JP2013185114A - ポリウレタンフォームの製造方法、ポリイソシアネート系組成物及びポリウレタンフォーム用発泡性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】発泡剤として非フロン系発泡剤を用いてポリウレタンフォームを製造する方法であって、ポリオール系組成物中のポリオール化合物とポリイソシアネート系組成物中のポリイソシアネート化合物との反応が効果的に進行し、また、得られるポリウレタンフォームが優れた難燃性を発現し得る方法を、提供すること。
【解決手段】少なくともポリオール化合物を含むポリオール系組成物と、少なくともポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート系組成物とを反応、発泡させることによりポリウレタンフォームを製造する方法にして、発泡剤として非フロン系発泡剤を用いると共に、ポリイソシアネート系組成物に難燃性付与成分としての臭素化エポキシ化合物を含有せしめる。
【選択図】なし
【解決手段】少なくともポリオール化合物を含むポリオール系組成物と、少なくともポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート系組成物とを反応、発泡させることによりポリウレタンフォームを製造する方法にして、発泡剤として非フロン系発泡剤を用いると共に、ポリイソシアネート系組成物に難燃性付与成分としての臭素化エポキシ化合物を含有せしめる。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリウレタンフォームの製造方法、並びにそこにおいて用いられるポリイソシアネート系組成物及びポリウレタンフォーム用発泡性組成物に係り、特に、二酸化炭素の如き非フロン系発泡剤を利用してポリウレタンフォームを製造する際に、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応が効果的に進行し、また、得られるポリウレタンフォームの難燃性をより一層有利に改善せしめるための技術に関するものである。
従来より、ポリウレタンフォームは、その優れた断熱性や接着性を利用して、主に、断熱部材として、建築用内外壁材やパネル等の断熱、金属サイディングや電気冷蔵庫等の断熱、ビル・マンション・冷凍倉庫等の躯体、壁面、天井、屋根等の断熱及び結露防止、輸液パイプ等の断熱に実用されている。また、かかるポリウレタンフォームは、一般に、ポリオール化合物に、発泡剤、更に必要に応じて触媒や整泡剤、難燃剤等の各種助剤を配合したポリオール系組成物(プレミックス液)と、ポリイソシアネート化合物とを、混合装置により連続的に又は断続的に混合してポリウレタンフォーム用発泡性組成物とし、これを、スラブ発泡法、注入発泡法、スプレー発泡法、ラミネート連続発泡法等の方式により発泡、硬化させることにより、製造されている。
そして、そこで用いられるポリウレタンフォーム用発泡性組成物には、成層圏オゾン層の破壊という環境問題から、発泡剤として、オゾン層破壊の少ない又は生じない代替フロンであるハイドロフルオロカーボン系発泡剤(例えば、HFC−245fa,HFC−365mfc等)が、使用されている。しかし、近い将来、代替フロンの使用も制限されるとの推測から、近年においては、二酸化炭素(炭酸ガス)を、代替フロン系発泡剤等の、既存の発泡剤の一部又は全部の代替として用いて製造されるポリウレタンフォームが、検討されている。例えば、特許文献1や特許文献2には、ポリイソシアネート化合物と水との化学反応で生成する二酸化炭素を発泡剤として利用する、所謂「水発泡法」で製造されるポリウレタンフォームが、明らかにされている。また、特許文献3には、発泡剤として、水とポリイソシアネート化合物との反応により発生する二酸化炭素と、超臨界状態、亜臨界状態又は液体状態の二酸化炭素とを併用して、製造されるポリウレタンフォームが、明らかにされている。更に、特許文献4には、二酸化炭素(水)の他に、低沸点の炭化水素等を発泡剤として用いて、ポリウレタンフォームを製造することが、明らかにされている。
ところが、そのような二酸化炭素や炭化水素等の非フロン系の発泡剤を用いて製造されるポリウレタンフォームは、基本的に、他の発泡法で製造されるポリウレタンフォームよりも難燃性が劣る等の問題を内在するものであった。
このような状況の下、ポリウレタンフォームの難燃性を向上させるべく、難燃性付与成分として臭素化エポキシ化合物を使用する技術が種々、提案されている。例えば、特許文献5の明細書[0048]等には、ポリイソシアネート成分と反応させてポリウレタンフォームを得るためのポリオール成分に、臭素化エポキシ化合物(同文献における式(1)で表される化合物)を配合させる旨が記載されている。
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、発泡剤として非フロン系発泡剤を用いてポリウレタンフォームを製造する方法であって、ポリオール系組成物中のポリオール化合物とポリイソシアネート系組成物中のポリイソシアネート化合物との反応が効果的に進行し、また、得られるポリウレタンフォームが優れた難燃性を発現し得る方法を、提供することにある。また、本発明は、そのようなポリウレタンフォームの製造方法に有利に用いられる、ポリウレタンフォーム原料としてのポリイソシアネート系組成物及びポリウレタンフォーム用発泡性組成物を提供することをも、その解決課題とするものである。
そして、本発明者等が、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、難燃性付与成分としての臭素化エポキシ化合物を、ポリオール化合物に配合せしめるのではなく、ポリイソシアネート化合物に配合してポリイソシアネート系組成物とし、かかるポリイソシアネート系組成物とポリオール系組成物とを反応せしめると、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応が有利に進行すると共に、得られるポリウレタンフォームが優れた難燃性を発現することを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、少なくともポリオール化合物を含むポリオール系組成物と、少なくともポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート系組成物とを反応、発泡させることによりポリウレタンフォームを製造する方法にして、発泡剤として非フロン系発泡剤を用いると共に、前記ポリイソシアネート系組成物が、難燃性付与成分としての臭素化エポキシ化合物を含むことを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法を、その要旨とするものである。
なお、かかる本発明に従うポリウレタンフォームの製造方法の好ましい態様の一つによれば、前記発泡剤が、前記ポリイソシアネート化合物と水との反応により発生する二酸化炭素である。
