JP2013523820A - 疾患を処置する際に使用するためのmdm2阻害剤のバイオマーカー - Google Patents

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    • G01N33/574Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for cancer
    • G01N33/57407Specifically defined cancers
    • G01N33/57426Specifically defined cancers leukemia

Abstract

白血病に罹患している対象を選択し、及び処置する方法であって、上記方法において、前記対象の細胞がFLT3−ITD変異を含んでいるという理由で、対象が処置のために選択され、MDM2阻害剤で処置される、前記方法が本明細書中に提供されている。

Description

関連出願の相互参照:
この特許出願は、2010年4月9日に出願された係属中の米国仮特許出願番号第61/322,592号、及び2011年3月11日に出願された係属中の米国仮特許出願番号61/451,956に対する優先権を主張し、その内容は引用によって全体として本明細書中に組み込まれる。
本発明の分野
MDM2阻害剤で白血病対象を特定し、そして処置する方法が本明細書において提供される。
本発明の背景
侵襲性のがん細胞表現型は、細胞内シグナル伝達経路の脱制御をもたらす様々な遺伝的、かつエピジェネティックな(epigenetic)変化の結果である。しかしながら、すべてのがん細胞の共通性は、アポトーシスプログラムが実行できなかったことであり、そして正常なアポトーシスマシナリー(apoptosis machinery)の欠陥による、適切なアポトーシスの欠如ががんの特性である。従って、がん細胞が正常なアポトーシスマシナリーの欠陥によってアポトーシスプログラムを実行できないことは、しばしば、化学療法、放射線療法、又は免疫療法によって誘導されるアポトーシスに対する抵抗性の増加に関連する。アポトーシス欠陥による現在の処置プロトコールに対する種々の源のヒトのがんの一次性又は後天的抵抗性は、現在のがん処置療法における主要な問題である。従って、がん患者の生存率及びクオリティ・オブ・ライフを改善するための新規な分子の標的特異的抗がん治療法をデザインし、開発することに向けての現在及び将来の努力は、アポトーシスに対するがん細胞抵抗性を特異的に標的とするストラティジーを含んでいなければならない。この関連で、がん細胞におけるアポトーシスを直接阻害する重要な役割を演じる重大なネガティブレギュレーターを標的とすることは、新規な抗がん薬物デザインの極めて有望な治療ストラティジーに相当する。
p53腫瘍抑制遺伝子は、細胞周期の進行及びアポトーシスを制御する際に重要な役割を演じており、その腫瘍抑制活性が腫瘍細胞を絶滅させるように刺激することができるので、抗がん薬物デザインの関心をそそる治療標的である(非特許文献1)。p53の活性を刺激するアプローチは、非ペプチド小分子阻害剤を用いてタンパク質MDM2との相互作用の阻害を介している。MDM2及びp53は、自己制御性フィードバックループの一部分であり、MDM2は、p53によって転写的に活性化され、次いで少なくともMDM2が3つのメカニズムによってp53活性を阻害する(非特許文献2)。第一に、MDM2タンパク質がp53トランス活性化ドメインに直接結合し、それによってp53媒介性トランス活性化が阻害される。第二に、MDM2タンパク質には、細胞核輸出シグナル配列が含まれ、p53に結合するとp53の核輸出が誘導され、p53が標的DNAに結合することが妨げられる。第三に、MDM2タンパク質は、E3ユビキチンリガーゼであり、p53に結合するとp53の分解を促進することができる。それ故、p53活性の強力な内因性の細胞阻害剤として機能することによって、MDM2は、p53媒介性アポトーシス、細胞周期停止及びDNA修復を効果的に阻害する。それ故、MDM2に結合し、そしてNDM2とp53の間の相互作用をブロックする小分子阻害剤は、機能的p53を含む細胞内のp53の活性を促進し、そして、細胞周期停止、アポトーシス、又はDNA修復などのp53媒介性細胞作用を刺激することができる(非特許文献3、4)。
p53−MDM2相互作用を標的にする非ペプチド小分子阻害剤のデザインは現在、抗がん剤の関心をそそるストラティジーとして探求されている(非特許文献5、6)。この相互作用の構造ベースはX線結晶解析によって確立されている(非特許文献7)。
Fms様チロシンキナーゼ(FLT3)は、造血器系(hematopoietic system)に関与するクラスIII受容体チロシンキナーゼ(RTK)に属するタンパク質である(非特許文献8)。構造的には、RTKは、5つの免疫グロブリン様ドメインを含む細胞外領域、1つの膜近傍領域(JMドメイン)、キナーゼ挿入ドメイン(KIドメイン)が間に入っている2つのチロシンドメイン(TK1及びTK2)、及びC末端ドメインを有している。FLT3のリガンドは、骨髄中の間質細胞から発現され、膜結合形態又は可溶性形態で存在する。このリガンドは独立して、又は他のサイトカインと共に幹細胞を刺激する(非特許文献9)。それ故、FLとFLT3の間のリガンド受容体相互作用は、造血器系において重要な役割を演じていると考えられる。FLT3阻害剤であるFI−700による変異体FLT3、及びMDM2阻害剤であるヌトリン−3(Nutlin-3)によるp53の活性化の同時阻害のアポトーシス作用が報告されている(非特許文献10)。
高レベルのFLT3発現が、急性骨髄性白血病(AML)又は急性・慢性リンパ性白血病(ALL)に罹患している患者からの大部分の検体中で観察されている。高レベルのFLT3発現はまた、慢性骨髄性白血病(CML)に罹患している患者で見出されている。FLは、AML細胞と比較してAML細胞の増殖をより著しく促進するということで知られている(非特許文献11)。
FLT3における体細胞変異は、AML患者において見出される(非特許文献12)。こうした変異体では、遺伝子内縦列重複(internal tandem duplication)(ITD)が、FLT3遺伝子のJM領域をコードしている領域中で見出された。この重複配列は、それぞれの試料によって長さは様々であるけれども、エクソン11/12(現在、エクソン14−15)及びイントロン20を主として含み、そしてそれらは一般的に、拡大したインフレームのオープンリーディングフレームによってタンパク質内で翻訳可能な拡大したJMドメインを有する。このFLT3遺伝子内縦列重複(FLT3−ITD)変異は、AML患者の23%に見いだされた(非特許文献13)。
成人AMLの治療結果は、依然として満足できないままであり、新たな処置のアプローチが罹患した患者の予後を改善するのに必要である。1つの有望なアプローチは、p53とMDM2の結合を妨げる薬物(MDM2阻害剤)を使用することによるp53の化学的活性を包含している:がん細胞アポトーシスを誘発する遺伝毒性に関係のないアプローチ。MDM2阻害剤であるヌトリン(Nutlins)及びMI系を含む、p53とMDM2の結合を直接妨げる種々の化合物が開発されている(非特許文献14〜18)。現在利用可能な証拠によれば、ヌトリン又はMI系化合物によるMDM2阻害を介するp53の誘発が、p53タンパク質レベルの上昇、引き続いてp53媒介性アポトーシス、又はp53/p21媒介性細胞周期の停止をもたらすことが示されている(非特許文献19〜23)。
大部分は知られていない理由によって、非がん性細胞は、MDM2阻害剤媒介性アポトーシスに比較的抵抗性があり、そして通例、一過性の細胞周期停止を受ける(非特許文献24、25)。種々のp53ネットワーク/エフェクター分子の性質及びMDM2阻害剤誘発アポトーシスへの正確な寄与については同様に不明であり、従って、個々のp53エフェクター遺伝子又はシグナル伝達経路が、MDM2阻害剤誘発アポトーシスが起こるのに絶対的に必要であるかどうかは依然として知られていない(非特許文献26〜30)。
MDM2阻害剤誘発アポトーシスにおける内因性及び外因性アポトーシス経路の関与、並びにミトコンドリアアポトーシス分子に対するp53タンパク質の直接的作用の証拠が提供されており、従ってMDM2阻害剤媒介性アポトーシスは、機能的に冗長なアポトーシス経路を使用することが可能である(非特許文献31〜37)。
種々の細胞系におけるMDM2阻害剤に対する抵抗性メカニズムについての研究によって、損なわれていないp53が、MDM2阻害剤誘発アポトーシスが起こるのに必要でありうることが示されている(非特許文献38〜40)。更に不透明であることは、野生型p53状態は、感受性の予測因子として単独で、どのくらいの頻度で、どの様な細胞環境のもとで十分であるか、あるいはどんな他の感受性/抵抗性決定因子が使用可能であるかということである(非特許文献41〜43)。p53媒介性アポトーシスの提案制御因子のうちの2つは、MDM2及びMDMXであり、そしてこうしたタンパク質レベルの上昇が、種々の実験セッティングにおけるMDM2阻害剤の感受性に影響を与えることが示されている。それにもかかわらず、こうしたタンパク質の重要な役割を裏付ける利用可能な証拠は、実験系を通して最終的でもないし、一貫しておらず、従って、こうしたp53制御分子が、ヒト腫瘍のすべてにおいてMDM2阻害剤の有効性の重要な決定因子であるわけではないことが依然として起こりうる(非特許文献44〜46)。
どの白血病患者がMDM2阻害剤治療から利益を受ける可能性があるかを予測することが可能になるようなニーズが依然としてある。
Vogelstein et al., Nature 408:307 (2000) Wu et al., Genes Dev. 7:1126 (1993) Chene, Nat. Rev. Cancer 3:102 (2003) Vassilev et al., Science 303:844 (2004) Chene, Nat. Rev. Cancer 3:102 (2003) Vassilev et al., Science 303:844 (2004) Kussie et al., Science 274:948 (1996) Rosnet, O. et al., Genomics 9:380-385 (1991) Hannum, C. et al., Nature 368: 643-648 (1994) Kojima, K. et al., Leukemia 24: 33-43 (2010) Piacibello, W. et al., Blood 86: 4105-4114 (1995) Nakao, M. et al., Leukemia 10: 1911-1918 (1996) Kottaridis, P.D. et al., Blood 98: 1752 (2010) Shangary, S, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 105: 3933-3938 (2008) Vassilev, L.T., Trends Mo.l Med. 13:23-31 (2007) Vassilev, L.T. et al., Science 303:844-848 (2004) Ding, K. et al., J. Med. Chem. 49:3432-3435 2006 Shangary, S. et al., Clin. Cancer Res. 14:5318-5324 (2008) Vassilev, L.T. et al., Science 303:844-848 (2004) Kruse, J.P. et al., Cell. 137:609-622 (2009) Haupt, Y. et al., Nature 387:296-299 (1997) Kubbutat, M.H. et al., Nature 387:299-303 (1997) Kussie, P.H. et al., Science 274: 948-953 (1996) Secchiero, P. et al., Blood (2006) Stuhmer, T., et al., Blood 106:3609-3617 (2005) Kruse, J. et al., Cell 137:609-622 (2009) Tovar, C. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 103:1888-1893 (2006) Levine, A.J. et al., Nat. Rev. Cancer 9: 749-758 (2009) Villunger, A. et al., Science 302:1036-1038 (2003) Shibue, T. et al., Genes Dev. 17: 2233-2238 (2003))。 Vaseva, A.V. et al., Cell Cycle 8:1711-1719 (2009) Morselli, E. et al., Cell Cycle 8:1647-1648 (2009) Du, W. et al., J. Biol. Chem. 284: 26315-26321 (2009) Kojima, K. et al., Blood 108:993-1000 (2006) Kojima, K. et al., Blood 106:3150-3159 (2005) Vousden, K.H. et al., Cell 137: 413-431 (2009) Saddler, C. et al., Blood 111: 1584-1593 (2008))。 Secchiero, P. et al., Blood 107: 4122-4129 (2006) Saddler, C. et al., Blood 111: 1584-1593 (2008) Coll-Mulet, L. et al., Blood 107: 4109-4114 (2006) Secchiero, P. et al., Blood 113: 4300-4308 (2009) Kitagawa, M. et al., Oncogene 27: 5303-5314 (2008) Kitagawa, M. et al., Mol. Cell. 29: 217-231 (2008) Laurie, N.A. et al., Nature 444: 61-66 (2006) Hu, B. et al., J. Biol. Chem. 281: 33030-33035 (2006) Francoz, S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 103: 3232-3237 (2006)
本発明の簡単な概要
本明細書では、白血病を処置するための、ヒト対象を選択する方法が提供されている。ある種の実施形態では、この方法は、
(a)対象の細胞がFLT3−ITD変異を含むかどうかを決定すること、及び
(b)細胞が変異を含む場合に、白血病の処置対象を選択することを含んでなる。
また、白血病を処置する方法が提供されている。ある種の実施形態では、この方法は、MDM2阻害剤を、対象の細胞がFLT3−ITD変異を含む白血病に罹患しているヒト対象に投与することを含んでなる。
また、白血病を処置するためのヒト対象を選択する方法が提供される。ある種の実施形態では、この方法は、FLT3−ITD変異が存在するかどうかについて、対象の細胞を試験することを含んでなる。
また、白血病に罹患しているヒト対象における処置アウトカムを予測する方法が提供される。ある種の実施形態では、MDM2阻害剤をFLT3−ITD変異を有する対象に投与することが、対象における良好な治療応答を生じさせる可能性を増大させることになる。
MDM2阻害剤 MI−219(図1A)及びMI−63(図1B)に対するAML芽球(AML blasts)の抵抗性を描いている線グラフである。109の(MI−219)及び60の(MI−63)AML試料は、ネガティブ選択により>90%芽球純度に濃縮し、そしてMI−219又はMI−63の種々の濃度で40時間インキュベートした。試料をアネキシンV及びPI染色のために調製し、流動細胞計測法によって分析し、そして残留生存及び非アポトーシス細胞分画を、未処理対照アリコートと比較することによって各濃度で算出した。A.MI−219アッセイ結果。赤:p53配列変異体;緑:存在しないp53(absent p53)mRNAを有する症例;黒:野生型p53状態。B.MI−63アッセイ結果。赤:p53配列変異体;緑:存在しないp53mRNAを有する症例;黒:野生型p53状態。 19のAML細胞株のMI−219に対する感受性を描いている線グラフである。 MI−219、ヌトリン3(Nutlin3)又は外部照射で処置した後の初代AML芽球中の野生型及び変異p53レベルを描いている免疫ブロットである。AML芽球は、ネガティブ選択によって精製し、そして未処置の状態のままにするか、あるいはMI−219(5μM)、ヌトリン3(Nutlin 3)(5μM)又は1回の外部照射(5Gy)で8時間にわたって処置した。8時間後、細胞を溶解し、そしてタンパク質をSDS−PAGEによって分画した。各ゲルに更に内部標準として一定量のMOLM 13 AML細胞株ライセート(lysate)をローディングした(それぞれ、1.25、2.5及び5μgのMI−219で処理したライセート、又は5μgの未処理ライセート(UT)としてローディングした)。タンパク質をメンブレンに転写し、そして免疫ブロッティングのために抗p53抗体及び抗アクチン抗体で調製した。双方、p53及びアクチン用のフィルムを同時に展開した。MI−219に対するIC50値をカッコ内に示す。 MI−219、ヌトリン3(Nutlin3)又は外部照射で処置した後の初代AML芽球中の野生型及び変異p53レベルを描いている免疫ブロットである。AML芽球は、ネガティブ選択によって精製し、そして未処置の状態のままにするか、あるいはMI−219(5μM)、ヌトリン3(Nutlin 3)(5μM)又は1回の外部照射(5Gy)で8時間にわたって処置した。8時間後、細胞を溶解し、そしてタンパク質をSDS−PAGEによって分画した。各ゲルに更に内部標準として一定量のMOLM 13 AML細胞株ライセート(lysate)をローディングした(それぞれ、1.25、2.5及び5μgのMI−219で処理したライセート、又は5μgの未処理ライセート(UT)としてローディングした)。タンパク質をメンブレンに転写し、そして免疫ブロッティングのために抗p53抗体及び抗アクチン抗体で調製した。双方、p53及びアクチン用のフィルムを同時に展開した。MI−219に対するIC50値をカッコ内に示す。 MI−219で処理したAML芽球におけるMDM2 mRNA(図4A)及びmRNA MDMX(図4B)のレベルを描いている点グラフである。MDM2及びMDMX mRNAの正規化された発現レベルをFACSソーティングしたAML芽球に起源するRNAから作製したcDNAにおいて測定した。示されているようにMI−219 IC50値によってグループ化されたデルタCt値(delta Ct values)[(Ct平均値(MDM2又はMDMx)からCt平均値(PGK1)を差し引く(Ct mean MDM2 or MDMx − Ct mean PGK1)]が表示されている。赤の菱形は変異p53を有するAML芽球を示している。 AML患者の口腔内(buccal)試料(図5A)及び芽球試料(図5B)におけるp53レベルを描いている免疫ブロットである。図5Cは、LOH解析である。すべての患者に対してアフィメトリクスプログラムジェノタイピングコンソール(Affymetrix program Genotyping Console)を使用することによって作成されたファイルを、ソフトウェアツールPLUTを用いてLOH tool version 2に入れ込み、そして口腔内DNA及び対の腫瘍DNA(paired tumor DNA)の間のLOHの個々の位置がすべて、染色体長にわたり青のチェックマーク(tick mark)としてグラフ化された。すべての患者のすべてのSNPの位置のコピー数測定がdChipSNPによって記載の通り作成され、染色体長にわたり表示された。コピー数減少は青色で、コピー数増加は赤色で表示されている。A,B:SNP6.0アレイプロファイリングに基づいて17pにおける染色体コピー数変化のヒートマップの表示。青:コピー数減少;赤:コピー数増加。A:口腔内DNA。B:AML芽球DNA。C:17pにおけるLOH解析(対の芽球及び口腔内DNAを比較する)。赤ナンバリング:コピーニュートラルLOH(後天性片親性ダイソミー);黒:コピー数減少を伴うLOH。D:p53エクソン5−9変異解析結果。E:示されたMI−219 IC50値によってグループ化されたAML芽球における正規化されたp53mRNA発現。赤の菱形は、変異したp53を有するAML芽球を示す。 図5Dは、p53変異解析を説明している表である。図5Eは、QPCRによるp53発現を描いている点グラフである。すべての患者に対してアフィメトリクスプログラムジェノタイピングコンソール(Affymetrix program Genotyping Console)を使用することによって作成されたファイルを、ソフトウェアツールPLUTを用いてLOH tool version 2に入れ込み、そして口腔内DNA及び対の腫瘍DNA(paired tumor DNA)の間のLOHの個々の位置がすべて、染色体長にわたり青のチェックマーク(tick mark)としてグラフ化された。すべての患者のすべてのSNPの位置のコピー数測定がdChipSNPによって記載の通り作成され、染色体長にわたり表示された。コピー数減少は青色で、コピー数増加は赤色で表示されている。A,B:SNP6.0アレイプロファイリングに基づいて17pにおける染色体コピー数変化のヒートマップの表示。青:コピー数減少;赤:コピー数増加。A:口腔内DNA。B:AML芽球DNA。C:17pにおけるLOH解析(対の芽球及び口腔内DNAを比較する)。赤ナンバリング:コピーニュートラルLOH(後天性片親性ダイソミー);黒:コピー数減少を伴うLOH。D:p53エクソン5−9変異解析結果。E:示されたMI−219 IC50値によってグループ化されたAML芽球における正規化されたp53mRNA発現。赤の菱形は、変異したp53を有するAML芽球を示す。 MDM2阻害剤 MI−219に対する、種々のp53変異を有するAML芽球の感受性を描いている点グラフである。1)p53変異状態、ii)FLT3−ITDの存在、及びiii)他のすべてによって類別されているMI−219 IC50値の表示。FLT3−ITD+と他のすべての場合の間の平均IC50値の相違は、有意である(p=0.02)。
本発明の詳細な説明
急性骨髄性白血病(AML)に罹患している大部分の患者の生存率は依然としてわずかであり、治療結果を改善するために新規な治療アプローチが必要である。白血病細胞のMDM2阻害剤に対する感受性の詳細な特徴付けの結果が本明細書中で述べられている。一実施形態では、白血病は、急性リンパ性(ALL)である。一実施形態では、白血病は、慢性骨髄性(CML)である。別の実施形態では、処置される白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。
