JP5420454B2 - 偏光板用離型フィルム - Google Patents

偏光板用離型フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP5420454B2
JP5420454B2 JP2010055382A JP2010055382A JP5420454B2 JP 5420454 B2 JP5420454 B2 JP 5420454B2 JP 2010055382 A JP2010055382 A JP 2010055382A JP 2010055382 A JP2010055382 A JP 2010055382A JP 5420454 B2 JP5420454 B2 JP 5420454B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
polyester
polarizing plate
release
release film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010055382A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011191354A (ja
Inventor
賢司 吉原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Plastics Inc
Original Assignee
Mitsubishi Plastics Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Plastics Inc filed Critical Mitsubishi Plastics Inc
Priority to JP2010055382A priority Critical patent/JP5420454B2/ja
Publication of JP2011191354A publication Critical patent/JP2011191354A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5420454B2 publication Critical patent/JP5420454B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、近年著しい成長が見られる液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する場合がある)において用いられる偏光板用の離型フィルムに関するものである。
液晶表示装置は、一般的には、バックライト側から、偏光板、液晶セル、偏光板を積層することにより構成されている。さらには、表示モードや視野角を改善する目的で、位相差板等の各種補償板が挿入される。この偏光板や位相差板の積層には、通常は粘着剤層付きの偏光板、あるいは粘着剤層付きの位相差板を対象物に貼り合わせることにより行われている。
上記の偏光板は、偏光膜をトリアセチルセルロースでサンドイッチした構成からなり、通常その片面に貼り合わせ用の粘着剤層が設けられている。さらに、偏光板のトリアセチルセルロースは耐擦傷性や耐湿性が劣るため、取扱中や液晶表示装置の作製工程中の損傷、湿気、あるいはほこりの付着を防ぐ目的で、両面に表面保護フィルムが設けられる。偏光板の粘着剤層側とは反対面には粘着剤層を積層した表面保護フィルム(プロテクトフィルム)が、また粘着剤層側には離型層を積層した離型フィルムが使用される(以下、特別の断わりがなければ、偏光板とは表面保護フィルムと離型フィルムを両面に配したものを意味する)。
表面保護フィルムと離型フィルムを両面に配した偏光板は通常ロール状態で加工された後、シート状態に切り出され、数十枚単位で積み重ねられて梱包され、パネルメーカーへ供給される。パネルメーカーでは偏光板から離型フィルムを剥がし、粘着剤を介して液晶セルに貼り合わせる工程があるが、この工程では貼りあわせにかかる時間をできるだけ短くすることが生産性向上の観点から望まれている。
通常、偏光板は積み重ねられた梱包状態から吸引装置を用いて1枚ずつ取り出され、上記貼り合わせ工程に移送される。吸引装置は偏光板の離型フィルム側に吸い付く吸盤と軸により構成されており、偏光板の厚さ方向に上下する機構を持ち、その上下運度により積み重ねられた状態の偏光板から、1枚ずつ偏光板を取り出し移送させる。移送された偏光板は、穴が開いた台(以下偏光板セット台)の上にセットされ、穴の部分からの吸引により貼り合わせ機械に固定される。その後、離型フィルムを剥がし、液晶セルに偏光板を貼り合わせる。
仮に積み重ねられた偏光板から2枚重なって偏光板が取り出されると、後工程の離型フィルムを剥がす工程で、重なった偏光板をはがすことになってしまい、粘着剤が露出しないことから液晶セルに偏光板を貼り合わせることができない不具合が発生し、貼り合わせ機械が停止してしまう。このために生産ロスが大幅に増える。この不具合を防止するため、偏光板は確実に1枚ずつ取り出されることが重要である。偏光板のカールが揃っていないと、積み重ねられた偏光板同士の剥れやすさが安定せず、吸引装置の上下運動だけでは偏光板を1枚ずつ取り出すことができなくなり不具合を発生してしまう。
また、偏光板のカール量やカールの方向が揃っていないと、積み重ねられた偏光板から偏光板を1枚ずつ取り出す時に、吸引装置との位置関係にズレが生じることがある。このため、偏光板セット台と偏光板の位置関係がずれてしまい、調整に時間がかかる場合がある。さらに偏光板のカールにおいて、内側に巻き込む面が離型フィルム面かその反体面か安定していなければ、偏光板セット台に偏光板を固定する際に、吸引力の調整を偏光板毎に行わなければならなくなり、調整時間を必要とする場合があり、貼り合せ生産速度が低下する。
偏光板のカールを調整する方法としては、偏光板の粘着剤層側に積層される離型フィルムに張力をかけて偏光板に貼り合わせるという方法が報告されているが、張力が適性でないと離型フィルムにシワなどの平面性欠陥が発生したりすることがある。シワなどの平面性欠陥は粘着剤表面に空気の泡を噛み込む原因になる場合があり、できるだけ少なく、かつ安定していることが好ましい。
