JP2013177402A - アリールスルフィネート塩を有する歯科用組成物および方法 - Google Patents

アリールスルフィネート塩を有する歯科用組成物および方法 Download PDF

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Abstract

【課題】口腔環境で使用するのに適した歯科用材料として有用であり得る重合性組成物、およびこのような組成物を用いる方法の提供。
【解決手段】エチレン性不飽和化合物と、歯科用添加剤と、式I

のアニオン、および正に帯電した窒素原子または正に帯電したリン原子を有するカチオンとを有するアリールスルフィネート塩を含む重合開始剤系と、を含む重合性組成物。該重合性組成物は、硬化性歯科用組成物として有用である。
【選択図】なし

Description

重合性組成物は、例えば、プライマー、歯科用接着剤、歯科矯正用接着剤、コーティン
グ、シーラント、セメント、コンポマー、修復材、およびこれらの組み合わせを含む様々
な種類の歯科用途および歯科矯正用途のために使用される。例えば、重合性歯科用接着剤
は、通常、歯科用材料(例えば、ガラスアイオノマーセメント、変性ガラスアイオノマー
セメントなどのキュアまたは未キュアコンポジットのような修復材料、充填材、シーラン
ト、インレー、オンレー、クラウン、ブリッジなど)を、関連の歯科用構造物に結合させ
るために使用される。同様に、歯科矯正用接着剤は、歯科矯正用器具(例えば、ブラケッ
ト、バッカルチューブ、バンド、クリート、ボタン、リンガルリテイナー、および咬合阻
止器)の歯科用構造物への結合において使用される。
歯科用途および歯科矯正用途において有用な重合性組成物は、通常、重合性成分および
開始剤系を含む。一般に、開始剤系は、エチレン性不飽和重合性成分のフリーラジカル重
合を誘発し、組成物の硬化をもたらす。いくつかの重合性組成物では、重合は、組成物を
照射することによって誘発され得る。その他の重合性組成物では、重合は、開始剤系の別
々の成分を混合することによって誘発され得る。
歯科用途および歯科矯正用途において有用な重合性組成物は、重合前には十分な安定性
(例えば、物理的または化学的な安定性)を有するが、重合が誘発されると容易に硬化す
ることが望ましい。開始剤系の性質は、通常、所望される特性のバランスに影響を与える
が、開始剤系は、様々な歯科用組成物(例えば、1パート組成物、2パート組成物、酸性
組成物など)において有用であることも望ましい。更に、開始剤系は、重合中または重合
後に、望ましくない色の変化を生じないことが望ましい。本発明の好ましい実施形態は、
これらの必要性のいくつかを満足させる。
米国仮特許出願第60/494,603号明細書 米国特許出願第10/672,762号明細書 米国特許第5,501,727号明細書 米国特許第5,545,676号明細書 米国特許第3,729,313号明細書 米国特許第3,741,769号明細書 米国特許第3,808,006号明細書 米国特許第4,250,053号明細書 米国特許第4,394,403号明細書 米国特許第5,998,495号明細書 米国特許第5,154,762号明細書 米国特許第6,204,302号明細書 米国特許第4,959,297号明細書 米国特許第4,257,915号明細書 米国特許第4,652、274号明細書 米国特許第4,642,126号明細書 国際公開第00/38619号パンフレット 国際公開第01/92271号パンフレット 国際公開第01/07444号パンフレット 国際公開第00/42092号パンフレット 米国特許第5,076,844号明細書 米国特許第4,356,296号明細書 EP−0373384号明細書 EP−0201031号明細書 EP−0201778号明細書 米国特許第6,030,606号明細書 米国特許第4,872,936号明細書 米国特許第5,130,347号明細書 米国仮特許出願第60/437,106号明細書 米国特許第5,130,347号明細書 米国特許第4,259,075号明細書 米国特許第4,499,251号明細書 米国特許第4,537,940号明細書 米国特許第4,539,382号明細書 米国特許第5,530,038号明細書 米国特許第6,458,868号明細書 EP712,622号明細書 EP1,051,961号明細書 米国特許第5,256,447号明細書 米国特許第5,607,663号明細書 米国特許第5,662,887号明細書 米国特許第5,866,630号明細書 米国特許第5,876,208号明細書 米国特許第5,888,491号明細書 米国特許第6,312,668号明細書 米国特許第4,871,786号明細書 米国特許第4,695,251号明細書 米国特許第4,503,169号明細書 米国特許第6,387,981号明細書 米国特許第6,572,693号明細書 国際公開第01/30306号パンフレット 国際公開第01/30307号パンフレット 米国特許第6,331,080号明細書 米国特許第6,444,725号明細書 米国特許第6,528,555号明細書 米国特許出願第10/121329号明細書 ベリンジャー(Beringer)ら、J.Am.Chem.Soc.,81,342(1959) J.Org.Chem.,36,2762(1971) Biochemistry,12,3315(1974) F.J.グリーン(Green)著「着色料、染料、指示薬のシグマ−アルドリッチ・ハンドブック(The Sigma−Aldrich Handbook of Stains,Dyes,and Indicators)」ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,WI)のアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company,Inc.)(1990) カーク−オスマー(Kirk−Othmer)著「工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)」第3版、17巻、788−817頁、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク、1982の「顔料−無機」および「顔料−有機」 Y.M.ポーシキン(Paushkin)ら「有機高分子半導体(Organic Polymeric Semiconductors)」ジョン・ウィリー&サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク、1974 J.M.ピアソン(Pearson)、Pure and Appl.Chem.,49,463−477(1977) レオン(Leung)ら著「化学プロセス工学における界面活性剤(Surfactants in Chemical process Engineering)」マーセル・デッカー(Marcel Dekker)の第9章 オーバービーク(Overbeek)ら著「マイクロエマルジョン中の界面活性剤(Surfactants in Microemulsions)」アカデミック・プレス(Academic Press)(1984) サフラン(Safran)ら、Phys.Rev.Lett.,50:1930(1983) ラッケンスタイン(Ruckenstein)ら,J.Chem.Soc.Faraday Trans,2,71:1690(1975) オストロフスキー(Ostrovsky)ら、J.Colloid.Interface Sci.,102:206(1984)
本発明は、口腔環境で使用するのに適した歯科用材料として有用であり得る重合性組成
物、およびこのような組成物を用いる方法とを提供する。重合性組成物は、エチレン性不
飽和化合物および開始剤系を含む。いくつかの実施形態では、重合性組成物は、歯科用添
加剤(例えば、光退色性染料)を含む。重合性組成物は、分散液、懸濁液、エマルジョン
、溶液、またはこれらの組み合わせの形態でよい。好ましくは、重合性組成物は化学的に
安定である。重合性組成物は、例えば、プライマー、歯科用接着剤、歯科矯正用接着剤、
コーティング、シーラント、セメント、修復材、またはこれらの組み合わせでよい。
開始剤系は、式I
のアニオンと、正に帯電した窒素原子または正に帯電したリン原子を有するカチオンとを
有するアリールスルフィネート塩を含む。ここで、アリールスルフィネート塩は、銀/硝
酸銀参照電極に対して0.0〜+0.4ボルトのN,N−ジメチルホルムアミド中の酸化
電位を有しており、Ar1は、非置換であるか、あるいは、電子吸引性基、または電子供
与性基と組み合わされた電子吸引性基で置換されたC630アリールまたはC330ヘテロ
アリールである。好ましくは、アリールスルフィネート塩は、重合性組成物中のエチレン
性不飽和化合物と混和性である。
いくつかの実施形態では、開始剤系は、更に、増感剤、電子受容体、および/またはア
リールスルフィネート塩とは異なる還元剤を含む。好ましくは、増感剤は、250〜10
00ナノメートルの範囲の化学線の波長を吸収することができる。好ましくは、電子受容
体は、銀/硝酸銀参照電極に対して+0.4〜−1.0ボルトのN,N−ジメチルホルム
アミド中の還元電位を有する。
本発明は、更に、本明細書中に開示される重合性組成物を硬化させる方法を提供する。
本明細書中に開示される方法は、硬化性歯科用組成物を歯科用構造物表面に塗布し、そし
て該組成物を硬化させることによって歯科用構造物表面を処理するために有用であり得る
1つの実施形態では、本発明は、重合性組成物を硬化させる方法を提供し、該方法では
、上記で本明細書中に記載される開始剤系は、更に、250〜1000ナノメートルの範
囲の化学線の波長を吸収することができる増感剤を含む。該方法は、重合性組成物を照射
することを含む。任意で、開始剤系は、更に、銀/硝酸銀参照電極に対して+0.4〜−
1.0ボルトのN,N−ジメチルホルムアミド中の還元電位を有する電子受容体を含む。
もう1つの実施形態では、本発明は、重合性組成物を硬化させる方法を提供し、該方法
では、上記で本明細書中に記載される開始剤系は、更に、銀/硝酸銀参照電極に対して+
0.4〜−1.0ボルトのN,N−ジメチルホルムアミド中の還元電位を有する電子受容
体を含む。該方法は、重合性組成物の成分を混合して硬化性歯科用組成物を形成し、歯科
用組成物を硬化させることを含む。任意で、開始剤系は、更に、250〜1000ナノメ
ートルの範囲の化学線の波長を吸収することができる増感剤を含む。任意で、該方法は、
更に、硬化性歯科用組成物を照射することを含む。
もう1つの態様では、本発明は、セルフエッチング性の重合性歯科用組成物および/ま
たは自己接着性の重合性歯科用組成物を提供する。任意で、組成物は非水系である。任意
で、組成物はフィラーを含むことができ、これはナノフィラーでもよい。いくつかの実施
形態では、組成物は、水および界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤および/また
は重合性界面活性剤)を含むことができ、組成物は、エマルジョン(例えば、油中水エマ
ルジョンおよび/またはマイクロエマルジョン)でもよい。いくつかの実施形態では、エ
マルジョンは、30重量%未満の水を含む。好ましくは、組成物は、物理的および/また
は化学的に安定である。任意で、組成物は、歯科用添加剤(例えば、光退色性染料)を含
む。
1つの実施形態では、本発明は、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物と、酸官能
基を有さないエチレン性不飽和化合物と、上記で本明細書中に記載される開始剤系とを含
むセルフエッチング性の重合性歯科用組成物を提供する。酸官能基は、カルボン酸官能基
、リン酸官能基、スルホン酸官能基、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
もう1つの実施形態では、本発明は、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物と、酸
官能基を有さないエチレン性不飽和化合物と、上記で本明細書中に記載される開始剤系と
、少なくとも40重量%のフィラーとを含む自己接着性の重合性歯科用組成物を提供する
。任意で、組成物はセルフエッチング性である。
定義
本明細書中における使用では、用語「化学線」は、光化学活性を生成することができる
電磁放射線を指す。
本明細書中における使用では、用語「アシル」は、式−(CO)Raの一価の基を指し
、式中Raはアルキルまたはアリール基である。
本明細書中における使用では、用語「アルケニル」は、アルケンの一価のラジカルを指
す(すなわち、アルケンは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する脂肪族化合物
である)。
本明細書中における使用では、用語「アルコキシ」は、式−ORの基を指し、式中Rは
アルキル基である。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどがある
本明細書中における使用では、用語「アルコキシカルボニル」は、式−(CO)ORの
一価の基を指し、式中Rはアルキル基である。例としては、エトキシカルボニルがある。
本明細書中における使用では、用語「アルコキシスルホニル」は、式−SO3Rを有す
る一価の基を指し、式中Rはアルキル基である。
本明細書中における使用では、用語「アルキニル」は、アルキンの一価のラジカルを指
す(すなわち、アルキンは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する脂肪族化合物
である)。
本明細書中における使用では、用語「アルキル」は、アルカンの一価のラジカルを指す
。アルキルは、線状、分枝状、環状、またはこれらの組み合わせでよく、通常は1〜30
個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜20個、1〜1
4個、1〜10個、4〜10個、4〜8個、1〜6個、または1〜4個の炭素原子を含有
する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブ
チル、tert−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、
n−オクチル、n−ヘプチル、およびエチルヘキシルがあげられるが、これらに限定され
ない。
本明細書中における使用では、用語「アルキルスルホニル」は、式−SO2Rの一価の
基を指し、式中Rはアルキル基である。
本明細書中における使用では、用語「アミノ」は、式−NRb 2の一価の基を指し、式中
各Rbは、独立して、水素、アルキル、またはアリール基である。第1級アミノ基では、
各Rb基は水素である。第2級アミノ基では、Rb基のうちの一方は水素であり、他方のR
b基は、アルキルまたはアリールのいずれかである。第3級アミノ基ではRbは両方ともア
ルキルまたはアリールである。
本明細書中における使用では、用語「アミノカルボニル」は、式−(CO)NRb 2の一
価の基を指し、式中各Rbは、独立して水素、アルキル、またはアリールである。
本明細書中における使用では、用語「芳香族」は、炭素環式芳香族化合物または基と、
複素芳香族化合物または基との両方を指す。炭素環式芳香族化合物は、芳香環構造中に炭
素原子のみを含有する化合物である。複素芳香族化合物は、S、O、N、またはこれらの
組み合わせから選択される少なくとも1つのへテロ原子を芳香環構造中に含有する化合物
である。
本明細書中における使用では、用語「アリール」は、一価の芳香族炭素環式ラジカルを
指す。アリールは1つの芳香環を有することができ、あるいは芳香環に結合または縮合さ
れた5個までの炭素環式環構造を含むことができる。その他の環構造は、芳香族、非芳香
族、またはこれらの組み合わせであり得る。アリール基の例としては、フェニル、ビフェ
ニル、テルフェニル、アントリル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナ
ントリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニル、およびフルオレニルがあげられるが
、これらに限定されない。
本明細書中における使用では、用語「アリールオキシ」は、式−OArの一価の基を指
し、式中Arはアリール基である。
本明細書中における使用では、用語「アリールオキシカルボニル」は、式−(CO)O
Arの一価の基を指し、式中Arはアリール基である。
本明細書中における使用では、用語「アリールオキシスルホニル」は、式−SO3Ar
を有する一価の基を指し、式中Arはアリール基である。
本明細書中における使用では、用語「アゾ」は、式−N=N−の二価の基を指す。
本明細書中における使用では、用語「カルボニル」は、式−(CO)−の二価の基を指
し、ここで炭素原子は、二重結合により酸素原子に結合されている。
本明細書中における使用では、用語「カルボキシ」は、式−(CO)OHの一価の基を
指す。
本明細書中における使用では、用語「共役」は、少なくとも2つの炭素−炭素二重また
は三重結合を有し、炭素−炭素単結合と、炭素−炭素二重または三重結合とが交互である
不飽和化合物を指す。
本明細書中における使用では、用語「シアノ」は、式−CNの基を指す。
本明細書中における使用では、用語「ジアルキルホスホナト」は、式−(PO)(OR
2の基を指し、式中Rはアルキルである。本明細書中における使用では、式「(PO)
」は、リン原子が二重結合によって酸素原子に結合されていることを示す。
本明細書中における使用では、用語「ジアリールホスホナト」は、式−(PO)(OA
b2の基を指し、式中Arbはヘテロアリールである。
本明細書中における使用では、用語「電子供与性」は、電子を供与することができる置
換基を指す。適切な例としては、第1級アミノ、第2級アミノ、第3級アミノ、ヒドロキ
シ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、またはこれらの組み合わせがあげられるが
、これらに限定されない。
本明細書中における使用では、用語「電子吸引性」は、電子を吸引することができる置
換基を指す。適切な例としては、ハロ、シアノ、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキ
ル、カルボキシ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル
、ハロカルボニル、ホルミル、カルボニル、スルホ、アルコキシスルホニル、アリールオ
キシスルホニル、ペルフルオロアルキルスルホニル、アルキルスルホニル、アゾ、アルケ
ニル、アルキニル、ジアルキルホスホナト、ジアリールホスホナト、またはこれらの組み
合わせがあげられるが、これらに限定されない。
本明細書中における使用では、用語「フルオロアルキル」は、少なくとも1つの水素原
子がフッ素原子で置換されたアルキル基を指す。
本明細書中における使用では、用語「ホルミル」は、式−(CO)Hの一価の基を指し
、ここで、炭素は二重結合で酸素原子に結合されている。
本明細書中における使用では、用語「ハロ」は、ハロゲン基(すなわち、F、Cl、B
r、またはI)を指す。いくつかの実施形態では、ハロ基は、FまたはClである。
本明細書中における使用では、用語「ハロカルボニル」は、式−(CO)Xの一価の基
を指し、式中Xはハロゲン基(すなわち、F、Cl、Br、またはI)である。
本明細書中における使用では、用語「ヘテロアリール」は、S、O、N、またはこれら
