JP2014040399A - 有効成分の皮膚への浸透が促進された皮膚外用剤または化粧料組成物 - Google Patents

有効成分の皮膚への浸透が促進された皮膚外用剤または化粧料組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的皮膚への吸収が低い皮膚有効成分の皮膚への浸透を促進する。
【解決手段】(A)分子量が500〜1500であり、かつ分配係数Log Pが5.0〜30.0である皮膚有効成分;および(B)成分(A)の皮膚浸透促進上有効量の、温度32℃における表面張力が29.5mN/m以下である炭化水素油を含有する、皮膚外用剤または化粧料組成物を提供する。成分(A)の例は、グリチルレチン酸ステアリル、アスタキサンチン、コエンザイムQ10、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルである。
【選択図】なし

Description

本発明は、化粧料等に用いられる有効成分の、皮膚への浸透を促進する技術に関する。本発明は特に、グリチルレチン酸ステアリルに代表される、分配係数Log P値が一定以上である成分の経皮浸透性を高めるために有用である。本発明は、ライフサイエンス、化粧料製造、美容分野等で有用である。
医薬品の分野で皮膚吸収性がよいとされる化合物は、分子量は500以下であり、かつLog P値(オクタノール/水の分配係数)は1〜3である(非特許文献1および2)。
しかしながら、それらの範囲外にも、皮膚に対して有効な成分は多数存在する。特に化粧料の分野では、天然物由来の成分やビタミン誘導体など、比較的分子量が大きい成分や、極性が比較的高いあるいは低いために皮膚へ浸透しにくい成分について、有用な効果が見出されてきている。
一方、本発明者らは、抗炎症作用を示す成分として化粧料に使用されているグリチルレチン酸ステアリル(例えば、特許第3513861号公報)について、これまで、無限用量系、および実使用に近い少量塗布系における皮膚への浸透性を、種類の異なる油剤を用いて検討してきた。そして、無限用量系ではグリチルレチン酸ステアリルはほとんど皮膚に浸透しないが、少量塗布系では皮膚への浸透が認められることを見出し、これには基剤の物理化学的性質が関与している可能性があることを報告した。(非特許文献3)
特許第3513861号公報
Wester RC et.al Percutaneous absorption. Mechanisms-methodology-drug-delivery New York 107-23,1983 Yano T,et al Life Sci.39, 1043-50, 1986 坂田修ら、グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透性に及ぼす油剤の影響、日本薬学会第132年会(2012年)、30E16-pm06、
皮膚吸収性がよいとされる分子量500以下、かつLog P値1〜3の範囲外の皮膚に浸透しにくい成分であっても、皮膚浸透性を高める手段があれば、より効果の高い皮膚外用剤や化粧料組成物が期待できる。
本発明者らは、皮膚浸透性が比較的低い有効成分の代表として、グリチルレチン酸ステアリルを物性の異なる流動パラフィン(分子量245〜500)に分散し、皮膚浸透性への影響に関して検討を行った。そして、実験に用いた流動パラフィンの物理化学的性質と皮膚浸透性の関連について解析を行った結果、グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透には、流動パラフィンの表面張力の関与が大きいこと見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下を提供する:
[1] (A)分子量が500〜1500であり、かつ分配係数Log P値が5.0〜30.0である皮膚有効成分;および
(B)成分(A)の皮膚浸透促進上有効量の、温度32℃における表面張力が29.5mN/m以下である炭化水素油
を含有する、皮膚外用剤または化粧料組成物。
[2] 成分(A)が、グリチルレチン酸ステアリル、アスタキサンチン、コエンザイムQ10、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルからなる群より選択される一以上である、[1]に記載の皮膚外用剤または化粧料組成物。
[3] 成分(A)の分配係数Log P値が10.0〜25.0である、[1]〜[3]のいずれか一に記載の、皮膚外用剤または化粧料組成物。
[4] 成分(A)の皮膚浸透促進上有効量として、成分(A)/成分(B)の質量比が、1/(10〜250)である、[1]〜[3]のいずれか一に記載の、皮膚外用剤または化粧料組成物。
