JP2014024821A - (z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの精製方法 - Google Patents

(z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの精製方法 Download PDF

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正宗 岡本
Hideaki Imura
英明 井村
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Abstract

【課題】
少なくとも2−クロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン又は3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパンを含む(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン組成物から(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを選択的に精製する。
【解決手段】
少なくとも2−クロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン又は3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパンを含む(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン組成物を、塩基性物質及び相溶化剤と共存させる工程を含む、(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの精製方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、2−クロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(以下、「235da」と呼ぶことがある。)又は3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパン(以下、「244fa」と呼ぶことがある。)を含む(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(以下、「1233Z」と呼ぶことがある。)から1233Zを精製する方法及びそれを用いた1233Zの製造方法に関する。
1233Zは分子内に二重結合を有しているため、大気中で容易に分解することが知られている。そのためオゾン層破壊や地球温暖化への影響が実質的にゼロに近い環境適応型の化合物として、溶剤、洗浄剤、冷媒、ヒートポンプ用の熱媒体、高温作動流体などに活用されている。
1233Zの製造方法として、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(以下、「240fa」と呼ぶことがある。)をフッ化水素でフッ素化する方法が知られている(特許文献1)。その際、得られた生成物中には、1233Zの異性体である(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(以下、「1233E」と呼ぶことがある。)の他に、過フッ素化生成物である1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(以下、「245fa」と呼ぶことがある。)、(E)−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(以下、「1234E」と呼ぶことがある。)、(Z)−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(以下、「1234Z」と呼ぶことがある。)、1,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン、235da、244faその他の塩素化フッ素化プロパン又は塩素化フッ素化プロペンが含まれる。
なお、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは、E異性体とZ異性体の混合物について、又はE異性体とZ異性体を区別しないときには、単に1233と呼ぶことがある。1,3,3,3−テトラフルオロプロペンについても、同様に1234と呼ぶことがある。
この反応で得られる1233Zを主成分とする反応生成物に対しても、最も汎用かつ確立された有機物の分離方法である蒸留が適用されるが、上に挙げた塩素化フッ素化プロパン/プロペンは相互に共沸組成物を形成することがあり、1233Z(沸点39℃)は、235da(沸点38℃)、244fa(沸点42℃)と沸点が近接し、共沸様挙動を示すため通常の蒸留分離が困難である。
飽和の(クロロ)フルオロヒドロアルカンに含まれるアルケンの除去については、該アルカンとアルケンの反応性の相違に基づく化学的手法が知られており、具体的には、アルケン中の二重結合に塩素を付加して高沸点化する方法(特許文献2)や、硫酸が選択的にアルケンと反応する特徴を利用した方法(特許文献3)が挙げられる。
しかし、1233Zに含まれる235da又は244faのように、(クロロ)フルオロヒドロアルケン中の(クロロ)フルオロヒドロアルカンの除去については、これらの方法は適用できないため、複雑でコストの掛かる抽出蒸留が行われている(特許文献4)。
