JP2013218817A - 非水電解質二次電池用の負極活物質、及び非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】容量維持率に関与する因子を明らかとし、粒子状黒鉛の表面に非黒鉛炭素被膜が形成されており、非水電解質二次電池の容量維持率を向上することが可能な非水電解質二次電池用の負極活物質を提供する。
【解決手段】本発明の非水電解質二次電池用の負極活物質は、粒子状黒鉛と非黒鉛炭素被膜とを有する。非黒鉛炭素被膜は、STEM観察にて格子縞が確認されるものであり、負極活物質の平均粒径d50が9〜24μmであり、負極活物質の光散乱光学測定を実施したとき、Q=4πsinθ/λ=0.0017〜0.0048nm−1の範囲において、得られたデータの近似式y=a・Q−bを求め(ここで、yは散乱強度、θは散乱角の1/2、λはX線の波長、a及びbは定数をそれぞれ示す。)、パラメータbが0.1〜2.1の範囲にある。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の非水電解質二次電池用の負極活物質は、粒子状黒鉛と非黒鉛炭素被膜とを有する。非黒鉛炭素被膜は、STEM観察にて格子縞が確認されるものであり、負極活物質の平均粒径d50が9〜24μmであり、負極活物質の光散乱光学測定を実施したとき、Q=4πsinθ/λ=0.0017〜0.0048nm−1の範囲において、得られたデータの近似式y=a・Q−bを求め(ここで、yは散乱強度、θは散乱角の1/2、λはX線の波長、a及びbは定数をそれぞれ示す。)、パラメータbが0.1〜2.1の範囲にある。
【選択図】なし
Description
本発明は、非水電解質二次電池用の負極活物質、及びこれを用いた非水電解質二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池において、負極活物質としては従来、粒子状黒鉛が広く用いられている。電界質との反応性を抑制するために、粒子状黒鉛の表面に非晶質炭素被膜を設けることがなされている。
例えば、特許文献1には、負極の密着性及び負荷特性に優れた非水電解質二次電池を提供することを目的として、粒子状黒鉛の表面に、単体で焼成した場合の比表面積が200〜500m2/g、分子量が300〜500の非晶質炭素となる物質が被覆され、且つ被覆量が前記黒鉛に対して0.1〜10質量%である非水電解質二次電池用の負極活物質が開示されている(請求項1)。
本発明の関連技術としては特許文献2がある。
特許文献2には、前方微小角散乱法による粒子径及び粒子形状の同時計測・判定方法及び装置が開示されている(請求項1、2)。
特許文献2には、前方微小角散乱法による粒子径及び粒子形状の同時計測・判定方法及び装置が開示されている(請求項1、2)。
日本結晶学会誌41.,p.213-226(1999)
非水電解質二次電池においては、容量維持率、例えば60℃保存における容量維持率が高いことが好ましい。従来、粒子状黒鉛と非黒鉛炭素被膜とを備えた負極活物質において、容量維持率に関与する因子が不明である。炭素被膜量が少ないため、その状態を評価すること自体が難しい。
例えば特許文献2に記載のように、光散乱法を用いて粒子形状を測定することが可能である。しかしながら、本発明者が検討したところ、特許文献2に記載の方法を粒子状黒鉛と非黒鉛炭素被膜とを備えた負極活物質にそのまま適用しても、容量維持率との関与を見出すことができなかった。
例えば特許文献2に記載のように、光散乱法を用いて粒子形状を測定することが可能である。しかしながら、本発明者が検討したところ、特許文献2に記載の方法を粒子状黒鉛と非黒鉛炭素被膜とを備えた負極活物質にそのまま適用しても、容量維持率との関与を見出すことができなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、粒子状黒鉛と非黒鉛炭素被膜とを備えた負極活物質において容量維持率に関与する因子を明らかとし、粒子状黒鉛の表面に非黒鉛炭素被膜が形成されており、非水電解質二次電池の容量維持率を向上することが可能な非水電解質二次電池用の負極活物質を提供することを目的とするものである。
本発明の非水電解質二次電池用の負極活物質は、
粒子状黒鉛と、当該粒子状黒鉛の表面に形成された非黒鉛炭素被膜とを有する非水電解質二次電池用の負極活物質であって、
前記非黒鉛炭素被膜は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)観察にて格子縞が確認されるものであり、
前記負極活物質の平均粒径d50が9〜24μmであり、
前記負極活物質の光散乱光学測定を実施したとき、Q=4πsinθ/λ=0.0017〜0.0048nm−1の範囲において、得られたデータの近似式y=a・Q−bを求め(ここで、yは散乱強度、θは散乱角の1/2、λはX線の波長、a及びbは定数をそれぞれ示す。)、パラメータbが0.1〜2.1の範囲にある非水電解質二次電池用の負極活物質である。
粒子状黒鉛と、当該粒子状黒鉛の表面に形成された非黒鉛炭素被膜とを有する非水電解質二次電池用の負極活物質であって、
前記非黒鉛炭素被膜は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)観察にて格子縞が確認されるものであり、
前記負極活物質の平均粒径d50が9〜24μmであり、
前記負極活物質の光散乱光学測定を実施したとき、Q=4πsinθ/λ=0.0017〜0.0048nm−1の範囲において、得られたデータの近似式y=a・Q−bを求め(ここで、yは散乱強度、θは散乱角の1/2、λはX線の波長、a及びbは定数をそれぞれ示す。)、パラメータbが0.1〜2.1の範囲にある非水電解質二次電池用の負極活物質である。
本発明の非水電解質二次電池は、正極と、上記の非水電解質二次電池用の負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備えたものである。
