JP2013539710A - 調節可能人間工学的椅子メカニズム - Google Patents

Abstract

着座メカニズムによりユーザは椅子又はストールの着座角度を変化させることができ、その手段として、少なくとも腿（もも）を支持する椅子の部分を前方に傾斜させて、背骨及び骨盤領域を垂直整列関係に維持した状態で着座角度を制御可能に増大させるのが良い。前方傾斜の範囲は、ユーザの腿により加えられる力によって制御され、この力は又、ユーザの胴部の重量と釣り合うのに役立つ。

Description

本発明は、椅子及び作業環境で用いられる椅子を含むストールメカニズムに関する。

人間工学的椅子、特に作業用椅子の目的の１つは、緊張感を和らげると共に背骨を「中立」位置に維持する傾向のある姿勢、即ち、着座したユーザが長期間にわたって快適に作業を行うことができるよう背骨が整列した姿勢にユーザを支持することにある。大抵の椅子は、座った人を少なくとも当初、腿（もも）と胴部のなす角度（「着座角度」）が約９０〜１１０°の位置に支持するよう構成されている。１つにはユーザの身体的状態に応じて、この位置を長期間にわたって維持することが疲労を起こさせる状態になり又はそれどころか苦痛になる場合がある。着座角度が約１３０°のオーダの最適中立姿勢に近付く次第に開いた着座角度で着座することが望ましく且つより快適になる。ユーザが自分の着座角度を増大させることができるように椅子が構成されていない場合、ユーザは、例えば座部上で前方に滑り、背もたれの下方部分を無支持状態にすることによって調整を試みようとする場合がある。時間が経つと、これにより、不快感が生じ又はそれどころか怪我をする場合がある。ユーザが直立位置を維持したいと思った場合、ユーザは、座部の前縁部上に座って自分の腿を下方に傾けて着座角度を増大させる場合がある。しかしながら、この位置では、ユーザは、椅子の背もたれによる支持から恩恵を受けることがなく、座部の前縁部が典型的には着座した人の全荷重を支持するようには設計されていないので、この位置は、時間が経つにつれて不快になる状態になる場合がある。

多くの椅子は、背中を支持するようユーザの胴部と一緒に後ろに動くことができる椅子背もたれを提供することによって着座角度を増大させることができるよう設計されており、椅子背もたれと座部のなす角度の増大により、より快適な着座角度をサポートすることができる。このような椅子は、典型的には、背もたれ支持体と釣り合うよう重量のあるばねを用いたハーマン・ミラー（Herman Miller）社製のAeron Chairに見受けられるように種々の複雑な装置の任意のもの、例えば同期リンク装置を有する。背もたれリクライニング装置のもう１つの形式は、ユーザの体重を利用して後方に傾いた背もたれを釣り合わせてユーザが自分の胴部を自分の腿から遠ざけて寄り掛かることができるようにする例えばヒューマンスケール（Humanscale）社製のFreedom Chair又はノル（Knoll）社製のLife Chairで提供されているリクライニングシート昇降装置である。

このようなリクライニング背もたれ椅子は、深い座部を有することが多く、それにより座った人が自分の腿を降ろすことが困難であり又は不可能になり、その結果、着座角度は、ユーザが作業面に向かって前方に体を傾けることを望んだ場合には、小さくなる。さらに、前方にもたれかかった位置にあるユーザにとっての背もたれによる支持がほとんどなく又は全くない場合が多い。このような椅子に設けられたメカニズムは、典型的には、座った人を作業面から遠ざかるように傾けるよう設計されており、それにより寄り掛かり位置では作業面及びツールに接近することが困難である。

本発明の一般的な目的の１つは、ユーザの背骨及び骨盤が垂直方向整列位置に維持された状態で、座部又は腿支持体を全体としてユーザの制御下で前方に傾けることができ、そしてばね又は他の力釣り合わせ装置を使用しないでそのようにすることができる着座メカニズムを提供することにある。本発明により、ユーザは、適正な背骨及び骨盤姿勢を維持した状態で自分の腿で自分の着座角度を制御することができる。さらに、本発明により、ユーザは着座角度を増大させながら作業面に向かって位置をずらすことができる。本発明の追加の目的は、着座角度が増大しても椅子の位置を維持するのに必要な腿の力を次第に減少させることにある。

