JP2013199436A - 脂肪性肝障害疾患の治療又は/及び予防剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】ApoC1_mRNAの発現抑制剤の提供。
【解決手段】次式(I)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする組成物:
【選択図】なし
【解決手段】次式(I)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする組成物:
【選択図】なし
Description
本発明は、脂肪性肝障害疾患の治療又は/及び予防剤に関する。
脂肪性肝障害とは、肝細胞に中性脂肪が沈着し肝障害をきたす疾患で一般に脂肪肝と呼ばれる。一方、非アルコール性脂肪肝はNAFLD(non-alcoholic fatty liver disease)とも呼ばれ、飲酒歴はないがアルコール性肝障害に類似した肝組織所見を示し、大滴性肝脂肪沈着を特徴とする肝障害を認める症例を示す。さらにNAFLDが重症化し、肝組織で壊死や炎症、線維化を伴う脂肪性肝炎を認める症例を非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis、NASH)と呼ぶ。
脂肪肝の原因は、アルコール多飲や蛋白質不足、飢餓に代表される栄養性のもの、グルココルチコイドやタモキシフェン、抗ウイルス薬などに代表される薬剤性のもの、肥満や高脂血症、メタボリックシンドロームなどに代表される代謝性のものがある(非特許文献1)。この非アルコール性脂肪性肝炎は1980年代に提唱されていたものの、ウイルス性肝炎や肝癌に頻度が高い日本では注目を浴びずにいた。しかし、昨今の生活様式の欧米化に伴い日本のNAFLD患者は増加し、患者数は1000万人以上と言われるようになっている。
NAFLDの治療は、疾患の背景にあるメタボリックシンドロームを是正することが目指され、運動療法や食事療法が行われ、NASHへの進展に注意が払われる。しかし、NASHは肝硬変を経て肝癌になるの可能性があるため、積極的な治療を必要とする。現在NASHに対する確立した治療法が存在しないため、NAFLDと同様、背景に存在するメタボリックシンドロームの是正を目指し、薬物療法が行われているのが現状である(非特許文献2)。このような状況において、脂肪性肝障害の治療薬の開発が望まれている。
ApoC1はリポタンパク質の一つであり、主にカイロミクロン、VLDL, HDLに結合し、血中に存在している。ApoC1はトリグリセリド代謝に関連するタンパク質であり、血中のTG量に影響を与えるLPL活性を阻害することが報告されている。実際にApoC1を過剰発現させたマウスでは血中TG量の上昇が確認されている(非特許文献3)。ApoC1の過剰発現による肝臓への影響については、肥満モデルマウス(ob/ob)を用いた結果が報告されており、ApoC1を過剰発現させたマウスでは肝臓への遊離脂肪酸の吸収促進による肝臓トリグリセリド量の上昇が確認されている(非特許文献4)。肝臓への脂質吸収促進は脂肪肝及びNAFLDへと進展する可能性があり、ApoC1発現量の抑制による肝臓への脂質吸収抑制は脂肪肝及びNAFLDの予防となると考えられる。
一方、特許文献1には、優れたコレステロールエステル転移タンパク阻害活性(CETP阻害活性)を有し、高脂血症治療剤として有用であるピリミジン化合物が開示されている。しかしながら、これら化合物に、ApoC1 mRNAの発現抑制作用、ApoC1 蛋白の産生抑制作用、脂肪性肝障害疾患の治療且つ/又は予防に対する作用があることは知られていない。
New Engl. J. Med., 346 1221 (2002)
社団法人日本肝臓学会(2006). NASH・NAFLDの診療ガイド 文光堂出版
J. Lipid Res., vol.46, p 297-306 (2005)
J Lipid Res., vol.45, p 9-16 (2004)
本発明の課題は、脂肪性肝障害疾患の治療又は/及び予防剤を提供することにある。また、本発明の課題はApoC1 mRNAの発現を抑制することによる脂肪性肝障害疾患の治療又は/及び予防剤を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を続けた結果、以下の一般式(I)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物がApoC1 mRNAに対し優れた発現抑制作用を有していること、及びこの物質がApoC1蛋白産生抑制作用を有することを見出した。その結果として一般式(I)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が脂肪性肝障害疾患の予防治療にも有用であることを見出し、本発明を完成した。
次式(I):
[式(I)中、R1は、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基を示し、
R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
すなわち、本発明は、以下に示す発明に関する。
[1]次式(I):
[1]次式(I):
[式(I)中、R1〜R6は前記と同じ。]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、ApoC1 mRNAの発現抑制剤。
[2]trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[1]に記載の発現抑制剤。
[3]前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、ApoC1の蛋白産生抑制剤。
[4]trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[3]に記載の蛋白産生抑制剤。
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、ApoC1 mRNAの発現抑制剤。
[2]trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[1]に記載の発現抑制剤。
[3]前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、ApoC1の蛋白産生抑制剤。
[4]trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[3]に記載の蛋白産生抑制剤。
[5]ApoC1 mRNAの発現抑制のための、前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[6]ApoC1の蛋白産生抑制のための、前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[6]ApoC1の蛋白産生抑制のための、前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[7]ApoC1 mRNAの発現抑制剤製造のための、前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[8]ApoC1の蛋白産生抑制剤製造のための、前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[9]前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を投与することを特徴とする、ApoC1 mRNAの発現抑制方法。
[10]前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を投与することを特徴とする、ApoC1の蛋白産生抑制方法。
[8]ApoC1の蛋白産生抑制剤製造のための、前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[9]前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を投与することを特徴とする、ApoC1 mRNAの発現抑制方法。
