(第1実施例)
(通信システム2の構成)
図1に示されるように、通信システム2は、複数個のアクセスポイント(以下では「AP(Access Pointの略)」と呼ぶ)4a,4bと、パーソナルコンピュータ(以下では「PC(Personal Computerの略)」と呼ぶ)6と、多機能機(以下では「MFP(Multi-Function Peripheralの略)と呼ぶ)10と、携帯端末50と、を備える。
(MFP10が実行可能な無線通信の種類)
MFP10は、NFC(Near Field Communicationの略)方式に従った無線通信と、WFD(Wi-Fi Directの略)方式に従った無線通信と、通常Wi−Fi方式に従った無線通信と、を実行可能である。以下では、上記の各方式に従った無線通信のことを、それぞれ、「NFC通信」、「WFD通信」、「通常Wi−Fi通信」と呼ぶ。
(NFC通信)
NFC方式は、いわゆる近距離無線通信のための無線通信方式であり、例えば、ISO/IEC21481又は18092の国際標準規格に基づく無線通信方式である。MFP10は、携帯端末50とNFC通信を実行可能である。
(WFD通信)
WFD方式は、Wi−Fi Allianceによって作成された規格書「Wi−Fi Peer−to−Peer(P2P) Technical Specification Version1.1」に記述されている無線通信方式である。WFD方式は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば、802.11a,11b,11g,11n等)に従って、無線通信を実行するための無線通信方式である。
MFP10は、WFDネットワークに属することによって、当該WFDネットワークに属する他の機器と対象データのWFD通信を実行することができる。対象データは、OSI参照モデルのネットワーク層の情報を含むデータであり、例えば、印刷データ、スキャンデータ等を含む。また、携帯端末50及びPC6も、WFDネットワークに属することによって、対象データのWFD通信を実行することができる。
以下では、MFP10及び携帯端末50のように、WFD通信を実行可能な機器のことを「WFD対応機器」と呼ぶ。上記のWFDの規格書では、WFD対応機器の状態として、Group Owner状態(以下では「G/O状態」と呼ぶ)、クライアント状態、及び、デバイス状態の3つの状態が定義されている。WFD対応機器は、上記の3つの状態のうちの1つの状態で選択的に動作可能である。
デバイス状態の一対のWFD対応機器がWFDネットワークを形成すべき際に、通常、当該一対のWFD対応機器の間で、G/Oネゴシエーションと呼ばれる無線通信が実行される。G/Oネゴシエーションにおいて、当該一対のWFD対応機器のうちの一方がG/O状態になると共に、当該一対のWFD対応機器のうちの他方がクライント状態になることが決定される。G/O状態の機器(以下では「G/O機器」と呼ぶ)と、クライアント状態の機器(以下では「CL機器」と呼ぶ)と、によって、WFDネットワークが形成される。WFDネットワークでは、1個のG/O機器と、1個以上のCL機器と、が存在し得る。G/O機器は、1個以上のCL機器を管理する。具体的に言うと、G/O機器は、1個以上のCL機器のそれぞれについて、当該CL機器の認証を実行し、当該CL機器の認証が成功すると、当該CL機器の識別情報(即ちMACアドレス)をG/O機器のメモリ内の管理リストに記述する。G/O機器は、CL機器がWFDネットワークから離脱すると、当該CL機器の識別情報を管理リストから消去する。
G/O機器は、管理リストに登録されているCL機器と、中継装置を介さずに、対象データの無線通信を直接的に実行可能である。しかしながら、G/O機器は、管理リストに登録されていない未登録機器との間で、当該未登録機器がWFDネットワークに参加するための参加データの無線通信を実行可能であるが、対象データの無線通信を実行不可能である。参加データは、OSI参照モデルのネットワーク層の情報を含まないデータであり、例えば、Probe Request信号(以下では「PReq信号」と呼ぶ)、Probe Response信号(以下では「PRes信号」と呼ぶ)等の物理層のデータを含む。なお、G/O機器は、複数個のCL機器の間の対象データの無線通信を中継可能である。
WFDネットワークに属していないWFD対応機器(即ち、G/O機器の管理リストに登録されていない未登録機器)が、デバイス状態の機器である。デバイス状態の機器は、WFDネットワークに属するための上記の参加データの無線通信を、G/O機器と実行可能であるが、上記の対象データの無線通信を、G/O機器又はCL機器と実行不可能である。
上述したように、WFDネットワークでは、一対のWFD対応機器は、これらのWFD対応機器とは別体に構成されているAPを介さずに、対象データのWFD通信を実行することができる。即ち、WFD通信は、APを介さない無線通信であると言える。
なお、以下では、上記のWFDの規格書で定義されている3個の状態(即ち、G/O状態、クライアント状態、デバイス状態)のうちの1つの状態で選択的に動作可能ではないが、APを介した無線通信(即ち後述の通常Wi−Fi通信)を実行可能な機器のことを、「WFD非対応機器」と呼ぶ。「WFD非対応機器」は、「レガシー機器」とも呼ばれる。G/O状態の機器は、WFD非対応機器の識別情報を、管理リストに記述することができる。この場合、WFD非対応機器は、CL機器としてWFDネットワークに参加することできる。
(通常Wi−Fi通信)
通常Wi−Fi方式は、Wi−Fi Allianceによって定められた無線通信方式であって、WFD方式とは異なる無線通信方式である。通常Wi−Fi方式は、WFD方式と同様に、IEEEの802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば、802.11a,11b,11g,11n等)に従って、無線通信を実行するための無線通信方式である。ただし、上述したように、WFD方式は、APを介さない無線通信を実行するための無線通信方式である。これに対し、通常Wi−Fi方式は、APを介して無線通信を実行するための無線通信方式である。この点において、WFD方式と通常Wi−Fi方式とは異なる。
MFP10は、通常Wi−Fiネットワークに属することによって、当該通常Wi−Fiネットワークに属する他の機器と、APを介して、対象データの通常Wi−Fi通信を実行することができる。携帯端末50も、通常Wi−Fiネットワークに属することによって、対象データの通常Wi−Fi通信を実行可能である。従って、MFP10は、複数個のAP4a,4bのうちのいずれかのAPを介して、対象データの通常Wi−Fi通信を携帯端末50と実行可能である。
通常Wi−Fiネットワークは、社内LAN、家庭内LAN等のように、APを設置可能な環境で構築される無線ネットワークであり、一般的に言うと、定常的に形成されるべき無線ネットワークである。これに対し、WFDネットワークは、APを必要としないために、例えば、一対のWFD対応機器の間で一時的な無線通信を実行させるために構築される無線ネットワークであり、一般的に言うと、一時的に形成されるべき無線ネットワークである。このように、本実施例では、通常Wi−Fiネットワークが、定常的に形成されるべき無線ネットワークであり、WFDネットワークが、一時的に形成されるべき無線ネットワークである状況を想定している。なお、以下では、WFDネットワーク、通常Wi−Fiネットワークのことを、「WFDNW」、「通常Wi−FiNW」と呼ぶ。
(MFP10の構成)
MFP10は、印刷機能及びスキャン機能を含む多機能を実行可能である。図1に示されるように、MFP10は、操作部12と、表示部14と、印刷実行部16と、スキャン実行部18と、無線LANインターフェース(以下ではインターフェースのことを「I/F」と呼ぶ)20と、NFCI/F22と、制御部30と、を備える。各部12〜30は、バス線(符号省略)に接続されている。
操作部12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をMFP10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。印刷実行部16は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構である。スキャン実行部18は、CCD、CIS等のスキャン機構である。
無線LANI/F20は、WFD通信及び通常Wi−Fi通信を実行するためのインターフェースである。無線LANI/F20は、物理的には1個のインターフェース(即ち1個のICチップ)である。但し、無線LANI/F20には、WFD通信で利用されるMACアドレス(以下では「WFD用MACアドレス」と呼ぶ)と、通常Wi−Fi通信で利用されるMACアドレス(以下では「通常Wi−Fi用MACアドレス」と呼ぶ)と、の両方が割り当てられる。具体的に言うと、無線LANI/F20には、通常Wi−Fi用MACアドレスが、予め割り当てられている。制御部30は、通常Wi−Fi用MACアドレスを用いて、通常Wi−Fi用MACアドレスとは異なるWFD用MACアドレスを生成して、WFD用MACアドレスを無線LANI/F20に割り当てる。従って、制御部30は、通常Wi−Fi用MACアドレスを利用した通常Wi−Fi通信と、WFD用MACアドレスを利用したWFD通信と、の両方を同時的に実行し得る。即ち、MFP10は、WFDNWと通常Wi−FiNWとの両方に同時的に属することができる。
MFP10によって利用されるMACアドレスという観点では、WFD通信及び通常Wi−Fi通信は、例えば、以下のように表現することができる。即ち、WFD通信は、MFP10のWFD用MACアドレスが利用される無線通信であり、通常Wi−Fi通信は、MFP10の通常Wi−Fi用MACアドレスが利用される無線通信である。また、WFDNWは、MFP10のWFD用MACアドレスが利用される無線ネットワークであり、通常Wi−FiNWは、MFP10の通常Wi−Fi用MACアドレスが利用される無線ネットワークである。
NFCI/F22は、NFC通信を実行するためのインターフェースである。NFCI/F22を構成するチップと、無線LANI/F20を構成するチップとは、物理的に異なる。
