JP2013213944A - エレクトロクロミック薄膜の形成方法及びエレクトロクロミック素子の製造方法 - Google Patents

エレクトロクロミック薄膜の形成方法及びエレクトロクロミック素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】中性に近い水溶液電解質又は酸性水溶液電解質を用いることが可能なオキシ水酸化ニッケル薄膜を作製できるエレクトロクロミック薄膜の形成方法及びエレクトロクロミック素子の製造方法を提供する。
【解決手段】エレクトロクロミック薄膜の形成方法は、水蒸気を用いた反応性スパッタリングによりオキシ水酸化ニッケル薄膜を形成し、形成したオキシ水酸化ニッケル薄膜を大気中にて200〜300℃の温度で熱処理する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エレクトロクロミック特性を呈するエレクトロクロミック薄膜の形成方法及びこのエレクトロクロミック薄膜を用いたエレクトロクロミック素子の製造方法に関する。
エレクトロクロミック特性は、電気エネルギを印加することにより可逆的な光学特性変化を起こす特性であり、一般的には、流される電流(電気量)の変化により引き起こされる電気化学的な酸化還元反応によって、物質の色調や色彩が可逆的変化する特性を示している。
このようなエレクトロクロミック特性を呈するエレクトロクロミック薄膜の従来の形成技術として、本願発明者等による非特許文献1及び2には、水蒸気を反応ガスとして用いたスパッタリング法を用いることにより、アモルファス構造に近い低密度のオキシ水酸化ニッケル薄膜を作成することが記載されている。このような方法によれば、大面積の均一な水酸化物薄膜を容易に作製することができる。しかも、この種の水酸化ニッケル薄膜は、酸素ガスを反応ガスに用いて作製した酸化ニッケル薄膜に比べて優れたエレクトロクロミック特性を呈することが知られている。例えば、水酸化カリウム水溶液電解質中における酸化還元反応に伴う電流が増加し、40%以上の大きな透過率変化を得ることができ、例えば調光ガラスに応用して有用である。
Ni Oxyhydroxide Thin Films Prepared by Reactive Sputtering Using O2 + H2O Mixed Gas, Hideaki Ueta et al, Jpn. J. Appl. Phys., vol. 48 (2009), 015501 Effects of Sputtering Gas Pressure on Electrochromic Properties of Ni Oxyhydroxide Thin Films Prepared by Reactive Sputtering in H2O Atmosphere, Yoshio Abe et al, Jpn. J. Appl. Phys., vol. 49 (2010), 115802
しかしながら、上述のごとき従来の方法で作製したオキシ水酸化ニッケル薄膜は、強塩基性である水酸化カリウム水溶液電解質中では安定した酸化還元反応を繰り返すことができるが、中性に近い水溶液電解質中では急速に劣化し、100サイクル程度に酸化還元反応を繰り返すと、色変化をほとんど示さなくなってしまう。
公知のように、例えばオキシ水酸化ニッケルのような酸化着色型のエレクトロクロミック材料と、例えば酸化タングステンのような還元着色型のエレクトロクロミック材料とを組み合わせることにより、着色効率の高い相補型エレクトロクロミック素子を構成することができる。しかしながら、従来技術によって作製したオキシ水酸化ニッケルは酸性水溶液中で溶解してしまい、一方、酸化タングステンは中性〜アルカリ性水溶液中で溶解するため、伝導率の高い水溶液電解質を使用することができなかった。このため、イオン伝導率の低い有機電解質や固体電解質を使用することとなり、これは応答速度の低下を招くこととなっていた。
