JP2014044190A - 原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法 - Google Patents

原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原子力プラントの構成部材の表面の化学除染及びその表面への貴金属の付着の施工に要する時間を短縮できる原子力プラントの構成部材への放射性核種付着抑制方法を提供する。
【解決手段】原子力プラントの起動前で原子力プラントの停止時に、貴金属注入装置を原子力プラントの配管系に接続する(S1)。この配管系の内面への、化学除染の酸化除染、酸化除染剤分解及び還元除染を実施する(S2)。還元除染の終了後、還元除染液に含まれるシュウ酸の一部を分解し、pHが3.5以上になる還元除染液に白金を注入する(S4)。白金濃度が設定濃度になったとき、還元剤を注入して、白金及び還元剤を含む還元除染液を配管系の内面に接触させる(S6)。配管系の内面に白金を付着させる。白金及び還元剤の注入を停止し(S7)、白金及び還元剤を分解する(S8)。浄化及び廃液処理の後に原子力プラントを起動する。
【選択図】図1

Description

本発明は、原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法に係り、特に、沸騰水型原子力プラントに適用するのに好適な原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法に関する。
原子力プラントとして、例えば、沸騰水型原子力発電プラント(以下、BWRプラントという)及び加圧水型原子力発電プラント(以下、PWRプラントという)が知られている。BWRプラントは、原子炉圧力容器(RPVと称する)内に炉心を内蔵した原子炉を有する。再循環ポンプ(またはインターナルポンプ)によって炉心に供給された冷却水は、炉心内に装荷された燃料集合体内の核燃料物質の核***で発生する熱によって加熱され、一部が蒸気になる。この蒸気は、原子炉からタービンに導かれ、タービンを回転させる。タービンから排出された蒸気は、復水器で凝縮され、水になる。この水は、給水としてRPVに供給される。給水は、RPV内での放射性腐食生成物の発生を抑制するため、給水配管に設けられたろ過脱塩装置で主として金属不純物が除去される。
BWRプラント及びPWRプラント等の原子力プラントでは、RPVなどの主要な構成部材は、腐食を抑制するために、水が接触する接水部にステンレス鋼及びニッケル基合金などを用いている。RPV内に存在する冷却水である炉水の一部を原子炉浄化系のろ過脱塩装置によって浄化し、炉水中に僅かに存在する金属不純物を積極的に除去している。
前述の腐食対策を講じても、極僅かな金属不純物が炉水に残ることが避けられないため、一部の金属不純物が、金属酸化物として、燃料集合体に含まれる燃料棒の表面に付着する。この付着した金属不純物(例えば、金属元素)は、燃料棒内の核燃料物質の核***によって発生する中性子の照射により原子核反応を起こし、コバルト60、コバルト58、クロム51、マンガン54等の放射性核種になる。これらの放射性核種は、大部分が酸化物の形態で燃料棒表面に付着したままであるが、一部の放射性核種は、取り込まれている酸化物の溶解度に応じて炉水内にイオンとして溶出したり、クラッドと呼ばれる不溶性固体として炉水中に再放出されたりする。炉水に含まれる放射性物質は、原子炉浄化系によって取り除かれる。
しかしながら、除去されなかった放射性物質は炉水とともに再循環系などを循環している間に、BWRプラントを構成する構成部材の炉水と接触する表面に蓄積される。その結果、構成部材の表面から放射される放射線が、BWRプラントの定期検査の作業を行う従事者の放射線被曝の原因となる。その従事者の被曝線量は、各人毎に規定値を超えないように管理されている。近年この規定値が引き下げられ、各人の被曝線量を経済的に可能な限り低くする必要が生じている。
そこで、配管への放射性核種の付着を低減する方法、及び炉水中の放射性核種の濃度を低減する方法が種々検討されている。例えば、亜鉛などの金属イオンを炉水に注入して、炉水と接触する再循環系配管内面に亜鉛を含む緻密な酸化皮膜を形成させることにより、この酸化皮膜中へのコバルト60及びコバルト58等の放射性核種の取り込みを抑制する方法が提案されている(特開昭58−79196号公報参照)。
特開2006−38483号公報及び特開2007−192745号公報は、鉄(II)イオンを含むギ酸水溶液、過酸化水素及びヒドラジンを含み、常温から100℃の範囲に加熱された処理液を、原子力プラントの構成部材の表面に接触させてその表面にフェライト皮膜を形成し、原子力プラントの運転後において放射性核種がその構成部材の表面に付着することを抑制する方法を記載している。さらに、マグネタイト皮膜よりも安定なニッケルフェライト皮膜もしくは亜鉛フェライト皮膜を原子力プラントの構成部材の表面に形成し、原子力プラントの運転後においてその構成部材の表面に放射性核種が付着することをさらに抑制する方法が提案されている。原子力プラントの構成部材の表面に形成されるフェライト皮膜の形成量を水晶振動子電極装置によって計測することが、特開2010−127788号公報に記載されている。
特開2006−38483号公報には、原子力プラントの運転停止中において原子力プラントの構成部材の表面の化学除染を行い、その表面にフェライト皮膜を形成し、このフェライト皮膜の表面に白金を付着させることを記載している。
原子力プラントの構成部材の応力腐食割れを抑制するために、その構成部材の炉水と接触する表面に、亜鉛クロマイト(ZnCr)及びクロム酸化物(Cr)が混在する亜鉛とクロムの複合酸化物層を形成することが、特開2001−91688号公報に記載されている。
運転を経験した原子力プラントの構成部材の炉水に接触する表面、例えば、原子炉圧力容器に接続された配管の内面に形成されている放射性核種を含む酸化膜等を除去する化学除染が、特開2000−105295号公報に記載されている。この化学除染は、被ばく線量を低減するために行われるものである。化学除染は、主に、酸化除染液による酸化除染工程、酸化除染剤分解工程、還元除染液による還元除染工程、還元除染剤分解工程及び浄化工程を含んでいる。
原子力プラントでは、応力腐食割れの進展を抑制するために、RPV内の炉水に水素及び白金を注入する技術を適用している(proceedings of water chemistry 2004, p1054-1059参照)。この白金注入技術では、具体的には、白金錯体が原子力プラントの起動後において給水配管よりRPV内の炉水に注入され、白金が、炉水と接触する、原子力プラントの構成部材(例えば、原子力プラントの配管)の表面に付着される。この結果、その表面が強還元環境に保たれ、構成部材での応力腐食割れの進展が抑制される。
特開昭58−79196号公報 特開2006−38483号公報 特開2007−182604号公報 特開2007−192745号公報 特開2010−127788号公報 特開2001−91688号公報 特開2000−105295号公報
proceedings of water chemistry 2004, p1054-1059
しかしながら、上記した白金注入技術は、白金によってその構成部材の表面を強還元環境に保つことにより、構成部材での応力腐食割れの進展を抑制できるものの、その構成部材の表面には60Coを取り込み易い酸化皮膜が形成され易くなることが報告されている。このため、原子力プラントの保守点検時における作業者の被ばく線量の増加が危惧される。
特開2006−38483号公報では、前述したように、原子力プラントの運転停止中において原子力プラントの構成部材の表面の化学除染を行った後に、その表面にフェライト皮膜を形成し、このフェライト皮膜の表面に白金を付着させている。この場合には、原子力プラントの運転停止中に白金がフェライト皮膜を介して構成部材の表面に付着されるので、その構成部材の表面を原子力プラントの起動時から強還元環境に保つことができ、その構造部材の表面での60Coを取り込み易い酸化皮膜の形成が抑制できる。しかしながら、白金錯体を含む溶液をフェライト皮膜の表面に接触させて、フェライト皮膜表面に白金を付着させる場合には、白金がフェライト皮膜の表面に付着しにくく、フェライト皮膜の表面に付着した白金が所定厚みになるまでに要する時間が長くなることを、発明者らが発見した。
このため、発明者らは、原子力プラントの運転停止中で原子力プラントの構成部材の表面に貴金属(例えば、白金)を付着させる場合において、構成部材の表面の化学除染及びその表面への貴金属の付着の施工に要する時間を短縮できる貴金属付着方法を検討した。
本発明の目的は、原子力プラントの構成部材の表面の化学除染及びその表面への貴金属の付着の施工に要する時間を短縮することができる原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、還元除染剤の水溶液を用いて、原子力プラントの構成部材の炉水に接触する表面の還元除染を実施するステップ、及び還元除染後に実施される還元除染剤の分解工程内で、還元除染剤の一部を分解した後でその水溶液に還元除染剤が残っている第1期間、及び還元除染剤分解工程が終了した後に実施されるその水溶液の浄化を行う第2期間の少なくとも一つの期間において、貴金属イオンを含む薬剤及び還元剤をその水溶液に注入することにより生成された、貴金属イオン及び還元剤を含むその水溶液を、その構成部材の還元除染が実施された表面に接触させ、その表面に貴金属を付着させるステップを有し、
還元除染を実施するステップ、貴金属イオンを含む薬剤及び還元剤を注入するステップ、及び貴金属を付着させるステップが、原子力プラントの運転停止後で原子力プラントの起動前に行われることことにある。
還元除染後に実施される還元除染剤の分解工程内で、還元除染剤の一部を分解した後でその水溶液に還元除染剤が残っている期間、及び還元除染剤分解工程が終了した後に実施されるその水溶液の浄化を行う期間のいずれかにおいてその水溶液に貴金属イオンを含む薬剤及び還元剤を注入するステップ、及び貴金属イオン及び還元剤を含むその水溶液を、その構成部材の炉水に接触する表面に接触させて、その表面に貴金属を付着させるステップを有するので、原子力プラントの構成部材の表面の化学除染及びその表面への貴金属の付着の施工に要する時間を短縮することができる。還元剤の使用は、構成部材の表面への貴金属の付着効率を増大させるため、その施工時間のさらなる短縮に貢献する。
本発明によれば、原子力プラントの構成部材の表面の化学除染及びその表面への貴金属付着の施工に要する時間を短縮することができる。
本発明の好適な一実施例である、沸騰水型原子力発電プラントの再循環系配管に適用される実施例1の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法の手順を示すフローチャートである。 図1に示す原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法を実施する際に用いられる貴金属注入装置を沸騰水型原子力発電プラントの再循環系配管に接続した状態を示す説明図である。 図2に示す貴金属注入装置の詳細構成図である。 未処理試験片及び白金付着試験片のそれぞれにおける酸化皮膜形成量を示す説明図である。 未処理試験片及び白金付着試験片のそれぞれへの放射性核種(60Co)の付着状態を示す説明図である。 白金皮膜をステンレス鋼製の構成部材表面に形成した状態における白金皮膜の縦断面像及び組成分析結果を示す説明図である。 未処理試験片及び白金付着試験片のそれぞれにおける白金付着量を示す説明図である。 純水中と本発明での還元除染剤の分解工程中における白金付着量を示す説明図である。 本発明の他の実施例である、沸騰水型原子力発電プラントの再循環系配管に適用される実施例2の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法の手順を示すフローチャートである。 本発明の他の実施例である、沸騰水型原子力発電プラントの再循環系配管に適用される実施例3の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法において用いられる貴金属注入装置の詳細構成図である。 図10に示す水晶振動子電極装置の循環配管への取り付け状態を示す説明図である。 図11に示す水晶振動子電極装置の詳細縦断面図である。 図12に示す水晶振動子電極装置を温度90℃の純水に浸漬した状態でその水晶振動子電極装置により測定した重量変化の測定結果を示す特性図である。 本発明の他の実施例である、沸騰水型原子力発電プラントの再循環系配管に適用される実施例6の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法において用いられる貴金属注入装置の詳細構成図である。 本発明の他の実施例である実施例7の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法において用いられる貴金属注入装置を沸騰水型原子力発電プラントの浄化系配管に接続した状態を示す説明図である。 本発明の他の実施例である、沸騰水型原子力発電プラントの再循環系配管に適用される実施例4の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法の手順を示すフローチャートである。 本発明の他の実施例である、沸騰水型原子力発電プラントの再循環系配管に適用される実施例8の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法の手順を示すフローチャートである。