無線LANI/F20を介した無線通信の通信速度(例えば、最大の通信速度が11〜600Mbps)は、NFCI/F22を介した無線通信の通信速度(例えば、最大の通信速度が100〜424Kbps)よりも速い。また、無線LANI/F20を介した無線通信における搬送波の周波数(例えば、2.4GHz帯、5.0GHz帯)は、NFCI/F22を介した無線通信における搬送波の周波数(例えば、13.56MHz帯)とは異なる。また、例えば、MFP10と携帯端末50との間の距離が約10cm以下である場合に、制御部30は、NFCI/F22を介して、携帯端末50とNFC通信を実行可能である。一方において、MFP10と携帯端末50との間の距離が、10cm以下である場合でも、10cm以上である場合(例えば最大で約100m)でも、制御部30は、無線LANI/F20を介して、携帯端末50とWFD通信及び通常Wi−Fi通信を実行可能である。即ち、MFP10が無線LANI/F20を介して通信先の機器(例えば携帯端末50)と無線通信を実行可能な最大の距離は、MFP10がNFCI/F22を介して通信先の機器と無線通信を実行可能な最大の距離よりも大きい。
制御部30は、CPU32とメモリ34とを備える。CPU32は、メモリ34に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。CPU32がプログラムに従って処理を実行することによって、各部40〜47の機能が実現される。メモリ34は、ROM、RAM、ハードディスク等によって構成される。メモリ34は、CPU32によって実行される上記のプログラムを格納する。
MFP10がWFDNWに属している場合には、メモリ34は、さらに、MFP10がWFDNWに属していることを示すWFD所属情報を格納する。WFD所属情報は、WFDNWでのMFP10の状態(G/O状態又はクライアント状態)を示す状態値と、WFDNWを利用したWFD通信を実行するためのWFD無線設定と、を含む。
なお、MFP10は、G/O機器として第1のWFDNWに属していると共に、CL機器として第2のWFDNWに属している状態を形成することができる。即ち、MFP10は、異なる状態(即ち、G/O状態、クライアント状態)の機器として2個のWFDNWに同時的に属することができる。ただし、MFP10は、同じ状態の機器として2個のWFDNWに同時的に属することができない。即ち、MFP10は、G/O機器として1個のWFDNWに属している状態において、G/O機器として他のWFDNWに属することができない。また、MFP10は、CL機器として1個のWFDNWに属している状態において、CL機器として他のWFDNWに属することができない。MFP10が第1及び第2のWFDNWに同時的に属している場合には、メモリ34は、第1のWFDNWに対応する第1のWFD所属情報と、第2のWFDNWに対応する第2のWFD所属情報と、の両方を格納する。
WFD無線設定は、認証方式情報、暗号化方式情報、SSID(Service Set Identifier)、BSSID(Basic Service Set Identifier)、及び、パスワードを含む。WFD無線設定に含まれるSSIDは、WFDNWを識別するためのネットワーク識別子である。WFD無線設定に含まれるBSSIDは、WFDNWのG/O機器に割り当てられている固有の識別子(例えばG/O機器のMACアドレス)である。
G/O機器は、通常、WFDNWを形成する際に、WFD無線設定を準備して、当該WFD無線設定をCL機器に供給する。例えば、MFP10の制御部30は、MFP10がG/O機器として動作するWFDNWを形成する際に、WFD無線設定を準備する。具体的に言うと、制御部30は、予め決められている認証方式情報及び暗号化方式情報を準備する。制御部30は、予め決められているパスワードを準備するか、あるいは、パスワードを新たに生成することによってパスワードを準備する。制御部30は、予め決められているSSIDを準備するか、あるいは、SSIDを新たに生成することによってSSIDを準備する。また、制御部30は、予め決められているWFD用MACアドレスをBSSIDとして準備する。
従って、MFP10がG/O機器としてWFDNWに属している場合には、当該WFDNWに対応するWFD所属情報は、MFP10が当該WFDNWを形成した際に、MFP10によって準備されたWFD無線設定を含む。一方において、MFP10がCL機器としてWFDNWに属している場合には、当該WFDNWに対応するWFD所属情報は、MFP10とは異なるG/O機器が当該WFDNWを形成した際に、当該G/O機器によって準備されたWFD無線設定(即ち、当該G/O機器から取得されたWFD無線設定)を含む。
また、MFP10が通常Wi−FiNWに属している場合には、メモリ34は、さらに、MFP10が通常Wi−FiNWに属していることを示す通常Wi−Fi所属情報を格納する。通常Wi−Fi所属情報は、通常Wi−FiNWを利用した通常Wi−Fi通信を実行するための通常Wi−Fi無線設定を含む。通常Wi−Fi無線設定は、通常、認証方式情報、暗号化方式情報、SSID、BSSID、及び、パスワードを含む。通常Wi−Fi無線設定に含まれるSSIDは、通常Wi−FiNWを識別するためのネットワーク識別子である。通常Wi−Fi無線設定に含まれるBSSIDは、通常Wi−FiNWを形成しているAPに割り当てられている固有の識別子(例えばAPのMACアドレス)である。
MFP10は、通常、以下の手法を利用して、通常Wi−FiNWに参加する。即ち、MFP10の制御部30は、所定の操作が操作部12に加えられると、SSIDサーチを実行して、PReq信号を送信する。この結果、制御部30は、MFP10の周囲に存在するAP4a,4bのそれぞれから、PRes信号を受信する。PRes信号は、PRes信号の送信元のAPで利用されている認証方式を示す認証方式情報と、当該APで利用されている暗号化方式を示す暗号化方式情報と、当該APで利用されているSSID及びBSSIDと、を含む。次いで、制御部30は、複数個のAPから取得された複数個のSSIDを、表示部14に表示させる。ユーザは、操作部12を用いて、複数個のSSIDの中から1個のSSID(即ち1個のAP)を選択する。ユーザは、さらに、操作部12を用いて、パスワードを入力する。
制御部30は、選択済みのAPから取得された認証方式情報、暗号化方式情報、SSID、及び、BSSIDを利用すると共に、ユーザによって入力されたパスワードを利用して、選択済みのAPと無線接続を実行する。無線接続は、MFP10が通常Wi−FiNWに参加するための通信処理(例えば、認証のための通信処理(Authentication信号、Association信号の通信等))を含む。これにより、MFP10は、選択済みのAPが形成している通常Wi−FiNWに参加する。メモリ34は、選択済みのAPとの無線接続で利用された各情報(認証方式情報等)を、通常Wi−Fi無線設定として格納する。
(携帯端末50の構成)
携帯端末50は、例えば、携帯電話(例えばスマートフォン)、PDA、ノートPC、タブレットPC、携帯型音楽再生装置、携帯型動画再生装置等の可搬型の端末装置である。携帯端末50は、NFC通信とWFD通信と通常Wi−Fi通信とを実行可能である。
携帯端末50は、操作部52と、表示部54と、無線LANI/F60と、NFCI/F62と、制御部70と、を備える。各部52〜70は、バス線(符号省略)に接続されている。操作部52は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部52を操作することによって、様々な指示を携帯端末50に入力することができる。表示部54は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。
無線LANI/F60は、WFD通信と通常Wi−Fi通信とを実行するためのインターフェースである。NFCI/F62は、NFC通信を実行するためのインターフェースである。これらのインターフェース60,62の相違は、MFP10のインターフェース20,22の相違と同様である。即ち、例えば、無線LANI/F60を介した無線通信の通信速度は、NFCI/F62を介した無線通信の通信速度よりも速い。
制御部70は、CPU72とメモリ74とを備える。CPU72は、メモリ74に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。メモリ74内のプログラムは、MFP10に様々な機能(例えば、印刷機能、スキャン機能等)を実行させるためのアプリケーション76を含む。アプリケーション76は、例えば、MFP10のベンダによって提供されるサーバから携帯端末50にインストールされてもよいし、MFP10と共に出荷されるメディアから携帯端末50にインストールされてもよい。CPU72がアプリケーション76に従って処理を実行することによって、各部80〜82の機能が実現される。
なお、携帯端末50は、MFP10とは異なり、WFDNWと通常Wi−FiNWとに同時的に属することができない。また、携帯端末50は、2個のWFDNWに同時的に属することができない。携帯端末50がWFDNW又は通常Wi−FiNWに属している場合には、メモリ34は、MFP10と同様に、WFD所属情報又は通常Wi−Fi所属情報を格納する。
(AP4a,4bの構成)
各AP4a,4bは、WFDのG/O機器ではなく、無線アクセスポイント又は無線LANルータと呼ばれる通常のAPであり、通常Wi−FiNWを形成する。各AP4a,4bは、通常Wi−FiNWに属する複数個の機器のうちの第1の機器(例えば携帯端末50)から対象データを受信して、上記の複数個の機器のうちの第2の機器(例えばMFP10)に当該対象データを送信する。即ち、各AP4a,4bは、通常Wi−FiNWに属する一対の機器の間の対象データの無線通信を中継する中継機能を実行可能である。また、各AP4a,4bは、通常Wi−FiNWに属する機器と、インターネットと、の間のデータ通信を中継するルータ機能を実行可能である。
WFDのG/O機器と通常のAP(即ち各AP4a,4b)との間の相違点は、以下の通りである。WFDのG/O機器は、当該機器が属しているWFDNWから離脱して、他のWFDNWに新たに属する場合に、G/O状態とは異なる状態(即ちクライアント状態)で動作し得る。これに対し、通常のAPは、当該APがどの通常Wi−FiNWを形成しても、中継機能を実行する。即ち、通常のAPは、WFDのG/O機器と同様の動作しか実行することができず、WFDのCL機器と同様の動作を実行することができない。