従って本発明の目的は、中性に近い水溶液電解質を用いることが可能なオキシ水酸化ニッケル薄膜を作製できるエレクトロクロミック薄膜の形成方法及びエレクトロクロミック素子の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、酸性水溶液電解質中で使用することが可能なオキシ水酸化ニッケル薄膜を作製できるエレクトロクロミック薄膜の形成方法及びエレクトロクロミック素子の製造方法を提供することにある。
本発明によれば、水蒸気を用いた反応性スパッタリングによりオキシ水酸化ニッケル薄膜を形成し、該形成したオキシ水酸化ニッケル薄膜を大気中にて200〜300℃の温度で熱処理するエレクトロクロミック薄膜の形成方法が提供される。
水蒸気を用いた反応性スパッタリングにより形成したオキシ水酸化ニッケル薄膜を大気中にて200〜300℃の温度で熱処理することにより、水酸化物の状態を保ちながら結晶性が改善されるため、膜の水溶液電解質に対する耐性が改善される。従来技術では不可能であった中性に近いpH=4の水溶液電解質を用いることができ、また、酸性水溶液電解質を用いることもできる。
熱処理の時間が、1〜3時間であることが好ましい。このように、安定した性能を持つオキシ水酸化ニッケル薄膜を得ることができる。
本発明によれば、エレクトロクロミック素子の製造方法は、第1の透明基板の表面に第1の透明電極を形成する第1の透明電極形成工程と、形成された第1の透明電極の表面に第1のエレクトロクロミック薄膜を形成する第1のエレクトロクロミック薄膜形成工程と、第2の透明基板の表面に第2の透明電極を形成する第2の透明電極形成工程と、形成された第2の透明電極の表面に対極膜を形成する対極膜形成工程と、第1の透明電極と第1のエレクトロクロミック層とが形成された第1の透明基板と、第2の透明電極と対極膜とが形成された第2の透明基板とを、電解質層を介在させて積層する組み立て工程と、第1のエレクトロクロミック薄膜形成工程では、水蒸気を用いた反応性スパッタリングによりオキシ水酸化ニッケル薄膜を形成し、該形成したオキシ水酸化ニッケル薄膜を大気中にて200〜300℃の温度で熱処理する。
これにより、エレクトロクロミック素子には、中性に近いpH=4の水溶液電解質又は酸性水溶液電解質を用いることができる。従来用いられていた有機電解質や固体電解質を用いたものに比べ、イオン伝導率が高いので、高速応答のエレクトロクロミック素子を実現できる。
第1の透明基板に形成された第1のエレクトロクロミック層の表面外周に、又は第2の透明基板に形成された対極膜の表面外周にスペーサを形成するスペーサ形成工程と、第1の透明電極と第1のエレクトロクロミック層とが形成された第1の透明基板と、第2の透明電極と対極膜とが形成された第2の透明基板とを、スペーサを挟んで張り合わせた状態で、スペーサにより形成された空間に電解質を注入する電解質注入工程とをさらに備えることが好ましい。このように、液体電解質を容易に封入することができる。
対極膜形成工程では、スパッタリング法を用いて膜厚100nm〜1μmのCeO膜を形成することが好ましい。このように、基本的なエレクトロクロミック素子が得られる。
対極膜形成工程では、スパッタリング法を用いて膜厚100nm〜1μmのWO膜を形成することが好ましい。このように、相補型エレクトロクロミック素子が得られる。
電解質注入工程では、5×10−5mol/Lの硫酸と1mol/LのKClの混合水溶液電解質を用いることが好ましい。このように、水溶液電解質が中性に近いpH=4であるため、エレクトロクロミック素子を利用した大面積の調光ガラスに使用される場合、機械的衝撃によってガラス破損などの事故が発生しても、例えば、電解質が皮膚や目に付着しても、比較的に安全である。
本発明によれば、水蒸気を用いた反応性スパッタリングにより形成したオキシ水酸化ニッケル薄膜を大気中にて200〜300℃の温度で熱処理することで、水酸化物の状態を保ちながら結晶性が改善されるため、膜の水溶液電解質に対する耐性が改善される。従来技術では不可能であった中性に近いpH=4の水溶液電解質を用いることができ、また、酸性水溶液電解質を用いることもできる。
