JP2013190212A - バイオセンサ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属層の腐食を抑制するカーボン電極層を備えたバイオセンサ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によると、第1の基材と、前記第1基材の第1の面上に配置された金属層と、前記金属層の一端上に配設されたカーボン及び第1の樹脂を含む第1の電極層と、前記第1の電極層を覆うように配設されたカーボンを含む第2の電極層と、前記第2の電極層上に位置するように配設された反応部と、を備え、前記第1の電極層は前記第2の電極層よりも吸水率が低い第1の樹脂を含むバイオセンサが提供される。
【選択図】図1

Description

本発明はバイオセンサに関し、特に溶液中の物質の濃度を電気化学的に測定するバイオセンサに関する。
血液等の生体試料中の特定成分について迅速かつ簡便に濃度等を測定する方法として、電気化学的検出手段によるバイオセンサが実用化されている。バイオセンサは、一般に、作用極と対極を含む電極系、酵素及び電子受容体を基本構成として備えている。このようなバイオセンサの一例として、電気化学的に血液中のグルコースを定量化するグルコースセンサがある。
グルコースセンサにおいては、酵素は血液中のグルコースを選択的に酸化してグルコン酸を生成し、また同時に電子受容体を還元して還元体を生じる。この還元体に電極系で一定の電圧を印加することで還元体が再び酸化され、その際に電流が発生する。この電流が血液中のグルコース濃度に依存することから、血液中のグルコースを定量化することができる。
従来、銀ペーストをスクリーン印刷することでリード配線を形成し、リード配線上に導電性カーボンペーストを印刷して電極系を形成し、バイオセンサが製造されていた(特許文献1、特許文献2参照)。従来のバイオセンサの導電性カーボンで形成した電極系では、試料中の水分や電子受容体(メディエータ)がカーボン電極層に存在する空隙から電極内部に侵入し、酸化還元反応によりカーボン電極層の下に配設された金属層(または配線)を腐食して、バイオセンサの電気特性を低下させる。
特開平8−15220号公報 特開平8−5600号公報
本発明は、上述の問題を解決するものであって、金属層の腐食を抑制するカーボン電極層を備えたバイオセンサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態によると、第1の基材と、前記第1基材の第1の面上に配置された金属層と、前記金属層の一端上に配設されたカーボン及び第1の樹脂を含む第1の電極層と、前記第1の電極層を覆うように配設されたカーボンを含む第2の電極層と、前記第2の電極層上に位置するように配設された反応部と、を備え、前記第1の電極層は前記第2の電極層よりも吸水率が低い第1の樹脂を含むバイオセンサが提供される。
本実施形態に係るバイオセンサは、金属層の一端上に配設されたカーボンを含む第1の電極層と、第1の電極層を覆うように配設されたカーボンを含む第2の電極層と、を備え、第1の電極層が第2の電極層よりも吸水率が低い第1の樹脂を含む2層構造のカーボンを含む電極層を備えることにより、試料中の水分や反応部に含まれる電子受容体が第2の電極層内部に侵入するのを抑制し、電子受容体の酸化還元反応により第2の電極層の下に配設された金属層を腐食するのを抑制することができる。
前記バイオセンサにおいて、前記第2の電極層は前記第1の電極層よりも親水性が高い第2の樹脂を含んでもよい。
第2の電極層は第1の電極層よりも親水性が高い第2の樹脂を含む2層構造のカーボンを含む電極層を備えるため、試料中に含まれる被検出物と酵素との反応により生じた電気信号を、電子受容体を介して第1の電極層に伝達しやすくすることができる。
また、本発明の一実施形態によると、第1の基材の第1の面上に、所定のパターンを有する金属層を形成し、前記金属層の一端上に、カーボンと、第1の樹脂と、第1の溶剤とを含有する第1塗工液を塗布して、第1の電極層を形成し、前記第1の電極層上に位置するように、カーボンと、第2の樹脂と、第2の溶剤とを含有する第2塗工液を塗布して、第2の電極層を形成し、前記第2の電極層上に位置するように反応部を形成し、前記第1の樹脂は前記第2の樹脂よりも吸水率が低い樹脂であるバイオセンサの製造方法が提供される。
本実施形態に係るバイオセンサの製造方法は、金属層の一端上にカーボンと、第1の樹脂とを含む第1の塗工液を塗布して第1の電極層を形成し、第1の電極層上に位置するように、カーボンと、第2の樹脂とを含有する第2の塗工液を塗布して第2の電極層を形成し、第1の樹脂は第2の樹脂よりも吸水率が低い樹脂であることにより、試料中の水分や反応部に含まれる電子受容体が第2の電極層内部に侵入するのを抑制し、電子受容体の酸化還元反応により第2の電極層の下に配設された金属層を腐食するのを抑制することができる。
前記バイオセンサの製造方法において、前記第2の樹脂は前記第1の樹脂よりも親水性が高くてもよい。
第2の電極層は第1の電極層よりも濡れ性が高い第2の樹脂を含む2層構造のカーボンを含む電極層を備えるため、試料中に含まれる被検出物と酵素との反応により生じた電気信号を、電子受容体を介して第1の電極層に伝達しやすくすることができる。
本発明によると、金属層の腐食を抑制するカーボン電極層を備えたバイオセンサ及びその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るバイオセンサ1000の模式図であり、(a)はバイオセンサ1000の全体図を示し、(b)はバイオセンサ1000の分解図である。 本発明の一実施形態に係る電極系100の模式図であり、(a)は電極系100の上面の斜視図であり、(b)は(a)におけるA−A’断面図である。 本発明の一実施形態に係るバイオセンサ1000の製造方法を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るバイオセンサ1000の製造方法を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るバイオセンサ1000と測定装置10000に接続した様子を示す模式図である。 従来のバイオセンサの電極系900を示す模式図である。