このように、本発明に従うポリウレタンフォームの製造方法にあっては、発泡体の形成に二酸化炭素の如き非フロン系発泡剤を用いるものの、難燃性付与成分として臭素化エポキシ化合物を用いるものであり、また、臭素化エポキシ化合物を、ポリオール化合物に配合するのではなく、ポリイソシアネート化合物に配合してポリイソシアネート系組成物とし、かかるポリイソシアネート系組成物と、少なくともポリオール化合物を含むポリオール系組成物とを反応させるものである。このように、ポリオール系組成物と、臭素化エポキシ化合物を含むポリイソシアネート系組成物と反応させることによって、ポリオール系組成物中のポリオール化合物とポリイソシアネート系組成物中のポリイソシアネート化合物の反応が効果的に進行することとなるのである。具体的には、ポリオール系組成物、及び、臭素化エポキシ化合物を含むポリイソシアネート系組成物を調製し、それらの組成物を比較的長期間に亘って放置した後、ポリウレタンフォームを製造するべく両者を混合し、反応せしめた場合にあっても、ポリオール系組成物中のポリオール化合物とポリイソシアネート系組成物中のポリイソシアネート化合物との反応は効果的に進行するのである。また、そのような、調製から時間が経過したポリオール系組成物及びポリイソシアネート系組成物を用いた場合にあっても、得られるポリウレタンフォームは、調製直後のそれら組成物を用いて得られるポリウレタンフォームと同程度の優れた難燃性を発現するのである。
以下に、本発明に従うポリウレタンフォームの製造方法について、詳細に説明することとする。
本発明に従うポリウレタンフォームの製造方法においては、少なくともポリオール化合物を含むポリオール系組成物と、少なくともポリイソシアネート化合物及び臭素化エポキシ化合物を含むポリイソシアネート系組成物とが使用される。
A.ポリオール系組成物
ポリオール系組成物の主成分たるポリオール化合物としては、従来よりポリウレタンフォームを製造する際に用いられるポリオール化合物であれば、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、何れのポリオール化合物であっても使用することが可能である。具体的には、フェノール樹脂系、芳香族ジアミン系、マンニッヒ系、グリセリン系、ソルビトール系、グリコール系、脂肪族ジアミン系等の各種ポリオール、ハロゲン化ポリオール、ポリエステルポリオール等を挙げることが出来、これら公知のポリオール化合物の中から、目的に応じた一種又は二種以上のものが適宜に選択されて、使用される。以下に、本発明において使用可能な代表的なポリオール化合物について、説明する。
ポリオール系組成物の主成分たるポリオール化合物としては、従来よりポリウレタンフォームを製造する際に用いられるポリオール化合物であれば、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、何れのポリオール化合物であっても使用することが可能である。具体的には、フェノール樹脂系、芳香族ジアミン系、マンニッヒ系、グリセリン系、ソルビトール系、グリコール系、脂肪族ジアミン系等の各種ポリオール、ハロゲン化ポリオール、ポリエステルポリオール等を挙げることが出来、これら公知のポリオール化合物の中から、目的に応じた一種又は二種以上のものが適宜に選択されて、使用される。以下に、本発明において使用可能な代表的なポリオール化合物について、説明する。
−フェノール樹脂系ポリオール−
フェノール樹脂系ポリオールとは、ノボラック樹脂、換言すればノボラック型のフェノール樹脂に、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド又はそれらの混合物等のアルキレンオキサイドを付加させることによって、得られるものである。なお、このようなフェノール樹脂系ポリオールの調製に使用されるノボラック型フェノール樹脂(ノボラック樹脂)としては、有利には、低粘度化の観点から、遊離フェノール類を1〜50質量%、好ましくは5〜35質量%、より好ましくは10〜30質量%程度の割合で含有するものが、採用されることとなる。これは、遊離フェノール類の含有割合が1質量%未満では、有効な低粘度化を図ることが困難であって、目的とするポリウレタンフォーム用発泡性組成物を使用に供することが出来ない恐れがあるからであり、逆に50質量%を超えるようになると、ポリウレタンフォームが柔らかくなり過ぎて、成形性の悪化を招く傾向があるからである。
フェノール樹脂系ポリオールとは、ノボラック樹脂、換言すればノボラック型のフェノール樹脂に、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド又はそれらの混合物等のアルキレンオキサイドを付加させることによって、得られるものである。なお、このようなフェノール樹脂系ポリオールの調製に使用されるノボラック型フェノール樹脂(ノボラック樹脂)としては、有利には、低粘度化の観点から、遊離フェノール類を1〜50質量%、好ましくは5〜35質量%、より好ましくは10〜30質量%程度の割合で含有するものが、採用されることとなる。これは、遊離フェノール類の含有割合が1質量%未満では、有効な低粘度化を図ることが困難であって、目的とするポリウレタンフォーム用発泡性組成物を使用に供することが出来ない恐れがあるからであり、逆に50質量%を超えるようになると、ポリウレタンフォームが柔らかくなり過ぎて、成形性の悪化を招く傾向があるからである。
そして、このようなノボラック型フェノール樹脂は、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを、フェノール類の1モルに対して、アルデヒド類を0.3〜1.0モルの割合で配合し、次いで酸触媒を加えて所定の反応条件(温度や時間)で反応させた後、必要に応じて減圧脱水処理を施すことにより、ノボラック型フェノール樹脂の初期縮合物として、有利に製造されることとなる。ここで、初期縮合物とは、分子量が比較的に低いフェノール樹脂であって、1分子中に、2〜10程度のフェノール骨格を有する縮合物や未反応フェノール類の混合物である。なお、かかるノボラック型フェノール樹脂(初期縮合物)の製造方法は、上記方法に何等限定されるものではなく、生成するノボラック型フェノール樹脂中に上記の遊離フェノール類の所定割合が存在するようにして、適宜に反応条件や反応環境(例えば、常圧、減圧、加圧、不活性ガスの共存の有無、段階的又は逐次的反応等)を設定して、製造することが出来る。更には、上記反応終了後の縮合物に対して、必要に応じて、別途フェノール類を加える等して、遊離フェノール類の含有割合を上記のように調整することも可能である。