さらに、液晶偏光板用離型フィルムは近年のLCD市場の著しい成長に伴う生産量の急激な増加が見られる。かつ、パネルメーカーの生産安定化要求から、品質に関しても年々厳しくなっており、偏光板への異物混入などの不具合を、偏光板メーカーから流出させない取組が継続して行われている。このような背景の中、ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムには、偏光板の異物混入等の欠陥検査として一般的なクロスニコル法による目視検査での障害とならないような光学特性をも要求されていることが多い。
特開2005−49597号公報 特公昭56−53745号公報 特許第3570546号公報 特開平8−294988号公報
本発明は、このような問題点を解決しようとするものであり、その解決課題は、シート状態の取扱性に優れ、偏光板の異物混入等の欠陥検査として一般的なクロスニコル法による目視検査で障害とならないような光学特性を有するフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構成を有する離型フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも2層以上のポリエステル層からなる積層構造であり、両最外層を構成するポリエステル層の固有粘度差が0.1〜0.4dl/gであり、固有粘度が低い方のポリエステル層表面に離型層を有し、160℃で5分間熱処理後のフィルム長さ方向とそれに直交する方向の収縮率の差の絶対値が0.5%以上であることを特徴とする偏光板用離型フィルムに存する。
本発明のポリエステルフィルムによれば、シート状態の取扱性に優れる偏光板を得ることができ、液晶表示装置の生産性向上に大きな効果を与えることができ、クロスニコル法での偏光板の目視検査を阻害しないポリエステルフィルムの生産性を損なわずに提供することができ、その工業的価値は高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における離型フィルムの基材であるポリエステルフィルムは少なくとも2層以上の積層構成であることが必要である。本発明の要旨を越えない限り、3層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。ポリエステルフィルムが単層の場合は、粘着加工などの加熱処理を施された後に離型フィルムのカールが発生しないため、本発明の効果を得られない。
本発明における離型フィルムの基体であるポリエステルフィルムは固有粘度(単位はdl/gであり、以下、表記を省略する)が通常0.4〜1.0であり、両最外層を構成するポリエステル層の固有粘度差が0.1〜0.4であることが必要であり、0.1〜0.3の範囲が好ましく、0.15〜0.25の範囲がさらに好ましい。ポリエステルフィルムの固有粘度が0.4より低い場合は、ポリエステルフィルムを安定して延伸することができないことがある。また1.0より高い場合は、高い固有粘度を得るために原料であるポリエステルの重合時聞が長くなり、原料の単価が上がることになる。両面の固有粘度差が0.1より小さい場合は離型フィルムが粘着加工を施され偏光板に貼付された時に離型フィルムのカールが小さすぎ、偏光板を同一方向にカールさせることができない。また、両面の固有粘度差が0.4より大きい場合は離型フィルムが粘着加工時の熱量でカール量が大きくなりすぎるため、偏光板にうまく貼付することができず好ましくない。
本発明における離型フィルムを160℃で5分間熱処理した後のフィルム長手方向(MD)とそれに直行する方向(TD)の収縮率の差の絶対値は0.5%以上であることが必要である。さらに好ましくは1.0%以上である。0.5%より小さい場合は離型フィルムのカールの方向がMDに沿うのか、TDに沿うのか明確にならないため、偏光板のカールの方向性が安定せず好ましくない。また、収縮率差は0.5%以上であれば特に上限はないが、ポリエステルフィルムの収縮率コントロールの方法から、2.5%以下が好ましい。2.5%より大きくなると収縮率コントロール方法として一般的に使われるレール幅低減による弛緩において、弛緩率が大きすぎるため、フィルムが弛んでしまい、横延伸機(テンター)にフィルムが擦れ、キズを発生させることが起こることがある。
また、本発明における離型フィルムの基体であるポリエステルフィルムの160℃で5分間熱処理された時のフィルムMDとTDの加熱収縮率において、大きい方向の加熱収縮率が1.5%以上であることが好ましい。当該加熱収縮率が1.5%以下では、粘着加工された後の離型フィルムのカール量が少なく、偏光板のカール量もわずかな量にしかならないことがある。
本発明においてフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、フィルム原料の製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.05〜5μm、好ましくは0.05〜3μmの範囲である。平均粒径が0.05μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において種々の表面機能層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリマーを製造する任意の段階において添加することができる。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明の離型フィルム厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲で、かつ、離型フィルムとしての加工が可能であれば特に限定されるものではないが、通常10〜100μm、好ましくは15〜50μmの範囲である。フィルム厚みが10μm未満では、フィルムに腰がない。また、フィルム厚みが100μmを超える場合は、フィルムのカールが強くなりすぎ、離型層を加工した時点、または、フィルムを製膜した時点でカールが発生してしまい、取扱が困難になることがある。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明においては離型フィルムを構成するポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法とは、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