発明者らは、原子力プラントの構成部材の表面における、60Coを取り込み易い酸化被膜の形成について詳細に検討した。この結果、発明者らは、原子力プラントの運転中において原子力プラントの構成部材の炉水に接触する表面に酸化皮膜が形成された後、原子炉圧力容器内の炉水への白金注入によりその酸化皮膜の表面に付着した白金粒子が存在すると、酸化皮膜の表面に付着している白金によりその酸化皮膜の組成が変化して60Coを取り込み易い酸化皮膜に変化することを突き止めた。また、構成部材の、酸化皮膜が形成されていない金属の表面に白金を付着させることにより、その金属の表面において、60Coを取り込み易い酸化皮膜の形成が抑制され、結果的に、原子力プラントの構成部材の炉水に接触する表面における60Coの付着量を抑制できることが分かった。つまり、原子力プラントの構成部材の母材表面に酸化皮膜が形成されていない状態でその構成部材の表面を強還元環境に曝すことで、構成部材の母材から溶出したFeイオンの構成部材表面の酸化によるFe酸化物の析出を抑え、酸化物中に取り込まれる60Coの構成部材表面への付着を抑制するだけでなく、構成部材の応力腐食割れの進展を抑制することができる。
原子力プラントの構成部材の炉水に接触する表面に白金またはパラジウム等の貴金属を付着させる従来の貴金属注入は、原子力プラントの起動から3ヶ月が経過した後の原子力プラントの運転中において行われる。発明者らは、このような従来の貴金属注入において、60Coがその構成部材の炉水に接触する表面に形成された酸化皮膜に60Coが取り込まれる現象について詳細な検討を行った。その結果、原子力プラントの起動から白金を原子炉圧力容器内の炉水中に注入するまでの3ヶ月間に原子力プラントの構成部材の表面に形成される、60Coを取り込み易い酸化皮膜に、60Coが多く取り込まれることが分かった。
そこで、発明者らは、原子力プラントの起動から白金を原子炉圧力容器内に注入するまでの3ヶ月間に60Coを取り込み易い酸化被膜をその構成部材の表面に形成しない方法について種々検討した。この結果、原子力プラントが停止されているときに実施される化学除染中、すなわち、化学除染の、還元除染工程終了後における還元除染剤の分解工程において、原子力プラントの構成部材の表面に白金イオン及び還元剤を接触させてその表面に白金粒子を付着するまたは白金皮膜を形成すると、60Coを取り込み易い酸化皮膜がその構成部材の表面に形成されることを抑制できることが分かった。つまり、原子力プラントの起動前において、原子力プラントの構成部材の表面に白金を付着させて原子力プラントの起動後に原子炉圧力容器内の炉水に水素を注入すれば、原子力プラントの起動直後から原子力プラントの構成部材の表面(例えば、配管の内面)を強還元環境に保つことができる。これにより、腐食によって構成部材の母材表面から溶出した鉄イオンの再析出を防ぐことができる。
貴金属である白金を表面に付着させたステンレス鋼製の試験片(白金付着試験片)及び貴金属を表面に付着させていないステンレス鋼製の試験片(未処理試験片)のそれぞれの表面に形成された各酸化皮膜の量を、図4に示す。図4に示す実験結果は、水素を注入した、沸騰水型原子力プラントの原子炉圧力容器内の炉水を模擬した模擬炉水を用い、この模擬炉水に各試験片を浸漬させて各試験片の表面に酸化皮膜を形成させて得られたものである。その模擬炉水は、温度が280℃で、約200ppbの溶存酸素、約50ppbの溶存水素、及び過酸化水素を含んでいる水である。白金付着試験片の酸化皮膜形成量が未処理試験片の酸化皮膜形成量の1/5に低減している。白金付着試験片及び未処理試験片のそれぞれの表面への60Co付着量を図5に示す。図4に示す結果を得るための実験に用いた模擬炉水に60Coをトレーサとして添加し、60Coを含む模擬炉水に各試験片を浸漬させて60Co付着量を確認する実験を行い、図5に示す実験結果が得られた。白金付着試験片の60Co付着量が未処理試験片の60Co付着量の約1/3に低減された。この結果から、白金を付着したステンレス鋼は、白金を付着していないステンレス鋼よりも放射性核種の付着を抑制することが分かる。
そこで、原子力プラントの起動前の原子力プラントの停止中において化学除染を実施している間に白金を原子力プラントの構成部材の表面に付着させることができる技術について検討を行った。この検討の一環として、発明者らが原子炉圧力容器内の炉水に白金を注入して原子力プラントの構成部材の表面に白金粒子を付着させる従来の貴金属注入を検討したところ、白金イオンが原子力プラントの構成部材の表面で還元されてその構成部材の表面に白金として付着されることが分かった。発明者らは、さらに、100℃以下の低温においても白金イオンを還元できる方法を種々検討した。この検討の結果、白金イオンを含む薬剤及び還元剤を含む処理液を原子力プラントの構成部材の表面に接触させることにより、その表面への白金粒子の付着(または白金皮膜の形成)が実現できることが分かった。また、還元剤を用いて効率的に白金イオンを還元することにより、原子力プラントの運転中に行われる従来の貴金属注入よりも、白金が原子力プラントの構成部材の表面に効率良く付着し、さらに、その表面上で緻密な皮膜状になることも突き止めた。また、還元剤の使用は、特開2006−38483号公報に記載された貴金属の付着処理よりも、白金が原子力プラントの構成部材の表面に効率良く付着して緻密な皮膜状になると共に白金の付着に要する時間を短縮することができる。
以上の検討により得られた知見を考慮し、原子力プラントの起動前の原子力プラントの停止中において原子力プラントの構成部材に化学除染を実施している間での、原子力プラントの構成部材の表面への白金付着方法を検討した。
発明者らは、白金イオンを含む第1薬剤及び還元剤を含む第2薬剤を含む処理液を原子力プラントの構成部材の表面に接触させることにより(1)式で表される反応を生じさせ、その表面に白金粒子を付着させる、またはその表面に白金皮膜を形成させることができると考えた。
Pt2++2e2− →Pt……(1)
そこで、発明者らは、白金イオンを含む第1の薬剤及び還元剤を含む第2薬剤を含む処理液を、原子力プラントのステンレス鋼製の構成部材を模擬したステンレス鋼製の試験片の表面に接触させ、一つのその試験片の表面に白金粒子を付着させる、及び他のその試験片の表面に白金皮膜を形成することを実験により試みた。
発明者らは、白金イオンを含む第1薬剤及び還元剤(例えば、ヒドラジン)を含む第2薬剤を純水に添加して生成した処理液を、ステンレス鋼製の上記試験片の表面に接触させ、この表面に白金皮膜を形成した。白金皮膜の形成後に、試験片の表面に形成された白金皮膜の電子顕微鏡による観察及びその白金皮膜の組成分析を行った。電子顕微鏡による観察及び組成分析の結果を図6に示す。組成分析は図6に示す分析点3における組成の分析結果であり、分析した結果、分析点3の組成が白金であることを確認できた。図6に示された電子顕微鏡による観察及び組成分析の結果に基づいて、白金イオンの濃度を変化させることにより、白金粒子が均一に分散して緻密な皮膜状態で試験片の表面に付着していることを確認した。以上のように、白金イオン及び還元剤を含む処理液を用いたときに、緻密な白金皮膜をその試験片の表面に形成することができる。なお、ステンレス鋼製の上記試験片の表面に白金粒子を付着させた場合にも、同様な結果が得られた。
白金注入を実施した場合におけるステンレス鋼製の試験片の表面への白金付着量(従来法)、及び白金イオンを含む第1薬剤及び還元剤を含む第2薬剤を純水に添加して生成した処理液をステンレス鋼製の試験片の表面に接触させた場合におけるその試験片の表面への白金付着量(本発明)を、図7に示す。後者の第1薬剤及び第2薬剤を含む処理液を用いた場合における白金付着量(本発明)は従来法における白金付着量の約9倍になった。また、処理液の白金濃度を低下させたときには、白金粒子がステンレス鋼製の試験片の表面に付着することも確認した。
さらに、発明者らは、化学除染中、すなわち、化学除染の、還元除染工程終了後における還元除染剤の分解工程において、原子力プラントの構成部材を模擬したステンレス鋼製の試験片の表面に白金粒子を付着できるかを確認する実験を行った。この実験においては、還元除染工程終了後における還元除染剤の分解工程での還元除染剤の分解途中の還元除染液を模擬した水溶液(模擬還元除染液)が用いられた。この模擬還元除染液は、還元除染剤であるシュウ酸濃度が50ppmであるpH4のシュウ酸水溶液である。シュウ酸に比べてヒドラジンは分解しやすいので、シュウ酸濃度が50ppmまで低下したとき、還元除染液にはヒドラジンが含まれていない。なお、還元除染工程で使用される還元除染液は、シュウ酸濃度が2000ppmでヒドラジン濃度が600ppmであるpH2.5の水溶液である。上記の模擬還元除染液は、還元除染工程が終了した時点でシュウ酸濃度が2000ppmである還元除染液のシュウ酸を、その後の化学除染の還元除染剤分解工程でシュウ酸を分解してシュウ酸が50ppmになったときの還元除染液を模擬している。
シュウ酸濃度が50ppmの、模擬還元除染液であるシュウ酸水溶液に、白金イオンを含む第1薬剤及び還元剤、例えば、ヒドラジンを含む第2薬剤を純水に添加して生成した処理液を混合し、この混合液にステンレス鋼製の試験片を浸漬させた。白金イオンを含む第1薬剤及びヒドラジンを純水に添加して生成した処理液中の白金濃度は100pptであり、ステンレス鋼製の試験片を浸漬させた混合液の温度は90℃である。具体的には、シュウ酸を含む混合液は、シュウ酸50ppmを含む水溶液に白金を100pptとなるように添加し、その後、ヒドラジンを300ppmとなるようにさらに添加して生成された。その混合液にその試験片を浸漬してから20分経過した後、試験片を混合液から取り出した。そして、試験片表面における白金の付着状態を観察し、試験片表面における白金付着量を求めた。試験片表面の白金付着量は、図8において「本発明」で示された白金の付着量である。なお、図8に示された「純水」は、1リットルの純水に白金濃度が100pptとなるようにPt溶液を添加し、その後、ヒドラジンを300ppmとなるようにさらに添加して生成された処理液に、ステンレス鋼製の試験片を浸漬させることにより、この試験片表面に付着した白金の量を示している。
この結果、白金イオンを含む第1薬剤及びヒドラジンを純水に添加して生成した上記処理液をステンレス鋼製の試験片の表面に接触させた場合と同様に、混合液から取り出した試験片の表面には、図6に示すように、白金粒子が均一に分散して緻密な皮膜状態で付着していた。上記したように模擬還元除染液と処理液の混合液に浸漬した試験片の表面における白金の付着量(本発明)は、図8に示すように、白金イオンを含む第1薬剤及びヒドラジンを純水に添加して生成した処理液に浸漬したステンレス鋼製の試験片の表面における白金付着量とほぼ同じになった。
以上の検討結果に基づいて、発明者らは、化学除染の、還元除染工程終了後における還元除染剤の分解工程において還元除染剤の分解を開始した後で、還元除染剤、例えば、シュウ酸を含んでいるpH4の還元除染液に、白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンを注入することによって、還元除染剤が一部残っている状態であっても、還元除染が終了した、原子力プラントの構成部材の表面に白金粒子を付着できることを新たに見出した。さらに、還元剤の作用によって注入した白金イオンから生成された白金の触媒作用によっても、還元除染剤及び還元剤が分解されるので、還元除染剤等の分解に要する時間を短縮することができることも分かった。
また、化学除染の一工程である浄化工程において、還元除染剤及び還元剤が分解された水溶液に白金イオンを含む薬剤及び還元剤であるヒドラジンを注入して生成された、白金イオン及びヒドラジンを含む水溶液を、原子力プラントの構成部材に接触させても、その構成部材の表面に白金を付着させることができる。その水溶液における還元除染剤の濃度が非常に小さいので、構成部材の表面への白金の付着量が増大し、白金付着に要する時間が短縮される。
本発明は、以上に述べた新たな知見に基づいて成されたものである。
貴金属注入により原子力プラントの構成部材の表面に付着させる貴金属としては、白金以外に、前述したパラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム及びイリジウムのいずれかを用いてもよい。また、還元剤としては、ヒドラジン以外に、アンモニア及び尿素のいずれかを用いてもよい。
発明者らは、還元除染剤の分解工程において還元除染剤の分解を開始した後に原子力プラントの構成部材の炉水に接触する表面に貴金属粒子、例えば、白金粒子を付着させる条件について検討した。還元除染剤の分解を開始した後において、還元除染剤(例えば、シュウ酸)を含む還元除染液(還元除染剤水溶液)に、貴金属イオン(例えば、白金イオン)を含む薬剤及び還元剤を添加し、貴金属イオン、還元剤、及び還元除染剤を含む水溶液を、原子力プラントの構成部材の炉水に接触する表面に接触させ、その表面に貴金属粒子を付着させるためには、その水溶液のpHを3.5以上にする必要がある。その水溶液のpHの上限は9.0である。この結果、原子力プラントの構成部材の表面に貴金属粒子(例えば白金粒子)を付着させるためにその表面に接触させる貴金属イオン、還元剤及び還元除染剤を含む水溶液のpHは、3.5〜9.0の範囲にすることが望ましい。その水溶液のpHが3.5未満であるときは、還元除染液に含まれている還元除染剤の作用により、その構成部材の表面が溶解するため、貴金属粒子が構成部材の表面に付着しなくなる。
