ/4位相差層25を光吸収層23及び円偏光反射層24から離間させている。換言すれば、この偽造防止媒体10では、第1光反射領域11と第2光反射領域12とを互いから離間させ、それらの間に、光反射層13を含んだ第3光反射領域13を形成している。
第3光反射領域13は、図10及び図11に示すように、それが含む光反射層13の前方に層を含んでいなくてもよい。或いは、第3光反射領域13は、それが含む光反射層22の前方に光学的に等方性の層を含んでいてもよい。
次に、偽造防止媒体10に自然光を照射して、これを肉眼で観察した場合に見える画像について説明する。
第一実施形態で説明した通り、第1光反射領域11は円偏光反射層24が選択反射した右円偏光のみを放出し、第2反射領域12は入射光と強度がほぼ等しい光を放出する。第3反射領域13も、入射光と強度がほぼ等しい光を放出する。よって、偽造防止媒体10に自然光を照射して、これを肉眼で観察した場合には、第1光反射領域11は、第2光反射領域12及び第3光反射領域13と比較してより暗く見える。
次に、この偽造防止媒体10が、図3に示す検証具50を用いて観察した場合に表示する画像について説明する。
図12は、図10及び図11に示す偽造防止媒体と図3に示す検証具とを重ねた場合に観察可能な画像の一例を概略的に示す平面図である。
図12では、偽像防止媒体10と検証具50とを、λ/4位相差層53及び54の各々が光反射領域11乃至13と向き合うように配置している。この場合、図4及び図5を参照しながら説明したのと同様に、第1光反射領域11のうち、λ/4位相差層54と向き合っている領域11bは暗部として見え、λ/4位相差層53と向き合っている領域11aは領域11bと比較してより明るく見える。そして、第2光反射領域12のうち、λ/4位相差層53と向き合っている領域12aは明部として見え、λ/4位相差層54と向き合っている領域12bは領域12aと同じ明るさに見える。
また、図5を参照しながら説明したように、偏光フィルム51に自然光80を照射すると、λ/4位相差層53は右円偏光82を放出し、λ/4位相差層54は左円偏光83を放出する。第3光反射領域13は、右円偏光を左円偏光に変換し、左円偏光を右円偏光に変換する。すなわち、λ/4位相差層53に入射する第3光反射領域13からの反射光は左円偏光であり、λ/4位相差層54に入射する第3光反射領域13からの反射光は右円偏光である。したがって、第3光反射領域13のうち、λ/4位相差層53と向き合っている領域13aは暗部として見え、λ/4位相差層54と向き合っている領域13bも暗部として見える。
次に、検証具50を裏返しにして偽造防止媒体10に重ねた場合に見える画像について説明する。
図13は、図10及び図11に示す偽造防止媒体と図3に示す検証具とを重ねた場合に観察可能な画像の他の例を概略的に示す平面図である。図13では、検証具50を裏返しにすると共に、偏光フィルタ51の透過軸OPとλ/4位相差層25の進相軸nA25とを直交させている。
この場合、第1光反射領域11及び第2光反射領域12は、図6及び図7を参照しながら説明したのと同じ明るさで見える。また、検証具50を裏返しにした場合、検証具50は、透過軸OPを有する直線偏光子として機能する。したがって、第3光反射領域13のうち、λ/4位相差層53を介して観察可能な領域は明部として見え、λ/4位相差層54を介して観察可能な領域も明部として見える。
図14は、図10及び図11に示す偽造防止媒体と図3に示す検証具とを重ねた場合に観察可能な画像のさらに他の例を概略的に示す平面図である。図14には、図13に示す状態から、検証具50のみを観察者側から見て時計回りに45°回転させた状態を描いている。
この場合、第1光反射領域11及び第2光反射領域12は、図8及び図9を参照しながら説明したのと同じ明るさで見える。また、第3光反射領域13は、図13を参照しながら説明したのと同じ明るさで見える。
この偽造防止媒体10を真正であることが確認されるべき物品に支持させた場合、第一実施形態で説明したのと同様の方法により、真正品と非真正品とを判別することができる。加えて、上記の通り、第3光反射領域13が表示する画像の偽造防止媒体10と検証具50との配置に応じた変化は、第1光反射領域11が表示する画像及び第2光反射領域12が表示する画像の変化とは異なっている。それゆえ、真正であるか否かが未知の物品が第3光反射領域13に関して上述した画像変化を生じない場合には、その物品は非真正品であると判断することができる。したがって、これを利用することにより、非真正品を真正品であると誤って判断する確率が低下する。