本明細書中で使用される際には、用語“急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia)(AML)”と“急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia)”は同義語である。
別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、M0タイプ(最未分化型急性骨髄芽球性白血病)(minimally differentiated acute myeloblastic leukemia)である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、M1タイプ(急性骨髄芽球性白血病(成熟なし))(acute myeloblastic leukemia, without maturation)である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、M2タイプ(急性骨髄芽球性白血病(顆粒球成熟あり)(acute myeloblastic
leukemia, with granulocytic maturation))である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、M3タイプ(前骨髄球性又は急性前骨髄球性白血病)(promyelocytic or acute promyelocytic leukemia)である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、M4タイプ(急性骨髄単球性白血病)(acute myelomonocytic leukemia)である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、M4eoタイプ(骨髄好酸球増多を伴う骨髄単球性)(myelomonocytic together with bone marrow eosinophilia)である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、M5aタイプ(急性単芽球性白血病)(acute monoblastic leukemia)である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、M5bタイプ(急性単球性白血病)(acute monocytic leukemia)である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、M6タイプ(急性赤白血病)(acute erythroid leukemia)である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、M6aタイプ(赤白血病)(erythro leukemia)である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、M6bタイプ(極めて稀な赤白血病)(very rare erythroid leukemia)である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、M7タイプ(急性巨核芽球性白血病)(acute megakaryoblastic leukemia)である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、M8タイプ(急性好塩基球性白血病)(acute basophilic leukemia)である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、急性好塩基球性白血病である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、急性好酸球性白血病である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、マスト細胞白血病である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、急性骨髄性樹状細胞白血病(acute myeloid dendritic cell leukemia)である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、骨髄線維症を伴う急性汎骨髄症である。別の実施形態では、急性骨髄性白血病は、骨髄性肉腫である。
一実施形態では、細胞は、白血病細胞である。別の実施形態では、細胞は、急性骨髄性白血病細胞である。
一局面では、開示は、白血病に罹患している患者のためのテーラーメード医療に関連し、そして個々の白血病患者のための結果が成功する高い可能性を有する処置選択肢を選択することを包含する。別の局面では、開示は、白血病に罹患している患者における処置アウトカム(例えば、良好な応答又は処置奏功の可能性)を予測するアッセイ(複数を含む)の使用に関連する。
本明細書中では、MDM2阻害剤で白血病を処置する患者、例えば、ヒト対象を選出する方法であって、生体試料、例えば、血球を患者から得ること、患者からの生体試料を、バイオマーカー、例えば、活性化変異(activation mutation)を持っているFLT3が存在しているかどうかを試験すること、及び生体試料が活性化変異を持っているFLT3を含んでいる場合に、処置患者を選択することを含んでなる、前記方法が提供される。一実施形態では、この方法は更に、生体試料がFLT3の活性化変異を含んでいる場合に、治療的に有効な量のMDM2阻害剤を患者に投与することを含んでなる。FLT3の活性化変異の例には、例えば、FLT3−ITD(遺伝子内縦列重複)変異及びFTL3−KD(チロシンキナーゼドメイン)変異が含まれる。
本明細書中では、白血病に罹患している患者における処置アウトカムを予測する方法であって、生体試料を患者から得ること、患者からの生体試料を、活性化変異を持っているFLT3が存在しているかどうかを試験することを含んでなり、活性化変異を検出する場合に、患者が治療的に有効な量のMDM2阻害剤を投与することに対して良好に応答することになることを指摘することを特徴とする、前記方法が提供される。良好な応答には、血液学的応答、例えば、患者の血球数−白血球数、赤血球数、及び血小板数(簡単な血液試験によって検出可能)の正常化;細胞遺伝学的応答、例えば、患者のフィラデルフィア染色体陽性細胞の数の減少又は消失(標準的な検査法によって検出可能)及び/又は分子応答、例えば、患者の異常なBCR−ABLタンパク質量の減少又は消失(PCRアッセイによって検出可能)が含まれるが、これらには限定されない。
本明細書中では、白血病を処置する方法であって、治療的に有効な量のMDM2阻害剤を、患者の細胞が活性化変異を持っているFLT3を含む、白血病に罹患している患者、例えば、ヒト対象に投与することを含んでなる、前記方法が提供される。一実施形態では、患者の細胞がFLT3−ITD変異を含んでいると確定された後、患者がMDM2阻害剤で処置するために選択される。一実施形態では、白血病に罹患している患者を処置する方法は、生体試料を患者から得ること、生体試料が活性化変異を持っているFLT3を含んでいるかどうかを決定すること、及び生体試料が活性化変異を持っているFLT3を含んでいる場合に、治療的に有効な量のMDM2阻害剤、例えば、チャート1の化合物を患者に投与することを含んでなる。
別の実施形態では、本明細書中で提供される方法は、更に患者の細胞がp53変異を含んでいるかどうかを決定することを含んでなる。
本明細書中で使用される際は、用語“バイオマーカー(biomarker)”は、患者のインビボで、あるいは患者から得られる生体試料中で検出及び/又は数量化することができる、任意の生体化合物、例えば、タンパク質、タンパク質の断片、ペプチド、ポリペプチド、核酸などを意味する。更に、バイオマーカーは、完全な損なわれていない分子であってもよいし、それともその一部分又は断片であってもよい。一実施形態では、このバイオマーカーの発現レベルが測定される。バイオマーカーの発現レベルは、例えば、バイオマーカーのタンパク質又はRNA(例えば、mRNA)レベルを検出することによって測定することができる。ある種の実施形態では、バイオマーカーの一部分又は断片は、例えば、抗体又は他の特異的な結合剤によって、検出又は測定することができる。ある種の実施形態では、バイオマーカーの測定可能な態様は、がんの具体的なステージなどの患者の所与の状態に関連している。タンパク質又はRNAレベルで検出されるバイオマーカーの場合には、こうした測定可能な態様は、例えば、患者体内、又は患者から得られる生体試料中のバイオマーカーの存在、不存在、又は濃度(すなわち、発現レベル)を含むことができる。核酸レベルで検出されるバイオマーカーの場合には、こうした測定可能な態様は、例えば、バイオマーカーの対立遺伝子バージョン、あるいはバイオマーカーの変異のタイプ、比率、及び/または程度が含むことができ、また本明細書中では変異状態とも呼ばれる。
タンパク質又はRNAの発現レベルに基づいて検出されるバイオマーカーの場合、例えば、異なるグループのバイオマーカーの発現レベルの平均値又は中央値が統計的に有意であると算出されるならば、異なる表現型状態(phenotypic statuses)の間で測定される発現レベルは異なっていると考えられうる。統計的有意性のための通例の試験には、とりわけ、t検定、分散分析(ANOVA)、クラスカル−ウォリス検定(Kruskal-Wallis)、ウィルコクソン検定(Wilcoxon)、マン・ホイットニー検定(Mann-Whitney)、マイクロアレイの有意性分析(Significance Analysis of Microarrays)、オッズ比(odds ratio)などが含まれる。バイオマーカーは、単独又は組み合わせて、対象が種々の表現型状態に属する相対的な可能性を測定することを可能にする。それ故、こうしたものはとりわけ、疾患のマーカーとして、そして具体的な治療計画が利益のある患者の結果をもたらす可能性があるインジケーターとして有用である。
この開示の一実施形態では、このバイオマーカーは、FLT3受容体(本明細書中ではFLT3とも呼ばれる)である。この開示の一実施形態では、FLT3レセプターの測定可能な態様は変異状態である。この開示の一実施形態では、変異状態は、FLT3レセプターのチロシンキナーゼ活性の増加及び/又はFLT3レセプターチロシンキナーゼの構成的活性化(constitutive activation)をもたらすものである。こうした変異は、例えば、膜近傍ドメイン(juxtamembrane domain)の1つ又は複数の遺伝子内縦列重複(ITD)及び/又はチロシンキナーゼドメイン(TKD)の1つ又は複数の変異を含む。
従って、この開示のいくつかの局面では、このバイオマーカーはFLT3であり、このFLT3は、別の表現型状態(例えば、変異を持っている細胞がない、正常で病気にかかっていない患者、又はがんに罹患している患者)と比べると、1つの表現型状態(例えば、変異を受けている細胞を持っているがん(例えば、白血病)に罹患している患者)の対象で特異的に見られる。
本明細書中で使用される際は、用語“バイオマーカー(biomarker)”は、個々の生体化合物(例えば、FLT3、p53)のほかに、群として、又はセットとしての複数の生体化合物を含むことを意図している。例えば、FLT3とp53の組み合わせは、バイオマーカーを構成することが可能である。従って、“バイオマーカー(biomarker)”は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個又はそれ以上の生体化合物を含むことができる。
患者のバイオマーカーの発現レベル又は変異状態の決定は、当技術分野で知られている任意の多くの方法を用いて行うことができる。患者または生体試料中の特定のタンパク質を定量化するための、並びに/あるいはFLT3及び/又はp53変異を検出するための当技術分野で知られた任意の方法は、この開示の方法で使用することができる。例としては、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、又はRT−PCR法、ノーザンブロット法、ウェスタンブロット法、ELISA(酵素結合免疫吸着法)、RIA(放射免疫測定法)、RNA発現の遺伝子チップ解析、免疫組織化学、又は免疫蛍光法(例えば、Slagle et al. Cancer 83:1401 (1998)参照)が含まれるが、これらに限定されない。この開示のいくつかの実施形態は、バイオマーカーRNA発現(転写)が決定される方法を含む。この開示の他のいくつかの実施形態は、生体試料中のタンパク質発現が決定される方法を含む。例えば、Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, (1988) 及びAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York 3rd Edition, (1995)を参照されたい。ノーザンブロット法又はRT−PCR解析の場合には、RNAはRNAseフリーの手法を用いて腫瘍組織試料から単離される。こうした手法は当技術分野で一般的に知られている。
患者のインビボで数量化するとき、FLT3又はその変異体などのタンパク質の発現レベルは、FLT3に特異的に結合する抗体を投与し(例えば、米国特許出願公開第2006/0127945号参照)、そして結合の程度を決定することによって確定することができる。この抗体は、例えば、炭素−11、窒素−13、酸素−15、及びフッ素−18などの放射性同位体を用いて検出可能に標識することができる。次いでこの標識を陽電子放出X線断層撮影法(PET)によって検出することができる。
この開示の一実施形態では、生体試料は、患者から得られ、そして生体組織検査において細胞はバイオマーカー発現又は変異状態の決定のためにアッセイされる。
この開示の一実施形態では、PET画像がバイオマーカー発現を決定するために使用される。
この開示の別の実施形態では、腫瘍細胞試料におけるバイオマーカー転写のノーザンブロット解析が行なわれる。ノーザン解析は、試料中のmRNAレベルを検出するための、及び/又は定量化するための標準的方法である。まず、ノーザンブロット解析を用いてアッセイする試料からRNAを単離する。この解析では、最初に、変性条件下においてアガロースゲル中で電気泳動によって、RNA試料をサイズ分離する。次いでRNAをメンブレンに転写し、標識プローブと架橋及びハイブリダイズさせる。通例、ノーザンハイブリダイゼーションには、放射性標識DNA又は非同位標識DNAをインビトロで重合させるか、あるいはハイブリダイゼーションプローブとしてのオリゴヌクレオチドの作成が必要である。通例、RNA試料を保持しているメンブレンは、プローブハイブリダイゼーションの前にプレハイブリダイズするか、あるいはブロックして、プローブがメンブレンをコートすることを防止し、すなわち、非特異的バックグラウンドシグナルを減少させる。ハイブリダイゼーション後、通例、緩衝液をいくつか変更して洗浄することにより、ハイブリダイズしなかったプローブを除去する。当技術分野の当業者であれば、洗浄条件およびハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを設計し、選択し、そして実施することができる。検出は、検出可能に標識されたプローブ及び適切な検出方法を用いて行うことができる。放射標識及び非放射標識プローブ及びそれらの使用については当技術分野に周知である。アッセイされているバイオマーカーの発現の存在及び又は相対的レベルは、例えば、デンシトメトリーを使用して定量化することができる。
この開示の別の実施形態では、バイオマーカーの発現及び/又は変異状態は、RT−PCRを使用して決定される。RT−PCRにより、標的遺伝子のPCR増幅の進行をリアルタイムで検出することが可能になる。この開示のバイオマーカーの発現及び/又は変異状態を検出するのに必要なプライマー及びプローブを設計することは、当技術分野の当業者の技術の範囲内である。RT−PCRは、腫瘍組織試料中にあるこの開示のバイオマーカーをコードするRNAのレベルを決定するのに使用することができる。この開示の一実施形態では、生体試料からのRNAは、RNAseフリーの条件下において単離され、その後逆転写酵素で処理することによりDNAに変換される。RNAからDNAへと逆転写酵素変換のための方法は、当技術分野において周知である。PCRについての説明は、次のレファレンスに提供されている:Mullis et al., Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 51:263 (1986); EP 50,424;EP 84,796;EP 258,017;EP 237,362;EP 201,184;米国特許第4,683,202号;同第4,582,788号;同第4,683,194号。
RT−PCRプローブは、標的アンプリコン(バイオマーカー遺伝子)にハイブリダイズされるオリゴヌクレオチドを加水分解するために、PCRに使用されるDNAポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性に依存する。RT−PCRプローブは、5’末端に結合する蛍光リポーター色素、及び3’末端に結合する消光部分を有する(又は逆の場合も同じ)オリゴヌクレオチドである。こうしたプローブは、PCR産物の内部領域にハイブリダイズするように設計されている。ハイブリダイズされていない状態では、蛍光分子と消光分子とが接近しているため、プローブからの蛍光シグナルの検出が妨げられる。PCR増幅中、RT−PCRプローブが結合するテンプレートをポリメラーゼが複製するとき、ポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性がプローブを切断する。これにより、蛍光色素と消光色素は結合せず、FRETはもはや生じない。すなわち、蛍光は各サイクルにおいて、プローブ切断量に比例した形で増加する。この反応から放出される蛍光シグナルは、商業的に入手可能な装置を用いて、ルーチンであり、かつ従来から行なわれている手法を使用して、時間と共に測定するか、あるいは追跡することができる。
この開示の更に別の実施形態では、バイオマーカーによってコードされているタンパク質の発現はウェスタンブロット解析によって検出される。ウェスタンブロット(また、イムノブロットとも呼ばれている)は、組織ホモジネート又は抽出物の所与の試料中のタンパク質検出のための方法である。これはゲル電気泳動を用いて、質量によって変性タンパク質を分離する。次いでタンパク質をゲルからメンブレン(例えば、ニトロセルロース又はポリビニリデンフルオリド(PVDF))上に転写し、特異的にタンパク質に結合する一次抗体を用いて検出する。次いで結合した抗体を検出可能な標識(例えば、ビオチン、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)でコンジュゲートする二次抗体によって検出することができる。二次標識シグナルの検出はタンパク質の存在を示す。
この開示の更に別の実施形態では、バイオマーカーによってコードされているタンパク質の発現は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって検出される。この開示の一実施形態では、“サンドイッチ ELISA(sandwich ELISA)”は、プレートを捕捉抗体でコートすること;存在する任意の抗原を捕捉抗体に結合する試料を加えること;更に抗原に結合する、検出する抗体を加えること;検出する抗体に結合する酵素結合二次抗体を加えること;及び二次抗体上の酵素によって検出可能な形態に変換する基質を加えることを含んでなる。二次抗体からのシグナルの検出は、バイオマーカー抗原タンパク質の存在を示す。
この開示の更に別の実施形態では、バイオマーカーの発現は、遺伝子チップ又はマイクロアレイを用いることによって評価される。こうした手法は当技術分野で保持されている通常のスキルの範囲内にある。
本明細書中で使用される際は、用語“生体試料(biological sample)”とは、FLT3−ITD変異状態のような、バイオマーカーを検出するのに適している患者からの任意の組織又は液体を意味する。有用な生体試料の例としては、生検組織及び/又は細胞、例えば、固形腫瘍、リンパ腺、炎症組織、病態又は疾患に関与している組織及び/又は細胞、血液、血漿、漿液、脳脊髄液(cerebrospinal fluid)、唾液、尿、リンパ液、脳脊髄液(cerebral spinal fluid)などが含まれるが、これらに限定されない。他の適切な生体試料は、該当する技術分野の当業者によく知られているところである。生体試料は、当技術分野で知られている任意の手法を用いてバイオマーカー発現及び/又は変異の有無を分析することができ、そして適切に臨床専門家の通常の知識の範囲内に含まれる手法を用いて得ることができる。この開示の一実施形態では、生体試料は血球を含んでなる。
本明細書中で使用される際は、“MDM2阻害剤(MDM2 inhibitor)”とは、MDM2活性を妨げる化合物をである。MDM2阻害剤は、当技術分野の当業者に周知である。例えば、Shangary, S. et al., Annual Review Of Pharmacology and Toxicology 49: 223-241 (2009);及びWeber, L. Expert Opinion On Therapeutic Patents 20: 179-191 (2010)を参照されたい。
別の実施形態では、MDM2阻害剤は、スピロオキシインドール化合物である。本明細書中で使用される際は、用語“スピロオキシインドールMDM2阻害剤(spiro-oxindole
MDM2 inhibitor)”とは、例えば、米国特許出願番号第61/260,685号;同第61/263,662号;同第61/413,094号、同第61/451,968号、同第11/360,485号(US 2006/0211757 A1);同第11/848,089号(US 2008/0125430 A1);若しくは同第12/945,511号、又は国際特許出願番号PCT/US2006/0062(WO 2006/091646)若しくは同PCT/US2007/019128(WO 2008/036168)中に開示されている化合物を意味する。特定の実施形態では、スピロオキシインドールMDM2阻害剤はチャート1の化合物である。別の特定の実施形態では、スピロオキシインドールMDM2阻害剤はチャート2の化合物である。チャート1の化合物は、蛍光偏光ベース生化学的結合アッセイ(fluorescence-polarization based biochemical binding assay)において、高親和性を有するヒトMDM2タンパク質に結合し、p53を有効的に活性化し、そして野生型p53を有する腫瘍細胞において細胞増殖阻害及び細胞死を誘発する。こうした化合物はヒトがんの異種移植モデルにおいて腫瘍増殖を有意に抑制することができ、その結果、こうした化合物が新規な抗がん薬物として有望であることが示唆されている。