本発明の一態様では、着座メカニズムは、腿支持体及びユーザの骨盤を受け入れるようになったクレードルを含む２つのセグメントを有する座部を支持したフレームを含む。腿支持体は、その端部相互間がシーソー状態で第１のピボット軸線のところでフレームの前方部分に回動可能に取り付けられる。腿支持体は、第１のピボット軸線の前方及び後方にそれぞれ設けられた前方に延びる部分及び後方に延びる部分を有する。骨盤クレードルは、第２のピボット軸線回りに腿支持体の後方部分回りに回動可能にこの後方部分から吊り下げられる。腿支持体の前端部は、ユーザの腿を支持するようになっており、骨盤クレードルは、ユーザの骨盤を受け入れると共に胴部を骨盤と垂直整列状態に支持するよう形作られている。着座角度は、ユーザが自分の腿が前方セグメントの前側部分に当接する範囲をずらすことによって調節可能である。第１及び第２のピボット軸線並びに第１のセグメントの前方端部の長さは、ユーザが自分の腿の重量を利用して着座角度範囲全体にわたって自分の胴部及び骨盤の重量と釣り合わせることができるようにするのに十分な機械的利点を提供するよう配置されている。着座角度が増大すると、クレードルを支持したピボットが上昇すると共に前方にずれてクレードルを僅かに持ち上げると共にユーザを前方に作業面の近くまで動かす。ピボットが垂直整列状態に近付くと、位置を維持するのに必要な腿の力が次第に減少する。本発明の一実施形態では、クレードルは、第２のピボット軸線回りに自由に回動することができるようになっている。別の実施形態では、クレードルは、安定化リンクを介してフレームに連結されており、この安定化リンクは、腿支持体と協働して平行棒リンク機構としての幾分かを形成し、この平行棒リンク機構により、骨盤クレードルは、椅子の運動範囲全体にわたって実質的に一定の姿勢に維持される。クレードルについて一定の姿勢を維持することによって、背骨は、このメカニズムの運動範囲全体にわたって骨盤と整列することができる。メカニズムは、ストール形態に使用されても良く、或いは、クレードルに連結された椅子背もたれ及び肘掛けを含んでも良い。

本発明の別の態様では、椅子は、椅子座部及び椅子背もたれを有する。椅子座部は、前方及び後方に延びるセグメントを提供するよう第１のピボットのところに枢着されている。椅子背もたれは、第２のピボットのところで座部の後方部分に枢着され、安定化リンクが一端でフレームに回動可能に連結されると共に別の端で椅子の背もたれに回動可能に連結されている。この構成では、座部は、ユーザの腿により及ぼされた圧力の影響を受けて前方に傾くことができ、他方、平行四辺形リンク機構が背骨及び骨盤が適正な垂直整列状態にある姿勢にユーザを支持するよう椅子をその運動範囲全体にわたって直立姿勢に維持する。

本発明の別の態様では、椅子メカニズムは、鋏（はさみ）メカニズムによって支持された座部又は腿支持体を含み、鋏メカニズムは、クレードル及び背もたれを背骨が骨盤と整列状態にある直立位置に維持するためにフレームからクレードル又は背もたれの後側部分まで延びる平行四辺形リンクメカニズムを含む。第２の制御リンクがフレームの後側部分を座部又は腿支持体の前方部分に結合し、それにより、座部の前方端部を下向きの弧状経路内で案内してユーザが着座角度を増大させることができるようにし、他方、フレームと骨盤クレードル又は背もたれとの平行四辺形接続部は、クレードル又は背もたれを一定の姿勢に維持する。この実施形態では、腿支持体又は椅子座部は、椅子の運動範囲全体にわたって動くことができる可動の事実上のピボット箇所を有するものと見なすことができる。