本発明における離型フィルムは、配向主軸の傾きが15度以下、さらには12度以下であることが好ましい。なお、ここでいう配向角とは、フィルム幅方向または縦方向に対する主軸の傾きである。本発明の離型フィルムは偏光板用として使用される際、当該偏光板の垂直偏光の向きはポリエステルフィルムの縦方向と一致する。それをクロスニコル法により検査する工程では、クロスニコルとするため、すなわち検査のための偏光板をその垂直方向に設置して行う。したがってポリエステルフィルムの偏光方向はそれに対し縦方向およびそれに垂直な幅方向になる。検査工程ではこれらの偏光方向と配向主軸とがなす角を特定範囲とすることにより、精度を高度に維持することができる。配向角が15度より大きいとクロスニコル法検査の際に光漏れが大きくなる傾向がある。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆるインラインコーティングを施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能となると共に、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることができるため、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
次に本発明における塗布層の形成について説明する。本発明における離型フィルムを構成する塗布層は上述のインラインコーティングによりポリエステルフィルム上に設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用してもよく、両者を併用してもよい。なお、積層ポリエステルフィルムの製造が安価に対応可能な点でインラインコーティングの方が好ましく用いられる。
インラインコーティングについては以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に縦延伸が終了して、横延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、製膜と同時に塗布が可能になると共に塗布層を高温で処理することができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
次に本発明における離型層の形成について説明する。
本発明の離型フィルムの離型層は、基体となるポリエステルフィルムの固有粘度が低い面の側に設けることが必要である。両面に固有粘度差があるポリエステルフィルムに加熱処理を行うと、固有粘度が高い面を内側に巻き込むようにカールする。離型フィルムの粘着加工時の熱量によるカールによって偏光板のカールをコントロールすることが本発明の効果であるので、離型層を設ける面が定まっていないと偏光板のカールする面が安定せずよろしくない。なお、カールする面の安定であれば、離型層を設ける面は固有粘度が高い面でも効果を得られるが、この場合は粘着加工後に粘着剤側を内側に巻き込むように離型フィルムがカールしてしまい、粘着剤が貼り付きあい離型フィルムを偏光板に貼り合せることができなくなるので好ましくない。
また、本発明における離型フィルムを構成する離型層は上述の塗布延伸法(インラインコーティング)等のフィルム製造工程内において、ポリエステルフィルム上に設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用してもよく、何れの手法を採用してもよい。塗布延伸法(インラインコーティング)については以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に離型層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
また、本発明における離型フィルムを構成する離型層は離型性を良好とするために硬化型シリコーン樹脂を含有するのが好ましい。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、X−62−1387、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213、GE東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605、SM3200、SM3030、東レ・ダウコーニング(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、SRX357、SRX211、SD7220、LTC750A、LTC760A、SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452、SP7268S、SP7265S、LTC1000M、LTC1050L、SYLOFF7900、SYLOFF7198、SYLOFF22A等が例示される。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、塗布延伸法(インラインコーティング)により離型層を設ける場合、通常、170〜280℃で3〜40秒間、好ましくは200〜280℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのがよい。一方、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのがよい。また、塗布延伸法(インラインコーティング)あるいはオフラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。尚、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置,エネルギー源を用いることができる。離型層の塗工量は塗工性の面から、通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/mの範囲である。塗工量が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
本発明において塗布層上に離型層を設ける場合、塗布層を設けた後にフィルムを一旦巻き取り、あらためて離型層を設けてもよく、また、塗布層を設けた後、連続して、離型層を塗布層上に設けてもよく、何れの方法を採用してもよい。
本発明における離型フィルムに関して、離型層が設けられていない面には本発明の主旨を損なわない範囲において、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
