<デジタルスチルカメラの構成>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係るカメラシステムの一実施形態である撮像装置を示す概略構成図である。この図1で示す撮像装置(カメラシステム)は、CCD固体撮像素子10、撮像レンズ50、およびCCD固体撮像素子10を駆動する駆動制御部96を有する撮像装置モジュール3と、撮像装置モジュール3により得られる撮像信号に基づいて映像信号を生成しモニタ出力したり所定の記憶メディアに画像を格納したりする本体ユニット4とを備えてなるデジタルスチルカメラ1として構成されている。
撮像装置モジュール3内の駆動制御部96には、CCD固体撮像素子10を駆動するための各種のパルス信号を生成するタイミング信号生成部40と、このタイミング信号生成部40からのパルス信号を受けて、CCD固体撮像素子10を駆動するためのドライブパルスに変換するドライバ(駆動部)42と、CCD固体撮像素子10やドライバ42などに電源供給する駆動電源46が設けられている。撮像装置モジュール3内のCCD固体撮像素子10と駆動制御部96とにより固体撮像装置2が構成される。固体撮像装置2は、CCD固体撮像素子10と駆動制御部96とが、1枚の回路基板上に配されたもの、あるいは1つの半導体基板上に形成されたものとして提供されるものであるのがよい。
また、このデジタルスチルカメラ1の処理系統は、大別して、光学系5、信号処理系6、記録系7、表示系8、および制御系9から構成されている。なお、撮像装置モジュール3および本体ユニット4が、図示しない外装ケースに収容されて、実際の製品(完成品)が仕上がるのは言うまでもない。
光学系5は、シャッタ52、被写体の光画像を集光するレンズ54、および光画像の光量を調整する絞り56を有する撮像レンズ50と、集光された光画像を光電変換して電気信号に変換するCCD固体撮像素子10とから構成されている。被写体Zからの光Lは、シャッタ52およびレンズ54を透過し、絞り56により調整されて、適度な明るさでCCD固体撮像素子10に入射する。このとき、レンズ54は、被写体Zからの光Lからなる映像が、CCD固体撮像素子10上で結像されるように焦点位置を調整する。
信号処理系6は、CCD固体撮像素子10からのアナログ撮像信号を増幅する増幅アンプや、増幅された撮像信号をサンプリングすることによってノイズを低減させるCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)回路などを有するプリアンプ部62、プリアンプ部62が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog/Digital)変換部64、A/D変換部64から入力されるデジタル信号に所定の画像処理を施すDSP(Digital Signal Processor)で構成された画像処理部66から構成される。
記録系7は、画像信号を記憶するフラッシュメモリなどのメモリ(記録媒体)72と、画像処理部66が処理した画像信号を符号化してメモリ72に記録し、また、読み出して復号し画像処理部66に供給するCODEC(Compression/Decompression )74とから構成されている。
表示系8は、画像処理部66が処理した画像信号をアナログ化するD/A(Digital/Analog)変換回路82、入力されるビデオ信号に対応する画像を表示することによりファインダとして機能する液晶(LCD;Liquid Crystal Display)などよりなるビデオモニタ84、およびアナログ化された画像信号を後段のビデオモニタ84に適合する形式のビデオ信号にエンコードするビデオエンコーダ86から構成されている。
制御系9は、先ず、図示しないドライブ(駆動装置)を制御して磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリに記憶されている制御用プログラムを読み出し、読み出した制御用プログラム、あるいはユーザからのコマンドなどに基づいてデジタルスチルカメラ1の全体を制御するCPU(Central Processing Unit )などよりなる中央制御部92を備える。
また制御系9は、画像処理部66に送られた画像の明るさが適度な明るさを保つようにシャッタ52や絞り56を制御する露出コントローラ94、CCD固体撮像素子10から画像処理部66までの各機能部の動作タイミングを制御するタイミング信号生成部(タイミングジェネレータ;TG)40を具備した駆動制御部96、ユーザがシャッタタイミングやその他のコマンドを入力する操作部98を有する。 中央制御部92は、デジタルスチルカメラ1のバス99に接続された画像処理部66、CODEC74、メモリ72、露出コントローラ94、およびタイミング信号生成部40を制御している。
このデジタルスチルカメラ1では、オートフォーカス(AF)、オートホワイトバランス(AWB)、自動露光(AE)などの自動制御装置を備えている。これらの制御は、CCD固体撮像素子10から得られる出力信号を使用して処理する。たとえば、露出コントローラ94は、画像処理部66に送られた画像の明るさが適度な明るさを保つようにその制御値が中央制御部92により設定され、その制御値に従って絞り56を制御する。具体的には、中央制御部92が画像処理部66に保持されている画像から適当な個数の輝度値のサンプルを獲得し、その平均値があらかじめ定められた適当とされる輝度の範囲に収まるように絞り56の制御値を設定する。
本実施形態のデジタルスチルカメラ1における特徴部分であるタイミング信号生成部40は、中央制御部92により制御され、CCD固体撮像素子10、プリアンプ部62、A/D変換部64、および画像処理部66の動作に必要とされるタイミングパルスを発生し、各部に供給する。操作部98は、ユーザが、デジタルスチルカメラ1を動作させるとき操作される。
図示した例は、信号処理系6のプリアンプ部62およびA/D変換部64を撮像装置モジュール3に内蔵しているが、このような構成に限らず、プリアンプ部62やA/D変換部64を本体ユニット4内に設ける構成を採ることもできる。またD/A変換部を画像処理部66内に設ける構成を採ることもできる。
また、タイミング信号生成部40を撮像装置モジュール3に内蔵しているが、このような構成に限らず、タイミング信号生成部40を本体ユニット4内に設ける構成を採ることもできる。またタイミング信号生成部40とドライバ42とが別体のものとしているが、このような構成に限らず、両者を一体化させたもの(ドライバ内蔵のタイミングジェネレータ)としてもよい。こうすることで、よりコンパクトな(小型の)デジタルスチルカメラ1を構成できる。