[5] 分子量が500〜1500であり、かつ分配係数Log P値が5.0〜30.0である皮膚有効成分(A)の皮膚への浸透を、成分(A)の皮膚浸透促進上有効量の、温度32℃における表面張力が29.5mN/m以下である炭化水素油(B)を同時に用いることにより、促進する、方法。
[6] 皮膚有効成分の皮膚への浸透が促進された皮膚外用剤または化粧料組成物の製造方法であって:
分子量が500〜1500であり、かつ分配係数Log P値が5.0〜30.0であることを指標に皮膚有効成分(A)選択し;
温度32℃における表面張力が29.5mN/m以下であることを指標に炭化水素油(B)を選択し;そして
成分(A)に対して、の皮膚浸透促進上有効量の炭化水素油(B)を含有する工程を含む、製造方法。
[7] 分子量が500〜1500であり、かつ分配係数Log P値が5.0〜30.0である皮膚有効成分(A)の皮膚への浸透を促進するための、成分(A)の皮膚浸透促進上有効量の、温度32℃における表面張力が29.5mN/m以下である炭化水素油(B)を含有する、剤。
本発明によれば、特定の分配係数を有する皮膚有効成分の皮膚への浸透を促進することができる。
流動パラフィンの種類による角層及び/又は表皮へ浸透したグリチルレチン酸ステアリルの量。異なる物理化学的性質を有する流動パラフィンに、2%w/vとなるようにグリチルレチン酸ステアリルを懸濁し、YMP皮膚へ2.5μL/cm2で適用し、24時間後の浸透量を評価した。 流動パラフィンの種類による角層及び/又は表皮へ浸透したDiI量。異なる物理化学的性質を有する流動パラフィンに、0.1%w/vとなるようにDiIを溶解してYMP皮膚へ適用し、2時間後に評価した。(a)写真、(b)浸透量。 流動パラフィンの種類による角層及び/又は表皮へ浸透したNile Red量。異なる物理化学的性質を有する流動パラフィンに、0.1%w/vとなるようにNile Redを溶解してYMP皮膚へ適用し、2時間後に評価した。(a)写真、(b)浸透量。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「皮膚浸透促進」とは、特に記載した場合を除き、角層および表皮への浸透を促進することをいう。また、本明細書で範囲を「 〜 」で表すときは、特に記載した場合を除き、両端を含む。本発明で比または割合(%等)について示した値は、特に記載した場合を除き、質量に基づく値である。「w/v」は、溶媒の容積中の溶質の質量(重量)の割合(%)を表す。
本発明でいう「Log P値」とは、溶媒としてn-オクタノールと水を用いたオクタノール/水分配係数を指し、本発明でLog P値を示すときは、特に記載した場合を除き、25℃における値である。
本発明は、皮膚有効成分(成分(A))の皮膚への浸透を促進することに関する。
本発明でいう「皮膚有効成分」とは、皮膚に投与した際に有効な効果が期待される成分をいう。
本発明は、分子量が500〜1500であり、好ましくは510〜1500であり、より好ましくは590〜1150であり、さらに好ましくは650〜790である皮膚有効成分に適用できる。奔発明に用いられる皮膚有効成分は、分子量がいずれの場合であっても、分配係数Log P値は、5.0〜30.0であり、10.0〜30.0であることがより好ましく、15.0〜25.0であることがより好ましい。
本発明に用いることのできる皮膚有効成分の具体的な例は、グリチルレチン酸ステアリル、アスタキサンチン、コエンザイムQ10、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルである。これらの成分の分子量およびLog P値を下表に示す。
Figure 2014040399
グリチルレチン酸ステアリル(Glycyrrhetinic Acid)は、甘草等に含まれるグリチルリチン酸の加水分解によって得られるグリチルレチン酸のヒドロキシル基にステアリン酸をエステル結合させることにより得られる化合物であり、下式により表される。
Figure 2014040399
グリチルレチン酸の分子構造は平面性を有し、3位及び11位がコルチゾン類似であることから抗炎症作用を有する。グリチルレチン酸ステアリルは、ステアリン酸の付加により安全性が高められているので、安全性が要求される皮膚外用剤や化粧料等の技術分野において、抗炎症成分として広く使用されている。
アスタキサンチンは、酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果、美白効果などを有し、優れたエモリエント効果、皮膚の老化防止効果や酸化防止効果を付与することができる成分として知られている。なお、本発明で「アスタキサンチン」というときは、特に記載した場合を除き、狭義のアスタキサンチン(3,3'-ジヒドロキシ-β,β-カロテン-4,4'-ジオン、遊離型)および脂肪酸等とのそのエステル(モノエステル型、ジエステル型を含む。)等の誘導体を含む。脂肪酸エステルは、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、EPA、DHAなどの長鎖脂肪酸エステルであってもよく、中鎖脂肪酸のエステルであってもよい。本発明に用いるアスタキサンチンとしては、皮膚外用剤または化粧料組成物への添加剤として許容されるものである限り、由来、製法に限定はなく、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌、アドニスパレスチナなどの植物、オキアミ等の天然物に由来するもののほか、常法に従って得られるもののいずれであっても良い。
