JP2014001687A - インペラ及び遠心圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】高効率で作動範囲が広いインペラを提供することを目的とする。
【解決手段】インペラ(11)は、遠心圧縮機(1)に備えられてディスク部(11a)と翼部(11b)とを有し、翼部(11b)の出口側かつ先端側の所定の領域(A1)が、他の領域(A2)よりも薄く形成された翼厚制限部(WBk)とされている。
【選択図】図5
【解決手段】インペラ(11)は、遠心圧縮機(1)に備えられてディスク部(11a)と翼部(11b)とを有し、翼部(11b)の出口側かつ先端側の所定の領域(A1)が、他の領域(A2)よりも薄く形成された翼厚制限部(WBk)とされている。
【選択図】図5
Description
本発明は、遠心圧縮機のインペラ及びそれを備えた遠心圧縮機に関する。
従来、遠心圧縮機のインペラに対し、特性向上のため、その翼の厚さを部分的に異ならせるものについて種々検討が行われてきている。
例えば、翼の強度特性の向上に関し、翼全体を厚肉化することなく圧損増加を抑制しながら高強度が得られるものとして、入口側において部分的に厚肉化した第1肉厚部と、出口側において部分的に厚肉化した第2肉厚部と、を設けたインペラを、本願出願人は特許文献1において提案している。
例えば、翼の強度特性の向上に関し、翼全体を厚肉化することなく圧損増加を抑制しながら高強度が得られるものとして、入口側において部分的に厚肉化した第1肉厚部と、出口側において部分的に厚肉化した第2肉厚部と、を設けたインペラを、本願出願人は特許文献1において提案している。
ところで、遠心圧縮機の効率向上に関しては、インペラの出口側の翼の高さが高い程、効率が向上する。この場合、翼の厚さを同じとしたまま翼の高さを高くすると、翼の質量が増加し、その質量増加分に応じて、インペラ回転時における翼の根本部位に加わる遠心応力も高くなる。この遠心応力は、特に翼の出口近傍において顕著に高く、また、回転が高速である程高くなる。このため、出口側の翼の高さが高いインペラを高速回転させるときには、遠心応力に対する何らかの配慮を必要とする場合があった。
そこで、翼の厚さ分布が最適化されて、高効率であると共に高速回転が可能で作動範囲が広いインペラと、そのインペラを備えて高効率で作動範囲が広い遠心圧縮機と、が望まれていた。
そこで、翼の厚さ分布が最適化されて、高効率であると共に高速回転が可能で作動範囲が広いインペラと、そのインペラを備えて高効率で作動範囲が広い遠心圧縮機と、が望まれていた。
本発明が解決しようとする課題は、高効率で作動範囲が広いインペラ及び遠心圧縮機を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
1) 遠心圧縮機(1)に備えられてディスク部(11a)と翼部(11b)とを有し、
前記翼部(11b)の出口側かつ先端側の所定の領域(A1)の翼厚(WBk)が、他の領域(A2)よりも薄く形成された翼厚制限部(B1)とされているインペラ(11)である。
2) 遠心圧縮機(1)に備えられてディスク部(11a)と翼部(11b)とを有し、
前記翼部(11b)の出口側かつ先端側の所定の領域(A1)の翼厚WBkと前記翼部(11b)の先端縁部(11d)の最小の幅W1とが、
WBk≦1.5×W1
の関係を満たしているインペラ(11)である。
3) 前記ディスク部(11a)の径D1と出口縁部の高さH1とが、
0.06≦H1/D1
の関係を満たしていることを特徴とする1)又は2)に記載のインペラ(11)である。
4) 前記翼厚制限部(B1)は、前記翼部(11b)の出口縁部(11c)と先端縁部(11d)とを含んで設けられていることを特徴とする3)に記載のインペラ(11)である。
5) 前記翼厚制限部(B1)は、前記ディスク部(11a)の表面から前記翼部(11b)の前記先端縁部(11d)までの子午面上の延面距離を100%とし、前記ディスク部(11a)の表面(11a1)の位置を0%位置としたときに、60%以上となる領域に設けられていることを特徴とする1)〜4)のいずれか一つに記載のインペラ(11)である。