本発明者らは、上述の問題を解決すべく鋭意検討した結果、金属層の一端上にカーボンを含む第1の電極層と、第1の電極層を覆うように配設されたカーボン及び第1の樹脂を含む第2の電極層との2層構造のカーボンを含む電極層を配設し、第1の電極層が第2の電極層よりも吸水率が低い(または疎水性が高い)第1の樹脂を含むことにより、試料中の水分や反応部に含まれる電子受容体が第2の電極層内部に侵入するのを抑制し、電子受容体の酸化還元反応により第2の電極層の下に配設された金属層を腐食するのを抑制することができることを見出した。
以下、図面を参照して本発明に係るバイオセンサ及びその製造方法について説明する。但し、本発明のバイオセンサは多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(1.バイオセンサの構造)
本発明の実施形態に係るバイオセンサ1000の電極構造について説明する。図1は本発明の実施形態に係るバイオセンサ1000の一例を示す模式図である。図1(a)はバイオセンサ1000の全体図を示し、説明の便宜上、第2の基材1100及び第3の基材1200を透過させた透視図としている。また、図1(b)はバイオセンサ1000の分解図である。図2は本発明の実施形態に係るバイオセンサ1000の電極系100について説明する図であり、図2(a)は電極系100の上面の斜視図であり、図2(b)は図2(a)におけるA−A’断面図を示す。
本実施形態に係るバイオセンサ1000は、第1の基材170と、第1基材170の第1の面上(上面)に配置された金属層101と、金属層101の一端上に配設されたカーボンを含む第1の電極層103と、第1の電極層103を覆うように配設されたカーボンを含む第2の電極層105と、第2の電極層105上に位置するように配設された反応部140とを備える。本実施形態において、第1の電極層103は第2の電極層105よりも吸水率が低い(疎水性が高い)第1の樹脂を含む。第1の樹脂を含むことにより第1の電極層の耐水性を向上させることができる。このような2層構造のカーボンを含む電極層(第1の電極層103と第2の電極層105)と、金属層101とにより形成される作用極110、対極120及び参照極130により電極系100が構成される。
一方、図6に示す従来のバイオセンサにおける電極系900においては、カーボンを含む電極層907を金属層101上に1層配置したのみであった。このような構造を有する従来のバイオセンサにおいては、カーボンを含む電極層907が十分な耐腐食性を備えていなかったため、製造してから使用するまでの期間に金属層101の腐食を抑制するのが困難であった。また、測定時には、試料中の水分や電子受容体(メディエータ)がカーボンを含む電極層907に存在する空隙から電極内部に侵入し、酸化還元反応によりカーボンを含む電極層907の下に配設された金属層101(または配線)を腐食して、バイオセンサの電気特性を低下させていた。
本実施形態に係るバイオセンサ1000は、電極系100及び配線部150の上部に、試料供給路1510を形成するためのスペーサである第2の基材1100、試料供給路1510の上部カバーである第3の基材1200が第2の基材を覆うように、順次に積層され、固着される。作用極110には第2の電極層105の上部表面の一部に反応部140がさらに形成される。
電極系100及び配線部150の上部に形成された第2の基材1100は、作用極110の反応部140、対極120及び参照極130の第2の電極層105の上部に、例えば第2の基材1100の外縁に通じるT字状の流路を形成するように配置する。T字状の流路は、作用極110の反応部140、対極120及び参照極130の第2の電極層105の上部に直線上に配置された空気抜き流路1530と、空気抜き流路1530に直交し、作用極110の反応部140の上部を通過する試料供給路1510とにより形成される。バイオセンサ1000は、試料供給路1510と、空気抜き流路1530とを有することで、試料供給路1510から毛細管現象を利用し、測定する試料を作用極110、対極120及び参照極130の上部を通過させ、試料の目的成分を測定することができる。
電極系100において、金属層101が第1の基材170の第1の面上(上面)に配置される。本実施形態に係るバイオセンサの電極系100においては、金属層101と配線部150とが一体で構成され、金属層101の少なくとも一部に第1の電極層103と第2の電極層105を積層して配置したことに特徴がある。吸水率が低い(疎水性を有する)第1の樹脂を含む第1の電極層103を配設することにより、金属層101の腐食を抑制することができる。なお、本実施形態において、第1の電極層103及び第2の電極層105は、金属層101の側面も被覆しているが、第1の電極層103及び第2の電極層105を金属層101の上部表面のみに形成してもよい。
(基材)
第1の基材170は、電極系100を支持する基材であり、少なくとも電極系100が配置される面は絶縁性を有する。第1の基材170は剛性の高い基材であることが好ましく、例えば、樹脂基材、セラミック基材、ガラス基材、少なくとも表面が絶縁された半導体基材や金属基材などを用いることができる。第1の基材170は、これら材料に応じて測定時の取り扱い性能に十分な強度を実現可能な充分な厚さを設定するとよい。第1の基材170としては、PET製の基材を用いることが好ましい。PETを用いることで安価にバイオセンサを作製することができるからである。第1の基材10の厚さは、例えば、6μm以上1mm以下の範囲で適宜設定するとよい。
(電極系)