の組み合わせから独立して選択される1つまたは複数のへテロ原子を環内に含む5〜7員
芳香環を有する一価のラジカルを指す。このようなヘテロアリール環は、芳香族、脂肪族
、またはこれらの組み合わせである5個までの環構造に結合または縮合され得る。ヘテロ
アリール基の例としては、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル
、シンノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾメルカプトフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベ
ンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、フタラジニル、ベンゾチアジアゾリ
ル、ベンゾトリアジニル、フェナジニル、フェナントリジニル、アクリジニル、およびイ
ンダゾリルなどがあげられるが、これらに限定されない。ヘテロアリールは、複素環式基
の部分集合である。
本明細書中における使用では、用語「複素環式」は、飽和または不飽和であり、S、O
、N、またはこれらの組み合わせから独立して選択される1つまたは複数のへテロ原子を
環内に含む環構造を有する一価のラジカルを指す。複素環式基は、単環式、二環式でよく
、あるいは別の環式または二環式基に縮合されてもよい。縮合環式または二環式基は、飽
和でも不飽和でもよく、炭素環式でもよいし、あるいはヘテロ原子を含有してもよい。
本明細書中における使用では、用語「ヒドロキシ」は、式−OHの基を指す。
本明細書中における使用では、用語「メルカプト」は、式−SHの基を指す。
本明細書中における使用では、用語「ペルフルオロアルキル」は、すべての水素原子が
フッ素原子で置換されたアルキル基を指す。ペルフルオロアルキルは、フルオロアルキル
の部分集合である。
本明細書中における使用では、用語「ペルフルオロアルキルスルホニル」は、式−SO
2fの一価の基を指し、式中Rfは、ペルフルオロアルキルである。
本明細書中における使用では、用語「スルホ」は、式−SO3Hを有する基を指す。
本明細書中における使用では、「接着剤」または「歯科用接着剤」は、「歯科用材料」
(例えば、「修復材」、歯科矯正用器具(例えば、ブラケット)、または「歯科矯正用接
着剤」)を歯科用構造物に接着させるための、歯科用構造物(例えば、歯)における前処
理として使用される組成物を指す。「歯科矯正用接着剤」は、歯科矯正用器具を歯科用構
造物(例えば、歯)の表面に接着させるために使用される高度に(通常は40重量%より
も多い)充填された組成物(「歯科用接着剤」よりも「修復材料」に類似する)を指す。
一般に、歯科用構造物表面は、例えば、エッチング、プライミング、および/または接着
剤の塗布によって前処理され、「歯科矯正用接着剤」の歯科用構造物表面への接着を強化
する。
本明細書中における使用では、「非水系」組成物(例えば、接着剤)は、成分として水
が添加されていない組成物を指す。しかしながら、組成物の他の成分中に付随的な水が存
在することもあるが、水の総重量は、非水系組成物の安定性(例えば、貯蔵寿命)に悪影
響を与えない。非水系組成物は、非水系組成物の総重量を基準として、好ましくは1重量
%未満、より好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満の水を含む
本明細書中における使用では、「セルフエッチング性」組成物(またはセルフエッチン
グ性接着剤組成物)は、エッチング剤で歯科用構造物表面を前処理することなく、歯科用
構造物表面に結合する組成物を指す。好ましくは、セルフエッチング性組成物はセルフプ
ライマーの役割を果たすこともでき、別個のエッチング剤またはプライマーは使用されな
い。
本明細書中における使用では、「自己接着性」組成物(または自己接着性コンポジット
)は、プライマーまたは結合剤で歯科用構造物表面を前処理することなく、歯科用構造物
表面に結合することができる組成物を指す。好ましくは、自己接着性組成物はセルフエッ
チング性組成物でもあり、別個のエッチング剤は使用されない。
本明細書中における使用では、組成物を「硬化する」または「キュアする」は、交換可
能に使用され、例えば、1つまたは複数の材料が組成物中に含まれることを必要とする光
重合反応および化学重合技術(例えば、イオン反応)を含む重合および/または架橋反応
を指す。
本明細書中における使用では、「歯科用構造物表面」は、歯の構造物(例えば、エナメ
ル質および象牙質)ならびに骨を指す。
本明細書中における使用では、「混和性」は、少なくとも部分的に可溶性であることを
意味する。
本明細書中における使用では、「水中油」エマルジョンは、水が連続層を形成し、油が
不連続液滴である水中油混合物を指す。
本明細書中における使用では、「油中水」エマルジョンは、油が連続相を形成し、水が
不連続液滴である油中水混合物を指す。油中水エマルジョンは、2003年8月12に出
願された(特許文献1)に記載される方法に従って電気エマルジョンテスターを用いるこ
とによって、水中油エマルジョンとは区別することができる。水中油エマルジョンは、水
がその外側または連続相を形成するので、比較的低い抵抗で電気を伝えることができるが
、油中水エマルジョンは電気を伝えることができないか、あるいは非常に伝えにくい。
本明細書中における使用では、油中水エマルジョン中の「油相」は、個々に、水相中で
のその溶解度の限界を超える調合物中の全ての成分を指し、これらは、一般に、蒸留水中
で1%未満の溶解度を有する材料である。しかしながら、塩などの水相成分は、特定の油
の溶解度を低下させ、油相中への分配をもたらすことができる。
本明細書中における使用では、油中水エマルジョン中の「水相」は、存在する水および
水溶性である成分を指し、すなわち、水中でのその溶解度の限界を超えていない。
本明細書中における使用では、「物理的に安定な」エマルジョンは、2003年8月1
2日に出願された(特許文献1)に記載されるエマルジョンの安定性試験手順に従って、
1回(好ましくは2回、より好ましくは3回)の凍結/解凍/遠心分離サイクルの後に、
目に見える水の分離がないエマルジョンを指す。
本明細書中における使用では、「化学的に安定な」または「貯蔵安定性の(shelf
−stable)」化合物または組成物は、室温で少なくとも1年、好ましくは少なくと
も2年の貯蔵寿命を有する化合物または組成物を指す。自己接着性組成物の貯蔵寿命は、
通常、古くなった組成物を歯科用構造物表面に結合させたときに、古くなった組成物が容
認できる結合強度を提供するかどうかを決定することによって測定される。
本明細書中における使用では、「界面活性剤」は、表面の性質を変更する(例えば、表
面張力を低下させる)表面活性剤を指し、通常「湿潤剤」と呼ばれる表面活性剤を包含す
る。
本明細書中における使用では、単数形(「a」または「an」)は、別途指示されない
限りは、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。
本発明の歯科用組成物は、エチレン性不飽和化合物およびアリールスルフィネート塩を
含む。好ましくは、アリールスルフィネート塩は、エチレン性不飽和化合物中に、使用さ
れるレベルで混和性であり、より好ましくは可溶性である。いくつかの実施形態では、ア
リールスルフィネート塩は、エチレン性不飽和化合物中に、少なくとも1重量%、より好
ましくは少なくとも5重量%、最も好ましくは少なくとも10重量%で可溶性であること
が好ましい。対照的に、アリールスルフィネートの金属塩は、一般に、歯科用組成物に有
用なエチレン性不飽和化合物中に不溶性である。
一般に、アリールスルフィネート塩は、アリールスルフィネート塩のほかの成分を含ん
でも含まなくてもよい開始剤系の一部である。このような成分としては、例えば、増感剤
、電子受容体、アリールスルフィネート塩とは異なる還元剤(例えば、二次還元剤)、お
よびこれらの組み合わせがあげられる。開始剤系は、熱開始剤系、光開始剤系、またはこ
れらの組み合わせであり得る。
本発明のいくつかの実施形態では、歯科用組成物は、更に、歯科用添加剤を含む。本発
明のいくつかの実施形態は、フィラー、界面活性剤、乳化剤、および光退色性染料などの
歯科用添加剤を含む。
本発明の歯科用組成物は、分散液、懸濁液、エマルジョン、溶液、およびこれらの組み
合わせの形態でよい。本発明のいくつかの実施形態では、歯科用組成物は、油中水エマル
ジョンであり得る。歯科用組成物は、例えば、樹脂変性ガラスアイオノマーセメント、従
来のメタクリレートコンポジット、コンポマー、およびこれらの組み合わせでよい。
本発明の歯科用組成物は、プライマー(セルフエッチング性プライマーを含む)、接着
剤(セルフエッチング性接着剤を含む)、歯科矯正用接着剤、コーティング、シーラント
、セメント、および修復材(充填材、コンポジット、フロアブル、およびクラウン、ブリ
ッジ、ベニア、インレー、オンレーなどの人工補綴物などを含む)として有用であり得る
。歯科用人工補綴物は、通常、歯に隣接して配置される前に最終用途のために成形および
重合される充填コンポジットである。このように予め形成された物品は、歯科医または他
のユーザーによって研削されるか、あるいはそうでなければ、特別に適合された形状に形
成され得る。プライマー、接着剤、またはセメントとして使用される場合、歯科用組成物
は、修復材(キュアまたは未キュア)を歯科用構造物表面に接着するために用いることが
できる。歯科矯正用接着剤として使用する場合、歯科用組成物は、歯科矯正用器具(例え
ば、ブラケット、バッカルチューブ、バンド、クリート、ボタン、リンガルリテイナー、
または咬合阻止器)を歯科用構造物表面に接着させるために用いることができる。
開始剤系
アリールスルフィネート塩
重合反応の開始剤系における電子供与体として使用するための様々な材料が知られてい
る。しかしながら、これらの材料のうちのいくつかは、光開始剤系において使用するため
には十分に安定でない。すなわち、これらの材料のうちのいくつかは、開始剤系の活性化
の前に、長期間(例えば、1日よりも長い間)電子受容体および/または増感化合物と混
ぜることができない。更に、その酸化電位および安定性に基づいて光開始剤系における電
子供与体として適切であり得るこれらの材料のうちのいくつかは、エチレン性不飽和化合
物中でわずかな溶解度を有する。
本発明の1つの態様は、電子供与体と、電子受容体と、任意で増感剤とを含む組成物を
提供する。本発明のもう1つの態様は、電子供与体および増感剤を含む組成物を提供する
。より具体的には、電子供与体は、アリールスルフィネート塩を含む。組成物は、フリー
ラジカル重合反応のための開始剤系として使用することができる。開始剤系は、光重合法
、熱重合法、またはこれらの組み合わせにおいて使用することができる。熱重合法は、典
型的なレドックス法、すなわち電子供与体(通常は、還元剤)および電子受容体(通常は
、酸化剤)を用いる方法を含み、通常は、還元剤および酸化剤を互いに接触させた後、室
温で重合させることができる。
電子供与体は、銀/硝酸銀参照電極に対して0.0〜+0.4ボルトのN,N−ジメチ
ルホルムアミド中の酸化電位を有し、式I
のアニオンと、正に帯電した窒素原子または正に帯電したリン原子を含むカチオンとを有
するアリールスルフィネート塩である。好ましくは、カチオンは、少なくとも1つの炭素
原子を有する。式IのAr1基は、非置換であるか、あるいは、電子吸引性基または電子
供与性基と組み合わされた電子吸引性基で置換されたC630アリールまたはC330ヘテ
ロアリールである。電子受容体は、銀/硝酸銀参照電極に対して+0.4〜−1.0ボル
トのN,N−ジメチルホルムアミド中の還元電位を有する。
電子供与体は、酸化電位を有するように選択され、電子受容体は、記載された範囲の還
元電位を有するように選択される。酸化および還元電位は、サイクリックボルタンメトリ
ーを用いて決定することができる。本願と同じ日に出願された本願譲受人の係属中の(特
許文献2)(代理人事件番号58634US002)に記載されるように、酸化および還
元電位は、関心のある化合物を、支持電解質(すなわち、0.1モル/リットルのヘキサ
フルオロリン酸テトラブチルアンモニウム)を含有する非水系溶媒(すなわち、N,N−
ジメチルホルムアミド)に溶解させることによって測定される。得られた溶液は、アルゴ
ンなどの不活性ガスでパージされる。作用電極(すなわち、ガラス状炭素電極)、参照電
極(すなわち、0.01モル/リットルのアセトニトリルに溶解された硝酸銀溶液中の銀
ワイヤ)、および対向電極(すなわち、白金ワイヤ)を含む三電極構造が用いられる。酸
化または還元電位は、酸化または還元反応のための最大電流に相当する電圧である。
本発明において、電子供与体は、式I
のアニオンと、正に帯電した窒素原子または正に帯電したリン原子を含むカチオンとを有
するアリールスルフィネート塩である。好ましくは、カチオンは少なくとも1つの炭素原
子を有する。式I中のAr1基は、非置換であるか、あるいは、電子吸引性基または電子
供与性基と組み合わされた電子吸引性基で置換されたC630アリールまたはC330ヘテ
ロアリールであり得る。アリールスルフィネート塩は、通常、フリーラジカル重合反応を
受けることができるエチレン性不飽和化合物および様々な非極性および極性溶媒中に可溶
性である。本明細書中における使用では、用語「可溶性」は、溶媒またはエチレン性不飽
和化合物などの所与の材料中に少なくとも0.1モル/リットルに等しい量で溶解され得
る化合物を指す。
いくつかのアリールスルフィネート塩では、Ar1基は、炭素環式芳香環を有するアリ
ール基である。アリール基は、単一の炭素環式芳香環を有することもできるし、あるいは
炭素環式芳香環に縮合または結合された更なる炭素環式環を有することもできる。縮合ま
たは結合された環は、飽和でも不飽和でもよい。アリールは、5個までの環、4個までの
環、3個までの環、2個までの環、または1つの環を含有することが多い。アリール基は
、通常、30個までの炭素原子、24個までの炭素原子、18個までの炭素原子、12個
までの炭素原子、または6個までの炭素原子を有する。単環または多数の縮合環を有する
アリール基の例としては、フェニル、アントリル、ナフチル、アセナフチル、フェナント
リル、フェナントレニル、ペリレニル、およびアントラセニルがあげられるが、これらに
限定されない。単結合、メチレン基(すなわち、−CH2−)、カルボニル基(すなわち
、−(CO)−)、またはこれらの組み合わせは、多数の環を結合することができる。多
数の結合された環を有するアリール基の例としては、アントラキノニル、アントロニル、
ビフェニル、テルフェニル、9,10−ジヒドロアントラセニル、およびフルオレニルが
あげられるが、これらに限定されない。
その他のアリールスルフィネート塩では、式I中のAr1基は、S、O、N、またはこ
れらの組み合わせから独立して選択される1つまたは複数のへテロ原子を環内に含む5〜
7員芳香環を有するヘテロアリールであり得る。ヘテロアリールは、単環を有することも
できるし、あるいは互いに結合または縮合された多数の環を有することもできる。更なる
結合または縮合された環は炭素環式でもよいし、あるいはヘテロ原子を含有してもよく、
そして飽和でも不飽和でもよい。ヘテロアリール基は、5個までの環、4個までの環、3
個までの環、2個までの環、または1つの環を有することが多い。ヘテロアリールは、通
常、30個までの炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、2
0個までの炭素原子、10個までの炭素原子、または5個までの炭素原子を含有する。ヘ
テロアリール基の例としては、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリ
ニル、シンノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾメルカプトフェニル、ベンゾオキサゾリル
、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、フタラジニル、ベンゾチアジア
ゾリル、ベンゾトリアジニル、フェナジニル、フェナントリジニル、アクリジニル、アザ
フェナントレニル、およびインダゾリルがあげられるが、これらに限定されない。
式I中のAr1基は、非置換であるか、あるいは、電子吸引性基または電子供与性基と
組み合わせられた電子吸引性基で置換され得るが、ただし、アリールスルフィネート塩が
、銀/硝酸銀参照電極に対して0.0〜+0.4ボルトのN,N−ジメチルホルムアミド
中の酸化電位を有することを条件とする。電子供与性基は、例えば、第1級アミノ、第2
級アミノ、第3級アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、または
これらの組み合わせから選択することができる。電子吸引性基は、例えば、ハロ、シアノ
、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリ
ールオキシカルボニル、ハロカルボニル、ホルミル、カルボニル、スルホ、アルコキシス
ルホニル、アリールオキシスルホニル、ペルフルオロアルキルスルホニル、アルキルスル
ホニル、アゾ、アルケニル、アルキニル、ジアルキルホスホナト、ジアリールホスホナト
、またはこれらの組み合わせから選択することができる。
いくつかの実施形態では、Ar1基は、スルフィネート基と共役する電子吸引性基を含
む。例えば、Ar1基は、ハロ、シアノ、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、カ
ルボキシ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロ
カルボニル、ホルミル、カルボニル、スルホ、アルコキシスルホニル、アリールオキシス
ルホニル、ペルフルオロアルキルスルホニル、アルキルスルホニル、またはこれらの組み
合わせから選択される電子吸引性基で置換されたフェニルであり得る。
式Iのアリールスルフィネートアニオンの特定の例としては、4−クロロベンゼンスル
フィネート、4−シアノベンゼンスルフィネート、4−エトキシカルボニルベンゼンスル
フィネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルフィネート、3−トリフルオロメチル
ベンゼンスルフィネート、1−ナフタレンスルフィネート、2−ナフタレンスルフィネー
ト、および1−アントラキノンスルフィネートがあげられるが、これらに限定されない。
アリールスルフィネート塩は、正に帯電した窒素原子または正に帯電したリン原子を持
ったカチオンを有する。好ましくは、カチオンは、少なくとも1つの炭素原子を有する。
1つの実施形態では、アリールスルフィネートのカチオンは、式II
を有し、式中、R1はアルキルまたはアリールであり、各R4は、独立して、水素、アルキ
ル、またはアリールである。R1およびR4基は、非置換または置換され得る。アルキル基
は、ヒドロキシで置換され得る。アリールは、アルキル、ヒドロキシ、またはこれらの組
み合わせで置換され得る。
式IIのいくつかの例では、R1および各R4基は、独立して、非置換であるか、または
ヒドロキシで置換されるC230アルキルである。例えば、R1および各R4は、独立して
、20個まで、10個まで、8個まで、6個まで、または4個までの炭素原子を有するア
ルキル基であり得る。アルキル基は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個