6) 前記翼厚制限部(B1)は、前記翼部(11b)の入口から出口までの子午面上の延面距離を100%とし、前記出口縁部(11c)の位置を100%位置としたときに、70%以上となる領域に設けられていることを特徴とする1)〜5)のいずれか一つに記載のインペラ(11)である。
7) 前記翼部(11b)の前記出口縁部(11c)は、40°以上のレイク角をもって形成されていることを特徴とする1)〜6)のいずれか一つに記載のインペラ(11)である。
8) 吸気流路(9)を有するハウジング(3)と、
前記吸気流路(9)内に配設された1)〜7)のいずれか一つに記載のインペラと、
を備えた遠心圧縮機(1)である。
1) 遠心圧縮機(1)に備えられてディスク部(11a)と翼部(11b)とを有し、
前記翼部(11b)の出口側かつ先端側の所定の領域(A1)の翼厚(WBk)が、他の領域(A2)よりも薄く形成された翼厚制限部(B1)とされているインペラ(11)である。
2) 遠心圧縮機(1)に備えられてディスク部(11a)と翼部(11b)とを有し、
前記翼部(11b)の出口側かつ先端側の所定の領域(A1)の翼厚WBkと前記翼部(11b)の先端縁部(11d)の最小の幅W1とが、
WBk≦1.5×W1
の関係を満たしているインペラ(11)である。
3) 前記ディスク部(11a)の径D1と出口縁部の高さH1とが、
0.06≦H1/D1
の関係を満たしていることを特徴とする1)又は2)に記載のインペラ(11)である。
4) 前記翼厚制限部(B1)は、前記翼部(11b)の出口縁部(11c)と先端縁部(11d)とを含んで設けられていることを特徴とする3)に記載のインペラ(11)である。
5) 前記翼厚制限部(B1)は、前記ディスク部(11a)の表面から前記翼部(11b)の前記先端縁部(11d)までの子午面上の延面距離を100%とし、前記ディスク部(11a)の表面(11a1)の位置を0%位置としたときに、60%以上となる領域に設けられていることを特徴とする1)〜4)のいずれか一つに記載のインペラ(11)である。
6) 前記翼厚制限部(B1)は、前記翼部(11b)の入口から出口までの子午面上の延面距離を100%とし、前記出口縁部(11c)の位置を100%位置としたときに、70%以上となる領域に設けられていることを特徴とする1)〜5)のいずれか一つに記載のインペラ(11)である。
7) 前記翼部(11b)の前記出口縁部(11c)は、40°以上のレイク角をもって形成されていることを特徴とする1)〜6)のいずれか一つに記載のインペラ(11)である。
8) 吸気流路(9)を有するハウジング(3)と、
前記吸気流路(9)内に配設された1)〜7)のいずれか一つに記載のインペラと、
を備えた遠心圧縮機(1)である。
本発明によれば、高効率で作動範囲が広い、という効果が得られる。
本発明の実施形態におけるインペラ及び遠心圧縮機を図1〜図5を参照して説明する。説明における前後の方向は、便宜的に図1に矢印で示された方向で規定する。
まず、本発明の実施形態における遠心圧縮機1の構成を図1を参照して説明する。図1は、遠心圧縮機1の断面図である。
遠心圧縮機1は、略環状の吸気流路部Rを有する本体ハウジング3と、本体ハウジング3の後方側(吸気流路部Rの下流側)に連結された蓋ハウジング5と、を含むハウジング体7を有している。
本体ハウジング3の吸気流路部Rは、内部が、前方を上流側として後方側へ吸気される流体(この例では空気)の流路9となっている。この流路9の後方側(下流側)にはインペラ11が配設されている。
インペラ11は、ディスク部11aと、ディスク部11aから径方向外側に延出するよう設けられた翼部11bと、を有している。この例では、翼部11bは、所謂全翼(全羽根)11b1及び半翼(半羽根)11b2を備えたものが示されている。