本発明によれば、粒子状黒鉛と非黒鉛炭素被膜とを備えた負極活物質において容量維持率に関与する因子が明らかとされ、粒子状黒鉛の表面に非黒鉛炭素被膜が形成されており、非水電解質二次電池の容量維持率を向上することが可能な非水電解質二次電池用の負極活物質を提供することができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明は、非水電解質二次電池用の負極活物質、及びこれを用いた非水電解質二次電池に関するものである。
本発明は、非水電解質二次電池用の負極活物質、及びこれを用いた非水電解質二次電池に関するものである。
「負極活物質」
本発明の非水電解質二次電池用の負極活物質は、
粒子状黒鉛と、当該粒子状黒鉛の表面に形成された非黒鉛炭素被膜とを有する非水電解質二次電池用の負極活物質であって、
前記非黒鉛炭素被膜は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)観察にて格子縞が確認されるものであり、
前記負極活物質の平均粒径d50が9〜24μmであり、
前記負極活物質の光散乱光学測定を実施したとき、Q=0.0017〜0.0048nm−1の範囲において、得られたデータの近似式y=a・Q−bを求め(ここで、yは散乱強度、θは散乱角の1/2、λはX線の波長、a及びbは定数をそれぞれ示す。)、パラメータbが0.1〜2.1の範囲にある非水電解質二次電池用の負極活物質である。
本発明の非水電解質二次電池用の負極活物質は、
粒子状黒鉛と、当該粒子状黒鉛の表面に形成された非黒鉛炭素被膜とを有する非水電解質二次電池用の負極活物質であって、
前記非黒鉛炭素被膜は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)観察にて格子縞が確認されるものであり、
前記負極活物質の平均粒径d50が9〜24μmであり、
前記負極活物質の光散乱光学測定を実施したとき、Q=0.0017〜0.0048nm−1の範囲において、得られたデータの近似式y=a・Q−bを求め(ここで、yは散乱強度、θは散乱角の1/2、λはX線の波長、a及びbは定数をそれぞれ示す。)、パラメータbが0.1〜2.1の範囲にある非水電解質二次電池用の負極活物質である。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池において、負極活物質には、リチウムイオン等の吸蔵及び放出が可能な炭素材料が広く使用されている。特に高結晶性を有する黒鉛は、放電電位が平坦であり、真密度が高く、かつ充填性が良いなどの特性を有していることから、市販のリチウムイオン二次電池の多くの負極活物質として使用されている。
本発明の負極活物質においては、電界質との反応性を抑制するために、粒子状黒鉛の表面に非黒鉛炭素被膜が形成されている。
「背景技術」の項で述べたように、従来、粒子状黒鉛の表面に形成される非黒鉛炭素被膜は、「非晶質」であることが一般的である。
本発明では、粒子状黒鉛の表面に形成される非黒鉛炭素被膜は、「非晶質」ではなく、黒鉛よりも低い「低結晶性」を有する。かかる低結晶性を有する非黒鉛炭素被膜を有する負極活物質自体、新規である。
「背景技術」の項で述べたように、従来、粒子状黒鉛の表面に形成される非黒鉛炭素被膜は、「非晶質」であることが一般的である。
本発明では、粒子状黒鉛の表面に形成される非黒鉛炭素被膜は、「非晶質」ではなく、黒鉛よりも低い「低結晶性」を有する。かかる低結晶性を有する非黒鉛炭素被膜を有する負極活物質自体、新規である。
「炭素材料の結晶性」は、STEM観察にて評価できる。炭素材料のSTEM像に格子縞が確認された場合、その材料は結晶性を有していると特定できる。
本発明において、粒子状黒鉛の表面に形成される低結晶性の非黒鉛炭素被膜は、STEM像にて格子縞が観察され、かつ、a軸方向の結晶子サイズが小さく、あるいは、格子縞がウェーブするなど、黒鉛よりも格子縞の秩序が低く観察される。
本発明において、粒子状黒鉛の表面に形成される低結晶性の非黒鉛炭素被膜は、STEM像にて格子縞が観察され、かつ、a軸方向の結晶子サイズが小さく、あるいは、格子縞がウェーブするなど、黒鉛よりも格子縞の秩序が低く観察される。
本発明者は、低結晶性を有する非黒鉛炭素被膜を備えた負極活物質を用いることにより、非晶質の非黒鉛炭素被膜を備えた従来の負極活物質を用いるよりも、初期抵抗の低い非水電解質二次電池が得られることを見出している。
非黒鉛炭素被膜が低結晶性を有することで、被膜の導電性等の特性が向上して、初期抵抗が低減されると考えられる。
なお、非黒鉛炭素被膜の結晶性が高くなりすぎて、黒鉛と同等あるいはそれに極めて近いレベルになると、粒子状黒鉛単独の場合との差がなくなり、表面凹凸が過小になって、電解質との反応性の抑制効果が低減されたり、リチウムイオン等の電気伝導を担うイオンの入るサイトが低減されてしまうと考えられる。
したがって、非黒鉛炭素被膜は、黒鉛よりも低い「低結晶性」を有することが重要である。
非黒鉛炭素被膜が低結晶性を有することで、被膜の導電性等の特性が向上して、初期抵抗が低減されると考えられる。
なお、非黒鉛炭素被膜の結晶性が高くなりすぎて、黒鉛と同等あるいはそれに極めて近いレベルになると、粒子状黒鉛単独の場合との差がなくなり、表面凹凸が過小になって、電解質との反応性の抑制効果が低減されたり、リチウムイオン等の電気伝導を担うイオンの入るサイトが低減されてしまうと考えられる。
したがって、非黒鉛炭素被膜は、黒鉛よりも低い「低結晶性」を有することが重要である。
非水電解質二次電池においては、容量維持率、例えば60℃保存における容量維持率が高いことが好ましい。
従来は、粒子状黒鉛と低結晶性を有する非黒鉛炭素被膜とを備えた負極活物質において、容量維持率に関与する因子が不明であった。
本発明者は、粒子状黒鉛と低結晶性を有する非黒鉛炭素被膜とを備えた負極活物質の粒子形状に着目した。
活物質粒子が真球状又はそれに近い形状であると、リチウムイオン等の電気伝導を担うイオンの脱挿入に伴う膨張収縮によって活物質粒子同士の接触面積が小さくなり、非水電解質二次電池の容量維持率が低下する傾向があると考えられる。活物質粒子の形状は真球状よりも、真球状から外れた形状が好ましいと考えられる。
従来は、粒子状黒鉛と低結晶性を有する非黒鉛炭素被膜とを備えた負極活物質において、容量維持率に関与する因子が不明であった。
