(実施例1)
(通信システム2の構成)
図1に示されるように、通信システム2は、アクセスポイント(以下では「AP(Access Pointの略)」と呼ぶ)4と、多機能機(以下では「MFP(Multi-Function Peripheralの略)と呼ぶ)10と、携帯端末50と、を備える。
(MFP10が実行可能な無線通信の種類)
MFP10は、NFC(Near Field Communicationの略)方式に従った無線通信と、WFD(Wi-Fi Directの略)方式に従った無線通信と、通常Wi−Fi方式に従った無線通信と、Bluetooth(登録商標)方式に従った無線通信と、を実行可能である。以下では、上記の各方式に従った無線通信のことを、それぞれ、「NFC通信」、「WFD通信」、「通常Wi−Fi通信」、「BT通信」と呼ぶ。
(NFC通信)
NFC方式は、いわゆる近距離無線通信のための無線通信方式であり、例えば、ISO/IEC21481又は18092の国際標準規格に基づく無線通信方式である。MFP10は、携帯端末50とNFC通信を実行可能である。
(WFD通信)
WFD方式は、Wi−Fi Allianceによって作成された規格書「Wi−Fi Peer−to−Peer(P2P) Technical Specification Version1.1」に記述されている無線通信方式である。WFD方式は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば、802.11a,11b,11g,11n等)に従って、無線通信を実行するための無線通信方式である。
MFP10は、WFDネットワークに属することによって、当該WFDネットワークに属する他の機器と対象データのWFD通信を実行することができる。対象データは、OSI参照モデルのネットワーク層の情報を含むデータであり、例えば、印刷データ、スキャンデータ等を含む。また、携帯端末50も、WFDネットワークに属することによって、対象データのWFD通信を実行することができる。
以下では、MFP10及び携帯端末50のように、WFD通信を実行可能な機器のことを「WFD対応機器」と呼ぶ。上記のWFDの規格書では、WFD対応機器の状態として、Group Owner状態(以下では「G/O状態」と呼ぶ)、クライアント状態、及び、デバイス状態の3つの状態が定義されている。WFD対応機器は、上記の3つの状態のうちの1つの状態で選択的に動作可能である。
デバイス状態の一対のWFD対応機器がWFDネットワークを形成すべき際に、通常、当該一対のWFD対応機器の間で、G/Oネゴシエーションと呼ばれる無線通信が実行される。G/Oネゴシエーションにおいて、当該一対のWFD対応機器のうちの一方がG/O状態になると共に、当該一対のWFD対応機器のうちの他方がクライント状態になることが決定される。G/O状態の機器(以下では「G/O機器」と呼ぶ)と、クライアント状態の機器(以下では「CL機器」と呼ぶ)と、によって、WFDネットワークが形成される。WFDネットワークでは、1個のG/O機器と、1個以上のCL機器と、が存在し得る。G/O機器は、1個以上のCL機器を管理する。具体的に言うと、G/O機器は、1個以上のCL機器のそれぞれについて、当該CL機器の認証を実行し、当該CL機器の認証が成功すると、当該CL機器の識別情報(即ちMACアドレス)をG/O機器のメモリ内の管理リストに記述する。G/O機器は、CL機器がWFDネットワークから離脱すると、当該CL機器の識別情報を管理リストから消去する。
G/O機器は、管理リストに登録されているCL機器と、中継装置を介さずに、対象データの無線通信を直接的に実行可能である。しかしながら、G/O機器は、管理リストに登録されていない未登録機器との間で、当該未登録機器がWFDネットワークに参加するための参加データの無線通信を実行可能であるが、対象データの無線通信を実行不可能である。参加データは、OSI参照モデルのネットワーク層の情報を含まないデータであり、例えば、Probe Request信号(以下では「PReq信号」と呼ぶ)、Probe Response信号(以下では「PRes信号」と呼ぶ)等の物理層のデータを含む。なお、G/O機器は、複数個のCL機器の間の対象データの無線通信を中継可能である。
WFDネットワークに属していないWFD対応機器(即ち、G/O機器の管理リストに登録されていない未登録機器)が、デバイス状態の機器である。デバイス状態の機器は、WFDネットワークに属するための上記の参加データの無線通信を、G/O機器と実行可能であるが、上記の対象データの無線通信を、G/O機器又はCL機器と実行不可能である。
上述したように、WFDネットワークでは、一対のWFD対応機器は、これらのWFD対応機器とは別体に構成されているAPを介さずに、対象データのWFD通信を実行することができる。即ち、WFD通信は、APを介さない無線通信であると言える。
なお、以下では、上記のWFDの規格書で定義されている3個の状態(即ち、G/O状態、クライアント状態、デバイス状態)のうちの1つの状態で選択的に動作可能ではないが、APを介した無線通信(即ち後述の通常Wi−Fi通信)を実行可能な機器のことを、「WFD非対応機器」と呼ぶ。「WFD非対応機器」は、「レガシー機器」とも呼ばれる。G/O状態の機器は、WFD非対応機器の識別情報を、管理リストに記述することができる。この場合、WFD非対応機器は、CL機器としてWFDネットワークに参加することできる。
(通常Wi−Fi通信)
通常Wi−Fi方式は、Wi−Fi Allianceによって定められた無線通信方式であって、WFD方式とは異なる無線通信方式である。通常Wi−Fi方式は、WFD方式と同様に、IEEEの802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば、802.11a,11b,11g,11n等)に従って、無線通信を実行するための無線通信方式である。ただし、上述したように、WFD方式は、APを介さない無線通信を実行するための無線通信方式である。これに対し、通常Wi−Fi方式は、APを介して無線通信を実行するための無線通信方式である。この点において、WFD方式と通常Wi−Fi方式とは異なる。
MFP10は、AP4を含む通常Wi−Fiネットワークに属することによって、当該通常Wi−Fiネットワークに属する他の機器と、AP4を介して、対象データの通常Wi−Fi通信を実行することができる。携帯端末50も、通常Wi−Fiネットワークに属することによって、対象データの通常Wi−Fi通信を実行可能である。従って、MFP10は、AP4を介して、対象データの通常Wi−Fi通信を携帯端末50と実行可能である。なお、以下では、WFDネットワーク、通常Wi−Fiネットワークのことを、「WFDNW」、「通常Wi−FiNW」と呼ぶ。
(BT通信)
BT方式は、いわゆる近距離無線通信のための無線通信方式であり、例えば、IEEE802.15.1の規格に従って、無線通信を実行するための無線通信方式である。MFP10は、携帯端末50とBT通信を実行可能である。
(MFP10の構成)
MFP10は、印刷機能及びスキャン機能を含む多機能を実行可能である。図1に示されるように、MFP10は、操作部12と、表示部14と、印刷実行部16と、スキャン実行部18と、無線LANインターフェース(以下ではインターフェースのことを「I/F」と呼ぶ)20と、BTI/F21と、NFCI/F22と、制御部30と、を備える。各部12〜30は、バス線(符号省略)に接続されている。
操作部12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をMFP10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。印刷実行部16は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構である。スキャン実行部18は、CCD、CIS等のスキャン機構である。
無線LANI/F20は、WFD通信及び通常Wi−Fi通信を実行するためのインターフェースである。無線LANI/F20は、物理的には1個のインターフェース(即ち1個のICチップ)である。但し、無線LANI/F20には、WFD通信で利用されるMACアドレス(以下では「WFD用MACアドレス」と呼ぶ)と、通常Wi−Fi通信で利用されるMACアドレス(以下では「通常Wi−Fi用MACアドレス」と呼ぶ)と、の両方が割り当てられる。具体的に言うと、無線LANI/F20には、通常Wi−Fi用MACアドレスが、予め割り当てられている。制御部30は、通常Wi−Fi用MACアドレスを用いて、通常Wi−Fi用MACアドレスとは異なるWFD用MACアドレスを生成して、WFD用MACアドレスを無線LANI/F20に割り当てる。従って、制御部30は、通常Wi−Fi用MACアドレスを利用した通常Wi−Fi通信と、WFD用MACアドレスを利用したWFD通信と、の両方を同時的に実行し得る。即ち、MFP10は、WFDNWと通常Wi−FiNWとの両方に同時的に属することができる。
MFP10によって利用されるMACアドレスという観点では、WFD通信及び通常Wi−Fi通信は、例えば、以下のように表現することができる。即ち、WFD通信は、MFP10のWFD用MACアドレスが利用される無線通信であり、通常Wi−Fi通信は、MFP10の通常Wi−Fi用MACアドレスが利用される無線通信である。また、WFDNWは、MFP10のWFD用MACアドレスが利用される無線ネットワークであり、通常Wi−FiNWは、MFP10の通常Wi−Fi用MACアドレスが利用される無線ネットワークである。
BTI/21は、BT通信を実行するためのインターフェースである。BTI/F21を構成するチップは、無線LANI/F20を構成するチップとは物理的に異なる。
NFCI/F22は、NFC通信を実行するためのインターフェースである。NFCI/F22を構成するチップは、無線LANI/F20及びBTI/F21を構成するチップとは物理的に異なる。
無線LANI/F20を介した無線通信(即ち通常Wi−Fi通信及びWFD通信)の通信速度(例えば最大の通信速度が11〜600Mbps)は、BTI/F21を介した無線通信(即ちBT通信)の通信速度(例えば最大の通信速度が24Mbps)よりも速い。BTI/F21を介した無線通信(即ちBT通信)の通信速度(例えば最大の通信速度が24Mbps)は、NFCI/F22を介した無線通信(即ちNFC通信)の通信速度(例えば最大の通信速度が100〜424Kbps)よりも速い。