また、タイミング信号生成部40やドライバ42は、それぞれ個別のディスクリート部材で回路構成されたものでもよいが、1つの半導体基板上に回路形成されたIC(Integrated Circuit)として提供されるものであるのがよい。こうすることで、コンパクトにできるだけなく、部材の取扱いが容易になるし、両者を低コストで実現できる。また、デジタルスチルカメラ1の製造が容易になる。また、使用するCCD固体撮像素子10との関わりの強い部分であるタイミング信号生成部40やドライバ42をCCD固体撮像素子10と共通の基板に搭載することで一体化させる、あるいは撮像装置モジュール3内に搭載することで一体化させると、部材の取扱いや管理が簡易になる。また、これらがモジュールとして一体となっているので、デジタルスチルカメラ1(の完成品)の製造も容易になる。なお、撮像装置モジュール3は、光学系5からのみ構成されていても構わない。
なお、このデジタルスチルカメラ1は、具体的には、フレーム読出方式を用いた静止画撮像動作時にカラー画像を撮像し得るカメラとして適用されるようになっている。なお、本実施形態のデジタルスチルカメラ1の特徴部分として、フレーム読出方式としては、CCD固体撮像素子10と組み合わせることで、一般的な2フィールド読出方式に限らず、3フィールド、4フィールド、あるいは5フィールド、さらにはそれ以上など様々フィールド数の態様の読出方式を適用可能に構成されている。また、静止画撮像モードに限らず、間引き読みを利用して30フレーム/秒に近いフレームレート(たとえば10フレーム以上/秒)での動画撮影モードも用意されている。
<CCD固体撮像素子と周辺部の概要>
図2は、CCD固体撮像素子10と、このCCD固体撮像素子10を駆動する駆動制御部96の一実施形態とから構成された固体撮像装置2の概略図である。本実施形態では、インターライン転送(IT)方式のCCD固体撮像素子10を6相もしくは8相で駆動する場合を例に採って説明する。
図2において、CCD固体撮像素子10には、駆動電源46から、ドレイン電圧VDDおよびリセットドレイン電圧VRDが印加され、ドライバ42にも所定の電圧が供給されるようになっている。
固体撮像装置2を構成するCCD固体撮像素子10は、半導体基板21上に、画素(ユニットセル)に対応して受光素子の一例であるフォトダイオードなどからなるセンサ部(感光部;フォトセル)11が多数、垂直(列)方向および水平(行)方向において2次元マトリクス状に配列されている。これらセンサ部11は、受光面から入射した入射光をその光量に応じた電荷量の信号電荷に変換して蓄積する。
またCCD固体撮像素子10は、センサ部11の垂直列ごとに6相もしくは8相駆動に対応する複数本(本例では1ユニットセル当たり6本もしくは8本)の垂直転送電極24(24−1〜24−6もしくは24−1〜24−8)が設けられる垂直CCD(Vレジスタ部、垂直転送部)13が配列されている。
垂直CCD13の転送方向は図中縦方向であり、この方向に垂直CCD13が設けられ、この方向に直交する方向(水平方向)に垂直転送電極24が複数本並べられる。さらに、これら垂直CCD13と各センサ部11との間には読出ゲート(ROG)12が介在している。また各ユニットセルの境界部分にはチャネルストップCSが設けられている。これらセンサ部11の垂直列ごとに設けられ、各センサ部11から読出ゲート部12によって読み出された信号電荷を垂直転送する複数本の垂直CCD13によって撮像エリア14が構成されている。
センサ部11に蓄積された信号電荷は、読出ゲート部12に読出パルスXSGに対応するドライブパルスが印加されることにより垂直CCD13に読み出される。垂直CCD13は、6相(8相)の垂直転送クロックV1〜V6(V8)に基づくドライブパルスφV1〜φV6(φV8)よって転送駆動され、読み出された信号電荷を水平ブランキング期間の一部にて1走査線(1ライン)に相当する部分ずつ順に垂直方向に転送する。この1ラインずつの垂直転送を、特にラインシフトという。
また、CCD固体撮像素子10には、複数本の垂直CCD13の各転送先側端部すなわち、最後の行の垂直CCD13に隣接して、図の左右方向に延在する水平CCD15(Hレジスタ部、水平転送部)15が1ライン分設けられている。この水平CCD15は、たとえば2相の水平転送クロックH1,H2に基づくドライブパルスφH1,φH2によって転送駆動され、複数本の垂直CCD13から移された1ライン分の信号電荷を、水平ブランキング期間後の水平走査期間において順次水平方向に転送する。このため2相駆動に対応する複数本(2本)の水平転送電極29(29−1,29−2)が設けられる。
水平CCD15の転送先の端部には、たとえばフローティング・ディフュージョン・アンプ(FDA)構成の電荷電圧変換部16が設けられている。この電荷電圧変換部16は、水平CCD15によって水平転送されてきた信号電荷を順次電圧信号に変換して出力する。この電圧信号は、被写体からの光の入射量に応じたCCD出力(VOUT)として導出される。以上により、インターライン転送方式のCCD固体撮像素子10が構成されている。
また固体撮像装置2は、本実施形態の固体撮像装置2の特徴部分として、CCD固体撮像素子10を駆動するための種々のパルス信号(“L”レベルと“H”レベルの2値)を生成するタイミング信号生成部40と、タイミング信号生成部40から供給された種々のパルスを所定レベルのドライブパルスにしてCCD固体撮像素子10に供給するドライバ42とを備えている。たとえば、タイミング信号生成部40は、水平同期信号(HD)や垂直同期信号(VD)に基づいて、CCD固体撮像素子10のセンサ部11に蓄積された信号電荷を読み出すための読出パルスXSG、読み出した信号電荷を垂直方向に転送駆動し水平CCD15に渡すための垂直転送クロックV1〜Vn(nは駆動時の相数を示す;たとえば6相駆動時にはV6、8相駆動時にはV8)、垂直CCD13から渡された信号電荷を水平方向に転送駆動し電荷電圧変換部16に渡すための水平転送クロックH1,H2、およびリセットパルスRGなどを生成し、ドライバ42に供給する。
ドライバ42は、タイミング信号生成部40から供給された種々のクロックパルスを所定レベルの電圧信号(ドライブパルス)に変換し、あるいは別の信号に変換しCCD固体撮像素子10に供給する。たとえば、タイミング信号生成部40から発せられたn相の垂直転送クロックV1〜V6(V8)は、ドライバ42を介してドライブパルスφV1〜φV6(φV8)とされ、CCD固体撮像素子10内の対応する所定の垂直転送電極(24−1〜24−6もしくは24−1〜24−8)に印加されるようになっている。同様に、2相の水平転送クロックH1,H2は、ドライバ42を介してドライブパルスφH1,φH2とされ、CCD固体撮像素子10内の対応する所定の水平転送電極(29−1,29−2)に印加されるようになっている。
ここで、ドライバ42は、読出パルスXSGについては、6相もしくは8相の垂直転送クロックV1〜V6(V8)のうちのV1,V3,V5(,V7)に重畳することで、3値レベルを採る垂直ドライブパルスφV1,φV3,φV5(,φV7)として、CCD固体撮像素子10に供給する。つまり、垂直ドライブパルスφV1,φV3,φV5(,φV7)は、本来の垂直転送動作だけでなく、信号電荷の読出しにも兼用されるようにする(後述する図7,図11参照)。
