JP2013116863A - 各種mRNAの発現抑制剤又は発現亢進剤、並びに腫瘍性疾患の予防及び/又は治療剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】腫瘍性疾患の治療又は/及び予防剤の提供。
【解決手段】次式(I)で表される化合物。

[式(I)中、R1〜R6は、特定の置換基を示す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、HOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN 、CYP19A1 DNMT3L及び/又はMMP11 mRNAの発現抑制剤、PCDH8及び/又はEMP1 mRNAの発現亢進剤、並びに腫瘍性疾患の予防及び/又は治療剤に関する。
腫瘍とは生体から比較的に独立している一群の新生細胞のことを指し、遺伝情報の発現が正常に行われないことによって発生し、これを腫瘍性疾患と称する。発生時あるいは転移したばかりの腫瘍は数個の細胞集団であり、これが一定の大きさで成長を止めるものが良性腫瘍、成長を止めないものが悪性腫瘍であり、上皮細胞などに発生する悪性腫瘍を癌、その他の細胞に発生する悪性腫瘍を肉腫と称する。日本における腫瘍による死亡者数は、男子は1950年の32670人が2000年では179140人へと5.5倍に増加し、女子は同様に31758人から116344人へと3.6倍に増加しており、2015年の予想死亡者数は男子20万名,女子13万名とされている(非特許文献1)。胃癌による死亡者数は近年停滞から減少への傾向が示されているが、他の部位の腫瘍による死亡者数は増加傾向にある。また、腫瘍の治療方法のひとつである化学療法薬(以下、抗癌剤と称す)の理想は腫瘍細胞のみを標的として破壊することであるが、現在このような薬物は知られていない。
また、国民の男子2人に1人、女子3人に1人は生涯のうちに癌にかかり、3人に1人は癌で死亡する時代になったといわれており、癌の治療水準としては満足する水準に達しているとは言いがたい状況にある。癌死亡率低下手段としては、生活習慣の改善や早期発見なども有効と思われるが、その有効性が証明されるには相当の時間がかかることが想定され、治療成績向上が癌死亡率低下への近道だと言われており、これら状況より有効な癌治療薬の開発は強く望まれている。
Homeobox A6(HOXA6)は、形態形成と分化に関与するAntp homeoboxファミリーの配列特異的な転写因子であるhomeobox A6をコードする遺伝子である(GenBank登録番号:NM_024014)。造血幹細胞や造血前駆細胞の自己修復はhomeobox遺伝子に依存しており、造血幹細胞でのhomeobox6の過剰発現により異常増殖をきたすものの、分化への影響はごくわずかであったことから、homeobox発現制御に異常を来たすと白血病を発症すると報告されている(非特許文献2)。従って、HOXA6の発現抑制は白血病などの造血器腫瘍の治療効果を持つことが期待される。
Goosecoid (GSC)は、器官形成能を有する蛋白であるグースコイド蛋白をコードする遺伝子である(GenBank登録番号:NM_173849)。乳癌でGSCが高発現し、異所性に異常発現すると上皮肝葉移行などの転移能に寄与し、特に肺への転移に関与していることが報告されている(非特許文献3)。従って、GSCの発現抑制は癌転移の抑制に効果をもたらすことが期待される。
Protocadherin 8(PCDH8)は、細胞接着において機能するカルシウム依存性の糖タンパクであるProtocadherin8をコードする遺伝子であり、胎児及び成人脳に発現していることが知られている(GenBank登録番号:NM_002590)。マントル細胞リンパ腫や腎細胞癌において、PCDH8などの遺伝子がメチル化されていることや(非特許文献4)、PCDH8の発現低下がヒトの発癌を促進することが報告されており(非特許文献5)、PCDH8の発現促進が発癌を予防する可能性が期待される。
Gastrin(GAST)は胃粘膜での胃酸の分泌、膵臓では消化酵素の分泌を刺激するホルモンであるガストリンをコードする遺伝子である(GenBank登録番号:NM_000805)。また、胃腸粘膜での有糸***を起こし、増殖疾患に関与することが知られている。GASTは胃癌、大腸癌、膵臓癌、食道癌で発現している。GASはPKB/Akt活性化を介してアポトーシスを阻害し、食道腺癌を増悪することが報告されている(非特許文献6)。これらを勘案すると、GASTの発現を抑制すれば腫瘍性疾患の治療効果をもたらすことが期待される。
Single-minded homolog 2(SIM2)は脳に分布し神経の異化と発達に関与する転写因子single-minded homolog 2をコードする遺伝子である(GenBank登録番号:NM_009586)。SIM2はトリソミーを起こすとダウン症要因のひとつとなる21番染色体に位置する。SIM2蛋白の変異体は、イントロン10の一部でエンコードされた別のC末端を含む最短のアイソフォームをコードし、大腸癌、前立腺癌、膵臓癌で過剰発現していること、また前立腺癌の発症に関与していることが知られている(非特許文献7)。また、SIM2を標的とするアンチセンスをヒト大腸癌異種移植ヌードマウスに投与すると、癌の成長が抑制されることが報告されている(特許文献1)。これらを勘案すると、SIM2の発現を抑制すれば腫瘍性疾患の治療効果をもたらすことが期待される。
Cyclin D2(CCND2)は癌との関連が良く知られた遺伝子である(GenBank登録番号:NM_001759)。この遺伝子がコードするCCDN2蛋白は白血球細胞のG1/S期推移時のCDK4,6蛋白及び癌抑制蛋白Rbのリン酸化を制御する。CCDN2ノックアウトマウスを用いた研究では妊娠中期から後期にかけて心疾患と貧血により死亡することより、CCDN2は造血幹細胞の展開に必須であり、またCCDN2が低発現の場合は発癌性形質転換を起こしにくくなることが報告されている(非特許文献8)。これらを勘案すると、CCDN2の発現を抑制すれば腫瘍性疾患の治療効果をもたらすことが期待される。
Insulin receptor substrate 4(IRS4)は、チロシンキナーゼ活性及び成長因子間、並びにSH2ドメイン及び細胞内情報伝達分子間を仲介する蛋白IRS4をコードする遺伝子である(GenBank登録番号:NM_003604)。インスリン受容体は細胞内基質をリン酸化するチロシンキナーゼであるが、これはインスリンが結合することで活性化する。さらにインスリン受容体の機能としては、IRSファミリーのショウジョウバエホモログの変異動物を観察すると、ヘテロ接合体よりもホモ接合体の方が成長の程度が遅いことがわかり、細胞のサイズと成長を制御することが報告されている(非特許文献9)。さらにT細胞急性リンパ性白血球ではIRS4が過剰発現し、細胞増殖に関与していることが報告されており、IRS4の過剰発現がT細胞急性リンパ性白血球を増悪させている可能性が示唆されている(非特許文献10)。これらを勘案すると、IRS4の発現抑制がリンパ増殖性疾患の治療効果を持つ可能性が期待できる。
Fibroblast growth factor 7 (FGF7)は、上皮形態形成や創傷治癒、毛髪成長に関与するケラチノサイト成長因子であるFGF7蛋白をコードする遺伝子である(非特許文献26、GenBank登録番号:NM_002009)。FGF7は上皮組織の***促進因子であり、健常人と胃に疾病を持つ人のFGF7発現の様子を観察したところ、胃炎患者及び胃腺癌患者ではFGF7蛋白、FGF7mRNA及びアンチセンスRNAが高発現していることが判明した。これは、転写後に蛋白値が制御されていること、FGF7が癌の進展や転移に関与することを示唆していると報告されている(非特許文献11)。さらにFGF7蛋白は、鼻ポリープ患者の鼻上皮・実質組織、白血球、マクロファージに発現しており、この疾患の進展に関与していることが示唆されている(非特許文献12)。これらを勘案すると、FGF7の発現抑制が腫瘍性疾患の治療効果を持つ可能性が期待できる。
Transient receptor potential cation channel, subfamily M, member 2(TRPM2)はTRPスーパーファミリーに含まれるTRPMファミリーの遺伝子であり、アデノシン二リン酸リボース(ADPR)によって特異的に活性化されるCa2+透過性陽イオンチャネルである(非特許文献13)。TRPM2は膵に分布する温度受容体であり、β細胞において膜の脱分極、Ca2+流入、細胞内貯蔵部位からのCa2+放出を介してCa2+動員を調節する、マルチモーダルなシグナル伝達要素として知られている。また単球・マクロファージにおいては、活性酸素種を認識しCa2+チャネルを開口することで、ケモカイン産生に関与していることが報告されており、TRPM2発現抑制は炎症性疾患の治療効果をもたらすことが示唆されている(非特許文献14)。また、前立腺癌においてsiRNAでTRPM2をノックダウンすると癌細胞の成長が抑制され、癌増殖に不可欠なことが報告されている(非特許文献15)。これらを勘案すると、TRPM2の発現抑制が腫瘍性疾患の治療効果を示すことが期待される。
Fatty acid synthase(FASN,FAS)は癌で過剰発現していることが知られている。FAS蛋白はアセチルCoAとマロニルCoAからパルミチン酸を合成する酵素だが、アポトーシスを誘導することが知られている(非特許文献16)。癌の進行中はFASN発現が減少し、アポトーシス抵抗性に関与している一方で、FASNが完全に失われていることはほとんどなく、in vitroでは多くの癌細胞でFASNに対する感受性が高いことが知られており、癌患者ではFASNリガンドの増加もみられる。最近になって癌細胞の成長には、自身が産生するFASNリガンドによるJNKを介した恒常的なFASN活性化が必要であることが報告され、子宮癌や肝癌モデルマウスにおいてFASN欠損が癌の発症と成長を抑制することが示された(非特許文献17)。
Cytochrome P450, family 19, subfamily A, polypeptide 1(CYP19A1)はアロマターゼをコードする遺伝子である(GenBank登録番号:NM_000103)。アロマターゼはアンドロゲンからエストロゲンへの変換における律速段階を触媒する酵素であり、筋肉、脂肪組織、血管、中枢、骨、胎盤、卵巣、癌細胞、繊維芽細胞等に分布している(Annu. Rev. Pharm. Toxicol. 26: 333-369, 1986)。アロマターゼ阻害薬やアロマターゼ拮抗薬は乳癌治療薬として広く用いられているが、最近になって肺腫瘍細胞中にアロマターゼ蛋白及びmRNAが発現しており、その阻害が細胞増殖能低下に効果を示すことが報告され、アロマターゼ阻害剤の肺癌治療への応用も報告されている(非特許文献18)。従って、CYP19A1の発現抑制は乳癌や肺癌等の腫瘍治療効果を持つことが期待される。
Epithelial membrane protein 1(EMP1)は糖蛋白Epithelial membrane protein 1をコードする遺伝子であり、この蛋白は細胞間相互作用に作用する(GenBank登録番号:NM_001423)。EMP1遺伝子は腎胚細胞より単離され、胚では腎や脳、腸に分布し、成人では脳や肝、膵、白血球以外の臓器に分布していることが知られている(非特許文献19、非特許文献20)。EMP1の機能は、そのアミノ酸が39%共通しているPMP22の機能より、細胞間相互作用や細胞の増殖に関与することが報告され(非特許文献19)、また抗癌剤であるゲフィチニブの耐性マーカーとして報告されている(非特許文献21)。また、胃癌発症に寄与する因子を特定するために胃癌抑制能を有するTrefoil factor-1 (Tff1)をノックアウトした遺伝子組み換えマウスを用いた実験では、EMP1等が過剰発現していることが報告されており(非特許文献22)、これらを勘案すればEMP1の発現を上げることは癌を始めとする腫瘍疾患の治療効果を持つことが期待される。
DNA (cytosine-5-)-methyltransferase 3-like, transcript variant 1 (DNMT3L)はCytosine-5-methyltransferase 3-like proteinをコードする遺伝子である(GenBank登録番号:NM_013369)。DNMT3LはDNA のメチル化酵素として知られており、胎生期生殖細胞に短期的に発現し将来の精巣機能を決定する胚性因子でもある。DNMT3Lは出生後の細胞や成人の生殖細胞、体細胞、体細胞由来の癌には殆ど存在せず、ヒト胎児性癌(精巣腫瘍)の増殖因子であり、かつ新規マーカーであることが報告されている(非特許文献23)。精巣腫瘍の病因は精巣発育不全や胎児期の過剰エストロゲンであるとされており、胎児性癌の好適な治療ターゲットとなること及びDNMT3L発現低下を利用した新規精巣腫瘍治療薬の開発への応用が期待できる。
