JP2013200435A - 偏光板保護用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 偏光板としてクロスニコル状態に配置した時に光干渉色の発生が抑制できることを特徴とする偏光板保護用ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 両最外層の厚さが3.5μm以上の3層以上の積層構造からなる二軸配向ポリエステルフィルムであり、フィルムの面内リターデーションが800nm以下であり、180℃で5分間熱処理された時のフィルム長さ方向の収縮率(MD)が3.0%以下であり、フィルム長さ方向と直交する方向の収縮率(TD)が1.0%以下であり、MDとTDの収縮率の差の絶対値が2.0%以下であることを特徴とする偏光板保護用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】 両最外層の厚さが3.5μm以上の3層以上の積層構造からなる二軸配向ポリエステルフィルムであり、フィルムの面内リターデーションが800nm以下であり、180℃で5分間熱処理された時のフィルム長さ方向の収縮率(MD)が3.0%以下であり、フィルム長さ方向と直交する方向の収縮率(TD)が1.0%以下であり、MDとTDの収縮率の差の絶対値が2.0%以下であることを特徴とする偏光板保護用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明は、偏光板保護フィルム、すなわち、偏光膜に積層することにより、偏光板を保護するために使用されるフィルムに好適に使用される偏光板保護用ポリエステルフィルムに関するものである。
液晶ディスプレイに使用される偏光板は一般的に保護フィルム/偏光膜/保護フィルム、または保護フィルム/偏光膜/位相差フィルムの構成からなり、従来の偏光板の保護フィルムとして、その高い透明性や光学等方性、異物の少なさなどの特徴からTACフィルムが多く使用されてきた。しかしながら、TACフィルムは溶液流延法により製膜されているため、耐薬品性、耐擦傷性などの点で十分とは言えない上に、近年液晶ディスプレイの大型化が進むにしたがって、TACフィルムの耐熱性、機械的強度のディスプレイ面内でのばらつきが問題になっている。また、液晶ディスプレイに対するコストダウン要求が強まる中、TACフィルムのコストが高い点が問題になっている。液晶ディスプレイの需要が著しく伸びている中でTACフィルムの供給は不足しがちな状態が続いており、今後の安定供給が懸念されている。
上記のような問題に対してシクロオレフィンポリマー等の他の素材でTACフィルムを代替する検討も多く行われている(特許文献1、2)。しかしながら、他素材でのフィルムは汎用樹脂を使用していないため、コストが高いという問題がある。一方、二軸配向ポリエステルフィルムは汎用樹脂であるため、コスト面での問題はないが、二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、複屈折を有しその主配向軸がフィルム面内で一定方向に存在しないために配向設計によっては偏光板としてクロスニコル状態に配置した時に光干渉色が発生したり、主配向軸の角度によっては十分な輝度が得られなかったりする場合がある。一方、無延伸ポリエステルフィルムでは無配向であるため光干渉色や輝度の低下の問題はないが、厚さを100μm未満とするのが困難であり、薄型化要求が強い偏光板の保護フィルムに用いることは好ましくない。
また、フィルム延伸倍率の縦横の比をバランス化させることで光干渉色が発生を抑制する方法も提案されている(特許文献3、4)。例えば、特許文献3では、縦延伸、横延伸をともに3.6倍で延伸するフィルムの製造方法が提案されている。特許文献4では、縦延伸、横延伸をともに3.7倍で延伸するフィルムの製造方法が提案されている。どちらも光干渉色を抑制できているが、延伸時の温度が高いために、フィルム製膜時の破断が生じやすくなるという問題がある。
また、偏光板は、通常その片面に貼り合わせ用の粘着剤層が設けられている。さらに、取扱中や液晶表示装置の作製工程中の損傷、湿気、あるいはほこりの付着を防ぐ目的で、両面に表面保護フィルムが設けられる。偏光板の粘着剤層側とは反対面には粘着剤層を積層した表面保護フィルム(プロテクトフィルム)が、また粘着剤層側には離型層を積層した離型フィルムが使用される(以下、特別の断わりがなければ、偏光板とは表面保護フィルムと離型フィルムを両面に配したものを意味する)。
表面保護フィルムと離型フィルムを両面に配した偏光板は通常ロール状態で加工された後、シート状態に切り出され、数十枚単位で積み重ねられて梱包され、パネルメーカーへ供給される。
パネルメーカーでは偏光板から離型フィルムを剥がし、粘着剤を介して液晶セルに貼り合わせる工程があるが、この工程では貼り合わせにかかる時間を出来るだけ短くすることが生産性向上の観点から望まれている。
通常、偏光板は積み重ねられた梱包状態から吸引装置を用いて1枚ずつ取り出され、上記貼り合わせ工程に移送される。吸引装置は偏光板の離型フィルム側に吸い付く吸盤と軸により構成されており、偏光板の厚さ方向に上下する機構を持ち、その上下運度により積み重ねられた状態の偏光板から、1枚ずつ偏光板を取り出し移送させる。移送された偏光板は、穴が開いた台(以下偏光板セット台)の上にセットされ、穴の部分からの吸引により貼り合わせ機械に固定される。その後、離型フィルムを剥がし、液晶セルに偏光板を貼り合わせる。
積み重ねられた偏光板から2枚重なって偏光板が取り出されると、後工程の離型フィルムを剥がす工程で、重なった偏光板をはがすことになってしまう。その場合、粘着剤が露出しないことから液晶セルに偏光板を貼り合わせることが出来ない不具合が発生し、貼り合わせ機械が停止してしまう。この為に生産ロスが大幅に増える。この不具合を防止する為、偏光板は確実に1枚ずつ取り出されることが重要である。偏光板のカールが揃っていないと、積み重ねられた偏光板同士の剥れやすさが安定せず、吸引装置の上下運動だけでは偏光板を1枚ずつ取り出すことが出来なくなり不具合を発生してしまう。