ディスク部11aには、シャフト13が挿通固定されている。このシャフト13は、蓋ハウジング5に支持されつつ図示しない駆動源に連結されており、駆動源の動作によってインペラ11はシャフト13と共に回転軸線CL1を中心として回転するようになっている。この回転により、遠心圧縮機1は、流路9内の空気を吸引圧縮すると共にインペラ11の径方向外側に設けられたディフューザ14からスクロール通路15に向け送給する。
遠心圧縮機1は、略環状の吸気流路部Rを有する本体ハウジング3と、本体ハウジング3の後方側(吸気流路部Rの下流側)に連結された蓋ハウジング5と、を含むハウジング体7を有している。
本体ハウジング3の吸気流路部Rは、内部が、前方を上流側として後方側へ吸気される流体(この例では空気)の流路9となっている。この流路9の後方側(下流側)にはインペラ11が配設されている。
インペラ11は、ディスク部11aと、ディスク部11aから径方向外側に延出するよう設けられた翼部11bと、を有している。この例では、翼部11bは、所謂全翼(全羽根)11b1及び半翼(半羽根)11b2を備えたものが示されている。
ディスク部11aには、シャフト13が挿通固定されている。このシャフト13は、蓋ハウジング5に支持されつつ図示しない駆動源に連結されており、駆動源の動作によってインペラ11はシャフト13と共に回転軸線CL1を中心として回転するようになっている。この回転により、遠心圧縮機1は、流路9内の空気を吸引圧縮すると共にインペラ11の径方向外側に設けられたディフューザ14からスクロール通路15に向け送給する。
次に、インペラ11の詳細について、図2〜図5を参照して説明する。
図2は、図1に示される遠心圧縮機1のインペラ11近傍の概略半断面図であり、インペラ11の回転時の空気の流れが白抜き矢印で示されている。すなわち、図2の右方側が空気の入口であり、左上方側が空気の出口となっている。
図3は、図2におけるインペラ11の矢視Y図である。矢視Yの方向は、インペラ11の回転軸線CL1に対して直交する方向である。図4はインペラ11のレイク角と遠心力ベクトルFとについて説明するためのベクトル図である。図5は、翼の厚さを説明するための図2に対応した図であり、全翼11b1のみを示している。
図2は、図1に示される遠心圧縮機1のインペラ11近傍の概略半断面図であり、インペラ11の回転時の空気の流れが白抜き矢印で示されている。すなわち、図2の右方側が空気の入口であり、左上方側が空気の出口となっている。
図3は、図2におけるインペラ11の矢視Y図である。矢視Yの方向は、インペラ11の回転軸線CL1に対して直交する方向である。図4はインペラ11のレイク角と遠心力ベクトルFとについて説明するためのベクトル図である。図5は、翼の厚さを説明するための図2に対応した図であり、全翼11b1のみを示している。
ここで、インペラ11の主要寸法に、以下のように符号を設定しておく。
まず、翼部11bの出口側縁部である出口縁部11cの根本から先端までの高さを高さH1とする(図2及び図3参照)。
具体的には、出口縁部11cがディスク部11aの表面11a1に接続する接続点P1を含んで回転軸線CL1と直交する平面SF1と、出口縁部11cにおけるディスク部11aの表面11a1から最も離れた頂点P2を含んで回転軸線CL1と直交する平面SF2との間の距離として設定される。
頂点P2が、フィレット又は面取りが付されていることにより形状として明確な屈曲点として特定できない場合は、そのフィレット又は面取りがないと仮定した場合の屈曲点を頂点P2として採用する。
ディスク部11aの直径は径D1とする(図2参照)。
また、翼部11bの出口縁部11cに設定されたレイク角は角度θとする(図3及び図4参照)。
また、翼部11bの出口縁部11cの先端側縁部である先端縁部11dの翼厚は幅W1とする(図3参照)。
ここで、翼厚は、翼部11bの任意の高さ位置Pkにおける平面SF2と平行な平面SFk上の幅Wkとして便宜的に設定される。従って、翼部11bの出口縁部11cの先端の翼厚は、頂点P2を通る平面SF2上の距離である幅W1として示される。
まず、翼部11bの出口側縁部である出口縁部11cの根本から先端までの高さを高さH1とする(図2及び図3参照)。