なお、通信システム2の管理者は、各AP4a,4bのプライバシーセパレータ設定(以下では「PS(Privacy Separator)設定」と呼ぶ)として、ON又はOFFを選択することができる。例えば、AP4aのPS設定がOFFである状態では、AP4aは、ルータ機能及び中継機能の両方を実行可能である。一方において、AP4aのPS設定がONである状態では、AP4aは、ルータ機能を実行可能であるが、中継機能を実行不可能である。このように、AP4aのPS設定がONである状態では、AP4aが形成している通常Wi−FiNWに属する一対の機器の間でデータ通信が実行されないために、通常Wi−FiNWのセキュリティを高めることができる。
(MFP10が実行する通信処理)
続いて、図2を参照して、MFP10が実行する通信処理の内容について説明する。MFP10が電源ONにされている間に、MFP10のNFCI/F22は、NFC通信を実行可能な機器(即ち携帯端末50)を検出するための検出電波を発信している。携帯端末50のユーザは、印刷機能又はスキャン機能を選択する操作を実行した後に、携帯端末50をMFP10に近づける。これにより、携帯端末50とMFP10との間の距離が、互いに電波が届く距離(例えば10cm)より小さくなる。この場合、携帯端末50のNFCI/F62は、MFP10から検出電波を受信して、応答電波をMFP10に送信する。この結果、MFP10と携帯端末50との間に、NFC通信セッションが確立される。携帯端末50は、NFC通信セッションを利用して、リクエストデータをMFP10に送信する。
S10に示されるように、MFP10の特定データ受信部40は、携帯端末50からリクエストデータを受信することを監視している(S10)。特定データ受信部40は、携帯端末50から、NFCI/F22を介して、リクエストデータを受信する場合に、S10でYESと判断して、S12に進む。なお、携帯端末50のユーザによって印刷機能が選択される場合には、リクエストデータは、印刷指示を含む。一方において、携帯端末50のユーザによってスキャン機能が選択される場合には、リクエストデータは、スキャン指示を含む。また、携帯端末50がWFDNW又は通常Wi−FiNWに属している場合には、リクエストデータは、さらに、携帯端末50が属している無線ネットワークのSSIDを含む。携帯端末50がWFDNW及び通常Wi−FiNWのどちらにも属していない場合には、リクエストデータは、SSIDを含まない。
(レスポンス送信処理;図3)
S12では、制御部30は、レスポンス送信処理を実行する。なお、以下では、MFP10がG/O機器として動作するWFDNWのことを、「WFDNW(MFP=G/O)」と記載する。また、MFP10がCL機器として動作するWFDNWのことを、「WFDNW(MFP=CL)」と記載する。
図3に示されるように、S30において、制御部30は、MFP10がWFDNW(MFP=G/O)に属しているのか否かを判断する。具体的に言うと、制御部30は、メモリ34内にWFD所属情報が格納されていない場合には、S30でNO(即ち、MFP10がWFDNW(MFP=G/O)に属していない)と判断して、S40に進む。また、制御部30は、メモリ34内に2個のWFD所属情報が格納されている場合、即ち、MFP10が第1のWFDNW(MFP=G/O)に属していると共に、MFP10が第2のWFDNW(MFP=CL)に属している場合には、S30でYES(即ち、MFP10がWFDNW(MFP=G/O)に属している)と判断して、S32に進む。また、制御部30は、メモリ34内に1個のWFD所属情報が格納されている場合には、当該WFD所属情報に含まれる状態値が、G/O状態を示す値であるのか否かを確認する。制御部30は、状態値がG/O状態を示す値である場合には、S30でYESと判断して、S32に進み、状態値がクライアント状態を示す値である場合には、S30でNOと判断して、S40に進む。
S32では、第2の判断部46は、図2のS10で携帯端末50から受信されたリクエストデータが、携帯端末50が属している無線ネットワークのSSIDを含むのか否かを判断する。第2の判断部46は、リクエストデータがSSIDを含む場合には、S32でYESと判断して、S34に進み、リクエストデータがSSIDを含まない場合には、S32でNOと判断して、S60に進む。
S34では、第2の判断部46は、MFP10が通常Wi−FiNWに属しているのか否かを判断する。具体的に言うと、第2の判断部46は、メモリ34内に通常Wi−Fi所属情報が格納されている場合には、S34でYES(即ち、MFP10が通常Wi−FiNWに属している)と判断して、S36に進む。第2の判断部46は、メモリ34内に通常Wi−Fi所属情報が格納されていない場合には、S34でNO(即ち、MFP10が通常Wi−FiNWに属していない)と判断して、S60に進む。
S36では、第2の判断部46は、MFP10及び携帯端末50が同じ通常Wi−FiNWに属しているのか否かを判断する。具体的に言うと、第2の判断部46は、メモリ34内の通常Wi−Fi所属情報に含まれるSSIDと、リクエストデータに含まれるSSIDと、が一致するのか否かを判断する。第2の判断部46は、2つのSSIDが一致すると判断する場合には、S36でYES(即ち、MFP10及び携帯端末50が同じ通常Wi−FiNWに属している)と判断して、S50に進む。一方において、第2の判断部46は、2つのSSIDが一致しないと判断する場合には、S36でNO(即ち、MFP10及び携帯端末50が同じ通常Wi−FiNWに属していない)と判断して、S60に進む。
S50では、第1の情報送信部41は、まず、レスポンスデータを生成する。具体的に言うと、第1の情報送信部41は、メモリ34内の通常Wi−Fi所属情報に含まれる通常Wi−Fi無線設定と、1番目の優先順位を示す優先順位情報と、が対応付けられている第1の対応情報を生成する。次いで、第1の情報送信部41は、メモリ34内の1個以上のWFD所属情報のうち、G/O状態を示す状態値を含むWFD所属情報(以下では「G/O用WFD所属情報」と呼ぶ)を特定する。そして、第1の情報送信部41は、G/O用WFD所属情報に含まれるWFD無線設定と、2番目の優先順位を示す優先順位情報と、が対応付けられている第2の対応情報を生成する。第1の情報送信部41は、第1の対応情報と第2の対応情報とを含むレスポンスデータを生成する。S50では、さらに、第1の情報送信部41は、NFCI/F22を介して、生成済みのレスポンスデータを携帯端末50に送信する。なお、図3では、無線設定、1番目の優先順位、2番目の優先順位のことを、それぞれ、「WS(Wireless Settingの略)」、「(1)」、「(2)」と記載している。
なお、上述したように、S50では、携帯端末50が属している通常Wi−FiNWに対応する通常Wi−Fi無線設定が、1番目の優先順位になる。このために、携帯端末50は、後述の図4のアプリケーション処理において、通常Wi−FiNWを優先的に利用する。この際、携帯端末50が通常Wi−FiNWに既に属しているために、携帯端末50は、接続処理(図4のS210)を実行せずに済む(図4のS208でYES)。従って、携帯端末50の処理負荷を低減させることができる。
S32、S34、又は、S36でNOの場合に実行されるS60では、第1の情報送信部41は、メモリ34内の1個以上のWFD所属情報のうち、G/O用WFD所属情報を特定する。そして、第1の情報送信部41は、G/O用WFD所属情報に含まれるWFD無線設定を含むレスポンスデータを生成する。S50とは異なり、S60では、レスポンスデータは、通常Wi−Fi無線設定及び優先順位情報を含まない。S60では、さらに、第1の情報送信部41は、NFCI/F22を介して、生成済みのレスポンスデータを携帯端末50に送信する。
一方において、S40では、第1の判断部45は、図2のS10で携帯端末50から受信されたリクエストデータが、携帯端末50が属している無線ネットワークのSSIDを含むのか否かを判断する。第1の判断部45は、リクエストデータがSSIDを含む場合には、S40でYESと判断して、S42に進み、リクエストデータがSSIDを含まない場合には、S40でNOと判断して、S48に進む。
S42では、第1の判断部45は、MFP10が通常Wi−FiNWとWFDNW(MFP=CL)との少なくとも一方に属しているのか否かを判断する。具体的に言うと、第1の判断部45は、通常Wi−Fi所属情報と、クライアント状態を示す状態値を含むWFD所属情報(以下では「CL用WFD所属情報」と呼ぶ)と、の少なくとも一方が、メモリ34内に格納されている場合には、S42でYES(即ち、MFP10が通常Wi−FiNWとWFDNW(MFP=CL)との少なくとも一方に属している)と判断して、S44に進む。第1の判断部45は、通常Wi−Fi所属情報とCL用WFD所属情報とのいずれもメモリ34内に格納されていない場合には、S42でNO(即ち、MFP10が通常Wi−FiNWとWFDNW(MFP=CL)とのいずれにも属していない)と判断して、S48に進む。
S44では、第1の判断部45は、メモリ34内に通常Wi−Fi所属情報が格納されている場合には、MFP10及び携帯端末50が同じ通常Wi−FiNWに属しているのか否かを判断するための第1の判断処理を実行する。第1の判断処理は、S36と同様である。第1の判断部45は、第1の判断処理において、MFP10及び携帯端末50が同じ通常Wi−FiNWに属していると判断する場合には、S44でYESと判断して、S46に進む。
S44では、さらに、第1の判断部45は、メモリ34内にCL用WFD所属情報が格納されている場合には、MFP10及び携帯端末50が同じWFDNW(MFP=CL)に属しているのか否かを判断するための第2の判断処理を実行する。具体的に言うと、第1の判断部45は、メモリ34内のCL用WFD所属情報に含まれるSSIDと、リクエストデータに含まれるSSIDと、が一致するのか否かを判断する。第1の判断部45は、2つのSSIDが一致する場合に、MFP10及び携帯端末50が同じWFDNW(MFP=CL)に属していると判断する。第1の判断部45は、第2の判断処理において、MFP10及び携帯端末50が同じWFDNW(MFP=CL)に属していると判断する場合には、S44でYESと判断して、S46に進む。
一方において、第1の判断部45は、第1の判断処理において、MFP10及び携帯端末50が同じ通常Wi−FiNWに属していないと判断し、かつ、第2の判断処理において、MFP10及び携帯端末50が同じWFDNW(MFP=CL)に属していないと判断する場合には、S44でNOと判断して、S48に進む。