本発明者は、粒子状黒鉛と低結晶性を有する非黒鉛炭素被膜とを備えた負極活物質の粒子形状に着目した。
活物質粒子が真球状又はそれに近い形状であると、リチウムイオン等の電気伝導を担うイオンの脱挿入に伴う膨張収縮によって活物質粒子同士の接触面積が小さくなり、非水電解質二次電池の容量維持率が低下する傾向があると考えられる。活物質粒子の形状は真球状よりも、真球状から外れた形状が好ましいと考えられる。
一般的に光散乱測定においては、粒子の形状あるいは粒子の界面状態等の情報が取得可能である。一般的な光散乱測定において、粒子サイズの逆数、散乱強度、及び得られる粒子情報については、図1左図のグラフに示す関係がある(非特許文献1より引用)。このグラフにおける横軸のk値は、粒子サイズR、L、又はεの逆数に対応する。粒子サイズR、L、εについては、図1右図を参照されたい。
図1には、一般的な光散乱測定において、ステージ(II)の範囲において粒子形状の情報が得られることが示されている。
光散乱光学測定におけるQ値は、上記のk値である。
図1には、一般的な光散乱測定において、ステージ(II)の範囲において粒子形状の情報が得られることが示されている。
光散乱光学測定におけるQ値は、上記のk値である。
本発明者は、Q値を上記範囲(0.0017〜0.0048nm−1)としてパラメータbを求めることで、非黒鉛炭素被膜の粒子形状の情報が良好に得られることを見出している。
本発明者は、負極活物質の製造条件を変えて光散乱光学測定を行い、種々の条件で評価を実施した結果、
負極活物質の平均粒径d50が9〜24μmのとき、
負極活物質の光散乱光学測定を実施し、Q=0.0017〜0.0048nm−1の範囲において、得られたデータの近似式y=a・Q−bを求め(ここで、yは散乱強度、θは散乱角の1/2、λはX線の波長、a及びbは定数をそれぞれ示す。)、形状の指標値であるパラメータbが非水電解質二次電池の容量維持率と関与すること、
さらにそのパラメータbが0.1〜2.1の範囲にあるとき、非水電解質二次電池の容量維持率、例えば60℃保存の容量維持率を向上できることを見出している(後記[実施例]の項、図3、表1−表2を参照)。
負極活物質の平均粒径d50が9〜24μmのとき、
負極活物質の光散乱光学測定を実施し、Q=0.0017〜0.0048nm−1の範囲において、得られたデータの近似式y=a・Q−bを求め(ここで、yは散乱強度、θは散乱角の1/2、λはX線の波長、a及びbは定数をそれぞれ示す。)、形状の指標値であるパラメータbが非水電解質二次電池の容量維持率と関与すること、
さらにそのパラメータbが0.1〜2.1の範囲にあるとき、非水電解質二次電池の容量維持率、例えば60℃保存の容量維持率を向上できることを見出している(後記[実施例]の項、図3、表1−表2を参照)。
本発明において、負極活物質の平均粒径d50は、レーザ回折・散乱法により求めるものとする。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池において、負極活物質の平均粒径d50は通常、9〜24μmの範囲内である。
本発明者は、負極活物質の平均粒径d50が9〜24μmのとき、Q=0.0017〜0.0048nm−1の範囲において、図1におけるステージ(II)の粒子形状の情報が良好に得られることを見出している。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池において、負極活物質の平均粒径d50は通常、9〜24μmの範囲内である。
本発明者は、負極活物質の平均粒径d50が9〜24μmのとき、Q=0.0017〜0.0048nm−1の範囲において、図1におけるステージ(II)の粒子形状の情報が良好に得られることを見出している。
パラメータbが大きくなる程、負極活物質の形状が真球状に近づき、容量維持率が低下すると考えられる。
パラメータbが小さくなる程、負極活物質の形状が真球状から外れ、容量維持率が向上すると考えられる。
容量維持率の向上の観点から、パラメータbは2.1以下であり、1.9以下が特に好ましい。
製造容易性から、パラメータbは0.1以上であり、0.4以上が特に好ましい。
パラメータbが小さくなる程、負極活物質の形状が真球状から外れ、容量維持率が向上すると考えられる。
容量維持率の向上の観点から、パラメータbは2.1以下であり、1.9以下が特に好ましい。
製造容易性から、パラメータbは0.1以上であり、0.4以上が特に好ましい。
なお、形状の指標値であるパラメータbには、単に負極活物質の全体的な粒子形状だけでなく、粒子状黒鉛の形状とそれを被覆する被膜の状態の情報も含まれていると考えられる。
負極活物質の粒子形態には例えば、
(1)粒子状黒鉛が略真球状で、その周りをほぼ均一な厚みで非黒鉛炭素被膜が覆ったもの、
(2)粒子状黒鉛が略真球状で、その周りを凹凸を有して非黒鉛炭素被膜が覆ったもの、
(3)粒子状黒鉛は表面凹凸を有する略球状で、その周りを非黒鉛炭素被膜が覆って全体として真球状となったもの、
(4)粒子状黒鉛は表面凹凸を有する略球状で、その周りに沿ってほぼ均一な厚みで非黒鉛炭素被膜が覆ったものなどが考えられる。
パラメータbには、上記のような負極活物質の粒子形態の情報が含まれると考えられる。
負極活物質の粒子形態には例えば、
(1)粒子状黒鉛が略真球状で、その周りをほぼ均一な厚みで非黒鉛炭素被膜が覆ったもの、
(2)粒子状黒鉛が略真球状で、その周りを凹凸を有して非黒鉛炭素被膜が覆ったもの、
(3)粒子状黒鉛は表面凹凸を有する略球状で、その周りを非黒鉛炭素被膜が覆って全体として真球状となったもの、
(4)粒子状黒鉛は表面凹凸を有する略球状で、その周りに沿ってほぼ均一な厚みで非黒鉛炭素被膜が覆ったものなどが考えられる。
パラメータbには、上記のような負極活物質の粒子形態の情報が含まれると考えられる。
本発明の負極活物質は、粒子状黒鉛の表面に対して、重質油等の油、ポリビニルアルコール(PVA)等のポリマー、石炭あるいは石油等を原料として製造されたピッチ等の炭素材料、及び必要に応じて溶媒等の添加剤を含む被膜材料を、気相法又は液相法により被覆し、不活性雰囲気下で焼成することにより、製造できる。