また、偏光板のカール量やカールの方向が揃っていないと、積み重ねられた偏光板から偏光板を1枚ずつ取り出す時に、吸引装置との位置関係にズレが生じることがある。この為、偏光板セット台と偏光板の位置関係がずれてしまい、調整に時間がかかる場合がある。さらに偏光板のカールにおいて、内側に巻き込む面が離型フィルム面かその反体面か安定していなければ、偏光板セット台に偏光板を固定する際に、吸引力の調整を偏光板毎に行わなければならなくなり、調整時間を必要とする場合があり、貼り合せ生産速度が低下する。
偏光板のカールを調整する方法としては、偏光板の粘着剤層側に積層される離型フィルムに張力をかけて偏光板に貼り合わせるという方法が報告されている(特許文献5)。しかしながら、張力が適性でないと離型フィルムにシワなどの平面性欠陥が発生したりすることがある。シワなどの平面性欠陥は粘着剤表面に空気の泡を噛み込む原因になる場合があり、出来るだけ少なく、かつ安定していることが好ましい。
ポリエステルフィルムの収縮率を調整することによりカールを調整することが報告されている(特許文献6)。しかしながら、特許文献5では光干渉が発生し、偏光板の保護フィルムに用いることは好ましくない。
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、その解決課題は、偏光板としてクロスニコル状態に配置した時に光干渉色の発生が抑制できることを特徴とする偏光板保護用ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の偏光板保護用ポリエステルフィルムによれば、上記課題が容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、両最外層の厚さが3.5μm以上の3層以上の積層構造からなる二軸配向ポリエステルフィルムであり、フィルムの面内リターデーションが800nm以下であり、180℃で5分間熱処理された時のフィルム長さ方向の収縮率(MD)が3.0%以下であり、フィルム長さ方向と直交する方向の収縮率(TD)が1.0%以下であり、MDとTDの収縮率の差の絶対値が2.0%以下であることを特徴とする偏光板保護用ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、偏光板保護フィルムとして、安価で光学特性に優れたポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明のポリエステルフィルムは、内層(以下、B層と称することがある)とその両面に層を有する、少なくとも3層からなる積層フィルムであって、全ての層が押出し機の口金から共溶融押出しされる、いわゆる共押出し法によって押出されたものを、延伸および熱処理されたものとして得られる。以下、共押出し3層フィルムについて説明するが、本発明の要旨を越えない限り、本発明は3層フィルムに限定されず、4層またはそれ以上の多層であってもよい。
本発明において、両最外層を構成するポリエチレンテレフタレート共重合体は、通常85〜95モル%がエチレンテレフタレートからなるポリエステルである。このポリエステルにおいて、第3成分として共重合させることのできる成分としては、酸成分では、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げることができ、それらの中でもイソフタル酸を共重合成分とすることが好ましい。また、共重合させることのできるアルコール成分は、例えば、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分などが挙げることができる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、B層を構成する共重合ポリエステルは、テレフタル酸とイソフタル酸を含むジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むグリコール成分とからなる共重合ポリエステルであり、当該共重合ポリエステルを含有するポリエステル層である。
また、本発明のフィルムのB層は上記共重合ポリエステルを含有するポリエステル組成物からなり、共重合ポリエステル以外の一種以上のポリエステルを含有する。共重合ポリエステル以外のポリエステルの二官能性酸成分は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主とするものであればよく、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、そのエステル形成誘導体としてはテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルなどが挙げられ、これらの中でもテレフタル酸、テレフタル酸ジメチルが好ましい。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられ、これらの中でもエチレングリコールが好ましい。
また、かかるポリエステルは、1種の芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体と、1種のアルキレングリコールとを出発原料とするポリエステルでもよいが、2種以上の成分を含む共重合体であってもよい。共重合する成分として、上記のほかに、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
本発明におけるポリエステルフィルムには、取り扱いを容易にするために透明性を損なわない条件で粒子を含有させてもよい。本発明で用いる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子や、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。また粒子を添加する方法としては、原料とするポリエステル中に粒子を含有させて添加する方法、押出機に直接添加する方法等を挙げることができ、このうちいずれか一方の方法を採用しても良く、2つの方法を併用してもよい。
用いる粒子の粒径は通常0.05〜5.0μm、好ましくは0.1〜4.0μmである。平均粒径が5.0μmより大きいとフィルムのヘーズが大きくなりフィルムの透明性が低下することがある。平均粒径が0.1μmより小さいと表面粗度が小さくなりすぎてフィルムの取り扱いが困難になる場合がある。粒子含有量は、ポリエステルに対し、通常0.001〜30.0重量%であり、好ましくは0.01〜10.0重量%である。粒子含有量が多いとヘーズが大きくなり、フィルムの透明性が低下することがあり、粒子含有量が少ないとフィルムの取り扱いが困難になる場合がある。
