JP2014153280A - バイオセンサ用電極およびバイオセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】カーボン電極にショートが発生した場合でも測定可能なバイオセンサ用電極およびバイオセンサを提供する。
【解決手段】基材と、上記基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系とを有し、上記電極系は、上記基材上に形成された下部電極層と、上記下部電極層上に形成され、カーボンおよびバインダー樹脂を含有する上部電極層とを有し、上記下部電極層は上記上部電極層よりも導電性が高く、上記作用極および上記対極間の抵抗値が、上記バイオセンサ用電極を用いて測定される試料の抵抗率から式(1):R=ρ×(L/S)(式中、Rは試料の抵抗値、ρは試料の抵抗率、Lは作用極を構成する下部電極層および対極を構成する下部電極層間の距離、Sは作用極および対極間での試料の断面積を示す。)により換算される試料の抵抗値よりも高いことを特徴とするバイオセンサ用電極。
【選択図】図1

Description

本発明は、カーボン電極を備えるバイオセンサに関する。
血液等の生体試料中の特定成分について迅速かつ簡便に濃度等を測定する方法として、電気化学的検出手段によるバイオセンサが実用化されている。バイオセンサは、一般に、作用極および対極を含む電極系、酵素および電子受容体を基本構成として備えている。このようなバイオセンサの一例として、電気化学的に血液中のグルコースを定量化するグルコースセンサがある。
グルコースセンサにおいては、酵素は血液中のグルコースを選択的に酸化してグルコン酸を生成し、また同時に電子受容体を還元して還元体を生じる。この還元体に電極系で一定の電圧を印加することで還元体が再び酸化され、その際に電流が発生する。この電流が血液中のグルコース濃度に依存することから、血液中のグルコースを定量化することができる。
バイオセンサにおいては、電極材料として、白金、金、銀、アルミニウム等の金属材料やカーボン材料等の導電性材料が一般に用いられている。これらのうち、金属材料は電極形成が容易であるが、金属材料の中には、試料中の水分や電子受容体(メディエータ)と接触すると酸化還元反応により腐食されるものがあり、バイオセンサの電気特性を低下させるという問題がある。また、白金、金等の貴金属は、酸化還元されにくいものの、高価でありコスト増を招くという問題がある。これに対し、カーボン材料は、酸化還元されにくく、安価に電極を形成できるという利点を有する。
しかしながら、カーボン電極は電流密度が低く感度に劣るという問題がある。そこで、カーボン電極を備えるバイオセンサに関して種々検討がなされている。例えば特許文献1および特許文献2には、カーボン電極よりも導電性の高い下部電極上にカーボン電極を積層する手法が提案されている。
カーボン電極の形成方法としては、一般にカーボンペーストを印刷する方法が知られている。ここで、バイオセンサの電極系においては、例えば作用極、対極および参照極が所定の間隔をおいて配置される。この電極間の間隔は一般的に数十μm〜数mm程度であり、バイオセンサの小型化に伴い高精細なカーボン電極の形成が求められている。しかしながら、印刷法ではインク汚れ等により隣接する電極パターンがつながってしまいショートが発生するという問題がある。また、特許文献1および特許文献2に記載されているように、例えば下部電極上にカーボン電極を積層する場合には、印刷ずれ等を考慮してアライメントを行うため、またカーボン電極で下部電極を覆うため、下部電極よりもカーボン電極を幅広に形成する場合がある。この場合には電極間の間隔はさらに狭くなり、隣接する電極パターンがつながりやすくなるという問題がある。
国際公開第WO2010/004690号パンフレット 特開2012−58168号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、カーボン電極にショートが発生した場合でも測定可能なバイオセンサ用電極およびバイオセンサを提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、基材と、上記基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系とを有するバイオセンサ用電極であって、上記電極系は、上記基材上に形成された下部電極層と、上記下部電極層上に形成され、カーボンおよびバインダー樹脂を含有する上部電極層とを有し、上記下部電極層は上記上部電極層よりも導電性が高く、上記作用極および上記対極間の抵抗値が、上記バイオセンサ用電極を用いて測定される試料の抵抗率から下記式(1)により換算される試料の抵抗値よりも高いことを特徴とするバイオセンサ用電極を提供する。
R=ρ×(L/S) (1)
(式(1)中、Rは試料の抵抗値、ρは試料の抵抗率、Lは作用極を構成する下部電極層および対極を構成する下部電極層間の距離、Sは作用極および対極間での試料の断面積を示す。)
本発明においては、作用極および対極間の抵抗値が、バイオセンサ用電極を用いて測定される試料の抵抗率から上記式(1)により換算される試料の抵抗値よりも高いことにより、上部電極層にショートが発生した場合でも、本発明のバイオセンサ用電極を備えるバイオセンサでは電流を検出することができ、試料の目的成分を測定することが可能である。また本発明においては、上部電極層と上部電極層よりも導電性の高い下部電極層とが積層されているため、電極系の抵抗を大幅に下げることができ、感度を向上させることが可能である。
上記発明においては、上記下部電極層が金属蒸着層であることが好ましい。金属蒸着層は薄膜化が可能であり、下部電極層上に印刷法により上部電極層を容易に形成することができるからである。
また本発明においては、上記作用極を構成する上記上部電極層と上記対極を構成する上記上部電極層とが一体に形成されていてもよい。上部電極層が一体に形成されショートが発生した場合であっても、上述したように本発明のバイオセンサ用電極を備えるバイオセンサでは測定可能である。
また本発明は、基材と、上記基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系と、上記電極系上に配置された反応部とを有するバイオセンサであって、上記電極系は、上記基材上に形成された下部電極層と、上記下部電極層上に形成され、カーボンおよびバインダー樹脂を含有する上部電極層とを有し、上記下部電極層は上記上部電極層よりも導電性が高く、上記作用極および上記対極間の抵抗値が、上記バイオセンサを用いて測定される試料の抵抗率から上記式(1)により換算される試料の抵抗値よりも高いことを特徴とするバイオセンサを提供する。
本発明においては、作用極および対極間の抵抗値が、バイオセンサ用電極を用いて測定される試料の抵抗率から上記式(1)により換算される試料の抵抗値よりも高いことにより、上部電極層にショートが発生した場合でも、電流を検出することができ、試料の目的成分を測定することが可能である。また本発明においては、上部電極層と上部電極層よりも導電性の高い下部電極層とが積層されているため、電極系の抵抗を大幅に下げることができ、高感度のバイオセンサとすることが可能である。
本発明においては、上部電極層にショートが発生した場合でも電流を検出することができ、試料の目的成分を測定可能であるという効果を奏する。