なお、上記ノボラック型フェノール樹脂の製造に際して用いられるフェノール類としては、特に限定されるものではなく、一般に、フェノールが採用されるが、必要に応じて、例えば、クレゾール、エチルフェノール、キシレノール、p−t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、p−フェニルフェノール等のアルキルフェノールのうちの1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いることも、又はそのようなアルキルフェノールのうちの1種以上とフェノールとを併用することも出来る。更には、レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、フロログルシノール等の多価フェノール、ビスフェノールA[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン]、ビスフェノールF(4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン)等のビスフェノール、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール系化合物の精製残渣、α−ナフトール、β−ナフトール、β−ヒドロキシアントラセンのうちの1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いることも、又はそれらのうちの1種以上と、フェノールやアルキルフェノールとを併用することも出来る。
一方、上記フェノール類と反応せしめられるアルデヒド類としては、特に限定されるものではなく、一般にホルマリン、パラホルムアルデヒドのうちの何れか一方若しくは両方が用いられるが、必要に応じて、その他のホルムアルデヒド類(例えば、トリオキサン、テトラオキサン、ポリオキシメチレン等)、グリオキサール等を単独で、或いは併用することが出来る。
また、ノボラック型フェノール樹脂の製造に使用される酸触媒としては、シュウ酸が好適であるが、その他にも、有機スルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸等)、有機カルボン酸(例えば、酢酸等)の二価金属(例えば、マグネシウム、亜鉛、鉛等)塩、二価金属の塩化物、二価金属の酸化物、無機酸(例えば、塩酸、硫酸等)等を単独で用いてもよく、勿論、これらのうちの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、ポリオール化合物の一つとして用いられるフェノール樹脂系ポリオールは、上述のようにして製造されたノボラック型フェノール樹脂に、塩基性触媒の存在下で、所定のアルキレンオキサイドを付加反応させることによって、得られるものであり、これによって、有利には、遊離フェノール類を含む、ノボラック型フェノール樹脂のフェノール性水酸基の部位に、上記所定のアルキレンオキサイドが付加されて、フェノール性水酸基がアルコール性水酸基へ変換されたフェノール樹脂系ポリオールとなる。このように、所定のアルキレンオキサイドの付加によって、フェノール樹脂が改質され、ポリオール化合物の親水性が更に向上されることとなり、その結果として、上記フェノール樹脂系ポリオールは、特に、二酸化炭素を発泡剤とする発泡法において用いられるポリオールとして好適であるのみならず、後述するポリイソシアネート化合物との混合性にも優れたものとなるのである。
なお、上記フェノール樹脂系ポリオールは、アルキレンオキサイドの配合量等を適宜に選定することにより、その水酸基価が、有利には、100〜600mgKOH/gとなるように、好ましくは150〜450mgKOH/gとなるように、より好ましくは200〜400mgKOH/gとなるように構成される。この水酸基価が低くなり過ぎると、それを用いて得られるフォームが柔らかくなり過ぎて、成形性が悪くなり、目的とするポリウレタンフォームが得られない傾向があるからであり、逆に、水酸基価が高くなり過ぎると、粘度が充分に低くならず、ポリイソシアネート化合物との混合性が悪くなる傾向があるからである。また、この水酸基価に対応して、フェノール樹脂系ポリオールの粘度も変動することとなるが、本発明において用いられるフェノール樹脂系ポリオールの粘度は、500〜50000mPa・s/25℃の範囲が好ましい。
ここで、上記フェノール樹脂系ポリオールの製造に用いられるアルキレンオキサイドとしては、一般に、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド又はそれらの混合物等であり、得られるフォームの特性に応じて、適宜に選定されることとなる。また、そのようなアルキレンオキサイドの配合量としては、一般に、ノボラック型フェノール樹脂のフェノール性水酸基に対して、1〜20倍当量となる範囲において、適宜に選択されることとなる。
そして、上記フェノール樹脂系ポリオールの製造に用いられる、換言すれば上記ノボラック型フェノール樹脂と所定のアルキレンオキサイドとの付加反応に用いられる、塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ性触媒を好適に採用することが出来、これらのうちの少なくとも1種が適宜に選択されて、用いられることとなるが、勿論、これらに限定されるものではないことは、言うまでもないところである。
−芳香族ジアミン系ポリオール−
芳香族ジアミン系ポリオールとは、芳香族ジアミンに、公知の手法に従って、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等の所定のアルキレンオキサイドを付加させることによって、得られるものである。換言すれば、かかる芳香族ジアミン系ポリオールは、芳香族ジアミンを開始剤として、これに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド又はそれらの混合物等のアルキレンオキサイドを開環付加せしめてなる、末端水酸基の多官能ポリエーテルポリオール化合物である。
芳香族ジアミン系ポリオールとは、芳香族ジアミンに、公知の手法に従って、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等の所定のアルキレンオキサイドを付加させることによって、得られるものである。換言すれば、かかる芳香族ジアミン系ポリオールは、芳香族ジアミンを開始剤として、これに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド又はそれらの混合物等のアルキレンオキサイドを開環付加せしめてなる、末端水酸基の多官能ポリエーテルポリオール化合物である。
なお、そのような芳香族ジアミン系ポリオールを与える、開始剤としての芳香族ジアミンには、公知の各種の芳香族ジアミン化合物を用いることが出来、具体的には、トリレンジアミンと総称される、フェニレンジアミンの各種のメチル置換体の他、そのアミノ基に対して、メチル、エチル、アセチル、ベンゾイル等の置換基が導入されてなる誘導体や、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン等を、例示することが出来る。また、それらの中でも、得られるポリウレタンフォームの特性を高める上において、トリレンジアミンが好ましく用いられることとなる。