本発明は、本発明の以下の詳細な説明からより十分に理解されよう。

本発明のクレードルメカニズムの略図である。 可変腰部支持体を備えた椅子に組み込まれているクレードルメカニズムの略図である。 図２に示されている椅子の略図であり、膨張可能なメンブレンが椅子の着座部分及び背もたれ部分を覆っている状態を示す図である。 図３に類似した図であり、弾性ファブリック又はメンブレンが椅子を覆っている状態を示す図である。 図１に類似した略図であり、膨張可能なメンブレンが骨盤支持体及び前側座部と一体化されている状態を示す図である。 膨張可能なメンブレンが背もたれ又は骨盤クレードルと一体化されている別の実施形態の椅子の略図である。 本発明を具体化したストールの概略側面図であり、ストールをそれぞれ休止位置（７Ａ）、前方傾斜位置（７Ｂ）及び中立姿勢位置（７Ｃ）で示す図である。 製図用高さストールの概略側面図であり、それぞれ、フットレストが休止位置（８Ａ）及び前方傾斜位置（８Ｂ）にある状態で高いベースに取り付けられた本発明の実施形態を示す図である。 本発明を具体化した人間工学的作業用椅子の概略側面図であり、椅子及びユーザをオフロード位置（９Ａ）、休止位置（９Ｂ）、前方傾斜位置（９Ｃ）及び中立姿勢位置（９Ｄ）で示す図であり、椅子が異形バンドを有している状態を示す図である。 ストールメカニズムの動作範囲全体にわたって骨盤クレードルの姿勢を安定化するための追加のリンクを含むストールメカニズムの略図（１０Ａ及び１０Ｂ）である。 一体形肘掛け・背もたれ及び骨盤クレードルを安定化するための追加のリンクを含む椅子メカニズムの略図であり、休止位置（１１Ａ）及び前方傾斜位置（１１Ｂ）を示す図である。 休止位置（１２Ａ）及び前方傾斜位置（１２Ｂ）で示された別個の一体化異形座部部及び一体形肘掛け・背もたれコンポーネントを有する椅子の略図であり、安定化リンクがフレームを一体形肘掛け・背もたれに連結している状態を示す図である。 休止位置（１３Ａ）及び前方傾斜位置（１３Ｂ）にある椅子メカニズムの別の実施形態の略図であり、ユーザが腿圧力で着座角度を制御しながら適正な着座姿勢を維持することができ、椅子メカニズムが一対の互いに平行な後方に延びる安定化リンク及び腿支持体の前部の位置を制御する前方に延びる案内リンクを含んでいる状態を示す図である。 一体化異形座部部並びに前側案内リンク及び一対の後方に延びる安定化リンクを含む一体形肘掛け・背もたれコンポーネントを備えた椅子メカニズムの略図（１４Ａ及び１４Ｂ）である。 図１３のメカニズムとほぼ同じメカニズムを備えたストールの略図であり、それぞれストールを休止位置（１５Ａ）及び前方傾斜位置（１５Ｂ）で示す図である。

図１及び図２に示されているように、着座メカニズムの一実施形態は、骨盤クレードル１２及び骨盤クレードル１２が取り付けられた腿支持体１４を含む二部品構成型構造体１０を有している。腿支持体１４は、その端部相互間がピボット軸線１８のところで剛性フレーム１６に回動可能に取り付けられており、このような腿支持体は、ピボット軸線１８に対して前方及び後方部分２０，２２を有するものと見なすことができる。図示のように、腿支持体１４は、例えば、横方向に延びるクロスバー２６によって前方端部のところが互いに連結された一対の側方に間隔を置いて位置する部材２４を有するのが良い。腿支持体の後方部分は、第２のピボット軸線を定める一対の横方向に間隔を置いて位置するピボット３０を備えた一対のトラニオン２８を有する。骨盤クレードル１２は、横側部材３２を有し、クレードルは、これら横側部材によってピボット３０のところに回動可能に取り付けられており、それにより、クレードルは、第２のピボット軸線３０〜３０を中心に回動することができる。横側部材は、ユーザの腿が前方に延びることができるようにするのを邪魔しない状態で支持体となるよう横方向後側及び前側部材３４，３６によって互いに連結されている。骨盤クレードルの横方向前側部材３６は、中空又は切除領域３５が横方向前側部材３６の各側に形成された自転車座席の形状をしたものと見なすことができる。他のクレードル形態を採用することができるということが理解されるべきである。腿支持体が後方に回動可能な範囲を制限するために停止部３７がフレーム１０又は腿支持体の後方部分の一方に設けられている。