無線LANI/F20を介した無線通信における搬送波の周波数は、例えば2.4GHz帯又は5.0GHz帯である。BTI/F21を介した無線通信における搬送波の周波数は、例えば2.4GHz帯である。NFCI/F22を介した無線通信における搬送波の周波数は、例えば13.56MHz帯である。
MFP10が無線LANI/F20を介して通信先の機器(例えば携帯端末50)と無線通信を実行可能な最大の距離(例えば約100m)は、MFP10がBTI/F21を介して通信先の機器(例えば携帯端末50)と無線通信を実行可能な最大の距離(例えば約数十m)よりも大きい。また、MFP10がBTI/F21を介して通信先の機器(例えば携帯端末50)と無線通信を実行可能な最大の距離(例えば約数十m)は、MFP10がNFCI/F22を介して通信先の機器と無線通信を実行可能な最大の距離(例えば約10cm)よりも大きい。
制御部30は、CPU32とメモリ34とを備える。CPU32は、メモリ34に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。CPU32がプログラムに従って処理を実行することによって、第1の通信実行部40、第2の通信実行部42、及び、選択部44の各機能が実現される。なお、選択部44は、算出部46を備える。メモリ34は、ROM、RAM、ハードディスク等によって構成される。メモリ34は、CPU32によって実行される上記のプログラムと、MFP通信テーブル35と、を格納する。MFP通信テーブル35については、後で詳しく説明する。
(携帯端末50の構成)
携帯端末50は、例えば、携帯電話(例えばスマートフォン)、PDA、ノートPC、タブレットPC、携帯型音楽再生装置、携帯型動画再生装置等の可搬型の端末装置である。携帯端末50は、NFC通信とWFD通信と通常Wi−Fi通信とBT通信とを実行可能である。
携帯端末50は、操作部52と、表示部54と、無線LANI/F60と、BTI/F61と、NFCI/F62と、制御部70と、を備える。各部52〜70は、バス線(符号省略)に接続されている。操作部52は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部52を操作することによって、様々な指示を携帯端末50に入力することができる。表示部54は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。
無線LANI/F60は、WFD通信と通常Wi−Fi通信とを実行するためのインターフェースである。BTI/F61は、BT通信を実行するためのインターフェースである。NFCI/F62は、NFC通信を実行するためのインターフェースである。これらのインターフェース60,61,62の相違は、MFP10のインターフェース20,21,22の相違と同様である。例えば、無線LANI/F60を介した無線通信(即ち通常Wi−Fi通信及びWFD通信)の通信速度は、BTI/F61を介した無線通信(即ちBT通信)の通信速度よりも速く、BTI/F61を介した無線通信(即ちBT通信)の通信速度は、NFCI/F62を介した無線通信(即ちNFC通信)の通信速度よりも速い。
制御部70は、CPU72とメモリ74とを備える。CPU72は、メモリ74に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。メモリ74内のプログラムは、MFP10に様々な機能(例えば、印刷機能、スキャン機能等)を実行させるためのアプリケーション76を含む。アプリケーション76は、例えば、MFP10のベンダによって提供されるサーバから携帯端末50にインストールされてもよいし、MFP10と共に出荷されるメディアから携帯端末50にインストールされてもよい。CPU72がアプリケーション76に従って処理を実行することによって、第1の通信実行部80、第2の通信実行部82、及び、選択部84の各機能が実現される。なお、選択部84は、算出部86を備える。メモリ74は、ROM、RAM、ハードディスク等によって構成される。メモリ74は、CPU72によって実行される上記のプログラムと、端末通信テーブル75と、を格納する。端末通信テーブル75については、後で詳しく説明する。
(AP4の構成)
AP4は、WFDのG/O機器ではなく、無線アクセスポイント又は無線LANルータと呼ばれる通常のAPであり、通常Wi−FiNWを形成する。AP4は、通常Wi−FiNWに属する複数個の機器のうちの第1の機器(例えば携帯端末50)から対象データを受信して、上記の複数個の機器のうちの第2の機器(例えばMFP10)に当該対象データを送信する。即ち、AP4は、通常Wi−FiNWに属する一対の機器の間の対象データの無線通信を中継する中継機能を実行可能である。
WFDのG/O機器と通常のAP(即ちAP4)との間の相違点は、以下の通りである。WFDのG/O機器は、当該機器が属しているWFDNWから離脱して、他のWFDNWに新たに属する場合に、G/O状態とは異なる状態(即ちクライアント状態)で動作し得る。これに対し、通常のAPは、当該APがどの通常Wi−FiNWを形成しても、中継機能を実行する。即ち、通常のAPは、WFDのG/O機器と同様の動作しか実行することができず、WFDのCL機器と同様の動作を実行することができない。
(MFP通信テーブル35;図2(A))
図2(A)に示されるように、MFP通信テーブル35では、無線通信の種類と確立時間と通信速度と無線設定情報とが対応付けられている。無線通信の種類は、NFC通信と通常Wi−Fi通信とWFD通信とBT通信とを含む4種類の無線通信に分類される。確立時間は、MFP10が各種の無線通信を実行するための無線接続を確立するための時間である。通信速度は、MFP10が各種の無線通信を実行する際の通信速度である。無線設定情報は、MFP10が各種の無線通信を実行するために必要な情報である。
NFC通信に対応する確立時間MTnfは、MFP10のベンダによって決定された固定値であり、ゼロに設定されている。詳しくは後述するが、MFP10及び携帯端末50は、NFC通信を利用して、NFCデータの通信を実行する(図3のS10、図4のS52参照)。その後、MFP10及び携帯端末50は、上記の4種類の無線通信のうちの1種類の無線通信を利用して、印刷データの通信を実行する(図3のS24、図4のS60参照)。例えば、NFC通信を利用して印刷データの通信が実行されるべき状況では、NFCデータの通信が実行される際に、NFC接続が既に確立されている。従って、印刷データの通信のためにNFC接続を新たに確立する必要がないために、MTnfは、ゼロに設定されている。
NFC通信に対応する通信速度MVnfは、MFP10のベンダによって決定された固定値である。ベンダは、MFP10がNFC通信を実行する際の一般的な通信速度を調査して、当該通信速度をMVnfとして採用する。なお、変形例では、MVnfは、固定値ではなく、MFP10がNFC通信を実行した際の実績値であってもよい。また、NFC通信では、無線設定情報が利用されないために、NFC通信に対応する無線設定情報の欄は、空欄である。
通常Wi−Fi通信に対応する確立時間MTwfは、MFP10が通常Wi−Fi接続を確立した際の実績値である。MFP10のユーザが、MFP10を通常Wi−FiNWに参加させるための参加操作を操作部12に加えると、MFP10は、PReq信号を送信して、SSIDサーチを実行する。MFP10の周囲に存在するAP4は、PReq信号を受信すると、SSIDを含むPRes信号を返信する。その後、ユーザが所定の操作(例えば、SSIDの選択操作、パスワードの入力操作等)を操作部12に加えると、MFP10は、ユーザによって選択されたSSIDに対応する通常Wi−FiNWに含まれるAP4と、認証のための通信を実行する。AP4が認証を実行して、当該認証が成功すると、MFP10とAP4との間に通常Wi−Fi接続が確立される。MTwfは、上記のPReq信号を送信してから、通常Wi−Fi接続が確立されるまでの時間である。即ち、MTwfは、上記のPReq信号を送信してから最後のPRes信号を受信するまでの時間と、上記の認証のための通信を開始してから完了するまでの時間と、の和である。制御部30は、MFP10が通常Wi−Fi接続を確立する毎に、MTwfの値を更新する。なお、変形例では、MTwfは、実績値ではなく、MFP10が通常Wi−Fi接続を確立するのに必要な一般的な時間を示す固定値であってもよい。
通常Wi−Fi通信に対応する通信速度MVwfは、MFP10が通常Wi−Fi通信を実行した際の実績値である。制御部30は、MFP10が通常Wi−Fi通信を実行する毎に、通信速度を確認して、MVwfの値を更新する。なお、変形例では、MVwfは、実績値ではなく、MFP10が通常Wi−Fi通信を実行する際の一般的な通信速度を示す固定値であってもよい。
また、通常Wi−Fi通信では、無線設定情報として、SSID(Service Set Identifier)、認証方式、暗号化方式、パスワード、及び、MFP10のIPアドレスが利用される。従って、通常Wi−Fi通信に対応する無線設定情報の欄は、これらの各情報を含む。MFP10が通常Wi−FiNWに現在属していない場合には、通常Wi−Fi通信に対応する無線設定情報の欄は、空欄である。
MFP10は、G/O機器としてWFDNWに属することもできるし、CL機器としてWFDNWに属することもできる。以下では、前者のWFDNW、後者のWFDNWのことを、それぞれ、「WFDNW(MFP=G/O)」、「WFDNW(MFP=CL)」と記載することがある。WFD通信に対応する確立時間MTwdは、WFDNW(MFP=G/O)が形成されている状態において、MFP10が、WFDNW(MFP=G/O)に参加することを望む相手機器(例えば携帯端末50)とWFD接続を確立した際の実績値である。WFDNW(MFP=G/O)が形成されている状態では、MFP10は、デバイス状態の相手機器からPReq信号を受信すると、WFDNW(MFP=G/O)で現在利用されているSSIDを含むPRes信号を返信する。次いで、MFP10は、認証のための通信を相手機器と実行する。MFP10が認証を実行して、当該認証が成功すると、MFP10と相手機器との間にWFD接続が確立される。MTwdは、上記のPReq信号を受信してから、WFD接続が確立されるまでの時間である。制御部30は、WFDNW(MFP=G/O)が形成されている状態において、G/O状態のMFP10が相手機器とWFD接続を確立する毎に、MTwdの値を更新する。なお、変形例では、MTwdは、実績値ではなく、G/O状態のMFP10がWFD接続を確立するのに必要な一般的な時間を示す固定値であってもよい。