電極系100は、作用極110、対極120及び参照極130を含み、作用極110は還元体の電子受容体に電圧を印加するための一方の電極である。対極120は電子受容体から作用極110に放出された電子によって流れた電流を計測するための一方の電極である。また、参照極130は、作用極110の電位を決定する際の基準となる電極である。各電極は第1の基材170上に配置された金属層101と金属層101の表面に配置された第1の電極層103と、第1の電極層103を覆うように配設されたカーボンを含む第2の電極層105を備える。本実施形態では、反応部140を作用極110の上部表面に直接配置した態様を用いて説明しているが、反応部140は空間を介して作用極110に対向するように配置されてもよい。
(金属層)
本実施形態に係る金属層101は、導電性の高い金属を含む層である。金属層101には、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、チタン、タンタルまたは銀等を用いることができる。これらの金属には、後述する電子受容体の酸化還元反応による腐食を受けやすい金属も含まれるが、本発明に係る2層構造のカーボンを含む電極層を備えることにより、十分な防食効果を得ることができる。このような防食効果を得られること、導電性や製造コストを考慮すると、本実施形態においてはアルミニウムを好適に用いることができる。
金属層101の厚さは0.02μm以上40μm以下の範囲とすることが好ましい。厚さ0.02μm未満であると金属層101の抵抗値が十分高くなり目的とする電極が得られなくなり、また40μmより大きくなると第1の電極層103及び第2の電極層105との積層や、試料供給路1510及び空気抜き流路1530の形成に三次元的な高い加工精度が要求され、加工金型の使用数や加工工程・時間が飛躍的に増える。金属層101は上記の金属材料からなる金属層の単層であってもよく、複数の金属層を積層した態様であってもよい。本実施形態に係る金属層101は、金属ペーストの印刷、金属箔のエッチング、金属の蒸着やスパッタ製膜の何れの方法を用いて形成してもよい。本実施形態に係る金属層101は、使用する金属量を減らして製造コストを抑制する観点から、金属箔のエッチングまたは金属の蒸着により形成することが好ましい。
(第1の電極層)
本実施形態に係る第1の電極層103は、水、薬品などに対して耐性を発現する電極層であり、第2の電極層105よりも吸水率が低い第1の樹脂を含む。第1の電極層103の吸水率は、0.1%以下であることが好ましい。吸水率は、JIS K7209(プラスチックの吸水率試験方法)に準拠して測定するとよい。第1の電極層103は、導電性を有する材料で形成した被覆層であり、金属層101の表面保護を行うとともに、電極の一部として機能するものである。第1の電極層103は例えば、カーボン顔料と疎水性を有する第1の樹脂の混合物により形成することができる。第1の電極層103に用いるカーボン顔料としては、例えば、黒鉛、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンファイバー、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー等を用いることができる。
上述したような吸水率が低い疎水性を有する第1の樹脂としては、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩化酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル塩化ビニルグラフト共重合体から選択されるいずれか1種以上を用いることができる。これらの樹脂は吸水率が低く防湿性が高いので、第1の電極層103に耐薬品性、耐水性を付与し、金属層101の防食効果を得ることができる。第1の電極層103における「耐薬品性」とは、後述する反応部140に塗布されるメディェータや、試料中の成分、または金属層101を酸化したり、腐食したりする化学物質等に対する耐性を意味する。
本実施形態に係る第1の電極層103においては、カーボン顔料、第1の樹脂はそれぞれ5重量%以上60重量%以下、10重量%以上40重量%以下とすることが好ましい。カーボン顔料が5重量%未満であるとカーボン顔料同士が電気的接続を有する確率が急激に低下して電極層としての導電性が失われる。また、カーボン顔料が60重量%より多いと顔料間の空隙が多くなり、物理的な賦型強度、接着強度、耐摩擦強度が失われて、要求される構造・機能が保持できなくなる。さらに、カーボン表面の酸化還元状態が安定せず、後工程で添加する酵素や電子受容体も空隙に不均一に吸着するようになる。また、第1の樹脂が10重量%未満であると、第1の電極層103の塗工特性が低下して塗膜強度も低下することとなり、40重量%より多いと、同様に第1の電極層103の塗工特性が低下して導電性も低下することとなる。なお、第1の電極層103には、必要に応じて他の導電性顔料、硬化剤や架橋剤のような反応試薬、加工適性改善のための助剤や添加剤等をカーボン顔料と第1の樹脂とに混合してもよい。
第1の電極層103の厚さは0.1μm以上10μm以下の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.3μm以上2.0μm以下である。第1の電極層103は、導電カーボン顔料比が高く、0.1μm未満であると耐水性及び耐薬品性の効果が低くなる。また、導電カーボン顔料比が低く、10μmより厚いとカーボン層の抵抗が高くなる。本実施形態に係る第1の電極層103は、カーボン顔料で金属層101を被覆することで、金属層101の防錆に寄与し、酵素や電子受容体、試料中や空気中の水分と金属層101との直接の接触を防止することができる。
(第2の電極層)
第2の電極層105は、導電性を有する材料で第1の電極層103を覆うように配設された形成した被覆層であり、電極の一部として機能するものである。第2の電極層105は、酵素やメディェータを溶解した水性溶液への親和性を高め、表面を保護する電極であることが好ましい。第2の電極層105は例えば、カーボン顔料と第2の樹脂の混合物により形成することができる。第2の電極層105に用いるカーボン顔料としては、第1の電極層に用いたものと同様のものを用いることができる。