具体的には、出口縁部11cがディスク部11aの表面11a1に接続する接続点P1を含んで回転軸線CL1と直交する平面SF1と、出口縁部11cにおけるディスク部11aの表面11a1から最も離れた頂点P2を含んで回転軸線CL1と直交する平面SF2との間の距離として設定される。
頂点P2が、フィレット又は面取りが付されていることにより形状として明確な屈曲点として特定できない場合は、そのフィレット又は面取りがないと仮定した場合の屈曲点を頂点P2として採用する。
ディスク部11aの直径は径D1とする(図2参照)。
また、翼部11bの出口縁部11cに設定されたレイク角は角度θとする(図3及び図4参照)。
また、翼部11bの出口縁部11cの先端側縁部である先端縁部11dの翼厚は幅W1とする(図3参照)。
ここで、翼厚は、翼部11bの任意の高さ位置Pkにおける平面SF2と平行な平面SFk上の幅Wkとして便宜的に設定される。従って、翼部11bの出口縁部11cの先端の翼厚は、頂点P2を通る平面SF2上の距離である幅W1として示される。
次に、翼部11bの厚さの好ましい分布について図5を主に参照して詳述する。
インペラ11は、翼部11bにおいて、その出口側、かつ先端側の所定の領域A1(クロスハッチング付き範囲)に対応する部位B1の翼厚WBkが、他の領域A2(クロスハッチング無し範囲)に対応する部位B2よりも薄くなっているとよい。すなわち、部位B1は、翼厚WBkが厚くならないように制限された翼厚制限部となっている。この場合、部位B1は、部位B2よりも単位表面積に対応する質量が小さくなっている。
部位B1は、翼部11bの一方側と他方側とが、例えば、断面形状でそれぞれ直線で互いに平行となるように形成されている。
また、部位B1は、翼部11bにおいて回転軸線CL1から遠方に離れている出口縁部11cを含む範囲に設けられているとよい。この場合、インペラ11の回転時にディスク部11aに生じる遠心応力は、部位B1が設けられていない場合及び部位B1が出口縁部11cを含まず回転軸線CL1に対して領域A1よりも近い位置に設けられている場合と比べて顕著に抑制される。
そのため、インペラ11は、ディスク部11aの遠心応力に対する一定の耐力を上限として、抑制された分だけ許容回転数を高く設定することができる。
インペラ11は、翼部11bにおいて、その出口側、かつ先端側の所定の領域A1(クロスハッチング付き範囲)に対応する部位B1の翼厚WBkが、他の領域A2(クロスハッチング無し範囲)に対応する部位B2よりも薄くなっているとよい。すなわち、部位B1は、翼厚WBkが厚くならないように制限された翼厚制限部となっている。この場合、部位B1は、部位B2よりも単位表面積に対応する質量が小さくなっている。
部位B1は、翼部11bの一方側と他方側とが、例えば、断面形状でそれぞれ直線で互いに平行となるように形成されている。
また、部位B1は、翼部11bにおいて回転軸線CL1から遠方に離れている出口縁部11cを含む範囲に設けられているとよい。この場合、インペラ11の回転時にディスク部11aに生じる遠心応力は、部位B1が設けられていない場合及び部位B1が出口縁部11cを含まず回転軸線CL1に対して領域A1よりも近い位置に設けられている場合と比べて顕著に抑制される。
そのため、インペラ11は、ディスク部11aの遠心応力に対する一定の耐力を上限として、抑制された分だけ許容回転数を高く設定することができる。
また、部位B1は、ディスク部11aの表面11a1から遠方に離れている先端縁部11dを含む範囲に設けられているとよい。この場合、翼部11bの先端側が軽量となり、翼部11bの固有振動数が高域へ顕著に遷移している。
すなわち、翼部11bの固有振動数が、部位B1が設けられていない場合及び部位B1が先端縁部11dを含まず領域A1よりもディスク部11aの表面11a1に近い位置に設けられている場合と比べて高くなっている。
従って、翼部11bは、共振を生じない回転数範囲が高い方側に広くなっており、その分、許容回転数の上限をより高く設定することができる。すなわち、インペラ11の許容回転数を高く設定することができる。