ところで、特許文献5には、1233を塩基性物質の共存下、アルコールを反応させてエーテル誘導体を合成する方法が開示されている。また、特許文献6には、1233Zを液相中で塩基と反応させることによって、3,3,3−トリフルオロプロピン(以下、「TFPy」と呼ぶことがある。)を製造する方法が開示されている。
さらに、ハイドロクロロフルオロカーボン(以下、「HCFC」と呼ぶことがある。)を、より地球温暖化係数(GWP)が低いフッ素化アルケンへ変換するいくつかの方法が知られている。例えば、特許文献7には、1234の製造方法が開示されており、実施例21において、244faと水酸化カリウム溶液を75〜80℃に加熱して、244faを1234に変換する方法が開示されている。
特許文献8には、無機物質を除去した活性炭、酸化した活性炭、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される安定化した触媒の存在下において、1,1,1,2−テトラフルオロ−2−クロロプロパン(以下、「244bb」と呼ぶことがある。)などの(クロロ)フルオロヒドロアルカンを高温で脱塩化水素することによるフッ素化アルケンの製造方法が開示されており、235daを1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(1225zc)に変換することが示されているが、235daを無機塩基水溶液と液相接触させて分解する例は開示されていない。
特開平11−269105号公報 特開平4−264039号公報 特開平6−271487号公報 特開2010−202640号公報 特開2006−298854号公報 特開2008−285471号公報 特開2011−190272号公報 特開2010−535698号公報
塩基性物質を使用して1233Zを精製する場合、1233Zの脱塩化水素による分解を抑えて、1233Zに含まれる、235daや244fa等の蒸留分離が困難なHCFC類を選択的に除去することは難しいという問題があった。
235da、244faその他のHCFC類は、オゾン層破壊物質、地球温暖化物質として地球環境に悪影響を及ぼすため、これらのHCFC類含有率を低下させた高純度な1233Zを製造する方法が望まれる。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、1233Zは、特許文献5、6に開示されるように、塩基性物質に対して不安定な化合物であるが、少なくとも235da又は244faを含む1233Z(以下、「1233Z組成物」と呼ぶことがある。)を無機塩基水溶液と接触させる際に、1233Z組成物と無機塩基水溶液の両者を相溶させる相溶化剤を共存させると、235daでは脱フッ化水素し、244faでは脱塩化水素して対応する含フッ素オレフィンに変換され、これらの含フッ素オレフィンは1233Zと十分な沸点差を有し、かつ共沸組成物の形成または共沸様の挙動を示さないため容易に蒸留分離できるだけでなく、1233Zの脱ハロゲン化水素が抑制されることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は次の通りである。
[発明1]
少なくとも2−クロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン又は3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパンを含む(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン組成物を、相溶化剤及び無機塩基水溶液と共存させる工程を含む、(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの精製方法。
[発明2]
(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン組成物と相溶化剤の共存下において無機塩基水溶液を添加する工程を含む、発明1に記載の精製方法。
[発明3]
相溶化剤が炭素数1〜4のアルコールである、発明1又は2に記載の精製方法。
[発明4]
添加するアルコールの割合が(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対して5〜40質量%である、発明3に記載の精製方法。
[発明5]
発明1乃至4の何れか1発明に記載の精製方法を用いた(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
本発明の方法は、1233Zの分解反応を最小限に抑えて、235da又は244faを選択的に1233Zと沸点差のある物質に変換でき、一方、目的物である1233Zは脱塩化水素しないため、235da又は244faを含む1233Z組成物を効率的に精製することができ、高純度な1233Zを提供することが可能となる。
さらに、添加する相溶化剤の添加量を調整すると、固形分の析出やエマルジョン化も抑制されて、より効率的な分離が可能となる。
以下に、本発明の説明に関連する反応を模式的に示す。これは、本発明の方法に関連する反応をこれらの反応に限定する目的ではなく、本発明の理解を容易にするために掲げるものである。
Figure 2014024821