ポリエステルに粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混錬押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混錬押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
本発明のフィルムのB層を得る方法としては、共重合ポリエステルと他のポリエステルとをブレンドして、溶融混練りする方法が好ましく用いられる。本発明における共重合ポリエステルの含有量は通常40重量%以上、好ましくは50重量%以上である。40重量%未満では、液晶パネルに組み込んだ際の光干渉色が強く、本来の色調とはかなり異なる画像となることがある。
本発明のポリエステルフィルムを保護フィルムとして使用した偏光板において、光干渉色の発生を防ぐために、ポリエステルフィルムにおけるフィルムの面内リターデーションを800nm以下とする必要があり、好ましくは500nm以下である。フィルムの面内リターデーションが800nmより大きい場合には、光の干渉色が強くなり、液晶ディスプレイにおいて、画像本来の色彩が得られない。
本発明のポリエステルフィルムの厚さは4〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは4〜38μmである。フィルムの厚さが4μmより薄いとフィルムの製膜が困難となることがあり、フィルムの取り扱いも難しい場合がある。フィルムの厚さが50μmより厚い場合には偏光板が厚くなることになる。
本発明のポリエステルフィルムは3層以上の積層構造からなる二軸配向ポリエステルフィルムで、両最外層の厚さを3.5μm以上であり、好ましくは5.0μm以上である。両最外層の厚さが3.5μmより薄いとフィルム製膜時の破断が生じやすくなるという問題がある。
本発明におけるポリエステルフィルムは、180℃で5分間熱処理された時のフィルム長手方向の収縮率(MD)が3.0%以下、フィルム長手方向に直交する方向の収縮率(TD)が1.0%以下であることが必要である。さらに好ましくは、MDが2.5%以下、TDが0.5%以下である。MDが3.0%またはTDが1.0%より大きい場合は、カールの量が大きくなりすぎるため、偏光板にうまく貼付することができず好ましくない。また、MDとTDの収縮率の差の絶対値が2.0%以下であることが必要であり、好ましくは、1.5%以下である。2.0%より大きい場合も、カール量が大きくなりすぎるため、偏光板にうまく貼付することができず好ましくない。
本発明では必要に応じて他にも添加剤を加えてもよい。このような添加剤としては、例えば、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、染料、顔料、などが挙げられる。
本発明においては、公知の手法により乾燥したポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移点以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化することが好ましい。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に80〜130℃で1.3〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で1.3〜6倍延伸を行い。150〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。
偏光板として、PVAの接着剤との密着させるため、あるいはハードコートとの密着性を向上させるために少なくとも片面に塗布層を設けることが好ましい。
また、塗布層は、帯電防止剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
塗布剤の塗布方法としては、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。
なお、塗布剤のフィルムへの塗布性や接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、表面特性をさらに改良するため、塗布層形成後に放電処理を施してもよい。
塗布層の厚みは、最終的な乾燥厚さとして、通常0.02〜0.5μm、好ましくは0.03〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚さが0.02μm未満の場合は、本発明の効果が十分に発揮されない恐れがある。塗布層の厚さが0.5μmを超える場合は、フィルムが相互に固着しやすくなったり、特にフィルムの高強度化のために塗布処理フィルムを再延伸する場合は、工程中のロールに粘着しやすくなったりする傾向がある。上記の固着の問題は、特にフィルムの両面に同一の塗布層を形成する場合に顕著に現れる。
なお必要に応じてフィルムの製造後にコートするオフラインコートと呼ばれる方法でコートしてもよい。コーティングの材料としては、オフラインコートの場合は水系および/または溶剤系いずれでもよい。
なお必要に応じてフィルムの製造後にコートするオフラインコートと呼ばれる方法でコートしてもよい。コーティングの材料としては、オフラインコートの場合は水系および/または溶剤系いずれでもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、種々の諸物性、特性は以下のように測定、または定義されたものである。実施例中、「%」は「重量%」を意味する。
(1)主配向軸の測定
カールツァイス社製偏光顕微鏡を用いて、ポリエステルフィルムの配向を観察し、ポリエステルフィルム面内の主配向軸の方向がポリエステルフィルムのMDに対して何度傾いているかを求めた。なお、測定上、主配向軸が90度を越えた場合には、その補角を主配向軸のMD方向に対する角度とした。
カールツァイス社製偏光顕微鏡を用いて、ポリエステルフィルムの配向を観察し、ポリエステルフィルム面内の主配向軸の方向がポリエステルフィルムのMDに対して何度傾いているかを求めた。なお、測定上、主配向軸が90度を越えた場合には、その補角を主配向軸のMD方向に対する角度とした。