コエンザイムQ10は生物に広く存在する生体成分でありヒトにおいてもミトコンドリア内膜の電子伝達系の成分としてATP生産に重要な役割を果たしている。また、細胞膜、 ゴルジ体、リソソーム等のミトコンドリア以外の膜系にも存在し、抗酸化物質として機能している。コエンザイムQ10は医薬品として鬱血性心不全の治療薬、健康食品、化粧料などとして広く用いられている。コエンザイムQ10は合成法、微生物を用いる発酵法などにより製造することができるが、皮膚外用剤または化粧料組成物への添加剤として許容されるものである限り、本発明にはいずれを用いても良い。また、酸化型のユビキノンと還元型のユビキノールの2種類の形態があるが、皮膚外用剤または化粧料組成物への添加剤として許容されるものである限り、本発明にはいずれを用いても良い。
テトラヘキシルデカン酸アスコルビルは、分枝脂肪酸によりアスコルビン酸の全ての水酸基をエステル化したもので、アスコルビン酸の持つ美白、肌質向上、コラーゲン産生、抗酸化作用、細胞賦活効果等の効果を損なうことなく、安定性及び油への溶解性が改良されたものである。本発明に用いるテトラヘキシルデカン酸アスコルビルは、皮膚外用剤または化粧料組成物への添加剤として許容されるものである限り、製法、由来に限定はない。
本発明の皮膚外用剤または化粧料組成物における成分(A)の含有量は、成分(A)の目的の効果を期待できる量で適宜とすることができる。含有量は、当業者であれば、適宜決定できるが、例えば成分(A)としてグリチルレチン酸ステアリルを用いる場合、例えば0.01〜10質量%含有することができ、0.1〜5質量%で含有することがより好ましく、0.2〜2質量%で含有することがより好ましい。
本発明においては、皮膚有効成分の皮膚への浸透は、特定の物理化学的性質を有する炭化水素油によって促進される。本発明者らの検討によると、グリチルレチン酸ステアリルの皮膚への浸透量は、用いた炭化水素油の表面張力との間に、高い相関がみられた。
本発明に用いられる炭化水素油は、温度20℃における表面張力が、29.5mN/m以下であることを特徴とする。好ましくは表面張力が28.5mN/m以下であり、より好ましくは28mN/m以下である。表面張力が低いほど、炭化水素油が皮膚表面に伸び広がり易くなり、それに伴い目的成分の皮膚浸透性もより促進される。表面張力が下がるにしたがって目的成分の皮膚への浸透性は高まる傾向にあるが、本発明者らのグリチルレチン酸ステアリルを用いた検討によると、炭化水素油の表面張力が29.5mN/m以下となることにより、急激に促進効果の上昇がみられることが分かっている。
効果の観点で、表面張力の下限値については特に制限はないが、一般的には、炭化水素油の表面張力の下限値は16.0N/m程度になる。したがって、本発明に用いる炭化水素油の下限値を規定するとすれば、16.0N/m以上であり、例えば、23.0N/m以上である。
なお、本発明で、表面張力について値を示すときは、特に記載した場合を除き、ペンダント・ドロップ法により測定される値である。
本発明者らの検討によると、少なくともグリチルレチン酸ステアリルおよびグリチルレチン酸ステアリルと分子量およびLog P値が近似する蛍光色素DiI(1,1’-Dioctadecyl-3,3,3’,3’-tetramethylindo-carbocyanine perchlorate、分子量:834.41、Log P値:23.2)は、同時に用いる炭化水素油の表面張力が皮膚への浸透度に影響したが、分子量が318.37であり、Log P値が3.8である蛍光色素Nile Red(9-(Diethylamino)-5H-benzo[a]phenoxazin-5-one)は、同時に用いる炭化水素油の表面張力は皮膚への浸透度に影響しなかった。したがって、表面張力を指標とした基剤となる油剤の選択は、分配係数が特定の範囲内にある皮膚有効成分に対して特に有効であり、また基剤となる油剤の表面張力の寄与は、有効成分の皮膚移行に際して皮膚角層表面の皮溝や微細な凹凸への吸着にとどまらないことが推測される。