気相法としては例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等が挙げられる。
焼成時の不活性雰囲気としては、N2雰囲気、Ar等の希ガス雰囲気、及びこれらの組合わせ等が挙げられる。
気相法としては例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等が挙げられる。
焼成時の不活性雰囲気としては、N2雰囲気、Ar等の希ガス雰囲気、及びこれらの組合わせ等が挙げられる。
用いる黒鉛の粒子形状、非黒鉛炭素被膜の被覆量・被覆方法・焼成プロファイル等の製造条件を調整することで、パラメータbを調整することができる。
具体的な製造条件の例については、後記[実施例]の項を参照されたい。
具体的な製造条件の例については、後記[実施例]の項を参照されたい。
略球状、あるいは非球状の粒子状黒鉛を用いることができる。
後記[実施例]の項において、本発明者は、いずれの形状の粒子状黒鉛を用いても、パラメータbが0.1〜2.1の範囲にあり、容量維持率が向上された負極活物質を実現している(実施例1、2)。
実施例1では、略球状の粒子状黒鉛を用い、非黒鉛炭素被膜の被覆量・被覆方法・焼成プロファイルを工夫することにより、パラメータbの値を0.1〜2.1の範囲内とし、容量維持率を向上することに成功している。
特に、非球状の粒子状黒鉛を用いた実施例2では、略球状の粒子状黒鉛を用いた実施例1よりもパラメータbの値が小さく、より高い容量維持率が実現されている。
したがって、非球状の粒子状黒鉛を用いることが特に好ましい。
非球状としては例えば、略紡錘状等が挙げられる。紡錘状は紡錘に糸を巻いたときの形であり、横断面が円形であり、中央部の横断面積が最も大きく、上下両端に向けて横断面積が次第に小さくなる形状である。
後記[実施例]の項において、本発明者は、いずれの形状の粒子状黒鉛を用いても、パラメータbが0.1〜2.1の範囲にあり、容量維持率が向上された負極活物質を実現している(実施例1、2)。
実施例1では、略球状の粒子状黒鉛を用い、非黒鉛炭素被膜の被覆量・被覆方法・焼成プロファイルを工夫することにより、パラメータbの値を0.1〜2.1の範囲内とし、容量維持率を向上することに成功している。
特に、非球状の粒子状黒鉛を用いた実施例2では、略球状の粒子状黒鉛を用いた実施例1よりもパラメータbの値が小さく、より高い容量維持率が実現されている。
したがって、非球状の粒子状黒鉛を用いることが特に好ましい。
非球状としては例えば、略紡錘状等が挙げられる。紡錘状は紡錘に糸を巻いたときの形であり、横断面が円形であり、中央部の横断面積が最も大きく、上下両端に向けて横断面積が次第に小さくなる形状である。
粒子状黒鉛に対する非黒鉛炭素被膜の量(被覆量)は特に制限されない。被覆量が過小では、電解質との反応性の抑制効果が充分に発現しなくなる。被覆量が過大では、黒鉛を被覆せずに非黒鉛炭素のみで塊が形成されるなど、マクロなレベルでの不均一性が増して所望の電池特性が得られなくなる恐れ、あるいは、被膜が厚くなりすぎて初期抵抗が増大するなどの恐れがある。
粒子状黒鉛100質量部に対する非黒鉛炭素被膜の量(被覆量)は例えば、2〜7質量部が好ましい。
粒子状黒鉛100質量部に対する非黒鉛炭素被膜の量(被覆量)は例えば、2〜7質量部が好ましい。
黒鉛を被覆せずに非黒鉛炭素のみで塊が形成されることなく、粒子状黒鉛に対して非黒鉛炭素を良好に均一に被覆できることから、被覆法としては気相法が特に好ましい。
焼成プロファイルとしては例えば、仮焼成と本焼成の2段階焼成が好ましい。
低結晶性を有する被膜を形成するには、900℃以上の本焼成が必要である。本焼成温度が高くなりすぎると、炭素材料の消失が多くなる傾向がある。本焼成温度は、900〜1000℃が好ましい。
900℃以上の本焼成の前に、本焼成よりは低いが、炭素化かつある程度の結晶化が進む温度、具体的には600〜700℃の仮焼成を行うことが好ましい。かかる温度で仮焼成を行うことで、本焼成前に、溶媒等の添加物あるいは不純物等の不要物が良好に除去され、かつ、比較的秩序の高い炭素骨格構造が得られ、その状態で本焼成を行うことで、より秩序の高い良質な低結晶構造が得られると考えられる。
したがって、600〜700℃で仮焼成した後、900℃以上で本焼成する焼成プロファイルが好ましい。
仮焼成時間は温度にもよるが、3〜10時間が好ましい。
本焼成時間は温度にもよるが、3〜10時間が好ましい。
低結晶性を有する被膜を形成するには、900℃以上の本焼成が必要である。本焼成温度が高くなりすぎると、炭素材料の消失が多くなる傾向がある。本焼成温度は、900〜1000℃が好ましい。
900℃以上の本焼成の前に、本焼成よりは低いが、炭素化かつある程度の結晶化が進む温度、具体的には600〜700℃の仮焼成を行うことが好ましい。かかる温度で仮焼成を行うことで、本焼成前に、溶媒等の添加物あるいは不純物等の不要物が良好に除去され、かつ、比較的秩序の高い炭素骨格構造が得られ、その状態で本焼成を行うことで、より秩序の高い良質な低結晶構造が得られると考えられる。
したがって、600〜700℃で仮焼成した後、900℃以上で本焼成する焼成プロファイルが好ましい。
仮焼成時間は温度にもよるが、3〜10時間が好ましい。
本焼成時間は温度にもよるが、3〜10時間が好ましい。
負極活物質のN2吸着法によるBET比表面積は特に制限されない。
BET比表面積が大きい程、活性点が多くなり、初期抵抗が低減する傾向があるが、電池容量が低減する傾向がある。
負極活物質のN2吸着法によるBET比表面積は例えば、2〜5m2/gが好ましい。
BET比表面積が大きい程、活性点が多くなり、初期抵抗が低減する傾向があるが、電池容量が低減する傾向がある。
負極活物質のN2吸着法によるBET比表面積は例えば、2〜5m2/gが好ましい。
「非水電解質二次電池」
本発明の非水電解質二次電池は、正極と、上記の本発明の非水電解質二次電池用の負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備えたものである。