このような構成のCCD固体撮像素子10の一連の動作を概説すれば以下の通りである。先ず、タイミング信号生成部40は、垂直転送用の転送クロックV1〜V6(V8)や読出パルスXSGなどの種々のパルス信号を生成する。これらのパルス信号は、ドライバ42により所定電圧レベルのドライブパルスに変換された後に、CCD固体撮像素子10の所定端子に入力される。
センサ部11の各々に蓄積された信号電荷は、タイミング信号生成部40から発せられた読出パルスXSGが読出ゲート部12の転送チャネル端子電極に印加され、転送チャネル端子電極下のポテンシャルが深くなることにより、当該読出ゲート部12を通して垂直CCD13に読み出される。そして、6相(8相)の垂直ドライブパルスφV1〜φV6(φV8)に基づいて垂直CCD13が駆動されることで、順次水平CCD15へ転送される。
水平CCD15は、タイミング信号生成部40から発せられドライバ42により所定電圧レベルの変換された2相の水平ドライブパルスφH1,φH2に基づいて、複数本の垂直CCD13の各々から垂直転送された1ラインに相当する信号電荷を順次電荷電圧変換部16側に水平転送する。
電荷電圧変換部16は、水平CCD15から順に注入される信号電荷を図示しないフローティングディフュージョンに蓄積し、この蓄積した信号電荷を信号電圧に変換して、たとえば図示しないソースフォロア構成の出力回路を介して、タイミング信号生成部40から発せられたリセットパルスRGの制御の元に撮像信号(CCD出力信号)VOUTとして出力する。
すなわち上記CCD固体撮像素子10においては、センサ部11を縦横に2次元状に配置してなる撮像エリア14で検出した信号電荷を、各センサ部11の垂直列に対応して設けられた垂直CCD13により水平CCD15まで垂直転送し、この後、2相の水平転送パルスH1,H2に基づいて、信号電荷を水平CCD15により水平方向に転送するようにしている。そして、電荷電圧変換部16にて水平CCD15からの信号電荷に対応した電位に変換してから出力するという動作を繰り返す。
<撮像エリアの具体的な構成>
図3は、撮像エリア14の具体的な構成の一例を示す平面パターン図である。また、図4は、そのX‐X’矢視断面を示す図である。なお、ここでは、垂直転送電極24−1〜24−4についての2画素分についてのみ示すが、垂直転送電極24−5〜24−8についても、垂直方向に同様の配置が繰り返される。
先ず、垂直CCD13は、N型基板21上にP型ウェル22を介して形成されたN型不純物からなる転送チャネル23と、この転送チャネル23の上方にその転送方向に繰り返して配列された4相の転送電極24−1〜24−4とから構成されている。この転送電極24−1〜24−4の配線形態(配線パターン)は、基本的には、従前のものと変わりがない。
これらの転送電極24−1〜24−4において、2相目の転送電極24−2と4相目との転送電極24−4が1層目のポリシリコン(図中、一点鎖線で示す)によって形成され、1相目の転送電極24−1と3相目の転送電極24−3が2層目のポリシリコン(図中、二点鎖線で示す)によって形成された2層電極構造となっている。なお、転送電極24−1〜24−4の材質は、必ずしもポリシリコンに限定されるものではない。
また、1相目,3相目の転送電極24−1,24−3の下方の領域において、信号電荷の転送方向(図3の左側から右側への方向)の上流側の略半分の領域の基板表面側にはP−型の不純物層25が形成されている。これにより、1相目と3相目の転送電極24−1,24−3の下方の領域に形成される転送チャネル23には、信号電荷の転送方向に向けて下る傾斜のポテンシャル勾配が形成される。その結果、転送電極24−1,24−3の下に転送された信号電荷は、そのポテンシャル勾配によって転送電極24−2,24−4の下に徐々に移動する。こうしておくことで、垂直転送クロックのオーバーラップ期間を長くすることと組み合わせることで転送効率を良好なものとする。
転送電極24−1〜24−4を形成する1層目と2層目のポリシリコン層には、センサ部11上において、ポリシリコン開口部26が設けられている。また、転送電極24−1〜24−4の上方は、アルミニウムからなる遮光膜27によって覆われている。この遮光膜27には、センサ部11上において、ポリシリコン開口部26よりも内側にセンサ開口28が形成されている。この遮光膜27の材質としては、アルミニウム以外の材質が用いられる場合もある。
<垂直転送電極の配線パターン>
図5は、垂直CCD13における転送電極の配線パターン図であって、図5(A)は6相駆動の場(24−1〜24−6)を示し、図5(B)は8相駆動の場(24−1〜24−8)を示す。本配線系においては、1相目〜6相目(8相目)の垂直転送ドライブパルスφV1〜φV6(φV8)が用意され、さらに垂直転送クロックを伝送するために計6本(8本)のバスライン31〜36(38)が配線されている。
そして、垂直転送ドライブパルスφV1を伝送するバスライン31には1相目の転送電極24−1が5画素(7画素)おきに接続されている。以下同様にして、垂直転送ドライブパルスφV2〜φV6(φV8)を伝送するバスライン32〜36(38)には2相目〜6相目(8相目)の転送電極24−2〜24−6(24−8)が、それぞれ5画素(7画素)おきに接続されている。
垂直CCD13によって形成される垂直方向の転送チャネル23は、図中矢指する方向に、信号電荷が順次転送されるよう、転送電極24−1〜24−6(24−8)に所定パターンを持つタイミングのドライブパルスφV1〜φV6(φV8)が印加される。
次に、本実施形態の特徴部分であるタイミング信号生成部40によりCCD固体撮像素子10を駆動する手法の具体例について説明する。先ず、3フィールド読出方式について説明する。
<3フィールド読出方式>
図6、図7、図8、および図9は、3フィールド読出方式の動作を説明する図である。ここで、図6は、その概要を示し、図7は、垂直レートの各垂直転送ドライブパルスφV1〜φV6のタイミングチャートである。また図8および図9は、3フィールド読出方式におけるフレーム読出方式の動作モードを説明する垂直転送ドライブパルスφV1〜φV6のタイミングチャートおよび電荷転送状態を示す図である。
図6の概要図において、各フィールドのR,G,B(それぞれ色分離フィルタの色)で示されている四角形が画素を示す。そして、垂直CCD13を挟んで左側に垂直方向のライン番号を示し(下部の水平CCD15側が1番目)、そのラインに対する読出パルスを括弧内に示している。読出対象ラインは、四角形で示す画素から垂直CCD13へ矢印で示唆されているものである。
ここで、従来の2フィールド読出方式(フレーム読出方式)では、図16に示すように、1つのフィールドでは2画素中の1画素しか読み出しをしないため、図19のように2画素(φV1〜φV4)に対して、垂直CCD(垂直レジスタ)のパケットを構成していた。
これに対して、3フィールド読出方式では、図6に示すように、1つのフィールドでは3画素中の1画素しか読み出しをしないため、図28にも示すように3画素(V1〜V6)に対して、垂直CCDのパケットを構成すればよい。つまり、垂直方向において2画素おきにセンサ部11から信号電荷が垂直CCD13に読み出される。このため、垂直CCDのオン転送チャネル数は、2フィールド読出方式(フレーム読出方式)時には2チャネルであったのに対して、3フィールド読出方式(フレーム読出方式)時には4チャネルとすることができ、垂直CCDの取扱い電荷量を増加させることが可能となる。