、少なくとも6個、または少なくとも8個の炭素原子を有することが多い。アルキル基は
、いくつかの化合物では、4〜30個、8〜30個、3〜10個、4〜10個、4〜8個
、または4〜6個の炭素原子を有することができる。特定の例では、アリールスルフィネ
ート塩のカチオンは、テトラブチルアンモニウムイオンである。
式IIのその他の例では、R1および2つのR4基は、それぞれ独立して、非置換である
か、またはヒドロキシで置換され得るC230アルキルである。残りのR4基は水素である
。更に他の例では、R1および1つのR4基は、それぞれ独立して、非置換であるか、また
はヒドロキシで置換されたC430アルキルであり、そして2つの残りのR4基は水素であ
る。更に他の例では、R1は、非置換であるか、またはヒドロキシで置換されたC830
ルキルであり、そしてR4基は水素である。
式IIのR1基およびR4基のそれぞれは、独立して、非置換であるか、あるいは、アル
キル、ヒドロキシ、またはこれらの組み合わせで置換されたアリール基であり得る。典型
的なカチオンは、テトラフェニルアンモニウムイオンである。もう1つの例では、R1
よび1つのR4は、独立して、非置換であるか、あるいは、アルキル、ヒドロキシ、また
はこれらの組み合わせで置換されたアリール基であり、そして2つの残りのR4基は水素
である。典型的なカチオンは、ジフェニルアンモニウムイオンである。
その他の実施形態では、アリールスルフィネート塩のカチオンは、正に帯電した窒素原
子を持った4〜12員複素環式基を含む環構造である。複素環式基は、飽和でも不飽和で
もよく、窒素、酸素、硫黄、またはこれらの組み合わせから選択される3個までのヘテロ
原子を含有することができる(すなわち、1つの正に帯電した窒素原子と、窒素、酸素、
硫黄、またはこれらの組み合わせから選択される2個までのその他のへテロ原子とが存在
する)。環構造は非置換でもよいし、あるいは、アルキル、アリール、アシル、アルコキ
シ、アリールオキシ、ハロ、メルカプト、アミノ、ヒドロキシ、アゾ、シアノ、カルボキ
シ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロカルボニル、またはこれら
の組み合わせから選択される置換基を有することもできる。
カチオン環構造中の複素環式基は、単環式でも二環式でもよく、あるいは、別の環式ま
たは二環式基に縮合されてもよい。縮合環式または二環式基は、飽和でも不飽和でもよく
、0〜3個のへテロ原子を有することができる。環構造は、30個までの炭素原子、24
個までの炭素原子、18個までの炭素原子、12個までの炭素原子、6個までの炭素原子
、または4個までの炭素原子と、6個までのへテロ原子、4個までのへテロ原子、2個ま
でのへテロ原子、または1個のへテロ原子とを含むことができる。いくつかの実施形態で
は、環構造は、0〜3個のへテロ原子を有する芳香環に縮合された4〜12員複素環式基
である。
正に帯電した窒素原子を含有する5員複素環式基の適切な例としては、ピロリウムイオ
ン、ピラゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、トリアゾリウ
ムイオン、イソオキサゾリウムイオン、オキサゾリウムイオン、チアゾリウムイオン、イ
ソチアゾリウムイオン、オキサジアゾリウムイオン、オキサトリアゾリウムイオン、ジオ
キサゾリウムイオン、およびオキサチアゾリウムイオンがあげられるが、これらに限定さ
れない。これらのイオンは、非置換であるか、あるいは、アルキル、アリール、アシル、
アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、メルカプト、アミノ、ヒドロキシ、アゾ、シアノ、
カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロカルボニル基、ま
たはこれらの組み合わせで置換され得る。いくつかの用途では、カチオンは、非置換また
は置換されたイミダゾリウムイオンまたはオキサゾリウムイオンである。
5員複素環式基は、別の環式基に縮合され得る。いくつかの典型的な環構造では、5員
複素環式基は、芳香族基に縮合される。典型的な環構造としては、インドールイオン、イ
ンダゾリウムイオン、ベンゾピロリジニウムイオン、ベンゾイミダゾリウムイオン、ベン
ゾトリアゾリウムイオン、ベンゾイソオキサゾリウムイオン、ベンゾオキサゾリウムイオ
ン、ベンゾチアゾリウムイオン、ベンゾイソチアゾリウムイオン、ベンゾオキサジアゾリ
ウムイオン、ベンゾオキサトリアゾリウムイオン、ベンゾジオキサゾリウムイオン、ベン
ゾオキサチアゾリウムイオン、カルボゾリウムイオン、およびプリニウムイオンがあげら
れるが、これらに限定されない。これらのイオンは、非置換であるか、あるいは、アルキ
ル、アリール、アシル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、メルカプト、アミノ、ヒド
ロキシ、アゾ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル
、ハロカルボニル基、またはこれらの組み合わせで置換され得る。いくつかの用途では、
カチオンは、非置換または置換されたベンゾオキサゾリウムイオンまたはベンゾチアゾリ
ウムイオンである。
正に帯電した窒素原子を含有する6員複素環式基の適切な例としては、ピリジニウムイ
オン、ピリダジニウムイオン、ピリミジニウムイオン、ピラジニウムイオン、ピペラジニ
ウムイオン、トリアジニウムイオン、オキサジニウムイオン、ピペリジニウムイオン、オ
キサチアジニウムイオン、オキサジアジニウムイオン、およびモルホリニウムイオンがあ
げられるが、これらに限定されない。これらのイオンは、非置換であるか、あるいは、ア
ルキル、アリール、アシル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、メルカプト、アミノ、
ヒドロキシ、アゾ、シアノ、またはカルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシ
カルボニル、ハロカルボニル基、もしくはこれらの組み合わせで置換され得る。いくつか
の用途では、カチオンは、非置換または置換されたピリジニウムイオンまたはモルホリニ
ウムイオンである。
6員複素環式基は、別の環式基に縮合され得る。いくつかの典型的な環構造では、6員
複素環式基は、芳香族基に縮合される。典型的な環構造としては、イソキノリニウムイオ
ン、キノリニウムイオン、シンノリニウムイオン、キナゾリニウムイオン、ベンゾピラジ
ニウムイオン、ベンゾピペラジニウムイオン、ベンゾトリアジニウムイオン、ベンゾオキ
サジニウムイオン、ベンゾピペリジニウムイオン、ベンゾオキサチアジニウムイオン、ベ
ンゾオキサジジニウムイオン、ベンゾモルホリニウムイオン、ナフチリジニウムイオン、
およびアクリジニウムイオンがあげられるが、これらに限定されない。これらのイオンは
、非置換であるか、あるいは、アルキル、アリール、アシル、アルコキシ、アリールオキ
シ、ハロ、メルカプト、アミノ、ヒドロキシ、アゾ、シアノ、またはカルボキシ、アルコ
キシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロカルボニル基、もしくはこれらの組み
合わせで置換され得る。
正に帯電した窒素原子を含有する7員複素環式基の適切な例としては、例えば、アゼピ
ニウムイオンおよびジアゼピニウムイオンがある。これらのイオンは、非置換であるか、
あるいは、アルキル、アリール、アシル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、メルカプ
ト、アミノ、ヒドロキシ、アゾ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリール
オキシカルボニル、ハロカルボニル基、またはこれらの組み合わせで置換され得る。
二環式である複素環式基の例としては、非置換であるか、あるいは、アルキル、アリー
ル、アシル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、メルカプト、アミノ、ヒドロキシ、ア
ゾ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロカル
ボニル基、またはこれらの組み合わせで置換されたN−アルキル化またはN−プロトン化
1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、およびN−アルキル化またはN−プロ
トン化1−アザビシクリック(azabicyclic)[2.2.2]オクタンがあげ
られるが、これらに限定されない。
その他の実施形態では、アリールスルフィネート塩のカチオンは、式III
の正に帯電したリン原子を含有し、式中、各R2は、独立して、非置換または置換された
アルキルまたはアリールである。アルキル基は、ヒドロキシで置換され得る。アリールは
、アルキル、ヒドロキシ、またはこれらの組み合わせで置換され得る。
式IIIのいくつかの例では、R2基は全てアリール基である。例えば、カチオンは、
テトラフェニルホスホニウムイオンであり得る。その他の例では、R2基のうちの1つ、
2つ、または3つはアリールであり、残りのR2基(単数または複数)は、C230アルキ
ルである。
アリールスルフィネート塩のうちのいくつかは、式IV
のアニオンと、正に帯電した窒素原子を含むカチオンとを有することができる。好ましく
は、カチオンは、少なくとも1つの炭素原子を有する。式IVにおいて、R3は、ベンゼ
ン環のオルト、パラ、またはメタの位置にあり、ハロ、シアノ、フルオロアルキル、ペル
フルオロアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハ
ロカルボニル、ホルミル、カルボニル、スルホ、アルコキシスルホニル、アリールオキシ
スルホニル、ペルフルオロアルキルスルホニル、アルキルスルホニル、アゾ、アルケニル
、アルキニル、ジアルキルホスホナト、またはジアリールホスホナトから選択される電子
吸引性基である。いくつかの化合物では、R3は、シアノ、カルボキシ、アルコキシカル
ボニル、アリールオキシカルボニル、ハロカルボニル、ホルミル、カルボニル、スルホ、
アルコキシスルホニル、アリールオキシスルホニル、ペルフルオロアルキルスルホニル、
またはアルキルスルホニルから選択される。その他の化合物では、R3は、ハロ、シアノ
、またはアルコキシカルボニル基である。
3がフェニル環のパラ位に配置される式IVの特定の例としては、4−シアノベンゼ
ンスルフィネート、4−クロロベンゼンスルフィネート、4−エトキシカルボニルベンゼ
ンスルフィネート、および4−トリフルオロメチルベンゼンスルフィネートがある。フェ
ニル環のメタ位にR3が配置された特定の例としては、3−トリフルオロメチルベンゼン
スルフィネートがある。
いくつかの用途では、アリールスルフィネート塩は、式IVのアニオンと、テトラアル
キルアンモニウムイオンであるカチオンとを含む。テトラアルキルアンモニウムイオンの
アルキル基は同じでも異なっていてもよく、通常は2〜30個の炭素原子を含有する。例
えば、アルキル基は、4〜30個の炭素原子、8〜30個の炭素原子、3〜10個の炭素
原子、4〜10個の炭素原子、または4〜8個の炭素原子を含有することができる。特定
のアリールスルフィネート塩としては、4−クロロベンゼンスルフィン酸テトラブチルア
ンモニウム、4−シアノベンゼンスルフィン酸テトラブチルアンモニウム、4−エトキシ
カルボニルベンゼンスルフィン酸テトラブチルアンモニウム、4−トリフルオロメチルベ
ンゼンスルフィン酸テトラブチルアンモニウム、および3−トリフルオロメチルベンゼン
スルフィン酸テトラブチルアンモニウムがあげられるが、これらに限定されない。
電子供与体のその他の特定の例としては、1−ナフタレンスルフィン酸テトラブチルア
ンモニウム、2−ナフタレンスルフィン酸テトラブチルアンモニウム、および1−アント
ラキノンスルフィン酸テトラブチルアンモニウム、4−メチルベンゼンスルフィン酸1−
エチル−3−メチルイミダゾリウム、4−シアノベンゼンスルフィン酸N,N−モルホリ
ニウム、4−シアノベンゼンスルフィン酸3−エチル−2−メチルベンキソキサゾリウム
(methylbenxoxazolium)、4−シアノベンゼンスルフィン酸1−メ
チル−4−アザ−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、ならびに4−シアノベ
ンゼンスルフィン酸N−へキサデシルピリジニウムがあげられるが、これらに限定されな
い。
アリールスルフィネート塩は、例えば、本願と同じ日に出願された本願譲受人の係属中
の(特許文献2)(代理人事件番号58634US002)に開示される方法と同様の方
法によって調製することができる。
好ましくは、電子供与体(すなわち、スルフィネート塩)は、硬化性組成物の成分の総
重量(水を含む)を基準として、少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも
0.1重量%の量で存在する。好ましくは、スルフィネート塩は、硬化性組成物の成分の
総重量(水を含む)を基準として、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の量で
存在する。
二次還元剤
本発明のいくつかの実施形態では、電子供与体(すなわち、アリールスルフィネート塩
)は、レドックス開始剤系において一次還元剤として役立つことができ、任意で、二次還
元剤が含まれてもよい。二次還元剤は、重合性でも非重合性でもよい。典型的な二次還元
剤としては、(特許文献3)(ワン(Wang)ら)に記載されるようなアスコルビン酸
、アスコルビン酸誘導体、および金属錯体化アスコルビン酸化合物と、アミン、特にエチ
ル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾアートおよび4−tert−ブチルジメチルア
ニリンなどの第3級アミンと、p−トルエンスルフィン酸塩およびベンゼンスルフィン酸
塩などの芳香族スルフィン酸塩と、1−エチル−2−チオ尿素、テトラエチルチオ尿素、
テトラメチルチオ尿素、1,1−ジブチルチオ尿素、および1,3−ジブチルチオ尿素な
どのチオ尿素と、これらの混合物とがあげられる。その他の二次還元剤は、塩化コバルト
(II)、塩化第1鉄、硫酸第1鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン(酸化剤の選択に
依存して)、シュウ酸、亜ジチオン酸または亜硫酸アニオンの塩、およびこれらの混合物
を含むことができる。二次還元剤として有用であり得る更なる化合物は、(特許文献4)
(パラッツォット(Palazzotto))に記載される電子供与体の一覧に含まれる
。好ましくは、二次還元剤はアミンであり、より好ましくは第3級アミンである。
好ましくは、組成物中で使用される場合、任意の二次還元剤は、硬化性組成物の成分の
総重量(水を含む)を基準として、少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくと
も0.05重量%の量で存在する。好ましくは、任意の二次還元剤は、硬化性組成物の成
分の総重量(水を含む)を基準として、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の
量で存在する。
電子受容体
本発明の特定の実施形態では、開始剤系の成分は、銀/硝酸銀参照電極に対して最大で
も+0.4ボルト、好ましくは最大でも+0.1ボルト、より好ましくは最大でも0.0
ボルト、更により好ましくは最大でも−0.1ボルト、最も好ましくは最大でも−0.5
ボルトのN,N−ジメチルホルムアミド中の還元電位を有する電子受容体(例えば、酸化
剤を含む)である。いくつかの実施形態では、電子受容体は、銀/硝酸銀参照電極に対し
て少なくとも−1.0ボルトのN,N−ジメチルホルムアミド中の還元電位を有する。
電子受容体は、通常、フリーラジカル重合反応を受けることができるエチレン性不飽和
化合物中に可溶性であるように選択される。適切な電子受容体としては、例えば、酸化状
態にある金属イオン、過硫酸およびその塩、過酸化物およびヒドロペルオキシド、過ホウ
酸およびその塩、過マンガン酸およびその塩、過リン酸およびその塩、ヨードニウム塩、
またはこれらの組み合わせがあげられる。
電子受容体が、酸化状態にある金属イオン、過酸化物、過硫酸塩、またはこれらの組み
合わせであれば、電子受容体は、通常、開始剤系において使用する前に、電子供与体と混
ぜ合わせない。これらの電子受容体は、多くの場合、室温(すなわち、20℃〜25℃)
または高温(例えば、150℃まで)において、比較的短い時間内(例えば、1時間未満
、30分未満、10分未満、または5分未満)で電子供与体と反応することができる。こ
のような開始剤系は、光による活性化がなくても開始させることができる(すなわち、開
始剤系は、熱(例えば、レドックス)系である)。
適切な電子受容体金属イオンとしては、例えば、III族金属のイオン、遷移金属、お
よびランタニド金属がある。特定の金属イオンとしては、Fe(III)、Co(III
)、Ag(I)、Ag(II)、Cu(II)、Ce(IV)、Al(III)、Mo(
VI)、およびZn(II)があげられるが、これらに限定されない。このような金属イ
オンを有する適切な電子受容体塩の例としては、酢酸銅(II)、塩化コバルト(III
)、塩化第2鉄(III)、および硫酸セリウム(IV)がある。
適切な電子受容体過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリルなどがある。
適切なヒドロペルオキシドとしては、クミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペル
オキシド、過酸化ナトリウム、過酸化水素、およびアミルヒドロペルオキシドなどがある
。適切な電子受容体過硫酸塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、セシウム、アン
モニウム、およびアルキルアンモニウム塩がある。
2つ以上の酸化剤または2つ以上のアリールスルフィネート塩を使用することが望まし
いこともある。また、少量の遷移金属化合物を添加して、重合(例えば、レドックスキュ
ア)の速度を加速してもよい。
アリールスルフィネート塩および電子受容体(例えば、酸化剤)は、適切なフリーラジ
カル反応速度を可能にするのに十分な量で存在する。これは、任意的なフィラーを除いて
硬化性組成物の原料を全て混合し、硬化した塊が得られるかどうかを観察することによっ
て評価することができる。
開始剤系が光重合法(すなわち、開始剤系は光開始剤系である)において使用される場
合には、任意的な電子受容体は、存在する場合には、通常、室温で電子供与体(すなわち
、アリールスルフィネート塩)と直接反応しないように選択される。いくつかの実施形態
では、電子受容体、電子供与体、および増感剤を含有する組成物は、通常、光による開始
剤系の活性化の前に少なくとも1日間保存することができ、好ましくは、本明細書中に定
義されるように、組成物は化学的に安定である。光開始剤系における使用に適切な電子受
容体としては、ヨードニウム塩、ヘキサアリールビスイミダゾール、またはこれらの組み
合わせがあげられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、電子受容体は、銀/硝酸銀参照電極に対して最大でも+0.