本発明のバイオセンサ用電極の一例を示す模式図である。 本発明のバイオセンサの一例を示す模式図である。 本発明のバイオセンサ用電極の他の例を示す模式図である。 本発明のバイオセンサの他の例を示す模式図である。 本発明のバイオセンサ用電極の他の例を示す模式図である。 本発明のバイオセンサ用電極の他の例を示す模式図である。 本発明のバイオセンサの使用方法の一例を示す模式図である。 実施例1のバイオセンサ用電極の構成を示す模式図である。
以下、本発明のバイオセンサ用電極およびバイオセンサについて詳細に説明する。
A.バイオセンサ用電極
本発明のバイオセンサ用電極は、基材と、上記基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系とを有するバイオセンサ用電極であって、上記電極系は、上記基材上に形成された下部電極層と、上記下部電極層上に形成され、カーボンおよびバインダー樹脂を含有する上部電極層とを有し、上記下部電極層は上記上部電極層よりも導電性が高く、上記作用極および上記対極間の抵抗値が、上記バイオセンサ用電極を用いて測定される試料の抵抗率から下記式(1)により換算される試料の抵抗値よりも高いことを特徴とするものである。
R=ρ×(L/S) (1)
(式(1)中、Rは試料の抵抗値、ρは試料の抵抗率、Lは作用極を構成する下部電極層および対極を構成する下部電極層間の距離、Sは作用極および対極間での試料の断面積を示す。)
本発明のバイオセンサ用電極について図面を参照しながら説明する。
図1(a)、(b)は本発明のバイオセンサ用電極の一例を示す模式図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。図1(a)、(b)に例示するように、バイオセンサ用電極1においては、基材2上に電極系10および配線部15が形成されている。電極系10は基材2上に順に積層された下部電極層3とカーボンおよびバインダー樹脂を含有する上部電極層4とを有しており、上部電極層4は下部電極層3を覆うように下部電極層3よりも幅広に形成されている。下部電極層3は上部電極層4よりも導電性が高いものとなっている。また、電極系10の下部電極層3と配線部15とは一体に形成されている。電極系10は作用極11と対極12と参照極13とを有しており、作用極11と対極12と参照極13とは所定の間隔をおいて配置されている。
図2(a)、(b)は本発明のバイオセンサ用電極を備えるバイオセンサの一例を示す模式図である。図2(a)はバイオセンサの斜視図を示し、便宜上、第2の基材および第3の基材を透過させた透視図としている。図2(b)はバイオセンサの分解図である。図2(a)、(b)に例示するように、バイオセンサ20においては、基材2上に電極系10および配線部15が形成されており、電極系10および配線部15の上部に、試料供給路23を形成するためのスペーサーである第2の基材21と、試料供給路23の上部カバーであり、第2の基材21を覆うように配置された第3の基材22とが順次積層され、固着されている。電極系10は作用極11、対極12および参照極13を有しており、作用極11の表面の一部に反応部16がさらに形成されている。
電極系10および配線部15の上部に配置された第2の基材21は、作用極11上に位置する反応部16、対極12および参照極13の上部に、例えば第2の基材21の外縁に通じるT字状の流路を形成するように配置されている。T字状の流路は、作用極11上に位置する反応部16、対極12および参照極13の上部に直線状に配置された空気抜き流路24と、空気抜き流路24に直交し、作用極11の反応部16の上部を通過する試料供給路23とにより構成されている。バイオセンサ20は、試料供給路23と空気抜き流路24とを有することで、試料供給路23から毛細管現象を利用し、測定する試料を作用極11、対極12および参照極13の上部を通過させ、試料の目的成分を測定することができる。
図3(a)、(b)は本発明のバイオセンサ用電極の他の例を示す模式図であり、図3(b)は図3(a)のA−A線断面図である。
上記の図1(a)、(b)に示す例においては、電極系10を構成する作用極11と対極12と参照極13とは所定の間隔をおいて配置されている。この電極間の間隔は比較的狭いため、例えば印刷法により上部電極層4を形成する場合にはインク汚れやアライメント誤差の影響等により、図3(a)、(b)に例示するように、隣接する上部電極層4がつながってしまいショートが発生する場合がある。
これに対し本発明においては、作用極11および対極12間の抵抗値が、バイオセンサ用電極1を用いて測定される試料の抵抗率から上記式(1)により換算される試料の抵抗値よりも高いことにより、本発明のバイオセンサ用電極を備えるバイオセンサにおいては、測定時に隣接する上部電極層間には電流をほとんど流れなくすることができる。
この理由について、図4(a)、(b)に示すように、バイオセンサ20において、作用極11を構成する上部電極層4と対極12を構成する上部電極層4と作用極13を構成する上部電極層4とがつながってしまいショートが発生している場合を挙げて説明する。図4(b)は図4(a)のA−A線断面図である。また、図4(a)では便宜上、第2の基材21および第3の基材22を省略し、上部電極層4を一点鎖線、絶縁層27を二点鎖線で示している。図4(a)、(b)に示すバイオセンサ20においては、電極系10および配線部15のコネクタ部分を除く領域を覆うように絶縁層27が形成されており、絶縁層27上に第2の基材21が配置されて試料供給路が形成され、第2の基材21上に第3の記載22が配置されている。また、試料供給路には試料30が充填されている。
このようなバイオセンサ20では、作用極11および対極12間において、作用極11および対極12間を流れる電流Iが試料30中を流れる電流Iよりも小さい場合には、作用極11および対極12間を流れる電流Iを無視することができ、作用極11および対極12間でのショートは無視することができる。すなわち、作用極11および対極12間において、作用極11および対極12間の抵抗値が試料30の抵抗値よりも高い場合には、作用極11および対極12間でのショートは無視することができる。
そこで本発明においては、作用極11および対極12間における試料の抵抗値を下記式(1)により求めることとする。
R=ρ×(L/S) (1)
(式(1)中、Rは試料の抵抗値、ρは試料の抵抗率、Lは作用極を構成する下部電極層および対極を構成する下部電極層間の距離、Sは作用極および対極間での試料の断面積を示す。)
ここで、作用極を構成する下部電極層および対極を構成する下部電極層間の距離Lとは、作用極を構成する下部電極層の端部から対極を構成する下部電極層の端部までの距離をいう。例えば図4(a)、(b)に示す距離Lを指す。
また、作用極および対極間での試料の断面積Sとは、作用極および対極間に供給される試料の断面積をいい、作用極を構成する下部電極層および対極を構成する下部電極層間の距離Lの長さ方向に対して直交する方向の断面の面積をいう。
作用極および対極間での試料の断面積Sは、バイオセンサにおいては、図4(a)、(b)に示すように、作用極および対極間での試料供給路の高さhと、作用極および対極間での試料供給路の幅wとで表すことができる。したがって、作用極および対極間における試料の抵抗値Rは下記式(2)により求めることができる。
R=ρ×(L/(w×h)) (2)
(式(2)中、Rは試料の抵抗値、ρは試料の抵抗率、Lは作用極を構成する下部電極層および対極を構成する下部電極層間の距離、wは作用極および対極間での試料供給路の幅、hは作用極および対極間での試料供給路の高さを示す。)
また、作用極および対極間の抵抗値とは、作用極および対極間の抵抗値の実測値をいう。