ピボット軸線１８と合力としての腿力が加えられる腿支持体１４の前方領域（対応中心）との間の距離は、骨盤クレードルに着座したユーザが腿支持体に対してユーザにより加えられる体重によって胴部の重量と釣り合わせることができるようにするのに十分な機械的利点を提供するよう第１のピボット軸線１８と第２のピボット軸線３０との間の距離よりも十分大きい。一例を挙げるに過ぎないが、本発明者は、適当な寸法として、第１のピボット軸線と第２のピボット軸線との間の水平距離が約２．２５インチ（５．７１５ｃｍ）であり、第１のピボット軸線と第２のピボット軸線との間の垂直距離が３．７５インチ（９．５２５ｃｍ）であり、第１のピボット軸線から対応中心までの水平距離が６．７５インチ（１７．１４５ｃｍ）以上であるのが良いということを見出した。骨盤クレードルは、この骨盤クレードルがクレードル内に着座したユーザをユーザの胴部及び骨盤が垂直方向整列関係をなした状態で支持することができると共にユーザの股関節及び腿の自由運動が所望に応じて着座角度を変化させることができるようにするくつろぎ（リラックス）位置を取りがちであるようそのピボット１８に取り付けられている。この実施形態において骨盤クレードルが自由に回動することができることにより、ユーザは、クロスバーに加えられるべき重量による使用部分に対して僅かな調整を行うことができる。腿支持体が前方に回動すると、クレードルは、上昇して前方に動くと共に膝が下方に動き、それにより着座角度を増大させる一方でユーザは自分の背骨と骨盤の垂直整列状態を維持することができる。注目されるべきこととして、ピボット軸線がピボット軸線１８との垂直整列状態の近くに動くと、腿により加えられる力が次第に小さくなる。選択した増大着座角度を維持するのに必要な腿の力が減少する。

図２は、椅子の状態に具体化された本発明を概略的に示しており、特に、２０１０年４月１３日付けの米国特許第７，６９５，０６７号（発明の名称：Ergonomic Adjustable Chair）に記載された記述の椅子を示しており、この米国特許を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。この実施形態では、直立後側部分４０及び頂部のところに位置したクロスバー４２を有している。上述の米国特許明細書に記載されているように、椅子は、フレーム３８の後側部分の上端部から下方に延びる一対の細長い異形バンド４４を有する。図２の実施形態では、異形バンドの下端部は、符号４６のところで骨盤クレードル１２、好ましくは、骨盤クレードルの上方部分に取り付けられている。異形バンド４４は、長手方向圧縮状態に維持され、これら異形バンドは、異形バンドに取り付けられると共に椅子の背もたれを跨ぐ弾性ファブリック又はメンブレンによってユーザの腰部領域の支持体としての役目を果たしている。本発明の他の用途では、例えば、図３において、より剛性のしかしながら膨張可能なメンブレン４８が設けられるのが良い。椅子のこの実施形態では、異形バンド及びこれらバンドに連結された背もたれは、ユーザに図示のように装置の休止位置から前方傾斜位置までの運動範囲全体にわたって背中支持作用を提供する。異形バンドは、上述の米国特許の明細書に更に詳細に説明されているようにユーザが椅子上の自分の位置を調節する際にユーザの背中に対応の支持輪郭形状を与えるよう形状が変化することができる。