ここで、図7に示すように、垂直CCD13において、1相目と3相目と5相目の転送電極24は、読出ゲート部12の電極を兼ねている。このことから、6相の垂直転送ドライブパルスφV1〜φV6のうち、1相目、3相目、および5相目の各転送クロックV1,V3,V5に基づく各ドライブパルスφV1,φV3,φV5が低レベル(以下“L”レベルと称す)、中間レベル(以下“M”レベルと称す)、および高レベル(以下“H”レベルと称す)の3値を採るように設定されており、その3値目の“H”レベルのドライブパルスが読出パルスXSGに対応した読出ゲート部12のドライブパルスとなる。このように、垂直転送用のドライブパルスφV1,φV3,φV5は、その3値目の“H”レベルのパルスがセンサ部11から信号電荷を読み出すときに読出ゲート部12を駆動する読出パルスとなる。
なお、3つのフィールドの繰返し単位を規定するべく、1相目(2相目)と3相目(4相目)のドライブパルスφV1(φV2),φV3(φV4)はほぼ位相が異なるだけであるが、最後の5相目(6相目)のドライブパルスφV5(φV6)は、L,M,Hの各レベルの関係が1相目〜4相目とは異なるものとしてある。なお、前記において括弧内は残りのドライブパルスφV2,φV4,φV6の対になるものを示し、それぞれは、“M”レベルおよび“L”レベルの2値を採るように設定される。
なお、フレーム読出動作モードのときには、図6に示すように、垂直転送ドライブパルスφV3の読出パルスは第1フィールドで発生され、垂直転送ドライブパルスφV1の読出パルスは第2フィールドで発生され、垂直転送ドライブパルスφV5の読出パルスは第3フィールドで発生される。また、ライン間引き動作モードのときには、第1,第2,第3フィールドともに垂直転送ドライブパルスφV1,φV3,φV5に読出パルスが立つ。
次に、3フィールド読出方式におけるフレーム読出動作時の信号電荷の読み出しおよび垂直転送の各動作について、図8および図9を参照して説明する。なお、図9において、右側から左側への方向を電荷転送方向とする。
本実施形態の駆動方法における特徴部分は、図8に示すように、垂直転送時におけるチャージパケットの1単位ごとに、垂直転送方向においてチャージパケットより前方にある転送チャネルをオンするのとほぼ同時に、チャージパケットの後端にある転送チャネルをオフする点にある。たとえば、今回の転送直前のチャージパケットの直ぐ前方にある(直前に位置する)転送チャネルの1つをオンするのとほぼ同時に、この転送直前のチャージパケットの後端に位置する1つの転送チャネル、すなわち最後端に位置する転送チャネルをオフする。以下具体的に説明する。
各センサ部11からの信号電荷の読み出しに際し、第1フィールドでは、3相目の転送電極24−3に対して、図7に示す垂直転送ドライブパルスφV3を印加する。これにより、1相目の読出ゲート部12に対して読出パルスが与えられるため、垂直方向において2画素おきにセンサ部11から信号電荷が垂直CCD13に読み出される。
この読み出された信号電荷は、垂直CCD13の転送動作により、水平ブランキング期間に1ラインずつ垂直転送される。このラインシフト期間に移行する直前の時点t0では、図8に示すように、1相目、2相目、3相目、および4相目の各垂直転送クロックに基づくドライブパルスφV1,φV2,φV3,φV4がともに“M”レベルである。このため、図9に示すように、1相目、2相目、3相目、および4相目の各転送電極24−1,24−2,24−3,24−4の下のポテンシャルが深くなって、チャージパケット(=転送パケット)の1単位が形成され、このパケットに各信号電荷Qsが蓄積されている。
そして、ラインシフト動作が開始され、5相目の垂直転送ドライブパルスφV5が“L”レベルから“M”レベルに遷移すると(時点t1)、5相目の転送電極24−5の下のポテンシャルが深くなる。これにより、1相目、2相目、3相目、および4相目の転送電極24−1,24−2,24−3,24−4の下のパケットの信号電荷Qsが5相目の転送電極24−5の下まで移動可能になる。
ここで、本実施形態特有の駆動制御方法として、このt0の期間からt1の期間への移行時に、転送方向の前方の転送チャネルを形成するドライブパルスφV5を“L”→“M”(タイミング信号生成部40の出力としては“L”→“H”;以下同様)へ変化させる(垂直レジスタのポテンシャルは深くなり、蓄積状態となる)と同時に、転送方向の後方の転送チャネルを形成するドライブパルスφV1を“M”→“L”(タイミング信号生成部40の出力としては“H”→“L”;以下同様)へと変化(垂直レジスタのポテンシャルは浅くなり、次の転送チャネルへの転送状態となる)させる。
これにより、t0時点では転送電極24−1,24−2,24−3,24−4の下に形成されていたパケットの信号電荷Qsが、t1時点では転送電極24−2,24−3,24−4,24−5の下に形成されるパケットに転送される。
続いて、6相目の垂直転送ドライブパルスφV6が“L”レベルから“M”レベルに遷移すると(時点t2)、6相目の転送電極24−6の下のポテンシャルが深くなる。これにより、2相目、3相目、4相目、および5相目の各転送電極24−2,24−3,24−4,24−5の下のパケットの信号電荷Qsが6相目の転送電極24−6の下まで移動可能になる。
ここで、本実施形態特有の駆動制御方法として、このt1の期間からt2の期間への移行時に、転送方向の前方の転送チャネルを形成するドライブパルスφV6を“L”→“M”へ変化させるとほぼ同時に、転送方向の後方の転送チャネルを形成するドライブパルスφV2を“M”→“L”へと変化させる。
これにより、t1時点では転送電極24−2,24−3,24−4,24−5の下に形成されていたパケットの信号電荷Qsが、t2時点では転送電極24−3,24−4,24−5,24−6の下に形成されるパケットに転送される。
以下同様の動作を繰り返す。すなわち、転送方向の前方の転送チャネルである1相目の垂直転送ドライブパルスφV1が“L”レベルから“M”レベルに遷移するときには(時点t3)、その変化とほぼ同時に、転送方向の後方の転送チャネルを形成するドライブパルスφV3を“M”→“L”へと変化させることで、t2時点では転送電極24−3,24−4,24−5,24−6の下に形成されていたパケットの信号電荷Qsが、t3時点では転送電極24−4,24−5,24−6,24−1の下に形成されるパケットに転送される。
また、転送方向の前方の転送チャネルである2相目の垂直転送ドライブパルスφV2が“L”レベルから“M”レベルに遷移するときには(時点t4)、その変化とほぼ同時に、転送方向の後方の転送チャネルを形成するドライブパルスφV4を“M”→“L”へと変化させることで、t3時点では転送電極24−4,24−5,24−6,24−1の下に形成されていたパケットの信号電荷Qsが、t4時点では転送電極24−5,24−6,24−1,24−2の下に形成されるパケットに転送される。