このように本発明においては、作用極および対極間の抵抗値が、バイオセンサ用電極を用いて測定される試料の抵抗率から上記式(1)により換算される試料の抵抗値よりも高いことにより、本発明のバイオセンサ用電極を備えるバイオセンサにおいては、測定時に隣接する上部電極層間には電流をほとんど流れなくすることができる。したがって、上部電極層の形状不良によりショートが発生した場合でも、電流を検出することができ、試料の目的成分を測定することが可能である。よって、上部電極層形成時のパターニング精度の影響が軽微であり、また上部電極層の形状不良の検査を要しないことから、バイオセンサの製造コストを低減することが可能である。
また本発明においては、上部電極層と上部電極層よりも導電性の高い下部電極層とが積層されているため、電極系の抵抗を大幅に下げることができ、感度を向上させることが可能である。特に、下部電極層と配線部とが一体に形成されている場合には、さらに感度を向上させることができる。
また本発明においては、下部電極層上に上部電極層が形成されていることにより、本発明のバイオセンサ用電極を備えるバイオセンサでは、下部電極層が試料中の水分やバイオセンサの反応部に含まれる酵素、電子受容体と直接接触するのを防止することができる。したがって、下部電極層に腐食されやすい金属や合金が含まれている場合であっても、試料中の水分や電子受容体の酸化還元反応により下部電極層が腐食されるのを抑制することができる。
以下、本発明のバイオセンサ用電極における各構成について説明する。
1.電極系
本発明における電極系は、作用極および対極を有するものであり、基材上に形成された下部電極層と、下部電極層上に形成され、カーボンおよびバインダー樹脂を含有する上部電極層とを有するものである。
以下、電極系の各構成について説明する。
(1)電極系
電極系は、少なくとも作用極および対極を有するものであり、さらに参照極を有していてもよい。作用極は、還元体の電子受容体に電圧を印加するための一方の電極である。対極は、電子受容体から作用極に放出された電子によって流れた電流を計測するための一方の電極である。また、参照極は、作用極の電位を決定する際の基準となる電極である。作用極、対極および参照極には配線部が電気的に接続されており、配線部により電極系への電圧印加、電気信号の取り出しを行うことができる。
本発明において、作用極および対極間の抵抗値は、本発明のバイオセンサ用電極を用いて測定される試料の抵抗率から下記式(1)により換算される試料の抵抗値、すなわち作用極および対極間における試料の抵抗値よりも高い。
R=ρ×(L/S) (1)
(式(1)中、Rは試料の抵抗値、ρは試料の抵抗率、Lは作用極を構成する下部電極層および対極を構成する下部電極層間の距離、Sは作用極および対極間での試料の断面積を示す。)
また、作用極および対極間における試料の抵抗値Rは、上述したように、下記式(2)により求めることができる。
R=ρ×(L/(w×h)) (2)
(式(2)中、Rは試料の抵抗値、ρは試料の抵抗率、Lは作用極を構成する下部電極層および対極を構成する下部電極層間の距離、wは作用極および対極間での試料供給路の幅、hは作用極および対極間での試料供給路の高さを示す。)
作用極を構成する下部電極層および対極を構成する下部電極層間の距離L、作用極および対極間での試料の断面積S、作用極および対極間での試料供給路の幅w、作用極および対極間での試料供給路の高さhは、任意の値とすることができる。
また、上部電極層は下部電極層よりも導電性が低いことから、通常、配線部には上部電極層は形成されない。そのため、作用極を構成する下部電極層および対極を構成する下部電極層間の距離Lの長さ方向に対して直交する方向において、上部電極層の幅は、作用極および対極間での試料供給路の幅とみなすことができる。
また、バイオセンサにおいて、第2基材の厚さは試料供給路の高さとみなすことができることから、上部電極層の厚さが試料供給路の高さに対して十分に小さい場合には、作用極および対極間での試料供給路の高さを、第2基材の厚さとみなすことができる。さらに、試料供給路の高さは、毛細管現象により安定して試料を供給する必要があることから、所定の値以上とされる。そのため、バイオセンサを作製しなくとも、必要な試料供給路の高さを見積もり、作用極および対極間における試料の抵抗値Rを求めることができる。
電極系の形態としては、バイオセンサにおける一般的な電極系の形態であれば特に限定されるものではない。例えば、図1(a)、(b)に示すように、基材2上に2本の配線部15が形成され、一方の配線部15に作用極11が接続され、他方の配線部15に対極12および作用極13が別々に接続されていてもよく、図2(a)、(b)および図6(a)、(b)に例示するように、基材2上に3本の配線部15が形成され、3本の配線部15にそれぞれ作用極11、対極12および参照極13が接続されていてもよい。
(2)上部電極層
本発明における上部電極層は、下部電極層上に形成され、カーボンおよびバインダー樹脂を含有するものであり、下部電極層表面を保護するとともに、電極系の一部として機能するものである。
上部電極層の表面抵抗率は、作用極および対極間の抵抗値が、本発明のバイオセンサ用電極を用いて測定される試料の抵抗率から上記式(1)により換算される試料の抵抗値よりも高くなるような値であればよく、具体的には103Ω/□以上106Ω/□以下の範囲内であることが好ましい。表面抵抗率が上記範囲未満であると、上部電極層の形状不良によりショートが発生した場合に、測定不能になるおそれがある。また、表面抵抗率が上記範囲よりも高いと、電極としての導電性が得られないおそれがある。なお、後述するように上部電極層が第1電極層と第2電極層とが積層されたものである場合には、第2電極層の表面抵抗率が上記範囲内であればよい。
また、上部電極層の体積抵抗率としては、上部電極層が電極の一部として機能する程度であればよく、厚さに応じて異なるものであるが、具体的には、上部電極層の厚さが0.2μm以上2.5μm以下の範囲内である場合には300Ωm以下であることが好ましい。体積抵抗率が上記範囲よりも高いと、電極としての導電性が得られないおそれがある。
ここで、表面抵抗率および体積抵抗率は、三菱化学株式会社製の抵抗率計ロレスタを用いて測定した値である。
上部電極層に用いられるカーボンとしては、カーボン顔料を用いることができ、例えば、黒鉛、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンファイバー、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー等が挙げられる。
また、上部電極層に用いられるバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エステル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。
上部電極層は、単層であってもよく、複数層が積層されたものであってもよい。上部電極層が、複数層が積層されたものである場合には、下部電極層上に形成され、カーボンおよび第1バインダー樹脂を含有する第1電極層と、第1電極層上に形成され、カーボンおよび第2バインダー樹脂を含有する第2電極層とを有し、第1バインダー樹脂が第2バインダー樹脂よりも吸水率が低いものであることが好ましい。