Figure 2013523820
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Figure 2013523820
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別の実施形態では、MDM2阻害剤は、シス−イミダゾリン化合物である。本明細書中で使用される際は、用語“シス−イミダゾリンMDM2阻害剤(cis-imidazoline MDM2 inhibitor)”とは、例えば、米国特許番号第6,617,346号;同第6,734,302号;同第7,132,421号;同第7,425,638号;若しくは同第7,579,368号;又は米国特許出願公開番号第2005/0288287号又はU.S.2009/0143364中に開示されている化合物を意味する。シス−イミダゾリンMDM2阻害剤は通例、“ヌトリン(nutlin)”と呼ばれている。特定の実施形態では、このシス−イミダゾリンは、ヌトリン−1(Nutlin-1)、ヌトリン−2(Nutlin-2)、又はヌトリン−3(Nutlin-3)(チャート3;Vassilev, L.T. et al., Science 303:844-848 (2004)参照)である。
Figure 2013523820
別の実施形態では、MDM2阻害剤は、置換ピペリジン化合物である。本明細書中で使用される際は、用語“置換ピペリジンMDM2阻害剤(substituted piperidine MDM2 inhibitor)”とは、例えば、米国特許番号第7,060,713号又は同第7,553,833号中に開示されている化合物を意味する。
別の実施形態では、MDM2阻害剤はスピロインドリノン化合物である。本明細書中で使用される際は、用語“スピロインドリノンMDM2阻害剤(spiroindolinone MDM2 inhibitor)”とは、例えば、米国特許番号第6,916,833号;同第7,495,007号;又は同第7,638,548号中に開示されている化合物を意味する。
別の実施形態では、MDM2阻害剤はオキシインドール化合物である。本明細書中で使用される際は、用語“オキシインドールMDM2阻害剤(oxindole MDM2 inhibitor)”とは、例えば、U.S.7,576,082中に開示されている化合物を意味する。
別の実施形態では、MDM2阻害剤は、ジフェニル−ジヒドロ−イミダゾピリジノン化合物である。本明細書中で使用される際は、用語“ジフェニル−ジヒドロ−イミダゾピリジノンMDM2阻害剤(diphenyl-dihydro-imidazopyridinone MDM2 inhibitor)”とは、例えば、U.S.7,625,895中に開示されている化合物を意味する。
別の実施形態では、MDM2阻害剤は、イミダゾチアゾール化合物である。本明細書中で使用される際は、用語“イミダゾチアゾールMDM2阻害剤(imidazothiazole MDM2 inhibitor)”とは、例えば、U.S.2009/0312310中に開示されている化合物を意味する。
別の実施形態では、MDM2阻害剤は、デアザフラビン化合物である。本明細書中で使用される際は、用語“デアザフラビンMDM2阻害剤(deazaflavin MDM2 inhibitor)”とは、例えば、米国特許出願公開番号第2006/0211718号又は同第2010/0048593号中に開示されている化合物を意味する。
別の実施形態では、MDM2阻害剤は、ベンゾジアザピン化合物である。本明細書中で使用される際は、用語“ベンゾジアザピンMDM2阻害剤(benzodiazapine MDM2 inhibitor)”とは、例えば、U.S.2005/0227932中に開示されている化合物を意味する。
別の実施形態では、MDM2阻害剤は、イソインドリン−1−オン化合物である。本明細書中で使用される際は、用語“イソインドリン−1−オンMDM2阻害剤(isoindolin-1-one MDM2 inhibitor)”とは、例えば、U.S.2008/0261917中に開示
されている化合物を意味する。
別の実施形態では、MDM2阻害剤は、ボロン酸である。本明細書中で使用される際は、用語“ボロン酸MDM2阻害剤(boronic acid MDM2 inhibitor)”とは、例えば、米国特許出願公開番号第2009/0227542号又は同第2008/0171723号中に開示されている化合物を意味する。
別の実施形態では、MDM2阻害剤は、ペプチド又はポリペプチドである。本明細書中で使用される際は、用語“ペプチド性MDM2阻害剤(peptidic MDM2 inhibitor)”とは、例えば、U.S.7,083,983;U.S.2006/0211757 A1;U.S.2005/0137137;U.S.2002/0132977;U.S.2009/0030181;又はWO 2008/106507中に開示されている化合物を意味する。
別の実施形態では、MDM2阻害剤は、Shangary, S, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 105:3933-3938 (2008); Vassilev, L.T., Trends Mol. Med. 13:23-31 (2007); Vassilev, L.T. et al., Science 303:844-848 (2004); Ding, K. et al., J. Med. Chem. 49:3432-3435 2006; Shangary, S. et al., Clin. Cancer Res. 14:5318-5324 (2008); Chene, P., Molecular Cancer Research 2:20-28 (2004); Pazgier et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 106:4665-4670 (2009); U.S. 2008/0280769; U.S. 2008/0039472; U.S. 2009/0149493; 又はU.S. 2004/0171035のいずれかに開示されている化合物である。
別の実施形態では、MDM2阻害剤は、WO 2009/151069 A1;WO 2009/037343 A1(米国出願番号第12/678,680号);WO 2008/125487 A1(米国特許番号第7,625,895号);WO 2008/119741 A2(米国出願番号第12/593,721号);及びWO 2009/156735 A2のいずれかに開示されている化合物である。
特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、式I:
Figure 2013523820
{式中、
1a、R1b、R1c、及びR1dは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、場合により置換されていることもあるアルキル、ハロアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアルケニル、場合により置換されていることもあるシクロアルケニル、場合により置換されていることもあるアリール、場合により置換されていることもあるヘテロアリール、カルボキサミド、及びスルホンアミドから成る群より選択され;
2は、場合により置換されていることもあるアリール及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され;
3は、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されているこ
ともある(シクロアルキル)アルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアルケニル、場合により置換されていることもあるシクロアルケニル、場合により置換されていることもあるアリール、及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され;
4は、水素及び場合により置換されていることもあるアルキルから成る群より選択され;
5は、水素、場合により置換されていることもあるアルキル[ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、(シクロアルキル)アルキル((cycloalkyl)alkyl)、及び(ヘテロシクロ)アルキル((heterocyclo)alkyl)を含むが、これらに限定されない]、場合により置換されていることもあるシクロアルキル;場合により置換されていることもあるヘテロシクロ(optionally substituted heterocyclo)、
又は:
Figure 2013523820
[上式で、
6a及びR6bは、それぞれ、独立して、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C6アルキルから成る群より選択され;
7は、水素、場合により置換されていることもあるC1−C6アルキル、及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
8a及びR8bは、それぞれ、独立して、水素、場合により置換されていることもあるC1−C6アルキル、及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
又は
8a及びR8bは、それらが結合している炭素と一緒になって3員〜8員の、場合により置換されていることもあるシクロアルキルを形成し;
1は、−OR9a及び−NR9b9cから成る群より選択され;
9aは水素であり;
9bは、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、場合により置換されていることもあるヘテロアリール、−SO29d、及び−CONR9e9fから成る群より選択され;
9cは、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され;
又は
9b及びR9cは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4員〜8員の場合により置換されていることもあるヘテロシクロを形成し;
9dは、場合により置換されていることもあるアルキル及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
9e及びR9fは、それぞれ、独立して、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
又は
9e及びR9fは、それらが結合している窒素原子と一緒になって4員〜8員の、場合により置換されていることもあるヘテロシクロを形成し;
2は、−OR10及び−NR11a11bから成る群より選択され;
10は水素であり;
又は
9a及びR10の一方は、水素であり、そして他方は、代謝的に切断可能な基であり;
11aは、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、場合により置換されていることもあるヘテロアリール、−SO211c、及び−CONR11d11eから成る群より選択され;
11bは、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され;
又は
11a及びR11bは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4員〜8員の場合により置換されていることもあるヘテロシクロを形成し;
11cは、場合により置換されていることもあるアルキル及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
11d及びR11eは、それぞれ、独立して、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
又は
11d及びR11eは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4員〜8員の場合により置換されていることもあるヘテロシクロを形成し;
nは、1、2、3、4、又は5であり;
12a、R12b、R12c及びR12dは、それぞれ、独立して、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C6アルキルから成る群より選択され;
13は、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C6アルキルから成る群より選択され;
14は、水素、場合により置換されていることもあるC1−C6アルキル、及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
Zは、−OR15及び−NR16a16bから成る群より選択され;
又は
Z及びR14は、一緒になってカルボニル基、すなわち、C=Oを形成する。
15は、水素及び代謝的に切断可能な基から成る群より選択され;
16aは、−SO216c及び−CONR16d16eから成る群より選択され;
16bは、水素及び場合により置換されていることもあるアルキルから成る群より選択され;
16cは、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され;
16d及びR16eは、それぞれ、独立して、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され;
又は
16d及びR16eは、それらが結合している窒素原子と一緒になって4員〜8員のヘテロシクロを形成し;
oは、1、2、又は3であり;
pは、0、1、2、又は3であり;
17a、R17b、R17c及びR17dは、それぞれ、独立して、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C6アルキルから成る群より選択され;
18は、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C6アルキルから成る群より選択され;
19は、水素、場合により置換されていることもあるC1−C6アルキル、及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
20は、水素、場合により置換されていることもあるC1−C6アルキル、及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
21a及びR21bは、それぞれ、水素であり;
又は
21a及びR21bの一方は、水素であり、そして他方は、代謝的に切断可能な基であり;
qは、0、1、2、又は3であり;
rは、1、2、又は3であり;
22a、R22b、R22c、及びR22dは、それぞれ、独立して、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C6アルキルから成る群より選択され;
23は、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C6アルキルから成る群より選択され;
24は、−SO224a及び−CONR24b24cから成る群より選択され;
24aは、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され;
24b及びR24cは、それぞれ、独立して、水素、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され;
又は
24b及びR24cは、それらが結合している窒素原子と一緒になって4員〜8員のヘテロシクロを形成し;
s及びtは、それぞれ、独立して1、2、又は3である]であり;
Xは、O、S、及びNR’から成る群より選択され;
Yは、O、S、及びNR”から成る群より選択され;
R’は、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、アラルキル、及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
そして
R”は、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、アラルキル、及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され、
又は
4及びR5は、それらが結合している窒素と一緒になって4員〜8員の、場合により置換されていることもあるヘテロシクロを形成する}
の化合物、又はその立体異性体、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグである。
別の特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、式II:
Figure 2013523820
[式中、
1a、R1b、R1c、R1d、R2、R3、R4、R5、X、及びYは、式Iの場合に上記に述べられている意味を有する]
の化合物、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグである。
別の特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、式IIにおいて:
X及びYは、それぞれ、NHであり;
1a、R1b、R1c、及びR1dは、それぞれ、独立して、水素、クロロ、及びフルオロから成る群より選択され;
2は、場合によりクロロ若しくはフルオロで置換されていることもあるフェニルであり;
3は、C1−C6アルキルであり;
4は水素であり;
そして
5は、その立体異性体、例えば、エナンチオマーを含む、下記:
Figure 2013523820
[式中、
7は、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C4アルキルから成る群より選択され;
9a及びR10は、それぞれ、水素であり;
又は
9a及びR10の一方は、水素であり、そして他方は代謝的に切断可能な基であり;
9bは、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、場合により置換されていることもあるヘテロアリール、−SO29d、及び−CONR9e9fから成る群より選択され;
9cは、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され;
又は
9b及びR9cは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4員〜8員の場合により置換されていることもあるヘテロシクロを形成し;
9dは、場合により置換されていることもあるアルキル及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
9e及びR9fは、それぞれ、独立して、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
又は
9e及びR9fは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4員〜8員の場合により置換されていることもあるヘテロシクロを形成し;
11aは、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、場合により置換されていることもあるヘテロアリール、−SO211c、及び−CONR11d11eから成る群より選択され;
11bは、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され;
又は
11a及びR11bは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4員〜8員の場合により置換されていることもあるヘテロシクロを形成し;
11cは、場合により置換されていることもあるアルキル及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
11d及びR11eは、それぞれ、独立して、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
又は
11d及びR11eは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4員〜8員の場合により置換されていることもあるヘテロシクロを形成し;
14は、水素、C1−C4アルキル、又はC3−C6シクロアルキルから成る群より選択され;
15は、水素又は代謝的に切断可能な基であり;
16aは、−SO216c及び−CONR16d16eから成る群より選択され;
16bは、水素及び場合により置換されていることもあるアルキルから成る群より選択され;
16cは、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され;
16d及びR16eは、それぞれ、独立して、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され;
又は
16d及びR16eは、それらが結合している窒素原子と一緒になって4員〜8員のヘテロシクロを形成し;
19は、水素、場合により置換されていることもあるC1−C6アルキル、及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
20は、水素、場合により置換されていることもあるC1−C6アルキル、及び場合により置換されていることもあるシクロアルキルから成る群より選択され;
21a及びR21bは、それぞれ、水素であり;
又は
21a及びR21bの一方は、水素であり、そして他方は、代謝的に切断可能な基であり;
24は、−SO224a及び−CONR24b24cから成る群より選択され;
24aは、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され;
そして
24b及びR24cは、それぞれ、独立して、水素、場合により置換されていることもある
シクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され、
又は
24b及びR24cは、それらが結合している窒素原子と一緒になって4員〜8員のヘテロシクロを形成する]から成る群より選択される、
式IIの化合物、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグである。
特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、以下の化合物:
Figure 2013523820
から成る群より選択される化合物である。
別の特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、式IIa:
Figure 2013523820
[式中、
1a、R1b、R1c、R1d、R2、R3、R4、R5、X、及びYは、式Iの場合に上記に述べられている意味を有する]