[10]前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を投与することを特徴とする、ApoC1の蛋白産生抑制方法。
一般式(I)で示される具体的な化合物として、化合物(III)[trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸]がより好ましい。
前記一般式(I)で表される化合物は、後述する実施例に具体的に開示されているとおり、ApoC1 mRNAに対して強い発現抑制作用を有している。また、これら化合物は、ApoC1蛋白産生抑制作用を有することにより、脂肪性肝障害疾患の予防及び/又は治療に用いることができる。
一般式(I)で表される化合物は、WO08/129951号パンフレット(実施例45)に記載されており、同文献に記載の方法により製造することができる。また、アナセトラピブは、WO06/014357号パンフレット(実施例73)に記載されており、同文献に記載の方法により製造することができる。
本明細書において、「C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基」における「C1-6アルキル」は、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキルを意味し、好ましくは「C1-3アルキル」、より好ましくは「メチル又はエチル」である。「C1−C6アルキル」としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。
本明細書において、「C1-6アルキルチオC1-6アルキル基」の「C1−C6アルキルチオ」としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、2−メチルブチルチオ、1−エチルプロピルチオ、n−ヘキシルチオ、イソヘキシルチオ、3−メチルペンチルチオ、2−メチルペンチルチオ、1−メチルペンチルチオ、3,3−ジメチルブチルチオ、2,2−ジメチルブチルチオ、1,1−ジメチルブチルチオ、1,2−ジメチルブチルチオ、1,3−ジメチルブチルチオ、2,3−ジメチルブチルチオ、1−エチルブチルチオ、2−エチルブチルチオ等が挙げられる。
本明細書において、「C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基」の「C1−C6アルキルスルフィニル」としては、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、n−プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、n−ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec−ブチルスルフィニル、tert−ブチルスルフィニル、n−ペンチルスルフィニル、イソペンチルスルフィニル、ネオペンチルスルフィニル、2−メチルブチルスルフィニル、1−エチルプロピルスルフィニル、n−ヘキシルスルフィニル、イソヘキシルスルフィニル、3−メチルペンチルスルフィニル、2−メチルペンチルスルフィニル、1−メチルペンチルスルフィニル、3,3−ジメチルブチルスルフィニル、2,2−ジメチルブチルスルフィニル、1,1−ジメチルブチルスルフィニル、1,2−ジメチルブチルスルフィニル、1,3−ジメチルブチルスルフィニル、2,3−ジメチルブチルスルフィニル、1−エチルブチルスルフィニル、2−エチルブチルスルフィニル等が挙げられる。
本明細書において、「C1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基」の「C1−C6アルキルスルホニル」としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、n−ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、2−メチルブチルスルホニル、1−エチルプロピルスルホニル、n−ヘキシルスルホニル、イソヘキシルスルホニル、3−メチルペンチルスルホニル、2−メチルペンチルスルホニル、1−メチルペンチルスルホニル、3,3−ジメチルブチルスルホニル、2,2−ジメチルブチルスルホニル、1,1−ジメチルブチルスルホニル、1,2−ジメチルブチルスルホニル、1,3−ジメチルブチルスルホニル、2,3−ジメチルブチルスルホニル、1−エチルブチルスルホニル、2−エチルブチルスルホニル等が挙げられる。
本明細書において、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本明細書において、「ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基」は、ハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロエチル等が挙げられる。好ましくは「ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基」、より好ましくは「ハロゲン原子で置換されていてもよいメチル又はエチル基」である。
本明細書において、「ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基」は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ等が挙げられる。好ましくは「ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルコキシ基」、より好ましくは「ハロゲン原子で置換されていてもよいメトキシ又はエトキシ基」である。
一般式(I)で表される化合物として、光学的に純粋な異性体又は上記異性体の任意の混合物、ラセミ体、任意の幾何異性体又は幾何異性体の任意の混合物など、任意の立体異性体又はそれらの任意の混合物を使用することができる。
一般式(I)で表される化合物の立体異性体の例としては、次の一般式(I−1)及び(I−2)で表される化合物が挙げられる。
(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は前記と同じものを示す。)
一般式(I)で表される化合物には、生体内において代謝されて一般式(I)で表される化合物に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。一般式(I)で表される化合物のプロドラッグを形成可能な基としては、例えば、「プログレス・イン・メディシン(Progress in Medicine)」、ライフサイエンス・メディカ社、1985年、5巻、2157-2161ページに記載されている基や、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163-198ページに記載されている基が挙げられる。
本発明における好ましい化合物としては、例えば、
trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(化合物1)、
(S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(化合物2)、及び
(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(化合物3)を挙げることができるが、本発明の範囲はこれらの化合物に限定されることはない。
trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(化合物1)、
(S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(化合物2)、及び
(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(化合物3)を挙げることができるが、本発明の範囲はこれらの化合物に限定されることはない。