白金イオンを含む薬剤、還元剤、及び還元除染剤を含む水溶液の温度を、60℃から100℃の範囲内に調節することが望ましい。その水溶液の温度が60℃よりも低くなると貴金属が原子力プラントの構成部材の表面に付着しにくくなり、所定量の貴金属がその表面に付着するまで長時間を要することになる。このため、白金イオンを含む薬剤、還元剤及び還元除染剤を含む水溶液の温度は60℃以上にすることにより、原子力プラントの構成部材の表面に短時間に貴金属を付着させることができ、原子力プラントの定期検査の他の工程に悪影響を与えることを避けることができる。また、その水溶液の温度が100℃よりも高くなると、その水溶液の沸騰を抑制するために水溶液を加圧しなければならない。このため、仮設設備である貴金属注入装置に耐圧性が要求され、その装置が大型化する。したがって、その水溶液の温度が100℃よりも高くすることは好ましくない。
また、原子力プラントの構成部材の表面に接触させる、貴金属イオンを含む薬剤、還元剤及び還元除染剤を含む水溶液の貴金属濃度は、10ppt〜1ppmの範囲内にある。貴金属濃度が10pptよりも低い場合には、原子力プラントの構成部材の表面に付着する貴金属の量が非常に少なくなり、原子力プラントの運転中における炉水の溶存酸素濃度の低減に寄与しなくなる。また、貴金属濃度が1ppmになると原子力プラントの構成部材の表面に貴金属の皮膜が形成され、貴金属濃度が1ppmよりも高くなるとその貴金属皮膜の厚みが増大するだけで、高価な貴金属がその表面に無駄に付着することになる。このため、上記の水溶液の貴金属濃度は1ppm以下にすることが望ましい。
貴金属イオン(例えば、白金イオン)、還元剤(例えば、ヒドラジン)及び還元除染剤を含む水溶液の還元剤濃度は、10ppt以上にすることが望ましい。その水溶液における還元剤の濃度が貴金属イオンの濃度よりも少なすぎると還元反応が起こらず、構成部材表面への貴金属の付着量が低下してしまう。水溶液中の貴金属イオンに対して過剰に還元剤が存在する場合には、構成部材表面への貴金属の付着量に関しては何ら問題が生じない。しかしながら、水溶液中に還元剤が多量に存在すると、還元剤の分解に時間がかかってしまうことになる。なお、貴金属イオン、還元剤及び還元除染剤を含む水溶液の還元剤濃度は、この水溶液の貴金属イオンの濃度以上にすることが好ましい。
以上の検討結果を反映した、本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法を、図1、図2及び図3を用いて説明する。本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法は、沸騰水型原子力発電プラント(BWRプラント)の再循環系配管に適用される。本実施例では、貴金属である白金の注入は、BWRプラントの起動前の運転停止中に行われる。
原子力発電プラントであるBWRプラントは、図2に示すように、原子炉1、タービン3、復水器4、再循環系、原子炉浄化系及び給水系等を備えている。原子炉1は、炉心13を内蔵する原子炉圧力容器(以下、RPVという)12を有し、RPV12内にジェットポンプ14を設置している。炉心13には多数の燃料集合体(図示せず)が装荷されている。燃料集合体は、核燃料物質で製造された複数の燃料ペレットが充填された複数の燃料棒を含んでいる。再循環系は、ステンレス鋼製の再循環系配管22、及び再循環系配管22に設置された再循環ポンプ21を有する。給水系は、復水器4とRPV12を連絡する給水配管10に、復水ポンプ5、復水浄化装置(例えば、復水脱塩器)6、低圧給水加熱器8、給水ポンプ7及び高圧給水加熱器9を、復水器4からRPV12に向って、この順に設置して構成されている。原子炉浄化系は、再循環系配管22と給水配管10を連絡する浄化系配管20に、浄化系ポンプ24、再生熱交換器25、非再生熱交換器26及び炉水浄化装置27をこの順に設置している。浄化系配管20は、再循環ポンプ21の上流で再循環系配管22に接続される。原子炉1は、原子炉建屋(図示せず)内に配置された原子炉格納容器11内に設置されている。
RPV12内の冷却水は、再循環ポンプ21で昇圧され、再循環系配管22を通ってジェットポンプ14内に噴出される。ジェットポンプ14のノズルの周囲に存在する冷却水も、ジェットポンプ14内に吸引されて炉心13に供給される。炉心13に供給された冷却水は燃料棒内の核燃料物質の核***で発生する熱によって加熱され、加熱された冷却水の一部が蒸気になる。この蒸気は、RPV12内に設けられた気水分離器(図示せず)及び蒸気乾燥器(図示せず)にて水分が除去された後に、RPV12から主蒸気配管2を通ってタービン3に導かれ、タービン3を回転させる。タービン3に連結された発電機(図示せず)が回転し、電力が発生する。
タービン3から排出された蒸気は、復水器4で凝縮されて水になる。この水は、給水として、給水配管10を通りRPV12内に供給される。給水配管10を流れる給水は、復水ポンプ5で昇圧され、復水浄化装置6で不純物が除去され、給水ポンプ7でさらに昇圧される。給水は、低圧給水加熱器8及び高圧給水加熱器9で加熱されてRPV12内に導かれる。抽気配管15でタービン3から抽気された抽気蒸気が、低圧給水加熱器8及び高圧給水加熱器9にそれぞれ供給され、給水を加熱する。
再循環系配管22内を流れる冷却水の一部は、浄化系ポンプ24の駆動によって原子炉浄化系の浄化系配管20内に流入し、再生熱交換器25及び非再生熱交換器26で冷却された後、炉水浄化装置27で浄化される。浄化された冷却水は、再生熱交換器25で加熱されて浄化系配管20及び給水配管10を経てRPV12内に戻される。
BWRプラントの運転が停止された後のBWRプラントの運転停止期間内で、仮設設備である貴金属注入装置30の循環配管(処理液配管)35の両端が、ステンレス鋼製の再循環系配管22に接続される。この循環配管35を再循環系配管22に接続する作業を具体的説明する。BWRプラントの運転が停止されているときに、例えば、再循環系配管22に接続されている浄化系配管20に設置されている弁23のボンネットを開放して浄化系ポンプ24側を封鎖する。循環配管35の一端が弁23のフランジに接続される。これにより、循環配管35の一端が再循環系ポンプ21の上流で再循環系配管22に接続される。他方、再循環ポンプ21の下流側で再循環系配管22に接続されたドレン配管または計装配管などの枝管を切り離し、その切り離された枝管に、循環配管35の他端を接続する。循環配管35の両端が再循環系配管22に接続され、再循環系配管22及び循環配管35を含む閉ループが形成される。再循環系配管22の両端部におけるRPV12内での各開口部は、後述する酸化除染液、還元除染液、及び白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液がRPV12内に流入しないように、プラグ(図示せず)でそれぞれ封鎖される。再循環系配管22の内面への白金の付着が終了し、再循環系配管の化学除染の全工程が終了した後で且つBWRプラントの運転停止期間内で、貴金属注入装置30が再循環系配管22から取り外される。その後で、BWRプラントの運転が開始される。
貴金属注入装置30は、再循環系配管22の内面の化学除染、及び再循環系配管22の内面への貴金属の付着の両方の処理に用いられる。再循環系配管22に接続された貴金属注入装置30は、BWRプラントでは放射線管理区域である原子炉格納容器11内に配置されている。
本実施例では、貴金属付着対象物として再循環系配管22を選択したが、給水系、冷却材浄化系、及び補機冷却水系の各配管を貴金属付着対象物にする場合には、該当する貴金属付着対象物の配管系に循環配管35を接続する。
貴金属注入装置30の詳細な構成を、図3を用いて説明する。貴金属注入装置30は、サージタンク31、循環ポンプ32,54、循環配管35、エゼクタ37、白金イオン注入装置38、還元剤注入装置43、酸化剤供給装置48、加熱器56、カチオン交換樹脂塔66及び分解装置73を備えている。
開閉弁53、循環ポンプ54、加熱器56、弁57,58及び59、サージタンク31、循環ポンプ32、弁33及び開閉弁34が、上流よりこの順に循環配管35に設けられている。加熱器56及び弁57をバイパスする配管65が循環配管35に接続され、冷却器63及び弁64が配管65に設置される。両端が循環配管35に接続されて弁58をバイパスする配管68に、カチオン交換樹脂塔66及び弁67が設置される。両端が配管68に接続されてカチオン交換樹脂塔66及び弁67をバイパスする配管71に、混床樹脂塔69及び弁70が設置される。カチオン交換樹脂塔66は陽イオン交換樹脂を充填しており、混床樹脂塔69は陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を充填している。
弁74及び分解装置73が設置される配管75が弁59をバイパスして循環配管35に接続される。分解装置73は、内部に、例えば、ルテニウムを活性炭の表面に添着した活性炭触媒を充填している。サージタンク31が弁59と循環ポンプ32の間で循環配管35に設置される。弁36及びエゼクタ37が設けられる配管72が、弁33と循環ポンプ32の間で循環配管35に接続され、さらに、サージタンク31に接続されている。再循環系配管22の内面の汚染物を酸化溶解するために用いる過マンガン酸カリウム(酸化除染剤)、さらには再循環系配管22の内面の汚染物を還元溶解するために用いるシュウ酸(還元除染剤)をサージタンク31内に供給するためのホッパ(図示せず)がエゼクタ37に設けられている。
白金イオン注入装置38が、薬液タンク39、注入ポンプ40及び注入配管42を有する。薬液タンク39は、注入ポンプ40及び弁41を有する注入配管42によって循環配管35に接続される。薬液タンク39には、白金錯体を水に溶解して調製した白金イオンを含む薬剤(第1薬剤)が充填されている。白金錯体としては、例えば、ヘキサヒドロキソ白金酸ナトリウム水和物(Na[Pt(OH)]・nHO)を用いる。
還元剤注入装置43が、薬液タンク44、注入ポンプ45及び注入配管47を有する。薬液タンク44は、注入ポンプ45及び弁46を有する注入配管47によって循環配管35に接続される。薬液タンク44には還元剤であるヒドラジンが充填される。
酸化剤供給装置48が、薬液タンク49、供給ポンプ50及び供給配管51を有する。薬液タンク49は、供給ポンプ50及び弁52を有する供給配管51によって分解装置73より上流で配管75に接続される。薬液タンク49には酸化剤である過酸化水素が充填される。酸化剤としては、オゾン、または酸素を溶解した水を用いてもよい。
本実施例では、白金イオン注入装置38の循環配管35への第1接続点(注入配管42と循環配管35の接続点)77は、還元剤注入装置43の循環配管35への第2接続点(注入配管47と循環配管35の接続点)76よりも上流に位置している。第1接続点77は第2接続点76よりも下流に配置してもよい。
pH計78が第2接続点76よりも下流で循環配管35に取り付けられる。導電率計79が弁33と第1接続点77の間で循環配管35に取り付けられる。
本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法を、図1を用いて詳細に説明する。白金の付着は化学除染の還元除染の終了後還元剤の分解途中で行われる。化学除染は、主に、酸化除染液による酸化除染工程、酸化除染剤分解工程、還元除染液による還元除染工程、還元除染剤分解工程及び浄化工程を含んでいる。図1に示す手順は、白金の、その構成部材の表面への付着だけでなく、その構成部材の表面の化学除染、及び白金の付着に用いた処理液に含まれる還元剤(例えば、ヒドラジン)の分解の各工程も含んでいる。まず、貴金属注入装置30を皮膜形成対象の配管系に接続する(ステップS1)。すなわち、BWRプラントの運転がBWRプラントの定期検査のために停止された後のBWRプラントの運転停止期間において、前述したように、循環配管35が皮膜形成対象物の配管系である再循環系配管(原子力プラントの構成部材)22に接続される。
貴金属付着対象物に対して化学除染における酸化除染及び還元除染を実施する(ステップS2)。運転を経験したBWRプラントでは、RPV12内の冷却水(以下、炉水という)と接触する、再循環系配管22の内面に、放射性核種を含んでいる酸化皮膜が形成されている。ステップS2の一例は、化学的な処理によりその酸化皮膜を、再循環系配管22の内面から取り除く処理である。皮膜形成対象物の配管系への白金の付着は、その再循環系配管内面の放射性核種の付着抑制及び応力腐食割れ抑制を目的とするものであるが、白金の付着に際しては再循環系配管22の内面に対して予め化学除染を実施しておくことが好ましい。
ステップS2以降で適用する化学除染は、公知の方法(特開2000−105295号公報参照)である。まず、弁34,33,59,58,57及び53をそれぞれ開き、他の弁を閉じた状態で、循環ポンプ32及び54を駆動する。これにより、循環配管35及び再循環系配管22の閉ループ内にサージタンク31内の水を循環させる。加熱器56により循環する水を加熱し、この水の温度を90℃に調節する。この水の温度が90℃になったときに弁36が開けられる。必要量の過マンガン酸カリウムがエゼクタ37を通して配管72内に供給され、さらに、配管72内を流れる水によりサージタンク31内に導かれる。過マンガン酸カリウムがサージタンク31内で水に溶解し、酸化除染液(過
マンガン酸カリウム水溶液)が生成される。この酸化除染液は、循環ポンプ32の駆動によってサージタンク31から循環配管35を経て再循環系配管22内に供給される。酸化除染液は、再循環系配管22の内面に形成されている酸化皮膜などの汚染物(放射性核種を含む)を酸化して溶解する(酸化除染工程)。