ここで、カーボン電極においては、試料中の水分や電子受容体(メディエータ)がカーボン電極に存在する空隙から電極内部に侵入し、酸化還元反応によりカーボン電極の下に形成されている下部電極を腐食して、バイオセンサの電気特性を低下させる場合がある。これに対し、カーボン電極が吸水率が低いバインダー樹脂を含有する場合には、第1電極層の耐水性を向上させることができる。したがって、上部電極層が第1電極層および第2電極層が積層されたものであり、第1電極層に含有される第1バインダー樹脂が第2電極層に含有される第2バインダー樹脂よりも吸水率が低いことにより、下部電極層に電子受容体の酸化還元反応により腐食を受けやすい金属や合金が含まれている場合であっても、試料中の水分やバイオセンサの反応部に含まれる電子受容体が第1電極層内部に侵入するのを抑制し、試料中の水分や電子受容体の酸化還元反応により第1電極層の下に形成されている下部電極層を腐食するのを抑制することができる。
第1電極層は、カーボンおよび第1バインダー樹脂を含有し、第1バインダー樹脂は第2電極層に含まれる第2バインダー樹脂よりも吸水率が低いものである。また、第1電極層は、水、薬品等に対して耐性を発現する電極層である。
第1電極層の吸水率は、第2電極層の吸水率よりも低ければよいが、具体的には0.1%以下であることが好ましい。ここで、吸水率は、JIS K7209(プラスチックの吸水率試験方法)に準拠して測定することができる。
第1バインダー樹脂としては、第2バインダー樹脂よりも吸水率が低く、上述のような吸水率が低く疎水性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩化酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル塩化ビニルグラフト共重合体から選択されるいずれか1種以上を用いることができる。これらの樹脂は吸水率が低く防湿性が高いので、第1電極層に耐薬品性、耐水性を付与し、下部電極層の防食効果を得ることができる。なお、第1電極層における「耐薬品性」とは、バイオセンサの反応部に含まれる電子受容体(メディエータ)や、試料中の成分、または下部電極層を酸化したり腐食したりする化学物質等に対する耐性を意味する。
第1電極層に用いられるカーボンとしては、上述のカーボンと同様である。
第2電極層は、カーボンおよび第2バインダー樹脂を含有し、第2バインダー樹脂は第2電極層に含まれる第1バインダー樹脂よりも吸水率が高いものである。また、第2電極層は、酵素や電子受容体(メディエータ)を溶解した水性溶液への親和性を高め、表面を保護する電極層であることが好ましい。
第2電極層の吸水率は、第1電極層の吸水率よりも高ければよいが、具体的には0.2%以上であることが好ましい。
第2バインダー樹脂としては、上記第1バインダー樹脂よりも吸水率が高いものであればよいが、上記第1バインダー樹脂よりも疎水性が低くまたは親水性が高く、水不溶性の樹脂を好適に用いることができる。第2電極層が第1バインダー樹脂よりも親水性の高い第2バインダー樹脂を含有する場合には、試料中に含まれる被検出物と酵素の反応により生じた電気信号を、電子受容体を介して第1電極層に伝達しやすくすることができるからである。このような第2バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アセタール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂から選択されるいずれか1種以上を用いることができる。アクリル樹脂、スチレン樹脂は側鎖の親水性で適宜、親水性の度合いが変えられ、ポリビニルアセタール樹脂はアセタール化度を変えることで同等に目的の親水性が得られる。また、ポリビニルアセタール樹脂、特にブチラール樹脂はフェノール樹脂やエポキシ樹脂、メラミン樹脂等を添加して架橋反応を起こすことで塗膜強度が上がるため、印刷物の擦れやキズにも強く、電極として第2電極層を最表面に位置させる場合には特に好適である。この架橋反応を補助する目的でイソシアネートやジアルデヒド等の硬化剤を併用することも可能である。第2バインダー樹脂として、第1バインダー樹脂よりも親水性の高い上記の樹脂を用いることで、第1電極層よりも水性の液体に対する接触角が低く濡れ性が高い第2電極層を得ることができる。
第2電極層に用いられるカーボンとしては、上述のカーボンと同様である。
第2電極層は濡れ性が高いので、バイオセンサの反応部を形成する際に、酵素や電子受容体(メディエータ)を溶解した水性溶液をディスペンサーやインクジェット、マスク転写、謄写印刷等で塗布する場合には均一な塗面が得られる。親水性の程度は、使用する塗布液や塗布プロセスに応じて適宜設定される。
上部電極層中のカーボンの含有量は、上記の表面抵抗率および体積抵抗率を満たす上部電極層を得ることができる程度であれば特に限定されるものではないが、5質量%以上95質量%以下の範囲内であることが好ましく、15質量%以上70質量%以下の範囲内であることがより好ましく、20質量%以上60質量%以下の範囲内であることがさらに好ましい。カーボンの含有量が上記範囲未満であると、カーボン顔料同士が電気的接続を有する確率が急激に低下して電極としての導電性が失われるおそれがある。また、カーボンの含有量が上記範囲よりも多いと、カーボン顔料間の空隙が多くなり、物理的な賦型強度、接着強度、耐摩擦強度が失われて、要求される構造・機能が保持できなくなるおそれがある。さらに、カーボン表面の酸化還元状態が安定せず、後工程で添加する酵素や電子受容体も空隙に不均一に吸着するようになるおそれがある。なお、第1電極層中のカーボン含有量および第2電極層中のカーボン含有量も上記と同様である。
上部電極層中のバインダー樹脂の含有量は、10質量%以上40質量%以下の範囲内であることが好ましい。バインダー樹脂の含有量が上記範囲未満であると、上部電極層の塗工特性が低下して塗膜強度も低下する場合がある。また、バインダー樹脂の含有量が上記範囲よりも多いと、同様に上部電極層の塗工特性が低下して導電性も低下する場合がある。なお、第1電極層中の第1バインダー樹脂含有量および第2電極層中の第2バインダー樹脂含有量も上記と同様である。
また、上部電極層においては、カーボンおよびバインダー樹脂に、必要に応じて他の導電性顔料、硬化剤や架橋剤のような反応試薬、加工適性改善のための助剤や添加剤等を混合してもよい。
上部電極層の厚さは0.1μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.3μm以上2.0μm以下の範囲内である。上部電極層の厚さが上記範囲未満であると、本発明のバイオセンサ用電極を備えるバイオセンサにおいて、上部電極層を挟んで下部電極層と反応部との隔絶が製造、保管、酵素反応の各条件、経時安定を保証する上で困難となるおそれがある。また、上部電極層の厚さが上記範囲よりも厚いと、抵抗が高くなるおそれがある。
また、上部電極層が上述したように第1電極層と第2電極層とが積層されたものである場合には、第1電極層の厚さおよび第2電極層の厚さがそれぞれ上記の範囲内であればよい。中でも、抵抗の低い電極を得るには、第2電極層の厚さを第1電極層の厚さよりも厚くすることが好ましく、具体的には第2電極層の厚さを第1電極層の厚さの1.5倍以上とすることが好ましい。
上部電極層の形成位置としては、下部電極層を覆うように上部電極層が形成されていてもよく、下部電極層の表面のみに上部電極層が形成されていてもよく、本発明のバイオセンサ用電極を備えるバイオセンサにおける試料と下部電極層との接触具合に応じて適宜選択される。中でも、下部電極層を覆うように上部電極層が形成されていることが好ましい。上部電極層で下部電極層を被覆することにより、下部電極層の防錆に寄与し、試料中の水分、酵素や電子受容体(メディエータ)と下部電極層との直接の接触を防止することができるからである。また、本発明においては隣接する上部電極層間でショートが発生しても測定可能なバイオセンサとすることができることから、下部電極層を覆うように上部電極層が形成されており上部電極層がショートを発生しやすい形状を有する場合に有用である。