また、図10及び図11を参照しながら説明した偽造防止媒体10は、図1及び図2を参照しながら説明した偽造防止媒体10と比較して、構造がより複雑である。それゆえ、この偽造防止媒体10は、複製がより困難である。したがって、この偽造防止媒体10を使用すると、さらに高い偽造防止効果を達成することが可能となる。
次に、本発明のさらに他の実施形態を説明する。
図15は、本発明の第三実施形態の偽造防止媒体を概略的に示す平面図である。図16は、図15に示す偽造防止媒体のXVI−XVI線に沿った断面図である。
この偽造防止媒体10は、以下の構成を採用したこと以外は、図1及び図2を参照しながら説明した偽造防止媒体10と同様である。すなわち、図15及び図16に示す偽造防止媒体10では、円偏光反射層24をλ/8位相差層26で部分的に被覆している。偽造防止媒体10のうちλ/8位相差層26に対応した部分は、第4光反射領域14である。第4光反射領域14は、第1光反射領域11及び第2光反射領域12と面内方向に隣り合っている。
λ/8位相差層26は、例えば、図20に矢印nA26で示す方向に沿った進相軸と、この進相軸に垂直な遅相軸nB26(図20では図示せず)とを有している。λ/8位相差層26は、波長がλであり且つ偏光面(電場ベクトルの振動面)が進相軸nA26に対して斜めの直線偏光を入射させると、偏光面が遅相軸nB26に平行な第1直線偏光と、偏光面が進相軸nA26に平行であり且つ第1直線偏光からλ/8だけ位相が進んだ第2直線偏光とを出射する。λ/8位相差層26は、λ/4位相差層25に関して説明したのと同様の方法により形成することができる。
λ/8位相差層26の進相軸nA26がλ/4位相差層25の進相軸nA25に対してなす角度は任意である。ここでは、一例として、進相軸nA26と進相軸nA25とは直交していることとする。
次に、偽造防止媒体10に自然光を照射して、これを肉眼で観察した場合に見える画像について説明する。
第一実施形態で説明した通り、第1光反射領域11は円偏光反射層24が選択反射した右円偏光のみを放出し、第2反射領域12は入射光と強度がほぼ等しい光を放出する。第4反射領域14も、円偏光反射層24が選択反射した右円偏光のみを放出する。よって、偽造防止媒体10に自然光を照射して、これを肉眼で観察した場合には、第1光反射領域11と第4光反射領域14とは、ほぼ同じ明るさに見えると共に、第2光反射領域12と比較してより暗く見える。
次に、この偽造防止媒体10が、図3に示す検証具50を用いて観察した場合に表示する画像について説明する。
図17は、図15及び図16に示す偽造防止媒体と図3に示す検証具とを重ねた場合に観察可能な画像の一例を概略的に示す平面図である。
図17では、偽像防止媒体10と検証具50とを、λ/4位相差層53及び54の各々が光反射領域11、12及び14と向き合うように配置している。この場合、図4及び図5を参照しながら説明したのと同様に、第1光反射領域11のうち、λ/4位相差層54と向き合っている領域11bは暗部として見え、λ/4位相差層53と向き合っている領域11aは領域11bと比較してより明るく見える。そして、第2光反射領域12のうち、λ/4位相差層53と向き合っている領域12aは明部として見え、λ/4位相差層54と向き合っている領域12bは領域12aと同じ明るさに見える。
第4光反射領域14のうち、λ/4位相差層53と向き合っている領域14aは、λ/4位相差層54と向き合っている領域14bと比較してより明るく見える。これについて、図18を参照しながら説明する。
図18は、図15及び図16に示す偽造防止媒体と図3に示す検証具とを重ねた場合に第4光反射領域が光を反射する様子を概略的に示す図である。図18(A)は、第4光反射領域14のうちλ/4位相差層53と向き合っている領域14aが光を反射する様子を示している。図18(B)は、第4光反射領域14のうちλ/4位相差層54と向き合っている領域14bが光を反射する様子を示している。