1ボルト、好ましくは最大でも0.0ボルト、より好ましくは最大でも−0.1ボルト、
最も好ましくは最大でも−0.5ボルトのN,N−ジメチルホルムアミド中の還元電位を
有する。いくつかの実施形態では、電子受容体は、銀/硝酸銀参照電極に対して少なくと
も−1.0ボルトN,N−ジメチルホルムアミド中の還元電位を有する。このような還元
電位を有する電子受容体は、ヨードニウム塩を含む。ヨードニウム塩は、ジアリールヨー
ドニウム塩であることが多い。ジアリールヨードニウム塩は、普通、貯蔵安定性である。
すなわち、ジアリールヨードニウム塩は、通常、電子供与体と混合された場合、または電
子供与体および増感化合物と混合された場合、光がなければ電子供与体と自然には反応し
ない、あるいは重合を促進しない。
適切なヨードニウム塩は、(特許文献5)(スミス(Smith))、(特許文献6)
(スミス(Smith))、(特許文献7)(スミス(Smith))、(特許文献8)
(スミス(Smith))、(特許文献9)(スミス(Smith))、(特許文献4)
(パラッツォット(Palazzotto)ら)、および(特許文献10)(オクスマン
(Oxman)ら)において、更に詳細に説明されている。ヨードニウム塩は、単塩、金
属錯塩、またはこれらの組み合わせでよい。単塩の例としては、ハロゲン化物、スルホン
酸塩、カルボン酸塩、またはこれらの組み合わせなどのアニオンを有するものがある。金
属錯塩の例としては、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキ
サフルオロアンチモネート、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート、テトラフルオロ
ボレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、またはこれらの組み合わせなど
のアニオンを有するものがある。
ヨードニウム金属錯塩は、(非特許文献1)の教示に従って、対応するヨードニウム単
塩(例えば、塩化ジフェニルヨードニウムまたは重亜硫酸ジフェニルヨードニウムなど)
のメタセシスによって調製することができる。特定の例では、金属錯塩、テトラフルオロ
ホウ酸ジフェニルヨードニウムは、フルオロホウ酸銀、ホウフッ化水素酸、およびリン酸
(phosphorus acid)を含有する水溶液を塩化ジフェニルヨードニウム水
溶液に添加することによって調製することができる。沈殿するハロゲン化銀をろ過して除
去し、ろ液を濃縮してテトラフルオロホウ酸ジフェニルヨードニウムをもたらすことがで
き、これは再結晶により精製することができる。
ジアリールヨードニウム単塩は、上記のベリンジャー(Beringer)らに従って
、硫酸中における2つの芳香族化合物とヨージルサルフェート(iodyl sulfa
te)とのカップリング、酢酸−無水酢酸中における2つの芳香族化合物とヨウ素酸塩と
のカップリング、酸の存在下における2つの芳香族化合物とアクリル酸ヨウ素(iodi
ne acrylate)とのカップリング、または酸の存在下におけるヨードソ化合物
(例えば、ヨードソジアセテート)またはヨードキシ化合物と別の芳香族化合物との縮合
を含む様々な方法で調製することができる。
典型的なジアリールヨードニウム塩としては、塩化ジフェニルヨードニウム、テトラフ
ルオロホウ酸ジフェニルヨードニウム、テトラフルオロホウ酸ジ(4−メチルフェニル)
ヨードニウム、テトラフルオロホウ酸フェニル−4−メチルフェニルヨードニウム、テト
ラフルオロホウ酸ジ(4−ヘプチルフェニル)ヨードニウム、テトラフルオロホウ酸フェ
ニル−4−ヘプチルフェニルヨードニウム、ヘキサフルオロリン酸ジ(3−ニトロフェニ
ル)ヨードニウム、ヘキサフルオロリン酸ジ(4−クロロフェニル)ヨードニウム、テト
ラフルオロホウ酸ジ(ナフチル)ヨードニウム、テトラフルオロホウ酸ジ(4−トリフル
オロメチルフェニル)ヨードニウム、ヘキサフルオロリン酸ジフェニルヨードニウム、ヘ
キサフルオロリン酸ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ヘキサフルオロヒ酸ジフェ
ニルヨードニウム、テトラフルオロホウ酸ジ(4−フェノキシフェニル)ヨードニウム、
ヘキサフルオロリン酸フェニル−2−チエニルヨードニウム、ヘキサフルオロリン酸3,
5−ジメチルピラゾリル−4−フェニルヨードニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸ジフ
ェニルヨードニウム、テトラフルオロホウ酸2,2’−ジフェニルヨードニウム、ヘキサ
フルオロリン酸ジ(2,4−ジクロロフェニル)ヨードニウム、ヘキサフルオロリン酸ジ
(4−ブロモフェニル)ヨードニウム、ヘキサフルオロリン酸ジ(4−メトキシフェニル
)ヨードニウム、ヘキサフルオロリン酸ジ(3−カルボキシフェニル)ヨードニウム、ヘ
キサフルオロリン酸ジ(3−メトジカルボニルフェニル(methodycarbony
lphenyl))ヨードニウム、ヘキサフルオロリン酸ジ(3−メトキシスルホニルフ
ェニル)ヨードニウム、ヘキサフルオロリン酸ジ(4−アセトアミドフェニル)ヨードニ
ウム、ヘキサフルオロリン酸ジ(2−ベンゾチエニエル)ヨードニウム、ヘキサフルオロ
アンチモン酸ジフェニルヨードニウム、およびテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸
ジフェニルヨードニウムがあげられる。
いくつかの用途では、電子受容体は、塩化ジフェニルヨードニウム、ヘキサフルオロリ
ン酸ジフェニルヨードニウム、テトラフルオロホウ酸ジフェニルヨードニウム、ヘキサフ
ルオロアンチモン酸ジフェニルヨードニウム、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸
ジフェニルヨードニウム、またはこれらの組み合わせである。これらのジアリールヨード
ニウム塩は、他のいくつかのヨードニウム塩と比較して、より速い反応を促進すると共に
、不活性有機溶媒中により可溶性である傾向がある。
開始剤系は、電子受容体としてヘキサアリールビスイミダゾール化合物を含むことがで
きる。このような化合物は、(非特許文献2)に記載されるように合成することができる
。ヘキサアリールビスイミダゾールは、英国ウェストヨークシャー州のラムソン(Lam
bson,West Yorkshire,England)から、商品名スピードキュ
ア(SPEEDCURE)BCIMで市販されている。
開始剤系が光開始剤系である実施形態では、電子受容体は、電子受容体がアルコールな
どの適切な溶媒またはエチレン性不飽和モノマー中に溶解されたときに見た目に無色の溶
液を形成するように選択されることが多い。アルコール中の電子受容体の溶液は、通常、
電磁スペクトルの可視領域において吸収しない。すなわち、電子受容体のモル吸光係数は
、350nmにおいて、100 l−モル-1cm-1未満または50 l−モル-1cm-1
満であり得る。
好ましくは、組成物中で使用される場合、電子受容体は、硬化性組成物の成分の総重量
(水を含む)を基準として、少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.