また、転送方向の前方の転送チャネルである3相目の垂直転送ドライブパルスφV3が“L”レベルから“M”レベルに遷移するときには(時点t5)、その変化とほぼ同時に、転送方向の後方の転送チャネルを形成するドライブパルスφV5を“M”→“L”へと変化させることで、t4時点では転送電極24−5,24−6,24−1,24−2の下に形成されていたパケットの信号電荷Qsが、t5時点では転送電極24−6,24−1,24−2,24−3の下に形成されるパケットに転送される。
また、転送方向の前方の転送チャネルである4相目の垂直転送ドライブパルスφV4が“L”レベルから“M”レベルに遷移するときには(時点t6)、その変化とほぼ同時に、転送方向の後方の転送チャネルを形成するドライブパルスφV6を“M”→“L”へと変化させることで、t5時点では転送電極24−6,24−1,24−2,24−3の下に形成されていたパケットの信号電荷Qsが、t6時点では転送電極24−1,24−2,24−3,24−4の下に形成されるパケットに転送される。
以上のラインシフト期間における一連の垂直転送動作により、センサ部11の各々から読み出され、かつ1相目〜6相目の転送電極24−1〜24−6の下のパケットに蓄積された信号電荷Qsが、1ラインだけシフトされて次の1相目〜6相目の転送電極24−1〜24−6の下のパケットに順に蓄積される。
このとき、撮像エリア14の最下端の1ライン分の信号電荷は水平CCD15に転送される。そして、水平CCD15に移された1ライン分の信号電荷は、水平ブランキング期間後の水平走査期間において、水平CCD15の転送駆動によって順次水平方向に転送される。
なお、上述した動作説明では、第1フィールドの場合について説明したが、第2(第3)フィールドの場合は、1相目(5相目)の転送電極24−1(24−5)に対して、図7に示す垂直転送ドライブパルスφV1(φV5)を印加することで、1相目(5相目)の読出ゲート部12に対して読出パルスが与えられ、垂直方向において1画素おきに、第1フィールドの場合とは異なるセンサ部11から信号電荷が垂直CCD13に読み出される。そして、以降の垂直転送動作は第1フィールドの場合と同様にして行なわれる。
このように、垂直転送時におけるチャージパケット単位ごとに、転送方向の前方の転送チャネルをオンするのとほぼ同時に、後方の転送チャネルをオフするようにすれば、垂直転送周期は、図27のt0〜t12に対して、図8のようにt0〜t6へと削減することができる。また、垂直転送クロックのオーバーラップ期間は、図27に示す従前の“2/3x”から、図8に示す“4/3x”へと長く(2倍に)することが可能になる。これにより、垂直転送クロックの伝播遅延に、その分だけの余裕が生まれる。
したがって、本実施形態のような転送タイミングとすることで、V1〜V6の6相駆動の3フィールド読出方式においても、垂直転送クロックに伝播遅延(ここでは物理的に同じ時間軸で考える)が生じても、それが問題となることを防止することができ、撮像エリア14における、ドライブパルスの入力端子から遠い位置であるデバイス中央部や入力端の反対側でも、転送効率の低下という問題を回避することができる。つまり、1単位の垂直転送周期で見た場合(つまり相対的な時間軸で考えると)、所定の波形の垂直転送パルスがタイミング信号生成部40からドライバ42を介してCCD固体撮像素子10の転送電極に印加されたとき、その転送電極を駆動するドライブパルスの波形が、撮像エリア14の中央部や入力端の反対側においても、図24のように鈍ることが無くなり、垂直CCD13の転送効率が改善されることを意味している。
たとえば、従前の駆動タイミングでは、各クロックのオーバーラップ期間が短く“2/3x”になってしまう。ここで、垂直CCD13の各転送電極24−1〜24−6には、撮像エリア14の片側もしくは両側から垂直転送ドライブパルスφV1〜φV6が伝送されることから、撮像エリア14の中央部分では配線抵抗によって垂直転送ドライブパルスφV1〜φV6の振幅が低下したり、容量成分との関係で生じる伝搬遅延によって垂直転送ドライブパルスφV1〜φV6の波形が図24のように鈍ってしまい、垂直CCD13の取扱い電荷量が減少したり、転送効率が劣化してしまうことになる。
これに対して、本実施形態のように、チャージパケット単位ごとに、転送方向の前方転送チャネルをオンするとともに後方転送チャネルをオフすることにより、両クロックのオーバーラップ期間が従前の駆動タイミングの場合(“2/3x”)の2倍の“4/3x”となる。特許文献1などにも述べたように、この垂直転送クロックのオーバーラップ期間が長い方が、信号電荷の転送にとって有利であり、本実施形態の駆動タイミングの方が、従前の駆動タイミングの場合よりも転送効率を改善できることとなる。
また、垂直レジスタの取扱い電荷量については、前述のように、垂直レジスタのオン転送チャネル数が多く、3フィールド読出方式/フレーム読出方式の動作では、6つの垂直転送電極を1単位とした転送1サイクル当たりにおける、垂直転送時のチャージパケットサイズは、6つの垂直転送電極中の4つの垂直転送電極分だけ確保でき、有利である。したがって、3フィールド読出方式/フレーム読出方式の動作における本実施形態の垂直転送タイミングによっても、セルサイズを縮小しても垂直レジスタの取扱い電荷量を確保できるので、高解像度化(多画素化)や小型化に有利となる。
なお、上記のように“垂直転送方向の前方転送チャネルをオンするのとほぼ同時に、後方転送チャネルをオフする”という垂直転送時の駆動方法は、上記説明のようにフレーム読出方式に適用することに限らず、ライン間引き動作時にも適用可能であることは、容易に理解されよう。
すなわち、3フィールド読出方式の場合には、垂直転送ドライブパルスφV1,φV3,φV5は、先述したように、その3値目の“H”レベルのパルスがセンサ部11から信号電荷を読み出すときに読出ゲート部12を駆動する読出パルスとなる。そして、フレーム読出方式の際には、垂直転送ドライブパルスφV1,φV3,φV5における読出パルスの立つフィールドが順次切り替るのに対して、ライン間引き方式のときには、2フィールド読出方式の図21と同様にして、第1、第2、および第3フィールドをそれぞれ2系統に分け、その一方の系統の第1、第2、および第3フィールドともに垂直転送ドライブパルスφV1,φV3,φV5に読出パルスが立ち、他方の系統の第1、第2、および第3フィールドには読出パルスが立たないようにする。
さらに、ライン間引き方式時には、信号電荷Qsを含むパケットの後方に存在する信号電荷を含まない空パケットを水平レジスタ内で混合し無信号の期間を除去するため、水平ブランキング期間内に所定ライン数分の垂直転送を行なうが、基本的な垂直転送自体は、上述したフレーム読出方式の場合と同様でよい。ここでは、本実施形態特有の駆動タイミングをライン間引き動作に適用した事例は図示を割愛する。