各反応式について以下に簡単な説明をする。1233Zは240faをフッ素化水素でフッ素化して、1233Eと共に得られる(式1)。この時、1233Eのほかにも、この反応で得られる1233Zには多種のフッ素化炭化水素(ここで、「フッ素化炭化水素」は水素原子を含んでもよく、フッ素以外のハロゲン原子を含んでもよい。)が前駆体又は副生成物として含まれる。
ここで、1233Eは無機塩基水溶液に安定であり、接触させても実質的に反応は起こらないが、1233Zは無機塩基水溶液と接触すると容易に脱塩化水素してTFPyに分解する(式2、式3)。
また、244faの場合、無機塩基水溶液を接触させると、同様に、脱塩化水素が進行して1234に転化する(式4)。
235daと無機塩基水溶液を接触させると、脱塩化水素よりも脱フッ化水素が優先的に進行して、2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1224と呼ぶことがある)が選択的に生成する(式5)。1224の沸点は18℃近傍であり、1233Zと共沸することなく、容易に分離可能である。
一方、1233をアルコールおよび塩基と接触させると、対応するエーテル誘導体が生成する(式6、式中Rは炭素数1〜6の鎖状アルキル基を表す。)。
本発明において、1233Z組成物、相溶化剤、無機塩基水溶液を共存させることを「処理」ということがある。
本発明にかかる1233Z組成物は、少なくとも235da又は244faを含んでいればよい。
式1の反応による反応生成物を蒸留すると、1233Eを含めて大部分の種類のフッ素化炭化水素を分離することができるが、235da(沸点38℃)と244fa(沸点42℃)は1233Z(沸点39℃)と沸点差が小さく、共沸様の挙動を示すため分離効率が著しく低いことから、結果として235da及び/又は244faを含む1233Z組成物が得られる。
また、この製造方法による1233Z組成物に限らず、その他のフッ素化炭化水素を含んだ組成物であってもよい。好ましいフッ素化炭化水素の例として、1233Zと沸点差があって蒸留分離が容易なもの、本発明の処理条件において安定なもの、又は該処理による分解物が1233Zと容易に分離できるものが挙げられる。具体例として、1233E、245faなどが挙げられる。また、1233Z組成物の組成は特に限定されないが、1233Zが主成分(50質量%以上)であることが好ましい。さらに、235da、244faその他のフッ素化炭化水素の含有量についても特に限定されないが、0.001〜50質量%が好ましく、0.001〜30質量%がより好ましく、0.001〜20質量%が最も好ましい。なお、0.001質量%未満では、敢えて本発明の方法を適用するまでもない。これらの成分の合計が50質量%よりも多い場合、すなわち1233Z含量が50%未満の場合は、別途蒸留等で1233Zを濃縮して本発明を適用することが好ましい。
本発明において使用できる無機塩基は特に限定されないが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、アルコキシド、酸化物、水素化物などが挙げられる。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなど、アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。無機塩基としては、具体的には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム(NaCO)、リン酸ナトリウム(NaPO)、酸化ナトリウム(NaO)、水素化ナトリウム(NaH)、水酸化カリウム、炭酸カリウム(KCO)、リン酸カリウム(KPO)、酸化カリウム(KO)、水素化カリウム(KH)、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウムが挙げられ、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物または炭酸塩が好ましく、入手性の良い水酸化ナトリウムが最も好ましい。
添加する無機塩基水溶液中の無機塩基量は、1233Z組成物中の235da及び/又は244faの量に依存する。1モルの235da及び/又は244faに対して、1.5から4モル当量(ここで、「当量」とは化学当量を表す。)の無機塩基量が好ましく、特に2から3モル当量が好ましい。該添加量が1.5モル当量よりも少ない場合は、処理速度が遅くなったり、好ましくない235da及び/又は244faが残存することがある。逆に、該無機塩基量が4モル当量よりも多い場合、無機塩基その他の副資材が無駄になるだけでなく1233Zが分解することがあり好ましくない。
無機塩基水溶液は、無機塩基が水に完全に溶解されたものが好ましいが、スラリー状でも使用可能である。無機塩基水溶液の濃度は10から50質量%が好ましく、20から40質量%が特に好ましい。該濃度が10質量%よりも低い場合は、処理速度が遅くなったり、好ましくない235da及び/又は244faが残存することがある。逆に、40質量%よりも高い濃度の無機塩基溶液を用いた場合、同様に1233Zが分解することがあるだけでなく、系内にハロゲン化アルカリの固形分が析出して、分離に手間が掛かることがある。
本発明にかかる相溶化剤とは、1233Z組成物と無機塩基水溶液の相溶を補助するために用いる化合物である。本発明において相溶化剤の添加は必須である。なぜならば、1233Z組成物と無機塩基水溶液は二層に分離するので、相溶化剤が無いと穏和な条件では反応が非常に遅くなることがある。相溶化剤無しで、高温高圧下で1233Z組成物と無機塩基又は無機塩基水溶液を接触させると、1233Zの分解が促進される。