図７Ａ〜図７Ｃは、本発明の一実施形態を具体化したストール上に着座したユーザを概略的に示しており、ユーザは、次第に増大する着座角度を呈する着座位置で示されている。これら位置は、休止位置（図７Ａ）、前方傾斜位置（図７Ｂ）及び中立姿勢位置（図７Ｃ）を含む。腿支持体は、着座角度が増大すると次第に傾斜した状態で示されている。全ての位置において、骨盤クレードルは、そのピボット軸線回りに自動調整して全ての位置において骨盤クレードルがユーザの骨盤及び胴部の支持体となる。休止位置（図７Ａ）では、ユーザの腿は、フロアに平行であり、ユーザは、平らな状態に座ることができ又は座部の前部を持ち上げないで骨盤クレードルを傾斜させることによって自分の胴部を股関節で後方及び前方に容易に別個独立にロックすることができる。前方傾斜位置（図７Ｂ）では、ユーザは、腿支持体に対して腿を下方に傾斜させることによって着座角度を増大させることができる。ピボット１８，３０の相対位置決め及び腿支持体の前方伸長によって達成される機械的利点により、腿の重量のシフトを可能にし、それによりユーザの胴部をユーザの脚に対して上昇させ又は下降させ、それにより着座角度を増大させることができる。骨盤クレードルは、ユーザの骨盤を揺りかごに入れるような輪郭形状になっており、腿支持体の後側部分へのその回動連結により、腿支持体の後側部分は、腿支持体の位置とは無関係に水平位置を維持することができる。骨盤クレードルについて水平の向きを維持することによって、ユーザは、腿支持体が図示のように下方に傾けられた場合であってもクレードルから滑る出ることがなく又は座部から滑り落ちることはないであろう。さらに、ユーザが種々の仕事に適応しやすくするために、ユーザは、容易に前方及び後方に回動することができ、それによりクレードルが持ち上げ位置にある状態で、しかしながら腿支持体の角度を変えることなく骨盤クレードル上における胴部の角度を別個独立に調節することができる。

図７Ｃは、中立位置においてストール上に座ったユーザを示している。ストールのフレームは、ユーザが腿を更に降ろすことができ、所望ならば着座角度を更に開くことができるよう座昇降装置、例えば標準型空気圧ガスリフトを内蔵するのが良い。

図８Ａ及び図８Ｂは、本発明を具体化した製図用高さストールを示している。着座構造体は、上昇用途、例えば製図台又は文案作成表面に対応するようになったフットレスト付きの高いベースに取り付けられている。

図９Ａ〜図９Ｄは、例えば図２と関連して説明した人間工学的椅子に組み込まれた本発明を概略的に示している。図９Ａは、ユーザが後方に寄り掛かって胴部の重量を背もたれにあずけるが、腿支持体を上昇させないでユーザの腿がフロアにほぼ平行であるオフロード位置でユーザを椅子に座った状態で示している。この運動は、骨盤クレードルの別個独立の回動性能によって可能である。この位置では、背骨に加わる垂直圧縮応力から解放された感覚を得ることができる。図９Ｂは、ユーザ及びユーザの腿がフロアに実質的に平行であり且つユーザの背中が異形バンドによって支持された休止位置を示している。図９Ｃは、腿を下方に傾けてこれを腿支持体に当てることによって着座角度を増大させた前方傾斜位置に居座る状態でユーザを示している。上述の機械的利点に鑑みて、腿の重量を用いると単に腿を降ろし又は持ち上げるだけでユーザの胴部の重量と釣り合わせることができる。さらに、異形バンドは、適当な背中支持度を維持する。図９Ｄは、中立位置にある椅子の概略側面図である。この場合も又、椅子は、椅子を高く持ち上げてユーザが腿を更に降ろして着座角度を一段と開くことができるようにする空気圧ガスリフトを内蔵するのが良い。

図１０Ａ及び図１０Ｂは、上述したストールメカニズムに類似しているが、このメカニズムの運動範囲全体にわたって骨盤クレードルの姿勢を一定に維持するための安定化リンク５０を有するよう更に改良された状態のストールメカニズムの休止位置及び前方傾斜位置を概略的に示している。安定化リンクは、一端がピボット５２でフレーム１６の後側部分に枢着されている。安定化リンク５０の他端部は、符号５４のところで例えばクレードル又は他の適当な連結手段から延びるラグ５６によってクレードルに枢着されている。ピボット５２，５４及びピボット１８，３０を連結するリンクは、クレードルの一定の姿勢を維持する実質的に平行棒リンク機構を構成する。この結果、骨盤がクレードル内に支持された状態で着座した人は、図示のように休止位置と前方傾斜位置との間の運動全体にわたって背骨と骨盤の整列状態を維持することができる。

図１１Ａ及び図１１Ｂは、一体形の背もたれ５５と肘掛け（アームレスト）５７をクレードルに追加するよう改造されると共に安定化リンク５０が上述したように機能するよう設けられた図１０Ａ及び図１０Ｂのメカニズムを示している。