Matrix metalloproteinase 11(MMP11)はMatrix metalloproteinase 11をコードする遺伝子であり(GenBank登録番号:NM_005940)、この蛋白は様々な癌細胞で発現していること、また発現は癌の進行と相関することや、細胞増殖の制御能を有し、胃癌進行を制御することが知られている(非特許文献24)。MMP11ノックアウトマウスでは新たな血管新生や癌細胞の増殖は見られなかったことが報告されており(非特許文献25)、MMP11の発現抑制は癌の治療に有効であることは容易に期待できる。
コレステロールエステル転送タンパク(CETP(cholesteryl ester transfer protein))は、コレステロールエステルをHDLコレステロールからLDLコレステロールや超低比重リポタンパク質(VLDL)コレステロール等に転送する極めて疎水性の高いタンパクであり、CETPによる転送を阻害することによりHDLコレステロールを増加させることが可能である。このため、CETP阻害剤は、脂質異常症(高脂血症)、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、高LDL血症、低HDL血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、心臓血管障害、狭心症、虚血、心虚血、血栓症、心筋梗塞、再灌流障害、血管形成性再狭窄、又は高血圧等の疾患の治療剤として期待されている。この様なCETP活性を阻害する化合物としては、例えば、トルセトラビブ(特許文献2)、アナセトラピブ(特許文献3)、ダルセトラピブ(特許文献4)等が知られている。
一方で、CETP阻害活性を有する化合物が、HOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1 mRNAの発現を抑制することや、PCDH8 mRNAの発現を亢進すること、腫瘍性疾患の予防、治療に有用であることは知られていない。
一方、特許文献5には、優れたコレステロールエステル転移タンパク阻害活性(CETP(cholesteryl ester transfer protein)阻害活性)を有し、高脂血症治療剤として有用であるピリミジン化合物が開示されている。しかしながら、これら化合物に、EMP1、DNMT3L及び/又はMMP11 mRNAの発現に対する作用、EMP1、DNMT3L及び/又はMMP11 蛋白の産生、腫瘍性疾患の治療及び/又は予防に対する作用があることは知られていない。
特表2004-505637号公報 国際公開第00/017164号 国際公開第06/014357号 国際公開第98/035937号 国際公開第08/129951号
東京都健康安全研究センター年報,55巻,347-356 (2004) Experimental Hematology, 37:3, 322-333.e3 (2009) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103(50): 18969 (2006) Oncogene. 2011;30(12):1390-401 Oncogene, Aug 7;27(34):4657-65 (2008) Gut, 53(Suppl. 3): Abst 236 (2004) Clin. Cancer Res., 13(3): 892 (2007) Cell, 118: 477-491 (2004) Cell, 97: 865-875 (1999) Br. J. Haematol., 144(4): 546 (2009) Biochem. Biophys. Res. Commun., 350(4): 825 (2006) J. Allergy. Clin. Immunol., 111(2, Part 2): Abst 460 (2003) Sci. Signal., 19 May, Vol. 2, Issue 71, p. ra23 (2009) Nature Medicine, 14, 738-747 (2008) Prostate Cancer and Prostatic Diseases, 13:2, 195-201 (2010) the cell, Vol.35, No.14, p4-6 (2003) Nature, 465:7297, 492-496 (2010) ファルマシア(0014-8601)42巻7号 Page747(2006.07) Gene, 183: 69-75 (1996) Genomics, 41: 40-48, (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 102(33): 11858 (2005) American Journal of Pathology, 167:2, 577-584 (2005) Clin. Cancer Res., 15;16 (10): 2751-9 (2010) Biochem. Biophys. Res. Commun., Jan 14;326(2):274-81 (2005) Cancer Res., 61,2189-93 (2001) Gene Ther., 11(24): 1780 (2004)
本発明の課題は、腫瘍性疾患の予防及び/または治療剤を提供することにある。また、本発明の課題は、HOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN、CYP19A1、 DNMT3L及び/又はMMP11 mRNAの発現を抑制し、且つPCDH8 及び/又はEMP1 mRNAの発現を亢進することによる腫瘍性疾患の予防及び/または治療剤を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を続けた結果、CETP阻害剤として知られている、以下の一般式(I)又は(II)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が PCDH8 mRNAに対し優れた発現亢進作用を有し、且つHOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1 mRNAに対し優れた発現抑制作用を有していること、並びにこの物質が、PCDH8 mRNA蛋白産生亢進作用を有し、且つHOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1蛋白産生抑制作用を有する事を見出し、その結果としてこの物質が腫瘍性疾患の予防治療にも有用であることを見出し、本発明を完成した。
[式(I)中、R1は、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基を示し、
R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示し、
式(II)中、R7、R8、R9、R10、R11、R12及びR13は、互いに同一又は異なって、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
すなわち、本発明は、以下に示す発明に関する。
[1]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、HOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1 mRNAの発現抑制剤。
[2]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、次式(I)又は(II):
[式(I)及び(II)中、R1〜R13は前記と同じ。]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[1]に記載の発現抑制剤。
[3]trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[1]に記載の発現抑制剤。
[4](4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−((4’−フルオロ−5’−イソプロピル−2’−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)メチル)−4−メチルオキサゾリジンー2−オン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[1]に記載の発現抑制剤。
[5]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、PCDH8 mRNAの発現亢進剤。
[6]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[5]に記載の発現亢進剤。
[7]trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[5]に記載の発現亢進剤。
[8](4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−((4’−フルオロ−5’−イソプロピル−2’−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)メチル)−4−メチルオキサゾリジンー2−オン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[5]に記載の発現亢進剤。
[9]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、HOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1の蛋白産生抑制剤。
[10]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[9]に記載の蛋白産生抑制剤。
[11]trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[9]に記載の蛋白産生抑制剤。
[12](4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−((4’−フルオロ−5’−イソプロピル−2’−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)メチル)−4−メチルオキサゾリジンー2−オン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[9]に記載の蛋白産生抑制剤。
[13]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、PCDH8の蛋白産生亢進剤。
[14]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[13]に記載の蛋白産生亢進剤。
[15]trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[13]に記載の蛋白産生亢進剤。
[16](4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−((4’−フルオロ−5’−イソプロピル−2’−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)メチル)−4−メチルオキサゾリジンー2−オン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[13]に記載の蛋白産生亢進剤。
[17]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、腫瘍性疾患の予防及び/又は治療剤。
[18]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[17]に記載の腫瘍性疾患の予防及び/又は治療剤。
[19]trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[17]に記載の腫瘍性疾患の予防及び/又は治療剤。
[20](4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−((4’−フルオロ−5’−イソプロピル−2’−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)メチル)−4−メチルオキサゾリジンー2−オン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[17]に記載の腫瘍性疾患の予防及び/又は治療剤。