相溶化剤としては、相関移動触媒、またはアルコール、ケトン等の水溶性有機物が好ましい。相関移動触媒の例として、アンモニウムフルオリド、アンモニウムクロリド、アンモニウムブロミド、アンモニウムヨージド、アンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム化合物類、クラウンエーテル類、カリックスアレーン類、シクロファン類、シクロデキストリン類、ホスホニウム化合物類、ピリジニウム化合物類が挙げられる。具体的には、テトラブチルアンモニウムフルオリド、ベンジルジメチルアルキルアンモニウムクロリド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムクロリド、フェニルトリエチルアンモニウムクロリド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムブロミド、トリメチル-3-トリフルオロメチルフェニルアンモニウムブロミド、 トリメチル−α,α,α−トリフルオロ−m−トリルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド 、トリメチルフェニルアンモニウムヨージド、2,3−ベンゾ−1,4,7,10−テトラオキサドデカ−2−エン、24−クラウン 8−エーテル、トリフェニル(2−クロロベンジル)ホスホニウムクロリド、4−(ジメチルアミノ)−1−(トリフェニルメチル)ピリジニウムクロリドが例示される。
水溶性有機物としては、常温で水と完全混合する化合物が使用可能である。アルコール類、ポリアルコール類、アミド類、ケトン類、エーテル類、ポリエーテル類、環状エーテルが例示される。入手性および、廃溶液の処理等を考慮するとアルコール類の添加が好ましい。
相溶化剤としてのアルコールは特に限定されないが、炭素数1〜4のアルコールが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等の汎用アルコールの単品もしくは混合物が好ましく、特に少量で効率的に1233Zを精製できるメタノール、エタノールが好ましい。アルコールの添加量は1233Z組成物に対して、5〜40質量%が好ましく、特に10〜30質量%が好ましい。アルコール添加量が5質量%よりも少ない場合、処理速度が遅くなることがある。また、アルコール添加量が40質量%よりも多い場合は、1233Zとの分離が困難となる場合がある。具体的には処理終了後、静定すると上に塩基性水溶液相、下に1233Zを含有する有機相が形成されるが、このときに、アルコール添加量が多いと、エマルジョン化して界面が出現しなくなったり、該塩基性水溶液相に1233Zが分配されて収率が低下することがある。また、該有機相においてもアルコールの溶け込みが多くなり、アルコールの除去に複数回の水洗が必要となるので好ましくない。
1233Z組成物と無機塩基水溶液を接触させる方法は、特に限定されない。本発明において、1233Z組成物、無機塩基水溶液、相溶化剤が必須であり、これらを同時に仕込んで攪拌することも可能である。この場合、1233Z組成物の組成、塩基や相溶化剤等の仕込み比率、処理温度によっては、急激に反応が進行することがあり、危険であるだけでなく、急激な反応によって1233Zの分解率が高くなることがある。
本発明の方法は、−20〜+30℃で行い、5〜15℃で行うことが好ましい。−20℃未満では処理に長時間を要し、30℃を超えると1233Zが分解することがあるので好ましくない。
反応圧力は特に限定されないが、常圧近傍(0.09MPa〜0.12MPa)の操業が簡便で好ましい。
反応(処理)容器中に1233Z組成物と相溶化剤などを仕込み、攪拌しながら、無機塩基水溶液を添加する方法が好ましい。攪拌方法としては、スクリュー型のほか公知の攪拌効率を高めた攪拌羽根を用いる方法、内部または外部のポンプによる液流攪拌、また、液流中にラインミキサーを設け、あるいは吐出部をスパージャーとするなどの攪拌方法を取ることができる。処理容器は、ガラス、ステンレス鋼、フッ素樹脂(PFA樹脂、四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂など)などの材料またはこれらの材質でライニングされた材料で作成するのが好ましい。
本発明の好ましい方法を具体的に説明する。還流塔、ジャケット、攪拌翼、無機塩基水溶液送液装置、および温度計を有する反応器に、1233Z組成物と相溶化剤を所定の比率で仕込み、所定の温度で攪拌しながら、所定の反応時間および圧力において、所定量の無機塩基水溶液を所定の滴下速度でポンプ等を用いて投入する。
無機塩基水溶液投入に伴い、通常発熱が観測され、1234等が揮発してガスが発生することがある。その場合、1234等は所定の温度に冷却された還流塔を通し、1233Zの同伴を最小化しながら、抜き出すことが好ましい。
還流塔の冷却温度は特に限定されないが、−20〜+10℃が好ましい。処理温度を上げることで、処理速度を上げることは可能であるが、1233Zの分解も促進されることになるので好ましくない。
無機塩基水溶液の添加速度は特に限定されないが、分解精製ガスの発生状況と発熱状況を観察しながら調整することが望ましい。著しく分解ガスが発生したり、著しく発熱する操業条件は、回収率の低下、1233ZのTFPyへの分解につながり好ましくないので、冷却したり、無機塩基水溶液の投入速度を低下させることが好ましい。