第2の樹脂には、第1の樹脂よりも疎水性が低く(または親水性が高く)、水不溶性の樹脂を好適に用いることができる例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アセタール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂から選択されるいずれか1種以上を用いることができる。アクリル樹脂、スチレン樹脂は側鎖の親水性で適宜、親水性の度合いが変えられ、ポリビニルアセタール樹脂はアセタール化度を変えることで同等に目的の親水性が得られる。また、ポリビニルアセタール樹脂、特にブチラール樹脂はフェノール樹脂やエポキシ樹脂、メラミン樹脂等を添加して架橋反応を起こすことで塗膜強度が上がるため、印刷物の擦れやキズにも強く、電極として第2の電極層を最表面に位置させる場合には特に好適である。この架橋反応を補助する目的でイソシアネートやジアルデヒド等の硬化剤を併用することも可能である。第1の樹脂よりも親水性の高い上記の樹脂を用いることで、第1の電極層よりも水性の液体に対する接触角が低く濡れ性が高い第2の電極層を得ることができる。第2の電極層105の吸水率は、0.2%以上であることが好ましい。
第2の電極層の濡れ性が高いので、反応部へ酵素やメディェータを溶解した水性溶液をディスペンサーやインクジェット、マスク転写、謄写印刷等で塗布する際に均一な塗面が得られる。親水性の程度は、使用する塗布液や塗布プロセスに応じて適宜設定される。
本実施形態に係る第2の電極層105においては、カーボン顔料、第2の樹脂はそれぞれ5重量%以上60重量%以下、10重量%以上40重量%以下とすることが好ましい。カーボン顔料が5重量%未満であるとカーボン顔料同士が電気的接続を有する確率が急激に低下して電極層としての導電性が失われる。また、カーボン顔料が60重量%より多いと顔料間の空隙が多くなり、物理的な賦型強度、接着強度、耐摩擦強度が失われて、要求される構造・機能が保持できなくなる。さらに、カーボン表面の酸化還元状態が安定せず、後工程で添加する酵素や電子受容体も空隙に不均一に吸着するようになる。また、第2の樹脂が10重量%未満であると、第2の電極層105の塗工特性が低下して塗膜強度も低下することとなり、40重量%より多いと、同様に第2の電極層105の塗工特性が低下して導電性も低下することとなる。なお、第2の電極層105には、必要に応じて他の導電性顔料、硬化剤や架橋剤のような反応試薬、加工適性改善のための助剤や添加剤等をカーボン顔料と有機バインダーとに混合してもよい。また、第2の電極層105の表面に機械的研磨やコロナ・プラズマのような放電手法による物理的エッチング等を施して、表面の活性化を向上させてもよい。
第2の電極層105の厚さは0.1μm以上10μm以下の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.3μm以上2.0μm以下である。第2の電極層105は、導電カーボン顔料比が高く、0.1μm未満であると反応部140との隔絶が製造、保管、酵素反応の各条件、経時安定を保証する上で困難となる。また、導電カーボン顔料比が低く、10μmより厚いとカーボン層の抵抗が高くなる。本実施形態に係る第2の電極層105は、第1の電極層103を被覆することで、反応部140に含有される電子受容体に対する親和性を付与し、試料中に含まれる被検出物と酵素との反応により生じた電気信号を、電子受容体を介して第1の電極層103に伝達しやすくすることができる。抵抗の低い電極系を得るには、より好ましくは、第2の電極層105の厚さを、第1の電極層103の厚さよりも大きくするとよい。さらに好ましくは、第2の電極層105の厚さを、第1の電極層103の厚さの1.5倍以上とするとよい。
後述するバイオセンサ1000の反応部140はフェリシアン化カリウム、ベンゾキノン化合物、オスミューム錯体、フェロセン誘導体、フェナジンメトサルフェート等酸化還元酵素で分解、放出した電子で還元されやすい化学物質を含むため、保存環境での金属の腐食やポテンシォスタットで電圧印荷した時の副反応が懸念される。このため、従来の金属層は反応部に対して耐水・絶縁されていた。本発明においては、第2の樹脂を含む第2の電極層までは反応に寄与する化学物質が浸透して電子伝達するが、耐水性を有する第1の樹脂を含む第1の電極層は電子伝達のみに寄与し、金属層への腐食、副反応は生じない。
作用極110、対極120、参照極130にはそれぞれ金属層101により形成された配線部150が電気的に接続されており、電極系100と配線部150とは一体で構成されている。配線部150により電極系100への電圧印加、電気信号の取り出しを行うことができる。作用極110、対極120を炭素よりも低抵抗の金属材料と炭素材料との積層構造とすることにより、従来に比べて電極系100の抵抗値を大幅に下げることができ、高感度のバイオセンサを提供することができる。また、配線部150と電極系100を一体的に構成することにより、さらに高感度のバイオセンサを提供することができる。さらに参照極130に貴金属を用いる必要がないため、製造コストを低減することができる。
(反応部)