図１２Ａ及び図１２Ｂは、それぞれ、クレードルが省かれた本発明の別の椅子実施形態の休止位置及び前方傾斜位置を示している。その代わり、椅子は、第１のピボット１８でフレームに枢着された単一の異形座部５８を有している。座部５８の後側部分と一体の１対の側方に間隔を置いて位置したトラニオン２８が座部から上方に延びており、これらトラニオンは、ピボット軸線で独立の一体形椅子背もたれ・肘掛けユニット６０に回動可能に連結されている。椅子背もたれは、フレームの後側部分から一体形椅子背もたれの下端部まで延びる安定化リンク６１によってフレームに可動的に連結されている。リンク並びにピボット１８，３０及びピボット５２，５４の構成により、椅子の運動範囲全体にわたってユーザを適正な姿勢に維持するよう機能する平行棒形態が構成される。一体化座部５８の後側部分の輪郭は、特にユーザが座部上で前方に滑るのを阻止する前方傾斜位置（図１２Ｂ）にあるとき、ユーザの骨盤の支持体となるよう窪んでいる。

図１３Ａ及び図１３Ｂは、椅子が一体化構造体として動くようになった一体形椅子背もたれ・肘掛けユニット６２及び後側端部がピボット軸線６８でユニット６２、好ましくは一体形クレードルの背もたれ又は後側部分の下方領域のところに枢着された腿支持体６４を備えた骨盤クレードルを有する別の実施形態を概略的に示している。腿支持体６４及び一体形椅子背もたれ・クレードル６２は、腿支持体６４が着座角度を増大させるよう下方に押圧された状態で一体形構造体６２を一定の姿勢に維持するリンクメカニズム６６によって支持されている。このメカニズムは、腿支持体６４の後部と一体形構造体６２との間に回動連結部６８を有している。ピボット６８は、一体形構造体６２のクレードルと背もたれとの間の接合部の領域に配置されている。一体形構造体６２の一定の姿勢は、一端がピボット７４，７６でフレーム１６の前方部分に連結された一対の互いに平行なリンク７０，７２を含む平行棒リンク機構によって椅子の運動範囲全体にわたって維持される。リンク７０，７２の他端部は、ピボット６８，７８でユニット６２の下方後側部分に連結されている。このメカニズム６６は、フレーム１６の後部をピボット８２で腿支持体６４の前方端部にピボット８４で連結する案内リンク８０を更に有している。案内リンク８０は、腿支持体６４の前側端部を一体形構造体６２を平行棒リンク機構によって案内する円弧とは異なる円弧に沿って案内する。注目できることとして、腿支持体６４の端部を互いに異なる円弧に沿って案内すると、その結果として、腿支持体が回転する中心としての有効な事実上のピボット箇所が腿支持体の下に得られる。事実上のピボット箇所それ自体は、メカニズムをその運動範囲全体にわたって作動させているときに空間内をシフトする。

図１４Ａ及び図１４Ｂは、図１３Ａ及び図１３Ｂとほぼ同じ略図であるが、一体形構造体６２のクレードル部分が取り外されている。その代わりに、椅子は、一体形背もたれ・肘掛け構造体にピボット６８で直接連結された全体的異形座部５８を備えている。メカニズム６６の作動は、図１３Ａ及び図１３Ｂと関連して説明したメカニズムの作動とほぼ同じであるが、異なる点は、前方傾斜位置にあるときにユーザの骨盤のための支持作用を維持するよう窪みが座部の後側領域に形成されていることである。

図１５Ａ及び図１５Ｂは、一体形背もたれ・肘掛け構造体が設けられていないストール形態で図１３Ａ及び図１３Ｂの着座メカニズムとほぼ同じ着座メカニズムを概略的に示している。

理解されるべきこととして、本発明の上述の説明は、例示であるに過ぎず、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施例、改造例及び均等例が当業者には明らかである。

Claims (14)