また、エレクトロクロミック素子には、中性に近いpH=4の水溶液電解質又は酸性水溶液電解質を用いることができる。従来用いられていた有機電解質や固体電解質を用いたものに比べ、イオン伝導率が高いので、高速応答のエレクトロクロミック素子を実現できる。
エレクトロクロミック薄膜の形成方法を概略的に示すフローチャートである。 熱処理温度を変化させて形成したエレクトロクロミック薄膜の赤外吸収スペクトルを示す図である。 熱処理温度を変化させて形成したエレクトロクロミック薄膜のX線回折パターンを示す図である。 熱処理温度を変化させて形成したエレクトロクロミック薄膜を用いた素子の透過率変化のサイクル依存性を示す図である。 エレクトロクロミック薄膜を用いた素子の光学密度変化の熱処理温度による変化を示す図である。 基本的なエレクトロクロミック素子の構成を概略的に示す断面図である。 基本的なエレクトロクロミック素子の製造方法を概略的に示すフローチャートである。 相補型エレクトロクロミック素子の構成を概略的に示す断面図である。 相補型エレクトロクロミック素子の製造方法を概略的に示すフローチャートである。
図1は本発明の一実施形態におけるエレクトロクロミック薄膜の形成方法の主な工程を示している。図2は熱処理温度を変化させて形成したエレクトロクロミック薄膜の赤外吸収スペクトルを示しており、図3は熱処理温度を変化させて形成したエレクトロクロミック薄膜のX線回折パターンを示しており、図4は熱処理温度を変化させて形成したエレクトロクロミック薄膜を用いた素子の透過率変化のサイクル依存性を示しており、図5はエレクトロクロミック薄膜を用いた素子の光学密度変化の熱処理温度による変化を示している。
まず、本実施形態におけるエレクトロクロミック薄膜の形成処理について説明する。図1に示すように、エレクトロクロミック薄膜の形成には、水蒸気(HO)を反応ガスとして用いた反応スパッタリングの手法を用いた。
薄膜形成処理について具体的に説明すると、まず、RFマグネトロンスパッタリング装置の成膜処理チャンバ内の基板ホルダに例えば石英ガラス基板又はシリコン基板を設置する(ステップS1)。次に、ニッケル(Ni)金属ターゲットを成膜処理チャンバ内のカソードに設置する(ステップS2)。次に、反応ガスとして水蒸気(HO)を成膜処理チャンバ内に流通させる(ステップS3)。この状態で高周波電力を印加し、反応性スパッタリングにより基板上にオキシ水酸化ニッケル薄膜を成膜する(ステップS4)。ここで、例えば、基板の温度を、10℃に保ち、スパッタガス圧力を50mTorr、RFパワーを50Wとして、基板上にオキシ水酸化ニッケル薄膜を成膜する。
その後、大気中にて200〜300℃の温度で、オキシ水酸化ニッケル薄膜を積層した基板を熱処理する(ステップS5)。熱処理時間は、例えば、1〜3時間とする。なお、熱処理時間が、1時間未満であると、形成したオキシ水酸化ニッケル薄膜の電解質水溶液中における耐久性が不十分となる。一方、熱処理時間が3時間より長いと、形成したオキシ水酸化ニッケル薄膜の透過率変化の幅が減少する。
上記方法で形成したエレクトロクロミック薄膜に対して、熱処理温度によるエレクトロクロミック薄膜の性能への影響について検討した。
(1)水蒸気(HO)を反応ガスとして用いた反応スパッタリング法により作製したオキシ水酸化ニッケル薄膜を大気中、100℃、200℃、300℃、400℃、及び500℃の温度で2時間熱処理した試料に対して、フーリエ変換赤外分光法で吸収スペクトを測定した。図2に示すように、2800〜3700cm−1に現れる水素結合したOH基による吸収ピーク強度は、熱処理温度の上昇とともに減少しているが、300℃で熱処理後までは、ピークが認められる。また、560cm−1に現れるNi−OHによる吸収ピークも300℃熱処理後まで認められるが、400℃で熱処理後は、消滅している。