本発明の非水電解質二次電池は、正極と、上記の本発明の非水電解質二次電池用の負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備えたものである。
非水電解質二次電池としては、リチウムイオン二次電池等が挙げられる。以下、リチウムイオン二次電池を例として、主な構成要素について説明する。
<正極>
正極は、公知の方法により、アルミニウム箔などの正極集電体に正極活物質を塗布して、製造することができる。
公知の正極活物質としては特に制限なく、例えば、LiCoO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiNixCo(1−x)O2、及びLiNixCoyMn(1−x−y)O2等のリチウム含有複合酸化物等が挙げられる。
例えば、N−メチル−2−ピロリドン等の分散剤を用い、上記の正極活物質と、炭素粉末等の導電剤と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の結着剤とを混合して、スラリーを得、このスラリーをアルミニウム箔等の正極集電体上に塗布し、乾燥し、プレス加工して、正極を得ることができる。
正極は、公知の方法により、アルミニウム箔などの正極集電体に正極活物質を塗布して、製造することができる。
公知の正極活物質としては特に制限なく、例えば、LiCoO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiNixCo(1−x)O2、及びLiNixCoyMn(1−x−y)O2等のリチウム含有複合酸化物等が挙げられる。
例えば、N−メチル−2−ピロリドン等の分散剤を用い、上記の正極活物質と、炭素粉末等の導電剤と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の結着剤とを混合して、スラリーを得、このスラリーをアルミニウム箔等の正極集電体上に塗布し、乾燥し、プレス加工して、正極を得ることができる。
<負極>
上記の本発明の非水電解質二次電池用の負極活物質を含む負極を用いる。
必要に応じて、上記の本発明の非水電解質二次電池用の負極活物質以外の公知の負極活物質を併用しても構わない。
併用可能な負極活物質としては特に制限なく、Li/Li+基準で2.0V以下にリチウム吸蔵能力を持つものが好ましく用いられる。併用可能な負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な遷移金属酸化物/遷移金属窒化物/遷移金属硫化物、及び、これらの組合わせ等が挙げられる。
上記の本発明の非水電解質二次電池用の負極活物質を含む負極を用いる。
必要に応じて、上記の本発明の非水電解質二次電池用の負極活物質以外の公知の負極活物質を併用しても構わない。
併用可能な負極活物質としては特に制限なく、Li/Li+基準で2.0V以下にリチウム吸蔵能力を持つものが好ましく用いられる。併用可能な負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な遷移金属酸化物/遷移金属窒化物/遷移金属硫化物、及び、これらの組合わせ等が挙げられる。
負極は、公知の方法により、銅箔などの負極集電体に負極活物質を塗布して、製造することができる。
例えば、水等の分散剤を用い、上記の負極活物質と、変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス等の結着剤と、必要に応じてカルボキシメチルセルロースNa塩(CMC)等の増粘剤とを混合して、スラリーを得、このスラリーを銅箔等の負極集電体上に塗布し、乾燥し、プレス加工して、負極を得ることができる。
例えば、水等の分散剤を用い、上記の負極活物質と、変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス等の結着剤と、必要に応じてカルボキシメチルセルロースNa塩(CMC)等の増粘剤とを混合して、スラリーを得、このスラリーを銅箔等の負極集電体上に塗布し、乾燥し、プレス加工して、負極を得ることができる。
<非水電解質>
非水電解質としては公知のものが使用でき、液状、ゲル状もしくは固体状の非水電解質が使用できる。
例えば、プロピレンカーボネ−トあるいはエチレンカーボネ−ト等の高誘電率カーボネート溶媒と、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の低粘度カーボネート溶媒との混合溶媒に、リチウム含有電解質を溶解した非水電界液が好ましく用いられる。
混合溶媒としては例えば、エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/エチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒が好ましく用いられる。
リチウム含有電解質としては例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li2SiF6、LiOSO2CkF(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiPFn{CkF(2k+1)}(6−n)(n=1〜5の整数、k=1〜8の整数)等のリチウム塩、及びこれらの組合わせが挙げられる。
非水電解質としては公知のものが使用でき、液状、ゲル状もしくは固体状の非水電解質が使用できる。
例えば、プロピレンカーボネ−トあるいはエチレンカーボネ−ト等の高誘電率カーボネート溶媒と、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の低粘度カーボネート溶媒との混合溶媒に、リチウム含有電解質を溶解した非水電界液が好ましく用いられる。
混合溶媒としては例えば、エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/エチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒が好ましく用いられる。