一般式(I)で表される化合物の塩としては、酸付加塩及び塩基付加塩等が挙げられ、医薬として許容される塩であれば特に制限されない。例えば、酸付加塩であれば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩のような無機酸との酸付加塩;安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等の有機酸との酸付加塩が挙げられる。また、塩基付加塩であればナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属との塩基付加塩;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、コリジン、ルチジン等のアミン塩;リシン、アルギニン等の有機塩基との塩基付加塩等が挙げられる。
一般式(I)で表される化合物又はその塩の溶媒和物を形成する溶媒としては、水のほか、生理学的に許容される有機溶媒、例えばエタノール、ヘキサン、酢酸エチルなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。本発明の医薬の有効成分としては、例えば、水和物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
一般式(I)で表される化合物(例:化合物1)の鏡像体である一般式(I−1)(例:化合物2)又は(I−2)(例:化合物3)の化合物は、一般式(I)で表される化合物(例:化合物1)からキラルカラムを用いる方法、あるいは一般式(I)で表される化合物(例:化合物1)の誘導体より優先晶析法等を用いて分取した後に一般式(I−1)(例:化合物2)又は(I−2)(例:化合物3)の化合物に誘導する方法等により製造することができる。
一般式(I)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を含有する医薬は、ApoC1 mRNAに対して強い発現抑制作用を有しており、脂肪性肝障害疾患の予防及び/又は治療に有効に用いることができる。一般式(I)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を適用可能な脂肪性肝障害疾患としては、例えば、アルコール性脂肪肝炎、肝脂肪変性、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及びライ症候群等が挙げられる。より好ましくは、肝脂肪変性、NAFLD及びNASHを挙げることができる。
本発明の医薬は、上記の一般式(I)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む。本発明の医薬としては上記の有効成分自体を投与してもよいが、好ましくは、当業者に周知の方法によって製造可能な経口用あるいは非経口用の医薬組成物として投与することができる。経口投与に適する医薬用組成物としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、及びシロップ剤等を挙げることができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、静脈内注射剤や筋肉内注射剤などの注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、点眼剤、点鼻剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
上記の医薬組成物は、薬理学的、製剤学的に許容しうる添加物を加えて製造することができる。薬理学的、製剤学的に許容しうる添加物の例としては、例えば、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、矯味剤、香料、被膜剤、希釈剤などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
本発明の医薬の投与量は特に限定されず、疾患の種類、予防又は治療の目的、有効成分の種類などに応じて適宜選択することができ、さらに患者の体重や年齢、症状、投与経路など通常考慮すべき種々の要因に応じて、適宜増減することができる。例えば、経口投与の場合には成人一日あたり一般式(I)で表される化合物の重量として0.1 〜500 mg程度の範囲で用いることができるが、投与量は当業者に適宜選択可能であり、上記の範囲に限定されることはない。
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例中で用いられている略号は下記の意味を示す。
s:シングレット(singlet)
d:ダブレット(doublet)
t:トリプレット(triplet)
q:クアルテット(quartet)
m:マルチプレット(multiplet)
br:ブロード(broad)
J:カップリング定数(coupling constant)
Hz:ヘルツ(Hertz)
CDCl3:重クロロホルム
1H-NMR:プロトン核磁気共鳴
s:シングレット(singlet)
d:ダブレット(doublet)
t:トリプレット(triplet)
q:クアルテット(quartet)
m:マルチプレット(multiplet)
br:ブロード(broad)
J:カップリング定数(coupling constant)
Hz:ヘルツ(Hertz)
CDCl3:重クロロホルム
1H-NMR:プロトン核磁気共鳴
製造例1
化合物1は、国際公開第2008/129951号パンフレットの実施例45に開示されている方法に従って製造したものを使用した。また、化合物1の両鏡像体である化合物2及び化合物3は、化合物1を下記条件のキラルカラムを用いる分取により単離したものを使用した。
化合物1は、国際公開第2008/129951号パンフレットの実施例45に開示されている方法に従って製造したものを使用した。また、化合物1の両鏡像体である化合物2及び化合物3は、化合物1を下記条件のキラルカラムを用いる分取により単離したものを使用した。
Column: CHIRALCEL OD-H(4.6×250mm)
Flow rate: 1.0mL/min
Detector: UV 242nm
Temp.: 40℃
Mobile phase: Hexane/EtOH/TFA=90/10/0.1
Retention time : (R)-(+)-form 21.3min, (S)-(-)-form 23.7min
Flow rate: 1.0mL/min
Detector: UV 242nm
Temp.: 40℃
Mobile phase: Hexane/EtOH/TFA=90/10/0.1
Retention time : (R)-(+)-form 21.3min, (S)-(-)-form 23.7min
化合物2
1H−NMR(CDCl3)δ:0.80−0.96(7H,m),1.38(1H.m),1.47(3H,d,J=7.1Hz),1.65−1.77(5H,m),2.19(2H,d,J=6.8Hz),2.72(1H,m),2.81−2.91(3H,m),3.08(3H,s),3.45(2H,t,J=5.4Hz),4.44(2H,t,J=5.4Hz),4.62(1H,d,J=17.1Hz),4.86(1H,d,J=17.1Hz),6.21(1H,q,J=7.1Hz),7.13(1H,d,J=8.3Hz),7.19(1H,s),7.38(1H,d,J=8.3Hz),7.71(1H,s),7.73(2H,s),8.15(2H,s).
[α]D 20=−46.68(c=1.0,CHCl3)
1H−NMR(CDCl3)δ:0.80−0.96(7H,m),1.38(1H.m),1.47(3H,d,J=7.1Hz),1.65−1.77(5H,m),2.19(2H,d,J=6.8Hz),2.72(1H,m),2.81−2.91(3H,m),3.08(3H,s),3.45(2H,t,J=5.4Hz),4.44(2H,t,J=5.4Hz),4.62(1H,d,J=17.1Hz),4.86(1H,d,J=17.1Hz),6.21(1H,q,J=7.1Hz),7.13(1H,d,J=8.3Hz),7.19(1H,s),7.38(1H,d,J=8.3Hz),7.71(1H,s),7.73(2H,s),8.15(2H,s).