また、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムには予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明の離型フィルムの剥離力は、通常10〜100mN/cm、好ましくは10〜50mN/cmの範囲である。剥離力が10mN/cm未満の場合、剥離力が軽くなりすぎて本来剥離する必要がない場面においても容易に剥離する不具合を生じる場合があり、一方、100mN/cmを超える場合には、剥離力が重くなりすぎ、剥離する際に粘着剤が変形し、後の工程で問題が生じたり、粘着剤が離型フィルム側に付着したりすることがある。
本発明の離型フィルムの残留接着率は80%以上、さらには90%以上が好ましい。残留接着率が80%未満の場合は、離型層の移行性が高いため、ロール状態に巻かれた離型フィルムの反コート面側に離型層が転移したり、粘着加工工程にて加工機の搬送ロールに離型層が転移したりするなどの不具合が生じてしまうことがある。また、離型面と接する粘着剤層の粘着力が低下したりすることがある。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、フィルムの製膜過程の縦延伸後および/または横延伸後で、乾式の洗浄方法により異物を除去してもよい。もしくは、ポリエステルフィルムの幅、長さを調整するためのスリティング作業、巻き替え作業時に、乾式または湿式の洗浄方法、両洗浄方法の併用により異物除去を行うことが好ましい。湿式の洗浄方法は、洗浄液に超音波振動を付与させて、該液をフィルム表面に接触させることにより、フィルム表面の付着異物を剥離、除去する方法が好適である。
また、本発明のポリエステルフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等を混合することができる。また、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、顔料、蛍光増白剤等を混合することができる。
本発明のポリエステルフィルムに離型層を設置する場合、離型層を構成する材料は離型性を有するものであれば特に限定されるものではなく、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。それらの中でも、硬化型シリコーン樹脂を主成分とした場合に離型性が良好な点でよい。
離型層を設置する前段階で、乾式もしくは湿式洗浄、後段階で、乾式洗浄によりフィルム表面に付着した異物を除去することが好ましい。さらに、前段階では、乾式洗浄、次いで、洗浄液に超音波振動を付与させて、該液をフィルム表面に接触させることにより、フィルム表面の付着異物を剥離、除去する方法を用いて異物除去することが好適である。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては、溶剤付加型・溶剤縮合型・溶剤紫外線硬化型、無溶剤付加型、無溶剤縮合型、無溶剤紫外線硬化型、無溶剤電子線硬化型等いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
両面の固有粘度差を測定する場合は、ポリエステルフィルムの両面から測定用サンプルを採取し、測定を行った。サンプルの採取においては、ダイプラウィンテス社製SAICAS(Surface and Interface Cutting Analysis System)装置を用いた。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)加熱収縮率の測定
フィルムの両端より長手方向について15mm幅×150mm長の短冊上にサンプルを切り出し、無張力状態で160℃雰囲気中5分間、熱処理しその前後のサンプルの長さを測定することにより次式にて熱収縮率(%)を計算した。
加熱収縮率(%)=[(a−b)/a]×100
上記式中、aは熱処理前のサンプル長、bは熱処理後のサンプル長を意味する。また、収縮率差は両端の測定結果より大きい値から小さい値を引いて値が正になるよう算出した。
(4)配向角の測定
カールツァイス社製偏光顕微鏡を用いて、ポリエステルフィルムの配向を観察し、ポリエステルフィルム面内の主配向軸の方向がポリエステルフィルムの幅方向に対して何度傾いているかを測定し配向角とした。この測定を、得られたフィルムの中央部と両端の計3カ所について実施し、3カ所の内で最も大きい配向角の値を最大配向角とした。
(5)離型層の塗布量測定
蛍光X線測定装置((株)島津製作所(製)型式「XRF−1500」)を用いてFP(Fundamental Parameter Method)法により、下記測定条件下、離型フィルムの離型層が設けられた面および離型層がない面の珪素元素量を測定し、その差をもって、離型層中の珪素元素量とした。次に得られた珪素元素量を用いて、−SiO(CHのユニットとしての塗布量(Si)(g/m)を算出した。
《測定条件》
分光結晶:PET(ペンタエリスリトール)
2θ:108.88°
管電流:95mA
管電圧:40kv
(6)離型フィルムの残留接着率の評価
《残留接着力》
試料フィルムの離型層表面に日東電工(製)No.31B粘着テープを2kgゴムローラーにて1往復圧着し、100℃で1時間加熱処理する。次いで、圧着したサンプルから試料フィルムを剥がし、No.31B粘着テープをJIS−C−2107(ステンレス板に対する粘着力、180°引き剥がし法)の方法に準じて接着力を測定する。これを残留接着力とする。
《基礎接着力》
残留接着力の場合と同じテープ(No.31B)を用いてJIS−C−2107に準じてステンレス板に粘着テープを圧着して、同様の要領にて測定を行う。この時の値を基礎接着力とする。これらの測定値を用いて、下記式に基づいて残留接着率を求める。
残留接着率(%)=(残留接着力/基礎接着力)×100
なお、測定は20±2℃、65±5%RHにて行う。
(7)離型フィルムの剥離力の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットした後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(8)実用特性
<偏光板との貼り合わせ後のカール>
ポリビニルアルコール(PVA)フィルム((株)クラレ製、重合度2400)を用いて、第1浴(ヨウ素、KI水溶液−30℃)で3倍延伸後、第2浴(ホウ酸、KI水溶液−55℃)中でトータル延伸倍率を6倍まで延伸して偏光子を得た。その後、PVA系接着剤を用いて、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムからなる2枚の保護シートを偏光子の両面に貼り合わせ偏光板を作製した。