ところで、かくの如き芳香族ジアミンにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等の所定のアルキレンオキサイドを付加させて得られる芳香族ジアミン系ポリオールとしては、各種のものが市販されており、例えば、トリレンジアミン系ポリオールとして、サンニックスHA−501、同HM−550、同HM−551(以上、何れも、三洋化成工業株式会社製品)等の商品を例示することが出来、本発明にあっては、それら市販品の中から、適宜に選定して用いられることとなる。なお、この芳香族ジアミン系ポリオールの水酸基価は、有利には200〜600mgKOH/g、また粘度は、有利には500〜30000mPa・s/25℃の範囲内とされる。
−マンニッヒ系ポリオール−
マンニッヒ系ポリオールとは、マンニッヒ反応を利用して得られる、分子中に2個以上の水酸基を有するマンニッヒ縮合物、又はそのようなマンニッヒ縮合物にアルキレンオキサイドを付加させたマンニッヒ系ポリエーテルポリオール、又はこれらの混合物である。これらの中でも、フェノール類、アルデヒド類及び第二級アミンを反応させたマンニッヒ縮合物、又はそのようなマンニッヒ縮合物にアルキレンオキサイドを付加させたマンニッヒ系ポリエーテルポリオール等の、フェノール類ベースのマンニッヒ系ポリオールが好ましい。かかる好ましいマンニッヒ系ポリオールの具体例としては、前者については、特開平10−298258号公報に記載の手法に従って製造されるマンニッヒ縮合物を挙げることが出来、また、後者については、商業的に入手することが可能なマンニッヒ系ポリエーテルポリオールである、旭硝子株式会社製のEXCENOL−200R、EXCENOL−400R、EXCENOL−FB800(何れも商品名)等を、例示することが出来る。
マンニッヒ系ポリオールとは、マンニッヒ反応を利用して得られる、分子中に2個以上の水酸基を有するマンニッヒ縮合物、又はそのようなマンニッヒ縮合物にアルキレンオキサイドを付加させたマンニッヒ系ポリエーテルポリオール、又はこれらの混合物である。これらの中でも、フェノール類、アルデヒド類及び第二級アミンを反応させたマンニッヒ縮合物、又はそのようなマンニッヒ縮合物にアルキレンオキサイドを付加させたマンニッヒ系ポリエーテルポリオール等の、フェノール類ベースのマンニッヒ系ポリオールが好ましい。かかる好ましいマンニッヒ系ポリオールの具体例としては、前者については、特開平10−298258号公報に記載の手法に従って製造されるマンニッヒ縮合物を挙げることが出来、また、後者については、商業的に入手することが可能なマンニッヒ系ポリエーテルポリオールである、旭硝子株式会社製のEXCENOL−200R、EXCENOL−400R、EXCENOL−FB800(何れも商品名)等を、例示することが出来る。
−ハロゲン化ポリオール−
ハロゲン化ポリオールとは、分子内にハロゲン原子を結合含有するポリオールである。かかるハロゲン原子としては臭素原子又は塩素原子が好ましい。本発明においては、好ましくは100〜4000g/molの平均モル質量を有するハロゲン化ポリオールが、より好ましくは250〜1000g/molの平均モル質量を有するハロゲン化ポリオールが、使用される。また、平均して、少なくとも2個、特に好ましくは少なくとも4個のハロゲン原子が、それぞれのハロゲン化ポリオール分子内に存在するポリオールが、有利に用いられることとなる。具体的には、ジブロモネオペンチルグリコール、2,3−ジブロモブト−2−エン−1,4−ジオール、臭素化ビスフェノールA誘導体のような臭素化ポリオールや、そのような臭素化ポリオールにエピクロロヒドリンを付加させて得られるクロロ臭素化ポリオール等を挙げることが出来る。また、そのようなハロゲン含有ポリオールは各種市販されており、例えば、Ixol B−251、M−125、T−301(何れも、Solvay Cie社製品)、Dow FR−200(Dow Chemical社製品)、Saytex RB−77、RB−34ジオール( Saytech Inc. 社製品)等があり、適宜に選択して用いられることとなる。
ハロゲン化ポリオールとは、分子内にハロゲン原子を結合含有するポリオールである。かかるハロゲン原子としては臭素原子又は塩素原子が好ましい。本発明においては、好ましくは100〜4000g/molの平均モル質量を有するハロゲン化ポリオールが、より好ましくは250〜1000g/molの平均モル質量を有するハロゲン化ポリオールが、使用される。また、平均して、少なくとも2個、特に好ましくは少なくとも4個のハロゲン原子が、それぞれのハロゲン化ポリオール分子内に存在するポリオールが、有利に用いられることとなる。具体的には、ジブロモネオペンチルグリコール、2,3−ジブロモブト−2−エン−1,4−ジオール、臭素化ビスフェノールA誘導体のような臭素化ポリオールや、そのような臭素化ポリオールにエピクロロヒドリンを付加させて得られるクロロ臭素化ポリオール等を挙げることが出来る。また、そのようなハロゲン含有ポリオールは各種市販されており、例えば、Ixol B−251、M−125、T−301(何れも、Solvay Cie社製品)、Dow FR−200(Dow Chemical社製品)、Saytex RB−77、RB−34ジオール( Saytech Inc. 社製品)等があり、適宜に選択して用いられることとなる。
上述の如きポリオール化合物を用いて、ポリオール系組成物が調製されることとなるが、本発明において、ポリオール系組成物及び後述するポリイソシアネート系組成物には、従来からポリウレタンフォームの製造に際して用いられる非フロン系発泡剤(及び/又はその発生源)、触媒、整泡剤等が、配合せしめられることとなる。
本発明に係るポリウレタンフォームの製造方法においては、発泡剤として非フロン系発泡剤が用いられるところ、二酸化炭素及び/又はその形成源や、ペンタン、ヘキサン等に代表される低沸点炭化水素類等の公知の非フロン系発泡剤が、ポリオール系組成物及び後述するポリイソシアネート系組成物に導入せしめられる。特に、本発明にあっては、発泡剤として、二酸化炭素及び/又はその形成源が、有利に用いられることとなる。
ここで、そのような二酸化炭素又はその形成源は、(1)発泡剤源である水を添加せしめることによって、或いは、(2)亜臨界状態若しくは超臨界状態の二酸化炭素を添加せしめることによって、ポリウレタンフォーム用発泡性組成物中に導入せしめられるが、かかる(1)、(2)のうちの何れか一方であっても、或いは、それらの両方を組み合わせてもよい。なお、亜臨界状態の二酸化炭素とは、圧力が臨界圧力以上で、温度が臨界温度未満である液体状態の二酸化炭素、圧力が臨界圧力未満で温度が臨界温度以上である液体状態の二酸化炭素、或いは温度及び圧力が臨界点未満であるが、これに近い状態の二酸化炭素を指し、また、超臨界状態の二酸化炭素とは、圧力、温度が共に臨界圧力、臨界温度以上の臨界点を超えた流体状態の二酸化炭素をいう。