10重量%の量で存在する。好ましくは、電子受容体は、硬化性組成物の成分の総重量(
水を含む)を基準として、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の量で存在する
本発明の還元剤(例えば、アリールスルフィネート塩および/または二次還元剤)また
は酸化剤は、(特許文献11)(ミトラ(Mitra)ら)に記載されるようにマイクロ
カプセル化されてもよい。これは、一般に、重合性組成物の貯蔵安定性を向上させ、必要
であれば、還元剤および酸化剤を一緒にパッケージングすることを可能にし得る。例えば
、カプセル材料の適切な選択によって、酸化剤および還元剤を、酸官能性成分と、そして
任意でフィラーと混合して、保存安定性の状態に保つことができる。同様に、非水溶性の
カプセル材料の適切な選択によって、還元剤および酸化剤を、FASガラスおよび水と混
合して、保存安定性の状態に保つことができる。
レドックスキュア系は、その他のキュア系、例えば、(特許文献11)(ミトラ(Mi
tra)ら)に記載されるような光重合性組成物と混合することができる。
増感剤
本発明の光重合性組成物は、更に、開始剤系の一部として増感化合物(すなわち、増感
剤)を含むことができる。通常、250〜1000ナノメートルの範囲の電磁放射(例え
ば、化学線)を用いて、励起された増感化合物形成することができる。増感化合物は、ケ
トン、染料、顔料、またはこれらの組み合わせでよい。
適切な増感化合物としては、ケトン(例えば、モノケトンおよびジケトン)、クマリン
染料(例えば、クマリン153などのケトクマリン)、キサンテン染料(例えば、ローズ
ベンガル(Rose Bengal)およびローダミン(Rhodamine)6G)、
アクリジン染料、チアゾール染料、チアジン染料(例えば、メチレンブルーおよびメチレ
ンバイオレット)、オキサジン染料(例えば、ベーシックブルー3およびナイルブルーク
ロリド(Nile Blue Chloride))、アジン染料(例えば、メチルオレ
ンジ)、アミノケトン染料、ポルフィリン(例えば、ポルフィラジン)、芳香族多環式炭
化水素、p−置換アミノスチリルケトン化合物、アミノトリアリールメタン、シアニン染
料(例えば、(非特許文献3)に記載されるシアニン染料)、スクアリリウム染料、ピリ
ジニウム染料、ベンゾピリリウム染料、およびトリアリールメタン(例えば、マラカイト
グリーン(Malachite Green))があげられるが、これらに限定されない
。いくつかの用途では、増感化合物は、キサンテン、モノケトン、ジケトン、またはこれ
らの組み合わせを含む。その他の適切な増感染料は、(非特許文献4)に記載されている
。いくつかの実施形態では、増感化合物は、フルオロセイン(fluoroscein)
、ローダミン、エオシン、およびピロニンなどのキサンテン染料である。
典型的なモノケトンとしては、2,2−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4−ジヒド
ロキシベンゾフェノン、および2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ジ−2−ピリジル
ケトン、ジ−2−フラニルケトン、ジ−2−メルカプトフェニルケトン、ベンゾイン、フ
ルオレノン、カルコン、ミヒラーケトン、2−フルオロ−9−フルオレノン、2−クロロ
メルカプトキサントン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、1−または2−アセトナフト
ン、9−アセチルアントラセン、2−、3−、または9−アセチルフェナントレン、4−
アセチルビフィエニル(acetylbiphyenyl)、プロピオフェノン、n−ブ
チロフェノン、バレロフェノン、2−、3−、または4−アセチルピリジン、3−アセチ
ルクマリンなどがある。
典型的なジケトンとしては、アントラキノン、フェナントレンキノン、o−、m−およ
びp−ジアセチルベンゼン、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−および
1−8ジアセチルナフタレン、1,5−、1,8−および9,10−ジアセチルアントラ
センなどのアラルキルジケトンがある。典型的なアルファ−ジケトンとしては、2,3−
ブタンジオン、2,3−ペンタンジオン、2,3−へキサンジオン、3,4−へキサンジ
オン、2,3−ヘプタンジオン、3,4−ヘプタンジオン、2,3−オクタンジオン、4
,5−オクタンジオン、ベンジル、2,2’−、3,3’−および4,4’−ジヒドロキ
シベンジル、フリル、ジ−3,3’−インドリルエタンジオン、2,3−ボルナンジオン
(カンファーキノン)、ビアセチル、1,2−シクロへキサンジオン、3,3,6,6−
テトラメチルシクロへキサンジオン、1,2−ナフタキノン、アセナフタキノンなどがあ
る。更なるジケトンとしては、例えば(特許文献12)(ロールズ(Rawls)ら)に
開示されるような1−フェニル−1,2−プロパンジオンなどの1−アリール−2−アル
キル−1,2−エタンジオンがある。
増感剤として適切な更なるケトクマリンおよびp−置換アミノスチリルケトン化合物は
、(特許文献4)(パラッツォット(Palazzotto))の表IIに列挙される。
増感剤は、150,000 l−モル-1cm-1までのモル吸光係数を有することができ
る。いくつかの用途では、増感剤は、85,000 l−モル-1cm-1まで、70,00
0まで、50,000まで、30,000まで、10,000まで、または5,000
l−モル-1cm-1までであるモル吸光係数を有する。
高度のキュアを必要とする用途(例えば、高充填歯科用コンポジットのキュア)では、
通常、1000 l−モル-1cm-1未満の吸光係数を有する増感化合物が選択される。そ
の他の用途では、光重合に使用される光の波長における吸光係数は、500 l−モル-1
cm-1未満、または100 l−モル-1cm-1未満である。例えばアルファ−ジケトンは
、このような用途に使用することができる増感化合物である。あるいは、露光の際の励起
波長において、吸光係数の低下、光吸収の低下、または光退色を示す染料を用いることが
できる。
また増感化合物は、(特許文献13)(パラッツォット(Palazzotto)ら)
および(特許文献14)(イートン(Eaton))に記載されるような顔料でもよい。
適切な無機顔料としては、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、
酸化亜鉛、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、テルル化カ
ドミウム、またはこれらの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。適切な有
機顔料としては、(非特許文献5)に記載されるような、フタロシアニンブルー(ピグメ
ントブルー15)、銅ポリクロロフタロシアニングリーン(ピグメントグリーン7)、銅
ポリブロモクロロフタロシアニン(ピグメントグリーン36)、ペリレンスカーレット(
バットレッド(vat red)29)、ペリレンバーミリオン(ピグメントレッド23
)、ペリレンマルーン、ペリレンボルド(perylene Bordeaux)、およ
びペリレン二無水物(ペリレンレッド)があげられるが、これらに限定されない。また有
機顔料は、(非特許文献6)および(非特許文献7)によって記載されるような半導体ポ
リマーでもよい。
好ましい増感剤化合物としては、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,
6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントレンキノン、1−フェニル−1,2
−プロパンジオン、およびこれらの組み合わせがあげられる。より好ましい増感剤化合物
は、カンファーキノンである。
好ましくは、組成物中で使用される場合、増感剤は、硬化性組成物の成分の総重量(水
を含む)を基準として、少なくとも0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.0
1重量%の量で存在する。好ましくは、電子受容体は、硬化性組成物の成分の総重量(水
を含む)を基準として、3.0重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下の量で存在
する。
重合性エチレン性不飽和化合物
本発明の組成物は1つまたは複数の重合性成分を含み、それにより、重合性(すなわち
、硬化性)組成物を形成する。重合性成分は、通常、エチレン性不飽和化合物であり、モ
ノマー、オリゴマー、またはポリマーでよい。
特定の実施形態では、組成物は光重合性である。すなわち、組成物は、通常はエチレン
性不飽和化合物である光重合性成分と、化学線で照射されると組成物の重合(または硬化
)を開始させる光開始剤(すなわち、光開始剤系)とを含有する。このような光重合性組
成物は、フリーラジカル重合性であり得る。
特定の実施形態では、組成物は、化学重合性である。すなわち、組成物は、通常はエチ
レン性不飽和化合物である化学重合性成分と、化学線による照射に依存することなく組成
物を重合、キュア、またはそうでなければ硬化させることができる化学開始剤(すなわち
、開始剤系)とを含有する。このような化学重合性組成物は、「セルフキュア」組成物と
呼ばれることもあり、樹脂変性ガラスアイオノマーセメント、レドックスキュアシステム
、およびこれらの組み合わせを含むことができる。
本発明のエチレン性不飽和化合物(すなわち、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重
結合を含有する化合物)は、フリーラジカル重合反応機構を用いて重合させることができ
るモノマー、オリゴマー、およびポリマーを含む。エチレン性不飽和化合物の例としては
、モノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレート、ま
たはこれらの組み合わせを含む(メタ)アクリレート(すなわち、アクリレートおよびメ
タクリレート)があげられる。化合物は、非置換であるか、またはヒドロキシで置換され
得る。化合物は、酸官能基(以下のセクションで説明されるような)を含有することもで
きるし、酸官能基を持たなくてもよい。
典型的なエチレン性不飽和化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレ
ート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリセロールト
リ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,
3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、1,2,4−ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、1,4−シクロ
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリ
レート、ソルビトールへキサ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)ア
クリレート、ビス[1−(2−アクリロキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン
、ビス[1−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチ
ルメタン、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、およびトリスヒドロ
キシエチル−イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリルアミド、
メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、およびジアセトン(メタ)アクリルアミドなど
の(メタ)アクリルアミド(すなわち、アクリルアミドおよびメタクリルアミド)と、ウ
レタン(メタ)アクリレートと、ポリエチレングリコール(好ましくは分子量200〜5
00)のビス−(メタ)アクリレート、(特許文献15)(ベッチャー(Boettch
er)ら)にあるようなアクリレート化モノマーの共重合性混合物、および(特許文献1
6)(ザドル(Zador)ら)のようなアクリレート化オリゴマーと、スチレン、ジア
リルフタレート、ジビニルサクシネート、ジビニルアジペートおよびジビニルフタレート
などのビニル化合物とがあげられる。その他の適切なフリーラジカル重合性化合物として
は、例えば、(特許文献17)(グッゲンベルガー(Guggenberger)ら)、
(特許文献18)(ウェインマン(Weinmann)ら)、(特許文献19)(グッゲ
ンベルガー(Guggenberger)ら)、(特許文献20)(グッゲンベルガー(
Guggenberger)ら)に開示されるようなシロキサン官能性(メタ)アクリレ
ートと、例えば、(特許文献21)(フォック(Fock)ら)、(特許文献22)(グ
リフィス(Griffith)ら)、(特許文献23)(ワーゲンクネヒト(Wagen
knecht)ら)、(特許文献24)(ライネルス(Reiners)ら)、および(
特許文献25)(ライネルス(Reiners)ら)に開示されるようなフルオロポリマ
ー官能性(メタ)アクリレートとがあげられる。所望されるなら、2つ以上のフリーラジ
カル重合性化合物の混合物を使用することもできる。
また、エチレン性不飽和化合物は、単一の分子中に、ヒドロキシル基およびフリーラジ
カル活性の官能基を含有してもよい。このような材料の例としては、2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレートおよび2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒド
ロキシアルキル(メタ)アクリレートと、グリセロールモノ−およびジ−(メタ)アクリ
レートと、トリメチロールプロパンモノ−およびジ−(メタ)アクリレートと、ペンタエ
リトリトールモノ−、ジ−、およびトリ−(メタ)アクリレートと、ソルビトールモノ−
、ジ−、トリ−、テトラ−、およびペンタ−(メタ)アクリレートと、2,2−ビス[4
−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビスGMA
)とがあげられる。また適切なエチレン性不飽和化合物は、ミズーリ州セントルイスのシ
グマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)および独
国ダルムシュタットのローム・アンド・テック社(Rhom and Tech,Inc
.,Darmstadt,Germany)などの様々な種類の商業的な供給源からも入
手可能である。所望されるなら、エチレン性不飽和化合物の混合物を使用することもでき
る。
歯科用組成物において使用するために好ましいエチレン性不飽和化合物としては、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、PEGDMA(約400の分子量を有す
るポリエチレングリコールジメタクリレート)、ビスGMA、UDMA(ウレタンジメタ
クリレート)、GDMA(グリセロールジメタクリレート)、TEGDMA(トリエチレ
ングリコールジメタクリレート)、(特許文献26)(ホームズ(Holmes))に記
載されるようなビスEMA6、およびNPGDMA(ネオペンチルグリコールジメタクリ
レート)があげられる。所望されるなら、エチレン性不飽和化合物の様々な組み合わせを
使用することもできる。
好ましくは、本発明の組成物は、非充填組成物の総重量を基準として、少なくとも5重
量%、より好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも15重量%のエ
チレン性不飽和化合物を含む。好ましくは、本発明の組成物は、非充填組成物の総重量を
基準として、最大でも95重量%、より好ましくは最大でも90重量%、最も好ましくは
最大でも80重量%のエチレン性不飽和化合物を含む。
酸官能基を有する重合性のエチレン性不飽和化合物
本明細書中における使用では、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物は、エチレン
性不飽和ならびに酸および/または酸前駆体官能基を有するモノマー、オリゴマー、およ
びポリマーを含むことが意図される。酸前駆体官能基は、例えば、酸無水物、酸ハロゲン
化物およびピロリン酸塩を含む。このような酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物は
、本発明の特定の実施形態において存在する。
酸官能基を有する典型的なエチレン性不飽和化合物としては、例えば、グリセロールホ
スフェートモノ(メタ)アクリレート、グリセロールホスフェートジ(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートホスフェート、クエン酸モノ−、ジ−、およ
びトリ−(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレート化オリゴマー酸、ポリ(メタ
)アクリレート化ポリマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリ(メタ)アクリル酸
、ポリ(メタ)アクリレート化ポリカルボキシル−ポリホスホン酸、ポリ(メタ)アクリ
レート化ポリクロロリン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリスルホネート、ポリ(メタ
)アクリレート化ポリホウ酸などのα,β−不飽和酸性化合物があげられる。本発明の特
定の好ましい組成物としては、少なくとも1つのP−OH部分を持った酸官能基を有する
エチレン性不飽和化合物がある。
これらの化合物の特定のものは、例えば、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレート
とカルボン酸との間の反応生成物として得られる(例えば、ビス−ヒドロキシメチルプロ
ピオン酸のビス−イソシアナトエチルメタクリレート誘導体(PDMA)またはクエン酸
のビス−イソシアナトエチルメタクリレート誘導体(CDMA))。酸官能基およびエチ
レン性不飽和成分の両方を有するこのタイプの更なる化合物は、(特許文献27)(エン
ゲルブレヒト(Engelbrecht))および(特許文献28)(ミトラ(Mitr
a))に記載されている。エチレン性不飽和および酸部分の両方を含有する様々な種類の
このような化合物が使用され得る。所望されるなら、このような化合物の混合物を使用す
ることができる。
酸官能基を有する更なるエチレン性不飽和化合物としては、例えば、2002年12月