WFD通信に対応する通信速度MVwdは、WFDNW(MFP=G/O)が形成されている状態において、G/O状態のMFP10がWFD通信をCL機器と実行した際の実績値である。制御部30は、G/O状態のMFP10がWFD通信をCL機器と実行する毎に、通信速度を確認して、MVwdの値を更新する。なお、変形例では、MVwdは、実績値ではなく、G/O状態のMFP10がWFD通信を実行する際の一般的な通信速度を示す固定値であってもよい。WFD通信では、通常Wi−Fi通信と同様の無線設定情報が利用される。従って、WFD通信に対応する無線設定情報の欄は、これらの各情報を含む。
なお、WFDNW(MFP=G/O)が形成されていない場合、即ち、MFP10がクライアント状態又はデバイス状態である場合には、WFD通信に対応する無線設定情報の欄は、空欄である。なお、MFP10がCL機器としてWFDNWに属している場合には、MFP通信テーブル35とは異なるメモリ34内の記憶領域に、無線設定情報が格納される。
BT通信に対応する確立時間MTbtは、MFP10のベンダによって決定された固定値である。MFP10は、相手機器(例えば携帯端末50)とBT接続を確立するために、BT接続のための接続信号を相手機器と通信(送信又は受信)する。その後、MFP10と相手機器との間で、さらに、BT接続を確立するための通信が実行され、当該通信が終了すると、BT接続が確立される。MFP10のベンダは、MFP10が上記の接続信号の通信を実行してから、BT接続が確立されるまでに必要な一般的な時間を調査して、当該時間をMTbtとして採用する。なお、変形例では、MTbtは、固定値ではなく、MFP10がBT接続を確立した際の実績値であってもよい。
BT通信に対応する通信速度MVbtは、MFP10のベンダによって決定された固定値である。ベンダは、MFP10がBT通信を実行する際の一般的な通信速度を調査して、当該通信速度をMVbtとして採用する。なお、変形例では、MVbtは、固定値ではなく、MFP10がBT通信を実行した際の実績値であってもよい。また、BT通信では、無線設定情報として、PINコード(ペアリングコードとも呼ばれる)のみが利用される。従って、BT通信に対応する無線設定情報の欄は、PINコードのみを含む。なお、MFP10が、BT接続を確立していても、BT接続を確立していなくても、BT通信に対応する無線設定情報の欄にPINコードが記述された状態が維持される。
(端末通信テーブル75;図2(B))
図2(B)に示されるように、端末通信テーブル75は、MFP通信テーブル35と同様のテーブル構成を備える。端末通信テーブル75は、携帯端末50にアプリケーション76がインストールされる際に、メモリ74に格納される。この段階では、各実績値が記述されるべき各欄は、空欄である。携帯端末50の制御部70は、各実績値が得られると、各実績値を端末通信テーブル75に記述する。
NFC通信に対応する確立時間TTnfは、MFP10のベンダによって決定された固定値であり、MTnfと同様に、ゼロに設定されている。NFC通信に対応する通信速度TVnfは、MFP10のベンダによって決定された固定値であり、MVnfと同じ値である。MFP10がNFC通信を実行する際の通信速度と、携帯端末50がNFC通信を実行する際の通信速度とは、ほぼ同じである。従って、MVnf及びTVnfを同じ値に設定しても問題ない。なお、変形例では、TVnfは、携帯端末50がNFC通信を実行した際の実績値であってもよい。
通常Wi−Fi通信に対応する確立時間TTwfは、携帯端末50が通常Wi−Fi接続をAP(例えばAP4)と確立した際の実績値である。また、WFD通信に対応する確立時間TTwdは、携帯端末50がWFD接続をG/O状態のMFP10と確立した際の実績値である。通常Wi−Fi通信に対応する通信速度TVwfは、携帯端末50がAPと通常Wi−Fi通信を実行した際の実績値である。また、WFD通信に対応する通信速度TVwdは、携帯端末50がG/O状態のMFP10とWFD通信を実行した際の実績値である。ただし、本実施例では、TTwf及びTTwdが常に同じ値になり、TVwf及びTVwdが常に同じ値になる。その理由を以下に記載する。
携帯端末50は、WFDNWと通常Wi−FiNWとの両方に同時的に属することができない。また、携帯端末50は、CL機器としてWFDNW(MFP=G/O)に属することができるが、G/O機器としてWFDNW(MFP=CL)に属することができない。携帯端末50のユーザが、携帯端末50を無線ネットワーク(即ち、通常Wi−FiNW、又は、WFDNW(MFP=G/O))に参加させるための参加操作を操作部52に加える際、又は、後述の図4のS58が実行される際に、携帯端末50は、PReq信号を送信して、SSIDサーチを実行する。携帯端末50の周囲に存在するAP4は、PReq信号を受信すると、SSIDを含むPRes信号を返信する。また、WFDNW(MFP=G/O)が形成されている状態では、G/O状態のMFP10も、SSIDを含むPRes信号を返信する。PRes信号は、通常Wi−FiNWであるのか、WFDNWであるのか、を区別するための情報を含まない。従って、携帯端末50は、AP4及びMFP10のそれぞれからPRes信号を受信しても、当該PRes信号の送信元が、通常Wi−FiNWに含まれるAP4であるのか、WFDNW(MFP=G/O)に含まれるG/O状態のMFP10であるのか、を知ることができない。
例えば、SSIDサーチのトリガが上記の参加操作である場合には、ユーザが操作部52に所定の操作(即ち、SSIDの選択操作、パスワードの入力操作)を実行すると、携帯端末50は、ユーザによって選択されたSSIDに対応する無線ネットワークに含まれる対象機器(即ち、AP4又はG/O状態のMFP10)と、認証のための通信を実行する。対象機器が認証を実行して、当該認証が成功すると、対象機器と携帯端末50との間に無線接続(即ち、通常Wi−Fi接続又はWFD接続)が確立される。
また、詳しくは後述するが、例えば、SSIDサーチのトリガが図4のS58である場合には、携帯端末50は、S54の段階において、無線ネットワークの無線設定情報(SSID、パスワード等)を既に取得している。携帯端末50は、SSIDの選択操作及びパスワードの入力操作が実行されなくても、受信済みの1個以上のPRes信号に含まれる1個以上のSSIDの中から、取得済みの無線設定情報に含まれるSSIDを特定し、当該SSIDに対応する無線ネットワークに含まれる対象機器(即ち、AP4又はG/O状態のMFP10)と、認証のための通信を実行する。対象機器が認証を実行して、当該認証が成功すると、対象機器と携帯端末50との間に無線接続(即ち、通常Wi−Fi接続又はWFD接続)が確立される。
上述したように、携帯端末50は、対象機器が、AP4であるのか、G/O状態のMFP10であるのか、を知ることができない。即ち、携帯端末50は、通常Wi−Fi接続とWFD接続とを区別することができない。このために、本実施例では、TTwf及びTTwdが常に同じ値になり、TVwf及びTVwdが常に同じ値になるように、端末通信テーブル75が設定されている。なお、上記の説明から明らかなように、携帯端末50がAP4と通常Wi−Fi接続を確立するための手法と、携帯端末50がG/O状態のMFP10とWFD接続を確立するための手法と、は同じである。従って、実際には微差があるかもしれないが、TTwf及びTTwdを同じ値に設定しても問題ない。また、通常Wi−Fi通信及びWFD通信では、同じ規格(即ち、IEEEの802.11の規格、及び、それに準ずる規格)が利用される。従って、実際には微差があるかもしれないが、TVwf及びTVwdを同じ値に設定しても問題ない。
TTwf及びTTwdは、上記のPReq信号を送信してから、対象機器と携帯端末50との間に無線接続が確立されるまでの時間である。即ち、TTwf及びTTwdは、上記のPReq信号を送信してから最後のPRes信号を受信するまでの時間と、上記の認証のための通信を開始してから完了するまでの時間と、の和である。制御部70は、携帯端末50が対象機器と無線接続を確立する毎に、TTwfの値とTTwdの値との両方を更新する。なお、変形例では、TTwf及びTTwdは、実績値ではなく、対象機器と無線接続を確立するために必要な一般的な時間を示す固定値であってもよい。
また、制御部70は、携帯端末50が上記の対象機器と無線通信を実行する毎に、通信速度を確認して、TVwfの値とTVwdの値との両方を更新する。変形例では、TVwf及びTVwdは、実績値ではなく、対象機器と無線通信を実行する際の一般的な通信速度を示す固定値であってもよい。また、通常Wi−Fi通信及びWFD通信に対応する無線設定情報の欄は、SSID、認証方式等を含む。なお、携帯端末50が通常Wi−FiNW又はWFDNW(MFP=G/O)に現在属していない場合には、通常Wi−Fi通信及びWFD通信に対応する無線設定情報の欄は、空欄である。
BT通信に対応する確立時間TTbtは、MFP10のベンダによって決定された固定値であり、MTbtと同じ値である。MFP10がBT接続を確立するための時間と、携帯端末50がBT接続を確立するための時間とは、ほぼ同じである。従って、TTbt及びMTbtを同じ値に設定しても問題ない。なお、変形例では、TTbtは、固定値ではなく、携帯端末50がBT接続を確立した際の実績値であってもよい。
BT通信に対応する通信速度TVbtは、MFP10のベンダによって決定された固定値であり、MVbtと同じである。MFP10がBT通信を実行する際の通信速度と、携帯端末50がBT通信を実行する際の通信速度とは、ほぼ同じである。従って、MVbt及びTVbtを同じ値に設定しても問題ない。なお、変形例では、TVbtは、固定値ではなく、携帯端末50がBT通信を実行した際の実績値であってもよい。また、BT通信に対応する無線設定情報の欄は、PINコードのみを含む。なお、携帯端末50が、BT接続を確立していても、BT接続を確立していなくても、BT通信に対応する無線設定情報の欄にPINコードが記述された状態が維持される。