図18(A)に示すように、光源100が放出する自然光Li−nは、直線偏光フィルム51に入射する。偏光フィルム51は、その透過軸OPに平行な偏光面を有する直線偏光Lp−p1を出射する。
偏光フィルム51が放出した直線偏光Lp−p1は、λ/4位相差層53に入射する。λ/4位相差層53は、直線偏光Lp−p1を右円偏光Lp−rへと変換する。
λ/4位相差層53が放出した右円偏光Lp−rは、λ/8位相差層26に入射する。λ/8位相差層26は、右円偏光Lp−rを右楕円偏光Lp−erへと変換する。この右楕円偏光Lp−erの電場ベクトルの終端の軌跡は、円偏光反射層24側から見た場合に、長軸が進相軸nA26に対して反時計回りに45°傾いた楕円を形成している。
λ/8位相差層26が放出した右楕円偏光Lp−erは、円偏光反射層24に入射する。円偏光反射層24は、右ヘリカル構造を有しているので、右円偏光LAr−rを選択反射し、他の光成分を透過させる。円偏光反射層24を透過した光成分Lp−lは、光吸収層23によって吸収される。
円偏光反射層24が選択反射した右円偏光LAr−rは、λ/8位相差層26に入射する。λ/8位相差層26は、右円偏光LAr−rを右楕円偏光LAr−erへと変換する。この右楕円偏光LAr−erの電場ベクトルの終端の軌跡は、λ/4位相差層53側から見た場合に、長軸が進相軸nA53に対して時計回りに45°傾いた楕円を形成している。
λ/8位相差層26が放出した右楕円偏光LAr−erは、λ/4位相差層53に入射する。λ/4位相差層53は、右楕円偏光LAr−erを右楕円偏光L’Ar−erへと変換する。この右楕円偏光L’Ar−erの電場ベクトルの終端の軌跡は、偏光フィルム51側から見た場合に、長軸が透過軸OPに対して平行な楕円を形成している。
λ/4位相差層53が放出した楕円偏光L’Ar−erは、直線偏光フィルム51に入射する。偏光フィルム51は、楕円偏光L’Ar−erのうち、透過軸OPと平行な偏光面をもつ直線偏光LAr−p1を透過させ、他の光成分を吸収する。
このようにして、領域14aからの反射光として、直線偏光LAr−p1が観察者200へと到達する。
領域14bには、図18(B)に示すように、光源100が放出する自然光Li−nのうち、直線偏光Lp−p1が入射する。具体的には、直線偏光Lp−p1は、λ/4位相差層54に入射する。λ/4位相差層54は、直線偏光Lp−p1を左円偏光Lp−lへと変換する。
λ/4位相差層54が放出した左円偏光Lp−lは、λ/8位相差層26に入射する。λ/8位相差層26は、左円偏光Lp−lを左楕円偏光Lp−elへと変換する。この左楕円偏光Lp−elの電場ベクトルの終端の軌跡は、円偏光反射層24側から見た場合に、長軸が進相軸nA26に対して反時計回りに45°傾いた楕円を形成している。
λ/8位相差層26が放出した左楕円偏光Lp−elは、円偏光反射層24に入射する。円偏光反射層24は、右ヘリカル構造を有しているので、右円偏光LBr−rを選択反射し、他の光成分を透過させる。円偏光反射層24を透過した光成分Lp−lは、光吸収層23によって吸収される。
なお、円偏光反射層24に入射する円偏光は、領域14aでは右楕円偏光Lp−erであったのに対し、領域14bでは左楕円偏光Lp−elである。したがって、領域14bで円偏光反射層24が選択反射した右円偏光LBr−rは、領域14aで円偏光反射層24が選択反射した右円偏光LAr−rと比較して強度がより小さい。
円偏光反射層24が選択反射した右円偏光LBr−rは、λ/8位相差層26に入射する。λ/8位相差層26は、右円偏光LBr−rを右楕円偏光LBr−erへと変換する。この右楕円偏光LBr−erの電場ベクトルの終端の軌跡は、λ/4位相差層53側から見た場合に、長軸が進相軸nA53に対して時計回りに45°傾いた楕円を形成している。
λ/8位相差層26が放出した右楕円偏光LBr−erは、λ/4位相差層53に入射する。λ/4位相差層53は、右楕円偏光LBr−erを右楕円偏光L’Br−erへと変換する。この右楕円偏光L’Br−erの電場ベクトルの終端の軌跡は、偏光フィルム51側から見た場合に、長軸が透過軸OPに対して平行な楕円を形成している。