このように本発明においては上部電極層でショートが発生しても測定可能なバイオセンサとすることができることから、図1(a)、(b)に例示するように上部電極層4は分離して形成されていてもよく、図3(a)、(b)および図5(a)、(b)に例示するように上部電極層4は一部または全部が連続して形成されていてもよい。すなわち、例えば電極系が作用極および対極を有する場合には、作用極を構成する上部電極層と対極を構成する上部電極層とは、分離して形成されていてもよく、一部または全部が連続して形成されていてもよい。また、例えば電極系が作用極、対極および参照極を有する場合には、同様に、作用極を構成する上部電極層と対極を構成する上部電極層と参照極を構成する上部電極層とは、分離して形成されていてもよく、一部または全部が連続して形成されていてもよい。中でも、図5(a)、(b)に例示するように上部電極層4の全部が連続して形成されている、すなわち上部電極層4が一体に形成されている場合には、高いパターニング精度を要しないことからプロセス上有利である。
なお、「一体に形成される」とは、電極系を構成する各電極の上部電極層が同一材料で一体に形成されていることをいう。
上部電極層の形成方法としては、所定のパターン状に上部電極層を形成することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えばカーボンおよびバインダー樹脂を含有するインキを印刷する方法が挙げられる。ピンホールの発生を抑制するためには、インキを複数回印刷することが好ましい。印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等が挙げられる。中でも、グラビア印刷法、フレキソ印刷法が好ましく用いられる。上述したように上部電極層は厚くなると抵抗が高くなるが、これらの方法では上部電極層の薄膜化が可能である。
また、上部電極層の表面に機械的研磨やコロナ・プラズマのような放電手法による物理的エッチング等を施して、表面の活性化を向上させてもよい。
(3)下部電極層
本発明における下部電極層は、基材上に形成され、上記上部電極層よりも導電性が高いものであり、電極系の一部として機能するものである。
下部電極層に用いられる導電性材料としては、上部電極層よりも導電性が高い下部電極層を形成可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、金、白金、銀、パラジウム、銅、鉄、アルミニウム、クロム、スズ、コバルト、ニッケル、チタン、セリウム、タンタル等の金属、またはこれらの金属を含む合金等を用いることができる。これらの金属には、電子受容体の酸化還元反応による腐食を受けやすい金属も含まれるが、本発明においては下部電極層上に上部電極層が積層されていることにより、酵素や電子受容体、試料中や空気中の水分と下部電極層との直接の接触を防止し、十分な防食効果を得ることができる。このような防食効果を得られること、および導電性や製造コストを考慮すると、下部電極層には貴金属を用いずに安価な金属を用いることが好ましく、アルミニウム、銅、鉄、クロム、スズ、コバルト、ニッケル、チタン、セリウム等の金属、またはこれらの金属を含む合金が好ましく用いられる。
また、下部電極層は、カーボンおよびバインダー樹脂を含有するものであってもよい。この場合には、例えば下部電極層の厚さを上部電極層の厚さよりも厚くする、または下部電極層中のカーボン含有量を上部電極層中のカーボン含有量よりも多くする等により、下部電極層の導電性を上部電極層よりも高くすることができる。なお、カーボンおよびバインダー樹脂としては、上記上部電極層に用いられるカーボンおよびバインダー樹脂と同様とすることができる。
下部電極層は、下部電極層の単層であってもよく、複数の下部電極層を積層したものであってもよい。
下部電極層の厚さは、0.005μm以上40μm以下の範囲内であることが好ましく、0.01μm以上0.1μm以下の範囲内であることがより好ましい。厚さが上記範囲未満であると、抵抗が高くなり目的とする電極が得られなくなるおそれがある。また、厚さが上記範囲より大きくなると、下部電極層上への上部電極層の積層や、試料供給路および空気抜き流路の形成に三次元的な高い加工精度が要求され、加工金型の使用数や加工工程および時間が飛躍的に増えるおそれがある。
下部電極層の形成方法としては、所定のパターン状に下部電極層を形成することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、金属ペーストを印刷する方法、真空蒸着法やスパッタリング法等の物理蒸着法、金属箔をエッチングする方法、カーボンおよびバインダー樹脂を含有するインキを印刷する方法等が挙げられる。中でも、物理蒸着法が好ましい。すなわち、下部電極層は上記の金属や合金で形成された金属蒸着層であることが好ましい。物理蒸着法は薄膜化が可能であり、下部電極層上に印刷法により上部電極層を容易に形成することができるからである。
2.配線部
本発明における配線部は、基材上に形成されるものである。配線部には作用極、対極および参照極が電気的に接続されており、配線部により電極系への電圧印加、電気信号の取り出しを行うことができる。
配線部は、通常、電極系の下部電極層と一体に形成されるものである。配線部と電極系の下部電極層とが一体に形成されていることにより、高感度のバイオセンサ用電極を得ることができる。なお、「一体に形成される」とは、配線部と電極系の下部電極層とが同一材料で一体に形成されていることをいう。
配線部の形態としては、バイオセンサにおける一般的な配線部の形態であれば特に限定されるものではなく、例えば上述の図1(a)、(b)、図2(a)、(b)および図6(a)、(b)に示すような形態が挙げられる。
3.基材
本発明に用いられる基材は、電極系および配線部を支持する基材であり、少なくとも電極系および配線部が形成される面は絶縁性を有する。
基材としては、例えば、樹脂基材、セラミック基材、ガラス基材、少なくとも表面が絶縁された半導体基材や金属基材等を用いることができる。基材は、剛性を有していてもよく、弾性を有していてもよい。中でも、電気絶縁性および弾性を有することが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。
4.試料
本発明のバイオセンサ用電極を用いて測定される試料としては、例えば血液、唾液、尿等の生体試料や、環境検査、食品検査の製品、廃液等を挙げることができる。これらの試料には相当量の水分を含有するものが多く、抵抗率は大きく異なるものではない。例えば、試料の抵抗率は1Ωcm〜1kΩcmの範囲内であることが好ましい。具体的には、血液の抵抗率は100Ωcm〜160Ωcmである。(ヘマトクリット、個人差等の変動要因がある。)
ここで、試料の抵抗率は、電極式または電磁式導電率計(電気導電率計)で測定した値である。
B.バイオセンサ
本発明のバイオセンサは、基材と、上記基材上に形成された電極系と、上記電極系の上部に配置された反応部とを有するバイオセンサであって、上記電極系は、上記基材上に形成された下部電極層と、上記下部電極層上に形成され、カーボンおよびバインダー樹脂を含有する上部電極層とを有し、上記下部電極層は上記上部電極層よりも導電性が高く、上記作用極および上記対極間の抵抗値が、上記バイオセンサを用いて測定される試料の抵抗率から上記式(1)により換算される試料の抵抗値よりも高いことを特徴とするものである。すなわち、本発明のバイオセンサは、上述のバイオセンサ用電極を備えるものである。