ライン間引き動作に上記実施形態の駆動方法を適用すれば、固体撮像素子の駆動系のタイミングを従前と同様のようにして変更するのみでライン間引き動作、すなわち出力する撮像信号のライン数を減らしてより高速の撮像信号を得る動作を行なうことにより、データレートを高速にせずに、より高速の撮像信号たとえばNTSC方式に対応した出力信号を得る動作モードを実現できる。このような高速読出動作を、水平駆動周波数を高めるという手法に依らず実現できるので、水平レジスタの転送効率の劣化や水平レジスタの消費電力の増加などの他の問題点を招くこともない。しかもその際に、フレーム読出方式における上記実施形態と同様の垂直駆動タイミングを適用することで、高速な撮像信号を得ることができるとともに転送効率を改善することもできる。これにより、通常のテレビジョンモニタに撮像画像を表示する際や、自動焦点制御、自動アイリス制御、あるいは自動ホワイトバランス制御などの自動制御に際しても、高速な撮像信号を得ることで、スムーズな動画表示や、的確な自動制御を実現することができる。
このように、上記実施形態のような“垂直転送方向の前方転送チャネルをオンするのとほぼ同時に、後方転送チャネルをオフする”という垂直転送時の駆動方法は、フレーム読出方式に限らずライン間引き動作にも同様に適用可能なものであり、汎用性のある駆動方式となっている。
<4フィールド読出方式>
次に、タイミング信号生成部40による駆動制御の元での4フィールド読出方式について、説明する。
図10、図11、図12、および図13は、4フィールド読出方式の動作を説明する図である。ここで、図10は、その概要を示し、図11は、垂直レートの各垂直転送ドライブパルスφV1〜φV8のタイミングチャートである。また図12および図13は、4フィールド読出方式におけるフレーム読出方式の動作モードを説明する垂直転送ドライブパルスφV1〜φV8のタイミングチャートおよび電荷転送状態を示す図である。各図の示し方は、3フィールド読出方式の場合と同様である。
3フィールド読出方式の場合との比較で分かるように、1つのフィールドでは4画素中の1画素しか読み出しをしないため、4画素(V1〜V8)に対して、垂直CCDのパケットを構成すればよい。つまり、垂直方向において3画素おきにセンサ部11から信号電荷が垂直CCD13に読み出される。このため、垂直CCDのオン転送チャネル数は、4フィールド読出方式(フレーム読出方式)時には6転送チャネルとすることができ、3フィールド読出方式(フレーム読出方式)時よりもさらに垂直CCDの取扱い電荷量を増加させることが可能となる。
ここで、図11に示すように、垂直CCD13において、1相目と3相目と5相目と7相目の転送電極24は、読出ゲート部12の電極を兼ねている。このことから、8相の垂直転送ドライブパルスφV1〜φV8のうち、1相目、3相目、5相目、および7相目の各転送クロックV1,V3,V5,V7に基づく各ドライブパルスφV1,φV3,φV5,φV7が低レベル(以下“L”レベルと称す)、中間レベル(以下“M”レベルと称す)、および高レベル(以下“H”レベルと称す)の3値を採るように設定されており、その3値目の“H”レベルのドライブパルスが読出パルスXSGに対応した読出ゲート部12のドライブパルスとなる。
なお、4つのフィールドの繰返し単位を規定するべく、1相目と3相目と5相目のドライブパルスφV1,φV3,φV5はほぼ位相が異なるだけであるが、最後の7相目のドライブパルスφV7は、L,M,Hの各レベルの関係が1相目、3相目、および5相目とは異なるものとしてある。対になる残りのドライブパルスφV2,φV4,φV6,φV8は、“M”レベルおよび“L”レベルの2値を採るように設定される。
このように、垂直転送用のドライブパルスφV1,φV3,φV5,φV7は、その3値目の“H”レベルのパルスがセンサ部11から信号電荷を読み出すときに読出ゲート部12を駆動する読出パルスとなる。なお、図10に示すように、フレーム読出動作モードのときには、垂直転送ドライブパルスφV5の読出パルスは第1フィールドで発生され、垂直転送ドライブパルスφV3の読出パルスは第2フィールドで発生され、垂直転送ドライブパルスφV1の読出パルスは第3フィールドで発生され、垂直転送ドライブパルスφV7の読出パルスは第4フィールドで発生される。また、ライン間引き動作モードのときには、第1〜第4の各フィールドともに垂直転送ドライブパルスφV1,φV3,φV5,φV7に読出パルスが立つ。
次に、4フィールド読出方式におけるフレーム読出動作時の信号電荷の読み出しおよび垂直転送の各動作について、図12および図13を参照して説明する。なお、図13において、右側から左側への方向を電荷転送方向とする。
4フィールド読出方式においても、図12に示すように、垂直転送時におけるチャージパケットの1単位ごとに、転送方向の前方の転送チャネルをオンするのとほぼ同時に、後方の転送チャネルをオフする点に、本実施形態の駆動方法における特徴部分がある。以下具体的に説明する。
各センサ部11からの信号電荷の読み出しに際し、第1フィールドでは、5相目の転送電極24−5に対して、図11に示す垂直転送ドライブパルスφV5を印加する。これにより、5相目の読出ゲート部12に対して読出パルスが与えられるため、垂直方向において3画素おきにセンサ部11から信号電荷が垂直CCD13に読み出される。
この読み出された信号電荷は、垂直CCD13の転送動作により、水平ブランキング期間に1ラインずつ垂直転送される。このラインシフト期間に移行する直前の時点t0では、図12に示すように、1相目〜6相目の各垂直転送パルスに基づくドライブパルスφV1〜φV6がともに“M”レベルである。このため、図13に示すように、1相目〜6相目の各転送電極24−1〜24−6の下のポテンシャルが深くなって、チャージパケット(=転送パケット)の1単位が形成され、このパケットに各信号電荷Qsが蓄積されている。
そして、ラインシフト動作が開始され、7相目の垂直転送ドライブパルスφV7が“L”レベルから“M”レベルに遷移すると(時点t1)、7相目の転送電極24−7の下のポテンシャルが深くなる。これにより、1相目〜6相目の転送電極24−1〜24−6の下のパケットの信号電荷Qsが7相目の転送電極24−7の下まで移動可能になる。
ここで、本実施形態特有の駆動制御方法として、このt0の期間からt1の期間への移行時に、転送方向の前方の転送チャネルを形成するドライブパルスφV7を“L”→“M”(タイミング信号生成部40の出力としては“L”→“H”;以下同様)へ変化させる(垂直レジスタのポテンシャルは深くなり、蓄積状態となる)と同時に、転送方向の後方の転送チャネルを形成するドライブパルスφV1を“M”→“L”(タイミング信号生成部40の出力としては“H”→“L”;以下同様)へと変化(垂直レジスタのポテンシャルは浅くなり、次の転送チャネルへの転送状態となる)させる。
これにより、t0時点では転送電極24−1〜24−6の下に形成されていたパケットの信号電荷Qsが、t1時点では転送電極24−2〜24−7の下に形成されるパケットに転送される。このように、転送動作中のチャージパケットサイズは最初のパケットサイズとほぼ一致している。