酸化除染が終了した後、エゼクタ37から配管72内に供給されるシュウ酸をサージタンク31内に注入する。このシュウ酸によって酸化除染液に含まれている過マンガン酸カリウムが分解される(酸化除染剤分解工程)。その後、サージタンク31内で生成されてpHが調整された還元除染液(シュウ酸水溶液)は、循環ポンプ32によって循環配管35から再循環系配管22内に供給され、再循環系配管22の内面に付着している腐食生成物(放射性核種を含む)の還元溶解を行う(還元除染工程)。弁46を開いて注入ポンプ45を駆動すると、薬液タンク44内のヒドラジンが、注入配管47を通して循環配管35内に注入される。還元除染液のpHが、薬液タンク44から循環配管35内に注入されるヒドラジンによって調整される。本実施例では、再循環系配管22の内面に白金を付着させるときに用いられる還元剤であるヒドラジンが、還元除染工程で還元除染液のpH調整剤として利用される。再循環系配管22に供給される還元除染液のシュウ酸濃度が2000ppmであり、還元除染液のpHは2.5である。この還元除染液が再循環系配管22の内面に接触すると、再循環系配管22の内面に付着している、放射性核種を含む腐食生成物がシュウ酸によって溶解される。放射性核種及び腐食生成物が溶解している還元除染液が、再循環系配管22から循環配管35に排出される。弁67を開いて弁58の開度を調節することにより、循環配管35に排出された還元除染液の一部が、配管68を通して、カチオン交換樹脂塔66に導かれる。還元除染液に含まれた放射性核種の金属陽イオン等の金属陽イオンは、カチオン交換樹脂塔66内の陽イオン交換樹脂に吸着されて除去される。カチオン交換樹脂塔66から排出された還元除染液及び弁58を通過した還元除染液は、循環配管35から再循環系配管22内に再び供給される。このように、還元除染液は、循環配管35及び再循環系配管22を含む閉ループ内を循環しながら、再循環系配管22の内面の還元除染を行う。
還元除染工程の終了を判定する(ステップS3)。還元除染工程の終了判定は、例えば、貴金属付着対象物である再循環系配管22の放射線量に基づいて行われる。再循環系配管22の放射線量を放射線検出器で測定し、測定した放射線量が設定放射線量以下に低減されたとき、再循環系配管22に対する還元除染工程を低減する。還元除染工程を開始してからの経過時間が所定時間になったときに、還元除染工程を終了してもよい。また、放射性核種の金属陽イオンを吸着するカチオン交換樹脂塔66の放射線量を放射線検出器で測定し、放射線線量の測定値に基づいて還元除染工程の終了を判定してもよい。
還元除染液に含まれる還元除染剤の一部の分解、及び貴金属イオンを含む薬剤の注入を実施する(ステップS4)。還元除染工程が終了した後に、還元除染剤の分解工程が開始される。注入ポンプ45の駆動を停止して弁46を全閉にし、薬液タンク44から循環配管35へのヒドラジンの注入を停止する。さらに、弁74を開いて弁59の開度を調整して循環配管35内を流れる還元除染液の一部を分解装置73に供給する。この還元除染液に含まれるシュウ酸及びヒドラジンは、供給ポンプ50の駆動により薬液タンク48から供給配管51を通して分解装置73に導かれた過酸化水素、及び分解装置73内の活性炭触媒の作用によって分解される。シュウ酸及びヒドラジンの分解装置73内での分解は、還元除染液を再循環系配管22及び循環配管35により形成される閉ループ内を循環させながら行われる。還元除染液に含まれるシュウ酸の分解により還元除染液のpHは徐々に大きくなる。pH計78で測定した還元除染液(シュウ酸水溶液)のpHが、例えば、4になったとき、供給ポンプ50を停止し、弁52,74を全閉にする。これにより、シュウ酸の分解が停止される。シュウ酸の分解によりpHが4になった還元除染液は、ヒドラジンを含んでいない。さらに、弁67を閉じて還元除染液のカチオン交換樹脂塔66への供給を停止する。なお、pH4の還元除染液のシュウ酸濃度は50ppmである。
この状態で、弁41を開いて注入ポンプ40を駆動する。薬液タンク39内の白金イオンを含む薬剤(第1薬剤)の水溶液、すなわち、Na[Pt(OH)]・nHOを含む水溶液が注入配管42を通って循環配管35内を流れているpH4のシュウ酸を含む水溶液に注入される。Na[Pt(OH)]・nHOを含む水溶液中では、白金はイオン状態になっている。白金イオンを含む薬剤の注入によって生成された、白金イオン及びシュウ酸を含む水溶液が、循環配管35から再循環系配管22内に供給され、再循環系配管22から循環配管35に戻され、循環配管35及び再循環系配管22で形成される閉ループ内を循環する。
貴金属イオン及び還元除染剤を含む水溶液の貴金属濃度が設定濃度であるかを判定する(ステップS5)。循環配管35より再循環系配管22に供給される、白金イオン及びシュウ酸を含む水溶液の白金イオン濃度が、設定濃度になったかの判定は、薬液タンク39から循環配管35への白金イオンを含む薬剤の注入開始からの経過時間に基づいて行われる。循環配管35より再循環系配管22に供給される水溶液の白金イオンの濃度が設定濃度(例えば、100ppt)になるまでは、その水溶液は上記閉ループ内を循環し、その水溶液への白金イオンを含む薬剤の注入が継続して行われる。例えば、薬液タンク39内の白金イオンを含む薬剤の白金イオン濃度が100pptであり、循環配管35内を流れる水溶液の流量が10であり、薬液タンク39から循環配管35に供給される、白金イオンを含む薬剤の流量が2.5であるとする。この場合には、その水溶液が上記閉ループ内を4周する間、その水溶液に白金イオン濃度が100pptの白金イオンを含む薬剤が注入されると、循環配管35から再循環系配管22に供給される、白金イオン及びシュウ酸を含む水溶液の白金イオン濃度が100pptになる。例えば、白金イオンを含む薬剤の注入が開始された時点から、その水溶液が第1接続点を基準にして上記閉ループ内を4周するのに要する時間が経過したとき、水溶液の白金イオン濃度が設定濃度(例えば、100ppt)になったと判定される。
還元剤を注入する(ステップS6)。閉ループ内を循環して第1接続点で白金イオンを含む薬剤が注入された水溶液の白金イオン濃度が100pptになったとき、弁46を開いて注入ポンプ45を駆動する。薬液タンク44から循環配管35への、還元剤であるヒドラジンンの注入が開始される。ヒドラジンンの注入により、白金イオン、還元剤であるヒドラジン及びシュウ酸を含む90℃の水溶液(処理液)が循環配管35から再循環系配管22に供給される。白金イオンの還元反応を積極的に起こすために、本実施例では、その水溶液のpHは、pH計78の測定値に基づいて、例えば、7になるように、白金イオン濃度に対してヒドラジンを過剰に注入する。シュウ酸の分解によりpHが4になった水溶液のシュウ酸濃度が50ppmと小さいので、ヒドラジンの注入量は少なくて済む。もし、白金イオン濃度が100pptでpH4のシュウ酸水溶液にヒドラジンを注入してそのシュウ酸水溶液のヒドラジン濃度を100pptにする場合には、ヒドラジンの注入量が少ないのでそのシュウ酸水溶液のpHは4からほとんど変化しない。
白金イオン(濃度:100ppt)、ヒドラジン及びシュウ酸を含み、pHが7で温度が90℃の水溶液が、再循環系配管22内を流れ、再循環系配管22の内面に接触する。この水溶液に含まれる白金イオンが、再循環系配管22の内面でヒドラジンにより還元されて再循環系配管22の内面に白金粒子として付着される。再循環系配管22の内径が循環配管35の内径よりも極めて大きいので、再循環系配管22内の、内面に白金を付着させる領域全体(循環配管35が接続された浄化系配管20と再循環系配管22の接続点と、再循環ポンプ22の下流側で循環配管35が再循環系配管22に接続される接続点の間における、再循環系配管22内の領域)が、循環配管35から供給される白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含み、pHが7で温度が90℃の水溶液で満たされるまでに約1時間を要する。このため、この水溶液が再循環系配管22に供給されるとともに、再循環系配管22内に元々存在している、白金イオン及びシュウ酸を含む水溶液が、再循環系配管22から排出されて循環配管35に戻される。ヒドラジンが、薬液タンク44から、循環配管35内に戻された水溶液に注入される。再循環系配管22から戻された白金イオン及びシュウ酸を含む水溶液は、注入されたヒドラジンを含んで白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液となり、再循環系配管22に供給される。
貴金属イオンを含む薬剤及び還元剤の注入を停止する(ステップS7)。白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液の再循環系配管22への供給が開始された時点から1時間が経過したとき、前述したように、再循環系配管22内の、内面に白金を付着させる領域全体が、白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含み、pHが7で温度が90℃の水溶液で満たされる。このため、再循環系配管22の、この水溶液と接触する内面全域に白金粒子が付着される。白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液の再循環系配管22への供給が開始された時点から1時間が経過したときに、注入ポンプ40,45の駆動が停止されて弁41,46が全閉にされ、白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの循環配管35へのそれぞれの注入が停止される。このとき、再循環系配管22内の、内面に白金を付着させる領域全体において、白金粒子が膜状になってその内面に付着している。
還元除染剤及び還元剤の分解を実施する(ステップS8)。白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの注入が停止された後、還元除染剤分解工程が再開される。注入ポンプ40,45の駆動を停止して弁41,46を全閉にしたとき、ステップS4と同様に、弁74を開いて弁59の開度を調整して循環配管35内を流れる白金イオン、ヒドラジン(還元剤)及びシュウ酸を含む水溶液の一部を、分解装置73に供給する。前述のシュウ酸及びヒドラジン(pH調整剤)の分解と同様に、その水溶液に含まれるヒドラジン及びシュウ酸が、過酸化水素、及び分解装置73内に充填された活性炭触媒のルテニウムの作用によって分解される(還元除染剤分解工程)。分解装置73に供給される水溶液に含まれる白金イオンは、水溶液に含まれるヒドラジンの作用により白金になり、水溶液中に白金ナノ粒子となって析出する。この白金が、分解装置73内でルテニウムと同様に触媒として作用する。分解装置73内で、供給される水溶液に含まれるシュウ酸及びヒドラジンは、配管51により分解装置73に供給された過酸化水素、及びその水溶液内で生成された上記の白金の作用によっても分解される。分解装置73から排出された水溶液が循環配管35内を流れる水溶液に混合され、この水溶液の導電率が導電率計79で測定される。測定された水溶液の導電率が設定導電率に低下したとき、水溶液のシュウ酸濃度が10ppmに低下し、シュウ酸及びヒドラジンの分解が終了する。供給ポンプ50が停止され、弁52,74が閉じられて全閉状態になる。
還元除染剤及び還元剤が分解された水溶液の浄化を実施する(ステップS9)。シュウ酸及びヒドラジンの分解が終了した後、弁64を開いて弁57を閉じ、弁67,70を開いて弁58を閉じる。加熱器56による、シュウ酸及びヒドラジンが分解された水溶液の加熱が停止され、この水溶液が冷却器63で冷却されて水溶液の温度が例えば60℃に調節される。冷却されて60℃になった、白金イオンを含む水溶液が、カチオン交換樹脂塔66及び混床樹脂塔69にそれぞれ供給される。その水溶液に含まれている白金イオン及び水溶液中に析出した白金粒子がカチオン交換樹脂塔66及び混床樹脂塔69に捕集されて水溶液から除去される。水溶液に含まれる他の不純物、すなわち、放射性核種を含む金属陽イオンがカチオン交換樹脂塔66及び混床樹脂塔69でそれぞれ除去され、陰イオンが混床樹脂塔69で除去される(浄化工程)。
廃液を処理する(ステップS10)。浄化工程が終了した後、ポンプ(図示せず)を有する高圧ホース(図示せず)により循環配管35と廃液処理装置(図示せず)を接続する。浄化工程の終了後に循環配管35及び再循環系配管22内に存在する水溶液は、放射性廃液である。その水溶液は高圧ホースに設けられたポンプを駆動して循環配管35から高圧ホースを通して廃液処理装置(図示せず)に排出され、廃液処理装置で処理される。循環配管35及び再循環系配管22内の全ての水溶液が、廃液処理装置に排出されたとき、化学除染の全工程が終了する。
酸化除染工程、酸化除染剤分解工程、還元除染工程、還元除染剤分解工程及び浄化工程が複数回、例えば、2〜3回繰り返される場合には、ステップS4〜S8の各ステップは最後の還元除染剤分解工程で行われ、ステップS9は最後の浄化工程で行われる。
化学除染の全工程が終了した後、循環配管35と廃液処理装置を接続している高圧ホースを取り外し、循環配管35の両端部が再循環系配管22から取り外される。再循環系配管22及び浄化系配管20が循環配管35の接続前の状態に復旧され、その後で、BWRプラントの運転が開始される。