(MFP10の通信処理)
続いて、図3を参照して、MFP10の通信処理の内容について説明する。MFP10が電源ONにされている間に、MFP10のNFCI/F22は、NFC通信を実行可能な機器(即ち携帯端末50)を検出するための検出電波を発信している。
携帯端末50のユーザは、アプリケーション76を起動させた後に、MFP10に印刷機能を実行させるための印刷操作を操作部52に加える。印刷操作は、メモリ74から印刷対象の対象ファイルを指定するための操作と、印刷の色数(即ちカラー印刷又はモノクロ印刷)を指定するための操作と、印刷解像度を指定するための操作と、を含む。ユーザは、印刷操作を実行した後に、携帯端末50をMFP10に近づける。これにより、携帯端末50とMFP10との間の距離が、互いに電波が届く距離(例えば10cm)より小さくなる。この場合、携帯端末50のNFCI/F62は、MFP10から検出電波を受信して、応答電波をMFP10に送信する。この結果、MFP10と携帯端末50との間に、NFC接続が確立される。携帯端末50は、NFC接続を利用して、少なくとも印刷指示を含むNFCデータをMFP10に送信する。NFCデータに含まれる他の情報については、後で詳しく説明する。
S10に示されるように、第1の通信実行部40は、携帯端末50からNFCデータを受信することを監視している(S10)。第1の通信実行部40は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、NFCデータを受信する場合に、S10でYESと判断して、S12に進む。
S12では、制御部30は、MFP10がG/O状態で現在動作しているのか否かを判断する。即ち、制御部30は、WFDNW(MFP=G/O)が現在形成されているのか否かを判断する。具体的に言うと、制御部30は、MFP通信テーブル35において、WFD通信に対応する無線設定情報が記述されている場合には、WFDNW(MFP=G/O)が現在形成されている(S12でYES)と判断し、WFD通信に対応する無線設定情報が記述されていない場合には、WFDNW(MFP=G/O)が現在形成されていない(S12でNO)と判断する。S12でYESの場合、S14をスキップして、S16に進み、S12でNOの場合、S14に進む。
S14では、制御部30は、MFP10を自律G/Oモードに移行させる。上述したように、WFDNWが新たに形成されるべき際には、通常、G/Oネゴシエーションが実行されて、G/O機器とCL機器とが決定される。これに対し、自律G/Oモードでは、G/Oネゴシエーションが実行されずに、MFP10がG/O機器であることが決定される。S14の段階では、MFP10がG/O機器であるが、CL機器が存在しない。即ち、制御部30は、S14を実行することによって、G/O機器(即ちMFP10)のみが属しているWFDNW(MFP=G/O)を形成する。
自律G/Oモードは、G/O状態で動作することをMFP10に維持させるモードである。例えば、MFP10がG/OネゴシエーションでG/O状態になってWFDNWを形成した場合には、当該WFDNWからCL機器がいなくなると、MFP10は、G/O状態からデバイス状態に移行する(即ち、WFDNWが消滅する)。これに対し、例えば、MFP10が自律G/OモードでG/O状態になってWFDNWを形成した場合には、CL機器がいなくても、MFP10は、G/O状態を維持する(即ち、WFDNWを維持する)。
S14では、制御部30は、さらに、WFDNW(MFP=G/O)で利用されるべき無線設定情報(即ち、SSID、認証方式、暗号化方式、パスワード、及び、MFP10のIPアドレス)を準備する。S14では、制御部30は、さらに、MFP通信テーブル35内のWFD通信に対応する無線設定情報の欄に、準備済みの無線設定情報を記述する。S14を終えると、S16に進む。
S16では、選択部44は、NFC通信、通常Wi−Fi通信、WFD通信、及び、BT通信の4種類の無線通信の中から、1種類の無線通信を選択するための選択処理を実行する。選択処理の内容については、後で詳しく説明する。S16を終えると、S18に進む。
S18では、制御部30は、NFCI/F22を介して、選択結果情報を携帯端末50に送信する。例えば、S16の選択処理で得られる選択結果がNFC通信である場合には、選択結果情報は、NFC通信を示す情報を含む。例えば、選択結果が、通常Wi−Fi通信、WFD通信、又は、BT通信である場合には、選択結果情報は、MFP通信テーブル35内の選択結果に対応する欄に記述されている無線設定情報を含む。なお、選択結果が、通常Wi−Fi通信、WFD通信、又は、BT通信である場合には、選択結果情報は、いずれの種類の無線通信が選択されたのかを示す情報を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。S18を終えると、S20に進む。
詳しくは後述するが、携帯端末50は、選択結果情報に応じた処理を実行する。例えば、選択結果情報が、NFC通信を示す情報を含む場合には、携帯端末50は、図3のS10で確立済みのNFC接続を利用して(即ち通常Wi−Fi通信を利用して)、印刷データをMFP10に送信する(図4のS60)。
例えば、選択結果情報が、通常Wi−Fi通信に対応する無線設定情報を含み、かつ、MFP10と携帯端末50との双方が同じ通常Wi−FiNWに属していない場合には、携帯端末50は、当該無線設定情報を用いて、AP4と通常Wi−Fi無線接続を確立するための接続信号(例えば、Authentication Request信号、Association Request信号)をAP4に送信して(図4のS58)、AP4と通常Wi−Fi接続を確立する。そして、携帯端末50は、通常Wi−Fi通信を利用して、AP4を介して、印刷データをMFP10に送信する(図4のS60)。
例えば、選択結果情報が、WFD通信に対応する無線設定情報を含み、かつ、MFP10と携帯端末50との双方が同じWFDNW(MFP=G/O)に属していない場合には、携帯端末50は、当該無線設定情報を用いて、G/O状態のMFP10とWFD接続を確立するための接続信号(例えば、Authentication Request信号、Association Request信号)をMFP10に送信する(図4のS58)。この場合、MFP10の制御部30は、携帯端末50から、無線LANI/F20を介して、接続信号を受信して、S20でYESと判断する。そして、S22において、制御部30は、接続応答信号を送信する。なお、S22の過程において、制御部30は、無線LANI/F20を介して、認証のための様々な通信を携帯端末50と実行する。制御部30によって実行される認証が成功すれば、G/O状態のMFP10と携帯端末50との間に、WFD接続が確立される。そして、携帯端末50は、WFD通信を利用して、中継装置を介さずに、印刷データをMFP10に送信する(図4のS60)。
例えば、選択結果情報が、BT通信に対応する無線設定情報(即ちPINコード)である場合には、携帯端末50は、当該無線設定情報を用いて、BT接続を確立するための接続信号をMFP10に送信する(図4のS58)。この場合、MFP10の制御部30は、携帯端末50から、BTI/F21を介して、接続信号を受信して、S20でYESと判断する。そして、S22において、制御部30は、接続応答信号を送信する。なお、S22の過程において、制御部30は、BTI/F21を介して、BT接続を確立するための様々な通信を携帯端末50と実行する。当該通信が終了すると、MFP10と携帯端末50との間に、BT接続が確立される。そして、携帯端末50は、BT通信を利用して、中継装置を介さずに、印刷データをMFP10に送信する(図4のS60)。
S24では、第2の通信実行部42は、携帯端末50から印刷データを受信することを監視している。例えば、選択結果がNFC通信である場合には、S24では、第2の通信実行部42は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して(即ちNFC通信を利用して)、印刷データを受信する。即ち、この場合、第2の通信実行部42は、NFCデータの通信に利用されたNFC接続を維持しながら、NFC通信を利用して、印刷データを受信する。
例えば、選択結果が通常Wi−Fi通信又はWFD通信である場合には、S24では、第2の通信実行部42は、携帯端末50から、無線LANI/F20を介して(即ち通常Wi−Fi通信又はWFD通信を利用して)、印刷データを受信する。即ち、この場合、第2の通信実行部42は、NFCデータの通信に利用されたNFC接続に代えて(即ちNFC通信に代えて)、通常Wi−Fi通信又はWFD通信を利用して、印刷データを受信する。特に、選択結果が通常Wi−Fi通信である場合には、第2の通信実行部42は、AP4を介して、印刷データを受信する。また、選択結果がWFD通信である場合には、第2の通信実行部42は、中継装置を介さずに、印刷データを受信する。
例えば、選択結果がBT通信である場合には、S24では、第2の通信実行部42は、携帯端末50から、BTI/F21を介して(即ちBT通信を利用して)、印刷データを受信する。即ち、この場合、第2の通信実行部42は、NFCデータの通信に利用されたNFC接続に代えて(即ちNFC通信に代えて)、BT通信を利用して、印刷データを受信する。第2の通信実行部42は、携帯端末50から印刷データを受信する場合に、S24でYESと判断して、S26に進む。
S26では、制御部30は、受信済みの印刷データに従って、印刷処理を実行する。本実施例では、MFP10は、JPEG(Joint Photographic Experts Groupの略)形式を有するデータのフォーマット変換を実行可能であるが、JPEG形式とは異なる形式を有するデータのフォーマット変換を実行不可能である。従って、印刷データがJPEG形式を有する場合には、制御部30は、NFCデータに含まれる印刷の色数及び印刷の解像度を用いて、印刷データのフォーマット変換を実行して、印刷実行部16が解釈可能な特定の形式を有する変換済みデータを生成する。そして、制御部30は、変換済みデータを印刷実行部16に供給する。一方において、印刷データが上記の特定の形式を有する場合には、制御部30は、印刷データを変換することなく、印刷データを印刷実行部16に供給する。印刷実行部16は、制御部30から上記の特定の形式を有するデータ(即ち変換済みデータ又は印刷データ)を取得すると、当該データに従って、印刷媒体に印刷する。S26を終えると、S10に戻る。