以下、3フィールド読出方式の場合もそうであったように、同様にt0→t1時と同様の動作を繰り返す。これにより、t1時点で転送電極24−2〜24−7の下に形成される転送チャネルに蓄積されていた信号電荷は、t1→t2時には転送電極24−3〜24−8の下へ、t2→t3時には転送電極24−4〜24−1の下へ、t3→t4時には転送電極24−5〜24−2の下へ、t4→t5時には転送電極24−6〜24−3の下へ、t5→t6時には転送電極24−7〜24−4の下へ、t6→t7時には転送電極24−8〜24−5の下へ、t7→t8時には転送電極24−1〜24−6の下へと、順次転送されていく。
以上のラインシフト期間における一連の垂直転送動作により、センサ部11の各々から読み出され、かつ1相目〜8相目の転送電極24−1〜24−8の下のパケットに蓄積された信号電荷Qsが、1ラインだけシフトされて次の1相目〜8相目の転送電極24−1〜24−8の下のパケットに順に蓄積される。また、撮像エリア14の最下端の1ライン分の信号電荷は水平CCD15に転送される。そして、水平CCD15に移された1ライン分の信号電荷は、水平ブランキング期間後の水平走査期間において、水平CCD15の転送駆動によって順次水平方向に転送される。
なお、上述した動作説明では、第1フィールドの場合について説明したが、第2(第3、第4)フィールドの場合は、3相目(1相目,7相目)の転送電極24−3(24−1,24−7)に対して、図11に示す垂直転送ドライブパルスφV3(φV1,φV7)を印加することで、3相目(1相目,7相目)の読出ゲート部12に対して読出パルスが与えられ、垂直方向において1画素おきに、第1フィールドの場合とは異なるセンサ部11から信号電荷が垂直CCD13に読み出される。そして、以降の垂直転送動作は第1フィールドの場合と同様にして行なわれる。
このように、4フィールド読出方式の場合にも、垂直転送時におけるチャージパケット単位ごとに、転送方向の前方の転送チャネルをオンするのとほぼ同時に、後方の転送チャネルをオフするようにすれば、垂直転送周期は、図12のようにt0〜t8となり、また、垂直転送クロックのオーバーラップ期間は、図12に示すように、x(=4/4x)とすることができる。ここで、図示を割愛するが、従前の8相駆動の転送タイミングでは、t0〜t16の周期が必要であって、垂直転送クロックのオーバーラップ期間は、“1/4x”となるものである。よって、本実施形態のような転送タイミングとすることで、垂直転送クロックのオーバーラップ期間を従来よりも長くすることが可能になり、垂直転送クロックの伝播遅延に、その分だけの余裕が生まれる。
したがって、垂直転送時におけるチャージパケット単位ごとに、転送方向の前方転送チャネルをオンするのとほぼ同時に後方転送チャネルをオフするような転送タイミングとすることで、V1〜V8の8相駆動の4フィールド読出方式においても、垂直転送クロックに伝播遅延が生じ難くなり、転送電極を駆動するドライブパルスの波形が、撮像エリア14の中央部においても、図24のように鈍ることが無くなり、垂直CCD13の転送効率が改善される。
なお、3フィールド読出方式の場合と同様に、上記のような垂直転送駆動のタイミングは、フレーム読出方式に適用することに限らず、ライン間引き動作時にも適用可能である。
なお、4フィールド読出方式と3フィールド読出方式とを比べた場合、先にも述べたように、垂直CCDのオン転送チャネル数は、4フィールド読出方式(フレーム読出方式)時には6転送チャネルとすることができ、3フィールド読出方式(フレーム読出方式)時よりもさらに垂直CCDの取扱い電荷量を増加させることができ、セルサイズ縮小の上で利点があり、より小型あるいは多画素化したCCD撮像素子とする場合には、4フィールド読出方式の方が有利である。
ところで、上述した3フィールド読出方式もしくは4フィールド読出方式の各フレーム読出動作時の説明において、転送方向の前方転送チャネルをオンすると“ほぼ同時”に後方転送チャネルをオフすると説明した際の“ほぼ同時”は、上述したと同様の目的であれば、必ずしも厳格に“同時”であることを要するものではなく、たとえばクロック間の僅かな遅延などの相違が生じていた場合であっても構わないことを意味する。要は、垂直転送クロックの伝播遅延による垂直CCD13の転送効率を改善し得るだけの余裕があればよい。以下、垂直CCDの取扱い電荷量と合わせて、その意義を簡単に説明する。
<駆動パルス遅延と取扱い電荷量との関係>
図14は、駆動パルス遅延との関わりにおける、垂直CCDの取扱い電荷量を説明する図である。なおここでは、3フィールド読出方式かつフレーム読出動作時の場合で説明するが、4フィールド読出方式かつフレーム読出動作時、さらには間引き読出動作時でも同様である。
図9にも示したが、t0時点では、転送電極24−1,24−2,24−3,24−4の下に形成されていたパケットに信号電荷Qsが蓄積される。この状態を図14(A)に示す。
この後、本実施形態の転送タイミングとしては、転送方向の前方転送チャネルをオンすると“ほぼ同時”に後方転送チャネルをオフするので、信号電荷Qsを蓄積しているパケットの両隣のポテンシャルが同時に動くことになる。たとえば、t0→t1の電荷転送過程では、転送電極24−5の下に電荷井戸が形成されるとともに、転送電極24−1の下の電荷井戸が消失するので、クロック間の僅かな遅延などの相違が生じなければ図14(B)に示すように、転送電極24−5の下に電荷井戸が形成され始めると同時に、それ以前に存在していた転送電極24−1の下の電荷井戸が浅くなるような状態が一時的に生じる。このときには、取扱い電荷量(電荷蓄積量)は、理論的には変わらないものの、タイミングずれが生じると多少減少する傾向が生じる。
たとえば、相違が生じて、ドライブパルスφV5が“L”レベル→“M”レベルへと変化する(垂直レジスタのポテンシャルは深くなり、蓄積状態となる)よりも、ドライブパルスφV1が“H”レベル→“L”レベルへと変化(垂直レジスタのポテンシャルは浅くなり、次の転送チャネルへの転送状態となる)方が僅かに速いと、図14(C)に示すように、それ以前に存在していた転送電極24−1の下の電荷井戸がかなり浅くなってから、転送電極24−5の下に電荷井戸が形成され始めるような状態が一時的に生じる。このときには、取扱い電荷量は、多少減少する。
また、ドライブパルスφV5が“L”レベル→“M”レベルへと変化するよりも、ドライブパルスφV1が“H”レベル→“L”レベルへと変化する方が遙かに速いと、図14(D)に示すように、それ以前に存在していた転送電極24−1の下の電荷井戸が完全に消失してから、転送電極24−5の下に電荷井戸が形成され始めるような状態が生じる。このときには、転送電極24−1の下の転送チャネルが電荷蓄積に寄与し得ず、一時的に3つの転送チャネル(電荷井戸)にしか電荷を蓄積しない状態となり、転送チャネル1個分の垂直レジスタの取扱い電荷量の減少が生じてしまう。