本実施例では、還元除染液に含まれているシュウ酸の一部を分解し(ステップS4)、シュウ酸が残っている状態で還元除染液、すなわち、シュウ酸を含む水溶液に白金イオン及びヒドラジンを添加するため、再循環系配管22の内面への白金粒子の付着が終了した後、白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液が、分解装置73に供給される。その水溶液に含まれるヒドラジン及びシュウ酸は、分解装置73内において、分解装置73内の触媒(例えば、活性炭触媒)及び過酸化水素の作用によって分解されるだけでなく、過酸化水素、及びその水溶液中の白金イオンがヒドラジンによって還元されて生成された白金の作用によっても分解される。その水溶液に含まれるヒドラジン及びシュウ酸の分解が早く終了する。このため、本実施例は、ステップS4におけるシュウ酸の分解に要する時間及びステップS8におけるシュウ酸の分解に要する時間の合計である還元除染剤の分解に要する時間を、特開2000−105295号公報の還元除染剤分解工程における還元除染剤の分解に要する時間よりも短縮することができる。このような本実施例は、再循環系配管22の内面への化学除染及びその内面への白金粒子の付着の両者を行うのに要する時間を短縮できる。
また、BWRプラントの運転が停止されている期間において、本実施例で用いられた貴金属注入装置30を用いて再循環系配管22の内面への化学除染を実施し、この化学除染の工程の最後の浄化工程が終了した後に、貴金属注入装置30を用いて白金イオン及びヒドラジンを含む水溶液を再循環系配管22の内面に接触させて再循環系配管22の内面に白金粒子を付着させることが考えられる。このケースでは、化学除染における還元除染剤の分解に要する時間が特開2000−105295号公報の還元除染剤分解工程における還元除染剤の分解に要する時間と同じになり、さらに、再循環系配管22の内面に白金粒子を付着させる際に用いた還元剤であるヒドラジンを分解するための時間が必要になる。
本実施例における上記した還元除染剤の分解に要する時間は、上記のケースにおける還元除染剤の分解に要する時間よりも短縮できる。さらに、本実施例では、再循環系配管22の内面への白金粒子の付着に用いたヒドラジンの分解は、ヒドラジンの分解速度が速いため、ステップS8における還元除染剤(シュウ酸)の分解時間内で行うことができる。このため、本実施例は、還元除染剤の分解に要する時間以外に、上記のケースのような、白金粒子の付着に用いたヒドラジンを分解させるための時間を必要としない。
還元除染液に含まれたシュウ酸を分解しないで2000ppmのシュウ酸を含むpHが2.5の還元除染液にヒドラジンを添加し、還元除染液のpHを3.5にすることも考えられる。しかしながら、ヒドラジンの添加によって還元除染液のpHが3.5に増大した場合には、pH2.5の還元除染液に溶解していたシュウ酸鉄が析出する。シュウ酸鉄が析出したpH3.5の還元除染液に白金イオンを含む薬剤及び還元剤であるヒドラジンを添加すると、白金イオンがヒドラジンによって還元されて還元除染液内で析出したシュウ酸鉄の表面に付着し、再循環系配管22の内面にほとんど付着しなくなる。
還元除染液に含まれたシュウ酸の一部を分解して還元除染液のpHを増大させることにより、析出するシュウ酸鉄の量が少なくなる。このため、そのpHが増大した還元除染液に白金イオンを含む薬剤及び還元剤であるヒドラジンを注入した場合には、再循環系配管22の内面に付着する白金粒子の量が増加する。このような本実施例では、注入した白金イオンの利用効率が増大する。すなわち、本実施例では、再循環系配管22の内面に付着しなくて無駄になる白金イオンの量を低減することができる。
還元除染液に含まれたシュウ酸の一部を分解装置73により分解して還元除染液のpHを3.5まで増大させた場合には、還元除染液のシュウ酸濃度が50ppmまで低減されているので、その後、還元剤であるヒドラジンをその還元除染液に注入しても、シュウ酸鉄は析出しない。本実施例では、ステップS4においてシュウ酸の一部を分解して還元除染液のpHを4にするため、この還元除染液内でシュウ酸鉄が析出しなく、再循環系配管22の内面に付着する白金粒子の量が増加する。
本実施例によれば、シュウ酸の分解により還元除染液のpHがpH3.5以上のpH4になった還元除染液、すなわち、シュウ酸を含む水溶液に白金イオン及び還元剤であるヒドラジンを注入し、白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含むpH4の水溶液を再循環配管22の内面に接触させるために、再循環系配管22の溶解が生じなく、再循環配管22の内面に接触される水溶液がシュウ酸を含んでいる状態で再循環系配管22の内面に白金粒子を効率良く付着させることができる。特に、この水溶液が還元剤であるヒドラジンを含んでいるので、白金イオンがヒドラジンにより再循環系配管22の内面付近で効率的に白金に還元される。このため、再循環系配管22の内面に接触するその水溶液が90℃の低温であっても、白金粒子が再循環系配管22の内面に効率良く付着し、付着した白金粒子がその内面において緻密な皮膜状になっている。
本実施例では、還元剤であるヒドラジンを白金イオン及びシュウ酸を含む水溶液に注入しているので、このヒドラジンの作用により、所定量の白金を再循環系配管22の内面に付着させるのに要する時間を、特開2006−38483号公報に記載された白金を付着させる場合よりも短縮することができる。
BWRプラントの運転が停止されている期間で、再循環系配管22の内面に白金粒子を付着させるので、再循環系配管22の内面に白金粒子が付着した状態でBWRプラントを起動することができる。このため、BWRプラントの起動後、特に、BWRプラントの起動から3ヶ月の間に、放射性核種である60Coを取り込み易い酸化皮膜が再循環系配管22の内面に形成されることが、再循環系配管22の内面に付着した白金粒子によって抑制される。これは、再循環系配管22の表面線量率を低下させることに貢献する。
BWRプラントの起動時からRPV12内の炉水に水素を注入したとき、再循環系配管22の内面に付着した白金の触媒作用により、再循環系配管22内を流れる炉水に溶存している酸素とその水素が反応して水になるため、炉水中の溶存酸素濃度を低下させることができる。このため、BWRプラントの起動時における、ステンレス鋼製の再循環系配管22における応力腐食割れの発生を抑制することができる。再循環系配管22内を流れる炉水がRPV12内に供給される関係上、再循環系配管22内を流れる炉水中の溶存酸素濃度の低下はRPV12内の炉水中の溶存酸素濃度の低下をもたらし、RPV12内で表面が炉水に接触する炉内構造物(例えば、炉心シュラウド等)における応力腐食割れの発生も抑制される。
本実施例では、白金イオンを含む薬剤の、シュウ酸を含む水溶液への注入を、その水溶液を再循環系配管22及び循環配管35で形成される閉ループ内で循環させながら行うので、後述の実施例2に比べて、再循環系配管22に供給する白金イオン及びシュウ酸を含む水溶液の白金イオン濃度を、後述の実施例2よりも、白金イオンの設定濃度により精度良く調節することができる。
本実施例では、pH調整剤として使用できる還元剤であるヒドラジンを用いているので、後述の実施例6のように、還元剤注入装置43及びpH調整剤注入装置93を別々に設ける必要がなく、貴金属注入装置30がコンパクト化される。
本実施例では、60℃〜100℃の範囲内の90℃に加熱するので、再循環系配管22の内面への白金粒子の付着を短時間に行うことができ、貴金属注入装置30を耐圧構造にする必要がなく小型化できる。
還元剤としてヒドラジンの替りにpH調整剤として使用可能なアンモニアを用いてもよい。アンモニアを用いる場合には、貴金属注入装置30の薬液タンク44にアンモニアを充填する。ステップS2の還元除染工程及びステップS6において薬液タンク44から循環配管35に注入される。
本発明の他の実施例である実施例2の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法を、図9及び図3を用いて説明する。本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法は、BWRプラントの再循環系配管に適用される。
本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法は、実施例1の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法においてステップS4及びS8をステップS4Aに替え、ステップS5を削除し、ステップS11を追加した手順を実施する。本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法の手順における他の各工程は、実施例1の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法の手順の各工程と同じである。本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法では、実施例1で用いた貴金属注入装置30が用いられる。
本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法を、実施例1の本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法と異なる工程を中心に説明する。
ステップS1で、貴金属注入装置30の循環配管35の両端部が、実施例1と同様に、BWRプラントの再循環系配管22にそれぞれ接続される。ステップS2及びS3が実施され、その後、ステップS4Aが実施される。
還元除染剤分解工程が実施される(ステップS4A)。この還元除染剤分解工程は、還元除染剤及びpH調整剤の分解工程(ステップS4a)及び還元除染剤及び還元剤の分解工程(ステップS4c)を含んでいる。ステップS4aでは、還元除染液に含まれるシュウ酸及びヒドラジンの分解が、実施例1のステップS4と同様に、過酸化水素が供給される分解装置73で実施される。還元除染液(シュウ酸水溶液)に含まれるシュウ酸の一部を分解する(ステップS4b)。
還元除染液に含まれる一部の還元除染剤が分解されたとき、貴金属イオンを含む薬剤及び還元剤を注入する(ステップS11)。実施例1のステップ4と同様にシュウ酸の一部が分解されてシュウ酸水溶液のpHが増大して設定pH(例えば、pH4)になったとき、白金イオンを含む薬剤の注入が行われる。具体的には、弁41を開いて注入ポンプ40を駆動し、白金イオン濃度が400pptである白金イオンを含む薬剤(第1薬剤)の水溶液が薬液タンク39から循環配管35内を流れているpH4のシュウ酸を含む水溶液に注入される。このとき、循環配管35内を流れているシュウ酸水溶液の流量は10である。注入配管42を通して循環配管35に供給される白金イオンを含む薬剤の流量は、2.5であり、シュウ酸水溶液の流量の1/4である。この結果、白金を含む薬剤が注入されたシュウ酸水溶液の白金イオン濃度は100pptになる。
その後、弁46を開いて注入ポンプ45が駆動され、薬液タンク44内の還元剤であるヒドラジンが循環配管35内を流れる白金イオン(濃度:100ppt)及びシュウ酸を含む水溶液に注入される。ヒドラジンの注入は、白金イオン及びシュウ酸を含む水溶液が第2接続点に到達したときに行われる。ヒドラジンの注入により、その水溶液のpHは例えば7になる。白金イオン(濃度:100ppt)、ヒドラジン及びシュウ酸を含み、pHが7で90℃の水溶液が循環配管35から再循環系配管22に供給される。この水溶液が再循環系配管22の内面に接触し、再循環系配管22の内面で白金イオンがヒドラジンにより還元され、その内面に白金粒子として付着される。
白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液の再循環系配管22への供給が開始されてから1時間を経過したとき、実施例1と同様に、白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの循環配管35への注入が停止される(ステップS7)。
ステップS11での白金イオンを含む薬剤及び還元剤であるヒドラジンの循環配管35への注入が実施されている間、再循環系配管22から循環配管35に戻された白金イオン及びシュウ酸を含む水溶液の分解装置73への供給が継続されている。このため、分解装置73内でのシュウ酸の分解が継続して行われる。
白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの循環配管35への注入が停止されて白金イオン、ヒドラジン(還元剤)及びシュウ酸を含む水溶液が再循環系配管22から循環配管35に排出されたとき、この水溶液が分解装置73に供給され、ステップS4cの分解工程が実施される。すなわち、過酸化水素が供給されている分解装置73内で活性炭触媒の作用により、シュウ酸及びヒドラジン(還元剤)が分解される。その水溶液に含まれる白金イオンがヒドラジンにより還元されて白金になるため、この白金も触媒と作用する。このため、シュウ酸及びヒドラジン(還元剤)の分解が早く行われる。白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液の再循環系配管22への供給が開始されてから1時間を経過するまでは、再循環系配管22から注入された還元剤であるヒドラジンが再循環系配管22から排出されないため、分解装置73ではシュウ酸が分解される。