次に離型フィルムの離型層にアクリル系粘着剤(東洋インキ社製、商品名:BPS−5127)を乾燥厚みが25μmになるように塗布し、100℃の熱風循環式乾燥機で2分間乾燥後、上記した偏光板に貼りあわせ試料を作成する。貼り合わせる時には、後述のクロスニコル下での目視検査の項目に記載したとおりに離型フィルムと偏光板を貼り合わせた。この試料を23℃、65%RH条件下で24時間放置後、10cm×10cmの大きさに切り出し、水平盤上に置き、試験片のカール状態を観察して次の3ランクにわけてカール性を評価した。
○:常に離型フィルムを内側になるようにわずかにカールしており、かつ、カール度合が常に一定であり良好である
△:常に離形フィルムを内側になるようにカールしているが、カールの度合が微小すぎる
×:カールの方向が安定せず、サンプル毎に違う。また、離型フィルムを内側になるようにカールするが、離型フィルムのMD、またはTDに沿ってカールするのがサンプル毎に異なり安定しない
○、△が本発明の効果が期待できるレベルである。×は実用上問題が発生しやすく好ましくないレベルである
<クロスニコル下での目視検査性>
離型フィルムの幅方向が、偏光子の配向軸と平行となるように、粘着剤を介して離型フィルムを偏光板に密着させ試料を作成する。密着させた離型フィルム上に配向軸がフィルム幅方向と直交するように検査用の偏光板を重ね合わせ、偏光板側より白色光を照射し、検査用の偏光板より目視にて観察し、クロスニコル下での目視検査性を下記基準に従い評価した。
○:光干渉性無く検査可能
△:光干渉はあるが検査可能
×:光干渉があり検査難しい
○および△のものが実使用上において、好ましいレベルである。
<離型特性>
粘着層を有する偏光板より離型フィルムを剥がした時の状況より、離型特性を評価した。
○:離型フィルムが綺麗に剥がれ、粘着剤が離型層に付着する現象が見られない
△:離型フィルムは剥がれるが、速い速度で剥離した場合に粘着剤が離型層に付着する ×:離型フィルムに粘着剤が付着する、もしくはシリコーン移行により粘着力が低下する
○および△のものが実使用上において、好ましいレベルである。
<生産性>
離型フィルムの生産性について、コスト、製膜安定性などから評価した。
○:コストも適性であり、製膜安定性も十分にあるため、良好な生産性が得られる
△:コストは適性であるが、製膜安定性に問題がある
×:コストがかかりすぎ、適正でない
[ポリエステルの製造方法]
(ポリエステルチップAの製造法)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール70部、および酢酸カルシウム一水塩0.07部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノール留去させエステル交換反応を行い、反応開始後、約4 時間半を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に燐酸0.04部および三酸化アンチモン0.035部を添加し、常法に従って重合した。すなわち、反応温度を徐々に上げて、最終的に280℃とし、一方、圧力は徐々に減じて、最終的に0.05mmHgとした。4時間後、反応を終了し、常法に従い、チップ化して固有粘度が0.63であるポリエステルAを得た。
(ポリエステルチップBの製造法)
上記ポリエステルAを製造する際、平均一次粒径3.4μmの非晶質シリカを2500ppm添加し、ポリエステルBを得た。
(ポリエステルチップCの製造法)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール70部、および酢酸カルシウム一水塩0.07部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノール留去させエステル交換反応を行い、反応開始後、約4 時間半を要して230℃ に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に燐酸0.04部および三酸化アンチモン0.035部を添加し、常法に従って重合した。すなわち、反応温度を徐々に上げて、最終的に280℃ とし、一方、圧力は徐々に減じて、最終的に0.05mmHgとした。2 時間後、反応を終了し、常法に従い、チップ化して固有粘度が0.45であるポリエステルCを得た。
(ポリエステルチップDの製造法)
上記ポリエステルCを製造する際、平均一次粒径3.4μm の非晶質シリカを2500ppm添加し、ポリエステルDを得た。
(ポリエステルチップEの製造法)
ポリエステルDを固相重縮合法にて固有粘度を上げた。予備結晶化槽にて170℃の窒素雰囲気化にて0.5時間処理した後、不活性ガスを流す塔式乾燥機を用い、200℃の温度下にて水分率が0.005%になるまで乾燥した。その後固相重合槽へ送り、240℃にて4時間、固相重合を行い固有粘度0.79のポリエステルEを得た。
(ポリエステルチップFの製造法)
ポリエステルEを製造する際、固相重合槽にて8時間固相重合を行い、固有粘度0.90のポリエステルFを得た。
(ポリエステルチップGの製造法)
ポリエステルEを製造する際、固相重合槽にて12時間固相重合を行い、固有粘度1.02のポリエステルGを得た。
(ポリエステルチップHの製造法)
ポリエステルDを180℃で4時間、不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融し、ストランド状に押し出し、水冷した後切断しペレット化してポリエステルGを得た。ポリエステルGの固有粘度は0.35であった。
実施例1:
上記ポリエステルA、ポリエステルB、ポリエステルEをそれぞれ、180℃で4時間、不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融し、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。未延伸シートを得る際にポリエステルAが中間層、片側にポリエステルBを積層し、その反対側にポリエステルEをした。得られた未延伸シートをまず、90℃で延伸倍率をMDに2.9倍延伸し、その後テンターに導き、120℃でTDに5.1倍の逐次二軸延伸を行った。その後、210℃ で10秒間の熱処理を行い、その後160℃ で幅方向に5% の弛緩を加え、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。ポリエステルB、ポリエステルA、ポリエステルEの積層厚さは順に4.6μm、28.8μm、4.6μmとなるようにした。得られたポリエステルフィルムの特性、および延伸条件は表1に記す。次に得られたポリエステルフィルムのポリエステルB側に下記離型剤組成−1からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、ドライヤー温度120℃、ライン速度30m/分の条件でロール状の離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの剥離力、および残留接着率を表1に記す。