本発明で用いられる炭化水素油(成分(B))は、表面張力が上で説明した範囲であり、皮膚外用剤または化粧料組成物に添加することが許容できる仕様である限り、特に限定されないが、20℃で液状であることが好ましい。具体的にはイソドデカン、イソヘキサデカン、水添ポリイソブテン、軽質流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等が挙げられ、これらの一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。組み合わせて使用する場合は、混合物としての表面張力が、上で説明した範囲であればよい。
本発明においては、炭化水素油(成分(B))は、皮膚有効成分(成分(A))の皮膚への浸透が促進される量、すなわち成分(A)の皮膚浸透促進上有効量で用いられる。本発明者らの検討によると、グリチルレチン酸ステアリルを2%w/v(≒2質量%)となるように成分(B)に懸濁して用いた場合に、グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透性を十分に促進した。したがって、成分(A)/成分(B)の質量比は、1/(10〜250)であれば、有効に成分(A)の浸透を促進することができると考えられ、1/(15〜250)であることが好ましく、1/(25〜250)であることがより好ましい。
本発明の皮膚外用剤または化粧料組成物における成分(B)の含有量は、適宜とすることができるが、例えば0.1〜99質量%含有することができ、1〜50質量%で含有することがより好ましく、2〜20質量%で含有することがより好ましい。
本発明の皮膚外用剤または化粧料組成物の製造方法は、有効に成分(A)の浸透を促進することができる限り、特に限定されない。皮膚外用剤または化粧料組成物のための種々の製造方法を適用できる。
本発明の皮膚外用剤または化粧料組成物は、成分(A)とともに、皮膚外用剤及び化粧料等に含有され、皮膚に適用した際に、成分(A)の皮膚浸透性を促進する。したがって成分(A)を皮膚内のターゲット部位(角質層や表皮)に効率よく貯留させることができる。これにより、成分(A)の作用をより高めることができる。
本発明の皮膚外用剤または化粧料組成物には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料等の製剤に使用される成分、すなわち、水(精製水、温泉水、深層水等)、アルコール、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、PH調整剤、清涼剤、動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、美白剤、抗炎症剤、活性酸素消去剤、細胞賦活剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等を加えることができる。
本発明の皮膚外用剤または化粧料組成物の性状は液状、ゲル状、クリーム状、半固形状、固形状、スティック状、パウダー状等のいずれであってもよく、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、洗顔料、メーキャップ化粧料等の皮膚用化粧料に属する形態;シャンプー、ヘアートリートメント、ヘアースタイリング剤、養毛剤、育毛剤等の頭髪化粧料に関する形態;等とすることができる。また、前記皮膚浸透促進剤及びグリチルレチン酸ステアリルは、上記の各種化粧料に含有できる他、分散液、軟膏、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等の外用医薬品等に含有することもできる。
以下に、本発明の皮膚浸透促進剤の作用を評価するための試験例を挙げて、本発明をさらに詳細に記述するが、本発明はこれらになんら限定されるものではない。
〔皮膚浸透性に及ぼす因子の検討〕
1. 方法
香粧会誌,31(1),1−7(2007)記載の藤井らの方法に従い、Yucatan micropig (YMP)皮膚(日本チャールズリバー)の皮下組織及び皮下脂肪を取り除いた後、この皮膚をフランツ型セルにセットし、グリチルレチン酸ステアリル(GS)を2%w/vの濃度で流動パラフィンに懸濁したものを、 2.5μL/cm2で適用した。
24時間経過後、皮膚を、表皮、真皮、および角層の3つに分離し、HPLCにて、各部位に含まれるGSをそれぞれ定量した。この実験については、「OECD In vitro 経皮吸収試験法」、「局所皮膚適用製剤の後発医薬品のための生物学的同等性試験ガイドライン」を参考にして実施した。
流動パラフィンの粘度測定は、Viscometer SV−10 (A&D)を用いて32 ℃で実施し、表面張力は、Dropmaster DM−500(協和界面科学社製)を用いてペンダント・ドロップ法(ds/de method、20 ℃)により測定した。