(2)面内リターデーションの測定
大塚電子株式会社製、セルギャップ検査装置RETS−1100Aを用い、フィルムの面内リターデーションを測定した。フィルムの面内リターデーションの測定には光干渉法を用い、アパーチャ径5mmとし23℃で行った。
大塚電子株式会社製、セルギャップ検査装置RETS−1100Aを用い、フィルムの面内リターデーションを測定した。フィルムの面内リターデーションの測定には光干渉法を用い、アパーチャ径5mmとし23℃で行った。
(3)加熱収縮率の測定
フィルムの両端より長手方向について15mm幅×150mm長の短冊上にサンプルを切り出し、無張力状態で180℃雰囲気中5分間、熱処理しその前後のサンプルの長さを測定することにより次式にて熱収縮率(%)を計算した。
加熱収縮率(%)=[(a−b)/a]×100
(上式中、aは熱処理前のサンプル長、bは熱処理後のサンプル長である)
また、収縮率差は両端の測定結果より大きい値から小さい値を引いて値が正になるよう算出した。
フィルムの両端より長手方向について15mm幅×150mm長の短冊上にサンプルを切り出し、無張力状態で180℃雰囲気中5分間、熱処理しその前後のサンプルの長さを測定することにより次式にて熱収縮率(%)を計算した。
加熱収縮率(%)=[(a−b)/a]×100
(上式中、aは熱処理前のサンプル長、bは熱処理後のサンプル長である)
また、収縮率差は両端の測定結果より大きい値から小さい値を引いて値が正になるよう算出した。
(4)視認性の検査
ポリビニルアルコール(PVA)フィルム((株)クラレ製、重合度2400)を用いて、第1浴(ヨウ素、KI水溶液−30℃)で3倍延伸後、第2浴(ホウ酸、KI水溶液−55℃)中でトータル延伸倍率を6倍まで延伸して偏光子を得た。その後、PVA系接着剤を用いて、片面に厚さ40μmのTACフィルムを、片面にポリエステルフィルムを貼り合わせ偏光板を作製した。当該偏光板をTACフィルム側が液晶側になるようにバックライトユニット側の偏光板としてモバイル用の液晶パネルに実装し視認性を確認した。
◎:輝度の低下も光干渉色がなく、良好である
○:輝度の低下が少しあるが、光干渉色がなく、問題ない
△:光干渉色があり、本来の色調とは異なる画像となる
×:光干渉色が強く、本来の色調とはかなり異なる画像となる
ポリビニルアルコール(PVA)フィルム((株)クラレ製、重合度2400)を用いて、第1浴(ヨウ素、KI水溶液−30℃)で3倍延伸後、第2浴(ホウ酸、KI水溶液−55℃)中でトータル延伸倍率を6倍まで延伸して偏光子を得た。その後、PVA系接着剤を用いて、片面に厚さ40μmのTACフィルムを、片面にポリエステルフィルムを貼り合わせ偏光板を作製した。当該偏光板をTACフィルム側が液晶側になるようにバックライトユニット側の偏光板としてモバイル用の液晶パネルに実装し視認性を確認した。
◎:輝度の低下も光干渉色がなく、良好である
○:輝度の低下が少しあるが、光干渉色がなく、問題ない
△:光干渉色があり、本来の色調とは異なる画像となる
×:光干渉色が強く、本来の色調とはかなり異なる画像となる
(5)破断しやすさの評価
フィルム製膜における破断しやすさを破断の頻度にて評価した。
<破断しやすさ 判定基準>
(破断しにくい) ○>× (破断しやすい)
なお、上記判定基準中、○のものが生産上問題なく使用できるレベルである。
フィルム製膜における破断しやすさを破断の頻度にて評価した。
<破断しやすさ 判定基準>
(破断しにくい) ○>× (破断しやすい)
なお、上記判定基準中、○のものが生産上問題なく使用できるレベルである。
(6)総合評価
視認性および破断しやすさを総合的に評価し、偏光板保護用フィルムとして優れているものを○、不十分なもの×とした。
視認性および破断しやすさを総合的に評価し、偏光板保護用フィルムとして優れているものを○、不十分なもの×とした。
(ポリエステルチップの製造法)
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール70部、および酢酸カルシウム一水塩0.07部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノール留去させエステル交換反応を行い、反応開始後、約4時間半を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に燐酸0.04部および三酸化アンチモン0.035部を添加し、常法に従って重合した。すなわち、反応温度を徐々に上げて、最終的に280℃とし、一方、圧力は徐々に減じて、最終的に0.05mmHgとした。4時間後、反応を終了し、常法に従い、チップ化してポリエステル(A)を得た。得られたポリエステルチップの溶液粘度IVは、0.66であった。
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール70部、および酢酸カルシウム一水塩0.07部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノール留去させエステル交換反応を行い、反応開始後、約4時間半を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に燐酸0.04部および三酸化アンチモン0.035部を添加し、常法に従って重合した。すなわち、反応温度を徐々に上げて、最終的に280℃とし、一方、圧力は徐々に減じて、最終的に0.05mmHgとした。4時間後、反応を終了し、常法に従い、チップ化してポリエステル(A)を得た。得られたポリエステルチップの溶液粘度IVは、0.66であった。
(ポリエステルBの製造方法)
上記ポリエステル(A)を製造する際、平均粒径3.2μmの非晶質シリカを6000ppm添加し、ポリエステル(B)を作成した。
上記ポリエステル(A)を製造する際、平均粒径3.2μmの非晶質シリカを6000ppm添加し、ポリエステル(B)を作成した。
(ポリエステルCの製造方法)
テレフタル酸ジメチル80部、イソフタル酸ジメチル20部、エチレングリコール60重量部を出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.03部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.68に相当する時点で反応を終了し、常法に従い、チップ化してポリエステル(C)を得た。得られたポリエステルチップの溶液粘度IVは、0.68であった。