S46では、形成部44は、MFP10を自律G/Oモードに移行させる。上述したように、WFDネットワークが新たに形成されるべき際には、通常、G/Oネゴシエーションが実行されて、G/O機器とCL機器とが決定される。これに対し、自律G/Oモードでは、G/Oネゴシエーションが実行されずに、MFP10がG/O機器であることが決定される。S46の段階では、MFP10がG/O機器であるが、CL機器が存在しない。即ち、形成部44は、S46を実行することによって、G/O機器(即ちMFP10)のみが属しているWFDNW(MFP=G/O)を形成する。
自律G/Oモードは、G/O状態で動作することをMFP10に維持させるモードである。例えば、MFP10がG/OネゴシエーションでG/O状態になってWFDネットワークを形成した場合には、当該WFDネットワークからCL機器がいなくなると、MFP10は、G/O状態からデバイス状態に移行する(即ち、WFDネットワークが消滅する)。これに対し、例えば、MFP10が自律G/OモードでG/O状態になってWFDネットワークを形成した場合には、CL機器がいなくても、MFP10は、G/O状態を維持する(即ち、WFDネットワークを維持する)。
なお、S46が開始される際に、MFP10がWFDNW(MFP=CL)に属している可能性がある。この場合、S46では、形成部44は、WFDNW(MFP=CL)からMFP10を離脱させることなく、WFDNW(MFP=G/O)を新たに形成する。即ち、MFP10が2個のWFDNWに同時的に属している状態が形成される。この点は、後述のS48でも同様である。
S46では、形成部44は、さらに、WFDNW(MFP=G/O)で利用されるべきWFD無線設定(即ち、認証方式情報、暗号化方式情報、SSID、BSSID、及び、パスワード)を準備する。WFD無線設定を準備するための手法は、上述のとおりである。S46では、形成部44は、さらに、G/O状態を示す状態値と、準備済みのWFD無線設定と、を含むG/O用WFD所属情報を、メモリ34に格納させる。S46を終えると、S70に進む。
S70では、第2の情報送信部42は、まず、レスポンスデータを生成する。具体的に言うと、第2の情報送信部42は、メモリ34内の1個以上の所属情報(即ち、通常Wi−Fi所属情報、WFD所属情報)の中から、MFP10及び携帯端末50の両方が属している無線ネットワーク(即ちS44でYESと判断された無線ネットワーク)に対応する所属情報(以下では「特定の所属情報」と呼ぶ)を特定する。特定の所属情報は、通常Wi−Fi所属情報又はCL用WFD所属情報である。そして、第2の情報送信部42は、特定の所属情報に含まれる無線設定(即ち、通常Wi−Fi無線設定、又は、WFDNW(MFP=CL)のWFD無線設定)と、1番目の優先順位を示す優先順位情報と、が対応付けられている第1の対応情報を生成する。次いで、第2の情報送信部42は、メモリ34内のG/O用WFD所属情報に含まれるWFD無線設定(即ちS46で準備されたWFD無線設定)と、2番目の優先順位を示す優先順位情報と、が対応付けられている第2の対応情報を生成する。第2の情報送信部42は、第1の対応情報と第2の対応情報とを含むレスポンスデータを生成する。S70では、さらに、第2の情報送信部42は、NFCI/F22を介して、生成済みのレスポンスデータを携帯端末50に送信する。
なお、上述したように、S70では、携帯端末50が属している無線ネットワークに対応する無線設定が、1番目の優先順位になる。このために、携帯端末50は、後述の図4のアプリケーション処理において、当該無線ネットワークを優先的に利用する。この際、携帯端末50が当該無線ネットワークに既に属しているために、携帯端末50は、接続処理(図4のS210)を実行せずに済む(図4のS208でYES)。従って、携帯端末50の処理負荷を低減させることができる。
一方において、S48では、形成部44は、MFP10を自律G/Oモードに移行させる。S48は、S46と同様である。次いで、S48を経て実行されるS60では、第3の情報送信部43は、メモリ34内のG/O用WFD所属情報に含まれるWFD無線設定(即ちS48で準備されたWFD無線設定)を含むレスポンスデータを生成する。S70とは異なり、S60では、レスポンスデータは、通常Wi−Fi無線設定、又は、WFDNW(MFP=CL)に対応するWFD無線設定を含まないし、優先順位情報を含まない。S48を経て実行されるS60では、さらに、第3の情報送信部43は、NFCI/F22を介して、生成済みのレスポンスデータを携帯端末50に送信する。
なお、上述したように、仮に、MFP10が通常Wi−FiNWに属していても、携帯端末50が当該通常Wi−FiNWに属していなければ(S36でNO又はS44でNO)、MFP10は、当該通常Wi−FiNWに対応する通常Wi−Fi無線設定を、携帯端末50に送信しない(S60)。このために、MFP10が属している通常Wi−FiNWのセキュリティが低下するのを抑制することができる。同様に、仮に、MFP10がWFDNW(MFP=CL)に属していても、携帯端末50が当該WFDNW(MFP=CL)に属していなければ(S44でNO)、MFP10は、当該WFDNW(MFP=CL)に対応するWFD無線設定を、携帯端末50に送信しない(S60)。このために、MFP10が属しているWFDNW(MFP=CL)のセキュリティが低下するのを抑制することができる。
これに対し、MFP10が属しているWFDNW(MFP=G/O)では、MFP10が当該WFDNWのセキュリティポリシーを決定しても問題ない。このために、本実施例では、仮に、携帯端末50が当該WFDNW(MFP=G/O)に属していなくても、MFP10は、当該WFDNW(MFP=G/O)に対応するWFD無線設定を携帯端末50に送信する(S50、S60、S70)。これにより、詳しくは後述するが、MFP10及び携帯端末50は、WFDNW(MFP=G/O)を利用して、対象データの通信を適切に実行することができる。
(図2のS14以降の処理)
図3のS50、S60、又は、S70が実行されると、図3のレスポンス送信処理が終了する。この場合、図2のS14に進む。図3のS50、S60、及び、S70のいずれが実行されても、WFDNW(MFP=G/O)に対応するWFD無線設定が、携帯端末50に送信される。詳しくは後述するが、携帯端末50は、当該WFDNW(MFP=G/O)に属していない場合には、WFD無線設定を用いて、当該WFDNW(MFP=G/O)に参加するための接続信号(例えば、Authentication Request信号、Association Request信号)をMFP10に送信する(図4のS210参照)。S14では、制御部30は、携帯端末50から、無線LANI/F20を介して、接続信号を受信することを監視する。制御部30は、携帯端末50から接続信号を受信する場合には、S14でYESと判断して、S16に進む。なお、S14でNOの場合には、S18に進む。
S16では、制御部30は、無線LANI/F20を介して、上記の接続信号に対する応答信号である接続応答信号(例えば、Authentication Response信号、Association Response信号)を携帯端末50に送信する。この結果、携帯端末50は、WFDNW(MFP=G/O)に参加することができる。即ち、MFP10及び携帯端末50が同じWFDNW(MFP=G/O)に属することになる。S16を終えると、S18に進む。
また、詳しくは後述するが、携帯端末50は、MFP10及び携帯端末50の両方が属している無線ネットワークを利用して、MFP10に確認信号(例えばPING信号)を送信する(図4のS212参照)。S18では、通信実行部47は、携帯端末50から、無線LANI/F20を介して、確認信号を受信することを監視する。通信実行部47は、携帯端末50から確認信号を受信する場合には、S18でYESと判断して、S20に進む。なお、S18でNOの場合には、S14に戻る。
S20では、制御部30は、無線LANI/F20を介して、上記の確認信号に対する応答信号である確認応答信号(例えばPING Response信号)を携帯端末50に送信する。
S20を終えると、S22に進む。
なお、MFP10及び携帯端末50の両方が属している無線ネットワーク(以下では「両方所属NW」と呼ぶ)を利用して、携帯端末50からMFP10に確認信号が送信されても、MFP10が当該確認信号を受信することができない可能性がある。例えば、両方所属NWが通常Wi−FiNWである状況では、当該通常Wi−FiNWを形成しているAPのPS設定がONである場合には、当該APは、携帯端末50から確認信号を受信しても、確認信号をMFP10に送信しない。また、例えば、両方所属NWが、MFP10及び携帯端末50の両方がCL機器として動作するWFDNW(即ち、WFDNW(MFP=CL、携帯端末=CL))である状況では、当該WFDNW(MFP=CL、携帯端末=CL)を形成しているG/O機器のPS設定がONである場合には、当該G/O機器は、携帯端末50から確認信号を受信しても、確認信号をMFP10に送信しない。このように、両方所属NWが利用されても、確認信号及び確認応答信号の通信を実行不可能である可能性がある。このような両方所属NWが利用されると、対象データ(即ち印刷データ又はスキャンデータ)の通信も実行不可能である。
これに対し、両方所属NWがWFDNW(MFP=G/O)である場合には、MFP10及び携帯端末50は、中継装置(即ちAPやG/O機器)を介して通信を実行するのではなく、直接的に通信を実行する。従って、中継装置のPS設定がONであることに起因して、データ通信が成功しないという事象が発生しない。また、両方所属NWが通常Wi−FiNW又はWFDNW(MFP=CL、携帯端末=CL)である状況でも、中継装置のPS設定がOFFである場合には、確認信号及び確認応答信号の通信を実行可能である。このような両方所属NWが利用されると、対象データ(即ち印刷データ又はスキャンデータ)の通信を実行可能である。
このような実情に鑑みて、S22では、通信実行部47は、確認信号及び確認応答信号の通信が成功した無線ネットワーク(以下では「特定の無線ネットワーク」と呼ぶ)を利用して、無線LANI/F20を介して、対象データの通信を実行する。これにより、MFP10及び携帯端末50は、対象データの通信を適切に実行することができる。例えば、図3のS50を経て実行されるS22では、通常Wi−FiNW又はWFDNW(MFP=G/O)が、上記の特定の無線ネットワークである。また、例えば、図3のS60を経て実行されるS22では、WFDNW(MFP=G/O)が、上記の特定の無線ネットワークである。また、例えば、図3のS70を経て実行されるS22では、通常Wi−FiNW、WFDNW(MFP=CL)、又は、WFDNW(MFP=G/O)が、上記の特定の無線ネットワークである。