(2)水蒸気(HO)を反応ガスとして用いた反応スパッタリング法により作製したオキシ水酸化ニッケル薄膜を大気中、100℃、200℃、300℃、400℃、及び500℃の温度で2時間熱処理した試料に対して、X線回折パターンを測定した。図3に示すように、熱処理前及び熱処理後の試料のX線回折パターンには、回折角42°付近にNiOOH(101)面に対応するブロードなピークが認められる。200℃以上では回折角37°付近にNiO(111)面、43°付近にNiO(200)面のピークが現れ、熱処理温度の上昇とともにピーク強度が増加する。
赤外吸収スペクトルとX線回折パターンの測定結果をまとめると、アニール前(as−depo)と100℃熱処理まではNiOOHであり、200〜300℃ではNiOOHとNiOの混合であり、400℃以上ではNiOであると考えられる。
(3)熱処理温度を変化させて形成したエレクトロクロミック薄膜の透過率変化のサイクル依存性について調べるため、水蒸気(HO)を反応ガスとして用いた反応スパッタリング法により作製したオキシ水酸化ニッケル薄膜を大気中、100℃、200℃、300℃、400℃、及び500℃の温度で2時間熱処理した試料を用いてエレクトロクロミック薄膜を作製した。この薄膜の弱酸性電解質(HSO+KCl水溶液、pH=4)中での透過率変化を測定した。
熱処理前、及び100℃熱処理後の試料は、100サイクル程度、着脱色サイクル繰り返すと急激に劣化し、色変化を示さなくなる。また、200℃熱処理の試料では、250サイクル以上で、劣化の傾向が認められた。これに対し、300℃以上の温度で熱処理した試料では、ほとんど劣化が認められないが、400℃以上で熱処理した試料の透過率変化は減少した。
(4)光学密度変化(ΔOD)の熱処理温度による変化について調べるため、水蒸気(HO)を反応ガスとして用いた反応スパッタリング法により作製したオキシ水酸化ニッケル薄膜を大気中、100℃、200℃、300℃、400℃、及び500℃の温度で2時間熱処理した試料を用いてエレクトロクロミック薄膜を作製した。
透過率変化の大きさを定量的に表すため、光学密度変化を求めた。脱色時の透過率をTb、着色時の透過率をTcとすると、光学密度変化(ΔOD)は、式:ΔOD=Log(Tb/Tc)によって定義できる。
図5において、50サイクル後と300サイクル後のΔODを示している。この結果、50サイクル後では、熱処理前の試料が最も大きなΔODを示すことがわかる。しかし、着脱色サイクルの繰り返しとともに、劣化が進行するため、300サイクル後では、300℃で熱処理した試料が最も大きな光学密度変化を示し、優れたエレクトロクロミック特性が得られることが分った。
以下、上述したようなエレクトロクロミック薄膜を有するエレクトロクロミック素子の一実施形態における構成及び製造方法について説明する。図6は基本的なエレクトロクロミック素子の構成を示しており、図7は基本的なエレクトロクロミック素子の主な製造工程を示しており、図8は相補型エレクトロクロミック素子の構成を示しており、図9は相補型エレクトロクロミック素子の主な製造工程を示している。
図6に示すように、基本的なエレクトロクロミック素子100は、第1の透明基板10と、第1の透明電極20と、第1のエレクトロクロミック薄膜30と、電解質層40と、対極膜50と、第2の透明電極60と、第2の透明基板70とを順次積層した積層構造を備える。
第1の透明基板10は、所定寸法に加工した透明ガラス基板又は樹脂製透明シートである。
第1の透明電極20は、第1の透明基板10の表面に形成されたものであり、液晶ディスプレイや太陽電池の場合と同様に、5〜10%のスズを添加した酸化インジウム(ITO)、又はフッ素やアンチモンを添加した酸化スズの薄膜が使われる。膜厚は、100〜200nm程度である。
第1のエレクトロクロミック薄膜30は、第1の透明電極20の表面に図1に示した方法で形成されたオキシ水酸化ニッケル薄膜である。膜厚は、100nm〜1μm程度である。なお、酸化タングステン(WO)、酸化モリブデン(MoO)やプルシアンブルー(KxFeIIyFeIIIz(CN))などが還元着色型エレクトロクロミック層として使用してもよい。また、酸化着色型エレクトロクロミック材料として、酸化ニッケル(NiO)、水酸化ニッケル(Ni(OH),NiOOH)、酸化コバルト(Co)、水酸化コバルト(Co(OH),CoOOH)、酸化イリジウム(IrOx)などが使用可能である。また、ビオロゲン系、フタロシアニン系など多数の有機材料も使用可能であり、赤、青、緑のマルチカラーが得られる特徴があるが、耐久性(耐紫外線、耐熱)は、無機材料の方が優れる。