特に、上記(1)の水発泡の場合には、発泡剤源である水が、後述するポリイソシアネート化合物との反応により、フォームの形成に利用される炭酸ガスを生成する役割を果たすと共に、用いられるポリオール化合物の粘度低下にも僅かながら寄与する。かかる水発泡のための水の配合量は、所望のフォーム密度となるように適宜に設定され得るが、通常、ポリオール化合物の100質量部に対して、0.5〜12質量部、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは2〜8質量部の範囲で、適宜に設定され得る。なお、水の配合量が、ポリオール化合物の100質量部に対して、0.5質量部未満では、炭酸ガスの発生量が充分ではなく、逆に12質量部を超えるようになると、密度の極端な低下によるフォームの脆弱化が惹起される恐れがある。
一方、亜臨界状態若しくは超臨界状態の二酸化炭素を混合せしめる場合にも、その添加量は、所望のフォーム密度となるように適宜に設定され得るものであり、通常、ポリオール化合物の100質量部に対して、0.3〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部の範囲で、適宜に設定され得る。
また、上述したように水を発泡剤源として用いる際に、ポリイソシアネート化合物と水との反応によって生成する炭酸ガスを早期に発生せしめることが要求される場合には、それらポリイソシアネート化合物と水との反応を促進する作用を有するアミン系泡化触媒が、有利に用いられる。そのようなアミン系泡化触媒としては、例えば、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N′−トリメチルアミノエチルエタノールアミン等を挙げることが出来、これらは、単独で用いてもよく、或いは2種以上を併用することも出来る。また、その配合量としては、通常、ポリオール化合物の100質量部に対して、1〜30質量部程度が、好適である。
さらに、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応を促進させるためには、樹脂化触媒が有利に用いられる。この樹脂化触媒は、フォームの種類に応じて適宜に選択されて用いられるのであり、例えば、ウレタン化触媒、イソシアヌレート化触媒が単独で用いられたり、或いは、これらが併用される。ウレタン化触媒としては、例えば、第三級アミン、ジブチル錫ジラウレート、エチルモルホリン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、オクチル酸ビスマス(2−エチルヘキシル酸ビスマス)、ネオデカン酸ビスマス、ネオドデカン酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等の脂肪酸ビスマス塩、ナフテン酸鉛等を挙げることが出来る一方、イソシアヌレート化触媒としては、例えば、ヒドロキシアルキル第四級アンモニウム塩、オクチル酸カリウム、酢酸ナトリウム等の脂肪酸アルカリ金属塩、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン等を挙げることが出来る。これらの樹脂化触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、樹脂化触媒の配合量は、一般に、ポリオール化合物の100質量部に対して、0.1〜15質量部程度が、望ましい。
また、ポリオール系組成物又はポリイソシアネート系組成物に配合される整泡剤は、ポリウレタンフォームのセル構造を均一に整えるために用いられるものであって、ここでは、シリコーンや非イオン系界面活性剤が好適に採用される。具体例として、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ヒマシ油エチレンオキシド付加物、ラウリル脂肪酸エチレンオキシド付加物等を挙げることが出来、これらのうちの1種が単独で或いは2種以上が組み合わされて用いられる。なお、整泡剤の配合量は、所期のフォーム特性や、使用する整泡剤の種類等に応じて適宜決定され得るが、好ましくは、ポリオール化合物の100質量部に対して、0.1〜10質量部程度の割合とされる。
加えて、本発明におけるポリオール系組成物又はポリイソシアネート系組成物には、更に必要に応じて、後述する臭素化エポキシ化合物以外の公知の難燃剤や、起泡剤の他、例えば、尿素、メラミン等のホルムアルデヒド捕捉剤や、気泡微細化剤、可塑剤、補強基材等の、従来から知られている各種助剤を、適宜に選択して配合することも出来る。
なお、前記難燃剤としては、環境への負荷が少なく、発泡性組成物の減粘剤としても機能するトリスクロロエチルフォスフェート、トリスクロロプロピルフォスフェート、トリエチルフォスフェート等のリン酸エステルが有利に用いられる。このリン酸エステルを配合する場合、その配合量は、所期のフォーム特性や難燃剤の種類等に応じて適宜決定され得るが、好ましくは、ポリオール化合物の100質量部に対して、10〜60質量部の範囲で選択され、その範囲の中でも、特に、10〜40質量部程度が好適である。また、上記リン酸エステル以外にも、難燃剤として、水酸化アルミニウム等が好適に使用され得る。
また、上記起泡剤は、水を発泡剤源として用いる際に、炭酸ガスが発生するまでの発泡と硬化の時間的なずれを、起泡剤の有する石鹸機能による泡立ち(高起泡性と泡安定性)で補うために用いられるものであって、特に、本発明に従うポリウレタンフォーム用発泡性組成物を吹き付け方式の発泡法(吹き付け発泡法)で発泡・硬化させる場合に有用である。かかる起泡剤としては、石鹸の成分として知られる脂肪酸アルカリ金属塩、特に、炭素数が12〜18であるラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩を例示することができる。これらの中でも、水発泡法においては、脂肪酸カリウム塩が、特に好適に用いられる。
さらに、本発明に従うポリウレタンフォームの製造方法においては、上述の如く、オゾン層の保全の観点から、二酸化炭素等の非フロン系発泡剤が、発泡剤として採用されるのであるが、そのような非フロン系発泡剤として、二酸化炭素を主たる発泡剤として採用する場合においては、必要に応じて、過酸化水素水や、ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、テトラフルオロエタン(HFC-134a) 等に代表されるハイドロフルオロカーボンや、ジクロロメタン、イソプロピルクロライド等に代表されるハロゲン系炭化水素を、二酸化炭素による発泡作用を補助するための発泡助剤として、ポリオール系組成物又はポリイソシアネート系組成物に添加することも可能である。