例えば、S10で受信されたリクエストデータが印刷指示を含む場合には、S22では、通信実行部47は、上記の特定の無線ネットワークを利用して、無線LANI/F20を介して、携帯端末50から印刷データを受信する。次いで、制御部30は、印刷データ(即ち対象データ)を印刷実行部16に供給する。これにより、印刷実行部16は、印刷データによって表わされる画像を、印刷媒体に印刷する。また、S10で受信されたリクエストデータがスキャン指示を含む場合には、S22では、制御部30は、スキャン実行部18を起動させる。これにより、スキャン実行部18は、原稿をスキャンして、スキャンデータを生成する。次いで、通信実行部47は、上記の特定の無線ネットワークを利用して、無線LANI/F20を介して、スキャンデータ(即ち対象データ)を携帯端末50に送信する。S22が終了すると、S10に戻る。
印刷データ又はスキャンデータは、通常、NFC通信によって通信される各データ(例えば、リクエストデータ、レスポンスデータ)と比べて、大きいデータサイズを有する。上述したように、NFC通信の通信速度は、WFD通信又は通常Wi−Fi通信の通信速度よりも遅い。従って、仮に、MFP10及び携帯端末50の間で、NFC通信を利用して、対象データの無線通信が実行される構成を採用すると、対象データの無線通信のために長時間を要する。このような実情に鑑みて、本実施例では、MFP10は、WFD通信又は通常Wi−Fi通信によって対象データの無線通信を実行するためのレスポンスデータを携帯端末50に送信する。これにより、MFP10及び携帯端末50は、対象データのWFD通信又は通常Wi−Fi通信を実行することができ、この結果、対象データの無線通信を迅速に実行することができる。
(携帯端末50のアプリケーション処理;図4)
続いて、図4を参照して、携帯端末50の制御部70がアプリケーション76に従って実行する処理の内容を説明する。携帯端末50のユーザは、MFP10に印刷機能又はスキャン機能を実行させることを望む場合に、操作部52を操作して、アプリケーション76を起動させる。これにより、制御部70は、アプリケーション76に従って、図4のフローチャートを開始する。
ユーザは、操作部52を操作して、MFP10に実行させる機能(印刷機能又はスキャン機能)を選択する。なお、ユーザは、印刷機能を選択する場合に、さらに、操作部52を操作して、携帯端末50のメモリ74に格納されている印刷対象のデータ(即ち印刷データ)を選択する。制御部70は、ユーザによって印刷機能又はスキャン機能が選択される場合に、S200でYESと判断して、S202に進む。
S202では、特定データ送信部80は、まず、選択済みの機能に対応する指示(印刷指示又はスキャン指示)を含むリクエストデータを生成する。また、特定データ送信部80は、メモリ74内に通常Wi−Fi所属情報又はWFD所属情報が格納されている場合には、当該所属情報に含まれるSSIDを特定する。そして、特定データ送信部80は、特定済みのSSIDを含むリクエストデータを生成する。S202では、さらに、特定データ送信部80は、MFP10と携帯端末50との間にNFC通信セッションが確立されることを監視する。特定データ送信部80は、NFC通信セッションが確立される場合に、NFCI/F62を介して、生成済みのリクエストデータをMFP10に送信する。これにより、MFP10は、リクエストデータを受信する(図2のS10参照)。
上述したように、図3のS50、S60、又は、S70において、MFP10は、レスポンスデータを携帯端末50に送信する。この結果、S204において、情報受信部81は、MFP10から、NFCI/F62を介して、レスポンスデータを受信する。
次いで、S206において、通信実行部82は、S204で受信されたレスポンスデータに含まれる1個以上の無線設定のうち、最高の優先順位を有する無線設定を特定する。例えば、レスポンスデータが、WFDNW(MFP=G/O)に対応するWFD無線設定を含み、他の無線設定を含まない場合(図3のS60参照)には、通信実行部82は、当該WFD無線設定を特定する。また、例えば、レスポンスデータが2個の無線設定を含む場合(図3のS50、S70参照)には、1回目のS206では、通信実行部82は、1番目の優先順位を示す優先順位情報に対応付けられている無線設定を特定する。なお、この無線設定は、メモリ74内の所属情報に含まれる無線設定、即ち、携帯端末50が属している無線ネットワークに対応する無線設定に一致する。図3のS50又はS70では、MFP10及び携帯端末50の両方が属している無線ネットワークに対応する無線設定が、1番目の優先順位を示す優先順位情報に対応付けられるからである。
次いで、S208において、通信実行部82は、携帯端末50が、S206で特定された無線設定に対応する無線ネットワーク(以下では「対象の無線ネットワーク」と呼ぶ)に属しているのか否かを判断する。具体的に言うと、通信実行部82は、S206で特定された無線設定と、メモリ74内の所属情報に含まれる無線設定と、が一致する場合には、S208でYESと判断し、S210をスキップしてS212に進む。一方において、通信実行部82は、S206で特定された無線設定と、メモリ74内の所属情報に含まれる無線設定と、が一致しない場合には、S208でNOと判断して、S210に進む。
S210では、通信実行部82は、S206で特定された無線設定を利用して、接続処理を実行する。具体的に言うと、通信実行部82は、対象の無線ネットワークを形成している対象の中継装置(例えば、AP4a,4b、又は、G/O機器として動作するMFP10等)に接続するための接続信号を生成する。次いで、通信実行部82は、接続信号を、無線LANI/F60を介して、対象の中継装置に送信し、この結果、対象の中継装置から、無線LANI/F60を介して、接続応答信号を受信する。接続信号及び接続応答信号の通信は、複数回に亘って実行される。例えば、接続信号としてAuthentication Request信号が送信され、接続応答信号としてAuthentication Response信号が受信される。
また、例えば、接続信号としてAssociation Request信号が送信され、接続応答信号としてAssociation Response信号が受信される。なお、対象の中継装置が、G/O機器として動作するMFP10である場合には、MFP10は、図2のS14において、携帯端末50から接続信号を受信し、S16において、接続応答信号を携帯端末50に送信する。
接続信号及び接続応答信号の通信の過程において、通信実行部82は、S206で特定された無線設定に含まれる認証方式情報、暗号化方式情報、パスワード、SSID、及び、BSSIDを送信する。これにより、対象の中継装置は、携帯端末50の認証を実行する。認証が成功すれば、携帯端末50と対象の中継装置との間の接続が成功し、この結果、携帯端末50は、対象の無線ネットワークに新たに参加する。なお、S210が実行される段階において、携帯端末50が既存の無線ネットワークに属している可能性がある。
この場合、携帯端末50は、既存の無線ネットワークから離脱して、対象の無線ネットワークに新たに参加する。
次いで、S212において、通信実行部82は、携帯端末50が属している無線ネットワークを利用して、無線LANI/F60を介して、確認信号(例えばPING信号)をMFP10に送信する。例えば、S208でYESの場合には、S212で利用される無線ネットワークは、図4のアプリケーション処理が開始される段階において、携帯端末50が属している既存の無線ネットワークである。また、例えば、S208でNOの場合には、S212で利用される無線ネットワークは、S210の接続処理において、携帯端末50が新たに参加した対象の無線ネットワークである。
S214では、通信実行部82は、MFP10から、無線LANI/F60を介して、確認応答信号(例えばPING Response信号)を受信することを監視する。上述したように、確認信号の通信に利用される無線ネットワークを形成している中継装置のPS設定がONである場合には、通信実行部82は、確認応答信号を受信しない。この場合、通信実行部82は、S214でNOと判断して、S216に進む。一方において、通信実行部82は、確認応答信号を受信する場合には、S214でYESと判断して、S218に進む。
S216では、通信実行部82は、S204で受信されたレスポンスデータに含まれる1個以上の無線設定のうち、S206で未だに特定されていない無線設定が存在するのか否かを判断する。S206で未だに特定されていない無線設定が存在しない場合には、通信実行部82は、S216でNOと判断して、S220に進む。一方において、S206で未だに特定されていない無線設定が存在する場合には、通信実行部82は、S216でYESと判断して、2回目のS206を実行する。
2回目のS206では、通信実行部82は、1回目のS206で未だに特定されていない無線設定のうち、最高の優先順位を有する無線設定を特定する。本実施例では、レスポンスデータに含まれる無線設定の数として「2」が最大であるために、2回目のS206では、通信実行部82は、2番目の優先順位を示す優先順位情報に対応付けられている無線設定を特定する。なお、この無線設定は、WFDNW(MFP=G/O)に対応するWFD無線設定である。図3のS50又はS70では、WFDNW(MFP=G/O)に対応するWFD無線設定が、2番目の優先順位を示す優先順位情報に対応付けられるからである。従って、その後にS208〜S214が実行されると、S214において、通信実行部82は、通常、MFP10から確認応答信号を受信する。WFDNW(MFP=G/O)では、中継装置を介さずに直接的に通信が実行されるために、中継装置のPS設定がONであることに起因して、データ通信が成功しないという事象が発生しないからである。
S218では、通信実行部82は、確認信号及び応答信号の通信が成功した無線ネットワーク(以下では「特定の無線ネットワーク」と呼ぶ)を利用して、無線LANI/F60を介して、対象データの通信を実行する。例えば、S200で印刷機能が選択された場合には、S218では、通信実行部82は、上記の特定の無線ネットワークを利用して、無線LANI/F60を介して、MFP10に印刷データを送信する。また、S200でスキャン機能が選択された場合には、S218では、通信実行部82は、上記の特定の無線ネットワークを利用して、無線LANI/F60を介して、MFP10からスキャンデータを受信する。この場合、制御部70は、スキャンデータをメモリ74に格納させる。S218が終了すると、図4のアプリケーション処理が終了する。