その水溶液のシュウ酸濃度が分解終了設定濃度である例えば10ppmまで低下してシュウ酸の分解が終了した後、実施例1と同様に、ステップS9及びS10の各工程が実施される。ステップS10の工程が終了した後、貴金属注入装置30の循環配管35が再循環系配管22から取り外される。その後、再循環系配管22の内面に白金粒子を付着しているBWRプラントが起動される。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例では、白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液を再循環系配管22に供給しながら、再循環系配管から排出されるシュウ酸を含む水溶液を分解装置73に供給し、そのシュウ酸を分解することができる。このため、本実施例では、シュウ酸、すなわち還元除染剤の分解に要する時間を実施例1よりもさらに短縮することができる。
後述の貴金属注入装置30Bまたは30Cを、貴金属注入装置30の替りに本実施例で用いてもよい。
本発明の他の実施例である実施例3の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法を、図10、図11及び図12を用いて説明する。本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法は、BWRプラントの再循環系配管に適用される。
本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法は、実施例1で用いる貴金属注入装置30の替りに貴金属注入装置30Bを用いている。貴金属注入装置30Bを用いる本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法では、図1に示す手順が実行される。
貴金属注入装置30Bは、貴金属注入装置30に水晶振動子電極装置82、皮膜厚み算出装置91及び制御装置92を追加した構成を有する。貴金属注入装置30Bの他の構成は貴金属注入装置30と同じである。
水晶振動子電極装置82は、開閉弁53と循環ポンプ54との間で循環配管35に設けられる。水晶振動子電極装置82の循環配管35への取り付け構造を、図11を用いて詳細に説明する。弁体を取り外した弁ボンネット81が、開閉弁53と循環ポンプ54との間で循環配管35に取り付けられる。具体的には、弁ボンネット81のフランジ81A,81Bが循環配管35に接続される。水晶振動子電極装置82は弁ボンネット81内に配置される。水晶振動子電極装置82の長く伸びた電極ホルダ89が、弁ボンネット81に取り付けられたフランジ84にフィードスルー83を用いて取り付けられている。弁ボンネット81内でフィードスルー83の先端部に金属部材86が設けられる。
水晶振動子電極装置82の詳細な構造を、図12を用いて説明する。水晶振動子電極装置82は、水晶85、金属部材86、シール部材88及び電極ホルダ89を有する。水晶85が、電極ホルダ89の先端部に形成された窪み内に設置されている。金属部材86が、電極ホルダ89のその窪みの開放端側で水晶85の表面に取り付けられる。金属部材86は、原子力プラントの構成部材と同じ材質の金属部材(例えば、ステンレス鋼部材または炭素鋼部材)である。本実施例では、貴金属付着対象物がステンレス鋼製の再循環系配管22であるので、金属部材86はステンレス鋼製である。シール部材88が、電極ホルダ89の窪み内に設置された水晶85の表面のうち金属部材86及び電極ホルダ89に接触する表面以外の表面を全面に亘って覆っている。電極ホルダ89内を貫通する2本の配線90が水晶85に接続される。各配線90は貴金属厚み算出装置(貴金属付着量算出装置)91に接続される。貴金属厚み算出装置91は制御装置92に接続される。貴金属付着量測定装置は、水晶振動子電極装置82及び貴金属厚み算出装置91によって構成される。
貴金属注入装置30Bを用いた本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法を、図1を用いて説明する。本実施例では、ステップS1で、貴金属注入装置30Bの循環配管35の両端部が、実施例1と同様に、BWRプラントの再循環系配管22にそれぞれ接続される。その後、ステップS2〜S10の各工程が実施される。ステップS10の工程が終了した後、貴金属注入装置30Bの循環配管35が再循環系配管22から取り外される。その後、再循環系配管22の内面に白金粒子を付着しているBWRプラントが起動される。
本実施例では、白金イオンを含む薬剤及び還元剤であるヒドラジンの注入停止を、貴金属付着量測定装置で測定した白金の付着量に基づいて行っている。
本実施例のステップS7の白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの注入停止について詳細に説明する。ステップS6におけるヒドラジンの注入により、白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液が再循環系配管22内に供給され、やがて、この水溶液が再循環系配管22から循環配管35に排出されて弁ボンネット81内に流入する。この水溶液が再循環系配管22内を流れるときに再循環系配管22の内面に白金粒子が付着すると同様に、弁ボンネット81内に配置された水晶振動子電極装置82の金属部材86の、その水溶液が接触する表面に、白金粒子が付着する。金属部材86はステンレス鋼製であるため、金属部材86のその表面への白金粒子の付着度合いは、再循環系配管22の内面における白金粒子の付着度合いと実質的に同じである。金属部材86の表面に付着した皮膜状の白金粒子の厚みを測定することによって、再循環系配管22の内面に付着された皮膜状の白金粒子の厚みを知ることができる。
水晶振動子電極装置82の金属部材86の表面に皮膜状の白金粒子の厚みの測定を、詳細に説明する。白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液を再循環系配管22に供給している間、一本の配線90を通して貴金属厚み算出装置91から水晶85に電圧を印加する。この電圧の印加によって水晶85が振動され、金属部材86も水晶85と一緒に振動する。水晶85及び金属部材86の振動数が、水晶85に接続されたもう一本の配線90を通して貴金属厚み算出装置91に伝えられる。金属部材86の表面に白金粒子が付着すると金属部材86が重くなるので、金属部材86を含む水晶85の振動数は、金属部材86の表面に白金粒子が付着していないときの金属部材86を含む水晶85の振動数よりも減少する。これらの振動数の差が、金属部材86の表面に白金粒子が付着して増加した金属部材86の重量を表している。貴金属厚み算出装置91は、入力した振動数に基づいて、その振動数の差、すなわち、白金粒子の付着による金属部材86の重量の増加分を算出する。この重量の増加分が金属部材86の表面に付着した白金粒子の重量である。
貴金属厚み算出装置91は、特開2010−127788号公報に記載された皮膜厚み算出装置におけるマグネタイト皮膜の厚みの算出と同様に、白金の密度を用いて金属部材86の表面に付着した皮膜状の白金粒子の厚みを求める。金属部材86の表面に付着した白金粒子の厚みは、再循環系配管22に白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液を供給している間、貴金属厚み算出装置91によって継続して計測される。
制御装置91は、貴金属厚み算出装置91で求めた、金属部材86の表面に付着した白金粒子の厚みを入力し、白金粒子の設定厚みと比較する。貴金属厚み算出装置91で求めた白金粒子の厚みがその設定厚み以上になったとき、制御装置91は、注入ポンプ40及び45を停止させ、弁41及び46を全閉にする。白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの循環配管35へのそれぞれの注入が停止される。
90℃の純水に浸漬させた水晶振動子電極装置82によって、白金粒子の付着による金属部材86の重量の変化を測定した。この測定結果を図13に示す。水晶振動子電極装置82の測定結果は、金属部材86の表面に付着する白金イオンがほとんど存在しない純水中で重量変化が実質的に0であり、必要な分解能内に納まっている。水晶85がシール部材88で覆われているため金属部材86の表面に接触する液体(例えば、白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液)が水晶85に接触しない水晶振動子電極装置82は、特開2010−127788号公報の図6に示す従来の水晶振動子電極装置(図13参照)に比べてノイズが著しく低減され、高温の90℃の純水中での測定が可能になった。水晶振動子電極装置82は、pHが3.5以上で90℃のシュウ酸を含む水溶液中でも高温の90℃の純水中と同様に白金イオンの付着量の測定が可能である。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。また、本実施例は、貴金属付着量測定装置を用いているので、再循環系配管22の内面への白金粒子の付着量を測定することができ、ステップS7における白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの注入停止を自動的に行うことができる。
本実施例において用いられた貴金属付着量測定装置及び制御装置92は、後述の実施例6の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法に用いる貴金属注入装置30Cに適用することができる。この場合には、水晶振動子電極装置82を内部に設けた弁ボンネット81が、貴金属注入装置30Cにおいて開閉弁53と循環ポンプ54の間で循環配管35に取り付けられる。
本発明の他の実施例である実施例4の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法を図3及び図16を用いて説明する。本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法は、BWRプラントの再循環系配管に適用される。
前述の実施例1ないし3では、白金イオンを含む薬剤及び還元剤であるヒドラジンの循環配管35への注入を還元除染剤分解工程で行っている。これに対し、本実施例では、図16に示された手順が実行され、白金イオンを含む薬剤及び還元剤であるヒドラジンの循環配管35への注入が、化学除染の一工程である浄化工程で行われる。本実施例では、実施例1で用いられた貴金属注入装置30が用いられる。貴金属注入装置30の替りに、貴金属注入装置30Bまたは貴金属注入装置30Cを用いても良い。
本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法では、BWRプラントの運転が停止された後、貴金属付着対象物である再循環系配管22に、実施例2と同様に、ステップS1において、貴金属注入装置30の循環配管35の両端部をそれぞれ接続する。さらに、実施例2と同様に、ステップS2において化学除染の酸化除染工程、酸化除染剤分解工程及び還元除染工程が、貴金属注入装置30を用いて順次実行される。ステップS3の判定が「YES」となり、還元除染工程が終了した後、ステップS4Aの還元除染剤の分解工程が実施される。再循環系配管22から循環配管35に排出されたシュウ酸及びヒドラジン(pH調整剤)を含む水溶液(還元除染液)を、過酸化水素が供給される分解装置73に供給してシュウ酸及びヒドラジンを分解する(還元除染剤分解工程)。シュウ酸及びヒドラジンの分解は、再循環系配管22及び循環配管35で形成される閉ループで還元除染液を循環させながら行われる。本実施例のステップS4Aでは、実施例2で実行された、還元除染剤及び還元剤の分解工程(ステップS4c)が実行されない。さらに、本実施例のステップS4Aでは、実施例2において還元除染剤の分解と並行して実行されているステップS11(貴金属イオンを含む薬剤及び還元剤の注入)及びステップS7(貴金属イオンを含む薬剤及び還元剤の注入停止)が実行されない。
還元除染剤分解工程が終了した後、実施例2で述べたステップS9の浄化工程が実施される。本実施例では、この浄化工程(ステップS9)と並行して白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの注入(ステップS11)及び白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの注入停止(ステップS7)が順番に実行される、白金イオン注入装置38による循環配管35への白金イオンを含む薬剤の注入及び還元剤注入装置43による循環配管35へのヒドラジンの注入は、ステップS9の浄化工程が開始された後で行われ、このとき、それらの薬剤が注入される水溶液のシュウ酸濃度は約10ppmである。このシュウ酸濃度は、ステップS4Aの還元除染剤分解工程を終了するときの分解終了設定濃度の値である。白金イオン、ヒドラジン及び10ppmのシュウ酸を含む60℃でpHが5.6の水溶液が循環配管35より再循環系配管22に供給される。この水溶液が再循環系配管22に供給される浄化工程では、貴金属注入装置30において、弁64を開いて弁57を閉じ、弁70を開いて弁58を閉じる。弁67は閉じている。白金イオン及びヒドラジンを含む60℃の水溶液の再循環系配管22の供給により、再循環系配管22から排出された水溶液は、冷却器63で60℃に冷却され、混床樹脂塔69に供給されて浄化される。混床樹脂塔69から排出された水溶液は、白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンが注入されて再循環系配管22に供給される。