(携帯端末50の通信処理;図4)
続いて、図4を参照して、携帯端末50の制御部70がアプリケーション76に従って実行する処理の内容を説明する。携帯端末50のユーザは、MFP10に印刷機能を実行させることを望む場合に、操作部52を用いて、アプリケーション76を起動させる。これにより、制御部70は、アプリケーション76に従って、図4のフローチャートを開始する。
上述したように、携帯端末50のユーザは、MFP10に印刷機能を実行させるための印刷操作を操作部52に加える。これにより、制御部70は、S50でYESと判断し、S52に進む。
S52では、第1の通信実行部80は、MFP10と携帯端末50との間にNFC接続が確立されることを監視する。第1の通信実行部80は、NFC接続が確立される場合に、NFCI/F62を介して、NFCデータをMFP10に送信する。
上述したように、図3のS18において、MFP10は、選択結果情報を携帯端末50に送信する。この結果、S54において、第1の通信実行部80は、MFP10から、NFCI/F62を介して、選択結果情報を受信する。
次いで、S56において、第2の通信実行部82は、選択結果情報を用いて、選択結果に対応する無線通信のための無線接続が確立されているのか否かを判断する。例えば、選択結果情報がNFC通信を示す情報を含む場合には、S52の段階でNFC接続が既に確立されているために、第2の通信実行部82は、無線接続が確立されている(S56でYES)と判断する。
例えば、選択結果情報が、SSID、認証方式、暗号化方式、パスワード、及び、IPアドレスを含む場合には、S56において、第2の通信実行部82は、選択結果情報に含まれるSSIDと、端末通信テーブル75内の通常Wi−Fi通信(又はWFD通信)に対応する無線設定情報の欄に記述されているSSIDと、が一致するのか否かを判断する。第2の通信実行部82は、2つのSSIDが一致する場合には、無線接続(即ち、通常Wi−Fi接続又はWFD接続)が確立されている(S56でYES)と判断し、2つのSSIDが一致しない場合には、無線接続が確立されていない(S56でNO)と判断する。なお、端末通信テーブル75内の通常Wi−Fi通信(又はWFD通信)に対応する無線設定情報の欄が、空欄である場合には、第2の通信実行部82は、無線接続が確立されていない(S56でNO)と判断する。
MFP10及び携帯端末50は、NFC接続とBT接続との両方が同時的に確立されている状態を形成し得ない。従って、S56の段階では、NFC接続が確立されているために、BT接続が確立されていることはあり得ない。このために、選択結果情報がPINコードのみを含む場合には、S56において、第2の通信実行部82は、無線接続が確立されていない(S56でNO)と判断する。
S56でYESの場合には、S58をスキップして、S60に進み、S56でNOの場合には、S58に進む。S58では、第2の通信実行部82は、選択結果情報に含まれる無線設定情報を用いて、接続処理を実行する。
例えば、選択結果情報が、SSID、認証方式等の無線設定情報を含む場合には、S58において、第2の通信実行部82は、無線LANI/F60を介して、PReq信号を送信する。この結果、第2の通信実行部82は、無線LANI/F60を介して、1個以上のPRes信号を受信する。第2の通信実行部82は、受信済みの1個以上のPRes信号に含まれる1個以上のSSIDの中から、選択結果情報に含まれるSSIDを特定し、無線LANI/F60を介して、当該SSIDに対応する無線ネットワークに含まれる対象機器(即ち、AP4又はG/O状態のMFP10)と無線接続を確立するための接続信号(例えば、Authentication Request信号、Association Request信号)を送信する。これにより、第2の通信実行部82は、無線LANI/F60を介して、接続応答信号を受信したり、認証のための通信を対象機器と実行したりして、対象機器と無線接続を確立する。
また、例えば、選択結果情報がPINコードのみの無線設定情報を含む場合には、S58において、第2の通信実行部82は、当該無線設定情報(即ちPINコード)を用いて、BTI/F61を介して、BT接続を確立するための接続信号をMFP10に送信する。これにより、第2の通信実行部82は、BTI/61を介して、接続応答信号を受信したり、BT接続を確立するための様々な通信をMFP10と実行したりして、MFP10とBT接続を確立する。S58を終えると、S60に進む。
S60では、まず、制御部70は、印刷データを準備する。例えば、S50の印刷操作で指定された印刷対象の対象ファイルが、JPEG形式とは異なる形式を有する場合には、制御部70は、印刷操作で指定された印刷の色数及び印刷解像度を用いて、対象ファイルのフォーマット変換を実行して、上記の特定の形式(即ち、MFP10の印刷実行部16が解釈可能な形式)を有する印刷データを生成する。また、例えば、対象ファイルがJPEG形式を有する場合には、制御部70は、対象ファイルを変換することなく、対象ファイルそのものを印刷データとして準備する。
S60では、さらに、第2の通信実行部82は、選択結果情報に応じた無線通信を利用して、準備済みの印刷データをMFP10に送信する。選択結果情報がNFC通信を示す情報を含む場合には、第2の通信実行部82は、S52の段階で確立済みのNFC接続を利用して、NFCI/F62を介して(即ちNFC通信を利用して)、印刷データをMFP10に送信する。
選択結果情報が、SSID、認証方式等を含む場合には、第2の通信実行部82は、無線LANI/F60を介して(即ち通常Wi−Fi通信又はWFD通信を利用して)、印刷データをMFP10に送信する。なお、S56でNO及びS58を経てS60が実行される場合には、第2の通信実行部82は、S58で確立された通常Wi−Fi接続又はWFD接続を利用して、印刷データをMFP10に送信する。一方において、S56でYESを経てS60が実行される場合には、第2の通信実行部82は、S52が実行される前に確立済みの通常Wi−Fi接続又はWFD接続を利用して、印刷データをMFP10に送信する。
選択結果情報がPINコードのみを含む場合には、第2の通信実行部82は、BTI/F61を介して(即ちBT通信を利用して)、印刷データをMFP10に送信する。なお、選択結果情報がPINコードのみを含む場合には、S56でNO及びS58を経てS60が実行される。従って、第2の通信実行部82は、S58で確立されたBT接続を利用して、印刷データをMFP10に送信する。S60を終えると、S50に戻る。
(実施例1−1;図5)
続いて、図5を参照して、実施例1−1の選択処理(図3のS16参照)の内容について説明する。本実施例では、選択部44は、携帯端末50の端末通信テーブル75(図2(B)参照)に記述されている確立時間TT及び通信速度TVを用いて、1種類の無線通信を選択する。
本実施例では、携帯端末50からMFP10に送信されるNFCデータは、印刷指示のみならず、上記の印刷操作で指定された処理関係情報と、端末通信テーブル75内のテーブル情報と、を含む。具体的に言うと、処理関係情報は、対象ファイルのファイルサイズと、対象ファイルのファイル形式と、印刷の色数と、印刷解像度と、を含む。これらの各情報は、印刷データの処理(即ち、印刷データの通信処理、フォーマット変換処理等)に関係する情報であるために、処理関係情報と呼ぶことができる。また、テーブル情報は、「種類」の列と「確立時間」の列と「通信速度」の列とが対応付けられている情報を含む。なお、携帯端末50が通常Wi−FiNW又はWFDNWに現在属している場合には、NFCデータは、さらに、携帯端末50が属している無線ネットワークのSSIDを含む。即ち、端末通信テーブル75内の通常Wi−Fi通信(又はWFD通信)に対応する無線設定情報の欄に、無線設定情報が記述されている場合には、NFCデータは、さらに、当該無線設定情報のSSIDを含む。なお、この際、NFCデータは、認証方式、暗号化方式、パスワード、及び、IPアドレスを含まない。これにより、携帯端末50が現在属している無線ネットワークのセキュリティが低下するのを抑制することができる。
S20において、算出部46は、NFCデータに含まれるファイル形式がJPEG形式であるのか否かを判断する。算出部46は、ファイル形式がJPEG形式である場合には、S20でYESと判断して、S22に進み、ファイル形式がJPEG形式とは異なる形式である場合には、S20でNOと判断して、S24に進む。
S22では、算出部46は、NFCデータに含まれるファイルサイズを、通信データサイズDSとして決定する。通信データサイズDSは、携帯端末50からMFP10に送信されるべき印刷データのデータサイズの予測値である。上述したように、MFP10は、JPEG形式を有するデータのフォーマット変換を実行可能である。従って、携帯端末50は、対象ファイルのファイル形式がJPEG形式である場合には、対象ファイルを変換することなく、対象ファイルそのものを印刷データとして送信する(図4のS60)。このために、対象ファイルのファイル形式がJPEG形式である場合(S20でYES)には、S22において、算出部46は、対象ファイルのファイルサイズ(即ちNFCデータに含まれるファイルサイズ)を、DSとして決定する。S22を終えると、S26aに進む。
S24では、算出部46は、NFCデータに含まれるファイルサイズ、印刷の色数、及び、印刷解像度を用いて、通信データサイズDSを算出する。上述したように、MFP10は、JPEG形式とは異なる形式を有するデータのフォーマット変換を実行不可能である。従って、携帯端末50は、対象ファイルのファイル形式がJPEG形式とは異なる形式である場合には、対象ファイルのフォーマット変換を実行して、上記の特定の形式を有する印刷データを生成する(図4のS60)。従って、このような場合には、対象ファイルのファイルサイズと印刷データのデータサイズとが異なり得る。このために、対象ファイルのファイル形式がJPEG形式とは異なる形式である場合(S20でNO)には、S24において、算出部46は、所定の計算式を用いて、DSを算出する。なお、上記の所定の計算式は、以下のようにして決定される。即ち、MFP10のベンダは、様々なデータサイズを有する複数個のファイルのそれぞれについて、印刷の色数及び印刷解像度を変更しながら、ファーマット変換を実行して、変換済みデータサイズを予め調査している。MFP10のベンダは、調査結果に基づいて、ファイルサイズ、印刷の色数、及び、印刷解像度から、変換済みデータのデータサイズを算出するための上記の所定の計算式を決定する。S24を終えると、S26aに進む。