本発明の方法の処理時間は、スケールの大きさ、1233Z組成物のプロファイル、1233Z組成物と相溶化剤の仕込み比率、反応温度、攪拌状況等に依存するため、特に限定されないが、5分から100時間が好ましく、1時間から48時間が特に好ましい。処理時間が5分よりも短い場合、未反応の235daや244faが多くなり、過剰に長い時間の処理を行うと、1233ZがTFPy等に分解することがある。従って、発熱状況、ガス発生状況を観察しながら、所定量の無機塩基水溶液を添加後、定期的に内溶液を分析し、経時的な組成変化を求めることが望ましい。
組成変化の分析によって終点が確認されたら、静定して有機相(下)と水相(上)に分離する。このとき、エマルジョン化等によって界面が確認できない場合は、水を添加して、再攪拌後静定することができる。
二層分離した有機相には、1233Zのほかに1234E、1234Z、TFPyおよび相溶化剤が含まれていることがある。製品中への相溶化剤の混入が好ましくない場合は、この有機相を再水洗すると容易に除去可能である。
水洗後の有機相はゼオライト等で乾燥後、精密蒸留することによって高純度の1233Zを得ることができる。
以上のような、所定の条件で1233Z組成物を処理すると、1233Zの分解、固体の析出等が起こらず、操作が容易な常圧近傍で効率的に蒸留困難物質である235daや244faを除去することが可能である。
本発明の方法においては、溶媒を用いることもできる。溶媒としては、無機塩基水溶液と反応せず、1233Zと実質上相互に溶解しないかまたは蒸留で容易に分離できる溶媒であるのが好ましい。例えば、塩素系溶剤を挙げることができる。具体的には、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどが挙げられるが、溶媒と1233Zの分離工程が必要となる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
ジムロート式還流塔(冷媒温度:−5℃)、温度計、滴下ロートを備えた1000ml三口フラスコに、1233Z組成物(500g)を仕込み、相溶化剤としてメタノール(130g)を加え氷浴で冷却した。攪拌しながら、33質量%水酸化カリウム水溶液(126g)を滴下ロート1.5g/分の速度で内温が15℃を越えないように滴下した。滴下終了後、氷水バスを外し室温(約25℃)で攪拌を継続し、ガスクロマトグラフィー(FID検出器、以下同じ。)で反応経過を追った。
反応終了後、水(120g)を加え更に30分攪拌し二層分離後、有機層に水(120g)を加え水洗を行った。回収した有機層の重量は440gであった。有機層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、処理前の235da及び244faの含有率はそれぞれ、10.323面積%、1.672面積%であり、処理後はそれぞれ0.627面積%、0.038面積%であった。回収した夕気相の重量と組成から求めた1233Z組成物の収率は89.9%であった。これによると、1233ZがTFPy等に分解した量と操作上の損失をあわせて約10%であった。これらの結果を表1にまとめた。
Figure 2014024821
[比較例1]
メタノールを加えないこと以外、実施例1と同様の実験を行った。その結果を表2に示す。メタノールを加えないと実質的に244faや235daが分解しないことが示された。
Figure 2014024821
[実施例2]
実施例1で得られた有機層をモレキュラーシーブス(登録商標)4Aで乾燥後、理論段数35段(充填材:ヘリパックNo.2)の蒸留塔を用いて精製した。主留分の組成は1233Zが99.57面積%、244faが0.050面積%、235daが0.003面積%、1234Eが0.007面積%、1234Zが0.051面積%であり、容易に99.5面積%以上の1233Zを得ることが出来た。

Claims (5)

  1. 少なくとも2−クロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン又は3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパンを含む(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン組成物を、相溶化剤及び無機塩基水溶液と共存させる工程を含む、(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの精製方法。
  2. (Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン組成物と相溶化剤の共存下において無機塩基水溶液を添加する工程を含む、請求項1に記載の精製方法。
  3. 相溶化剤が炭素数1〜4のアルコールである、請求項1又は2に記載の精製方法。
  4. 添加するアルコールの割合が(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対して5〜40質量%である、請求項3に記載の精製方法。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の精製方法を用いた(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
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