リチウム含有電解質としては例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li2SiF6、LiOSO2CkF(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiPFn{CkF(2k+1)}(6−n)(n=1〜5の整数、k=1〜8の整数)等のリチウム塩、及びこれらの組合わせが挙げられる。
<セパレータ>
セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し、かつリチウムイオンが透過可能な膜であればよく、多孔質高分子フィルムが好ましく使用される。
セパレータとしては例えば、PP(ポリプロピレン)製多孔質フィルム、PE(ポリエチレン)製多孔質フィルム、あるいは、PP(ポリプロピレン)−PE(ポリエチレン)の積層型多孔質フィルム等のポリオレフィン製多孔質フィルムが好ましく用いられる。
セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し、かつリチウムイオンが透過可能な膜であればよく、多孔質高分子フィルムが好ましく使用される。
セパレータとしては例えば、PP(ポリプロピレン)製多孔質フィルム、PE(ポリエチレン)製多孔質フィルム、あるいは、PP(ポリプロピレン)−PE(ポリエチレン)の積層型多孔質フィルム等のポリオレフィン製多孔質フィルムが好ましく用いられる。
<ケース>
ケースとしては公知のものが使用できる。
二次電池の型としては、円筒型、コイン型、角型、あるいはフィルム型等があり、所望の型に合わせてケースを選定することができる。
ケースとしては公知のものが使用できる。
二次電池の型としては、円筒型、コイン型、角型、あるいはフィルム型等があり、所望の型に合わせてケースを選定することができる。
以上説明したように、本発明によれば、粒子状黒鉛と非黒鉛炭素被膜とを備えた負極活物質において容量維持率に関与する因子が明らかとされ、粒子状黒鉛の表面に非黒鉛炭素被膜が形成されており、非水電解質二次電池の容量維持率を向上することが可能な非水電解質二次電池用の負極活物質を提供することができる。
本発明に係る実施例及び比較例について説明する。
[実施例1、2、比較例1〜3]
実施例1、2及び比較例1〜3では、負極活物質の製造条件を変更する以外は、同一条件として、リチウムイオン二次電池を製造した。
実施例1、2及び比較例1〜3では、負極活物質の製造条件を変更する以外は、同一条件として、リチウムイオン二次電池を製造した。
<正極>
正極活物質として、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を用いた。
分散剤としてN−メチル−2−ピロリドンを用い、上記の正極活物質と、導電剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるPVDFとを93/4/3(質量比)で混合して、電極層形成用ペーストを得た。
上記電極層形成用ペーストを集電体であるアルミニウム箔の両面にドクターブレード法で塗布し、150℃で30分間乾燥し、プレス機械を用いてプレス加工して、電極層を形成した。
以上のようにして、正極を得た。正極電極層は、片面当たり、目付30mg/cm2、密度2.8g/cm3とした。
正極活物質として、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を用いた。
分散剤としてN−メチル−2−ピロリドンを用い、上記の正極活物質と、導電剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるPVDFとを93/4/3(質量比)で混合して、電極層形成用ペーストを得た。
上記電極層形成用ペーストを集電体であるアルミニウム箔の両面にドクターブレード法で塗布し、150℃で30分間乾燥し、プレス機械を用いてプレス加工して、電極層を形成した。
以上のようにして、正極を得た。正極電極層は、片面当たり、目付30mg/cm2、密度2.8g/cm3とした。
<負極>
実施例1及び比較例1〜3では、粒子状黒鉛として略球状の天然黒鉛を用い、実施例2では、粒子状黒鉛として略紡錘状の天然黒鉛を用いた。
なお、黒鉛の粒子形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察にて確認した。
実施例1及び比較例1〜3では、粒子状黒鉛として略球状の天然黒鉛を用い、実施例2では、粒子状黒鉛として略紡錘状の天然黒鉛を用いた。
なお、黒鉛の粒子形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察にて確認した。
実施例1(試料A)では、略球状の上記粒子状黒鉛の表面に対して、ピッチを被覆材料としてCVD法により被覆し、N2雰囲気下で焼成することにより、負極活物質を製造した。粒子状黒鉛に対する非黒鉛炭素の被覆量は2質量%とした。
実施例1(試料A)では、600℃で3時間焼成し、昇温速度10℃/minで900℃に昇温し、この温度で10時間保持するプロファイルとした。
実施例1(試料A)では、600℃で3時間焼成し、昇温速度10℃/minで900℃に昇温し、この温度で10時間保持するプロファイルとした。
比較例1(試料B)では、略球状の上記粒子状黒鉛の表面に対して、ピッチを被覆材料としてCVD法により被覆し、N2雰囲気下で焼成することにより、負極活物質を製造した。粒子状黒鉛に対する非黒鉛炭素の被覆量は10質量%とした。
比較例1(試料B)では、600℃で3時間焼成し、昇温速度10℃/minで900℃に昇温し、この温度で10時間保持するプロファイルとした。
比較例1(試料B)では、600℃で3時間焼成し、昇温速度10℃/minで900℃に昇温し、この温度で10時間保持するプロファイルとした。
実施例2(試料C)では、略紡錘状の上記粒子状黒鉛の表面に対して、ピッチを被覆材料としてCVD法により被覆し、N2雰囲気下で焼成することにより、負極活物質を製造した。粒子状黒鉛に対する非黒鉛炭素の被覆量は2質量%とした。
実施例2(試料C)では、600℃で3時間焼成し、昇温速度10℃/minで900℃に昇温し、この温度で10時間保持するプロファイルとした。