すなわち、翼部11bの固有振動数が、部位B1が設けられていない場合及び部位B1が先端縁部11dを含まず領域A1よりもディスク部11aの表面11a1に近い位置に設けられている場合と比べて高くなっている。
従って、翼部11bは、共振を生じない回転数範囲が高い方側に広くなっており、その分、許容回転数の上限をより高く設定することができる。すなわち、インペラ11の許容回転数を高く設定することができる。
このように、インペラ11は、領域A1に対応した部位B1が、翼部11bの出口側、かつ先端側に、それぞれ出口縁部11cと先端縁部11dとを含んで設けられているので、翼部11bの高さを高くしても許容回転数の上限を抑えることなく高速回転させることができる。
従って、インペラ11は、高効率で作動範囲が広いものとなっており、このインペラ11を備えた遠心圧縮機も、高効率で作動範囲が広いものとなる。
従って、インペラ11は、高効率で作動範囲が広いものとなっており、このインペラ11を備えた遠心圧縮機も、高効率で作動範囲が広いものとなる。
上述した寸法及び領域A1の設定範囲(部位B1の形成範囲)は、全翼の場合に限らず、半翼の場合にも同様に適用できる。
詳しくは、半翼は、翼部11bの子午面上の入口から出口までの延在方向長さ(以下、長さスパンとも称する)が全翼よりも短いので、半翼における領域A1に対応する部位B1の長さスパンは、全翼に対する半翼の長さスパンの比に応じて短くなる。
詳しくは、半翼は、翼部11bの子午面上の入口から出口までの延在方向長さ(以下、長さスパンとも称する)が全翼よりも短いので、半翼における領域A1に対応する部位B1の長さスパンは、全翼に対する半翼の長さスパンの比に応じて短くなる。
また、翼部11bは、出口縁部11cにおいてレイク角の角度θが正の値となるように形成されているとよい。そして、この角度θが大きい程、インペラ回転時に翼部11bに働く遠心力の分力としての翼部11bを周方向に曲げようとする力が小さくなるので、その分、インペラ11の許容回転数を高く設定することができる。
これについて図4を参照して説明する。
図4(a)は、インペラ11の一つの翼部11bを入口側(前方側)から見た模式図である。図4(b)は、図4(a)の矢視Y1図であり、翼部11bを出口側から見た図である。
図4(a)は、インペラ11の一つの翼部11bを入口側(前方側)から見た模式図である。図4(b)は、図4(a)の矢視Y1図であり、翼部11bを出口側から見た図である。
翼部11bの先端縁部11dにおける任意の点P7にかかる遠心力ベクトルFは、点P7における接線LN5の方向の分力ベクトルF1と、分力ベクトルF1に直交する分力ベクトルF2と、に分解される。
ここで、点P7における接線LN5と、回転軸線CL1と点P7とを通る直線(直径)と、のなす角度βの大きさは、レイク角の角度θの大きさに依存する。
詳しくは、翼部11bの先端縁部11bの形状ラインは、角度θが0(ゼロ)°の場合、破線で示される。これに対し、角度θが正の値で付与され、その値が大きくなるほど、先端縁部11dの形状ラインは直径により近く沿うように形成される。そのため角度βは小さくなり、分力ベクトルF2の大きさは小さくなる。
ここで、点P7における接線LN5と、回転軸線CL1と点P7とを通る直線(直径)と、のなす角度βの大きさは、レイク角の角度θの大きさに依存する。
詳しくは、翼部11bの先端縁部11bの形状ラインは、角度θが0(ゼロ)°の場合、破線で示される。これに対し、角度θが正の値で付与され、その値が大きくなるほど、先端縁部11dの形状ラインは直径により近く沿うように形成される。そのため角度βは小さくなり、分力ベクトルF2の大きさは小さくなる。
この遠心力ベクトルFの分力である分力ベクトルF2は、翼部11bを周方向に曲げる力、換言するならば、角度θを変えるように翼部11bを変形させる力となるので、分力ベクトルF2が小さいほど、翼部11bの根本に遠心力に起因して生じる応力が小さくなる。