[α]D 20=−46.68(c=1.0,CHCl3)
化合物3
1H−NMR(CDCl3)δ:化合物2と同じ
[α]D 20=+48.92(c=1.0,CHCl3)
1H−NMR(CDCl3)δ:化合物2と同じ
[α]D 20=+48.92(c=1.0,CHCl3)
製造例2:優先晶析法による、実質的に光学的に純粋な(S)体化合物2の製造
本発明者らが実施した、優先晶析法による実質的に光学的に純粋な(S)体化合物2の製造方法の概略をスキーム1として以下に示す。
なお、各化合物の絶対配置は、工程1で確認された(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置から判断した。
また、工程6で得られた(S)体化合物2((S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸)の光学純度は、上記製造例1に記載の条件によるキラルHPLC分析により決定した。
さらに、工程1で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン、工程4及び5で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの光学純度は、それぞれ下記条件によるキラルHPLC分析により決定した。
本発明者らが実施した、優先晶析法による実質的に光学的に純粋な(S)体化合物2の製造方法の概略をスキーム1として以下に示す。
なお、各化合物の絶対配置は、工程1で確認された(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置から判断した。
また、工程6で得られた(S)体化合物2((S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸)の光学純度は、上記製造例1に記載の条件によるキラルHPLC分析により決定した。
さらに、工程1で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン、工程4及び5で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの光学純度は、それぞれ下記条件によるキラルHPLC分析により決定した。
1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンのキラルHPLC分析条件
カラム:CHIRALPAK AS−RH
移動相:エタノール/水=60/40
流速:0.5mL/min
カラム温度:25℃
検出波長:220nm
保持時間:第一ピーク/21.8min((R)体)、第二ピーク/26.0min((S)体)
カラム:CHIRALPAK AS−RH
移動相:エタノール/水=60/40
流速:0.5mL/min
カラム温度:25℃
検出波長:220nm
保持時間:第一ピーク/21.8min((R)体)、第二ピーク/26.0min((S)体)
trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのキラルHPLC分析条件
カラム:CHIRALCEL OD−H
移動相:ヘキサン/エタノール=80/20
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出波長:242nm
保持時間:第一ピーク/11.3min((R)体)、第二ピーク/13.0min((S)体)
カラム:CHIRALCEL OD−H
移動相:ヘキサン/エタノール=80/20
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出波長:242nm
保持時間:第一ピーク/11.3min((R)体)、第二ピーク/13.0min((S)体)
工程1:(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造
(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを下記1−(a)の方法により製造し、その絶対配置を以下の通り確認した。すなわち、得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンに導いたうえで、市販されている絶対配置既知の(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンの標準品と比旋光度の実測値の符号を比較することで確認した。
また、(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを別途下記1−(b)の方法によっても製造した。
(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを下記1−(a)の方法により製造し、その絶対配置を以下の通り確認した。すなわち、得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンに導いたうえで、市販されている絶対配置既知の(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンの標準品と比旋光度の実測値の符号を比較することで確認した。
また、(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを別途下記1−(b)の方法によっても製造した。
1−(a):(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造 その1
アルゴン雰囲気下、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン(7.57g、23.2mmol)をトルエン(12.5mL)に溶解し、0℃にてトリフェニルホスフィン(6.1g、23.2mmol)を加え30分間撹拌した。これに(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(1)(5.0g、19.4mmol、>99.5%ee)のトルエン溶液(12.5mL)を0℃で10分以上かけて滴下した後、室温まで昇温し、同温にて1時間撹拌した。反応液にn−ヘキサン(25mL)を加え、セライトろ過した。ろ液を水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留(56oC、0.7mmHg)することで、5.52gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(2)を無色油状物として得た(収率:88.6%)。
アルゴン雰囲気下、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン(7.57g、23.2mmol)をトルエン(12.5mL)に溶解し、0℃にてトリフェニルホスフィン(6.1g、23.2mmol)を加え30分間撹拌した。これに(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(1)(5.0g、19.4mmol、>99.5%ee)のトルエン溶液(12.5mL)を0℃で10分以上かけて滴下した後、室温まで昇温し、同温にて1時間撹拌した。反応液にn−ヘキサン(25mL)を加え、セライトろ過した。ろ液を水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留(56oC、0.7mmHg)することで、5.52gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(2)を無色油状物として得た(収率:88.6%)。
キラルHPLC分析:光学純度>99.5%ee(メインピーク:第一ピーク)、転化率≧99%
[α]D 25+59.1(c=1.03,CHCl3)
1H−NMR(CDCl3)δ: 2.08(3H,d,J=7.1Hz),5.21(1H,q,J=7.1Hz),7.81(1H,s),7.87(2H,s)
[α]D 25+59.1(c=1.03,CHCl3)
1H−NMR(CDCl3)δ: 2.08(3H,d,J=7.1Hz),5.21(1H,q,J=7.1Hz),7.81(1H,s),7.87(2H,s)
(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置の確認
上記1−(a)で得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(2)(106mg、0.336mmol、99%ee)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(1mL)にアジ化ナトリウム(64.4mg、0.990mmol)を加え−18〜−15℃にて4時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチル/n−ヘキサン(1:1)及び水より抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することで111.5mgの1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアジド(粗生成物:111.5mg)を得た。