白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む60℃の水溶液の再循環系配管22への供給により、再循環系配管22の内面に白金粒子が付着し、その内面に緻密な白金皮膜が形成される。白金イオン及びヒドラジンを含む60℃の水溶液の再循環系配管22への供給を開始した時点から1時間程度が経過した後、循環配管35内への白金を含む薬剤及びヒドラジンの注入が停止される。再循環系配管22から循環配管35に排出された白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液は、冷却器63で60℃に冷却され、混床樹脂塔69に供給される。この水溶液に含まれる白金イオン及びヒドラジンは、混床樹脂塔69のイオン交換樹脂により除去される。その水溶液が混床樹脂塔69により浄化される。浄化工程では、その水溶液が、循環配管35および再循環系配管22を含む閉ループ内を循環しながら浄化される。その水溶液に含まれているシュウ酸も混床樹脂塔69で除去され、その水溶液のシュウ酸濃度が徐々に低下する。浄化工程の終了は、導電率計79で計測された導電率に基づいて判定される。浄化工程は、例えばその導電率が5μS/cm以下になったときに終了する。
浄化工程が終了した後、ステップS10の廃液処理が実行される。浄化工程が終了したとき、化学除染の全工程が終了し、その後、BWRプラントが起動される。
本実施例は、再循環系配管22の化学除染及び再循環系配管22の内面への白金粒子の付着に要する施工時間を短縮することができる。本実施例では、シュウ酸の分解が終了した後の浄化工程において、10ppmのシュウ酸を含むシュウ酸水溶液に白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンを注入し、白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液を用いて再循環系配管22内面への白金の付着を行うので、その水溶液のシュウ酸濃度が10ppmと非常に小さい。このため、再循環系配管22の内面への白金の付着量が増大し、再循環系配管22の内面への白金の付着に要する時間が短縮される。
さらに、本実施例は、実施例1で生じる効果、すなわち、(a)白金粒子が再循環系配管22の内面に効率良く付着し、付着した白金粒子がその内面において緻密な皮膜状になる、(b)再循環系配管22の表面線量率が低下する、(c)BWRプラントの構成部材での応力腐食割れの発生を抑制できる、及び(d)水溶液の白金イオンの濃度を精度良く調節できる、を得ることがきる。
本実施例では、シュウ酸濃度が10ppmのシュウ酸水溶液に白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンを注入しているが、これらの薬剤の注入を行わないでそのシュウ酸水溶液を混床樹脂塔69を通しながら上記の閉ループを循環させ、シュウ酸水溶液のシュウ酸濃度が、例えば、5ppmに低下したときに、白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンをその水溶液に注入してもよい。この場合には、白金イオン、ヒドラジン及び5ppmのシュウ酸を含む水溶液が、再循環系配管22に供給される。白金皮膜が再循環系配管22の内面に形成される。白金皮膜形成後に、白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの注入が停止され、浄化工程が継続して行われる。このように、シュウ酸濃度をさらに低下させてシュウ酸水溶液に白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンを注入することにより、白金の付着量がさらに増大し、再循環系配管22の内面への白金の付着に要する時間がさらに短縮される。
本発明の他の実施例である実施例5の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法を説明する。本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法は、貴金属注入装置30を用いてBWRプラントの再循環系配管に適用される。貴金属注入装置30の替りに貴金属注入装置30Bまたは貴金属注入装置30Cを用いても良い。
実施例1ないし4で行われる化学除染は、還元除染工程でシュウ酸及びヒドラジン(pH調整剤)を含む還元除染液を用いて行われる。この化学除染は、ヒドラジンを含むため還元除染液のpHがヒドラジンの添加によりやや大きくなっている。このような化学除染に対して、シュウ酸(還元除染剤)を含みヒドラジン(pH調整剤)を含まない還元除染液を用いて還元除染を行う化学除染が知られている。
本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法は、実質的に、図1に示す手順に基づいて行われる。本実施例では、実施例1で実行されるステップ2の化学除染における還元除染工程が、上記のシュウ酸を含みヒドラジンを含まない還元除染液(シュウ酸
を含みヒドラジンを含まない水溶液)を用いて実施される。このような還元除染工程を実施しても、ステップS3で還元除染工程が終了したと判定された場合には、実施例1で実施されたステップS4〜S10の各工程が実施される。本実施例の還元除染工程で用いられる還元除染液のpHは、ヒドラジンを含んでいない分、実施例1で用いられる還元除染液のpHよりも小さくなる。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。
シュウ酸を含みヒドラジンを含まない還元除染液を用いて行う還元除染工程は、実施例2〜実施例4の各還元除染工程で実施しても良い。
本発明の他の実施例である実施例6の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法を、図14を用いて説明する。本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法は、BWRプラントの再循環系配管に適用される。
本実施例では、実施例1で用いられる貴金属注入装置30に替えて貴金属注入装置30Cが用いられる。貴金属注入装置30Cは、貴金属注入装置30にpH調整剤注入装置93を追加した構成を有する。貴金属注入装置30Cの他の構成は貴金属注入装置30と同じである。
pH調整剤注入装置93は、薬液タンク94、注入ポンプ95及び注入配管97を有する。薬液タンク94は、注入ポンプ95及び弁96を有する注入配管97によって循環配管35に接続される。薬液タンク94には、pH調整剤であるヒドラジンが充填されている。注入配管97は、第1接続点77と第2接続点76の間に存在する第4接続点98で循環配管35に接続される。
貴金属注入装置30Cの還元剤注入装置43の薬液タンク44には、還元剤である尿素が充填されている。尿素はpHを調節することができないため、本実施例で用いる貴金属注入装置30CはpH調整剤注入装置93を備えている。
本実施例においても、図1に示す手順、すなわち、ステップS1〜S10の各工程が実施される。本実施例は、ステップS2で実施される還元除染工程が実施例1で実施される還元除染工程と異なっている。本実施例は、還元除染工程を除いて実施例1と同じである。
本実施例の還元除染工程では、エゼクタ37から配管72内に供給されるシュウ酸を用いて生成されて循環配管35内を流れる還元除染液に、薬液タンク94内のpH調整剤であるヒドラジンを注入して、pHが2.5で温度が90℃の還元除染液が生成される。この還元除染液が循環配管35から再循環系配管22に供給され、再循環系配管22の内面の還元除染が行われる。
その後、ステップS3〜S5の各工程が実行され、ステップS6において薬液タンク44内の還元剤である尿素が循環配管35内に注入される。白金イオン、尿素及びシュウ酸を含んでpHが7で90℃の水溶液が循環配管35から再循環系配管22に供給される。白金イオン、尿素及びシュウ酸を含んでpHが7で90℃の水溶液が再循環系配管22の内面に接触し、白金イオンがその内面で尿素により還元されて再循環系配管22の内面に白金粒子として付着される。その後、ステップS7〜S10の各工程が実行される。
ステップS10の工程が終了した後、貴金属注入装置30Cの循環配管35が再循環系配管22から取り外される。その後、再循環系配管22の内面に白金粒子を付着しているBWRプラントが起動される。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。
貴金属注入装置30Cに設けられたpH調整剤注入装置93は、貴金属注入装置30Aに取り付けても良い。
また、実施例3で用いられる貴金属注入装置30Bに、実施例6と同様に、pH調整剤注入装置93を追加してもよい。pH調整剤注入装置93の注入配管97が、貴金属注入装置30Bにおいて、第1接続点77と第2接続点76の間で循環配管35に接続される。
本発明の他の実施例である実施例7の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法を、図15を用いて以下に説明する。本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法は、BWRプラントの浄化系配管20に適用される。
本実施例では、実施例1で用いられる貴金属注入装置30が用いられる。貴金属注入装置30の替りに貴金属注入装置30A〜30Dのいずれかを用いても良い。本実施例では、実施例1と同様に、図1に示すステップS1〜S10の各工程を有する手順が実行される。
本実施例のステップS1では、貴金属注入装置30の循環配管35の一端を、実施例1と同様に、弁23のフランジに接続する。金属注入装置30の循環配管35の他端を、非再生熱交換機26と炉水浄化装置27の間で浄化系配管20に設けられた弁87の開放されたボンネットのフランジに接続する。このようにして、貴金属注入装置30が浄化系配管20に接続され、浄化系配管20及び循環配管35による閉ループが形成される。
貴金属注入装置30の循環配管35の両端部を浄化系配管20に接続した後、ステップS2〜S10の各工程が実施例1と同様に実行される。このため、弁23と弁87の間の浄化系配管20の内面の化学除染が実行され、弁23と弁87の間の浄化系配管20の内面への白金粒子の付着が行われる。
ステップS10の工程が終了した後、貴金属注入装置30Dの循環配管35が再循環系配管22から取り外される。その後、再循環系配管22の内面に白金粒子を付着しているBWRプラントが起動される。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。
実施例1〜7のいずれかの原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法は、加圧水型原子力発電プラントの原子炉圧力容器に設蔵される配管に対して適用することができる。
本発明の他の実施例である実施例8の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法を、図17及び図3を用いて説明する。本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法は、BWRプラントの再循環系配管に適用される。
本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法は、実施例2の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法においてステップS4Aの還元除染剤分解工程をステップS4Bの還元除染剤分解工程に替え、ステップ11の工程(貴金属イオンを含む薬剤及び還元剤の注入工程)をステップS4Bの工程(還元除染剤分解工程)及びステップS9の工程(浄化工程)と並行して実施し、ステップS7の工程(貴金属イオンを含む薬剤及び還元剤の注入停止工程)をステップS9の工程(浄化工程)が実施されているときに行うものである。本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法の手順における他の各工程は、実施例2の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法の手順の各工程と同じである。本実施例では、実施例1で用いた貴金属注入装置30が用いられる。貴金属注入装置30の替りに、実施例3で用いる貴金属注入装置30B及び実施例6で用いる貴金属注入装置30Cのいずれかを用いても良い。
本実施例の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法を、実施例2の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法と異なる工程を中心に説明する。
ステップS1で、貴金属注入装置30の循環配管35の両端部が、実施例2と同様に、BWRプラントの再循環系配管22にそれぞれ接続される。ステップS2及びS3が実施され、その後、ステップS4Bが実施される。
還元除染剤分解工程が実施される(ステップS4B)。この還元除染剤分解工程は、還元除染剤及びpH調整剤の分解工程(ステップS4a)を含んでいる。ステップS4aでは、還元除染液に含まれるシュウ酸及びヒドラジンの分解が、実施例1のステップS4と同様に、過酸化水素が供給される分解装置73で実施される。還元除染液(シュウ酸水溶液)に含まれるシュウ酸の一部を分解する(ステップS4b)。