発明者の検討により、レイク角の角度θを40°以上にすると、翼部11bの先端縁部11dの形状ラインが直径に極めて近づき、翼部11bの根本に遠心力に起因して生じる応力の顕著な低減が見られて好ましいことが判明した。
発明者の検討により、レイク角の角度θを40°以上にすると、翼部11bの先端縁部11dの形状ラインが直径に極めて近づき、翼部11bの根本に遠心力に起因して生じる応力の顕著な低減が見られて好ましいことが判明した。
発明者は、部位B1の形成範囲及び翼厚の最適化をさらに探求し、より高効率で作動範囲を広くできる条件を以下のように得たので説明する。
まず、インペラ11の翼部11bにおいて、ディスク部11aの径D1と出口縁部11cの高さH1との関係が、
0.06≦H1/D1・・・(式1)
であると、領域A1に対応して部位B1を設けた場合の効果がより顕著になるので好ましい。
部位B1の翼厚WBkについては、他の部位B2の翼厚よりも薄くなっていることが好ましいが、他の部位B2の翼厚よりも厚い部分を含む場合でも、先端縁部11dにおける最小の幅W1に対し、
WBk≦1.5×W1・・・(式2)
で形成されていることが好ましい。この場合、部位B1の翼厚WBkは一定でなくてもよく、(式2)を満たす範囲にあればよい。
まず、インペラ11の翼部11bにおいて、ディスク部11aの径D1と出口縁部11cの高さH1との関係が、
0.06≦H1/D1・・・(式1)
であると、領域A1に対応して部位B1を設けた場合の効果がより顕著になるので好ましい。
部位B1の翼厚WBkについては、他の部位B2の翼厚よりも薄くなっていることが好ましいが、他の部位B2の翼厚よりも厚い部分を含む場合でも、先端縁部11dにおける最小の幅W1に対し、
WBk≦1.5×W1・・・(式2)
で形成されていることが好ましい。この場合、部位B1の翼厚WBkは一定でなくてもよく、(式2)を満たす範囲にあればよい。
部位B1の形成範囲は、翼部11bの高さ方向範囲に関して、図5においてディスク部11aの表面11a1の任意位置P3における法線LN1に沿った位置での翼部11bの高さ(任意位置P3から法線LN1と先端縁部11dとの交点P4までの子午面上の延面距離H2(以下、高さスパンH2とも称する)を100%とし、ディスク部11aの表面11a1の位置(P3の位置)を0%としたときの、60%以上の範囲に含まれていると好ましい。
具体的には、図5において、高さスパンH2に対して60%位置を示す高さ推奨目安線LN2に対し、部位B1のディスク部11aの表面11a1側の境界線LN3が、推奨目安線LN2をディスク部11a側に超えることなく先端縁部11d側に位置するようになっていると好ましい。
これは、部位B1が高さスパンH2に対し60%未満の範囲に拡張していると、翼部11bの固有振動数が高域化するものの、剛性低下の影響が無視できなくなることによる。
具体的には、図5において、高さスパンH2に対して60%位置を示す高さ推奨目安線LN2に対し、部位B1のディスク部11aの表面11a1側の境界線LN3が、推奨目安線LN2をディスク部11a側に超えることなく先端縁部11d側に位置するようになっていると好ましい。
これは、部位B1が高さスパンH2に対し60%未満の範囲に拡張していると、翼部11bの固有振動数が高域化するものの、剛性低下の影響が無視できなくなることによる。
翼部11bの長さスパンに対する部位B1の長さスパンついては、ディスク部11aの表面11a1と翼部11bの入口縁部11eとの交点P5から、出口縁部11cとの交点P6までの子午面に沿った距離を100%とし、交点P5の位置を0%としたときの、70%以上の範囲に含まれるものであると好ましい。
具体的には、図5において、70%位置を示す推奨目安線LN4に対し、部位B1の入口縁部11e側の境界線である法線LN1が、推奨目安線LN4を入り口縁部11e側に超えることなく出口縁部11c側に位置するようになっていると好ましい。
これは、部位B1が長さスパンで70%未満の範囲に拡張していると、許容回転数を高くすることができるものの、剛性低下の影響が無視できなくなることによる。