[21]腫瘍性疾患が、胸部腫瘍、骨腫瘍、消化器腫瘍、神経系腫瘍、神経組織腫瘍、造血器腫瘍、内分泌腺腫瘍、泌尿生殖器腫瘍、肝臓腫瘍、白血病又はリンパ腫である、[17]に記載の予防及び/又は治療剤。
[22]HOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1 mRNAの発現抑制のための、コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[23]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[22]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[24] PCDH8 mRNAの発現亢進のための、コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[25]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[24]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[26]HOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1の蛋白産生抑制のための、コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[27]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[26]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[28]PCDH8の蛋白産生亢進のための、コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[29]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[28]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[30]腫瘍性疾患の予防及び/又は治療のための、コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[31]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[30]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[32]HOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1 mRNAの発現抑制剤製造のための、コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[33]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[32]に記載の使用。
[34]PCDH8 mRNAの発現亢進剤製造のための、コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[35]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[34]に記載の使用。
[36]HOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1の蛋白産生抑制剤製造のための、コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[37]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[36]に記載の使用。
[38]PCDH8の蛋白産生亢進剤製造のための、コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[39]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[38]に記載の使用。
[40]腫瘍性疾患の予防及び/又は治療剤製造のための、コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[41]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[40]に記載の使用。
[42]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を投与することを特徴とする、HOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1 mRNAの発現抑制方法。
[43]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[42]に記載の発現抑制方法。
[44]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を投与することを特徴とする、PCDH8 mRNAの発現亢進方法。
[45]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[44]に記載の発現亢進方法。
[46]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を投与することを特徴とする、HOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1の蛋白産生抑制方法。
[47]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[46]に記載の蛋白産生抑制方法。
[48]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を投与することを特徴とする、PCDH8の蛋白産生亢進方法。
[49]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[48]に記載の蛋白産生亢進方法。
[50]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を投与することを特徴とする、腫瘍性疾患の予防及び/又は治療方法。
[51]コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、前記式(I)又は(II)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、[50]に記載の腫瘍性疾患の予防及び/又は治療方法。
また、本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を続けた結果、以下の一般式(I)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物がEMP1 mRNAに対し優れた発現亢進作用を有し、且つDNMT3L及び/又はMMP11 mRNAに対し優れた発現抑制作用を有していること、並びにこの物質がEMP1蛋白産生亢進作用を有し、且つDNMT3L及び/又はMMP11蛋白産生抑制作用を有することを見出した。その結果として一般式(I)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が腫瘍性疾患の予防治療にも有用であることを見出し、本発明を完成した。
次式(I):
[式(I)中、R1は、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基を示し、
R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
すなわち、本発明は、以下に示す発明に関する。
[1]次式(I):
[式(I)中、R1〜R6は前記と同じ。]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、DNMT3L及び/又はMMP11 mRNAの発現抑制剤。
[2]trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、(S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[1]に記載の発現抑制剤。
[3]前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、EMP1 mRNAの発現亢進剤。
[4]trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、(S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[3]に記載の発現亢進剤。
[5]前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、DNMT3L及び/又はMMP11の蛋白産生抑制剤。
[6]trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、(S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[5]に記載の蛋白産生抑制剤。
[7]前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、EMP1 mRNAの蛋白産生亢進剤。
[8]trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、[7]に記載の蛋白産生亢進剤。
[9]DNMT3L及び/又はMMP11 mRNAの発現抑制のための、前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[10]EMP1 mRNAの発現亢進のための、前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[11]DNMT3L及び/又はMMP11の蛋白産生抑制のための、前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[12]EMP1 mRNAの蛋白産生亢進のための、前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[13]DNMT3L及び/又はMMP11 mRNAの発現抑制剤製造のための、前記式(I)
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[14]EMP1 mRNAの発現亢進剤製造のための、前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[15]DNMT3L及び/又はMMP11の蛋白産生抑制剤製造のための、前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[16]EMP1 mRNAの蛋白産生亢進剤製造のための、前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[17]前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を投与することを特徴とする、DNMT3L及び/又はMMP11 mRNAの発現抑制方法。
[18]前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を投与することを特徴とする、EMP1 mRNAの発現亢進方法。
[19]前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を投与することを特徴とする、DNMT3L及び/又はMMP11の蛋白産生抑制方法。
[20]前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を投与することを特徴とする、EMP1 mRNAの蛋白産生亢進方法。
一般式(I)又は(II)で示される具体的な化合物として、化合物(III)[trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸]及び(IV)[(4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−((4’−フルオロ−5’−イソプロピル−2’−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)メチル)−4−メチルオキサゾリジン−2−オン]がより好ましい。