の化合物、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグである。
別の特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、式IIaにおいて、
1a、R1b、R1c、及びR1dは、それぞれ、独立して、水素、フルオロ、及びクロロから成る群より選択され;
2は、
Figure 2013523820
[上式で、
25a、R25b、R25c、R25d、及びR25eは、それぞれ、独立して、水素、フルオロ、及びクロロから成る群より選択される]であり;
3は、場合により置換されていることもあるC1−C8アルキルであり;
4は、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C6アルキルから成る群より選択され;
5は、下記:
Figure 2013523820
[上式で、
14は、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C4アルキルから成る群より選択される]から成る群より選択され:
Xは、O、S、及びNR’から成る群より選択され;
Yは、O、S、及びNR”から成る群より選択され;
R’は、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C4アルキルから成る群より選択され;
そして
R”は、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C4アルキルから成る群より選択される、
化合物であって、ここでこの化合物は1つ又は複数の他の立体異性体を実質的に含まない、式IIaの化合物、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和若しくはプロドラッグである。
別の特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、式IIaにおいてR4が水素である式IIaの化合物、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグである。
別の特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、式IIaにおいてXがNHである式IIaの化合物、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグである。
別の特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、式IIaにおいてYがNHである式IIaの化合物、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグである。
別の特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、式IIaにおいてR3が−CH2C(CH33である式IIaの化合物、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグである。
別の特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、式IIaにおいて、R5が下記:
Figure 2013523820
から成る群より選択される式IIaの化合物、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグである。
別の特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、式IIaの化合物であって、式IIaにおいて、
1aは、水素であり;
1b、R1c、及びR1dは、それぞれ、独立して、水素、フルオロ、及びクロロから成る群より選択され;
3は、C4−C8アルキルであり;
4は、水素であり;
5は、下記:
Figure 2013523820
から成る群より選択され:
そして
X及びYは、NHである、
化合物、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグである。
別の特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、下記:
Figure 2013523820
Figure 2013523820
又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグから選択される。
別の特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、下記:
Figure 2013523820
又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグである。
特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、U.S.6,734,302中に記載されている阻害剤のうちのいずれかである。
例えば、MDM2阻害剤は、式III:
Figure 2013523820
{式中、
Rは−C=OR1であり;
ここで、R1は、C1−C4アルキル、−C=CHCOOH、−NHCH2CH22、−N(CH2CH2OH)CH2CH2OH、−N(CH3)CH2CH2NHCH3、−N(CH3)CH2CH2N(CH3)CH3、飽和の4員、5員及び6員の環、並びにヘテロ原子がS、N及びOより選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む飽和及び不飽和5員及び6員の環[この環は、場合により、低級アルキル、−C=O−R5、−OH、ヒドロキシで置換された低級アルキル、−NH2で置換された低級アルキル、N−低級アルキル、−SO2CH3、=O、−CH2C=OCH3、及びS、N及びOより選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5員及び6員の飽和の環より選択される基で置換されていることもある]より選択され、
上記において、
5は、H、低級アルキル、−NH2、−N−低級アルキル、ヒドロキシで置換されている低級アルキル、及びNH2で置換されている低級アルキルより選択され;
上記において、
2は、−N(CH3)CH3、−NHCH2CH2NH2、−NH2、モルホリニル及びピペラジニルより選択され;
1、X2及びX3は、独立して、−OH、C1−C2アルキル、C1−C5アルコキシ、−Cl、−Br、−F、−CH2OCH3、及び−CH2OCH2CH3より選択され;
又は
1、X2又はX3の1つは、Hであり、そして他の2つは、独立して、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、−Cl、−Br、−F、−CF3、−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、−OCH2CH23、−OCH2CF3、及び−OR4より選択され;
又は
1、X2又はX3の1つは、Hであり、そして他の2つは、それらが置換されているベンゼン環からの、2つの炭素原子及びそれらの間の結合と一緒になって、S、N、及びO、より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5員又は6員の飽和環を形成し、
上記において、
3は、−F、−OCH3、−N(CH3)CH3、少なくとも1つのヘテロ原子(上記において、へテロ原子はS、N及びOより選択される)を含む不飽和の5員及び6員の環より選択され;
上記において、
4は、3員〜5員の飽和の環であり;
そして
1及びY2は、それぞれ、独立して、−Cl、−Br、−NO2、−C≡N、及び−C≡CHより選択される}
の化合物、又はその製薬学的に許容される塩又はエステルである。
特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、下記:
Figure 2013523820
から成る群より選択される化合物(その立体異性体、例えば、エナンチオマーを含む)である。
特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、WO 2009/156735 A2中に記載されている阻害剤のうちのいずれかである。例えば、MDM2阻害剤は、式IV又はV:
Figure 2013523820
式IV及びVの双方において、
Xは、O、N又はSより選択され;
1は、水素、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヒドロキシアルキル、置換若しくは非置換アルキルアミン、置換若しくは非置換アリール、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換アラルキル、及び置換若しくは非置換ヘテロアラルキルより選択され;
2は、水素、置換若しくは非置換アルケニル、置換若しくは非置換アルキニル、置換若しくは非置換の分岐状のヒドロキシアルキル、6個又はそれより多い環炭素原子を有する置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルケニル、ヒドロキシアルキルアラルキル、ヒドロキシアルキルヘテロアラルキル、及びカルボン酸を含む基より選択され;
3は、水素、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヒドロキシアルキル、置換若しくは非置換アルキルアミン、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換アリール、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換アラルキル、及び置換若しくは非置換ヘテロアラルキルより選択され;及び
4−R7は、基R4、R5、R6及びR7を表し、この基R4、R5、R6及びR7は、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシ、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヒドロキシアルキル、置換若しくは非置換アルケニル、置換若しくは非置換アルキニル、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換ヘテロアラルキル、置換若しくは非置換アルキルアミン、置換若しくは非置換アルコキシ、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、カルボキシル、カルボニルメチルスルホン(carbonylmethylsulfone)、トリフルオロメチルスルホン(trifluoromethylsulfone)、シアノ及び置換若しくは非置換スルホンアミドより選択され;
上記において、
2が、置換若しくは非置換の分岐状のヒドロキシアルキルである場合には、Xは、O又はSであり;そして
上記において、
2が水素である場合には、R4−R7の少なくとも1つは、水素ではなく、そしてR3は、ベンゾイミダゾール誘導体又はベンゾイミダゾリン誘導体ではなく;そして
上記において、式Vで、6員の環は、0、1、又は2個のC=C二重結合を有していてもよい、
式IV又はVの化合物、又はその製薬学的に許容される塩である。
特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、WO 2009/1511069 A1中に記載されている阻害剤のうちのいずれかである。例えば、MDM2阻害剤は、式VI:
Figure 2013523820
の化合物、又はその製薬学的に許容される塩である。
置換基の可能性のある例には、以下が含まれる。式VIにおいて:
Ar1及びAr2は、それぞれ、独立して、場合により置換されていることもあるアリール及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より選択され;
1は、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、及び−COR1aから成る群より選択され;
1aは、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、及び場合により置換されていることもあるアリールから成る群より選択され;
2及びR3は、それぞれ、独立して、水素及び場合により置換されていることもあるアルキルから成る群より選択され;
又は
2及びR3は、一緒になって3員〜6員の場合により置換されていることもあるシクロアルキル又はヘテロシクロを形成し;
4及びR5は、それぞれ、独立して、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、及び場合により置換されていることもあるアリールから成る群より選択され;
Wは、下記:
Figure 2013523820
から成る群より選択され:
上式で、
6及びR7は、それぞれ、独立して、水素、ヒドロキシ及び場合により置換されていることもあるアルキルから成る群より選択され;
又は
6及びR7は、一緒になって3員〜6員の場合により置換されていることもあるシクロアルキル、又はオキソ、すなわち、C=Oを形成し;
8は、水素又は場合により置換されていることもあるアルキルから成る群より選択され;
9及びR10は、それぞれ、独立して、水素又は場合により置換されていることもあるアルキルから成る群より選択され;
又は
9及びR10は、一緒になって3員〜6員の場合により置換されていることもあるシクロアルキル又はヘテロシクロを形成し;
そして
Xは、炭素原子である。
特定の実施形態では、MDM2阻害剤は、式VIの化合物であり、上式で置換基の可能性のある例には、以下が含まれる。
式VIにおいて:
Ar1及びAr2は、それぞれ、独立して、場合により置換されていることもあるフェニル及び場合により置換されていることもあるピリジルから成る群より選択され;
1は、水素、場合により置換されていることもあるC1−C6アルキル、及び−COR1aから成る群より選択され;
1aは、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C6アルキルから成る群より選択され;
2及びR3は、それぞれ、独立して、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C6アルキルから成る群より選択され;
又は
2及びR3は、一緒になって3員〜6員の場合により置換されていることもあるシクロアルキルを形成し;
4及びR5は、それぞれ、独立して、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C6アルキルから成る群より選択され;
Wは、
Figure 2013523820
であり;
上式で、
6及びR7は、それぞれ、独立して、水素及び場合により置換されていることもあるC1−C6アルキルから成る群より選択され;
又は
6及びR7は、一緒になって3員〜6員の場合により置換されていることもあるシクロアルキル、又はオキソを形成する。
本明細書中で使用される際には、用語“代謝的に切断可能な基(metabolically cleavable group)”とは、代謝プロセスによって親分子から切断でき、水素で置換することができる基を意味する。代謝的に切断可能な基を含むある種の化合物は、プロドラッグであってもよく、すなわち、それらは薬理学的に不活性である。代謝的に切断可能な基を含む他のある種の化合物は、p53とMDM2の相互作用のアンタゴニストであってもよい。このような場合には、こうした化合物は、親分子の活性と比較してより高いか、より低いか、あるいは同等である。代謝的に切断可能な基の例には、スキーム1に図解したようなアミノ酸から誘導されるもの(例えば、US 2006/0241017 A1;US 2006/0287244 A1;及びWO 2005/046575 A2参照)、又はリン含有化合物(例えば、U.S.2007/0249564 A1参照)が含まれる。
Figure 2013523820
本明細書中で使用される際には、用語“製薬学的に許容される塩(pharmaceutically acceptable salt)”とは、標的動物(例えば、哺乳類)において生理学的に許容しうる本明細書中で提供される化合物の任意の塩(例えば、酸又は塩基との反応によって得られる)を意味する。本明細書中で提供される化合物の塩は、無機又は有機の酸及び塩基から誘導することができる。酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、スルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが含まれるが、これらに限定されない。それ自体製薬学的に許容されないが、シュウ酸などの他の酸は、その製薬学的に許容される酸付加塩を含む、本明細書中で提供される化合物を得る際の中間体として有用である塩の製造に使用することができる。
塩基の例には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニア、及び式NW4 +(ここで、WはC1-4アルキルである)の化合物などが含まれるが、これらに限定されない。
塩の例には、以下が挙げられるがそれらに限定されない:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、ショウノウスルホン酸塩(camphorsulfonate)、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩(flucoheptanoate)、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩(hemisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩化物(chloride)、臭化物(bromide)、ヨウ化物(iodide)、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシラート(tosylate)、ウンデカン酸塩など。他の塩の例としては、本明細書中で提供される化合物のアニオン化合物と、例えば、Na+、NH4 +、及びNW4 +(ここで、WはC1-4アルキル基である)などの適切なカチオンとの化合物が含まれる。治療用途の場合には、本明細書中で提供される化合物の塩が製薬学的に許容されるものとして想定されている。しかしながら、製薬学的に許容されるものではない酸と塩基の塩はまた、例えば、製薬学的に許容される化合物の製造又は精製に有用でありうる。
本明細書中で使用される際には、用語“溶媒和物(solvate)”とは、本明細書中で提供される化合物と、有機であっても、それとも無機あっても、1つ又は複数の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、しばしば水素結合を含む。いくつかの例では、例えば1つ又は複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子中に組み込まれるとき、溶媒和物は単離することが可能である。“溶媒和物(solvate)”は、溶液相及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。例示的な溶媒和物には、水和物、エタノール付加物、及びメタノール付加物が含まれる。
本明細書中で使用される際には、用語“一価の製薬学的に許容されるカチオン(monovalent pharmaceutically acceptable cation)”とは、非限定的に、アルカリ金属イオン、例えば、Na+及びK+のような無機カチオン、並びにアンモニウム及び置換アンモニウムイオン(非限定的に、例えば、NH4 +、NHMe3 +、NH2Me2 +、NHMe3 +及びNMe4 +)などの有機カチオンを意味する。
本明細書中で使用される際には、用語“二価の製薬学的に許容されるカチオン(divalent pharmaceutically acceptable cation)”とは、アルカリ土類金属カチオン、例えば、Ca2+及びMg2+などの無機カチオン(これらに限定されない)を意味する。
一価及び二価の製薬学的に許容されるカチオンの例は、例えば、 Berge et al. J. Pharm. Sci., 66:1-19 (1997)中に論じられている。
本明細書中で使用される際には、用語“治療的に有効な量(therapeutically effective amount)”とは、1つ又は複数の障害の症状の寛解をもたらし、又は障害の進行を妨げ、又は障害の退縮を起こさせるのに十分な治療剤の量を意味する。一例を示せば、がん、例えば、白血病の処置に関しては、一実施形態では、治療的に有効な量は、治療的応答、例えば、血球数の正常化、腫瘍増殖の比率の減少、腫瘍塊の減少、転移の数の減少、腫瘍増悪までの期間の増加、及び/又は少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも100%、又はそれ以上の生存期間の増加をもたらす治療剤の量を意味する。
用語“製薬学的に許容される担体(pharmaceutically acceptable carrier)”又は“製薬学的に許容されるビヒクル(pharmaceutically acceptable vehicle)”とは、標準的な製薬の担体、溶媒、界面活性剤、又はビヒクルのすべてを包含する。適切な製薬学的に許容されるビヒクルは、水性ビヒクル、非水性ビヒクルを含む。標準的な製薬担体及びそれらの製剤化は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA, 19th ed. 1995中に記載されている。
用語“アルキル(alkyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、1〜18の炭素、又は指示されている炭素の数を有する直鎖状又は分岐状の飽和脂肪族炭化水素を意味する(例えば、C1−C18は、1〜18の炭素を意味する)。一実施形態では、アルキルは、C1−C10アルキルである。別の実施形
態では、アルキルは、C1−C6アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、C1−C4アルキルである。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、n−オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシルなどが挙げられる。