30日に出願された(特許文献29)に例えば記載される重合性ビスホスホン酸と、AA
:ITA:IEM(例えば、(特許文献30)(ミトラ(Mitra))の実施例11に
記載されるように、AA:ITAコポリマーをコポリマーの酸基の部分をペンダントメタ
クリレート基に転換するのに十分な2−イソシアナトエチルメタクリレートと反応させて
製造されたペンダントメタクリレートを有するアクリル酸とイタコン酸のコポリマー)と
、(特許文献31)(ヤマウチ(Yamauchi)ら)、(特許文献32)(オムラ(
Omura)ら)、(特許文献33)(オムラ(Omura)ら)、(特許文献34)(
オムラ(Omura)ら)、(特許文献35)(ヤマモト(Yamamoto)ら)、(
特許文献36)(オカダ(Okada)ら)、ならびに欧州特許出願公開(特許文献37
)(トクヤマ社(Tokuyama Corp.))および(特許文献38)(クラレ社
(Kuraray Co.,Ltd.)に列挙されるものとがあげられる。更に、例えば
(特許文献39)(オックスマン(Oxman)ら)には、エチレン性不飽和リン酸化化
合物およびカルボン酸官能性ポリマーの組み合わせが開示される。
好ましくは、酸官能基を有する1つまたは複数のエチレン性不飽和化合物が本発明の組
成物中に存在する場合、組成物は、非充填組成物の総重量を基準として、少なくとも1重
量%、より好ましくは少なくとも3重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%の酸官能
基を有するエチレン性不飽和化合物を含む。好ましくは、本発明の組成物は、非充填組成
物の総重量を基準として、最大でも80重量%、より好ましくは最大でも70重量%、最
も好ましくは最大でも60重量%の酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を含む。
歯科用添加剤
本発明の特定の実施形態は、1つまたは複数の歯科用添加剤を含むことができる。典型
的な歯科用添加剤としては、フッ化物源、増白剤、抗う蝕剤(例えば、キシリトール)、
無機質補給剤(例えば、リン酸カルシウム化合物)、酵素、口臭清涼剤、麻酔薬、凝固剤
、酸中和剤、化学療法剤、免疫応答調節剤、薬剤、指示薬、染料、顔料、湿潤剤、界面活
性剤、緩衝剤、粘度調節剤、チキソトロープ、フィラー、ポリオール、抗菌剤、抗真菌剤
、安定剤、口内乾燥症の治療剤、減感剤、およびこれらの組み合わせがあげられる。上記
で列挙した添加剤のうちのいくつかは、以下で本明細書中により詳細に記載される。
フッ化物源
適切なフッ化物源としては、例えば、(特許文献40)(ロッツィ(Rozzi)ら)
、(特許文献41)(ロッツィ(Rozzi)ら)、(特許文献42)(ミトラ(Mit
ra)ら)、(特許文献43)(ミトラ(Mitra)ら)、(特許文献44)(ミトラ
(Mitra)ら)、および(特許文献45)(ミトラ(Mitra)ら)に開示される
ようなフッ化物塩がある。好ましいフッ化物放出源としては、例えば(特許文献46)(
オーセン(Aasen)ら)に開示されるようなテトラフルオロボレートアニオンがあげ
られる。フッ化物放出源の好ましい繰返し単位としては、トリメチルアンモニウムエチル
メタクリレートがあげられる。
フィラー
本発明の組成物は、フィラーを含有することができる。フィラーは、歯科用修復材組成
物において現在使用されているフィラーなどのように、歯科用途に使用される組成物中に
取り込むのに適切な様々な種類の材料のうちの1つまたは複数から選択され得る。
フィラーは、好ましくは、細かく分割される。フィラーは単峰性または多峰性(例えば
、二峰性)の粒度分布を有することができる。好ましくは、フィラーの最大粒度(粒子の
最も大きい寸法、通常は直径)は、5マイクロメートル未満、より好ましくは0.5マイ
クロメートル未満、最も好ましくは0.1マイクロメートル未満である。好ましくは、フ
ィラーの平均粒度は、0.1マイクロメートル未満、より好ましくは0.075マイクロ
メートル未満である。
フィラーは、無機材料であり得る。また、樹脂系に不溶性であり、任意で無機フィラー
が充填された架橋有機材料でもあり得る。フィラーは、いずれにしても、無毒性で、口中
での使用に適切でなければならない。フィラーは、放射線不透過性でも放射線透過性でも
よい。フィラーは通常、実質的に水に不溶性である。
適切な無機フィラーの例は、石英と、窒化物(例えば、窒化ケイ素)と、例えば、Zr
、Sr、Ce、Sb、Sn、Ba、Zn、およびAlから誘導されるガラスと、長石と、
ホウケイ酸ガラスと、カオリンと、タルクと、チタニアと、(特許文献47)(ランドク
レフ(Randklev))に記載されるような低モース硬度のフィラーと、サブミクロ
ンシリカ粒子(例えば、オハイオ州アクロンのデグサ社(Degussa Corp.,
Akron,OH)から「OX50」、「130」、「150」および「200」シリカ
を含む商品名アエロジル(AEROSIL)で入手可能なものなどの熱分解法シリカ(p
yrogenic silica)、およびイリノイ州タスコラのキャボット社(Cab
ot Corp.,Tuscola,IL)からのCAB−O−SIL M5シリカ)と
を含む天然または合成材料であるが、これらに限定されない。適切な有機フィラー粒子の
例としては、充填または非充填の粉末ポリカーボネート、ポリエポキシドなどがある。
好ましい非酸反応性フィラー粒子は、石英、サブミクロンシリカ、および(特許文献4
8)(ランドクレフ(Randklev))に記載されるタイプの非ガラス質微粒子であ
る。また、これらの非酸反応性フィラーの混合物も、有機および無機材料から製造される
フィラーの組み合わせと同様に考慮される。
また、フィラーと樹脂との間の結合を強化するために、フィラー粒子の表面を、カップ
リング剤で処理することもできる。適切なカップリング剤の使用には、ガンマ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、
ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが含まれる。
また、フィラーは、酸反応性フィラーでもよい。酸反応性フィラーは、通常、酸官能性
樹脂成分と組み合わせて使用され、非反応性フィラーと組み合わせて使用されてもよいし
、そうでなくてもよい。また酸反応性フィラーは、所望されるなら、フッ化物を放出する
特性を有することもできる。適切な酸反応性フィラーとしては、金属酸化物、ガラス、お
よび金属塩があげられる。好ましい金属酸化物には、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸
化マグネシウム、および酸化亜鉛が含まれる。好ましいガラスには、ホウ酸塩ガラス、リ
ン酸塩ガラス、およびフルオロアルミノケイ酸塩(「FAS」)ガラスが含まれる。FA
Sガラスが特に好ましい。FASガラスは、好ましくは、ガラスを硬化性組成物の成分と
混ぜたときに硬化した歯科用組成物が形成されるように、十分な溶出可能なカチオンを含
有する。またガラスは、好ましくは、硬化した組成物が抗う蝕性特性を有するように、十
分な溶出可能なフッ化物イオンも含有する。ガラスは、FASガラス製造技術分野におい
て当業者にはよく知られた技法を用いて、フッ化物、アルミナ、およびその他のガラス形
成原料を含有する溶融物から製造することができる。FASガラスは、好ましくは、他の
セメント成分と便宜的に混ぜることができ、そして結果として得られる混合物を口中で使
用するときにうまく機能するように、十分に細かく分割された粒子の形態である。
好ましくは、FASガラスの平均粒度(通常は、直径)は、例えば沈降分析器を用いて
測定すると、約10マイクロメートル以下、より好ましくは約5マイクロメートル以下で
ある。適切なFASガラスは当業者によく知られており、様々な種類の商業的な供給源か
らから入手可能であり、多くは、商品名ビトレマー(VITREMER)、ビトレボンド
(VITREBOND)、リライ(RELY)Xルーティング(LUTING)セメント
およびKETAC−FIL(ミネソタ州セントポールの3M ESPEデンタル・プロダ
クツ(3M ESPE Dental Products,St.Paul,MN))、
フジ(FUJI)II、GCフジ(FUJI)LCおよびフジ(FUJI)IX(日本国
東京のG−Cデンタル・インダストリアル社(G−C Dental Industri
al Corp.,Tokyo,Japan))、ならびにケムフィル・スーペリア(C
HEMFIL Superior)(ペンシルベニア州ヨークのデンツプライ・インター
ナショナル(Dentsply International,York,PA))で市
販されているものなどの現在入手可能なガラスアイオノマーセメントにおいて見出される
。所望されるなら、フィラーの混合物を使用することができる。
FASガラスは、任意で、表面処理を施すことができる。適切な表面処理としては、酸
洗浄(例えば、リン酸による処理)、リン酸塩による処理、酒石酸などのキレート剤によ
る処理、およびシランもしくは酸性または塩基性シラノール溶液による処理があげられる
が、これらに限定されない。望ましくは、処理溶液または処理されるガラスのpHは、中
性または中性付近に調整される。何故なら、これにより、硬化性組成物の保存安定性を増
大できるからである。
特定の組成物では、酸反応性および非酸反応性フィラーの混合物を硬化性組成物中で使
用することができる。
その他の適切なフィラーは、(特許文献49)(チャン(Zhang)ら)および(特
許文献50)(ウー(Wu)ら)、ならびに国際公開(特許文献51)(ウィンディッシ
ュ(Windisch)ら)および(特許文献52)(チャン(Zhang)ら)に開示
されている。これらの文献に記載されるフィラー成分には、ナノサイズのシリカ粒子と、
イットリウム、ストロンチウム、バリウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタ
ル、タングステン、ビスマス、モリブデン、スズ、亜鉛、ランタニド元素(すなわち、5
7〜71の全てを含めた範囲の原子番号を有する元素)およびセリウムの酸化物のような
金属酸化物と、これらの組み合わせとが含まれる。
フィラーを含む本発明のいくつかの実施形態(例えば、歯科用接着剤組成物)では、組
成物は、好ましくは、組成物の総重量を基準として、少なくとも1重量%、より好ましく
は少なくとも2重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%のフィラーを含む。このよう
な実施形態では、本発明の組成物は、好ましくは、組成物の総重量を基準として、最大で
も40重量%、より好ましくは最大でも20重量%、最も好ましくは最大でも15重量%
のフィラーを含む。
その他の実施形態(例えば、組成物が歯科用修復材または歯科矯正用接着剤である場合
)では、本発明の組成物は、好ましくは、組成物の総重量を基準として、少なくとも40
重量%、より好ましくは少なくとも45重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%の
フィラーを含む。このような実施形態では、本発明の組成物は、好ましくは、組成物の総
重量を基準として、最大でも90重量%、より好ましくは最大でも80重量%、更により
好ましくは最大でも70重量%のフィラー、最も好ましくは最大でも50重量%のフィラ
ーを含む。
界面活性剤、乳化剤、および油中水エマルジョン
本発明のいくつかの実施形態では界面活性剤を用いて、例えば、安定なエマルジョンの
形態における歯科用組成物の調製に役立つことができる。
エマルジョンは、好ましくは、エマルジョンの総重量を基準として、少なくとも1重量
%の水、より好ましくは少なくとも3重量%の水を含み、最も好ましくは、特定の実施形
態では、エマルジョンは、少なくとも5重量%の水を含む。エマルジョンは、好ましくは
、エマルジョンの総重量を基準として、70重量%以下の水、より好ましくは50重量%
以下の水を含む。
通常、本発明のエマルジョンの調製では、乳化剤および/または界面活性剤が使用され
る。水相中に低レベルの安定化原料を添加することも有利であり得る。硫酸マグネシウム
などの塩も有用なエマルジョン安定剤であり得る。グアー誘導体、キサンタンガムなどの
水溶性ガム、ならびにヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよ
びカルボキシルビニルポリマーなどの増粘剤の添加は、エマルジョンの安定化において有
益であり得る。
油中水マクロエマルジョンを調製するための典型的な方法は、油相(ポリマーおよび任
意の原料、例えば界面活性剤を含有する)および水相(任意の原料、例えば、界面活性剤
および/または安定化原料を含有する)を独立して加熱して、十分にかき混ぜながら水相
を油相にゆっくり添加することを含む。均質化が好ましいが、必須でなくてもよい。例え
ば、フィラーなどのその他の任意の原料は、冷却して添加することができる。その他の油
中水マクロエマルジョンの調製では、加熱は必要でないこともある。マクロエマルジョン
の調製の成功は、温度、混合速度および時間、せん断力などの因子に依存することが多い
マイクロエマルジョンは、水中油(O/I)型でも油中水(W/O)型でもよいが、後
者の型は、本発明では特に重要である。油中水型マイクロエマルジョンは、最大でも10
0ナノメートルのサイズを有する水滴を分散させる条件下で形成され、これは通常は、水
/油界面における界面活性剤および共界面活性剤の吸着により界面の表面張力を低下させ
て得られる。マイクロエマルジョンの理論は、例えば、(非特許文献8)、(非特許文献
9)、(非特許文献10)、(非特許文献11)、および(非特許文献12)を含む科学
文献において得ることができる。
油中水マイクロエマルジョンを製造するための典型的な手順では、水は、初期濁度が達
成されるまで、最終工程で混ぜながらゆっくりと組成物の残りの成分に添加される。多く
の場合、この「滴定」手順の間、初期濁度の時点で、マイクロエマルジョンは自然に形成
される。これは、一般に、組成物の総重量を基準として、8重量%〜12重量%の水を必
要とする。通常、マイクロエマルジョンは簡単な混合によって形成され、組成物の油成分
および水成分は、水の添加の前に予め別々に混ぜたり、加熱したりすることを必要としな
い。
光退色性染料
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、好ましくは、歯科用構造物とは著しく異
なる初めの色を有する。色は、好ましくは、光退色性染料の使用によって組成物に付与さ
れる。組成物は、好ましくは、組成物の総重量を基準として、少なくとも0.001重量
%の光退色性染料、より好ましくは少なくとも0.002重量%の光退色性染料を含む。
組成物は、好ましくは、組成物の総重量を基準として、最大でも1重量%の光退色性染料
、より好ましくは最大でも0.1重量%の光退色性染料を含む。光退色性染料の量は、そ
の吸光係数、人間の目がはじめの色を識別する能力、および所望される色の変化に応じて
変化し得る。
光退色性染料の色の形成および退色特性は、例えば、酸強度、誘電率、極性、酸素の量
、および大気中の含水量を含む様々な因子に応じて変化し得る。しかしながら、染料の退
色特性は、組成物を照射して色の変化を評価することによって容易に決定することができ
る。好ましくは、少なくとも1つの光退色性染料は、硬化性樹脂中に少なくとも部分的に
可溶性である。
光退色性染料の典型的な種類は、例えば、(特許文献53)(コール(Cole)ら)
、(特許文献54)(トロン(Trom)ら)、および(特許文献55)(ニクトースキ
ー(Nikutowski)ら)に開示されている。好ましい染料としては、例えば、ロ
ーズベンガル、メチレンバイオレット、メチレンブルー、フルオレセイン、エオシンイエ
ロー、エオシンY、エチルエオシン、エオシンブルーイッシュ、エオシンB、エリスロシ
ンB、エリスロシンイエローイッシュブレンド、トルイジンブルー、4’,5’−ジブロ
モフルオレセイン、およびこれらの組み合わせがあげられる。
本発明の組成物の色の変化は光によって開始される。好ましくは、組成物の色の変化は
、例えば、可視または近赤外(IR)光を十分な時間放出する歯科用キュアリングライト
を使用して、化学線を用いて開始される。本発明の組成物の色の変化を開始するメカニズ
ムは、樹脂を硬化する硬化メカニズムとは区別されてもよいし、実質的に同時でもよい。
例えば、組成物は、重合が化学的(例えば、レドックスの開始)または熱的に開始された
ときに硬化し、最初の色から最終的な色への色の変化は、化学線に露光されて、硬化過程
に続いて生じてもよい。
最初の色から最終的な色への組成物の色の変化は、好ましくは、以下に記載される比色
試験によって定量される。比色試験を用いて、ΔE*の値が決定される。これは3次元の
色空間における全部の色の変化を示す。人間の目は、通常の照明条件において、約3ΔE
*単位の色の変化を検出することができる。本発明の歯科用組成物は、好ましくは、少な
くとも20の色の変化ΔE*を有することができ、より好ましくは、ΔE*は少なくとも3
0、最も好ましくはΔE*は少なくとも40である。
その他の添加剤
任意で、本発明の組成物は、希釈剤(例えば、水)および/または溶媒(例えば、アル
コール(例えば、プロパノール、エタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチ
ルケトン)、およびその他の非ヒドロキシル溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン))を含有し
てもよい。所望されるなら、本発明の組成物は、阻害剤、促進剤、および当業者には明ら
かである他の原料など、その他の任意の添加剤を含有することができる。
歯科用組成物の調製および使用
本発明の重合性(すなわち、硬化性)歯科用組成物は、従来の混合技術を用いて、少な
くとも1つのエチレン性不飽和化合物と、アリールスルフィネート塩と、任意で電子受容
体と、任意で増感剤とを混合することによって調製することができる。結果として得られ
る組成物は、任意で、歯科用添加剤(例えば、フィラー、界面活性剤、退色性染料)、水
、共溶媒、および本明細書中に記載されるその他の添加剤を含有してもよい。使用する際
には、組成物は、光開始剤系(例えば、アリールスルフィネート塩の電子供与体と、増感
剤と、任意で電子受容体とを含む)を含有して、光による開始で硬化されてもよいし、あ
るいは、熱開始剤系(例えば、アリールスルフィネート電子供与体および電子受容体を含
む)を含有して、レドックスキュアメカニズムなどの化学重合によって硬化されてもよい
。あるいは、硬化性組成物は、組成物が光重合性および化学重合性の両方の組成物である
ように開始剤系(例えば、アリールスルフィネート塩電子供与体、増感剤、および電子受
容体を含む)を含有してもよい。
本発明の重合性組成物は、1パート系およびマルチパート系、例えば、2パートの粉体