なお、S220では、制御部70は、MFP10と対象データの通信を実行不可能であることを示す情報を、表示部54に表示させる。S220が終了すると、図4のアプリケーション処理が終了する。なお、S210において、携帯端末50が、既存の無線ネットワークから離脱して、新たな無線ネットワークに参加した場合には、制御部70は、図4のアプリケーション処理が終了すると、さらに、以下の処理を実行する。即ち、制御部70は、S210で参加した無線ネットワークから携帯端末50を離脱させ、上記の既存の無線ネットワークに携帯端末50を再び参加させる。
(具体的なケース)
次いで、図5〜図8を参照して、本実施例のMFP10及び携帯端末50によって実現される具体的なケースを説明する。図5〜図8において、MFP10及び携帯端末50の間の細線の矢印は、NFC通信を示し、MFP10及び携帯端末50の間の太線の矢印は、WFD通信又は通常Wi−Fi通信を示す。AP4aのPS設定はONである。
(図5;ケースA)
ケースAでは、MFP10がG/O機器であると共にPC6がCL機器であるWFDNW(MFP=G/O)が形成されている。WFDNW(MFP=G/O)では、SSID「01」を含むWFD無線設定WS1が利用されている。また、MFP10及び携帯端末50は、AP4aが形成している通常Wi−FiNWに属している。通常Wi−FiNWでは、SSID「04」を含む通常Wi−Fi無線設定WS4が利用されている。
携帯端末50は、ユーザによって印刷機能が選択されると(図4のS200でYES)、NFC通信を利用して、印刷指示とSSID「04」とを含むリクエストデータをMFP10に送信する(S202)。
MFP10は、携帯端末50からリクエストデータを受信すると(図2のS10でYES)、図3のS30でYESと判断し、S32でYESと判断し、S34でYESと判断し、S36でYESと判断する。この結果、MFP10は、1番目の優先順位を示す優先順位情報に対応付けられている通常Wi−Fi無線設定WS4と、2番目の優先順位を示す優先順位情報に対応付けられているWFD無線設定WS1と、を含むレスポンスデータを、NFC通信を利用して、携帯端末50に送信する(S50)。
携帯端末50は、MFP10からレスポンスデータを受信すると(図4のS204)、1番目の優先順位を示す優先順位情報に対応付けられている通常Wi−Fi無線設定WS4を特定する(S206)。次いで、携帯端末50は、S208でYESと判断し、通常Wi−FiNWを利用して、確認信号をMFP10に送信する(S212)。ただし、AP4aのPS設定がONであるために、AP4aは、携帯端末50から確認信号を受信しても、確認信号をMFP10に送信しない。この結果、携帯端末50は、確認応答信号を受信せず、S214でNOと判断する。
次いで、携帯端末50は、2番目の優先順位を示す優先順位情報に対応付けられているWFD無線設定WS1を特定する(S206)。この場合、携帯端末50は、S208でNOと判断し、WFD無線設定WS1を利用して、G/O機器であるMFP10に接続し、WFDNW(MFP=G/O)に新たに参加する(S210)。次いで、携帯端末50は、WFDNW(MFP=G/O)を利用して、確認信号をMFP10に送信する(S212)。
WFDNW(MFP=G/O)では、確認信号は、中継装置を介さずに、MFP10に送信される。従って、MFP10は、WFDNW(MFP=G/O)を利用して、携帯端末50から確認信号を受信する(図2のS18でYES)。この場合、MFP10は、WFDNW(MFP=G/O)を利用して、確認応答信号を携帯端末50に送信する(S20)。
携帯端末50は、MFP10から確認信号を受信すると(図4のS214でYES)、WFDNW(MFP=G/O)を利用して、印刷データをMFP10に送信する(S218)。この結果、MFP10は、WFDNW(MFP=G/O)を利用して、印刷データを受信する(図2のS22)。これにより、印刷データによって表される画像が、印刷媒体に印刷される。
(図6;ケースB)
ケースBでは、MFP10及びPC6が属しているWFDNW(MFP=G/O)は、ケースAのWFDNW(MFP=G/O)と同様である。また、MFP10は、AP4aが形成している通常Wi−FiNWに属している。当該通常Wi−FiNWでは、SSID「04」を含む通常Wi−Fi無線設定WS4が利用されている。また、携帯端末50は、AP4bが形成している通常Wi−FiNWに属している。当該通常Wi−FiNWでは、SSID「05」を含む通常Wi−Fi無線設定WS5が利用されている。
携帯端末50は、ユーザによって印刷機能が選択されると(図4のS200でYES)、NFC通信を利用して、印刷指示とSSID「05」とを含むリクエストデータをMFP10に送信する(図4のS202)。
MFP10は、携帯端末50からリクエストデータを受信すると(図2のS10でYES)、図3のS30でYESと判断し、S32でYESと判断し、S34でYESと判断し、S36でNOと判断する。この結果、MFP10は、WFD無線設定WS1を含み、通常Wi−Fi無線設定WS4を含まないレスポンスデータを、NFC通信を利用して、携帯端末50に送信する(図3のS60)。
携帯端末50は、MFP10からレスポンスデータを受信すると(図4のS204)、WFD無線設定WS1を特定する(S206)。次いで、携帯端末50は、S208でNOと判断し、WFD無線設定WS1を利用して、G/O機器であるMFP10に接続し、WFDNW(MFP=G/O)に新たに参加する(S210)。この後のMFP10及び携帯端末50の動作は、ケースAと同様である。
(図7;ケースC)
ケースCでは、ケースAと同様に、MFP10及び携帯端末50は、AP4aが形成している通常Wi−FiNWに属している。当該通常Wi−FiNWでは、SSID「02」を含む通常Wi−Fi無線設定WS2が利用されている。MFP10及び携帯端末50は、WFDNWに属していない。
携帯端末50は、ユーザによって印刷機能が選択されると(図4のS200でYES)、NFC通信を利用して、印刷指示とSSID「02」とを含むリクエストデータをMFP10に送信する(図4のS202)。
MFP10は、携帯端末50からリクエストデータを受信すると(図2のS10でYES)、図3のS30でNOと判断し、S40でYESと判断し、S42でYESと判断し、S44でYESと判断する。この結果、MFP10は、自律G/Oモードに移行して、WFDNW(MFP=G/O)を形成する(S46)。WFDNW(MFP=G/O)では、WFD無線設定WS3が利用される。次いで、MFP10は、1番目の優先順位を示す優先順位情報に対応付けられている通常Wi−Fi無線設定WS2と、2番目の優先順位を示す優先順位情報に対応付けられているWFD無線設定WS3と、を含むレスポンスデータを、NFC通信を利用して、携帯端末50に送信する(S70)。
携帯端末50は、MFP10からレスポンスデータを受信すると(図4のS204)、1番目の優先順位を示す優先順位情報に対応付けられている通常Wi−Fi無線設定WS2を特定する(S206)。次いで、携帯端末50は、S208でYESと判断し、通常Wi−FiNWを利用して、確認信号をMFP10に送信する(S212)。ただし、AP4aのPS設定がONであるために、AP4aは、携帯端末50から確認信号を受信しても、確認信号をMFP10に送信しない。この結果、携帯端末50は、確認応答信号を受信せず、S214でNOと判断する。
次いで、携帯端末50は、2番目の優先順位を示す優先順位情報に対応付けられているWFD無線設定WS3を特定する(S206)。この場合、携帯端末50は、S208でNOと判断し、WFD無線設定WS3を利用して、G/O機器であるMFP10に接続し、WFDNW(MFP=G/O)に新たに参加する(S210)。この後のMFP10及び携帯端末50の動作は、ケースAと同様である。
(図8;ケースD)
ケースDでは、MFP10は、AP4aが形成している通常Wi−FiNWに属している。当該通常Wi−FiNWでは、SSID「02」を含む通常Wi−Fi無線設定WS2が利用されている。また、携帯端末50は、AP4bが形成している通常Wi−FiNWに属している。当該通常Wi−FiNWでは、SSID「06」を含む通常Wi−Fi無線設定WS6が利用されている。
携帯端末50は、ユーザによって印刷機能が選択されると(図4のS200でYES)、NFC通信を利用して、印刷指示とSSID「06」とを含むリクエストデータをMFP10に送信する(図4のS202)。
MFP10は、携帯端末50からリクエストデータを受信すると(図2のS10でYES)、図3のS30でNOと判断し、S40でYESと判断し、S42でYESと判断し、S44でNOと判断する。この結果、MFP10は、自律G/Oモードに移行して、WFDNW(MFP=G/O)を形成する(S48)。WFDNW(MFP=G/O)では、WFD無線設定WS3が利用される。次いで、MFP10は、WFD無線設定WS3を含み、通常Wi−Fi無線設定WS2を含まないレスポンスデータを、NFC通信を利用して、携帯端末50に送信する(S60)。
携帯端末50は、MFP10からレスポンスデータを受信すると(図4のS204)、WFD無線設定WS3を特定する(S206)。次いで、携帯端末50は、S208でNOと判断し、WFD無線設定WS3を利用して、G/O機器であるMFP10に接続し、WFDNW(MFP=G/O)に新たに参加する(S210)。この後のMFP10及び携帯端末50の動作は、ケースAと同様である。
(第1実施例の効果)
図5及び図6のケースA及びBに示されるように、MFP10は、WFDNW(MFP=G/O)に属している場合には、WFDNW(MFP=G/O)に対応するWFD無線設定WS1を携帯端末50に送信する。このために、MFP10及び携帯端末50は、WFDNW(MFP=G/O)を利用して、対象データの通信を適切に実行することができる。