S26aでは、算出部46は、NFC通信、通常Wi−Fi通信、WFD通信、及び、BT通信のそれぞれについて、当該無線通信を利用して印刷データの通信を開始してから完了するまでの通信予測時間T1を算出する。具体的に言うと、算出部46は、S22又はS24で得られるDSを、NFCデータに含まれるTVnfで除算することによって、NFC通信に対応する通信予測時間T1nfを算出する。同様に、算出部46は、DSを、TVwf、TVwd、TVbtのそれぞれで除算することによって、通常Wi−Fi通信、WFD通信、BT通信のそれぞれに対応する通信予測時間T1wf、T1wd、T1btを算出する。
上述したように、算出部46は、携帯端末50から受信されるNFCデータに含まれる各情報(即ち、通信速度TV、ファイル形式、ファイルサイズ、印刷の色数、及び、印刷解像度)を用いて、通信予測時間T1を算出する。本実施例によると、MFP10は、携帯端末50に関係する通信速度TVと、処理関係情報と、を用いて、通信予測時間T1を適切に算出することができる。
S28〜S34aでは、算出部46は、NFC通信、通常Wi−Fi通信、WFD通信、及び、BT通信のそれぞれについて、当該無線通信を実行するための無線接続を確立するための確立予測時間T2を決定する。具体的に言うと、算出部46は、携帯端末50から受信されるNFCデータに含まれる確立時間TTを用いて、確立予測時間T2を決定する。本実施例によると、MFP10は、携帯端末50に関係する確立時間TTを用いて、確立予測時間T2を適切に決定することができる。
S28では、算出部46は、MFP10と携帯端末50との双方が、同一の無線ネットワーク(即ち通常Wi−FiNW又はWFDNW(MFP=G/O))に属しているのか否かを判断する。具体的に言うと、算出部46は、NFCデータに含まれるSSIDと、MFP通信テーブル35内の通常Wi−Fi通信に対応する無線設定情報の欄に記述されているSSIDと、が一致するのか否かを判断する第1の判断処理を実行する。算出部46は、さらに、NFCデータに含まれるSSIDと、MFP通信テーブル35内のWFD通信に対応する無線設定情報の欄に記述されているSSIDと、が一致するのか否かを判断する第2の判断処理を実行する。算出部46は、第1及び第2の判断処理のどちらかで2つのSSIDが一致すると判断する場合に、S28でYESと判断し、S30aに進む。一方において、算出部46は、NFCデータにSSIDが含まれていない場合、又は、第1及び第2の判断処理のどちらでも2つのSSIDが一致しないと判断する場合に、S28でNOと判断し、S32aに進む。
S30aでは、算出部46は、通常Wi−Fi通信及びWFD通信のそれぞれに対応する確立予測時間T2wf、T2wdを決定する。S28の第1の判断処理で2つのSSIDが一致すると判断された場合、即ち、MFP10と携帯端末50との双方が同一の通常Wi−FiNWに属している場合には、算出部46は、T2wfをゼロに決定し、T2wdをNFCデータに含まれるTTwdに決定する。S28の第2の判断処理で2つのSSIDが一致すると判断された場合、即ち、MFP10と携帯端末50との双方が同一のWFDNWに属している場合には、算出部46は、T2wfをNFCデータに含まれるTTwfに決定し、T2wdをゼロに決定する。
上述したように、携帯端末50は、MFP10と携帯端末50との双方が同一の無線ネットワークに属している場合に、図4のS56でYESと判断して、S58の接続処理を実行しない。S58の接続処理が実行されない場合には、MFP10と携帯端末50との間に無線接続を確立するための時間をゼロと仮定することができる。従って、S30aでは、T2wf又はT2wdをゼロに決定する。本実施例によると、MFP10は、MFP10と携帯端末50との双方が同一の無線ネットワークに属しているのか否かに応じて、適切な確立予測時間T2wf、T2wdを利用することができる。S30aを終えると、S34aに進む。
S32aでも、算出部46は、通常Wi−Fi通信及びWFD通信のそれぞれに対応する確立予測時間T2wf、T2wdを決定する。算出部46は、T2wfをNFCデータに含まれるTTwfに決定し、T2wdをNFCデータに含まれるTTwdに決定する。S32aを終えると、S34aに進む。
S34aでは、算出部46は、NFC通信及びBT通信のそれぞれに対応する確立予測時間T2nf、T2btを決定する。算出部46は、T2nfをNFCデータに含まれるTTnf(即ちゼロ)に決定し、T2btをNFCデータに含まれるTTbtに決定する。S34aを終えると、S36に進む。
S36では、算出部46は、NFC通信、通常Wi−Fi通信、WFD通信、及び、BT通信のそれぞれについて、当該無線通信を利用した印刷データの通信を完了させるための完了予測時間Tを算出する。具体的に言うと、算出部46は、T1nfとT2nfとの和を算出することによって、NFC通信に対応する完了予測時間Tnfを算出する。同様に、算出部46は、T1wf、T1wd、T1btのそれぞれと、T2wf、T2wd、T2btのそれぞれと、の和を算出することによって、通常Wi−Fi通信、WFD通信、BT通信のそれぞれに対応する完了予測時間Twf、Twd、Tbtを算出する。S36を終えると、S38に進む。
S38では、選択部44は、NFC通信、通常Wi−Fi通信、WFD通信、及び、BT通信の中から、1種類の無線通信を選択する。具体的に言うと、選択部44は、S36で算出された4個の完了予測時間Tnf、Twf、Twd、及び、Tbtのうち、最小の完了予測時間に対応する1種類の無線通信を選択する。
ただし、選択部44は、MFP10が通常Wi−FiNWに現在属していない場合には、通常Wi−Fi通信を選択しない。通常Wi−FiNWで現在利用されている無線設定情報が、MFP通信テーブル35内に記述されていないために、MFP10及び携帯端末50が通常Wi−FiNWに参加することができないからである。従って、選択部44は、MFP通信テーブル35内の通常Wi−Fi通信に対応する無線設定情報の欄が、空欄である場合には、3個の完了予測時間Tnf、Twd、及び、Tbtのうち、最小の完了予測時間に対応する1種類の無線通信を選択する。なお、S38の段階では、MFP10は、WFDNW(MFP=G/O)に必ず属している。図3のS12でNOの場合には、S14において、WFDNW(MFP=G/O)が形成されるからである。
(実施例1−1の効果)
上記の構成によると、MFP10は、携帯端末50からNFCデータを受信する場合(図3のS10でYES)に、4種類の無線通信の中から1種類の無線通信を選択する(S16)。この際に、MFP10は、4種類の無線通信のそれぞれの通信予測時間T1と、4種類の無線通信のそれぞれの確立予測時間T2と、を考慮して、4種類の無線通信に対応する4個の完了予測時間Tを算出する(図5のS36)。MFP10は、特に、確立予測時間T2を考慮しているために、複数個の完了予測時間Tを適切に算出することができる。この結果、MFP10は、最小の完了予測時間に対応する1種類の無線通信を適切に選択することができる(S38)。従って、MFP10は、印刷データの通信を完了させるための時間が最も短いと予測される適切な無線通信を利用して、携帯端末50から印刷データを受信することができる(図3のS24でYES)。また、本実施例では、携帯端末50ではなく、MFP10が選択処理(図3のS16)を実行する。従って、携帯端末50の処理負荷が大きくなるのを抑制することができる。
なお、実施例1−1では、携帯端末50に関係する確立時間TT及び通信速度TVが利用されるが、MFP10に関係する確立時間MT及び通信速度MVが利用されない。従って、変形例では、MFP通信テーブル35は、確立時間MT及び通信速度MVを含んでいなくてもよい。
(対応関係)
MFP10、携帯端末50が、「第1の通信装置」、「第2の通信装置」の一例である。NFCI/F22が、「第1種のインターフェース」の一例である。無線LANI/F20及びBTI/F21が、「1個以上の第2種のインターフェース」の一例である。NFC通信が、「第1種の無線通信」の一例である。例えば、通常Wi−Fi通信が、「第2種の無線通信」の一例である。この場合、図5のS30a又はS32aで利用されるTTwf、ゼロが、それぞれ、「第1の値」、「第2の値」の一例である。また、例えば、WFD通信が、「第2種の無線通信」の一例である。この場合、図5のS30a又はS32aで利用されるTTwd、ゼロが、それぞれ、「第1の値」、「第2の値」の一例である。通常Wi−Fi通信、WFD通信、及び、BT通信の3種類の無線通信が、「M種類の無線通信」の一例である。NFC通信、通常Wi−Fi通信、WFD通信、及び、BT通信の4種類の無線通信が、「複数種類の無線通信」の一例である。
NFCデータ、印刷データが、それぞれ、「第1のデータ」、「第2のデータ」の一例である。ファイルサイズ、ファイル形式、印刷の色数、及び、印刷解像度が、「処理関係情報」の一例である。端末通信テーブル75内の通信速度TVが、「通信速度情報」及び「第1の速度情報」の一例である。即ち、本実施例では、「通信速度情報」と「第1の速度情報」とは、同じ情報である。端末通信テーブル75内の確立時間TTが、「第1の時間情報」の一例である。
(実施例1−2;図6)
続いて、図6を参照して、実施例1−2の選択処理(図3のS16参照)の内容について説明する。本実施例では、選択部44は、MFP10のMFP通信テーブル35に記述されている確立時間MT及び通信速度MVを用いて、1種類の無線通信を選択する。
携帯端末50からMFP10に送信されるNFCデータが、印刷指示と処理関係情報とを含む点は、実施例1−1と同様である。また、NFCデータが、さらにSSIDを含み得る点も、実施例1−1と同様である。ただし、NFCデータは、テーブル情報(即ち、端末通信テーブル75内の「種類」、「確立時間」、及び、「通信速度」)を含まない。