λ/4位相差層53が放出した楕円偏光L’Br−erは、直線偏光フィルム51に入射する。偏光フィルム51は、楕円偏光L’Br−erのうち、透過軸OPと平行な偏光面をもつ直線偏光LBr−p1を透過させ、他の光成分を吸収する。
このようにして、領域14bからの反射光として、直線偏光LBr−p1が観察者200へと到達する。
上記の通り、領域14bで円偏光反射層24が選択反射した右円偏光LBr−rは、領域14aで円偏光反射層24が選択反射した右円偏光LAr−rと比較して強度がより小さい。したがって、領域14bが放出する直線偏光LBr−p1は、領域14aが放出する直線偏光LAr−p1と比較して強度がより小さい。したがって、領域14aは、領域14bと比較してより明るく見える。
次に、検証具50を裏返しにして偽造防止媒体10に重ねた場合に見える画像について説明する。
図19は、図15及び図16に示す偽造防止媒体と図3に示す検証具とを重ねた場合に観察可能な画像の他の例を概略的に示す平面図である。
図19では、検証具50を裏返しにすると共に、偏光フィルタ51の透過軸OPとλ/8位相差層26の進相軸nA26と平行にしている。この場合、第1光反射領域11及び第2光反射領域12は、図6及び図7を参照しながら説明したのと同じ明るさで見える。
また、検証具50を裏返しにした場合、検証具50は、透過軸OPを有する直線偏光子として機能する。図19に示す配置では、偏光フィルム51の透過軸OPとλ/8位相差層26の進相軸nA26とは平行であるので、第4光反射領域14において、円偏光反射層24には、偏光面がλ/8位相差層26の進相軸nA26と平行な直線偏光が入射する。円偏光反射層24は、これに入射した直線偏光のうち、右円偏光を選択反射し、左円偏光を透過させる。左円偏光は光吸収層23によって吸収され、右円偏光はλ/8位相差層26に入射する。
λ/8位相差層26は、先の右円偏光を、右楕円偏光へと変換する。この右楕円偏光の電場ベクトルの終端の軌跡は、偏光フィルム51側から見た場合に、長軸が透過軸OPに対して反時計回りに45°傾いた楕円を形成している。λ/8位相差層26が放出した右楕円偏光は、偏光フィルム51に入射する。偏光フィルム51は、右楕円偏光のうち、偏光面が透過軸OPに平行な直線偏光を透過させる。λ/4位相差層53及び54は、この直線偏光を、強度が互いに等しい右円偏光及び左円偏光へとそれぞれ変換する。したがって、第4光反射領域14のうち、λ/4位相差層53を介して観察可能な領域と、λ/4位相差層54を介して観察可能な領域とは、同じ明るさに見える。
図20は、図15及び図16に示す偽造防止媒体と図3に示す検証具とを重ねた場合に観察可能な画像のさらに他の例を概略的に示す平面図である。
図20には、図19に示す状態から、検証具50のみを観察者側から見て反時計回りに45°回転させた状態を描いている。この場合、第1光反射領域11及び第2光反射領域12は、図8及び図9を参照しながら説明したのと同じ明るさで見える。
図20に示す配置では、検証具50側から偽造防止媒体10を見た場合に、偏光フィルム51の透過軸OPは、λ/8位相差層26の進相軸nA26に対して反時計回りに45°の角度をなしている。したがって、第4光反射領域14において、λ/8位相差層26は、偏光フィルム51が放出した直線偏光を、右楕円偏光へと変換する。この右楕円偏光の電場ベクトルの終端の軌跡は、円偏光反射層24側から見た場合に、長軸がλ/8位相差層26の進相軸nA26に対して時計回りに45°傾いた楕円を形成している。
この右楕円偏光は、円偏光反射層24に入射する。円偏光反射層24は、これに入射した右楕円偏光のうち、右円偏光を選択反射し、他の光成分を透過させる。左円偏光は光吸収層23によって吸収され、右円偏光はλ/8位相差層26に入射する。
λ/8位相差層26は、先の右円偏光を、右楕円偏光へと変換する。この右楕円偏光の電場ベクトルの終端の軌跡は、偏光フィルム51側から見た場合に、長軸が透過軸OPに対して反時計回りに45°傾いた楕円を形成している。λ/8位相差層26が放出した右楕円偏光は、偏光フィルム51に入射する。偏光フィルム51は、右楕円偏光のうち、偏光面が透過軸OPに平行な直線偏光を透過させる。λ/4位相差層53及び54は、この直線偏光を、強度が互いに等しい右円偏光及び左円偏光へとそれぞれ変換する。したがって、第4光反射領域14のうち、λ/4位相差層53を介して観察可能な領域と、λ/4位相差層54を介して観察可能な領域とは、同じ明るさに見える。