1. 着座メカニズムであって、
   フレームと、
   横方向の第１のピボット軸線に沿って前記フレームに回動可能に取り付けられた腿支持体であって、前記第１のピボット軸線の前方に延びる部分及び前記ピボット軸線の後方に延びる部分を有する腿支持体と、
   横方向の第２のピボット軸線のところで前記腿支持体の前記後方に延びる部分に回動可能に取り付けられた骨盤クレードルと、を備え、前記クレードルは、前記腿支持体に対して回動するようになっており、前記クレードルは、人間であるユーザの骨盤領域及び胴部を前記腿支持体の前記前方部分の傾斜とは独立して垂直整列状態に支持するよう前記ユーザの前記骨盤領域を受け入れることができ、前記第２のピボット軸線は、前記腿支持体の前記前方部分が前方に傾斜すると上方且つ前方に動くことができ、
   前記腿支持体と、前記第１及び前記第２のピボット軸線とは、前記ユーザが前記腿支持体の位置を前記第１のピボット軸線回りに制御して腿の圧力を前記腿支持体の前記前方部分に加えることによって前記ユーザの骨盤及び胴部の重量と釣り合いを取った状態で前記ユーザの着座角度を変化させることができるのに十分な機械的利点をもたらすよう配置され構成されている、
   ことを特徴とする着座メカニズム。
2. 前記第２のピボット軸線は、前記第１のピボット軸線の後方に且つ上方に配置され、それにより、前記腿支持体が前方に傾くと、前記第２のピボット軸線は、前方に動かされ、それにより前記第１のピボット軸線との垂直整列状態に近付き前記着座メカニズムの位置を維持するのに必要な前記腿支持体に加わる力を減少させる、
   請求項１記載の着座メカニズム。
3. 前記フレームに設けられ、前記腿支持体が後方に回転することができる範囲を制限するよう前記腿支持体に係合可能である停止部材を更に有する、
   請求項１記載の着座メカニズム。
4. 前記クレードルは、座部分及び後側部分を有し、前記座部分は、その側部に脚用切欠きを有する、
   請求項１記載の着座メカニズム。
5. 前記骨盤クレードルは、前記腿支持体の位置とは無関係に前記第２のピボット軸線回りに自由に回動することができる、
   請求項１記載の着座メカニズム。
6. 前記骨盤クレードルは、一端が前記フレームに枢着され他端が前記クレードルに枢着された安定化リンクによって前記フレームに連結され、それにより、前記クレードルは、前記着座メカニズムの運動範囲全体にわたって一定の姿勢で安定化される、
   請求項１記載の着座メカニズム。
7. 前記安定化リンク及び前記第１のピボット軸線と前記第２のピボット軸線との連結部は、四節回転機構を構成している、
   請求項６記載の着座メカニズム。
8. 前記フレームは、座セグメント及び背もたれセグメントを含む組立体を有し、少なくとも１つの細長い可撓性且つ弾性の異形バンドが前記フレーム上の少なくとも１つの固定された場所で前記フレームに取り付けられ、前記異形バンドは、前記フレームの前記背もたれセグメントに沿って延びる背もたれセグメントを有し、各異形バンドは、腰領域の高さ位置で前方に膨らむようになった腰用部分を有し、前記骨盤クレードルは、可変圧縮力を前記異形バンドの少なくとも一部分にその長さ方向に沿って加えるよう前記異形バンドに連結され、各異形バンドの前記腰用部分の膨らみ度は、前記腿支持体の位置に応答して制御可能である、
   請求項１記載の着座メカニズム。
9. 前記骨盤クレードルに剛性的に連結されこの骨盤クレードルから上方に延びる背もたれを更に有し、前記骨盤クレードル及び前記背もたれは、一ユニットとして動くことができる、
   請求項６記載の着座メカニズム。
10. 着座メカニズムであって、
    フレームを有し、
    横方向の第１のピボット軸線に沿って前記フレームに回動可能に取り付けられた座を有し、前記座は、前記第１のピボット軸線の前方に延びる部分及び前記第１のピボット軸線の後方に延びる部分を有し、
    横方向の第２のピボット軸線のところで前記座部の前記後方に延びる部分に回動可能に取り付けられた高さ方向に延びる背もたれを有し、前記背もたれは、前記座部の前記前方部分の傾斜とは無関係にユーザの胴部を前記ユーザの骨盤と垂直整列状態で支持するようになっており、前記第２のピボット軸線は、前記腿支持体の前記前方部分が前方に傾くと上方且つ前方に動くことができ、