《離型剤組成−1》
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−50T: 信越化学製) 1部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
次に得られた離型フィルムの離型層に前述した実用特性の中の偏光板との貼り合わせ後のカールを評価する方法に沿って、粘着剤加工と偏光板との貼り合わせを実施した。得られた試料のカール状況を表1に記す。離型フィルムを内側に巻くように安定してカールしており、シート状の偏光板の取扱も良好であった。さらに、実用特性のクロスニコル下での目視検査を実施した。離型フィルムの配向角がTDに十分沿っているため、光漏れが少なく検査はしやすかった。実用特性を下記表1に記す。
実施例2:
延伸条件を表1に記すように変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルム、および離型フィルムを得た。得られた離型フィルムを実施例1と同様に偏光板に貼り付けて、偏光板のカールを調べた。カールは離型フィルムを内側に巻くように安定してカールしており、シート状の偏光板の取扱も良好であった。さらにクロスニコル下での目視検査でも光漏れが少なく検査はしやすかった。延伸条件、ポリエステルフィルムの特性、離型層の特性、実用特性を表1に記す。
実施例3:
表層になるポリエステルにポリエステルFとポリエステルEを使い、ポリエステルEの側に離型層を設ける以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルム、および離型フィルムを得た。得られた離型フィルムを実施例1と同様に偏光板に貼り付けて、偏光板のカールを調べた。カールは離型フィルムを内側に巻くように安定してカールしたが、わずかな量しかカールしなかった。シート状の偏光板の取扱は良好であった。クロスニコル下での目視検査は光漏れが少なく検査はしやすかった。延伸条件、ポリエステルフィルムの特性、離型層の特性、実用特性を表1に記す。
実施例4:
ポリエステルEの代わりにポリエステルBを用いる以外は実施例3と同様にしてポリエステルフィルム、および離型フィルムを得た。得られた離型フィルムを実施例1と同様に偏光板に貼り付けて、偏光板のカールを調べた。カールは離型フィルムを内側に巻くように安定してカールしており、シート状の偏光板の取扱も良好であった。さらにクロスニコル下での目視検査でも光漏れが少なく検査はしやすかった。延伸条件、ポリエステルフィルムの特性、離型層の特性、実用特性を表1に記す。
実施例5:
延伸条件を表1に記すように変更し、テンター端側からポリエステルフィルムを得る以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルム、および離型フィルムを得た。得られた離型フィルムを実施例1と同様に偏光板に貼り付けて、偏光板のカールを調べた。カールは離型フィルムを内側に巻くように安定してカールしたが、わずかな量しかカールしなかった。シート状の偏光板の取扱は良好であった。クロスニコル下での目視検査では光漏れが多く、検査は容易ではなかった。延伸条件、ポリエステルフィルムの特性、離型層の特性、実用特性を表1に記す。
実施例6:
実施例5において、テンター中央からポリエステルフィルムを得る以外は実施例5と同様にしてポリエステルフィルム、および離型フィルムを得た。得られた離型フィルムを実施例1と同様に偏光板に貼り付けて、偏光板のカールを調べた。カールは離型フィルムを内側に巻くように安定してカールしたが、わずかな量しかカールしなかった。シート状の偏光板の取扱は良好であった。クロスニコル下での目視検査では光漏れが少なく、検査はしやすかった。しかし、テンター幅の25%程度しか配向角が15度以下にはならず、残りの75%は光漏れが起こり、実施例5と同様検査は容易ではなかった。延伸条件、ポリエステルフィルムの特性、離型層の特性、実用特性を下記表2に記す。
実施例7:
実施例1において、ポリエステルEとポリエステルBをそれぞれ19μmずつになるようにポリエステルフィルムを得て、ポリエステルB側に離型層を設けて離型フィルムを得る以外は実施例1と同様にした。得られた離型フィルムを実施例1と同様に偏光板に貼り付けて、偏光板のカールを調べた。カールは離型フィルムを内側に巻くように安定してカールしており、シート状の偏光板の取扱も良好であった。さらにクロスニコル下での目視検査でも光漏れが少なく検査はしやすかった。延伸条件、ポリエステルフィルムの特性、離型層の特性、実用特性を表2に記す。
実施例8:
実施例7において、ポリエステルBの代わりにポリエステルDを用いる以外は実施例7と同様にして、ポリエステルフィルム、および離型フィルムを得た。得られた離型フィルムを実施例1と同様に偏光板に貼り付けて、偏光板のカールを調べた。カールは離型フィルムを内側に巻くように安定してカールしており、シート状の偏光板の取扱も良好であった。さらにクロスニコル下での目視検査でも光漏れが少なく検査はしやすかった。延伸条件、ポリエステルフィルムの特性、離型層の特性、実用特性を表2に記す。
実施例9:
延伸条件を表3に記載したように変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルム、および離型フィルムを得た。得られた離型フィルムを実施例1と同様に偏光板に貼り付けて、偏光板のカールを調べた。カールは離型フィルムを内側に巻くようにカールしており安定していた。シート状の偏光板の取扱は問題なかった。しかし、テンターでの弛緩率が大きすぎ、製品有効幅が狭くなりコストを押し上げるため、生産としては好ましくない。クロスニコル下での目視検査では光漏れが少なく検査はしやすかった。延伸条件、ポリエステルフィルムの特性、離型層の特性、実用特性を表2に記す。
実施例10:
実施例1において、塗布剤組成を下記に示す離型剤組成−2に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