電解質層40は、水溶液電解質であり、本実施形態においては、0.1〜1mol/L程度の濃度の硫酸や水酸化カリウム(KOH)の水溶液を用いた。なお、有機材料のプロピレンカーボネートに0.1〜1mol/L程度の過塩素酸リチウム(LiClO)を添加したリチウム系電解質を用いてもよい。また、高分子電解質や、プロトン伝導性の水和酸化物などの固体電解質を用いてもよい。イオン伝導性の点では、水溶液電解質が最も伝導率が高いので、高速応答に向いている。電解質層の厚さは、薄膜の固体電解質であれば1μm程度であり、液体電解質であれば数10μmから数mm程度まで使用可能である。
対極膜50は、酸化セリウム(CeO)から形成されている。膜厚は、100nm〜1μm程度である。この実施形態において、対極膜50は、スパッタリング法を用いて形成された膜厚100nmの酸化セリウム(CeO)膜である。なお、対極膜50として、白金(Pt)やITOを用いてもよい。多くの実デバイスでは、エレクトロクロミック層に還元着色型、対極に還元着色型の材料を用いた相補型(後述参照)にするか、酸化還元反応を行うが色変化しない酸化セリウム(CeO)やZn−PBA(Zn[Fe(CN))などが用いられる。
第2の透明電極60は、第2の透明基板70の表面に形成されたものであり、上述した第1の透明電極20と同様な構成を有する。また、第2の透明基板70は、第1の透明基板等同じ、透明ガラス基板である。
本実施形態における基本的なエレクトロクロミック素子100の製造工程について説明する。図7に示すように、基本的なエレクトロクロミック素子100を製造する場合は、まず、用意した第1の透明基板10の表面に、スパッタリング法を用いて膜厚200nmのITO透明電極膜である第1の透明電極20を作製する(ステップS11)。ここで、第1の透明基板10には透明ガラス基板を用いた。次いで、形成された第1の透明電極20の表面に、スパッタリング法を用いて第1のエレクトロクロミック薄膜30として膜厚100nmのNiOOH膜を作製する(ステップS12)。ここで、NiOOH膜の形成方法は、図1に示す手順で行う。一方、第2の透明基板70の表面に、スパッタリング法を用いて、膜厚200nmのITO透明電極膜である第2の透明電極60を形成する(ステップS13)。ここで、第2の透明基板70には透明ガラス基板を用いた。次いで、形成された第2の透明電極60の表面に、スパッタリング法を用いて膜厚100nmのCeO対極膜50を形成する(ステップS14)。次いで、例えば、第1の透明基板10の第1のエレクトロクロミック薄膜30が形成された面の外周にスペーサ40aを形成する(ステップS15)。次いで、第1の透明電極20と第1のエレクトロクロミック薄膜30とが形成された第1の透明基板10と、第2の透明電極60と対極膜50とが形成された第2の透明基板70とを、スペーサ40aを挟んで張り合わせる(ステップS16)。次いで、スペーサ40aによる形成された隙間に5×10−5mol/Lの硫酸と1mol/LのKClの混合水溶液電解質(pH=4)を注入する(ステップS17)。これにより、ガラス基板/ITO膜/NiOOH膜/電解質層/CeO膜/ITO膜/ガラス基板の積層構造が形成される。最後に、電解質が漏れないように電解質の注入口を封止する(ステップS18)。これにより、エレクトロクロミック素子100が完成する。
図8に示すように、相補型エレクトロクロミック素子200は、第1の透明基板10と、第1の透明電極20と、第1のエレクトロクロミック薄膜30と、電解質層40と、対極膜としての第2のエレクトロクロミック薄膜50Aと、第2の透明電極60と、第2の透明基板70とを順次積層した積層構造を備える。この場合、第1のエレクトロクロミック薄膜30と第2のエレクトロクロミック薄膜50Aの両方が色変化するため、着色効率が向上する。