還元除染液に含まれる一部の還元除染剤が分解されたとき、貴金属イオンを含む薬剤及び還元剤を注入する(ステップS11)。ステップS4aにおいてシュウ酸の一部が分解されてシュウ酸水溶液のシュウ酸濃度が20ppmまで低下したとき、実施例2のステップS11と同様に、白金イオンを含む薬剤が薬液タンク39から循環配管35に注入される。本実施例ではシュウ酸水溶液のシュウ酸濃度が20ppmになったときに白金イオンを含む薬剤の注入が行われるため、本実施例における白金イオンを含む薬剤の注入開始が、シュウ酸水溶液のシュウ酸の分解によりシュウ酸濃度が50ppmに低下したときに白金イオンを含む薬剤の注入を開始する実施例2に比べて遅くなる。循環配管35内に注入される白金イオンを含む薬剤(第1薬剤)の水溶液の白金イオン濃度が400pptである。この白金イオンを含む薬剤の水溶液の注入により、循環配管35内を流れているシュウ酸20ppmを含む水溶液の白金イオン濃度は100pptになる。
その後、白金イオン及びシュウ酸を含む水溶液が前述の第2接続点に到達したときに、薬液タンク44内の還元剤であるヒドラジンが循環配管35内を流れる白金イオン(濃度:100ppt)及びシュウ酸を含む水溶液に注入される。ヒドラジンの注入によりこの水溶液のpHが7になる。白金イオン(濃度:100ppt)、ヒドラジン及びシュウ酸を含み、pHが7で90℃の水溶液が循環配管35から再循環系配管22に供給される。白金イオンが、再循環系配管22の内面でヒドラジンにより還元され、その内面に白金粒子として付着される。
ステップS11での白金イオンを含む薬剤及び還元剤であるヒドラジンの循環配管35への注入が実施されている間、再循環系配管22から循環配管35に戻された白金イオン及びシュウ酸を含む水溶液の分解装置73への供給が継続されている。このため、ステップS4Bのシュウ酸の分解が分解装置73内で継続して行われる。白金イオン及びシュウ酸を含む水溶液のシュウ酸濃度が10ppmとなったとき、還元除染剤分解工程(ステップS4B)が終了する。その後、実施例1と同様に、浄化工程(ステップS9)が実施される。
ステップS11の白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの注入は、それらの注入開始から例えば約1時間の間継続される。白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの注入が約1時間の間行われることにより、再循環系配管22の内面に白金粒子を付着させ、緻密な白金皮膜をその内面に形成することができる。この白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの注入は、ステップS9の浄化工程が開始された後においても実施される。
白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの循環配管35への注入開始から約1時間が経過したとき、白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの注入が停止される(ステップS7)。白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの注入停止は、浄化工程(ステップS9)が実施されているときに行われる。
白金イオンを含む薬剤及びヒドラジンの注入停止後は、循環配管35内を流れている水溶液への白金イオン及びヒドラジンの注入が止まるので、その水溶液中の白金イオン及びヒドラジンが混床樹脂塔69で除去され、浄化工程の進行とともにその水溶液の導電率は低下する。水溶液の導電率が例えば5μS/cm以下になったとき、浄化工程(ステップS9)が終了され、廃液処理(ステップS10)を実行する。
ステップS10の工程が終了した後、貴金属注入装置30の循環配管35が再循環系配管22から取り外される。その後、再循環系配管22の内面に白金粒子を付着しているBWRプラントが起動される。
本実施例は実施例2で生じる各効果を得ることができる。本実施例では、白金イオン、ヒドラジン及びシュウ酸を含む水溶液を再循環系配管22に供給しながら、再循環系配管から排出されるシュウ酸を含む水溶液を分解装置73に供給し、そのシュウ酸を分解することができる。このため、本実施例では、シュウ酸、すなわち還元除染剤の分解に要する時間を実施例1よりもさらに短縮することができる。また、還元剤分解工程から浄化工程への切り替え期間、浄化工程の初期も白金付着処理に利用できるので、白金付着の施工期間を短縮することができる。
12…原子炉圧力容器、20…浄化系配管、22…再循環系配管、30,30B,30C…貴金属注入装置、31…サージタンク、32,54…循環ポンプ、35…循環配管、37…エゼクタ、38…白金イオン注入装置、40,45,50,95…注入ポンプ、39,44,49,94…薬液タンク、43…還元剤注入装置、48…酸化剤供給装置56…加熱器、63…冷却器、66…カチオン交換樹脂塔、69…混床樹脂塔、73…分解装置、78,80…pH計、82…水晶振動子電極装置、85…水晶、86…金属部材、88…シール部材、93…pH調整剤注入装置。

Claims (19)

  1. 還元除染剤の水溶液を用いて、原子力プラントの構成部材の炉水に接触する表面の還元除染を実施するステップ、及び前記還元除染後に実施される前記還元除染剤の分解工程内で、前記還元除染剤の一部を分解した後で前記水溶液に前記還元除染剤が残っている第1期間、及び前記還元除染剤分解工程が終了した後に実施される前記水溶液の浄化を行う第2期間の少なくとも一つの期間において、貴金属イオンを含む薬剤及び還元剤を前記水溶液に注入することにより生成された、前記貴金属イオン及び前記還元剤を含む前記水溶液を、前記構成部材の前記還元除染が実施された前記表面に接触させ、前記表面に前記貴金属を付着させるステップを有し、
    前記還元除染を実施するステップ及び前記貴金属を付着させるステップが、前記原子力プラントの運転停止後で前記原子力プラントの起動前に行われることを特徴とする原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  2. 前記第1期間において注入された前記貴金属イオン及び前記還元剤を含みさらに前記還元除染剤を含む前記水溶液を、前記貴金属を付着させるステップで、前記構成部材の前記表面に接触させ、前記貴金属が前記表面に付着した後、前記水溶液に含まれる前記還元除染剤及び前記還元剤を分解する請求項1に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  3. 前記構成部材の前記表面に接触させる、前記貴金属イオン、前記還元剤及び前記還元除染剤を含む前記水溶液のpHが、3.5〜9.0の範囲内にある請求項2に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  4. 前記構成部材の前記表面に接触させる、前記貴金属イオン、前記還元剤及び前記還元除染剤を含む前記水溶液の温度を、60℃〜100℃の範囲内に調節する請求項2に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  5. 前記還元除染剤及び前記還元剤の分解が、触媒及び酸化剤を用いて行われる請求項2に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  6. 前記第1期間において注入された前記貴金属イオンを含む前記水溶液を、前記貴金属を付着させるステップで、前記構成部材の前記表面に接触させ、前記貴金属が前記表面に付着した後、前記水溶液を、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂が充填された樹脂塔に供給して浄化する請求項1に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  7. 原子力圧力容器に連絡される、原子力プラント構成部材である第1配管に、第2配管を通して還元除染剤の水溶液を供給して、この水溶液を用いて前記第1配管の内面の還元除染を実施するステップ、及び前記還元除染後に実施される、前記第1配管から排出された前記水溶液に含まれている前記還元除染剤の分解工程内で、前記還元除染剤の一部を分解した後で前記水溶液に前記還元除染剤が残っている第1期間、及び前記還元除染剤分解工程が終了した後に実施される、前記第1配管から排出された前記水溶液の浄化を行う第2期間のいずれかの期間において、貴金属イオンを含む薬剤及び還元剤を前記水溶液に注入することにより生成された、前記貴金属イオン及び前記還元剤を含む前記水溶液を、前記第2配管を通して前記第1配管に供給して前記第1配管の内面に接触させ、前記内面に前記貴金属を付着させるステップを有し、
    前記還元除染を実施するステップ及び前記貴金属を付着させるステップが、前記原子力プラントの運転停止後で前記原子力プラントの起動前に行われることを特徴とする原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  8. 原子力圧力容器に連絡される、原子力プラント構成部材である第1配管に、第2配管を通して還元除染剤の水溶液を供給して、この水溶液を用いて前記第1配管の内面の還元除染を実施するステップ、前記還元除染の終了後に実施される、前記第1配管から排出された前記水溶液に含まれている前記還元除染剤の一部を分解して前記水溶液のpHを増加するステップ、貴金属イオンを含む薬剤及び還元剤をpHが増加して前記還元除染剤を含む前記水溶液に注入することにより生成された、前記貴金属イオン、前記還元剤及び前記還元除染剤を含む前記水溶液を、前記第2配管を通して前記第1配管に供給して前記第1配管の内面に接触させ、前記内面に前記貴金属を付着させるステップ、及び前記貴金属を付着させるステップが終了した後、前記第1配管から排出された前記水溶液に含まれる前記
    還元除染剤及び前記還元剤を分解するステップを有し、
    前記水溶液のpHを増加させるステップ、前記貴金属を付着させるステップ及び前記還元除染剤及び前記還元剤を分解するステップが、前記還元除染後に実施される還元除染剤分解工程の開始から前記還元除染剤分解工程の終了までの期間内で行われ、
    前記還元除染を実施するステップ及び前記還元除染剤分解工程が、前記原子力プラントの運転停止後で前記原子力プラントの起動前に行われることを特徴とする原子力プラント
    の構成部材への貴金属付着方法。
  9. 前記第2配管を通して前記第1配管に供給される、前記貴金属イオン、前記還元剤及び前記還元除染剤を含む前記水溶液のpHが、3.5〜9.0の範囲内にある請求項8に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  10. 前記第2配管を通して前記第1配管に供給される、前記貴金属イオン、前記還元剤及び前記還元除染剤を含む前記水溶液の温度が、60℃〜100℃の範囲内に調節される請求項8に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  11. 前記還元除染剤及び前記還元剤を分解するステップで行われる前記還元除染剤及び前記還元剤の分解が、触媒及び酸化剤を用いて行われる請求項8に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  12. 前記貴金属イオン、前記還元剤及び前記還元除染剤を含む前記水溶液が前記第1配管に供給されているときに、前記還元除染剤及び前記還元剤を分解するステップにおける前記還元除染剤及び前記還元剤の分解が行われる請求項8に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  13. 前記水溶液のpHを増加させるステップで行われる前記還元除染剤の分解が、前記触媒及び前記酸化剤を用いて行われる請求項11に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  14. 前記第1配管及び前記第2配管を用いて閉ループが形成される請求項7または8に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  15. 前記第1配管の内面への前記貴金属の付着量を計測し、計測された前記貴金属の付着量に基づいて前記貴金属イオンを含む薬剤及び前記還元剤の前記水溶液への注入を停止する請求項7または8に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  16. 前記還元除染が前記還元除染剤及びpH調整剤を含む前記水溶液を用いて行われる請求項1,7及び8のいずれか1項に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  17. 前記pH調整剤として前記還元剤であるヒドラジン及びアンモニアのいずれかを用いる請求項16に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  18. 前記還元除染が前記還元除染剤を含んで及びpH調整剤を含んでいない前記水溶液を用いて行われる請求項1,7及び8のいずれか1項に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
  19. 前記第1期間で前記貴金属イオンを含む薬剤及び前記還元剤を前記水溶液に注入して、前記第2期間で前記貴金属イオンを含む薬剤及び前記還元剤の注入を停止したとき、前記注入停止後の前記第2期間での前記貴金属イオンを含む薬剤及び前記還元剤の除去が、前記第2期間において前記水溶液を供給する、イオン交換樹脂が充填された樹脂塔で行われる請求項1に記載の原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法。
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