CETP阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、後述する実施例に具体的に開示されているとおり、PCDH8 mRNAに対して強い発現亢進作用を有し、且つHOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1 mRNAに対して強い発現抑制作用を有している。また、これら化合物は、PCDH8 蛋白産生亢進作用を有し、且つHOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1蛋白産生抑制作用を有することにより、腫瘍性疾患の予防及び/又は治療に有効に用いることができる。
前記式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、後述する実施例に具体的に開示されているとおり、EMP1 mRNAに対して強い発現亢進作用を有し、且つDNMT3L及び/又はMMP11 mRNAに対して強い発現抑制作用を有している。また、これら化合物は、EMP1 蛋白産生亢進作用を有し、且つDNMT3L及び/又はMMP11 蛋白産生抑制作用を有することにより、腫瘍性疾患の予防及び/又は治療に有効に用いることができる。
化合物2及びアナセトラピブを添加した細胞のCYP19A1 mRNA発現量の相対値を示す図である。 化合物2及びアナセトラピブを添加した細胞のMMP11 mRNA発現量の相対値を示す図である。
本発明の医薬の有効成分は、CETPを阻害する活性を有する化合物である。この様な化合物としては、前記した特許文献3〜5に記載した化合物の他、WO99/041237号パンフレット、WO00/018721号パンフレット、WO05/097805号パンフレット、WO06/073973号パンフレット、WO08/079427号パンフレット、WO08/129951号パンフレット、WO08/156718号パンフレット、WO09/007259号パンフレット、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 6, 1951-1954 (1996)、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 15, 3611-3614 (2005)、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 17, 2608-2613 (2007)等に記載されている化合物を挙げることができる。好ましくは、一般式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物とアナセトラピブを挙げることができる。
一般式(I)で表される化合物は、WO08/129951号パンフレット(実施例45)に記載されており、同文献に記載の方法により製造することができる。また、アナセトラピブは、WO06/014357号パンフレット(実施例73)に記載されており、同文献に記載の方法により製造することができる。
本明細書において、「C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基」における「C1-6アルキル」は、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキルを意味し、好ましくは「C1-3アルキル」、より好ましくは「メチル又はエチル」である。「C1−C6アルキル」としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。
本明細書において、「C1-6アルキルチオC1-6アルキル基」の「C1−C6アルキルチオ」としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、2−メチルブチルチオ、1−エチルプロピルチオ、n−ヘキシルチオ、イソヘキシルチオ、3−メチルペンチルチオ、2−メチルペンチルチオ、1−メチルペンチルチオ、3,3−ジメチルブチルチオ、2,2−ジメチルブチルチオ、1,1−ジメチルブチルチオ、1,2−ジメチルブチルチオ、1,3−ジメチルブチルチオ、2,3−ジメチルブチルチオ、1−エチルブチルチオ、2−エチルブチルチオ等が挙げられる。
本明細書において、「C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基」の「C1−C6アルキルスルフィニル」としては、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、n−プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、n−ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec−ブチルスルフィニル、tert−ブチルスルフィニル、n−ペンチルスルフィニル、イソペンチルスルフィニル、ネオペンチルスルフィニル、2−メチルブチルスルフィニル、1−エチルプロピルスルフィニル、n−ヘキシルスルフィニル、イソヘキシルスルフィニル、3−メチルペンチルスルフィニル、2−メチルペンチルスルフィニル、1−メチルペンチルスルフィニル、3,3−ジメチルブチルスルフィニル、2,2−ジメチルブチルスルフィニル、1,1−ジメチルブチルスルフィニル、1,2−ジメチルブチルスルフィニル、1,3−ジメチルブチルスルフィニル、2,3−ジメチルブチルスルフィニル、1−エチルブチルスルフィニル、2−エチルブチルスルフィニル等が挙げられる。
本明細書において、「C1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基」の「C1−C6アルキルスルホニル」としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、n−ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、2−メチルブチルスルホニル、1−エチルプロピルスルホニル、n−ヘキシルスルホニル、イソヘキシルスルホニル、3−メチルペンチルスルホニル、2−メチルペンチルスルホニル、1−メチルペンチルスルホニル、3,3−ジメチルブチルスルホニル、2,2−ジメチルブチルスルホニル、1,1−ジメチルブチルスルホニル、1,2−ジメチルブチルスルホニル、1,3−ジメチルブチルスルホニル、2,3−ジメチルブチルスルホニル、1−エチルブチルスルホニル、2−エチルブチルスルホニル等が挙げられる。
本明細書において、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本明細書において、「ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基」は、ハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロエチル等が挙げられる。好ましくは「ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルキル基」、より好ましくは「ハロゲン原子で置換されていてもよいメチル又はエチル基」である。
本明細書において、「ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基」は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ等が挙げられる。好ましくは「ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-3アルコキシ基」、より好ましくは「ハロゲン原子で置換されていてもよいメトキシ又はエトキシ基」である。
一般式(I)又は(II)で表される化合物として、光学的に純粋な異性体又は上記異性体の任意の混合物、ラセミ体、任意の幾何異性体又は幾何異性体の任意の混合物など、任意の立体異性体又はそれらの任意の混合物を使用することができる。
一般式(I)で表される化合物の立体異性体の例としては、次の一般式(I−1)及び(I−2)で表される化合物が挙げられる。
(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は前記と同じものを示す。)
一般式(I)又は(II)で表される化合物には、生体内において代謝されて一般式(I)又は(II)で表される化合物に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。一般式(I)又は(II)で表される化合物のプロドラッグを形成可能な基としては、例えば、「プログレス・イン・メディシン(Progress in Medicine)」、ライフサイエンス・メディカ社、1985年、5巻、2157-2161ページに記載されている基や、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163-198ページに記載されている基が挙げられる。
本発明における好ましい化合物としては、例えば、
trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(化合物1)、
(S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(化合物2)、
(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(化合物3)、及び
(4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−((4’−フルオロ−5’−イソプロピル−2’−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)メチル)−4−メチルオキサゾリジンー2−オン(化合物4)
を挙げることができるが、本発明の範囲はこれらの化合物に限定されることはない。
一般式(I)又は(II)で表される化合物の塩としては、酸付加塩及び塩基付加塩等が挙げられ、医薬として許容される塩であれば特に制限されない。例えば、酸付加塩であれば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩のような無機酸との酸付加塩;安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等の有機酸との酸付加塩が挙げられる。また、塩基付加塩であればナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属との塩基付加塩;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、コリジン、ルチジン等のアミン塩;リシン、アルギニン等の有機塩基との塩基付加塩等が挙げられる。
一般式(I)又は(II)で表される化合物又はその塩の溶媒和物を形成する溶媒としては、水のほか、生理学的に許容される有機溶媒、例えばエタノール、ヘキサン、酢酸エチルなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。本発明の医薬の有効成分としては、例えば、水和物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
一般式(I)で表される化合物(例:化合物1)の鏡像体である一般式(I−1)(例:化合物2)又は(I−2)(例:化合物3)の化合物は、一般式(I)で表される化合物(例:化合物1)からキラルカラムを用いる方法、あるいは一般式(I)で表される化合物(例:化合物1)の誘導体より優先晶析法等を用いて分取した後に一般式(I−1)(例:化合物2)又は(I−2)(例:化合物3)の化合物に誘導する方法等により製造することができる。
本明細書において、「腫瘍性疾患」としては、眼腫瘍、胸部腫瘍、肛門腺腫瘍、骨腫瘍、骨盤内腫瘍、消化器腫瘍、神経系腫瘍、造血器腫瘍、頭頸部腫瘍、内分泌腺腫瘍、軟部組織腫瘍、乳腺腫瘍、***腫瘍、脾臓腫瘍、泌尿生殖器腫瘍、皮膚腫瘍、腹部腫瘍、形質細胞系腫瘍、血管組織腫瘍、結合組織腫瘍、軟部組織腫瘍、神経組織腫瘍、性腺組織腫瘍、腺上皮性腫瘍、白血病、複合腫瘍と混合腫瘍、黒色腫、リンパ腫等が挙げられる。