B.ポリイソシアネート系組成物
ポリイソシアネート系組成物の主成分たるポリイソシアネート化合物は、上述の如きポリオール化合物と反応して、ポリウレタンを生成するものである。具体的に、本発明において用いられるポリイソシアネート化合物とは、分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有する有機系イソシアネート化合物であり、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ポリトリレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートの他、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等を挙げることが出来る。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。一般的には、反応性や経済性、取扱性等の観点から、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(クルードMDI)が好適に用いられる。
ポリイソシアネート系組成物の主成分たるポリイソシアネート化合物は、上述の如きポリオール化合物と反応して、ポリウレタンを生成するものである。具体的に、本発明において用いられるポリイソシアネート化合物とは、分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有する有機系イソシアネート化合物であり、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ポリトリレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートの他、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等を挙げることが出来る。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。一般的には、反応性や経済性、取扱性等の観点から、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(クルードMDI)が好適に用いられる。
なお、かかるポリイソシアネート化合物の、ポリオール系組成物中のポリオール化合物に対する使用割合は、フォームの種類(例えば、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート)によって変更されることとなるが、一般に、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基(NCO)とポリオール化合物(各ポリオールの合計)の水酸基(OH)との比率を示すNCO/OHインデックス(当量比)が、0.9〜5.0程度の範囲となるように、適宜に設定される。
そして、本発明に従うポリウレタンフォームの製造方法においては、上述したようなポリイソシアネート化合物に、難燃性付与成分としての臭素化エポキシ化合物を添加してポリイソシアネート系組成物とし、かかるポリイソシアネート系組成物と前述のポリオール系組成物とを反応せしめるところに、大きな技術的特徴が存するのである。即ち、ポリオール系組成物とポリイソシアネート系組成物とを別個に調製し、発泡成形する際にそれら組成物を混合して使用する二液型のポリウレタンフォーム用発泡性組成物、換言すれば、ポリオール系組成物とポリイソシアネート系組成物との組合せからなるポリウレタンフォーム用発泡性組成物において、難燃性付与成分としての臭素化エポキシ化合物を、ポリオール系組成物に配合するのではなく、ポリイソシアネート化合物に配合してポリイソシアネート系組成物とすることにより、調製から時間が経過したそれら組成物を用いてポリウレタンフォームを製造しても、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応性は良好であり、充分なフォームの硬化速度が維持されるのである。また、調製から時間が経過した組成物(ポリオール系組成物及びポリイソシアネート系組成物)を用いて得られるポリウレタンフォームにあっても、調製直後の組成物を用いて得られるポリウレタンフォームと同様の優れた難燃性を発現することとなるのである。
ここで、本発明において、ポリイソシアネート系組成物に配合される臭素化エポキシ化合物としては、公知の各種のものが適宜に選択されて用いられ得るのであり、例えば、フェニルグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物等の臭素置換体である臭素化エポキシ化合物、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等を挙げることが出来る。なお、そのような臭素化エポキシ化合物にあっても、各種のものが市販されており、例えば、臭素化フェニルグリシジルエーテルでは、日本化薬株式会社のBR−250H(商品名)等の製品があり、本発明においては、それら市販品の中から、適宜に選択することも可能である。
さらに、かかる難燃性付与成分としての臭素化エポキシ化合物の配合量は、その種類やポリウレタン化反応に際しての硬化様式、フォーム物性、発泡形態等により、一義的に決めることは困難であるが、一般的には、ポリイソシアネート化合物の100質量部当たり0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜15質量部の範囲で選ばれることとなる。この臭素化エポキシ化合物の配合量が少なくなり過ぎると、その使用による難燃性の向上効果を充分に奏し難くなるからであり、また、その配合量が多くなり過ぎると、形成されるフォームが横伸びして、躯体との接着性が悪化する等の問題を惹起し易くなる。
そして、本発明に従って、上述せる如きポリオール系組成物及びポリイソシアネート系組成物を用いてポリウレタンフォームを製造するに際しては、従来の製造方法と同様の手法が採用され得る。
例えば、水発泡法を採用する場合、即ち、発泡剤として水とポリイソシアネート化合物との反応により発生する二酸化炭素を用いる場合には、先ず、ポリオール化合物に対して、発泡剤源としての水、必要に応じて、泡化触媒、樹脂化触媒、整泡剤、難燃剤、起泡剤、その他各種助剤が配合されて、ポリオール系組成物(プレミックス液)が調製される一方、ポリイソシアネート化合物に対して、難燃性付与成分としての臭素化エポキシ化合物が配合されてポリイソシアネート系組成物が調製される。次いで、この調製されたポリオール系組成物とポリイソシアネート系組成物とが、低圧高速撹拌混合機を用いて高速撹拌混合されることにより、或いは、高圧衝突混合機(例えば、現場スプレー発泡機)を用いて高圧衝突混合されることにより、液状のポリウレタンフォーム用発泡性組成物とされ得る。なお、本発明において、水発泡法に適した低粘性を有する芳香族ジアミン系ポリオールを、ポリオール化合物として用いることによって、ポリイソシアネート系組成物との混合が有利に実施され、均質な発泡性組成物となり得る特徴がある。