本発明においては、作用極および対極間の抵抗値が、バイオセンサを用いて測定される試料の抵抗率から上記式(1)により換算される試料の抵抗値よりも高いことにより、上部電極層の形状不良によりショートが発生した場合でも、電流を検出することができ、試料の目的成分を測定することが可能である。よって、上部電極層形成時のパターニング精度の影響が軽微であり、また上部電極層の形状不良の検査を要しないことから、安価なバイオセンサを提供することが可能である。
また本発明においては、上部電極層と上部電極層よりも導電性の高い下部電極層とが積層されているため、電極系の抵抗を大幅に下げることができ、高感度のバイオセンサとすることが可能である。
また本発明においては、下部電極層上に上部電極層が形成されていることにより、下部電極層に腐食されやすい金属や合金が含まれている場合であっても、試料中の水分や電子受容体の酸化還元反応により下部電極層が腐食されるのを抑制することができる。
なお、基材、電極系、配線部および試料については、上記「A.バイオセンサ用電極」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本発明のバイオセンサにおける他の構成について説明する。
1.反応部
本発明における反応部は、電極系の上部に配置されるものである。
本発明において、反応部は生体由来物質を含み、基質特異的な物質の変化移動に伴う、化学ポテンシャル、熱あるいは光学的な変化を電気信号へ変換する。
反応部は、生体由来物質として、例えば、酵素と電子受容体とを含む。
グルコース濃度を測定する場合には、酵素として、グルコースオキシダーゼ(GOD)、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を用いることができる。グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼは、純度の高いものが好ましく、後述の範囲の活性を有するものであれば特に由来となる生物種は限定されず、例えば、グルコースオキシダーゼとしては、東洋紡社製GLO−201を用いることができる。
電子受容体としては、フェリシアン化カリウム、フェロセン誘導体、キノン誘導体、オスミューム誘導体等を用いることができる。
また、バイオセンサは、反応部の酵素を変更することで、グルコースセンサのみならず、コレステロールセンサ、アルコールセンサ、スクロールセンサ、乳酸センサ、フルクトースセンサ等の酵素に関与する反応系に広く用いることができる。各バイオセンサに用いる酵素としては、コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、キサンチンオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼ等の反応系に合ったものを適宜用いることができる。
酵素と電子受容体は、適宜溶媒で希釈して用いる。溶媒としては、例えば、水、アルコール、水−アルコール混合溶媒が挙げられる。また、酵素と電子受容体は、直鎖、環状の炭化水素貧溶媒に均一分散させてもよい。
酵素および電子受容体はそれぞれ1試験体当り0.3ユニット以上10ユニット以下の範囲内および0.5μg以上200μg以下の範囲内とすることが好ましい。反応部の酵素および電子受容体は、酵素量(力価/ユニット)に準じた反応量が得られるが、反応部の性能を担保する最適重量部の小過剰でよい。
また、反応部は、その面積に比例した検出電流が得られるため、可能な範囲で広く設定することが好ましい。反応部は、親水性高分子と混合したり、あるいは親水性高分子および界面活性剤と混合したりして構成してもよい。親水性高分子と混合すると、血液はゲル状となり応答電流値は若干低下するが、赤血球や他のタンパク質等のセンサ応答への影響を低減することができる。界面活性剤を含有させると、粘度の高い試料液であってもバイオセンサの内部へ試料液を容易に導くことができるため、好ましい。
親水性高分子としては、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニル酢酸、ポリビニルブチラール等、またはこれらの混合物を用いることができる。
反応部に用いる界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、若しくはポリエチレングリコール類等が挙げられる。
反応部は、電極系の作用極を構成する上部電極層上に、酵素および電子受容体を含む溶液を塗布した後、乾燥させ溶媒成分を除去して形成することができる。
酵素および電子受容体を含む溶液の塗布方法としては、例えばディスペンサー法を用いることができる。
反応部を形成する場合、酵素は40℃以上で長時間放置すると活性を失うため、溶媒の乾燥は40℃以下で行い、乾燥後は速やかに室温に戻すことが好ましい。
反応部の形成位置は、作用極の上部であればよく、例えば、反応部を作用極上に形成してもよく、反応部を第2の基材および第3の基材の間に形成し、空間を介して作用極に対向するように配置してもよい。
2.その他の構成
本発明においては、電極系が形成された基材の上部に、試料供給路を備える第2の基材と、第2の基材を覆うように基材に固着されている第3の基材とが順に積層されていてもよい。
(1)第2の基材
本発明に用いられる第2の基材は、基材と第3の基材との間に間隙を設け、外部からバイオセンサへ試料供給を行うための流路を設けるための基材である。
第2の基材は、剛性を有していてもよく、弾性を有していてもよい。中でも、電気絶縁性および弾性を有することが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエステル樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。
第2の基材には少なくとも1つの試料供給路が形成されている。試料供給路は、第2の基材を水平方向に貫通して設けられた流路であり、外部から供給される試料を作用極に導く。
試料供給路の幅は0.5mm以上5mm以下の範囲内であることが好ましい。試料供給路の幅が上記範囲未満であると、流路への毛細管現象によるに安定した試料供給がされなくなる場合や、また反応部の電極面積を広く取れないため感度が低くなる場合がある。また、幅が上記範囲よりも大きくなると、バイオセンサを基材の電極系形成面に対して垂直に切断した際、試料供給路の幅の中心線へ向かって基材および第3の基材がアーチ状につぶれ、試料供給路内の容積が変化し易くなるおそれがある。試料供給路の幅は、全体にわたって均一の幅であってもよく、第2の基材の試料供給路の導入部である外縁に向かって幅が広くなっていてもよい。
第2の基材は、試料供給路とは別の空気抜き流路をさらに備えていてもよい。バイオセンサにおいて、空気抜き流路は、試料供給路に接続され、試料供給路と空気抜き流路とを合わせて例えばT字状の流路を構成している。このような構成とすることで、外部から試料が供給された場合に、試料供給路内の空気が逃げる空気抜き流路が機能する。
空気抜き流路の幅は、0.3mm以上10mm以下の範囲内であることが好ましい。空気抜き流路の幅が上記範囲未満であると、接着剤や第2の基材のバリが空気抜きの邪魔となるおそれがある。また、幅が上記範囲よりも大きくなると、第2の基材が変形した際、隣接する供給路にも変形が及び供給路容積の変動要因となるおそれがある。