本発明に係る化合物を適用可能な腫瘍性疾患としては、より好ましくは、胸部腫瘍(乳癌等)、骨腫瘍(骨肉種等)、消化器腫瘍(大腸腫瘍等)、内分泌腺腫瘍(膵臓腫瘍等)、泌尿生殖器腫瘍(腎細胞臓腫瘍、前立腺腫瘍等)、白血病、リンパ腫(マントリルリンパ腫、リンパ増殖性疾患、多発性骨髄腫)等の癌種を挙げることができ、特に好ましくは、リンパ腫(マントリルリンパ腫、リンパ増殖性疾患、多発性骨髄腫)等の癌種を挙げることができる。
本発明の医薬は、上記の一般式(I)又は(II)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む。本発明の医薬としては上記の有効成分自体を投与してもよいが、好ましくは、当業者に周知の方法によって製造可能な経口用あるいは非経口用の医薬組成物として投与することができる。経口投与に適する医薬用組成物としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、及びシロップ剤等を挙げることができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、静脈内注射剤や筋肉内注射剤などの注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、点眼剤、点鼻剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
上記の医薬組成物は、薬理学的、製剤学的に許容しうる添加物を加えて製造することができる。薬理学的、製剤学的に許容しうる添加物の例としては、例えば、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、矯味剤、香料、被膜剤、希釈剤などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
本発明の医薬の投与量は特に限定されず、疾患の種類、予防又は治療の目的、有効成分の種類などに応じて適宜選択することができ、さらに患者の体重や年齢、症状、投与経路など通常考慮すべき種々の要因に応じて、適宜増減することができる。例えば、経口投与の場合には成人一日あたり本発明に係る化合物の重量として0.1 〜500 mg程度の範囲で用いることができるが、投与量は当業者に適宜選択可能であり、上記の範囲に限定されることはない。
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例中で用いられている略号は下記の意味を示す。
s:シングレット(singlet)
d:ダブレット(doublet)
t:トリプレット(triplet)
q:クアルテット(quartet)
m:マルチプレット(multiplet)
br:ブロード(broad)
J:カップリング定数(coupling constant)
Hz:ヘルツ(Hertz)
CDCl3:重クロロホルム
1H-NMR:プロトン核磁気共鳴
製造例1
化合物1は、国際公開第2008/129951号パンフレットの実施例45に開示されている方法に従って製造したものを使用した。また、化合物1の両鏡像体である化合物2及び化合物3は、化合物1を下記条件のキラルカラムを用いる分取により単離したものを使用した。
Column:CHIRALCEL OD−H(4.6×250mm)
Flow rate:1.0mL/min
Detector:UV 242nm
Temp.:40℃
Mobile phase:Hexane/EtOH/TFA=90/10/0.1
Retention time:(R)−(+)−form 21.3min,(S)−(−)−form 23.7min
化合物2:(S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸
1H−NMR(CDCl3)δ:0.80−0.96(7H,m),1.38(1H.m),1.47(3H,d,J=7.1Hz),1.65−1.77(5H,m),2.19(2H,d,J=6.8Hz),2.72(1H,m),2.81−2.91(3H,m),3.08(3H,s),3.45(2H,t,J=5.4Hz),4.44(2H,t,J=5.4Hz),4.62(1H,d,J=17.1Hz),4.86(1H,d,J=17.1Hz),6.21(1H,q,J=7.1Hz),7.13(1H,d,J=8.3Hz),7.19(1H,s),7.38(1H,d,J=8.3Hz),7.71(1H,s),7.73(2H,s),8.15(2H,s).
[α]D 20=−46.68(c=1.0,CHCl3
化合物3:(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸
1H−NMR(CDCl3)δ:化合物2と同じ
[α]D 20=+48.92(c=1.0,CHCl3
製造例2:優先晶析法による、実質的に光学的に純粋な(S)体化合物2の製造
本発明者らが実施した、優先晶析法による実質的に光学的に純粋な(S)体化合物2の製造方法の概略をスキーム1として以下に示す。
なお、各化合物の絶対配置は、工程1で確認された(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置から判断した。
また、工程6で得られた(S)体化合物2((S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸)の光学純度は、上記製造例1に記載の条件によるキラルHPLC分析により決定した。
さらに、工程1で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン、工程4及び5で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの光学純度は、それぞれ下記条件によるキラルHPLC分析により決定した。
1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンのキラルHPLC分析条件
カラム:CHIRALPAK AS−RH
移動相:エタノール/水=60/40
流速:0.5mL/min
カラム温度:25℃
検出波長:220nm
保持時間:第一ピーク/21.8min((R)体)、 第二ピーク/26.0min((S)体)
trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのキラルHPLC分析条件
カラム:CHIRALCEL OD−H
移動相:ヘキサン/エタノール=80/20
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出波長:242nm
保持時間:第一ピーク/11.3min((R)体)、第二ピーク/13.0min((S)体)
工程1:(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造
(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを下記1−(a)の方法により製造し、その絶対配置を以下の通り確認した。すなわち、得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンに導いたうえで、市販されている絶対配置既知の(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンの標準品と比旋光度の実測値の符号を比較することで確認した。
また、(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを別途下記1−(b)の方法によっても製造した。
1−(a):(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造 その1
アルゴン雰囲気下、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン(7.57g、23.2mmol)をトルエン(12.5mL)に溶解し、0℃にてトリフェニルホスフィン(6.1g、23.2mmol)を加え30分間撹拌した。これに(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(1)(5.0g、19.4mmol、>99.5%ee)のトルエン溶液(12.5mL)を0℃で10分以上かけて滴下した後、室温まで昇温し、同温にて1時間撹拌した。反応液にn−ヘキサン(25mL)を加え、セライトろ過した。ろ液を水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留(56oC、0.7mmHg)することで、5.52gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(2)を無色油状物として得た(収率:88.6%)。
キラルHPLC分析:光学純度>99.5%ee(メインピーク:第一ピーク)、転化率≧99%
[α]D 25 +59.1(c=1.03,CHCl3
1H−NMR(CDCl3)δ: 2.08(3H,d,J=7.1Hz),5.21(1H,q,J=7.1Hz),7.81(1H,s),7.87(2H,s)
(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置の確認
上記1−(a)で得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(2)(106mg、0.336mmol、99%ee)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(1mL)にアジ化ナトリウム(64.4mg、0.990mmol)を加え−18〜−15℃にて4時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチル/n−ヘキサン(1:1)及び水より抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することで111.5mgの1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアジド(粗生成物:111.5mg)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.61(3H,d,J=6.8Hz),4.79(1H,q,J=6.8Hz),7.78(2H,s),7.84(1H,s)
得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアジド(粗生成物:111.5mg)をメタノール(6mL)に溶解し、パラジウム−フィブロイン(18mg)を加え水素置換し、室温で1時間撹拌した。セライトろ過し、ろ液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1〜5:1)にて精製し、77.6mgの1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンを無色油状物として得た(収率:91%、2工程)。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.42(3H,d,J=6.8Hz),1.58(2H,br−s),4.30(1H,q,J=6.8Hz),7.75(1H,s),7.85(2H,s)
得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンの比旋光度は以下の通りであった。
[α]D 25 −15.9(c=1.31,CHCl3
一方、市販の標準品((S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミン(セントラル硝子社製:Lot.0102000:光学純度:99%ee))の比旋光度は以下の通りであった。
[α]D 25 −15.9(c=1.15,CHCl3
比旋光度の実測値の符号が、市販の標準品の符号と一致したことから、得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンは(S)体であることが確認された。そして、当該アミンはアジ化物イオンの求核置換反応を経て1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンから得られていることから、上記1−(a)で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンは(R)体であることが確認された。
1−(b):(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造 その2