上記1−(a)で得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(2)(106mg、0.336mmol、99%ee)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(1mL)にアジ化ナトリウム(64.4mg、0.990mmol)を加え−18〜−15℃にて4時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチル/n−ヘキサン(1:1)及び水より抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することで111.5mgの1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアジド(粗生成物:111.5mg)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.61(3H,d,J=6.8Hz),4.79(1H,q,J=6.8Hz),7.78(2H,s),7.84(1H,s)
得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアジド(粗生成物:111.5mg)をメタノール(6mL)に溶解し、パラジウム−フィブロイン(18mg)を加え水素置換し、室温で1時間撹拌した。セライトろ過し、ろ液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1〜5:1)にて精製し、77.6mgの1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンを無色油状物として得た(収率:91%、2工程)。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.42(3H,d,J=6.8Hz),1.58(2H,br−s),4.30(1H,q,J=6.8Hz),7.75(1H,s),7.85(2H,s)
得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンの比旋光度は以下の通りであった。
[α]D 25−15.9(c=1.31,CHCl3)
[α]D 25−15.9(c=1.31,CHCl3)
一方、市販の標準品((S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミン(セントラル硝子社製:Lot.0102000:光学純度:99%ee))の比旋光度は以下の通りであった。
[α]D 25−15.9(c=1.15,CHCl3)
[α]D 25−15.9(c=1.15,CHCl3)
比旋光度の実測値の符号が、市販の標準品の符号と一致したことから、得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンは(S)体であることが確認された。そして、当該アミンはアジ化物イオンの求核置換反応を経て1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンから得られていることから、上記1−(a)で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンは(R)体であることが確認された。
1−(b):(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造 その2
アルゴン雰囲気下、(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(1)(300g、1.16mol、96%ee)に水浴下、20℃以下で三臭化リン(157.3g、0.58mol)を滴下し、19〜22℃で30分撹拌した。反応液を冷却し、0℃以下で臭化水素(30%酢酸溶液)(228mL、1.16mol)を滴下し、13〜15℃で16時間撹拌した。反応液を氷水に注加し、n−ヘキサン(3L×2)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重曹水(3L)、飽和食塩水(3L)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下(90〜100mmHg)濃縮し、389.2gの粗体を得た。得られた粗体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル900g、展開溶媒:n−ヘキサン)で精製することにより、349.8gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(2)を無色油状物として得た(収率93.8%)。
なお、下記の通りキラルHPLC分析において、第一ピークがメインピークとして現れたことから、1−(b)で製造した1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンも1−(a)と同様に、(R)体であることが確認された。
アルゴン雰囲気下、(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(1)(300g、1.16mol、96%ee)に水浴下、20℃以下で三臭化リン(157.3g、0.58mol)を滴下し、19〜22℃で30分撹拌した。反応液を冷却し、0℃以下で臭化水素(30%酢酸溶液)(228mL、1.16mol)を滴下し、13〜15℃で16時間撹拌した。反応液を氷水に注加し、n−ヘキサン(3L×2)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重曹水(3L)、飽和食塩水(3L)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下(90〜100mmHg)濃縮し、389.2gの粗体を得た。得られた粗体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル900g、展開溶媒:n−ヘキサン)で精製することにより、349.8gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(2)を無色油状物として得た(収率93.8%)。
なお、下記の通りキラルHPLC分析において、第一ピークがメインピークとして現れたことから、1−(b)で製造した1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンも1−(a)と同様に、(R)体であることが確認された。
キラルHPLC分析:光学純度>93.9%ee(メインピーク:第一ピーク)、転化率97.8%
1H−NMR(CDCl3)δ: 2.08(3H,d,J=7.1Hz),5.21(1H,q,J=7.1Hz),7.81(1H,s),7.87(2H,s)
1H−NMR(CDCl3)δ: 2.08(3H,d,J=7.1Hz),5.21(1H,q,J=7.1Hz),7.81(1H,s),7.87(2H,s)
工程2:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の、(S)体優位のセミキラル体の製造
アルゴン雰囲気下、特許文献2(国際公開第2008/129951号パンフレット)記載の方法により合成したtrans−[4−([(エチル){2−[({5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}アミノ]メチル)シクロヘキシル]酢酸エチル(3)(565.4g、0.99mol)の無水テトラヒドロフラン(THF、2.26L)溶液に氷冷下、NaH(60% in oil、119g、2.98mol)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液を−30℃に冷却し、工程1で得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(2)(682g、1.99mol、93.9%ee)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(4.53L)溶液を反応系内が−15℃以下となるように滴下し、−15℃〜−1℃で5時間撹拌した。反応液を氷水(35L)とトルエン(30L)の混合溶液に注加し、pHが6.9になるまでクエン酸を加え、有機層を分離した。