本実施形態において、反応部140は生体由来物質を含み、基質特異的な物質の変化移動に伴う、化学ポテンシャル、熱あるいは光学的な変化を電気信号へ変換する。反応部140は、生体由来物質として、例えば、酵素と電子受容体とを含む。グルコース濃度を測定する場合には、酵素としてグルコースオキシダーゼ(GOD)、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を用いることができる。電子受容体はフェリシアン化カリウム、フェロセン誘導体、キノン誘導体、オスミューム誘導体等を用いることができる。酵素と電子受容体は、適宜溶媒で希釈して用いる。本実施形態に係る溶媒としては、例えば、水、アルコール、水−アルコール混合溶媒がある。また、直鎖、環状の炭化水素貧溶媒に均一分散させてもよい。酵素と電子受容体とをそれぞれ1試験体当り0.3ユニット以上10ユニット以下と0.5μg以上200μg以下とすることが好ましい。グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼは、純度の高いものが好ましく、上述の範囲の活性を有するものであれば、特に由来となる生物種は限定されず、例えば、グルコースオキシダーゼとしては、東洋紡社製GLO−201を用いることができる。反応部140の酵素及び電子受容体は、酵素量(力価/ユニット)に準じた反応量が得られるが、反応部140の性能を担保する最適重量部の小過剰でよい。
また、反応部140は、その面積に比例した検出電流が得られるため、可能な範囲で広く設定することが好ましい。反応部140は親水性高分子と混合したり、あるいは親水性高分子及び界面活性剤と混合したりして構成してもよい。親水性高分子としては、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニル酢酸、ポリビニルブチラール等、またはこれらの混合物を用いることができる。親水性高分子と混合すると、血液はゲル状となり応答電流値は若干低下するが、赤血球や他のタンパク質などのセンサ応答への影響を低減することができる。界面活性剤を含有させると粘度の高い試料液であっても、センサの内部へ試料液を容易に導くことができるので、好ましい。反応部140に用いる界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、若しくはポリエチレングリコール類等が挙げられる。反応部140を形成する場合、酵素は40℃以上で長時間放置すると活性を失うため、溶媒の乾燥は40℃以下で行い、乾燥後は速やかに室温にもどすことが好ましい。
なお、本実施形態においては、反応部140を第2の電極層105の上面に配置した例を示したが、本実施形態に係るバイオセンサ1000はこれに限定されるものではなく、反応部140は、第2の電極層105の上層であれば、他の位置でもよく、第2の基材1100と第3の基材1200との間に配設されてもよい。
(第2の基材)
第2の基材1100は、第1の基材170と第3の基材1200との間に間隙を設け、外部からバイオセンサ1000へ試料供給を行うための流路を設けるための基材である。第2の基材1100には少なくとも1つの試料供給路1510を形成する。試料供給路1510は、第2の基材1100を水平方向に貫通して設けられた流路であり、外部から供給される試料を作用極110に導く。第2の基材1100は、剛体であってもよく、弾性体であってもよい。中でも電気絶縁性を有する弾性体を用いることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。
試料供給路1510の幅は0.5mm以上5mm以下の範囲とすることが好ましい。試料供給路1510の幅が0.5mm未満であると、流路への毛細管現象によるに安定した試料供給がされなくなる。また、反応部140の電極面積を広く取れないため、感度が低くなる。また5mmより大きくなると、バイオセンサ1000を第1の基材170の電極系100形成面に対して垂直に切断した際、試料供給路1510の幅の中心線へ向かって第1の基材及び第3の基材がアーチ状につぶれ、試料供給路1510内の容積が変化し易くなる。試料供給路1510の幅は、全体にわたって均一の幅であってもよいし、第2の基材1100の試料供給路1510の導入部である外縁に向かって、幅が広くなるような形状であってもよい。
第2の基材1100はさらに試料供給路1510とは別の空気抜き流路1530を備えていてもよい。本実施形態に係るバイオセンサ1000において、空気抜き流路1530は、試料供給路1510に接続され、試料供給路1510と空気抜き流路1530とを合わせてT字状の流路を構成している。このような構成とすることで、外部から試料が供給された場合に、試料供給路1510内の空気が逃げる空気抜き流路1530が機能する。空気抜き流路1530の幅は、0.3mm以上10mm以下の範囲とすることが好ましい。空気抜き流路1530の幅が0.3mm未満であると接着剤や基材のバリが空気抜きの邪魔となり、また10mmより大きくなると基材が変形した際、隣接する供給路にも変形がおよび供給路容積の変動要因となる。第2の基材1100の厚さは、試料供給路1510及び空気抜き流路1530の高さとなり、15μm以上500μm以下の範囲とすることが好ましい。第2の基材1100の厚さが15μm未満であると基材の凹凸の影響で容積変化が生じ易く、毛細管現象による試料供給も安定しなくなる。また500μmより大きくなると反応部140に均一に試料が流れず、反応部140の一部に試料が流れない可能性が出てくる。
なお、本実施形態においてはT字状の流路を例示したが、本発明に係るバイオセンサはこれに限定されるものではなく、第2の基材1100に試料を導入する「U」の字状の切欠部を備えた試料供給路を形成し、第2の基材1100の切欠部に対応する位置に貫通孔を備えた第3の基材1200を配設してもよい。
(第3の基材)
第3の基材1200は、蓋材として機能する基材である。第3の基材1200は例えば、樹脂基材、セラミック基材、ガラス基材、半導体基材、金属基材などを用いることができる。第1の基材1200は、剛体であってもよく、あるいは弾性体であってもよい。中でも電気絶縁性の弾性体を用いることが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。第3の基材1200の形状は、第1の基材170に合わせて採用されるが、配線部150が露出するように一部に切欠部を有している。
(接着層)