なお、図19の配置では円偏光反射層24には直線偏光が入射したのに対し、図20の配置では円偏光反射層24には右楕円偏光が入射する。したがって、図20の配置によると、図19の配置と比較して、円偏光反射層24が選択反射する右円偏光の強度がより大きい。すなわち、図20の配置では、図19の配置と比較して、第4光反射領域14がより明るく見える。
図21は、図15及び図16に示す偽造防止媒体と図3に示す検証具とを重ねた場合に観察可能な画像のさらに他の例を概略的に示す平面図である。
図21には、図19に示す状態から、検証具50のみを観察者側から見て反時計回りに90°回転させた状態を描いている。この場合、第1光反射領域11及び第2光反射領域12は、図8及び図9を参照しながら説明したのと同じ明るさで見える。また、第4光反射領域14は、偽造防止媒体10と検証具50とを図19に示すように配置した場合と同じ明るさに見える。
図22は、図15及び図16に示す偽造防止媒体と図3に示す検証具とを重ねた場合に観察可能な画像のさらに他の例を概略的に示す平面図である。
図22には、図19に示す状態から、検証具50のみを観察者側から見て反時計回りに135°回転させた状態を描いている。この場合、第1光反射領域11及び第2光反射領域12は、図8及び図9を参照しながら説明したのと同じ明るさで見える。
図22に示す配置では、検証具50側から偽造防止媒体10を見た場合に、偏光フィルム51の透過軸OPは、λ/8位相差層26の進相軸nA26に対して時計回りに45°の角度をなしている。したがって、第4光反射領域14において、λ/8位相差層26は、偏光フィルム51が放出した直線偏光を、左楕円偏光へと変換する。この左楕円偏光の電場ベクトルの終端の軌跡は、円偏光反射層24側から見た場合に、長軸がλ/8位相差層26の進相軸nA26に対して反時計回りに45°傾いた楕円を形成している。
この左楕円偏光は、円偏光反射層24に入射する。円偏光反射層24は、これに入射した左楕円偏光のうち、右円偏光を選択反射し、他の光成分を透過させる。左円偏光は光吸収層23によって吸収され、右円偏光はλ/8位相差層26に入射する。
λ/8位相差層26は、先の右円偏光を、右楕円偏光へと変換する。この右楕円偏光の電場ベクトルの終端の軌跡は、偏光フィルム51側から見た場合に、長軸が透過軸OPに対して反時計回りに45°傾いた楕円を形成している。λ/8位相差層26が放出した右楕円偏光は、偏光フィルム51に入射する。偏光フィルム51は、右楕円偏光のうち、偏光面が透過軸OPに平行な直線偏光を透過させる。λ/4位相差層53及び54は、この直線偏光を、強度が互いに等しい右円偏光及び左円偏光へとそれぞれ変換する。したがって、第4光反射領域14のうち、λ/4位相差層53を介して観察可能な領域と、λ/4位相差層54を介して観察可能な領域とは、同じ明るさに見える。
図19の配置では円偏光反射層24には直線偏光が入射したのに対し、図22の配置では円偏光反射層24には左楕円偏光が入射する。したがって、図22の配置によると、図19の配置と比較して、円偏光反射層24が選択反射する右円偏光の強度がより小さい。すなわち、図22の配置では、図19の配置と比較して、第4光反射領域14がより暗く見える。
この偽造防止媒体10を真正であることが確認されるべき物品に支持させた場合、第一実施形態で説明したのと同様の方法により、真正品と非真正品とを判別することができる。加えて、上記の通り、第4光反射領域13が表示する画像の偽造防止媒体10と検証具50との配置に応じた変化は、第1光反射領域11が表示する画像及び第2光反射領域12が表示する画像の変化とは異なっている。それゆえ、真正であるか否かが未知の物品が第4光反射領域13に関して上述した画像変化を生じない場合には、その物品は非真正品であると判断することができる。したがって、これを利用することにより、非真正品を真正品であると誤って判断する確率が低下する。
また、図15及び図16を参照しながら説明した偽造防止媒体10は、図1及び図2を参照しながら説明した偽造防止媒体10と比較して、構造がより複雑である。それゆえ、この偽造防止媒体10は、複製がより困難である。したがって、この偽造防止媒体10を使用すると、さらに高い偽造防止効果を達成することが可能となる。