アルゴン雰囲気下、(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(1)(300g、1.16mol、96%ee)に水浴下、20℃以下で三臭化リン(157.3g、0.58mol)を滴下し、19〜22℃で30分撹拌した。反応液を冷却し、0℃以下で臭化水素(30%酢酸溶液)(228mL、1.16mol)を滴下し、13〜15℃で16時間撹拌した。反応液を氷水に注加し、n−ヘキサン(3L×2)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重曹水(3L)、飽和食塩水(3L)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下(90〜100mmHg)濃縮し、389.2gの粗体を得た。得られた粗体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル900g、展開溶媒:n−ヘキサン)で精製することにより、349.8gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(2)を無色油状物として得た(収率93.8%)。
なお、下記の通りキラルHPLC分析において、第一ピークがメインピークとして現れたことから、1−(b)で製造した1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンも1−(a)と同様に、(R)体であることが確認された。
キラルHPLC分析:光学純度>93.9%ee(メインピーク:第一ピーク)、転化率97.8%
1H−NMR(CDCl3)δ: 2.08(3H,d,J=7.1Hz),5.21(1H,q,J=7.1Hz),7.81(1H,s),7.87(2H,s)
工程2:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の、(S)体優位のセミキラル体の製造
アルゴン雰囲気下、特許文献2(国際公開第2008/129951号パンフレット)記載の方法により合成したtrans−[4−([(エチル){2−[({5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}アミノ]メチル)シクロヘキシル]酢酸エチル(3)(565.4g、0.99mol)の無水テトラヒドロフラン(THF、2.26L)溶液に氷冷下、NaH(60% in oil、119g、2.98mol)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液を−30℃に冷却し、工程1で得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(2)(682g、1.99mol、93.9%ee)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(4.53L)溶液を反応系内が−15℃以下となるように滴下し、−15℃〜−1℃で5時間撹拌した。反応液を氷水(35L)とトルエン(30L)の混合溶液に注加し、pHが6.9になるまでクエン酸を加え、有機層を分離した。
水層をトルエン(20L)で2回抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、粗体を得た。粗体をエタノール(8L)に溶解させ、氷冷下2M NaOH水溶液(1.24L、2.48mol)を加え、50℃にて3.5時間撹拌した。反応液に氷冷下、pH5.4になるまで1M HCl水溶液を加え、水(25L)に注ぎ、酢酸エチル(22L)で2回抽出した。有機層を飽和食塩水(12L)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 21g、展開溶媒:ヘプタン/アセトン=7/1→3/1)で精製することによりtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸のセミキラル体(4)を得た(黄色油状物、744.1g、収率96%)。
なお、上記工程1に記載の通り絶対配置が確認された(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(2)を原料として使用し、アミン(3)による求核置換反応が進行していることから、得られたセミキラル体(4)は(S)体が優位である。
1H−NMR(CDCl3)δ: 0.85−0.96(7H,m),1.35−1.45(4H,m),1.60−1.78(5H,m),2.18−2.21(5H,m),2.69(1H,m),2.81−2.91(5H,m),4.16(2H,q,J=6.8Hz),4.61(1H,d,J=17.1Hz),4.85(1H,d,J=17.1Hz),6.22(1H,q,J=6.8Hz),7.11(1H,d,J=8.6Hz),7.23(1H,s),7.37(1H,d,J=8.3Hz),7.70(1H,s),7.73(2H,s),8.14(2H,s)
工程3:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの、(S)体優位のセミキラル体の製造
アルゴン雰囲気下、工程2で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の、(S)体優位のセミキラル体(4)(744.1g、0.95mol)の無水ジクロロエタン(11.6L)溶液に、氷冷下、ベンジルアルコール(113.1g、1.05mol)、WSC・HCl(200.5g、1.05mol)及びDMAP(11.9g、98mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。反応液に水(10L)を加え、クロロホルム(19L、14L)にて抽出し、有機層を飽和食塩水(12L)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 28g、展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=6/1)で精製することにより、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのセミキラル体(5)を得た(黄色油状物、745.8g、収率90%)。
なお、得られたセミキラル体(5)は、セミキラル体(4)と同様(S)体が優位である。
1H−NMR(CDCl3)δ: 0.87−0.95(7H,m),1.37(1H.m),1.43(3H,d,J=7.1Hz),1.65−1.77(5H,m),2.20(2H,d,J=6.8Hz),2.22(3H,s),2.66−2.71(2H,m),2.82‐2.91(4H,m),4.15(2H,t,J=6.6Hz),4.62(1H,d,J=17.1Hz),4.85(1H,d,J=17.1Hz),5.10(2H,s),6.21(1H,q,J=7.1Hz),7.10(1H,d,J=8.3Hz),7.22(1H,s),7.28‐7.38(6H,m),7.70(1H,s),7.73(2H,s),8.14(2H,s)
工程4:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの、(S)体優位のセミキラル体の製造
アルゴン雰囲気下、工程3で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの、(S)体優位のセミキラル体(5)(745.8g、0.87mol)の2−プロパノール(15.2L)溶液に、五塩化タンタル(31.3g、87.3mmol)及び30%過酸化水素水(496mL、4.38mol)を加え、室温にて5時間撹拌した。反応液を飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(3.1L)でクエンチし、水(15L)を加え、クロロホルム(14L、12L)で抽出し、有機層を飽和食塩水(20L)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 26kg、展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=3/1→2/1)で精製することにより、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのセミキラル体(6)を得た(黄色アモルファス、619.5g、収率79%)。
なお、得られたセミキラル体(6)は、セミキラル体(4)及びセミキラル体(5)と同様、(S)体が優位である。
キラルHPLC分析:光学純度67.7%ee(メインピーク:第二ピーク)
1H−NMR(CDCl3)δ:0.87−0.96(7H,m),1.38(1H.m),1.45(3H,d,J=7.1Hz),1.65−1.80(5H,m),2.21(2H,d,J=6.6Hz),2.69(1H,m),2.81−2.91(3H,m),3.08(3H,s),3.44(2H,t,J=5.4Hz),4.44(2H,t,J=5.4Hz),4.64(1H,d,J=17.1Hz),4.86(1H,d,J=17.3Hz),5.10(2H,s),6.19(1H,q,J=6.9Hz),7.12(1H,d,J=8.3Hz),7.19(1H,s),7.30−7.39(6H,m),7.71(1H,s),7.72(2H,s),8.16(2H,s)
工程5:実質的に光学的に純粋な(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの製造
工程4で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの、(S)体優位のセミキラル体(6)(111.7g、123.7mmol、67.7%ee)をエタノール(825mL)に溶解し、別途調製した種晶(下記工程7で製造したラセミ体結晶)2.0mgを15℃〜20℃にて加え、同温にて21時間、0℃にて3時間撹拌した。析出物をろ別し、冷エタノール(165mL)で洗浄した後、母液を減圧濃縮することにより、実質的に光学的に純粋なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(7)を得た(黄色アモルファス、66.38g、収率59%)。
なお、得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(7)は、(S)体優位のセミキラル体(6)からラセミ体優位の結晶をろ別して得られていることから、(S)体である。
キラルHPLC分析:光学純度>99%ee(メインピーク:第二ピーク)
[α]D 20−42.36(c=1.0w/v%,CHCl3
なお、ろ別したラセミ体優位の結晶の光学純度は、キラルHPLC分析の結果、22%eeであった(43.39g、収率39%)。
工程6:実質的に光学的に純粋な(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の製造
窒素雰囲気下、工程5で得られた(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(7)(34.2g、37.88mmol、>99%ee)のエタノール(340mL)溶液に、10%Pd−C(wet)(3.4g)を加え、水素置換後、室温にて2時間撹拌した。反応懸濁液をセライトろ過し、エタノール(50mL)で洗浄し、洗液を減圧濃縮することにより、実質的に光学的に純粋なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(化合物2)を得た(白色アモルファス、31.78g、収率100%)。
なお、得られた化合物は、下記比旋光度に示す通り、左旋性の化合物であった。また、得られた化合物は、(S)体であるベンジルエステル(7)よりエステルを脱保護して得られたことから、同様に(S)体である。
キラルHPLC分析:光学純度>99%ee(メインピーク:第二ピーク)
[α]D 20−46.68 (c=1.0,CHCl3)
IR(ATR)cm-1:2921,1706,1479,1279,1134
1H−NMR(CDCl3)δ:0.80−0.96(7H,m),1.38(1H.m),1.47(3H,d,J=7.1Hz),1.65−1.77(5H,m),2.19(2H,d,J=6.8Hz),2.72(1H,m),2.81−2.91(3H,m),3.08(3H,s),3.45(2H,t,J=5.2Hz),4.44(2H,q,J=5.4Hz),4.62(1H,d,J=17.1Hz),4.86(1H,d,J=17.4Hz),6.21(1H,q,J=7.1Hz),7.13(1H,d,J=8.3Hz),7.19(1H,s),7.38(1H,d,J=6.6Hz),7.71(1H,s),7.73(2H,s),8.15(2H,s)