一方、発泡剤として、亜臨界状態若しくは超臨界状態の二酸化炭素を用いる場合には、先ず、ポリオール化合物に対して、発泡剤源としての水、必要に応じて、泡化触媒、樹脂化触媒、整泡剤、難燃剤、起泡剤、その他各種助剤が配合されて、ポリオール系組成物(プレミックス液)が調製される一方、ポリイソシアネート化合物に対して、難燃性付与成分としての臭素化エポキシ化合物が配合されてポリイソシアネート系組成物が調製される。そして、この調製されたポリオール系組成物がポリイソシアネート系組成物と混合せしめられる直前に、好ましくはポリオール系組成物に対して、所定の圧力と温度の下、亜臨界状態若しくは超臨界状態の二酸化炭素が添加、混合された後、ポリイソシアネート系組成物が更に添加混合されることにより、液状のポリウレタンフォーム用発泡性組成物とされ得るのである。
そして、このようにして得られたポリウレタンフォーム用発泡性組成物を、例えば、面材上に塗布して板状に発泡、硬化を行うラミネート連続発泡法、電気冷蔵庫等の断熱性能が要求される空間部内や軽量・高強度ボードのハニカム構造内に注入充填して発泡、硬化を行う注入発泡法、現場発泡機のスプレーガンヘッドから被着体へ吹き付けて発泡、硬化させるスプレー発泡法に従って、発泡、硬化せしめらることにより、目的とするポリウレタンフォームが形成されることとなる。
このように、上記した本発明に係る製造方法に従って製造されたポリウレタンフォームにあっては、その製造に使用されたポリオール系組成物及びポリイソシアネート系組成物が調製から時間が経過したものであっても、調製直後のそれら組成物を用いて得られるポリウレタンフォームと同様の優れた難燃性を発現することとなるのである。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。なお、以下に示す「%」及び「部」は、何れも質量基準である。
以下に示す手法に従い、ポリオール系組成物及びポリイソシアネート系組成物を調製した。
−ポリオール系組成物の調製−
先ず、ノボラック型フェノール樹脂を調製し、そしてその得られたノボラック型フェノール樹脂に所定のアルキレンオキサイドを付加させて、目的とするフェノール樹脂系ポリオールを準備した。なお、得られたフェノール樹脂系ポリオールの粘度及び水酸基価は、以下の測定手法で測定した。
先ず、ノボラック型フェノール樹脂を調製し、そしてその得られたノボラック型フェノール樹脂に所定のアルキレンオキサイドを付加させて、目的とするフェノール樹脂系ポリオールを準備した。なお、得られたフェノール樹脂系ポリオールの粘度及び水酸基価は、以下の測定手法で測定した。
(1)粘度(mPa・s)は、B型粘度計を用いて、JIS K 7117−1に準じて測定した。
(2)水酸基価(mgKOH/g)は、JIS K 1557−1に準じて測定した。
(2)水酸基価(mgKOH/g)は、JIS K 1557−1に準じて測定した。
<ノボラック型フェノール樹脂の調製>
撹拌装置を備えた反応容器内に、フェノール9400部、92%パラホルムアルデヒド1630部、酸触媒としてシュウ酸19部を仕込んだ後、撹拌混合しながら、100℃の温度で、5時間、反応させた。その後、減圧下で水分を溜去することにより、目的とするノボラック型フェノール樹脂を得た。
撹拌装置を備えた反応容器内に、フェノール9400部、92%パラホルムアルデヒド1630部、酸触媒としてシュウ酸19部を仕込んだ後、撹拌混合しながら、100℃の温度で、5時間、反応させた。その後、減圧下で水分を溜去することにより、目的とするノボラック型フェノール樹脂を得た。
<フェノール樹脂系ポリオールの調製>
撹拌装置を備えた耐圧反応容器内に、上記ノボラック型フェノール樹脂の4000部を、アルカリ触媒としての水酸化カリウムの200部と共に、仕込んだ後、撹拌混合しながら、加圧条件下、150℃の温度で、エチレンオキサイドを3400部加えて、ノボラック型フェノール樹脂に付加させた。その後、水酸化カリウム(触媒)を酢酸で中和して、目的とするフェノール樹脂系ポリオールを得た。この得られたフェノール樹脂系ポリオールについて、水酸基価及び25℃における粘度を測定したところ、それぞれ、300mgKOH/g及び5000mPa・s/25℃であった。
撹拌装置を備えた耐圧反応容器内に、上記ノボラック型フェノール樹脂の4000部を、アルカリ触媒としての水酸化カリウムの200部と共に、仕込んだ後、撹拌混合しながら、加圧条件下、150℃の温度で、エチレンオキサイドを3400部加えて、ノボラック型フェノール樹脂に付加させた。その後、水酸化カリウム(触媒)を酢酸で中和して、目的とするフェノール樹脂系ポリオールを得た。この得られたフェノール樹脂系ポリオールについて、水酸基価及び25℃における粘度を測定したところ、それぞれ、300mgKOH/g及び5000mPa・s/25℃であった。
そして、ポリオール成分として、上記で準備したフェノール樹脂系ポリオール、マンニッヒ系ポリオール(商品名:EXCENOL FB−800、旭硝子株式会社製)、トリレンジアミン系ポリオール(商品名:サンニックスHM−551、三洋化成工業株式会社製)、グリセリン系ポリオール(商品名:EXCENOL EL−430、旭硝子株式会社製)を用い、また、シリコーン整泡剤(商品名:SH−193、東レ・ダウコーニング株式会社製)、臭素化エポキシ化合物(商品名:BR−250H、日本化薬株式会社製)、難燃剤(トリスクロロプロピルホスフェート)、触媒A(商品名:TOYOCAT−TT、東ソー株式会社製)、触媒B(商品名:U−CAT 18X、サンアプロ株式会社製、触媒C(商品名:カオライザーNo.31、花王株式会社製)、及び起泡剤(リシノール酸カリウム)を用いて、下記表1に示される配合割合において、それぞれの成分を混合せしめて、各種のポリオール組成物を調製した。
−ポリイソシアネート系組成物の調製−
ポリイソシアネート化合物であるクルードMDI(商品名:コスモネート M−200、三井化学株式会社製)と、臭素化エポキシ化合物(商品名:BR−250H、日本化薬株式会社製)とを用いて、下記表2に示される配合割合にて混合し、2種類のポリイソシアネート系組成物を調製した。
ポリイソシアネート化合物であるクルードMDI(商品名:コスモネート M−200、三井化学株式会社製)と、臭素化エポキシ化合物(商品名:BR−250H、日本化薬株式会社製)とを用いて、下記表2に示される配合割合にて混合し、2種類のポリイソシアネート系組成物を調製した。