上述した偽造防止媒体10には、様々な変形が可能である。例えば、円偏光反射層24の前面全体をλ/8位相差層26で被覆してもよいし、円偏光反射層24の前面の一部をλ/8位相差層26で被覆し、他の一部をλ/4位相差層で被覆してもよい。
光吸収層23は有色層でもよい。また、光吸収層23の一部または全体を光反射層で置換してもよい。
光反射層22は、カラーシフト性の顔料含有層であってもよい。また、光反射層22は、レリーフ構造を有する金属反射層であってもよい。
偽造防止媒体10が含む各位相差層は、反射光を遮らない程度に染料及び/又は顔料で着色されてもよい。例えば、着色層を一対の位相差層で挟み、それらで1つの位相差層を構成してもよい。或いは、位相差層の前方及び/又は後方に着色層を設けてもよい。
円偏光反射層24を形成するコレステリック液晶のヘリカル構造の捩れ方向は、左右どちらでもよい。また、右回りのヘリカル構造を有するコレステリック液晶層と左回りのヘリカル構造を有するコレステリック液晶層とを併用してもよい。円偏光反射層24は、例えば、コレステリック液晶を粉砕し樹脂に分散したものを用いて形成してもよい。
偽造防止媒体10の前面を保護層で被覆してもよい。
偽造防止媒体10の背面、ここでは基材21の2つの主面のうち、反射層22が形成されていない面に、粘着又は接着加工を施してもよい。すなわち、偽造防止媒体10を用いて、偽造防止ラベルとして使用可能な粘着ラベルを形成してもよい。
偽造防止媒体10は、様々な方法で印刷物に適用できる。例えば、上記の粘着ラベルを印刷物に貼り付けてもよい。この場合、基材21に切り込み又はミシン目を設けておいてもよい。すなわち、ラベルを剥がそうとしたときに、基材21が切り込みから破れるような構造を採用してもよい。もちろん、偽造防止媒体10は、印刷物以外の物品に貼り付けることもできる。
偽造防止媒体10を含んだ転写箔を形成し、これを用いて、偽造防止媒体10を物品に取り付けてもよい。
図23は、転写箔の一例を概略的に示す断面図である。図23に示す転写箔90は、基材91を含んでいる。基材91上には、剥離層92、偽造防止媒体10、及び接着層93が順次積層されている。
偽造防止媒体10の前面は、基材91と向き合っている。偽造防止媒体10は、図2などを参照しながら説明した基材21を含んでいなくてもよい。
偽造防止媒体10を印刷物に適用する場合、スレッド(ストリップ、フィラメント、糸状物、安全帯片などとも称される)と呼ばれる形態で、紙にすき込んでもよい。
以下、偽装防止媒体10に使用可能な材料について説明する。
基材21の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、天然樹脂のフィルム、合成紙、紙、ガラス板、アルミフォイルなどを単独で、または、それらを組み合わせた複合体などとして使用することが可能である。厚みは、偽造防止媒体の使用目的に応じて適宜選択すれば良い。
光反射層22に用いる材料としては、光反射性が得られれば特に限定されず、例えば、アルミニウム、金、銀、銅などの金属又は合金を用いることができる。これらの材料は単独でまたは積層して使用できる。光反射層22は、例えば、真空蒸着やスパッタリングなどの公知の方法を用いて形成することができる。光反射層22の厚さは、例えば、50から1000Åの範囲内とする。
光吸収層23は、例えば、カーボンブラックを樹脂に分散させた黒色インキを用いて形成することができる。光吸収層23は、有彩色層であってもよい。
円偏光反射層24は、例えば、キラルな二次元又は三次元架橋性液晶物質を配向させ、この状態で架橋反応を生じさせることにより得ることができる。
コレステリック液晶からなる円偏光反射層24は、上で説明したように、選択反射性を示し、ヘリカル構造のピッチと等しい波長の右円偏光又は左円偏光を選択的に反射する。ヘリカル構造のピッチは、温度および/またはカイラル剤を用いて制御することができ、それによりコレステリック液晶による所望の反射色を作り出すことができる。ヘリカル構造を有する液晶は、各分子が層をなして配置されており、かつ層内で均一に配列されることで、初めてその光学的特性を形成する。