なお、MFP10が、WFDNW(MFP=G/O)のみならず、通常Wi−FiNWにも属している場合には、ケースAとケースBとに分類される。即ち、図5のケースAでは、MFP10及び携帯端末50が同じ通常Wi−FiNWに属しているために、MFP10は、通常Wi−FiNWに対応する通常Wi−Fi無線設定WS4と、WFDNW(MFP=G/O)に対応するWFD無線設定WS1と、を携帯端末50に送信する。この結果、MFP10及び携帯端末50は、通常Wi−FiNW又はWFDNW(MFP=G/O)を利用して、対象データの通信を適切に実行することができる。特に、ケースAでは、AP4aのPS設定がONであるために、MFP10及び携帯端末50が、通常Wi−FiNWを利用して、対象データの通信を実行することができない。ただし、MFP10及び携帯端末50は、WFDNW(MFP=G/O)を利用して、対象データの通信を適切に実行することができる。
また、図6のケースBでは、MFP10及び携帯端末50が同じ通常Wi−FiNWに属していないために、MFP10は、通常Wi−FiNWに対応する通常Wi−Fi無線設定WS4を携帯端末50に送信せず、WFDNW(MFP=G/O)に対応するWFD無線設定WS1を携帯端末50に送信する。この結果、MFP10が属している通常Wi−FiNWのセキュリティが低下するのを抑制することができる。しかも、MFP10及び携帯端末50は、WFDNW(MFP=G/O)を利用して、対象データの通信を適切に実行することができる。
また、図7のケースCに示されるように、MFP10は、WFDNW(MFP=G/O)に属していないが、通常Wi−FiNWに属している場合には、WFDNW(MFP=G/O)を新たに形成する。MFP10及び携帯端末50が同じ通常Wi−FiNWに属しているために、MFP10は、通常Wi−FiNWに対応する通常Wi−Fi無線設定WS2と、WFDNW(MFP=G/O)に対応するWFD無線設定WS3と、を携帯端末50に送信する。この結果、MFP10及び携帯端末50は、通常Wi−FiNW又はWFDNW(MFP=G/O)を利用して、対象データの通信を適切に実行することができる。特に、ケースCでは、AP4aのPS設定がONであるために、MFP10及び携帯端末50が、通常Wi−FiNWを利用して、対象データの通信を実行することができない。ただし、MFP10及び携帯端末50は、WFDNW(MFP=G/O)を利用して、対象データの通信を適切に実行することができる。
また、図8のケースDに示されるように、MFP10及び携帯端末50が同じ通常Wi−FiNWに属していないために、MFP10は、通常Wi−FiNWに対応する通常Wi−Fi無線設定WS2を携帯端末50に送信せず、WFDNW(MFP=G/O)に対応するWFD無線設定WS3を携帯端末50に送信する。このために、MFP10が属している通常Wi−FiNWのセキュリティが低下するのを抑制することができる。しかも、MFP10及び携帯端末50は、WFDNW(MFP=G/O)を利用して、対象データの通信を適切に実行することができる。
(対応関係)
MFP10が、「通信装置」の一例である。MFP10のNFCI/F22、無線LANI/F20が、それぞれ、「通信装置の第1種のインターフェース」、「通信装置の2種のインターフェース」の一例である。また、携帯端末50のNFCI/F62、無線LANI/F60が、それぞれ、「携帯端末の第1種のインターフェース」、「携帯端末の第2種のインターフェース」の一例である。図2のS10及び図4のS202で通信されるリクエストデータ、当該リクエストデータに含まれるSSIDが、それぞれ、「特定データ」、「識別情報」の一例である。図2のS12及び図4のS204で通信されるレスポンスデータに含まれる無線設定が、「特定情報」の一例である。図3のS50及びS70で送信される優先順位情報が、「指示情報」の一例である。また、G/O状態が、「親局」の一例であり、クライアント状態、又は、通常Wi−FiNWに参加している状態が、「子局」の一例である。
図5のケースAにおいて、WFDNW(MFP=G/O)、WFD無線設定WS1、通常Wi−FiNW、通常Wi−Fi無線設定WS4が、それぞれ、「第1の無線ネットワーク」、「第1の情報」、「第4の無線ネットワーク」、「第4の情報」の一例である。図7及び図8のケースC及びDにおいて、通常Wi−FiNW、通常Wi−Fi無線設定WS2、MFP10によって形成されるWFDNW(MFP=G/O)、WFD無線設定WS3が、それぞれ、「第2の無線ネットワーク」、「第2の情報」、「第3の無線ネットワーク」、「第3の情報」の一例である。図2のS22及び図4のS218で利用される無線ネットワークが、「特定の無線ネットワーク」の一例である。図3のS30でYESの場合、S42でYESの場合が、それぞれ、「第1の場合」、「第2の場合」の一例である。また、図3のS50、又は、S36を経て実行されるS60が、「第1の情報送信部」が実行する処理の一例である。S70が、「第2の情報送信部」が実行する処理の一例である。S48を経て実行されるS60が、「第3の情報送信部」が実行する処理の一例である。
図5及び図6のケースA及びBにおいて、通常Wi−FiNW、通常Wi−Fi無線設定WS4、WFDNW(MFP=G/O)、WFD無線設定WS1が、それぞれ、「第5の無線ネットワーク」、「第5の情報」、「第6の無線ネットワーク」、「第6の情報」の一例である。図7及び図8のケースC及びDにおいて、通常Wi−FiNW、通常Wi−Fi無線設定WS2、MFP10によって形成されるWFDNW(MFP=G/O)、WFD無線設定WS3が、それぞれ、「第5の無線ネットワーク」、「第5の情報」、「第6の無線ネットワーク」、「第6の情報」の一例である。図3のS36でYESの場合、又は、S44でYESの場合が、「第3の場合」の一例であり、S36でNOの場合、又は、S44でNOの場合が、「第4の場合」の一例である。
(第2実施例)
本実施例では、図2のS12のレスポンス送信処理(図3)の内容が、第1実施例とは異なる。上述したように、第1実施例では、MFP10及び携帯端末50が同じ通常Wi−FiNWに属していなければ(図3のS36でNO又はS44でNO)、MFP10は、通常Wi−Fi無線設定を携帯端末50に送信しない(S60)。また、MFP10及び携帯端末50が同じWFDNW(MFP=CL)に属していなければ(S44でNO)、MFP10は、当該WFDNW(MFP=CL)に対応するWFD無線設定を携帯端末50に送信しない(S60)。これに対し、本実施例では、MFP10は、MFP10及び携帯端末50が同じ無線ネットワークに属しているのか否かに関わらず、携帯端末50と対象データの通信を実行し得る全ての無線ネットワークに対応する全ての無線設定を、携帯端末50に送信する。
図9のS130、S132は、図3のS30、S34と同様である。S132でYESの場合には、MFP10は、通常Wi−FiNWと、WFDNW(MFP=G/O)と、に属している。この場合、S150において、第1の情報送信部41は、図3のS50と同様の処理を実行する。S132でNOの場合には、MFP10は、WFDNW(MFP=G/O)に属している。この場合、S160において、第1の情報送信部41は、図3のS60と同様の処理を実行する。
S134は、S132と同様である。制御部30は、S134でYESの場合に、S136において、MFP10がWFDNW(MFP=CL)に属しているのか否かを判断する。S136の判断手法は、図3のS42で利用される判断手法と同様である。形成部44は、S136でYESの場合に、S138を実行し、S136でNOの場合に、S140を実行する。S138及びS140は、図3のS46(又はS48)と同様である。
S138が実行される場合には、MFP10は、通常Wi−FiNWと、WFDNW(MFP=CL)と、WFDNW(MFP=G/O)と、に属している。S138を経て実行されるS170では、第2の情報送信部42は、通常Wi−FiNWに対応する通常Wi−Fi無線設定と、1番目の優先順位を示す優先順位情報と、が対応付けられている第1の対応情報を生成する。第2の情報送信部42は、さらに、WFDNW(MFP=CL)に対応するWFD無線設定と、2番目の優先順位を示す優先順位情報と、が対応付けられている第2の対応情報を生成する。第2の情報送信部42は、さらに、WFDNW(MFP=G/O)に対応するWFD無線設定と、3番目の優先順位を示す優先順位情報と、が対応付けられている第3の対応情報を生成する。そして、第2の情報送信部42は、第1の対応情報と第2の対応情報と第3の対応情報とを含むレスポンスデータを生成する。S170では、さらに、第2の情報送信部42は、NFCI/F22を介して、生成済みのレスポンスデータを携帯端末50に送信する。
S170の段階では、携帯端末50がWFDNW(MFP=G/O)に属していることはあり得ない。WFDNW(MFP=G/O)は、S138でMFP10によって形成された新たなWEDNWであるからである。ただし、S170の段階において、携帯端末50が通常Wi−FiNW又はWFDNW(MFP=CL)に属している可能性がある。従って、本実施例では、S170において、通常Wi−FiNW及びWFDNW(MFP=CL)の優先順位が、WFDNW(MFP=G/O)の優先順位よりも高くなるように、レスポンスデータが生成される。これにより、携帯端末50が図4のS210の接続処理を実行せずに済む可能性を高めることができ、この結果、携帯端末50の処理負荷を低減させ得る。なお、変形例では、S170において、第2の情報送信部42は、WFDNW(MFP=CL)の優先順位が1番目の優先順位であり、通常Wi−FiNWの優先順位が2番目の優先順位になるように、レスポンスデータを生成してもよい。
S140が実行される場合には、MFP10は、通常Wi−FiNWと、WFDNW(MFP=G/O)と、に属している。S140を経て実行されるS180は、通常Wi−FiNWが1番目の優先順位として採用される図3のS70と同様である。
S142は、S136と同様である。形成部44は、S142でYESの場合に、S144を実行し、S142でNOの場合に、S146を実行する。S144及びS146は、図3のS46(又はS48)と同様である。
S144が実行される場合には、MFP10は、WFDNW(MFP=CL)と、WFDNW(MFP=G/O)と、に属している。S144を経て実行されるS190は、WFDNW(MFP=CL)が1番目の優先順位として採用される図3のS70と同様である。
S146が実行される場合には、MFP10は、WFDNW(MFP=G/O)に属している。S146を経て実行されるS160は、図3のS60と同様である。
(第2実施例の効果)