アルゴン雰囲気下、特許文献2(国際公開第2008/129951号パンフレット)記載の方法により合成したtrans−[4−([(エチル){2−[({5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}アミノ]メチル)シクロヘキシル]酢酸エチル(3)(565.4g、0.99mol)の無水テトラヒドロフラン(THF、2.26L)溶液に氷冷下、NaH(60% in oil、119g、2.98mol)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液を−30℃に冷却し、工程1で得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(2)(682g、1.99mol、93.9%ee)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(4.53L)溶液を反応系内が−15℃以下となるように滴下し、−15℃〜−1℃で5時間撹拌した。反応液を氷水(35L)とトルエン(30L)の混合溶液に注加し、pHが6.9になるまでクエン酸を加え、有機層を分離した。
水層をトルエン(20L)で2回抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、粗体を得た。粗体をエタノール(8L)に溶解させ、氷冷下2M NaOH水溶液(1.24L、2.48mol)を加え、50℃にて3.5時間撹拌した。反応液に氷冷下、pH5.4になるまで1M HCl水溶液を加え、水(25L)に注ぎ、酢酸エチル(22L)で2回抽出した。有機層を飽和食塩水(12L)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 21g、展開溶媒:ヘプタン/アセトン=7/1→3/1)で精製することによりtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸のセミキラル体(4)を得た(黄色油状物、744.1g、収率96%)。
なお、上記工程1に記載の通り絶対配置が確認された(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(2)を原料として使用し、アミン(3)による求核置換反応が進行していることから、得られたセミキラル体(4)は(S)体が優位である。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.85−0.96(7H,m),1.35−1.45(4H,m),1.60−1.78(5H,m),2.18−2.21(5H,m),2.69(1H,m),2.81−2.91(5H,m),4.16(2H,q,J=6.8Hz),4.61(1H,d,J=17.1Hz),4.85(1H,d,J=17.1Hz),6.22(1H,q,J=6.8Hz),7.11(1H,d,J=8.6Hz),7.23(1H,s),7.37(1H,d,J=8.3Hz),7.70(1H,s),7.73(2H,s),8.14(2H,s)
工程3:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの、(S)体優位のセミキラル体の製造
アルゴン雰囲気下、工程2で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の、(S)体優位のセミキラル体(4)(744.1g、0.95mol)の無水ジクロロエタン(11.6L)溶液に、氷冷下、ベンジルアルコール(113.1g、1.05mol)、WSC・HCl(200.5g、1.05mol)及びDMAP(11.9g、98mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。反応液に水(10L)を加え、クロロホルム(19L、14L)にて抽出し、有機層を飽和食塩水(12L)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 28g、展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=6/1)で精製することにより、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのセミキラル体(5)を得た(黄色油状物、745.8g、収率90%)。
アルゴン雰囲気下、工程2で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の、(S)体優位のセミキラル体(4)(744.1g、0.95mol)の無水ジクロロエタン(11.6L)溶液に、氷冷下、ベンジルアルコール(113.1g、1.05mol)、WSC・HCl(200.5g、1.05mol)及びDMAP(11.9g、98mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。反応液に水(10L)を加え、クロロホルム(19L、14L)にて抽出し、有機層を飽和食塩水(12L)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 28g、展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=6/1)で精製することにより、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのセミキラル体(5)を得た(黄色油状物、745.8g、収率90%)。
なお、得られたセミキラル体(5)は、セミキラル体(4)と同様(S)体が優位である。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.87−0.95(7H,m),1.37(1H.m),1.43(3H,d,J=7.1Hz),1.65−1.77(5H,m),2.20(2H,d,J=6.8Hz),2.22(3H,s),2.66−2.71(2H,m),2.82‐2.91(4H,m),4.15(2H,t,J=6.6Hz),4.62(1H,d,J=17.1Hz),4.85(1H,d,J=17.1Hz),5.10(2H,s),6.21(1H,q,J=7.1Hz),7.10(1H,d,J=8.3Hz),7.22(1H,s),7.28‐7.38(6H,m),7.70(1H,s),7.73(2H,s),8.14(2H,s)
工程4:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの、(S)体優位のセミキラル体の製造
アルゴン雰囲気下、工程3で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの、(S)体優位のセミキラル体(5)(745.8g、0.87mol)の2−プロパノール(15.2L)溶液に、五塩化タンタル(31.3g、87.3mmol)及び30%過酸化水素水(496mL、4.38mol)を加え、室温にて5時間撹拌した。反応液を飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(3.1L)でクエンチし、水(15L)を加え、クロロホルム(14L、12L)で抽出し、有機層を飽和食塩水(20L)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 26kg、展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=3/1→2/1)で精製することにより、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのセミキラル体(6)を得た(黄色アモルファス、619.5g、収率79%)。
アルゴン雰囲気下、工程3で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの、(S)体優位のセミキラル体(5)(745.8g、0.87mol)の2−プロパノール(15.2L)溶液に、五塩化タンタル(31.3g、87.3mmol)及び30%過酸化水素水(496mL、4.38mol)を加え、室温にて5時間撹拌した。反応液を飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(3.1L)でクエンチし、水(15L)を加え、クロロホルム(14L、12L)で抽出し、有機層を飽和食塩水(20L)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 26kg、展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=3/1→2/1)で精製することにより、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのセミキラル体(6)を得た(黄色アモルファス、619.5g、収率79%)。
なお、得られたセミキラル体(6)は、セミキラル体(4)及びセミキラル体(5)と同様、(S)体が優位である。
キラルHPLC分析:光学純度67.7%ee(メインピーク:第二ピーク)
1H−NMR(CDCl3)δ:0.87−0.96(7H,m),1.38(1H.m),1.45(3H,d,J=7.1Hz),1.65−1.80(5H,m),2.21(2H,d,J=6.6Hz),2.69(1H,m),2.81−2.91(3H,m),3.08(3H,s),3.44(2H,t,J=5.4Hz),4.44(2H,t,J=5.4Hz),4.64(1H,d,J=17.1Hz),4.86(1H,d,J=17.3Hz),5.10(2H,s),6.19(1H,q,J=6.9Hz),7.12(1H,d,J=8.3Hz),7.19(1H,s),7.30−7.39(6H,m),7.71(1H,s),7.72(2H,s),8.16(2H,s)