/液体、ペースト/液体、およびペースト/ペースト系を含む様々な形態で供給され得る
。そのそれぞれが粉体、液体、ゲル、またはペーストの形態にあるマルチパートの組み合
わせ(すなわち、2つ以上のパートの組み合わせ)を用いるその他の形態も可能である。
レドックスマルチパート系では、1つのパートは通常電子受容体(例えば、酸化剤)を含
有し、もう1つのパートは通常還元剤(例えば、アリールスルフィネート塩)を含有する
硬化性組成物の成分はキットに含有させることができ、この場合、組成物の成分は以下
に記載されるようにパッケージ化されて、必要とされるまで成分の保存が可能になる。
歯科用組成物として使用される場合、硬化性組成物の成分は、従来の技術を用いて、混
ぜられて臨床的に塗布される。一般に、光重合性組成物の開始には、キュアリングライト
が必要とされる。組成物は、歯科用構造物に非常によく接着するコンポジットまたは修復
材の形であり得る。任意で、硬化性組成物が使用される歯科用構造物上に、プライマー層
を使用することができる。例えば、FASガラスまたはその他のフッ化物放出材料を含有
する組成物は、非常に良好な長期間のフッ化物の放出も提供することができる。本発明の
いくつかの実施形態では、光または他の外部キュアリングエネルギーを加えることなく大
量にキュアすることができ、前処理を必要とせず、改善された曲げ強度を含む改善された
物理特性を有し、そして抗う蝕効果のために高度のフッ化物の放出を有する樹脂変性ガラ
スアイオノマーセメントまたは接着剤が提供され得る。
本発明の組成物は、特に、様々な種類の歯科用材料(充填されてもされなくてもよい)
の形での使用に十分に適合される。本発明の組成物は、通常はわずかに充填されたコンポ
ジット(組成物の総重量を基準として25重量%までのフィラー)または非充填組成物で
あるシーラントまたは接着剤において使用することができ、歯に隣接して施された後にキ
ュアされる(すなわち、歯科用材料を歯と接して一時的または永久的に結合または接触さ
せる)。本発明の組成物は、通常は充填された組成物(好ましくは25重量%よりも多い
フィラー、より好ましくは40重量%よりも多いフィラーを含有し、好ましくは90重量
%までのフィラーを含有する)であるセメントにおいて使用することができる。また本発
明の組成物は、充填材料などの歯に隣接して配置された後に重合されるコンポジットを含
む修復材においても使用することができる。本発明の組成物は、歯に隣接して配置される
前に最終用途(例えば、クラウン、ブリッジ、ベニア、インレー、オンレーなどとして)
のために成形および重合される人工補綴物においても使用することができる。
組成物は、従来の光キュア性セメントのキュアを達成することが困難であり得る臨床的
な用途において有用性を有する。このような用途としては、極度の修復、大きいクラウン
またはコアの構築、歯内修復、歯科矯正用ブラケット(例えば、ペースト部分がブラケッ
トに予め塗布され、液体部分が後で歯にブラッシングされ得るプリコートブラケットを含
む)、バンド、バッカルチューブ、およびその他のデバイスの取付け、金属性クラウンま
たは他の光不透過性人工補綴デバイスの歯への合着、ならびに口中の手の届かない領域に
おけるその他の修復用途があげられるが、これらに限定されない。
本発明の組成物を用いる典型的な方法は、実施例において説明される。本発明のいくつ
かの実施形態では、組成物(好ましくは、接着剤)に歯科用構造物表面をエッチングさせ
るのに有効な条件は、接着剤および/または接着剤/希釈剤混合物をブラシでスイッシン
グ(swishing)して混合し、エッチングするのに有効な時間の間(すなわち、少
なくとも3秒間)、通常は少なくとも5秒間、多くの場合少なくとも10秒間、時には少
なくとも20秒間、歯科用構造物表面を研磨することを含む。
歯科用材料を歯科用構造物表面に結合する方法は、好ましくは、少なくとも7MPa、
より好ましくは少なくとも15MPa、最も好ましくは少なくとも20MPaのエナメル
質または象牙質(もしくはその両方)への結合をもたらす。
本発明の目的および利点は、以下の実施例によって更に説明されるが、これらの実施例
において列挙される特定の材料およびその量、ならびにその他の条件および詳細は、本発
明を不当に限定すると解釈されてはならない。他に指示されない限りは、全ての部、およ
び百分率は重量に基づき、全ての水は脱イオン水であり、そして全ての分子量は重量平均
分子量である。
試験方法
セルフキュアリング効率
2パート「セルフキュア」試験サンプルは、樹脂またはペースト(すなわち、充填ペー
スト)形態のパートAおよびパートBで構成した。室温においてパートAの一部(0.1
g)およびパートBの一部(0.1g)を、2つのビーズの形で歯科用混合パッド上に施
した。2つの部分をスパチュラで20秒間混合し、すぐに37℃のオーブンに移した。ボ
ールアプリケータ(ball applicator)が混合物を引っ張って引き裂くま
で、あるいは10分間の最大試験時間に到達するまでおよそ30秒ごとに、混合物にボー
ルアプリケータを走らせることによって、得られた混合物のゲル化点を決定した。
光キュアリング効率
樹脂または樹脂およびフィラー(すなわち、充填ペースト)の試験サンプル(0.1g
)をシリンジから歯科用混合パッド上にビーズの形で施した。XL3000ハロゲン歯科
用ライト(3Mカンパニー(3M Company))で試験サンプルを40秒間照射し
た。照射に続いて、歯科用ステンレス鋼スパチュラの鋭いエッジを用いて約2Kgfの力
で、キュアされたサンプルに圧痕を付けた。圧痕が全くなかった場合には「OK」、圧痕
が少ししかまたは全くないがサンプルが脆弱性で粉々に壊れた場合には「脆弱性(Bri
ttle)」、あるいはンプルが液体またはペースト状態のままであった場合には「硬化
せず(No Setting)」でキュアリングを判断した。表1において、「YES」
は「OK」と同じであり、「NO」は「硬化せず」と同じである。
保存安定性
試験サンプルを45℃で(約30%の相対湿度)で保存し、3日間毎日、次に週1回、
評価してサンプルの保存安定性を決定した。ペーストの試験サンプル(2パート「セルフ
キュア」組成物、すなわちレドックス組成物のパートAまたはパートB)は、サンプルが
硬化していない形態のままであり、そしてパートA(還元剤を有する)/パートB(酸化
剤を有する)=3/1の重量比で、サンプルを新たに調製された反対のペースト(2パー
ト「セルフキュア」組成物のパートAまたはパートB)と20秒間混合したときに硬化し
た組成物が形成されれば、所与の時点で安定であると決定された。試験サンプルが安定な
ままであった日数を報告した。
「光キュア」組成物のエナメル質または象牙質への接着
所与の試験サンプルのエナメル質または象牙質への接着強度を以下の手順で評価した。
歯の調製。各試験サンプルに対して、同様の年齢および外観の5本のウシの歯を円形ア
クリルディスクに部分的に埋め込んだ。象牙質またはエナメル質を露出させるために、宝
石研磨ホイールに取り付けたグレード120の紙で裏打ちされた炭化ケイ素研磨材を用い
て、各歯の露出した部分をアクリルディスクに平行に平らに研削した。この間、そして研
削および研磨工程の後、歯を水で連続的に洗浄した。グレード600の紙で裏打ちされた
炭化ケイ素研磨材を宝石研磨ホイールに取り付けて、歯の更なる研削および研磨を行なっ
た。研磨した歯を脱イオン水中に保存し、研磨後2時間以内に試験に使用した。研磨した
歯を水から取り出し、ふき取って乾燥した。
歯の処理。5mm直径の孔がシーティングを通して開けられた2mm厚のテフロン(登
録商標)(TEFLON)シーティングの予め作製したモールドに、Z100コンポジッ
トサンプル(3Mカンパニー)を充填した。Z100コンポジットサンプルをXL300
0歯科用キュアリングライトからの放射に60秒間さらした。その結果得られた硬化した
Z100試験ボタンをモールドから取り出し、各ボタンの一方の面を320グリットの紙
やすりで粗化した。24℃および50%相対湿度の制御された環境において、試験サンプ
ルの調製の1分以内に、試験サンプル層をZ100ボタンの粗化面にスパチュラで塗布し
た。塗布した試験サンプルを歯に向けてボタンを歯の表面に押圧してアセンブリを形成し
た。アセンブリを更に1分間放置させた。その後、試験サンプル層を、XL3000歯科
用キュアリングライト(3Mカンパニー)に40秒間露光した。アセンブリ全体を、97
%相対湿度および37℃に設定した湿度室に15分間置いた。次にアセンブリを37℃の
脱イオン水中に24時間入れた。
接着結合強度試験。インストロン(InstronTM)(インストロン4505、マサ
チューセッツ州カントンのインストロン社(Instron Corp.Canton,
MA))の顎部に固定されたホルダーに、研磨した歯の表面を引張り方向に平行に向けて
アセンブリ(上記)を取り付けることによって、キュアされた試験実施例の接着強度を評
価した。歯科矯正用ワイヤ(0.44mm直径)のループを研磨した歯の表面に隣接して
Z100ボタンのまわりに配置した。歯科矯正用ワイヤの端部をインストロン装置の引張
り顎部に固定し、2mm/分のクロスヘッド速度で引っ張り、これにより接着結合をせん
断応力下に置いた。結合が破損したときの力をキログラム(kg)で記録し、ボタンの既
知の表面積を用いて、この数値を単位面積あたりの力(kg/cm2またはMPaの単位
)に変換した。エナメル質への接着または象牙質へ接着の報告された各値は、5回の繰返
しの平均を表す。
「セルフキュア」組成物の圧縮強度(CS)
24℃および50%相対湿度の制御された環境において、3gのペーストA(還元剤を
有する)と1gのペーストB(酸化剤を有する)とを25秒間スパチュラで混ぜることに
よって、「セルフキュア」(すなわち、レドックスキュア)組成物を作製した。まず、混
合したペーストサンプルを、4mm内径を有するガラス管内に注入することによって、圧
縮強度サンプルを作製した。ガラス管の端部をシリコーン栓で塞いだ。充満した管に0.
275メガパスカル(MPa)の圧力を5分間かけた。その後、管を97%相対湿度およ
び37℃の湿度室に20分間置いた。湿度室から管を37℃の脱イオン水中に24時間移
した。このようにキュアした5つのサンプルを8mmの長さに切断した。1分あたり1ミ
リメートル(mm/分)のクロスヘッド速度で動作するインストロン(INSTRON)
万能試験機(マサチューセッツ州カントンのインストロン社(Instron Corp
.Canton,MA))を用い、ISO標準7489に従って圧縮強度を決定した。
「光キュア」組成物の圧縮強度(CS)
まず試験サンプルを、4mm内径を有するガラス管に注入した。ガラス管の端部をシリ
コーン栓で塞いだ。充満した管に0.275メガパスカル(MPa)の圧力を5分間かけ
、XL2500キュアリングライト(3Mカンパニー)で80秒間照射し、クルツァー(
KULZER)UniXS(独国のクルツァー社(Kulzer,Inc.,Germa
ny))ライトボックス内に180秒間配置した。このようにキュアした5つのサンプル
を8mmの長さに切断し、37℃の水中に1日間置いた。1分あたり1ミリメートル(m
m/分)のクロスヘッド速度で動作するインストロン(INSTRON)万能試験機(マ
サチューセッツ州カントンのインストロン社(Instron Corp.Canton
,MA))を用い、ISO標準7489に従って圧縮強度を決定した。
「セルフキュア」および「光キュア」組成物の直径引張り強さ(Diametral T
ensile Strength、DTS)
「セルフキュア」または「光キュア」組成物のための上記の圧縮強度試験法を用いるが
、2mmの長さに切断したサンプルを用いて、直径引張り強さを測定した。5回の繰返し
の平均で結果を報告した。
出発材料の調製
アリールスルフィネート塩の調製
4−シアノベンゼンスルフィン酸のテトラブチルアンモニウム塩(CBSA TBA)
および4−カルボエトキシベンゼンスルフィン酸のテトラブチルアンモニウム塩(CEB
SA TBA)は、例えば、本願と同じ日に出願された本願譲受人の係属中の(特許文献
2)(代理人事件番号58634US002)に開示される方法と同様の方法によって調
製した。
簡単に言うと、各テトラブチルアンモニウムベンゼンスルフィネートは、アルカリ金属
ベンゼンスルフィネートの酸性水溶液から対応するベンゼンスルフィン酸を酢酸エチルで
抽出することによって、対応するアルカリ金属ベンゼンスルフィネートから調製した。有
機相を蒸発乾燥させ、得られた固体を50%(v/v)のメタノール水溶液に溶解させた
。次にこの溶液を、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液で滴定した。混合物を蒸発乾
燥させて、テトラブチルアンモニウムベンゼンスルフィネートが黄色い油として与えられ
た。
各アルカリ金属ベンゼンスルフィネートは、次に、対応する塩化ベンゼンスルホニルを
加水分解して対応するベンゼンスルフィン酸を無色の固体として形成することによって調
製した。ベンゼンスルフィン酸のメタノール水溶液をアルカリ金属水酸化物で中和して、
アルカリ金属ベンゼンスルフィネート塩が与えられた。
HEMA−P(HEMAリン酸塩およびテトラ−HEMAピロリン酸塩の混合物)の調製
ガス注入口の付いた還流冷却器、メカニカルスターラー、およびガス出口の付いた添加
用漏斗を取り付けた1リットルの3つ口丸底フラスコに、76.7gのPOCl3および
500mlのTHFを入れた。130.5gのHEMA、101.5gのトリエチルアミ
ン(TMA)および87gのTHFの溶液を添加用漏斗内に入れた。氷−水−塩浴により
フラスコを約−5℃に冷却した。溶液を攪拌しながら、25分間にわたって一滴ずつ添加
し、その間、温度を0℃と−5℃の間に保持した。混合物を3時間攪拌し、温度を室温ま
で上昇させた。フラスコに、更に200mlのTHFを添加し、攪拌を容易にした。添加
用漏斗に、50mlのTHF中の51gのTEAおよび6.8gの水の溶液を添加した。
氷−水−塩浴によりフラスコを0〜5℃まで冷却した後、溶液を一滴ずつ16分の間添加
した。混合物を室温まで到達させ、18時間攪拌した。混合物をろ過して、沈殿した塩を
除去し、THFを真空で除去した。生成物168gは、淡いオレンジ色の液体であり、1
H、13Cおよび31P NMRによって、モノ−、ジ−、およびトリ−HEMAリン酸塩な
らびにテトラ−HEMAピロリン酸塩の混合物であると特徴付けられた。
実施例1〜4
開始剤系中の様々な電子供与体の評価(光キュアモード)
TEGDMA(24.85部)、ビスEMA6(24.85部)、HEMA−P(49
.70部)、CPQ(0.30部)、およびBHT(0.30部)を混合して、均質な組
成物を生じることによって、樹脂Aを調製した。
様々な電子供与体化合物を樹脂Aと混合させ、本明細書中に記載される光キュアリング
効率試験法に従って、得られた組成物をキュアリングについて評価した。電子供与体化合
物、樹脂A中のその濃度および溶解度観察、ならびに光キュアリング結果は、表1に提供
される。DPIPF6(1部)を組成物に添加して研究を繰り返し、キュアリング結果は
、DPIPF6を添加しない結果と本質的に同一であった。樹脂Aの、3%および10%
のCBSA TBAとの混合物、ならびに3%および10%のCEBSA TBAとの混
合物は、それぞれ実施例1、2、3、および4で表した。
樹脂Aおよびアリールスルフィネートテトラブチルアンモニウム塩(CBSA TBA
またはCEBSA TBAのいずれか)の光キュアリング効率は、樹脂中のスルフィネー
ト塩の濃度に依存したことが注目される。
実施例5〜6
開始剤系中の電子供与体としてのアリールスルフィネート塩の評価
(セルフキュアおよび光キュアモード)
実施例5および6は、2パートのペースト/ペースト成分から作製される「自己接着性
」組成物であった。ペーストA1およびペーストA2(それぞれ、重合性成分、EDMA
BおよびCBSA TBA電子供与体、ならびにフィラーを含有する)は、表2に示され
る濃度の成分を混合することによって調製した。ペーストB(酸性および非酸性重合性成
分、CPQ増感剤、Cu(II)AcおよびNaP酸化剤(すなわち、電子受容体)、な
らびにフィラーを含有する)は、表3に示される濃度の成分を混合することによって調製
した。
実施例5は、3gのペーストA1を1gのペーストBと20秒間スパチュラで混ぜるこ
とによって調製した。実施例6は、3gのペーストA2を1gのペーストBと20秒間ス
パチュラで混ぜることによって調製した。実施例5および6は、「セルフキュア」モード
(すなわち、外部歯科用キュアリングライトにさらされない)で、本明細書中に記載され
る「セルフキュア」試験法に従って、圧縮強度(CS)および直径引張り強さ(DTS)
について評価した。また実施例5は、「光キュア」モード(すなわち、外部歯科用キュア
リングライトにさらす)で、本明細書中に記載される「光キュア」試験法に従って、圧縮
強度(CS)、直径引張り強さ(DTS)、およびエナメル質および象牙質への接着につ
いて評価した。試験結果は表4に提供され、標準偏差が括弧内に示される。
保存安定性の評価
本明細書中に記載される保存安定性試験法を用いて、ペーストA1は、45℃で80日
間よりも長く、そして室温(23℃)では9ヶ月よりも長く安定であることが分かり、ペ
ーストA2は、45℃で約2週間安定であることが分かった。試験法においてペーストB
を用いた。
実施例7〜8
開始剤系中の電子供与体としてのアリールスルフィネート塩の評価
(セルフキュアモード)
樹脂Bは、TEGDMA(62.31部)、ビスEMA6(37.38部)、およびB
HT(0.31部)を混合して、均質な組成物を生じることによって調製した。
ペーストCは、TEGDMA(6.65部)、ビスEMA6(3.99部)、BHT(
0.10部)、CPQ(0.32部)、GDMA−P(73.15部)、Cu(II)A
c(0.16部)、NaP(10.64部)、およびAEROSIL A200(5.3
2部)を混合して、均質な組成物を生じることによって調製した。
様々な電子供与体化合物を樹脂Bと混合し、得られた混合物をペーストCと1:1の重
量比で混合した。本明細書中に記載されるセルフキュアリング効率試験法に従って、得ら
れた組成物をキュアリングについて評価した。電子供与体化合物、樹脂B中のその濃度お
よび溶解度の観察、ならびにセルフキュアリング結果は、表5に提供される。5%のCB
SA TBAを有する樹脂BをペーストCと混合した組成物を実施例7で表し、そして5
%のCEBSA TBAを有する樹脂BをペーストCと混合した組成物は、実施例8で表
した。
本発明に対する様々な修正および変更は、本発明の範囲および精神から逸脱することな
く当業者には明らかになるであろう。本明細書中に記載された実例となる実施形態および
実施例によって本発明が不当に限定されることは意図されず、そしてこのような実施例お
よび実施形態が単なる例として与えられ、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ
限定されることは理解されるべきである。