本実施例では、MFP10は、WFDNW(MFP=G/O)に属している場合(S130でYES)に、WFDNW(MFP=G/O)に対応するWFD無線設定を携帯端末50に送信する(S150、S160)。このために、MFP10及び携帯端末50は、WFDNW(MFP=G/O)を利用して、対象データの通信を適切に実行することができる。また、MFP10は、WFDNW(MFP=G/O)に属していないが、他の無線ネットワーク(通常Wi−FiNW、又は、WFDNW(MFP=CL))に属している場合(S134でYES、又は、S142でYES)に、WFDNW(MFP=G/O)を新たに形成し、上記の他の無線ネットワークに対応する無線設定(通常Wi−Fi無線設定、又は、WFDNW(MFP=CL)に対応するWFD無線設定)と、WFDNW(MFP=G/O)に対応するWFD無線設定と、を携帯端末50に送信する(S170、S180、S190)。このために、MFP10及び携帯端末50は、上記の他の無線ネットワーク、又は、WFDNW(MFP=G/O)を利用して、対象データの通信を適切に実行することができる。仮に、MFP10及び携帯端末50が、上記の他の無線ネットワークを利用して、対象データの通信を実行不可能であっても、MFP10及び携帯端末50は、MFP10によって形成されたWFDNW(MFP=G/O)を利用して、対象データの通信を適切に実行することができる。
(対応関係)
S130でYESの場合が、「第1の場合」の一例である。即ち、WFDNW(MFP=G/O)が、「第1の無線ネットワーク」の一例である。S134でYESの場合、又は、S142でYESの場合が、「第2の場合」の一例である。即ち、通常Wi−FiNW、又は、WFDNW(MFP=CL)が、「第2の無線ネットワーク」の一例である。また、S138、S140、又は、S146で形成されるWFDNW(MFP=G/O)が、「第3の無線ネットワーク」の一例である。また、S150又はS160が、「第1の情報送信部」が実行する処理の一例である。S170、S180、又は、S190が、「第2の情報送信部」が実行する処理の一例である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
(変形例1)図5のケースAでは、MFP10の第1の情報送信部41は、WFD無線設定WS1のうちの全ての情報(即ち、認証方式情報、暗号化方式情報、SSID、BSSID、及び、パスワード)を含むレスポンスデータを、携帯端末50に送信する(図3のS50)。これに代えて、第1の情報送信部41は、WFD無線設定WS1のうちの一部の情報(例えば、SSID、及び、パスワード)を含むレスポンスデータを、携帯端末50に送信してもよい。この場合、携帯端末50の通信実行部82は、携帯端末50をWFDNW(MFP=G/O)に新たに参加させるべき際に、SSIDサーチを実行して(即ちPReq信号を送信して)、G/O機器として動作するMFP10からPRes信号を受信してもよい。当該PRes信号は、WFDNW(MFP=G/O)で利用されている各情報(即ち、認証方式情報、暗号化方式情報、SSID、及び、BSSID)を含む。これにより、通信実行部82は、レスポンスデータに含まれる一部の情報以外の各情報(即ち、認証方式情報、暗号化方式情報、及び、BSSID)を取得することができ、WFDNWに新たに参加することができる。即ち、「第1の情報」は、上記の実施例のように、WFD無線設定WS1のうちの全ての情報であってもよいし、本変形例のように、WFD無線設定WS1のうちの一部の情報であってもよい。同様に、「第6の情報」も、WFD無線設定WS1のうちの全ての情報であってもよいし、WFD無線設定WS1のうちの一部の情報であってもよい。
(変形例2)変形例1と同様に、「第2の情報」は、通常Wi−Fi無線設定WS2のうちの全ての情報であってもよいし(図7のケースC参照)、通常Wi−Fi無線設定WS2のうちの一部の情報であってもよい。また、図7のケースCでは、MFP10及び携帯端末50が同じ通常Wi−FiNWに属しているために、携帯端末50のメモリ74には、通常Wi−Fi無線設定が既に格納されている。従って、第2の情報送信部42は、通常Wi−Fi無線設定WS2を送信する代わりに、携帯端末50が属している無線ネットワークを継続して利用することを示す継続利用情報を、携帯端末50に送信してもよい。本変形例では、継続利用情報が、「第2の情報」の一例である。同様に、「第5の情報」も、通常Wi−Fi無線設定WS2のうちの全ての情報であってもよいし、通常Wi−Fi無線設定WS2のうちの一部の情報であってもよいし、継続利用情報であってもよい。
(変形例3)変形例1と同様に、「第3の情報」は、WFD無線設定WS3のうちの全ての情報であってもよいし(図7及び図8のケースC及びD参照)、WFD無線設定WS3のうちの一部の情報であってもよい。同様に、「第6の情報」も、WFD無線設定WS3のうちの全ての情報であってもよいし、WFD無線設定WS3のうちの一部の情報であってもよい。
(変形例4)変形例1と同様に、「第4の情報」は、通常Wi−Fi無線設定WS4のうちの全ての情報であってもよいし(図5のケースA参照)、通常Wi−Fi無線設定WS4のうちの一部の情報であってもよい。また、変形例2と同様に、第1の情報送信部41は、通常Wi−Fi無線設定WS4を送信する代わりに、継続利用情報を携帯端末50に送信してもよい。本変形例では、継続利用情報が、「第4の情報」の一例である。同様に、「第5の情報」も、通常Wi−Fi無線設定WS4のうちの全ての情報であってもよいし、通常Wi−Fi無線設定WS4のうちの一部の情報であってもよいし、継続利用情報であってもよい。
(変形例5)図3のS50、S70、図9のS150、S170、S180、又は、S190において、当該処理で採用されている優先順位とは異なる優先順位を示す優先順位情報を含むレスポンスデータが送信されてもよい。例えば、図3のS50において、レスポンスデータでは、WFD無線設定が1番目の優先順位であり、通常Wi−Fi無線設定が2番目の優先順位であってもよい。即ち、上記の各処理において、第1及び第2の情報送信部41,42によって送信される指示情報が示す優先順序は、特に限定されない。
(変形例6)図3のS50、S70、図9のS150、S170、S180、又は、S190において、優先順位情報を含まずに、複数個の無線設定を含むレスポンスデータが送信されてもよい。この場合、携帯端末50の通信実行部82は、レスポンスデータに含まれる複数個の無線設定のそれぞれを、例えばランダムに順次利用してもよい。一般的に言うと、第2の情報送信部42は、第2の情報と第3の情報とを携帯端末に送信すればよく、第1の情報送信部41は、第1の情報と第4の情報とを携帯端末に送信すればよい。
(変形例7)MFP10は、図3のS30でYESの場合に、S32〜S36,S50を実行せずに、S60を実行してもよい。即ち、第1の情報送信部41は、第1の場合に、第1の情報を送信すればよい。また、MFP10は、図3のS30でNOの場合に、S40をスキップして、S42を実行し、S42でYESの場合に、S44をスキップして、S46及びS70を実行してもよい。即ち、第2の情報送信部42は、第2の場合に、第2の情報と第3の情報とを送信すればよい。一般的に言うと、本明細書によって開示される一つの技術では、装置側制御部は、特定データ受信部、第1の情報送信部、形成部、第2の情報送信部、及び、装置側通信実行部を少なくとも備えていればよい。
(変形例8)MFP10は、図3のS30でYESの場合に、S32〜S36,S50,S60を実行するが、S30でNOの場合に、携帯端末50と対象データの通信を実行しなくてもよい。また、MFP10は、図3のS30〜S36,S50を実行せずに、S40〜S48,S60,S70を実行してもよい。即ち、一般的に言うと、本明細書によって開示される一つの技術では、装置側制御部は、特定データ受信部、判断部、情報送信部、及び、装置側通信実行部を少なくとも備えていればよい。
(変形例9)携帯端末50の通信実行部82は、確認信号及び確認応答信号の通信を実行せずに(図4のS212及びS214を実行せずに)、レスポンスデータに含まれる複数個の無線設定のうちのいずれかの無線設定に対応する無線ネットワークを利用して、対象データの通信を試行してもよい。この場合、通信実行部82は、対象データの通信が失敗する場合に、複数個の無線設定のうちの別の無線設定に対応する無線ネットワークを利用して、対象データの通信を試行してもよい。本変形例も、「複数個の無線ネットワークのそれぞれを順次利用して」の一例である。
(変形例10)「親局」は、WFDNWのG/O機器に限られず、無線ネットワークに属する各機器を管理する状態(例えば、無線ネットワークに属する各機器の間の無線通信を中継可能な状態)であれば、どのような状態であってもよい。また、「子局」は、WFDNWのクライアント状態、又は、通常Wi−FiNWに属している状態に限られず、無線ネットワークの親局から管理される状態であれば、どのような状態であってもよい。
(変形例11)「第1種のインターフェース」は、NFC通信を実行するためのインターフェースに限られず、赤外線通信を実行するためのインターフェースであってもよいし、Bluetooth(登録商標)を実行するためのインターフェースであってもよいし、Transfer Jetを実行するためのインターフェースであってもよい。一般的に言うと、第2種のインターフェースを介した無線通信の通信速度が、第1種のインターフェースを介した無線通信の通信速度よりも速ければよい。
(変形例12)「第1種のインターフェース」及び「第2種のインターフェース」は、上記の実施例のように、別体に構成されている2個のインターフェース(例えば2個のICチップ)であってもよいし、一体に構成されている1個のインターフェース(例えば1個のICチップ)であってもよい。
(変形例13)「通信装置」は、MFP10に限られず、他の通信装置(例えば、プリンタ、スキャナ、FAX装置、コピー機、電話機、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC、サーバ、携帯電話、PDA端末等)であってもよい。また、「対象データ」は、印刷データ、スキャンデータに限られず、他のデータ(例えば、音声データ、FAXデータ等)であってもよい。
(変形例14)上記の実施例では、MFP10のCPU32がメモリ34内のプログラム(即ちソフトウェア)を実行することによって、各部40〜47の機能が実現される。これに代えて、各部40〜47のうちの少なくとも1つは、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。また、同様に、各部80〜82のうちの少なくとも1つは、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。