DiI(1,1'-Dioctadecyl-3,3,3',3'-tetramethylindo- carbocyanine perchlorate)およびNile Red(9-(Diethylamino)-5H-benzo[a]phenoxazin-5-one)の皮膚浸透評価は、資料溶液2.5 μL/cm2 に0.1%w/vでDiIまたは Nile Redを含ませ、2時間吸収させた後に、CLSM (Olympus, FV−1000)で観察することにより行った。これらの分子量およびLog Pを下表に示す。
Figure 2014040399
2.結果
(1)流動パラフィン
評価に用いた流動パラフィン(カネダ株式会社製)の物理化学パラメータを下表に示す。
Figure 2014040399
(2)YMP皮膚へのGSの浸透量
結果を、図1に示した。流動パラフィンの分子量が小さくなるに従ってGSの皮膚移行量が増加した。
(3)多重回帰分析
GS皮膚移行量と、実験に用いた流動パラフィンの粘度、表面張力及び分子量との関連について、ソフトウエア(JMP 9.03 (SAS Institute Japan)、解析モード:Stepwise method)を用いて、分子量、粘度、および表面張力それぞれについて回帰分析を行った。その結果、表面張力について、高い相関がみられた。解析結果を下表にまとめた。
Figure 2014040399
GSの皮膚移行には流動パラフィンの表面張力の関与が最も大きいことが示された。
(4)を用いたYMP皮膚への浸透深さの評価
DiIについての結果を図2に、およびNile Redについての結果を図3に示した。GSの場合と同様、分子量、Log P値が大きいDiIを用いた場合、流動パラフィンの分子量が大きくなると、DiIの浸透深さは、減少した。しかしながら、分子量、Log P値が小さいNile Redに関しては、流動パラフィンの分子量とNile Redの皮膚への浸透深さとの間に相関はみられなかった。
流動パラフィンの表面張力が、グリチルレチン酸ステアリルをはじめとする分子量、Log P値が大きい有効成分の皮膚浸透性において、重要な役割を果たすことが示唆された。
〔化粧料組成物の調製例〕
美容オイル
以下の組成の美容オイルを、以下の製造方法に従って調製した。
(成分) (質量%)
1.グリチルレチン酸ステアリル 0.5
2.流動パラフィン(表面張力27.6mN/m) 10.0
3.イソノナン酸イソトリデシル 5.0
4.ジメチルポリシロキサン 5.0
5.天然ビタミンE 0.1
6.ホホバ油 残量
(製造方法)
A:成分3に成分1を溶解する
B:成分2、4〜6を均一溶解後、Aを加え、美容オイルを得た。

Claims (7)

  1. (A) 分子量が500〜1500であり、かつ分配係数Log P値が5.0〜30.0である皮膚有効成分;および
    (B) 成分(A)の皮膚浸透促進上有効量の、温度32℃における表面張力が29.5mN/m以下である炭化水素油
    を含有する、皮膚外用剤または化粧料組成物。
  2. 成分(A)が、グリチルレチン酸ステアリル、アスタキサンチン、コエンザイムQ10、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルからなる群より選択される一以上である、請求項1に記載の皮膚外用剤または化粧料組成物。
  3. 成分(A)の分配係数Log P値が10.0〜25.0である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の、皮膚外用剤または化粧料組成物。
  4. 成分(A)の皮膚浸透促進上有効量として、成分(A)/成分(B)の質量比が、1/(10〜250)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の、皮膚外用剤または化粧料組成物。
  5. 分子量が500〜1500であり、かつ分配係数Log P値が5.0〜30.0である皮膚有効成分(A)の皮膚への浸透を、成分(A)の皮膚浸透促進上有効量の、温度32℃における表面張力が29.5mN/m以下である炭化水素油(B)を同時に用いることにより、促進する、方法。
  6. 皮膚有効成分の皮膚への浸透が促進された皮膚外用剤または化粧料組成物の製造方法であって:
    分子量が500〜1500であり、かつ分配係数Log P値が5.0〜30.0であることを指標に皮膚有効成分(A)選択し;
    温度32℃における表面張力が29.5mN/m以下であることを指標に炭化水素油(B)を選択し;そして
    成分(A)に対して、の皮膚浸透促進上有効量の炭化水素油(B)を含有する工程を含む、製造方法。
  7. 分子量が500〜1500であり、かつ分配係数Log P値が5.0〜30.0である皮膚有効成分(A)の皮膚への浸透を促進するための、成分(A)の皮膚浸透促進上有効量の、温度32℃における表面張力が29.5mN/m以下である炭化水素油(B)を含有する、剤。
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