    一端が前記フレームに枢着され他端が前記背もたれに枢着され、それにより前記背もたれを前記着座メカニズムの運動範囲全体にわたって一定の実質的に垂直の姿勢で安定化する安定化リンクを有し、
    前記座並びに前記第１及び前記第２のピボット軸線は、前記ユーザが前記座部の位置を前記第１のピボット軸線回りに制御して腿の圧力を前記座部の前記前方部分に加えることによって前記ユーザの骨盤及び胴部の重量と釣り合いを取った状態で前記ユーザの着座角度を変化させることができるのに十分な機械的利点をもたらすよう配置され構成されている、
    ことを特徴とする着座メカニズム。
11. 前記座部の前記後方部分は、窪みを形成するよう形作られている、
    請求項１０記載の着座メカニズム。
12. 着座メカニズムであって、
    前方部分及び後方部分を備えたフレームを有し、
    一対の実質的に互いに平行なリンクを有し、各リンクは、第１及び第２のピボット軸線のところで前記フレームの前記前方部分に回動可能に取り付けられ後方且つ上方に延び、
    前記フレームの上方に設けられ、ユーザの骨盤領域を支持する着座部材を有し、前記互いに平行なリンクの上端部は各々、第３及び第４のピボット軸線のところで前記着座部材の前記後方部分に回動可能に連結され、前記互いに平行なリンクをこれらリンクの第１及び第２のピボットを中心に回動させると、前記着座部材の一定の姿勢が維持された状態で前記着座部材が上方且つ前方に動き、
    前方部分及び後方部分を備えた腿支持体を有し、前記後方部分は、前記第４のピボット軸線のところで前記着座部材に回動可能に連結され前記着座部材の前方に延び、
    前記フレームの前記後方部分に回動可能に取り付けられ上方且つ前方に延びる案内リンクを有し、前記案内リンクは、前記腿支持体の前方端部回動可能に連結され、
    前記互いに平行なリンク及び前記案内リンク並びにこれらリンクのそれぞれのピボットは、前記ユーザの腿によって下向きの力を前記腿支持体に加えて前記着座部材を一定の姿勢に維持した状態で前記腿支持体が前方に傾くことができるようにし、それにより前記ユーザの背骨と骨盤が垂直整列関係をなしたままであるようにすることができる状態で着座角度を増大させることができるよう配置されている、
    ことを特徴とする着座メカニズム。
13. 前記着座部材に固定され前記着座部材から上方に延びる背もたれを更に有する、
    請求項１２記載の着座メカニズム。
14. 着座メカニズムであって、
    前方部分及び後方部分を備えたフレームを有し、
    一対の実質的に互いに平行なリンクを有し、各リンクは、第１及び第２のピボット軸線のところで前記フレームの前記前方部分に回動可能に取り付けられ後方且つ上方に延び、
    前記フレームの上方に設けられ、上方部分及び下方部分を備えた背もたれを有し、前記互いに平行なリンクの上端部は、それぞれ第３及び第４のピボット軸線のところで前記背もたれの前記下方部分に回動可能に連結され、前記互いに平行なリンクをこれらリンクの第１及び第２のピボットを中心に回動させると、前記背もたれの一定の姿勢が維持された状態で前記背もたれが上方且つ前方に動き、
    前記フレームの上方に設けられ、ユーザの骨盤領域及び腿を支持する座を有し、前記座部の前記後方部分は、前記第４のピボット軸線のところで前記背もたれ及び前記互いに平行なリンクの一方に回動可能に連結され、
    前記フレームの前記後方部分に回動可能に取り付けられ上方且つ前方に延びる案内リンクを有し、前記案内リンクは、前記座部の前方端部に回動可能に連結され、前記互いに平行なリンク及び前記案内リンクとこれらリンクのそれぞれのピボットとは、前記ユーザの腿により下向きの力を前記座部の前記前方部分に加えて前記背もたれを一定の実質的に垂直の姿勢に維持した状態で前記座が前方に傾くようにすることができ、それにより前記ユーザの背骨と骨盤が垂直整列関係をなしたままであるようにすることができる状態で着座角度を増大させることができるよう配置されている、
    ことを特徴とする着座メカニズム。

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