各分子層の配向は、公知の方法、例えば配向層または電界または磁界によって制御できる。また、配向の固定化としては、代表的な方法として、キラルな三次元架橋性液晶と多官能性重合化合物とを組み合せ、紫外線を照射して三次元架橋を生じさせる方法が挙げられる。この方法により、ヘリカル構造が固定化したコレステリック高分子液晶を得ることができる。
コレステリック高分子液晶の出発物質としては、ヘリカル構造のピッチが紫外線から赤外線の範囲の光の波長と等しいものであれば、全てのコレステリック液晶を使用できる。従って、キラル相を有する液晶物質はネマチックまたはスメクチック構造をとる液晶にキラル物質を加えることで製造できる。キラル物質の種類及び分子量がヘリカル構造の捩じれの向きやピッチ、延いては反射光の波長を決定する。さらに構造中に不整炭素を持つ液晶であれば、キラル物質の添加無しにヘリカル構造をとらせることも可能である。ヘリカル構造のピッチ変更には、温度の変更も有効である。ただし、ピッチは温度が低いと長く、温度が高いと短くなるため、温度が低すぎる場合には反射光は赤外線領域に、高いと分子による吸収を除けば紫外線領域に入り、さらには等方相となり液晶性を示さなくなる。従って、意匠性、偽造防止性等に必要な反射光を得るために、どの波長を利用するかによって適正に管理する必要がある。
出発物質は、重合性基、重縮合性基または重付加に有効な基を有し、従来公知のエネルギー線硬化性化合物が使用されるが、特に分子中に2個ないしそれ以上のエネルギー線硬化性基を有する単量体またはオリゴマーを含有することが好ましい。ラジカル系光重合性単量体としては、従来公知である、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能性単量体、ポリウレタンポリアクリレート、エポキシ樹脂系ポリアクリレート、アクリルポリオールポリアクリレート等の他官能性オリゴマー類が好ましい。一官能性の単量体としては、アルキル(C1〜C18)(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アルキレン(C2〜C4)グリコール(メタ)アクリレート、アルコキシ(C1〜C10)アルキル(C2〜C4)(メタ)アクリレート、ポリアルキレン(C2〜C4)グリコール(メタ)アクリレート、アルコキシ(C2〜C10)ポリアルキレン(C2〜C4)グリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。カチオン系光重合性単量体としては、従来公知の芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル系化合物が挙げられる。
コレステリック液晶層の製造においては、典型的には、エネルギー線硬化を起こすために必要に応じて重合開始剤などを使用する。使用する重合開始剤は、照射するエネルギー線に対して適切な特性を持つ公知のものが選択される。例えば、光重合開始剤としては従来公知のものを使用することができる。ラジカル系光重合開始剤としては、α−ヒドロキシアセトフェノン系、α−アミノアセトフェノン系などのアセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、α−ジカルボニル系、α−アシルオキシムエステル系などの公知のものを使用することができる。具体的な使用法としては、α−アミノアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、イソプロピルチオキサントン、ベンゾフェノンとN−メチルジエタノールアミンとの併用などが挙げられる。カチオン系光重合開始剤としては、例えば、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。好ましくは、カチオン系光重合開始剤は、公知の増感剤や過酸化物と適宜併用する。組み合せとしては、例えば、アリルヨードニウム塩−α−ヒドロキシアセトフェノン系、トリアリルスルホニウム塩系、メタロセン化合物−パーオキサイド併用系、メタロセン化合物−チオキサントン併用系、メタロセン化合物−アントラセン併用系などが挙げられる。