図4に示すように、第2の基材1100の下部表面には、接着層185aが形成される。また、第2の基材1100と第3の基材1200とを貼り合わせるために、第2の基材1100の上部表面に接着層185bをさらに形成する。接着層185bは、第3の基材1200の下部表面に形成してもよい。接着層185a及び接着層185bの材料としては、例えば、合成接着剤としてはアクリル系接着剤、エステル系接着剤、ビニル系接着剤、シリコン系接着剤等、天然接着剤としてはニカワ、天然ゴム、樹液等の澱粉のり・天然高分子等を用いることができる。接着層185a及び接着層185bの厚さは、3μm以上50μm以下が好ましい。接着層185aは、金属層101、第2の電極層105及び反応部140を合わせた厚さ以上、例えば20μm程度で形成すると、第2の基材1100と第1の基材170とが接着層185aを介して密着され、試料供給路1510から供給される試料が配線部150に流入するのを防御することができる。また、第1の基材170と接着層185aとが密着していることで、配線部150の金属層101の防錆を実現することができる。
第3の基材1200は、接着層185bを介して第2の基材1100に固着し、第1の基材170に固着する。第3の基材1200の下部表面に接着層185bを形成することで、第2の基材1100、対極120及び参照極130を接着層185bで包埋するようにしてもよい。また、本実施形態に係る金属層101は、金属箔のエッチングまたは金属の蒸着により形成する場合に、第1の基材170の上部表面にドライラミネート用接着剤を塗布して形成した接着層を介して固着してもよい。このような接着層には、ポリエステル系の2液硬化接着剤等を用いることができる。
また、本発明の実施形態に係るバイオセンサ1000は反応部140の酵素を変更することで、グルコースセンサのみならず、コレステロールセンサ、アルコールセンサ、スクロールセンサ、乳酸センサ、フルクトースセンサなどの酵素に関与する反応系に広く用いることができる。各バイオセンサに用いる酵素としてはコレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、キサンチンオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼ等の反応系に合ったものを適宜用いることができる。
(バイオセンサの製造方法)
次に図3及び図4を用いて上述の実施形態において説明したバイオセンサ1000の製造方法について説明する。図3(a)〜図4(d)はバイオセンサ1000の製造過程を示し、図2(a)のA−A’断面に相当する図である。また、図4(e)は、図2(a)のB−B’断面に相当する図である。
(電極系の製造工程)
第1の基材170の第1の面上(上面)に、所定のパターンを有する金属層を形成する(図3(a))。本実施形態に係る金属層101は、金属箔のエッチングまたは金属の蒸着で形成するのが好ましい。金属箔のエッチングまたは金属の蒸着で形成すると、従来の銀ペーストを印刷するよりも、厚さを均一にすることができ、金属層101の幅を均一にすることができる。金属箔のエッチングまたは金属の蒸着で形成することにより、金属層101は、従来の銀ペーストによる電極層に比して薄く形成することができるため、電極層の抵抗を抑え、感度を高めることができる。また、上述の材料を用いることで、金属層101の表面処理を行うことなく、カーボンを含む第1の電極層103を形成することができる。
金属層101の所定部分に、導電性カーボンと第1の樹脂とを含有する第1の塗工液を印刷法により塗布する(図3(b))。ピンホールの発生を防ぐために、第1の塗工液は少なくとも複数回塗布することが好ましい。これにより金属層101の少なくとも上面を被覆する第1の電極層103を形成する。より好ましくは第1の電極層103で金属層101の上面及び側面を被覆する。
第1の電極層103を所定の時間乾燥させた後に、第1の電極層103上に位置するように、カーボンと、第2の樹脂とを含有する第2の塗工液を塗布する(図3(c))。ピンホールの発生を防ぐために、第2の塗工液は少なくとも複数回塗布することが好ましい。これにより第1の電極層103の少なくとも上面を被覆する第2の電極層105を形成する。より好ましくは第2の電極層105で第1の電極層103の上面及び側面を被覆する。
このように形成した電極の1つの第2の電極層105の上面に、酵素及び電子受容体を含む溶液をディスペンサーで塗布した後、40℃で乾燥させ、溶媒成分を除去する。このようにして、作用電極110を形成し(図3(d))、電極系100を製造する。
なお、第1の塗工液は、第1の樹脂を溶解するための第1の溶剤を含有する。また、第2の塗工液は、第2の樹脂を溶解するための第2の溶剤を含有する。同系統の溶剤を含有する塗工液を重ね塗りすると、侵食による亀裂やトラッピングなどの不具合が発生しやすくなる。この為、例えば、第1の樹脂としてケトン系に溶解する樹脂を選択し、親水性の第2の樹脂としてアルコール系に溶解する樹脂にする。ケトン系の溶剤を含む第1の塗工液を塗布・乾燥して第1の電極層103を形成し、第1の電極層103に含まれる第1の樹脂が溶解しないアルコール系の溶剤を含む第2の塗工液を塗布・乾燥して第2の電極層105を形成することにより、第1の電極層103を侵食することなく形成することが出来る。
(第2の基材の製造工程)
図4(a)〜図4(d)は、第2の基材1100及び第3の基材1200を形成し、第1の基材170上に形成した電極系100を貼付し、バイオセンサ1000を製造する工程を示す図である。第2の基材1100の第1の基材170及び電極系100を貼付する面と、第3の基材1200を貼付する面とに、接着層185を形成する(図4(a))。上面及び下面の両面に接着層185が形成された基材1100に打ち抜き加工を施し、試料供給路1510及び空気抜き流路1530を形成して第2の基材1100を製造する(図4(b))。
(第3の基材の製造工程)
基材1200に所定の打ち抜き加工を施し、配線部150の少なくとも一部が露出する切欠部を形成して、第3の基材1200を製造する。
(貼合工程)