用語“場合により置換されていることもあるアルキル(optionally substituted alkyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、上記に定義されるアルキルが、非置換であるか、あるいは、ヒドロキシ(すなわち、−OH)、ニトロ(すなわち、−NO2)、シアノ(すなわち、−CN)、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるヘテロアリール、場合により置換されていることもあるヘテロシクロ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキサミド、又はスルホンアミドより、独立して選択される、1つ、2つ又は3つの置換基で置換されているかのどちらかであることを意味する。一実施形態では、場合により置換されていることもあるアルキルは、2つの置換基で置換されている。別の実施形態では、場合により置換されていることもあるアルキルは1つの置換基で置換されている。別の実施形態では、置換基は、ヒドロキシル(すなわち、ヒドロキシアルキル)、場合により置換されていることもあるシクロアルキル(すなわち、(シクロアルキル)アルキル)、又はアミノ(すなわち、アミノアルキル)より選択される。例示的な場合により置換されていることもあるアルキル基としては、−CH2OCH3、−CH2CH2NH2、−CH2CH2NH(CH3)、−CH2CH2CN、−CH2SO2CH3、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
用語“アルキレニル(alkylenyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれよリ多い連結したメチレン基を含む二価のアルキルラジカルを意味する。例示的なアルキレニル基としては、−(CH2)−、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、などが挙げられる。
用語“場合により置換されていることもあるアルキレニル(optionally substituted alkylenyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、上記に定義されるアルキレニルが、非置換であるか、あるいは、場合により置換されていることもあるC1−C6アルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、及び場合により置換されていることもあるヘテロアリールから成る群より、独立して選択される、1つ、2つ、3つ、又は4つの置換基で置換されているかのどちらかであることを意味する。一実施形態では、場合により置換されていることもあるC1−C6アルキルは、メチルである。一実施形態では、場合により置換されていることもあるアリールは、場合により、1つ又は2つのハロ基(halo groups)で置換されていることもあるフェニルである。例示的な場合により置換されていることもあるアルキレニル基としては、−CH(CH3)−、−C(CH32−、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2CH(Ph)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−などが挙げられる。
用語“ハロアルキル(haloalkyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、1〜6個のハロ置換基を有する上記に定義されているアルキルを意味する。一実施形態では、ハロアルキルは、1個、2個又は3個のハロ置換基を有している。例示的なハロアルキル基としては、トリフルオロメチル、−CH2CH2Fなどが挙げられる。
用語“ヒドロキシアルキル(hydroxyalkyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、1つのヒドロキシ置換基を有する上記に定義されるアルキルを意味する。例示的なヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
用語“ジヒドロキシアルキル(dihydroxyalkyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、2つのヒドロキシル置換基を有する上記に定義されるアルキルを意味する。例示的なジヒドロキシアルキル基としては、その立体異性体を含む、−CH2CH2CCH3(OH)CH2OH、−CH2CH2CH(OH)CH(CH3)OH、−CH2CH(CH2OH)2、−CH2CH2CH(OH)C(CH32OH、−CH2CH2CCH3(OH)CH(CH3)OHなどが挙げられる。
用語“ヒドロキシシクロアルキル(hydroxycycloalkyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、少なくとも1つ、例えば、1つ又は2つのヒドロキシ置換基を有する下記に定義される、場合により置換されていることもあるシクロアルキルを意味する。例示的なヒドロキシシクロアルキル基としてはその立体異性体を含む下記:
Figure 2013523820
などが挙げられる
用語“場合により置換されていることもある(シクロアルキル)アルキル(optionally
substituted(cycloalkyl)alkyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、場合により置換されていることもあるシクロアルキル(下記に定義されている)置換基を有する上記に定義される、場合により置換されていることもあるアルキルを意味する。例示的な場合により置換されていることもある(シクロアルキル)アルキル基としては、その立体異性体を含む、下記:
Figure 2013523820
などが挙げられる
用語“アラルキル(aralkyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基
の一部分として使用される際には、1つ、2つ又は3つの、場合により置換されていることもあるアリール置換基を有する上記に定義される、場合により置換されていることもあるアルキルを意味する。一実施形態では、アラルキルは、2つの、場合により置換されていることもあるアリール置換基を有する。別の実施形態では、アラルキルは、1つの、場合により置換されていることもあるアリール置換基を有する。別の実施形態では、アラルキルは、アリール(C1−C4アルキル)である。別の実施形態では、アリール(C1−C4アルキル)は、2つの、場合により置換されていることもあるアリール置換基を有する。別の実施形態では、アリール(C1−C4アルキル)は、1つの場合により置換されていることもあるアリール置換基を有する。例示的なアラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェニルエチル、(4−フルオロフェニル)エチル、フェニルプロピル、ジフェニルメチル(すなわち、Ph2CH−)、ジフェニルエチル(Ph2CHCH2−)などが挙げられる。
用語“シクロアルキル(cycloalkyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、3〜12個の炭素原子(すなわち、C3−C12シクロアルキル)又は指示された炭素数を有する、1〜3個の環を含む飽和及び部分的に不飽和(1つ又は2つの二重結合を含む)の環状の炭化水素基を意味する。一実施形態では、シクロアルキルは1個の環を有する。別の実施形態では、シクロアルキルは、C3−C6シクロアルキルである。例示的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ノルボルニル、デカリン、アダマンチルなどが挙げられる。
用語“場合により置換されていることもあるシクロアルキル(optionally substituted
cycloalkyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、上記に定義されているシクロアルキルが、非置換であるか、あるいは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、場合により置換されていることもあるアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アラルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアルケニル、場合により置換されていることもあるアルキニル、場合により置換されていることもあるアリール、場合により置換されていることもあるヘテロアリール、場合により置換されていることもあるヘテロシクロ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキサミド又はスルホンアミドより、独立して選択される、1つ、2つ又は3つの置換基で置換されているかのどちらかであることを意味する。用語“場合により置換されていることもあるシクロアルキル(optionally substituted cycloalkyl)”はまた、上記に定義されるシクロアルキルが場合により置換されていることもあるアリールと縮合している場合もありうることを意味する。例示的な場合により置換されていることもあるシクロアルキル基としては、
Figure 2013523820
などが挙げられる。
用語“アルケニル(alkenyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、1つ、2つ又は3つの炭素−炭素二重結合を含む上記に定義されるアルキル基を意味する。一実施形態では、アルケニルは、1つの炭素−炭素二重結合を有している。例示的なアルケニル基としては、−CH=CH2、−CH2CH=CH2、−CH2CH2CH=CH2、−CH2CH2CH=CHCH3などが挙げられる。
用語“場合により置換されていることもあるアルケニル(optionally substituted alkenyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、上記に定義されるアルケニルが、非置換であるか、あるいは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、場合により置換されていることもあるアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アラルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアルケニル、場合により置換されていることもあるアルキニル、場合により置換されていることもあるアリール、場合により置換されていることもあるヘテロアリール、場合により置換されていることもあるヘテロシクロ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキサミド又はスルホンアミドより、独立して選択される1つ、2つ又は3つの置換基で置換されているかのどちらかであることを意味する。例示的な場合により置換されていることもあるアルケニル基としては、−CH=CHPh、−CH2CH=CHPhなどが挙げられる。
用語“シクロアルケニル(cycloalkenyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、1つ、2つ又は3つの炭素−炭素二重結合を含む上記に定義されるシクロアルキル基を意味する。一実施形態では、シクロアルケニルは、1つの炭素−炭素二重結合を有している。例示的なシクロアルケニル基としては、シクロペンテン、シクロヘキセンなどが挙げられる。
用語“場合により置換されていることもあるシクロアルケニル(optionally substituted cycloalkenyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、上記に定義されるシクロアルケニル基が、非置換であるか、あるいは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、場合により置換されていることもあるアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アラルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアルケニル、場合により置換されていることもあるアルキニル、場合により置換されていることもあるアリール、場合により置換されていることもあるヘテロアリール、場合により置換されていることもあるヘテロシクロ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキサミド又はスルホンアミドより、独立して選択される、1つ、2つ又は3つの置換基で置換されているかのどちらかであることを意味する。
用語“アルキニル(alkynyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、1〜3個の炭素−炭素三重結合を含む上記に定義されるアルキル基を意味する。一実施形態では、アルキニルは、1個の炭素−炭素三重結合を有する。例示的なアルキニル基としては、−C≡CH、−C≡CCH3、−CH2C≡CH、−CH2CH2C≡CH及び−CH2CH2C≡CCH3が挙げられる。
用語“場合により置換されていることもあるアルキニル(optionally substituted alkynyl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、上記に定義されるアルキニルが、非置換であるか、あるいは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、場合により置換されていることもあるアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アラルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアルケニル、場合により置換されていることもあるアルキニル、場合により置換されていることもあるアリール、場合により置換されていることもあるヘテロアリール、場合により置換されていることもあるヘテロシクロ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキサミド又はスルホンアミドより、独立して選択される、1つ、2つ又は3つの置換基で置換されているかのどちらかであることを意味する。例示的な場合により置換されていることもあるアルキニル基(alkenyl groups)としては、−C≡CPh、−CH2C≡CPhなどが挙げられる。
用語“アリール(aryl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、6〜14個の炭素原子(すなわち、C6−C14アリール)を有する単環及び二環の芳香族式環系を意味し、例えば、フェニル(Phと略す)、1−ナフチル及び2−ナフチルなどがある。
用語“場合により置換されていることもあるアリール(optionally substituted aryl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、上記に定義されるアリールが、非置換であるか、あるいは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、場合により置換されていることもあるアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アラルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアルケニル、場合により置換されていることもあるアルキニル、場合により置換されていることもあるアリール、場合により置換されていることもあるヘテロアリール、場合により置換されていることもあるヘテロシクロ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキサミド又はスルホンアミドより、独立して選択される1〜5個の置換基で置換されるているかのどちらかであることを意味する。一実施形態では、場合により置換されていることもあるアリールは、場合により置換されていることもあるフェニルである。一実施形態では、場合により置換されていることもあるフェニルは、4つの置換基を有する。別の実施形態では、場合により置換されていることもあるフェニルは、3つの置換基を有する。別の実施形態では、場合により置換されていることもあるフェニルは、2つの置換基を有する。別の実施形態では、場合により置換されていることもあるフェニルは、1つの置換基を有する。例示的な置換アリールとしては、2−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、2−ブロモフェニル、3−メチルフェニル、3−メトキシフェニル、3−フルオロフェニル、3−クロロフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、2,6−ジ−フルオロフェニル、2,6−ジ−クロロフェニル、2−メチル、3−メトキシフェニル、2−エチル、3−メトキシフェニル、3,4−ジ−メトキシフェニル、3,5−ジ−フルオロフェニル、3,5−ジ−メチルフェニル及び3,5−ジメトキシ、4−メチルフェニル、2−フルオロ−3−クロロフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニルなどが挙げられる。用語「場合により置換されていることもあるアリール」は、縮合された、場合により置換されていることもあるシクロアルキル環、及び縮合された、場合により置換されていることもあるヘテロシクロ環を有する基を包含することを意図している。
例には、
Figure 2013523820
などがある。
用語“ヘテロアリール(heteroaryl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、5〜14個の炭素原子(すなわち、C5-14ヘテロアリール)、そして酸素、窒素及び硫黄から成る群より、独立して、選択される1つ、2つ、3つまたは4つのヘテロ原子を有する単環及び二環の芳香族式環系を意味する。一実施形態では、ヘテロアリールは、3つのヘテロ原子を有する。一実施形態では、ヘテロアリールは、2つのヘテロ原子を有する。一実施形態では、ヘテロアリールは、1つのヘテロ原子を有する。例示的なヘテロアリール基の例としては、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、プリニル、2−ベンゾイミダゾリル、4−ベンゾイミダゾリル、5−ベンゾイミダゾリル、2−ベンゾチアゾリル(2-benzthiazolyl)、4−ベンゾチアゾリル(4-benzthiazolyl)、5−ベンゾチアゾリル(5-benzthiazolyl)、5−インドリル、3−インダゾリル、4−インダゾリル、5−インダゾリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、2−キノリル、3−キノリル、6−キノリルなどが挙げられる。用語「ヘテロアリール」は、可能なN−オキシドを包含することを意図している。例示的なN−オキシドとしては、ピリジル N−オキシドなどが挙げられる。
用語“場合により置換されていることもあるヘテロアリール(optionally substituted
heteroaryl)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、上記に定義されるヘテロアリールが、非置換であるか、あるいは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、場合により置換されていることもあるアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アラルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアルケニル、場合により置換されていることもあるアルキニル、場合により置換されていることもあるアリール、場合により置換されていることもあるヘテロアリール、場合により置換されていることもあるヘテロシクロ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキサミド又はスルホンアミドより、独立して選択される、1〜4個の置換基、通例、1又は2個の置換基で置換されているかのどちらかであることを意味する。一実施形態では、場合により置換されていることもあるヘテロアリールは、1個の置換基を有する。別の実施形態では、置換基は、場合により置換されていることもあるアリール、アラルキル、又は場合により置換されていることもあるアルキルである。別の実施形態では、置換基は、場合により置換されていることもあるフェニルである。任意の利用可能な炭素原子又は窒素原子が置換されうる。例示的な、場合により置換されていることもあるヘテロアリール基としては、下記:
Figure 2013523820
などが挙げられる。
用語“ヘテロシクロ(heterocyclo)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、2〜12個の炭素原子(すなわち、C2-12ヘテロシクロ)、そして1つ又は2つの酸素、硫黄又は窒素原子を有する、1〜3個の環を含む飽和及び部分的に不飽和の(1つ又は2つの二重結合を含む)環状の基を意味する。ヘテロシクロは、場合により炭素原子又は窒素原子を介して分子の残りと連結していることもありうる。例示的なヘテロシクロ基としては、以下:
Figure 2013523820
などが挙げられる。
用語“場合により置換されていることもあるヘテロシクロ(optionally substituted heterocyclo)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、上記に定義されるヘテロシクロが、非置換であるか、あるいは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、場合により置換されていることもあるアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アラルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアルケニル、場合により置換されていることもあるアルキニル、場合により置換されていることもあるアリール、場合により置換されていることもあるヘテロアリール、場合により置換されていることもあるヘテロシクロ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキサミド、スルホンアミド、−CORc、−SO2d、−N(Re)CORf、−N(Re)SO2g又は−N(Re)C=N(Rh)−アミノ[上記において、Rcは、水素、場合により置