具体的には、図5において、70%位置を示す推奨目安線LN4に対し、部位B1の入口縁部11e側の境界線である法線LN1が、推奨目安線LN4を入り口縁部11e側に超えることなく出口縁部11c側に位置するようになっていると好ましい。
これは、部位B1が長さスパンで70%未満の範囲に拡張していると、許容回転数を高くすることができるものの、剛性低下の影響が無視できなくなることによる。
以上詳述した、部位B1の翼厚が他の部位B2の翼厚よりも薄い点,(式1)の関係を満たす点,(式2)の関係を満たす点,部位B1の形成範囲の高さスパンが60%以上の範囲に含まれている点,部位B1の形成範囲の長さスパンが70%以上の範囲に含まれている点,レイク角が付与されている点,及びレイク角の角度が40°以上とされている点は、全点を備えることに限定されるものではなく、矛盾しない範囲で適宜組み合わせてインペラ11に採用することができる。また、その組み合わせ内容に拘わらず、インペラ11は、高効率で作動範囲が広く、そのインペラを搭載した遠心圧縮機は、高効率で作動範囲が広いという特徴を有する。
本発明の実施例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形例としてもよいのは言うまでもない。
翼部11bの部位B1における一方側の面と他方側の面とは、断面形状で少なくとも一方が曲線になるように形成されていてもよく、また、一方側と他方側との両方が直線で表される場合、各直線が平行でなくてもよい。
翼部11bの部位B1における一方側の面と他方側の面とは、断面形状で少なくとも一方が曲線になるように形成されていてもよく、また、一方側と他方側との両方が直線で表される場合、各直線が平行でなくてもよい。
1 遠心圧縮機
3 本体ハウジング
5 蓋ハウジング
7 ハウジング体
9 流路
11 インペラ
11a ディスク部、 11a1 表面
11b 翼部、 11b1 全翼(全羽根)、 11b2 半翼(半羽根)
11c 出口縁部、 11d 先端縁部
13 シャフト、 14 ディフューザ、 15 スクロール通路
A1 領域
B1 部位
CL1 回転軸線、 D1 径
F 遠心力ベクトル、 F1,F2 分力ベクトル
H1 高さ、 H2 延面距離(高さスパン)
LN1 法線、 LN2,LN4 推奨目安線
LN3 境界線、 LN5 接線
P1 接続点、 P2 頂点、 P3 任意位置、 P5,P6 交点
P7 (任意の)点、 Pk 高さ位置
R 吸気流路部
SF1,SF2,SFk,SF3 平面
W1,Wk,WBk 幅(翼厚)
θ (レイク角の)角度、 β 角度
3 本体ハウジング
5 蓋ハウジング
7 ハウジング体
9 流路
11 インペラ
11a ディスク部、 11a1 表面
11b 翼部、 11b1 全翼(全羽根)、 11b2 半翼(半羽根)
11c 出口縁部、 11d 先端縁部
13 シャフト、 14 ディフューザ、 15 スクロール通路
A1 領域
B1 部位
CL1 回転軸線、 D1 径
F 遠心力ベクトル、 F1,F2 分力ベクトル
H1 高さ、 H2 延面距離(高さスパン)
LN1 法線、 LN2,LN4 推奨目安線
LN3 境界線、 LN5 接線
P1 接続点、 P2 頂点、 P3 任意位置、 P5,P6 交点
P7 (任意の)点、 Pk 高さ位置
R 吸気流路部
SF1,SF2,SFk,SF3 平面
W1,Wk,WBk 幅(翼厚)
θ (レイク角の)角度、 β 角度
Claims (8)
- 遠心圧縮機に備えられてディスク部と翼部とを有し、
前記翼部の出口側かつ先端側の所定の領域が、他の領域よりも薄く形成された翼厚制限部とされているインペラ。 - 遠心圧縮機に備えられてディスク部と翼部とを有し、
前記翼部の出口側かつ先端側の所定の領域の翼厚WBkと前記翼部の先端縁部の最小の幅W1とが、
WBk≦1.5×W1
の関係を満たしているインペラ。 - 前記ディスク部の径D1と出口縁部の高さH1とが、
0.06≦H1/D1
の関係を満たしていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインペラ。 - 前記翼厚制限部は、前記翼部の出口縁部と先端縁部とを含んで設けられていることを特徴とする請求項3記載のインペラ。