第2の基材1100の一方の面に第3の基材1200を貼合する(図4(c))。その後、第2の基材1100の他方の面に、第2の基材1100と電極系100が対向するように配置して第1の基材170を貼合する(図4(d)及び(e))。図4(d)は図2(a)のA−A’断面に相当する図であり、試料供給路1510及び空気抜き流路1530が形成され、A−A’断面では、空気抜き流路1530が外部へ開口している。図4(e)は図2(a)のB−B’断面に相当する図であり、第1の基材170と第2の基材1100の両端部は、接着層185aで貼付される。なお、貼合の順序は第2の基材1100と第1の基材170を貼合してから、第2の基材1100に第3の基材1200を貼合してもよい。
(断裁工程)
上述の工程は多面付けで行われ、貼合が完了した後、断裁して個々のバイオセンサ1000を得る。
以上説明したように、本実施形態に係るバイオセンサの製造方法によると、金属層の一端上にカーボンと、第1の樹脂とを含む第1の塗工液を塗布して第1の電極層を形成し、第1の電極層上に位置するように、カーボンと、第2の樹脂とを含有する第2の塗工液を塗布して第2の電極層を形成し、第1の樹脂は第2の樹脂よりも疎水性が高いことにより、試料中の水分や反応部に含まれる電子受容体が第2の電極層内部に侵入するのを抑制し、電子受容体の酸化還元反応により第2の電極層の下に配設された金属層を腐食するのを抑制することができる。
(測定装置)
図5は、本発明の一実施形態に係るバイオセンサ1000と測定装置10000に接続した様子を示す模式図であり、図5(a)は全体図である。測定装置10000は、公知の測定装置であって、本発明に係るバイオセンサ1000を接続して、試料中に含まれる被検出物を検出する装置である。測定装置10000は、例えば、バイオセンサ1000で生じた電気信号を受信するための接続電極13000、演算部(図示せず)、電源(図示せず)、表示部11000及び操作部12000を備える。
図5(b)は、図5(a)のバイオセンサ1000を接続した破線部における測定装置10000の内部を説明する図である。バイオセンサ1000は、測定装置10000の装着部に装着されると、バイオセンサ1000の3つの金属配線101の端部が測定装置10000の接続電極1300にそれぞれ接続する。この接続により、バイオセンサ1000で生じた電気信号は、測定装置10000に伝達される。なお、第1の基材170に2本の金属層101を配設して、一方に作用極21を、他方に対極23及び参照極25を別々に配設した場合は、測定装置10000の接続電極は2本となる。
測定方法としては、例えば、測定者がバイオセンサ1000を測定装置10000に装着し、バイオセンサ1000の先端から第2の基材1100に設けられた試料供給路1510に試料を導入し、操作部12000を操作して、測定を開始する。試料供給路1510に導入された試料に被検出物が含まれる場合は、被検出物と、反応部140に配設された生体由来物質とが反応し、電気信号がバイオセンサ1000の第2の電極層105で検出され、第1の電極層103を介して金属層101の端部から、測定装置10000の接続電極13000を介して、測定装置10000に伝達される。測定装置10000は、バイオセンサ1000から受信した電気信号を演算部で測定値に変換する。得られた測定値は、表示部11000に表示され、測定者は測定結果を視覚的に認識することができる。
以下の実施例に、上述した実施形態において説明した本発明に係るバイオセンサ1000の一例を具体的に説明する。
(実施例1)
厚さ100μmのPETフィルム(東レ社製ルミラー)の基板の上部表面に、ドライラミネート剤を用いて接着層を形成した。接着層を介して厚さ7μmのアルミニウムフィルム(東洋アルミ社製)を貼り合せた。アルミニウムフィルムの表面に1.5mm幅の線状のレジストパターンを印刷法で形成した。揺動式の塩酸槽(2N)にレジストパターンを形成した上記の積層フィルムを浸漬させてアルミニウムをエッチングした。水洗を行った後、水酸化ナトリウム槽(0.5N)に積層フィルムを浸漬させてレジストパターンを剥離した。その後、再度水洗を行った後、金属層101を形成した。
金属層101の1.5mm幅のアルミパターンにグラビア印刷用製版90線で幅2.1mm、長さ3mmインキ転写パターンを作製し、基材の幅方向センター合せで左右0.3mm程度被る状態にアライメントして、カーボン顔料としてカーボンブラックを含み、第1の樹脂として塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体を含み、第1の溶剤として酢酸エチル、メチルエチルケトン(1:1)を含むカーボングラビアインキ(FDK導電墨インキ、合同インキ社製)を第1の塗工液として印刷し、120℃で10分間乾燥して、第1の電極層103を形成した。ここで、グラビア印刷用製版の線数は、グラビア版1インチに刻まれた線数を意味し、線数が多い設定ほど刻まれた溝の深さは浅くなり、インキの転写量は少なくなる。したがって、同じ濃度のインキを異なる線数の版で転写すると、インキの塗膜厚は線数の少ないものほど大きくなる。実施例1においては、カーボン被覆により形成した第1の電極層103とアルミパターンの金属層101の表面の厚さの差から第1の電極層103は0.7μm厚であった。
第1の電極層103の上に同一のグラビア印刷用製版、同一のアライメントで、カーボン顔料としてカーボンブラックを含み、第2の樹脂としてブチラール樹脂を含み、第2の溶剤としてトルエン、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン(60:25:15)を含むカーボングラビアインキ(処理PET用導電墨インキ、合同インキ社製)を第2の塗工液として印刷し、120℃で10分間乾燥して、第2の電極層105を形成した。カーボン被覆により形成した第1の電極層103及び第2の電極層105とアルミパターンの金属層101の表面の厚さの差から第2の電極層105は1.2μm厚であった。金属層101の長手方向に対して、第1の電極層103及び第2の電極層105の先端からアルミニウム剥き出し部分の金属層101の長さの総計が33mmになるよう切り出し、第1の電極層103及び第2の電極層105の先端から30mm離れた金属層101との間の抵抗値を測定したところ、15Ωであった。