ただし、図では示さないが、ライン間引き動作の場合には、信号電荷Qsを含むパケットAの後方に空パケットBがあるので、パケットAで信号電荷Qsが溢れても、後ろの空パケットBで溢れなければ、最終的に各パケットA,Bの電荷を水平CCD15において混合するため問題とはならず、よって垂直CCD13の取扱い電荷量が減少することはない。
このようなドライブパルスの切替タイミングのずれは、タイミング信号生成部40から出力される転送クロックV1〜V6(V8)には存在しておらず、適正に転送電極の入力点に印加されたとしても、転送電極を通ることで、図24に示したように、伝搬遅延が生じ、しかも電極間でその遅延量が必ず揃っているとは言えないので、デバイス上で切替タイミングのずれが生じることは避けられないことである。また、タイミング信号生成部40の回路構成によっては、タイミング信号生成部40から出力される転送クロックV1〜V6(V8)自体にずれが存在することもあり得る。
しかしながら、たとえ図24に示したような伝搬遅延に起因したずれがあっても、またタイミング信号生成部40からの出力自体にずれがあっても、その遅延差の程度がある程度の範囲内であれば、上記説明から分かるように、問題となることは事実上ない。
以上のように、“垂直転送方向の前方転送チャネルをオンするのとほぼ同時に、後方転送チャネルをオフする”という垂直転送時の駆動方法について、3フィールドあるいは4フィールド読出方式(フレーム読出方式/間引き読出方式を問わず)への適用事例を具体的に例示したが、このような駆動方法は、3フィールドあるいは4フィールド読出方式に限らず、それ以上のフィールド数、たとえば10相駆動(φV1〜φV10)の5フィールド読出方式などにも適用可能である。これによって、垂直転送クロックのオーバーラップ期間を長くし、垂直レジスタの転送効率を改善することができることは、上記3フィールドあるいは4フィールド読出方式の説明から容易に理解されよう。なお、この場合においても、フレーム読出方式に限らず、間引き読出方式にも適用可能である。
また、“垂直転送方向の前方転送チャネルをオンするのとほぼ同時に、後方転送チャネルをオフする”という垂直転送時の駆動方法は、3フィールド以上のフレーム読出方式や間引き読出方式に限らず、2フィールドのフレーム読出方式や間引き読出方式にも適用可能である。この場合、間引き読出動作においては、一見すると、特許文献1に記載の技術と類似する。ただし、その意義やそれによる効果は異なる。以下、この点について説明する。
<2フィールド読出方式における本実施形態と特許文献1の各技術の差>
図15は、2フィールド読出方式かつ2/8ラインの間引き読出方式の動作を説明する図である。ここで、図15(A)は、図22と同様のもので従来例(基本形)による駆動タイミングを示す。また、図15(B)は、本実施形態による駆動タイミングを示し、図15(C)は、特許文献1によるコンプリメンタリ駆動を適用した駆動タイミングを示す。図15(D)は、本実施形態と特許文献1の各技術の差を説明するための、タイミング信号生成部40から出力される転送クロック切替時の拡大図である。
図15(A)に示すように、従来の基本的な駆動タイミングでは、2ライン分の転送を行なうために、16サイクル(t1〜t16)を要している。また図18に示すフレーム読出動作時に1ライン分の転送を行なうための垂直転送クロックのオーバーラップ期間を“x”としたとき、図15(A)に示す従来の基本的な駆動タイミングでは2ライン分の垂直転送を行なうため、垂直転送クロックのオーバーラップ期間は“1/2x”となる。
これに対して、本実施形態の駆動タイミングは、“垂直転送方向の前方転送チャネルをオンするのとほぼ同時に、後方転送チャネルをオフする”というものであり、図15(B)に示すように、2ライン分の転送を行なうためには8サイクル(t1〜t8)でよくなり、高速転送を可能にする。また、このように垂直転送を行なうことで、垂直転送クロックのオーバーラップ期間を長くし、従来の基本的な駆動タイミングと同一の“x”とすることが可能となる。
ところで、このような本実施形態の駆動タイミングや垂直転送クロックのオーバーラップ期間は、図15(C)に示す特許文献1のものとほぼ同じになっている。すなわち、駆動パルスタイミングを比較する限りでは、一見、似通っている。しかしながら、各々の技術的な意味合いの本質は全く異なる。
すなわち、図15(D2)に示すように、ライン間引き動作時に互いに逆相(コンプリメンタリ)の垂直転送クロック対の組合せによって垂直転送を行なうという特許文献1の方法では、タイミング信号生成部40から出力される転送クロックV1〜V6(V8)における、組となるパルス間での立下りと立上り(図のt1〜t8の各々の時点)とには、ずれがないことを原則とする。これが“互いに逆相(コプリメンタリ)”の意味だからである。ずれが存在するとすれば、それは、せいぜい回路を構成する論理ゲート(たとえばANDゲートやORゲート)の“ゲート遅延差”程度と考えるべきものである。
これに対して、本実施形態の方法では、図15(D1)に示すように、“垂直転送方向の前方転送チャネルをオンするのと『ほぼ同時』に、後方転送チャネルをオフする”というものであり、対応するパルス間での立下りと立上りとにある程度のずれが存在しても、上記図14の説明から分かるように、問題としないものである。偶々ずれが存在しない状態が、波形的には、“互いに逆相(コプリメンタリ)”の状態と同一になっている、ということに過ぎない。対応するパルス間での立下りと立上りにおける『ずれ』に対する適用範囲の考え方が全く異なるものである。
このように、本実施形態の駆動方法と特許文献1の駆動方法とでは、2フィールド読出方式かつラインの間引き読出方式について比較してみると、駆動タイミングや垂直転送クロックのオーバーラップ期間は一見すれば似通っているが、その技術的な意味合いが異なる。また、特許文献1の駆動方法を実現するには組となる転送クロックについては“互いに逆相(コプリメンタリ)”にしなければならないという回路設計上の制約が存在するのに対して、本実施形態の駆動方法では、そのような制約はなく、対応するパルス間での立下りと立上りとが『ほぼ同時』になされるような回路構成とすればよく、回路設計上の自由度が大きいという利点がある。電極間での遅延差を考慮して、タイミング信号生成部40から出力される転送パルスに積極的にずれを持たせ、全体としての転送効率のバランスを採るという使い方も可能となる。
なお、上記実施形態では、駆動の相数が偶数である場合を示したが、上記説明から分かるように、従前の駆動方式が奇数(たとえば3相や5相、あるいはそれ以上)である場合にも、“垂直転送方向の前方転送チャネルをオンするのとほぼ同時に、後方転送チャネルをオフする”という駆動方式を適用可能であり、それによって、上述したと同様の効果が得られることは理解されることである。
また、上記実施形態では、インターライン転送方式のCCD固体撮像素子に適用した場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、インターライン転送方式以外の方式のCCD固体撮像素子、さらにはCCD以外を用いた固体撮像素子にも同様に適用可能である。