実施例2(試料C)では、600℃で3時間焼成し、昇温速度10℃/minで900℃に昇温し、この温度で10時間保持するプロファイルとした。
比較例2(試料D)では、略球状の上記粒子状黒鉛の表面に対して、ピッチを被覆材料としてCVD法により被覆し、N2雰囲気下で焼成することにより、負極活物質を製造した。粒子状黒鉛に対する非黒鉛炭素の被覆量は2質量%とした。
比較例2(試料D)では、600℃で3時間焼成し、昇温速度10℃/minで900℃に昇温し、この温度で10時間保持するプロファイルとした。
比較例2(試料D)では、600℃で3時間焼成し、昇温速度10℃/minで900℃に昇温し、この温度で10時間保持するプロファイルとした。
比較例3(試料E)では、略球状の上記粒子状黒鉛の表面に対して、ピッチを被覆材料として液相法により被覆し、N2雰囲気下で焼成することにより、負極活物質を製造した。粒子状黒鉛に対する非黒鉛炭素の被覆量は2質量%とした。
比較例3(試料E)では、600℃で3時間焼成し、昇温速度10℃/minで900℃に昇温し、この温度で10時間保持するプロファイルとした。
比較例3(試料E)では、600℃で3時間焼成し、昇温速度10℃/minで900℃に昇温し、この温度で10時間保持するプロファイルとした。
いずれの例においても、分散剤として水を用い、上記の負極活物質と、結着剤である変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(SBR)と、増粘剤であるカルボキシメチルセルロースNa塩(CMC)とを98/1/1(質量比)で混合して、スラリーを得た。
上記電極層形成用ペーストを集電体であるアルミニウム箔の両面にドクターブレード法で塗布し、150℃で30分間乾燥し、プレス機械を用いてプレス加工して、電極層を形成した。
以上のようにして、負極を得た。負極電極層は、片面当たり、目付18mg/cm2、密度1.4g/cm3とした。
上記電極層形成用ペーストを集電体であるアルミニウム箔の両面にドクターブレード法で塗布し、150℃で30分間乾燥し、プレス機械を用いてプレス加工して、電極層を形成した。
以上のようにして、負極を得た。負極電極層は、片面当たり、目付18mg/cm2、密度1.4g/cm3とした。
<セパレータ>
PE(ポリエチレン)製多孔質フィルムからなる市販のセパレータを用意した。
PE(ポリエチレン)製多孔質フィルムからなる市販のセパレータを用意した。
<非水電解質>
エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/エチルメチルカーボネート(EMC)=3/4/3(体積比)の混合溶液を溶媒とし、電解質としてリチウム塩であるLiPF6を1.1mol/Lの濃度で溶解して、非水電界液を調製した。
エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/エチルメチルカーボネート(EMC)=3/4/3(体積比)の混合溶液を溶媒とし、電解質としてリチウム塩であるLiPF6を1.1mol/Lの濃度で溶解して、非水電界液を調製した。
<リチウムイオン二次電池の製造>
上記の正極と負極とセパレータと非水電解液と円筒型の缶ケースを用い、公知方法により、リチウムイオン二次電池を製造した。
各例の主な製造条件を表1に示す。
上記の正極と負極とセパレータと非水電解液と円筒型の缶ケースを用い、公知方法により、リチウムイオン二次電池を製造した。
各例の主な製造条件を表1に示す。
<負極活物質のBET比表面積>
各例において得られた負極活物質について、窒素吸着法によりBET比表面積を求めた。
装置としては、MOUNTECH社製Macsorb(HM model−1208)を用いた。
結果を表2に示す。
各例において得られた負極活物質について、窒素吸着法によりBET比表面積を求めた。
装置としては、MOUNTECH社製Macsorb(HM model−1208)を用いた。
結果を表2に示す。
<負極活物質の平均粒径d50>
各例において得られた負極活物質について、負極活物質の平均粒径d50を求めた。
装置としては、レーザ回折式粒子径分布測定装置SALD-2300を用いた。
結果を表2に示す。
各例において得られた負極活物質について、負極活物質の平均粒径d50を求めた。
装置としては、レーザ回折式粒子径分布測定装置SALD-2300を用いた。
結果を表2に示す。
<STEM観察>
各例において得られた負極活物質について、走査型透過電子顕微鏡(STEM)観察を実施した。
負極活物質をエポキシ系樹脂に包埋させ、FIB(集束イオンビーム)により活物質粒子の断面を得、これをサンプルとした。負極活物質の微小な空隙に樹脂を充填することで、STEM観察が容易となる。
装置としては、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の走査透過電子顕微鏡HD−2700を用いた。加速電圧は200kVとした。
各例において得られた負極活物質について、走査型透過電子顕微鏡(STEM)観察を実施した。
負極活物質をエポキシ系樹脂に包埋させ、FIB(集束イオンビーム)により活物質粒子の断面を得、これをサンプルとした。負極活物質の微小な空隙に樹脂を充填することで、STEM観察が容易となる。
装置としては、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の走査透過電子顕微鏡HD−2700を用いた。加速電圧は200kVとした。
各例において、幅150nm×深さ50nmの範囲で負極活物質の断面観察を実施し、非黒鉛炭素被膜の格子縞の有無とそのパターンを観察した。
いずれの例においても、被膜のSTEM像に格子縞が観察された。また、これらの格子縞は、a軸方向の結晶子サイズが小さく、あるいは、格子縞がウェーブするなど、黒鉛よりも格子縞の秩序が低く観察された。
いずれの例においても、被膜のSTEM像に格子縞が観察された。また、これらの格子縞は、a軸方向の結晶子サイズが小さく、あるいは、格子縞がウェーブするなど、黒鉛よりも格子縞の秩序が低く観察された。