(比較例1)
比較例1として、実施例1と同様に金属層101を形成した。金属層101の1.5mm幅のアルミパターンにグラビア印刷用製版50線で幅2.1mm、長さ3mmインキ転写パターンを作製し、基材の幅方向センター合せで左右0.3mm程度被る状態にアライメントして、実施例1の第2の塗工液と同様のカーボングラビアインキ(処理PET用導電墨インキ、合同インキ社製)を印刷し、120℃で10分間乾燥してカーボンを含む電極層907を形成した。カーボン被覆により形成したカーボンを含む電極層907とアルミパターンの金属層101の表面の厚さの差からカーボンを含む電極層907は2μm厚であった。金属層101の長手方向に対して、カーボンを含む電極層907の先端からアルミニウム剥き出し部分の金属層101の長さの総計が33mmになるよう切り出し、カーボンを含む電極層907の先端から30mm離れた金属層101との間の抵抗値を測定したところ、20Ωであった。
(比較例2)
比較例1と同様に金属層101の1.5mm幅のアルミパターンにグラビア印刷用製版80線で幅2.1mm、長さ3mmインキ転写パターンを作製し、基材の幅方向センター合せで左右0.3mm程度被る状態にアライメントして、実施例1の第2の塗工液と同様のカーボングラビアインキ(処理PET用導電墨インキ、合同インキ社製)を印刷し、120℃で10分間乾燥してカーボンを含む電極層907を形成した。カーボン被覆により形成したカーボンを含む電極層907とアルミパターンの金属層101の表面の厚さの差からカーボンを含む電極層907は1μm厚であった。金属層101の長手方向に対して、カーボンを含む電極層907の先端からアルミニウム剥き出し部分の金属層101の長さの総計が33mmになるよう切り出し、カーボンを含む電極層907の先端から30mm離れた金属層101との間の抵抗値を測定したところ、13Ωであった。
(耐水性・耐薬品性の評価)
以上のようにして得た実施例1、比較例1及び比較例2の電極を用いて、作用極、対極及び参照極をそれぞれ2.4mmピッチになるように配し、長さ3mmの電極層の先端部分の2.4mmを残し、上下0.3mmを耐水性粘着テープでマスクした。この2.4mm幅のマスク間に酵素としてグルコースオキシダーゼ(東洋紡社製GLO−201)を1ユニット、電子受容体としてフェリシアン化カリウム70μgを蒸留水2μLに溶解し、均一に滴下して作用極を作製した。これを室温で4時間乾燥した後、乾燥剤の入った密栓ガラス瓶に1日保管し、標準酵素電極とした。また、この密栓ガラスを40℃で2ヶ月保管したものを耐水性、耐薬品性の比較酵素電極とした。酵素電極の評価はポテンシオスタット(エービーエス社製ALD760)の作用極、対極、参照極に配線し、0.5V電圧印加で被検体2.5μL滴下後2秒後の電流を検出した。なお、被検体は生理食塩水にグルコースを100mg/dLの濃度に調製した人工標準グルコース液を用いた。
実施例1においては、標準酵素電極、比較酵素電極はともに10個とも電流が検出された。一方、比較例1の標準酵素電極では10個とも電流が検出されたが、比較酵素電極では10個中2個で電流が消失した。また、比較例2の標準酵素電極では10個中、3個電流が消失し、比較酵素電極では10個全てで電流が消失した。これらの結果から、比較例においては、金属層が酸化や腐食により劣化し、カーボン電極層との界面での電気抵抗が増大したものと推察される。一方、本実施例に係る2層のカーボン電極層を備えたバイオセンサの酵素電極では、製造直後、及び2ヶ月の長期保管後においても金属層の腐食を抑制し、良好な電気特性を得られることが明らかとなった。
100:電極系、101:金属層、103:第1の電極層、105:第2の電極層105、110:作用極、120:対極、130:参照極、140:酵素反応部、150:配線部、170:第1の基材、185a:接着層、185b:接着層、900:従来の電極系、907:カーボンを含む電極層、910:作用極、920:対極、930:参照極、940:酵素反応部、1000:バイオセンサ、1100:第2の基材、1200:第3の基材、1510:試料供給路、1530:空気抜き流路、10000:測定装置、11000:表示部、12000:操作部、接続電極13000

Claims (4)

  1. 第1の基材と、
    前記第1基材の第1の面上に配置された金属層と、
    前記金属層の一端上に配設されたカーボン及び第1の樹脂を含む第1の電極層と、
    前記第1の電極層を覆うように配設されたカーボンを含む第2の電極層と、
    前記第2の電極層上に位置するように配設された反応部と、を備え、
    前記第1の電極層は前記第2の電極層よりも吸水率が低い第1の樹脂を含むことを特徴とするバイオセンサ。
  2. 前記第2の電極層は、前記第1の電極層よりも親水性が高い第2の樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ。
  3. 第1の基材の第1の面上に、所定のパターンを有する金属層を形成し、
    前記金属層の一端上に、カーボンと、第1の樹脂と、第1の溶剤とを含有する第1の塗工液を塗布して、第1の電極層を形成し、
    前記第1の電極層上に位置するように、カーボンと、第2の樹脂と、第2の溶剤とを含有する第2の塗工液を塗布して、第2の電極層を形成し、
    前記第2の電極層上に位置するように反応部を形成し、
    前記第1の樹脂は前記第2の樹脂よりも吸水率が低い樹脂であることを特徴とするバイオセンサの製造方法。
  4. 前記第2の樹脂は前記第1の樹脂よりも親水性が高いことを特徴とする請求項3に記載のバイオセンサの製造方法。
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