1H−NMR(CDCl3)δ:0.87−0.96(7H,m),1.38(1H.m),1.45(3H,d,J=7.1Hz),1.65−1.80(5H,m),2.21(2H,d,J=6.6Hz),2.69(1H,m),2.81−2.91(3H,m),3.08(3H,s),3.44(2H,t,J=5.4Hz),4.44(2H,t,J=5.4Hz),4.64(1H,d,J=17.1Hz),4.86(1H,d,J=17.3Hz),5.10(2H,s),6.19(1H,q,J=6.9Hz),7.12(1H,d,J=8.3Hz),7.19(1H,s),7.30−7.39(6H,m),7.71(1H,s),7.72(2H,s),8.16(2H,s)
工程5:実質的に光学的に純粋な(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの製造
工程4で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの、(S)体優位のセミキラル体(6)(111.7g、123.7mmol、67.7%ee)をエタノール(825mL)に溶解し、別途調製した種晶(下記工程7で製造したラセミ体結晶)2.0mgを15℃〜20℃にて加え、同温にて21時間、0℃にて3時間撹拌した。析出物をろ別し、冷エタノール(165mL)で洗浄した後、母液を減圧濃縮することにより、実質的に光学的に純粋なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(7)を得た(黄色アモルファス、66.38g、収率59%)。
なお、得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(7)は、(S)体優位のセミキラル体(6)からラセミ体優位の結晶をろ別して得られていることから、(S)体である。
工程4で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの、(S)体優位のセミキラル体(6)(111.7g、123.7mmol、67.7%ee)をエタノール(825mL)に溶解し、別途調製した種晶(下記工程7で製造したラセミ体結晶)2.0mgを15℃〜20℃にて加え、同温にて21時間、0℃にて3時間撹拌した。析出物をろ別し、冷エタノール(165mL)で洗浄した後、母液を減圧濃縮することにより、実質的に光学的に純粋なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(7)を得た(黄色アモルファス、66.38g、収率59%)。
なお、得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(7)は、(S)体優位のセミキラル体(6)からラセミ体優位の結晶をろ別して得られていることから、(S)体である。
キラルHPLC分析:光学純度>99%ee(メインピーク:第二ピーク)
[α]D 20−42.36(c=1.0w/v%,CHCl3)
[α]D 20−42.36(c=1.0w/v%,CHCl3)
なお、ろ別したラセミ体優位の結晶の光学純度は、キラルHPLC分析の結果、22%eeであった(43.39g、収率39%)。
工程6:実質的に光学的に純粋な(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の製造
窒素雰囲気下、工程5で得られた(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(7)(34.2g、37.88mmol、>99%ee)のエタノール(340mL)溶液に、10%Pd−C(wet)(3.4g)を加え、水素置換後、室温にて2時間撹拌した。反応懸濁液をセライトろ過し、エタノール(50mL)で洗浄し、洗液を減圧濃縮することにより、実質的に光学的に純粋なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(化合物2)を得た(白色アモルファス、31.78g、収率100%)。
なお、得られた化合物は、下記比旋光度に示す通り、左旋性の化合物であった。また、得られた化合物は、(S)体であるベンジルエステル(7)よりエステルを脱保護して得られたことから、同様に(S)体である。
窒素雰囲気下、工程5で得られた(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(7)(34.2g、37.88mmol、>99%ee)のエタノール(340mL)溶液に、10%Pd−C(wet)(3.4g)を加え、水素置換後、室温にて2時間撹拌した。反応懸濁液をセライトろ過し、エタノール(50mL)で洗浄し、洗液を減圧濃縮することにより、実質的に光学的に純粋なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(化合物2)を得た(白色アモルファス、31.78g、収率100%)。
なお、得られた化合物は、下記比旋光度に示す通り、左旋性の化合物であった。また、得られた化合物は、(S)体であるベンジルエステル(7)よりエステルを脱保護して得られたことから、同様に(S)体である。
キラルHPLC分析:光学純度>99%ee(メインピーク:第二ピーク)
[α]D 20−46.68 (c=1.0,CHCl3)
IR(ATR)cm-1:2921,1706,1479,1279,1134
1H−NMR(CDCl3)δ:0.80−0.96(7H,m),1.38(1H.m),1.47(3H,d,J=7.1Hz),1.65−1.77(5H,m),2.19(2H,d,J=6.8Hz),2.72(1H,m),2.81−2.91(3H,m),3.08(3H,s),3.45(2H,t,J=5.2Hz),4.44(2H,q,J=5.4Hz),4.62(1H,d,J=17.1Hz),4.86(1H,d,J=17.4Hz),6.21(1H,q,J=7.1Hz),7.13(1H,d,J=8.3Hz),7.19(1H,s),7.38(1H,d,J=6.6Hz),7.71(1H,s),7.73(2H,s),8.15(2H,s)
[α]D 20−46.68 (c=1.0,CHCl3)
IR(ATR)cm-1:2921,1706,1479,1279,1134
1H−NMR(CDCl3)δ:0.80−0.96(7H,m),1.38(1H.m),1.47(3H,d,J=7.1Hz),1.65−1.77(5H,m),2.19(2H,d,J=6.8Hz),2.72(1H,m),2.81−2.91(3H,m),3.08(3H,s),3.45(2H,t,J=5.2Hz),4.44(2H,q,J=5.4Hz),4.62(1H,d,J=17.1Hz),4.86(1H,d,J=17.4Hz),6.21(1H,q,J=7.1Hz),7.13(1H,d,J=8.3Hz),7.19(1H,s),7.38(1H,d,J=6.6Hz),7.71(1H,s),7.73(2H,s),8.15(2H,s)
工程7:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのラセミ体種晶の製造
特許文献2(国際公開第2008/129951号パンフレット) 実施例45記載の方法により合成したtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(ラセミ体化合物(I))(20g、24.61mmol)の無水ジクロロメタン(200mL)溶液に、氷冷下、ベンジルアルコール(2.93g、27.07mmol)、DMAP(300mg、2.46mmol)及びWSC・HCl(5.19g、27.07mmol)を加え、室温に昇温し、16時間撹拌した。反応液に水(100mL)を加え、クロロホルム(500mL)で抽出し、有機層を2M 塩酸水溶液(100mL)及び飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 350g、展開溶媒:N−ヘキサン/酢酸エチル=3/1→1/1)で精製することにより、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(21.15g、収率95.2%)を白色アモルファスとして得た。
特許文献2(国際公開第2008/129951号パンフレット) 実施例45記載の方法により合成したtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(ラセミ体化合物(I))(20g、24.61mmol)の無水ジクロロメタン(200mL)溶液に、氷冷下、ベンジルアルコール(2.93g、27.07mmol)、DMAP(300mg、2.46mmol)及びWSC・HCl(5.19g、27.07mmol)を加え、室温に昇温し、16時間撹拌した。反応液に水(100mL)を加え、クロロホルム(500mL)で抽出し、有機層を2M 塩酸水溶液(100mL)及び飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 350g、展開溶媒:N−ヘキサン/酢酸エチル=3/1→1/1)で精製することにより、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(21.15g、収率95.2%)を白色アモルファスとして得た。