<光散乱測定>
各例において得られた負極活物質について、光散乱測定を実施した。
装置としては、大塚電子株式会社社製のダイナミックス光散乱光度計を用いた。測定条件は以下の通りとした。
使用レーザと波長:He−Neレーザ 632.8nm、
測定角度θ:10〜160℃(Q=0.001731〜0.019557nm−1に相当)。
Q=4πsinθ/λ=0.0017〜0.0048nm−1の範囲において、得られたデータの近似式y=a・Q−bを求め(ここで、yは散乱強度、θは散乱角の1/2、λはX線の波長、a及びbは定数をそれぞれ示す。)、形状の指標値であるパラメータbを求めた。
光散乱の測定データ、近似直線、及び近似式の例を図2に示す。この図は、比較例2のものである。
結果を表2に示す。
各例において得られた負極活物質について、光散乱測定を実施した。
装置としては、大塚電子株式会社社製のダイナミックス光散乱光度計を用いた。測定条件は以下の通りとした。
使用レーザと波長:He−Neレーザ 632.8nm、
測定角度θ:10〜160℃(Q=0.001731〜0.019557nm−1に相当)。
Q=4πsinθ/λ=0.0017〜0.0048nm−1の範囲において、得られたデータの近似式y=a・Q−bを求め(ここで、yは散乱強度、θは散乱角の1/2、λはX線の波長、a及びbは定数をそれぞれ示す。)、形状の指標値であるパラメータbを求めた。
光散乱の測定データ、近似直線、及び近似式の例を図2に示す。この図は、比較例2のものである。
結果を表2に示す。
<60℃保存の容量維持率>
60℃にて60日保存後に、2AのCC充電で3〜4.1Vの容量を測定し、容量維持率を求めた。
結果を表2に示す。
60℃にて60日保存後に、2AのCC充電で3〜4.1Vの容量を測定し、容量維持率を求めた。
結果を表2に示す。
<結果のまとめ>
実施例1、2及び比較例1〜3の結果をまとめ、光散乱測定における形状の指標値であるパラメータbと容量維持率との関係を図3に示す。
図3に示すように、光散乱測定における形状の指標値であるパラメータbと容量維持率との間には良好な相関関係が見られ、
パラメータbが2.4以上の比較例1〜3では容量維持率が低かったのに対して、パラメータbが1.9以下の実施例1、2では高い容量維持率が実現された。
特に、略紡錘状の粒子状黒鉛を用いた実施例2では、より高い容量維持率が実現された。
実施例1、2及び比較例1〜3のデータをなめらかに結ぶと、概ね、パラメータ2.1以下で容量維持率80%以上が実現されている。
したがって、本発明において、形状の指標値であるパラメータbは0.1〜2.1に規定し、パラメータbは0.4〜1.9が特に好ましい。
実施例1、2及び比較例1〜3の結果をまとめ、光散乱測定における形状の指標値であるパラメータbと容量維持率との関係を図3に示す。
図3に示すように、光散乱測定における形状の指標値であるパラメータbと容量維持率との間には良好な相関関係が見られ、
パラメータbが2.4以上の比較例1〜3では容量維持率が低かったのに対して、パラメータbが1.9以下の実施例1、2では高い容量維持率が実現された。
特に、略紡錘状の粒子状黒鉛を用いた実施例2では、より高い容量維持率が実現された。
実施例1、2及び比較例1〜3のデータをなめらかに結ぶと、概ね、パラメータ2.1以下で容量維持率80%以上が実現されている。
したがって、本発明において、形状の指標値であるパラメータbは0.1〜2.1に規定し、パラメータbは0.4〜1.9が特に好ましい。
実施例1(試料A)と比較例1(試料B)との比較から、負極活物質の製造において、非黒鉛炭素の被覆量には好適な範囲があることが分かる。
実施例1(試料A)と比較例2(試料D)との比較から、負極活物質の製造において、好適なBET比表面積・平均粒径d50があることが分かる。
実施例1(試料A)と比較例3(試料E)との比較から、負極活物質の製造において、気相法による被覆がより好ましいことが分かる。
実施例1(試料A)と比較例2(試料D)との比較から、負極活物質の製造において、好適なBET比表面積・平均粒径d50があることが分かる。
実施例1(試料A)と比較例3(試料E)との比較から、負極活物質の製造において、気相法による被覆がより好ましいことが分かる。
本発明の負極活物質は、プラグインハイブリッド車(PHV)あるいは電気自動車(EV)に搭載されるリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池に好ましく適用できる。
Claims (5)
- 粒子状黒鉛と、当該粒子状黒鉛の表面に形成された非黒鉛炭素被膜とを有する非水電解質二次電池用の負極活物質であって、
前記非黒鉛炭素被膜は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)観察にて格子縞が確認されるものであり、
前記負極活物質の平均粒径d50が9〜24μmであり、
前記負極活物質の光散乱光学測定を実施したとき、Q=4πsinθ/λ=0.0017〜0.0048nm−1の範囲において、得られたデータの近似式y=a・Q−bを求め(ここで、yは散乱強度、θは散乱角の1/2、λはX線の波長、a及びbは定数をそれぞれ示す。)、パラメータbが0.1〜2.1の範囲にある非水電解質二次電池用の負極活物質。 - 前記粒子状黒鉛100質量部に対する前記非黒鉛炭素被膜の量が2〜7質量部である請求項1に記載の非水電解質二次電池用の負極活物質。
- 前記負極活物質のN2吸着法によるBET比表面積が2〜5m2/gである請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用の負極活物質。
- 正極と、請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池用の負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池。
- リチウムイオン二次電池である請求項4に記載の非水電解質二次電池。
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