《離型剤組成−2》
硬化型シリコーン樹脂(KS−774:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−4: 信越化学製) 10部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
延伸条件、ポリエステルフィルムの特性、離型層の特性、実用特性を表2に記す。
実施例11:
実施例1において、塗布剤組成を下記表1に示す離型剤組成−3に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
《離型剤組成−3》
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−50T: 信越化学製) 1部
ポリエーテル変性シリコーンオイル(KF−351:信越化学製) 8部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
延伸条件、ポリエステルフィルムの特性、離型層の特性、実用特性を下記表3に記す。
実施例12:
実施例1において、塗布剤組成を下記に示す離型剤組成−4に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
《離型剤組成−4》
硬化型シリコーン樹脂(KS−723A:信越化学製) 100部
硬化型シリコーン樹脂(KS−723B:信越化学製) 5部
硬化剤(PS−3:信越化学製) 5部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
延伸条件、ポリエステルフィルムの特性、離型層の特性、実用特性を表3に記す。
比較例1:
実施例1においてポリエステルEの変わりにポリエステルBを用いる以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルム、および離型フィルムを得た。得られた離型フィルムを実施例1と同様に偏光板に貼り付けて、偏光板のカールを調べた。偏光板の状況によりカールする方向が変わり安定せず、シート状の偏光板の取扱が困難であった。クロスニコル下での目視検査では光漏れが少なく検査はしやすかった。延伸条件、ポリエステルフィルムの特性、離型層の特性、実用特性を表3に記す。
比較例2:
実施例8においてポリエステルEの変わりにポリエステルGを用いる以外は実施例8と同様にしてポリエステルフィルム、および離型フィルムを得た。得られた離型フィルムを実施例1と同様に偏光板に貼り付けて、偏光板のカールを調べた。偏光板に貼り付ける際、離型フィルムのカールが大きすぎ、貼り合せにくかった。カールは離型フィルムを内側に巻くように大きくカールしており安定していた。シート状の偏光板の取扱は問題なかった。しかし、ポリエステルGの生産コストが大きく、生産としては好ましくない。
クロスニコル下での目視検査では光漏れが少なく検査はしやすかった。延伸条件、ポリエステルフィルムの特性、離型層の特性、実用特性を表3に記す。
比較例3:
延伸条件を表3に記載したように変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルム、および離型フィルムを得た。得られた離型フィルムを実施例1と同様に偏光板に貼り付けて、偏光板のカールを調べた。離型フィルムを内側に巻くようにカールするが、カールする方向が離型フィルムのMDに沿ったり、TDに沿ったりして安定しなかった。このためシート状の偏光板の取扱も困難であった。クロスニコル下での目視検査では光漏れが少なく検査はしやすかった。延伸条件、ポリエステルフィルムの特性、離型層の特性、実用特性を表3に記す。
比較例4:
実施例7において、ポリエステルBの代わりにポリエステルHを用いてポリエステルフィルムを得ようとしたが、延伸時にフィルムが破断してしまい、ポリエステルフィルムを得ることができなかった。
Figure 0005420454
Figure 0005420454
Figure 0005420454
本発明のフィルムは、偏光板用の離型フィルムとして、好適に利用することができる。

Claims (3)

  1. 少なくとも2層以上のポリエステル層からなる積層構造であり、両最外層を構成するポリエステル層の固有粘度差が0.1〜0.4dl/gであり、固有粘度が低い方のポリエステル層表面に離型層を有し、160℃で5分間熱処理後のフィルム長さ方向とそれに直交する方向の収縮率の差の絶対値が0.5%以上であることを特徴とする偏光板用離型フィルム。
  2. 配向主軸の向きが15度以下であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板用離型フィルム。
  3. 離型層の残留接着率が80%以上であり、剥離力が10〜100mN/cmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板用離型フィルム。
JP2010055382A 2010-03-12 2010-03-12 偏光板用離型フィルム Active JP5420454B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010055382A JP5420454B2 (ja) 2010-03-12 2010-03-12 偏光板用離型フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010055382A JP5420454B2 (ja) 2010-03-12 2010-03-12 偏光板用離型フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011191354A JP2011191354A (ja) 2011-09-29
JP5420454B2 true JP5420454B2 (ja) 2014-02-19

Family

ID=44796397

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010055382A Active JP5420454B2 (ja) 2010-03-12 2010-03-12 偏光板用離型フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5420454B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6444732B2 (ja) * 2012-11-30 2018-12-26 株式会社クラレ 積層フィルム