流路の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、T字状の流路であってもよく、第2の基材に試料を導入する「U」の字状の切欠部を備えた試料供給路を形成し、第2の基材の切欠部に対応する位置に貫通孔を備えた第3の基材を配置してもよい。
流路の形成方法としては、例えば、打ち抜き加工が挙げられる。
第2の基材の厚さは、試料供給路および空気抜き流路の高さとなり、15μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましい。第2の基材の厚さが上記範囲未満であると、第2の基材の凹凸の影響で容積変化が生じ易く、毛細管現象による試料供給も安定しなくなるおそれがある。また、厚さが上記範囲よりも大きくなると、反応部に均一に試料が流れず、反応部の一部に試料が流れない可能性がある。
第2の基材の配置方法としては、例えば、第1接着層を介して電極系および配線部が形成された基材と第2の基材とを貼付し、第2接着層を介して第2の基材と第3の基材とを貼付する方法が挙げられる。貼合の順序は、第2の基材および第3の基材を貼合してから、第2の基材に基材を貼合してもよく、第2の基材および基材を貼合してから、第2の基材に第3の基材を貼合してもよい。また、第3の基材の下部表面に第2接着層を形成し、第2の基材、対極および参照極を第2接着層で包埋するように第3の基材を固着してもよい。
第1接着層および第2接着層の材料としては、例えば、合成接着剤としてはアクリル系接着剤、エステル系接着剤、ビニル系接着剤、シリコン系接着剤等、天然接着剤としてはニカワ、天然ゴム、樹液等の澱粉のり・天然高分子等を用いることができる。
第1接着層および第2接着層の厚さは、3μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましい。中でも、第2の基材と電極系および配線部が形成された基材とを貼り合わせる第1接着層の厚さは、電極系、配線部および反応部を合わせた厚さ以上、例えば20μm程度であることが好ましい。第2の基材と電極系および配線部が形成された基材とが第1接着層を介して密着され、試料供給路から供給される試料が配線部に流入するのを防御することができる。また、電極系および配線部が形成された基材と第1接着層とが密着していることで、配線部の防錆を実現することができる。
(2)第3の基材
本発明に用いられる第3の基材は、蓋材として機能する基材である。
第3の基材には、例えば、樹脂基材、セラミック基材、ガラス基材、半導体基材、金属基材等を用いることができる。第3の基材は、剛性を有していてもよく、弾性を有していてもよい。中でも、電気絶縁性および弾性を有することが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエステル樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。
第3の基材の形状は、電極系および配線部が形成された基材に応じて適宜選択されるものであり、例えば、第3の基材は配線部の一部が露出するように切欠部を有していてもよい。
切欠部の形成方法としては、例えば、打ち抜き加工が挙げられる。
第3の基材の配置方法としては、第2接着層を介して第2の基材と第3の基材とを貼付する方法が挙げられる。なお、電極系および配線部が形成された基材と第2の基材と第3の基材とを貼合する方法については、上記第2の基材の項に記載した通りである。
(3)絶縁層
本発明においては、電極系および配線部が形成された基材上に配線部を覆うように絶縁層が形成されていてもよい。配線部を覆うように絶縁層を形成することにより、配線部の酸化を防ぐとともに、ショートを防ぐことができる。
絶縁層には、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂を用いることができる。
絶縁層の形成位置としては、配線部を覆い、かつ電極系および配線部のコネクタ部分を覆わないように絶縁層を形成すればよい。
絶縁層の形成方法としては、所定のパターン状に絶縁層を形成することができる方法であればよく、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法が挙げられる。また、絶縁層を形成する際には、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を予めパターン状に塗布した後、硬化してもよく、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を全面に塗布した後、硬化したい部分のみにエネルギーを加えて硬化してもよい。
3.製造方法
本発明において、バイオセンサの製造は多面付けで行ってもよい。この場合、電極系および配線部が形成された基材と第2の基材と第3の基材とを貼合した後、断裁して個々のバイオセンサを得ることができる。
4.測定装置
図7(a)、(b)は、本発明のバイオセンサを測定装置に接続した様子を示す模式図であり、図7(a)は全体図であり、図7(b)は図7(a)の破線部における測定装置の内部を説明する図である。
図7(a)、(b)に例示するように、測定装置60は、公知の測定装置であって、バイオセンサ20を接続して、試料中に含まれる被検出物を検出する装置である。測定装置60は、例えば、バイオセンサ20で生じた電気信号を受信するための接続電極63、演算部(図示せず)、電源(図示せず)、表示部61および操作部62を備える。バイオセンサ20は、測定装置60の装着部に装着されると、バイオセンサ20の3つの配線部15の端部が測定装置60の接続電極63にそれぞれ接続される。この接続により、バイオセンサ20で生じた電気信号は、測定装置60に伝達される。
なお、図7(a)、(b)に示す例においては、基材2上に3本の配線部15が形成されており、測定装置は3本の接続電極63を有しているが、基材上に2本の配線部を形成して、一方の配線部に作用極、他方の配線部に対極および参照極を別々に接続した場合は、測定装置の接続電極は2本となる。
測定方法としては、例えば、測定者がバイオセンサ20を測定装置60に装着し、バイオセンサ20の先端から第2の基材に設けられた試料供給路に試料を導入し、操作部62を操作して、測定を開始する。試料供給路に導入された試料に被検出物が含まれる場合は、被検出物と、反応部に配設された生体由来物質とが反応し、電気信号がバイオセンサ20の電極系で検出され、電極系を介して配線部15の端部から、測定装置60の接続電極63を介して、測定装置60に伝達される。測定装置60は、バイオセンサ20から受信した電気信号を演算部で測定値に変換する。得られた測定値は、表示部61に表示され、測定者は測定結果を視覚的に認識することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
(バイオセンサ用電極の作製)
まず、厚さ100μmのPETフィルム(東レ社製ルミラー)の基板の表面に、プライマー剤(大日精化工業社製VM−D)を印刷し密着層を形成した。次に、密着層上に水溶性レジストを用いて印刷法でレジストパターンを形成した。次いで、基板のレジストパターンが形成された面に、銀を用いて真空蒸着法により厚さ50nmの金属蒸着層を形成した。その後、温水による水洗を行い、レジストパターンを溶解させて、レジストパターン上に形成された金属蒸着層を除去し、パターン状の金属蒸着層から構成される配線部および下部電極層を形成した。配線部15および下部電極層3を構成する金属蒸着層のパターン寸法を図8に示す。