コレステリック液晶層は、上述の材料を、コンマコーター、グラビア、マイクログラビアコーターオフセットなどの公知のコーティング方法や印刷方法で、膜厚0.5〜20μm、好ましくは2〜10μmとなるよう基材上に塗布し、メタルハライドランプ高圧水銀ランプ等公知の活性エネルギー線照射装置で架橋させることで得られる。なお、架橋を速やかに進めるため、活性エネルギー線照射環境を不活性ガス、例えば窒素を用い酸素濃度を下げたり、ポリエチレン等のフィルムと貼り合わせ酸素阻害を回避したりすることも出来る。
コーティングの際には適宜溶剤を選択し溶解しても良く、その希釈率はやはり必要に応じて設定すれば良い。
また、基材上に構築したコレステリック液晶フィルムの液晶面に接着剤を塗布し、必要に応じた形状で別の基材に転写しても良い。
λ/4位相差層25などの位相差層は、例えば、ネマチック若しくはスメクチック液晶から形成され得る。位相差層の材料としては、円偏光反射層24を形成するコレステリック液晶に関して説明したのと同様に重合性基、重縮合性基または重付加に有効な基を有したものが良く、従来公知のエネルギー線硬化性化合物を使用することができる。
また、重合開始剤もコレステリック液晶に関して説明したのと同じものが使用でき、製造方法も同様である。
必要膜厚は、液晶の屈折率と複屈折率の差に依存する。反射性基材の上で550nmの波長の光に対しλ/2の位相差を与える液晶の膜厚は、屈折率差が0.1のとき約1.4μmであり、λ/4の位相差を与える膜厚は約0.7μmである。
塗工にもコレステリック液晶に関して説明したのと同様な装置が使用でき、溶解希釈も必要に応じて適宜行うことが出来る。
コレステリック液晶層、ネマチック若しくはスメクチック液晶層の液晶の配向には配向膜を使用してもよい。配向膜の材料としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)やポリイミドなどの公知の樹脂が使用できる。
これらの樹脂を適宜溶解した樹脂溶液を、ワイヤバー、グラビア、マイクログラビア等の塗工方式を用いて反射性基材上に塗布し、この塗膜を乾燥する。膜厚は、例えば、0.1μmから20μmの範囲であり、好ましくは0.3μmから10μmの間である。
その後、ラビング布にて配向膜面を擦るラビング処理を行い、配向膜を得る。ラビング布には、例えば、コットンやベルベット等公知の材料が使用出来る。
このようにして作成した配向膜上に液晶を設置することで、より好適な位相差性、円偏光を得ることが出来る。
偽造防止媒体10を印刷物等に適用するための粘着剤としては、一般的な材料を用いることができる。例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系ポリアミド、アクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、ポリイソブチル系などの粘着剤を単独で用いることもできるし、またはこれらの粘着剤にアルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン、ビニルモノマー等の凝集成分、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー、アクリルニトリル等に代表される改質成分や重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加したものを用いることもできる。粘着層の形成には、公知のグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などの印刷方法やバーコート法、グラビア法、ロールコート法などの塗布方法を用いることができる。
さらには、粘着剤を予めセパレーターに形成したものを準備しておき、偽造防止媒体10へセパレーターを剥がして貼り合わせてもよい。
また、粘着加工を施した偽造防止媒体10の取り扱いを容易にするため、離型処理を行った離型紙や離型フィルムを粘着層の上に設置してもよい。
10…偽造防止媒体、11…第1光反射領域、12…第2光反射領域、13…第3光反射領域、14…第4光反射領域、21…基材、22…光反射層、23…光吸収層、24…円偏光反射層、25…λ/4位相差層、26…λ/8位相差層、50…検証具、51…直線偏光フィルム、52…λ/4位相差層、53…λ/4位相差層、54…λ/4位相差層、90…転写箔、91…基材、92…剥離層、93…接着層。