図6の複数の処理のうち、図5と同じ処理(S20〜S24、S28、S36、S38)については、図5と同じステップ番号を付している。なお、この点は、後述の図7でも同様である。
S26bでは、算出部46は、DSを、MFP通信テーブル35内のMVnfで除算することによって、T1nfを算出する。同様に、算出部46は、DSを、MVwf、MVwd、MVbtのそれぞれで除算することによって、T1wf、T1wd、T1btを算出する。
S30bでは、算出部46は、MFP10と携帯端末50との双方が同一の通常Wi−FiNWに属している場合には、T2wfをゼロに決定し、T2wdをMFP通信テーブル35内のMTwdに決定する。また、算出部46は、MFP10と携帯端末50との双方が同一のWFDNW(MFP=G/O)に属している場合には、T2wfをMFP通信テーブル35内のMTwfに決定し、T2wdをゼロに決定する。
S32bでは、算出部46は、T2wfをMFP通信テーブル35内のMTwfに決定し、T2wdをMFP通信テーブル35内のMTwdに決定する。また、S34bでは、算出部46は、T2nfをMFP通信テーブル35内のMTnf(即ちゼロ)に決定し、T2btをMFP通信テーブル35内のMTbtに決定する。
その他の点は、実施例1−1と同様である。本実施例でも、実施例1−1と同様の効果が得られる。さらに、MFP10は、MFP10に関係する通信速度MVと、処理関係情報と、を用いて、通信予測時間T1を適切に算出することができる。また、MFP10は、MFP10に関係する確立時間MTを用いて、確立予測時間T2を適切に決定することができる。なお、実施例1−2では、MFP10に関係する確立時間MT及び通信速度MVが利用されるが、携帯端末50に関係する確立時間TT及び通信速度TVが利用されない。従って、変形例では、端末通信テーブル75は、確立時間TT及び通信速度TVを含んでいなくてもよい。
本実施例では、例えば、図6のS30b又はS32bで利用されるMTwf(又はMTwd)、ゼロが、それぞれ、「第1の値」、「第2の値」の一例である。MFP通信テーブル35内の通信速度MVが、「通信速度情報」及び「第2の速度情報」の一例である。即ち、本実施例では、「通信速度情報」と「第2の速度情報」とは、同じ情報である。MFP通信テーブル35内の確立時間MTが、「第2の時間情報」の一例である。
(実施例1−3;図7)
続いて、図7を参照して、実施例1−3の選択処理(図3のS16参照)の内容について説明する。本実施例では、選択部44は、携帯端末50の端末通信テーブル75に記述されている確立時間TT及び通信速度TVと、MFP10のMFP通信テーブル35に記述されている確立時間MT及び通信速度MVと、の両方を用いて、1種類の無線通信を選択する。
携帯端末50からMFP10に送信されるNFCデータが、印刷指示と処理関係情報とテーブル情報とを含む点は、実施例1−1と同様である。また、NFCデータが、さらにSSIDを含み得る点も、実施例1−1と同様である。
S25では、算出部46は、NFCデータに含まれるTVnfと、MFP通信テーブル35内のMVnfと、の和を2で除算することによって、平均値AVnfを算出する。同様に、算出部46は、TVwfとMVwfとの平均値AVwf、TVwdとMVwdとの平均値AVwd、TVbtとMVbtとの平均値AVbtを、それぞれ算出する。また、算出部46は、NFCデータに含まれるTTnfと、MFP通信テーブル35内のMTnfと、の和を2で除算することによって、平均値ATnfを算出する。同様に、算出部46は、TTwfとMTwfとの平均値ATwf、TTwdとMTwdとの平均値ATwd、TTbtとMTbtとの平均値ATbtを、それぞれ算出する。
S26cでは、算出部46は、DSをAVnfで除算することによって、T1nfを算出する。同様に、算出部46は、DSを、AVwf、AVwd、AVbtのそれぞれで除算することによって、T1wf、T1wd、T1btを算出する。
S30cでは、算出部46は、MFP10と携帯端末50との双方が同一の通常Wi−FiNWに属している場合には、T2wfをゼロに決定し、T2wdをATwdに決定する。また、算出部46は、MFP10と携帯端末50との双方が同一のWFDNW(MFP=G/O)に属している場合には、T2wfをATwfに決定し、T2wdをゼロに決定する。
S32cでは、算出部46は、T2wfをATwfに決定し、T2wdをATwdに決定する。また、S34cでは、算出部46は、T2nfをATnf(即ちゼロ)に決定し、T2btをATbtに決定する。
その他の点は、実施例1−1及び実施例1−2と同様である。本実施例でも、実施例1−1及び実施例1−2と同様の効果が得られる。なお、本実施例では、端末通信テーブル75内の通信速度TV、MFP通信テーブル35内の通信速度MVが、それぞれ、「第1の速度情報」、「第2の速度情報」の一例である。端末通信テーブル75内の確立時間TT、MFP通信テーブル35内の確立時間MTが、それぞれ、「第1の時間情報」、「第2の時間情報」の一例である。また、図7のS25で算出される平均値ATが、「通信速度情報」の一例である。従って、本実施例では、「通信速度情報」と「第1の速度情報(又は第2の速度情報)」とは、異なる情報である。
(実施例2)
実施例1(即ち実施例1−1〜1−3)では、MFP10の選択部44が、1種類の無線通信を選択する(図3のS16)。実施例2では、携帯端末50の選択部84が、1種類の無線通信を選択する。
(MFP10の通信処理;図8)
S110〜S114は、図3のS10〜S14と同様である。なお、本実施例では、NFCデータは、印刷指示のみを含み、処理関係情報、テーブル情報、及び、SSIDを含まない。S116では、第1の通信実行部40は、NFCI/F22を介して、通信データを携帯端末50に送信する。通信データに含まれる情報については、後で説明する。S118では、第1の通信実行部40は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、選択結果情報を受信する。なお、選択結果情報は、いずれの無線通信が選択されたのかを示す情報を含む。ただし、変形例では、選択結果情報の通信が実行されなくてもよい(即ちS118を省略してもよい)。S120〜S126は、図3のS20〜S26と同様である。
(携帯端末50の通信処理;図9)
S150及びS152は、図4のS50及びS52と同様である。なお、本実施例では、第1の通信実行部80は、NFCI/F20を介して、印刷指示のみを含むNFCデータ(即ち、処理関係情報、テーブル情報、及び、SSIDを含まないNFCデータ)を、MFP10に送信する。S153では、第1の通信実行部80は、MFP10から、NFCI/F20を介して、通信データを受信する。
S154では、選択部84は、NFC通信、通常Wi−Fi通信、WFD通信、及び、BT通信の4種類の無線通信の中から、1種類の無線通信を選択するための選択処理を実行する。選択処理の内容については、後で詳しく説明する。S155では、第1の通信実行部80は、NFCI/F20を介して、S154の選択処理の結果(即ち、いずれの無線通信が選択されたのか)を示す選択結果情報をMFP10に送信する。
S156では、第2の通信実行部82は、S154の選択処理の結果が示す無線通信のための無線接続が確立されているのか否かを判断する。選択結果がNFC通信である場合には、第2の通信実行部82は、無線接続が確立されている(S156でYES)と判断する。なお、詳しくは後述するが、S153で受信される通信データは、MFP通信テーブル35内の「無線設定情報」の列を含む。選択結果が通常Wi−Fi通信である場合には、第2の通信実行部82は、通信データに含まれる通常Wi−Fi通信に対応するSSIDと、端末通信テーブル75内の通常Wi−Fi通信(又はWFD通信)に対応する無線設定情報の欄に記述されているSSIDと、が一致するのか否かを判断する。また、選択結果がWFD通信である場合には、第2の通信実行部82は、通信データに含まれるWFD通信に対応するSSIDと、端末通信テーブル75内のWFD通信(又は通常Wi−Fi通信)に対応する無線設定情報の欄に記述されているSSIDと、が一致するのか否かを判断する。選択結果がBT通信である場合には、第2の通信実行部82は、無線接続が確立されていない(S156でNO)と判断する。S158及びS160は、図4のS58及びS60と同様である。
(実施例2−1)
実施例2−1では、携帯端末50の選択部84は、携帯端末50の端末通信テーブル75に記述されている確立時間TT及び通信速度TVを用いて、1種類の無線通信を選択する。図10に示されるように、携帯端末50からMFP10に送信されるNFCデータ(図8のS110、図9のS152)は、印刷指示のみを含み、処理関係情報、テーブル情報、及び、SSIDを含まない。また、MFP10から携帯端末50に送信される通信データ(図8のS116、図9のS153)は、MFP通信テーブル35内の「種類」の列と「無線設定情報」の列とが対応付けられたデータを含む。通信データは、MFP通信テーブル35内の「確立時間」の列と「通信速度」の列とを含まない。
図9のS154において、算出部86は、端末通信テーブル75内の確立時間TT及び通信速度TVを用いて、実施例1−1の図5のS20〜S36と同様の手法に従って、4個の完了予測時間Tnf、Twf、Twd、及び、Tbtを算出する。S154において、選択部84は、最小の完了予測時間に対応する1種類の無線通信を選択する。
(実施例2−1の効果)
本実施例によると、携帯端末50は、携帯端末50に関係する通信速度MVと、ユーザによって携帯端末50に加えられる印刷操作に応じて得られる処理関係情報と、を用いて、通信予測時間T1を適切に算出することができる。また、携帯端末50は、携帯端末50に関係する確立時間TTを用いて、確立予測時間T2を適切に決定することができる。そして、携帯端末50は、通信予測時間T1と確立予測時間T2とを考慮して、4個の完了予測時間Tを適切に算出することができる。携帯端末50は、印刷データの通信を完了させるための時間が最も短いと予測される適切な無線通信を利用して、MFP10に印刷データを送信することができる。