テレフタル酸ジメチル80部、イソフタル酸ジメチル20部、エチレングリコール60重量部を出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.03部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.68に相当する時点で反応を終了し、常法に従い、チップ化してポリエステル(C)を得た。得られたポリエステルチップの溶液粘度IVは、0.68であった。
実施例1:
上記ポリエステル(A)、(C)をそれぞれ60%、40%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ80%、20%の割合で混合した原料をA層用の原料とし、A層およびB層用原料をそれぞれ別個の溶融押出機により溶融押出して(A/B/A)の2種3層積層の無定形シートを得た。ついで、冷却したキャスティングドラム上に、シートを共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、90℃にて縦方向に3.5倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て90℃で横方向に4.1倍延伸、232℃で10秒間の熱処理を行い、その後180℃ で幅方向に4.1% の弛緩を加え、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸が84度の位置で厚さ38μm(A層:4.0μm、B層:30.0μm)のポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
上記ポリエステル(A)、(C)をそれぞれ60%、40%の割合で混合した原料をB層用の原料とし、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ80%、20%の割合で混合した原料をA層用の原料とし、A層およびB層用原料をそれぞれ別個の溶融押出機により溶融押出して(A/B/A)の2種3層積層の無定形シートを得た。ついで、冷却したキャスティングドラム上に、シートを共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、90℃にて縦方向に3.5倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て90℃で横方向に4.1倍延伸、232℃で10秒間の熱処理を行い、その後180℃ で幅方向に4.1% の弛緩を加え、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸が84度の位置で厚さ38μm(A層:4.0μm、B層:30.0μm)のポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例2:
実施例1において、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を49度の位置よりフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例1において、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を49度の位置よりフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例3:
実施例1において、各層の厚さをA層:5.0μm、B層:28.0μmにし、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を89度の位置よりフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例1において、各層の厚さをA層:5.0μm、B層:28.0μmにし、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を89度の位置よりフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例4:
実施例3において、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を45度の位置よりフィルムを得る以外は実施例3と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例3において、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を45度の位置よりフィルムを得る以外は実施例3と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例5:
実施例1において、B層用の原料として(A)、(C)をそれぞれ40%、60%の割合で混合し、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を89度の位置よりフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例1において、B層用の原料として(A)、(C)をそれぞれ40%、60%の割合で混合し、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を89度の位置よりフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例6:
実施例5において、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を46度の位置よりフィルムを得る以外は実施例5と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例5において、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を46度の位置よりフィルムを得る以外は実施例5と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例7:
実施例1において、横延伸倍率を4.0倍にし、弛緩率を3.9%にして、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を88度の位置よりフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、横延伸倍率を4.0倍にし、弛緩率を3.9%にして、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を88度の位置よりフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
実施例8:
実施例7において、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を45度とする以外は実施例7と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
実施例7において、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を45度とする以外は実施例7と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
比較例1:
実施例1において、各層の厚さをA層:3.0μm、B層:32.0μmにし、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を89度の位置よりフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
実施例1において、各層の厚さをA層:3.0μm、B層:32.0μmにし、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を89度の位置よりフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
比較例2:
実施例3において、B層用の原料として(A)、(C)をそれぞれ30%、70%の割合で混合し、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を45度の位置よりフィルムを得る以外は実施例3と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
実施例3において、B層用の原料として(A)、(C)をそれぞれ30%、70%の割合で混合し、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を45度の位置よりフィルムを得る以外は実施例3と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
比較例3:
実施例3において、弛緩率を0.0%にし、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を88度の位置よりフィルムを得る以外は実施例3と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
実施例3において、弛緩率を0.0%にし、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を88度の位置よりフィルムを得る以外は実施例3と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
比較例4:
実施例3において、熱固定温度を226℃にし、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を89度の位置よりフィルムを得る以外は実施例3と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
実施例3において、熱固定温度を226℃にし、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を89度の位置よりフィルムを得る以外は実施例3と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
比較例5:
比較例4において、弛緩率を0.0%にし、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を87度の位置よりフィルムを得る以外は比較例4と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
比較例4において、弛緩率を0.0%にし、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を87度の位置よりフィルムを得る以外は比較例4と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
比較例6:
比較例5において、熱固定温度を228℃にし、弛緩率を6.5%にし、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を87度の位置よりフィルムを得る以外は比較例5と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
比較例5において、熱固定温度を228℃にし、弛緩率を6.5%にし、製膜機にて巻き取ったロールの主配向軸を87度の位置よりフィルムを得る以外は比較例5と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
以上、結果をまとめて下記表1、表2に示す。
本発明のフィルムは、例えば、偏光板保護用フィルムとして好適に利用することができる。
Claims (1)
- 両最外層の厚さが3.5μm以上の3層以上の積層構造からなる二軸配向ポリエステルフィルムであり、フィルムの面内リターデーションが800nm以下であり、180℃で5分間熱処理された時のフィルム長さ方向の収縮率(MD)が3.0%以下であり、フィルム長さ方向と直交する方向の収縮率(TD)が1.0%以下であり、MDとTDの収縮率の差の絶対値が2.0%以下であることを特徴とする偏光板保護用ポリエステルフィルム。
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