換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、又は場合により置換されていることもあるヘテロアリールであり;Rdは、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、又は場合により置換されていることもあるヘテロアリールであり;Reは、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、又は場合により置換されていることもあるヘテロアリールであり;Rfは、水素、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、又は場合により置換されていることもあるヘテロアリールであり;Rgは、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、又は場合により置換されていることもあるヘテロアリール;そしてRhは、水素、−CN、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるアリール、又は場合により置換されていることもあるヘテロアリールである]より、独立して選択される、1〜4個の置換基で置換されているかのどちらかであることを意味する。置換基は、任意の利用可能な炭素又は窒素原子上に存在することができる。例示的な置換されたヘテロシクロ基としては、以下:
Figure 2013523820
などが挙げられる。場合により置換されていることもあるヘテロシクロは、アリール基と縮合し、上記に述べられている、場合により置換されていることもあるアリールを提供する。
用語“アルコキシ(alkoxy)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、末端の酸素原子に結合しているハロアルキル、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアルケニル、又は場合により置換されていることもあるアルキニルを意味する。例示的なアルコキシ基としては、メトキシ、tert−ブトキシ、−OCH2CH=CH2などが挙げられる。
用語“アリールオキシ(aryloxy)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、末端の酸素原子に結合している場合により置換されていることもあるアリールを意味する。例示的なアリールオキシ基としては、フェノキシなどが挙げられる。
用語“アラルキルオキシ(aralkyloxy)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、末端の酸素原子に結合しているアラルキルを意味する。例示的なアラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシが挙げられる。
用語“アルキルチオ(alkylthio)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、末端の硫黄原子に結合しているハロアルキル、アラルキル、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるアルケニル、又は場合により置換されていることもあるアルキニルを意味する。例示的なアルキルチオ基(alkyl groups)としては、−SCH3などが挙げられる。
用語“ハロ(halo)”又は“ハロゲン(halogen)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。一実施形態では、ハロは、フルオロ又はクロロである。
用語“アミノ(amino)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、式−NRab[式中、Ra及びRbは、独立して水素、ハロアルキル、アラルキル、場合により置換されていることもあるアルキル、場合により置換されていることもあるシクロアルキル、場合により置換されていることもあるヘテロシクロ、場合により置換されていることもあるアリール、又は場合により置換されていることもあるヘテロアリールであるか;又はRa及びRbは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4員〜7員の、場合により置換されていることもあるヘテロシクロを形成する]のラジカルを意味する。例示的なアミノ基としては、−NH2、−N(H)CH3、−N(CH32、−N(H)CH2CH3、−N(CH2CH3)、−N(H)CH2Phなどが挙げられる。
用語“カルボキサミド(carboxamido)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、式−CO−アミノのラジカルを意味する。例示的なカルボキサミド基としては、−CONH2、−CON(H)CH3、−CON(H)Ph、−CON(H)CH2CH2Ph、−CON(CH32、−CON(H)CHPh2などが挙げられる。
用語“スルホンアミド(sulfonamido)”とは、本明細書中でそれ自身単独で、あるいは別の基の一部分として使用される際には、式−SO2−アミノのラジカルを意味する。例示的なスルホンアミド基としては、−SO2NH2、−SO2N(H)CH3、−SO2N(H)Phなどが挙げられる。
本明細書中で使用される際には、用語“約(about)”とは、記載の数値±10%を含む。すなわち、“約10(about 10)”は、9〜11を意味する。
いくつかのMDM2阻害剤は、光学異性体を含む立体異性体として存在しうる。本明細書中で提供される方法及び組成物は、純粋な個々の立体異性体調製物及びそれぞれの濃縮調製物の双方、そしてこうした立体異性体のラセミ体混合物並びに当技術分野の当業者に周知である方法に従って分離することができる個々のジアステレオマー及びエンンチオマーの双方、すべての立体異性体の使用を含む。
本明細書中で使用される際には、用語“実質的にフリーの(substantially free of)”とは、当技術分野の当業者によって定常的に使用されている従来から行なわれている解析方法を用いて確立しているように、化合物が約25%未満の他の立体異性体、例えば、ジアステレオマー及び/又はエナンチオマーを含むことを意味している。いくつかの実施形態では、他の立体異性体の量は、約24%未満、約23%未満、約22%未満、約21%未満、約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、又は約0.5%未満である。
対象の細胞がFLT3の活性化変異を含んでいるかどうか、すなわち、こうした変異に検査で陽性であるかどうかを決定する方法は当技術分野の当業者に周知である。例えば、Kiyoi et al., 米国特許番号第7,125,659号; Kottaridis, P.D. et al., Blood 98: 1752
(2010); Sawyers, C.L., Cold Spring Harbor Symposia On Quantitative Biology LXX:
479 (2005); 及び Vande Woude, G.F. et al., Clinical Cancer Research 10: 3897 (2004)参照。
対象の細胞がp53遺伝子中に少なくとも1つの変異を含んでいるか否か、すなわち、こうした変異(複数を含む)に陽性であるかどうかを決定する方法もまた当技術分野の当業者に周知である。例えば、Flaman, J.-M., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 3963-3967 (1995)参照。一実施形態では、この変異(複数を含む)は、遺伝子の直接シークエンスによって検出される。別の実施形態では、この変異(複数を含む)は、PCRによって検出される。
対象の細胞がFLT3−ITD又はp53遺伝子変異のような活性化変異を有するFLT3を含むかどうかを決定する当事者は、白血病の処置のための対象を選択する当事者と同じであってもよいし、同じでなくてもよい。一実施形態では、1つの当事者が対象の細胞がFLT3又はp53遺伝子変異を含んでいるかどうかを決定し、そして白血病の処置のための対象を選択する。別の実施形態では、単一の当事者、例えば、解析アッセイサービス(analytical assay service)が対象の細胞がFLT3−ITD又はp53遺伝子変異を含んでいるかどうかを決定し、別の当事者、例えば、医師又はヘルスケア専門家が、解析アッセイサービスによって提供された結果をレビューすることによって白血病の処置のための対象を選択する。
本明細書中で使用される際には、用語“抗がん剤(anticancer agent)”とは、がん(例えば、哺乳類、例えば、ヒト)の処置に使用されるあらゆる治療剤(例えば、化学療法化合物及び/又は分子治療化合物)、アンチセンス療法、放射線療法、又は外科的介入を意味する。白血病の処置のための抗がん剤としては、リン酸フルダラビン、クラドリビン、クロファラビン(clofarbine)、ラロムスチン、及びara−Cが挙げられるが、これらに限定されない(Grant, S., Best Pract. Res. Clin. Haematol. 22:501-507 (2009))。抗がん剤は当技術分野の当業者に周知である(参照:the Physician's Desk Reference and Goodman and Gilman's “Pharmaceutical Basis of Therapeutics” tenth edition(第10版), Eds. Hardman et al., 2002を含む様々な教育マニュアルを含むが、これに限定されない)。
一実施形態では、白血病は、MDM2阻害剤及び少なくとも1つの他の抗がん剤を投与することによって処置される。一実施形態では、他の抗がん剤は、FLT3阻害剤である。別の実施形態では、FLT3阻害剤は、FI−700である。別の実施形態では、FLT3阻害剤は、セマキシニブ、スニチニブ(SU11248)、レスタウルチニブ(CEP−701)、ミドスタウリン(PKC412)、ソラフェニブ、タンヅチニブ、KW−2449、AC220、AG1295、AG1296、AGL2043、D64406、SU5416、SU5614、MLN518、GTP−14564、Ki23819、及びCHIR−258である(例えば、Small, D., Hematology Am. Soc. Hematol. Educ. Program 178-84 (2006) 及び Grant, S., Best Pract. Res. Clin. Haematol. 22:501-507 (2009)参照)。
109人の患者由来のAML芽球におけるMDM2阻害剤MI−219を用いるエクソビボ(ex vivo)での処置に対する感受性及び抵抗性の詳細な特性解析(characterization)が本明細書中に提供されている。以前の観察と合致して、p53変異を伴うAML症例では全て、MI−219に抵抗性があった。重要なことには、変異のないp53の場合でも約30%のAML症例で、MI−219に対して一次性抵抗性(primary resistance)を示したことである。野生型p53を用いる、AML芽球におけるMI−219抵抗性に関連する可能性のあるメカニズムの解析によると、MDM2阻害剤処置あるいは外部放射線処理の後の低いか、あるいは存在しないp53タンパク質の誘導を含めて、はっきりと識別できる分子欠損が明らかとなった。更に、抵抗性芽球の別々のサブセットは、MI−219処置の後、強いp53タンパク質の誘導を示し、p53タンパク質機能の欠陥又はアポトーシスp53ネットワークの欠陥を示した。最後に、極めて感受性のあるAML症例解析では、変異したFlt3状態(FLT3−ITD)との強い、かつ顕著な関連が明らかとなり、これによってとりわけMDM2阻害剤処置の利益を享受しうる臨床的にハイリスクのあるAML群がはじめて特定された。
本明細書中で提供されうる方法の一実施形態では、MDM2阻害剤及び所望による1つ又は複数の他の抗がん剤が、1つ又は複数の下記の条件下の対象に投与される:種々の周期で、種々の期間で、種々の濃度で、種々の投与ルートによってなど。別の実施形態では、MDM2阻害剤は、他の抗がん剤の前、例えば、他の抗がん剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、又は18時間前、1、2、3、4、5、又は6日前、あるいは1、2、3、又は4週間前に投与される。別の実施形態では、MDM2阻害剤は、他の抗がん剤の後、例えば、他の抗がん剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、又は18時間後、1、2、3、4、5、又は6日後、あるいは1、2、3、又は4週間後に投与される。
別の実施形態では、MDM2阻害剤及び所望による別の抗がん剤は、同時に投与されるが、異なるスケジュールで投与され、例えば、MDM2阻害剤は、他の抗がん剤が、1週間に一度、2週間に一度、3週間に一度、又は4週間に一度投与される間、毎日投与される。別の実施形態では、MDM2阻害剤は、他の抗がん剤が、毎日、1週間に一度、2週間に一度、3週間に一度、又は4週間に一度投与される間、1週間に一度投与される。
本明細書中で提供される組成物は、本明細書中で提供される化合物がその意図する目的を達成するのに有効である量で存在するすべての組成物を含む。個々の必要性によって異なるけれども、それぞれの成分の有効な量の最適な範囲の決定は、本明細書の記載の通り決定することができる。通例、MDM2阻害剤は、哺乳類、例えば、ヒトに、アポトーシスの誘導に応答する障害の場合に処置される哺乳類の体重当たり、1日、経口的に0.0025〜50mg/kgの投与量で、あるいはその製薬学的に許容される塩の等価の量で投与することができる。一実施形態では、約0.01〜から約25mg/kgが、こうした障害を処置し、改善し、又は防止するために経口的に投与される。筋肉内注入の場合には、一般的に、投与量は経口での投与量の約半分である。例えば、適切な筋肉内での投与量は、約0.0025〜約25mg/kg、又は約0.01〜約5mg/kgであろう。
単位経口投与量は、約0.01〜約1000mg、例えば、約0.1〜約100mgのMDM2阻害剤を含みうる。この単位投与量は、それぞれ化合物又はその溶媒和物の約0.1〜約10mg、好都合には約0.25〜50mgを含む1つ又は複数の錠剤又はカプセルとして、1日、1回又は複数回投与しうる。
局所製剤では、MDM2阻害剤は、担体1グラムあたり約0.01〜100mgの濃度で存在することができる。一実施形態では、MDM2阻害剤は、約0.07〜1.0mg/ml、例えば、約0.1〜0.5mg/ml、そして一実施形態では、約0.4mg/mlの濃度で存在する。
原材料のままの化学製品としてのMDM2阻害剤を投与することのほかに、MDM2阻害剤は、医薬的に使用することができる製剤にこうした化合物を処理することを容易にする賦形剤及び補助剤を含んでいる適切な製薬学的に許容される担体を含む医薬製剤の一部分として投与することができる。こうした製剤、とりわけ、経口的又は局所的に投与することができ、そして錠剤、糖衣錠、徐放性ロゼンジ及びカプセル、口腔すすぎ剤及び口内洗浄剤、ゲル、液体懸濁液、ヘアリンス、ヘアゲル、シャンプーなどの投与の1つのタイプの場合に使用することができるそうした製剤、及び更に、坐剤などの直腸的に投与することができる製剤、並びに静脈内注入、注射による、局所的又は経口的な投与に適した液剤は、約0.01〜99パーセント、一実施形態では約0.25〜75パーセントの活性化合物(複数を含む)を、賦形剤と共に含む。
本明細書中で開示されている化合物及び医薬組成物は、この化合物の有益な作用を受けることができる任意の患者に投与することができる。こうした患者のうちで第一に重要であるのは、哺乳動物、例えば、ヒトであるが、本明細書中で提供される方法及び組成物については、そのように限定されることを意図していない。他の患者には、獣医学的な動物(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコなど)が含まれる。
この化合物及びその医薬組成物は、それらの意図する目的を達成する任意の手段によって投与することができる。例えば、投与は、非経口的、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮的、口腔内、くも膜下腔内、頭蓋内、鼻腔内または局所的なルートによるものでありうる。あるいは、または同時に、投与は、経口ルートによるものでありうる。投薬量は、レシピエントの年齢、健康、及び体重、もしあれば同時処置の種類、処置頻度、並びに所望の作用の特性に依存している。
本明細書中で提供されている医薬製剤は、それ自体公知である方法、例えば、従来から行なわれている、混合、顆粒化、糖衣形成、溶解、又は凍結乾燥処理で製造される。従って、経口使用のための医薬製剤は、活性化合物を固体賦形剤と混合させること、場合により結果として生じる混合物を粉砕すること、及び適切な補助剤を加えた後、所望に応じて又は必要に応じて、錠剤又は糖衣錠のコアを得るために顆粒の混合物を処理することによって得ることができる。
適切な賦形剤には、特に、糖類、例えば、乳糖又はショ糖、マンニトール又はソルビトール、セルロース調製物および/またはリン酸カルシウム、例えば、リン酸三カルシウム又はリン酸水素カルシウムなどの充填剤、並びに、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドンを使用するデンプンペーストなどの結合剤がある。所望であれば、上述のデンプン、更にはカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤を加えることができる。補助剤には、とりわけ、流動調節剤及び滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムなどのステアリン酸又はその塩、及び/又はポリエチレングリコールがある。糖衣錠コアには、適切なコーティングが提供され、所望に応じて、該コーティングは、胃液に対して抵抗性がある。この目的のために、濃縮サッカリド溶液を使用することができ、これは、所望により、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含むことができる。胃液に対して抵抗性があるコーティングを生成するために、フタル酸アセチルセルロース又はフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの、適切なセルロース調製物の溶液が用いられる。染料又は色素を、例えば、同定のため、又は活性化合物用量の組み合わせを特徴付けるために、錠剤又は糖衣錠コーティングに加えてもよい。
経口的に使用することができる他の医薬製剤は、ゼラチン製のプッシュ−フィットカプセル、並びに、ゼラチン製及びグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤製のソフト封入カプセルを含む。プッシュ−フィットカプセルは、乳糖などの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、並びに、所望により安定剤と混合することができる顆粒の形で、活性化合物を含むことができる。一実施形態では、ソフトカプセルでは、活性化合物は脂肪油又は流動パラフィンなどの適切な液体で溶解又は懸濁される。更に、安定剤を加えることができる。
直腸的に使用されうる可能な医薬製剤は、例えば、1つ又は複数の活性化合物と坐剤基剤の組み合わせから成る坐剤を含む。適切な坐剤基剤には、例えば、天然又は合成トリグリセリド、又はパラフィン炭化水素がある。これに加えて、活性化合物と基剤との組み合わせから成るゼラチン直腸カプセルを使用することも更に可能である。可能な基剤材料には、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、又はパラフィン炭化水素が含まれる。
非経口的投与の場合に適切な製剤は、水溶性の形の活性化合物の水溶液、例えば、水溶性塩及びアルカリ溶液を含む。これに加えて、適切な油性注射懸濁液としての活性化合物の懸濁液を投与することができる。適切な親油性溶媒又はビヒクルには、脂肪油、例えば、ゴマ油、又は合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチル又はトリグリセリド又はポリエチレングリコール400が含まれる。水性注入懸濁液は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、及び/又はデキストランを含む、懸濁液の粘性を増加させる物質を含むことができる。所望により、懸濁液は、更に安定剤を含むことができる。
本明細書中で提供されている局所用組成物は、一実施形態では、適切な担体の選択によって、オイル、クリーム、ローション、軟膏などとして製剤化される。適切な担体には、植物油又は鉱油、白色ワセリン(白色ソフトパラフィン)、分岐鎖脂肪又はオイル、動物脂肪および高分子量アルコール(C12より大きい)が含まれる。担体は、活性成分が可溶性であるものであってもよい。所望に応じて、乳化剤、安定剤、保湿剤、及び抗酸化剤もまた、色又は香りを付与する薬剤と同様に含まれていてもよい。これに加えて、経皮的浸透促進剤が、こうした局所製剤において使用することができる。こうした促進剤の例は、米国特許第3,989,816号及び同第4,444,762号において見出すことができる。
軟膏は、アーモンド油などの植物油中の活性成分の溶液を温めたソフトパラフィンと混合し、そしてこの混合物を冷却させることにより製剤化することができる。こうした軟膏の代表的な例は、約30重量%のアーモンド油と約70重量%を含む白色ソフトパラフィンを含むものである。ローションは、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールなどの適切な高分子量アルコール中に、活性成分を溶解させることによって好都合に調製することができる。
以下の実施例は、本明細書中で提供されている方法及び組成物を例示しているものであって限定するものではない。臨床的療法において通例直面する、そして当技術分野の当業者にとって自明である種々の条件及びパラメーターの他の適切な修正及び適合は、本明細書中で提供されている方法及び組成物の趣旨及び範囲内にある。
血液悪性疾患(通例、これはp53の変異を伴う症例のほんの一部によって特徴付けられる)におけるMDM2阻害剤の治療的可能性を検討するための広範囲の取り組みの一環として、100を超えるヒトAML試料においてエクソビボでのアポトーシス誘導が検討された。下記に詳述した検討を通して、野生型p53エクソン5−9遺伝子状態にもかかわらず、MDM2阻害剤に対して一次性抵抗性を示した一次ヒトAML試料の以前には考えられないようなかなりの部分が特定された。この現象に対する最初の検討によって、抵抗性についての複数の明瞭に識別できるメカニズムの根拠が提供される:不十分なp53タンパク質の誘導に基づくもの、及び欠陥のあるp53タンパク質又は欠陥のあるp53制御エフェクター経路に基づく別のもの。こうした新規な知見は、MDM2阻害剤を臨床的なAML適用への移行を実質的に複雑にし、そして臨床現場におけるこうした薬物の最適な有効性を達成する更なる検討の動機付けになる。最後に、相関解析を通して、変異したFlt3状態(FLT3−ITDの存在)とMDM2阻害剤に対する高められた感受性の間の有意であり、かつ強い関連性がはじめて確認され、それ故、MDM2阻害剤試験の設計に対する新規で、かつ実際的な論理的根拠、AMLにおける患者のサブグループ選択及び試験データ解釈が提供された。