本実施形態の相補型エレクトロクロミック素子200において、第1の透明基板10、第1の透明電極20、第1のエレクトロクロミック薄膜30、電解質層40、第2の透明電極60、及び第2の透明基板70の材料の構成は、図6の実施形態の場合と同様であり、従って詳細な説明は省略する。
第2のエレクトロクロミック薄膜50Aには、第1のエレクトロクロミック薄膜30と逆の特性の材料を用いている。例えば、還元着色型の材料WOを用いた。膜厚は、第1のエレクトロクロミック薄膜30と同じである。なお、第1のエレクトロクロミック薄膜30に還元着色型の材料(WOなど)を用い、第2のエレクトロクロミック薄膜50Aに酸化着色型のエレクトロクロミック材料(NiOなど)を用いてもよい。
本実施形態における相補型エレクトロクロミック素子200の製造工程について説明する。図9に示すように、相補型エレクトロクロミック素子200の製造は、まず、用意した第1の透明基板10の表面に、スパッタリング法を用いて膜厚200nmのITO透明電極膜である第1の透明電極20を作製する(ステップS21)。ここで、第1の透明基板10には透明ガラス基板を用いた。次いで、形成された第1の透明電極20の表面に、スパッタリング法を用いて第1のエレクトロクロミック薄膜30としての膜厚100nmのNiOOH膜を作製する(ステップS22)。ここで、NiOOH膜の形成方法は、図1に示す手順で行う。一方、第2の透明基板70の表面に、スパッタリング法を用いて、膜厚200nmのITO透明電極膜である第2の透明電極60を形成する(ステップS23)。ここで、第2の透明基板70には透明ガラス基板を用いた。次いで、形成された第2の透明電極60の表面に、スパッタリング法を用いて第2のエレクトロクロミック薄膜50Aとしての膜厚100nmのWO膜を形成する(ステップS24)。次いで、例えば、第1の透明基板10の第1のエレクトロクロミック薄膜30が形成された面の外周にスペーサ40aを形成する(ステップS25)。次いで、第1の透明電極20と第1のエレクトロクロミック薄膜30とが形成された第1の透明基板10と、第2の透明電極60と第2のエレクトロクロミック薄膜50Aとが形成された第2の透明基板70とを、スペーサ40aを挟んで張り合わせる(ステップS26)。次いで、スペーサ40aによる形成された隙間に5×10−5mol/Lの硫酸と1mol/LのKClの混合水溶液電解質(pH=4)を注入する(ステップS27)。これにより、ガラス基板/ITO膜/NiOOH膜/電解質層/WO膜/ITO膜/ガラス基板の積層構造が形成される。最後に、電解質が漏れないように電解質の注入口を封止する(ステップS28)。これにより、相補型エレクトロクロミック素子200が完成する。
このように本実施形態においては、エレクトロクロミック薄膜の形成方法は、水蒸気(HO)を用いた反応性スパッタリングによりオキシ水酸化ニッケル薄膜を形成し、該形成したオキシ水酸化ニッケル薄膜を大気中にて200〜300℃の温度で熱処理する。
エレクトロクロミック素子の製造方法は、まず、第1の透明基板10の表面に、ITO透明電極膜である第1の透明電極20を作製し、次いで、形成された第1の透明電極20の表面に、第1のエレクトロクロミック薄膜30として膜厚100nmのNiOOH膜を作製し、一方、第2の透明基板70の表面に、ITO透明電極膜である第2の透明電極60を形成し。次いで、形成された第2の透明電極60の表面に、対極膜50として膜厚100nmのCeO膜(又は第2のエレクトロクロミック薄膜50Aとしての膜厚100nmのWO膜)を形成し、次いで、スペーサ40aを形成し、次いで、第1の透明基板10と、第2の透明基板70とを、スペーサ40aを挟んで張り合わせ、次いで、スペーサ40aによる形成された隙間に5×10−5mol/Lの硫酸と1mol/LのKClの混合水溶液電解質を注入し、最後に、電解質が漏れないように電解質の注入口を封止する。