工程7:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのラセミ体種晶の製造
特許文献2(国際公開第2008/129951号パンフレット) 実施例45記載の方法により合成したtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(ラセミ体化合物(I))(20g、24.61mmol)の無水ジクロロメタン(200mL)溶液に、氷冷下、ベンジルアルコール(2.93g、27.07mmol)、DMAP(300mg、2.46mmol)及びWSC・HCl(5.19g、27.07mmol)を加え、室温に昇温し、16時間撹拌した。反応液に水(100mL)を加え、クロロホルム(500mL)で抽出し、有機層を2M 塩酸水溶液(100mL)及び飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 350g、展開溶媒:N−ヘキサン/酢酸エチル=3/1→1/1)で精製することにより、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(21.15g、収率95.2%)を白色アモルファスとして得た。
得られた白色アモルファスのtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(7.9g)をエタノール(40mL)に溶解し、室温で15時間撹拌することにより得られた析出物をろ取し、冷エタノール(20mL)で洗浄し、60℃で4時間減圧乾燥することにより、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのラセミ体結晶(白色結晶性粉末、6.98g、回収率88.4%)を得た。
本製造例2では、部分ラセミ化により光学純度が低下した結果得られる、中程度の光学純度を有する化合物(約50〜90%ee程度、好ましくは約70〜90%eeの光学純度を有する化合物を「セミキラル体」と称している。さらに、当該セミキラル体において、不斉炭素原子がS配置の化合物がR配置の化合物よりも過剰量存在する場合を、「(S)体優位のセミキラル体」と称している。
試験例1
ヒト肝癌細胞株であるHepG2細胞に被検化合物を添加し、24時間培養後のCYP19A1 mRNA発現量をリアルタイムRT−PCR法にて測定した。すなわち、HepG2細胞を24穴プレートに2×105 cells/wellの濃度で播種し一晩培養後、ジメチルスルホキシド(DMSO)に化合物2を0.1mM, 1mM, 10mMになるように、また、アナセトラピブを1mM, 10mM になるように溶解し、培養液に対して1000分の1倍量加えた。CO2 インキュベーターにて37℃で24時間培養後、ISOGEN(ニッポンジーン社、カタログ番号31-02501)を500μL加えてtotal RNAの抽出を行った。抽出したtotal RNAからHigh Capacity cDNA Reverse Transcription kit(アプライドバイオシステムズ社、カタログ番号4368813)を用いてcDNAを合成した。ヒトCYP19A1 mRNA発現量はヒトCYP19A1用のTaqMAn Gene Expression Assay(アプライドバイオシステムズ社、カタログ番号Hs00903413_m1)及びTaqMan Fast Universal PCR Master Mix (アプライドバイオシステムズ社、カタログ番号4367846)を用いて測定した。測定機器は7900HT Fast Realtime PCR systemを用いた。
測定値はβ-Actin mRNAの発現量で補正し、DMSOのみ添加した細胞のCYP19A1 mRNA発現量を1とし、化合物2又はアナセトラピブを添加した細胞のCYP19A1 mRNA発現量をその相対値で算出した。結果を図1に示した。
試験例2
ヒト肝癌細胞株であるHepG2細胞に被検化合物を添加し、24時間培養後の遺伝子発現プロファイルをアジレント社のDNAマイクロアレイにより測定した。すなわち、HepG2細胞を24穴プレートに2×105 cells/wellの濃度で播種し一晩培養後、ジメチルスルホキシド(DMSO)に化合物2を1μM, 10μMになるように、アナセトラピブを10μMになるように溶解し、培養液に対して1000分の1倍量加えた。CO2 インキュベーターにて37℃で24時間培養後、ISOGEN(ニッポンジーン社、カタログ番号31-02501)を500μL加えてtotal RNAの抽出を行った。RNA 200ngからLow Input Quick Amp Labeling Kit(アジレント社、カタログ番号5190-2308)によりCy3標識cRNAを合成した。合成したCy3標識cRNAをGE Hybridization Buffer HI-RPM (アジレント社、カタログ番号5190-0403)を用いてWhole Human Genome (4 x 44K) (アジレント社、カタログ番号G4110F)にハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーション後、DNAマイクロアレイをGene Expression Wash Buffer (アジレント社、カタログ番号5188-5327)で洗浄後、スキャナー(アジレント社)でデータを読んだ。
解析はGeneSpring (アジレント社)を用いて行い、各遺伝子発現量の変化率を算出した。
(変化率)=(化合物処理細胞中の各遺伝子発現量)÷(化合物未処理細胞中の各遺伝子発現量)
結果を表1に示す。
以上の薬理試験結果より、一般式(I)又は(II)を含むCETP阻害活性を有する化合物は、強力かつ持続的なPCDH8 mRNAの発現亢進作用を有し、且つHOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1 mRNAの発現抑制作用を有することが明らかとなった。
試験例3
ヒト肝癌細胞株であるHepG2細胞に被検化合物を添加し、24時間培養後のMMP11 mRNA発現量をリアルタイムRT−PCR法にて測定した。すなわち、HepG2細胞を24穴プレートに2×105 cells/wellの濃度で播種し一晩培養後、ジメチルスルホキシド(DMSO)に化合物2を0.1μM, 1μM, 10μMになるように、アナセトラピブを1μM, 10μMになるように溶解し、培養液に対して1000分の1倍量加えた。CO2 インキュベーターにて37℃で24時間培養後、ISOGEN(ニッポンジーン社、カタログ番号31-02501)を500μL加えてtotal RNAの抽出を行った。抽出したtotal RNAからHigh Capacity cDNA Reverse Transcription kit(アプライドバイオシステムズ社、カタログ番号4368813)を用いてcDNAを合成した。ヒトMMP11 mRNA発現量はヒトMMP11用のTaqMAn Gene Expression Assay(アプライドバイオシステムズ社、カタログ番号Hs00968295_m1)及びTaqMan Fast Universal PCR Master Mix (アプライドバイオシステムズ社、カタログ番号4367846)を用いて測定した。測定機器は7900HT Fast Realtime PCR systemを用いた。
測定値はβ-Actin mRNAの発現量で補正し、DMSOのみ添加した細胞のMMP11 mRNA発現量を1とし、化合物2を添加した細胞のMMP11 mRNA発現量をその相対値で算出した。結果を図2に示す。図2からわかるように、本作用が他のCETP阻害薬アナセトラピブ(Anacetrapib)においては発現しないことから、本作用はCETP阻害作用に起因するものではなく、本発明化合物特有の作用であると考えられる。
試験例4
ヒト肝癌細胞株であるHepG2細胞に被検化合物を添加し、24時間培養後の遺伝子発現プロファイルをアジレント社のDNAマイクロアレイにより測定した。すなわち、HepG2細胞を24穴プレートに2×105 cells/wellの濃度で播種し一晩培養後、ジメチルスルホキシド(DMSO)に化合物2を1μM, 10μMになるように、アナセトラピブを10μMになるように溶解し、培養液に対して1000分の1倍量加えた。CO2 インキュベーターにて37℃で24時間培養後、ISOGEN(ニッポンジーン社、カタログ番号31-02501)を500μL加えてtotal RNAの抽出を行った。RNA 200ngからLow Input Quick Amp Labeling Kit(アジレント社、カタログ番号5190-2308)によりCy3標識cRNAを合成した。合成したCy3標識cRNAをGE Hybridization Buffer HI-RPM (アジレント社、カタログ番号5190-0403)を用いてWhole Human Genome (4 x 44K) (アジレント社、カタログ番号G4110F)にハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーション後、DNAマイクロアレイをGene Expression Wash Buffer (アジレント社、カタログ番号5188-5327)で洗浄後、スキャナー(アジレント社)でデータを読んだ。解析はGeneSpring (アジレント社)を用いて行った。
解析はGeneSpring (アジレント社)を用いて行い、各遺伝子発現量の変化率を算出した。
(変化率)=(化合物処理細胞中の各遺伝子発現量)÷(化合物未処理細胞中の各遺伝子発現量)
結果を表2に示す。
本作用が他のCETP阻害薬アナセトラピブ(Anacetrapib)においては発現しないことから、本作用はCETP阻害作用に起因するものではなく、本発明化合物特有の作用であると考えられる。
以上の薬理試験結果より、一般式(I)の化合物は、強力かつ持続的なEMP1 mRNAの発現亢進作用を有し、且つDNMT3L及び/又はMMP11 mRNAの発現抑制作用を有することが明らかとなった。
CETP阻害活性を有する化合物は、PCDH8 mRNAに対して強い発現亢進作用を有し、且つHOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1 mRNAに対して強い発現抑制作用を有し、腫瘍性疾患の予防及び/又は治療に有用であることから、産業上の利用可能性を有している。
本発明の一般式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、EMP1 mRNAに対して強い発現亢進作用を有し、且つDNMT3L及び/又はMMP11 mRNAに対して強い発現抑制作用を有し、腫瘍性疾患の予防及び/又は治療に有用であることから、産業上の利用可能性を有している。

Claims (29)

  1. コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、HOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1 mRNAの発現抑制剤。
  2. コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、次式(I)又は(II):
    [式(I)中、R1は、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基を示し、
    R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
    R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示し、
    式(II)中、R7、R8、R9、R10、R11、R12及びR13は、互いに同一又は異なって、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
    で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、請求項1に記載の発現抑制剤。
  3. trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項1に記載の発現抑制剤。
  4. (4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−((4’−フルオロ−5’−イソプロピル−2’−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)メチル)−4−メチルオキサゾリジンー2−オン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項1に記載の発現抑制剤。