実施例1
方法
患者
ミシガン大学総合がんセンター(the University of Michigan Comprehensive Cancer Center)で2005年3月〜2009年10月の間に、この試験で解析される109例のAMLの症例が登録された。この試験はミシガン大学治療審査委員会(the University of Michigan Institutional Review Board (IRBMED #2004-1022))によって承認され、書面によるインフォームドコンセントが登録前に全ての患者から得られた。
細胞精製
AML患者から末梢血単核細胞がフィコールグラジエント遠心法(Ficoll gradient centrifugation)(GE Healthcare)によって単離され、10%DMSOを含むFCSにアリコートし、そして液体窒素中に凍結保存した。ネガティブ選択を用いてAML芽球の精製のために、AML患者由来の凍結保存したPBMC(末梢血単核細胞)を洗浄し、そして遠心分離によって回収し、次いで製造業者の推奨に従って、抗ヒトCD3(Miltenyi Biotec #130-050-101)、抗ヒトCD14マイクロビーズ(芽球がCD14発現に対して陰性であった場合;Miltenyi Biotec #130-050-201)、抗ヒトCD19(芽球がCD19発現に対して陰性であった場合;Miltenyi Biotec #130-050-301)及び抗ヒトCD235a(Miltenyi Biotec #130-050-501)で処理をした。細胞懸濁液をAML芽球での負の濃縮をするためにMiltenyi MACS分離LSカラム(#130-042-401)に通した。すべての芽球プレップ(blast preps)を純度のためにサイトスピン分析した。このスキーマでは、常に90%より高い純度の芽球になった。
SNP6.0 プロファイリングに使用されるAML芽球DNAを、更に次のように精製した試料から抽出した:ポストミルテニーカラム(post-Miltenyi column)試料を洗浄し、そしてFITCコンジュゲート抗CD33、PEコンジュゲート抗CD13、及びAPCコンジュゲート抗CD45(すべての抗体:eBioscience, San Diego, CA)を用いて染色した。最終洗浄の後、ヨウ化プロピディウム(PI)を1μg/mlの濃度まで加え、死細胞を識別した。細胞ソーティングをFACS−ARIA高速フローサイトメーター(FACS-ARIA high-speed flow cytometer)(Becton Dickinson, Mountain View, CA)によって行なった。生きている細胞(PI−ネガティブ)を、CD45の中程度強度染色、及び低〜中強度側方散乱(Borowitz, M.J. et al., Am. J. Clin. Pathol.100: 534-540 (1993))を用いてこうした細胞を識別することによって芽球をゲーティングした。次いでCD33及びCD13を、更に赤血球系統及び成熟骨髄系細胞に対して芽球を区別するために使用した。
エクソビボにおけるAML芽球MDM2阻害剤アポトーシスアッセイ
上記に述べられている方法を用いて>90%純度に濃縮した芽球を、2.5×105細胞において、血清補充RPMI培地中、MDM2阻害剤MI−219及びMI−63の種々の濃度(0.625〜20μMの範囲)の存在下、最終容量100μlで40時間にわたってインキュベートした。アポトーシス及びネクローシスを、アネキシンV/PI FACSベースでの読み出し及びその後、未処理並列培地における自然死滅率に正規化した値を用いて、式[%(生存)=%(処理試料の平均生存)/%(対の非処理試料の平均生存)]に従って、それぞれの処理芽球アリコートに対して測定した。
エクソビボにおけるAML芽球エピジェネティック(epigenetic)及びMDM2阻害剤アポトーシスアッセイ
上記に述べられている方法を用いて>90%純度に濃縮した芽球を、DMSO、又は0.5μM 5−アザシチジン(A2385, Sigma-Aldrich, Saint Louis, MO)を用いて48時間にわたってインキュベートした(5−アザシチジンは24時間ごとに補充した)。インキュベーションの最後の12時間の間、芽球を更にアリコートし、0.3μM トリコスタチンA(#9950, Cell Signaling Technology, Danvers, MA)、又はDMSOで処理した。48時間のインキュベーションの最後に、それぞれの4つの別個に処理した芽球のサブグループを、MI−219(0、2.5、5及び10μMの終濃度)で40時間にわたって処理し、引き続いてアポトーシスのアネキシンV/PI FACSベース解析を行なった。並列して芽球アリコートを、48ウェルプレートのウェルあたり1mlの培地中に106細胞にて培養し、そして10μM MI−219又は溶媒で8時間処理した。芽球を回収し、溶解し、そしてタンパク質をイムノブロッティングのために記載のように調製した。
Q−PCRを用いるp53、MDM2及びMDMX mRNA発現の測定
RNAを、トリゾル試薬を用いてAML症例由来のFACSによりソーティングした芽球から調製し、そして50μl DEPC処理水中で再懸濁した。20μlの相補的DNAは、スーパースクリプトIIIファーストストランド合成キット(Superscript III first strand synthesis kit)(Invitrogen)及びランダムプライミング法を用いて約50ngのRNAから作成された。プライマー及びTaqManベースプローブは、アプライドバイオシステムズ(Applied Bio-systems)から購入した(応需型プライマー:Primers-on-demand)。プライマー/プローブ混合物には以下が含まれる:p53(Hs_00153349_m1)、MDM2(Hs_01066930_m1)、MDM4(Hs_00159092_m1)及びHu PGK1。
複製増幅反応(Duplicate amplification reactions)では、プライマー/プローブ、タックマン(登録商標)2×ユニバーサルPCRマスターミックス,No AmpErase UNG)(TaqMan(登録商標)2× Universal PCR Master Mix, No AmpErase UNG)、及び1μlのcDNAが包含された(20μlの反応容量中)。反応は、ABI 7900HTマシン(ABI 7900HT machine)によって行なわれた。目的遺伝子のmRNAの相対的コピー数の推定値の正規化が、レファレンスとしてPGK1のCt値を用いて行なわれた[Ct平均値(目的遺伝子)からCt平均値(PGK1)を差引く(Ct mean gene of interest−Ct mean PGK1)]。AMLサブグループ間の比較は正規化されたCt値の平均値を差し引くことによって行なわれた。
エクソビボにおけるAML芽球処理及びイムノブロッティング手順
野生型p53エクソン5−9を持つ原発性AML症例を、MI−219に対するIC50値に従って位置づけし、高いIC50値(IC50>10μM)を有する15症例、及び低いIC50値(IC50値<2μM)を有する15症例が更なる解析のために選択された。芽球を上記に説明されている如く精製し、次に、10μM MI−219、10μM ヌトリン−3、溶媒を加えて8時間培養するか、あるいは5グレイの電離放射線で処理した。細胞を処理後回収し、洗浄・溶解緩衝液(detergent lysis buffer)(50mM Tris pH7.5,100mM NaCl,2mM EDTA,2mM EGTA,1% Triton X−100,20mM NaF,1mM オルトバナジン酸ナトリウム(#13721-39-6 Alfa Aesar),1mM フェニルメタンスルホニルフルオリド(Pierce)、ホスファターゼ阻害剤カクテルI(P2850, Sigma-Aldrich)及びプロテアーゼ阻害剤カクテル(P8340, Sigma-Aldrich))中に溶解し、タンパク質を分画し、そしてp53に対する抗体(Ab-6, clone DO-1、 Calbiochem)及びアクチン(AC-15, Sigma-Aldrich, Saint Louis, MO)でイムノブロッティングのために調製をした。ポジティブコントロールライセートを、10μMにて8時間、MI−219で処理したAML細胞株MOLM−13から作成し、そしてこうしたライセートのアリコートをあらゆるイムノブロットで原発性症例のライセートと同時に作動させた。従って、こうしたMOLM−13ライセートは、ブロット間のバンド強度比較(blot-to-blot band intensity comparisons)の内部標準として機能した。次に、こうした実験からの残りのライセートは、ヒトMDMX(A300-287A, Bethyl Laboratories, Montgomery, TX)、MDM2(Ab-1, clone IF2, Calbiochem)、p21(clone SX118, BD Biosciences)及びアクチンに対する抗体を用いてイムノブロッティングのために調製をした。
AML芽球DNA及び対の口腔内DNAのSNP6.0アレイ解析
SNP6.0アッセイが製造業者の推奨プロトコールに従って行なわれた。それぞれの芽球及び口腔内試料のアフィメトリクスCELファイル(Affymetrix CEL files)が、イニシャルクオリティーコントロールのためのアフィメトリクスジェノタイピングコンソールソフトウェア(Affymetrix Genotyping Console software)を用いて解析され、引き続いて、アフィメトリクス“Birdseed”アルゴリズムを使用して、テキスト形式でtab-delimited SNPコールファイル(tab-delimited SNP call files)を作成した。このレポートに含まれている試料の全群のコール率は、94.93%〜99.45%であり、平均コール率は98.33%であった。試料コピー数ヒートマップディスプレイは、64ビットオペレーティングシステム環境(64-bit operating system environment)に適合したフリーに利用可能であるソフトウェアdChipの使用によってCELファイルから得られた(Lin, M., Bioinformatics 20:1233-1240 (2004))。LOHの機能的、かつ実際的なディスプレーを作成するために、二段階の内部で開発されたJavaべースのソフトウェア解析システムが使用された。プレ−LOHユニフィケーションツール(Pre-LOH Unification Tool)(PLUT)は、Affy6.0SNPアレイデータ(Ross, C.W. et al., Clin. Cancer Res.13: 4777-4785 (2007)に適応することができるLOHツールバージョン2(LOH tool version 2)、LOHツールの最新バージョン(updated version of the LOH tool)に組み込む前に、すべての各患者SNPコールをそれらのそれぞれのdbSNP rs ID番号及びゲノムの物理的位置に合せるのに役立った。対の試料間のLOH解析の場合には、LOHツールバージョン2内のフィルターセッティングが使用され、それが3000塩基対の別のそうしたコール内に存在する場合に限り、LOHとしてそれぞれの対のSNPコールの可視化が可能となった。このステップでは、多くの正しくない、散発的に分布したシングルLOHコール(single LOH calls)はプラットフォームノイズのため除去された。
NPM1、Flt3、p53、N−ras、K−rasのエクソン再シーケンシング
増幅及びヒトNPM1のエクソン12、ヒトFlt3のエクソン13−15及び20、N−ras及びK−rasのエクソン2及び3、及びヒトp53のエクソン5−9及び隣接するイントロン配列をシーケンシングするためのプライマーが、プライマー3プログラムを用いて設計された(http://frodo.wi.mit.edu/cgi-bin/primer3/primer3_www.cgi)。PCR産物が、テンプレートとして高純度の芽球細胞からRepli-g(Qiagen)-amplified DNAを用いて生成された。増幅は、Taqポリメラーゼを用いて行なわれた。PCRアンプリコンが、エキソヌクレアーゼ/シュリンプ由来アルカリホスファターゼ法(USB)を用いて、インターナルネスティドシーケンシングプライマー(internal nested sequencing primers)で直接シーケンシングのために調製された。変異検出(SoftGenetics LLC, State College, PA)ソフトウェアが実験配列とRefseq GenBank又はゲノム配列とを比較するため、そしてシーケンストレーシングを目視による検査によって比較するために使用された。変異は、テンプレートとして対の患者の口腔内DNAを用いて確認された。
統計的方法
二項分類(例えば、薬物感受性と遺伝子変異状態)の関連を、対数オッズ比を用いて評価した。平均IC50値を、2標本t検定を用いて試料グループ間で比較した。すべての統計検定の結果がZスコア及び両側p値として報告された。
実施例2
患者特性
この試験で解析された109人のAML患者の特性が表1にまとめられている。解析された109人のAML症例のうちで、90人(83%)は、以前は処置を施されておらず、19人(17%)は、試験登録において以前にも処置が施されていた(再発)。70%、14%、及び16%が、原発性、二次性、又は処置関連AML(tAML)であり、そして12症例では、p53エクソン5−9変異を有していた。
Figure 2013523820
Figure 2013523820
実施例3
MDM2阻害剤処置に対する一次性抵抗性は成人AMLに共通である
エクソビボにおけるAML芽球でのMDM2阻害剤媒介性アポトーシス細胞死の有効性を評価するために、109のAML標本(エクソン5−9のエクソン配列解析により野生型p53を有する97及びp53変異を有する12)からの芽球を>90%純度に精製し、そして細胞アリコートをMDM2阻害剤MI−219(N=109)及びMI−63(N=60)の増加する濃度で40時間インキュベートした。次に処理試料のアポトーシス細胞分画をアネキシンV−PI−ベースFACS解析によって定量化し、そして対の未処理細胞の測定値に対して正規化した。図1A及び1Bから理解できるように、変異したp53エクソン5−9のmRNA発現(赤)又は存在しないp53mRNA発現(absent p53 mRNA expression)(緑)を有するすべてのAML症例において、MDM2−阻害剤処置に対して抵抗性が示され、以前の知見と合致した(Kojima, K. et al, Blood 106: 3150-3159 (2005); Saddler, C. et al., Blood 111: 1584-1593 (2008))。
野生型p53エクソン5−9(黒)を有する多くのAML症例は、MI−219又はMI−63に極めて感受性がある(IC50<2μM;32/97=33%)か、あるいは感受性がある(IC50≧2μM〜<5μM;33/97=34%)けれども、野生型p53を有する症例のかなりの部分では、様々な抵抗性レベル(症例において、それぞれ、MI−219IC50>5μM;32/97=33%及びIC50>10μM;21/97=22%)を示した。従って、CLLにおける状況とは異なり、こうしたデータによって、野生型p53エクソン5−9配列を有するかなりのサブセットのAML症例がエクソビボにおいてMDM2阻害剤に対して一次性抵抗性を示すことが立証された。
更に、MI−219に対する原発性AML、二次性AML及びtAML(p53エクソン5−9変異を有する症例を除く)の平均IC50値は、それぞれ、6.1μM、7.9μM及び4.8μMであった。再発したAML症例に対する事前には未処置のAML症例(p53エクソン5−9変異を有する症例を除く)のMI−219に対する平均IC50値は、それぞれ、4.4μMに対し6.6μMであった。
実施例4
AML細胞株でのMDM2阻害剤に対する感受性及び抵抗性の様々な程度
次に、MI−219の19AMLにより誘導された細胞株でのアポトーシスを誘導する能力が評価された。データは、図2及び表2にまとめられている。
図2から理解できるように、変異p53を有するすべてのAML細胞株(赤)は、MI−219に抵抗性があり、一方、野生型p53を有する細胞株(黒)は、様々な程度のMI−219に対する感受性/抵抗性を示し、上記に提示した初代AML芽球での知見を思い起こさせた。
Figure 2013523820
実施例5
野生型p53エクソン5−9を有するAMLにおけるMDM2阻害剤に対する一次性抵抗性の明確なメカニズムの根拠
損なわれていないp53がMDM2阻害剤感受性にとって極めて重要であることを考慮して、初代AML芽球におけるp53タンパク質発現レベル解析が行なわれた。野生型p53エクソン5−9を有している原発性AML症例を、MI−219に対するIC50値に従って位置付けし、高いIC50値(IC50>10μM)を有している15症例、及び低いIC50値(IC50値<2μM)を有している15症例が更なる解析のために選択された。精製した芽球を未処置のままにするか、あるいはMI−219(10μM)、ヌトリン3(10μM)、又は1回の5グレイ線量の外部照射によって8時間処置した。こうした芽球から作成した細胞ライセートを抗p53抗体及び抗アクチン抗体を用いるイムノブロッティングのために調製した。更に、MI−219処理AML細胞株MOLM13に由来するライセートのアリコートを各ブロットで解析して、バンド強度のブロット間の比較(blot-to-blot comparisons)を可能にした。
図3Aから理解できるように、すべての感受性AML芽球について、MDM2阻害剤処置又は外部照射の後、種々の異なる絶対レベルであるが、p53タンパク質の誘導が立証された。重要なことは、抵抗性芽球(図3B)のp53タンパク質レベルの解析によって下記の2つのサブセットが明らかにされたことである:i)MDM2阻害剤処置又は外部照射の後、存在しない又は極めて低いp53発現を有している芽球、及びii)感受性芽球において測定されるレベルに本質的に等しいベースライン及び誘導p53レベルを有する芽球。すなわち、野生型p53エクソン5−9を有するAMLにおいてMDM2阻害剤に対する抵抗性は、少なくとも以下の2つの明瞭に区別できる分子欠陥に関連している:i)低い/存在しないp53タンパク質発現、又はii)正常なp53タンパク質レベルのセッティングにおけるアポトーシスp53ネットワーク欠陥(異常なp53タンパク質の可能性を含む)。
抵抗性AML芽球における低い/存在しないp53タンパク質発現(low/absent p53 expression)のメカニズムの更なる洞察を得るために、FACSによってソーティングされたAML芽球試料から精製した全RNAにおける正規化されたp53mRNAレベルが測定された。この解析によれば、ベースラインでの少しのAML症例が存在しないp53mRNA(absent p53 mRNA)(図5E;AML症例#7、80及び120)を示していることを開示していた。すなわち、AML芽球のごく一部におけるMDM2阻害剤に対する抵抗性は、存在しないp53の転写に起因しており、後天性p53遺伝子欠陥を示唆している。しかしながら、低い/存在しないp53タンパク質を持っている大部分の抵抗性AML芽球は、p53mRNAを発現しており(AML症例#98、138、191、36、40、101及び100)、従って低レベルのp53タンパク質の転写後のメカニズムを暗示している。
実施例6
トリコスタチンA及びアザシチジンを用いることによる、存在しないp53(Absent p53)発現を有する抵抗性芽球の処置はp53発現を誘導しない
存在しないp53mRNA発現を有しているAMLにおけるエピジェネティックなp53遺伝子サイレンシングの根拠を得ようとする試みで、更なる解析のために存在しないか、あるいは極めて低レベルのp53 mRNAを含む凍結保存細胞の利用可能性に基づいて、4つのAML症例が選択され、そして精製芽球をトリコスタチンA及びアザシチジン(単独又は組み合わせて)で処置し、引き続いてMI−219で処置した。こうした実験の読み取りは、アポトーシスを受ける芽球部分であり、そして処置後のp53タンパク質レベルであった。図1に詳述した如く、こうした芽球における可逆的なエピジェネティックなp53遺伝子サイレンシングの根拠は見出せなかった。
実施例7
MDM2及びMDMXの様々な発現レベルは、AMLにおけるMDM2阻害剤に対する抵抗性の説明とはならない
p53タンパク質の2つの重要なレギュレーターであるMDM2及びMDMXの発現レベルでは、野生型p53エクソン5−9を持っている、AML症例におけるMDM2阻害剤処置に対するIC50値の観察された差異及びp53タンパク質レベルの観察された差異を説明できた。こうした仮説を試験するために、全AMLコホート中の正規化されたMDM2及びMDMX mRNAレベルを最初に測定した。次に、こうしたmRNAレベルを、野生型p53エクソン5−9を持っている全てのAML症例におけるMDM2阻害剤媒介性アポトーシスに対するIC50値と相互に関連させた(図4A及び4B)。
図4A及び4B中から理解できるように、MDMXレベルも、MDM2レベルも、MI−219 IC50値と相関していなかった。例えば、平均デルタCt(平均のMDMX−PGK1)値は、野生型p53及びMI−219 IC50値>10μMを有するAML症例では5.2であり、そして野生型p53及びMI−219 IC50値<10μMを有するAML症例では4.4であり、このことは、より小さい抵抗性又は感受性の芽球と比較して抵抗性において少し低い(約1.7倍)MDMXレベルを示していた。
MDM2に焦点をあてると、平均デルタCt(平均のMDM2−PGK1)値は、野生型p53及びMI−219 IC50値>10μMを有するAML症例では、3.1であり、そして野生型p53及びMI−219 IC50値<10μMを有するAML症例では、3.2であり、このことは、より小さい抵抗性及び感受性の芽球と比較して抵抗性において等しいMDM2 mRNAレベルを示していた。
次に、MDMXタンパク質レベル、MDM2タンパク質レベル及びp21タンパク質レベルを、図3で説明されている実験から誘導されたライセート中で測定した。図2及び3から理解できるように、MDMXタンパク質レベルも、MDM2タンパク質レベルも、p21タンパク質レベルも、MI−219 IC50値との明瞭な関連を示さなかった。
実施例8
後天性片親性ダイソミー(コピーニュートラルLOH)はAMLにおいてよく起こることであり、そしてp53変異又は存在しないp53の発現にしばしば関連している
AMLにおけるp53遺伝子状態に関する追加の情報を得るために、110のAML症例からの超高純度のAML芽球集団起源のDNA試料を解析し、そして超高密度アフィメトリクス6.0SNPアレイ(ultra high density Affymetrix 6.0 SNP arrays)を用いて、後天性染色体コピー数変化及びLOHのために口腔内DNAのペアリングをした。