これにより、中性に近い水溶液電解質(pH=4)を用いることが可能なオキシ水酸化ニッケル薄膜及びそれを備えたエレクトロクロミック素子を作製することができる。また、酸性水溶液電解質中で使用することが可能なオキシ水酸化ニッケル薄膜及びそれを備えたエレクトロクロミック素子を作製することができる。
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
本発明のエレクトロクロミック薄膜の形成方法は、中性に近い水溶液電解質又は酸性水溶液電解質を用いることができ、従来用いられていた有機電解質や固体電解質を用いたものに比べ、イオン伝導率が高い、高速応答のエレクトロクロミック素子を製造する目的に利用できる。エレクトロクロミック素子は、調光ガラス、自動車用防眩ミラー、電子ペーパに利用できる。
10 第1の透明基板
20 第1の透明電極
30 第1のエレクトロクロミック薄膜
40 電解質層
40a スペーサ
50 対極膜
50A 第2のエレクトロクロミック薄膜
60 第2の透明電極
70 第2の透明基板
100 基本的なエレクトロクロミック素子
200 相補型エレクトロクロミック素子

Claims (7)

  1. 水蒸気を用いた反応性スパッタリングによりオキシ水酸化ニッケル薄膜を形成し、該形成したオキシ水酸化ニッケル薄膜を大気中にて200〜300℃の温度で熱処理することを特徴とするエレクトロクロミック薄膜の形成方法。
  2. 前記熱処理の時間が、1〜3時間であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック薄膜の形成方法。
  3. 第1の透明基板の表面に第1の透明電極を形成する第1の透明電極形成工程と、
    形成された第1の透明電極の表面に第1のエレクトロクロミック薄膜を形成する第1のエレクトロクロミック薄膜形成工程と、
    第2の透明基板の表面に第2の透明電極を形成する第2の透明電極形成工程と、
    形成された第2の透明電極の表面に対極膜を形成する対極膜形成工程と、
    前記第1の透明電極と第1のエレクトロクロミック層とが形成された第1の透明基板と、第2の透明電極と対極膜とが形成された第2の透明基板とを、電解質層を介在させて積層する組み立て工程と、
    前記第1のエレクトロクロミック薄膜形成工程では、水蒸気を用いた反応性スパッタリングによりオキシ水酸化ニッケル薄膜を形成し、該形成したオキシ水酸化ニッケル薄膜を大気中にて200〜300℃の温度で熱処理することを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方法。
  4. 前記第1の透明基板に形成された第1のエレクトロクロミック層の表面外周に、又は前記第2の透明基板に形成された対極膜の表面外周にスペーサを形成するスペーサ形成工程と、
    前記第1の透明電極と第1のエレクトロクロミック層とが形成された第1の透明基板と、第2の透明電極と対極膜とが形成された第2の透明基板とを、前記スペーサを挟んで張り合わせた状態で、前記スペーサにより形成された空間に電解質を注入する電解質注入工程とをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
  5. 前記対極膜形成工程では、スパッタリング法を用いて膜厚100nm〜1μmのCeO膜を形成することを特徴とする請求項3又は4に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
  6. 前記対極膜形成工程では、スパッタリング法を用いて膜厚100nm〜1μmのWO膜を形成することを特徴とする請求項3又は4に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
  7. 電解質注入工程では、5×10−5mol/Lの硫酸と1mol/LのKClの混合水溶液電解質を用いることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
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