得られた白色アモルファスのtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(7.9g)をエタノール(40mL)に溶解し、室温で15時間撹拌することにより得られた析出物をろ取し、冷エタノール(20mL)で洗浄し、60℃で4時間減圧乾燥することにより、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのラセミ体結晶(白色結晶性粉末、6.98g、回収率88.4%)を得た。
本製造例2では、部分ラセミ化により光学純度が低下した結果得られる、中程度の光学純度を有する化合物(約50〜90%ee程度、好ましくは約70〜90%eeの光学純度を有する化合物を「セミキラル体」と称している。さらに、当該セミキラル体において、不斉炭素原子がS配置の化合物がR配置の化合物よりも過剰量存在する場合を、「(S)体優位のセミキラル体」と称している。
試験例1
ヒト肝癌細胞株であるHepG2細胞に被検化合物2を添加し、24時間培養後のApoC1mRNA発現量を定量リアルタイムPCR測定した。すなわち、HepG2細胞を24穴プレートに2×105cells/wellの濃度で播種し一晩培養後、ジメチルスルホキシド(DMSO)に被検化合物2を0.1mM、1mM、10mMになるように、アナセトラピブを1mM、10mMになるように溶解し、培養液に対して1000分の1倍量加えた(最終濃度は被検化合物2が0.1μM,1μM,10μM、アナセトラピブが,1μM,10μM)。CO2インキュベーターにて37℃で24時間培養後、ISOGEN(ニッポンジーン社、カタログ番号31−02501)を500μL加えてtotal RNAの抽出を行った。抽出したtotal RNAからHigh Capacity cDNA Reverse Transcription kit(アプライドバイオシステムズ社、カタログ番号4368813)を用いてcDNAを合成した。ヒトApoC1 mRNA発現量はヒトApoC1に特異的なプライマー:センス5’−GTGAACTTTCTGCCAAGATGCG−3’(配列番号1)、アンチセンス5’−GGGTGTGGGAAATTTCAGAGG−3’(配列番号2)及びFast SYBR Green master mix(アプライドバイオシステムズ社、カタログ番号4385614)を用いて測定した。測定機器は7900HT Fast Realtime PCR systemを用いた。
ヒト肝癌細胞株であるHepG2細胞に被検化合物2を添加し、24時間培養後のApoC1mRNA発現量を定量リアルタイムPCR測定した。すなわち、HepG2細胞を24穴プレートに2×105cells/wellの濃度で播種し一晩培養後、ジメチルスルホキシド(DMSO)に被検化合物2を0.1mM、1mM、10mMになるように、アナセトラピブを1mM、10mMになるように溶解し、培養液に対して1000分の1倍量加えた(最終濃度は被検化合物2が0.1μM,1μM,10μM、アナセトラピブが,1μM,10μM)。CO2インキュベーターにて37℃で24時間培養後、ISOGEN(ニッポンジーン社、カタログ番号31−02501)を500μL加えてtotal RNAの抽出を行った。抽出したtotal RNAからHigh Capacity cDNA Reverse Transcription kit(アプライドバイオシステムズ社、カタログ番号4368813)を用いてcDNAを合成した。ヒトApoC1 mRNA発現量はヒトApoC1に特異的なプライマー:センス5’−GTGAACTTTCTGCCAAGATGCG−3’(配列番号1)、アンチセンス5’−GGGTGTGGGAAATTTCAGAGG−3’(配列番号2)及びFast SYBR Green master mix(アプライドバイオシステムズ社、カタログ番号4385614)を用いて測定した。測定機器は7900HT Fast Realtime PCR systemを用いた。
測定値はβ−Actin mRNAの発現量で補正し、DMSOのみ添加した細胞のApoC1 mRNA発現量を1とし、被検化合物2を添加した細胞のApoC1 mRNA発現量をその相対値で算出した。結果を図1に示す。図1からわかるように、本作用が他のCETP阻害薬アナセトラピブ(Anacetrapib)においては発現しないことから、本作用はCETP阻害作用に起因するものではなく、本発明化合物特有の作用であると考えられた。
試験例2
ヒト肝癌細胞株であるHepG2細胞に被検化合物を添加し、24時間培養後の遺伝子発現プロファイルをアジレント社のDNAマイクロアレイにより測定した。すなわち、HepG2細胞を24穴プレートに2×105cells/wellの濃度で播種し一晩培養後、ジメチルスルホキシド(DMSO)に被検化合物2を0.1mM、1mM、10mMになるように、アナセトラピブを1mM、10mMになるように溶解し、培養液に対して1000分の1倍量加えた(最終濃度は被検化合物2が0.1μM,1μM,10μM、アナセトラピブが,1μM,10μM)。CO2インキュベーターにて37℃で24時間培養後、ISOGEN(ニッポンジーン社、カタログ番号31−02501)を500μL加えてtotal RNAの抽出を行った。RNA 200ngからLow Input Quick Amp Labeling Kit(アジレント社、カタログ番号5190−2308)によりCy3標識cRNAを合成した。合成したCy3標識cRNAをGE Hybridazation Buffer HI-RPM(アジレント社、カタログ番号5190−0403)を用いてWhole Human Genome(4x44K)(アジレント社、カタログ番号G4110F)にハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーション後、DNAマイクロアレイをGene Expression Wash Buffer(アジレント社、カタログ番号5188−5327)で洗浄後、スキャナー(アジレント社)でデータを読んだ。
ヒト肝癌細胞株であるHepG2細胞に被検化合物を添加し、24時間培養後の遺伝子発現プロファイルをアジレント社のDNAマイクロアレイにより測定した。すなわち、HepG2細胞を24穴プレートに2×105cells/wellの濃度で播種し一晩培養後、ジメチルスルホキシド(DMSO)に被検化合物2を0.1mM、1mM、10mMになるように、アナセトラピブを1mM、10mMになるように溶解し、培養液に対して1000分の1倍量加えた(最終濃度は被検化合物2が0.1μM,1μM,10μM、アナセトラピブが,1μM,10μM)。CO2インキュベーターにて37℃で24時間培養後、ISOGEN(ニッポンジーン社、カタログ番号31−02501)を500μL加えてtotal RNAの抽出を行った。RNA 200ngからLow Input Quick Amp Labeling Kit(アジレント社、カタログ番号5190−2308)によりCy3標識cRNAを合成した。合成したCy3標識cRNAをGE Hybridazation Buffer HI-RPM(アジレント社、カタログ番号5190−0403)を用いてWhole Human Genome(4x44K)(アジレント社、カタログ番号G4110F)にハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーション後、DNAマイクロアレイをGene Expression Wash Buffer(アジレント社、カタログ番号5188−5327)で洗浄後、スキャナー(アジレント社)でデータを読んだ。
解析はGeneSpring (アジレント社)を用いて行い、各遺伝子発現量の変化率を算出した。
(変化率)=(化合物処理細胞中の各遺伝子発現量)÷(化合物未処理細胞中の各遺伝子発現量)
以上の薬理試験結果より、一般式(I)の化合物は、強力かつ持続的なApoC1 mRNAの発現抑制作用を有することが明らかとなった。
本発明の化合物またはそれを含有する医薬は、ApoC1 mRNAに対して強い発現抑制作用を有し、脂肪性肝障害疾患の予防及び/又は治療に有用であることから、産業上の利用可能性を有している。
Claims (4)
- 次式(I):
R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、ApoC1 mRNAの発現抑制剤。 - trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項1に記載の発現抑制剤。
- 次式(I):
R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、ApoC1の蛋白産生抑制剤。 - trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項3に記載の蛋白産生抑制剤。
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