Claims (62)

  1. エチレン性不飽和化合物と、
    歯科用添加剤と、
    式I
    のアニオンと、正に帯電した窒素原子または正に帯電したリン原子を有するカチオンとを
    有するアリールスルフィネート塩を含む開始剤系と、
    を含む口腔環境で使用するのに適した重合性歯科用組成物であって、
    前記アリールスルフィネート塩が、銀/硝酸銀参照電極に対して0.0〜+0.4ボル
    トのN,N−ジメチルホルムアミド中の酸化電位を有しており、Ar1が、非置換である
    か、あるいは、電子吸引性基、または電子供与性基と組み合わされた電子吸引性基で置換
    されたC630アリールまたはC330ヘテロアリールである重合性歯科用組成物。
  2. 前記歯科用添加剤が、フッ化物源、増白剤、抗う蝕剤(例えば、キシリトール)、無機
    質補給剤(例えば、リン酸カルシウム化合物)、酵素、口臭清涼剤、麻酔薬、凝固剤、酸
    中和剤、化学療法剤、免疫応答調節剤、薬剤、指示薬、染料、顔料、湿潤剤、界面活性剤
    、緩衝剤、粘度調節剤、チキソトロープ、フィラー、ポリオール、抗菌剤、抗真菌剤、安
    定剤、口内乾燥症の治療剤、減感剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され
    る、請求項1に記載の重合性歯科用組成物。
  3. 前記歯科用添加剤が、光退色性染料である、請求項1に記載の重合性歯科用組成物。
  4. 前記組成物が、分散液、懸濁液、エマルジョン、溶液、およびこれらの組み合わせから
    なる群から選択される形態である、請求項1に記載の重合性歯科用組成物。
  5. 前記組成物が、プライマー、歯科用接着剤、歯科矯正用接着剤、コーティング、シーラ
    ント、セメント、修復材、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の重合性歯
    科用組成物。
  6. 前記開始剤系が、更に、250〜1000ナノメートルの範囲の化学線の波長を吸収す
    ることができる増感剤を含む、請求項1に記載の重合性歯科用組成物。
  7. 前記増感剤が、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチル
    シクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン、
    およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の重合性歯科用組
    成物。
  8. 前記開始剤系が、更に、銀/硝酸銀参照電極に対して+0.4〜−1.0ボルトのN,
    N−ジメチルホルムアミド中の還元電位を有する電子受容体を含む、請求項1に記載の重
    合性歯科用組成物。
  9. 前記電子受容体が、ヨードニウム塩、ヘキサアリールビスイミジゾール、過硫酸塩、過
    酸化物、酸化状態にある金属イオン、またはこれらの組み合わせである、請求項8に記載
    の重合性歯科用組成物。
  10. 前記開始剤系が、更に、250〜1000ナノメートルの範囲の化学線の波長を吸収す
    ることができる増感剤を含む、請求項8に記載の重合性歯科用組成物。
  11. 前記開始剤系が、更に、アリールスルフィネート塩とは異なる還元剤を含む、請求項1
    に記載の重合性歯科用組成物。
  12. エチレン性不飽和化合物と、
    式I
    のアニオンと、正に帯電した窒素原子または正に帯電したリン原子を有するカチオンとを
    有するアリールスルフィネート塩を含む開始剤系と、
    を含む重合性組成物であって、
    前記アリールスルフィネート塩が、銀/硝酸銀参照電極に対して0.0〜+0.4ボル
    トのN,N−ジメチルホルムアミド中の酸化電位を有しており、Ar1が、非置換である
    か、あるいは、電子吸引性基、または電子供与性基と組み合わされた電子吸引性基で置換
    されたC630アリールまたはC330ヘテロアリールであり、前記重合性組成物が、口腔
    環境で使用するのに適した歯科用材料である重合性組成物。
  13. 前記開始剤系が、更に、250〜1000ナノメートルの範囲の化学線の波長を吸収す
    ることができる増感剤を含む、請求項12に記載の重合性組成物。
  14. 前記開始剤系が、更に、銀/硝酸銀参照電極に対して+0.4〜−1.0ボルトのN,
    N−ジメチルホルムアミド中の還元電位を有する電子受容体を含む、請求項12に記載の
    重合性組成物。
  15. 前記開始剤系が、更に、250〜1000ナノメートルの範囲の化学線の波長を吸収す
    ることができる増感剤を含む、請求項14に記載の重合性組成物。
  16. 前記開始剤系が、更に、アリールスルフィネート塩とは異なる還元剤を含む、請求項1
    2に記載の重合性組成物。
  17. 更に、光退色性染料を含む、請求項12に記載の重合性組成物。
  18. エチレン性不飽和化合物と、
    歯科用添加剤と、
    250〜1000ナノメートルの範囲の化学線の波長を吸収することができる増感剤と

    式I
    のアニオンと、正に帯電した窒素原子または正に帯電したリン原子を有するカチオンとを
    有するアリールスルフィネート塩と、
    を含む重合性歯科用組成物を照射することを含む、組成物の硬化方法であって、
    前記アリールスルフィネート塩が、銀/硝酸銀参照電極に対して0.0〜+0.4ボル
    トのN,N−ジメチルホルムアミド中の酸化電位を有しており、Ar1が、非置換である
    か、あるいは、電子吸引性基、または電子供与性基と組み合わされた電子吸引性基で置換
    されたC630アリールまたはC330ヘテロアリールである方法。
  19. 前記増感剤が、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチル
    シクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン、
    およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記重合性歯科用組成物が、更に、銀/硝酸銀参照電極に対して+0.4〜−1.0ボ
    ルトのN,N−ジメチルホルムアミド中の還元電位を有する電子受容体を含む、請求項1
    8に記載の方法。
  21. 成分を混合して硬化性歯科用組成物を形成することと、
    前記歯科用組成物を硬化させることと、
    を含む組成物の硬化方法であって、前記成分が、
    エチレン性不飽和化合物と、
    歯科用添加剤と、
    銀/硝酸銀参照電極に対して+0.4〜−1.0ボルトのN,N−ジメチルホルムアミ
    ド中の還元電位を有する電子受容体と、
    式I
    のアニオンと、正に帯電した窒素原子または正に帯電したリン原子を有するカチオンとを
    有するアリールスルフィネート塩と、
    を含み、前記アリールスルフィネート塩が、銀/硝酸銀参照電極に対して0.0〜+0.
    4ボルトのN,N−ジメチルホルムアミド中の酸化電位を有しており、Ar1が、非置換
    であるか、あるいは、電子吸引性基、または電子供与性基と組み合わされた電子吸引性基
    で置換されたC630アリールまたはC330ヘテロアリールである方法。
  22. 前記電子受容体が、ヨードニウム塩、ヘキサアリールビスイミジゾール、過硫酸塩、過
    酸化物、酸化状態にある金属イオン、またはこれらの組み合わせである、請求項21に記
    載の方法。
  23. 前記成分が、更に、250〜1000ナノメートルの範囲の化学線の波長を吸収するこ
    とができる増感剤を含む、請求項21に記載の方法。
  24. 前記方法が、更に、前記硬化性歯科用組成物を照射することを含む、請求項23に記載
    の方法。
  25. 硬化性歯科用組成物を歯科用構造物表面に塗布することと、
    前記歯科用組成物を照射することと、
    を含む歯科用構造物表面の処理方法であって、前記硬化性歯科用組成物が、
    エチレン性不飽和化合物と、
    250〜1000ナノメートルの範囲の化学線の波長を吸収することができる増感剤と

    式I
    のアニオンと、正に帯電した窒素原子または正に帯電したリン原子を有するカチオンとを
    有するアリールスルフィネート塩と、
    を含み、前記アリールスルフィネート塩が、銀/硝酸銀参照電極に対して0.0〜+0.
    4ボルトのN,N−ジメチルホルムアミド中の酸化電位を有しており、Ar1が、非置換
    であるか、あるいは、電子吸引性基、または電子供与性基と組み合わされた電子吸引性基
    で置換されたC630アリールまたはC330ヘテロアリールである方法。
  26. 前記硬化性歯科用組成物が、更に、歯科用添加剤を含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記増感剤が、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチル
    シクロへキサンジオン、フェナントラキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン、
    およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
  28. 前記硬化性歯科用組成物が、更に、銀/硝酸銀参照電極に対して+0.4〜−1.0ボ
    ルトのN,N−ジメチルホルムアミド中の還元電位を有する電子受容体を含む、請求項2
    5に記載の方法。
  29. 硬化性歯科用組成物を歯科用構造物表面に塗布することと、
    前記硬化性歯科用組成物を硬化させることと、
    を含む歯科用構造物表面の処理方法であって、前記歯科用組成物が、
    エチレン性不飽和化合物と、
    銀/硝酸銀参照電極に対して+0.4〜−1.0ボルトのN,N−ジメチルホルムアミ
    ド中の還元電位を有する電子受容体と、
    式I
    のアニオンと、正に帯電した窒素原子または正に帯電したリン原子を有するカチオンとを
    有するアリールスルフィネート塩と、
    を含み、前記アリールスルフィネート塩が、銀/硝酸銀参照電極に対して0.0〜+0.
    4ボルトのN,N−ジメチルホルムアミド中の酸化電位を有しており、Ar1が、非置換
    であるか、あるいは、電子吸引性基、または電子供与性基と組み合わされた電子吸引性基
    で置換されたC630アリールまたはC330ヘテロアリールである方法。
  30. 前記硬化性歯科用組成物が、更に、歯科用添加剤を含む、請求項29に記載の方法。
  31. 前記電子受容体が、ヨードニウム塩、ヘキサアリールビスイミジゾール、過硫酸塩、過
    酸化物、酸化状態にある金属イオン、これらの組み合わせである、請求項29に記載の方
    法。
  32. 前記硬化性歯科用組成物が、更に、250〜1000ナノメートルの範囲の化学線の波
    長を吸収することができる増感剤を含む、請求項29に記載の方法。
  33. 前記方法が、更に、前記硬化性歯科用組成物を照射することを含む、請求項32に記載
    の方法。
  34. 酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物と、
    酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物と、
    式I
    のアニオンと、正に帯電した窒素原子または正に帯電したリン原子を有するカチオンとを
    有するアリールスルフィネート塩を含む開始剤系と、
    を含むセルフエッチング性の重合性歯科用組成物であって、
    前記アリールスルフィネート塩が、銀/硝酸銀参照電極に対して0.0〜+0.4ボル
    トのN,N−ジメチルホルムアミド中の酸化電位を有しており、Ar1が、非置換である
    か、あるいは、電子吸引性基、または電子供与性基と組み合わされた電子吸引性基で置換
    されたC630アリールまたはC330ヘテロアリールであるセルフエッチング性の重合性
    歯科用組成物。
  35. 前記組成物が、プライマー、歯科用接着剤、歯科矯正用接着剤、コーティング、シーラ
    ント、セメント、修復材、またはこれらの組み合わせである、請求項34に記載のセルフ
    エッチング性の重合性歯科用組成物。
  36. 前記組成物が非水系である、請求項34に記載のセルフエッチング性の重合性歯科用組
    成物。
  37. 前記開始剤系が、更に、250〜1000ナノメートルの範囲の化学線の波長を吸収す
    ることができる増感剤を含む、請求項34に記載のセルフエッチング性の重合性歯科用組
    成物。
  38. 前記開始剤系が、更に、銀/硝酸銀参照電極に対して+0.4〜−1.0ボルトのN,
    N−ジメチルホルムアミド中の還元電位を有する電子受容体を含む、請求項34に記載の
    セルフエッチング性の重合性歯科用組成物。
  39. 前記開始剤系が、更に、250〜1000ナノメートルの範囲の化学線の波長を吸収す
    ることができる増感剤を含む、請求項38に記載のセルフエッチング性の重合性歯科用組
    成物。
  40. 前記組成物が、更に、フィラーを含む、請求項34に記載のセルフエッチング性の重合
    性歯科用組成物。
  41. 前記フィラーがナノフィラーである、請求項40に記載のセルフエッチング性の重合性
    歯科用組成物。
  42. 前記酸官能基が、カルボン酸官能基、リン酸官能基、スルホン酸官能基、またはこれら
    の組み合わせを含む、請求項34に記載のセルフエッチング性の重合性歯科用組成物。
  43. 更に、光退色性染料を含む、請求項34に記載のセルフエッチング性の重合性歯科用組
    成物。
  44. 酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物と、
    酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物と、
    界面活性剤と、
    水と、
    式I
    のアニオンと、正に帯電した窒素原子または正に帯電したリン原子を有するカチオンとを
    有するアリールスルフィネート塩を含む開始剤系と、
    を含むセルフエッチング性の重合性歯科用組成物であって、
    前記アリールスルフィネート塩が、銀/硝酸銀参照電極に対して0.0〜+0.4ボル
    トのN,N−ジメチルホルムアミド中の酸化電位を有しており、Ar1が、非置換である
    か、あるいは、電子吸引性基、または電子供与性基と組み合わされた電子吸引性基で置換
    されたC630アリールまたはC330ヘテロアリールであり、前記セルフエッチング性の
    重合性歯科用組成物がエマルジョンであるセルフエッチング性の重合性歯科用組成物。
  45. 前記エマルジョンが、油中水エマルジョンである、請求項44に記載のセルフエッチン
    グ性の重合性歯科用組成物。
  46. 前記エマルジョンが、物理的に安定である、請求項44に記載のセルフエッチング性の
    重合性歯科用組成物。
  47. 前記組成物が、30重量%未満の水を含む、請求項44に記載のセルフエッチング性の
    重合性歯科用組成物。
  48. 前記組成物が、油中水マイクロエマルジョンである、請求項44に記載のセルフエッチ
    ング性の重合性歯科用組成物。
  49. 前記組成物が、更に、フィラーを含む、請求項44に記載のセルフエッチング性の重合
    性歯科用組成物。
  50. 前記フィラーがナノフィラーである、請求項49に記載のセルフエッチング性の重合性
    歯科用組成物。
  51. 前記開始剤系が、更に、250〜1000ナノメートルの範囲の化学線の波長を吸収す
    ることができる増感剤を含む、請求項44に記載のセルフエッチング性の重合性歯科用組
    成物。
  52. 前記開始剤系が、更に、銀/硝酸銀参照電極に対して+0.4〜−1.0ボルトのN,
    N−ジメチルホルムアミド中の還元電位を有する電子受容体を含む、請求項44に記載の
    セルフエッチング性の重合性歯科用組成物。
  53. 前記開始剤系が、更に、250〜1000ナノメートルの範囲の化学線の波長を吸収す
    ることができる増感剤を含む、請求項52に記載のセルフエッチング性の重合性歯科用組
    成物。
  54. 更に、光退色性染料を含む、請求項44に記載のセルフエッチング性の重合性歯科用組
    成物。
  55. 酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物と、
    酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物と、
    少なくとも40重量%のフィラーと、
    式I
    のアニオンと、正に帯電した窒素原子または正に帯電したリン原子を有するカチオンとを
    有するアリールスルフィネート塩を含む開始剤系と、
    を含む自己接着性の重合性歯科用組成物であって、
    前記アリールスルフィネート塩が、銀/硝酸銀参照電極に対して0.0〜+0.4ボル
    トのN,N−ジメチルホルムアミド中の酸化電位を有しており、Ar1が、非置換である
    か、あるいは、電子吸引性基、または電子供与性基と組み合わされた電子吸引性基で置換
    されたC630アリールまたはC330ヘテロアリールである自己接着性の重合性歯科用組
    成物。
  56. 前記組成物が非水系である、請求項55に記載の自己接着性の重合性歯科用組成物。
  57. 前記酸官能基が、カルボン酸官能基、リン酸官能基、スルホン酸官能基、またはこれら
    の組み合わせを含む、請求項55に記載の自己接着性の重合性歯科用組成物。
  58. 前記フィラーがナノフィラーである、請求項55に記載の自己接着性の重合性歯科用組
    成物。
  59. 更に、光退色性染料を含む、請求項55に記載の自己接着性の重合性歯科用組成物。
  60. 前記開始剤系が、更に、250〜1000ナノメートルの範囲の化学線の波長を吸収す
    ることができる増感剤を含む、請求項55に記載の自己接着性の重合性歯科用組成物。
  61. 前記開始剤系が、更に、銀/硝酸銀参照電極に対して+0.4〜−1.0ボルトのN,
    N−ジメチルホルムアミド中の還元電位を有する電子受容体を含む、請求項55に記載の
    自己接着性の重合性歯科用組成物。
  62. 前記開始剤系が、更に、250〜1000ナノメートルの範囲の化学線の波長を吸収す
    ることができる増感剤を含む、請求項61に記載の自己接着性の重合性歯科用組成物。
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