EP2944464B1 (en) 2013-01-11 2018-12-19 Unitika, Ltd. Mold release film and production method for same
CN105163938B (zh) * 2013-04-30 2018-01-30 住友电木株式会社 脱模膜和脱模膜的使用方法
JP6097466B2 (ja) * 2015-02-14 2017-03-15 三菱樹脂株式会社 偏光板製造工程用ポリエステルフィルム
JP6172209B2 (ja) * 2015-05-11 2017-08-02 三菱ケミカル株式会社 光学部材表面保護フィルム

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5744466B2 (ja) * 1973-06-14 1982-09-21
JPS5653745B2 (ja) * 1974-03-18 1981-12-21
JPS5839648B2 (ja) * 1975-05-13 1983-08-31 帝人株式会社 潜在的にカ−ルする能力を有するフイルムの製造法
JP2000239623A (ja) * 1999-02-25 2000-09-05 Mitsubishi Polyester Film Copp 粘着層保護フィルム
JP2001329078A (ja) * 2000-05-24 2001-11-27 Toray Ind Inc 離型フィルム
JP2002207119A (ja) * 2001-01-05 2002-07-26 Teijin Ltd 偏光板離形用ポリエステルフィルム
JP4211532B2 (ja) * 2003-08-08 2009-01-21 三菱樹脂株式会社 離型フィルム
JP2006150664A (ja) * 2004-11-26 2006-06-15 Toyobo Co Ltd 熱収縮性ポリエステル系フィルムおよび熱収縮性ラベル
JP5125176B2 (ja) * 2007-03-29 2013-01-23 東レ株式会社 偏光板離型フィルム用二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP2009012254A (ja) * 2007-07-03 2009-01-22 Teijin Dupont Films Japan Ltd 離型フィルム
JP5058953B2 (ja) * 2007-12-06 2012-10-24 日東電工株式会社 光学表示ユニットの製造方法およびそれに用いられるロール原反
JP2009204755A (ja) * 2008-02-26 2009-09-10 Mitsubishi Plastics Inc 液晶偏光板用離型フィルム
JP5236320B2 (ja) * 2008-03-09 2013-07-17 三菱樹脂株式会社 離型フィルム
JP2009233919A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Toray Ind Inc 帯電防止性離型用積層ポリエステルフィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011191354A (ja) 2011-09-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2011173260A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルムおよびこれを用いた離型フィルム
JP2013200435A (ja) 偏光板保護用ポリエステルフィルム
JP5420454B2 (ja) 偏光板用離型フィルム
JP2012025088A (ja) 基材レス両面粘着シート用ポリエステルフィルム
JP5398148B2 (ja) 離型フィルム
JP2009184269A (ja) 離型フィルム
JP2007056091A (ja) ポリエステルフィルムおよび離型フィルム
JP2012137568A (ja) 偏光板用離型ポリエステルフィルム
JP6460183B2 (ja) 離型フィルム
JP2007062239A (ja) 粘着層保護フィルム
JP2009178920A (ja) 離型フィルム
JP2004058371A (ja) 離型用二軸延伸ポリエステルフィルム
JP6481725B2 (ja) グリーンシート成形用離型フィルム
JP2009204754A (ja) 液晶偏光板用離型フィルム
JP2009178930A (ja) 離型フィルム
JP2015199265A (ja) 基材レス両面粘着シート用離型フィルム
JP2009204742A (ja) 液晶偏光板用離型フィルム
JP2012232493A (ja) 離型ポリエステルフィルム
JP2011252048A (ja) 偏光板保護用ポリエステルフィルム
JP2012193221A (ja) 粘着シート
JP2010197894A (ja) 液晶偏光板用離型フィルム
JP2010169859A (ja) 液晶偏光板用離型フィルム
JP2011255599A (ja) 基材レス両面粘着シート用ポリエステルフィルム
JP7147156B2 (ja) レーザー加工用離型フィルム及びレーザー加工品の製造方法
JP2011231263A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルムおよびこれを用いた離型フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121207

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130820

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130910

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130913

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131120

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5420454

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350