また、本実施例では、MFP10ではなく、携帯端末50が選択処理(図9のS154)を実行する。従って、MFP10の処理負荷が大きくなるのを抑制することができる。なお、実施例2−1では、携帯端末50に関係する確立時間TT及び通信速度TVが利用されるが、MFP10に関係する確立時間MT及び通信速度MVが利用されない。従って、変形例では、MFP通信テーブル35は、確立時間MT及び通信速度MVを含んでいなくてもよい。
(対応関係)
携帯端末50、MFP10が、「第1の通信装置」、「第2の通信装置」の一例である。NFCI/F62が、「第1種のインターフェース」の一例である。無線LANI/F60及びBTI/F61が、「1個以上の第2種のインターフェース」の一例である。端末通信テーブル75内の通信速度TVが、「通信速度情報」及び「第1の速度情報」の一例である。また、端末通信テーブル75内の確立時間TTが、「第1の時間情報」の一例である。
(実施例2−2)
本実施例では、選択部84は、MFP10のMFP通信テーブル35に記述されている確立時間MT及び通信速度MVを用いて、1種類の無線通信を選択する。図10に示されるように、携帯端末50からMFP10に送信されるNFCデータは、印刷指示のみを含む。また、MFP10から携帯端末50に送信される通信データは、MFP通信テーブル35内の全ての情報(即ち、「種類」、「確立時間」、「通信速度」、「無線設定情報」)を含む。
図9のS154において、算出部86は、通信データに含まれる確立時間MT及び通信速度MVを用いて、実施例1−2の図6のS20〜S36と同様の手法に従って、4個の完了予測時間Tnf、Twf、Twd、及び、Tbtを算出する。S154において、選択部84は、最小の完了予測時間に対応する1種類の無線通信を選択する。
本実施例によると、携帯端末50は、MFP10に関係する通信速度MVと、処理関係情報と、を用いて、通信予測時間T1を適切に算出することができる。また、携帯端末50は、MFP10に関係する確立時間MTを用いて、確立予測時間T2を適切に決定することができる。なお、実施例2−2では、MFP10に関係する確立時間MT及び通信速度MVが利用されるが、携帯端末50に関係する確立時間TT及び通信速度TVが利用されない。従って、変形例では、端末通信テーブル75は、確立時間TT及び通信速度TVを含んでいなくてもよい。なお、本実施例では、MFP通信テーブル35内の通信速度MVが、「通信速度情報」及び「第2の速度情報」の一例である。MFP通信テーブル35内の確立時間MTが、「第2の時間情報」の一例である。
(実施例2−3)
本実施例では、選択部84は、携帯端末50の端末通信テーブル75に記述されている確立時間TT及び通信速度TVと、MFP10のMFP通信テーブル35に記述されている確立時間MT及び通信速度MVと、の両方を用いて、1種類の無線通信を選択する。図10に示されるように、携帯端末50からMFP10に送信されるNFCデータは、印刷指示のみを含む。また、MFP10から携帯端末50に送信される通信データは、MFP通信テーブル35内の全ての情報を含む。
図9のS154において、算出部86は、端末通信テーブル75内の確立時間TT及び通信速度TVと、通信データに含まれる確立時間MT及び通信速度MVと、の両方を用いて、実施例1−3の図7のS20〜S36と同様の手法に従って、4個の完了予測時間Tnf、Twf、Twd、及び、Tbtを算出する。S154において、選択部84は、最小の完了予測時間に対応する1種類の無線通信を選択する。
本実施例でも、実施例2−1及び実施例2−2と同様の効果が得られる。なお、本実施例では、端末通信テーブル75内の通信速度TV、MFP通信テーブル35内の通信速度MVが、それぞれ、「第1の速度情報」、「第2の速度情報」の一例である。端末通信テーブル75内の確立時間TT、MFP通信テーブル35内の確立時間MTが、それぞれ、「第1の時間情報」、「第2の時間情報」の一例である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
(変形例1)図5〜図7のS36において、算出部46,86は、T1nfとT2nfの和を算出することによって、NFC通信に対応する完了予測時間Tnfを算出する。ただし、NFC通信に対応する確立時間MTnf及びTTnfがゼロであるために、T2nfは、ゼロに決定される(S34a,S34b,S34c)。このために、算出部46,86は、図5〜図7の選択処理において、T2nfを決定せずに、S36において、T1nfをそのままTnfとして利用してもよい。即ち、算出部46,86は、NFC通信に対応する確立予測時間T2nfを考慮しなくてもよい。一般的に言うと、算出部は、少なくともM種類の無線通信のそれぞれの確立予測時間を考慮すればよい。同様に、MFP通信テーブル35は、MTnfを含んでいなくてもよく、端末通信テーブル75は、TTnfを含んでいなくてもよい。一般的に言うと、第1の時間情報及び第2の時間情報は、少なくともM種類の無線通信のそれぞれの無線接続を確立する際の確立時間を示す情報であればよい。
(変形例2)図5〜図7のS20〜24において、算出部46,86は、対象ファイルのファイル形式、対象ファイルのファイルサイズ、印刷の色数、及び、印刷解像度を用いて、通信データサイズDSを決定している。これに代えて、例えば、算出部46,86は、対象ファイルがどのようなファイル形式であっても、S22のように、対象ファイルのファイルサイズをDSとして決定してもよい。また、例えば、S24において、算出部46,86は、ファイルサイズと印刷の色数のみを用いて、DSを算出してもよいし、ファイルサイズと印刷の解像度のみを用いて、DSを算出してもよい。即ち、処理関係情報は、ファイル形式、ファイルサイズ、印刷の色数、及び、印刷解像度の全てを含んでいなくてもよく、第2のデータの処理に関係する情報を含んでいればよい。また、例えば、算出部46,86は、ファイル形式、ファイルサイズ、印刷の色数、及び、印刷解像度に関わらず(即ち処理関係情報を利用せずに)、予め決められている値をDSとして決定してもよい。このような変形例でも、算出部46,86は、確立予測時間T2を考慮するために、完了予測時間Tを適切に算出し得る。一般的に言うと、算出部は、通信予測時間と確立予測時間とを考慮して、完了予測時間を算出すればよい。
(変形例3)図5〜図7の選択処理の段階において、MFP10と携帯端末50との双方が同一の無線ネットワークに属していないことを前提とするのであれば、算出部46,86は、S28を実行しなくてもよい。この場合、算出部46,86は、MFP10と携帯端末50との双方が同一の無線ネットワークに属しているのか否かに関わらず、T2wfをTTwf(又はMTwf、ATwf)に決定し、T2wdをTTwd(又はMTwd、ATwd)に決定してもよい。一般的に言うと、算出部は、確立予測時間を考慮すればよい。
(変形例4)上記の各実施例において、MFP10及び携帯端末50は、NFC通信を実行可能であるが、その他の3種類の無線通信の全てを実行可能でなくてもよく、3種類の無線通信のうちの1種類又は2種類のみの無線通信を実行不可能であってもよい。この場合、テーブル35,75は、MFP10及び携帯端末50が実行可能な上記の1種類又は2種類の無線通信に関する情報のみを含んでいればよい。本実施例では、上記の1種類又は2種類の無線通信が、「M種類の無線通信」の一例である。一般的に言うと、「M」は、1以上の整数であればよい。
(変形例5)MFP10及び携帯端末50は、NFC通信を実行不可能であってもよい。この場合、MFP10及び携帯端末50は、まず、BT通信を利用して、NFCデータに相当するデータの通信を実行し、その後、通常Wi−Fi通信、WFD通信、及び、BT通信のうちの1種類の無線通信(即ち選択された無線通信)を利用して、印刷データの通信を実行してもよい。本実施例では、BT通信が、「第1種の無線通信」の一例であり、通常Wi−Fi通信及びWFD通信が、「第2種の無線通信」の一例である。また、赤外線通信、又は、Transfer Jetの無線通信が、「第1種の無線通信」の一例であってもよい。一般的に言うと、M種類の無線通信のそれぞれの通信速度は、第1種の無線通信の通信速度よりも速ければよい。
(変形例6)「第1種のインターフェース」及び「第2種のインターフェース」は、上記の実施例のように、別体に構成されている複数個のインターフェース(例えば複数個のICチップ)であってもよいし、一体に構成されている1個のインターフェース(例えば1個のICチップ)であってもよい。
(変形例7)上記の各実施例では、印刷データが、「第2のデータ」の一例である。これに代えて、「第2のデータ」は、例えば、スキャンデータであってもよい。この場合、算出部46,86は、図5〜図7のS20〜S24を実行する代わりに、MFP10のスキャン実行部18に載置されるスキャン対象の原稿のサイズ、スキャンの色数(即ちカラースキャン又はモノクロスキャン)、スキャン解像度等を用いて、通信データサイズDSを決定してもよい。MFP10の制御部30は、図3(又は図8)のS26(又はS126)の印刷処理の代わりに、原稿のスキャンをスキャン実行部18に実行させてもよい。その後、MFP10の第2の通信実行部42は、スキャンデータを携帯端末50に送信してもよい。即ち、携帯端末50の第2の通信実行部82は、MFP10からスキャンデータを受信してもよい。なお、「第2のデータ」は、音声データ、FAXデータ等であってもよい。
(変形例8)「第1の通信装置」及び「第2の通信装置」は、MFP10及び携帯端末50に限られず、他の通信装置(例えば、プリンタ、スキャナ、FAX装置、コピー機、電話機、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC、サーバ、携帯電話、PDA端末等)であってもよい。
(変形例9)上記の実施例では、MFP10のCPU32がメモリ34内のプログラム(即ちソフトウェア)を実行することによって、各部40〜46の機能が実現される。これに代えて、各部40〜46のうちの少なくとも1つは、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。また、同様に、各部80〜86のうちの少なくとも1つは、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。