次に、下部電極層上に、グラビア印刷用製版90線で幅3.0mm、長さ5.0mmのインキパターンを転写し、同一のグラビア印刷用製版、同一のアライメントで2層のカーボン電極層を積層して上部電極層を形成した。この際、図8に示すように、作用極11、対極12、参照極13を構成する上部電極層4が一体に形成されるようにインキパターンを転写した。
すなわち、まず、下部電極層上に、カーボン顔料としてカーボンブラックを含み、バインダー樹脂として塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体を含み、溶剤として酢酸エチルおよびメチルエチルケトン(1:1)を含むカーボングラビアインキI(FDK導電墨インキ、合同インキ社製)を印刷し、120℃で10分間乾燥して、1層目の第1電極層を形成した。第1電極層は0.7μm厚であった。
次いで、第1電極層上に、カーボン顔料としてカーボンブラックを含み、バインダー樹脂としてブチラール樹脂を含み、溶剤としてトルエン、イソプロピルアルコールおよびメチルエチルケトン(60:25:15)を含むカーボングラビアインキII(処理PET用導電墨インキ、合同インキ社製)を印刷し、120℃で10分間乾燥して、2層目の第2電極層を形成した。第2電極層は1.2μm厚であった。
この際、下記表1に示すように、カーボングラビアインキIおよびカーボングラビアインキIIのカーボン含有量を変化させて第1電極層および第2電極層を形成した。
Figure 2014153280
(評価)
また、図8に示すように、作用極11が接続されている配線部15の先端A1と対極12が接続されている配線部15の先端B1との間の抵抗値(作用極および対極間の抵抗値)と、作用極11が接続されている配線部15の先端A1と作用極11を構成する上部電極層4の表面A2との間の抵抗値(層間1の抵抗値)と、対極12および作用極13が接続されている配線部15の先端B1と対極12を構成する上部電極層4の表面B2との間の抵抗値(層間2の抵抗値)とを測定した。測定結果を下記表2に示す。なお、No.4については抵抗値が高くすべて測定できなかった。
Figure 2014153280
No.1〜3は電極間の抵抗値からショートしていることがわかる。
[実施例2]
(バイオセンサの作製)
実施例1のNo.1〜3のバイオセンサ用電極を用いてバイオセンサを作製した。すなわち、まず、電極系の作用極上に、酵素としてグルコースオキシダーゼ(東洋紡社製GLO−201)を1ユニット、電子受容体としてフェリシアン化カリウム70μgを蒸留水2μLに溶解し、均一に滴下して反応部を形成した。
次に、配線部のコネクタ部分および電極系(作用極、対極、参照極)以外の領域を覆うように、UV硬化型レジスト(サンタイプ社製S−114)を10μm厚でスクリーン印刷により塗工し、メタルハライドランプを照射量:403J/cm2、強度:418mW、試料移動速度:7m/分の条件で照射して硬化させ、絶縁層を形成した。
次に、両面粘着テープ(住友スリーエム社製9629FL)をスペーサーとしてカットした後、配線部、電極系および絶縁層が形成された基材上に添着して、流路を作製した。続いて、カバーとして片面防曇PETフィルム(スリーエムヘルスケア社製#9971)を用い、片面防曇PETフィルムの防曇面を電極系と対向させてスペーサーと貼り合せた。
(評価)
得られたバイオセンサをポテンシオスタット(ビーエーエス社製ALS760)の作用極、対極、参照極に配線し、0.5V電圧印加で試料2.5μL滴下後2秒後の電流を検出した。試料には、生理食塩水にグルコースを100mg/dLの濃度に調製した人工標準グルコース液を用いた。
この人工標準グルコース液の抵抗率は62.5Ωcmであり、下記に示すように上記式(1)より作用極および対極間における試料の抵抗値を求めた。ここで、図8に示すように作用極11を構成する下部電極層3および対極12を構成する下部電極層3間の距離Lは0.5mm(0.05cm)であり、図示しないが、作用極および対極間での試料供給路の幅wは2mm(0.2cm)、作用極および対極間での試料供給路の高さhは100μm(0.01cm)であった。
R=ρ×(L/S)
=ρ×(L/(w×h))
=63.5[Ωcm]×(0.05[cm]/(0.2[cm]×0.01[cm]))
=1587.5[Ω]
表2のNo.1〜3の作用極および対極間の抵抗値はいずれも、この試料の抵抗値Rよりも高かった。ここで、図3(a)、(b)に例示するように、印刷法により上部電極層4を形成する場合にインク汚れやアライメント誤差の影響等により、隣接する上部電極層4がつながってしまいショートが発生する場合には、図8に示すモデルよりも作用極11を構成する上部電極層4と対極12を構成する上部電極層4とがつながる部分が小さいため、実際には作用極および対極間の抵抗値は表2の値よりも高くなる。
No.1〜3のバイオセンサでは電流が検出され、グルコース濃度を検出可能な電極が作製されたことが確認された。なお、No.1のバイオセンサでは電流は検出されたが、安定せずノイズレベルであった。
1 … バイオセンサ用電極
2 … 基材
3 … 下部電極層
4 … 上部電極層
10 … 電極系
11 … 作用極
12 … 対極
13 … 参照極
15 … 配線部
16 … 反応部
20 … バイオセンサ
21 … 第2の基材
22 … 第3の基材
23 … 試料供給路
24 … 空気抜き流路

Claims (4)

  1. 基材と、前記基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系とを有するバイオセンサ用電極であって、
    前記電極系は、前記基材上に形成された下部電極層と、前記下部電極層上に形成され、カーボンおよびバインダー樹脂を含有する上部電極層とを有し、
    前記下部電極層は前記上部電極層よりも導電性が高く、
    前記作用極および前記対極間の抵抗値が、前記バイオセンサ用電極を用いて測定される試料の抵抗率から下記式(1)により換算される試料の抵抗値よりも高いことを特徴とするバイオセンサ用電極。
    R=ρ×(L/S) (1)
    (式(1)中、Rは試料の抵抗値、ρは試料の抵抗率、Lは作用極を構成する下部電極層および対極を構成する下部電極層間の距離、Sは作用極および対極間での試料の断面積を示す。)
  2. 前記下部電極層が金属蒸着層であることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ用電極。
  3. 前記作用極を構成する前記上部電極層と前記対極を構成する前記上部電極層とが一体に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバイオセンサ用電極。
  4. 基材と、前記基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系と、前記電極系上に配置された反応部とを有するバイオセンサであって、
    前記電極系は、前記基材上に形成された下部電極層と、前記下部電極層上に形成され、カーボンおよびバインダー樹脂を含有する上部電極層とを有し、
    前記下部電極層は前記上部電極層よりも導電性が高く、
    前記作用極および前記対極間の抵抗値が、前記バイオセンサを用いて測定される試料の抵抗率から下記式(1)により換算される試料の抵抗値よりも高いことを特徴とするバイオセンサ。
    R=ρ×(L/S) (1)
    (式(1)中、Rは試料の抵抗値、ρは試料の抵抗率、Lは作用極を構成する下部電極層および対極を構成する下部電極層間の距離、Sは作用極および対極間での試料の断面積を示す。)
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