上記表1に示された組成のポリオール組成物と、上記表2に示された組成のポリイソシアネート系組成物とを組み合わせて、二液型のポリウレタンフォーム用発泡性組成物を6種類、準備した(実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例3)。そして、それらポリウレタンフォーム用発泡性組成物を用いて、以下の手法に従ってポリウレタンフォームを作製し、測定及び評価を行った。なお、以下において、得られたポリウレタンフォームの密度は、JIS K 7222に準じて測定した。測定結果及び評価結果を、下記表3及び表4に示す。
なお、以下の評価I及び評価IIにおいては、各組成物を調製した日にポリウレタンフォームを作製し、測定及び評価した(表3及び表4では「0日」と示す)のみならず、組成物の調製日から7日が経過した後の組成物を用いてポリウレタンフォームを作製し、測定及び評価しており(表3及び表4では「7日」と示す)、更に、組成物の調製日から14日が経過した後の組成物を用いてポリウレタンフォームを作製し、測定及び評価している(表3及び表4では「14日」と示す)。調製したポリオール系組成物及びポリイソシアネート系組成物は、それぞれ1000mLの蓋付きポリ容器に入れ、23℃×50%RHの環境下で静置した。また、得られたポリウレタンフォームの密度は、JIS K 7222に準じて測定した。
−評価I−
ポリオール系組成物及びポリイソシアネート系組成物を、ハンド発泡法に従い、それぞれ20℃に温度調整し、紙コップ(容量:500mL)内に上記表1及び表2に示される配合割合となるように秤取した後、ホモディスパー(商品名、プライミクス株式会社製)で高速撹拌混合して、発泡、硬化せしめることにより、ポリウレタンフォームを作製した。かかる作製の際に、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応性の指標となるクリームタイム(C.T)、ゲルタイム(G.T)及びライズタイム(R.T)を測定した。ここで、クリームタイム(C.T)とは、上記二つの組成物の混合開始から発泡が始まるまでの時間であり、ゲルタイム(G.T)とは、上記二つの組成物の混合開始からフォームの表面が糸引き可能な粘着性を示すまでの時間であり、ライズタイム(R.T)とは、上記二つの組成物の混合開始から発泡が終了するまでの時間である。
ポリオール系組成物及びポリイソシアネート系組成物を、ハンド発泡法に従い、それぞれ20℃に温度調整し、紙コップ(容量:500mL)内に上記表1及び表2に示される配合割合となるように秤取した後、ホモディスパー(商品名、プライミクス株式会社製)で高速撹拌混合して、発泡、硬化せしめることにより、ポリウレタンフォームを作製した。かかる作製の際に、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応性の指標となるクリームタイム(C.T)、ゲルタイム(G.T)及びライズタイム(R.T)を測定した。ここで、クリームタイム(C.T)とは、上記二つの組成物の混合開始から発泡が始まるまでの時間であり、ゲルタイム(G.T)とは、上記二つの組成物の混合開始からフォームの表面が糸引き可能な粘着性を示すまでの時間であり、ライズタイム(R.T)とは、上記二つの組成物の混合開始から発泡が終了するまでの時間である。
−評価II(コーンカロリー)−
ポリオール系組成物及びポリイソシアネート系組成物を、それぞれ20℃に温度調整し、上記表1及び表2に示される配合割合となるように計量し、それらを、予め60℃に加熱しておいた金型(サイズ:300mm×300mm×40mm。この金型内には、250mm×250mm×0.45mmの鋼板が、予め設置されている。)に注入し、更に、250mm×250mm×0.45mmの鋼板が裏面に予め接着されてなる鉄板にて、金型に蓋をした後、発泡、硬化せしめることにより、両面鋼板付きの硬質ポリウレタンフォーム(鋼板付きフォーム)を作製した。
ポリオール系組成物及びポリイソシアネート系組成物を、それぞれ20℃に温度調整し、上記表1及び表2に示される配合割合となるように計量し、それらを、予め60℃に加熱しておいた金型(サイズ:300mm×300mm×40mm。この金型内には、250mm×250mm×0.45mmの鋼板が、予め設置されている。)に注入し、更に、250mm×250mm×0.45mmの鋼板が裏面に予め接着されてなる鉄板にて、金型に蓋をした後、発泡、硬化せしめることにより、両面鋼板付きの硬質ポリウレタンフォーム(鋼板付きフォーム)を作製した。
得られた鋼板付きフォームを、縦×横のサイズが99±1mm×99±1mmとなるように、3個に切り出し、その切り出した鋼板付きフォームを試料として用いて、建築基準法施行令第108条の2に規定される不燃材料評価を、ISO 5660「コーンカロリーメーターによる発熱性試験」に準拠して、実施した。
かかる表3及び表4の結果から明らかなように、本発明の如く、ポリイソシアネート化合物に難燃性付与成分としての臭素化エポキシ化合物を配合してなるポリイソシアネート系組成物を用いる、ポリウレタンフォームの製造方法においては、調製してから時間が経過した組成物を用いてポリウレタンフォームを製造した場合にあっても、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応性が良好であることが認められ、また、得られるポリウレタンフォームが、調製からそれ程時間が経過してない組成物を用いて得られるポリウレタンフォームと同程度の難燃性を発現することが認められる。
これに対して、難燃性付与成分としての臭素化エポキシ化合物を、ポリオール化合物に配合してなるポリオール系組成物を用いる製造方法においては、調製してから時間が経過した組成物を用いてポリウレタンフォームを製造すると、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応性の低下が認められ、また、得られるポリウレタンフォームの難燃性が、調製からそれ程時間が経過してない組成物を用いて得られるポリウレタンフォームと比較すると低下することが認められる。
Claims (2)
- 少なくともポリオール化合物を含むポリオール系組成物と、少なくともポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート系組成物とを反応、発泡させることによりポリウレタンフォームを製造する方法にして、
発泡剤として非フロン系発泡剤を用いると共に、前記ポリイソシアネート系組成物が、難燃性付与成分としての臭素化エポキシ化合物を含むことを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。 - 前記発泡剤が、前記ポリイソシアネート化合物と水との反応により発生する二酸化炭素である請求項1に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
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