  5. コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、PCDH8 mRNAの発現亢進剤。
  6. コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、次式(I)又は(II):
    [式(I)中、R1は、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基を示し、
    R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
    R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示し、
    式(II)中、R7、R8、R9、R10、R11、R12及びR13は、互いに同一又は異なって、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
    で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、請求項5に記載の発現亢進剤。
  7. trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項5に記載の発現亢進剤。
  8. (4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−((4’−フルオロ−5’−イソプロピル−2’−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)メチル)−4−メチルオキサゾリジンー2−オン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項5に記載の発現亢進剤。
  9. コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、HOXA6、GSC、GAST、SIM2、CCND2、IRS4、FGF7、TRPM2、FASN及び/又はCYP19A1の蛋白産生抑制剤。
  10. コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、次式(I)又は(II):
    [式(I)中、R1は、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基を示し、
    R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
    R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示し、
    式(II)中、R7、R8、R9、R10、R11、R12及びR13は、互いに同一又は異なって、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
    で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、請求項9に記載の蛋白産生抑制剤。
  11. trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項9に記載の蛋白産生抑制剤。
  12. (4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−((4’−フルオロ−5’−イソプロピル−2’−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)メチル)−4−メチルオキサゾリジンー2−オン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項9に記載の蛋白産生抑制剤。
  13. コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、PCDH8の蛋白産生亢進剤。
  14. コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、次式(I)又は(II):
    [式(I)中、R1は、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基を示し、
    R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
    R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示し、
    式(II)中、R7、R8、R9、R10、R11、R12及びR13は、互いに同一又は異なって、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
    で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、請求項13に記載の蛋白産生亢進剤。
  15. trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項13に記載の蛋白産生亢進剤。
  16. (4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−((4’−フルオロ−5’−イソプロピル−2’−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)メチル)−4−メチルオキサゾリジンー2−オン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項13に記載の蛋白産生亢進剤。
  17. コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、腫瘍性疾患の予防及び/又は治療剤。
  18. コレステロールエステル転送タンパク阻害活性を有する化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、次式(I)又は(II):
    [式(I)中、R1は、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基を示し、
    R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
    R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示し、
    式(II)中、R7、R8、R9、R10、R11、R12及びR13は、互いに同一又は異なって、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
    で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である、請求項17に記載の腫瘍性疾患の予防及び/又は治療剤。
  19. trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項17に記載の腫瘍性疾患の予防及び/又は治療剤。
  20. (4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−((4’−フルオロ−5’−イソプロピル−2’−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)メチル)−4−メチルオキサゾリジンー2−オン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項17に記載の腫瘍性疾患の予防及び/又は治療剤。
  21. 腫瘍性疾患が、胸部腫瘍、骨腫瘍、消化器腫瘍、神経系腫瘍、神経組織腫瘍、造血器腫瘍、内分泌腺腫瘍、泌尿生殖器腫瘍、肝臓腫瘍、白血病又はリンパ腫である、請求項17に記載の予防及び/又は治療剤。
  22. 次式(I):
    [式(I)中、R1は、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基を示し、
    R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
    R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
    で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、DNMT3L及び/又はMMP11 mRNAの発現抑制剤。
  23. trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項22に記載の発現抑制剤。
  24. 次式(I):
    [式(I)中、R1は、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基を示し、
    R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
    R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
    で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、EMP1 mRNAの発現亢進剤。
  25. trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項24に記載の発現亢進剤。
  26. 次式(I):
    [式(I)中、R1は、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基を示し、
    R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
    R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
    で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、DNMT3L及び/又はMMP11の蛋白産生抑制剤。
  27. trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項26に記載の蛋白産生抑制剤。
  28. 次式(I):
    [式(I)中、R1は、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルキル基又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルキル基を示し、
    R2は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R3は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、
    R4及びR5は、互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基又はシアノ基を示し、
    R6は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。]
    で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、EMP1 mRNAの蛋白産生亢進剤。
  29. trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、 (S)-(-)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸及び(R)-(+)-trans-{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、請求項28に記載の蛋白産生亢進剤。
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JP2011264301A Pending JP2013116863A (ja) 2011-12-02 2011-12-02 各種mRNAの発現抑制剤又は発現亢進剤、並びに腫瘍性疾患の予防及び/又は治療剤

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2013081087A1 (ja) * 2011-12-02 2015-04-27 興和株式会社 光学活性化合物の製造方法

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