- 前記翼厚制限部は、前記ディスク部の表面から前記翼部の前記先端縁部までの子午面上の延面距離を100%とし、前記ディスク部の表面の位置を0%位置としたときに、60%以上となる領域に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインペラ。
- 前記翼厚制限部は、前記翼部の入口から出口までの子午面上の延面距離を100%とし、前記出口縁部の位置を100%位置としたときに、70%以上となる領域に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインペラ。
- 前記翼部の前記出口縁部は、40°以上のレイク角をもって形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインペラ。
- 吸気流路を有するハウジングと、
前記吸気流路内に配設された請求項1〜7のいずれか1項に記載のインペラと、
を備えた遠心圧縮機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012137629A JP2014001687A (ja) | 2012-06-19 | 2012-06-19 | インペラ及び遠心圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012137629A JP2014001687A (ja) | 2012-06-19 | 2012-06-19 | インペラ及び遠心圧縮機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014001687A true JP2014001687A (ja) | 2014-01-09 |
Family
ID=50035089
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014001687A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016017461A (ja) * | 2014-07-08 | 2016-02-01 | 株式会社豊田中央研究所 | コンプレッサに用いるインペラおよびターボチャージャ |
US11421702B2 (en) | 2019-08-21 | 2022-08-23 | Pratt & Whitney Canada Corp. | Impeller with chordwise vane thickness variation |
Citations (6)
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JP2005233188A (ja) * | 2004-02-21 | 2005-09-02 | Holset Eng Co Ltd | 圧縮機 |
JP2006009577A (ja) * | 2004-06-22 | 2006-01-12 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 多翼ファン |
JP2008503677A (ja) * | 2004-06-19 | 2008-02-07 | ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト | 排気ガスターボチャージャのタービンホイール |
JP2010151126A (ja) * | 2008-11-21 | 2010-07-08 | Hitachi Plant Technologies Ltd | 遠心圧縮機およびその設計方法 |
-
2012
- 2012-06-19 JP JP2012137629A patent/JP2014001687A/ja active Pending
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