図5では、17pでのサブ染色体コピー数状態(sub-chromosomal copy number status)[パネルA 口腔内DNA、パネルB AML芽球誘導DNA;p53は、17pで約7.5Mb物理的位置に位置している]、LOH(17p)(パネルC)、p53エクソン5−9配列データ(パネルD)及び正規化されたp53 mRNAデータ(パネルE)が示されている。理解できるように、AML症例のうち、17/110=15%では、LOHを包含する部分又はp53ローカス(p53 locus)に及んでいるすべての17pが示された。重要なことは、こうした症例のうちのほぼ半分(8例)の場合のコピー欠損アンカバード・2N状態(uncovered 2N status)のためのペア解析(paired analysis)(ナンバリング(赤)):17pでのコピーニュートラルLOH又は後天性片親性ダイソミー(aUPD)の例。注目すべきことは、コピーニュートラルLOHは従来から行なわれているカリオタイピング又はCGHを用いることによっては検出不可能であり、従って定常的に行われている臨床プラクティスでは見落とすことになる。コピーニュートラルLOHは、しばしば遺伝子変異に関連していることを考慮して、LOHデータを、p53配列データ及びp53 mRNAデータと比較し、そしてこうした17p関連のaUPD症例(赤)のうちの6/8がホモ接合p53変異を示すことを見出し(AML#12、41、88、117、153及び157、パネルD)、そして1/8(#120)の症例は、ほんの少しのp53 mRNA発現を有した。従って、後天性コピーニュートラルLOHはp53ローカスにおいてよく起こることであり、大部分の症例においてp53ヌル状態(p53 null state)に関連しており、そしてMDM2阻害剤処置に対する抵抗性に関連している。p53遺伝子及びp53プロモーターの高分解能コピー数解析(High resolution copy number analysis)では、AMLにおけるホモ接合欠失は特定されなかった。
実施例9
FLT3−ITDは、AMLにおけるMDM2阻害剤処置に対する感受性増強に関連している
上記に説明されているMDM2阻害剤に対するエクソビボにおける感受性の解析によって、MDM2阻害剤媒介性アポトーシスに極めて感受性のある多くの症例が明らかとなった。MDM2阻害剤感受性の増大に相関しているであろうマーカーの特定が追跡された。Flt3及びNPM1(AMLにおいて、この2つは最もよく起こる変異遺伝子)に焦点をあてると、Flt3−ITD又はNPM1エクソン12変異の存在又は不存在は、野生型p53エクソン5−9を持つ全てのAMLにおいて最初はMI−219 IC50値と相関していた。このAMLコホートは、25パーセンタイル、又は50パーセンタイルのどちらかで繰り返して二分され(それぞれ、1.78μM及び3.2μMの閾値 IC50値の相当する)、そしてそれぞれ、変異したFlt3(FLT3−ITD)又はNPM1の存在の場合にZスコアを決定した。この解析から、Flt3−ITDは、感受性のあるAML症例において有意に多発して表面化し、25パーセンタイル及び50パーセンタイル解析に対し、それぞれ、1.91(p=0.06)及びZ=2.26(p=0.02)のZスコアであった。19のFlt3−ITD変異AML症例のうちで11例(58%)及び19のFlt3−ITD変異AML症例のうちで13例(68%)が、MDM2阻害剤に対して、それぞれ、<2μM及び<2.25μMのIC50値を有していた。
他のすべての症例(N=90;p53エクソン5−9変異症例を含む)に対するFLT3−ITDポジティブ症例の比較のための同様な解析が行なわれた。この解析から、Flt3−ITDが再び、感受性のあるAML症例において有意に強化されて表面化し、25パーセンタイル及び50パーセンタイル解析に対し、それぞれ、2.42(p=0.02)及びZ=(p=0.01)のZスコアであった。
すべての109のAML症例の場合のIC50値を、以下の3つの相互に排他的なカテゴリーでグラフを使用して示した:1)p53エクソン5−9変異の存在、2)Flt3−ITDの存在、及び3)その他すべて(図6参照)。図6で理解することができるように、大部分のFlt3−ITDポジティブAML症例は、Flt3野生型(wt)及びp53野生型(wt)群(P=0.02)と比較して、極めて低いIC50値、有意に低い平均IC50値を示した。従って、Flt3−ITD変異を有している大部分のAML芽球は、MDM2阻害剤処置に対して高い感受性がある。それ故、この解析によって、MDM2阻害剤感受性に対する臨床的に適切なゲノムバイオマーカーが初めて特定された。
このレポートで、初代AML芽球(N=109)における分子決定因子の詳細な試験、及びエクソビボにおけるMDM2阻害剤処置に対する感受性又は抵抗性に対するそれらの影響がまとめられている。この試験の1つの知見には、AMLにおいてMDM2阻害剤に対する一次性抵抗性の説明及び定量的分析がある。この関連で、i)p53変異は、予測したごとく、MI−219に対する抵抗性を付与する、ii)p53エクソン5−9変異の不存在下において、低いか、あるいは存在しないp53発現は、AML芽球のサブセットに存在し、MDM2阻害剤抵抗性に関連している、そしてiii)MDM2阻害剤抵抗性は、野生型p53及びロバストp53タンパク質誘導(robust p53 protein induction)にもかかわらず、MDM2阻害剤処置又は照射後の、AMLのサブセットに存在し、この結果、アポトーシスp53ネットワーク又はp53タンパク質における欠陥を暗示していることが立証された。全体として、こうした様々なAML芽球に内在する欠陥は、すべてのAML症例のうちでおよそ3分の1においてMDM2阻害剤に対する一次性抵抗性をもたらす;これは、以前の理解と比較してずっと大きい部分を占めている。
抵抗性のあるAML芽球のp53遺伝子状態に関して、次の複数の知見が浮上した:i)p53エクソン5−9変異の高い頻度は10%であり、これは以前の推定値と合致しており(Fenaux, P. et al., Blood 78: 1652-1657 (1991); Stirewalt, D.L. et al., Blood 97: 3589-3595 (2001))、そして大部分のAML症例におけるMDM2阻害剤抵抗性を説明するのには不十分である、ii)p53変異は、AMLにおいで、17pの位置で後天性UPDのセッティングでしばしば発生し(全てのp53変異の約50%)、iii)p53に及んでいる17p欠失を持つある種のAML症例では、野生型p53が担持され、そしてMI−219に対して感受性があり、そして、iv)p53に及んでいる17p欠失を持つある種のAML症例では、p53mRNA発現が欠如しており、従って、MI−219に抵抗性があった。それ故、MDM2阻害剤がアポトーシスによるAML芽球死をもたらす能力に対して直接的に作用するAMLにおいて、実質のあるコンビナトリアル分子多様性(substantial combinatorial molecular diversity)が、p53遺伝子状態に認められる(Kojima, K. et al., Blood 106: 3150-3159 (2005); Seifert, H. et al., Leukemia 23: 656-663 (2009))。
野生型p53エクソン5−9及びp53 mRNAの存在を有する抵抗性のあるAML症例に焦点をあてると、下記のどちらかを示す2つのサブセットが浮上した:i)低いか、あるいは存在しないp53タンパク質、あるいは、ii)保存されているp53タンパク質レベル。AML芽球サブセットにおける低いp53タンパク質に対する分子基盤に関して、最初の解析によれば、可逆的なエピジェネティックな変化の裏づけとなる根拠が特定されなかった。欠陥のあるp53遺伝子(薬理学的試みを逆方向に挑む、プロモーターの変化又はエピジェネティックな変化を含む)、MDM2又はMDMXレベルとは無関係の損なわれたp53 mRNA翻訳、又はp53タンパク質安定性の減少がありうる(Naski, N. et al., Cell Cycle 8: 31-34 (2009); Ofir-Rosenfeld, Y. et al., Mol. Cell. 32: 180-189 (2008); MacInnes, A.W. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 105: 10408-10413 (2008); Takagi, M. et al., Cell 123: 49-63 (2005); Asher, G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99: 3099-3104 (2002); Leng. R.P. et al., Cell 112: 779-791 (2003); Dornan, D. et al., Nature 429: 86-92 (2004))。
主要な供給源が不足していることを考慮すると、以下は更に検討されなかったが、将来の検討として評価されるべきp53状態とp53タンパク質レベルの間の相互関係に関する課題が挙げられる。MDM2阻害剤処置又は外部照射の後に、p53タンパク質のロバストな誘導を持つAML芽球に関して、2つの主たる分子欠陥は以下である:i)おそらく、p53の翻訳後の異常な修飾が要因である欠陥のあるp53タンパク質が、活性化されたアポトーシスシグナル伝達経路に対してp53の能力の変化をもたらす(Knights, C.D. et al., J. Cell. Biol. 173: 533-544 (2006); Di Giovanni, S. et al., EMBO J. 25: 4084-4096 (2006); Murray-Zmijewski, F. et al., Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 9:
702-712 (2008))、又はii)p53によって制御されるアポトーシスネットワークの欠陥。p53アポトーシスネットワークの欠陥の後者の起こりうる可能性に関しては、p53誘導後の、アポトーシス応答に関連する様々なp53誘導性遺伝子に対して相対的に重要な定量分析が利用可能ではないことに注目することが重要である。細胞のRITA処置(但し、ヌトリン処置ではない)のセッティングでは、最近、p21のダウンレギュレーションにより、p53によって誘導されるアポトーシスと細胞周期停止の間の切り替えが可能となることが証明されている(Enge, M. et al., Cancer Cell 15: 171-183 (2009))。
ヌトリン又はMI−219処置の前後のp21タンパク質レベルの解析ではまた、MDM2阻害剤処置後のAML芽球の運命の決定においてp21のユニークな役割の明瞭な根拠は提供されていない。MI−219(示されていない)を用いる処置後の抵抗性芽球に対する感受性芽球の遺伝子発現変化の第一の解析では、古典的なp53応答性遺伝子のサブセットの分化誘導が特定されたが、このデータの解釈は、白血病におけるp53媒介性アポトーシスに重要性を持つ決定的な遺伝子が知られていないという事実によって妨げられている。すなわち、古典的なp53応答性遺伝子以外の遺伝子は、MDM2阻害剤に対する抵抗性を付与することに関与しており、こうした遺伝子の将来の解析は、骨髄性白血病芽球に対するMDM2阻害剤の有効性の包括的な理解に重要である。
この解析からの結果の1つは、エクソビボにおけるMI−219に極めて感受性のあるAML芽球の特定であった。AML症例のおよそ1/3は、MI−219に対して<2μMのIC50値を示した。こうした感受性の増加の決定因子を特定しようとする試みは、変異したFLT3(FLT3−ITDの存在)との頻繁な、かつ有意な関連を明らかにした。例えば、FLT3−ITD(N=19)を持つすべてのAML試料のうちの58%及び84%が、それぞれ、<2μM及び<5μMのMI−219 IC50値を示した。それ故、活性化したFlt3は、AML芽球をMDM2阻害剤媒介性アポトーシスに対して高感度にするようにみえ、こうした知見によれば、AMLにおけるMDM2阻害剤の臨床的応用に利用されうる。
要約すれば、>100の原発性AML症例の解析に基づくこのユニークなデータセットによって、AMLにおけるMDM2阻害剤に対する一次性抵抗性が定量的に述べられており、そして複数の明瞭に識別できる分子メカニズムの根拠が提供されている。従って、こうした予期せぬ知見によって、MDM2阻害剤をAML治療に移行させることが実質的に複雑化され、AMLにおける抵抗性メカニズムに関して更に綿密な前臨床試験の理論的根拠が提供されている。こうした試験はまた、抵抗性を克服しようとするために、MDM2阻害剤に対して一次性抵抗性を持つAMLにおける併用標的治療の理論的根拠も提供している(Kojima, K. et al., Leukemia 22: 1728-1736 (2008))。
反対に、変異したFLT3(FLT3−ITD)とMDM2阻害剤に対する感受性の増大の関連に関する知見は、公表されている知見(Kojima, K. et al., Leukemia 24: 33-43 (2010))に基づいて予測していなかったことであり、そして以下がAML治療法にとって重要でありうる:i)FLT3−ITD AML症例は、短い寛解持続時間を有する傾向にある、ii)FLT3阻害剤単剤治療を用いるFLT3の治療的遮断が患者に実質のある臨床的有益性を未だもたらしていない、及びiii)MDM2阻害剤を、変異したFlt3及び損なわれていないp53を持つAMLに適用することが、臨床的有益性を提供することになる(Bacher, U. et al., Blood 111: 2527-2537 (2008))。すなわち、MDM2阻害剤感受性に対するゲノムバイオマーカーのこの説明によって、“MDM2阻害剤感受性増強剤遺伝子変異(MDM2 inhibitor sensitizer gene mutations)”のコンセプトが紹介されており、そして同様な作用を有する更なる遺伝子の進行しているサーチが正当化されている。最後に、こうしたMDM2阻害剤感受性増強変異はまた、腫瘍性の細胞のMDM2阻害剤処置に対する感受性の増強のための説明を提供することになる。
実施例10
MV4−11及びMOLM−13AML細胞株に対する細胞増殖抑制及び細胞毒性作用
チャート3の化合物を2つのAML細胞株:MV4−11及びMOLM−13(供給源:The DSMZ - Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,それぞれ、レファレンス DSMZ ACC554及びDSMZ ACC102)に対するそれらの細胞増殖抑制及び細胞毒性作用を評価した。こうした細胞株の双方は、FLT3 ITD変異を有している。(Quentmeier, H. et al. Leukemia 17:120-124 (2003))。増殖阻害アッセイの場合、細胞を96ウェルフォーマットでチャート2の化合物と共に96時間インキュベートした。細胞播種条件をこのアッセイフォーマットにおける有意な細胞増殖が得られるように適合させた。増殖阻害アッセイをセルタイター−グロ蛍光キット(Celltiter-Glo Luminescent kit)(Promega)を用いて行なった。IC50値(増殖阻害パーセントが試験化合物の最大阻害作用の半分に等しい濃度)を算出し、そして双方の化合物の場合、2つのAML細胞株において10nMと100nMの間の範囲であった。
細胞毒性アッセイのために、細胞を6ウェルフォーマットでチャート2の化合物と共に、96時間インキュベートした。細胞播種条件をこのアッセイフォーマットにおける有意な細胞増殖が得られるように適合させた。細胞毒性作用を、トリパンブルー染色法を用いて行なった。浮遊性細胞と接着性細胞の双方をトリパンブルーで染色した。数量化は、細胞濃度及び生存細胞のパーセントの双方を決定するVi−CELL(登録商標)生死細胞アナライザー(Vi-CELL(登録商標)Cell Viability Analyzer)(Beckmann-Coulter)によって行なった。IC90濃度(増殖阻害パーセントが試験化合物の最大阻害作用の90パーセントに等しい濃度)に近い濃度においてチャート2の化合物の双方の場合、未処理細胞と比較して生存細胞のパーセントは有意に減少しており、MV4−11細胞株で、よくても50%と70%の間、そしてMOLM−13細胞株の場合には50%未満であった。
本明細書中に提供されている本方法及び組成物の広さ及び範囲は、あらゆる上記に述べられている例示的な実施形態によって限定されるべきではないが、下記の請求項及びそれらの均等物による場合に限り明確にされるべきである。
特定の実施形態に関する上記の説明は、他人が、過度の実験をすることなく、本明細書中に提供されている方法及び組成物の全体としての概念から逸脱することなく、当技術分野の技能内の知識を応用することによって、こうした特定の実施形態を容易に変更し、及び/又は様々な適用に適合させることができるように、本明細書中に提供されている方法及び組成物の全体としての本質を十分明らかにするものである。それ故、こうした適合及び変更は、本明細書中に提供されている教示及び指針に基づいて、開示されている実施形態の意味及び均等な範囲内にあることを意図している。本明細書中の表現又は使用語句は説明の目的のためであって、限定の目的ではないことが理解されるべきであり、その結果、この明細書の使用語句又は表現は、教示及び指針に照らして当業者によって解釈されるべきである。
本明細書中に引用されている、特許、特許出願、及び公表はすべて、引用によって全体として本明細書中に完全に組み込まれる。

Claims (18)

  1. 白血病に罹患している患者を処置する方法であって、
    治療的に有効な量のMDM2阻害剤を、患者の細胞が活性化変異を有しているFLT3を含んでいる患者に投与することを含んでなる、上記方法。
  2. MDM2阻害剤で処置する白血病に罹患している患者を選択する方法であって、
    (a)患者から生体試料を得る工程;
    (b)該生体試料が活性化変異を有しているFLT3を含むかどうかを決定する工程;及び
    (c)該生体試料が活性化変異を有しているFLT3を含む場合に、処置する患者を選択する工程;
    を含んでなる、上記方法。
  3. 更に、治療的に有効な量のMDM2阻害剤を患者に投与する工程を含んでなる、請求項2に記載の方法。
  4. 白血病に罹患している患者の処置アウトカムを予測する方法であって、
    (a)患者から生体試料を得る工程;及び
    (b)該生体試料が活性化変異を有しているFLT3を含むかどうかを決定する工程;を含んでなり、
    ここで、活性化変異を有しているFLT3の検出は、治療的に有効な量のMDM2阻害剤を患者に投与することが良好な治療応答を引き起こすことになることを示す、上記方法。
  5. 白血病に罹患している患者を処置する方法であって、
    (a)患者から生体試料を得る工程;
    (b)該生体試料が活性化変異を有しているFLT3を含むかどうかを決定する工程;及び
    (c)該生体試料が活性化変異を有しているFLT3を含む場合に、治療的に有効な量のMDM2阻害剤を患者に投与する工程;
    を含んでなる、上記方法。
  6. 該生体試料が血球を含んでなる、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 更に、該生体試料が1つ又はそれより多いp53変異を含むかどうかを決定する工程を含んでなる、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. FLT3活性化変異が遺伝子内縦列重複である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 患者がヒトである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 白血病が急性骨髄性白血病である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. MDM2阻害剤がスピロオキシインドールMDM2阻害剤である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. スピロオキシインドールMDM2阻害剤が下記:
    Figure 2013523820
    Figure 2013523820
    Figure 2013523820
    から成る群より選択されるか、又はその製薬学的に許容される塩である、請求項11に記載の方法。
  13. 少なくとも1つの追加の抗がん剤が患者に投与される、請求項1又は3〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 少なくとも1つの追加の抗がん剤がFLT3阻害剤である、請求項13に記載の方法。
  15. 急性骨髄性白血病に罹患しているヒト患者を処置する方法であって、
    治療的に有効な量の下記:
    Figure 2013523820
    Figure 2013523820
    Figure 2013523820
    から成る群より選択される化合物、又はその製薬学的に許容される塩を、患者に投与することを含んでなり、ここで、患者の細胞がFLT3−ITD変異を含む、上記方法。
  16. 下記:
    Figure 2013523820
    Figure 2013523820
    Figure 2013523820
    から成る群より選択される化合物、又はその製薬学的に許容される塩で処置する急性骨髄性白血病に罹患しているヒト患者を選択する方法であって、
    (a)患者から生体試料を得る工程;
    (b)該生体試料がFLT3−ITD変異を含むかどうかを決定する工程;及び
    (c)該生体試料がFLT3−ITD変異を含む場合に、処置する患者を選択する工程;
    を含んでなる、上記方法。
  17. 急性骨髄性白血病に罹患しているヒト患者の処置アウトカムを予測する方法であって、
    (a)患者から生体試料を得る工程;及び
    (b)患者の細胞がFLT3−ITD変異を含むかどうかを決定する工程;
    を含んでなり、
    ここで、FLT3−ITD変異の検出は、治療的に有効な量の下記:
    Figure 2013523820
    Figure 2013523820
    Figure 2013523820
    から成る群より選択される化合物、又はその製薬学的に許容される塩を患者に投与することが、良好な治療応答を引き起こすことになることを示す、上記方法。
  18. 急性骨髄性白血病に罹患しているヒト患者を処置する方法であって、
    (a)生体試料を患者から得る工程;
    (b)該生体試料がFLT3−ITD変異を含んでいるかどうか決定する工程;及び
    (c)該生体試料がFLT3−ITD変異を含んでいる場合に、治療的に有効な量の下記:
    Figure 2013523820
    Figure 2013523820
    Figure 2013523820
    の化合物、又はその製薬学的に許容される塩を患者に投与する工程;
    を含んでなる、上記方法。
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